平成10(ネ)4839 製造販売差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成11年12月8日 東京高等裁判所
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判決文本文21,003 文字)

平成一〇年(ネ)第四八三九号製造販売差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所 平成四年(ワ)第八五三七号)(平成一一年一〇月四日口頭弁論終結)           判       決        控訴人(原審原告)  株式会社エムアンドシーシステム        右代表者代表取締役  【A】        右訴訟代理人弁護士  沖信春彦        同          出縄正人        同          平石孝行        同          保坂美江子        同          辻 哲哉        右補佐人弁理士   【B】        被控訴人(原審被告) 富士通株式会社        右代表者代表取締役  【C】        右訴訟代理人弁護士  植松宏嘉        右補佐人弁理士   【D】           主       文       本件控訴を棄却する。       控訴費用は控訴人の負担とする。           事実及び理由 第一 当事者の求めた判決  一 控訴人   1 原判決を取り消す。   2 被控訴人は、原判決別紙物件目録(但し、一枚目表三行目の「内臓され」 を「内蔵され」に、四枚目表一一行目の「ダンプリスとでは」を「ダンプリストで は」に、五枚目表一行目の「後挿入」を「誤挿入」にそれぞれ改める。)(一)、 (二)、(三)及び(四)記載の物件を製造し、販売し、又は第三者に使用させてはなら ない。   3 被控訴人は控訴人に対し、金一億円及びこれに対する平成四年六月一一日 から支払済みまで年六パーセントの割合による金員を支払え。   4 訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。 5 仮執行宣言  二 被控訴人    主文と同旨 第二 当事者の主張  一 当事者双方の主 六パーセントの割合による金員を支払え。   4 訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。 5 仮執行宣言  二 被控訴人    主文と同旨 第二 当事者の主張  一 当事者双方の主張は、次のとおり加入、訂正し、後記二及び三のとおり当審 における主張を付加するほかは、原判決事実及び理由欄の「第二 事案の概要」及 び「第三 争点に関する当事者の主張」のとおりであるから、これを引用する。   1 原判決八頁末行の「原告」を「甲(原告)」に、同九頁六行目の「被告」 を「乙(被告)」に、それぞれ改める。   2 同一二頁八行目の「前記一3の」とあるのを「前記一4の」に改める。   3 同一三頁三行目の「損害賠償」の次に「として金六億五四〇〇万円の内金 一億円の支払」を加える。   4 同別紙機密情報目録二枚目表一行目の「後挿入」を「誤挿入」に改める。  二 控訴人の主張   1 争点1(被控訴人に本件契約第五条に違反する行為があったか)について    (一) 本件契約は、控訴人が被控訴人に対し、POS端末機製造のために必 要な特許権・実用新案権等の工業所有権(出願中の権利を含む。)その他のノウハ ウを開示し、その使用を導入先(金市舘)に限定して許諾するノウハウの実施許諾 (ライセンス)契約と、製造されたPOS端末機を導入先にのみ限定して販売する ことを許諾する販売許諾契約とから構成される契約である。      この点につき、被控訴人は、本件契約が実施許諾契約ではないとし、ロ イヤリティ支払の合意がないことがそのことを示していると主張するが、本件契約 が、その内容においても、契約書(甲第一号証)の文言からしても、製造・販売先 を金市舘に限定したノウハウ実施許諾(ライセンス)契約であることは明白であ る。また、製造・販売先を金市舘に限定した契約であり、かつ、金市舘は控 ても、契約書(甲第一号証)の文言からしても、製造・販売先 を金市舘に限定したノウハウ実施許諾(ライセンス)契約であることは明白であ る。また、製造・販売先を金市舘に限定した契約であり、かつ、金市舘は控訴人が 直接M&Cカードシステムを販売することができる控訴人の顧客であって、被控訴 人に対し、金市舘に限定した製造販売許諾をする際にも、金市舘にM&Cカードシ ステムの導入ができれば目的を達し、被控訴人から対価を徴収する必要性は実務と してはないので、ロイヤリティ支払の合意がないことも合理性を有するものであ る。    (二) 原判決は、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」 を、公然と知られ、又は公然と実施されている情報だけでなく、公然と知られ、又 は公然と実施されている情報を組み合せることによって容易に想到し得る情報をも 含むものと解したが、それは誤りである。      すなわち、右(一)のとおり、本件契約は、ノウハウの実施許諾(ライセ ンス)契約を含むものであるが、本件契約締結時である昭和六三年当時、ノウハウ 実施許諾契約書の秘密保持条項における公知又は公用の情報の意義に関し、公然と 知られ、又は公然と実施されている情報から容易に想到し得る情報については、そ の推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取扱いがなされて いないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれるとの考え方が一般に存在 していた。したがって、公然と知られ、又は公然と実施されている情報から容易に 想到し得る情報がすべて公知であるとする原判決の判断は誤りである。      また、特許法においては、公知・公用発明(特許法二九条一項)と、か かる発明に基づいて容易に発明することができた発明(同条二項)とが明確に区別 されており、公知文献と公知文献とを単に組み合せたことによって公知 特許法においては、公知・公用発明(特許法二九条一項)と、か かる発明に基づいて容易に発明することができた発明(同条二項)とが明確に区別 されており、公知文献と公知文献とを単に組み合せたことによって公知とされるも のではない。このような明確な「公知」の概念に基づけば、契約当事者間において も、契約書の条項において「公知」と記載した場合には、かかる法概念の下で用い ているものと考えるべきであり、そうすると、公然と知られ、又は実施されている ものに限られ、それから容易に想到し得るものは排斥されているものというべきで ある。      さらに、本件契約五条一項②は、開示を受け、又は知得した後に自己の 責に帰さない事由により、公知又は公用となった情報を秘密保持義務の範囲から除 外しており、公知又は公用の概念が時間的経過を経て変化し得ることを前提として いることが読み取れるが、そうであれば、公知又は公用の意義は、当事者間で明確 に判定できるものに限定されているというべきであり、「容易に想到し得る」とい うような公知の範疇が不明確に拡大するような解釈は、本件契約の当事者間の合理 的意思に反するものである。また、本件契約において、被控訴人は、控訴人から情 報提供を受ける際に、当該機密情報に係るロイヤリティ等の対価の支払を行ってい ないにもかかわらず、POS端末機の販売により大きな利益を得ている。そうする と、無償で開示する控訴人側においては、その有する機密情報の範囲を明確に考え ていたと解するのが自然であり、他方、被控訴人にとっては、公知・公用の範囲 が、現に公然と知られ、又は公然と実施されているものとされても何ら不利益は生 じない。      そして、「公知または公用」の基準となるべき者は一般人であると解す べきである。    (三) 本件情報一ないし一〇についての判断の誤り     ( いるものとされても何ら不利益は生 じない。      そして、「公知または公用」の基準となるべき者は一般人であると解す べきである。    (三) 本件情報一ないし一〇についての判断の誤り     (1) 本件情報一について       原判決は、金市舘で稼働するM&Cカードシステムで使用する磁気カ ード(アミックカード)のフォーマットとして控訴人が被控訴人に開示した内容 (甲第六号証)において、磁気ストライプフォーマットが、カード番号を一二桁目 から二四桁目に、ポイント情報を二六桁目から三七桁目に書き込むというものであ ったと認定し、該認定に基づいて、控訴人が本件情報一を被控訴人に開示したとは 認められないとの判断をした。       しかしながら、磁気ストライプフォーマットに関する開示の内容(甲 第六号証〇八五頁)においては、クレジットカードに採用されている磁気ストライ プフォーマットが前提となっていることが示されており、カード番号(会員番号) を一二桁目から二七桁目に、累計ポイント情報を二八桁目以降にそれぞれ書き込む ことも、フォーマット図には直接明示されていないものの、被控訴人に対し説明さ れ、開示されていたものである。このことは、被控訴人作成の仕様書抜粋(甲第一 四号証)Fー九ー三頁、同Fー一一ー一頁、同Fー八ー一頁に、カード番号が平成 元年一月二五日時点で一六桁から一三桁に変更されたことを示す手書きの書込みが あることからも明らかである(磁気ストライプフォーマットにおいて、カード番号 を一二桁目から書き込む場合、カード番号が一三桁なら二四桁目まで、一六桁なら 二七桁目までに書き込むことになる。)。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (2) 本件情報一の2について       原判決は、クレジットカードの標準化に関する研究報告書で 目までに書き込むことになる。)。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (2) 本件情報一の2について       原判決は、クレジットカードの標準化に関する研究報告書である乙第 一一号証に基づき、磁気カードの磁気ストライプに最新使用年月日を書き込むこと が昭和五三年三月には公知の技術であったと認定し、かつ、最新使用年月日は、原 判決の認定に係る公知のカードポイントシステム(原判決九二頁七行目から九三頁 九行目まで)において、最新更新年月日に他ならないから、本件情報一の2は、本 件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」に当たるとし、本件情報一の 2が、カードポイントシステムに関するものではない他の公知情報から容易に想到 し得ると判断した。       しかしながら、クレジットカードにおける最新使用年月日は、カード 自体の使用年月日であり、カードポイントシステムにおける累計ポイントの更新が 行われた日である最新更新年月日とは、目的、機能を異にするものであるから、こ れを同一とした認定自体が誤りであるのみならず、クレジットカードの標準化に関 する研究報告書である乙第一一号証には、カード番号、累計ポイント及び累計ポイ ントの最新更新年月日の三つの個別情報を書き込むことは記載されておらず、カー ドポイントシステムにおいて、このような各情報を組み合せることについて、小売 業者に損失を与えることなく導入できるかという点まで考慮すれば、一般人やPO S端末機製造販売業者にとって、これを組み合せることが容易に想到し得るものと は到底いえるものでなく、小売業の経験と、営業の試行錯誤という時間とコストを かけた蓄積を有する控訴人において初めて獲得できた情報である。       加えて、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報であ っても、その推 の経験と、営業の試行錯誤という時間とコストを かけた蓄積を有する控訴人において初めて獲得できた情報である。       加えて、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報であ っても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取扱い がなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべきで あって、原判決が、この点の判断を経ずして、漫然と本件情報一の2が、本件契約 第五条一項但書②の「公知または公用の情報」に当たるとしたことも誤りである。 前示のような各情報を組み合せることは、その推考に時間と費用がかかるものであ り、かつ、控訴人は、この組み合せに係る情報一の2の開示に当たっては機密保持 契約を締結しており、企業間では機密として取り扱われていたものである。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (3) 本件情報一の3について       原判決は、クレジットカードの標準化に関する研究報告書である前記 乙第一一号証、銀行のキャッシュディスペンサに関する論稿である乙第二二号証及 び銀行における預金の出し入れを想定した発明に係る公開特許公報である乙第三九 号証の各記載と、前記公知のカードポイントシステムを併せ考えると、本件情報一 の3は、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」に当たるとし、本 件情報一の3が、カードポイントシステムに関するものではない他の公知情報から 容易に想到し得ると判断した。       しかしながら、標準的なクレジットカードの仕様又は銀行取引に係る 公知情報とカードポイントシステムとを結び付けることは、控訴人の有する小売業 の経験と、営業の試行錯誤という時間とコストをかけた蓄積がなければなし得ない ことであり、一般人やPOS端末機製造販売業者にとって、これを結び付けること ステムとを結び付けることは、控訴人の有する小売業 の経験と、営業の試行錯誤という時間とコストをかけた蓄積がなければなし得ない ことであり、一般人やPOS端末機製造販売業者にとって、これを結び付けること が容易に想到し得るものとは到底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報 であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取 扱いがなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべ きところ、このような銀行取引に関する情報とカードポイントシステムとを結び付 けることは、前記のとおり、その推考に時間と費用がかかるものであり、かつ、控 訴人は、かかる結合情報の開示に当たっては機密保持契約を締結しており、企業間 では機密として取り扱われていたものである。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (4) 本件情報二、七及び七の2について       原判決は、銀行のキャッシュディスペンサに関する論稿である乙第一 二号証及び現金自動支払機等、金融機関におけるATM機等に関する発明に係る公 開特許公報である乙第二六号証の各記載と、前記公知のカードポイントシステムを 併せ考慮すると、本件情報二、七及び七の2は、本件契約第五条一項但書②の「公 知または公用の情報」に当たるとし、本件情報二、七及び七の2が、カードポイン トシステムに関するものではない他の公知情報から容易に想到し得ると判断した。       しかしながら、このような銀行取引に係る公知情報とカードポイント システムとを結び付けることは、控訴人の有する小売業の経験と、営業の試行錯誤 という時間とコストをかけた蓄積がなければなし得ないことであり、一般人やPO S端末機製造販売業者にとって、これを結び付けることが テムとを結び付けることは、控訴人の有する小売業の経験と、営業の試行錯誤 という時間とコストをかけた蓄積がなければなし得ないことであり、一般人やPO S端末機製造販売業者にとって、これを結び付けることが容易に想到し得るものと は到底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報 であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取 扱いがなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべ きところ、このような銀行取引に関する情報とカードポイントシステムとを結び付 けることは、前記のとおり、その推考に時間と費用がかかるものであり、かつ、控 訴人は、かかる結合情報の開示に当たっては機密保持契約を締結しており、企業間 では機密として取り扱われていたものである。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (5) 本件情報三及び八について       原判決は、ポイントシステムとは関係のない発明に係る公開特許公報 又は公告に係る特許公報である乙第一三、第一四号証、第三一ないし第三五号証の 各記載と、前記公知のカードポイントシステムを併せ考慮すると、本件情報三及び 八は、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」に当たるとし、本件 情報三及び八が、カードポイントシステムに関するものではない他の公知情報から 容易に想到し得ると判断した。       しかしながら、このような公知情報とカードポイントシステムとを結 び付けることは、一般人やPOS端末機製造販売業者において容易に想到し得るも のとは到底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報 であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取 に想到し得るも のとは到底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報 であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取 扱いがなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべ きところ、前記のようなポイントシステムと関連のない情報とカードポイントシス テムとを有機的に結び付けることは、控訴人の時間と費用とをかけた試行錯誤の結 果として生まれたものであり、かつ、控訴人は、かかる情報の開示に当たっては機 密保持契約を締結しており、企業間では機密として取り扱われていたものである。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (6) 本件情報五及び九について       原判決は、誤操作等を考えると、累計ポイントを購入と関係なく加減 算することができることが必要であることはありふれたものであるとして、かかる 必要性を経験則として認定し、これと、前記公知のカードポイントシステムを併せ 考慮すると、本件情報五及び九は、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用 の情報」に当たるとし、本件情報五及び九が、カードポイントシステムに関するも のではない他の公知情報から容易に想到し得ると判断した。       しかしながら、カードポイントシステムにおいて、購入と関係のない 累計ポイントの加減算は、誤操作の可能性があるから必要なのではなく、従業員の 不正の問題が常につきまとうから、信頼性確保のうえでは、このような加減算をし ないことが原則であるが、顧客へのきめ細かい対応が可能となるシステムとして、 累計ポイントに加減算を行うよう結合することが必要となるのであり、このような 結合は、一般人やPOS端末機製造販売業者において容易に想到し得るものとは到 底いえるものでない。    なるシステムとして、 累計ポイントに加減算を行うよう結合することが必要となるのであり、このような 結合は、一般人やPOS端末機製造販売業者において容易に想到し得るものとは到 底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報 であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取 扱いがなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべ きところ、前記のような累計ポイントに対する加減算は、控訴人が時間と費用をか けて結合させてきたものであり、かつ、控訴人は、かかる情報の開示に当たっては 機密保持契約を締結しており、企業間では機密として取り扱われていたものであ る。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (7) 本件情報六について       原判決は、コンピュータによる情報処理において、バッチ処理とバッ クアップが極めてありふれた技術であると認定し、本件情報六が本件契約第五条一 項但書②の「公知または公用の情報」に当たるとし、本件情報六が、カードポイン トシステムに関するものではない他の公知情報から容易に想到し得ると判断した。       しかしながら、バッチ処理やバックアップ自体が当たり前の技術であ るとしても、それのみでは何時、何をバッチ更新するかという点についての解決は 得られない。右のようなコンピュータ上の技術処理と、売上時、返品処理時、ポイ ント強制処理時、ポイント発券処理時に、カード番号などとともに磁気カードに書 き込んだ累計ポイントをホストコンピュータに送信するということとを結合させる ことは、一般人やPOS端末機製造販売業者において容易に想到し得るものとは到 底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想 タに送信するということとを結合させる ことは、一般人やPOS端末機製造販売業者において容易に想到し得るものとは到 底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報 であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取 扱いがなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべ きところ、前記のようなコンピュータ上の技術処理と、バッチ更新の時期・内容と は、控訴人が時間と費用をかけて結合させてきたものであり、かつ、控訴人は、か かる結合情報の開示に当たっては機密保持契約を締結しており、企業間では機密と して取り扱われていたものである。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。     (8) 本件情報一〇について       原判決は、金融機関が発行する金券類似のスタンプをICカードに記 録するサービスに関する実験報告書である乙第一六号証の記載から、磁気カードに 書き込まれている情報を照会し、照会結果をプリンタでレシート上に印字すること は、昭和六三年三月には公知の技術であったということができ、また、ホストコン ピュータのバックアップ用ポイントファイル情報への照会は、磁気カードに書き込 まれている情報の照会に代わるもので、これと同趣旨のものであって、このこと と、前記公知のカードポイントシステムを併せ考慮すると、本件情報一〇は、本件 契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」に当たるとし、本件情報一〇 が、カードポイントシステムに関するものではない他の公知情報から容易に想到し 得ると判断した。       しかしながら、右のような銀行取引に関連してのみ形成された公知情 報とカードポイントシステムとを結合させることは、一般人やPOS端末機製造販 売業者において容易に想到 到し 得ると判断した。       しかしながら、右のような銀行取引に関連してのみ形成された公知情 報とカードポイントシステムとを結合させることは、一般人やPOS端末機製造販 売業者において容易に想到し得るものとは到底いえるものでない。       のみならず、前記(二)のとおり、公知情報から容易に想到し得る情報 であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取 扱いがなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべ きところ、前記のようなポイントシステムと関連のない情報とカードポイントシス テムとを有機的に結合させることは、控訴人の時間と費用とをかけた試行錯誤の結 果として生まれたものであり、特に屋上屋を重ねるようにも見えて決して当たり前 のことではないバックアップ用ポイントファイル情報への照会・結果の印字を可能 とすることは、その結合が、顧客への洗練された対応ができるシステムとして有機 的に一体となった情報であることの証左である。そして、控訴人は、かかる情報の 開示に当たっては機密保持契約を締結しており、企業間では機密として取り扱われ ていたものである。       したがって、原判決の前記認定判断は誤りである。   2 争点2(被控訴人に本件契約第八条に違反する行為があったか)について     前記1の(一)のとおり、本件契約は、控訴人が被控訴人に対し、POS端 末機製造のために必要な特許権・実用新案権等の工業所有権(出願中の権利を含 む。)その他のノウハウを開示し、その使用を導入先(金市舘)に限定して許諾す るノウハウの実施許諾(ライセンス)契約と、製造されたPOS端末機を導入先に のみ限定して販売することを許諾する販売許諾契約とから構成される契約である。 そして、本件契約第八条は、控訴人・被控訴人間において、右POS端 許諾(ライセンス)契約と、製造されたPOS端末機を導入先に のみ限定して販売することを許諾する販売許諾契約とから構成される契約である。 そして、本件契約第八条は、控訴人・被控訴人間において、右POS端末機製造の ために必要な特許権・実用新案権等の工業所有権の使用を導入先(金市舘)以外に 対しては禁止し、対世的効力をもつ特許権又は実用新案権と同内容の拘束を契約に よりもたせて、これを「出願する権利」と規定し、開示機密情報を含むノウハウを 保護しようとしたものである。     原判決の認定判断は、右の点を看過したものであって、経験則に反する誤 りがあるものである。  三 被控訴人の主張   1 控訴人の主張1に対して    (一) 本件契約がノウハウの実施許諾(ライセンス)契約であるとの主張は 争う。      本件契約は、控訴人が、そのカードポイントシステムであるM&Cカー ドシステムを金市舘に販売するに際し、控訴人自身は本来POSシステムメーカー ではなく、金市舘の使用するPOSシステム上でM&Cカードシステムが稼働する ようにPOSシステムを改造する技術を有していないため、被控訴人に対し、金市 舘の使用するPOSシステムの改造を依頼する趣旨の契約であり、そのために改造 の仕様を被控訴人に示したものである。被控訴人は、本件契約に基づいて控訴人の M&Cカードシステムを自ら販売するものではなく、実施許諾契約に当たらないこ とは明白である。      本件契約において、被控訴人が控訴人に対しロイヤリティの支払をする ことになってはいないが、それは、右の本件契約の趣旨からして当然のことであ る。また、控訴人・被控訴人間にロイヤリティ支払の合意がないことが、本件契約 が実施許諾契約でないことを示している。      本件契約に係る契約書の文言からも本件契約が実施許諾契約であること とであ る。また、控訴人・被控訴人間にロイヤリティ支払の合意がないことが、本件契約 が実施許諾契約でないことを示している。      本件契約に係る契約書の文言からも本件契約が実施許諾契約であること が導けるものではない。    (二) 控訴人は、本件契約がノウハウの実施許諾契約であることを前提とし て、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」についての原判決の判 断を非難するが、ノウハウの実施許諾契約を前提としても、公知・公用情報に関す る原判決の理解は当然のことであり、まして、本件契約がノウハウの実施許諾契約 であるとの主張自体が誤りであるから、この点についての控訴人の主張は全く根拠 がない。    (三) 控訴人は、本件情報一ないし一〇についての原判決の認定判断が誤り であると主張するが、理由がない。      本件情報一については、控訴人の開示の内容(甲第六号証、乙第二五号 証)において、累計ポイント情報が二六桁目から三七桁目に書き込まれるとされて いることは明白であって、控訴人が本件情報一として主張するものには当たらな い。      その余の本件情報に関しても、その内容は公知の技術であり、控訴人の 主張は、公知・公用情報の意義を極端に狭く解することに基づくものであるが、右 (二)のとおり、公知・公用情報に関する控訴人の主張は失当である。   2 控訴人の主張2に対して     控訴人の主張は、本件契約がノウハウの実施許諾契約であることを前提と する点で既に誤りであり、また、本件契約に係る契約書の文言に反することも明ら かであって、その主張を裏付けるものはない。 第三 当裁判所の判断  一 当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないものと判断する。    その理由は、次のとおり加入、訂正し、控訴人の当審における主張に対し後 記二のとおり判断するほかは、原判 い。 第三 当裁判所の判断  一 当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないものと判断する。    その理由は、次のとおり加入、訂正し、控訴人の当審における主張に対し後 記二のとおり判断するほかは、原判決事実及び理由欄の「第四 当裁判所の判断」 と同じであるから、これを引用する。   1 原判決七九頁九行目の「二四桁目に、」の次に「ダミーの二五桁目を置い て、」を加える。   2 同八二頁五行目の「続く二五桁目以降には更新ポイントが書き込まれてい るから、」を「続く二五桁目はダミー、二六桁目以降にはポイント情報が書き込ま れているから、」に改める。   3 同九八頁一行目の「後挿入」を「誤挿入」に改める。  二 控訴人の当審における主張に対する判断   1 争点1(被控訴人に本件契約第五条に違反する行為があったか)について    (一) 控訴人の主張1の(一)、(二)について      本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」に、公然と知ら れ、又は公然と実施されている情報から容易に想到し得る情報が含まれるものと解 すべきこと、また、「公知または公用」の基準となるべき者はPOSシステム又は POS機器の製造販売業者であると解すべきことは前示(原判決七七頁四行目から 七八頁七行目まで)のとおりである。      控訴人は、本件契約につき、控訴人が被控訴人に対し、POS端末機製 造のために必要な特許権・実用新案権等の工業所有権(出願中の権利を含む。)そ の他のノウハウを開示し、その使用を導入先(金市舘)に限定して許諾するノウハ ウの実施許諾(ライセンス)契約と、製造されたPOS端末機を導入先にのみ限定 して販売することを許諾する販売許諾契約とから構成される契約であるとしたうえ で、ノウハウ実施許諾契約書の秘密保持条項においては、除外事由とされる公知・ 公用情報の意義に関 OS端末機を導入先にのみ限定 して販売することを許諾する販売許諾契約とから構成される契約であるとしたうえ で、ノウハウ実施許諾契約書の秘密保持条項においては、除外事由とされる公知・ 公用情報の意義に関し、公然と知られ、又は公然と実施されている情報から容易に 想到し得る情報であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企 業間で秘密の取扱いがなされていないと判断される場合に限って、除外事由たる公 知情報に含まれる旨主張するが、本件契約を、特許権等、いわゆる工業所有権の実 施許諾契約に対応するようなノウハウの実施許諾契約と解することは、次のとおり できないから、控訴人の右主張は、その前提を欠き、その点において既に失当であ る。      すなわち、甲第三〇号証によれば、控訴人と金市舘は、M&Cカードシ ステムの金市舘への導入・稼働に関する契約を締結し、該契約に基づき、控訴人 は、金市舘にシステム・ノウハウたるM&Cカードシステムの非独占的使用を許諾 し、金市舘は、控訴人に対し、導入サポート料として五〇〇〇万円、システム使用 料金として月額四〇〇万円を支払うこととされていることが認められるから、シス テム・ノウハウたるM&Cカードシステムを金市舘に販売(使用許諾)したのが控 訴人であることは明白である。他方、本件契約は、前示(原判決五頁四行目から九 行目の「締結した」まで)のとおり、金市舘が、控訴人のM&Cカードシステムを 導入するに当たって、金市舘の使用するPOS機器上でM&Cカードシステムが稼 働するようにすることを目的として、締結されたものであり、甲第一号証によれ ば、M&Cカードシステムに対応するPOSシステム(本POSシステム)に基づ き、被控訴人がPOS端末機器及びその付随機器(本POS機器)を製造のうえ、 金市舘に販売することを控訴人が認めることが、本件 ば、M&Cカードシステムに対応するPOSシステム(本POSシステム)に基づ き、被控訴人がPOS端末機器及びその付随機器(本POS機器)を製造のうえ、 金市舘に販売することを控訴人が認めることが、本件契約の目的とされていること が認められる。      右事実関係に前掲甲第一号証及び弁論の全趣旨を併せ考えれば、本件契 約は、控訴人が、M&Cカードシステムを金市舘に販売するために、それに不可欠 なM&Cカードシステム対応のPOSシステムが稼働するPOS機器を金市舘に提 供すべく、被控訴人との間で、被控訴人が該POS機器の製造(又は既存のPOS 機器の改造)をしたうえで金市舘に販売することを約し、かつ、被控訴人が該PO S機器の製造ないし改造を行うために必要なM&Cカードシステムの仕様の開示、 及び秘密保持等のこれに関連する事項その他必要な事項を定めたものと認められ、 被控訴人が、その独自の計算により、控訴人の有する何らかのノウハウを実施した 商品を製造販売するために、控訴人が被控訴人に該ノウハウの実施を許諾すること を目的とした契約であると解することはできない。本件契約書(甲第一号証)第一 条の「甲(注、控訴人)は、乙(注、被控訴人)に対し、・・・製造の上株式会社 金市舘に販売をすることを認める。」との記載は、右認定判断を左右するに足りる ものではない。      また、本件契約において、本件契約第五条一項但書②の「公知または公 用の情報」に、公然と知られ、又は公然と実施されている情報から容易に想到し得 る情報が含まれるものと解しても、格別契約当事者の合理的意思に反する結果とな るものとは認められない。  したがって、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」には、公然 と知られ、又は公然と実施されている情報から容易に想到し得る情報が含まれるも のと解すべきである。 るものとは認められない。  したがって、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」には、公然 と知られ、又は公然と実施されている情報から容易に想到し得る情報が含まれるも のと解すべきである。    (二) 控訴人の主張1の(三)について     (1) 控訴人が、被控訴人に対し本件情報一に該当する情報を開示したと認 めることができないことは、前示(右一の1、2の加入訂正後の原判決七八頁九行 目から八四頁八行目まで)のとおりである。       控訴人は、磁気カード(アミックカード)のフォーマットとして控訴 人が被控訴人開示した内容(甲第六号証)のうち、磁気ストライプフォーマットに 関する開示(同号証〇八五頁)において、カード番号(会員番号)を一二桁目から 二七桁目に、累計ポイント情報を二八桁目以降にそれぞれ書き込むことも、フォー マット図には直接明示されていないものの、被控訴人に対し説明され、開示されて いたと主張するが、甲第一四号証の控訴人主張箇所の書込みを斟酌したとしても、 控訴人が被控訴人に対し、磁気ストライプフォーマットに関して、カード番号(会 員番号)を一二桁目から二七桁目に、累計ポイント情報を二八桁目以降にそれぞれ 書き込むことを開示したとの事実を直ちに認めることはできないのみならず、仮に 右の限度で控訴人主張の開示があったとしても、本件情報一の内容をなす累計ポイ ント情報(最新更新年月日がある場合はそれを含む。)を、磁気ストライプ上の二 八桁目から「七〇桁目」(ダンプリストでは六九桁目)までの領域に書き込むこと までを開示した事実を認めるに足りる証拠は全くないから、いずれにせよ、控訴人 が本件情報一に該当する情報を開示したと認めることはできない。     (2) 本件情報一の2が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情 報」に当たるものと認められ ないから、いずれにせよ、控訴人 が本件情報一に該当する情報を開示したと認めることはできない。     (2) 本件情報一の2が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情 報」に当たるものと認められることは、前示(原判決八七頁五行目から九五頁六行 目まで)のとおりである。       控訴人は、乙第一一号証記載のクレジットカードにおける最新使用年 月日がカードポイントシステムにおける累計ポイントの最新更新年月日と目的、機 能を異にするものであり、また、カード番号、累計ポイント及び累計ポイントの最 新更新年月日の三つの個別情報を組み合せることについて、小売業者に損失を与え ることなく導入できるかという点まで考慮すれば、同号証記載の技術と公知のカー ドポイントシステム(原判決九二頁七行目から九三頁九行目まで)とを組み合せる ことが、一般人やPOS端末機製造販売業者にとって、容易に想到し得るものとは いえないと主張するが、カードポイントシステムにおける累計ポイントの最新更新 年月日に相当するものが、クレジットカードにおいては最新使用年月日に当たるこ とは明らかであり、また、同号証記載の技術を公知のカードポイントシステムに適 用することがPOSシステム又はPOS機器の製造販売業者にとって、容易に想到 し得るものではないとする理由については具体性を欠き、控訴人の主張はいずれも 採用することができない。       また、控訴人は、公知情報から容易に想到し得る情報であっても、そ の推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取扱いがなされて いないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべきであることを 前提として、本件情報一の2が、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の 情報」に当たらない旨主張するが、右前提が失当であることは、前示(一)のとおり であ 知の情報に含まれると解すべきであることを 前提として、本件情報一の2が、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の 情報」に当たらない旨主張するが、右前提が失当であることは、前示(一)のとおり である。     (3) 本件情報一の3が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情 報」に当たるものと認められることは、前示(右一の3の訂正後の原判決九五頁九 行目から九八頁三行目まで)のとおりである。       控訴人は、乙第一一、第二二号証記載の技術と公知のカードポイント システムとを結び付けることが、一般人やPOS端末機製造販売業者にとって、容 易に想到し得るものとはいえないと主張するが、POSシステム又はPOS機器の 製造販売業者に関して、その理由とすることは具体性を欠き、右主張を採用するこ とはできない。       また、控訴人は、公知情報から容易に想到し得る情報であっても、そ の推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取扱いがなされて いないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべきであることを 前提として、本件情報一の3が、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の 情報」に当たらない旨主張するが、右前提が失当であることは、前示(一)のとおり である。     (4) 本件情報二、七及び七の2が本件契約第五条一項但書②の「公知また は公用の情報」に当たるものと認められることは、前示(原判決九八頁七行目から 一〇四頁末行まで)のとおりである。       控訴人は、乙第一二、第二六号証記載の技術と公知のカードポイント システムとを結び付けることが、一般人やPOS端末機製造販売業者にとって、容 易に想到し得るものとはいえないと主張し、また、公知情報から容易に想到し得る 情報であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は び付けることが、一般人やPOS端末機製造販売業者にとって、容 易に想到し得るものとはいえないと主張し、また、公知情報から容易に想到し得る 情報であっても、その推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密 の取扱いがなされていないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解 すべきであることを前提として、本件情報二、七及び七の2が、本件契約第五条一 項但書②の「公知または公用の情報」に当たらない旨主張するが、いずれの主張も 採用できないことは、右(3)と同様である。     (5) 本件情報三及び八が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の 情報」に当たるものと認められることは、前示(原判決一〇五頁三行目から一一五 頁六行目まで)のとおりである。       控訴人は、乙第一三、第一四号証、第三一ないし第三五号証記載の各 技術と公知のカードポイントシステムとを結び付けることが、一般人やPOS端末 機製造販売業者にとって、容易に想到し得るものとはいえないと主張し、また、公 知情報から容易に想到し得る情報であっても、その推考に時間と費用を要すること がないか、又は企業間で秘密の取扱いがなされていないと判断される場合に限っ て、公知の情報に含まれると解すべきであることを前提として、本件情報三及び八 が、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」に当たらない旨主張す るが、いずれの主張も採用できないことは、右(3)と同様である。     (6) 本件情報五及び九が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の 情報」に当たるものと認められることは、前示(原判決一一八頁二行目から九行目 まで)のとおりである。       控訴人は、カードポイントシステムにおいて、購入と関係のない累計 ポイントの加減算は、誤操作の可能性があるから必要なのではなく、信頼性確保の 一八頁二行目から九行目 まで)のとおりである。       控訴人は、カードポイントシステムにおいて、購入と関係のない累計 ポイントの加減算は、誤操作の可能性があるから必要なのではなく、信頼性確保の うえでは、このような加減算をしないことが原則であるが、顧客へのきめ細かい対 応が可能となるシステムとして、累計ポイントに加減算を行うよう結合することが 必要となるのであり、このような結合は、一般人やPOS端末機製造販売業者にお いて容易に想到し得るものではないと主張するが、誤操作に対する対処を挙げたこ とが単なる例示であって、控訴人主張のような必要性を排除する趣旨ではないこ と、また、誤操作に対する対処としても購入と関係のない累計ポイントの加減算が 必要であることは、いずれも明らかである。そして、右のような必要性のため、累 計ポイントに購入と関係のない加減算ができるようしておくことは、POSシステ ム又はPOS機器の製造販売業者にとって容易に想到し得るものと解すべきであ り、控訴人の右主張は採用できない。       また、控訴人は、公知情報から容易に想到し得る情報であっても、そ の推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取扱いがなされて いないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべきであるとし て、本件情報五及び九が、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」 に当たらない旨主張するが、右前提自体が失当であることは前示(一)のとおりであ るのみならず、右のような累計ポイントに購入と関係のない加減算ができるようし ておくことは、前示公知のカードポイントシステムそのものにおいても、ありふれ た技術であると認められるから、控訴人の右主張も採用することができない。     (7) 本件情報六が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」 ドポイントシステムそのものにおいても、ありふれ た技術であると認められるから、控訴人の右主張も採用することができない。     (7) 本件情報六が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情報」 に当たるものと認められることは、前示(原判決一一九頁二行目から一二〇頁一行 目まで)のとおりである。       控訴人は、バッチ処理やバックアップのようなコンピュータ上の技術 処理と、売上時、返品処理時、ポイント強制処理時、ポイント発券処理時に、カー ド番号などとともに磁気カードに書き込んだ累計ポイントをホストコンピュータに 送信するということとを結合させることは、一般人やPOS端末機製造販売業者に おいて容易に想到し得るものではないと主張するが、該主張に係るバックアップ処 理の時期や対象となる情報が、カードポイントシステムにおいて、格別のものとは 到底認められず、POSシステム又はPOS機器の製造販売業者にとって容易に想 到し得るものと解すべきであり、控訴人の右主張は採用できない。       また、控訴人は、公知情報から容易に想到し得る情報であっても、そ の推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取扱いがなされて いないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべきであることを 前提として、本件情報六が、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情 報」に当たらない旨主張するが、右前提自体が失当であることは、前示(一)のとお りである。     (8) 本件情報一〇が本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情 報」に当たるものと認められることは、前示(原判決一二〇頁五行目から一二一頁 九行目まで)のとおりである。       控訴人は、乙第一六号証記載の技術と公知のカードポイントシステム とを結合させることが、一般人やPOS端末機製造販売業 、前示(原判決一二〇頁五行目から一二一頁 九行目まで)のとおりである。       控訴人は、乙第一六号証記載の技術と公知のカードポイントシステム とを結合させることが、一般人やPOS端末機製造販売業者にとって、容易に想到 し得るものとはいえないと主張するが、POSシステム又はPOS機器の製造販売 業者に関して、その理由とすることは具体性を欠き、右主張を採用することはでき ない。       また、控訴人は、公知情報から容易に想到し得る情報であっても、そ の推考に時間と費用を要することがないか、又は企業間で秘密の取扱いがなされて いないと判断される場合に限って、公知の情報に含まれると解すべきであることを 前提として、本件情報一〇が、本件契約第五条一項但書②の「公知または公用の情 報」に当たらない旨主張するが、右前提自体が失当であることは、前示(一)のとお りである。なお、この点に関して、控訴人は、バックアップ用ポイントファイル情 報への照会・結果の印字を可能とすることが、格別の意義を有するかのように主張 するが、そのような構成の技術的意義を明らかにする証拠はなく、そうであれば、 右(原判決一二一頁三行目の「また、」から七行目の「ものである。」まで)のと おり、磁気カードに書き込まれている情報の照会に代わるもので、該照会と同趣旨 のものと解するのが相当であり、取り立てて格別のものと認めることはできない。     (9) したがって、控訴人が、本件情報一ないし一〇について、原判決の判 断の誤りと主張する点は、いずれも理由がない。   2 争点2(被控訴人に本件契約第八条に違反する行為があったか)について     控訴人は、本件契約につき、控訴人が被控訴人に対し、POS端末機製造 のために必要な特許権・実用新案権等の工業所有権(出願中の権利を含む。)その 他のノウハウを開示し、そ 為があったか)について     控訴人は、本件契約につき、控訴人が被控訴人に対し、POS端末機製造 のために必要な特許権・実用新案権等の工業所有権(出願中の権利を含む。)その 他のノウハウを開示し、その使用を導入先(金市舘)に限定して許諾するノウハウ の実施許諾(ライセンス)契約と、製造されたPOS端末機を導入先にのみ限定し て販売することを許諾する販売許諾契約とから構成される契約であるとしたうえ で、本件契約八条の趣旨内容に関し、控訴人・被控訴人間において、右POS端末 機製造のために必要な特許権・実用新案権等の工業所有権(出願中の権利を含 む。)の使用を導入先(金市舘)以外に対しては禁止し、対世的効力をもつ特許権 又は実用新案権と同内容の拘束を契約によりもたせて、これを「出願する権利」と 規定し、開示機密情報を含むノウハウを保護しようとしたものであると主張する が、本件契約を、特許権等、いわゆる工業所有権の実施許諾契約に対応するような ノウハウの実施許諾を内容とするものと解することができないことは、前示1の (一)のとおりであるのみならず、本件契約八条の趣旨内容は、前記(原判決一二二 頁四行目から一二三頁五行目まで)のように解されるものであり、この点について の右控訴人の主張、並びに該主張を前提とし、原判決別紙工業所有権出願目録記載 一、二の特許出願及び同三記載の実用新案登録出願が本件契約八条の対象となる旨 の主張は、同条の文言から到底導き得ないものであることが明白である。     したがって、控訴人の右主張は失当である。  三 以上によれば、原判決は正当であって、本件控訴は理由がないから、これを 棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六一条、六七条一項本文を適 用して、主文のとおり判決する。      東京高等裁判所第一三民事部         裁判長裁判官 は理由がないから、これを 棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六一条、六七条一項本文を適 用して、主文のとおり判決する。      東京高等裁判所第一三民事部         裁判長裁判官   田中康久            裁判官   石原直樹            裁判官   清水 節

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