- 1 -平成23年7月7日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(行ケ)第10344号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成23年6月30日判決原告株式会社小松製作所同訴訟代理人弁理士黒川恵津田幸宏早水浩一被告特許庁長官同指定代理人小谷一郎加藤友也新海岳板谷玲子 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2008-24554号事件について平成22年9月28日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,特許請求の範囲(請求項1)の記載を下記2とする原告の本件出願に対する拒絶査定不服審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,下記4の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。 - 2 - 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,平成16年9月1日,発明の名称を「作業車両用エンジンのパワー出力 下記4の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。 - 2 - 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,平成16年9月1日,発明の名称を「作業車両用エンジンのパワー出力の制御方法及び制御装置」とする発明について,特許出願(特願2005-513650。優先権主張:平成15年(2003年)9月2日,日本)をした(甲3)。 (2) 特許庁は,平成20年8月20日付けで拒絶査定をした。 (3) 原告は,同年9月25日,これに対する不服の審判を請求し(不服2006-28842号事件),平成22年5月6日付けで再度拒絶査定の通知がされたのに対し,同年7月5日付けで,発明の名称を「ホイールローダ」と変更することなどを内容とする手続補正書(以下,この補正書による補正を「本件補正」という。 甲18)を提出した。 (4) 特許庁は,平成22年9月28日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との本件審決をし,その謄本は同年10月12日原告に送達された。 2 本願発明の要旨本件審決が対象とした,本件補正後の特許請求の範囲請求項1の記載は,以下のとおりである。なお,文中の「/」は改行部分を示す。以下,請求項1に記載された発明を「本願発明」という。また,本件出願に係る本件補正後の明細書(特許請求の範囲につき甲18,その余につき甲3,10)を「本願明細書」という。 エンジンの出力によって駆動される作業機と走行装置を有し,前記走行装置で走行しながら前記作業機を動作させて掘削積込作業を行うホイールローダであって,/前記作業機を動かすための1又は複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出装置と,/前記走行装置に含まれる変速機の操作又は選択されている速度段を検出する変速機操作検出装置と,/前記油圧検出装置により検出された検出値と ための1又は複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出装置と,/前記走行装置に含まれる変速機の操作又は選択されている速度段を検出する変速機操作検出装置と,/前記油圧検出装置により検出された検出値と,前記変速機操作検出装置により検出された検出値に基づいて,前記掘削積込作業のうちの掘削工程にあるか否かを判定し,その判定結果に基づいて前記エンジンの上限出力トルクを制御するコントローラとを備え,/前記コントローラが,/前記1又は- 3 -複数の油圧シリンダの油圧を所定の基準値と比較することにより,掘削工程が開始したか否かを判定し,/前記掘削工程が開始した後に,前記変速機の速度段が中立または後進位置にあるか否かを判断することにより,又は前記1又は複数の油圧シリンダの油圧を前記基準値と比較することにより,前記掘削工程の終了を判定し,/前記掘削が行われていないと判定された場合における前記エンジンの上限出力トルクカーブが,前記掘削が行われていると判定された場合における前記エンジンの上限出力トルクカーブよりも低くなるように,前記エンジンの上限出力トルクを制御するホイールローダ 3 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,要するに,本願発明は,下記アの引用例1に記載された発明(以下「引用発明」という。)及び下記イの引用例2に記載された技術的事項並びに周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 ア引用例1:特開2003-184134号公報(甲1。平成15年7月3日公開)イ引用例2:特開平11-293710号公報(甲2)(2) 本件審決は,その判断の前提として,引用発明,本願発明と引用発明との一致点及び相違点,引用例 (甲1。平成15年7月3日公開)イ引用例2:特開平11-293710号公報(甲2)(2) 本件審決は,その判断の前提として,引用発明,本願発明と引用発明との一致点及び相違点,引用例2記載の技術的事項を,以下のとおり認定した。 ア引用発明:エンジンの出力によって駆動される作業機と動力装置を有し,前記動力装置で走行しながら前記作業機を動作させて掘削積込作業を行うホイールローダであって,前記作業機を動かすためのリフトシリンダ又はチルトシリンダの油圧力を検出するボトム圧検出器又は油圧検出器と,前記動力装置に含まれる変速機が前進,中立,後進のいずれの状態にあるかを検出する操作位置検出手段及び変速機の選択されている速度段を検出する速度段検出器と,前記ボトム圧検出器又は油圧検出器により検出された検出値と,前記操作位置検出手段及び速度段検出器によ- 4 -り検出された検出値に基づいて,前記掘削積込作業のうちの掘削作業中にあるか否かを判定し,その判定結果に基づいて前記エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプの容量を制御するコントローラとを備え,前記コントローラが,前記リフトシリンダ又はチルトシリンダの油圧力を所定の値と比較することにより,掘削作業が開始したか否かを判定し,前記掘削作業が開始した後に,前記変速機の速度段が中立または後進位置にあるか否かを判断することにより,前記掘削作業の終了を判定し,前記掘削作業中と判断した場合に前記可変容量型油圧ポンプの容量を最大容量以下の所定容量に低減することに定め,次に前記可変容量型油圧ポンプの容量を所定容量に低減させる制御を行い,掘削作業終了であると判断した場合に前記可変容量型油圧ポンプの容量を最大容量以下の所定容量に低減させる制御を停止するホイールローダイ一致点:エンジンの出力に を所定容量に低減させる制御を行い,掘削作業終了であると判断した場合に前記可変容量型油圧ポンプの容量を最大容量以下の所定容量に低減させる制御を停止するホイールローダイ一致点:エンジンの出力によって駆動される作業機と走行装置を有し,前記走行装置で走行しながら前記作業機を動作させて掘削積込作業を行うホイールローダであって,前記作業機を動かすための1又は複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出装置と,前記走行装置に含まれる変速機の操作又は選択されている速度段を検出する変速機操作検出装置と,前記油圧検出装置により検出された検出値と,前記変速機操作検出装置により検出された検出値に基づいて,前記掘削積込作業のうちの掘削工程にあるか否かを判定し,その判定結果に基づいて前記作業機を駆動する装置を制御するコントローラとを備え,前記コントローラが,前記1又は複数の油圧シリンダの油圧を所定の基準値と比較することにより,掘削工程が開始したか否かを判定し,前記掘削工程が開始した後に,前記変速機の速度段が中立または後進位置にあるか否かを判断することにより,前記掘削工程の終了を判定し,前記掘削が行われていないと判定された場合と前記掘削が行われていると判定された場合で作業機を駆動する装置の制御を燃費を低減するとともに作業能率の低下を回避するように異ならせるホイールローダウ相違点:「作業機を駆動する装置を制御する」及び「前記掘削が行われてい- 5 -ないと判定された場合と前記掘削が行われていると判定された場合で作業機を駆動する装置の制御を燃費を低減するとともに作業能率の低下を回避するように異ならせる」に関して,本願発明では,「エンジンの上限出力トルクを制御」するものであり,かつ「掘削が行われていないと判定された場合における前記エンジンの上限出力トルク 作業能率の低下を回避するように異ならせる」に関して,本願発明では,「エンジンの上限出力トルクを制御」するものであり,かつ「掘削が行われていないと判定された場合における前記エンジンの上限出力トルクカーブが,前記掘削が行われていると判定された場合における前記エンジンの上限出力トルクカーブよりも低くなるように,前記エンジンの上限出力トルクを制御する」ものであるのに対し,引用発明では,「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプの容量を制御」するものであり,かつ「掘削作業中と判断した場合に前記可変容量型油圧ポンプの容量を最大容量以下の所定容量に低減することに定め,次に前記可変容量型油圧ポンプの容量を所定容量に低減させる制御を行い,掘削作業終了であると判断した場合に前記可変容量型油圧ポンプの容量を最大容量以下の所定容量に低減させる制御を停止する」ものである点エ引用例2記載の技術的事項:油圧ショベル等の建設機械のエンジンを制御する装置において,整地・整正等の作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと微操作を必要とする作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブが,作業量・パワーがより必要な作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと通常の掘削積み込み作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブよりも低くなるようにエンジンの出力トルクを制御すること 4 取消事由容易想到性に係る判断の誤り(1) 一致点の認定の誤り及び相違点の看過(2) 引用例2記載の技術的事項の認定の誤り(3) 引用例2記載の技術的事項の適用の誤り第3 当事者の主張〔原告の主張〕(1) 一致点の認定の誤り及び相違点の看過- 6 -ア一致点の認定の誤り本件審決は,引用発明における「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプ」について 張〔原告の主張〕(1) 一致点の認定の誤り及び相違点の看過- 6 -ア一致点の認定の誤り本件審決は,引用発明における「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプ」について,これと本願発明の「エンジン」とを無理矢理に一致する構成とするべく,両者を「作業機を駆動する装置を制御する」対象として一致すると認定した。 しかしながら,本願発明の「エンジン」と,引用発明における「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプ」とが一致するということはできない。本願発明は,一貫して,エンジンそれ自体のパワー出力能力を制御することの課題を解決するためにされたものであり,エンジンによって駆動される装置の容量制御とは技術的な意義が全く異なる。本願発明に係る「ホイールローダ」は,エンジンのパワー出力はトルクコンバータ及び変速機を順に通じて分配機に伝達され,そこから後輪と前輪に分配されるとともに(本願明細書【0028】),エンジンからのパワー出力の一部が可変容量型油圧ポンプの駆動に使われるのであるから(【0029】),引用発明における「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプ」の容量を低減させる制御を行ったとしても,エンジンそのもののパワー出力能力を制御することにならないことは自明である。 ホイールローダにあっては,エンジンの出力パワーは,車両の前後進といった走行と,油圧ポンプ等の作業機駆動とに分配され,その出力パワーをいかに分配するかが重要であり(甲19~21),引用発明における「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプ」の制御が走行系への動力配分といった作用を伴うとしても,エンジンそれ自体は何ら制御されておらず,エンジンのパワー出力制御とは無関係なのであるから,本願発明の「エンジン」のパワー出力制御と一致するということ 走行系への動力配分といった作用を伴うとしても,エンジンそれ自体は何ら制御されておらず,エンジンのパワー出力制御とは無関係なのであるから,本願発明の「エンジン」のパワー出力制御と一致するということができないことは,明らかである。 よって,本願発明と引用発明とが,「…作業機を駆動する装置を制御するコントローラとを備え」る点で一致するとした本件審決は,誤りである。 イ本願発明と引用発明との一致点の認定を誤ることにより看過した相違点についての判断の欠落- 7 -本願発明と引用発明との相違点は,端的に,本願発明では,「(作業機と走行装置とを駆動する)エンジンの上限出力トルクを制御」するものであるのに対し,引用発明では,「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプの容量を制御」するものである点と認定されるべきである。 本件審決は,本願発明と引用発明との一致点の認定を誤ることにより看過した相違点である,引用発明の「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプ」を本願発明の「エンジン」に置き換えることについての容易想到性の判断を何ら行っていない。 (2) 引用例2記載の技術的事項の認定の誤りアエンジン出力トルクが減少しないことまず,引用例2には,「整地・整正等の作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと微操作を必要とする作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブが,作業量・パワーがより必要な作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと通常の掘削積み込み作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブよりも低いこと」が記載されていないから,本件審決の引用例2記載の技術的事項の認定は,誤りである。これに対し,引用例2には,エンジンの出力トルクカーブ作業量・パワーがより必要な作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと通常の掘削積み込 ら,本件審決の引用例2記載の技術的事項の認定は,誤りである。これに対し,引用例2には,エンジンの出力トルクカーブ作業量・パワーがより必要な作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと通常の掘削積み込み作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブよりも低いことは全く記載されていない。引用例2では,エンジン回転速度が減少しているのであって,エンジン出力トルクは全く減少していない。 イ制御がないことまた,引用例2には,運転者が作業現場に応じて,手動で,選択スイッチを操作することにより,「重掘削モード」「掘削モード」「整正モード」及び「微操作モード」のいずれかを選択し,その選択に応じてエンジントルク及びポンプ吸収トルクが選択されることが開示されているだけで,エンジンないしはエンジンの(上限)出力トルクを「制御」することは,全く記載されていない。手動による選択ス- 8 -イッチの操作は,「制御」に相当するものではない(【0008】)。 ウ本件審決の引用例2記載の技術的事項の認定が,上記ア,イのとおり誤りである以上,引用発明に引用例2記載の事項を適用したとしても,相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることはできない。 (3) 引用例2記載の技術的事項の適用の誤りア本願発明と引用例2記載の技術的事項との対比の誤り本件審決は,引用例2記載の事項を本願発明と対比し,言い換え,「ホイールローダ」も「油圧ショベル」も変わりはないとしたが,引用例2の「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」は,油圧ショベルについての作業のそれをいうところ,本願発明の対象であるホイールローダにおける「掘削以外の作業時」とはその技術的意義が全く異なるのであるから,本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」に相当するというこ れをいうところ,本願発明の対象であるホイールローダにおける「掘削以外の作業時」とはその技術的意義が全く異なるのであるから,本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」に相当するということはできない。よって,本件審決の上記認定・判断は誤りである。 イ油圧ショベルに係る引用例2記載の技術的事項を引用発明に適用することの困難性本願発明の対象であるホイールローダと,引用例2記載の油圧ショベルとは,いずれもエンジンによって駆動される作業機と走行装置とを備えて掘削作業を行う機械であるという点では共通するが,その作業の実態は全く異なる。 したがって,ホイールローダに特有の課題を解決しようとする当業者にとって,油圧ショベルに関する引用例2記載の技術的事項を,作業の実態が全く異なるホイールローダの発明である引用発明に組み合わせようとする動機付けはない。 よって,油圧ショベルに係る引用例2記載の技術的事項を引用発明に適用することは,困難である。 〔被告の主張〕(1) 一致点の認定の誤り及び相違点の看過についてア油圧ポンプ出力の制御とエンジン出力の制御が密接に関連すること- 9 -油圧ポンプ出力の制御とエンジン出力の制御が密接に関連し,油圧ポンプ出力を制御するものや,エンジン出力を制御するものは,本件優先権主張日において周知の技術であった(甲19,21,乙1,2)。このように,ホイールローダなどの作業車両において,作業機に伝達される出力を調整するために,作業機を駆動する油圧ポンプ出力やエンジン出力を制御することが周知であって,両者の制御は密接に関連するものと認識されていた。そして,油圧ポンプ出力を制御することと,エンジン出力を制御することとは,いずれも作業機に伝達される出力を調整するための制御である限りにおい あって,両者の制御は密接に関連するものと認識されていた。そして,油圧ポンプ出力を制御することと,エンジン出力を制御することとは,いずれも作業機に伝達される出力を調整するための制御である限りにおいて共通の技術的意義を有している。 イ一致点の認定について本願発明も引用発明も,掘削が行われているか否かの作業状態を判定し,判定した作業状態に応じて,自動的に作業機に伝達される出力を制御するという点で技術思想が共通している。また,具体的な制御対象が,エンジンであるか油圧ポンプであるかという相違はあるものの,ホイールローダなどの作業車両において,両者の制御が密接に関連して認識されていた。そして,本願発明も,引用発明も,作業機は可変容量型油圧ポンプによって駆動され,可変容量型油圧ポンプはエンジンにより駆動されるのであって,可変容量型油圧ポンプもエンジンも,「作業機を駆動する装置」ということができる。よって,両者は「作業機を駆動する装置を制御する」という限りで一致する。 ウ原告の主張について原告は,エンジンと可変容量型油圧ポンプが一致するとはいえないとか,可変容量型油圧ポンプの制御をしてもエンジンの出力制御をすることにならないなどと主張するが,本件審決は,「可変容量型油圧ポンプ」が「エンジン」に一致するとか,「可変容量型油圧ポンプを制御する」ことが「エンジンを制御する」ことに相当するなどと認定したわけではない。 また,原告は,一致点の認定を誤ることにより看過した相違点についての容易想到性の判断を何ら行っていないと主張する。しかし,そもそも,本件審決は,本願- 10 -発明がエンジンの上限出力トルクを制御するものであるのに対し,引用発明が可変容量型油圧ポンプの容量を制御するものであることを相違点と認定し,判断しているのであるか も,本件審決は,本願- 10 -発明がエンジンの上限出力トルクを制御するものであるのに対し,引用発明が可変容量型油圧ポンプの容量を制御するものであることを相違点と認定し,判断しているのであるから,原告が主張するような相違点の看過はない。 (2) 引用例2記載の技術的事項の認定の誤りについてアエンジン出力トルクが減少しないことについて引用例2(【0008】)によれば,エンジントルクを選択すること,その選択例として図23ないし図25の各作業モードが示されていることが理解される。また,本願明細書(【0002】~【0009】【0059】【0063】【0064】【0087】)の記載から,本願発明は,要するに,掘削が行われて高い出力が必要な場合にはエンジンの最大の出力を発揮できるようにし,それ以外の出力をさほど必要としない場合にはエンジンの出力に制限をかけることによって無駄なエネルギーの消費を抑えて燃料を節約することを前提としてその自動化を図ったものであって,エンジンの出力トルクを低くすることの技術的意義は,エンジンの出力に制限をかけることによって無駄なエネルギーの消費を抑えて燃料を節約することと理解できる。 そうすると,引用例2には,本願発明と同様に,エンジントルクを選択して,「75%パーシャル出力点…整正モード」と「50%パーシャル出力点…微操作モード」は出力をさほど必要とするものではないので,「重掘削モード」及び「掘削モード」よりもエンジンの出力に制限をかけるものが記載されているから,技術的意義に照らしても,本件審決が,引用例2にエンジンの出力トルクを制御することが記載されていると認定した点に誤りはない。 さらに,本願明細書(【0045】)によれば,本願発明の具体的な制御内容としては,燃料噴射量の上限値を制御すること にエンジンの出力トルクを制御することが記載されていると認定した点に誤りはない。 さらに,本願明細書(【0045】)によれば,本願発明の具体的な制御内容としては,燃料噴射量の上限値を制御することを典型例とするものであり,引用例2も,本願発明と同じく燃料噴射量を制御するものと理解できるから,この点からも,本件審決が,引用例2にエンジンの出力トルクを制御することが記載されていると認定した点に誤りはない。 - 11 -以上のとおり,引用例2記載の事項の上記認定に誤りはない。 イ制御がないことについて本件審決は,相違点に係る本願発明の制御態様が容易に想到できることを示すために引用例2記載の技術的事項を認定したのであって,このような制御をコントローラが行うことまでを認定したわけではない。なお,「制御」には,手動による選択スイッチの操作も含まれる(乙3)。 (3) 引用例2記載の技術的事項の適用の誤りについてア引用例2記載の技術的事項における「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」は,本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」に相当すること引用例2(【0008】)は,「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」と,作業量・パワーがより必要な作業時とされる「重掘削モード」及び「掘削モード」とを分けて記載しており,これは,「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」が,掘削作業時とは異なる作業時であることを示している。また,「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」において,「掘削が行われていない」ことは明らかである(乙4)。 さらに,本願明細書(【0087】)によると,本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」は「掘削が行われていると 時」において,「掘削が行われていない」ことは明らかである(乙4)。 さらに,本願明細書(【0087】)によると,本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」は「掘削が行われていると判定された場合」よりも出力を要しない作業時を意味する。そうすると,引用例2の「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」は「重掘削モード」及び「掘削モード」よりも出力は必要としない作業時であるから,その技術的意味においても,本願発明の「掘削が行われていないと判定された場合」と相違ない。 よって,引用例2記載の技術的事項における「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」が本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」に相当するとした本件審決の認定に誤りはない。 イエンジンによって掘削力を発生させるものである点で,ホイールローダも油- 12 -圧ショベルも変わりはないことホイールローダについては,エンジンが走行装置及び作業機を駆動して掘削力を発生させている(甲1,20,21)。一方,油圧ショベルについては,エンジンが作業機を駆動して掘削力を発生させている(甲2)。 そうすると,エンジンによって掘削力を発生させるものである点で,ホイールローダも油圧ショベルも変わりはない。 ウ引用例2記載の技術的事項を引用発明に適用することに困難性がないこと引用例1には,掘削作業中か否かに応じて,可変容量型油圧ポンプを制御することが記載されている。そして,作業車両において,作業内容によって変動する作業機や走行装置にかかる負荷に応じて,作業機に伝達される出力を調整するために,それらを駆動する油圧ポンプ出力やエンジン出力を制御するものが周知の技術であって,両者を密接に関連づけて制御することが自然なことであった にかかる負荷に応じて,作業機に伝達される出力を調整するために,それらを駆動する油圧ポンプ出力やエンジン出力を制御するものが周知の技術であって,両者を密接に関連づけて制御することが自然なことであったことに照らせば,引用発明においてエンジン出力の制御を行うことは,当業者が容易に想到し得たことである。 そして,引用例2には,掘削作業中か否かに応じて「エンジンの出力トルクを制御する」ことが開示されており,引用例1及び引用例2が,掘削作業中か否かに応じて作業機に伝達する出力を調整するための制御である点で共通することを勘案すれば,引用発明に,引用例2記載の技術的事項を適用する動機付けが存在する。 さらに,引用例2の制御を行う理由は,エンジントルクを最適な条件で使うこと(【0008】)であり,引用例1にエンジントルクを制御することが記載されていなくても,エンジントルクを最適な条件で使うことは一般的な課題であるから,当該課題を解決する観点からも引用例2記載の技術的事項を適用する動機付けが存在する。 よって,当業者にとって,引用発明に,引用例2記載の技術的事項を適用することに困難性はなく,本願発明は,引用発明及び引用例2記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとする本件審決の判断に誤りはない。 - 13 -第4 当裁判所の判断 1 取消事由(容易想到性に係る判断の誤り)について(1) 一致点の認定の誤り及び相違点の看過についてア一致点について本願発明は,特許請求の範囲の記載のとおり,エンジンの出力によって駆動される作業装置と走行装置を作動させて掘削積込作業を行うホイールローダに関するものであって,掘削が行われていないと判定された場合におけるエンジンの上限出力トルクを制御するコントローラを備えている。 される作業装置と走行装置を作動させて掘削積込作業を行うホイールローダに関するものであって,掘削が行われていないと判定された場合におけるエンジンの上限出力トルクを制御するコントローラを備えている。よって,本願発明は,掘削作業が行われていないと判定される場合には,エンジンを制御するコントローラを備えており,エンジンは,作業機を駆動する装置ということができる。 他方,引用例1には,エンジンの出力によって駆動される作業装置と走行装置を作動させて掘削積込作業を行うホイールローダであって,掘削が行われていないと判定された場合におけるエンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプの容量を最大容量以下の所定容量に低減させ制御するコントローラを備えていることが記載されている(【0033】)。エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプは,作業機を駆動する装置ということができるから,引用発明も,掘削作業が行われていないと判定される場合には,作業機を駆動する装置(エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプ)を制御するコントローラを備えている。 したがって,本願発明も引用発明も,ともに掘削作業が行われていないと判定される場合には,作業機を駆動する装置を制御するコントローラを備えている。 イ本願発明と引用発明との一致点の認定を誤ることにより看過した相違点についての判断の欠落について上記のとおり,引用発明における「エンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプの容量を制御する」ことと,本願発明における「エンジンの上限出力トルクを制御する」こととは,「作業機を駆動する装置を制御する」という点では一致している。よって,本件審決がこれを一致点と認定したことに誤りはなく,原告が主張- 14 -するような,本願発明と引用発明との一致点の認定を誤ることにより を駆動する装置を制御する」という点では一致している。よって,本件審決がこれを一致点と認定したことに誤りはなく,原告が主張- 14 -するような,本願発明と引用発明との一致点の認定を誤ることにより看過した相違点についての判断の欠落もない。 なお,原告は,エンジンと可変容量型油圧ポンプが一致するとはいえず,可変容量型油圧ポンプの制御をしてもエンジンの出力制御をすることにならないなどと主張する。しかし,本願発明も引用発明も,ともに掘削作業が行われていないと判定される場合には,作業機を駆動する装置を制御するコントローラを備えていることは,前記認定のとおりであり,本件審決も,原告が主張するように「可変容量型油圧ポンプ」が「エンジン」に一致するとか,「可変容量型油圧ポンプを制御する」ことが「エンジンを制御する」ことに相当するなどと認定したわけではない。原告の上記主張は,本件審決を正解しない主張である。 (2) 引用例2記載の技術的事項の認定の誤りについてア引用例2の記載と本件優先権主張日における技術常識引用例2(【0008】【0009】)には,エンジントルクを選択スイッチで選択することにより,①重掘削モード(作業量・パワーがより必要な作業時に用いる図23に示すようなエンジンの出力の定格出力点で合わせるもの),②掘削モード(通常の掘削積み込み作業時に用いるもの),③整正モード(整地・整正等の作業時に用いる図24に示すようなエンジンの出力の75%パーシャル出力点で合わせるもの)及び④微操作モード(微操作を必要とする作業時に用いる図25に示すようなエンジンの出力の50%パーシャル出力点で合わせるもの)等の,作業現場に合わせた条件で使えるようにすることが記載され,それぞれのモードでエンジンの出力が制御されていることが理解できる。なお, ようなエンジンの出力の50%パーシャル出力点で合わせるもの)等の,作業現場に合わせた条件で使えるようにすることが記載され,それぞれのモードでエンジンの出力が制御されていることが理解できる。なお,上記③の整正モード及び④の微操作モードにおいては,上記①の重掘削モードに比べ,エンジンの回転速度が75%,50%に減少している(図23~25)。 また,乙2(【0020】【0028】~【0033】【0036】,図1~3)の記載によれば,乙2記載のホイールローダは,作業負荷の軽重,走行状態又は必要な作業速度に応じて,エンジンの出力特性及び油圧ポンプにより駆動される- 15 -作業機流量の設定を選択してエンジン出力と油圧ポンプの容量を制御するものであって,重負荷の作業を行えるH1モードが選択されたときには,エンジン本来の高トルクのエンジンの出力特性E1とし,軽負荷時などに無駄な燃料消費を減らすL1モードが選択されたときには,トルクを低下させたエンジンの出力特性E2とし,適切なエンジンの出力トルクで作業を行うことができ,無駄な燃料消費を減らして燃費を向上させるものであることが認められる。 そうすると,引用例2及び乙2の上記記載によれば,本件優先権主張日には,重負荷モードではエンジントルクを大きくし,微操作モードではエンジントルクを小さくするようなエンジンの制御を行うことが,当業者の技術常識であったことが認められる。 イ原告の主張について原告は,引用例2においてはエンジン回転速度が減少しているのであって,エンジン出力トルクは全く減少していないし,手動による選択スイッチの操作は「制御」に相当するものではないなどとして,本件審決の引用例2記載の技術的事項の認定が誤りであると主張する。 しかし,まず,作業者の手動による選択スイッチの操 いし,手動による選択スイッチの操作は「制御」に相当するものではないなどとして,本件審決の引用例2記載の技術的事項の認定が誤りであると主張する。 しかし,まず,作業者の手動による選択スイッチの操作も「制御」に含まれることは明らかである(乙3)。 もっとも,引用例2において,エンジン回転速度の減少が図23~25に記載され,エンジン出力トルクの減少は直接的には記載されておらず,その意味で,本件審決が認定した引用例2記載の技術的事項のうち,「整地・整正等の作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと微操作を必要とする作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブが,作業量・パワーがより必要な作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブと通常の掘削積み込み作業時に用いるエンジンの出力トルクカーブよりも低くなる」という部分は,適切とはいえない。しかし,引用例2(【0008】【0009】)には,作業内容に応じてエンジントルクを選択スイッチで選択することで,①重負荷モード,②掘削モード,③整正モード及び④微操作モード等の作- 16 -業現場に合わせた条件で使えるようにすることが記載されており,エンジントルクを選択しこれを制御することが示されているのであって,作業者は選択スイッチで所定のエンジントルクをいったん選択すれば,選択スイッチにつながった制御装置によってエンジントルクが自動的に一定に保たれるものである。そして,作業者は,エンジントルクが一定となるよう選択スイッチを操作して,エンジントルクが大きくなりすぎたり小さくなりすぎたりすることを選択スイッチによって操作しつつ所定のトルクを保つものではないことからすると,引用例2には,整地・整正等の作業時(上記③)及び微操作を必要とする作業時(上記④)に用いるエンジントルクが,作業量・パワーがより必要な掘削作業 しつつ所定のトルクを保つものではないことからすると,引用例2には,整地・整正等の作業時(上記③)及び微操作を必要とする作業時(上記④)に用いるエンジントルクが,作業量・パワーがより必要な掘削作業時(上記①)に用いるエンジントルクより小さくなるようにエンジンの上限出力トルクを制御することが記載されている。 そして,引用例2及び乙2の上記記載によれば,重負荷モードではエンジントルクを大きくし,微操作モードではエンジントルクを小さくするエンジンの制御を行うことが,本件優先権主張日において当業者の技術常識であったことは,前記アのとおりである。そうすると,本件審決の引用例2記載の技術的事項の認定には,必ずしも適切とはいえない部分があるとしても,上記技術常識に照らし,上記認定に本件審決を取り消すべき違法があるとまではいうことができない。 (3) 引用例2記載の技術的事項の適用の誤りについてア本願発明と引用例2記載の技術的事項との対比について原告は,本願発明と引用発明の対象がホイールローダであって,引用例2に記載の油圧ショベルとは技術的意義が異なるので,本願発明と引用例2記載の技術的事項との対比が誤っていると主張する。 引用例2(【0008】)には,前記のとおり,③整正モードが用いられる「整地・整正等の作業時」,④微操作モードが用いられる「微操作を必要とする作業時」と並んで,①重掘削モードが用いられる「作業量・パワーがより必要な作業時」,②掘削モードが用いられる「通常の掘削積み込み作業時」が例示されている。 これは,「整地・整正等の作業時」(上記③)及び「微操作を必要とする作業時」- 17 -(上記④)が,掘削作業時(上記①②)とは異なる作業時であることを示している。 そして,「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」 (上記③)及び「微操作を必要とする作業時」- 17 -(上記④)が,掘削作業時(上記①②)とは異なる作業時であることを示している。 そして,「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」において,掘削が行われていないことは,乙4からも明らかである。 他方,本願明細書(【0087】)の記載によれば,本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」は,「掘削が行われていると判定された場合」よりも出力を要しない作業時を意味すると解される。 そうすると,引用例2の「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」は,重掘削モード及び掘削モードよりも出力を必要としない作業時であって,本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」に相当する。 よって,引用例2記載の技術的事項における「整地・整正等の作業時」及び「微操作を必要とする作業時」が本願発明における「掘削が行われていないと判定された場合」に相当するとした本件審決の対比に誤りはない。 イ引用例2記載の技術的事項を引用発明に適用することについて引用発明はホイールローダに関するものであり,引用例2は油圧ショベル等の建設機械に関するものであるが,引用例2には,建設機械として油圧ショベルに限定する記載はない。 また,油圧ショベルについては,エンジンが作業機を駆動して掘削力を発生させている(甲2)。そうすると,エンジンによって掘削力を発生させるものである点で,ホイールローダも油圧ショベルも変わりはない。 このように,引用発明はホイールローダ,引用例2は油圧ショベル等の建設機械に関するものではあるが,それぞれ,ホイールローダ又は油圧ショベルは例示とされているにすぎず,これらに限定される旨の記載はなく,また,両者は,建設機械の制御技術,とりわけ,掘 圧ショベル等の建設機械に関するものではあるが,それぞれ,ホイールローダ又は油圧ショベルは例示とされているにすぎず,これらに限定される旨の記載はなく,また,両者は,建設機械の制御技術,とりわけ,掘削作業中か否かに応じて作業機に伝達する力を制御する技術で共通している。 さらに,本願明細書(【0132】)において,ホイールローダ以外の他の種類の作業車両,例えば油圧ショベルに適用できることが本願出願当初から記載されて- 18 -おり,また,本願出願当初には特許請求の範囲において作業車両の種類は特定されていなかった(甲3)。このことからも,ホイールローダと油圧ショベルの技術は,殊更に区別されるものではなく,当業者は相互の技術を適宜に参照するのであって,ホイールローダに油圧ショベルの技術の適用を試みることに,格別の困難はない。 ウ動機付けについて原告は,本願発明と引用発明の対象がホイールローダであって,引用例2の油圧ショベルとは作業の実態が異なるので,引用発明に引用例2記載の油圧シャベルの技術を適用することは,動機付けに欠けると主張する。 しかし,引用例1には,掘削作業中か否かに応じて,作業機に伝達する力を調整するため,可変容量型油圧ポンプを制御することが記載されている。 そして,引用例2には,掘削作業中か否かに応じて「エンジンの出力トルクを制御する」ことが開示されており,引用例1及び引用例2が,掘削作業中か否かに応じて作業機に伝達する出力を調整するための制御である点で共通することを勘案すれば,引用発明に,引用例2記載の技術的事項を適用する動機付けが存在する。 よって,当業者にとって,引用発明に,引用例2記載の技術的事項を適用することに困難性はなく,引用発明に,引用例2記載の技術的事項を適用し,「エンジンの上限出力トルクを制 する動機付けが存在する。 よって,当業者にとって,引用発明に,引用例2記載の技術的事項を適用することに困難性はなく,引用発明に,引用例2記載の技術的事項を適用し,「エンジンの上限出力トルクを制御する」ようにし,かつ「掘削が行われていないと判定された場合のエンジンの上限出力トルクカーブが,掘削が行われていると判定された場合におけるエンジンの上限出力トルクカーブよりも低くなるように,エンジンの上限出力トルク制御する」ようにして,相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。 (4) 小括以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて容易に想到することができたものである。 2 結論以上の次第であるから,原告主張の取消事由には理由がなく,原告の請求は棄却- 19 -されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官滝澤孝臣 裁判官髙部眞規子 裁判官齋藤巌- 20 -
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