令和2(行ケ)10003 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年6月28日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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令和3年6月28日判決言渡令和2年(行ケ)第10003号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和3年4月19日判決 原告高砂工業株式会社 訴訟代理人弁護士小野寺良文同佐 々 木奏同平田憲人同位田陽平訴訟代理人弁理士大塚康徳同大塚康弘同木村秀二 被告株式会社IHI 被告株式会社IHI機械システム 被告ら訴訟代理人弁護士牧野知彦同加治梓子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2018-800151号事件について令和元年12月4日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等被告らは,発明の名称を「真空洗浄装置および真空洗浄方法」とする発明に係る特許(特許第6043888号。以下「本件特許」という。)の特許権者である。本件特許の請求項1~5に係る発明についての特許出願は,平成24年(2012年)11月20日を国際出願日(優先権主張平成23年(2011年)11月25日)とする特願2013-545937号(以下「原々々出願」という。)の一部を平成27年(2015年)2月6日に新たな特許出願とし(特願2015-22618号,原々出願),更にその一部 年)11月25日)とする特願2013-545937号(以下「原々々出願」という。)の一部を平成27年(2015年)2月6日に新たな特許出願とし(特願2015-22618号,原々出願),更にその一部を平成28年(2016年)7月20日に新たな特許出願とし(特願2016-142767号,以下「原出願」という。),更にその一部を平成28年7月26日に新たな特許出願としたもの(特願2016-146784号)であり,平成28年11月18日に本件特許の設定登録(請求項の数5)がされたものである。(なお,本件特許の特許請求の範囲,明細書及び図面は,平成28年7月26日の出願からその後の登録まで変更はない。以下,本件特許の特許請求の範囲を「本件特許請求の範囲」,明細書を「本件特許明細書」といい,本件特許請求の範囲,本件特許明細書及び図面を併せて「本件特許明細書等」という。)原告(請求人)は,平成30年12月19日,特許庁に対し,本件特許(請求項1~5の発明に係る特許)につき無効審判請求をし(無効2018-800151号),特許庁は,令和元年12月4日,結論を「本件審判の請求は,成り立たない。審判費用は,請求人の負担とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,令和元年12月13日に原告に送達された。 原告は,令和2年1月10日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起し た。 2 特許請求の範囲の記載本件特許請求の範囲の請求項1~5の記載は,以下のとおりである(以下,各請求項記載の発明は,請求項の番号に応じて,例えば請求項1に係る発明を「本件特許発明1」などという。各構成要件の記号は本件審決により付されたものであり,記号の付加について当事者間に争いはない。甲1)(本件審決3~4頁)。 【請求項1】(本件 ば請求項1に係る発明を「本件特許発明1」などという。各構成要件の記号は本件審決により付されたものであり,記号の付加について当事者間に争いはない。甲1)(本件審決3~4頁)。 【請求項1】(本件特許発明1)A 真空ポンプと,B 石油系溶剤の蒸気を生成する蒸気生成手段と,C 前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワークを洗浄する洗浄室と,D 前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持される凝縮室と,E 前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段と,F 前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させ,または,その連通を遮断する開閉バルブと,を備え,G 前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後,前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させるH ことを特徴とする真空洗浄装置。 【請求項2】(本件特許発明2)I 前記温度保持手段は,前記凝縮室の温度を前記石油系溶剤の凝縮点以下に保持することを特徴とする請求項1記載の真空洗浄装置。 【請求項3】(本件特許発明3)J 前記洗浄室から前記凝縮室に導かれて凝縮した石油系溶剤を,前記凝縮室 から前記蒸気生成手段に導く回収手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の真空洗浄装置。 【請求項4】(本件特許発明4)K 前記洗浄室に接続され,前記石油系溶剤が貯留されるとともに当該石油系溶剤にワークを浸漬可能な浸漬室をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の真空洗浄装置。 【請求項5】(本件特許発明5)L 真空ポンプを用いることにより,ワークが搬入された洗浄室および凝縮室を減圧する工程と, らに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の真空洗浄装置。 【請求項5】(本件特許発明5)L 真空ポンプを用いることにより,ワークが搬入された洗浄室および凝縮室を減圧する工程と,M 石油系溶剤の蒸気を生成し,当該蒸気を減圧下にある前記洗浄室に供給して前記ワークを洗浄する工程と,N 減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,O 前記洗浄室において前記ワークを洗浄した後,開閉バルブを開弁することにより前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程と,P を含む真空洗浄方法。 3 本件審決の理由の要旨⑴ 無効理由本件審決において原告(請求人)が主張した無効理由は,次のとおりである(本件審決3~4頁)。 ア無効理由1本件特許発明1,2,3,5は,甲10に記載された発明を主引例とし,甲11~14に記載されるような周知技術との組み合わせにより,その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものであ る。 本件特許発明4は,甲10に記載された発明を主引例とし,甲11~14に記載されるような周知技術,及び甲13,甲15,甲16の1,甲17に記載されるような周知技術との組み合わせにより,その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。 イ無効理由2本件特許発明1,2,3,5は,甲18に記載された発明を 特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。 イ無効理由2本件特許発明1,2,3,5は,甲18に記載された発明を主引例とし,甲11~14に記載されるような周知技術との組み合わせにより,その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。 本件特許発明4は,甲18に記載された発明を主引例とし,甲11~14に記載されるような周知技術,及び甲13,甲15,甲16の1,甲17に記載されるような周知技術との組み合わせにより,その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。 ウ無効理由3本件特許出願は特許法44条1項の規定に違反するから,その出願日は遡及せず,現実の出願日である平成28年7月26日となる結果,本件特許発明1~5は原々々出願が国際公開された甲7に記載された発明であって,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効 とすべきものであり,又は甲7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。 エ無効理由4本件特許は,本件特許発明1~5について,発明 定により特許を受けることができないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。 エ無効理由4本件特許は,本件特許発明1~5について,発明の詳細な説明の記載が,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないため,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項4号に該当し,無効とすべきものである。 オ無効理由5本件特許は,本件特許発明1~5が発明の詳細な説明に記載したものでないため,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないものであり,その発明に係る特許は,特許法123条1項4号に該当し,無効とすべきものである。 ⑵ 主引用例に記載された発明の認定ア甲10記載の発明甲10には,次の発明が記載されている(次の発明は,それぞれ本件特許発明1~5に対応するものである。本件審決63~64頁)(当事者間に争いがない。)。 (ア) 甲10発明1バキュームポンプ14と,洗浄液7を蒸気化する蒸気発生部4と,前記蒸気発生部4との連通状態で,前記バキュームポンプ14が作動して減圧され,この減圧によって前記洗浄液7の沸点が低下して前記蒸気発生部4で発生した洗浄蒸気が流動し,被洗浄物5と接触して凝縮す る事により減圧蒸気洗浄が行われる蒸気洗浄部3と,前記減圧蒸気洗浄が行われる際,前記蒸気発生部4と前記蒸気洗浄部3とともに,前記バキュームポンプ14により減圧され,また,乾燥処理を行う際,前記蒸気洗浄部3とともに,前記バキュームポンプ14により減圧され,前記蒸気洗浄部3内に残留していた洗浄蒸気が移動し,凝縮液化する凝縮器15と,冷却水が流通するとともに,前 ,乾燥処理を行う際,前記蒸気洗浄部3とともに,前記バキュームポンプ14により減圧され,前記蒸気洗浄部3内に残留していた洗浄蒸気が移動し,凝縮液化する凝縮器15と,冷却水が流通するとともに,前記凝縮器15の内部に挿通され,前記凝縮器15に導入された洗浄蒸気を凝縮可能にする冷却パイプ9と,前記凝縮器15と前記蒸気洗浄部3との間に介在する第1電磁弁17と,を備え,洗浄蒸気が前記蒸気洗浄部3に流動し,前記被洗浄物5を減圧蒸気洗浄した後,前記バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して,前記蒸気洗浄部3内を急速に減圧することにより前記被洗浄物5に付着した前記洗浄液7を急速に乾燥させ,その際,前記蒸気洗浄部3内に残留していた洗浄蒸気が,前記第1電磁弁17を介して前記凝縮器15に移動し,凝縮液化する洗浄装置。 (イ) 甲10発明2前記冷却パイプ9の温度は,前記冷却パイプ9が挿通された前記凝縮器15に導入された洗浄蒸気を凝縮可能なものである甲10発明1の洗浄装置。 (ウ) 甲10発明3前記蒸気洗浄部3から前記凝縮器15に導入されて凝縮された凝縮液を,前記凝縮器15から第2電磁弁35を介して前記蒸気発生部4に移送する甲10発明2の洗浄装置。 (エ) 甲10発明4 前記蒸気洗浄部3に,前記洗浄液7を充填した洗浄液槽20から前記洗浄液7を導入して,前記被洗浄物5の浸漬洗浄処理を行う甲10発明1,甲10発明2又は甲10発明3の洗浄装置。 (オ) 甲10発明5蒸気発生部4と蒸気洗浄部3との連通状態でバキュームポンプ14を作動させて,被洗浄物5が載置台6に載置された蒸気洗浄部3を,第1電磁弁17及び凝縮器15を介して減圧する工程と,洗浄液7を蒸気化し,洗浄蒸気が減圧の状態の前記蒸気洗浄部 でバキュームポンプ14を作動させて,被洗浄物5が載置台6に載置された蒸気洗浄部3を,第1電磁弁17及び凝縮器15を介して減圧する工程と,洗浄液7を蒸気化し,洗浄蒸気が減圧の状態の前記蒸気洗浄部3に流動して前記被洗浄物5を減圧蒸気洗浄する工程と,凝縮器15の内部に挿通された冷却パイプ9に冷却水を流通させる工程と,洗浄蒸気が前記蒸気洗浄部3に流動し,前記被洗浄物5を減圧蒸気洗浄した後,前記バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して,前記蒸気洗浄部3内を急速に減圧することにより前記被洗浄物5に付着した前記洗浄液7を急速に乾燥させ,その際,前記蒸気洗浄部3内に残留していた洗浄蒸気が,前記第1電磁弁17を介して前記凝縮器15に移動し,凝縮液化する工程と,を含む洗浄方法。 イ甲18記載の発明甲18には,次の発明が記載されている(次の発明は,それぞれ本件特許発明1~5に対応するものである。本件審決73~74頁)(当事者間に争いがない。)。 (ア) 甲18発明1真空ポンプ26及び真空ポンプ36と,溶剤が貯蔵されており,ヒータ60が起動されて前記溶剤の蒸気を発生させる蒸留タンク58と, 前記真空ポンプ26により負のゲージ圧が印加され,前記蒸留タンク58内の溶剤の蒸気が流入され物品20を洗浄する室12と,前記真空ポンプ36が作動し,前記室12内の蒸気が引き出される際,蒸気を凝縮する凝縮器34と,前記凝縮器34に冷却剤を供給するのに使用される冷却器ユニット48と,前記凝縮器34と前記室12との間に介在するバルブ32と,を備え,溶剤の蒸気が前記室12に流入し,前記物品20を洗浄した後,前記バルブ32が開放した状態で,前記真空ポンプ36を作動させ,前記室12内の蒸気が引き出されて前 との間に介在するバルブ32と,を備え,溶剤の蒸気が前記室12に流入し,前記物品20を洗浄した後,前記バルブ32が開放した状態で,前記真空ポンプ36を作動させ,前記室12内の蒸気が引き出されて前記物品20を乾燥させ,蒸気を前記凝縮器34で凝縮させる改良型密閉回路溶剤洗浄システム。 (イ) 甲18発明2前記冷却器ユニット48が供給する前記冷却剤の温度は,前記冷却剤が供給される前記凝縮器34に流入する蒸気を凝縮可能なものである甲18発明1の改良型密閉回路溶剤洗浄システム。 (ウ) 甲18発明3前記室12内の蒸気が引き出されて前記凝縮器34で凝縮した溶剤が,保管タンク38へ送達され,それから清浄な溶剤が再利用のためバルブ42,バルブ72を通って前記蒸留タンク58へ戻される甲18発明2の改良型密閉回路溶剤洗浄システム。 (エ) 甲18発明4溶剤を前記室12に充填して,液体洗浄のため物品20を水面下に置く甲18発明1,甲18発明2又は甲18発明3の改良型密閉回路溶剤洗浄システム。 (オ) 甲18発明5 真空ポンプ26を作動させ,物品20が支持体22に載置された室12に負のゲージ圧を印加する工程と,溶剤の蒸気を発生させ,当該蒸気を前記室12に流入させ前記物品20を洗浄する工程と,冷却器ユニット48が凝縮器34に冷却剤を供給する工程と,溶剤の蒸気が前記室12に流入し,前記物品20を洗浄した後,前記バルブ32が開放した状態で,真空ポンプ36を作動させ,前記室12内の蒸気が引き出されて前記物品20を乾燥させ,蒸気を前記凝縮器34で凝縮させる工程と,を含む改良型密閉回路溶剤洗浄方法。 ⑶ 本件特許発明1~5と主引用例に記載された発明の対比ア本件特許発明1~5と甲10発明1~5の対比 燥させ,蒸気を前記凝縮器34で凝縮させる工程と,を含む改良型密閉回路溶剤洗浄方法。 ⑶ 本件特許発明1~5と主引用例に記載された発明の対比ア本件特許発明1~5と甲10発明1~5の対比(ア) 本件特許発明1と甲10発明1との対比(本件審決81頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点1-1]真空ポンプと,溶剤の蒸気を生成する蒸気生成手段と,前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワークを洗浄する洗浄室と,前記真空ポンプによって減圧される凝縮室と,前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段と,前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させ,または,その連通を遮断する開閉バルブと,を備え,前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後,前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させた状態でワークを乾燥させる真空洗浄装置。 b 相違点(a) [相違点1-1](当事者間に争いがない。)溶剤について,本件特許発明1は「石油系溶剤」であるのに対し,甲10発明1の洗浄液7は石油系のものであるか不明である点。 (b) [相違点1-2](相違点1-2の存在については当事者間に争いがある。)ワークの乾燥について,本件特許発明1は「当該減圧の状態が保持される」凝縮室を備え,開閉バルブによって洗浄室を「前記凝縮室と連通させて」乾燥させているのに対し,甲10発明1は,バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して被洗浄物5に付着した洗浄液7を乾燥させており,第1電磁弁17によって蒸気洗浄部3を減圧の状態が保持された凝縮器15と連通させて乾燥させているとはいえない点 プ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して被洗浄物5に付着した洗浄液7を乾燥させており,第1電磁弁17によって蒸気洗浄部3を減圧の状態が保持された凝縮器15と連通させて乾燥させているとはいえない点。 (イ) 本件特許発明2と甲10発明2との対比(本件審決85頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点1-1](前記(ア)a)[一致点1-2]「前記温度保持手段は,前記凝縮室の温度を前記溶剤の凝縮点以下に保持する」点。 b 相違点[相違点1-1],[相違点1-2](前記(ア)b(a),(b))(ウ) 本件特許発明3と甲10発明3との対比(本件審決85~86頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点1-1],[一致点1-2](前記(ア)a,(イ)a)[一致点1-3]「前記洗浄室から前記凝縮室に導かれて凝縮した前記溶剤を,前記凝 縮室から前記蒸気生成手段に導く回収手段をさらに備える」点。 b 相違点[相違点1-1],[相違点1-2](前記(ア)b(a),(b))(エ) 本件特許発明4と甲10発明4との対比(本件審決86頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点1-1],[一致点1-2],[一致点1-3](前記(ア)a,(イ)a,(ウ)a)[一致点1-4]「前記溶剤が貯留されるとともに当該溶剤にワークを浸漬可能」である点。 b 相違点(a) [相違点1-1],[相違点1-2](前記(ア)b(a),(b))(b) [相違点1-3](当事者間に争いがない。)ワークの浸漬について,本件特許発明4は「前記洗浄室に接続され」た「浸漬室をさらに備える」のに対し,甲10発明4は,蒸気洗浄部3に洗浄液7を充填して浸漬させる点。 (オ) 本件特許発明5と甲1 ワークの浸漬について,本件特許発明4は「前記洗浄室に接続され」た「浸漬室をさらに備える」のに対し,甲10発明4は,蒸気洗浄部3に洗浄液7を充填して浸漬させる点。 (オ) 本件特許発明5と甲10発明5との対比(本件審決89頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点1-5]真空ポンプを用いることにより,ワークが搬入された洗浄室および凝縮室を減圧する工程と,溶剤の蒸気を生成し,当該蒸気を減圧下にある前記洗浄室に供給して前記ワークを洗浄する工程と,前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,前記洗浄室において前記ワークを洗浄した後,開閉バルブが開弁され前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と 連通させた状態でワークを乾燥させる工程と,を含む真空洗浄方法。 b 相違点(a) [相違点1-4](当事者間に争いがない。)溶剤について,本件特許発明5は「石油系溶剤」であるのに対し,甲10発明5の洗浄液7は石油系のものであるか不明である点。 (b) [相違点1-5](相違点1-5の存在については当事者間に争いがある。)ワークの乾燥について,本件特許発明5は「減圧下にある」凝縮室を洗浄室よりも低い温度に保持する工程を備え,「開閉バルブを開弁することにより」洗浄室を「前記凝縮室と連通させて」乾燥させているのに対し,甲10発明5は,バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して被洗浄物5に付着した洗浄液7を乾燥させており,第1電磁弁17を開弁することにより蒸気洗浄部3を減圧下にある凝縮器15と連通させて乾燥させているとはいえない点。 イ本件特許発明1~5と甲18発明1~5の対比(ア) 本件特許発明1と甲18発明1との対比(本件審決92~93頁) 部3を減圧下にある凝縮器15と連通させて乾燥させているとはいえない点。 イ本件特許発明1~5と甲18発明1~5の対比(ア) 本件特許発明1と甲18発明1との対比(本件審決92~93頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点2-1]真空ポンプと,溶剤の蒸気を生成する蒸気生成手段と,前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワークを洗浄する洗浄室と,前記真空ポンプによって減圧される凝縮室と,前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段と,前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させ,または,その連通を遮断す る開閉バルブと,を備え,前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後,前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させた状態でワークを乾燥させる真空洗浄装置。 b 相違点(a) [相違点2-1](当事者間に争いがない。)溶剤について,本件特許発明1は「石油系溶剤」であるのに対し,甲18発明1の溶剤は石油系のものであるか不明である点。 (b) [相違点2-2](相違点2-2の存在については当事者間に争いがある。)ワークの乾燥について,本件特許発明1は「当該減圧の状態が保持される」凝縮室を備え,開閉バルブによって洗浄室を「前記凝縮室と連通させて」乾燥させているのに対し,甲18発明1は,バルブ32が開放した状態で,真空ポンプ36を作動させ,室12内の蒸気が引き出されて物品20を乾燥させており,バルブ32によって室12を減圧の状態が保持された凝縮器34と連通させて乾燥させているとはいえない点。 (イ) 本件特許発明2と甲18発明2との対比(本件審決96頁) 品20を乾燥させており,バルブ32によって室12を減圧の状態が保持された凝縮器34と連通させて乾燥させているとはいえない点。 (イ) 本件特許発明2と甲18発明2との対比(本件審決96頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点2-1](前記(ア)a)[一致点2-2]「前記温度保持手段は,前記凝縮室の温度を前記溶剤の凝縮点以下に保持する」点。 b 相違点[相違点2-1],[相違点2-2](前記(ア)b(a),(b))(ウ) 本件特許発明3と甲18発明3との対比(本件審決97頁) a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点2-1],[一致点2-2](前記(ア)a,(イ)a)[一致点2-3]「前記洗浄室から前記凝縮室に導かれて凝縮した前記溶剤を,前記凝縮室から前記蒸気生成手段に導く回収手段をさらに備える」点。 b 相違点[相違点2-1],[相違点2-2](前記(ア)b(a),(b))(エ) 本件特許発明4と甲18発明4との対比(本件審決98頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点2-1],[一致点2-2],[一致点2-3](前記(ア)a,(イ)a,(ウ)a)[一致点2-4]「前記溶剤が貯留されるとともに当該溶剤にワークを浸漬可能」である点。 b 相違点(a) [相違点2-1],[相違点2-2](前記(ア)b(a),(b))(b) [相違点2-3](当事者間に争いがない。)ワークの浸漬について,本件特許発明4は「前記洗浄室に接続され」た「浸漬室をさらに備える」のに対し,甲18発明4は,室12に溶剤を充填して浸漬させる点。 (オ) 本件特許発明5と甲18発明5との対比(本件審決100~101頁)a 一致点(当事者間に争いがない。) らに備える」のに対し,甲18発明4は,室12に溶剤を充填して浸漬させる点。 (オ) 本件特許発明5と甲18発明5との対比(本件審決100~101頁)a 一致点(当事者間に争いがない。)[一致点2-5]真空ポンプを用いることにより,ワークが搬入された洗浄室を減圧する工程と, 溶剤の蒸気を生成し,当該蒸気を減圧下にある前記洗浄室に供給して前記ワークを洗浄する工程と,前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,前記洗浄室において前記ワークを洗浄した後,開閉バルブが開弁され前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させた状態でワークを乾燥させる工程と,を含む真空洗浄方法。 b 相違点(a) [相違点2-4](当事者間に争いがない。)溶剤について,本件特許発明5は「石油系溶剤」であるのに対し,甲18発明5の溶剤は石油系のものであるか不明である点。 (b) [相違点2-5](相違点2-5の存在については当事者間に争いがある。)ワークの乾燥について,本件特許発明5は「凝縮室」を減圧する工程と,「減圧下にある」凝縮室を洗浄室よりも低い温度に保持する工程を備え,「開閉バルブを開弁することにより」洗浄室を「前記凝縮室と連通させて」乾燥させているのに対し,甲18発明5は,真空ポンプ36を作動させ,室12内の蒸気が引き出されて物品20を乾燥させており,バルブ32を開弁することにより室12を減圧下にある凝縮器34と連通させて乾燥させているとはいえない点。 ⑷ 無効理由についての本件審決の判断の要旨ア無効理由1について(ア) 本件特許発明1について(本件審決82~84頁)本件特許発明1の相違点1-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから いての本件審決の判断の要旨ア無効理由1について(ア) 本件特許発明1について(本件審決82~84頁)本件特許発明1の相違点1-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明1は,甲10発明1と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (イ) 本件特許発明2について(本件審決85頁) 本件特許発明2の相違点1-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明2は,甲10発明2と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (ウ) 本件特許発明3について(本件審決86頁)本件特許発明3の相違点1-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明3は,甲10発明3と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (エ) 本件特許発明4について(本件審決86~87頁)本件特許発明4の相違点1-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明4は,甲10発明4と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (オ) 本件特許発明5について(本件審決89~90頁)本件特許発明5の相違点1-5に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明5は,甲10発明5と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (カ) 無効理由の成否本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったから,本件特許発明1~5に係る特許は無効とすべきものではない。 イ無効理由2について(ア) 本件特許発明1について(本件審決93~96頁)本件特許発明1の相違点2-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明1は はない。 イ無効理由2について(ア) 本件特許発明1について(本件審決93~96頁)本件特許発明1の相違点2-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明1は,甲18発明1と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (イ) 本件特許発明2について(本件審決96~97頁)本件特許発明2の相違点2-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明2は,甲18発明2と甲11~ 17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (ウ) 本件特許発明3について(本件審決97頁)本件特許発明3の相違点2-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明3は,甲18発明3と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (エ) 本件特許発明4について(本件審決98~99頁)本件特許発明4の相違点2-2に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明4は,甲18発明4と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (オ) 本件特許発明5について(本件審決101~102頁)本件特許発明5の相違点2-5に係る構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明5は,甲18発明5と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかった。 (カ) 無効理由の成否本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったから,本件特許発明1~5に係る特許は無効とすべきものではない。 ウ無効理由3について(本件審決55頁)本件特許明細書等に記載された事項は,原出願の願書に最初に添付された特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,原出願の願書に最初に添付された特許請求の範 ウ無効理由3について(本件審決55頁)本件特許明細書等に記載された事項は,原出願の願書に最初に添付された特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,原出願の願書に最初に添付された特許請求の範囲,明細書を「原出願の当初の特許請求の範囲」,「原出願の当初明細書」といい,これらを図面と併せて「原出願の当初明細書等」という。甲6)に記載された事項の範囲内のものであり,その他,本件特許出願が,分割要件を満たさない理由は見当たらず,本件特許出願は分割要件を満たさないものとはいえない。 本件特許出願は分割要件を満たすものであるから,特許法44条2項により,本件特許出願は原々々出願の時(平成24年11月20日(優先権 主張平成23年11月25日))にしたものとみなされ,原々々出願の公開公報である甲7(平成25年(2013年)5月30日国際公開)に記載された発明は特許法29条1項3号の発明に該当せず,本件特許は無効ではなく,無効理由3は理由がない。 エ無効理由4について(本件審決108頁)本件特許発明1~5について,発明の詳細な説明の記載は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものであり,特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものであるから,本件特許は無効ではなく,無効理由4は理由がない。 オ無効理由5について(本件審決113頁)本件特許発明1~5は,発明の詳細な説明に記載したものであり,特許法36条6項1号に規定する要件を満たすものであるから,無効理由5は理由がない。 4 原告主張の取消事由⑴ 取消事由1(甲10を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由1関係))ア取消事由1-1相違点の認定の誤り及び原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤りイ取消事由1-2 消事由⑴ 取消事由1(甲10を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由1関係))ア取消事由1-1相違点の認定の誤り及び原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤りイ取消事由1-2本件審決が認定する相違点(相違点1-2,1-5)の存在を前提とする進歩性判断の誤り⑵ 取消事由2(甲18を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由2関係))ア取消事由2-1相違点の認定の誤り及び原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤りイ取消事由2-2 本件審決が認定する相違点(相違点2-2,2-5)の存在を前提とする進歩性判断の誤り⑶ 取消事由3分割要件に関する判断の誤り(無効理由3関係)⑷ 取消事由4実施可能要件に関する判断の誤り(無効理由4関係)⑸ 取消事由5サポート要件に関する判断の誤り(無効理由5関係)第3 当事者の主張 1 取消事由1(甲10を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由1関係))⑴ 取消事由1-1(相違点の認定の誤り及び原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り)ア原告の主張(ア) 本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2を認定した誤りa 本件審決は,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2として,本件特許発明1は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲10発明1は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される点を認定する(前記第2,3⑶ア(ア)b(b))。しかし,本件特許発明1は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される) )。しかし,本件特許発明1は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明1と同様の構成を文言上含むものであるから,本件特許発明1と甲10発明1との間には,相違点1-2は存在せず,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したのは誤りである。 b 本件特許発明1が,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明1と同様の構成を文言上含むと解される理由は,次のとおりである。 (a) 凝縮室の減圧のタイミングが文言上限定されていないこと本件特許発明1を定める本件特許の特許請求の範囲の請求項1には,構成要件D(前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持される凝縮室と,)に「減圧の状態が保持される」凝縮室と記載され,構成要件G(前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後,前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる)に「低い温度に保持された」前記凝縮室と記載されているのみであり,凝縮室の減圧のタイミングは,文言上,何ら限定されていない。請求項1の記載は,一義的に明確に理解でき,かつ誤記もないから,リパーゼ事件最高裁判決のいう特段の事情は何ら存在しておらず,特許請求の範囲の記載に基づいて発明の要旨が認定されなければならない。そのため,本件特許発明1は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の おらず,特許請求の範囲の記載に基づいて発明の要旨が認定されなければならない。そのため,本件特許発明1は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明1と同様の構成を文言上含むものである。 (b) 凝縮室の減圧が,低い温度に保持することよりも先に行われていることの要否(i) 本件審決は,「また,『前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段』(構成要件E)という発明特定事項に おける『前記凝縮室』とは,構成要件Dとして前記された『前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持される凝縮室』であるといえる。」(本件審決46頁)として,何の理由もなしに,構成要件Eの「前記凝縮室」は,構成要件Dで規定する「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持」という工程が既に行われた凝縮室であると解釈しているが,この点に飛躍がある。構成要件Dの「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持される凝縮室と」と構成要件Eの「前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段」とは,それぞれ別個独立した構成であり,本件特許発明1は,構成要件D所定の「凝縮室」と構成要件E所定の「温度保持手段」という構成をそれぞれ別個に備えていればよいのであり,凝縮室について行われる「減圧」(構成要件D)と,温度保持手段により行われる「温度の保持」(構成要件E)について,審決がいうように「減圧」が必ずしも「温度の保持」よりも先に行われている必要はない。構成要件Dは,あくまでも「凝縮室」で実施される工程の内容説明をしたにすぎないのであり,実施済みの工程を説明するもの がいうように「減圧」が必ずしも「温度の保持」よりも先に行われている必要はない。構成要件Dは,あくまでも「凝縮室」で実施される工程の内容説明をしたにすぎないのであり,実施済みの工程を説明するものではない。もし,構成要件Eの「前記凝縮室」が当該減圧・保持が既に行われている凝縮室を意味することにしたいのであれば,出願人である被告ら(被請求人ら)は,構成要件Eを,例えば,「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持された前記凝縮室を」等と記載したはずであり,そうではなく現状の構成要件D,Eのように記載した以上,上記で主張したように先後関係を問わないものとして要旨認定されるべきである。 (ii) 上記解釈は,「凝縮室」と同様に,本件特許発明1の「真空洗浄装置」を構成する部材である「(前記)洗浄室」に関する記載の 解釈からも裏付けられるところである。すなわち,構成要件Cでは,「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワークを洗浄する洗浄室と」規定されているが,構成要件E,F,Gにある「前記洗浄室」は文字どおり,何らの限定のない「洗浄室」(洗浄する部屋)を意味しており,構成要件Cに記載の工程を経た「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワークを洗浄した洗浄室」を意味するものではない。一方,構成要件Gでは「前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後…」と規定しており,構成要件Cに含まれる「蒸気によってワークを洗浄する」という工程を敢えて記載していることからしても,構成要件Gの「前記洗浄室」が「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワーク ークを洗浄する」という工程を敢えて記載していることからしても,構成要件Gの「前記洗浄室」が「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワークを洗浄した洗浄室」を意味するものではなく(そのように解釈しないと同じ意味を重ねることになる),何らの限定のない「洗浄室」を意味すると解釈すべきである。そして,同じ文言は同じ意味に解釈すべきことからすれば,構成要件E,Fにある「前記洗浄室」も同様に何ら工程の先後について限定のない「洗浄室」と解釈すべきである。「洗浄室」は,「凝縮室」と同様に,本件特許発明1の「真空洗浄装置」を構成する部材であるから,「(前記)洗浄室」に関する上記の解釈との平仄からも「前記凝縮室」は,工程の前後について何らの限定のない「凝縮室」と解釈すべきであって,「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持」という工程が既に行われた凝縮室であると解釈すべきではない。以上のとおり,構成要件Eにおける「前記凝縮室」は文字どおり何らの限 定のない「凝縮室」(凝縮する部屋)を意味するものであって,構成要件Eから,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されていると解釈すべき根拠はない。 (c) 発明の詳細な説明の記載本件審決は,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載との関係に関し,本件審決による本件特許発明1の解釈(凝縮室が,開閉バルブによって洗浄室と連通される前に減圧の状態に保持され,洗浄室よりも低い温度に保持され,洗浄室を前記凝縮室と連通させることによりワークの乾燥を生じさせるもの)は,発明の詳細な説明の記載とも整合するものであると判断している(本件審決46~47頁)。しかし,本件審決の認定は,本件特許明細書に開示された実施形態が本件特許発 よりワークの乾燥を生じさせるもの)は,発明の詳細な説明の記載とも整合するものであると判断している(本件審決46~47頁)。しかし,本件審決の認定は,本件特許明細書に開示された実施形態が本件特許発明1に包含されるものであったことを確認したものに過ぎず,審決の解釈が正しいことを裏付けるものではない。 上記(a)のとおり,まず特許発明の要旨の認定は,原則として特許請求の範囲の記載に基づいて行わなければならないのであり,本件特許発明につき発明の詳細な説明の記載を参酌すべき特段の事由がないことは既に述べたとおりである。したがって,発明の詳細な説明の記載に基づく本件審決の解釈も誤りである。 (d) 原告の主張に関する本件審決の判断本件審決は,原告の主張に関して,原告のように解釈したならば,「本件特許発明1が,本件特許明細書に従来技術として記載されている,乾燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧するものを含むことになり,前述した本件特許発明が解決しようとする課題を解決できないものとなる。すると,請求人の主張する本件特許発明1の解釈は,不自然な解釈といわざるを得ない。」(本件審決47頁)と指摘する。しかし,本件特許発明1が課 題を解決できない従来技術を包含していることは,特許請求の範囲の記載に不備があることが原因であり,その責は不備のある特許請求の範囲の記載を行った出願人,特許権者である被告らが負うべきであって,審決が,本件特許発明1の特許請求の範囲の記載を敢えて無視して,従来技術と区別できるように要旨を認定したことは背理である。現に,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのが本件特許発明1の要旨であるというのであれば,出願人であった被告らは,文字通りそのように特許請求の範囲を記載すれ したことは背理である。現に,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのが本件特許発明1の要旨であるというのであれば,出願人であった被告らは,文字通りそのように特許請求の範囲を記載すればよかったのである。このような記載は,前記(b)(i)にも例示したとおり,特段困難なものでもない。それにもかかわらず,事前に凝縮室が減圧されるという限定のない広範な記載を出願人が敢えて選択したのであるから,無効審判においてもその記載の文言通りに要旨が認定されるべきである。 (イ) 本件特許発明2と甲10発明2の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件特許発明2は本件特許発明1を含むものであり(前記第2,2【請求項2】),甲10発明2は甲10発明1を含むものであるところ(前記第2,3⑵ア(イ)),本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したのは誤りであるから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲10発明2の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(イ)b)は誤りである。 (ウ) 本件特許発明3と甲10発明3の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件特許発明3は本件特許発明2を含み(前記第2,2【請求項3】), 本件特許発明2は本件特許発明1を含むから(前記第2,2【請求項2】),本件特許発明3は本件特許発明1を含むものであり,甲10発明3は甲10発明2を含み(前記第2,3⑵ア(ウ)),甲10発明2は甲10発明1を含むから(前記第2,3⑵ア(イ)),甲10発明3は甲10発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定 (ウ)),甲10発明2は甲10発明1を含むから(前記第2,3⑵ア(イ)),甲10発明3は甲10発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したのは誤りであるから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明3と甲10発明3の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(ウ)b)は誤りである。 (エ) 本件特許発明4と甲10発明4の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件特許発明4は本件特許発明1を含み(前記第2,2【請求項4】),甲10発明4は甲10発明1を含む(前記第2,3⑵ア(エ))ところ,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したのは誤りであるから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲10発明4の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(エ)b(a))は誤りである。 (オ) 本件特許発明5と甲10発明5の相違点として相違点1-5を認定した誤りa 本件審決は,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5として,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲10発明5は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される点を相違点として認定する(前記第2,3⑶ア(オ)b(b))。しかし,本件特許発 明5は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内 )。しかし,本件特許発 明5は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明5と同様の構成を文言上含むものであるから,本件特許発明5と甲10発明5との間には,相違点1-5は存在せず,本件審決が相違点1-5を本件特許発明5と甲10発明5の相違点として認定したのは誤りである。 b 本件特許発明5が,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明5と同様の構成を文言上含むと解される理由は,次のとおりである。 (a) 凝縮室の減圧のタイミングが文言上限定されていないこと本件特許発明5を定める本件特許の特許請求の範囲の請求項5には,「前記洗浄室において前記ワークを洗浄した後,開閉バルブを開弁することにより前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程と,」(構成要件O)と記載されているのみであり,凝縮室の減圧のタイミングは,文言上,何ら限定されていない。請求項5の記載は,一義的に明確に理解でき,かつ誤記もないから,リパーゼ事件最高裁判決のいう特段の事情は何ら存在しておらず,特許請求の範囲の記載に基づいて発明の要旨が認定されなければならない。そのため,本件特許発明5は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明5と同様の構成を文言上含むものである。 いる構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明5と同様の構成を文言上含むものである。 (b) 凝縮室の減圧が,低い温度に保持することよりも先に行われていることの要否本件審決は,「本件特許発明5において,凝縮室に関する各工程(構成要件L,N,O)は,凝縮室を減圧する工程(構成要件L),減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程(構成要件N),前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程(構成要件O)の順に実行されるものと解される。」(本件審決48頁)とする。 そして,請求項5には,減圧する工程(構成要件L),洗浄する工程(構成要件M),保持する工程(構成要件N),乾燥させる工程(構成要件O)の4工程が,この順に列挙されている。しかし,本件特許明細書の第1実施形態,第2実施形態では,構成要件Mの工程(S400)が構成要件Nの工程(S100又はS101)より後になっており,請求項5に示されたのとは逆であるから,本件特許発明5の各工程は,その実行順序の限定のないものと解すべきである。 さらに,構成要件Oの文言は,開閉バルブを開弁することにより洗浄室を洗浄室よりも低い温度に保持された凝縮室と連通させて,その後,凝縮室を減圧してワークを乾燥させる態様を包含しており,そのように解釈したとしても,構成要件Nの「減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程」は満たされることになる。 (c) 発明の詳細な説明の記載本件審決は,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載との関係に関し,本件審決による本件特許発明5の解釈(凝縮室が,開閉バルブによって洗 は満たされることになる。 (c) 発明の詳細な説明の記載本件審決は,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載との関係に関し,本件審決による本件特許発明5の解釈(凝縮室が,開閉バルブによって洗浄室と連通される前に減圧下とされ,洗浄室よりも低い温度に保持され,洗浄室を前記凝縮室と連通させることにより ワークの乾燥を生じさせるもの)は,発明の詳細な説明の記載とも整合するものであると判断している(本件審決49頁)。しかし,本件審決の認定は,本件特許明細書に開示された実施形態が本件特許発明5に包含されるものであったことを確認したものに過ぎず,審決の解釈が正しいことを裏付けるものではない。前記(a)のとおり,まず特許発明の要旨の認定は,原則として特許請求の範囲の記載に基づいて行わなければならないのであり,本件特許発明につき発明の詳細な説明の記載を参酌すべき特段の事由がないことは既に述べたとおりである。したがって,発明の詳細な説明の記載に基づく本件審決の解釈も誤りである。 (d) 原告の主張に関する本件審決の判断本件審決は,原告の主張に関して,原告のように解釈したならば,「本件特許発明5が,本件特許明細書に従来技術として記載されている,乾燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧するものを含むことになり,前述した本件特許発明が解決しようとする課題を解決できないものとなる。すると,請求人の主張する本件特許発明5の解釈は,不自然な解釈といわざるを得ない。」(本件審決50頁)と指摘する。しかし,本件特許発明5が課題を解決できない従来技術を包含していることは,特許請求の範囲の記載に不備があることが原因であり,その責は不備のある特許請求の範囲の記載を行った出願人,特許権者である被告らが負うべきであって, 課題を解決できない従来技術を包含していることは,特許請求の範囲の記載に不備があることが原因であり,その責は不備のある特許請求の範囲の記載を行った出願人,特許権者である被告らが負うべきであって,審決が,本件特許発明5の特許請求の範囲の記載を敢えて無視して,従来技術と区別できるように要旨を認定したことは背理である。現に,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのが本件特許発明5の要旨であるというのであれば,出願人であった被告らは,文字通りそのように特許請求の範囲を記載すれ ばよかったのである。このような記載は,前記(ア)b(b)(i)にも例示したとおり一文追加する程度で足り,特段困難なものでもない。 それにもかかわらず,事前に凝縮室が減圧されるという限定のない広範な記載を出願人が敢えて選択したのであるから,無効審判においてもその記載の文言通りに要旨が認定されるべきである。 (カ) 原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤りa 本件特許発明1の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明1と甲10発明1は,相違点1-1及び相違点1-2において相違すると認定したが(前記第2,3⑶ア(ア)b),前記(ア)のとおり,相違点1-2は本件特許発明1と甲10発明1の相違点ではなく,また,相違点1-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決81~82頁)。そのため,本件特許発明1は,甲10発明1及び甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到することができたものであって,この点について,本件特許発明1は,甲10発明1と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷ア(ア))は誤り 容易に想到することができたものであって,この点について,本件特許発明1は,甲10発明1と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷ア(ア))は誤りである。 b 本件特許発明2の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明2と甲10発明2は,相違点1-1及び相違点1-2において相違すると認定した(前記第2,3⑶ア(イ)b)が,aと同様の理由により,相違点1-2は相違点ではなく,また,相違点1-1に係る構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決81~82頁)から,本件特許発明2は,甲10発明2と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第 2,3⑷ア(イ))は誤りである。 c 本件特許発明3の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明3と甲10発明3は,相違点1-1及び相違点1-2において相違すると認定した(前記第2,3⑶ア(ウ)b)が,aと同様の理由により,相違点1-2は相違点ではなく,また,相違点1-1に係る構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決81~82頁)から,本件特許発明3は,甲10発明3と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷ア(ウ))は誤りである。 d 本件特許発明4の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明4と甲10発明4は,相違点1-1,相違点1-2及び相違点1-3において相違すると認定した(前記第2,3⑶ア(エ)b)。しかし,相違点1-2は相違点ではなく,また,相違点1-1に係る構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に 相違点1-3において相違すると認定した(前記第2,3⑶ア(エ)b)。しかし,相違点1-2は相違点ではなく,また,相違点1-1に係る構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものである(本件審決81~82頁)ことはaと同様であり,相違点1-3に係る本件特許発明4の構成は,甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決87頁)。そのため,本件特許発明4は,甲10発明4並びに甲11~14に記載された周知技術及び甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,この点について,本件特許発明4は,甲10発明4と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷ア(エ))は誤りである。 e 本件特許発明5の進歩性判断の誤り 本件審決は,本件特許発明5と甲10発明5は,相違点1-4及び相違点1-5において相違すると認定した(前記第2,3⑶ア(オ)b)。 前記(オ)のとおり,相違点1-5は本件特許発明5と甲10発明5の相違点ではない。また,相違点1-4と相違点1-1は同じ内容であり,相違点1-4に係る本件特許発明5の構成(石油系溶剤)は,相違点1-1に係る本件特許発明1の構成(石油系溶剤)と同じであって,相違点1-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから(本件審決81~82頁),相違点1-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決89頁)。そのため,本件特許発明5は,甲10発明5及び甲11~ ,相違点1-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決89頁)。そのため,本件特許発明5は,甲10発明5及び甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,この点について,本件特許発明5は,甲10発明5と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷ア(オ))は誤りである。 イ被告らの主張原告の主張は争う。 (ア) 本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはない。 本件審決の認定の趣旨は,凝縮室と洗浄室とを連通させる前の段階で凝縮室の減圧と冷却が行われているということであり,特許請求の範囲,明細書,本件特許発明の仕組みに照らして相当な認定である。原告による解釈は,特許請求の範囲に従来技術を含むものであり,そのような不 自然な解釈をあえて採用する合理的な理由はない。 (イ) 本件特許発明2と甲10発明2の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件特許発明2は本件特許発明1を含むものであり(前記第2,2【請求項2】),甲10発明2は甲10発明1を含むものであるところ(前記第2,3⑵ア(イ)),本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲10発明2の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(イ)b)にも誤りはない。 (ウ 明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲10発明2の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(イ)b)にも誤りはない。 (ウ) 本件特許発明3と甲10発明3の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件特許発明3は本件特許発明2を含み(前記第2,2【請求項3】),本件特許発明2は本件特許発明1を含むから(前記第2,2【請求項2】),本件特許発明3は本件特許発明1を含むものであり,甲10発明3は甲10発明2を含み(前記第2,3⑵ア(ウ)),甲10発明2は甲10発明1を含むから(前記第2,3⑵ア(イ)),甲10発明3は甲10発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明3と甲10発明3の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(ウ)b)にも誤りはない。 (エ) 本件特許発明4と甲10発明4の相違点として相違点1-2を認定した誤り 本件特許発明4は本件特許発明1を含み(前記第2,2【請求項4】),甲10発明4は甲10発明1を含む(前記第2,3⑵ア(エ))ところ,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の違点として認定したことに誤りはないから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲10発明4の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(エ)b)にも誤りはない。 (オ) 本件特許発明5と甲10発明5の相違点とし 2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲10発明4の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(エ)b)にも誤りはない。 (オ) 本件特許発明5と甲10発明5の相違点として相違点1-5を認定した誤り本件審決が相違点1-5を本件特許発明5と甲10発明5の相違点として認定したことに誤りはない。 この点に関する被告らの主張は,相違点1-2に関する主張(前記(ア))と同じである。 (カ) 原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り原告は,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことが誤りであるとの主張を前提に,本件特許発明1~4について,甲10発明1~4と甲11~17に基づいて当業者が容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りであると主張する。しかし,前記(ア)のとおり,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから,原告の上記主張は理由がない。 また,原告は,本件審決が相違点1-5を本件特許発明5と甲10発明5の相違点として認定したことが誤りであるとの主張を前提に,本件特許発明5について,甲10発明5と甲11~17に基づいて当業者が容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りであると主張する。しかし,前記(オ)のとおり,本件審決が相違点1-5を本 件特許発明5と甲10発明5の相違点として認定したことに誤りはないから,原告の上記主張は理由がない。 ⑵ 取消事由1-2(本件審決が認定する相違点(相違点1-2,1-5)の存在を前提とする進歩性判断の誤り)ア原告の主張(ア) 本件審決の判断本件審決は,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2 件審決が認定する相違点(相違点1-2,1-5)の存在を前提とする進歩性判断の誤り)ア原告の主張(ア) 本件審決の判断本件審決は,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2を認定し,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明1は容易に想到することはできなかったとした(本件審決82~84頁)。また,本件特許発明2~4(いずれも本件特許発明1を含む。)と甲10発明2~4(いずれも甲10発明1を含む。)の相違点として相違点1-2を認定し,上記と同様に,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明2~4は容易に想到することはできなかったとした(本件審決84~87頁)。さらに,本件審決は,本件特許発明5と甲10発明5の相違点として相違点1-5を認定し,相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明5は容易に想到することはできなかったとした(本件審決89~90頁)。 (イ) 甲14に基づく容易想到性a 相違点に係る構成の開示しかし,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は,次のとおり,甲14に開示されている。 (a) 甲14(特開2000-51802,2000年2月22日公開)には,石油系溶剤により真空蒸気洗浄及び乾燥処理を行う蒸気洗浄 装置に関する発明が記載されている(甲14【0001】)。甲14の図1には,甲14の特許請求の範囲に記載された発明の実施例が記載されており,図1に記載された蒸気洗浄装置は,減圧タンク1で溶剤蒸気Bによりワークの真空蒸気洗浄を行う装置である(【0025】,【00 図1には,甲14の特許請求の範囲に記載された発明の実施例が記載されており,図1に記載された蒸気洗浄装置は,減圧タンク1で溶剤蒸気Bによりワークの真空蒸気洗浄を行う装置である(【0025】,【0026】)。図1に示された「1減圧タンク」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「15加熱コイル」は本件特許発明1,5の「蒸気生成手段」に当たり,「6冷却タンク」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「2冷却コイル」は本件特許発明1,5の「温度保持手段」に当たり,「29バルブ」は本件特許発明1,5の「開閉バルブ」に当たり,「10真空ポンプ」は本件特許発明1,5の「真空ポンプ」に当たる。 (b) 甲14には,次の記載がある。 「【0027】ワークの蒸気洗浄終了前において,真空ポンプ10を駆動し,またバルブ42を開弁して,ライン43を介してサブタンク7内を予め真空状態に成す。而して,ワークの蒸気洗浄終了後においては,ワークの乾燥処理に先立って,バルブ23,36を開弁し,ライン25に作用する大気圧とライン37に作用する負圧との差圧を利用して,減圧タンク1内の加熱された溶剤Aを,該タンク1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜する。 【0028】減圧タンク1内の溶剤Aをサブタンク7内に吸引完了した時点で,上述の各バルブ23,36を閉弁する。次に真空ポンプ10を駆動すると共に,バルブ49を開弁して冷却タンク6内を予め真空状態に成し,その後,バルブ29を開いて減圧タンク1内に残存する溶剤蒸気Bを,ライン30を介して冷却タンク6に差圧吸引する。この場合,ライン30からのインレットポート3を介して冷却タンク6に吸引された溶剤蒸気Bは冷却コイル2により凝 縮されると共に,仕切板5による区画構成により,溶剤蒸気Bがア する。この場合,ライン30からのインレットポート3を介して冷却タンク6に吸引された溶剤蒸気Bは冷却コイル2により凝 縮されると共に,仕切板5による区画構成により,溶剤蒸気Bがアウトレットポート4からライン50および真空ポンプ10側に直接吸込まれるのを防止することができる。 【0029】このような条件下において減圧タンク1内のワークを乾燥処理する。つまり,バルブ14を開いて加熱コイル13に加熱オイルを流通させ,この熱媒により減圧タンク1内およびワークを加熱して,該ワークを乾燥させる。 【0030】ところで,プールタンク9には真空蒸溜機12にて蒸溜された溶剤Aを貯溜し,送液ポンプ31の駆動によりエゼクタ26を含む循環ライン58を循環する蒸溜溶剤Aの流動で,エゼクタ26の負圧形成部26aに負圧が形成され,ライン28,バルブ27,ポート18を介して上述の減圧タンク1内を真空状態に維持する。 【0031】上述のワークに対する蒸気洗浄および乾燥の一連の処理終了後において,バルブ32,33を開弁し,各要素32,34,33,20を介して蒸溜溶剤Aを減圧タンク1の溶剤貯溜部1aに供給して,次のワークの蒸気洗浄および乾燥処理に備える。」「【0033】このように上記構成の蒸気洗浄装置によれば,上述のワークは減圧乃至真空状態下において減圧タンク1内部で蒸気洗浄されるので,上述の導出手段(ライン37参照)はワークの蒸気洗浄後つまりワークの乾燥に先立って減圧タンク1内の溶剤Aを減圧タンク1外へ導出するので,ワークの乾燥時において減圧タンク1内の溶剤Aが気化してワークの乾燥が妨げられることがなく,良好なワーク乾燥を実行することができる効果がある。」(c) 前記(b)に記載されたように,甲14発明では,「凝縮室」である冷却タンク6 内の溶剤Aが気化してワークの乾燥が妨げられることがなく,良好なワーク乾燥を実行することができる効果がある。」(c) 前記(b)に記載されたように,甲14発明では,「凝縮室」である冷却タンク6が真空ポンプ10によって事前に減圧され,「温度保 持手段」である冷却コイル2によって低温状態に保持される。その後,「開閉バルブ」であるバルブ29を開くことで,「洗浄室」である減圧タンク1と冷却タンク6との圧力差によって溶剤蒸気が冷却タンク6へ移動する。上記の記載から,冷却タンク6に移動した溶剤蒸気が凝縮することにより,冷却タンク6の圧力を上昇させず,溶剤蒸気の移動が継続することは当業者に明らかである。そして,【0029】に「このような条件下において減圧タンク1内のワークを乾燥処理する。つまり,バルブ14を開いて加熱コイル13に加熱オイルを流通させ,この熱媒により減圧タンク1内およびワークを加熱して,該ワークを乾燥させる。」とあるから,減圧タンク1から冷却タンク6に溶剤蒸気Bを差圧吸引する工程は,加熱コイル13によりワークを加熱する間も継続されており,ワークの乾燥処理の一部を構成しているということができる。また,本件特許発明は,「連通による乾燥」に際し,加熱コイルなどの他の乾燥手段の併用を排除しているわけでもない。 以上のとおり,甲14には,凝縮室(冷却タンク6)が事前に減圧され,開閉バルブ(バルブ29)によって洗浄室(減圧タンク1)を凝縮室(冷却タンク6)と連通させてワーク乾燥する点,つまり,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が開示されている。 b 容易想到性甲10発明1~5と甲14に記載された構成は,同じ技術分野に属し,同種の装置に関する技術であるから,甲14に記 の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が開示されている。 b 容易想到性甲10発明1~5と甲14に記載された構成は,同じ技術分野に属し,同種の装置に関する技術であるから,甲14に記載された構成を甲10発明1~5に適用することは容易に想到することができた。 そして,前記⑴ア(カ)a~dのとおり,本件特許発明2,本件特許発明3及び本件特許発明4はいずれも本件特許発明1を含むものであり, 本件特許発明1と甲10発明1,本件特許発明2と甲10発明2,本件特許発明3と甲10発明3,本件特許発明4と甲10発明4との間の相違点1-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 また,前記⑴ア(カ)dのとおり,相違点1-3に係る本件特許発明4の構成は,甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであり,前記⑴ア(カ)eのとおり,相違点1-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 そのため,本件特許発明1~5は,甲10発明1~5に甲14に記載された技術事項及び周知技術を適用することにより,容易に想到することができた。 c 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りである。 (ウ) 周知技術に基づく容易想到性a 相違点に係る構成の開示相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は,次のとおり,複数の文 決の判断は誤りである。 (ウ) 周知技術に基づく容易想到性a 相違点に係る構成の開示相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は,次のとおり,複数の文献に開示された周知技術である。 (a) 甲49(特開平3-26383:1991年2月4日公開)(i) 甲49の記載① 技術分野甲49に記載された発明(以下「甲49発明」という。)は, フロン等の有機溶剤を用いて各種物品の洗浄をする技術に関するものであり(産業上の利用分野欄,従来技術欄参照),蒸気洗浄後の乾燥に関する技術である。なお,蒸気洗浄の内容については,甲49の2頁4欄~6欄に説明されている。 ② 課題甲49の2頁6欄~3頁8欄には,従来の課題として,従来は,洗浄後の溶剤蒸気の排出,つまり,ワークの乾燥を速く行わせるためには,真空ポンプの能力に依存し,その改善が必要であったことが記載されており,本件特許発明1と同じ課題が示されている。 ③ 課題の解決手段前記②の課題を解決するための解決手段として甲49の3頁8欄17行目~10欄14行目には次の記載がある。 「更に,本発明の有機溶剤を使用する洗浄装置に於いては,上記洗浄槽と上記再生回収手段との間に,内部に冷却手段を有する密閉容器を設けると共に,この密閉容器と上記洗浄槽とを,途中に第一の開閉弁を有する第一の接続管により,密閉容器と上記再生回収手段の内部とを,途中に第二の開閉弁を有する第二の接続管により,それぞれ接続している。 (作用)上述の様に構成される,本発明の有機溶剤を使用する洗浄装置により,被洗浄物を洗浄する場合の作用自体は,前述した先発明の洗浄装置と同様である。 但し,本発明の有機溶剤を使用する洗浄装置の場合,洗浄槽内 様に構成される,本発明の有機溶剤を使用する洗浄装置により,被洗浄物を洗浄する場合の作用自体は,前述した先発明の洗浄装置と同様である。 但し,本発明の有機溶剤を使用する洗浄装置の場合,洗浄槽内からの気体の排出を迅速に行ない,しかも必要とすれば,洗浄槽内の真空度を高める事が出来る。 即ち,本発明の洗浄装置に於いて,洗浄槽内の気体を排出する場合には,先ず,第一の開閉弁を閉じ,洗浄槽と密閉容器との連通を断った状態のまま,第二の開閉弁を開き,再生回収手段の内部に存在する有機溶剤蒸気を,上記密閉容器内に導入する。 密閉容器内に有機溶剤蒸気を導入したならば,第一,第二の開閉弁を何れも閉じ,上記密閉容器内に設けた冷却手段を運転する事により,密閉容器内の有機溶剤蒸気を凝縮液化する。 この結果,密閉容器内の圧力が低下する為,第二の開閉弁を閉じたまま,それ迄閉じていた第一の開閉弁を開けば,洗浄槽内に存在する気体が密閉容器内に吸引され,洗浄槽内の圧力が急激に低下する。 密閉容器内に吸引された気体の内に有機溶剤蒸気が含まれる場合,この有機溶剤蒸気は,この密閉容器内の冷却手段により次々に凝縮液化され,密閉容器内の圧力が低下する為,洗浄槽から密閉容器への有機溶剤蒸気を含む気体の吸引は,その後も継続して行なわれる。」ここに示された解決手段は,本件特許発明1と全く同じ乾燥原理である。すなわち,「凝縮室」である密閉容器を事前に減圧しておき,その後,「開閉バルブ」である第一の開閉弁を開くことで,洗浄槽と密閉容器との圧力差によって溶剤蒸気が密閉容器へ移動し,しかも,密閉容器に移動した溶剤蒸気は凝縮されるので密閉容器の圧力を上昇させず,溶剤蒸気の移動が継続するものである。 ④ 実施例甲49発明の実施例を参照すると,こ 剤蒸気が密閉容器へ移動し,しかも,密閉容器に移動した溶剤蒸気は凝縮されるので密閉容器の圧力を上昇させず,溶剤蒸気の移動が継続するものである。 ④ 実施例甲49発明の実施例を参照すると,この乾燥原理が更に明ら かになる。第1図に甲49発明の実施例が開示されている。第1図に示された「2洗浄槽」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「10ヒータ」は本件特許発明1,5の「蒸気生成手段」に当たり,「26密閉容器」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「27冷却パイプ」は本件特許発明1,5の「温度保持手段」に当たり,「28第一の開閉弁」は本件特許発明1,5の「開閉バルブ」に当たり,「13真空ポンプ」は本件特許発明1,5の「真空ポンプ」に当たる。 実施例について,甲49の4頁12欄16行目~16欄8行目に次の記載がある。 「上述の様に構成される,本発明の有機溶剤を使用する洗浄装置の他の構成部分,及び洗浄槽2内に収納した被洗浄物を洗浄する際の作用自体は,前述した先発明の洗浄装置と同様である。 但し,本発明の有機溶剤を使用する洗浄装置の場合,洗浄糟2内の気体を排出する為の真空ポンプ13の性能を特に向上させなくても,液状の有機溶剤を使用して被洗浄物を洗浄した後,この液状の有機溶剤を洗浄槽2から排出する作業を迅速に行ない,しかも洗浄槽2内の真空度を高める事が出来る。 即ち,本発明の洗浄装置に於いて,洗浄後に洗浄槽2内に残留する有機溶剤蒸気を排出する場合には,先ず,第一の接続管29の途中に設けた第一の開閉弁28を閉じ,洗浄槽2と密閉容器26との連通を断った状態のまま,第二の開閉弁30を開き,再生回収手段である蒸留器12内に存在する有機溶剤蒸気を,第二の接続管31を通じて,上記密閉容器26内に導入する。この ,洗浄槽2と密閉容器26との連通を断った状態のまま,第二の開閉弁30を開き,再生回収手段である蒸留器12内に存在する有機溶剤蒸気を,第二の接続管31を通じて,上記密閉容器26内に導入する。この際,第一の接続管29の途中の三方弁34は,第一の 接続管29をそのまま連通する状態に(第一の接続管29と吸入管35とは連通させない状態に),切り換えておく。 この様にして,密閉容器26内に有機溶剤蒸気を導入したならば,第一,第二,第三の開閉弁28,30,32を何れも閉じ,上記密閉容器26内に設けた,冷却手段である冷却パイプ27内に冷媒を流通させる事により,密閉容器26内の有機溶剤蒸気を凝縮液化する。 密閉容器26内で有機溶剤蒸気が凝縮液化する結果,密閉容器26内の圧力が低下する。 そこで,第二,第三の,開閉弁30,32を閉じたまま,それ迄閉じていた第一の開閉弁28を開き,前記洗浄槽2内に残留していた有機溶剤蒸気を上記密閉容器26内に吸引する。 第一の接続管29を通じ,洗浄槽2内の有機溶剤蒸気が密閉容器26内に吸引されるのは,極く短時間の間に行なわれる為,洗浄槽2内の圧力が急激に低下し,この洗浄槽2内に収納された被洗浄物に付着した有機溶剤の液滴が突沸し,この被洗浄物の表面に付着した汚れを吹き飛ばして,続いて行なわれる洗浄作業による洗浄効果を向上させる。 第一の接続管29を通じて密閉容器26内に吸引された有機溶剤蒸気は,この密閉容器26内に設けられた冷却パイプ27により冷却されて,次々に凝縮液化される為,洗浄槽2から密閉容器26に有機溶剤蒸気が吸引されても,密閉容器26内の圧力は殆ど上昇せず,洗浄槽2から密閉容器26への有機溶剤の吸引は,その後も継続して行なわれ,洗浄槽2内の圧力が低下する。 上述の様 密閉容器26に有機溶剤蒸気が吸引されても,密閉容器26内の圧力は殆ど上昇せず,洗浄槽2から密閉容器26への有機溶剤の吸引は,その後も継続して行なわれ,洗浄槽2内の圧力が低下する。 上述の様に,密閉容器26内で有機溶剤蒸気を凝縮液化する 事で,洗浄槽2内の圧力を相当に低下させる事が出来るが,この凝縮液化による圧力低下のみでは,洗浄槽2内の真空度が不十分である場合は,第一の接続管29の途中の三方弁34を,第一の接続管29と真空ポンプ13の吸入管35とを通じさせる状態に切り換え,この真空ポンプ13を運転する。 この様にして真空ポンプ13を運転した場合,洗浄槽2内の有機溶剤蒸気が,第一の接続管29,吸入管35,真空ポンプ13,吐出管36を通じて,密閉容器26内に送り込まれ,この密閉容器26内で凝縮液化する。 この様にして真空ポンプ26(判決注:「13」の誤記)による蒸気排出を行なう際,真空ポンプ13の吐出口は密閉容器26内に,吸入口は洗浄槽2内に,それぞれ連通するが,この際には密閉容器26内の圧力も相当に低くなっている為,真空ポンプの吸入側と吐出側との圧力差を小さくする事が出来,真空ポンプ13として格別高性能のもの(高真空型のもの)を使用しなくても,洗浄槽2内の真空度を十分に高める事が出来る。」このようにこの実施例では,真空ポンプ13は用いないが,「凝縮室」である密閉容器26が事前に減圧され,「温度保持手段」である冷却パイプ27によって低温状態に保持される。その後,「開閉バルブ」である第一の開閉弁28を開くことで,「洗浄室」である洗浄槽2と密閉容器26との圧力差によって溶剤蒸気が密閉容器へ移動する。密閉容器26に移動した溶剤蒸気は冷却パイプ27の冷却によって凝縮されるので密閉容器26の圧力を上 ことで,「洗浄室」である洗浄槽2と密閉容器26との圧力差によって溶剤蒸気が密閉容器へ移動する。密閉容器26に移動した溶剤蒸気は冷却パイプ27の冷却によって凝縮されるので密閉容器26の圧力を上昇させず,溶剤蒸気の移動が継続する。 洗浄槽2内の圧力が急激に低下して,被洗浄物に付着した溶剤が突沸するとあるが,これは被洗浄物の乾燥に他ならな い。なお,この実施例では,「この洗浄槽2内に収納された被洗浄物に付着した有機溶剤の液滴が突沸し,この被洗浄物の表面に付着した汚れを吹き飛ばして,続いて行なわれる洗浄作業による洗浄効果を向上させる。」とあり,本洗浄前の粗洗浄を想定していると思われるが,本洗浄においても同様の乾燥手法が適用可能であることは明らかである。 上記の記載には,真空ポンプ13を併用してもよいことも開示されている。本件特許発明1,5は,凝縮室を真空ポンプで減圧することを特徴とする発明ではなく,甲49において密閉容器26の減圧に際し真空ポンプを用いても,甲49が開示する乾燥手法には何ら変わりはない。 (ii) 甲49に示されている技術事項以上のとおり,甲49には,凝縮室(密閉容器26)が事前に減圧され,その後,開閉バルブ(第一の開閉弁28)によって洗浄室(洗浄槽2)と連通されることによってワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5が開示されている。 (b) 甲50(仏国特許公開2698558:1994年6月3日公開)(i) 甲50の記載① 技術分野,従来技術甲50の1頁には技術分野,従来技術に関して次の記載がある(1頁9行目~30行目)。 「 」(訳)この発明は特に塩素系溶剤を用いる機 記載① 技術分野,従来技術甲50の1頁には技術分野,従来技術に関して次の記載がある(1頁9行目~30行目)。 「 」(訳)この発明は特に塩素系溶剤を用いる機械部品のクリーニング機械であって,一般的には制御下の温度の液状溶剤を含む主要槽で形成される機械に関わるものであり,主要槽内には,洗浄すべき部品と,この槽に隣接させて,沸騰した溶剤を含む槽とを導入する。上方に向けて開口するこれら二つの槽の上には溶剤で飽和する蒸気の領域がある。 溶剤の消費と,そして同時に汚染とを低減するため,前記洗浄チャンバーおよび/または処理チャンバーが密封されるように閉鎖され,乾燥は負圧状態で実行される諸機械が既に提案されている。 (例えば特許GB‐A‐1.135.181,EP‐A2‐ 0.289.982,EP‐A1‐0.276.876で詳述された機械のような)周知の機械はこの同じ作用原理を用いるものであり,作用図式は異なるものの,これらの機械は全て,真空ポンプを使って溶剤蒸気を吸い込むことで洗浄チャンバーを負圧にし,かつ,その後,凝縮を生じさせるためにポンプの下流に位置する冷却バッテリにこの同じ蒸気を移動することを予定する。 以上の記載から,甲50に記載の発明(以下「甲50発明」という。)は,塩素系溶剤を用いる機械部品の洗浄・乾燥機械に関する技術である。 ② 実施例図1,図2に甲50発明の実施例が開示されている。図1は全体を,図2は凝縮器4の内部構造を示している。 図1に示された「1チャンバー」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「13蒸留器」は本件特許発明1,5の「蒸気生成手段」に当たり,「4凝縮器」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「3バルブ」は本件特許発明1,5 ンバー」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「13蒸留器」は本件特許発明1,5の「蒸気生成手段」に当たり,「4凝縮器」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「3バルブ」は本件特許発明1,5の「開閉バルブ」に当たり,「PV真空ポンプ」は本件特許発明1,5の「真空ポンプ」に当たり,図2の「21冷却用蛇管」は本件特許発明1,5の「温度保持手段」に当たる。 ③ チャンバー1におけるワークの洗浄甲50の4頁19行目~23行目には次の記載がある。 「 」(訳)チャンバー1は,使用される溶剤の凍結温度を下回る温度で(同様に図示されていない)適切な冷凍コンプレッサにより冷却される凝縮器4と,バルブ3を備える配管2を介して連通する。 また,4頁28行目~5頁9行目には,次の記載がある。 「 」(訳)次いで第二配管7が,制御バルブ8を介して凝縮器4を真空ポンプPVに連通する。もう一つの別のバルブ10が配管7を大気と連通する。所望であれば,大気の方への流出が場合によっては活性炭フィルタFFを介して実行されることができる。 洗浄機械は他方で溶剤のための貯蔵タンクを包含し,貯蔵タ ンクは二つの槽12Aおよび12Bで構成され,この槽12Bは槽12Aに溢流口と蒸留器13とによりつながれる。 チャンバー1の漏斗底は,バルブ15を備える排出ホース15Aにより貯蔵タンクの槽12Aにつながれる。 槽12Aの基部には二つのポンプP1およびP2がつながれ,二つのポンプP1およびP2はそれぞれ,一方で洗浄チャンバー1の方へ,他方 える排出ホース15Aにより貯蔵タンクの槽12Aにつながれる。 槽12Aの基部には二つのポンプP1およびP2がつながれ,二つのポンプP1およびP2はそれぞれ,一方で洗浄チャンバー1の方へ,他方で蒸留器13の方へ溶剤を送る。槽12Bの基部につながれる第三ポンプP3は,チャンバー1内にある噴霧ノズル1Bに溶剤を送る。 以上の記載と,その前提である従来技術に関する前記①の記載により,チャンバー1内では,噴霧ノズル1B等から供給される液状の溶剤と,蒸留器13から供給される溶剤蒸気とにより,ワークの洗浄が行われることが理解される。 ④ 凝縮器4凝縮器4に関し,甲50の5頁13行目~25行目には次の記載がある。 「 」(訳) 本発明によると,凝縮器4は図2に図式的に図解されるように実現される。壁4の内側には円筒状タンク20が組み立てられる。このタンクの外側表面と壁4の内部表面との間には,ポンプPVを使って真空に維持される中間ボリュームVが設けられた。 円筒状タンク20は,流体質量であって,‐例えば-30℃の温度で液体状態のままであるブライン‐を含み,流体質量内には冷却用蛇管21が浸る。この蛇管は,前記流体質量の温度を測定するのに適したサーモスタットにより制御される(図示されていない)冷凍コンプレッサにつながれる。 上記のとおり,「ポンプPVを使って真空に維持される中間ボリュームVが設けられた」とあるから,凝縮器4の内部の空間は,洗浄後のバルブ3の開弁前から真空に維持されていることが理解される。このことは甲50の従来技術の欄の説明からも裏付けられる。 すなわち,甲50の2頁10行目~30行目に次の記載がある。 「 バルブ3の開弁前から真空に維持されていることが理解される。このことは甲50の従来技術の欄の説明からも裏付けられる。 すなわち,甲50の2頁10行目~30行目に次の記載がある。 「 」(訳)‐第二にポンプは,大抵200リットルを上回るボリュームの,洗浄チャンバー内に存在する全ての溶剤蒸気と,洗浄された部品の表面に残った液状溶剤により生成される蒸気との吸出し作業を実行しなければならず,このことは,大きなサイズの真空ポンプがあったとしても,比較的長い時間を必要とし,それはいずれにせよアイドルタイムとなる。 これらの欠点を回避するために,洗浄チャンバーの下流に真空低温凝縮器を包含し,この凝縮器の下流に前記凝縮器を負圧にするための真空ポンプを包含する機械が既に提案されている。溶剤蒸気が真空凝縮器内に吸い込まれるときに,この凝縮器の内側に行き渡る低温により溶剤蒸気は瞬時に凝縮されるので,この機械により洗浄チャンバーの排出アイドルタイムを著 しく低減することが可能となる。このことにより,比較的低減されたサイズの吸い込みポンプを予定することが可能となり,それによって,周知の技術の機械よりも経済的であると同時に効率的な機械を予定することが可能となる。 上記の記載は,凝縮器の容積を利用して溶剤蒸気を吸い込むことにより,低容量のポンプで足りることを説明しているから,凝縮器が溶剤蒸気を吸い込む前に,真空ポンプで凝縮器が減圧されていることを前提とした記載である。こうした従来技術を前提として,甲50発明がなされている点を踏まえれば,上記のとおり,甲50発明の凝縮器4の内部の空間は,洗浄後のバルブ3の開弁前から真空に維持されていると理解することができる。 凝縮器4の機能に関して甲50の6頁27 なされている点を踏まえれば,上記のとおり,甲50発明の凝縮器4の内部の空間は,洗浄後のバルブ3の開弁前から真空に維持されていると理解することができる。 凝縮器4の機能に関して甲50の6頁27行目~35行目には次の記載がある。 「」(訳)本発明による凝縮器の作用は明白である。ダクト2を介して洗浄チャンバー1から来る溶剤蒸気は,真空空間V内に吸い込まれ,タンク20の冷たい壁と接触して凝縮する。凝縮液はこの同じ壁を伝って流れ,凍結される前に底に落ちて蓄積される。 上記の記載が洗浄後にバルブ3を開弁したときの作用を説明していることは明らかである。そして,上記のとおり,凝縮器4内は真空に維持されているから,バルブ3の開弁により,チャンバー1から溶剤蒸気が凝縮器4に吸い込まれ,凝縮されることが理解される。 (ii) 甲50に示されている技術事項以上によれば,甲50には,凝縮室(凝縮器4)が事前に減圧され,その後,開閉バルブ(バルブ3)によって洗浄室(チャンバー1)と連通されることによってワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5が開示されている。 (c) 甲51(欧州特許公開1249263:2002年10月16日公開)(i) 甲51の記載① 技術分野甲51に記載の発明(以下「甲51発明」という。)は,石油系等の溶剤により蒸気洗浄及び乾燥処理を行う洗浄設備に関する([0001]~[0005])。 ② 実施例図1に甲51発明の実施例が開示されている。 図1に示された「4作業チャンバ」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「8a部分」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「39」は本件特許発明1,5の「 51発明の実施例が開示されている。 図1に示された「4作業チャンバ」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「8a部分」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「39」は本件特許発明1,5の「温度保持手段」に当たり,「15弁」は本件特許発明1,5の「開閉バルブ」に当たり,「10真空ポンプ」は本件特許発明1,5の「真空ポンプ」に当たる。 この洗浄設備は,蒸気発生器1で発生した溶剤蒸気を作業チャンバ4に導入してワークの洗浄を行い,洗浄後の溶剤蒸気を凝縮器8に吸引する設備である。 ③ 凝縮器甲51の[0010]には次の記載がある。 「 」(訳)[0010] 概略的に図示した洗浄設備は,蒸気発生器1を有 している。この蒸気発生器1内では,液状の溶剤が加熱されて,飽和した溶剤蒸気が発生させられる。蒸気発生器1から,遮断弁3が内部に配置された第1の蒸気管路2が,圧力密に閉鎖可能な作業チャンバ4に通じている。この作業チャンバ4内には,洗浄すべき部材が洗浄工程中に収納されている。作業チャンバ4には,通気弁5が配置されている。蒸気発生器1から,蒸気圧弁7を備えた第2の蒸気管路6が,空冷式または水冷式の凝縮器8の第1の部分8aに通じている。作業チャンバ4は,第1の吸引管路9を介して第1の真空ポンプ10に接続されている。第1の吸引管路9内には,弁11が配置されている。さらに,第1の真空ポンプ10は,第2の吸引管路12を介して凝縮器8に接続されている。第2の吸引管路12内には,別の弁13が介装されている。さらに,作業チャンバ4から,弁15を備えた第1の分岐管路14が凝縮器8の 空ポンプ10は,第2の吸引管路12を介して凝縮器8に接続されている。第2の吸引管路12内には,別の弁13が介装されている。さらに,作業チャンバ4から,弁15を備えた第1の分岐管路14が凝縮器8の第1の部分に通じている。さらに,作業チャンバ4には,第2の分岐管路16が接続されている。この第2の分岐管路16は,弁17を介して第2の真空ポンプ18に通じている。この第2の真空ポンプ18の出口は,別の弁19を介して圧縮機20の入口に接続されている。この圧縮機20の出口は,凝縮器8の第2の部分8bに接続されている。 ここでは,凝縮器8が空冷又は水冷式であること,及び,凝縮器8が部分8aと部分8bとを有していることが説明されている。また,部分8aが弁13を介して真空ポンプ10に接続されていること,及び,作業チャンバ4が弁11を介して真空ポンプに接続されていることが説明されており,それぞれ独立して減圧可能な構成であることが理解される。 ④ 洗浄甲51の[0013]~[0016]には洗浄開始時の動作が説明されている。 「 」(訳)[0013]本来の洗浄運転前に,まず,真空ポンプ10を介して,システム内に存在する空気が吸引される。システムから空気がなくなると,真空ポンプ10を引き続き作動させることなく,連続的な蒸留を行うことができる。この場合,蒸気発生器1内で発生させられた溶剤蒸気が,弁3を閉鎖したまま,管路6を介して凝縮器8の部分8aに流れ,そこで,液化される。 凝縮器8から流出した凝縮物が ,連続的な蒸留を行うことができる。この場合,蒸気発生器1内で発生させられた溶剤蒸気が,弁3を閉鎖したまま,管路6を介して凝縮器8の部分8aに流れ,そこで,液化される。 凝縮器8から流出した凝縮物が水分離器22内に達する。そこで水から分離された蒸留物が,ポンプ25によって管路27を介して再び蓄え容器28内に導入される。余剰の溶剤は,オーバフロー管路37を介して蒸気圧容器1内に導出させることができる。連続的な蒸留によって,不変の洗浄クオリティを保証することができ,溶剤へのオイルおよびグリースの添加を阻止することができる。 [0014]作業チャンバ4が,洗浄すべき部材で満たされ,閉 鎖され,真空ポンプ10によって管路9を介して,1mbarを下回る圧力にまで排気された後,弁11が閉鎖され,選択可能な洗浄プログラムに応じた部材の本来の洗浄を行うことができる。 [0015]部材を洗浄浴内で洗うために,弁29が開放される。 これによって,作業チャンバ4に,蓄え容器28内で加熱された溶剤を送り込むことができる。浴洗浄の終了後,溶剤が,この場合に開放された弁33,34とフィルタ32とを介して流出させられ,ポンプ25を介して再び蓄え容器28内に返送されるようになっている。 [0016]蒸気脱脂を実施するために,弁3が開放される。これによって,蒸気発生器1内に存在する溶剤飽和蒸気が,管路2を介して作業チャンバ内に流れる。この作業チャンバ1内では,溶剤蒸気によって,洗浄すべき物品から,付着しているグリースまたはオイルが除去される。 上記の記載によれば,[0013]の段階で凝縮器8が減圧され,[0014]の段階で作業チャンバ4が減圧されることが理解される。その後,ワークの蒸気洗浄が作業チャンバ4内で行われることが理解される。 の記載によれば,[0013]の段階で凝縮器8が減圧され,[0014]の段階で作業チャンバ4が減圧されることが理解される。その後,ワークの蒸気洗浄が作業チャンバ4内で行われることが理解される。 ⑤ 乾燥洗浄後のワークの乾燥に関し[0017]~[0018]に次の記載がある。 「 」(訳)[0017]この洗浄ステップの終了時には,弁15が開放される。これによって,空冷式または水冷式の凝縮器8の凝縮圧に近似の圧力が達成されるまで,飽和蒸気が作業チャンバ4から凝縮器の部分8aに流れ,そこで,液化される。凝縮器8から流出した凝縮物は,水分離器22とポンプ25とを介して再び蓄え容器28に供給される。 [0018]作業チャンバ4と凝縮器8の部分8aとの間で圧力補償が生じると,弁15が閉鎖され,弁17が開放される。第 2の真空ポンプ18を介して,まだ作業チャンバ4内に存在している残りの溶剤蒸気が吸引され,圧縮機20によって圧縮される。この圧縮機20を介して圧力が増加させられ,こうして,残りの溶剤蒸気を空冷または水冷によって完全に凝縮させることができる。(後略)(ii) 甲51に示されている技術事項前記(i)の①~⑤の甲51の記載から,凝縮器8の部分8aが事前に独立して減圧されており,弁15が開弁されると,部分8aと作業チャンバ4との差圧によって,溶剤蒸気が作業チャンバ4から部分8aに吸引されることが理解される。 そうすると,甲51には,凝縮室(凝縮器8)が事前に減圧され,その後,開閉バルブ(バルブ15)によって洗浄室(作業チャンバ4)と連通されることによってワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5が開示 ルブ(バルブ15)によって洗浄室(作業チャンバ4)と連通されることによってワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5が開示されている。 (d) 甲52(特開2000-334402:2000年12月5日公開)(i) 甲52の記載① 技術分野甲52に記載の発明(以下「甲52発明」という。)は,石油系溶剤等により減圧蒸気洗浄を行う減圧蒸気洗浄装置に関する(【0001】)。 ② 実施例甲52の図1に甲52発明の実施例が開示されている。減圧蒸気洗浄装置1Aは,蒸気洗浄槽1で溶剤蒸気によりワークの減圧蒸気洗浄を行い,その後,真空乾燥を行う装置である(【0 032】~【0039】)。 図1に示された「1蒸気洗浄槽」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「3蒸発器用熱交換器」は本件特許発明1,5の「蒸気生成手段」に当たり,「4凝縮室」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「冷却水」は本件特許発明1,5の「温度保持手段」に当たり,「18蒸気洗浄槽真空引きバルブ」は本件特許発明1,5の「開閉バルブ」に当たり,「6真空ポンプ」は本件特許発明1,5の「真空ポンプ」に当たる。 ③ 凝縮器甲52には凝縮器4に関し,次の記載がある。 「【0029】蒸気洗浄槽1は,蒸気洗浄槽真空引きバルブ18と凝縮器4を介して,真空ポンプ6に接続されており,これで真空引きされる。凝縮器4は冷却水で冷却されており,真空引きされた溶剤蒸気は凝縮器4で凝縮し,溶剤に戻る。また蒸気洗浄槽1には,真空度を測定する真空計8と真空状態を解除するための大気ベントバルブ16とサイレンサー17がつけてある。」そして,真空乾燥時の動作として次の記載がある。 「【00 る。また蒸気洗浄槽1には,真空度を測定する真空計8と真空状態を解除するための大気ベントバルブ16とサイレンサー17がつけてある。」そして,真空乾燥時の動作として次の記載がある。 「【0037】所定の時間,減圧蒸気洗浄を行った後,溶剤供給バルブ10を閉じ,その後蒸気洗浄槽排液バルブ15を閉じ,真空ポンプ6を作動させ,蒸気洗浄槽真空引きバルブ18を開いて,真空乾燥を行う。この過程でも,被洗浄物,洗浄バスケット2,蒸気洗浄槽1,蒸発器用熱交換器3に付着している溶剤が気化し溶剤蒸気が発生するので,凝縮器4で凝縮回収を行う。」 ここでは,減圧蒸気洗浄後の真空乾燥時の動作は,真空ポンプ6を作動させて凝縮器4を減圧させた後,蒸気洗浄槽真空引きバルブ18が開弁されて蒸気洗浄槽1内の溶剤蒸気が凝縮器4に吸引され,凝縮されることが説明されている。 (ii) 甲52に示されている技術事項以上より,甲52には,凝縮室(凝縮器4)が事前に減圧され,開閉バルブ(蒸気洗浄槽真空引きバルブ18)によって洗浄室(蒸気洗浄槽1)を凝縮室(凝縮器4)と連通させてワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5が開示されている。 (e) 甲53(米国特許5045117:1991年9月3日公開)(i) 甲53の記載① 技術分野甲53に記載の発明(以下「甲53発明」という。)は,プリント配線アセンブリからロジンフラックス残渣を溶剤により洗浄する方法及び装置に関する(要約欄)。図1に甲53発明の実施例が開示されている。 ② 実施例図1に示された「12処理チャンバ」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「20コールドトラップ」は本件特許発明1,5の「凝縮 要約欄)。図1に甲53発明の実施例が開示されている。 ② 実施例図1に示された「12処理チャンバ」は本件特許発明1,5の洗浄室に当たり,「20コールドトラップ」は本件特許発明1,5の「凝縮室」に当たり,「35バルブ」は本件特許発明1,5の「開閉バルブ」に当たり,「16真空ポンプ」は本件特許発明1,5の「真空ポンプ」に当たる。 ③ コールドトラップ20甲53の3欄には次の記載がある。 「 」(訳)真空ポンプ16は,チャンバ12を約1mm水銀の部分真空まで排気するのに十分な種類の従来の真空ポンプを含む。真空保持タンク18は,真空ポンプ16に対する負荷を均等化し且つ処理チャンバ12内の減圧を加速するように,実質的な蓄圧器を提供するのに十分なサイズを有する。コールドトラップ20は冷却コイル76を含む。冷却コイル76は液体窒素により冷却され,溶剤を凝縮するように動作可能な非常に低い温度にトラップ20を維持するように構成される。 上記の記載から,コールドトラップ20が凝縮器であることが説明されている。 ④ コールドトラップ20の減圧甲53の5欄には,甲53発明の実施例の動作に関し,次の記載がある。 「 」(訳)システム10の動作を更に詳細に検討すると,SMDを含むプリント配線アセンブリは,はんだ付けの直後であってフラックス残渣が硬化する前に処理チャンバ12内のラック72に載置される。次に,チャンバ12内に真空を生成するためにチャンバ12が十分に密閉されるように,蓋70が所定の位置に固定され,全てのバルブが閉じられる。次 硬化する前に処理チャンバ12内のラック72に載置される。次に,チャンバ12内に真空を生成するためにチャンバ12が十分に密閉されるように,蓋70が所定の位置に固定され,全てのバルブが閉じられる。次に,処理動作を開始するためにシーケンサ/タイマ26が操作者により作動され,以降,処理動作はシーケンサ/タイマ26の制御下で進む。真空ポンプ16とチャンバ12との間に経路を提供するために,バルブ31,33及び35が開かれる。真空ポンプ16がオンにされ,1mm水銀に近い部分真空が達成されて真空計64により信号が送信されるまでチャンバ12から空気が抜き出さ れ,チャンバ12を密閉するためにバルブ33及び35が閉じられる。この時点で,フラックス残渣は,処理チャンバ12内のラック72上の配線アセンブリ上の閉じ込め空間から移動している。 ここでは,洗浄前の準備として真空ポンプ16により処理チャンバ12の真空引きがなされることが説明されている。処理チャンバ12の真空引きの際,凝縮器であるコールドトラップ20の両側のバルブ33,35が開弁されるので,コールドトラップ20も真空引きされる。その後,バルブ33,35が閉弁されることが記載されているので,コールドトラップ20内は真空引きされた状態が維持される。 ⑤ 処理チャンバ12内での浸漬洗浄後の溶剤の排出甲53には,前記④の記載に続いて次の記載がある。 「 」(訳)次に,バルブ51が開かれ,溶剤がタンク14から処理チャンバ12に流れ込み,チャンバが溶剤で再加圧されて,アセンブリ及びラック72が全方向に溶剤で満たされる。これ 」(訳)次に,バルブ51が開かれ,溶剤がタンク14から処理チャンバ12に流れ込み,チャンバが溶剤で再加圧されて,アセンブリ及びラック72が全方向に溶剤で満たされる。これにより,溶剤は,圧力差と毛管力の影響を受けて,他の状況ではアクセスできない閉じ込め領域に進入し,アセンブリ上のフラックス残渣を更に溶解して洗い流すことができる。尚,洗浄作用を促進するために溶剤を加熱してもよいが,これは必ずしも必要ではなく,実際,一部の溶剤は加熱が望ましくない場合がある。 処理チャンバ12が溶剤で満たされた後,バルブ51が閉じられ,ポンプ22及び24がオンにされるとバルブ53,43及び45が開かれる。溶剤は,ポンプ22によりチャンバ12に送り出され,管74に溢れ出し,更にポンプ24によりタンク14に送り戻されるため,タンク14とチャンバ12との間で循環される。それにより,溶剤は,ラック72上のアセンブリを通過して処理チャンバ12内で流動し,そのため,フラックス残渣の除去に有効な更なる洗浄作用を提供する。次に,ポンプ22の動作が停止すると,バルブ43が閉じられ,バルブ4 7が開かれる。流動溶剤は全て,ポンプ24により処理チャンバ12から保持タンク14に吸い出される。 ここでは,処理チャンバ12内で浸漬洗浄が行われた後,溶剤が処理チャンバ12から排出されることが説明されている。 ⑥ 処理チャンバ12から排出された溶剤蒸気のコールドトラップ20での凝縮甲53には,前記⑤の記載に続いて次の記載がある。 「 」(訳)その後,バルブ33及び35が再び開かれると,バルブ53,45及び47が閉じられる。このように, 」(訳)その後,バルブ33及び35が再び開かれると,バルブ53,45及び47が閉じられる。このように,チャンバ12内で1mm水銀に近い部分真空が再度達成されたと真空計64により検出されるまで,真空ポンプ16により処理チャンバから空気が再度吸い出される。これにより,溶剤が蒸発して処理室12から排出され,ラック72上の配線アセンブリに溶剤物質が存在しなくなる。 同時に,チャンバ12から吸い出された気相溶剤物質は,コ ールドトラップ20を通過し,そこで再利用のために凝縮及び収集される。(後略)ここでは,コールドトラップ20の両側のバルブ33,35が開弁され,処理チャンバ12内の溶剤蒸気が排出されることが説明されている。上記のとおり,コールドトラップ20は真空引きされた状態が維持されていたから,コールドトラップ20の両側のバルブ33,35を開弁した時に,コールドトラップ20内に溶剤蒸気が吸い込まれることは自明である。そして,溶剤蒸気の排出によりワーク(配線アセンブリ)に溶剤物質が存在しなくなると説明されているから,これはワークの乾燥に他ならない。また,処理チャンバ12から排出された溶剤蒸気がコールドトラップ20で凝縮されることも説明されている。 (ii) 甲53に示されている技術事項前記(i)①~⑥によれば,甲53には,凝縮室(コールドトラップ20)が事前に減圧され,その後,開閉バルブ(バルブ33)によって洗浄室(処理チャンバ12)と連通されることによってワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5が開示されている。 b 容易想到性 理チャンバ12)と連通されることによってワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5が開示されている。 b 容易想到性前記aのとおり,甲49~53には,凝縮室が事前に減圧され,その後,開閉バルブによって洗浄室と連通されることによってワーク乾燥する点,すなわち,本件特許発明1と甲10発明1の相違点1-2に係る本件特許発明1の構成,本件特許発明5と甲10発明5の相違点1-5に係る本件特許発明5の構成の構成が開示されており,これ は周知技術であった。そして甲10発明1~5と甲49~53に記載された周知技術は,同じ技術分野に属し,同種の装置に関する技術であって,これを甲10発明1~5に適用することに阻害事由はないから,甲49~53に開示された上記の周知技術を甲10発明1~5に適用することは容易に想到することができた。 そして,前記⑴ア(カ)a~dのとおり,本件特許発明2,本件特許発明3及び本件特許発明4はいずれも本件特許発明1を含むものであり,本件特許発明1と甲10発明1,本件特許発明2と甲10発明2,本件特許発明3と甲10発明3,本件特許発明4と甲10発明4との間の相違点1-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 また,前記⑴ア(カ)dのとおり,相違点1-3に係る本件特許発明4の構成は,甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであり,前記⑴ア(カ)eのとおり,相違点1-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 そのため,本件特許発明1~5は,甲10発明1 前記⑴ア(カ)eのとおり,相違点1-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 そのため,本件特許発明1~5は,甲10発明1~5に周知技術を適用することにより,容易に想到することができた。 c 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りである。 イ被告らの主張(ア) 本件審決の判断本件審決が原告主張のような判断をしたことは争わない。 (イ) 甲14に基づく容易想到性原告の主張は争う。 原告は,甲14の記載のうち,冷却タンク6が真空ポンプ10によって事前に減圧され,冷却コイル2によって低温状態に保持され,その後,バルブ29を開くことで,減圧タンク1と冷却タンク6との圧力差によって溶剤蒸気が冷却タンク6へ移動する旨の記載に基づいて,甲14に相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が開示されていると主張する。原告が指摘する甲14の上記記載は,甲14の【0028】に示されている。しかし,甲14において,乾燥工程は【0029】に示されており,【0028】に記載されているのは,乾燥工程の前段階の工程であって,乾燥工程自体ではない。そのため,甲14に,乾燥工程である相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が開示されているということはできない。 したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれに 相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が開示されているということはできない。 したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 (ウ) 周知技術に基づく容易想到性a 相違点に係る構成の開示甲49~53に原告主張の記載箇所があることは争わないが,その余の原告の主張は争う。 (a) 甲49甲49における有機溶剤の凝縮は,有害物質である有機溶剤を回収する手段であると同時に,洗浄工程における手段であって,甲49には,乾燥工程に凝縮作用を用いるという技術はまったく開示さ れていない。有機溶剤の回収・洗浄工程と乾燥工程とは相互に異なる工程であるから,甲49に乾燥工程にかかる構成である相違点1-2の構成が開示されているとはいえない。甲49には,真空ポンプを用いて密閉容器26を減圧することの開示もない。したがって,甲49には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は開示されていない。 (b) 甲50甲50に記載された技術は,フロン等の回収工程に関するものであり,本件特許発明における従来技術や主引例である甲10と同様に,真空ポンプによる吸引を行う技術であり,図1からも明らかなとおり,真空ポンプ(PV),凝縮器4及び処理チャンバー1は直列に繋がっており,凝縮器4と処理チャンバー1とを独立に減圧することはできない構造である。したがって,甲50には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は開示されていない。 (c) 甲51甲51に記載された技術は,フ できない構造である。したがって,甲50には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は開示されていない。 (c) 甲51甲51に記載された技術は,フロン等の回収工程に関するものであり,洗浄液の蒸留工程の前に真空ポンプを用いてシステム内の空気を除去することは記載されているが(【0013】),蒸留工程後に行われる洗浄工程においてシステム内の空気がどのような状態になっているかについての記載はなく,その詳細は不明である。また,甲51の課題は,比較的高価で保守の頻度が高い冷凍ユニットを省略すること,溶剤排出を少なくして手間のかかる濾過・回収システムなしでも洗浄を実施することにあり,そのために凝縮を利用しているのに対し,本件特許発明の課題は,熱処理部品のワーク(金属部品類)の洗浄時の乾燥時間の短縮化にあるから,甲51は本件特 許発明とは技術的な課題が異なる。したがって,甲51には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は開示されていない。 (d) 甲52甲52に記載された技術は,図1から明らかなとおり,洗浄室(1)と凝縮器(4)及び真空ポンプ6が直列に接続されており,洗浄室と凝縮器とを独立して減圧できる構造にはなっておらず,また,甲52の乾燥工程は,真空ポンプによる乾燥であって(甲52の【0037】),甲10などと同様の技術である。したがって,甲52には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は開示されていない。 (e) 甲53甲53に記載された技術は,プリント配線アセンブリからロジンフラックス残渣を洗浄するシステムに関する技術であり,石油系溶剤を用いる本件特許発明の洗浄装置とは 開示されていない。 (e) 甲53甲53に記載された技術は,プリント配線アセンブリからロジンフラックス残渣を洗浄するシステムに関する技術であり,石油系溶剤を用いる本件特許発明の洗浄装置とは技術分野が異なる。また,甲53に記載された装置は,真空ポンプ16,コールドトラップ20及び処理チャンバ12が直列に接続されて独立に減圧できない構造になっており,また,チャンバ12内の溶液の回収は,本件特許明細書の従来技術と同じく真空ポンプによるものである。したがって,甲53には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は開示されていない。 b 容易想到性原告の主張は争う。 特許無効審判の審決に対する審決取消訴訟においては,審判で審理判断されなかった公知事実を主張することは許されず(最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51年3月10日大法廷判決・民集30巻2 号79頁),審判の手続には現れていなかった資料に基づいて当業者の特許出願当時における技術常識又は周知技術を認定し,これによって審判の手続で審理判断された公知の発明又は刊行物記載の発明のもつ意義を明らかにすることが許されるにとどまる。ところが,本件において,甲49~53に示されていると原告が主張する相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成について,これらが当業者の本件特許の優先権主張日前の技術常識又は周知技術であったことは何ら立証されていないから,甲49~53に示されていると原告が主張する上記構成と刊行物記載の発明(甲10発明1~5)の組み合わせに基づく容易想到性を主張することは許されない。また,仮に容易想到性を検討し得るとしても,本件特許発明1,5の容易想到性は認められない。 c 構成と刊行物記載の発明(甲10発明1~5)の組み合わせに基づく容易想到性を主張することは許されない。また,仮に容易想到性を検討し得るとしても,本件特許発明1,5の容易想到性は認められない。 c 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(甲18を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由2関係))⑴ 取消事由2-1(相違点の認定の誤り及び原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り)ア原告の主張(ア) 本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2を認定した誤りa 本件審決は,本件特許発明1と甲18発明1の相違点2-2として,本件特許発明1は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲18発明1は,開閉バル ブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される点を相違点として認定する(前記第2,3⑶イ(ア)b(b))。しかし,本件特許発明1は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲18発明1と同様の構成を文言上含むものであるから,本件特許発明1と甲18発明1との間には,相違点2-2は存在せず,本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したのは誤りである。 b 本件特許発明1が,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の 相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したのは誤りである。 b 本件特許発明1が,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲18発明1と同様の構成を文言上含むと解される理由は,前記1⑴ア(ア)において相違点1-2について述べたのと同じである(ただし,「甲10」は「甲18」に改める。)。 (イ) 本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明2は本件特許発明1を含むものであり(前記第2,2【請求項2】),甲18発明2は甲18発明1を含むものであるところ(前記第2,3⑵イ(イ)),本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したのは誤りであるから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(イ)b)は誤りである。 (ウ) 本件特許発明3と甲18発明3の相違点として相違点2-2を認 定した誤り本件特許発明3は本件特許発明2を含み(前記第2,2【請求項3】),本件特許発明2は本件特許発明1を含むから(前記第2,2【請求項2】),本件特許発明3は本件特許発明1を含むものであり,甲18発明3は甲18発明2を含み(前記第2,3⑵イ(ウ)),甲18発明2は甲18発明1を含むから(前記第2,3⑵イ(イ)),甲18発明3は甲18発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したのは誤りであるから(前 18発明1を含むから(前記第2,3⑵イ(イ)),甲18発明3は甲18発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したのは誤りであるから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明3と甲18発明3の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(ウ)b)は誤りである。 (エ) 本件特許発明4と甲18発明4の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明4は本件特許発明1を含み(前記第2,2【請求項4】),甲18発明4は甲18発明1を含むところ(前記第2,3⑵イ(エ)),本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したのは誤りであるから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲18発明4の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(エ)b(a))は誤りである。 (オ) 本件特許発明5と甲18発明5の相違点として相違点2-5を認定した誤りa 本件審決は,本件特許発明5と甲18発明5の相違点2-5として,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲18発明5は,開閉バル ブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される点を認定する(前記第2,3⑶イ(オ)b(b))。しかし,本件特許発明5は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲18発明5 許発明5は,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲18発明5と同様の構成を文言上含むものであるから,本件特許発明5と甲18発明5との間には,相違点2-5は存在せず,本件審決が相違点2-5を本件特許発明5と甲18発明5の相違点として認定したのは誤りである。 b 本件特許発明5が,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されている構成のみならず,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲18発明5と同様の構成を文言上含むと解される理由は,前記1⑴ア(オ)において相違点1-5について述べたのと同じである(ただし,「甲10」は「甲18」に改める。)。 (カ) 原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤りa 本件特許発明1の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明1と甲18発明1は,相違点2-1及び相違点2-2において相違すると認定したが(前記第2,3⑶イ(ア)b),前記(ア)のとおり,相違点2-2は本件特許発明1と甲18発明1の相違点ではなく,また,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決93頁)。そのため,本件特許発明1は,甲18発明1及び甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,この点について,本件特許発明1は甲18発明1と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3 ⑷イ(ア))は誤りである。 b 本件特許発明2の進歩性判断の誤 許発明1は甲18発明1と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3 ⑷イ(ア))は誤りである。 b 本件特許発明2の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明2と甲18発明2は,相違点2-1及び相違点2-2において相違すると認定した(前記第2,3⑶イ(イ)b)が,aと同様の理由により,相違点2-2は相違点ではなく,また,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決93頁)から,本件特許発明2は甲18発明2と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷イ(イ))は誤りである。 c 本件特許発明3の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明3と甲18発明3は,相違点2-1及び相違点2-2において相違すると認定した(前記第2,3⑶イ(ウ)b)が,aと同様の理由により,相違点2-2は相違点ではなく,また,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決93頁)から,本件特許発明3は甲18発明3と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷イ(ウ))は誤りである。 d 本件特許発明4の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明4と甲18発明4は,相違点2-1,相違点2-2及び相違点2-3において相違すると認定した(前記第2,3⑶イ(エ)b)。しかし,相違点2-2は相違点ではなく,また,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであることはaと同 3⑶イ(エ)b)。しかし,相違点2-2は相違点ではなく,また,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであることはaと同様であり(本件審決93頁),相違点2-3に係る本件特許発明4の 構成は,甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決98~99頁)。 そのため,本件特許発明4は,甲18発明4並びに甲11~14に記載された周知技術及び甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,この点について,本件特許発明4は甲18発明4と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷イ(エ))は誤りである。 e 本件特許発明5の進歩性判断の誤り本件審決は,本件特許発明5と甲18発明5は,相違点2-4及び相違点2-5において相違すると認定した(前記第2,3⑶イ(オ)b)。 前記(オ)のとおり,相違点2-5は本件特許発明5と甲18発明5の相違点ではない。また,相違点2-4と相違点2-1は同じ内容であり,相違点2-4に係る本件特許発明5の構成(石油系溶剤)は,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成(石油系溶剤)と同じであって,相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから(本件審決93頁),相違点2-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決101頁)。そのため,本件特許発明5は,甲18発明5及び甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業 ,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった(本件審決101頁)。そのため,本件特許発明5は,甲18発明5及び甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,この点について,本件特許発明5は甲18発明5と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断(前記第2,3⑷イ(オ))は誤りである。 イ被告らの主張 原告の主張は争う。 (ア) 本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことに誤りはない。 本件審決の認定の趣旨は,凝縮室と洗浄室とを連通させる前の段階で凝縮室の減圧と冷却が行われているということであり,本件特許明細書等の記載や本件特許発明の仕組みに照らして相当な認定である。原告による解釈は,特許請求の範囲に従来技術を含むものであり,そのような不自然な解釈をあえて採用する合理的な理由はない。 (イ) 本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明2は本件特許発明1を含むものであり(前記第2,2【請求項2】),甲18発明2は甲18発明1を含むものであるところ(前記第2,3⑵イ(イ)),本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(イ)b)にも誤りはない。 (ウ) 本件特許発明3と甲18発明3の相違点と 2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(イ)b)にも誤りはない。 (ウ) 本件特許発明3と甲18発明3の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明3は本件特許発明2を含み(前記第2,2【請求項3】),本件特許発明2は本件特許発明1を含むから(前記第2,2【請求項2】),本件特許発明3は本件特許発明1を含むものであり,甲18発明3は甲18発明2を含み(前記第2,3⑵イ(ウ)),甲18発明2は甲18発明 1を含むから(前記第2,3⑵イ(イ)),甲18発明3は甲18発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明3と甲18発明3の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(ウ)b)にも誤りはない。 (エ) 本件特許発明4と甲18発明4の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明4は本件特許発明1を含み(前記第2,2【請求項4】),甲18発明4は甲18発明1を含むところ(前記第2,3⑵イ(エ)),本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲18発明4の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(エ)b(a))にも誤りはない。 (オ) 本件特許発明5と甲18発明5の相違点として相違点2-5を認定した誤り 許発明4と甲18発明4の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(エ)b(a))にも誤りはない。 (オ) 本件特許発明5と甲18発明5の相違点として相違点2-5を認定した誤り本件審決が相違点2-5を本件特許発明5と甲18発明5の相違点として認定したことに誤りはない。 この点に関する被告らの主張は,相違点2-2に関する主張(前記(ア))と同じである。 (カ) 原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り原告は,本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことが誤りであるとの主張を前提に,本件特許発明1~4について,甲18発明1~4と甲11~17に基づいて容易に 想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りであると主張する。しかし,前記(ア)のとおり,本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことに誤りはないから,原告の上記主張は理由がない。 また,原告は,本件審決が相違点2-5を本件特許発明5と甲18発明5の相違点として認定したことが誤りであるとの主張を前提に,本件特許発明5について,甲18発明5と甲11~17に基づいて容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りであると主張する。しかし,前記(オ)のとおり,本件審決が相違点2-5を本件特許発明5と甲18発明5の相違点として認定したことに誤りはないから,原告の上記主張は理由がない。 ⑵ 取消事由2-2(本件審決が認定する相違点(相違点2-2,2-5)の存在を前提とする進歩性判断の誤り)ア原告の主張(ア) 本件審決の判断本件審決は,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2を認定し,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成は 存在を前提とする進歩性判断の誤り)ア原告の主張(ア) 本件審決の判断本件審決は,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2を認定し,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明1は容易に想到することはできなかったとした(本件審決93~96頁)。また,本件特許発明2~4(いずれも本件特許発明1を含む。)と甲18発明2~4(いずれも甲18発明1を含む。)の相違点として相違点2-2を認定し,上記と同様に,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明2~4は容易に想到することはできなかったとした(本件審決96~99頁)。さらに,本件審決は,本件特許発明5と甲18発明5の相違点として相違点2-5を認定し,相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のい ずれにも開示されていないから,本件特許発明5は容易に想到することはできなかったとした(本件審決99~102頁)。 (イ) 甲14に基づく容易想到性a 相違点に係る構成の開示しかし,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は,前記1⑵ア(イ)aのとおり,甲14に開示されている。 b 容易想到性甲18発明1~5と甲14に記載された構成は,同じ技術分野に属し,同種の装置に関する技術であるから,甲14に記載された構成を甲18発明1~5に適用することは容易に想到することができた。 そして,前記⑴ア(カ)a~dのとおり,本件特許発明2,本件特許発明3及び本件特許発明4はいずれも本件特許発明1を含むものであり,本件特許発明1と甲18発明1,本件特許発明2と甲18発明2,本件特許発明3と甲18発明3 a~dのとおり,本件特許発明2,本件特許発明3及び本件特許発明4はいずれも本件特許発明1を含むものであり,本件特許発明1と甲18発明1,本件特許発明2と甲18発明2,本件特許発明3と甲18発明3,本件特許発明4と甲18発明4との間の相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 また,前記⑴ア(カ)dのとおり,相違点2-3に係る本件特許発明4の構成は,甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであり,前記⑴ア(カ)eのとおり,相違点2-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 そのため,本件特許発明1~5は,甲18発明1~5に甲14に記載された技術事項及び周知技術を適用することにより,容易に想到することができた。 c 審決の判断の誤りの有無 したがって,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りである。 (ウ) 周知技術に基づく容易想到性a 相違点に係る構成の開示相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は,前記1⑵ア(ウ)aのとおり,複数の文献(甲49~53)に開示された周知技術である。 b 容易想到性前記aのとおり,本件特許発明1と甲18発明1の相違点2-2に係る本件特許発明1の構成,本件特許発明5と甲18発明5の相違点2-5に係る本件特許発明5の構成が開示されているところ,甲18発明1~5と甲49~53に 本件特許発明1と甲18発明1の相違点2-2に係る本件特許発明1の構成,本件特許発明5と甲18発明5の相違点2-5に係る本件特許発明5の構成が開示されているところ,甲18発明1~5と甲49~53に記載された周知技術は,同じ技術分野に属し,同種の装置に関する技術であって,これを甲18発明1~5に適用することに阻害事由はないから,甲49~53に開示された上記の周知技術を甲18発明1~5に適用することは容易に想到することができた。 そして,前記⑴ア(カ)a~dのとおり,本件特許発明2,本件特許発明3及び本件特許発明4はいずれも本件特許発明1を含むものであり,本件特許発明1と甲18発明1,本件特許発明2と甲18発明2,本件特許発明3と甲18発明3,本件特許発明4と甲18発明4との間の相違点2-1に係る本件特許発明1の構成は,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 また,前記⑴ア(カ)dのとおり,相違点2-3に係る本件特許発明4の構成は,甲13,15,16の1,17に記載された周知技術に基づ いて当業者が容易に想到し得るものであり,前記⑴ア(カ)eのとおり,相違点2-4に係る本件特許発明5の構成も,甲11~14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであった。 そのため,本件特許発明1~5は,甲18発明1~5に周知技術を適用することにより,容易に想到することができた。 c 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することができなかったとした本件審決の判断は誤りである。 イ被告らの主張(ア) 本件審決の判断 件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することができなかったとした本件審決の判断は誤りである。 イ被告らの主張(ア) 本件審決の判断本件審決が原告主張のような判断をしたことは争わない。 (イ) 甲14に基づく容易想到性原告の主張は争う。 前記1⑵イ(イ)において述べたのと同様の理由により,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 (ウ) 周知技術に基づく容易想到性a 相違点に係る構成の開示甲49~53に原告主張の記載箇所があることは争わないが,その余の原告の主張は争う。 前記1⑵イ(ウ)a(a)~(e)において述べたのと同様の理由により,甲49~53には,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違 点2-5に係る本件特許発明5の構成は開示されていない。 b 容易想到性原告の主張は争う。 前記1⑵イ(ウ)bにおいて述べたのと同様の理由により,甲49~53に示されていると原告が主張する構成と刊行物記載の発明(甲18発明1~5)の組み合わせに基づく容易想到性を主張することは許されない。また,仮に容易想到性を検討し得るとしても,本件特許発明1,5の容易想到性は認められない。 c 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 3 取消事由3(分割要件に 2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 3 取消事由3(分割要件に関する判断の誤り(無効理由3関係))⑴ 原告の主張ア原出願に示されていた技術的事項(ア) 原出願の当初明細書等(甲6)には,洗浄後に凝縮室を減圧しないこと,及び真空ポンプを用いずにワークを乾燥させることのみが開示されていた。その理由は,次の(イ)のとおりである。 (イ)a 原出願の当初の特許請求の範囲には,「洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく」(請求項1及び3),「真空ポンプを寄与させることなく」(請求項2及び4)との記載があった。 b 原出願の当初明細書の【0005】,【0006】には,従来技術では,洗浄後の乾燥工程において,真空ポンプの排気によって洗浄室を減圧し,洗浄室内の溶剤蒸気を真空ポンプで吸引してワークの乾燥を行っていたところ,これでは乾燥時間が長くなるということが,発明 の課題として示されている。 このような課題の解決手段として,原出願の当初明細書等には,【図1】に第1実施形態として装置の構成例が開示され,【0021】,【0022】,【0024】において,凝縮室21が準備工程において1回だけ真空ポンプ10により減圧され,減圧の状態が維持されることが示されている。 そして,【0028】,【0029】,【0039】に乾燥工程が示されているところ,真空ポンプ10は,上記の準備工程における減圧にのみ用いられているだけであり,凝縮室21を洗浄室2と連通させて洗浄室2内の溶剤蒸気を吸引させるという乾燥工程においては,真空ポンプ10が使用されることはない。また,【0039】では,乾燥工程に真空ポンプ1 れているだけであり,凝縮室21を洗浄室2と連通させて洗浄室2内の溶剤蒸気を吸引させるという乾燥工程においては,真空ポンプ10が使用されることはない。また,【0039】では,乾燥工程に真空ポンプ10を用いないことから,真空ポンプが多量の蒸気を吸引することはなく,多量の蒸気の吸引に対応した特殊仕様の真空ポンプを用いることがないことが強調されている。 原出願の当初明細書等には,【図7】に第2実施形態として装置の構成例が開示されている。そして,【0044】,【0045】,【0046】,【0051】には,第2実施形態の装置の動作について記載されているところ,第2実施形態においても,真空ポンプ10は,準備工程における減圧にのみ用いられているだけであり,凝縮室21を洗浄室2と連通させて洗浄室2内の溶剤蒸気を吸引させるという乾燥工程においては,真空ポンプ10が使用されることはない。 原出願の当初明細書等の上記記載や【図3】~【図6】の実験データによれば,原出願の当初明細書等における課題の解決原理は,大容量の凝縮室を予め減圧しておき,その凝縮室の負圧吸引力によって洗浄室内の溶剤蒸気の排出を一気に行い,凝縮室の冷却により溶剤蒸気を凝縮させることによって凝縮室の負圧吸引力を継続させ,真空ポン プによる排気,すなわち乾燥工程における凝縮室の減圧を不要としたものであった。 原出願の当初明細書等(甲6)には,乾燥工程において凝縮室を減圧することや乾燥工程において真空ポンプを使用することについての記載や示唆はまったくない。 イ本件特許の特許請求の範囲に示されている技術事項本件特許請求の範囲(本件特許の特許請求の範囲は,平成28年7月26日の本件特許の出願当初から変更がない。)においては,原出願の当初の特許請求の範囲に 特許の特許請求の範囲に示されている技術事項本件特許請求の範囲(本件特許の特許請求の範囲は,平成28年7月26日の本件特許の出願当初から変更がない。)においては,原出願の当初の特許請求の範囲に記載されていた「洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく」(請求項1及び3)及び「真空ポンプを寄与させることなく」(請求項2及び4)という要件が削除されており,洗浄後に凝縮室を減圧すること,及び真空ポンプを用いてワークを乾燥させることを含む発明が記載されている。 ウ新規事項の追加本件特許請求の範囲に記載された発明は,分割により,原出願の当初の特許請求の範囲の「洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく」(請求項1及び3)及び「真空ポンプを寄与させることなく」(請求項2及び4)という要件を削除して,原出願の当初の特許請求の範囲に記載されていた発明を上位概念化し,原出願の当初明細書等に記載されていなかった,洗浄後に凝縮室を減圧することによりワークを乾燥させる構成,及び真空ポンプを用いてワークを乾燥させる構成を含むようにしたものである。そのため,本件特許請求の範囲に記載された発明は,原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内にはなく,分割により新規事項が追加されたものである。 エ新規性,進歩性の欠如本件特許出願には分割要件違反があるから,その出願日は原々々出願の出願日である平成24年11月20日(優先権主張平成23年11月2 5日)に遡及せず,本件特許の出願日は,現実の出願日である平成28年7月26日である。本件特許発明1~5は,原々々出願の公開公報である甲7(平成25年(2013年)5月30日国際公開)に記載されており,又は甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであり,新規性を欠き,特許法 5は,原々々出願の公開公報である甲7(平成25年(2013年)5月30日国際公開)に記載されており,又は甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであり,新規性を欠き,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができず,又は進歩性を欠き,同条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,本件特許出願に分割要件違反がないとしてその出願日が原々々出願の出願日である平成24年11月20日(優先権主張平成23年11月25日)に遡及するとし,甲7に記載された発明は特許法29条1項3号の発明に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 ⑵ 被告らの主張原告の主張は争う。 原告は,原出願の当初明細書等には,洗浄後に凝縮室を減圧しないこと,及び真空ポンプを用いずにワークを乾燥させることのみが開示されていたと主張する。しかし,原出願の当初明細書等には,真空ポンプにより減圧して低い温度に保持した凝縮室を洗浄後に洗浄室と連通してワークを乾燥させることは記載されていたが,それに加えて蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与させることについては,そのようなことをするか否かについて何らの限定もされていなかった。 そのため,原告の上記主張は理由がない。 本件特許出願は,分割により新規事項を追加するものではなく,分割の要件を充足するものであるから,本件特許発明1~5は,本件特許出願が分割の要件を充足しないことにより新規性,進歩性を欠くことはない。そのため,本件特許出願に分割要件違反がないとしてその出願日が原々々出願の出願日である平成24年11月20日(優先権主張平成23年11月25日)に 遡及するとし,甲7に記載された発明は特許法29条1項3号の 要件違反がないとしてその出願日が原々々出願の出願日である平成24年11月20日(優先権主張平成23年11月25日)に 遡及するとし,甲7に記載された発明は特許法29条1項3号の発明に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。 4 取消事由4(実施可能要件に関する判断の誤り(無効理由4関係))⑴ 原告の主張ア本件特許発明1(ア) 本件特許発明1の構成要件Gの「前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる」について,発明の詳細な説明には本件特許発明1に含まれる特定の実施形態のみが開示されているものの,次の(イ)のとおり,他の実施形態は不明である。そのため,本件特許発明1に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件を充足しない。 (イ)a 本件特許明細書には,乾燥前にどの程度の圧力差を作っておけばワークの乾燥に要する時間を短縮することができるのか例示されていない。 b 本件特許発明1の構成要件Gの「前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる」という程度の記載では,乾燥の際に,洗浄室と凝縮室との差圧が微差であり,ワークの乾燥時間を短縮させる程の溶剤蒸気の移動を生じない態様も含んでいるだけでなく,乾燥の際に,洗浄室が凝縮室よりも低圧の場合,つまり,溶剤蒸気を洗浄室が吸い込むという課題解決に矛盾する態様もその発明の範囲に含んでいるが,その場合に,どのような形態であれば,ワークの乾燥時間を短縮させることができるのかという実施形態は実施可能に開示されていない。 c 加えて,請求項1の上記記載では,開弁後に作動される真空ポンプで真空引きして乾燥する態様も包含しているが,真空ポン 時間を短縮させることができるのかという実施形態は実施可能に開示されていない。 c 加えて,請求項1の上記記載では,開弁後に作動される真空ポンプで真空引きして乾燥する態様も包含しているが,真空ポンプをどのよ うに用いれば,ワークの乾燥時間を短縮させることができるのかという実施形態も実施可能に開示されていない。 d また,請求項1には,「前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段」,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させて」としか規定されておらず,本件特許発明1には凝縮室が溶剤の凝縮点温度よりも高い温度に維持される態様が含まれるが,凝縮室が凝縮点温度よりも高い温度の場合,十分な凝縮は行われないのであり,それにもかかわらずどのようにしてワークの乾燥時間を短縮させることができるのかという実施形態も実施可能に開示されていない。 e さらに,本件特許の請求項1の記載では,洗浄室と凝縮室との間の容積の関係も規定されていないため,凝縮室の容積が小さく,洗浄室内の溶剤蒸気をわずかに吸い込んだだけで凝縮室内が溶剤蒸気で満杯になり,凝縮が間に合わずに凝縮室の圧力を上昇させ,溶剤蒸気の移動が直ぐに停止する場合もその範囲に含んでおり,その場合に,どのようにしてワークの乾燥時間を短縮させることができるのかという実施形態も実施可能に開示されていない。 (ウ) したがって,本件特許発明1に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件を満たすとした本件審決の判断は誤りである。 イ本件特許発明2~4本件特許発明2~4は本件特許発明1を含み,前記アのとおり本件特許発明1に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件に違反しているから,本件特許発明2~4に係る特許も実施可能要件に違反している。 したが 発明2~4は本件特許発明1を含み,前記アのとおり本件特許発明1に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件に違反しているから,本件特許発明2~4に係る特許も実施可能要件に違反している。 したがって,本件特許発明2~4に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件を満たすとした本件審決の判断は誤りである。 ウ本件特許発明5 本件特許発明5の構成要件Oの「開閉バルブを開弁することにより前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程」についても,本件特許発明1の構成要件Gと同様に,発明の詳細な説明には特定の実施形態のみが開示されているものの,本件特許発明1におけるのと同様に他の実施形態は不明である。そのため,本件特許発明5に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件に違反している。 したがって,本件特許発明5に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件を満たすとした本件審決の判断は誤りである。 ⑵ 被告らの主張原告の主張は争う。 本件特許発明は,洗浄室と凝縮室に圧力差・温度差を設けて乾燥させる技術であるから,乾燥ができる圧力差・温度差があれば足り,容積や伝熱面積等の具体的な条件は当業者が適宜設定すれば足りる事項である。そのため,そのような条件の開示がないとしても,実施可能要件違反になるはずがなく,本件特許発明1~5に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件を充足する。 したがって,本件特許発明1~5に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件を満たすとした本件審決の判断に誤りはない。 5 取消事由5(サポート要件に関する判断の誤り(無効理由5関係))⑴ 原告の主張ア本件特許発明1(ア) 本件特許の請求項1の構成要件Gにおける「前記開 した本件審決の判断に誤りはない。 5 取消事由5(サポート要件に関する判断の誤り(無効理由5関係))⑴ 原告の主張ア本件特許発明1(ア) 本件特許の請求項1の構成要件Gにおける「前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる」との記載は,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されたものでは なく,次の(イ)のとおり,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものであり,特許法36条6項1号のサポート要件を充足しない。 (イ)a 本件特許発明1は,凝縮室について「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持される凝縮室」(構成要件D)と規定し,減圧の程度が規定されておらず,乾燥の際の洗浄室と凝縮室との差圧は不明である。 b 本件特許発明1の構成要件Gの「前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる」という程度の記載では,乾燥の際に,洗浄室と凝縮室との差圧が微差であり,ワークの乾燥時間を短縮させる程の溶剤蒸気の移動を生じない態様も含んでいるだけでなく,乾燥の際に,洗浄室が凝縮室よりも低圧の場合,つまり,溶剤蒸気を洗浄室が吸い込むという課題解決に矛盾する態様もその発明の範囲に含んでいる。 c 加えて,請求項1の上記記載では,開弁後に作動される真空ポンプで真空引きして乾燥する態様も包含しているが,これは本件特許発明が従来技術として位置付ける態様である(甲1【0005】)。 d また,請求項1には,「前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段」,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させて」としか ける態様である(甲1【0005】)。 d また,請求項1には,「前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段」,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させて」としか規定されておらず,凝縮室が洗浄室よりも低い温度であることを要求するのみで,溶剤の凝縮に必須となる溶剤の凝縮点温度との関係も規定されていない。 e さらに,請求項1の記載では,洗浄室と凝縮室との間の容積の関係も規定されていないため,凝縮室の容積が小さく,洗浄室内の溶剤蒸気をわずかに吸い込んだだけで凝縮室内が溶剤蒸気で満杯になり,凝縮が間に合わずに凝縮室の圧力を上昇させ,溶剤蒸気の移動が直ぐに 停止する場合もその範囲に含んでいる。 (ウ) したがって,本件特許発明1に係る特許は特許法36条6項1号のサポート要件を満たすとした本件審決の判断は誤りである。 イ本件特許発明2~4本件特許発明2~4は本件特許発明1を含み,前記アのとおり本件特許発明1に係る特許は特許法36条6項1号のサポート要件を充足しないから,本件特許発明2~4に係る特許もサポート要件を充足しない。 したがって,本件特許発明2~4に係る特許は特許法36条6項1号のサポート要件を満たすとした本件審決の判断は誤りである。 ウ本件特許発明5本件特許発明5の構成要件Oの「開閉バルブを開弁することにより前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程」との記載は,本件特許発明1の構成要件Gと同様に,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されたものではなく,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものであり,特許法36条6項1号のサポート要件を充足しない。 したがって,本 された,発明の課題を解決するための手段が反映されたものではなく,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものであり,特許法36条6項1号のサポート要件を充足しない。 したがって,本件特許発明5に係る特許は特許法36条6項1号のサポート要件を満たすとした本件審決の判断は誤りである。 ⑵ 被告らの主張原告の主張は争う。 本件特許明細書の発明の詳細な説明には,ワークの乾燥に要する時間を短縮して全体の処理能力を向上するという課題を解決するための手段として,真空洗浄装置の一連の処理工程が具体的に開示されているから,特許請求の範囲に記載された発明は,発明の詳細な説明に記載されており,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲 のものであるといえる。したがって,本件特許発明1~5に係る特許はサポート要件を充足している。 したがって,本件特許発明1~5に係る特許は特許法36条6項1号のサポート要件を満たすとした本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(甲10を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由1関係))⑴ 取消事由1-1(相違点の認定の誤り及び原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り)についてア本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2を認定した誤り(ア) 本件審決が認定した相違点1-2(前記第2,3⑶ア(ア)b(b))の趣旨は,本件特許発明1は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲10発明1は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されることであると認められる(この点は原告の主張にも合致する。前記第3,1⑴ア(ア))。当裁判所は,本件審決が本 のに対し,甲10発明1は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されることであると認められる(この点は原告の主張にも合致する。前記第3,1⑴ア(ア))。当裁判所は,本件審決が本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2を認定したことに誤りはないものと判断する。その理由は,次の(イ),(ウ)のとおりである。 (イ)a 本件特許発明1の乾燥の手順本件特許発明1の構成要件Gは「前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後,前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる」であり,その記載によれば,本件特許発明1は,洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させているものと認められるところ,本件特許の請求項1(本件特許発明1)のうち,凝縮室について言及しているのは,構成要件D~Gである。 このうち構成要件Dは,「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持される凝縮室と,」であり,「保持」とは,「たもちつづけること」(広辞苑第7版)を意味するから,構成要件Dには,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態がたもちつづけられる凝縮室が示されている。構成要件Eは,「前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段と,」であり,「前記凝縮室」とは,その前に記載された,構成要件Dの凝縮室(真空ポンプによって減圧され,減圧の状態がたもちつづけられる凝縮室)を指すものと認められるから,構成要件Eは,真空ポンプによって減圧された状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける温度保持手段を示すものと認められる。構成要件Fは,「前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させ,または,その連通を遮断する開閉バルブと,を備 態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける温度保持手段を示すものと認められる。構成要件Fは,「前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させ,または,その連通を遮断する開閉バルブと,を備え,」であり,凝縮室と洗浄室とを連通させ又はその連通を遮断する開閉バルブを備えることが示されている。 構成要件Gは,その記載からして,本件特許発明1の真空洗浄装置において,乾燥がどのような手順で行われるかを示すものと認められ,「前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後,前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる」との文言であることから,ワークを洗浄した後,洗浄室を凝縮室と連通させてワークを乾燥させることが記載されているものと認められる。そして,構成要件Gには,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室」と記載されているところ,上記のとおり,構成要件Dには,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態がたもちつづけられる凝縮室が示されており,構成要件Eには,真空ポンプによって減圧された状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける温度保持手段が示さ れていることからすると,構成要件Gの「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室」とは,真空ポンプによって減圧されて減圧の状態をたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられた凝縮室を意味するものと認められる。そうすると,構成要件Gは,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧されて減圧の状態をたもちつづけており,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,そのような凝縮室が,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と連通されることによりワ 真空ポンプによって減圧されて減圧の状態をたもちつづけており,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,そのような凝縮室が,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と連通されることによりワークを乾燥させることが記載されているものと認められる。したがって,ワークの乾燥について,本件特許発明1は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているものであり,本件審決が認定した相違点1-2の文言によれば,「当該減圧の状態が保持される」凝縮室を備え,開閉バルブによって洗浄室を「前記凝縮室と連通させて」乾燥させている,との構成を備えるものであると認められる。 b 甲10発明1における乾燥の手順他方,甲10発明1は,乾燥の手順に関し,「洗浄蒸気が前記蒸気洗浄部3に流動し,前記被洗浄物5を減圧蒸気洗浄した後,前記バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して,前記蒸気洗浄部3内を急速に減圧することにより前記被洗浄物5に付着した前記洗浄液7を急速に乾燥させ,その際,前記蒸気洗浄部3内に残留していた洗浄蒸気が,前記第1電磁弁17を介して前記凝縮器15に移動し,凝縮液化する洗浄装置。」(前記第2,3⑵ア(ア),当事者間に争いがない。)であり,本件審決が認定した相違点1-2の文言によれば,「バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して被洗浄物5に付着した洗浄液7を乾燥させており,第1電磁弁17によって蒸気 洗浄部3を減圧の状態が保持された凝縮器15と連通させて乾燥させているとはいえない」というものであり,ワークの乾燥について,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されるものであると認められる。 c 相違点1-2の存在そうすると,本件特許発明1と甲10発明 」というものであり,ワークの乾燥について,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されるものであると認められる。 c 相違点1-2の存在そうすると,本件特許発明1と甲10発明1との間には,本件特許発明1は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲10発明1は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されるという相違点1-2が存在するものと認められる。 (ウ) 原告の主張に対する判断a 凝縮室の減圧のタイミングが文言上限定されていないこと,及び凝縮室の減圧と,低い温度に保持することの先後関係に関する主張について原告は,本件特許発明1の特許請求の範囲の請求項1には,凝縮室の減圧のタイミングは文言上何ら限定されていない旨(前記第3,1⑴ア(ア)b(a)),及び,本件特許発明1は,構成要件D所定の「凝縮室」と構成要件E所定の「温度保持手段」という構成をそれぞれ別個に備えていればよいのであり,凝縮室について行われる「減圧」(構成要件D)と,温度保持手段により行われる「温度の保持」(構成要件E)について,審決がいうように「減圧」が必ずしも「温度の保持」よりも先に行われている必要はない旨(前記第3,1⑴ア(ア)b(b)(i))を主張する。 しかし,前記(イ)aのとおり,構成要件Eの「前記凝縮室」とは,構成要件Dに記載された凝縮室(真空ポンプによって減圧され,減圧の状態がたもちつづけられる凝縮室)を指すものと認められるのである から,当業者であれば,構成要件Eは,真空ポンプによって減圧された状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける温度保持手段を示すものと理解するのが自然である。この点について原告は,構成要件Eの れば,構成要件Eは,真空ポンプによって減圧された状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける温度保持手段を示すものと理解するのが自然である。この点について原告は,構成要件Eの「前記凝縮室」が当該減圧・保持が既に行われている凝縮室を意味することにしたいのであれば,出願人である被告ら(被請求人ら)は,構成要件Eを,例えば,「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持された前記凝縮室を」等と記載したはずであり,そうではなく現状の構成要件D及びEのように記載した以上,上記で主張したように先後関係を問わないものとして要旨認定されるべきであると主張する(前記第3,1⑴ア(ア)b(b)(i))。 しかし,構成要件Eにおいて,「前記凝縮室」と,構成要件Dに記載された凝縮室を指す文言が使用されていることからすると,構成要件Eは,真空ポンプによって減圧された状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける温度保持手段を示すものと解するのが,文言に即した自然な解釈であるものと認められるのであるから,それ以上の限定文言を付け加える必要は認められない。加えて,構成要件Dにおいては,「減圧の状態が保持される凝縮室」とされ,構成要件Eにおいては,凝縮室を「低い温度に保持する」とされ,凝縮室を減圧して低い温度にある程度の時間たもちつづけることが示されており,構成要件Gにおいては,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室」として,連通前に凝縮室が既にある程度の時間低い温度にたもちつづけられていることが記載されていることからしても,洗浄室との連通による乾燥の前に,凝縮室は減圧され,低い温度にたもちつづけられているものと認められる。原告は,構成要件E,F,Gの「洗浄室」は,工程の前後について何らの限定のない「洗浄 からしても,洗浄室との連通による乾燥の前に,凝縮室は減圧され,低い温度にたもちつづけられているものと認められる。原告は,構成要件E,F,Gの「洗浄室」は,工程の前後について何らの限定のない「洗浄室」を意味すると解釈すべきであるとし,構成要件D,E,F,Gの「凝 縮室」も工程の前後について何らの限定のない「凝縮室」と解釈すべきであると主張するが(前記第3,1⑴ア(ア)b(b)(ii)),このような原告の主張は,構成要件D,Eに「保持される」,「保持する」という文言が使用され,構成要件Gにおいて「保持された前記凝縮室」という文言が使用されていることを考慮しないものであり,特許請求の範囲の解釈として採用することができない。 b 発明の詳細な説明の記載について原告は,本件審決が,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載との関係に関し,本件審決による本件特許発明1の解釈は,発明の詳細な説明の記載とも整合するものであると判断したこと(本件審決46~47頁)について,特許発明の要旨の認定は,原則として特許請求の範囲の記載に基づいて行わなければならず,本件特許発明につき発明の詳細な説明の記載を参酌すべき特段の事由はないから,発明の詳細な説明の記載との関係に関する本件審決の判断は誤りである旨主張する(前記第3,1⑴ア(ア)b(c))。 しかし,前記(イ)aのとおり,特許請求の範囲の解釈に基づき,構成要件Gには,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧されて減圧の状態にたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させることが記載されているものと認められ,言い換えれば,凝縮室は,開閉バルブによって洗浄室と連通され たもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させることが記載されているものと認められ,言い換えれば,凝縮室は,開閉バルブによって洗浄室と連通される前に減圧の状態に保持され,洗浄室よりも低い温度に保持され,洗浄室を前記凝縮室と連通させることによりワークの乾燥を生じさせるものであると解される。そして,本件審決が述べるとおり,本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】,【0006】によると,本件特許発明が解決しようとする課題は,乾 燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧する従来の真空洗浄装置及び真空洗浄方法では,乾燥工程に長時間を要するところ,ワークの乾燥に要する時間を短縮して全体の処理能力を向上することができる真空洗浄装置及び真空洗浄方法を提供するというものであり,その課題を解決するために,発明の詳細な説明の段落【0023】~【0031】には,準備工程で減圧され,減圧状態で洗浄室2よりも低い温度に保持された凝縮室21と,搬入工程でワークWが搬入され,減圧工程及び蒸気洗浄工程を経て高温の蒸気が充満された洗浄室2とを,乾燥工程において,開閉バルブ20を開弁して連通させることによって,洗浄室2内に充満している蒸気が凝縮室21に移動して凝縮し,ワークWを乾燥させるという真空洗浄装置の一連の処理工程が記載されている。そのため,上記の本件特許発明1の解釈は,本件特許明細書の発明の詳細な説明と整合するものと認められ,この点に関する本件審決の判断は相当であるものと認められる。 本件審決は,請求の範囲の正当な解釈から導かれる結論が,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載からも裏付けられることを示したのにとどまり,同明細書記載の実施例によって特許請求の るものと認められる。 本件審決は,請求の範囲の正当な解釈から導かれる結論が,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載からも裏付けられることを示したのにとどまり,同明細書記載の実施例によって特許請求の範囲の解釈を限定するようなものではないから,原告の上記主張は,採用することができない。 c 原告の主張に関する本件審決の判断について原告は,本件審決が,原告の主張に関して,原告のように解釈したならば,「本件特許発明1が,本件特許明細書に従来技術として記載されている,乾燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧するものを含むことになり,前述した本件特許発明が解決しようとする課題を解決できないものとなる。すると,請求人の主張する本件特許発明1の解釈は,不自然な解釈といわざるを得ない。」 (本件審決47頁)と判断したことについて,本件特許発明1が課題を解決できない従来技術を包含していることは,特許請求の範囲の記載に不備があることが原因であり,その責は不備のある特許請求の範囲の記載を行った出願人,特許権者である被告らが負うべきであって,審決が,本件特許発明1の特許請求の範囲の記載を敢えて無視して,従来技術と区別できるように要旨を認定したことは背理であるとし,現に,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのが本件特許発明1の要旨であるというのであれば,出願人であった被告らは,文字通りそのように特許請求の範囲を記載すればよかったのであり,それが特段困難なものでもないにもかかわらず,事前に凝縮室が減圧されるという限定のない広範な記載を出願人が敢えて選択したのであるから,無効審判においても文言通りに要旨が認定されるべきであると主張する(前記第3,1⑴ア(ア)b(d))。 しかし,前記(イ)aのとお るという限定のない広範な記載を出願人が敢えて選択したのであるから,無効審判においても文言通りに要旨が認定されるべきであると主張する(前記第3,1⑴ア(ア)b(d))。 しかし,前記(イ)aのとおり,本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載によれば,本件特許発明1は,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧されて減圧の状態にたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させるものである(構成要件G)と認められる。請求項1の記載によれば,本件特許発明1は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明1と同様の構成を含むと解釈することはできないから(すなわち,前記aのとおり,原告主張の文言解釈は採用できない。),原告の上記主張は,採用することができない。原告が指摘する本件審決の判断(本件審決47頁)は,本件特許発明が従来技術を含むとすれば,本件特許発明は,乾燥工程に長時間を要するという従来技術の 課題を解決することができなくなることを述べたものであり,その判断に誤りがあるとは認められず,原告の上記主張を採用することはできない。 イ本件特許発明2と甲10発明2の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件特許発明2は本件特許発明1を含むものであり(前記第2,2【請求項2】),甲10発明2は甲10発明1を含むものであるところ(前記第2,3⑵ア(イ)),本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記ア(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認 ⑵ア(イ)),本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記ア(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲10発明2の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(イ)b)に誤りはない。 ウ本件特許発明3と甲10発明3の相違点として相違点1-2を認定した誤り本件特許発明3は本件特許発明2を含み(前記第2,2【請求項3】),本件特許発明2は本件特許発明1を含むから(前記第2,2【請求項2】),本件特許発明3は本件特許発明1を含むものであり,甲10発明3は甲10発明2を含み(前記第2,3⑵ア(ウ)),甲10発明2は甲10発明1を含むから(前記第2,3⑵ア(イ)),甲10発明3は甲10発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記ア(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明3と甲10発明3の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(ウ)b)に誤りはない。 エ本件特許発明4と甲10発明4の相違点として相違点1-2を認定した誤り 本件特許発明4は本件特許発明1を含み(前記第2,2【請求項4】),甲10発明4は甲10発明1を含むところ(前記第2,3⑵ア(エ)),本件審決が相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記ア(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲10 1と甲10発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記ア(ア)),本件審決が,本件特許発明1と甲10発明1の相違点として相違点1-2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲10発明4の相違点として相違点1-2を認定したこと(前記第2,3⑶ア(エ)b(a))に誤りはない。 オ本件特許発明5と甲10発明5の相違点として相違点1-5を認定した誤り(ア) 本件審決が認定した相違点1-5(前記第2,3⑶ア(オ)b(b))の趣旨は,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲10発明5は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されることであると認められる(この点は原告の主張にも合致する。前記第3,1⑴ア(オ))。当裁判所は,本件審決が本件特許発明5と甲10発明5の相違点として相違点1-5を認定したことに誤りはないものと判断する。その理由は,次の(イ),(ウ)のとおりである。 (イ)a 本件特許発明5の乾燥の手順本件特許発明5の構成要件Oによれば,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させているものと認められるところ,本件特許の請求項5(本件特許発明5)のうち,凝縮室について言及されているのは,構成要件L,N,Oである。 このうち構成要件Lは,「真空ポンプを用いることにより,(中略)凝縮室を減圧する工程と,」であり,構成要件Nは,「減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,」である。構成要件Nの「前記凝縮室」は,構成要件Lの凝縮室を受けており,し かも,その凝縮室は,「減圧下にある」のであるから,構成要件Nには,真空ポンプを用いることにより減圧された凝縮室を洗浄室よりも低い温 」は,構成要件Lの凝縮室を受けており,し かも,その凝縮室は,「減圧下にある」のであるから,構成要件Nには,真空ポンプを用いることにより減圧された凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける工程が記載されている。そして,構成要件Nは,真空ポンプを用いることによって減圧された状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける工程を示すものと認められる。 構成要件Oは,その記載からして,本件特許発明5の真空洗浄方法において,乾燥がどのような手順で行われるかを示すものと認められ,「前記洗浄室において前記ワークを洗浄した後,開閉バルブを開弁することにより前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程と,」との文言であることから,ワークを洗浄した後,洗浄室を凝縮室と連通させてワークを乾燥させることが記載されているものと認められる。そして,構成要件Oには,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室」と記載されているところ,上記のとおり,構成要件Lには,真空ポンプを用いることにより凝縮室を減圧する工程が記載され,構成要件Nには,真空ポンプを用いることによって減圧された状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづける工程が示されていることからすると,構成要件Oの「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室」とは,真空ポンプを用いることによって減圧されて減圧の状態にたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられた凝縮室を意味するものと認められる。そうすると,構成要件Oは,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプを用いることによって減圧されて減圧の状態にたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられて のと認められる。そうすると,構成要件Oは,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプを用いることによって減圧されて減圧の状態にたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させること が記載されているものと認められる。したがって,ワークの乾燥について,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているものであり,本件審決が認定した相違点1-5の文言によれば,「減圧下にある」凝縮室を洗浄室よりも低い温度に保持する工程を備え,「開閉バルブを開弁することにより」洗浄室を「前記凝縮室と連通させて」乾燥させている,との構成を備えるものであると認められる。 b 甲10発明5における乾燥の手順他方,甲10発明5は,乾燥の手順に関し,「洗浄蒸気が前記蒸気洗浄部3に流動し,前記被洗浄物5を減圧蒸気洗浄した後,前記バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して,前記蒸気洗浄部3内を急速に減圧することにより前記被洗浄物5に付着した前記洗浄液7を急速に乾燥させ,その際,前記蒸気洗浄部3内に残留していた洗浄蒸気が,前記第1電磁弁17を介して前記凝縮器15に移動し,凝縮液化する工程と,を含む洗浄方法。」(前記第2,3⑵ア(オ),当事者間に争いがない。)であり,本件審決が認定した相違点1-5の文言によれば,「バキュームポンプ14を稼働し,第1電磁弁17を開弁して被洗浄物5に付着した洗浄液7を乾燥させており,第1電磁弁17を開弁することにより蒸気洗浄部3を減圧下にある凝縮器15と連通させて乾燥させているとはいえない」ものであると認められる。 c 相違点1-5の存在そうすると,本件特許発 せており,第1電磁弁17を開弁することにより蒸気洗浄部3を減圧下にある凝縮器15と連通させて乾燥させているとはいえない」ものであると認められる。 c 相違点1-5の存在そうすると,本件特許発明5と甲10発明5との間には,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲10発明5は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されるという相違点1-5が存在するものと認められる。 (ウ) 原告の主張に対する判断a 凝縮室の減圧のタイミングが文言上限定されていないことについて原告は,本件特許発明5の特許請求の範囲の請求項5には,凝縮室の減圧のタイミングは文言上何ら限定されていない旨(前記第3,1⑴ア(オ)b(a))主張する。 しかし,前記(イ)aのとおり,構成要件Nは,「減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,」であり,「前記凝縮室」とは,その前に記載された,構成要件Lに記載された凝縮室(真空ポンプを用いることにより減圧する工程により減圧された凝縮室)を指すものと認められ,構成要件Nは,真空ポンプを用いることによって減圧された凝縮室を,減圧の状態にたもちつづけ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけることを示すものと認められ,当業者もそのように理解するものと認められる。したがって,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているものであると認められる。 b 減縮室の減圧と,低い温度に保持することの先後関係に関する主張について(a) 原告は,本件審決が,「本件特許発明5において,凝縮室に関する各工程(構成要件L,N,O)は,凝縮室を減圧する工程(構成要件L),減圧 い温度に保持することの先後関係に関する主張について(a) 原告は,本件審決が,「本件特許発明5において,凝縮室に関する各工程(構成要件L,N,O)は,凝縮室を減圧する工程(構成要件L),減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程(構成要件N),前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程(構成要件O)の順に実行されるものと解される。」(本件審決48頁)と判断した点について,本件特許明細書の第1実施形態,第2実施形態では,構成要件Mの工程(S400)が構成要件Nの工程(S100又はS101)より後になっており,請求項5に示されたのと は逆であるから,本件特許発明5の各工程は,その実行順序の限定のないものと解すべきであると主張する。 しかし,本件特許請求の範囲及び本件特許明細書の【0005】,【0006】の記載によれば,本件特許発明は,乾燥工程に関するものであり,構成要件L,N,Oの記載によれば,本件特許発明5は,乾燥について,真空ポンプを用いることによって凝縮室を減圧し,減圧の状態をたもちつづける凝縮室を洗浄室よりも低い温度にたもちつづけ,洗浄後に凝縮室を洗浄室と連通して乾燥するという順序で乾燥が行われることが認められる。そして,このような解釈は,各構成要件の意味内容や,その関係に基づくものであって,単なる構成要件の順序に基づくものではないのであるから,仮に実施形態の中に,構成要件の順序とは異なる順序の工程を示すものがあったとしても,それによって左右されるものではない。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 (b) また,原告は,構成要件Oの文言は,開閉バルブを開弁することにより洗浄室を洗浄室よりも低い温度に保持された凝縮 左右されるものではない。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 (b) また,原告は,構成要件Oの文言は,開閉バルブを開弁することにより洗浄室を洗浄室よりも低い温度に保持された凝縮室と連通させて,その後,凝縮室を減圧してワークを乾燥させる態様を包含しており,そのように解釈したとしても,構成要件Nの「減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程」は満たされることになると主張する(前記第3,1⑴ア(オ)b(b))。 しかし,構成要件Nは,「減圧下にある前記凝縮室を(中略)低い温度に保持する工程と,」とされ,凝縮室を減圧して低い温度にある程度の時間たもちつづけることが示されており,構成要件Oにおいては,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室」として,凝縮室との連通前に凝縮室が既にある程度の時間低い温度にたもちつづけられていることが記載され,その凝縮室が洗浄室と連通さ れることが記載されていることからすると,洗浄室との連通による乾燥の前に,凝縮室は減圧され,低い温度にたもちつづけられているものと認められる。原告の上記主張は,構成要件Nに「低い温度に保持する」という文言が使用され,構成要件Oに「低い温度に保持された前記凝縮室」という文言が使用されていることを考慮しないものであり,特許請求の範囲の解釈として採用することができない。 c 発明の詳細な説明の記載について原告は,本件審決が,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載との関係に関し,本件審決による本件特許発明5の解釈は,発明の詳細な説明の記載とも整合するものであると判断したこと(本件審決49頁)について,特許発明の要旨の認定は,原則として特許請求の範囲の記載に基づいて行わなければならず,本件特許発明につき発明の詳細 詳細な説明の記載とも整合するものであると判断したこと(本件審決49頁)について,特許発明の要旨の認定は,原則として特許請求の範囲の記載に基づいて行わなければならず,本件特許発明につき発明の詳細な説明の記載を参酌すべき特段の事由はないから,発明の詳細な説明の記載との関係に関する本件審決の判断は誤りである旨主張する(前記第3,1⑴ア(オ)b(c))。 しかし,前記(イ)aのとおり,特許請求の範囲の解釈に基づき,構成要件Oには,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧されて減圧の状態をたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させることが記載されているものと認められ,言い換えれば,凝縮室は,開閉バルブによって洗浄室と連通される前に真空ポンプにより減圧され,洗浄室よりも低い温度に保持されて,減圧の状態が保持され,洗浄室を前記凝縮室と連通させることによりワークの乾燥を生じさせるものであると解される。そして,本件審決の述べるとおり,本件特許明細書の発明の 詳細な説明の段落【0005】,【0006】によると,本件特許発明が解決しようとする課題は,乾燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧する従来の真空洗浄装置及び真空洗浄方法では,乾燥工程に長時間を要するところ,ワークの乾燥に要する時間を短縮して全体の処理能力を向上することができる真空洗浄装置及び真空洗浄方法を提供するというものであり,その課題を解決するために,発明の詳細な説明の段落【0023】~【0031】には,準備工程で減圧され,減圧状態で洗浄室2よりも低い温度に保持された凝縮室21と,搬入工程でワークWが搬入され,減圧工程及び 題を解決するために,発明の詳細な説明の段落【0023】~【0031】には,準備工程で減圧され,減圧状態で洗浄室2よりも低い温度に保持された凝縮室21と,搬入工程でワークWが搬入され,減圧工程及び蒸気洗浄工程を経て高温の蒸気が充満された洗浄室2とを,乾燥工程において,開閉バルブ20を開弁して連通させることによって,洗浄室2内に充満している蒸気が凝縮室21に移動して凝縮し,ワークWを乾燥させるという真空洗浄装置の一連の処理工程が記載されている。そのため,上記の本件特許発明5の解釈は,本件特許明細書の発明の詳細な説明と整合するものと認められ,この点に関する本件審決の判断は相当であるものと認められる。本件審決は,請求の範囲の正当な解釈から導かれる結論が,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載からも裏付けられることを示したのにとどまり,同明細書記載の実施例によって特許請求の範囲の解釈を限定するようなものではないから,原告の上記主張は,採用することができない。 d 原告の主張に関する本件審決の判断について原告は,本件審決が,原告の主張に関して,原告のように解釈したならば,「本件特許発明5が,本件特許明細書に従来技術として記載されている,乾燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧するものを含むことになり,前述した本件特許発明が解決しようとする課題を解決できないものとなる。すると,請求人の主 張する本件特許発明5の解釈は,不自然な解釈といわざるを得ない。」(本件審決50頁)と判断したことについて,本件特許発明5が課題を解決できない従来技術を包含していることは,特許請求の範囲の記載に不備があることが原因であり,その責は不備のある特許請求の範囲の記載を行った出願人,特許権者である被告らが負うべきであっ 明5が課題を解決できない従来技術を包含していることは,特許請求の範囲の記載に不備があることが原因であり,その責は不備のある特許請求の範囲の記載を行った出願人,特許権者である被告らが負うべきであって,審決が,本件特許発明5の特許請求の範囲の記載を敢えて無視して,従来技術と区別できるように要旨を認定したことは背理であるとし,現に,開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのが本件特許発明5の要旨であるというのであれば,出願人であった被告らは,文字通りそのように特許請求の範囲を記載すればよかったのであり,それが特段困難なものでもないにもかかわらず,事前に凝縮室が減圧されるという限定のない広範な記載を出願人が敢えて選択したのであるから,無効審判においても文言通りに要旨が認定されるべきであると主張する(前記第3,1⑴ア(オ)b(d))。 しかし,前記(イ)aのとおり,本件特許の特許請求の範囲の請求項5の記載によれば,本件特許発明5は,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態をたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させるものである(構成要件O)と認められる。請求項5の記載によれば,本件特許発明5は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧される(同時に洗浄室内の蒸気が排出される)という甲10発明5と同様の構成を含むと解釈することはできないから(すなわち,前記bのとおり,原告主張の文言解釈は採用できない。),原告の上記主張は,採用することができない。原告が指摘する本件審決の判断(本件審決50頁)は,本件特許発明が従来技術を含むとす れば,本件特許発明は,乾燥工程 採用できない。),原告の上記主張は,採用することができない。原告が指摘する本件審決の判断(本件審決50頁)は,本件特許発明が従来技術を含むとす れば,本件特許発明は,乾燥工程に長時間を要するという従来技術の課題を解決することができなくなることを述べたものであり,その判断に誤りがあるとは認められず,原告の上記主張を採用することはできない。 カ原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り原告は,相違点1-2は本件特許発明1と甲10発明1の相違点ではなく,これを相違点とした本件審決の認定は誤りであるとの主張を前提として,本件特許発明1~4は容易に想到することができないとした本件審決の判断は誤りであると主張し(前記第3,1⑴ア(カ)a~d),また,相違点1-5は本件特許発明5と甲10発明5の相違点ではなく,これを相違点とした本件審決の認定は誤りであるとの主張を前提として,本件特許発明5は容易に想到することができないとした本件審決の判断は誤りであると主張する(前記第3,1⑴ア(カ)e)。しかし,相違点1-2を本件特許発明1と甲10発明1の相違点とした本件審決の認定に誤りはなく,また,相違点1-5を本件特許発明5と甲10発明5の相違点とした本件審決の認定に誤りはないから,これらの相違点が存在しないことを前提とする原告の上記主張は,採用することができない。 ⑵ 取消事由1-2(本件審決が認定する相違点(相違点1-2,1-5)の存在を前提とする進歩性判断の誤り)についてア甲14に基づく容易想到性(ア) 相違点に係る構成の開示a 甲14には,次の記載がある。 「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は,例えばHC(ハイドロカーボン,炭化水素系溶剤の一つ)などの蒸気によりワークを減圧乃至真空状態下に の開示a 甲14には,次の記載がある。 「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は,例えばHC(ハイドロカーボン,炭化水素系溶剤の一つ)などの蒸気によりワークを減圧乃至真空状態下において蒸気洗浄および乾燥処理するような蒸気洗浄装置に関 する。 【0002】【従来の技術】従来,蒸気洗浄装置としては例えば実開平1-179784号公報に記載の装置がある。すなわち,洗浄槽内の溶剤をヒータにより加熱気化させて,この気化蒸気により被洗浄物(ワーク)を脱脂洗浄する蒸気洗浄器において,上述の洗浄槽内の雰囲気圧力を下げる減圧手段を設けた蒸気洗浄装置である。 【0003】この従来装置によれば,上述の減圧手段の駆動により洗浄槽内部の圧力を下げると,溶剤の沸点が低下するので,溶剤を低温条件下にて気化させることができ,これにより上述のヒータによる消費電力の低減(消費エネルギの低減)を達成することができる利点がある反面,ワークの気化溶剤による蒸気洗浄の後に,ワークを乾燥させる場合,洗浄槽内の溶剤貯溜部に存在する溶剤の一部が気化して,ワークの乾燥が阻害される問題点があった。」「【0027】ワークの蒸気洗浄終了前において,真空ポンプ10を駆動し,またバルブ42を開弁して,ライン43を介してサブタンク7内を予め真空状態に成す。而して,ワークの蒸気洗浄終了後においては,ワークの乾燥処理に先立って,バルブ23,36を開弁し,ライン25に作用する大気圧とライン37に作用する負圧との差圧を利用して,減圧タンク1内の加熱された溶剤Aを,該タンク1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜する。 【0028】減圧タンク1内の溶剤Aをサブタンク7内に吸引完了した時点で,上述の各バルブ23,36を閉弁する。次に真空ポンプ1 タンク1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜する。 【0028】減圧タンク1内の溶剤Aをサブタンク7内に吸引完了した時点で,上述の各バルブ23,36を閉弁する。次に真空ポンプ10を駆動すると共に,バルブ49を開弁して冷却タンク6内を予め真空状態に成し,その後,バルブ29を開いて減圧タンク1内に残存する溶剤蒸気Bを,ライン30を介して冷却タンク6に差圧吸引する。 この場合,ライン30からのインレットポート3を介して冷却タンク6に吸引された溶剤蒸気Bは冷却コイル2により凝縮されると共に,仕切板5による区画構成により,溶剤蒸気Bがアウトレットポート4からライン50および真空ポンプ10側に直接吸込まれるのを防止することができる。 【0029】このような条件下において減圧タンク1内のワークを乾燥処理する。つまり,バルブ14を開いて加熱コイル13に加熱オイルを流通させ,この熱媒により減圧タンク1内およびワークを加熱して,該ワークを乾燥させる。」b 前記aの甲14の記載によれば,甲14に記載された発明は,例えばHC(ハイドロカーボン,炭化水素系溶剤の一つ)などの蒸気によりワークを減圧ないし真空状態下において蒸気洗浄及び乾燥処理するような蒸気洗浄装置に関するものであり(【0001】),①ワークの蒸気洗浄終了前において,真空ポンプ10を駆動し,サブタンク7内を予め真空状態にすること,②ワークの蒸気洗浄終了後においては,ワークの乾燥処理に先立って,バルブ23,36を開弁し,減圧タンク1内の加熱された溶剤Aを,該タンク1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜し(【0027】),減圧タンク1内の溶剤Aをサブタンク7内に吸引完了した時点で,上述のバルブ23,36を閉弁すること【0028】,③バルブ23 1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜し(【0027】),減圧タンク1内の溶剤Aをサブタンク7内に吸引完了した時点で,上述のバルブ23,36を閉弁すること【0028】,③バルブ23,36を閉弁した後に真空ポンプ10を駆動して冷却タンク6内を予め真空状態に成し,その後,バルブ29を開いて減圧タンク1内に残存する溶剤蒸気Bを冷却タンク6に差圧吸引すること【0028】,④このような条件下において,減圧タンク1内およびワークを加熱して,該ワークを乾燥させること【0029】が記載されている。 上記のうち,ワークの蒸気洗浄終了後において,減圧タンク1内の 加熱された溶剤Aを,該タンク1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜すること(②)は,【0002】,【0003】と【0027】の記載を合わせてみれば,洗浄槽内の溶剤貯留部に存在する溶剤によってワークの乾燥が妨げられないようにするめに,溶剤Aをサブタンク7に一時退避させるものであって,溶剤Aは当該サブタンクにて凝縮されることはないから,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成のうち,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させて溶剤蒸気を凝縮室に導くことには相当しない。また,上記のうち,バルブ23,36を閉弁した後に真空ポンプ10を駆動して冷却タンク6内を予め真空状態に成し,その後,バルブ29を開いて減圧タンク1内に残存する溶剤蒸気Bを冷却タンク6に差圧吸引すること(③)は,ワークの蒸気洗浄終了後において,減圧タンク1内の加熱された溶剤Aを,該タンク1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜すること(②)の次の工程であって,ワークの蒸気洗浄終了後においてなされるものであるから,相違点1-2に係る ク1内の加熱された溶剤Aを,該タンク1外へ導出して,この溶剤Aをサブタンク7内に一時貯溜すること(②)の次の工程であって,ワークの蒸気洗浄終了後においてなされるものであるから,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成のうち,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧され,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させて溶剤蒸気を凝縮室に導くということには相当しないと認められる。そうすると,甲14には,甲14から抽出して他の発明と組み合わせるべき技術事項として,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が記載されているとは認められない。 その他,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が,甲11~17に開示されているものとは認められない。 (イ) 容易想到性そうすると,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明1は,甲10と甲11~17に基づいて容易に想到することができたものとは認められず,前記⑴イ~エのとおり,本件特許発明2~4はいずれも本件特許発明1を含むものであるから,本件特許発明2~4も甲10と甲11~17に基づいて容易に想到することができたものとは認められない。また,相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲10と甲11~17のいずれにも開示されていないから,本件特許発明5は,甲10と甲11~17に基づいて容易に想到することができたものとは認められない。 (ウ) 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17 いて容易に想到することができたものとは認められない。 (ウ) 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 イ周知技術に基づく容易想到性(ア) 相違点に係る構成の開示a 甲49(a) 甲49の記載① 作用甲49には,「(作用)」の項に,洗浄槽内の気体を排出する場合について,次のとおり記載されている。 「先ず,第一の開閉弁を閉じ,洗浄槽と密閉容器との連通を断った状態のまま,第二の開閉弁を開き,再生回収手段の内部に存在する有機溶剤蒸気を,上記密閉容器内に導入する。密閉容器内に有機溶剤蒸気を導入したならば,第一,第二の開閉弁を何れも閉 じ,上記密閉容器内に設けた冷却手段を運転する事により,密閉容器内の有機溶剤蒸気を凝縮液化する。この結果,密閉容器内の圧力が低下する」(9欄15行目~10欄4行目)「第二の開閉弁を閉じたまま,それ迄閉じていた第一の開閉弁を開けば,洗浄槽内に存在する気体が密閉容器内に吸引され,洗浄槽内の圧力が急激に低下する。」(10欄4行目~8行目)② 実施例また,甲49には,実施例について,次のとおり記載されている。 「即ち,本発明の洗浄装置に於いて,洗浄後に洗浄槽2内に残留する有機溶剤蒸気を排出する場合には,先ず,第一の接続管29の途中に設けた第一の開閉弁28を閉じ,洗浄槽2と密閉容器26との連通を断った状態のまま,第二の開閉弁30を開き,再生回収手段である蒸留器12内に存在する有機溶剤蒸気を,第二の接続管31を通じて,上記密閉容器26内に導入する。この際,第 槽2と密閉容器26との連通を断った状態のまま,第二の開閉弁30を開き,再生回収手段である蒸留器12内に存在する有機溶剤蒸気を,第二の接続管31を通じて,上記密閉容器26内に導入する。この際,第一の接続管29の途中の三方弁34は,第一の接続管29をそのまま連通する状態に(第一の接続管29と吸入管35とは連通させない状態に),切り換えておく。この様にして,密閉容器26内に有機溶剤蒸気を導入したならば,第一,第二,第三の開閉弁28,30,32を何れも閉じ,上記密閉容器26内に設けた,冷却手段である冷却パイプ27内に冷媒を流通させる事により,密閉容器26内の有機溶剤蒸気を凝縮液化する。密閉容器26内で有機溶剤蒸気が凝縮液化する結果,密閉容器26内の圧力が低下する。」(13欄7行目~14頁6行目)「そこで,第二,第三の開閉弁30,32を閉じたまま,それ迄閉じていた第一の開閉弁28を開き,前記洗浄槽2内に残留して いた有機溶剤蒸気を上記密閉容器26内に吸引する。」(14欄7行目~10行目)(b) 相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成の開示の有無(i) 前記(a)の記載によれば,甲49には,密閉容器26内を冷却して減圧し,その後,洗浄槽2内に在留した有機溶剤蒸気を密閉容器26内に吸引することが記載されていると認められる。 (ii) しかし,本件特許発明1は,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧されて減圧の状態をたもちつづけられ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させるものであり(構成要件G)(前記⑴ア(イ)a),開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させる にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させるものであり(構成要件G)(前記⑴ア(イ)a),開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させるのは洗浄後であるから,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成(洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通前に事前に凝縮室が減圧されている)において,凝縮室は洗浄が終わる前に減圧されている。甲49に記載された発明は,前記の実施例(前記(a)②)に関し,「洗浄後に洗浄槽2内に残留する有機溶剤蒸気を排出する場合には」と記載されていることから,洗浄槽2内に残留する有機溶剤蒸気を排出するのは,洗浄後であることが認められるものの,洗浄槽2内に残留する有機溶剤蒸気を排出するのに先立って密閉容器26内を冷却して減圧する作業が行われるのが,洗浄終了前であるのか,洗浄終了後であるのかは,甲49の全体を見ても明らかではない。そのため,洗浄終了前に凝縮室が減圧されている相違点1-2に係る本件特許発明1の構成は,甲49に示されていると認めることはできない。 また,甲49に記載された発明は,密閉容器26を冷却により減圧することとされており,真空ポンプを用いて減圧するものではないから,凝縮室が真空ポンプによって減圧される(構成要件D)ことを前提とする相違点1-2に係る本件特許発明1の構成が甲49に示されていると認めることはできない。 そうすると,甲49には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成が開示されていると認めることはできない。同様に,相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が開示されていると認めることもできない。 b 甲50(a) 甲50の記載甲50には,次のとおり記載されている。 ①「Cetteinventioncon -5に係る本件特許発明5の構成が開示されていると認めることもできない。 b 甲50(a) 甲50の記載甲50には,次のとおり記載されている。 ①「Cetteinventionconcerneplusparticulièrementlesmachinesdenettoyagedepiècesmécaniquesutilisantdessolvantschlorés, machinesforméesgénéralementd'unbacprincipalcontenantdusolvantliquide à températurecontrôlée, danslequelonintroduitlespièces à laveret, accolé à cebac, unbaccontenantdusolvanten ébullition.Au-dessusdecesdeuxbacs,ouvertsverslehaut, setrouveunezonedevapeursaturéedesolvant.」(1頁9~16行)(訳)この発明は特に塩素系溶剤を用いる機械部品のクリーニング機械であって,一般的には制御下の温度の液状溶剤を含む主要槽で形成される機械に関わるものであり,主要槽内には,洗浄すべき部品と,この槽に隣接させて,沸騰した溶剤を含む槽とを導入する。 上方に向けて開口するこれら二つの槽の上には溶剤で飽和する蒸気の領域がある。 ②「Pour évitercesinconvénients, a été déjà proposé unemachinequicomprend, enavaldel ②「Pour évitercesinconvénients, a été déjà proposé unemachinequicomprend, enavaldelachambredelavage, uncondenseursousvide à bassetempératureet, enavaldecedernierunepompe à videdestinée à mettreendépressionleditcondenseur.Cettemachinepermetderéduireconsidérablementletempsmortdevidangedelachambredelavage, caraumomentoù lesvapeursdesolvantsontaspiréesdanslecondenseursousvideellessontimmédiatementcondenséesparlabassetempératurerègnant à l'intérieurdecelui-ci. Cecipermetdeprévoirunepomped'aspirationdedimensionrelativementréduite, d'oùunemachineplus économiqueetenmêmetempsplusefficacequecellesdelatechniqueconnue.」(2頁18~30行)(訳)これらの欠点を回避するために,洗浄チャンバーの下流に真空低温凝縮器を包含し,この凝縮器の下流に前記凝縮器を負圧にす sdelatechniqueconnue.」(2頁18~30行)(訳)これらの欠点を回避するために,洗浄チャンバーの下流に真空低温凝縮器を包含し,この凝縮器の下流に前記凝縮器を負圧にするための真空ポンプを包含する機械が既に提案されている。 溶剤蒸気が真空凝縮器内に吸い込まれるときに,この凝縮器の内側に行き渡る低温により溶剤蒸気は瞬時に凝縮されるので,この機械により洗浄チャンバーの排出アイドルタイムを著しく低減することが可能となる。このことにより,比較的低減されたサイズの吸い込みポンプを予定することが可能となり,それによって,周知の技術の機械よりも経済的であると同時に効率的な機械を予定することが可能となる。 (b) 相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成の開示の有無前記(a)の記載によれば,甲50には,塩素系溶剤を用いる洗浄機械において,洗浄チャンバーの下流に真空低温凝縮器を設け,該凝 縮器の下流に該凝縮器を負圧(減圧)にするための真空ポンプを設け,該凝縮器内に溶剤蒸気が吸い込まれるときに,該凝縮器内が低温であるために溶剤蒸気は瞬時に凝縮され,洗浄チャンバーの排出アイドルタイムを著しく低減することが記載されていると認められる。 ところで,前記a(b)(ii)のとおり,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成(洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通前に事前に凝縮室が減圧されている)において,凝縮室は洗浄が終わる前に減圧されている。しかし,甲50の記載において,凝縮器を負圧(減圧)にすることが,洗浄終了前に行われるのか,洗浄終了後であるのかは,甲50の全体を見ても明らかではない。そのため,洗浄終了前に凝縮室が減圧されている相違点1-2に係る本件特許発明1の を負圧(減圧)にすることが,洗浄終了前に行われるのか,洗浄終了後であるのかは,甲50の全体を見ても明らかではない。そのため,洗浄終了前に凝縮室が減圧されている相違点1-2に係る本件特許発明1の構成は,甲50に示されていると認めることはできない。同様に,相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が開示されていると認めることはできない。 c 甲51(a) 甲51の記載甲51には,次のとおり記載されている。 ① [0001]~[0008]「 」 (訳)[0001]本発明は,洗浄設備を運転するための方法に関する。 [0002]このような設備は,閉鎖可能な作業チャンバ内で溶剤によって被加工物を洗浄するために用いられる。溶剤として,通常,炭化水素,塩素化炭化水素およびアルコールが使用される。 [0003]公知の洗浄設備(Pero-Reinigungsanlage 2500)では,洗浄すべき被加工物を作業チャンバ内にもたらした後,作業チャンバが閉鎖され,作業チャンバに負圧が加えられ,これによって,作業チャンバ内に存在する空気が十分に除去される。次いで,予め設定された洗浄プログラムが実行される。この洗浄プログラムでは蒸気脱脂も行われる。このために,作業チャンバと蒸気容器との間に接続路が形成される。これによって,溶剤蒸気が作業チャンバ内に流れる。 洗浄プログラムの終了後, ラムが実行される。この洗浄プログラムでは蒸気脱脂も行われる。このために,作業チャンバと蒸気容器との間に接続路が形成される。これによって,溶剤蒸気が作業チャンバ内に流れる。 洗浄プログラムの終了後,乾燥プロセスが開始される。この乾燥プロセスでは,ブロワが溶剤蒸気を処理チャンバから凝縮器に圧送する。この凝縮器は,極低温で作動する冷凍ユニットから成っている。この冷凍ユニットは,使用される溶剤に応じて-40℃~-60℃の温度を有している。これによって,溶剤蒸気が凝縮する。作業チャンバから最後の溶剤残分を除去するために,作業チャンバ内に存在する溶剤含有の空気が,高い負圧を加えることによって吸引され,凝縮器に供給される。この凝縮器から空気がガス集合容器に達する。このガス集合容器内の空気は,溶剤蒸気の残分をまだ含んでいる。いま,通気弁が開放される。これによって,作業チャンバ内に新気が流入することができる。この作業チャンバ内に正常圧が形 成されると,作業チャンバが開放され,洗浄された被加工物が取り出される。 [0004]この洗浄設備における装置上の手間は,特に冷凍ユニットとして形成された凝縮器のため多大である。この凝縮器は極低温で作動するにもかかわらず,乾燥プロセス時に処理チャンバ内に導入された溶剤含有の空気から,この空気の吸引後に溶剤を完全に除去することが不可能であり,これによって,付加的な手間として,ガス集合容器が必要になってしまう。 [0005]独国特許出願公開第19527317号明細書に基づき,作業チャンバの排気後に溶剤蒸気を作業チャンバに供給し,洗浄工程後に真空ポンプによって再生のために凝縮器内に到達させ,発生させられた溶剤凝縮物を蓄え容器に供給し,作業チャンバにおいて通気を行って,洗浄物を取り の排気後に溶剤蒸気を作業チャンバに供給し,洗浄工程後に真空ポンプによって再生のために凝縮器内に到達させ,発生させられた溶剤凝縮物を蓄え容器に供給し,作業チャンバにおいて通気を行って,洗浄物を取り出す洗浄法がすでに公知である。 [0006]凝縮器として空冷式または水冷式の凝縮器を使用することができるような方法を提供するという課題がある。 [0007]この課題は請求項1の特徴によって解決される。有利な構成は従属請求項から知ることができる。 [0008]本発明に係る方法の主要な利点は,比較的高価で保守の頻度が高い冷凍ユニットを省略することができる点にある。方法を実施するためには,より簡単に構成された僅かな構成部材しか必要とならない。これによって,保守の手間を減らすことができ,運転コストを 削減することができる。本発明に係る方法によって,低い温度範囲で,例えばプラスチックを洗浄することも可能となり,これによって,クロロフルオロカーボンを代替することができる。溶剤排出が少ないことに基づき,手間のかかる濾過・回収システムなしでも,方法を実施することができる。 ② [0016]~[0018]「 」(訳)[0016]蒸気脱脂を実施するために,弁3が開放される。これによって,蒸気発生器1内に存在する溶剤飽和蒸気が,管路2を介して作業チャンバ内に流れる。この作業チャンバ1内では,溶剤蒸気によって,洗浄すべき物品から,付着しているグリースまたはオイルが除去される。 [0017]この洗浄ステップの終了時には,弁15が開放される。これによって,空冷式 ャンバ1内では,溶剤蒸気によって,洗浄すべき物品から,付着しているグリースまたはオイルが除去される。 [0017]この洗浄ステップの終了時には,弁15が開放される。これによって,空冷式または水冷式の凝縮器8の凝縮圧に近似の圧力が達成されるまで,飽和蒸気が作業チャンバ4から凝縮器の部分8aに流れ,そこで,液化される。凝縮器8から流出した凝縮物は,水分離器22とポンプ25とを介して再び蓄え容器28に供給される。 [0018]作業チャンバ4と凝縮器8の部分8aとの間で圧力補償が生じると,弁15が閉鎖され,弁17が開放される。第2の真空ポンプ18を介して,まだ作業チャンバ4内に存在している残りの溶剤蒸気が吸引され,圧縮機20によって圧縮される。この圧縮機20を 介して圧力が増加させられ,こうして,残りの溶剤蒸気を空冷または水冷によって完全に凝縮させることができる。増圧は,使用される溶剤に左右される。溶剤として,例えばトリクロロエチレンまたはパークロロエチレンが使用される場合には,圧力が,1barを上回る圧力に増加させられる。クロロメタンの使用時には,圧力が,2barよりも高い圧力に増加させられる。これによって,溶剤蒸気が,空冷または水冷により容易に凝縮可能となる程度に温められる。こうして,圧縮機20を介して圧縮された蒸気が,凝縮器8の部分8b内で液化され,凝縮物が,凝縮物分離器39と水分離器22とを介して再び蓄え容器28に供給されるようになっている。 (b) 相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成の開示の有無(i) 前記(a)①の甲51の[0001]~[0008]の記載によれば,従来の技術では,凝縮室が冷凍ユニットであり,比較的高価で保守の頻度が高く, 1-5に係る本件特許発明5の構成の開示の有無(i) 前記(a)①の甲51の[0001]~[0008]の記載によれば,従来の技術では,凝縮室が冷凍ユニットであり,比較的高価で保守の頻度が高く,このような凝縮器は極低温で作動するにもかかわらず,乾燥工程で処理チャンバから空気を吸引した後に処理チャンバ内から溶剤を完全に除去することが不可能であり,そのため,溶剤を濾過・回収するために別にガス集合容器を設けることが必要になってしまうという課題があったことが認められる。そして,甲51に記載された発明は,空冷式又は水冷式の凝縮器を使用することによって,凝縮器の価格を抑え,凝縮器の保守の手間を減らして運転コストを削減し,また,乾燥工程で処理チャンバから空気を吸引した後に処理チャンバ内から溶剤を完全に除去することにより,溶剤を濾過・回収するためのシステムを設ける必要をなくし,上記の課題を解決するものであると認められる。 (ii) 前記(a)②の甲51の[0016]~[0018]には実施例が記 載されており,❶弁3を開放して,蒸気発生器1から作業チャンバ4内に溶剤蒸気を導入して洗浄を行うこと(前記(a)②[0016]),❷上記❶の洗浄の終了時に弁15が開放され,空冷式又は水冷式の凝縮器8との圧力差が解消されるまで,溶剤蒸気が作業チャンバ4から凝縮器8の部分8aに流れ,液化されること(前記(a)②[0017]),❸上記圧力差が解消されると,弁15が閉鎖され,弁17が開放されて,第2の真空ポンプ18と圧縮機20を介して,残りの溶剤蒸気が凝縮器8の部分8bに送られて液化されること((a)②[0018])が記載されている。上記❷の工程においては,凝縮器8の圧力は,洗浄の終了時までに減圧されており,終了時に弁15が開放されることに が凝縮器8の部分8bに送られて液化されること((a)②[0018])が記載されている。上記❷の工程においては,凝縮器8の圧力は,洗浄の終了時までに減圧されており,終了時に弁15が開放されることにより,溶剤蒸気が作業チャンバ4から凝縮器8の部分8aに流れ,液化されることが認められ,この部分のみをとらえれば,凝縮室が洗浄が終わる前に減圧されている相違点1-2に係る本件特許発明1の構成(洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通前に事前に凝縮室が減圧されている)が示されているものと解する余地はある。 しかし,甲51発明の課題は,乾燥工程で処理チャンバから空気を吸引した後に処理チャンバ内から溶剤を完全に除去することにより,溶剤を濾過・回収するためのシステムを設ける必要をなくすことも含んでいるところ(前記(i)),上記の❷の工程は,それのみでは上記の課題を解決できないものであり,上記の課題を達成するための工程は,上記の❸の工程であるものと認められ,当業者にとって,甲51に示された乾燥工程は,上記❷と❸の工程により成り立っていると認識されるものと認められる。そして,甲51に接した当業者が,他の発明と組み合わせるべき技術事項として,課題を達成できない上記❷の工程のみを取り出すことは, 甲51に課題が記載され,その課題を解決する手段として上記の❷と❸の工程が記載されていることに照らし,考え難いものと認められる。そのため,甲51には,甲51から抽出して他の発明と組み合わせる技術事項として,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成が示されていたものとは認められない。同様に,相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されていたものとも認められない。 なお,甲10発明1,5と甲51発明は課題等が異なり,甲51発明を甲10発明1,5 ていたものとは認められない。同様に,相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されていたものとも認められない。 なお,甲10発明1,5と甲51発明は課題等が異なり,甲51発明を甲10発明1,5に適用する動機づけはないから,甲51発明を甲10発明1,5に適用して本件特許発明1,5が容易想到であるということはできない。 d 甲52(a) 甲52の記載甲52には,次の記載がある。 ①「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,電子部品,機械部品,プリント基板等の被洗浄物を,炭化水素系溶剤,アルコール溶剤等の可燃性溶剤を用いて減圧蒸気洗浄するための減圧蒸気洗浄装置に関するものである。」②「【0029】蒸気洗浄槽1は,蒸気洗浄槽真空引きバルブ18と凝縮器4を介して,真空ポンプ6に接続されており,これで真空引きされる。凝縮器4は冷却水で冷却されており,真空引きされた溶剤蒸気は凝縮器4で凝縮し,溶剤に戻る。また蒸気洗浄槽1には,真空度を測定する真空計8と真空状態を解除するための大気ベントバルブ16とサイレンサー17がつけてある。」③「【0037】所定の時間,減圧蒸気洗浄を行った後,溶剤供給バルブ10を閉じ,その後蒸気洗浄槽排液バルブ15を閉じ,真空 ポンプ6を作動させ,蒸気洗浄槽真空引きバルブ18を開いて,真空乾燥を行う。この過程でも,被洗浄物,洗浄バスケット2,蒸気洗浄槽1,蒸発器用熱交換器3に付着している溶剤が気化し溶剤蒸気が発生するので,凝縮器4で凝縮回収を行う。」(b) 相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成の開示の有無前記(a)の甲52の記載によれば,甲52には,炭化水素系溶剤等の可燃性溶剤を用いる減圧蒸気洗浄装置において(前記(a)①【00 明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成の開示の有無前記(a)の甲52の記載によれば,甲52には,炭化水素系溶剤等の可燃性溶剤を用いる減圧蒸気洗浄装置において(前記(a)①【0001】),減圧蒸気洗浄の終了後に,真空ポンプ6を作動させ,蒸気洗浄槽真空引きバルブ18を開いて真空乾燥を行うこと(前記(a)③【0037】)が記載されている。しかし,凝縮器4は,真空引きされた溶剤蒸気を凝縮して溶剤として回収するものであると認められるものの(前記(a)②【0029】),減圧蒸気洗浄の終了前に凝縮器4を減圧して,その減圧の状態をたもちつづけることは,何ら記載されていない。そのため,甲52には,凝縮室が洗浄が終わる前に減圧されている相違点1-2に係る本件特許発明1の構成(洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通前に事前に凝縮室が減圧されている)が示されていたものとは認められない。同様に,相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されていたものとも認められない。 e 甲53(a) 甲53の記載① 甲53の「ABSTRACT」(要約)には,「Amethodandapparatusareprovidedforcleaningrosinfluxresiduesoffofprintedwiringassemblies.」((訳)プリント配線アセンブリからロジンフラックス残渣を洗浄する方法及び装置が提供される。)と記載され ていることから,甲53発明は,プリント配線アセンブリからロジンフラックス残差を溶剤により洗浄する方法及び装置に関するものである。 ② 甲53の3欄には次の記載がある。 「 」(訳)真空ポンプ16は,チャンバ12を約1mm水 ックス残差を溶剤により洗浄する方法及び装置に関するものである。 ② 甲53の3欄には次の記載がある。 「 」(訳)真空ポンプ16は,チャンバ12を約1mm水銀の部分真空まで排気するのに十分な種類の従来の真空ポンプを含む。真空保持タンク18は,真空ポンプ16に対する負荷を均等化し且つ処理チャンバ12内の減圧を加速するように,実質的な蓄圧器を提供するのに十分なサイズを有する。コールドトラップ20は冷却コイル76を含む。冷却コイル76は液体窒素により冷却され,溶剤を凝縮するように動作可能な非常に低い温度にトラップ20を維持するように構成される。 上記の記載によれば,コールドトラップ20は,液体窒素により冷却される冷却コイル76を備え,溶剤を凝縮するために非常に低い温度に維持されることが認められる。 ③ 甲53発明の実施例の動作に関し,5欄に次の記載がある。 「 」(訳)システム10の動作を更に詳細に検討すると,SMDを含むプリント配線アセンブリは,はんだ付けの直後であってフラックス残渣が硬化する前に処理チャンバ12内のラック72に載置される。次に,チャンバ12内に真空を生成するためにチャンバ12が十分に密閉されるように,蓋70が所定の位置に固定され,全てのバルブが閉じられる。次に,処理動作を開始するためにシーケンサ/タイマ26が操作者により作動され,以降,処理動作はシーケンサ/タイマ26の制御下で進む。真空ポンプ16とチャンバ12との間に経路を提供するために,バルブ31,33及び35が開かれる。真空ポンプ16がオンにされ,1mm水銀に近い部分真空が達成されて真空計64により信号が送信されるまで とチャンバ12との間に経路を提供するために,バルブ31,33及び35が開かれる。真空ポンプ16がオンにされ,1mm水銀に近い部分真空が達成されて真空計64により信号が送信されるまで チャンバ12から空気が抜き出され,チャンバ12を密閉するためにバルブ33及び35が閉じられる。この時点で,フラックス残渣は,処理チャンバ12内のラック72上の配線アセンブリ上の閉じ込め空間から移動している。 上記の記載においては,洗浄前に真空ポンプ16により処理チャンバ12の真空引きがなされることが説明されており,処理チャンバ12の真空引きの際,処理チャンバ12とコールドトラップ20との間のバルブ35,コールドトラップ20と真空保持タンク18との間のバルブ33,真空保持タンク18と真空ポンプ16との間のバルブ31が開かれるので,処理チャンバ12の真空引きとともにコールドトラップ20も真空引きされる。チャンバ12内について1mm水銀に近い真空が達成されると,チャンバ12を密閉するために,コールドトラップ20の両端のバルブ33及び35が閉じられるので,コールドトラップ20は真空引きされ減圧されている。 ④ 甲53の5欄には,次の記載がある。 「 」(訳)次に,バルブ51が開かれ,溶剤がタンク14から処理チャンバ12に流れ込み,チャンバが溶剤で再加圧されて,アセンブリ及びラック72が全方向に溶剤で満たされる。これにより,溶剤は,圧力差と毛管力の影響を受けて,他の状況ではアクセスできない閉じ込め領域に進入し,アセンブリ上のフラックス残渣を更に溶解して洗い流すことができる。尚,洗浄作用を促進するために溶剤を加熱してもよいが,これは必ずしも 影響を受けて,他の状況ではアクセスできない閉じ込め領域に進入し,アセンブリ上のフラックス残渣を更に溶解して洗い流すことができる。尚,洗浄作用を促進するために溶剤を加熱してもよいが,これは必ずしも必要ではなく,実際,一部の溶剤は加熱が望ましくない場合がある。処理チャンバ12が溶剤で満たされた後,バルブ51が閉じられ,ポンプ22及び24がオンにされるとバルブ53,43及び45が開かれる。溶剤は,ポンプ22によりチャンバ12に送り出され,管74に溢れ出し,更にポンプ24によりタンク14に送り戻されるため,タンク14とチャンバ12との間で循環される。それにより,溶剤は,ラック72上のアセンブリを通過して処理チャンバ12内で流動し,そのため,フラックス残渣の除去に有効な更なる洗浄作用を提供する。 上記記載によれば,バルブ51を開けてチャンバ12に溶剤を流し込み,チャンバ12を溶剤で満たした後, バルブ51を閉じ,ポンプ22及び24をオンとし,バルブ53,43及び45を開き,溶剤をタンク14とチャンバ12の間で循環させることで, 溶剤はチャンバ12内を流動してアセンブリを洗浄するとされており,これは,洗浄の対象となるワーク(甲53では「アセンブリ」)を液体状の溶剤に浸漬し,その状態で溶剤を流動させることで洗浄を行うものであると認められる。 ⑤ 甲53の5欄には,前記④の記載に続いて次の記載がある。 「Thevalve 43 isthenclosedandthevalve 47 isopenedasoperationofthepump 22 isshutdown. Allofthefreestandingsolventispumpedoutoftheprocessing ationofthepump 22 isshutdown. Allofthefreestandingsolventispumpedoutoftheprocessingchamber 12 intotheholdingtank 14 bythepump 24.」(訳)次に,ポンプ22の動作が停止すると,バルブ43が閉じられ,バルブ47が開かれる。流動溶剤は全て,ポンプ24により処理チャンバ12から保持タンク14に吸い出される。 上記の記載によれば,洗浄を行った後,ポンプ22の動作が停止すると,バルブ43が閉じられ,バルブ47が開かれ,流動溶剤は全て,ポンプ24により処理チャンバ12から保持タンク14に吸い出される。 ⑥ 甲53の5欄には,前記⑤の記載に続いて次の記載がある。 「 」(訳)その後,バルブ33及び35が再び開かれると,バルブ53,45及び47が閉じられる。このように,チャンバ12内で1mm水銀に近い部分真空が再度達成されたと真空計64により検出されるまで,真空ポンプ16により処理チャンバから空気が再度吸い出される。これにより,溶剤が蒸発して処理室12から排出され,ラック72上の配線アセンブリに溶剤物質が存在しなくなる。 同時に,チャンバ12から吸い出された気相溶剤物質は,コールドトラップ20を通過し,そこで再利用のために凝縮及び収集される。 上記には,チャンバ12内に1mm水銀に近い部分真空が再度達成されるまで真空ポンプ16によりチャンバ12から空気を吸い出すことが記載されているが,上記の工程の最初の時点では,バルブ33及び35が再び開かれ(それによってチャンバ12とコールドトラップが接続される。) で真空ポンプ16によりチャンバ12から空気を吸い出すことが記載されているが,上記の工程の最初の時点では,バルブ33及び35が再び開かれ(それによってチャンバ12とコールドトラップが接続される。),バルブ53,45及び47が閉じられることとされているから,その時点までコールドトラップ20は真空引きされて,減圧されているものの,他方で,溶剤の排出のために,真空ポンプ16によりチャンバ12から空気を再度吸い出しているのであるから,溶剤をチャンバから排出し,洗浄の対象となるワーク(甲53では「アセンブリ」)を乾燥することに寄与しているのは真空ポンプ16であると認められる。 (b) 相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成の開示の有無前記(a)の②,③,⑥によれば,甲53には,コールドトラップ2 0が,洗浄(前記(a)④)の前に真空引きにより減圧され,洗浄(前記(a)④)の後,チャンバ12と接続されるとともに,溶剤の排出のために,真空ポンプ16によりチャンバ12から空気を再度吸い出すことにより,チャンバ12から溶剤蒸気が吸引され,ワーク(甲53では「アセンブリ」)が乾燥されることが記載されている。そうすると,甲53には,真空ポンプにより溶剤を吸引することにより乾燥する技術事項が記載されているものであって,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態をたもちつづけ,かつ,洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させるという,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成や相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されているとは認められない。 なお,前記(a)の③によれば,甲5 凝縮室を連通させてワークを乾燥させるという,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成や相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されているとは認められない。 なお,前記(a)の③によれば,甲53に記載された発明は,コールドトラップ20が真空引きされた状態で,チャンバ12を密閉するために,コールドトラップ20の両端のバルブ33及び35が閉じられるので,コールドトラップ20の真空引きした後の低圧の状態が維持されており,そのため,洗浄(前記(a)④)の後,チャンバ12とコールドトラップ20が接続されたときに(前記(a)⑥),チャンバ12から空気が吸い出されるものであり,これをとらえて,溶剤の乾燥が行われているというのであれば,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成や相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が甲53に示されているということになる。しかし,甲53において,コールドトラップ20との接続によってチャンバ12内のワーク(甲53では「アセンブリ」)が乾燥されることを示す記載はなく,むしろ,前記(a)のとおり,甲53発明で は,乾燥に寄与しているのは真空ポンプ16であることに照らすと,甲53には,真空ポンプ16によりチャンバ12から空気を再度吸い出すことにより乾燥を行う技術事項が記載されているものと認められ,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成や相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されているとは認められない。 (イ) 容易想到性a 前記(ア)a~eのとおり,甲49~53には,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されているものとは認められないが,念のため,仮に,甲53において,洗浄(前記(a)④)の後,チャンバ12とコールドトラップ20が接続されたと 1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されているものとは認められないが,念のため,仮に,甲53において,洗浄(前記(a)④)の後,チャンバ12とコールドトラップ20が接続されたときに(前記(a)⑥)チャンバ12から空気が吸い出されことにより溶剤の乾燥が行われているとして(前記(ア)e(b)),この点をもって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成や相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が甲53に示されているとした場合に,容易想到性が認められるかについて検討する。 b 特許無効審判の審決に対する審決取消訴訟においては,審判で審理判断されなかった公知事実を主張することは許されず(最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51年3月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁),審判の手続で審理判断された刊行物記載の発明との対比における進歩性の有無を認定して審決の適法,違法を判断するに当たり,審判の手続には現れていなかった資料に基づき当業者の特許出願当時における技術常識又は周知技術を認定し,これによって同発明のもつ意義を明らかにすることが許されるにとどまる(最高裁昭和54年(行ツ)第2号同55年1月24日第一小法廷判決・民集34巻1号80頁参照)。ところが,本件において,甲53に示された相違点1-2に 係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が,当業者の本件特許の優先権主張日前の技術常識又は周知技術であったことについては,これを認めるに足りる証拠はなく,甲53に示された上記構成は,審判で審理判断されなかった公知事実に該当するものと認められる。したがって,甲53に示された上記構成と刊行物記載の発明(甲10発明1~5)の組み合わせに基づく容易想到性を主張することは許されないものと認められる されなかった公知事実に該当するものと認められる。したがって,甲53に示された上記構成と刊行物記載の発明(甲10発明1~5)の組み合わせに基づく容易想到性を主張することは許されないものと認められる。 c また,仮に,甲53に示された相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成(前記(ア)e(b))と公知の発明(甲10発明1,5)との組み合わせに基づく容易想到性を検討するとしても,次のとおり,それらの組み合わせには阻害事由があり,動機づけもないから,容易想到性は認められない。 すなわち,甲10発明1,甲10発明5は(前記第2,3⑵ア(ア),(オ)),洗浄室において,減圧下でワークに気体状の蒸気である溶剤を供給することにより洗浄を行うものであるのに対し,甲53に記載された洗浄装置は,洗浄の対象となるワーク(甲53では「アセンブリ」)を液体状の溶剤に浸漬し,その状態で溶剤を流動させることにより洗浄を行うものであるから,両者は洗浄の原理が異なる。このことにも伴い,甲53では洗浄後に,まず,流動溶剤は全て,処理チャンバ12から保持タンク14に吸い出される工程があり,これを経た後で溶剤を除去して乾燥するものである。そして,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は,洗浄の直後に行われる乾燥に関する事柄であるから,その直前の洗浄の工程と密接な関連があるものと考えられるところ,液体状の溶剤と気体状の溶剤とでは,洗浄に用いられる溶剤の量や温度等が異なり,その結果,それらの溶剤を除去して乾燥する方法にも違いが生ずると 推認されるから,液体の溶剤を用いる洗浄方法について採用されている乾燥工程を,洗浄の原理が異なる気体の溶剤を用いる洗浄方法の乾燥工程として 去して乾燥する方法にも違いが生ずると 推認されるから,液体の溶剤を用いる洗浄方法について採用されている乾燥工程を,洗浄の原理が異なる気体の溶剤を用いる洗浄方法の乾燥工程として適用することについては,洗浄の原理が異なることにより阻害事由があるものと認められるし,これを適用する動機づけがあるものとは認められない。そうすると,甲53に,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成が示されているとしても,それを,甲53に記載された洗浄装置とは洗浄の原理の異なる甲10発明1,5の洗浄装置に組み合わせることについては阻害事由があるし,動機づけがないものと認められる。 したがって,甲10発明1に,甲53に示された相違点1-2に係る本件特許発明1の構成を適用して本件特許発明1を容易に想到することはできなかったし,甲10発明5に,甲53に示された相違点1-5に係る本件特許発明5の構成を適用して本件特許発明5を容易に想到することはできなかったものと認められる。なお,本件特許発明2~4は本件特許発明1を含むものであり,甲10発明2~4は甲10発明1を含むものであるから(前記⑴イ~エ),甲10発明2~4に,甲53に示された相違点1-2に係る本件特許発明1の構成を適用して本件特許発明2~4を容易に想到することもできなかった。 (ウ) 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点1-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点1-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(甲18を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由2関係))⑴ 取消事由2-1(相違点の認定の誤り及び原 ~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(甲18を主引用例とする進歩性判断の誤り(無効理由2関係))⑴ 取消事由2-1(相違点の認定の誤り及び原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り)について ア本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件審決が認定した相違点2-2(前記第2,3⑶イ(ア)b(b))の趣旨は,本件特許発明1は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲18発明1は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されることであると認められる(この点は原告の主張にも合致する。前記第3,2⑴ア(ア))。当裁判所は,本件審決が本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2を認定したことに誤りはないものと判断する。その理由は,前記1⑴ア(イ),(ウ)において相違点1-2について述べたのと同じである(ただし,「甲10」は「甲18」に読み替える。)。 イ本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明2は本件特許発明1を含むものであり(前記第2,2【請求項2】),甲18発明2は甲18発明1を含むものであるところ(前記第2,3⑵イ(イ)),本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことには誤りはないから(前記ア),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(イ)b)に誤りはない。 ウ本件特許発明3と甲18発明3の相違点として相違点2-2を認定した を前提として,本件特許発明2と甲18発明2の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(イ)b)に誤りはない。 ウ本件特許発明3と甲18発明3の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明3は本件特許発明2を含み(前記第2,2【請求項3】),本件特許発明2は本件特許発明1を含むから(前記第2,2【請求項2】),本件特許発明3は本件特許発明1を含むものであり,甲18発明3は甲18発明2を含み(前記第2,3⑵イ(ウ)),甲18発明2は甲18発明1を 含むから(前記第2,3⑵イ(イ)),甲18発明3は甲18発明1を含むものであるところ,本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記ア),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明3と甲18発明3の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(ウ)b)に誤りはない。 エ本件特許発明4と甲18発明4の相違点として相違点2-2を認定した誤り本件特許発明4は本件特許発明1を含み(前記第2,2【請求項4】),甲18発明4は甲18発明1を含むところ(前記第2,3⑵イ(エ)),本件審決が相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点として認定したことに誤りはないから(前記ア),本件審決が,本件特許発明1と甲18発明1の相違点として相違点2-2が認定されることを前提として,本件特許発明4と甲18発明4の相違点として相違点2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(エ)b(a))に誤りはない。 オ本件特許発明5と甲18発明5の相違点として相違点2-5を認定した誤り本件審決が認定した相違点2-5(前記第2,3⑶ 2-2を認定したこと(前記第2,3⑶イ(エ)b(a))に誤りはない。 オ本件特許発明5と甲18発明5の相違点として相違点2-5を認定した誤り本件審決が認定した相違点2-5(前記第2,3⑶イ(オ)b(b))の趣旨は,本件特許発明5は,洗浄室と凝縮室との間の開閉バルブの連通の前に事前に凝縮室が減圧されているのに対し,甲18発明5は,開閉バルブによる連通の後に真空ポンプによって凝縮室が減圧されることであると認められる(この点は原告の主張にも合致する。前記第3,2⑴ア(オ))。当裁判所は,本件審決が本件特許発明5と甲18発明5の相違点として相違点2-5を認定したこと(前記第2,3⑶イ(オ)b(b))に誤りはないものと判断する。その理由は,前記1⑴オ(イ),(ウ)において相違点1-5について述べたのと同じである(ただし,「甲10」は「甲18」に読み替える。)。 カ原告主張の相違点を前提とする進歩性判断の誤り原告は,相違点2-2は本件特許発明1と甲18発明1の相違点ではなく,これを相違点とした本件審決の認定は誤りであるとの主張を前提として,本件特許発明1~4は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りであると主張し(前記第3,2⑴ア(カ)a~d),また,相違点2-5は本件特許発明5と甲18発明5の相違点ではなく,これを相違点とした本件審決の認定は誤りであるとの主張を前提として,本件特許発明5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断は誤りであると主張する(前記第3,2⑴ア(カ)e)。しかし,相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点とした本件審決の認定に誤りはなく,相違点2-5を本件特許発明5と甲18発明5の相違点とした本件審決の認定にも誤りはない。したがって,これらの し,相違点2-2を本件特許発明1と甲18発明1の相違点とした本件審決の認定に誤りはなく,相違点2-5を本件特許発明5と甲18発明5の相違点とした本件審決の認定にも誤りはない。したがって,これらの相違点が存在しないことを前提とする原告の上記主張は,採用することができない。 ⑵ 取消事由2-2(本件審決が認定する相違点(相違点2-2,2-5)の存在を前提とする進歩性判断の誤り)についてア甲14に基づく容易想到性(ア) 相違点に係る構成の開示甲14には,甲14から抽出して他の発明と組み合わせるべき技術事項として,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成が記載されているとは認められず,その他,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成が,甲11~17に開示されているものとは認められない。その理由は,前記1⑵ア(ア)に記載したとおりである。 (イ) 容易想到性そうすると,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成は甲11~17のいずれにも開示されておらず,本件特許発明1は,甲18と甲11 ~17に基づいて容易に想到することができたものとは認められず,前記⑴イ~エのとおり,本件特許発明2~4はいずれも本件特許発明1を含むものであるから,本件特許発明1~4は甲18と甲11~17に基づいて容易に想到することができたものとは認められない。また,相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されておらず,本件特許発明5は,甲18と甲11~17に基づいて容易に想到することができたものとは認められない。 (ウ) 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許 18と甲11~17に基づいて容易に想到することができたものとは認められない。 (ウ) 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することができなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 イ周知技術に基づく容易想到性(ア) 相違点に係る構成の開示前記1⑵イ(ア)のとおり,甲49~53には,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成が示されているものとは認められない。 (イ) 容易想到性前記1⑵イ(イ)aのとおり,仮に,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成が甲53に示されているとしても,前記1⑵イ(イ)bで述べたのと同様に,甲53に示された相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成が,当業者の本件特許の優先権主張日前の技術常識であったことについては,これを認めるに足りる証拠はなく,甲53に示された上記構成は,審判で審理判断されなかった公知事実に該当するものと認められ,したがって,甲53に示された上記構成と公知の発 明(甲18発明1,5)の組み合わせに基づく容易想到性を主張することは許されないものというべきである。 また,前記1⑵イ(イ)cで述べたのと同様の理由により,仮に,甲53に示された相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成と公知の発明(甲18発明1,5)との組み合わせに基づく容易想到性を検討するとしても,それらの組み合わせには阻害事由があり,動機づけもないから,容易想到性は認められな -5に係る本件特許発明5の構成と公知の発明(甲18発明1,5)との組み合わせに基づく容易想到性を検討するとしても,それらの組み合わせには阻害事由があり,動機づけもないから,容易想到性は認められない。 なお,本件特許発明2~4は本件特許発明1を含むものであり,甲18発明2~4は甲18発明1を含むものであるから(前記⑴イ~エ),甲18発明2~4に,甲53に示された相違点2-2に係る本件特許発明1の構成を適用して本件特許発明2~4を容易に想到することもできなかった。 (ウ) 審決の判断の誤りの有無したがって,相違点2-2に係る本件特許発明1の構成及び相違点2-5に係る本件特許発明5の構成は甲11~17のいずれにも開示されていないから本件特許発明1~5は容易に想到することはできなかったとした本件審決の判断に誤りはない。 3 取消事由3(分割要件に関する判断の誤り(無効理由3関係))⑴ 新規事項追加分割において新規事項の追加があるかどうかは,原出願の当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術事項を導入するものであるか否かにより判断すべきである。 ⑵ 原出願の当初明細書等と本件特許出願の当初明細書等の比較ア特許請求の範囲(ア) 原出願の当初の特許請求の範囲原出願の当初の特許請求の範囲は次のとおりである(下線は,本件審 決51~62頁による。符号は,本判決において付した。以下,各請求項記載の発明は,請求項の番号に応じて,例えば請求項1に係る発明を「原出願発明1」などという。)。 【請求項1】b-1 石油系溶剤の蒸気を生成する蒸気生成手段と,c-1 前記蒸気生成手段から供給される蒸気によって減圧下でワークを洗浄可能な洗浄室と,d-1 前記洗浄 」などという。)。 【請求項1】b-1 石油系溶剤の蒸気を生成する蒸気生成手段と,c-1 前記蒸気生成手段から供給される蒸気によって減圧下でワークを洗浄可能な洗浄室と,d-1 前記洗浄室に隣接し,減圧状態に保持される凝縮室と,e-1 前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段と,f-1 前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させ,または,その連通を遮断する開閉バルブと,を備え,g-1 前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,前記開閉バルブによって前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させることを特徴とする真空洗浄装置。 【請求項2】b-2 石油系溶剤の蒸気を生成する蒸気生成手段と,c-2 前記蒸気生成手段から供給される蒸気によって減圧下でワークを洗浄可能な洗浄室と,d-2 前記洗浄室に隣接し,減圧状態に保持される凝縮室と,e-2 前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段と,f-2 前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させ,または,その連通を遮断する開閉バルブと,を備え,g-2 洗浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させることなく, 前記開閉バルブによって前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させることを特徴とする真空洗浄装置。 【請求項3】l-3 ワークが搬入された洗浄室および当該洗浄室に隣接した凝縮室を減圧する工程と,m-3 石油系溶剤の蒸気を生成し,当該蒸気を減圧下にある前記洗浄室に供給して前記ワークを洗浄する工程と,n-3 減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,o-3 前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,開閉 ある前記洗浄室に供給して前記ワークを洗浄する工程と,n-3 減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,o-3 前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,開閉バルブを開弁して前記洗浄室と前記凝縮室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させる工程とp-3 を含む真空洗浄方法。 【請求項4】l-4 ワークが搬入された洗浄室および当該洗浄室に隣接した凝縮室を減圧する工程と,m-4 石油系溶剤の蒸気を生成し,当該蒸気を減圧下にある前記洗浄室に供給して前記ワークを洗浄する工程と,n-4 減圧下にある前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する工程と,o-4 洗浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させることなく,開閉バルブを開弁して前記洗浄室と前記凝縮室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させる工程とp-4 を含む真空洗浄方法。 (イ) 原出願の当初の特許請求の範囲と本件特許請求の範囲との対比 a 本件特許発明1と原出願発明1,2とを比較すると,次の点で異なる。 ① 本件特許発明1は構成要件A(「真空ポンプと,」)を有するのに対し,原出願発明1,2はそのような構成要件を有しない。 ② 本件特許発明1の構成要件Cが「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において前記蒸気生成手段から供給される蒸気によってワークを洗浄する洗浄室と」であるのに対し,原出願発明1のc-1及び原出願発明2のc-2は「前記蒸気生成手段から供給される蒸気によって減圧下でワークを洗浄可能な洗浄室と」であり,原出願発明1のc-1及び原出願発明2のc-2には,洗浄室が真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において洗浄することが記載されていない。 ③ て減圧下でワークを洗浄可能な洗浄室と」であり,原出願発明1のc-1及び原出願発明2のc-2には,洗浄室が真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において洗浄することが記載されていない。 ③ 本件特許発明1の構成要件Dが「前記真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態が保持される凝縮室と」であるのに対し,原出願発明1のd-1及び原出願発明2のd-2は「前記洗浄室に隣接し,減圧状態に保持される凝縮室と」であり,原出願発明1のd-1及び原出願発明2のd-2には,凝縮室が真空ポンプによって減圧されることは記載されておらず,他方,本件件発明1の構成要件Dには,凝縮室が洗浄室に隣接していることが記載されていない。 ④ 本件特許発明1の構成要件Gが「前記蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後,前記開閉バルブによって前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる」であるのに対し,原出願発明1のg-1は「前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,前記開閉バルブによって前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させる」であり,原出願発明2のg-2は「洗 浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させることなく,前記開閉バルブによって前記凝縮室と前記洗浄室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させる」であり,原出願発明1のg-1及び原出願発明2のg-2には,蒸気を前記洗浄室に供給してワークを洗浄した後にワークを乾燥させることの記載はなく,他方,構成要件Gには,原出願発明1のg-1の「前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,」ということの記載はなく,原出願発明2のg-2は「洗浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させる 方,構成要件Gには,原出願発明1のg-1の「前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,」ということの記載はなく,原出願発明2のg-2は「洗浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させることなく,」という記載もない。 b 本件特許発明5と原出願発明3,4とを比較すると,次の点で異なる。 ① 本件特許発明5の構成要件Lには,真空ポンプを用いることにより,洗浄室及び凝縮室を減圧することが記載されているのに対し,原出願発明3のl-3及び原出願発明4のl-4には,真空ポンプを用いて減圧することは記載されていない。 ② 原出願発明3のl-3及び原出願発明4のl-4には,凝縮室が洗浄室に隣接していることが記載されているが,本件特許発明5の構成要件Lには記載されていない。 ③ 本件特許発明5の構成要件Oが「前記洗浄室において前記ワークを洗浄した後,開閉バルブを開弁することにより前記洗浄室を当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させてワークを乾燥させる工程と,」であるのに対し,原出願発明3のo-3は,「前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,開閉バルブを開弁して前記洗浄室と前記凝縮室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させる工程と」であり,原出願発明4のo-4は,「洗浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させるこ となく,開閉バルブを開弁して前記洗浄室と前記凝縮室とを連通させることによって洗浄後の前記ワークを乾燥させる工程と」であり,構成要件Oには,原出願発明3のo-3の「前記ワークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,」ということの記載はなく,原出願発明4のo-4の「洗浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させることなく,」という記載もない。 c 本件特許発明2 ークの洗浄後に前記凝縮室を減圧することなく,」ということの記載はなく,原出願発明4のo-4の「洗浄後の前記ワークの乾燥に真空ポンプを寄与させることなく,」という記載もない。 c 本件特許発明2の構成要件I,本件特許発明3の構成要件J及び本件特許発明4の構成要件Kは,分割による本件特許の出願に際して,発明の構成要件として新たに追加されたものである。 イ明細書及び図面の対比本件特許明細書及び図面に記載された事項と,原出願の当初明細書及び図面に記載された事項とを比較すると,両者は,本件特許明細書と原出願の当初明細書の特許請求の範囲の記載に対応する【課題を解決するための手段】の記載(本件特許明細書の【0007】~【0011】,原出願の当初明細書の【0007】~【0010】)は異なるものの,それ以外の【発明が解決しようとする課題】,【発明の効果】,【発明を実施するための形態】等の記載は共通している。 ⑶ 新規事項追加の有無ア本件特許明細書等と原出願の当初明細書等を比べると,前記⑵アのとおり,本件特許請求の範囲と原出願の当初の特許請求の範囲に相違がある一方,前記⑵イのとおり,明細書及び図面には,特許請求の範囲に対応する部分に相違があるにとどまるから,本件特許請求の範囲と原出願の当初の特許請求の範囲の相違点に係る本件特許請求の範囲に記載された事項が,原出願の当初明細書,図面に記載されていたか否かを検討することにより,分割による新規事項追加の有無を検討する。 イ真空ポンプを用いて洗浄室及び凝縮室を減圧すること(前記⑵ア(イ)a ①,b①)について(ア) 原出願の当初明細書には,次のとおり記載されている。 「【0016】また,洗浄室2には,配管9を介して,真空ポンプ10が接続されている。この真空ポン ①,b①)について(ア) 原出願の当初明細書には,次のとおり記載されている。 「【0016】また,洗浄室2には,配管9を介して,真空ポンプ10が接続されている。この真空ポンプ10は,ワークWの洗浄を開始する前の減圧工程において,真空容器3内を真空引き(初期真空)によって減圧する。さらに,洗浄室2には,この洗浄室2を大気開放するための配管11が接続されている,この配管11は,ワークWの洗浄工程および乾燥工程が終了した後の搬出工程において,洗浄室2を大気開放して大気圧に復帰させる。 【0017】そして,洗浄室2には,開閉手段である開閉バルブ20を介して,凝縮室21が接続されている。開閉バルブ20を開弁すると,洗浄室2と凝縮室21とが連通し,開閉バルブ20を閉弁すると,洗浄室2と凝縮室21との連通が遮断される。この凝縮室21も,洗浄室2と同様に,配管9から分岐する分岐管25を介して真空ポンプ10に接続されており,減圧状態を保持することが可能である。また,この凝縮室21には,熱交換器等からなる温度保持装置22(温度保持手段)が設けられており,凝縮室21内の温度が洗浄室2内の温度よりも低い一定温度(5℃~50℃,より好ましくは15℃~約25℃)に保持することが可能である。」(イ) 前記(ア)のとおり,原出願の当初明細書には,真空ポンプを用いて洗浄室及び凝縮室を減圧することが記載されていたから,本件特許発明1が構成要件A(「真空ポンプと,」)を有し,本件特許発明5の構成要件Lに,真空ポンプを用いることにより洗浄室及び凝縮室を減圧することが記載されていても,それらは原出願の当初明細書に記載されていた事 項であった。 ウ洗浄室が真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において洗浄すること 縮室を減圧することが記載されていても,それらは原出願の当初明細書に記載されていた事 項であった。 ウ洗浄室が真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において洗浄すること(前記⑵ア(イ)a②)について(ア) 原出願の当初明細書には,次のとおり記載されている。 「【0021】図2は,真空洗浄装置1の処理工程を説明するフローチャートである。 真空洗浄装置1を利用するにあたっては,まず,準備工程(ステップS100)を1回行う。その後,1つのワークWに対して,搬入工程(ステップS200),減圧工程(ステップS300),蒸気洗浄工程(ステップS400),乾燥工程(ステップS500),搬出工程(ステップS600)を行う。そして,以後,順次搬入されるワークWに対して,ステップS200~ステップS600の工程が行われる。以下に,図1を参照しながら,上記の各工程について説明する。 【0022】(準備工程:ステップS100)まず,真空洗浄装置1を稼働させる。そのために,開閉バルブ20および切換バルブV1~V3を閉弁するとともに,切換バルブV4を開弁して真空ポンプ10を駆動する。これにより,凝縮室21を真空引きして,この凝縮室21の内部を10kPa以下に減圧する。そして,温度保持装置22を駆動して,減圧状態にある凝縮室21を,洗浄室2よりも低い温度,より詳細には,使用する石油系溶剤の凝縮点以下の温度(5℃~50℃,より好ましくは15℃~約25℃)に保持する。 【0023】また,ヒータ8aを駆動して蒸気発生室8に貯留されている石油系溶剤を加温し,蒸気を生成させる。なお,このとき,蒸気発生室8は飽和蒸気圧となっており,かつ切換バルブV1が閉じられているため,蒸気 発生室8で生成された蒸気 留されている石油系溶剤を加温し,蒸気を生成させる。なお,このとき,蒸気発生室8は飽和蒸気圧となっており,かつ切換バルブV1が閉じられているため,蒸気 発生室8で生成された蒸気は,この蒸気発生室8内に充満している。これにより,真空洗浄装置1の準備工程が終了し,真空洗浄装置1によるワークWの洗浄が可能となる。 【0024】(搬入工程:ステップS200)真空洗浄装置1によってワークWの洗浄を行う際には,まず,開閉扉4を開放し,開口3aから洗浄室2にワークWを搬入して載置部5に載置する。このとき,開閉バルブ20は閉弁したままであり,凝縮室21が減圧状態に維持されている。そして,ワークWの搬入が完了したら,開閉扉4を閉じて洗浄室2を密閉状態にする。このとき,ワークWの温度は,常温(15~40℃程度)となっている。 【0025】(減圧工程:ステップS300)次に,真空ポンプ10を駆動して,真空引きにより洗浄室2を凝縮室21と同じ10kPa以下に減圧する。 【0026】(蒸気洗浄工程:ステップS400)次に,切換バルブVIを開弁して,蒸気発生室8によって生成された蒸気を洗浄室2に供給する。このとき,蒸気の温度は,70~150℃(より好ましくは115~125℃)に制御されており,高温の蒸気が洗浄室2に充満する。 【0027】このように,洗浄室2に供給された蒸気がワークWの表面に付着すると,ワークWの温度が蒸気の温度に比べて低いことから,蒸気がワークWの表面で凝縮する。その結果,ワークWの表面に付着していた油脂類が,凝縮された石油系溶剤によって溶解,流下され,ワークWが洗浄さ れる。この蒸気洗浄工程は,ワークWの温度が,蒸気の温度(石油系溶剤の沸点)である70~150℃( ていた油脂類が,凝縮された石油系溶剤によって溶解,流下され,ワークWが洗浄さ れる。この蒸気洗浄工程は,ワークWの温度が,蒸気の温度(石油系溶剤の沸点)である70~150℃(115~125℃)に到達するまで行われるとともに,ワークWの温度が蒸気の温度に到達したときに切換バルブV1を閉弁する。こうして,蒸気洗浄工程が,終了する。 【0028】(乾燥工程:ステップS500)上記ステップS400の蒸気洗浄工程が終了すると,次に,洗浄の際にワークWに付着した石油系溶剤を乾燥させる乾燥工程が行われる。この乾燥工程は,開閉バルブ20を開弁して,洗浄室2と凝縮室21とを連通させることによって行われる。具体的には,乾燥工程の開始時には,洗浄室2の温度が蒸気の温度である70~150℃となっているが,凝縮室21の温度は,温度保持装置22によって5~50℃ (より好ましくは15~25℃)に維持されている。 【0029】したがって,開閉バルブ20を開弁すると,洗浄室2内に充満している蒸気は,凝縮室21に移動して凝縮する。これにより,洗浄室2が減圧されることから,ワークWに付着している石油系溶剤および洗浄室2内の石油系溶剤が,全て気化して,凝縮室21に移動する。その結果,従来に比べて極めて短時間で,洗浄室2(ワークW)を乾燥させることが可能となる。なお,第1実施形態の真空洗浄装置1における乾燥時間については,後で詳細に説明する。 【0030】(搬出工程:ステップS600)上記のように,洗浄室2およびワークWの乾燥が完了したら,開閉バルブ20を閉弁して,洗浄室2と凝縮室21とを遮断する。そして,切換バルブV3を開弁して洗浄室2を大気開放し,洗浄室2が大気圧まで 復圧したときに,開閉扉4を 完了したら,開閉バルブ20を閉弁して,洗浄室2と凝縮室21とを遮断する。そして,切換バルブV3を開弁して洗浄室2を大気開放し,洗浄室2が大気圧まで 復圧したときに,開閉扉4を開放して開口3aからワークWを搬出する。 こうして,ワークWに対する全工程が,終了する。このとき,凝縮室21は,所望の圧力に維持されていることから,以後は,上記ステップS200~ステップS600を繰り返すことで,次々とワークWを洗浄することができる。」(イ) 前記(ア)の【0025】~【0027】のとおり,原出願の当初明細書においては,真空ポンプによって洗浄室が減圧され,減圧の状態において溶剤蒸気が洗浄室に供給されて洗浄が行われることが記載されているから,本件特許発明1の構成要件Cに,洗浄室が真空ポンプによって減圧され,当該減圧の状態において洗浄することが記載されていても,それらは原出願の当初明細書に記載されていた事項であった。 エ凝縮室が洗浄室に隣接していること(前記⑵ア(イ)a③,b②)について原出願の当初明細書等には,洗浄室2と凝縮室21との配置関係について,【0017】に「洗浄室2には,開閉手段である開閉バルブ20を介して,凝縮室21が接続されている。」(前記イ(ア))と記載されているものの,凝縮室21が洗浄室に隣接しているという直接的な文言は記載されておらず,隣接していることによる技術的な意義についても記載されていない。一方,原出願の当初明細書の発明の詳細な説明には,【0022】~【0030】(前記ウ(ア))に,準備工程で減圧され,減圧状態で洗浄室2よりも低い温度に保持された凝縮室21と,搬入工程でワークWが搬入され,減圧工程及び蒸気洗浄工程を経て高温の蒸気が充満された洗浄室2とを,乾燥工程において,開閉バルブ20を開 れ,減圧状態で洗浄室2よりも低い温度に保持された凝縮室21と,搬入工程でワークWが搬入され,減圧工程及び蒸気洗浄工程を経て高温の蒸気が充満された洗浄室2とを,乾燥工程において,開閉バルブ20を開弁して連通させることによって,洗浄室2内に充満している蒸気が凝縮室21に移動して凝縮し,ワークWを乾燥させることが記載されている。そして,当業者が,凝縮乾燥技術に関する上記の【0022】~【0030】(前記ウ(ア))の記載に触れたとしても,上記のとおり,原出願の当初明細書等には,凝縮室21が洗浄室 に隣接しているという直接的な文言は記載されていないし,隣接していることによる技術的な意義についても何ら記載されていないから,凝縮乾燥技術を実現する上で,凝縮室が洗浄室に隣接するということが必須の事項であると把握するとは認められない。したがって,原出願の当初明細書等には,凝縮乾燥技術として,凝縮室が洗浄室に隣接するという限定を含まない発明が記載されていたものと認められる。そうすると,本件特許発明1の構成要件D,本件特許発明5の構成要件Lに,凝縮室が洗浄室に隣接することが記載されておらず,本件特許発明1,5が,凝縮室が洗浄室に隣接するという構成を必須のものとして含まない発明であるとしても,そのような発明は,原出願の当初明細書に記載されていた事項であった。 オワークの洗浄後に凝縮室を減圧しないこと,洗浄後のワークの乾燥に真空ポンプを寄与させることがないこと(前記⑵ア(イ)a④,b③)について原出願の当初明細書の【0022】~【0030】(前記ウ(ア))には,凝縮乾燥技術が記載されているところ,そこでは,蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与させることには言及されていない。しかし,そ 】(前記ウ(ア))には,凝縮乾燥技術が記載されているところ,そこでは,蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与させることには言及されていない。しかし,そこに記載された凝縮乾燥技術は,その内容に照らすと,予め真空ポンプにより減圧して低い温度にたもちつづけられた凝縮室を,洗浄後に洗浄室と連通してワークを乾燥させた上で,更にそれに加えて,蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与させることを付け加えたとしても,凝縮乾燥の実施が困難となるようなものではなく,むしろそれらを付け加えることは可能であり,それらを排除するものとは認められない。そして,原出願の当初明細書等には,上記の部分以外の部分においても,蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与させることを付け加えることを排除する記載や示唆があるとは認められない。そうすると,原出願の当初明細書においては,乾燥凝縮に おいて,蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与させる構成を付け加えることは排除されておらず,それらを付け加える余地があり,それらを含み得る発明が記載されていたものと認められる。 そうであるとすれば,本件特許発明1の構成要件G,本件特許発明5の構成要件Oに,洗浄後に凝縮室を減圧しないことや,洗浄後のワークの乾燥に真空ポンプを寄与させないことが記載されておらず,本件特許発明1,5が,予め真空ポンプにより減圧して低い温度にたもちつづけられた凝縮室を,洗浄後に洗浄室と連通してワークを乾燥させた後,更にそれに加えて,蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与さ 減圧して低い温度にたもちつづけられた凝縮室を,洗浄後に洗浄室と連通してワークを乾燥させた後,更にそれに加えて,蒸気洗浄工程後に凝縮室を減圧することや,蒸気洗浄工程後の乾燥工程で真空ポンプを寄与させることを含み得る発明であったとしても,そのような発明は,原出願の当初明細書に記載されていた。 カ本件特許発明2の構成要件I,本件特許発明3の構成要件J,本件特許発明4の構成要件Kについて(ア) 本件特許発明2の構成要件I本件特許発明2の構成要件Iは,「前記温度保持手段は,前記凝縮室の温度を前記石油系溶剤の凝縮点以下に保持することを特徴とする」という構成を備えるところ,原出願の当初明細書の【0022】(前記ウ(ア))には,凝縮室に設けられた温度保持装置を駆動して,減圧状態にある凝縮室を,使用する石油系溶剤の凝縮点以下の温度に保持することが記載れているから,本件特許発明2の構成要件Iの上記構成が開示されている。 (イ) 本件特許発明3の構成要件Ja 原出願の当初明細書の【0018】には,【0017】(前記イ(ア))に続けて次のとおり記載されている。 「【0018】 さらに,凝縮室21の底部には,リターン配管23を介して,リザーバタンク24が接続されている。凝縮室21で凝縮した石油系溶剤をリターン配管23からリザーバタンク24に導くとともに,このリザーバタンク24に一時的に貯留することが可能である。このリザーバタンク24は,蒸気発生室8に接続されており,一定量以上の石油系溶剤が貯留されると,リザーバタンク24から蒸気発生室8に石油系溶剤が導かれる。つまり,リターン配管23およびリザーバタンク24は,石油系溶剤を回収する回収手段として機能する。こうした回収手段によって回収された石油系溶剤は,蒸気発生室8 ら蒸気発生室8に石油系溶剤が導かれる。つまり,リターン配管23およびリザーバタンク24は,石油系溶剤を回収する回収手段として機能する。こうした回収手段によって回収された石油系溶剤は,蒸気発生室8に還流して再度気化されて洗浄室2に供給される。」b 本件特許発明3の構成要件Jは,「前記洗浄室から前記凝縮室に導かれて凝縮した石油系溶剤を,前記凝縮室から前記蒸気生成手段に導く回収手段をさらに備えることを特徴とする」との構成を備えるところ,原出願の当初明細書の【0017】,【0018】及び図1によれば,原出願の当初明細書には,洗浄室から凝縮室に導かれて凝縮した石油系溶剤を凝縮室から蒸気発生室に導く回収手段であるリターン配管及びリザーバタンクが記載されていることが認められるから,本件特許発明3の構成要件Jの上記構成が開示されている。 (ウ) 本件特許発明4の構成要件Ka 原出願の当初明細書の【0042】には,原出願に係る発明の第2実施形態について次のとおり記載されており,図7に第2実施形態が示されている。 「【0042】また,真空容器52内には,洗浄室2の下方に配置された浸漬室53が設けられている。この浸漬室53には,ワークWが完全に浸漬可能な量の石油系溶剤が貯留されており,この石油系溶剤を加熱するた めのヒータ53aが設けられている。また,洗浄室2と浸漬室53との間には中間扉54が設けられており,この中間扉54によって,洗浄室2と浸責室53とが連通され,あるいはその連通が遮断される。」b 本件特許発明4の構成要件Kは,「前記洗浄室に接続され,前記石油系溶剤が貯留されるとともに当該石油系溶剤にワークを浸漬可能な浸漬室をさらに備えることを特徴とする」という構成を備えるところ,原出願の当初明細書の【0042 件Kは,「前記洗浄室に接続され,前記石油系溶剤が貯留されるとともに当該石油系溶剤にワークを浸漬可能な浸漬室をさらに備えることを特徴とする」という構成を備えるところ,原出願の当初明細書の【0042】及び図7によれば,原出願の当初明細書には,洗浄室に接続され,石油系溶剤が貯留されるとともに,その石油系溶剤にワークを浸漬可能な浸漬室を備えることが記載されているから,本件特許発明4の構成要件Kの上記構成が開示されている。 (エ) 前記イ~オのとおり,本件特許発明1,5が原出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と相違するところは,いずれも原出願の当初明細書等に記載されていたものであり,また,前記(ア)~(ウ)のとおり,本件特許発明2の構成要件I,本件特許発明3の構成要件J,本件特許発明4の構成要件Kの構成は,原出願の当初明細書に記載されていたものであるから,本件特許発明2~4も,いずれも原出願の当初明細書等に記載されていたものであった。 キそうすると,分割による本件特許の出願は,原出願の当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術事項を導入するものではないから,新規事項の追加に当たるものではない。 ⑷ 審決の判断の誤りの有無以上によれば,本件特許出願は分割要件を満たすから,原々々出願の時(平成24年11月20日)にしたものとみなされ,原々々出願の公開公報である甲7(平成25年(2013年)5月30日国際公開)に記載された発明 は特許法29条1項3号の発明に該当せず,本件特許は無効ではないとした本件審決の判断(前記第2,3⑷ウ)に誤りはなく,取消事由3は理由がない。 4 取消事由4(実施可能要件に関する判断の誤り(無効理由4関係))⑴ 実施可能要件特許 件特許は無効ではないとした本件審決の判断(前記第2,3⑷ウ)に誤りはなく,取消事由3は理由がない。 4 取消事由4(実施可能要件に関する判断の誤り(無効理由4関係))⑴ 実施可能要件特許法36条4項1号には,発明の詳細な説明の記載は,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること(実施可能要件)が規定されている。物の発明について実施可能要件を充足するためには,当業者が,明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて,過度の試行錯誤を要することなく,その物を製造し,使用することができる程度の記載があることを要する。また,方法の発明について実施可能要件を充足するためには,当業者が,明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて,過度の試行錯誤を要することなく,その方法の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 ⑵ア本件特許発明1(ア) 原告は,本件特許発明1の構成要件Gに関して,実施可能要件が充足されていないことを主張するので,その点について検討する。 a 本件特許発明1の構成要件Gには,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態をたもちつづけるために洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させることが記載されているものと認められる(前記1⑴ア(イ)a)。 b 本件特許明細書の発明の詳細な説明には,【0005】,【0006】において,本件特許発明が解決しようとする課題は,乾燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧する従来の真 空洗浄装置及び真 には,【0005】,【0006】において,本件特許発明が解決しようとする課題は,乾燥工程において,蒸気洗浄・乾燥室を真空ポンプで真空引きして減圧する従来の真 空洗浄装置及び真空洗浄方法では,乾燥工程に長時間を要するところ,ワークの乾燥に要する時間を短縮して全体の処理能力を向上することができる真空洗浄装置及び真空洗浄方法を提供することであると記載されており,【0007】~【0011】において,課題を解決するための手段が本件特許発明であることが記載されている。そして,本件特許発明の実施例として,第1実施形態(【0015】~【0040】),第2実施形態(【0041】~【0052】)が記載され,第1実施形態について,【0023】~【0031】には,準備工程で減圧され,減圧状態で洗浄室2よりも低い温度に保持された凝縮室21と,搬入工程でワークWが搬入され,減圧工程及び蒸気洗浄工程を経て高温の蒸気が充満された洗浄室2とを,乾燥工程において,開閉バルブ20を開弁して連通させることによって,洗浄室2内に充満している蒸気が凝縮室21に移動して凝縮し,ワークWを乾燥させるという真空洗浄装置の一連の処理工程が記載されており,当業者が,これらの記載を参酌すれば,本件特許発明1の真空洗浄装置で行われる具体的な処理を把握することができる。また,その効果について,発明の詳細な説明の【0032】~【0038】及び図3~図6に,試験において測定された蒸気発生室の蒸気温度・液温,及び洗浄室圧力の時間に伴う変化が具体的な数値をもって記載され,それに基づいて,乾燥工程で真空ポンプによる真空引き行う従来の真空洗浄装置との比較が記載されており,本件特許発明1の真空洗浄装置がこの従来の真空洗浄装置よりも乾燥工程に要する時間が短縮化されることが具体的に示 て,乾燥工程で真空ポンプによる真空引き行う従来の真空洗浄装置との比較が記載されており,本件特許発明1の真空洗浄装置がこの従来の真空洗浄装置よりも乾燥工程に要する時間が短縮化されることが具体的に示されている。 c そうすると,当業者は,本件特許明細書の発明の詳細な説明によって,本件特許発明1の真空洗浄装置が,ワークの乾燥に要する時間を短縮して全体の処理能力を向上するとの課題を解決するものであるこ とを理解し,その装置で行われる処理の工程や効果を具体的に把握することができるから,凝縮室の熱容量,溶剤の種類,凝縮室内の温度や圧力等の種々の条件を最適化し,ワークの乾燥時間が所望のものとなるように,本件特許発明1を実施することができるものと認められ,その実施には過度の試行錯誤は要しないものと推認される。そうすると,本件特許明細書の発明の詳細な説明は,当業者が本件特許発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているということができ,本件特許発明1は実施可能要件を充足するものと認められる。 (イ) その他の原告の主張について検討する。 a 原告は,発明の詳細な説明には本件特許発明1の構成要件Gに関し,それに含まれる特定の実施形態のみが開示されているものの,他の実施形態は不明であり,そのため,本件特許発明1に係る特許は特許法36条4項1号の実施可能要件を充足しないと主張する(前記第3,4⑴ア(ア))。 しかし,本件特許明細書の発明の詳細な説明には,本件特許発明1の実施形態が記載されているから,本件特許発明1は実施可能であると認められる。発明の詳細な説明に,請求項記載の発明のあらゆる実施形態を記載することは不可能であり,そのようなことをしなくても,当業者は,実施例の記載や,その他の明細書の記載,技術 は実施可能であると認められる。発明の詳細な説明に,請求項記載の発明のあらゆる実施形態を記載することは不可能であり,そのようなことをしなくても,当業者は,実施例の記載や,その他の明細書の記載,技術常識等を参酌し,適宜条件を調整することにより本件特許発明1を実施することができると認められることは既に説示したとおりであるから,原告の上記主張は,採用できない。 b 原告は,本件特許明細書には,乾燥前にどの程度の圧力差を作っておけばワークの乾燥に要する時間を短縮することができるのか例示されていない旨(前記第3,4⑴ア(イ)a),本件特許発明1の構成要件 Gの記載には,乾燥の際に,洗浄室と凝縮室との差圧が微差であり,ワークの乾燥時間を短縮させる程の溶剤蒸気の移動を生じない態様も含んでいる旨(前記第3,4⑴ア(イ)b)主張する。しかし,前記(ア)のとおり,本件特許明細書は,その記載内容に照らして,当業者が過度の試行錯誤を要することなく本件特許発明1を実施することができるように記載されているものと認められ,乾燥時間を短縮させるために必要な圧力差を,特許請求の範囲において具体的な数値により特定していないことをもって,実施可能要件を充足していないということはできない。また,上記圧力差が具体的な数値によって特定されていないとしても,それは,本件特許発明1の効果を生じる程度の圧力差であることが当然の前提となっており,結果に影響を与えないような僅かな微差まで含んでいるものとは認められない。 c また,原告は,本件特許発明1の構成要件Gは,乾燥の際に,洗浄室が凝縮室よりも低圧の場合,つまり,溶剤蒸気を洗浄室が吸い込むという課題解決に矛盾する態様もその発明の範囲に含んでいると主張するが(前記第3,4⑴ア(イ)b),前記(ア)aのとおり 燥の際に,洗浄室が凝縮室よりも低圧の場合,つまり,溶剤蒸気を洗浄室が吸い込むという課題解決に矛盾する態様もその発明の範囲に含んでいると主張するが(前記第3,4⑴ア(イ)b),前記(ア)aのとおり,構成要件Gには,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態をたもちつづけるために洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させることが記載されているから,洗浄室が凝縮室よりも低圧の場合は,構成要件Gに記載されているとは認められず,原告の上記主張は,採用することはできない。 d 原告は,本件特許の請求項1の記載によれば,本件特許発明1は,開弁後に作動される真空ポンプで真空引きして乾燥する態様も包含しているところ,その場合に,開弁後に作動させる真空ポンプをどのように用いればワークの乾燥時間を短縮させることができるのかという ことを示す実施形態の記載はないから,本件特許発明1は実施可能要件を充足しないと主張する(前記第3,4⑴ア(イ)c)。 しかし,本件特許の請求項1には,構成要件Gが示すとおり,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態をたもちつづけるために洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブによって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させることにより,ワークの乾燥に要する時間を短縮するという発明が記載されており,開弁後に作動させる真空ポンプを用いることを排除するものではないとしても,開弁後に真空ポンプを作動させることは本件特許の構成要件ではないから,その点について実施形態の記載がないことをもって,実施可能要件を充足しないということはできない。 を排除するものではないとしても,開弁後に真空ポンプを作動させることは本件特許の構成要件ではないから,その点について実施形態の記載がないことをもって,実施可能要件を充足しないということはできない。 e 原告は,本件特許の請求項1には,「前記凝縮室を前記洗浄室よりも低い温度に保持する温度保持手段」,「当該洗浄室よりも低い温度に保持された前記凝縮室と連通させて」としか規定されておらず,本件特許発明1には凝縮室が溶剤の凝縮点温度よりも高い温度に維持される態様が含まれるが,凝縮室が凝縮点温度よりも高い温度の場合,十分な凝縮は行われないのであり,それにもかかわらず,どのようにしてワークの乾燥時間を短縮させることができるのかという実施形態も実施可能に開示されていないと主張する(前記第3,4⑴ア(イ)d)。 しかし,本件特許の請求項1 の記載からは,石油系溶剤の蒸気を凝縮室で凝縮させることは明らかであり,当業者であれば,凝縮室が石油系溶剤の凝縮点温度よりも低いことは当然に読み取ることができるから,原告の上記主張は,採用することはできない。 f 原告は,本件特許の請求項1の記載では,洗浄室と凝縮室との間の容積の関係も規定されていないため,凝縮室の容積が小さく,洗浄室 内の溶剤蒸気をわずかに吸い込んだだけで凝縮室内が溶剤蒸気で満杯になり,凝縮が間に合わずに凝縮室の圧力を上昇させ,溶剤蒸気の移動が直ぐに停止する場合もその範囲に含んでおり,それにもかかわらず,どのようにしてワークの乾燥時間を短縮させることができるのかという実施形態も実施可能に開示されていないと主張する(前記第3,4⑴ア(イ)e)。 しかし,前記(ア)のとおり,本件特許明細書の記載を把握した当業者であれば,本件特許発明1の真空洗浄装置における,凝縮室の熱容量 施可能に開示されていないと主張する(前記第3,4⑴ア(イ)e)。 しかし,前記(ア)のとおり,本件特許明細書の記載を把握した当業者であれば,本件特許発明1の真空洗浄装置における,凝縮室の熱容量,溶剤の種類,凝縮室内の温度や圧力等の種々の条件を最適化し,ワークの乾燥時間が所望のものとなるように本件特許発明1を実施することに過度の試行錯誤は要しないと推認される。原告が主張する例は,そのような最適化が不可能な極端な例であって,そのようなものまで本件特許発明1が含んでいるものとは考えられないから,原告の上記主張は,採用することができない。 イ本件特許発明2~4原告は,本件特許発明1の構成要件Gに関して実施可能要件が充足されていないことを主張し,そのため本件特許発明2~4も実施可能要件を充足しない旨主張するが(前記第3,4⑴イ),本件特許発明1について実施可能要件は充足されているから,原告の上記主張は理由がない。 ウ本件特許発明5原告は,本件特許発明5の構成要件Oに関して,実施可能要件が充足されていないことを主張するので(前記第3,4⑴ウ),その点について検討する。 本件特許発明5の構成要件Oは,ワークの洗浄が終わる前に,凝縮室が,真空ポンプによって減圧され,減圧の状態をたもちつづけるために洗浄室よりも低い温度にたもちつづけられており,洗浄終了後に,開閉バルブに よって洗浄室と凝縮室を連通させてワークを乾燥させる工程が記載されているものと認められる(前記1⑴オ(イ)a)。そして,本件特許発明1について述べたのと同様に,本件特許明細書の発明の詳細な説明は,当業者が本件特許発明5を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているということができ,本件特許発明5は実施可能要件を充足している。したがっ と同様に,本件特許明細書の発明の詳細な説明は,当業者が本件特許発明5を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているということができ,本件特許発明5は実施可能要件を充足している。したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 審決の判断の誤りの有無以上によれば,本件特許発明1~5は実施可能要件を満たすという本件審決の判断(前記第2,3⑷エ)に誤りはなく,取消事由4は理由がない。 5 取消事由5(サポート要件に関する判断の誤り(無効理由5関係))⑴ サポート要件の判断手法特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が優先権主張日前の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。 そして,サポート要件を充足するには,明細書に接した当業者が,特許請求された発明が明細書に記載されていると合理的に認識できれば足り,また,課題の解決についても,当業者において,技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待が得られる程度の記載があれば足りるのであって,厳密な科学的な証明に達する程度の記載までは不要であると解される。 なぜなら,まず,サポート要件は,発明の公開の代償として独占権を与えるという特許制度の本質に由来するものであるから,明細書に接した当業者が当該発明の追試や分析をすることによって更なる技術の発展に資することが できれば,サポート要件を課し を与えるという特許制度の本質に由来するものであるから,明細書に接した当業者が当該発明の追試や分析をすることによって更なる技術の発展に資することが できれば,サポート要件を課したことの目的は一応達せられるからであり,また,明細書が,先願主義の下での時間的制約の中で作成されるものであることも考慮すれば,その記載内容が,科学論文において要求されるほどの厳密さをもって論証されることまで要求するのは相当ではないからである。 ⑵ サポート要件の具備ア本件特許発明1本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は前記4⑵ア(ア)bのとおりであり,それによれば,本件特許発明1は,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるものと認められる。 原告は,実施可能要件に関して主張したのと同様な主張を,サポート要件違反の主張としてもするが,前記⑴のとおり,サポート要件を充足するには,明細書に接した当業者が,特許請求された発明が明細書に記載されていると合理的に認識できれば足り,また,課題の解決についても,当業者において,技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待が得られる程度の記載があれば足りるから,原告の主張は,そのいずれも,上記の判断を左右するに足りるものではなく,したがって,本件特許発明1に係る特許はサポート要件を充足する。 イ本件特許発明2~4原告は,本件特許発明1の構成要件Gに関してサポート要件が充足されていないことを主張し,そのため本件特許発明2~4もサポート要件を充足しない旨主張するが,本件特許発明1についてサポート要件は充足されているから,原告の上記主張は理由がない。 ウ本件特許発明 れていないことを主張し,そのため本件特許発明2~4もサポート要件を充足しない旨主張するが,本件特許発明1についてサポート要件は充足されているから,原告の上記主張は理由がない。 ウ本件特許発明5原告は,本件特許発明5の構成要件Oに関して,サポート要件が充足さ れていないことを主張する。しかし,本件特許発明5は,本件特許発明1について述べたのと同様に,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるものと認められるから,原告の上記主張は理由がない。 ⑶ 審決の判断の誤りの有無以上によれば,本件特許発明1~5はサポート要件を満たすという本件審決の判断(前記第2,3⑷オ)に誤りはなく,取消事由5は理由がない。 6 結論以上によれば,本件審決に取り消すべき事由はなく,原告の請求は理由がない。よって,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判官上田卓哉 裁判官中平健 裁判長裁判官鶴岡稔彦は退官のため署名押印できない。 裁判官上田卓哉

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