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昭和42(ネ)461 家賃金等本訴並に反訴請求事件

裁判所

昭和44年10月30日 大阪高等裁判所

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15,185 文字

主文 本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は「原判決を取消す。本訴につき、被控訴人らは控訴人に対し連帯して金四、四八四、五四七円とこれに対する被控訴人株式会社テレビ西日本は昭和三八年七月一五日から、同Aは同年同月一八日からそれぞれ支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。反訴につき、被控訴人株式会社テレビ西日本の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決並びに保証を条件とする仮執行の宣言を求め、被控訴人ら代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、援用、認否は左のとおり附加するほか原判決事実摘示と同一であるからこゝにこれを引用する。(但し、原判決二枚目裏末行の「期問」を「期間」と、同四枚目裏七行目の「中問払い」を「中間払い」と、同九枚目裏四行目の「顛補」を「填補」と訂正する。)(控訴人の主張)本訴について。一、 本件建物は控訴会社が所有している。すなわち、控訴会社は昭和三三年一月二三日設立登記を了したものであるが、それより前の昭和三二年一二月設立中の会社の立場で日本鋼材株式会社(代表者は控訴会社のそれと同じ。以下日本鋼材と略称)からその所有にかゝる本件建物完成前の出来形部分(兵庫県住宅建設株式会社―新商号兵庫建設株式会社、以下兵庫建設と略称―が施工したもの)を買取つた上、自ら残工事を施工し昭和三三年三月末一階部分を、同年五月末二階部分(本件賃貸部分)を、同年九月末その余の部分を各完成し、よつて本件建物を原始取得したのである(この点に関する原審での主張を以上のとおり敷衍訂正する)。日本鋼材が右出来形部分を所有していたことは次の事実によつて明らかである。(一) 兵庫建設 完成し、よつて本件建物を原始取得したのである(この点に関する原審での主張を以上のとおり敷衍訂正する)。日本鋼材が右出来形部分を所有していたことは次の事実によつて明らかである。 分)を、同年九月末その余の部分を各完成し、よつて本件建物を原始取得したのである(この点に関する原審での主張を以上のとおり敷衍訂正する)。日本鋼材が右出来形部分を所有していたことは次の事実によつて明らかである。(一) 兵庫建設 完成し、よつて本件建物を原始取得したのである(この点に関する原審での主張を以上のとおり敷衍訂正する)。日本鋼材が右出来形部分を所有していたことは次の事実によつて明らかである。(一) 兵庫建設が施工した右出来形部分は日本鋼材所有の地下室に附合し、その一部分となつた。すなわち、日本鋼材はもと本件建物(従つて右出来形部分)の敷地に木造瓦葺二階建鉄筋地下一階の建物(但し現況は北側からみれば地下一階、南側よりみれば地上一階)を所有していたところ、昭和三二年一月その地上建物部分を取毀ち撤去の上兵庫建設にビル建設を注文した。そこで、兵庫建設は同年五月二日から六月八日までの間に前記地下室の上に本件出来形部分を施工したのである。本件出来形部分は右地下室の東、西、北部分にあるトーチカ様の鉄筋コンクリート側壁と鉄筋地下構造部分を基礎としてその上にコンクリートを積み重ねて施工された(ラーメン構造様式ではない)もので、地下室の一部分として当然日本鋼材の所有に属するものである。(二) 仮りに右日本鋼材(注文者)と兵庫建設(請負人)との間の請負契約は解除されたものであり、従つて右出来形部分の所有権の帰属も右解除の効果として決せられなければならないとしても、結果は同じである。すなわち、(イ) 右請負契約の内容となつたいわゆる四会連合協定による工事請負契約約款(甲第一三号証)の第二七条(1)によれば「解除をしたとき、工事の出来形部分は、甲(注文者)の所有とし、甲、乙(請負人)、丙(監理技師)協議のうえ清算する。」との明文があり、本件出来形部分が注文者日本鋼材の所有に属することは明白である。(別紙の約款抜粋参照)。右約款は、いやしくも約款による契約解除がなされた以上、その解除事由がたとえ注文者の側の責に帰すべきものであろらと適用されるべきものである。けだ 有に属することは明白である。(別紙の約款抜粋参照)。右約款は、いやしくも約款による契約解除がなされた以上、その解除事由がたとえ注文者の側の責に帰すべきものであろらと適用されるべきものである。けだし、右規定には注文者の責に帰すべき事由による解除の場合を除外すべき何らの制限も定められていないし、また前記のように解する方が合理的であるからである。 責に帰すべきものであろらと適用されるべきものである。けだ 有に属することは明白である。(別紙の約款抜粋参照)。右約款は、いやしくも約款による契約解除がなされた以上、その解除事由がたとえ注文者の側の責に帰すべきものであろらと適用されるべきものである。けだし、右規定には注文者の責に帰すべき事由による解除の場合を除外すべき何らの制限も定められていないし、また前記のように解する方が合理的であるからである。すなわち、もし請負人の所有に属するとした場合同人は所詮注文者の土地上にある出来形を収去せねばならなくなりかえつて不利となる。また、請負人(業者)がこのような場合出来形の所有権を主張する実質上の必要性は専らその工事代金の回収、確保のためにあると解されるから、もし他にその確保手段があれば右所有権を固執する必要はないはずである。しかして、民法の一般原則によれば請負報酬金は仕事の完成引渡がなければ請求できないけれども(民法第六三三条)、実際には完成途次の出来形といえども相応の価値を有するのであるから相応の報酬はこれを支払うのを常とする。本件約款第二七条(1)の後段に「協議のうえ清算する。」と定めたのもこの趣旨である。従つて、請負人兵庫建設としては出来形所有権に固執せずとも、注文者日本鋼材に対し報酬請求の道が保障されており、他方出来形は注文者日本鋼材の所有に属すると解するのが最も合理的である。また、右約款第二七条(1)は注文者において前渡金の支払いをしなかつた場合でも適用があると解すべきである。けだし、そのようなことを要件とする明文の約定はないし、一般に前渡金なるものは請負代金全額の五パーセント前後の額が通常であつて契約全体の大勢に影響はないことである。このことは、その何倍の額にもなるのが通常である中間払の代金の支払の有無によつて結論を左右しないことと比較してみでも自ら明らかであろら。仮りに然らずとして て契約全体の大勢に影響はないことである。このことは、その何倍の額にもなるのが通常である中間払の代金の支払の有無によつて結論を左右しないことと比較してみでも自ら明らかであろら。仮りに然らずとしても、日本鋼材は以下のとおり前渡金を支払つたと解すべきであるから前記約款二七条(1)の適用を受ける。すなわち、日本鋼材はかつて昭和三一年一二月八日兵庫建設との間に叙上増改築工事をなさしめるため第一回の請負契約を結んだところ、その後翌三二年一月一〇日同社の責に帰すべき事由により右契約は解除された。 中間払の代金の支払の有無によつて結論を左右しないことと比較してみでも自ら明らかであろら。仮りに然らずとしても、日本鋼材は以下のとおり前渡金を支払つたと解すべきであるから前記約款二七条(1)の適用を受ける。すなわち、日本鋼材はかつて昭和三一年一二月八日兵庫建設との間に叙上増改築工事をなさしめるため第一回の請負契約を結んだところ、その後翌三二年一月一〇日同社の責に帰すべき事由により右契約は解除された。その結果日本鋼材は右工事完成までのつもりで同年一月から同年末まで他のビルを借受け、保証金を支払つていたから相応の損害を蒙つた。そこで、右損害金を前渡金に充当することとして本件第二回の昭和三二年三月一〇日付請負契約は成立したのである。(ロ) 以上の点が認めうれないとしても、本件請負契約は被控訴人ら主張のような控訴会社の責に帰すべき事由により解除されたものではなく、(本件には約款第二六条(2)の該当事由はない)兵庫建設の責に帰すべき事由により解除となつたのであるから、いずれにしても前記約款第二七条(1)の適用はある。すなわち、兵庫建設は約定着工期日である昭和三二年三月一〇日に着工せず、漸く五月二日になつて着工し六月八日までに前記出来形部分を施工しただけで、当時から既に約定完成期日である七月二〇日完成の見込みは到底なかつた。しかも、右出来形部分の工事たるや安全度に致命的欠陥があり、粗雑粗漏にして化物屋敷同然のものであつた。その出来高もコンクリート打工事の中の七〇パーセントぐらいに過ぎず、電気、ガス、水道衛生工事等の配管ダクト工事すら出来ていない状態であつた。以上は明らかに約款第二五条各号(別紙参照)に該当する。よつて、日本鋼材は昭和三二年八月二八日兵庫建設 セントぐらいに過ぎず、電気、ガス、水道衛生工事等の配管ダクト工事すら出来ていない状態であつた。以上は明らかに約款第二五条各号(別紙参照)に該当する。よつて、日本鋼材は昭和三二年八月二八日兵庫建設に対し右約款に基き本件請負契約解除の意思表示をした。二、 仮りに然らずとしても、日本鋼材は中央建設工事紛争審査会の仲裁判断(乙第三号証の一、二参照)主文第二項による弁済金を供託したから、いずれにしても本件建物所有権は控訴会社に帰属する。右仲裁判断は、兵庫建設と日本鋼材との仲裁契約により中央建設工事紛争審査会が昭和三三年八月二七日にしたもので、その主文第二項において「日本鋼材が兵庫建設に一定金員を支払うのと引換えに本件建物所有権が日本鋼材に帰する」旨判示しているのである。 ても、日本鋼材は中央建設工事紛争審査会の仲裁判断(乙第三号証の一、二参照)主文第二項による弁済金を供託したから、いずれにしても本件建物所有権は控訴会社に帰属する。右仲裁判断は、兵庫建設と日本鋼材との仲裁契約により中央建設工事紛争審査会が昭和三三年八月二七日にしたもので、その主文第二項において「日本鋼材が兵庫建設に一定金員を支払うのと引換えに本件建物所有権が日本鋼材に帰する」旨判示しているのである。三、 仮りに本件建物の所有権が控訴会社に属しないとしても、そのことが本件賃貸借に何らの影響を及ぼさないことは原審で主張したとおりである。また、被控訴人らはもともと本件賃貸借契約締結にさいし何らの錯誤もなかつた。被控訴会社は契約に先立ち、兵庫建設や既に本件建物一階を控訴会社から賃借していた東急航空株式会社から詳しく事情を聞きただし、いずれ本件建物が控訴会社の手に帰すること、しかし当時は未だ確定的に所有権の帰属が明らかになつではいなかつたことを熟知していたのであり、それを承知で本件賃貸借をしたのである。反訴に対し。一、 被控訴会社の反訴は建設協力保証金契約に基く請求であり、控訴会社の本訴請求たる賃貸借契約に基く賃料請求またはその防禦の方法と何ら牽連関係はないから、右反訴は不適法として却下されるべきである。二、 然らずとしても、本件建設協力保証金契約は賃貸借契約と別個独立の契約であるから、例え賃貸借契約が無効であるとしても、そのことにより当然無効となるものではない。ま として却下されるべきである。二、 然らずとしても、本件建設協力保証金契約は賃貸借契約と別個独立の契約であるから、例え賃貸借契約が無効であるとしても、そのことにより当然無効となるものではない。また、保証金契約上の返済期も到来していない。従つて、いずれにしても反訴請求には応じられない。(被控訴人らの主張)一、 本件建物所有権の帰属について。(一) 控訴会社が本件建物の所有権を有しないことは、既に前訴(原告兵庫建設、被告本件被控訴会社、被告補助参加人本件控訴会社)で確定された事実である。民訴法第七〇条にいわゆる参加的効力は判決主文に掲げられた権利または法律関係の存否のみならず、その前提となつた理由中の事実判断についても生ずると解すべきである。(二) それは別としても、控訴会社が本件建物の所有権を有しないことは前訴第一審判決(乙第二号証)により明白である。 件建物の所有権を有しないことは、既に前訴(原告兵庫建設、被告本件被控訴会社、被告補助参加人本件控訴会社)で確定された事実である。民訴法第七〇条にいわゆる参加的効力は判決主文に掲げられた権利または法律関係の存否のみならず、その前提となつた理由中の事実判断についても生ずると解すべきである。(二) それは別としても、控訴会社が本件建物の所有権を有しないことは前訴第一審判決(乙第二号証)により明白である。すなわち、本件建物は当初日本鋼材が兵庫建設に注文して建築させたところ、日本鋼材が請負契約に反して一銭の建築費も支払わなかつたため、兵庫建設において右請負契約を解除した。しかして、兵庫建設より日本鋼材に対する本件建物の引渡しは今日に至るもなされていないから、日本鋼材または控訴会社が本件建物の所有権を取得するいわれはない。控訴人は請負契約約款二七条(1)の規定をしきりに援用するが、注文者が一銭の工事代金も支払わないため契約を解除されたような場合にまで右規定によつて注文者が工事目的物の所有権を取得するなどというような不合理なことはありえない。(三) 控訴人のその他の所有権取得原因に関する主張はすべて否認する。但し、控訴会社が昭和四三年になつて控訴人主張のような仲裁判断主文二項に基く弁済金の供託をした事実は認めるが、今頃になつて供託してみたところで控訴会社が本件建物の所有権を遡つ 主張はすべて否認する。但し、控訴会社が昭和四三年になつて控訴人主張のような仲裁判断主文二項に基く弁済金の供託をした事実は認めるが、今頃になつて供託してみたところで控訴会社が本件建物の所有権を遡つて取得するものではない。右主文によれば「仲裁判断送達の日から二週間以内に一定金員を支払うと引換えに日本鋼材が本件建物所有権を取得する」旨定めたもので、右判断は昭和三三年八月二七日なされ、その頃日本鋼材に送達されたものである。二、 しかるに、被控訴人らは右のような事情を全く知らず、控訴会社を本件建物の正当な所有者であると信じて、三〇〇万円を建設協力金名義で支払つたうえ本件賃貸借をしたのである。これは要素の錯誤によつて無効であるから、右契約に基く控訴人の賃料及び賃料相当損害金支払請求は失当である。(証拠)(省略) 理由 第一 (本訴について)一、 控訴会社が昭和三三年五月三一日被控訴会社に対し控訴人主張の通称Bビルデイング(本件建物)の二階一室二一坪を賃料一カ月七四、〇〇〇円、毎月二五日までに翌月分持参払い、賃貸期間五年の約定で賃貸し、なおそのさい被控訴会社から建設協力保証金名下に三〇〇万円の支払いを受けたこと及び被控訴人Aが前同日控訴会社に対し被控訴会社の右賃貸借契約上の債務につき連帯保証をしたことは当事者間に争いがない。 について)一、 控訴会社が昭和三三年五月三一日被控訴会社に対し控訴人主張の通称Bビルデイング(本件建物)の二階一室二一坪を賃料一カ月七四、〇〇〇円、毎月二五日までに翌月分持参払い、賃貸期間五年の約定で賃貸し、なおそのさい被控訴会社から建設協力保証金名下に三〇〇万円の支払いを受けたこと及び被控訴人Aが前同日控訴会社に対し被控訴会社の右賃貸借契約上の債務につき連帯保証をしたことは当事者間に争いがない。二、 控訴会社は本訴において右賃貸借契約に基く賃料(昭和三四年四月一日から同年五月五日までの分)と賃料相当損害金(控訴会社が契約を解除した翌日であるという同月六日から被控訴会社が賃借部分を明渡した昭和三七年一二月二五日までの分)を請求するのに対し、被控訴人らは、右賃貸借契約はその締結にさいし被控訴会社において要素に錯誤があつたから無効であり、右請求に応じられないと主張するので検討する。昭和三七年一二月二五日までの分)を請求するのに対し、被控訴人らは、右賃貸借契約はその締結にさいし被控訴会社において要素に錯誤があつたから無効であり、右請求に応じられないと主張するので検討する。(一) まず、被控訴人らは右錯誤の内容として、被控訴会社としては当時控訴会社が本件建物を所有するものと信じ、これを重要な要素としてその二階貸室を賃借したにもかかわらず、控訴会社は所有権はもとより何らの処分権限も有しなかつたとの点を主張した上、このように「控訴会社が本件建物所有権を有しなかつた」との点についでは、控訴会社はいわゆる補助参加効によつてもはやこれに反する主張をなしえない旨主張するので、この点について考える。訴外兵庫建設が被控訴会社を被告として大阪地方裁判所に本件建物所有権に基き本件貸室部分の明渡しと賃料相当損害金の支払いを求める訴訟を提起し(同庁昭和三四年(ワ)第五八三号建物明渡等請求事件)、右裁判は結局被告たる本件被控訴会社が敗訴して確定したこと、及び右訴訟中、本件控訴会社が民訴法六四条に基き被控訴会社のため補助参加をしたことは当事者間に争いがない。右事実に、成立に争いない乙第二、第四号証、第七ないし第九号証、原審での控訴会社代表者本人尋問の結果の一部を綜合すると次の事実が認められ、他に反証はない。すなわち、被控訴会社は前記のとおり控訴会社から本件貸室を賃借していたところ、昭和三四年二月頃兵庫建設から前記訴訟を提起された。 して確定したこと、及び右訴訟中、本件控訴会社が民訴法六四条に基き被控訴会社のため補助参加をしたことは当事者間に争いがない。右事実に、成立に争いない乙第二、第四号証、第七ないし第九号証、原審での控訴会社代表者本人尋問の結果の一部を綜合すると次の事実が認められ、他に反証はない。すなわち、被控訴会社は前記のとおり控訴会社から本件貸室を賃借していたところ、昭和三四年二月頃兵庫建設から前記訴訟を提起された。兵庫建設の主張する請求原因は「本件建物は兵庫建設がこれを所有するところ、被控訴会社は昭和三三年八月一日から本件貸室部分を占有している。よつて、その明渡しと右同日から明渡しずみまで一ヵ月五九、九六〇円の割合による賃料相当損害金の支払いを求める。」というのであり、これに対し被控訴会社は「右所有権の帰属を否認する 室部分を占有している。よつて、その明渡しと右同日から明渡しずみまで一ヵ月五九、九六〇円の割合による賃料相当損害金の支払いを求める。」というのであり、これに対し被控訴会社は「右所有権の帰属を否認する。本件建物は控訴会社が所有するものであり、被控訴会社は控訴会社から本件貸室部分を賃借占有している。」旨答弁するとともに、昭和三四年九月一二日頃控訴会社に対し訴訟告知をした。告知当時における訴訟の程度は実質上の最初の口頭弁論期日である第二回期日(昭和三四年七月二〇日)において兵庫建設の訴状擬制陳述、被控訴会社の答弁書陳述、第三回期日は同年一〇月二三日に指定した、という段階であつた。控訴会社はその後第四回期日(昭和三五年七月七日)に現実に補助参加の申出をし、以後被控訴会社のため訴訟行為をしたが、結果は被控訴会社の全部敗訴の判決に終つた(昭和三八年四月二日)。そこで、控訴、被控訴両会社は控訴を申立て(大阪高等裁判所昭和三八年(ネ)第五三二、第六七七号)、ことに控訴会社は本件建物所有権の帰属に関し本訴と同じように「本件建物はもと日本鋼材(代表者は控訴会社の代表者と同じB)が兵庫建設に建設を注文したところ、右請負契約は中途解除となつたためその出来形部分は約款二七条(末尾参照)により注文者日本鋼材の所有に帰したところ、控訴会社はその後これを同社から譲受け、建物を完成し、よつて本件建物を原始取得した。従つて、兵庫建設が本件建物を所有するものではない。」旨主張したが、控訴審はこれを容れず、一審同様本件建物所有権は、出来形段階から不動産の形態をなすに至るまで終始兵庫建設にあると判断し、昭和三九年七月二〇日控訴棄却の判決を言渡した。 つたためその出来形部分は約款二七条(末尾参照)により注文者日本鋼材の所有に帰したところ、控訴会社はその後これを同社から譲受け、建物を完成し、よつて本件建物を原始取得した。従つて、兵庫建設が本件建物を所有するものではない。」旨主張したが、控訴審はこれを容れず、一審同様本件建物所有権は、出来形段階から不動産の形態をなすに至るまで終始兵庫建設にあると判断し、昭和三九年七月二〇日控訴棄却の判決を言渡した。被控訴会社はこれを不服として控訴会社の補助参加の下に更に上告したが(最高裁判所昭和三九年(オ)第一二〇九号)、昭和四〇年五月二 庫建設にあると判断し、昭和三九年七月二〇日控訴棄却の判決を言渡した。被控訴会社はこれを不服として控訴会社の補助参加の下に更に上告したが(最高裁判所昭和三九年(オ)第一二〇九号)、昭和四〇年五月二五日上告棄却となり、ここに右訴訟は被控訴会社の敗訴が確定した。以上の事実関係によれば、控訴会社は前記訴訟の第一審の段階で被控訴会社から訴訟告知を受け、遅くともその第三回口頭弁論期日には補助参加することができたと解されるから、その時から右訴訟に参加したものとみなされるのみならず(民訴法七八条)、第四回期日には現実に参加し以後上告審に至るまで被控訴会社のため訴訟を追行したものであり、その間被参加人たる被控訴会社が参加人たる控訴会社の訴訟行為を妨げ、またはこれに牴触する如き所為に出たり、控訴会社がなしえざる訴訟行為を自ら怠つたと認めうれる事情はなく、かえつて、両社は右訴訟の唯一の争点である本件建物所有権の帰属について共同して兵庫建設と争つたことが認めうれる。そうすると、控訴会社は以後被控訴会社との関係で同社敗訴の裁判の効力を受けることは明らかである(民訴法七〇条)。従つて、本件訴訟においてはもはや被控訴会社に対し、右裁判の理由中で説示された判断に反し「本件建物所有権は控訴会社に存する」旨の主張をなしえないものといわなければならない。<要旨第一>もつとも、民訴法七〇条所定の裁判の効力の性質をもつて既判力の主観的範囲の拡張と解し、それ故その</要旨第一>効力は判決の前提事由たる事実または判断にまで及ぶものではない(右訴訟についていえば被控訴会社の本件貸室明渡義務の存在についてのみ控訴会社を拘束し、右義務を認める前提となつた貸室の所有権に関する判断についてまで効力は及ばない)との見解もあるが、右法条が補助参加人に対しても裁判の効力を認めた趣旨は とも、民訴法七〇条所定の裁判の効力の性質をもつて既判力の主観的範囲の拡張と解し、それ故その</要旨第一>効力は判決の前提事由たる事実または判断にまで及ぶものではない(右訴訟についていえば被控訴会社の本件貸室明渡義務の存在についてのみ控訴会社を拘束し、右義務を認める前提となつた貸室の所有権に関する判断についてまで効力は及ばない)との見解もあるが、右法条が補助参加人に対しても裁判の効力を認めた趣旨は 室明渡義務の存在についてのみ控訴会社を拘束し、右義務を認める前提となつた貸室の所有権に関する判断についてまで効力は及ばない)との見解もあるが、右法条が補助参加人に対しても裁判の効力を認めた趣旨は、参加人は被参加人の訴訟に参加して同人のため、ひいては共通の利害を有する自らのため、訴訟追行をなし、またはなしえた以上、その限りにおいて(同条の例外規定参照)、その訴訟の結果(被参加人敗訴の裁判)についても、共同で責任を負担し、もはや、後になつて被参加人に対しこれと異る主張をなしえないこととするのが公平であり、信義にも適うとの点にあり、判決によつて公権的に解決された紛争の蒸し返しを禁ずる趣旨の既判力とは自ら異るのであり、それ故その効力の及ぶ客観的範囲も紛争主題たる権利義務(訴訟物)だけでなく、その前提となつた認定事実や判断にも及ぶと解するのがその趣旨にもよく合致し、相当であると解すべきであるから、前記見解は採用しない。(殊に、本件では、控訴会社は前訴が未だその控訴審係属中の昭和三八年六月一一日早くも本訴を提起していることが記録上明らかであり、控訴会社としては被控訴人らをして本訴請求を納得させるためには―成立に争いない乙第一号証、第五号証の二、第六号証の一ないし二五、官署作成部分の成立に争いなくその余の部分はその様式、体裁により真正に成立したと認める同第五号証の一によれば、被控訴会社は控訴会社に対し何もことさら賃料の支払いを怠つたわけではなく、前記のような紛争に巻き込まれた結果、二重払いの危険を避けるため、かねてから一日も早く兵庫建設と控訴会社ないしは日本鋼材との間の紛争解決を期待していたものであることが認めうれる―まずもつて前訴における兵庫建設の請求を全力で排斥すべき必要があつたのであり、この観点から前訴と本訴を彼此観察すると、控訴会社の前 日本鋼材との間の紛争解決を期待していたものであることが認めうれる―まずもつて前訴における兵庫建設の請求を全力で排斥すべき必要があつたのであり、この観点から前訴と本訴を彼此観察すると、控訴会社の前訴における補助参加は実質上は当事者参加にも比すべきものと考えられる。 うれる―まずもつて前訴における兵庫建設の請求を全力で排斥すべき必要があつたのであり、この観点から前訴と本訴を彼此観察すると、控訴会社の前 日本鋼材との間の紛争解決を期待していたものであることが認めうれる―まずもつて前訴における兵庫建設の請求を全力で排斥すべき必要があつたのであり、この観点から前訴と本訴を彼此観察すると、控訴会社の前訴における補助参加は実質上は当事者参加にも比すべきものと考えられる。)また、本件のように前訴においてひとたび本件建物所有権が兵庫建設にあり、従つて控訴会社にはないと判断された以上、たとえ本訴において控訴会社が自社の所有権取得を理由あらしめる事実として前訴で主張しなかつた新たな事実を主張したとしても(控訴会社は当審で、日本鋼材の出来形所有権取得原因として附合の事実等を新らたに主張している)、もはや右参加効を覆えすことはできない。けだし、本件のような場合、参加効の及ぶ前訴裁判理由中の事実及び判断とは本件建物所有権の帰属が兵庫建設にあるか否かの点であつて、相手方である被控訴、控訴会社側において右所有権帰属と相反する事実(いわゆる積極的否認事実)として控訴会社に所有権がある旨主張するにつき、それを理由あらしめる事実として如何なる主張をしたかは何ら問うところではないと解すべきであるからである。そうすると、本訴においては、本件建物所有権は少くとも前訴当時兵庫建設にあつたのであり、控訴人主張のように控訴会社がこれを原始取得したものでないことを既定の事実と認めなければならない。なお、さらに控訴人は、仲裁判断主文第二項の命ずる弁済金の供託をしたことにより本件建物所有権を爾後取得したかのように主張するけれども、右支払いにより本件建物の所有権を取得するのは日本鋼材であり、控訴会社でないのみならず、成立に争いない乙第三号証の一、二と弁論の全趣旨によれば右主文は日本鋼材において兵庫建設に対し「仲裁判断送達の日から二週間以内に」一定金員を支払うと引換えに本件建物 あり、控訴会社でないのみならず、成立に争いない乙第三号証の一、二と弁論の全趣旨によれば右主文は日本鋼材において兵庫建設に対し「仲裁判断送達の日から二週間以内に」一定金員を支払うと引換えに本件建物所有権を取得する旨判断したものであり、右仲裁判断は昭和三三年八月二七日になされ、その頃日本鋼材に送達されたことが認めうれるところ、控訴人は右期間内に支払つた旨の主張をせず、かえつて、控訴人の弁論の趣旨からみると、控訴人主張の弁済供託は本訴が当審に係属している昭和四三年中になされたことが認められるから、右主張はそれ自体失当である。 「仲裁判断送達の日から二週間以内に」一定金員を支払うと引換えに本件建物所有権を取得する旨判断したものであり、右仲裁判断は昭和三三年八月二七日になされ、その頃日本鋼材に送達されたことが認めうれるところ、控訴人は右期間内に支払つた旨の主張をせず、かえつて、控訴人の弁論の趣旨からみると、控訴人主張の弁済供託は本訴が当審に係属している昭和四三年中になされたことが認められるから、右主張はそれ自体失当である。以上のとおりであるから、控訴会社は結局被控訴会社に対し他人の物である本件貸室を賃貸したといわねばならない。しかして、前掲証拠によれば、控訴会社が本件建物につき他に別段の管理処分権を有するものでないことも明らかである。<要旨第二>(二) そこで、被控訴会社の主張する前記錯誤の存否について検討する。</要旨第二>前掲甲第九ないし第一二号証、成立に争いない同第六号証、乙第一号証及び原審証人Cの証言に弁論の全趣旨を綜合すると次の事実が認められる。被控訴会社はかねてから大阪市内に適当な事務所を求めていたところ、同社の従業員Cが知人の紹介で本件貸室のあることを知り、よつて控訴、被控訴両会社の代表者が交渉の結果昭和三三年五月末日前記賃貸借契約を締結したものであるが、右契約にさいし、控訴会社代表者Bは、既に前年の八月頃から本件建物建設について請負人兵庫建設と自分が代表者である注文主日本鋼材との間に紛争があり、現に大阪府建設工事紛争審査会で仲裁判断のための審理が続けられ(第一回期日は昭和三二年一〇月一九日)、本件建物(または出来形)所有権の帰属について双方はげしい応酬を繰り返していたにもかかわらず、何らこのことに触れず、当然控訴会 で仲裁判断のための審理が続けられ(第一回期日は昭和三二年一〇月一九日)、本件建物(または出来形)所有権の帰属について双方はげしい応酬を繰り返していたにもかかわらず、何らこのことに触れず、当然控訴会社の所有であるかの如く振る舞い、現に契約書にも控訴会社が所有する旨明示し(第一条)、さらにあたかも控訴会社が建物を建設したかの如く建設協力保証金名下に三〇〇万円の支払いを受け(このことは当事者間に争いがない)、それも将来賃料との相殺を禁じ、昭和三八年五月末日まで据置とし、以後毎年五月末日に三〇万円ずつ返還するが、二年以内に解除する場合は二割、五年以内に解除する場合は一割を控訴会社が収得する特約を付し、返済時の利息の定めもない等極めて控訴会社に有利な条件としていた。 示し(第一条)、さらにあたかも控訴会社が建物を建設したかの如く建設協力保証金名下に三〇〇万円の支払いを受け(このことは当事者間に争いがない)、それも将来賃料との相殺を禁じ、昭和三八年五月末日まで据置とし、以後毎年五月末日に三〇万円ずつ返還するが、二年以内に解除する場合は二割、五年以内に解除する場合は一割を控訴会社が収得する特約を付し、返済時の利息の定めもない等極めて控訴会社に有利な条件としていた。従つて、被控訴会社としても本件建物は控訴会社の所有であることを信じて疑わず、現に前記のような紛争が係属していることも知らず、ましてその後自ら前訴の当事者となつてその渦中に巻き込まれることまでは全く予期せずして本件契約を締結したもので、もしこのような事情を知悉しておれば、前記のような条件の建設協力保証金を提供してまで敢えて本件貸室を賃借しなかつた。以上の事実が認められ、右認定事実に反する前掲控訴会社代表者本人尋問の結果は前記証拠に照らし措信せず、他に反証はない。右事実によれば、被控訴会社は、控訴会社が本件建物を所有し、または少くともその賃貸権限ありと信じたからこそ本件契約を締結したもので、同社としてはこの点において錯誤があつたと認めうれ、この錯誤は本件契約の内容に照らすと重要な部分に関するものということができる。賃貸借契約は賃貸人が賃借人に対し目的物を使用収益させる債権関係であるから、必ずしも賃貸人が賃借物を所有することを要件とするものでなく、他人の物の賃貸借も可能であることは ものということができる。賃貸借契約は賃貸人が賃借人に対し目的物を使用収益させる債権関係であるから、必ずしも賃貸人が賃借物を所有することを要件とするものでなく、他人の物の賃貸借も可能であることは控訴人主張のとおりである。しかし、賃貸借契約と一口にいつてもそれはもとより千差万別であつて、その目的物件、賃貸借の動機、内容如何によつては賃貸人が賃借物を所有すること、または少くとも賃貸権限あることを契約成立上必須の要件となし、その旨明示または黙示の意思表示をする場合のあることもまた否みえないところである。本件賃貸借契約においては控訴会社が本件建物を所有する旨明示されており、それを前提として締結されたことは叙上のとおりであり、且つ賃貸物も会社の事務所として長期にわたり使用することを目的としたビルの二階部分であり、動産を寸借するが如き場合とは甚しく趣きを異にするもので、ことに前記のような建設協力保証金の提供を内容としている点等に照らすと右所有権の帰属の点はまさに契約の重要な要素をなしていると解すべきである。 貸借契約においては控訴会社が本件建物を所有する旨明示されており、それを前提として締結されたことは叙上のとおりであり、且つ賃貸物も会社の事務所として長期にわたり使用することを目的としたビルの二階部分であり、動産を寸借するが如き場合とは甚しく趣きを異にするもので、ことに前記のような建設協力保証金の提供を内容としている点等に照らすと右所有権の帰属の点はまさに契約の重要な要素をなしていると解すべきである。以上の判断に反する控訴人の主張は首肯し難い。(三) そうすると、本件賃貸借契約は要素に錯誤があつて無効であるといわなければならないから、その有効であることを前提とした控訴会社の被控訴人らに対する本訴賃料の請求及びその解除による原状回復義務不履行を原因とする賃料相当損害金の請求は爾余の判断をなすまでもなくすべて失当である(なお、右損害金請求をもつて所有権侵害に基く不法行為責任を原因とするものと解するとしても、控訴会社が建物所有権を有しないことは前説示のとおりであるからこの点において失当である)。第二 (反訴について)次に被控訴会社の反訴請求について検討する。被控訴会社が本件賃貸借契約締結にさいし控訴会社に対し建設協力保証金名義で 説示のとおりであるからこの点において失当である)。第二 (反訴について)次に被控訴会社の反訴請求について検討する。被控訴会社が本件賃貸借契約締結にさいし控訴会社に対し建設協力保証金名義で三〇〇万円を差入れたことは前記のとおり当事者間に争いがないところ、右賃貸借契約が当初から無効であつたことも前説示のとおりである。そうすると、控訴会社は法律上の原因なくして三〇〇万円相当の利益をえ、因つて被控訴会社に同額の損失を及ぼしていること明らかであり、且つ、控訴会社の現存利益が右三〇〇万円を下廻ると認められる事情につき、特段の主張立証はないから、被控訴会社に対し右不当利得金三〇〇万円を返還する義務がある。控訴人は本件賃貸借契約と右建設協力保証金差入契約とは別個のものであり、前者の無効は後者の効力と無関係である旨主張するけれども、既に説示したとおり、右保証金の差入れは名実ともに本件賃貸借契約の内容として右契約と不可分の関係でなされたものであることが明らかであるから、右主張は失当である(従つて、本件反訴は本訴と索連性がないから不適法である旨主張する控訴人の本案前の抗弁もまた失当である)。 る義務がある。控訴人は本件賃貸借契約と右建設協力保証金差入契約とは別個のものであり、前者の無効は後者の効力と無関係である旨主張するけれども、既に説示したとおり、右保証金の差入れは名実ともに本件賃貸借契約の内容として右契約と不可分の関係でなされたものであることが明らかであるから、右主張は失当である(従つて、本件反訴は本訴と索連性がないから不適法である旨主張する控訴人の本案前の抗弁もまた失当である)。よつて、被控訴会社が控訴会社に対し右不当利得金三〇〇万円とこれに対する反訴状送達の日の翌日であること記録上明かな昭和四〇年一〇月二七日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める反訴請求は理由がある。第三 (結論)よつて、これと同旨の原判決は相当で、本件控訴は失当としてこれを棄却し、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長判事石井末一判事竹内貞次判事畑郁夫)別紙<記載内容は末尾1添付> 主文 のとおり判決する。(裁判長判事石井末一 判事竹内貞次 判事畑郁夫) 別紙<記載内容は末尾1添付>

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