【DRY-RUN】主 文 原判決を次のとおり変更する。 控訴人は被控訴人に対し、福岡地方裁判所柳川支部昭和三十年(ル)第 六〇号債権差押命令による債権者Aのための債権差押が解除されることを条件
主 文 原判決を次のとおり変更する。 控訴人は被控訴人に対し、福岡地方裁判所柳川支部昭和三十年(ル)第 六〇号債権差押命令による債権者Aのための債権差押が解除されることを条件とし て、金拾四万円及びこれに対する昭和二十八年十二月七日より完済まで年六分の割 合による金員を支払わなければならない。 被控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。 事 実 控訴代理人は「原判決中被控訴人敗訴の部分を除きその余を取消す、被控訴人の 請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求 めた。 被控訴代表者は適式の期日呼出を受けながら当審の口頭弁論期日に出頭せず、答 弁書その他の準備書面も提出しなかつた。 当事者双方の事実上の陳述並に証拠の提出認否は控訴代理人において、被控訴会 社は柳川市a町に支店を有し、本件貸金は右支店の取扱に係るものてあつで、同支 店と控訴人の住所とは僅かに二町程度の近距離にある。そして控訴人の本件保証に つき使用された印鑑証明書(甲第三号証)は昭和二十八年五月九日附であり、甲第 一、二号証約束手形の作成された同年七月当時は既に二ケ月を経過しているので、 貸金業を営む被控訴会社としては直接控訴人に対し保証に立つことの真偽を確かめ るのが当然である。しかるに被控訴会社は何等その点についての責務を尽さなかつ たものであるから、民法第一一〇条の代理権ありと信ずべき正当理由を有したもの とはいわれない。仮に控訴人に保証責任があるとしても、被控訴人の控訴人に対す る本訴請求債権は、昭和三十年十月十五日発せられた福岡地方裁判所柳川支部同年 (ル)第六〇号債権差押命令により、被控訴人の債権者Aのため差押えられ該差押 命令は同年十月二十三日債務者たる の控訴人に対す る本訴請求債権は、昭和三十年十月十五日発せられた福岡地方裁判所柳川支部同年 (ル)第六〇号債権差押命令により、被控訴人の債権者Aのため差押えられ該差押 命令は同年十月二十三日債務者たる被控訴人に、同月十八日第三債務者たる控訴人 にそれぞれ送達され、被控訴人は取立を、控訴人は支払を各禁止されたので、被控 訴人の本訴請求は棄却さるべきものであると述べ、証拠として乙第二及び第三号証 を提出した外、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。 理 由 当裁判所は原判決と同一理由により、控訴人は訴外Bの被控訴人に対する本件債 務につき連帯保証人としてその支払義務あるものと判断するので、右原判決理由を 引用する。控訴人債権の如く控訴人の住所と被控訴会社支店とが近距離である等の 事情があつたとしても、それがため特に被控訴人として直接控訴人につき保証の真 偽を確かめるへき注意義務あるものとは解せられないから、その点に関する控訴人 の主張は理由がない。 そこで控訴人主張の主張差押の関係について考察する。 いずれも真正に成立した公文書と認められる乙第二及び第三号訂によれば、本件 控訴提起後である昭和三十年十月十五日福岡地方裁判所柳川支部の発した債権差押 命令(昭和三十年(ル)第六〇号)により被控訴人の控訴人に対する本訴請求債権 は被控訴人の債権者てある訴外Aのため差押えられ、該差押命令は控訴人主張日時 に債務者たる被控訴人及び第三債務者たる控訴人にそれぞれ送達されたこと明かて ある。ところで右差押の目的となつた被控訴人の債権は保証人である控訴人に対す る債権である。しかるに主債務者である訴外Bに対する債権か差押えられたことに ついては控訴人の何等主張立証しないところである。保証人に対する債権は主債務 者に対する債権主離れて独立に他に譲渡し得ないこ る債権である。しかるに主債務者である訴外Bに対する債権か差押えられたことに ついては控訴人の何等主張立証しないところである。保証人に対する債権は主債務 者に対する債権主離れて独立に他に譲渡し得ないこと勿論であるから、かかる債権 は独立して差押の目的となすに適しないものといわなければならない(差押を許す としても、差押債務者は主債務者に対する債権を自由に処分し得べく、又差押債権 者は爾後の換価手続として保証債権のみの取立命令文は転付命令を求め得ないこと 明かであるから、殆んど実益がない)。故にその点において右差押命令は違法であ るが、その違法は爾後においてでも主債務者に対する債権を差押えることによつて 容易に解消し得られるものであるから、絶対的差押禁止の債権(例えば恩給権)の 場合とは異り、差押自体を当然無効ならしめるものではなく、一応差押の効力を生 じたものと解するのが相当である。 給付訴訟の係属中に訴訟の目的たる債権が差押えられた場合、その訴訟がいかに なるかは困難な問題である。あるいは差押の効果として差押債務者(原告)は給付 請求の機能を喪失し、爾後訴訟上もその請求を維持することは不可能となるから、 該請求は排斥さるべきであるとの見解も一応なりたつであろう。しかしながら差押 に続いて取立命令又は転付命令がなされるときは、もはや姜押債務者は実体上も請 求権を失うものてあるから、訴訟上の請求も棄却さるべきは当然であるが、差押の みでは未だ実体上の権利を失うものでなく、その債権者たる地位には依然として変 りはない。ただ差押によつて権利の現実の行使(取立その他の処分)を禁じられて いるに過ぎない。他面第三債務者も差押によつてその債権者に対する履行義務が消 滅するものてはなく、現実の弁済が禁じられているのみてある。給付判決を得るこ とは未だ右にいわゆる権利の現実の行使にあたら て いるに過ぎない。他面第三債務者も差押によつてその債権者に対する履行義務が消 滅するものてはなく、現実の弁済が禁じられているのみてある。給付判決を得るこ とは未だ右にいわゆる権利の現実の行使にあたらないことは明かであり、従つて差 押の効力と矛盾するものではない。故に差押によつて直ちに差押債務者が訴訟上の 権能までも失うものとなす見解には賛同し難い。殊に差押を理由に請求棄却の判決 をなすべきものとするときは、該判決は債権の存否については何等の既判力も生じ ないから、差押債権者は後日取立命令又は転付命令を得ても、更に第三債務者に対 し新訴を提起して債権の存否についての争を繰返さなければならないこととなる が、それは給付訴訟中差押債権者か続いて取立命令又は転付命令を得た場合、いわ ゆる当事者参加により差押債務者の既存の訴訟を承継し、該訴訟で一挙に終局の目 的を達し得られるのに対比し、甚だしく訴訟経済にも反することとなる。又差押債 務者としても後日差押が解除されたときは当然訴訟上の権能も回復するわけである が再び新訴を起して債権の存否についての争を繰返すという二重の手数を要するこ ととなる。かようなことは、訴訟係属後における訴訟物の移転又は当事者能力、訴 訟能力の喪失の場合でも、参加又は訴訟手続受継の方途を設けて、既存の訴訟をし てなるべく徒労に終らしめないようにがめている現行民事訴訟法の理想に副うもの てはない。よつて差押は直ちに差押債務者の給付訴訟の権能を失わしめるものてな いと解するのを相当とする。但し無条件に給付を命ずる判決をなすときは、該判決 はそのまま執行力を生ずることとな<要旨>り、差押債権者の権利を害する恐れがあ る。従つて、給付訴訟の目的たる債権が第三者によつて差押えられた</要旨>場合に は、差押債権者の権利を留保し、その差押か解除されることを条件として(差押 な<要旨>り、差押債権者の権利を害する恐れがあ る。従つて、給付訴訟の目的たる債権が第三者によつて差押えられた</要旨>場合に は、差押債権者の権利を留保し、その差押か解除されることを条件として(差押債 務者はその債務を弁済して差押を解除することが可能である)給付判決をなすべき ものと解するを相当とする。 よつて被控訴人の本訴請求は、本件差押が解除されることの条件を附して、これ を認容すべきであり、無条件の支払を命じた原判決はこれを変更すべまものとし、 民事訴訟法第三八六条第九六条第九二条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長判事 竹下利之右衛門 判事 高次三吉 判事 岩永金次郎)
▼ クリックして全文を表示