- 1 -平成21年(わ)第21号主文被告人3名をそれぞれ禁錮1年に処する。 被告人3名に対し,この裁判が確定した日から2年間それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は株式会社の工作部長として,同工場に設置されたクレーン整備にAB係る事務を掌理し,その整備業務の計画立案,作業指示等の管理を担当する同部生産管理グループを指揮監督するもの,被告人は,同生産管理グループ長としCて,同クレーン整備業務の計画立案,作業指示等を管理し,同作業を担当する同部艤装課第2艤装係整備職場2班の班員らを指揮監督するもの,被告人は,同D整備職場2班の班長として,被告人らの指揮監督のもと,同班班員らを指揮監C督して作業を実施するものであるが(被告人3名の役職及び職務はいずれも当時のもの,平成19年8月24日,神戸市区町丁目番において,同所に。)abcd設置された80T搭形水平引込クレーン(全高約50メートル,全幅約7.8メートル,総重量約673トン,最大吊り上げ荷重80トン)の地上約12メートルに位置するフートステップ上で旋回体を回転させるためのフートステップベアリングの交換工事(以下「本件工事」という)の施工方法を策定するにあたり,。 本件工事は,油圧ジャッキを使用して総重量約333.5トンの旋回体を持ち上げるものであり,その際,旋回体の機械室側とジブ側の重量バランスを保たなければ,旋回体が倒壊する危険があったところ,第1被告人は,本件工事の施工方法の調査を担当するものであるが,本件工D事に関する十分な知識経験がなかったのであるから,クレーン製造メーカー等専門業者に照会するなどして同重量バランスを確実に保持する方法を慎重に調査確認すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,十分 事に関する十分な知識経験がなかったのであるから,クレーン製造メーカー等専門業者に照会するなどして同重量バランスを確実に保持する方法を慎重に調査確認すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,十分な調査を行- 2 -わないまま,別工事の施工に係る取扱説明書の記載を本件工事にも適合するものと誤解し,ジブ先端のフックに荷重せず,ジブの旋回半径を25メートルに設定するにとどまり,同重量バランスを保てない誤った施工方法を適正なものとして,同生産管理グループ担当者を通じて被告人に報告した,C第2被告人は,本件工事の施工方法の立案を担当するものであるが,本件工C事に関する十分な知識経験がなかった上,同社の内規により,本件工事が大規模で工事実績も乏しいことから,生産管理グループ長である被告人が施C工方法等を記載した施工計画書を作成し,工作部長である被告人が開催すAる施工審議会において安全性を検討し,施工方法が適正であることを検討するよう定められていたのであるから,被告人らの本件工事に関する知識経D験を確認し,自ら上記専門業者に照会等をして施工方法を調査し,施工計画書を作成して被告人に施工審議会の開催を促すなどして本件工事の適正なA施工方法を決定すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,これらの措置を講じないまま,報告を受けた被告人の調査した施工方法が適正であるDと軽信し,これを被告人に報告した,A第3被告人は,本件工事施工の承認権者であるが,被告人と同様,本件工AC事に関する十分な知識経験がなかった上,上記のとおり,施工審議会による検討が求められていたのであるから,被告人らの本件工事に関する知識経C験を確認し,上記専門業者への照会等施工方法の調査を指示し,被告人にC施工計画書を作成させて施 のとおり,施工審議会による検討が求められていたのであるから,被告人らの本件工事に関する知識経C験を確認し,上記専門業者への照会等施工方法の調査を指示し,被告人にC施工計画書を作成させて施工審議会を開催するなどして本件工事の適正な施工方法を決定すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,これらの措置を講じないまま,報告を受けた被告人の調査した施工方法が適正であるとD軽信し,本件工事施工を承認した過失の競合により,同月25日午前8時ころ,被告人の指揮命令のもと,同整D備職場2班班員らをして本件工事を開始させ,ジブ先端のフックに荷重せず,旋回体の機械室側とジブ側の重量バランスを保たないまま本件工事を施工させた結- 3 -果,同日午前9時40分ころ,油圧ジャッキを使用して持ち上げた旋回体がバランスを失して同フートステップ上から地表に落下倒壊し,よって,別紙1及び同2記載のとおり,いずれも同クレーン上で作業中の同社従業員(当時55歳)Eほか5名をその場から転落させるなどし,同人ほか2名を骨盤及び右大腿骨等骨折による失血死等により死亡させ,(当時33歳)ほか2名に加療約7日間なFいし3か月間を要する左手不全切断,右下腿骨開放骨折等の傷害を負わせたものである。 (証拠の標目)記載省略(法令の適用)被告人3名の判示各所為は,いずれも,被害者ごとに,刑法211条1項前段に該当するところ,これらは1個の行為が6個の罪名に触れる場合であるから,いずれも同法54条1項前段,10条により1罪として犯情の最も重いに対すE,,る業務上過失致死罪の刑で処断することとし所定刑中いずれも禁錮刑を選択しその所定刑期の範囲内で被告人3名をそれぞれ禁錮1年に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から被告人3名に対し 上過失致死罪の刑で処断することとし所定刑中いずれも禁錮刑を選択しその所定刑期の範囲内で被告人3名をそれぞれ禁錮1年に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から被告人3名に対して2年間それぞれその刑の執行を猶予することとする。 (量刑の理由),,本件は造船工場のクレーン整備担当者であった被告人らの過失の競合により修理作業中のクレーンが倒壊し,作業員3名が死亡し,3名が怪我をした業務上過失致死傷事件であり,まずもって,その結果は重大である。突然の事故により生命を絶たれた3名の無念は察するにあまりあり,一家の支柱である被害者らを失った遺族の悲しみも大きい。傷害を負った者のうち,1名の怪我は左手不全切断等の重いものであり,同人は現在もリハビリを余儀なくされている。 被告人らの過失を見るに,本件工事が,判示重量の旋回体を持ち上げるものであること,本件工場における同種工事は昭和42年以来のものであること等から- 4 -すれば,本件工事に先立ち,慎重な検討や周到な準備が必要であったことは明らかである。しかるに,被告人は,旋回体のバランスを保つための方策につき,D,別工事の施工に係る取扱説明書の記載を本件工事にも適合するものと誤解した上専門業者に問い合わせるなどの検証をすることもなく,上司に本件工事の作業手,。 ,,順を報告したもので軽率のそしりは免れないまた被告人及び被告人はCA本件工事の報告を受け,その概要を把握したにもかかわらず,施工方法の詳細を聴取するなどしてその危険性に思い至ることなく,安全な施工方法の確立した工事であると思い込み,現場の判断を追認して本件工事を報告ないし承認したもの,。 ,であって立案担当者ないし承認権者として役割を果たしていないこのように被告人らの過失はいずれ 方法の確立した工事であると思い込み,現場の判断を追認して本件工事を報告ないし承認したもの,。 ,であって立案担当者ないし承認権者として役割を果たしていないこのように被告人らの過失はいずれも大きい。 以上の事実に鑑みると,被告人3名の刑事責任を軽視することはできない。 しかしながら,他方,死亡した各被害者遺族と勤務先会社との間で示談が成立し,遺族らは被告人らの寛大な処分を望んでいること,傷害を負った被害者のうち2名の怪我は幸い重いとはいえず,同人らは被告人らの寛大な処分を望み,重傷を負った1名も相応の補償を受け,職場復帰していること,本件工事の調査から承認までの期間やその間の被告人らを含む関係者の行動等を見ると,本件事故当時,同社ないし同工場全体の姿勢として,安全確保への取組が十分であったか疑問の余地があるところ,そうだとすると,本件事故の責めを被告人ら個人にのみ負わせるのは必ずしも当を得ないこと,現在では同社において安全確保に向けて改善措置が採られていること,被告人らはいずれも事実を認め,本件後長年勤めた現場部門から離れるなどする中で,一貫して反省の態度を示していること,職場の同僚らが被告人らのこれまでの仕事上の功績や人柄等を評価し,寛刑を求める嘆願書を作成していること,被告人らにいずれも前科前歴がないことなど,被告人らのために酌むべき事情も認められる。 そこで,以上の諸情状を総合考慮し,被告人3名に対しては,それぞれ主文の刑に処した上で,その執行を猶予するのが相当であると判断した(求刑被告人。 - 5 -3名につき,いずれも禁錮1年)平成21年4月22日神戸地方裁判所第2刑事部裁判官五十嵐浩介 年)平成21年4月22日神戸地方裁判所第2刑事部裁判官五十嵐浩介
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