昭和31(あ)1829 外国人登録法違反

裁判年月日・裁判所
昭和33年4月22日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を大阪高等裁判所に差し戻す。          理    由  被告人本人の上告趣意は、採証法則違反をいい事実誤認を主張するに過ぎず上告 適法

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判決文本文1,773 文字)

主    文      原判決を破棄する。      本件を大阪高等裁判所に差し戻す。          理    由  被告人本人の上告趣意は、採証法則違反をいい事実誤認を主張するに過ぎず上告 適法の理由にならない。  職権をもつて調査するに、第一審判決は被告人に犯意があつたことの証明を欠き 公訴事実については犯罪の証明がないとの理由から被告人に対し無罪の言渡をした ところ、原審は第一回公判期日に検察官の控訴趣意に基く弁論とこれに対する弁護 人の意見を聴いただけで弁論を終結し自ら事実の取調をすることなく訟訴記録及び 第一審で取り調べられた証拠のみによつていわゆる書面審理をした結果被告人に対 し犯罪事実を認定しこれに原判示、外国人登録法の罰条を適用して第一審判決を破 棄し被告人を罰金に処する言渡をしたこと記録上明らかである。しかし、本件のよ うに、控訴裁判所が自ら事実の取調をすることなく訴訟記録及び第一審で取り調べ られた証拠のみによるいわゆる書面審理で第一審が犯罪の証明なしとして無罪を言 い渡した判決を破棄し自判によつて有罪判決を言い渡すことは刑訴四〇〇条但書の 許さないところであることは当裁判所の判例とするところである(昭和二六年(あ) 二四三六号同三一年七月一八日大法廷判決、集一〇巻七号一一四七頁)。されば原 判決はこれを破棄しなければ著しく正義に反すること明らかである。  よつて、刑訴四一一条一号、四一三条本文に従い、裁判官垂水克己の少数意見あ るほか裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。  裁判官垂水克己の少数意見は次のとおりである。  私は、原判決は刑訴四〇〇条但書に違反しないからこれを破棄すべきでなく、本 件上告を棄却すべきものと考える。 - 1 -  現行法の控訴審は事後審査審であつて、控訴裁判所は公判廷で双方の弁論を聴い た以上、訴訟記録及び第一 〇〇条但書に違反しないからこれを破棄すべきでなく、本 件上告を棄却すべきものと考える。 - 1 -  現行法の控訴審は事後審査審であつて、控訴裁判所は公判廷で双方の弁論を聴い た以上、訴訟記録及び第一審で証拠とすることができた証拠(刑訴三九四条)のみ により自ら格段の事実の取調をしないで一審の有罪判決を維持し或は本件のような 無罪判決を破棄して有罪判決をすることができるのである。被告人本人に公判廷へ の出頭を命ずるか否か、また自ら事実の取調をするか否かは事件の模様に従つてす る控訴裁判所の判断に任かされ、これをしないで一審無罪を二審有罪に変更する裁 判をしても刑訴法はこれを違法としないのであつて、ただ妥当を欠くか否かの問題 が起りうるのみである。(殊に被告人が公判廷に出頭し、当事者双方事実の取調を 請求しないまま、弁護人が被告人のため弁論したような場合であれば妥当を欠かな いことも明らかな事案は少くない。)論者或は、一審の無罪判決を控訴審が書面審 理のみで有罪に変更する判決をするなら被告人は審級の利益を失い控訴審裁判官に 直接証言や自己の陳述を聴いて貰える利益を奪われ憲法に違反するというかも知れ ないが第一審の全審理が被告人の防禦権を害するところなくなされた以上被告人は 第一審の利益を失わず、また、控訴審で直接証言を聴かなくても必しも常に憲法三 一条、三七条に違反するものとはいえないのである。されば本件上告はこれを棄却 すべきである。  なお、私は、昭和三一年(あ)三一八五号同三三年二月一一日第三小法廷判決中 の私の少数意見をここに引用する。  検察官 安平政吉公判出席   昭和三三年四月二二日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    垂   水   克   己             裁判官    島           保          和三三年四月二二日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    垂   水   克   己             裁判官    島           保             裁判官    河   村   又   介 - 2 -             裁判官    小   林   俊   三 - 3 -

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