平成4(オ)279 建物専有部分使用目的確認等請求本訴、同反訴

裁判年月日・裁判所
平成9年3月27日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 平成2(ネ)2154
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判決文本文4,222 文字)

主文原判決を破棄する。本件を東京高等裁判所に差し戻す。理由上告代理人河崎光成、同小林政秀の上告理由本論第四について一上告人は、第一審判決別紙物件目録一記載の建物(以下「本件マンション」という。)の一部である同目録二記載の専有部分(以下「一〇一号室」という。)の所有者であり、被上告人a管理組合(以下「被上告人管理組合」という。)は、本件マンションについての建物の区分所有等に関する法律(以下「建物区分所有法」という。)三条所定の区分所有者の団体であり、その余の被上告人らは、本件マンションの区分所有者である。本件上告に係る上告人の本訴請求は、被上告人らに対し、一 一〇一号室について飲食店に使用することができないこと以外には使用目的の制限がないことの確認、二 同室の単位面積当たりの区分所有権が本件マンションの他の専有部分の単位面積当たりの区分所有権とその権利義務において同一であることの確認、三 被上告人らが上告人に同室を店舗として使用させないという不法行為に基づく損害賠償の支払を求めるものであり、被上告人管理組合の反訴請求は、上告人に対し、同室を住宅以外の用途に使用することの禁止を求めるものである。二原審の確定した事実関係の概要は、次のとおりである。 1 本件マンションは、昭和五四年八月に居住専用マンションとして建築されたものであって、二階以上の階層が居住用として分譲され、同建物の玄関は二階に設けられ、西側道路から直接出入りすることができるようになっていた。これに対し、一階部分北側の一〇一号室は、コンクリート壁と柱から成り、北側道路に面する屋内駐車場として設計され、価額も二階以上よりは低く評価されたものと推認され、本件マンションの敷 うになっていた。これに対し、一階部分北側の一〇一号室は、コンクリート壁と柱から成り、北側道路に面する屋内駐車場として設計され、価額も二階以上よりは低く評価されたものと推認され、本件マンションの敷地所有者であったD(以下「D」という。)が等価交換により区分所有権を取得した。 は、本件マンションの分譲業者との間で、同室を屋内駐車場として使用し、他の区分所有者の承諾なしに駐車場以外の用途に変更しない旨の契約を締結した。 なお、分譲の際の宣伝では、同室は区分所有者用の駐車場とされ、Dは同室を駐車場として本件マンションの区分所有者に賃貸していた。 2 本件マンションの原始規約(以下「旧規約」という。)一五条及び一六条は、区分所有者は、その専有部分を居住目的以外の飲食店等(レストラン、スナックバー、喫茶店、バー、クラブ、ホテルその他これに類する深夜営業を行うものを含む。)に使用してはならず、また、右営業を行う第三者に転売又は賃貸してはならない旨規定していたが、右規約及びこれに基づく使用細則には、一〇一号室の用途を駐車場に限定する旨を定めた規定はなかった。本件マンション建築当時の敷地の容積率は三〇〇パーセントで、延べ面積一九二六・九三平方メートルまでの建築物が建築可能であったが、用途を駐車場とする部分については、これに加えて更にその五分の一までは建築できるという特例があった。本件マンションの延べ面積は、一〇一号室(床面積一四八・六八平方メートル)を除くと一九二六・九三平方メートルを超えないが、同室を併せるとこれを超えるため、同室の用途を駐車場以外に変更することは、建築基準法上許されないものであった。本件マンションの居住部分の区分所有者は、居住専用マンションという状態が維持されることを期待しており、同室の駐車場が廃止されて店舗に改造 に変更することは、建築基準法上許されないものであった。本件マンションの居住部分の区分所有者は、居住専用マンションという状態が維持されることを期待しており、同室の駐車場が廃止されて店舗に改造されることを予想していなかった。 3 Dは、昭和五五年三月二〇日に死亡した。Eは、遺贈により、Dから一〇一号室の区分所有権を取得し、同五八年に同室を店舗に改造し、その種類を「駐車場」から「店舗」に変更する登記をし、これを株式会社Fに賃貸した。同社の賃借権を承継して同室でブティック営業を行っていた株式会社Gは、同六一年六月に同室の区分所有権を取得した。 4 昭和六一年一〇月に被上告人管理組合が設立され、同六二年二月一三日に開催された臨時総会において本件マンションの管理規約の改定が議決され、新規約一二条は、専有部分を専ら住宅として使用するものとし、店舗、事務所、倉庫等住宅以外の用途に供してはならない旨を定めている。 5 Gは、昭和六二年三月一九日、一〇一号室をH株式会社に売却した。 この通知を受けた被上告人管理組合は、Hに対し、同室を住宅以外の用途に供することは認められないと通告した。そこで、Hは、知り合いの不動産業者である上告人に右のいきさつを伝えて同室を買い取ってくれるように頼み、上告人は、被上告人管理組合と話がつかなければ訴訟に持ち込むことも覚悟の上で、同六三年三月三〇日に時価相場よりもかなり低い価額でこれを買い取った。 6 平成元年一〇月に本件マンション敷地の容積率が四〇〇パーセントに変更され、これによって一〇一号室を駐車場以外のものとすることが建築基準法上も可能となった。三原審は、右事実関係に基づき、一 旧規約一五条及び一六条の規定は、「飲食店等」としての使用を禁止したものであって、居住目的以外に使用することをす することが建築基準法上も可能となった。三原審は、右事実関係に基づき、一 旧規約一五条及び一六条の規定は、「飲食店等」としての使用を禁止したものであって、居住目的以外に使用することをすべて禁止したものと解することはできない、二 一〇一号室を駐車場以外の用途に変更しない旨の権利内容の制限は、本件マンションの販売業者とDの債権契約によって設定されたものというほかない、三 しかし、一〇一号室の成り立ち等にかんがみれば、右制限は対物的なもの、すなわち同室の特定承継人に対してもその効力が及ぶと解するのが相当である、四 その法律上の根拠は、Dの区分所有権に特別の影響を及ぼすべき規約が同人の承諾を得て設定された場合(建物区分所有法三一条一項)に準じて同法四六条一項の規定を類推し得ることに求められる、 五 一〇一号室が負担する前記制限を変更するためには他の区分所有者全員の承諾を要するところ、新規約は他の区分所有者全員の賛成により議決されたものではないので、同規約一二条は現実の使用形態に関して住居としての使用を許容したにとどまるものと解すべきである、とした上、右一記載の上告人の本訴請求をいずれも棄却すべきものとし、被上告人管理組合の反訴請求を認容すべきものとした。四しかしながら、原判決の右判断は是認することができない。旧規約制定当時、昭和五八年法律第五一号による改正前の建物区分所有法が施行されていたが、同法は、建物の使用に関する区分所有者相互間の事項については、これを規約で定めることができるものとし(二三条)、かつ、規約は区分所有者の特定承継人に対してもその効力を生ずる旨を定めていた(二五条)。その趣旨は、区分所有建物の特殊性にかんがみ、区分所有権を取得しようとする者は、規約を点検することによって、自己が権利を は区分所有者の特定承継人に対してもその効力を生ずる旨を定めていた(二五条)。その趣旨は、区分所有建物の特殊性にかんがみ、区分所有権を取得しようとする者は、規約を点検することによって、自己が権利を得ようとする物件について存在する各種の制限を知り得ることを前提としたものである。したがって、特定承継人をも拘束し得る制限条項を設けるためには、すべて画一的に規約(現行法の下においては、規約又は集会決議)によってこれを明記しておくことが求められるのであって、元所有者又は前所有者がした債権契約に基づく権利制限の合意を安易に規約上定められた制限条項と同視することは許されない。また、原判決は、住居としてのみ使用し得ることを定めた新規約一二条が一〇一号室にも適用されるとするが、「住戸部分を取得した区分所有者」につき規定した同条が同室に適用されるものか否かは規定上必ずしも明確でなく、仮にその適用があるとしても、同条の規定は、「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」に当たるから、当時の同室の所有者であるGの承諾を得なければならないところ(建物区分所有法三一条一項後段)、同社は、規約の改正に当たり白紙委任状を提出しているとはいうものの、これによって同社の個別的承諾を得たものとは認められず、いずれにせよ、同室の区分所有権を前所有者であるHから売買により取得したにすぎない上告人は、原判決の説示する諸事情を考慮しても、右制限に拘束されることはないものというべきである。五以上によれば、原判決には法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、論旨は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく原判決は破棄を免れない。そして、本件について更に審理を尽くさせるため、これを原審に差し戻すこととする。 なお、 及ぼすことは明らかであるから、論旨は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく原判決は破棄を免れない。そして、本件について更に審理を尽くさせるため、これを原審に差し戻すこととする。 なお、一〇一号室の単位面積当たりの区分所有権が本件マンションの他の専有部分の単位面積当たりの区分所有権とその権利義務において同一であることの確認を求める旨の上告人の訴えは、このままでは確認の対象となる権利関係が不明確であるといわざるを得ないので、差戻し後の控訴審において上告人にその真意について釈明を求めた上、訴えの取下げないし変更などの適宜の措置を促すのが適当である。よって、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官遠藤光男裁判官小野幹雄裁判官高橋久子裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄

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