昭和47(ネ)1300 転付債権請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和48年5月10日 東京高等裁判所
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判決文本文4,009 文字)

主文 原判決中控訴人敗訴の部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は主文同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上ならびに法律上の主張は次のとおり述べたほか原判決事実摘示のとおりてあるからこれを引用する。(控訴人)一、 原判決五枚目表七行目から八行目にかけて「昭和四五年一二月二九日」とあるを「昭和四五年八月下旬」と訂正する。二、 債権譲渡禁止の特約は、特段の事由のない限り債権者を保護するための制限にすぎないから債務者がその譲渡を承認することによりその制限は解除されるものと解すべきであり、その承認につき被控訴人が主張するような別個の対抗要件を具備することは必要ではない。(被控訴人)控訴人の前記訂正に異議はないが、控訴人が訴外Aに対し本件債権の譲受を承認した事実は否認する。すなわち、訴外会社から控訴人に対して昭和四五年八月二六日の確定日付の本件債権譲渡通知(乙第一号証)がなされた翌日の同年八月二七日附の書面をもつて控訴人は右譲渡否認の通知までしているのであるから承認がなされた事実はありえない。仮りに、控訴人が右譲渡を承認したとしても、右承認の事実をもつて被控訴人に対抗するにはその承認前になされた確定日附の債権譲渡の通知とは別個に改めて対抗要件を具備することを要する。証拠(省略) 理由 一、 訴外株式会社東京オートスライド(以下単に訴外会社という)が昭和四四年六月一八日、控訴人との間で原判決別紙物件目録記載の貸室(以下単に本件貸室という)について賃貸借契約を締結し、訴外会社が控訴人に対し右契約に基づき保証金一二〇万円を預託したこと、右 う)が昭和四四年六月一八日、控訴人との間で原判決別紙物件目録記載の貸室(以下単に本件貸室という)について賃貸借契約を締結し、訴外会社が控訴人に対し右契約に基づき保証金一二〇万円を預託したこと、右保証金は右賃貸借契約が解除されたときないしは訴外会社が本件貸室を明渡したときは直ちに返還する約定であつたことは当事者間に争いがない。 、訴外会社が控訴人に対し右契約に基づき保証金一二〇万円を預託したこと、右 う)が昭和四四年六月一八日、控訴人との間で原判決別紙物件目録記載の貸室(以下単に本件貸室という)について賃貸借契約を締結し、訴外会社が控訴人に対し右契約に基づき保証金一二〇万円を預託したこと、右保証金は右賃貸借契約が解除されたときないしは訴外会社が本件貸室を明渡したときは直ちに返還する約定であつたことは当事者間に争いがない。二、 成立に争いのない乙第一号証、原審証人Aおよび当審証人Bの各証言によれば、訴外会社は昭和四五年八月二六日、前記保証金の返還を請求する権利(以下本件債権という)を訴外Aに譲渡し、同日附内容証明郵便でその旨債務者たる控訴人に通知したことが認められる。ところで、控訴人は昭和四六年五月一一日の原審第二回口頭弁論期日において、被控訴人主張の、訴外会社、控訴人間における本件債権につき譲渡禁止の特約があつたとの事実を自白したが、昭和四六年一一月二〇日の原審第七回口頭弁論期日において、右自白は事実に反し且つ錯誤に基づくものであるとしてこれを撤回し、右譲渡禁止の特約があつたことを否認するに至り、被控訴人は右自白の撤回に異議を述べた。そして、右自白が真実に反するものであることは控訴人の全立証によつてもこれを認めることはできないから右自白の撤回は許されず、従つて本件債権につき譲渡禁止の特約があつたことも当事者間に争いがないものというべきである。三、 控訴人は、訴外Aは右債権譲受の当時その譲受禁止の特約が存在することを知らなかつた旨主張するが、当裁判所も原審と同様控訴人の右主張は理由がなく、当時訴外Aは右特約の存在を知つていたものと推認すべきものと判断するものであるからこの点に関する原審の説明(原判決七枚目表九行目から八枚目表一行目まで)を引用する。従つて控訴人の訴外Aは譲渡禁止の特約の存在を知らなかつたことを前提とする主張 認すべきものと判断するものであるからこの点に関する原審の説明(原判決七枚目表九行目から八枚目表一行目まで)を引用する。従つて控訴人の訴外Aは譲渡禁止の特約の存在を知らなかつたことを前提とする主張も理由がない。四、 次に、控訴人は、訴外Aが訴外会社から本件債権を譲受けた際右特約の存在を知つていたとしても、昭和四五年八月下旬控訴人が訴外Aに対し本件債権の譲受を承認したことにより訴外会社と訴外A間の本件債権譲渡は有効となつたと主張するに対し、被控訴人は右承認の事実を否認し、仮りに、承認があつたとしても対抗要件を具備しないとしてこれを争うのでこの点につき判断する。 知らなかつたことを前提とする主張も理由がない。四、 次に、控訴人は、訴外Aが訴外会社から本件債権を譲受けた際右特約の存在を知つていたとしても、昭和四五年八月下旬控訴人が訴外Aに対し本件債権の譲受を承認したことにより訴外会社と訴外A間の本件債権譲渡は有効となつたと主張するに対し、被控訴人は右承認の事実を否認し、仮りに、承認があつたとしても対抗要件を具備しないとしてこれを争うのでこの点につき判断する。当審証人Bの証言により成立を認める乙第一四号証、公証人作成部分の成立につき争いがなく、その余の部分の成立につき当審証人Bの証言によりこれを認めうる同第一一八号証、右B証人の証言おび原審における控訴人代表者C尋問の結果によると、訴外会社は昭和四五年一一月二七日頃、控訴人の代理人であるB弁護士に対し、訴外会社は控訴人に対し本件貸室を昭和四五年一二月二五日までに明渡す旨、右明渡の上は訴外会社から控訴人に預託してある保証金を精算してもらいたい旨を記載し、同日附の公証人の認証ある解約申込書(乙第一四号証)を持参交付したこと、右解約申入書には当時、訴外会社が本件貸室を明渡したときは保証金は訴外Aに支払う旨控訴人の承諾書が添付されていたことが認められ、他に右認定を動かすに足る証拠はない。右事実によれば、控訴人は昭和四五年一一月二七日頃、訴外Aの本件債権譲受を承認したものと認めるのが相当である。もつとも、成立に争いのない乙第三号証の一、二および原審における控訴人代表者C尋問の結果によると、控訴人は、訴外会社からの、本件債権を訴外Aに譲渡した旨の債権譲渡通知に対し、譲渡禁止の特約があるから譲渡 も、成立に争いのない乙第三号証の一、二および原審における控訴人代表者C尋問の結果によると、控訴人は、訴外会社からの、本件債権を訴外Aに譲渡した旨の債権譲渡通知に対し、譲渡禁止の特約があるから譲渡承認は拒否する旨昭和四五年八月二八日到達の内容証明郵便で表明したことが認められるが、前記認定の承認はその後になされたものであるから右事実は前記認定の妨げとはならない。<要旨>そうであるとすれば、訴外会社の控訴人に対する保証金返還債権については前段認定のとおり譲渡禁止の</要旨>特約があり且つ右債権の譲受人である訴外Aはその譲受禁止の特約を債権譲受当時知つていたのであるが、控訴人の前記債権譲渡承認によつて訴外会社と訴外A間の本件債権の譲渡はその譲渡の日である昭和四五年八月二六日に遡及してその効力を生じたものといえる。 であるから右事実は前記認定の妨げとはならない。<要旨>そうであるとすれば、訴外会社の控訴人に対する保証金返還債権については前段認定のとおり譲渡禁止の</要旨>特約があり且つ右債権の譲受人である訴外Aはその譲受禁止の特約を債権譲受当時知つていたのであるが、控訴人の前記債権譲渡承認によつて訴外会社と訴外A間の本件債権の譲渡はその譲渡の日である昭和四五年八月二六日に遡及してその効力を生じたものといえる。そして、前記乙第一号証によると前記債権譲渡の通知は昭和四五年八月二六日の確定日附をもつてなきれていることが認められるから、控訴人としてはその譲渡承認によつて有効となつた本件債権の譲渡の事実を第三者である被控訴人に対してもこれを対抗しうるものであり、このような場合承認のあつた前示昭和四五年一一月二七日以後改めてその事実を確定日附ある証書をもつて証明する必要はないものと解するのが相当である(昭和四三年八月二日最高裁判決・民集二二巻一五五八頁参照)。控訴人のこの点に関する主張(再々抗弁)は理由がある。従つて、昭和四六年一月二〇日本件債権に対する差押命令および右債権を被控訴人に転付する旨の転付命令が発せられ、その決定正本が同月二二日控訴人に送達されたことは当事者間に争いのないところであるが、右差押および転付命令が発せられた当時被転付債権たる本件債権はすでに適法に訴外Aに譲渡され、訴外会社は本件債権の債権者ではなかつたのであるから被控訴人 れたことは当事者間に争いのないところであるが、右差押および転付命令が発せられた当時被転付債権たる本件債権はすでに適法に訴外Aに譲渡され、訴外会社は本件債権の債権者ではなかつたのであるから被控訴人は右転付命令により本件債権を取得するに由ないものというべく、結局被控訴人は本件債権の債権者ではなく、控訴人は被控訴人に対しその支払義務がないことは明らかである。五、 以上のとおり被控訴人の本訴請求は理由がないからこれを棄却すべきところ、右と異り控訴人に支払義務ありとして被控訴人の請求を一部認容した原判決は右認容部分に限り失当としてこれを取消すべく本件控訴は理由がある。よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条第八九条を適用し主文のとおり判決する。(裁判長裁判官菅野啓蔵裁判官渡辺忠之裁判官小池二八)

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