- 1 -主文 1 処分行政庁が平成22年7月5日付けで原告に対してした別紙物件目録1記載の各土地に係る不動産取得税賦課決定(ただし,同年8月5日付けで減免された部分を除く。)を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求主文同旨 2 予備的請求処分行政庁が平成22年8月5日付けで原告に対してした別紙物件目録1記載の各土地に係る不動産取得税減免申請一部不承認処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,社会福祉法人である原告が児童福祉施設建築のために被告から別紙物件目録1記載の各土地(以下「本件従前土地」という。)を購入し,本件従前土地の一部について土地区画整理法に基づく換地処分を受けた後に,換地上に児童福祉施設を建築したところ,処分行政庁は上記土地購入につき地方税法73条の4第1項4号の2の非課税要件を満たさないとして不動産取得税賦課決定をし,これを受けた原告が不動産取得税の全部減免申請及び一部減免申請をしたのに対し,処分行政庁は,被告から購入した本件従前土地の一部が神社用地であることを理由に一部減免を認めたものの,その余の減免は認めなかったため,原告が,主位的に上記一部減免部分を除く不動産取得税賦課決定の取消しを求め,予備的に減免申請一部不承認処分の取消しを求めている事案である。 2 関係法令の定め(1) 不動産取得税の非課税措置 - 2 -不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産所在の道府県において,当該不動産の取得者に課することとされている(地方税法73条の2第1項)。同法73条の4第1項柱書は,道府県は,同項各号に規定する者が不動産をそれぞれ当該各号に掲げる不動産として使用するために取得した場合においては,当該不動産の取得に対しては,不動産 3条の2第1項)。同法73条の4第1項柱書は,道府県は,同項各号に規定する者が不動産をそれぞれ当該各号に掲げる不動産として使用するために取得した場合においては,当該不動産の取得に対しては,不動産取得税を課することができないとしているところ,同項4号の2は,社会福祉法人その他政令で定める者(以下「社会福祉法人等」という。)が児童福祉法7条1項に規定する児童福祉施設の用に供する不動産で政令で定めるものを取得した場合においては,当該不動産の取得に対しては,不動産取得税を課すことができないとしている(以下「本件非課税規定」という。)。ここにいう児童福祉施設の用に供する不動産で政令で定めるものには,社会福祉法人が経営する児童福祉法37条に規定する乳児院や同法41条に規定する児童養護施設の用に供する不動産が含まれる(地方税法施行令36条の8第2項1号(ただし平成21年政令第100号による改正前のもの。以下同じ。))。 (2) 不動産取得税の減免措置地方税法73条の31は,道府県知事は,天災その他特別の事情がある場合において不動産取得税の減免を必要とすると認める者その他特別の事情がある者に限り,当該道府県の条例の定めるところにより,不動産取得税を減免することができると定めている。これを受けた大阪府税条例42条の18第1項は,知事は,①天災その他の災害により滅失又は損かいした不動産に代わるものと認める不動産の取得者(1号),②取得した不動産が,その取得の直後に天災その他の災害により滅失又は損かいした場合における当該不動産の取得者(2号),③上記①,②のほか特別の事情により減免の必要があると認めた不動産の取得者(3号)のうち必要があると認める者に限り,不動産取得税を減免すると定めている(乙1)。さらに大阪府税規則24条の2は,上記特別の事情に のほか特別の事情により減免の必要があると認めた不動産の取得者(3号)のうち必要があると認める者に限り,不動産取得税を減免すると定めている(乙1)。さらに大阪府税規則24条の2は,上記特別の事情により減免の必要があると認める不動産の取得者は, - 3 -下記アからエに掲げる不動産の取得者のうち,知事が特に減免の必要があると認める不動産の取得者とすると定めている(乙2の1)。 記ア公益社団法人又は公益財団法人その他公共的団体が,公益性が高いと認められる事業の用に供する不動産の取得をした場合における当該不動産の取得者イア記載の不動産の取得に準ずると認められる不動産の取得が行われた場合における当該不動産の取得者ウ不動産の取得が,国又は地方公共団体の施策の推進に特に資すると認められる場合における当該不動産の取得者エアないしウのほか,公益上その他特別の理由により減免の必要があると認める不動産の取得者 3 前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,各項掲記の証拠等により認められる事実)(1) 当事者原告は,関西地方及び四国地方において約40に及ぶ社会福祉施設を運営する社会福祉法人である。 (2) 本件取得被告は,平成16年11月頃,「元大阪府立A学園敷地を活用した事業提案公募要領」を公表して,被告所有に係る本件従前土地に児童福祉施設を整備する社会福祉法人を募集した(以下「本件公募」という。)。被告は,本件公募に応募した社会福祉法人の中から原告を売却先として決定した上で,平成17年11月1日,原告との間で本件従前土地及びその地上建物(以下「本件従前建物」といい,これと本件従前土地と併せて「本件従前土地等」という。)に係る府有財産売買契約を締結した。同売買契約においては,原告は,平成22年4月1日までに売買物 及びその地上建物(以下「本件従前建物」といい,これと本件従前土地と併せて「本件従前土地等」という。)に係る府有財産売買契約を締結した。同売買契約においては,原告は,平成22年4月1日までに売買物件を直接児童福祉施設の用途に供し - 4 -なければならない(本件従前建物については,原告において児童福祉施設整備のために解体撤去しなければならない。)との用途指定がされており,また,原告がこれに反した場合等には被告に買戻権が付与されていた。原告は,平成17年11月28日,本件従前土地の所有権を取得し(以下「本件取得」という。),平成19年8月17日,本件従前土地につき平成17年11月28日売買を原因とする所有権移転登記を経た。(甲3,4の1ないし4の6,乙7)なお,本件従前土地のうち,別紙物件目録1記載1の土地は,平成19年10月11日に,別紙物件目録2記載1の土地,東大阪市α×番7の土地及びα×番8の土地に,別紙物件目録1記載3の土地は,同日,α×番4の土地(宅地333.77㎡,以下「本件神社敷地」という。)並びに別紙物件目録2記載6及び7の各土地に,それぞれ分筆された(甲4の1,4の3,6)。 (3) 換地処分等東大阪市長は,平成19年12月21日付けで,原告を共同施行者とし,本件従前土地のうち別紙物件目録2記載の各土地(以下「本件区画整理対象地」という。)を含む一帯に係る「β地区・α地区土地区画整理事業」(以下「本件土地区画整理事業」という。)の施行を認可した(甲6,43)。 原告は,平成20年1月11日付けで,本件区画整理対象地のうち別紙物件目録2記載1,4及び5の各土地につき街区番号5符号1の土地を,同目録記載2及び3の各土地につき街区番号5符号2の土地(以下,街区番号5符号1の土地と併せて「本件仮換地」という。) 地のうち別紙物件目録2記載1,4及び5の各土地につき街区番号5符号1の土地を,同目録記載2及び3の各土地につき街区番号5符号2の土地(以下,街区番号5符号1の土地と併せて「本件仮換地」という。)を,それぞれ仮換地として指定する旨の仮換地処分(以下「本件仮換地処分」という。)の通知を受けた(甲5)。 さらに,原告は,平成21年4月15日付けで,別紙物件目録2記載1ないし5の各土地につき,それぞれ別紙物件目録3記載1ないし5の各土地 - 5 -(以下「本件換地」という。)を換地として指定し,別紙物件目録2記載6及び7の各土地は金銭で清算する旨の換地処分(以下「本件換地処分」という。)の通知を受けた(甲6)。 (4) 児童福祉施設の建築等原告は,本件換地上に乳児院B及び児童養護施設Cとして用いられる建物(以下「本件建物」という。)を建築し,平成22年4月1日,上記乳児院及び児童養護施設を開設した(甲1)。 (5) 本件賦課決定処分大阪府税条例2条の2,大阪府税規則2条により大阪府知事から権限の委任を受けた処分行政庁は,平成22年7月5日付けで,原告に対し,本件取得については本件非課税規定は適用されないものとして,不動産取得税387万0700円の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。 (6) 減免申請等原告は,平成22年7月27日付けで,処分行政庁に対し,大阪府税条例42条の18第1項3号に基づき,本件従前土地に係る不動産取得税の免除を申請し,併せて,別紙物件目録1記載3の土地に係る不動産取得税の減免を申請した。処分行政庁は,同年8月5日,原告に対し,別紙物件目録1記載3の土地のうち平成19年10月11日分筆後の本件神社敷地については地域住民が利用する神社用敷地の取得であることを理由として,不動産取得 た。処分行政庁は,同年8月5日,原告に対し,別紙物件目録1記載3の土地のうち平成19年10月11日分筆後の本件神社敷地については地域住民が利用する神社用敷地の取得であることを理由として,不動産取得税17万2200円を減免したが,その余の部分を不承認とした(以下,「本件不承認処分」という。)。 (7) 不服申立手続等原告は,大阪府知事に対し,平成22年9月2日に本件賦課決定処分について,同月27日に本件不承認処分について,それぞれ審査請求をしたが,大阪府知事は,同年11月18日,各審査請求を棄却する各裁決をした。 - 6 -原告は,平成23年4月21日,本訴を提起した(当裁判所に顕著な事実)。 4 争点(1) 本件非課税規定の適用の有無(本件賦課決定処分の違法性)(2) 本件不承認処分の違法性 5 当事者の主張(1) 争点(1)(本件非課税規定の適用の有無(本件賦課決定処分の違法性))について(原告の主張)ア主位的主張(不動産が現実に非課税用途に供されたことは本件非課税規定の要件とはならないこと)租税法規においては,租税法律主義ないし課税要件明確主義の精神から,要件を規定する法令等の文言にできるだけ忠実に,厳格な文理解釈がされなければならない。 地方税法73条の4第1項柱書の「当該各号に掲げる不動産として使用するために取得した場合」については,不動産の取得時において当該不動産を非課税用途に使用する目的を有していること(以下「主観的要件」という。)が必要であることは文言に忠実な解釈であるが,さらに取得後に当該不動産を非課税用途に現実に供したこと(以下「客観的要件」という。)を付加するといった解釈を,地方税法73条の4第1項柱書の文言の有する語義及び文脈から導き出すことは不可能である。 仮に,不動産 該不動産を非課税用途に現実に供したこと(以下「客観的要件」という。)を付加するといった解釈を,地方税法73条の4第1項柱書の文言の有する語義及び文脈から導き出すことは不可能である。 仮に,不動産取得税の本質に立ち戻ってみるにしても,不動産取得税は不動産の移転(取得)に関する事実に着目して課されるべきものであって,取得後の使用・収益・処分の利益に着目して課されるべきものではない以上,不動産取得税の課税・非課税に関する判断は,不動産の取得時の事情に着目して判断されるべきであり,取得後の使用実態に着目して課税・非 - 7 -課税の判断をすることは,不動産取得税の本質に反するものである。 被告は,不動産の取得時の事情のみに着目して判断する場合には租税回避の弊害が生じるおそれがある旨を主張する。しかし,本件非課税規定において,取得後の転用・転売・放置等の事案を捕捉する文言がないのは,立法者が不動産取得税の本質論を踏まえて不動産取得時において要件を判断すべきであると考えたか,あるいは単なる立法の不備にとどまるといわざるを得ないのであって,いずれにせよ,租税回避の弊害については立法によって解決を図るほかない。 本件では,原告は,本件取得時において,児童福祉施設を建築する目的で本件従前土地を取得したのであるから,本件非課税規定の適用がある。 イ第1予備的主張(仮換地ないし換地の使用形態をも考慮すべきこと)土地区画整理法上,従前土地について有する使用又は収益に関する権利と同じ権利が仮換地について付与され(同法99条1項),また,従前土地と換地が同一土地とみなされる(同法104条1項)ことに照らすと,本件非課税規定の適用に当たっては少なくとも従前土地と仮換地ないし換地の使用態様を加味して一体的に判断することが土地区画整理法の法的効果に整合 一土地とみなされる(同法104条1項)ことに照らすと,本件非課税規定の適用に当たっては少なくとも従前土地と仮換地ないし換地の使用態様を加味して一体的に判断することが土地区画整理法の法的効果に整合的である。 そして,非課税用途を装って土地を取得した後,仮換地や換地を他の用途に転用し,あるいは転売するといった租税回避も考えられるところ,かかる租税回避の阻止のためには,上記のとおり従前土地と仮換地ないし換地の使用態様を加味して一体的に判断すれば足りるのであって,何ら租税回避目的を有していない者が仮換地ないし換地を非課税用途に供した場合にまで不動産取得税を課すことになれば,地方税法73条の4第1項各号が定めた政策目的を阻害することになる。 したがって,仮に,本件非課税規定につき,被告の主張するような実際に非課税用途に使用したことを要するという客観的要件を読み込む解釈が - 8 -許容されるとしても,不動産の取得後に当該不動産につき土地区画整理法上の仮換地処分ないし換地処分がされた場合には,仮換地ないし換地において非課税用途に供した事実が認められるのであれば,客観的要件を充足すると判断すべきである。 本件において,原告は,本件換地処分後に本件換地上に児童福祉施設を建築したのであるから,本件非課税規定の適用がある。 ウ第2予備的主張(平成19年最判の定立した規範が本件にも適用される結果,原告は本件非課税規定の適用を受けることができること)相続財産たる宅地につき,相続開始前に土地区画整理法に基づく仮換地指定がされ,相続開始の直前においては更地になっていた場合において,相続税の課税価格の計算の特例を定める租税特別措置法(平成11年法律第9号による改正前のもの。以下「措置法」という。)69条の3が適用されるかが問題となった事案について 地になっていた場合において,相続税の課税価格の計算の特例を定める租税特別措置法(平成11年法律第9号による改正前のもの。以下「措置法」という。)69条の3が適用されるかが問題となった事案について,最高裁判所は,相続開始の直前においては従前土地は更地となり,仮換地もいまだ居住の用に供されてはいなかったものであるが,それは公共事業である本件事業における仮換地指定により両土地の使用収益が共に禁止された結果,やむを得ずそのような状況に立たされたためであるから,相続開始ないし相続税申告の時点において,被相続人又は上告人らが本件仮換地を居住の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がない限り,従前土地は,措置法69条の3にいう「相続の開始の直前において・・・居住の用に供されていた宅地」に当たると解するのが相当である旨を判示した(最高裁平成17年(行ヒ)第91号同19年1月23日第三小法廷判決・裁判集民事223号53頁(以下「平成19年最判」という。))。 平成19年最判と本件とは,①土地区画整理法上の仮換地指定がされたことにより従前土地について使用収益が禁止され,仮換地についても使用収益が禁止された点,②従前土地の使用態様について着目した法令(特例 - 9 -規定ないし非課税規定)の適用の有無が争点である点,③従前土地の使用態様のみ着目すると当該法令(特例規定ないし非課税規定)の要件に該当しないことになる点において共通しており,平成19年最判の趣旨を本件に及ぼすことを否定すべき実質的理由は何ら存在しないことをも踏まえると,平成19年最判の定立した規範と同様に,本件仮換地について児童福祉施設の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がない限り,本件非課税規定の適用を受けることができるというべきである。 そして,原告は 判の定立した規範と同様に,本件仮換地について児童福祉施設の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がない限り,本件非課税規定の適用を受けることができるというべきである。 そして,原告は,本件従前土地に乳児院及び児童養護施設を建築することを計画していたところ,本件仮換地処分を受け,本件従前土地が使用できなくなったのに伴い,本件仮換地上に乳児院及び児童養護施設を建築する計画を進めたのであるから,本件仮換地について児童福祉施設の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がなく,本件非課税規定の適用を受けることができる。 なお,平成19年最判と同様にやむを得ない事情が存することという要件が必要であると解したとしても,本件においては,既存道路では本件従前建物を解体し,児童福祉施設を建築するのに必要となる工事用車両が出入りするための幅員が確保できず,別の進入路を取り付けるためには地権者の同意が得られなかったところ,地元地権者や自治会から土地区画整理事業に関する強い要望を受けたことをきっかけに,同事業に参画することにより工事用車両進入路の問題を解消することができ,他方,同事業に参画しなければ工事用車両の進入路は確保できず,ひいては児童福祉施設を建築する現実的な可能性はなかったというような事情があるのであるから,本件従前土地上に児童福祉施設を新設し,運営利用しなかったことについてやむを得ない事情があったというべきである。 したがって,平成19年最判で定立された規範をあてはめた結果においても,本件取得につき本件非課税規定が適用されるべきである。 - 10 -(被告の主張)ア主位的主張に対する反論(不動産が現実に非課税用途に供されたという客観的要件が本件非課税規定の要件であること)(ア) 不動産取得税は,不動産の取 である。 - 10 -(被告の主張)ア主位的主張に対する反論(不動産が現実に非課税用途に供されたという客観的要件が本件非課税規定の要件であること)(ア) 不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産所在の道府県において,当該不動産の取得者に課することとされており,その取得者には不動産取得税が課せられることが原則である。その上で,不動産取得税における非課税規定は,一定の政策目的の実現に資することを目的として税負担の公平を犠牲として設けられる措置であるから,限定的に適用されるべきものである。 本件非課税規定は,租税の誘引的機能を活用することにより,児童福祉施設の整備という政策目的の実現に資することを目的として,税負担の公平を犠牲にし,社会福祉法人等が取得する不動産が児童福祉法7条1項に規定する児童福祉施設の用に供される場合に例外的に不動産取得税を非課税とするものとして設けられたものである。 このような地方税法の趣旨に照らすと,本件非課税規定の適用は,不動産取得時において,当該不動産を非課税用途に使用する目的を有するだけでは足らず,当該不動産に外形的に児童福祉施設を用途とする建物等が完成するのみならず,実際に児童福祉施設の用に供される場合にのみ認められるべきであり,実際にその用に供されなかった場合にも非課税とすることは不動産取得税の趣旨に反し,できないというべきである。 仮に,原告の主張どおり,専ら不動産の取得時の事情のみに着目して本件非課税規定の適否を判断するとすれば,不動産の取得の当事者が当初から当該不動産を非課税用途に使用する目的を有していないにもかかわらず,当該用途に使用する旨の外観を作出しさえすれば,本件非課税規定の適用を受けることが可能となり,不正な手段によって本件非課税規定の適用を受ける事例が続出する 使用する目的を有していないにもかかわらず,当該用途に使用する旨の外観を作出しさえすれば,本件非課税規定の適用を受けることが可能となり,不正な手段によって本件非課税規定の適用を受ける事例が続出するという弊害が生じるおそれがあり, - 11 -原告の主張は失当である。 (イ) 地方税法73条の4第1項は,柱書と各号をもって構成されるほか,同項各号については地方税法施行令及び地方税法施行規則に委任していることから,上記柱書の「当該各号に掲げる不動産として使用するために」との文言については,地方税法施行令及び地方税法施行規則の各規定の趣旨を踏まえて解釈をすべきである。地方税法73条の4第1項各号の規定を通覧すると,①不動産を取得する者が,公社,公団等の公共的性格を有する団体であり,かつ,②その取得する不動産が直接これらの団体の本来の事業の用に供されるものである場合に不動産取得税が非課税となることを定め,同法の委任を受けた地方税法施行令や地方税法施行規則において非課税となる用途要件を具体的に定めている。そして,かかる用途要件を各々の個別法令により定めるものと規定されていることからすると,不動産取得税の非課税規定については「使用するために」という主観的要件の充足を,「非課税用途に実際に供する」という客観的事実によって判断するものというべきである。 そして,地方税法73条の4第1項4号の2は児童福祉法7条1項に規定する児童福祉施設の用に供する不動産で政令で定めるものとしており,これを受けた地方税法施行令36条の8第2項1号は,当該不動産について,社会福祉法人等が経営する児童福祉法37条に規定する乳児院等の用に供する不動産と規定している。これらの規定を踏まえると,本件非課税規定の趣旨は用途要件を実際に充足する施設の整備を目的とする不動産 ,社会福祉法人等が経営する児童福祉法37条に規定する乳児院等の用に供する不動産と規定している。これらの規定を踏まえると,本件非課税規定の趣旨は用途要件を実際に充足する施設の整備を目的とする不動産の取得に対して,不動産取得税の軽減を図ることにより,その整備を容易ならしめ,もって社会福祉の実現を図るものと解すべきであるから,本件非課税規定の主観的要件の充足については,社会福祉法人等が取得した不動産を実際にその用に供したとの客観的事実によって判断すべきものと解される。 - 12 -ところで,非課税用途に供する不動産として使用するために取得する場合の多くは,不動産の取得者たる事業主体が非課税用途に供する内容を含む事業計画等に基づき事業を実施していくものであって,この場合,土地を先行して取得し,その後当該土地の上に建築される施設が非課税用途に供されて初めて当該土地が非課税用途に供する不動産と認定されることとなるが,当該土地が実際に非課税用途に係る要件を充足するか否かという点についてまで,事業計画等では確認することができないから,先行して行われた土地の取得時点で直ちに非課税規定の適用の可否を判断するならば,事業計画を策定していたとしても,当該事業計画の存在だけでは非課税用途に供するという主観的意思の確認ができたとはいえないため,不動産取得税を課さざるを得なくなり,本来,本件非課税規定が適用されるべき事例に対してその適用ができなくなるという不合理な結果が生じかねない。したがって,将来的に非課税用途に供する意思を有するという主観的要件の充足について,後に明らかとなる客観的な事実により確認できる場合に非課税とすることが非課税規定の合理的な解釈であるというべきである。 (ウ) 本件では,原告は本件従前土地について児童福祉施設の用途に供した て,後に明らかとなる客観的な事実により確認できる場合に非課税とすることが非課税規定の合理的な解釈であるというべきである。 (ウ) 本件では,原告は本件従前土地について児童福祉施設の用途に供した事実はないから,本件従前土地の取得(本件取得)について本件非課税規定を適用する余地はない。 イ第1予備的主張に対する反論(仮換地ないし換地の使用形態を加味して一体的に判断することはできないこと)原告は,土地区画整理法上の仮換地処分ないし換地処分がされた場合には,仮換地ないし換地の使用態様も加味して一体的に客観的要件を判断すべきであると主張する。 しかし,地方税法は73条の6第3項で,土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得に対しては不動産取得税を課することができないと定めてい - 13 -ることからすると,換地の取得も同法73条の2第1項にいう「不動産の取得」に該当するのであって,従前土地とそれに対応する換地とはあくまで別個の土地として取り扱っていることは明らかである。そして,従前土地と仮換地ないし換地とを一体的に判断すべきとの明文の規定がない以上,原告主張のような解釈は失当である。 ウ第2予備的主張に対する反論(平成19年最判の事案と本件とを同視することはできないこと)原告は,平成19年最判の規範が本件にも適用されると主張する。しかし,平成19年最判は,相続税法の特例である措置法69条の3の適用の可否が問題となった事案であるところ,相続税法及び措置法のうち相続税法の特則を定める部分には土地区画整理事業との関係について何ら規定は置かれていない。これに対し,地方税法の不動産取得税に関する部分には土地区画整理事業との関係について73条の2第10項,73条の6第3項及び73条の29の規定が置かれている上,不動産取得税は流通税の性 れていない。これに対し,地方税法の不動産取得税に関する部分には土地区画整理事業との関係について73条の2第10項,73条の6第3項及び73条の29の規定が置かれている上,不動産取得税は流通税の性質を有し,財産税に分類される相続税とはその性質を異にすることに照らせば,本件に平成19年最判の規範が適用されるとの原告の主張は失当である。 (2) 争点(2)(本件不承認処分の違法性)について(原告の主張)原告は,土地区画整理法に基づく仮換地処分によって,法律上,本件従前土地の使用収益が禁止され,災害による不動産の物理的滅失と同じく,納税者の意思に基づかない事由によって土地の使用収益が不可能になっていることに鑑みると,少なくとも大阪府税条例42条の18第1項3号にいう「特別の事情に因り減免の必要があると認めた不動産の取得者」に当たる。 この点,被告は,同号を受けて定められている大阪府税規則24条の2は「公益上その他特別の理由により減免の必要があると認める不動産の取得 - 14 -者」(4号)と定めているところ,ここにいう「公益上その他特別の理由」とは,課税対象に対し課税しないことが直接公益を増進し,若しくは課税することが直接公益を阻害する場合又はそれに準じる場合,をいうものと解すべき旨を主張する。被告がこのような限定解釈をする法的根拠は不明であるが,仮に上記解釈によるとしても,原告は不当な租税回避目的を有しておらず,正当に児童福祉施設を運営しようと企図し,現実に児童福祉施設の運営を開始しているのであるから,まさに課税対象に対し課税しないことが直接公益を増進し,又は課税することが直接公益を阻害する場合に当たり,大阪府税規則24条の2第4号に該当する。なお,被告は,原告が本件土地区画整理事業の共同施行者の一人であることをもって,公益 とが直接公益を増進し,又は課税することが直接公益を阻害する場合に当たり,大阪府税規則24条の2第4号に該当する。なお,被告は,原告が本件土地区画整理事業の共同施行者の一人であることをもって,公益上その他特別の理由が認められない旨指摘するが,本件土地区画整理事業に参画することが地域住民全体の共同利益に資するものであるから,直接公益を増進した場合に当たる。 また,原告は社会福祉法人であるから,公共的団体が公益性が高いと認められる事業の用に供する不動産の取得をした場合における当該不動産の取得者(同条1号)にも該当する。 (被告の主張)地方税法73条の31を受けた大阪府税条例42条の18第1項による不動産取得税の減免措置は,本来,徴収の猶予,納期限の延長等によっても到底納税が困難であると認められるような担税力の脆弱な者に対する個別的な救済として設けられているものである。 また,同項3号で規定されている「特別の事情に因り減免の必要があると認めた不動産の取得者」については,大阪府税規則24条の2第4号において「公益上その他特別の理由により減免の必要があると認める不動産の取得者」と規定されているところ,ここにいう「公益上その他特別の理由」とは,課税対象に対し課税しないことが直接公益を増進し,若しくは課税すること - 15 -が直接公益を阻害する場合又はそれに準じる場合をいうものと解すべきである。また,この公益上の必要の有無の判断に当たっては,税負担の公平の見地からみても減免を相当とすべき程度の強い公益性があるものに限って認められるべきである。 本件土地区画整理事業は原告自らが共同施行者の一人となる個人施行であり,原告を含む共同施行者が仮換地の指定を行っているから,原告の意思に基づかない事由によって本件従前土地の使用収益が不可能とな 。 本件土地区画整理事業は原告自らが共同施行者の一人となる個人施行であり,原告を含む共同施行者が仮換地の指定を行っているから,原告の意思に基づかない事由によって本件従前土地の使用収益が不可能となったものとはいえず,災害による不動産の物理的滅失と同様に取り扱うことはできないから「公益上その他特別の理由」があるとはいえない。 なお,原告は大阪府税規則24条の2第1号に該当する旨を主張するが,原告は本件従前土地を児童福祉施設の用途に供していないのであるから,原告の主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件非課税規定の適用の有無(本件賦課決定処分の違法性))について(1) 本件非課税規定の趣旨不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産の取得者に課するものであり(地方税法73条の2第1項),取得者及び取得事由を問わず,不動産を取得した事実が存在する以上,そこに担税力を見出して課税するのが原則である。一方で,同法73条の3ないし73条の7は,その取得者,取得目的等に着目して様々な非課税措置を定めている。このうち同法73条の4第1項は,同項各号に規定する者が不動産をそれぞれ当該各号に掲げる不動産として使用するために取得した場合を非課税事由としているところ,同項各号の定めを通覧すると,いずれも不動産を取得する者が公社,公団その他の公共的性格を有する団体であり,かつ,その取得する不動産が直接これらの団体の本来の事業の用に供さ - 16 -れることを要件としているものといえ,このような場合には当該不動産が公益を目的とする用途に供されると考えられることから,同項は,そのような場合に,政策的に不動産取得税を非課税とする趣旨であると解される。本件非課税規定についても,社会福祉法人等が児童福祉法7条1項に規定する児童 る用途に供されると考えられることから,同項は,そのような場合に,政策的に不動産取得税を非課税とする趣旨であると解される。本件非課税規定についても,社会福祉法人等が児童福祉法7条1項に規定する児童福祉施設の用に供する不動産で政令で定めるものとして使用するために当該不動産を取得した場合(社会福祉法人が不動産を乳児院ないし児童養護施設として使用するために取得した場合も含まれる。地方税法施行令36条の8第2項1号参照)は非課税とする旨定められているところ,その趣旨は,上記のような地方税法73条の4第1項が不動産取得税を非課税とする趣旨と何ら変わるところがない。 (2) 本件非課税規定の要件等ア本件非課税規定を定める地方税法73条の4第1項4号の2,地方税法施行令36条の8第2項の文言上,当該不動産の取得後,取得者たる社会福祉法人等が現実に非課税用途に用いたことが非課税の要件となる旨は明記されていない(なお,同施行令36条の8第2項において,「用に供する不動産」と規定されているが,同文言によって,現実に用いられたことを要することが明確にされているものということはできない。)ところ,このように当該不動産が現実に非課税用途に用いられたことが非課税の要件とされていると解釈できるかどうかが問題となる。 被告は,児童福祉施設等の整備を目的とする不動産の取得に対して,不動産取得税の軽減を図ることにより,その整備を容易にし,もって社会福祉の実現を図るという本件非課税規定の趣旨に照らすと,本件非課税規定が適用されるには,社会福祉法人等が取得した不動産を実際に児童福祉施設等の整備の用に供することが必要である旨を主張する。しかしながら,政策目的の実現を重視するのであれば,不動産の - 17 -取得時に課税関係を確定させるのではなく,当該政策目的に 際に児童福祉施設等の整備の用に供することが必要である旨を主張する。しかしながら,政策目的の実現を重視するのであれば,不動産の - 17 -取得時に課税関係を確定させるのではなく,当該政策目的に適う不動産の取得について不動産取得税の徴収を猶予し,現実に一定期間内に当該不動産の取得者が当該不動産を当該政策目的に適う方法で利用した場合に不動産取得税の免除をするという制度を採用することも十分に考えられる(現に,不動産取得税については,地方税法73条の27の3ないし73条の27の6において徴収猶予及び免除という制度が採用されている。)。そして,用途による不動産取得税の非課税を定めた地方税法73条の4について,固定資産税との対比から,不動産取得税においても直ちに非課税用途に供されないときは一定の期間徴収猶予を行うこととする制度を導入すべきものと考えられるとの指摘がある(甲18)にもかかわらず,同条の枠組みに根本的な改正がされていないことに鑑みると,立法者は同条の非課税規定については,非課税用途に供するために不動産を取得したことが真実であるのであれば,その後当該不動産が現実に非課税用途に供されることがなかったとしても,なお非課税とすべきであると判断したとみる余地もある。 したがって,政策目的によるという本件非課税規定の趣旨から直ちに,当該不動産の取得者が現実に非課税用途に当該不動産を供したことが非課税要件として必要であることが導き出されるとはいえない。 また,被告は,政策目的による非課税規定はみだりに拡張解釈をすべきではなく,限定的に解釈をすべきであると主張する。確かに,政策目的による非課税規定を安易に拡張解釈すると,納税者間に不公平を招きかねないことに照らすと,かかる非課税規定については,納税者間の公平を確保する観点からみだりに拡張解釈 あると主張する。確かに,政策目的による非課税規定を安易に拡張解釈すると,納税者間に不公平を招きかねないことに照らすと,かかる非課税規定については,納税者間の公平を確保する観点からみだりに拡張解釈をすべきではなく,厳格な解釈及び運用がされるべきことは被告指摘のとおりである。しかし,非課税規定について,条文の文言にない要件を付加することは,上記のような厳格な解釈及び運用ということはできず,納税者の予測 - 18 -可能性を著しく害し,法的安定性を損ねるものであって,租税法律主義に反するものとして原則として許されないというほかない。 以上に照らせば,本件非課税規定においては,社会福祉法人等が,同規定の定める非課税用途(児童福祉法7条1項に規定する児童福祉施設の用に供する不動産で,乳児院や児童養護施設等地方税法施行令36条の8第2項に定める施設の用に供するもの)に使用する目的を有していること(主観的要件)は必要であるが,当該不動産取得後に当該不動産を現実に非課税用途に供したこと(客観的要件)は,その要件とされていないものと解するのが相当である。 イもっとも,本件非課税規定の適否に当たり,当該不動産の取得時の事情のみで取得目的を認定するとすれば,真実は当該不動産を非課税用途に用いる意思がないにもかかわらず,かかる意思があるものと仮装して,不動産取得税の課税を免れるという弊害が生じかねないことは被告の指摘するとおりである。また,被告は,不動産の取得時点で,直ちに本件非課税規定の適用の可否を判断するならば,事業計画だけでは非課税用途に供するという主観的意思の確認ができたとはいえないため,課税せざるを得なくなり,かえって不合理な結果を招くこととなるから,将来的に非課税用途に供する意思を有するという主観的要件の充足について,後に明らかと いう主観的意思の確認ができたとはいえないため,課税せざるを得なくなり,かえって不合理な結果を招くこととなるから,将来的に非課税用途に供する意思を有するという主観的要件の充足について,後に明らかとなる客観的事実により確認できる場合に非課税とすることが本件非課税規定の合理的な解釈である旨を主張している。 ここで,当該不動産の取得が非課税用途に用いられるか否かについては,課税庁が,当該不動産の取得に係る契約書,事業計画書,当該不動産の取得者の財産状況等の諸般の事情を総合した事実認定により決せられるべきものであって,当該不動産の取得者が非課税用途に供する目的を有していると課税庁に説明していることや当該不動産の取 - 19 -得に係る契約書に非課税用途に供する旨の取得目的が記載されていることによって,課税庁において当該不動産の取得が非課税用途に供されるとの認定を必ずしなければならないものではないことは明らかである。そして,納税者間の公平の観点から,非課税要件の存在については厳格に審査がされるべきところ,当該不動産取得者による非課税要件該当性の説明等に疑義があり,非課税要件該当性について直ちに認定することができない場合には,不動産取得税の賦課の決定を保留し,不動産取得後に現実に取得者が非課税用途に供したことの有無をはじめとする取得後の事情を考慮して,非課税要件該当性を認定することも許容されると考えられる。すなわち,本件非課税規定において非課税用途に供するため不動産を取得したか否かについては,当該不動産の取得に係る契約書,事業計画書,当該不動産の取得者の財産状況等不動産取得までに生じた事情のほか,当該不動産が非課税用途に現実に供されたか否か,仮に当該不動産が非課税用途に供されなかった場合にはその経緯や理由などの諸般の事情を踏まえて,認 の取得者の財産状況等不動産取得までに生じた事情のほか,当該不動産が非課税用途に現実に供されたか否か,仮に当該不動産が非課税用途に供されなかった場合にはその経緯や理由などの諸般の事情を踏まえて,認定されるべきものと解される。この点,原告は,不動産取得税は不動産の移転に関する事実に着目して課税されるべきものであって,取得後の使用・収益・処分の利益に着目して課されるべきものではない以上,不動産取得税の課税・非課税に関する判断は,不動産の取得時の事情に着目して判断されるべきであって,取得後の使用実態に着目して課税・非課税の判断をすることは,不動産取得税の本質に反するものである旨を主張する。しかし,不動産の取得目的は取得者の主観面に関わる事情であり,その認定には困難を伴うことも考えられる上に,政策目的の非課税規定の適用に当たっては厳格な審査が必要であることをも踏まえると,不動産の取得目的を認定するに当たって,取得後の事情を考慮することがおよそ許されないものということはできない。 - 20 -このように解すると,社会福祉法人等による当該不動産の取得後,当該不動産が非課税用途に現実に供されなかった場合には,当該不動産の取得時においても,当該不動産を非課税用途に使用する目的を有していなかったことが事実上推認されるのが通常と解されるところであって,被告が懸念するような弊害のおそれは相当程度軽減されるものといえる。 なお,本件非課税規定の適否に当たって認定すべきはあくまでも当該不動産取得における非課税用途に使用する目的の有無であって,これを取得後の事情も加味しつつ判断するというにすぎないから,被告の主張が,当該不動産の取得者が後発的な事情によりやむを得ず当該土地を非課税用途に供しなかったような事案についても,本件非課税規定はおよそ適用され 事情も加味しつつ判断するというにすぎないから,被告の主張が,当該不動産の取得者が後発的な事情によりやむを得ず当該土地を非課税用途に供しなかったような事案についても,本件非課税規定はおよそ適用されないというのであれば,本件非課税規定の文言から離れた解釈であって採るを得ないものというべきである。 (3) 本件取得の目的について被告は,本件公募に対する原告の応募について,原告の社会福祉法人としての適格性並びに施設整備計画,運営計画,援助計画,資金計画及び地元市,地元住民等対応計画の妥当性などを検討して(乙7),原告を本件従前土地の売却先として決定した(前記前提事実(2))というのであるから,原告の提案する児童福祉施設の整備計画の実現性についても特段の問題がないと判断したと推認できる。次に,本件従前土地等の売買契約では,原告が平成22年4月1日までに本件従前土地を直接児童福祉施設の用途に供さなければならず,これに違反した場合等には被告に買戻権が付与されていた(前記前提事実(2))。また,原告は,本件取得後も,関係地権者等と本件従前建物の解体及び児童福祉施設の建築に必要となる工事用車両の進入路確保のための折衝を継続していたところ,関係地権者から本件土地区画整理事業への参画を提案され,同事業へ参画すれば工事用車両の進入路を確保することができるため,原告 - 21 -はこれに応じたものと認められる(甲35の1,37ないし40)。本件仮換地処分によって,原告は仮換地の指定を受けたため,別紙物件目録2記載1ないし5の各土地について使用収益が禁止され(土地区画整理法99条1項),他方,本件仮換地についても,換地処分の公告がされる日までその使用が原則として禁止された(甲5,弁論の全趣旨)。 そして,原告は,本件換地上に実際に本件建物を建築し,本 (土地区画整理法99条1項),他方,本件仮換地についても,換地処分の公告がされる日までその使用が原則として禁止された(甲5,弁論の全趣旨)。 そして,原告は,本件換地上に実際に本件建物を建築し,本件建物を乳児院及び児童養護施設として使用しているところ(前記前提事実(4)),被告は,本件従前土地等の売買契約において有する買戻権を行使しておらず(弁論の全趣旨),本件従前土地等の売買契約に付された条件に違反しているとは取り扱っていないものと推認できる。したがって,原告が本件従前土地に本件建物を建築しなかったのは,工事用車両の進入路確保のために本件土地区画整理事業に参画し,その後の仮換地処分によって本件従前土地の大半を占める別紙物件目録2記載1ないし5の各土地の使用を禁止されたためであって,やむを得ない事情があったということができる(なお,原告が本件土地区画整理事業の共同施行者であったことは,この判断を左右しない。)。 以上に照らせば,原告は,本件従前土地上には本件建物を建築しなかったとしても,本件従前土地等の取得時において,本件神社敷地を除く本件従前土地を乳児院及び児童養護施設の用に供するという意思を有していたと優に認められる(なお,大阪府知事も本件賦課決定処分に対する裁決において,原告が本件取得時に児童福祉施設の用途に供するために本件従前土地を取得したことを認めている(甲12)。)。したがって,本件神社敷地を除く本件従前土地の取得について,本件非課税規定の適用があるといえるから,本件非課税規定の適用がないとしてされた本件賦課決定処分(ただし,平成22年8月5日付けで減免された部分を除く。)は違法であり,取消しを免れない。 - 22 - 2 よって,その余の点を論ずるまでもなく原告の主位的請求は理由があるからこれを認容することと 主文 よって,その余の点を論ずるまでもなく原告の主位的請求は理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文の通り判決する。 理由 平成22年8月5日付けで減免された部分を除く。)は違法であり,取消しを免れない。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官田中健治 裁判官尾河吉久 裁判官長橋正憲
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