- 1 -主文 第1事件原告(第2事件参加人)の請求を棄却する。 第2事件原告(第1事件被告補助参加人)らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用(参加及び補助参加によって生じた費用を含む。)は、2分の1を第1事件原告(第2事件参加人)の負担とし、2分の1を第2事件原告(第1事件被告補助参加人)らの負担とする。 事実及び理由 以下、当事者は次のとおり表記する。 第1事件原告・第2事件参加人「原告」第2事件原告・第1事件被告補助参加人全日本造船機械労働組合住友重機械・追浜浦賀分会「参加人組合」第2事件原告・第1事件被告補助参加人P1「P1」第2事件原告・第1事件被告補助参加人P2「P2」第2事件原告・第1事件被告補助参加人P3「P3」第2事件原告P4「P4」第2事件原告P5「P5」第2事件原告P6「P6」第2事件原告P7「P7」第2事件原告P8「P8」第2事件原告P9「P9」第2事件原告P10「P10」第2事件原告P11「P11」第2事件原告P12「P12」P1からP12まで12名を併せて「P1ら12名」参加人組合とP1ら12名を併せて「参加人ら」第1事件被告・第2事件被告「被告」- 2 -第1請求 第1事件被告が平成13年10月16日付けで都労委平成9年(不)第12号事件についてした命令のうち、主文第1項ないし第3項を取り消す。 第2事件被告が平成13年10月16日付けで都労委平成9年(不)第12号事件についてした命令のうち、主文第4項及び第5項を取り消す。 第2事案の概要本件は、参加人組合及び原告の従業員で参加人組合の組合員であるP1ら12名が、P1ら12名は原告によって昇格差別をされていると主張して、不当労働行為救済申立てをした(都労委平成9年(不)第12号 要本件は、参加人組合及び原告の従業員で参加人組合の組合員であるP1ら12名が、P1ら12名は原告によって昇格差別をされていると主張して、不当労働行為救済申立てをした(都労委平成9年(不)第12号事件。以下「本件救済申立て」という。)ところ、被告は、一部を認めて救済命令を発し、一部を却下、一部を棄却したため、原告が、救済命令を発した部分の取消しを(第1事件)、参加人らが、申立てを却下、棄却した部分の取消しを(第2事件)、それぞれ求めた事案である。 前提となる事実(争いがない事実又は掲記した証拠により容易に認められる事実)(1)当事者原告は、昭和44年6月30日に、住友機械工業株式会社(以下「住友機械」という。)と浦賀重工業株式会社(その前身は、浦賀船渠株式会社。以下「浦賀重工」という。)とが合併してできた会社であり、各種機械の製造及び船舶の製造を主な業としている。本件救済申立時における従業員数は約5700名である。 参加人組合は、もとは浦賀重工の従業員によって組織されていた労働組合であり、現在は、原告の浦賀艦船工場及び追浜造船所に勤務する従業員によって組織されている。本件救済申立時の組合員数は46名程度である。 - 3 -P1ら12名は、浦賀船渠株式会社に入社し、本件救済申立時、原告の従業員であった者であり(現在は、定年により退職した者がいる。)、また、いずれも参加人組合の組合員である。 (2)昭和58年の和解等昭和44年の住友機械と浦賀重工との合併後、原告と参加人組合との間で紛争が続出した。昭和46年9月5日、参加人組合の脱退者らが住友重機械工業労働組合(後に、合併前の住友機械の従業員が組織していた労働組合等と合併して住友重機械労働組合となった。以下「住重労組」という。)を組織し、それまで約4100名であった参加人組合の組 住友重機械工業労働組合(後に、合併前の住友機械の従業員が組織していた労働組合等と合併して住友重機械労働組合となった。以下「住重労組」という。)を組織し、それまで約4100名であった参加人組合の組合員数は激減した。原告と参加人組合との間の紛争は続き、参加人組合員に対する昇格差別の是正を求める救済申立てや、救済命令取消訴訟が複数係属した。 そのような中で、昭和55年3月31日、昇格問題の一部について、参加人組合と原告との間で合意が成立し、P1ら12名は、過去に遡って又は同年4月に昇格することとなった(以下「昭和55年合意」という。)。次いで、参加人組合と原告は、昭和58年3月31日、上記合意に伴い基本給の是正を合意するとともに、「浦賀分会(参加人組合)は昭和57年度以前の各年の昇格については、以後一切の異議の申立てを行わない」等を内容とする確認書を取り交わし、さらに、同年12月27日、中労委において、原告と参加人組合との間で協定書を取り交わし、一括した和解が成立した(以下「昭和58年和解」という。)。この協定書では「会社(原告)は、浦賀分会(参加人組合)に不当労働行為との疑問を抱かせるような行為があったことに対し、遺憾の意を表明する。」「会社(原告)は、本和解協定の趣旨を本件該当事業所の全管理職に周知し、今後、この種紛争が発生しないよう努力する・・」「会社(原告)と分会(参加人組合)は、すでに合意成立している昭和55年3月31日付合意書、昭和58年3月31日付確認書を本協定と一体のものとして取り扱う。」などの事項が合意された。(乙41、4- 4 -2、196、197、丙11)(3)社員職能管理制度これに先立つ昭和55年、原告は、社員職能管理制度を導入し、同年10月から参加人組合員にも適用された。 社員職能管理制度による職能資格は、 4 -2、196、197、丙11)(3)社員職能管理制度これに先立つ昭和55年、原告は、社員職能管理制度を導入し、同年10月から参加人組合員にも適用された。 社員職能管理制度による職能資格は、監督職、事務技術職、技能職、特務職の4つの機能系統に分類される。各職能系統に共通して、上位から順に、上級職1級、上級職2級、上級職3級、担当職1級、担当職2級、担当職3級、担当職4級の7段階の資格がある(監督職は担当職1級以上である。)。 下位資格から上位資格に格付されることを昇格という。昇格は、昇格評定に基づき決定される。昇格の時期は、毎年4月1日である。 (4)平成元年の和解昭和60年以後、原告と参加人組合との間で再び紛争が続くようになり、参加人組合は、昭和62年に、参加人組合員に対する昇格差別の是正を求めて救済申立てをした。この救済申立てについて、原告と参加人組合との間で、平成元年3月31日付けで和解が成立し、P5、P7、P8、P9、P10、P11、P12(以下「P5ら7名」という。)が、過去に遡って又は同年4月に昇格することとなった(以下「平成元年和解」という。)。P1ら12名のうち、P5ら7名以外の者は、上記救済申立ての対象になっておらず、平成元年和解の対象になっていない。 (5)本件救済申立て平成8年4月には参加人組合員の昇格はなかった。 参加人らは、平成9年3月26日、被告に対して、P1ら12名が昇格差別を受けており、これは不当労働行為(不利益取扱い)に該当すると主張して、その是正を求める救済申立てをした(本件救済申立て)。本件救済申立ての趣旨は、別紙1「請求する救済の内容」のとおりであり、参加人らは、①P1ら12名について、後記(6)記載のとおり昇格させること、②昇格- 5 -を前提とする将来の給与、賞与及び過去の給与差額、 ての趣旨は、別紙1「請求する救済の内容」のとおりであり、参加人らは、①P1ら12名について、後記(6)記載のとおり昇格させること、②昇格- 5 -を前提とする将来の給与、賞与及び過去の給与差額、賞与差額並びにこれらに対する付加金(遅延損害金)の支払をすること、③組合員であることを理由として、昇格差別を行って、支配介入・不利益取扱いをしてはならないこと、④陳謝文の掲示をすること、を命じるよう求めた。 (6)P1ら12名の昇格状況・求める昇格P1ら12名の、それぞれの①入社年、学歴、職場、本件救済申立時の所属、②昭和55年前後以降の昇格状況、③本件救済申立てによって求めている昇格は、以下のとおりである。 アP1①(入社年、所属等)昭和34年4月入社中学卒(養成工)(養成工とは、就労しながら原告内で高校相当の教育を受ける制度である。)橋梁設計(申立時)鉄構・機器事業本部製造本部設計部橋鉄設計グループ②(昇格の状況)昭和50年担当職1級(当時は「4職階」。以下、時期にかかわらず「担当職1級」という。)(昭和55年合意により遡って昇格)昭和58年上級職3級平成2年上級職2級③(求める昇格)平成8年4月1日上級職1級イP2①(入社年、所属等)昭和32年4月入社中学卒(養成工)船殻設計- 6 -(申立時)開発設計室船殻設計グループ②(昇格の状況)昭和48年担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)昭和57年上級職3級平成元年上級職2級③(求める昇格)平成7年4月1日上級職1級ウP3①(入社年、所属等)昭和33年4月入社中学卒(養成工)船殻設計(申立時)開発設計室船殻設計グループ②(昇格の状況)昭和49年担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)昭和58年上級職3級平成 所属等)昭和33年4月入社中学卒(養成工)船殻設計(申立時)開発設計室船殻設計グループ②(昇格の状況)昭和49年担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)昭和58年上級職3級平成2年上級職2級③(求める昇格)平成8年4月1日上級職1級エP4①(入社年、所属等)昭和44年4月入社高校卒配管関係の作図等(申立時)開発設計室機装設計グループ②(昇格の状況)昭和54年6月担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)昭和61年上級職3級- 7 -平成3年上級職2級③(求める昇格)平成7年4月1日上級職1級オP5①(入社年、所属等)昭和39年2月臨時工(同年6月正式入社)中学卒電気溶接職(申立時)工作部艤装課管製作係②(昇格の状況)昭和54年6月担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)平成元年上級職3級(平成元年和解による昇格)③(求める昇格)平成7年4月1日上級職2級カP6①(入社年、所属等)昭和39年10月臨時工(昭和40年2月正式入社)中学卒溶接職(申立時)追浜造船所内業一課加工係②(昇格の状況)昭和54年6月担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)平成2年上級職3級③(求める昇格)平成元年4月1日上級職3級平成8年4月1日上級職2級キP7①(入社年、所属等)- 8 -昭和39年10月臨時工(昭和40年3月正式入社)中学卒溶接職(平成2年まで)取付職(平成2年以降)(申立時)追浜造船所内業一課加工係②(昇格の状況)昭和54年6月担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)平成元年上級職3級(平成元年和解による昇格)③(求める昇格)平成7年4月1日上級職2級クP8①(入社年、所属等)昭和40年4月入社中 月担当職1級(昭和55年合意により遡って昇格)平成元年上級職3級(平成元年和解による昇格)③(求める昇格)平成7年4月1日上級職2級クP8①(入社年、所属等)昭和40年4月入社中学卒(養成工)船殻取付職(申立時)浦賀艦船工場造修部船体課②(昇格の状況)昭和49年6月担当職2級(当時は「3職階」。以下、時期にかかわらず「担当職2級」という。)(昭和55年合意により遡って昇格)昭和57年担当職1級平成元年上級職3級(平成元年和解による昇格)③(求める昇格)平成7年4月1日上級職2級ケP9①(入社年、所属等)昭和40年4月入社中学卒大炉職(型鋼等をプレスで曲げる作業を行う)(申立時)追浜造船所内業一課加工係- 9 -②(昇格の状況)昭和49年6月担当職2級(昭和55年合意により遡って昇格)昭和58年担当職1級(平成元年和解により遡って昇格)平成3年上級職3級③(求める昇格)平成元年4月1日上級職3級平成8年4月1日上級職2級コP10①(入社年、所属等)昭和40年4月入社中学卒溶接職(申立時)追浜造船所内業一課加工係②(昇格の状況)昭和49年6月担当職2級(昭和55年合意により遡って昇格)昭和59年担当職1級(平成元年和解により遡って昇格)平成4年上級職3級③(求める昇格)平成元年4月1日上級職3級平成8年4月1日上級職2級サP11①(入社年、所属等)昭和40年4月入社中学卒溶接職設備・機械の保守・点検等(申立時)追浜造船所生産計画課動力係②(昇格の状況)昭和49年6月担当職2級(昭和55年合意により遡って昇格)- 10 -昭和56年担当職1級(平成元年和解により遡って昇格)平成2年上級職3級③(求める昇格)昭和63年4 (昇格の状況)昭和49年6月担当職2級(昭和55年合意により遡って昇格)- 10 -昭和56年担当職1級(平成元年和解により遡って昇格)平成2年上級職3級③(求める昇格)昭和63年4月1日上級職3級平成7年4月1日上級職2級シP12①(入社年、所属等)昭和40年4月入社中学卒溶接職(申立時)浦賀艦船工場造修部船体課②(昇格の状況)昭和49年6月担当職2級(昭和55年合意により遡って昇格)昭和55年担当職1級(昭和55年合意による昇格)平成元年上級職3級(平成元年和解による昇格)③(求める昇格)平成7年4月1日上級職2級(7)被告の命令被告は、平成13年10月16日、本件救済申立てに対して、別紙2「主文」のとおり、一部を認めて救済命令を発し、一部を却下、一部を棄却した(以下「本件命令」という。)。その概要は、以下のとおりである(各項末尾のかっこ内は、主文の要旨である。)。 アP6、P9、P10、P11に係る申立てのうち、平成7年3月以前の昇格を求める部分について申立てより1年以上前の事項について救済を求めるものであるから、救済の対象とならない。(却下)イP1、P2、P3について- 11 -原告においては緩やかな年功的昇格が行われていると認められるところ、上記3名は、昭和58年和解以降、上記3名が属する設計職場の他の養成工との間に昇格格差が生じていると認められ、かつ、昇格格差に合理的な根拠が認められない。少数派である参加人組合員は圧倒的多数派である住重労組員から疎外される傾向が続き、このようなことが参加人組合員に対する評価が歪められる要因となったと推認される。したがって、上記3名が平成8年4月1日に昇格しなかったのは、参加人組合員であるが故の不利益取扱いに当たる。 ただし、P2と同 なことが参加人組合員に対する評価が歪められる要因となったと推認される。したがって、上記3名が平成8年4月1日に昇格しなかったのは、参加人組合員であるが故の不利益取扱いに当たる。 ただし、P2と同年入社の設計職場養成工で平成8年4月に上級職1級に昇格した者(P13)がいるから、P2が平成7年4月に昇格しなかったことまでもが不利益取扱いに該当するとはいえない。付加金(遅延損害金)の支払、謝罪文(陳謝文)の掲示を命じる必要は認めない。(P1、P2、P3を平成8年4月1日付けで上級職1級に昇格させたものと取り扱い、賃金差額(一時金差額を含む。)を支払うことと、昇格させなかったことが不当労働行為と認定されたこと等を記載した文書の交付をすること等を命じる。その余の申立ては棄却。)ウP4についてP4は、同期入社の者と比較して相対的に昇格が遅れ、格差は昭和58年和解以降に拡大したとみられる。しかし、同人が仕事上の大きなミスを犯したことは事実であることなど、同人を昇格させない理由が不合理であるとはいえないから、不利益取扱いには当たらない。(棄却)エP6について(アを除く部分)P6は、中学卒業年が同じ中途採用者と比較して相対的に昇格が遅れていることが認められるが、その格差は昭和58年和解以降に拡大したものであるかどうか不明であり、また、P6は、他の参加人組合員と比較して昇格が遅れているから、昇格の遅れを参加人組合員全体の傾向と同視する- 12 -基礎を欠いている。したがって、P6については、格差が疎明されていないと判断せざるを得ない。(棄却)オP5、P7、P8、P9、P10、P11、P12(P5ら7名)について(P9、P10、P11についてはアを除く部分)P5ら7名は、平成元年和解により昇格是正がされているから、特段の事情がない限り、 P5、P7、P8、P9、P10、P11、P12(P5ら7名)について(P9、P10、P11についてはアを除く部分)P5ら7名は、平成元年和解により昇格是正がされているから、特段の事情がない限り、平成元年以降に生じた格差についてのみ救済を求められると解するべきであるところ、P5ら7名について、平成元年以降に昇格格差が生じたことは疎明されていない。(棄却)(8)本訴訟の提起と再審査申立て原告は、本件命令のうち救済を命じた部分の取消しを求め、訴えを提起した(第1事件)。 参加人らは、本件命令のうち申立てを却下した部分及び棄却した部分を不服として、中央労働委員会に再審査の申立てをするとともに、同部分の取消しを求めて、訴えを提起した(第2事件)。上記再審査申立てに対する再審査の命令はまだ出されていない。 争点 (1)本件救済申立ての一部は、申立期間経過後にされたものか否か(2)原告がP1ら12名を昇格させなかったことは、不当労働行為(不利益取扱い)に該当するか否か次のような点が、個々の争点になる。 ア昇格差別判断の対象期間(昭和58年和解、平成元年和解等と昇格差別との関係をどのように考えるか)イ職能管理制度の実態(原告が実施している職能管理制度では、年功序列的昇格が行われているか、恣意的判断がされることはないか)ウ昇格格差の存在(P1ら12名の格付に、住重労組員等と比較して、昇格の遅れが認められるか)- 13 -エ格差の合理的理由の不存在(P1ら12名の昇格格差に合理的な理由がないといえるか、P1ら12名は昇格した者と同等の能力であるのか)オ不当労働行為意思(昇格格差は原告が参加人組合を嫌悪していることによるものか)(3)被告の命じた救済方法の選択は適法か 争点(1)(申立期間の経過)についての当事者の主張(1)被 るのか)オ不当労働行為意思(昇格格差は原告が参加人組合を嫌悪していることによるものか)(3)被告の命じた救済方法の選択は適法か 争点(1)(申立期間の経過)についての当事者の主張(1)被告の主張昇格の有無を決定する行為は、一般的には1回限りの行為であるが、不利益取扱いを受けた者がその都度使用者に抗議をするなどし、使用者がその取扱いを是正することができたにもかかわらず、あえて毎年の昇格の決定に当たり差別を繰り返すなど差別の具体的徴憑が顕在化している場合には、各年度の行為は連続して一体をなしているものと判断できる。しかし、参加人組合は、平成6年までは、一部を除いて、本件救済申立てと同様の要求を出していないから、平成7年3月以前の昇格については、具体的徴憑が顕在化しているとはいえず、平成7年3月以前に遡って救済を求めることはできない。 他方、本件救済申立日である平成9年3月26日から1年前の平成8年3月当時の職位は平成7年4月に発令されたものであるから、平成7年4月の昇格を求めることは、申立日より1年以上前の事項について救済を求めることにはならない。 (2)原告の主張当該年度における昇格に関する決定行為と、次年度におけるそれとは別個の行為であり、昇格は各年度ごと独立の1回限りの行為であるから、労組法27条2項の「継続する行為」には当たらない。 原告に本件救済命令申立書が到達した平成9年3月27日より1年前である平成8年3月27日より前の原告の行為を対象とする救済申立て(昭和63年4月、平成元年4月、平成7年4月の昇格を求めるもの)は、行為の日- 14 -から1年を経過した事件に係る申立てであり、却下されるべきである。 (3)参加人らの主張昇格差別を受けた者がその都度使用者に抗議するか否かは不当労働行為の申立て、救済の範囲を規定 の日- 14 -から1年を経過した事件に係る申立てであり、却下されるべきである。 (3)参加人らの主張昇格差別を受けた者がその都度使用者に抗議するか否かは不当労働行為の申立て、救済の範囲を規定する「継続する行為」の要件とは別次元の問題であり、「継続する行為」かどうかは、単に使用者の不当労働行為が継続しているか否かを問題とすべきである。原告は、参加人組合員を経済的に差別する意思のもとに、差別的な昇格決定等を毎年繰り返してきたのであって、これらは相互に密接に関連するものであり、全体として1個の不当労働行為であるというべきである。 したがって、平成7年3月以前の昇格差別も救済の対象となる。 争点(2)(不当労働行為該当性)についての当事者の主張(1)被告の主張ア被告が本件命令において認定した事実及び判断に誤りはなく、本件命令は適法である。 イ昇格差別判断の対象期間和解による格差是正にもかかわらず残存した昇格格差は、参加人組合が譲歩した結果とみるほかなく、特別の事情のない限り、この格差について不当労働行為が成立する余地はない。したがって、P1ら12名のうち、平成元年和解をしたP5ら7名については平成元年以降の、それ以外の者については、昭和58年和解の対象であるから、昭和58年以降の昇格差別が判断の対象となる。 (2)原告の主張ア昇格差別判断の対象期間について参加人組合は、昭和62年の救済申立てにおいて、昇格差別是正が必要な組合員を対象とし、それ以外の組合員については現状でよいとしたものであり、この救済申立てに関して成立した平成元年和解は、和解時点にお- 15 -けるすべての参加人組合員の格付を正当なものとして確認したものである。 したがって、平成元年和解の効力はすべての参加人組合員に及び、P1ら12名について昇格差別の有無 解は、和解時点にお- 15 -けるすべての参加人組合員の格付を正当なものとして確認したものである。 したがって、平成元年和解の効力はすべての参加人組合員に及び、P1ら12名について昇格差別の有無の判断をする対象期間は、平成元年和解以降に限られる。 イ職能管理制度の実態について原告では、緩やかな年功序列的昇格は行われていない。 原告は職能管理制度をとっているが、この制度は、明確に定められている職能資格要件を、具体的に定められた判断基準に従って、段階評定、多面評定により、1次評定者、2次評定者、調整者が評定をし、事務技術職については人事面談もして、行われている。昇格候補者は、1次評定者である課長が自ら人選している。職能管理制度の下でも経年による能力向上はあるけれども、本質は能力主義を運営の基本とする。 実際、一定の資格に昇格する勤続年数には開きがあるし(上にいくほど開きは大きくなる)、昇格する人数が集中する勤続年数はなく、P1ら12名と同期同資格の者をみても資格格付状態にばらつきがあり、上級職1級及び同2級に昇格せずに定年を迎える者も多くいるなど、年功序列的運用が行われていないことは明らかである。 ウ昇格格差の存在について参加人組合員と住重労組員との間に歴然たる昇格の差が存在するという外形的事実は主張、立証されていない。むしろ、平成2年から平成8年までの7年間の年度別昇格状況をみると、このうち5年は参加人組合員の昇格率が住重労組員のそれよりも高く、累積でみても参加人組合員の昇格率の方が高く、昇格格差がないことが明らかである。 参加人らは、「設計職場の養成工」で組合間の昇格格差があると主張しているが、「設計職場」なるものは存在せず、このような恣意的かつ限定的な範囲において、組合間に昇格格差があるという判断はできない。なお、- 16 設計職場の養成工」で組合間の昇格格差があると主張しているが、「設計職場」なるものは存在せず、このような恣意的かつ限定的な範囲において、組合間に昇格格差があるという判断はできない。なお、- 16 -「設計職場」の昇格が他の同年齢、同期、同学歴入社者の中でも昇格が早いということはなく、技能職(現場作業を担当)より事務技術職(例えば設計を担当)の昇格が早いわけでもない。 参加人らは、P1ら12名を「同期同学歴」の住重労組員と比較して、昇格が遅れていると主張する。しかし、原告では同期同学歴の者を同等に昇格させるような運用を行っていないから、「同期同学歴」の者と比較することが誤っている。 本件命令は、P1ら12名と同期同学歴の者の資格分布を示した表(乙201から211まで)から、P1ら12名の昇格が遅れていると認定している。しかし、上記各表は、P1ら12名が、それぞれ同期同学歴の多くの者と同じ資格に分布していることを示すにすぎず、かえって、昇格が遅れているという事実はないことが明らかである。 エ格差に合理的な理由がないこと(能力の同等性)について参加人組合員と住重労組員の能力が同等であるとは認められない。かえって、参加人組合員と住重労組員とでは、出勤率に差があり、労働力の質が同等でないことが認められる。また、P1ら12名が同人らより上位に昇格をした者と比較して同程度以上に上位資格要件を満たしていることは、主張、立証されていない。 参加人らは、P1、P2、P3、P4(いずれも事務技術職)が上級職1級に、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(いずれも技能職)が上級職2級に、それぞれ格付されるべきであると主張している。しかし、上級職1級(事務技術職)は、部レベル以上の観点に立って業務を遂行し、高度の業務を担当することが求められ、 12(いずれも技能職)が上級職2級に、それぞれ格付されるべきであると主張している。しかし、上級職1級(事務技術職)は、部レベル以上の観点に立って業務を遂行し、高度の業務を担当することが求められ、強い使命感をもって、高度の企画的又はまとめ業務をやり遂げ、職場の指導的役割を果たし成果を上げる能力水準を有していることが必要である。また、上級職2級(技能職)は、高度の熟練技能及び判断を要する業務を担当する能力が- 17 -求められ、加えて、班や職区という単位で、班員や職区員全員について、工程の確保にとどまらず、品質・安全についても管理する判断力及びマネジメント能力水準を有していることが求められる。 以上の能力水準を前提にすると、以下のとおり、P1ら12名は、上級職1級又は同2級の資格要件を満たしておらず、平成8年4月における格付は、正当である。 (ア)P1P1は、原寸作業(鋼材等の材料を所定の形状に切断・溶接・組立てするために必要な情報を指示図と呼ばれる図面に表現し、後工程に供給する作業)に従事していた。 P1は、課方針策定に参画できず、担当する原寸作業以外の業務に興味を持つことがなかった。業務知識、応用力は上級職1級に求められるトップクラスのレベルではなく、新しい技術、知識を習得する姿勢は見られなかった。上級職1級に求められる作業スピードではなく、業務の振り分け、人の采配等、部門を越える連携調整はできなかった。自ら積極的に部下に教えることは、まずなかった。主体的、積極的に業務遂行する姿勢に欠け、製番リーダーを拒み、繁忙な時にも、残業、休日出勤に協力する姿勢に欠け、使命感、責任感に問題があった。P1の原寸作業のミス(西山橋の原寸作業等)により、一度溶接したものをばらして作り直すことになるなど、仕事の遅れが生じた。 (イ)P2P2は船 に協力する姿勢に欠け、使命感、責任感に問題があった。P1の原寸作業のミス(西山橋の原寸作業等)により、一度溶接したものをばらして作り直すことになるなど、仕事の遅れが生じた。 (イ)P2P2は船殻詳細設計の作業に従事していた。 P2は、能力が技術の進歩に追随できず、部、課の年度方針を的確に理解できず、課方針策定に参加していなかった。担当業務以外の知識はなく、習得する姿勢もなかった。設計者として必須技術であるキャダム(コンピュータ支援設計システム)が使えず、業務スピードも速くなく、- 18 -人の采配、関係部門との折衝などは全くできなかった。部下を指導するための高度の知識はなく、係長の指示に従い担当業務をこつこつとこなすだけで、残業、休日出勤にも協力的でなかった。なお、P2にはキャダム操作を必要としない仕事を割り当てていたが、キャダム操作習得が遅れていたため、そのようにせざるを得なかったものである。P2は曲がり部の部材展開図の作成を指示されたが断ったことがあった。 (ウ)P3P3は、船殻詳細設計の作業に従事し、指示に基づいて工作図作成、補機台(エンジン等の機械を船体に据え付けるための台)の作図、補機台設計の外注窓口等をしていた。 P3は、能力が技術の進歩に追随できず、部、課の年度方針を的確に理解できず、課方針策定に参加していなかった。担当業務の標準知識はあるが、トップレベルでなく、新しい技術、知識の習得はしていなかった。設計者として必須技能であるキャダムが使えないため限られた担当業務しか割り当てられず、関係部門との連携、調整などは全くできなかった。部下を指導するための高度な知識はなく、係長の指示に従い静かにきちんと担当業務をこなすだけであった。なお、P3は、他船を参考にした補強は指示できるものの、強度計算は全くできない。船級協会 かった。部下を指導するための高度な知識はなく、係長の指示に従い静かにきちんと担当業務をこなすだけであった。なお、P3は、他船を参考にした補強は指示できるものの、強度計算は全くできない。船級協会(船が安全航行できることを認定する機関)に提出した図面で、溶接の可否等で指摘されたことがあった。 (エ)P4P4は、船舶艤装の工作図作成に関する作業に従事していた。 P4は、課の方針策定に実際に影響を与えられず、係の業務計画を立てられなかった。担当業務、周辺業務の知識はあるが、トップクラスでなく、新たな技術、知識の習得は十分でなかった。キャダムは使用でき、標準的なスピードはあるが、業務の振り分け、人の采配、関係部門との- 19 -折衝、調整はできなかった。組織的な指導計画によって指導することはできず、組織的な運営をしようとする問題意識はなく、残業、休日出勤にも協力的でなかった。なお、P4は、装置設計の総合配管図の製作ができなかった。平成8年1月には、大きな設計ミスをした。 (オ)P5P5は、管作業における溶接作業に従事していた。 管製作工程は、業務の特質上、工程の変更、遅延に柔軟に操業を調整することが必要で、状況判断力が求められるが、P5には、そのような能力はなかった。溶接能力は、上級職3級として普通であり、それ以外の周辺知識を学ぼうとしなかった。作業のスピードは標準的であったが、トップレベルではなかった。他の者への指導は全く行わず、自己中心的で、協力的でなかった。 (カ)P6P6は、追浜造船作業部内業課加工係で、溶接職として、板材と板材等の溶接に従事していた。 P6は、すべて受動的で改善策を立てることはなく、溶接の知識は上級職3級として普通で、溶接技能やスピードは、上級職3級として標準的であった。後進への指導をほとんど行わず、職場ミーテ に従事していた。 P6は、すべて受動的で改善策を立てることはなく、溶接の知識は上級職3級として普通で、溶接技能やスピードは、上級職3級として標準的であった。後進への指導をほとんど行わず、職場ミーティングでの発言はほとんどなく、こつこつと自分の業務を実施するだけであった。 (キ)P7P7は、追浜造船工作部内業課で、組立作業の一部である小組立ての取付作業(主に鉄板と骨の仮付けや切断面の研磨)に従事していた。 P7は、受動的で、改善提案、意見具申はなく、取付け、グラインダーの知識は普通であるが、その他の知識は溶接を除いてなく、技能レベルは、取付けが標準以下、グラインダーが上級職3級として標準的であった。取付技能のスピードも上級職3級として標準的でなかった。下位- 20 -資格者への指導はできなかった。なお、P7は、溶接技量が十分でないため、取付け、グラインダーに職種変更したものである。 (ク)P8P8は、船殻取付職として作業に従事していた。 P8は、工程、品質、安全に対する理解力、状況把握力があり、問題改善策を考えることもできた。また、取付けの知識はあり、業務知識や周辺知識は上級職2級に伍するだけのレベルを有していた。しかし、取付技能はトップクラスに近づきつつあったが、業務改善への実際の取組みが不十分で、もう少し積極的な活動が期待された。積極的に指導を行おうとする姿勢に欠け、指示待ちの姿勢が見受けられた。 (ケ)P9P9は、大炉職として、板や骨の曲げ加工作業に従事していた。 P9は、工程、品質、安全に対する理解力、状況把握力があり、操業、工程の状況は理解しているものの、具体的な行動、発言につながってはいなかった。条材加工、板材加工、ベンダーについての知識は普通にあったが、それ以外の知識は不足し、条材加工は高い技能があるが、他の技能は標準 況は理解しているものの、具体的な行動、発言につながってはいなかった。条材加工、板材加工、ベンダーについての知識は普通にあったが、それ以外の知識は不足し、条材加工は高い技能があるが、他の技能は標準的であり、トップレベルではなかった。スピードは一般的であった。担当業務について下位資格者等への指導はできるが、安全面、品質面での指導が不足していた。意欲的にやることもあったが、協調性、前向きさに欠けることもあった。 (コ)P10P10は、溶接職として、板材と板材を溶接する板継ぎ溶接に主として従事していた。 P10は、工程に対する理解も問題意識も高くなく、溶接の知識は普通で、技能レベルは上級職3級として標準的だが、トップレベルではなく、スピードは標準的でなく、工程の状況に応じた対応が発言、行動に- 21 -現れなかった。下位資格者に指導はせず、受動的でこつこつと自分の業務を実施するだけであった。 (サ)P11P11は、機械保全職として、原告内の設備・機械の保守・点検・修理作業に従事していた。 P11は、操業、工程の状況についての理解はしていたものの、具体的な改善案を出すことはなく、溶接、空酸の知識は普通にあるが、技能のレベルは上級職3級として普通であって、トップレベルではなく(点検整備の一部はできず、酸素配管修理では重大な作業ミスをしたり、冷却水ポンプ配管では同様のミスをしたことがあった。)、技能のスピードはやや遅く、不具合に対する改善や抜本的な対策はできておらず、後進への指導性は全くなく、意欲的にやることもあったが、協調性、前向きさに欠けた。 (シ)P12P12は、溶接職として、主として船殻の溶接作業に従事していた。 P12は、操業、工程の状況についての理解はしており問題意識を持っているが、具体的な行動、発言につながることはなかった。溶 (シ)P12P12は、溶接職として、主として船殻の溶接作業に従事していた。 P12は、操業、工程の状況についての理解はしており問題意識を持っているが、具体的な行動、発言につながることはなかった。溶接知識は普通で、技能も上級職3級として標準的であるが、トップレベルの技能へは若干不足していた。一般的なスピードであり、トップレベルに至っていなかった。下位資格者への指導はせず、意欲的にやることもあったが、協調性、前向きさに欠けた。 オ不当労働行為意思原告には参加人組合に対する不当労働行為意思(差別意思)はない。 そもそも原告の職場には参加人組合疎外の傾向はないし(本件命令は、平成元年以前の過去の事実を認定して疎外傾向があるとした上、疎外傾向は平成元年以降も同様であったとするが、平成元年以降の具体的事実は何- 22 -ら認定されていない。)、仮に疎外傾向があったとしても、社員職能管理制度の下では、そのことにより昇格評定が歪められることはない。原告は、昭和58年和解の趣旨を全従業員に周知させている。 (3)参加人らの主張ア昇格差別判断の対象期間参加人組合は、平成元年和解をもって、すべての参加人組合員に対する差別が是正されたことを合意したのではない。 また、平成元年和解では、P5ら7名の昇格差別は完全には是正されなかったが、参加人組合は、これを不当労働行為と主張しているものではない。参加人組合は、この是正されなかった昇格差別を是正するため、平成元年和解以後、是正要求をしたが、原告の交渉態度は誠意あるものでなく、差別を継続、拡大させるものであった。参加人らは、これを不当労働行為と主張しているものである。 イ職能管理制度の実態職能管理制度の下においても、年功序列的昇格傾向がある。 上級職3級までとはいえ、滞留年数制度(最長在籍年数)が設けられ 加人らは、これを不当労働行為と主張しているものである。 イ職能管理制度の実態職能管理制度の下においても、年功序列的昇格傾向がある。 上級職3級までとはいえ、滞留年数制度(最長在籍年数)が設けられているし、勤怠や作業態度、作業遂行力などにより1ないし3年程度のばらつきはあるが、全体的には、昇格年数と勤続年数は比例している。上級職1級及び同2級についても、実態としては、年功序列的に運用されている。 このことは、P1、P2、P3が所属する養成工の事務技術職のうち、比較的入社年が近似する者(昭和32年から昭和43年までに入社した者12名)が、上記3名を除いて、いずれも勤続21ないし23年で上級職3級に、勤続27ないし29年で上級職2級に昇格していることからも明らかである。また、上記3名が所属する設計関係職場の養成工で、昭和32年から昭和39年までに入社した者(36名)をみると、住重労組員(26名)は、上級職2級へは遅くとも8年、上級職1級へは遅くとも7- 23 -年で昇格している傾向が認められることからも明らかである。 ウ昇格格差の存在養成工の事務技術職(昭和32年から昭和44年までに入社した者)においては、住重労組員に比べて、参加人組合員は、上級職3級昇格ではおよそ2年の遅れが、上級職2級昇格ではおよそ2ないし4年の遅れが、上級職1級昇格ではおよそ3ないし6年の遅れがある。 原告が本件救済申立手続において提出した資格状況表(乙201から211まで)によれば、P1ら12名は、対象者と比較して昇格が遅れていることが認められる。 例えば、P1に関する資格状況表(乙201)には、P1と同期同年齢同学歴の者12名(P1を含む。)の資格状況が記載されているが、このうち、参加人組合員、技能職及び昇格が遅れていることに特段の事情がある者を除外すると る資格状況表(乙201)には、P1と同期同年齢同学歴の者12名(P1を含む。)の資格状況が記載されているが、このうち、参加人組合員、技能職及び昇格が遅れていることに特段の事情がある者を除外すると、本件救済申立時において上級職1級に昇格していないのは、P1だけである。P2、P3、P4、P8に関する資格状況表からも同様のことがいえる。 また、例えば、P5に関する資格状況表(乙205)には、P5と同年齢同学歴の者22名(P5を含む。)の資格状況が記載され、この中にはP5とは入社年月日が異なる者が含まれているが、この表に記載された者をみると、P5より入社が遅い者4名(いずれも住重労組員)がP5より上位に格付され、他方で、入社が最も早いP5の昇格が遅れている。 P6、P7、P9、P10、P11、P12に関する資格状況表からも同様のことがいえる。なお、本件命令は、P6が相対的に昇格が遅れているとしながら、他の参加人組合員と比較して昇格が遅れており、昇格の遅れを参加人組合員全体の傾向と同視する基礎を欠いているなどとして、救済の対象とすべき格差が疎明されていないとするが、P6が他の参加人組合員と比較して昇格が著しく遅れている事実はないから、本件命令は事実- 24 -誤認である。 エ格差に合理的な理由がないこと(能力の同等性)原告は、参加人組合員が住重労組員より出勤率が低く、労働力の質に差があると主張しているけれども、年次有給休暇の取得も欠勤扱いとして出勤率を算定したものであり、不当である。年次有給休暇と特別有給休暇の取得率を両組合員で同率とした上で出勤率を算定すると、その差は0.58%にすぎない。参加人組合員であったP14及びP15は、同組合員であった当時は、原告によって、出勤率が低いなどとして労働力の質が劣後すると評価されていたのに、参加人 率を算定すると、その差は0.58%にすぎない。参加人組合員であったP14及びP15は、同組合員であった当時は、原告によって、出勤率が低いなどとして労働力の質が劣後すると評価されていたのに、参加人組合を脱退すると(P14は昭和60年、P15は昭和63年)、いずれも翌年には上級職3級に昇格している。 出勤率の低さが労働力の質の差であるというのは組合差別をするための理由にすぎない。 P1ら12名は、いずれも上級職1級又は上級職2級の上位資格要件を充足している。 (ア)P1P1は、製番リーダーとして、測量チェック、全体形状確認など各種確認、作業を行い、他の作業者に指示し、対応を依頼するなどしている。 平成2年以降、原寸作業が極めて高度で難しい橋梁(横須賀中央ペデストリアン橋)の設計を担当した。P1の設計は、安心して仕事ができると現場の課長に評価されている。P1の作業ミスが原因で誤作が生じた事実はなく、製番リーダーを辞退したり、残業指示を断った事実もない。 P1は課方針策定会議からは排除されていたが、積極的に具申をし、大物物件ではプロジェクトチームに入って対応していた。係長に求められる業務を実行し、現場で作業チェックをすることを提案し、採用されるなど、仕損率減少に貢献した。後輩社員には、教育、指導した。所定内労働時間で目標工程を保持したが、非常時には残業をしてきた。 - 25 -以上のとおり、P1は上級職1級の資格要件を充足しており、遅くともP16(昭和38年入社)やP17(昭和43年入社)が昇格した平成8年4月1日に昇格させるのが相当である。 (イ)P2P2は、若い社員がキャダム操作により工作図を作成する際に生じる初歩的なミスを発見し、未然に大きな誤差が出るのを防止している。部品表の改善提案を重ねたり、外注先が担当していたブロックに重要な部 P2P2は、若い社員がキャダム操作により工作図を作成する際に生じる初歩的なミスを発見し、未然に大きな誤差が出るのを防止している。部品表の改善提案を重ねたり、外注先が担当していたブロックに重要な部材が取り付けられていないことを発見したこともあった。曲がり部の展開図作成は、P2の意見を入れて、P2が行うよりも本体を担当した者が行った方が能率的であるということになっていたのに、係長が蒸し返したので、「できない」と答えたものである。P2は、各種会議から排除されていたが、積極的に努力してきた。必要に応じてキャダムを使用しており、キャダムが使えないことはない。P2が担当している作業は、一部を除きキャダムは必要なかったにすぎない。また、残業が発生しないように所定内で仕事を完成させていた。 以上のとおり、P2は上級職1級の上位資格要件を充足しており、遅くとも、P18(昭和35年入社)が昇格した平成6年の翌年で、P19(昭和37年入社、平成2年上級職2級に昇格)が昇格した平成7年4月1日には昇格させるのが相当である。 昇格すべき時期に関し、本件命令は、P2と同期の養成工であるP13が平成8年4月に上級職1級に昇格していることから、平成7年4月1日に昇格しなかったことまでもが不利益取扱いに該当するとはいえないとするが、P13は番船担当を拒否したことから上司に嫌悪されたため昇格が遅れているのであって、P2をP13と比較して平成7年4月1日の昇格差別を否定するのは事実誤認である。 (ウ)P3- 26 -P3は、補機台の設計では他の同僚に劣らないほどの技術を有しており、高度の専門知識と長年の経験が必要な外注業者との窓口を担当し、船殻構造や補機台の強度計算も習得し、系統的に工作図の作図作業をしていた。キャダム操作を必要としない仕事を多く割り当てられ、研修 ており、高度の専門知識と長年の経験が必要な外注業者との窓口を担当し、船殻構造や補機台の強度計算も習得し、系統的に工作図の作図作業をしていた。キャダム操作を必要としない仕事を多く割り当てられ、研修の機会も与えられなかったため、技術は劣るが、必要に応じキャダムを使用していた。船級協会に提出した図面についての指摘は、一部はP3の責任でなく、一部は通常許容されているものである。P3は、課方針策定の場からは排除されていたが、計画に従って折衝や具申をしていた。 補機台作図はごく限られた業務ではなく、他部門との調整や、業務を外注業者に振り分け、手配もしていた。P3の関与した図面は強度不足や他のセクションとのトラブルもなく、各課からの信頼が厚く円滑に業務に従事していた。 以上のとおり、P3は上級職1級の上位資格要件を充足しており、遅くともP3と同時期に上級職2級へ昇格したP16が上級職1級に昇格した平成8年4月1日に昇格させるのが相当である。 (エ)P4P4の作図は現場を良く考えているとして、評価が高い。係ミーティングで、PXBC(パナマックス型バラ積み船)の二重底ブロック取付図の構成について不具合を指摘し、直後に係長に対して不具合の図面を見せて生産設計グループにフィードバックする等、業務改善提案を行っている。P4は、各委員会から排除されていたが、課長との面談では仕事に関する考えを述べ、会議で積極的に発言するなどしていた。業務知識はトップクラスにあった。業務の振り分け、人の采配などは担当していなかった。職制でないP4が組織的な指導計画によって指導するような業務にも就いていなかった。 本件命令は、P4について、昇格格差は認められるが、①仕事上のミ- 27 -スがあること、②本件救済申立て以前に昇格の要求をしていないことなどを上げ、昇格させない理 な業務にも就いていなかった。 本件命令は、P4について、昇格格差は認められるが、①仕事上のミ- 27 -スがあること、②本件救済申立て以前に昇格の要求をしていないことなどを上げ、昇格させない理由に合理的な根拠がないとはいえないとする。 しかし、ミスや予期せぬ不具合は起きるものであって、事故が起きた時の対処も評価すべきである。P4は、ミスを解決し、その後ミスを再発しないよう取り組んだ。昇格要求していなかったことを理由に救済しないというのは、差別の事実を無視したものである。 以上のとおり、P4は上級職1級の上位資格要件を充足しており、遅くとも上級職2級への昇格がP4の前年であるP20、P21が上級職1級に昇格した平成6年の翌年である平成7年4月1日に昇格させるのが相当である。 (オ)P5P5は、最も高度な技術を要求される高圧用パイプが多い中径管の溶接作業を、追浜造船所ですべて担当している。P5の溶接技術は管工場でスピードも含めてトップクラスであった。P5は、自分の作業が終わると、前工程で行った溶接部分についてもチェックし、シートに記入して上司に提出している。P5以外に管工場で最終チェックをしてシートに記入している者はいない。P5は、高圧管資格試験において、ただ1人、6種目に合格した。技能の未熟な下請作業者には技術的な面で指導をし、繁忙期には、残業、休日出勤をして協力した。 以上のとおり、P5は上級職2級の上位資格要件を充足しており、遅くとも管工場に所属し上級職3級への昇格がP5と同年であるP22が上級職2級に昇格した平成7年4月1日に昇格させるのが相当である。 (カ)P6P6は、どんな溶接でもこなす技能、知識を身につけ、若い班員に手本を示し指導し、危険な行為を注意した。また、下請会社の社員に、溶接の作業方法や安全・衛生上注意すべき点 るのが相当である。 (カ)P6P6は、どんな溶接でもこなす技能、知識を身につけ、若い班員に手本を示し指導し、危険な行為を注意した。また、下請会社の社員に、溶接の作業方法や安全・衛生上注意すべき点を指導してきた。指示された- 28 -仕事を終えれば誰の指示がなくても積極的に次の仕事に取りかかり、作業能率が上がるように独自に判断して作業を進めた。ミーティングでは、指名されなくても発言した。P6は、取付職と相談しながら、作業効率全体の改善を実行した。度々班替えを強要され、小組立、大組立、船台作業のほとんどの溶接作業を経験した。小組立における溶接では第一人者であり、作業スピードは他に負けない。 P6は、遅くともP5やP7と同じ平成元年には上級職3級に格付されるべきである。そして、P6は、上級職2級の上位資格要件を充足しており、住重労組の滞留年数6年と同一に取り扱い、遅くとも平成8年4月1日には上級職2級に昇格させるのが相当である。 (キ)P7P7は、技術的に高度な技量が要求される機関場のブロックや船殻外板を溶接する業務に従事してきた。原告は、図面が読め、かつ溶接技術の技量を備えている者を取付職にしたいと考え、P7を取付職に配転させた。P7は、他の部材や寸法が誤っていても、図面を確認することで不具合を防止していた。P7は、自分で判断して部材探しから段取り、位置決め、仕上げ作業まで支障なく業務をこなしてきた。氷海アフラ(氷を砕きながら航行する型式のタンカー)の建造工程で何度もやり直しをする大混乱が起きたけれども、これは、P7の意見を採り入れず、手抜き工事、工程のつじつまを合わせてきたことが原因の一つである。 P7は、的確な判断力があるし、様々な溶接作業に従事したため、船全体の構造についての知識がある。P7の責任で工程が遅れたことはない。 作 抜き工事、工程のつじつまを合わせてきたことが原因の一つである。 P7は、的確な判断力があるし、様々な溶接作業に従事したため、船全体の構造についての知識がある。P7の責任で工程が遅れたことはない。 作業工程がつまれば残業や休日出勤をした。新入社員への指導、下請作業者への指示を積極的に行った。 以上のとおり、P7は上級職2級の上位資格要件を充足しており、住重労組員の滞留年数6年と同一に取り扱い、遅くとも平成7年4月1日- 29 -に昇格させるのが相当である。 (ク)P8P8は、同僚と比べて常に作業を先行させ、職制の指示がなくとも工程を自分で判断して進めた。自分の作業が早く終わった後、反対の舷側の作業を手伝うのは非効率であり、これをしないことが積極性、協調性に欠けることには当たらない。作業現場には、P8より下位者はいないが、それでも作業上のアドバイスをし、他の職区に応援に行った時は、積極的に指導した。改善提案では何度も銅賞や7ないし10等の賞を受けている。船台職場の取付職の作業は常にP8がリードし、綺麗に仕上げるなど努力をしていた。 以上のとおり、P8は上級職2級の上位資格要件を充足しており、住重労組員の滞留年数が6年であることに照らし、遅くとも平成7年4月1日に昇格させるのが相当である。 (ケ)P9P9は、大炉職として37年勤務し、200トン横押しプレス、ローラー曲げ加工機を操作できるのは、同人のほかには1人しかいない。同僚や下請業者に対し、人員や製品について、指示、手配をして、工程管理を行っている。船底の曲がり作業に関し、設計・現場と何度も協議をして、改善を進めた。下請作業者には適宜指導をしているし、残業も多くしている。ロンジガス切断、曲げマーキンなどの作業スピードや品質、精度については信頼され、技能はトップレベルである。 住重労組 議をして、改善を進めた。下請作業者には適宜指導をしているし、残業も多くしている。ロンジガス切断、曲げマーキンなどの作業スピードや品質、精度については信頼され、技能はトップレベルである。 住重労組員の担当職1級から上級職3級までの滞留年数は6ないし7年であるから、昭和58年に担当職1級に昇格したP9は、遅くとも平成元年に上級職3級に昇格させるべきである。そして、P9は上級職2級の上位資格要件を充足しているから、住重労組員の滞留年数6年と同一に取り扱い、遅くとも平成8年4月1日に昇格させるのが相当である。 - 30 -(コ)P10P10は、作業スピードが遅いということで作業工程に支障を来すような遅れを出したことはない。自動溶接では高度の技量を身につけ、精度の高い溶接を行い、誤切断を溶接で修正したり、他の従業員が行った溶接の手直しができる。X線検査では、100%近い合格率である。業務知識・技能の面では内業職場で第一人者である。班長と相談して改善提案をし、取付職と話し合って自動溶接の先行板継ぎはP10が行うこととした。その後、溶接職が先行板継ぎをするようになった。平成6年と平成7年には改善提案で銀賞を受けている。若い人を含む同僚が常に相談に来るので、丁寧に指導している。 住重労組員の担当職1級から上級職3級までの滞留年数は6ないし7年であるから、昭和59年に担当職1級に昇格したP10は、遅くとも平成元年に上級職3級に昇格させるべきである。そして、P10は上級職2級の上位資格要件を充足しているから、住重労組員の滞留年数6年と同一に取り扱い、遅くとも平成8年4月1日に昇格させるのが相当である。 (サ)P11P11は、点検整備の一部ができないということはない。各種ヘッター(接続機材)の整備、点検をすることができる。有資格業務ができないのは も平成8年4月1日に昇格させるのが相当である。 (サ)P11P11は、点検整備の一部ができないということはない。各種ヘッター(接続機材)の整備、点検をすることができる。有資格業務ができないのは、原告がP11に資格を取得させようとしないためである。換気用ファンの点検、整備はできないが、その作業指示を受けたことはない。 原動機のコンプレッサーや注排水用ポンプの点検、整備は外注先などが行っているので、P11ができないからといって問題とされる理由はない。各種電力架設機材の点検、整備はしている。酸素配管修理や、冷却水ポンプ配管で重大なミスをした事実はない。空酸係における業務知識・技能は第一人者のレベルであり、共同作業の時はリーダー的立場で作- 31 -業を行い、下請業者には責任をもって指示、指導をしている。改善提案では平成6年から4年連続で金賞を受けている。 住重労組員の担当職1級から上級職3級までの滞留年数は6ないし7年であるから、昭和56年に担当職1級に昇格したP11は、その7年後の昭和63年に上級職3級に昇格させるべきである。そして、P11は上級職2級の上位資格要件を充足しているから、住重労組員の滞留年数6年と同一に取り扱い、遅くとも平成7年4月1日に昇格させるのが相当である。 (シ)P12P12は、班の中で、積極的に若手を指導し、下請作業者にも積極的に機械の操作方法や溶接の作業方法を教えていた。工程を確保するために時間のかかるブロックや遅れているブロックへの人員配置を進言していた。薄板が多い艦船建造において歪みを出さない溶接施工を理解しており、トップレベルの業務知識、技能を有している。各種改善をし、歪み防止の補強材の場所、本数などは職種を越えて取付職とも話し合い、成果を上げている。若手に対して、ガスガウジングによる溶接の裏面掘 おり、トップレベルの業務知識、技能を有している。各種改善をし、歪み防止の補強材の場所、本数などは職種を越えて取付職とも話し合い、成果を上げている。若手に対して、ガスガウジングによる溶接の裏面掘り縦壁接合部での手溶接などを細かく指導してきた。 以上のとおり、P12は上級職2級の上位資格要件を充足しており、住重労組員の滞留年数が6年であることに照らし、遅くとも平成7年4月1日に昇格させるのが相当であるオ不当労働行為意思原告の参加人組合に対する敵視、差別は、平成元年和解以降も継続している。 例えば、平成元年和解以後、原告は、参加人組合員の中から班長を一切任命していないし、平成8年3月にはP11は上司から参加人組合を辞める気はないかと聴かれているし、原告は管理職や下級職制に対して参加人- 32 -組合員を差別しないようにする教育を行うこともなく、放置している。 職能管理制度においては、1次評定者が昇格候補者を人選するが、1次評定者は、住重労組に所属する者であり、また、能力評定基準には客観性はないから、公平かつ適正な人選がされることはあり得ない。 争点(3)(救済方法)についての当事者の主張(1)被告の主張救済方法は被告の裁量の範囲であるから、参加人らの請求どおりの救済内容でなかったとしても、違法ではない。 (2)参加人らの主張遅延損害金相当額の付加金の支払を命じることは昇格差別による労働者の打撃回復に必要不可欠であり、また、組合間差別の存在が明らかである本件においては将来の組合間差別の禁止命令が不可欠であり、組合間差別に対する救済としてはポストノーティスが最も適切である。これらの救済を拒否した本件命令は違法である。 第3争点に対する判断 争点(1)(申立期間の経過)について原告においては毎年4月1日に昇格が発令される(前提 はポストノーティスが最も適切である。これらの救済を拒否した本件命令は違法である。 第3争点に対する判断 争点(1)(申立期間の経過)について原告においては毎年4月1日に昇格が発令される(前提となる事実(3)、6ページ)が、昇格の発令をすること又は昇格の発令をしないことは、前年度の評定に基づいて毎年独立して行われるものであるから、4月1日に昇格の発令をすること又は同日に昇格の発令をしないことは、各年ごとの別個の行為というほかない。昇格の有無による労働者の地位は、翌年の昇格時期までは継続しているのであるから、各年の昇格発令行為又は昇格発令をしない行為は、翌年の昇格時期までの1年間は継続しているといえるが、それ以降も継続しているとみることはできない。 仮に、昇格において不利益な取扱いを受けた労働者が抗議をしたにもかかわらず使用者が毎年昇格差別を繰り返していた事実があったとしても、毎年、独- 33 -立した不当労働行為が行われているにすぎず、これを1個の継続した不当労働行為ということはできない。使用者において一貫した差別意思が継続していることをもって、毎年の昇格に関する決定が1個の継続した不当労働行為と解することもできない。 本件救済申立ては、昭和63年4月1日(P11に係るもの)、平成元年4月1日(P6、P9、P10に係るもの)、平成7年4月1日(P2、P4、P5、P7、P8、P11、P12に係るもの)、平成8年4月1日(P1、P3、P6、P9、P10に係るもの)に、各昇格が行われなかったことを不当労働行為として、救済を求めるものである。ところが、本件救済申立てがされたのは平成9年3月26日である(前提となる事実(5)、6ページ)。平成7年4月1日に昇格させなかった行為は、前記のとおり、翌年の昇格時期である平成8年3月31日までは ころが、本件救済申立てがされたのは平成9年3月26日である(前提となる事実(5)、6ページ)。平成7年4月1日に昇格させなかった行為は、前記のとおり、翌年の昇格時期である平成8年3月31日までは行為が継続しているといえるから、本件救済申立日の平成9年3月26日は、「行為が終了した日」(労組法27条2項)から救済申立期間である1年以内であるということができる。平成8年4月1日に昇格させなかった行為については、平成9年3月26日は、なお行為が継続中である。しかし、昭和63年4月1日及び平成元年4月1日に昇格させなかった行為については、本件救済申立日である平成9年3月26日は、「行為が終了した日」から1年以内でないことは明らかである。 そうすると、本件救済申立てのうち、平成7年4月1日及び平成8年4月1日の昇格を求める部分は、救済申立期間内の申立てであって適法であるが、昭和63年4月1日及び平成元年4月1日の昇格を求める部分は、救済申立期間経過後の申立てであるから不適法というほかなく、却下すべきである。 よって、本件命令が、P6、P9、P10、P11に係る申立てのうち、平成7年3月以前(昭和63年、平成元年)の昇格を求める部分について、申立てを却下し、その他(平成7年4月1日及び平成8年4月1日の昇格を求めるもの)について、救済申立期間内の適法な救済申立てであると判断したことは- 34 -適法である。 争点(2)(不当労働行為(昇格差別による不利益取扱い)の成否)について(1)昇格差別判断の前提問題ア昇格差別の判断期間(争点(2)ア)前提となる事実(2)、(4)(5ページ、6ページ)のとおり、原告と参加人組合との間では、昭和55年合意、昭和58年和解、平成元年和解などが成立し、昭和55年合意においては、P1ら12名全員について、 提となる事実(2)、(4)(5ページ、6ページ)のとおり、原告と参加人組合との間では、昭和55年合意、昭和58年和解、平成元年和解などが成立し、昭和55年合意においては、P1ら12名全員について、過去に遡って又は同年4月に昇格することとなり、昭和58年3月31日には、原告と参加人組合との間で、参加人組合は昭和57年度以前の各年の昇格については以後一切の異議の申立てを行わない旨が合意され、昭和58年和解でもこれらの内容が確認されている。また、平成元年和解では、P5ら7名について、過去に遡って又は同年4月に昇格することが合意されている。 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約するものであり、和解が成立した以上、争いを蒸し返すことは許されない。原告と参加人組合とは、昭和55年合意ないし昭和58年和解及び平成元年和解を成立させているのだから、これらの和解内容に関して、なお昇格が不十分であったなどとして、争いを蒸し返すことは許されない。 そして、P1ら12名は昭和55年合意の対象であり、P5ら7名は平成元年和解の対象となっていて、いずれも参加人組合員として、昭和55年及び平成元年の昇格の合意内容を認識し、和解を成立させることについて参加人組合に委ねていたと考えられるから、P1ら12名は昭和55年合意ないし昭和58年和解の内容について、P5ら7名は平成元年和解の内容について、参加人組合と同様に、争いを蒸し返すことは許されないというべきである。 - 35 -以上のとおり、P5ら7名は、平成元年和解による昇格及びこれによる平成元年の格付を、P1、P2、P3、P4、P6の5名は昭和55年合意による昇格及び昭和55年の格付並びに昭和57年度以前の昇格を、正当なものとして認めたというべきであり、それぞれ、それ以前の昇格に関 元年の格付を、P1、P2、P3、P4、P6の5名は昭和55年合意による昇格及び昭和55年の格付並びに昭和57年度以前の昇格を、正当なものとして認めたというべきであり、それぞれ、それ以前の昇格に関しては争いを蒸し返すことができない。したがって、本件訴訟においては、P5ら7名に関しては、平成2年以降の昇格について、P1、P2、P3、P4、P6の5名に関しては、昭和58年以降の昇格について、昇格差別があったか否かを検討すべきことになる。 なお、原告は、P1、P2、P3、P4、P6の5名についても、平成2年以降の昇格が判断の対象となる旨主張するが、同人らは平成元年和解の対象となっていないから、平成元年の格付を正当なものとして認めていたということはできず、原告の上記主張を採用することはできない。 イ昇格差別の判断基準時参加人らは、P2、P4、P5、P7、P8、P11、P12については平成7年4月1日に、P1、P3、P6、P9、P10については平成8年4月1日に、それぞれ昇格が行われなかったことを不当労働行為であると主張しているので、P2、P4、P5、P7、P8、P11、P12の7名に関しては平成7年4月1日において昇格差別があったかどうか、P1、P3、P6、P9、P10の5名に関しては平成8年4月1日において昇格差別があったかどうかを検討しなければならない(なお、参加人らは昭和63年及び平成元年に昇格が行われなかったことも不当労働行為であると主張しているが、前記1(34ページ)のとおり、救済申立期間経過後の申立てであり不適法であるから、昇格差別があったかどうかを判断する必要がない。)。 ところが、本件救済申立手続及び本件訴訟においては、原告が平成8年4月1日の昇格差別以外は救済申立期間経過後であるとして、その前提で- 36 -主張、立証 ったかどうかを判断する必要がない。)。 ところが、本件救済申立手続及び本件訴訟においては、原告が平成8年4月1日の昇格差別以外は救済申立期間経過後であるとして、その前提で- 36 -主張、立証を行っていたことなどから、本件救済申立時(平成9年3月)における格付が不当かどうか、すなわち、平成8年4月1日に昇格をさせなかったことが不当かどうかについて審理がされ、平成7年4月1日に昇格をさせなかったことについては、十分な主張、立証がされているとはいえない。 そこで、P2、P4、P5、P7、P8、P11、P12の7名を含め、P1ら12名全員について、平成8年4月1日に昇格をさせなかったことが不当労働行為かどうか(参加人組合員であることよる不利益取扱いであるかどうか)を、まず、検討することとする。参加人らが平成7年4月1日の昇格を求めているP2、P4、P5、P7、P8、P11、P12の7名については、仮に、平成8年4月1日に昇格をさせなかったことが不当労働行為に当たらないのであれば、特別の事情がない限り、平成7年4月1日に昇格させなかったことも、不当労働行為に該当しないということができ、仮に、平成8年4月1日に昇格させなかったことが不当労働行為に当たるのであれば、なお、平成7年4月1日に昇格させなかったことについて、不当労働行為に該当するか否かを判断することになる。 ウ昇格差別の主張、立証と認定参加人らは、原告が参加人組合に所属するP1ら12名を昇格させなかったことが不当労働行為(不利益取扱い)に当たると主張するものである。 そうであれば、参加人らは、①P1ら12名の格付(平成8年に昇格させなかったこと)が住重労組の組合員と比べて格差があること、②その格差には能力の差があるなどの合理的な理由がないこと、すなわち、上位に昇格している住重労 らは、①P1ら12名の格付(平成8年に昇格させなかったこと)が住重労組の組合員と比べて格差があること、②その格差には能力の差があるなどの合理的な理由がないこと、すなわち、上位に昇格している住重労組員と能力において同等であり、昇格の要件を充たしていることを主張、立証しなければならない。 もっとも、労働組合側が従業員全体の昇格状況を明らかにして格差の存否を完全かつ厳格に主張、立証したり、当該労働組合員と昇格した他の労- 37 -働組合員らのそれぞれの能力を明らかにして、その差がないことを明確に主張、立証したりすることは困難を伴い、可能な限りの主張、立証を尽くしても、昇格状況や評定内容の全貌を明らかにすることができない事態が起こることが想像できる。他方、使用者側からは、従業員全体の昇格状況や査定の詳細は明らかにされないことが起こりうる。現に、本件救済申立手続及び本件訴訟においては、参加人らからは、P1、P2、P3ほかの従業員の昇格経過を示すものとして「設計関係軌跡比較表(養成工)」(乙28)のほか、いくつかの証拠が提出されているが、原告からは、従業員らの昇格経過を明らかにする証拠は提出されず、P1ら12名とその同年齢等の従業員の本件救済申立時における資格状況表(乙201から211まで)などいくつかの証拠が提出されているだけである。 自由心証主義のもとでの事実認定は、提出された証拠を総合的に検討し、これに当事者の主張態度等の弁論の全趣旨も併せて行うものであり、要証事実の存在を肯定する方向に働く証拠と、これを否定する方向に働く証拠を比較して相対的な判断をするという面がある。そうだとすれば、労働組合側が、当該労働組合員と他の従業員との間に格差が存在すること及び当該労働組合員は昇格要件を充足し、格差に合理的な理由がないことについて、できるだけ 判断をするという面がある。そうだとすれば、労働組合側が、当該労働組合員と他の従業員との間に格差が存在すること及び当該労働組合員は昇格要件を充足し、格差に合理的な理由がないことについて、できるだけの主張、立証を行い、これに加えて、当該労働組合員は共通して昇格が遅れている傾向があり、格差が合理的な理由によるのではないことを疑わせる事情などが認められるのであれば、使用者側において、格差がないこと、格差があったとしても合理的な理由があること(能力が同質であるとは認められないこと)を積極的に主張、反証しない限り、格差が存在し、かつ昇格要件を充足していることが認められ、昇格に関し不利益取扱いがあったと認められることがあり得るというべきである。 エ格差の存在を判断するための昇格状況の認定以上の考え方に従い、まず、証拠上、明らかにすることができる昇格状- 38 -況を認定する。 (ア)証拠(乙28、218)及び弁論の全趣旨によれば、昭和32年から昭和39年までに入社した養成工(中学卒で、原告内で高校相当の教育を受けた者)で、昭和46年当時旧船殻設計一課及び同二課に属し、その後も主として船殻設計を担当している者(P2、P3がこれに含まれる。但し、中途退職者と著しく昇格が遅れているP23を除く。)に、上記期間に入社した養成工で、船殻設計と同様の職場である橋梁設計を担当しているP1、P24、P25、P26を加えた合計36名について、担当職1級昇格時から本件救済申立時までの昇格状況、すなわち各資格への昇格時期、昇格までの勤続年数は、別表1-1「養成工昇格状況」のとおりであると認められる。この36名の所属組合別内訳は、同表記載のとおり、参加人組合員が10名(P1、P2、P3を含む。)、住重労組員が26名である。 これをもとにして、この36名について、勤 」のとおりであると認められる。この36名の所属組合別内訳は、同表記載のとおり、参加人組合員が10名(P1、P2、P3を含む。)、住重労組員が26名である。 これをもとにして、この36名について、勤続年数ごとの昇格者数を示すと、別表1-2①のとおりとなる。別表1-2②と③は、これを上級職1級まで昇格した者とそうでない者に分けた昇格数を示す表であり、同④と⑤は、住重労組員と参加人組合員に分けた昇格数を示す表である。 これに対して、原告は、「養成工昇格状況」について、記載された者の範囲、人選が恣意的で根拠がないなどとして、上記36名の昇格状況を比較することを批判している。確かに、弁論の全趣旨によれば、上記36名以外にも、上記期間入社の養成工で、昭和46年当時上記課に属していた者がいることが認められ、人選に不明瞭な点がないわけではない。しかし、上記のとおり、職種や入社年等を基準とした基本的な範囲は明確であって、これが恣意的であるとは認められない。人選についても、特定の意図のもとにある傾向の者を除外したり(例えば、参加人組合員で昇格が早い者がいるのに、これが除外されているような事実は認- 39 -められない。)、逆に上記の条件を満たさない者が多数含まれている事実は認められず、人選が恣意的であると認めることはできない。これに対して、原告は、範囲や人選について、部分的な反論をするだけであり、他の従業員らあるいは養成工全体の昇格状況を一切明らかにせず、「養成工昇格状況」から窺える昇格の傾向とは全く異なる一般的な傾向が存在する、あるいは昇格の傾向というものが一切存在しないとの具体的な主張や反証を全くしないのであるから、「養成工昇格状況」から窺える昇格の傾向が一般的な昇格の傾向と大きな相違はないものと推測するほかない。 (イ)証拠(乙46から56ま が一切存在しないとの具体的な主張や反証を全くしないのであるから、「養成工昇格状況」から窺える昇格の傾向が一般的な昇格の傾向と大きな相違はないものと推測するほかない。 (イ)証拠(乙46から56まで、201から211まで、丙16から26まで、32)によれば、P1ら12名の各人について、同学歴、同卒業年、同年齢で入社年が近い従業員(P1、P2、P3、P4、P8については、入社年が同一、すなわち同期に限っている。)の、本件救済申立時(平成8年4月1日の昇格後のもの)における各職能資格や所属労働組合は、別表2-1から2-11まで(以下「救済申立時の資格状況」という。)のとおりであると認められる。 (2)職能管理制度の実態(争点(2)イ)についてア職能管理制度及び昇格の制度原告において実施されている職能管理制度及びその実態は、前提となる事実(3)(6ページ)に証拠(甲2、2の2、3、乙22)及び弁論の全趣旨を総合すると、次のとおりであると認められる。 (ア)対象本件訴訟で問題となるのは、課長相当以上の管理職でない従業員を対象とするもの、すなわち非管理職に適用される職能管理制度である。 (イ)職能資格職能資格は、経営に必要な職務遂行能力の内容水準を表す。 - 40 -職務能力の機能に応じて、監督職、事務技術職、技能職、特務職の4つの機能系統に分けられる。このうち、事務技術職は、事務又は技術的能力を発揮するものであり、該当する職種としては、開発企画、製品開発、研究、設計、財務、人事、総務、経営企画等がある。技能職は、現場作業に関する能力を発揮するものであり、該当する職種としては、機械加工、仕上組立、鉄工溶接、検査、設備保全等がある。 この4つの機能系統ごとに、それぞれ上級職1級ないし3級、担当職1級ないし4級の7段階の資格がある(監督職は担 のであり、該当する職種としては、機械加工、仕上組立、鉄工溶接、検査、設備保全等がある。 この4つの機能系統ごとに、それぞれ上級職1級ないし3級、担当職1級ないし4級の7段階の資格がある(監督職は担当職1級以上である。)。職能資格は、役職と関係し、例えば、上級事務技術職1級は主事・技師に、上級技能職1級は工師に、それぞれ対応している。 (ウ)昇格昇格は上位資格職能資格要件具備の程度を中心として評定して決定される。 ただし、担当職1級ないし4級については、各資格の最長在籍年数に達した場合は昇格させる。この最長在籍年数は、担当職1級が13年、同2級が11年、同3級が8年、同4級が6年である。上級職には、最長在籍年数は定められていない。55歳以上の者は原則として昇格させない。なお、昇格直後の者は連続して昇格しない。 昇格評定は、第1次評定者が、評定対象者を部門別・職能資格別のグループに分け、グループごとに各人の必要能力5項目、すなわち①企画力、判断力等(資格によって異なる。以下も同じ。)②業務知識・技能等③業務遂行力等④指導性等⑤業務態度について、評定を行い、第2次評定者が同様の評定を行い、調整者が全- 41 -社的ないし地区全体の観点で必要な調整を行い、決定者が決定する。 上級職1級及び同2級への昇格においては、第1次評定者は課長、第2次評定者は部長、調整者は本社人事担当課長、決定者は本社人事部長又は事業所長である。 (エ)職能資格要件職能資格要件は、職能資格ごとに、詳細に定められている。 例えば、上級事務技術職1級と同2級の必要能力水準、必要能力(企画力等)項目は、以下のとおりである(本文が上級職1級の資格要件であり、上級職2級の資格要件は、直前の下線部がかっこ内の文言になる。)。 必要能力水準上司の包括的指揮のもと 能力水準、必要能力(企画力等)項目は、以下のとおりである(本文が上級職1級の資格要件であり、上級職2級の資格要件は、直前の下線部がかっこ内の文言になる。)。 必要能力水準上司の包括的指揮のもとで、部レベル(課レベル)以上の観点にたち、高度の(かなり高度な)企画的又はまとめ業務を担当しつつ職場の指導的役割を果たし成果を上げることができる。 企画力広い視野と的確な判断・洞察力(判断力)をもち、担当業務の今後をみ通しつつ(担当業務に関する)、有効で創意ある企画ができる。 業務知識、応用力担当業務に関する高度な(かなり高度な)理論的知識、最高水準の実務知識、応用力、広い関連知識を身につけている。 業務遂行力関係先と高度な(かなり高度な)接渉連携ができ、担当業務を円滑かつ効果的に遂行し、又はとりまとめられる。又高度な業務改善、意見具申ができる。 指導性下位資格者に高い(かなり高い)レベルの育成、指導ができる。又職場全体の意欲、能力向上に有効な役割が果たせる。 - 42 -業務態度①何事にも意欲的に取り組む②困難を克服していく強靱さがある③使命感(責任感)があり自分の問題としてうけとめすすんで責任をとる(うけとめる)④常に自己の向上に努力しているまた、例えば、上級技能職2級と同3級については、以下のとおりである(本文が上級職2級の資格要件、かっこ内が上級職3級の資格要件である。)。 必要能力水準上司の包括的指揮のもとで、豊富な経験と高度の(かなり高度の)熟練技能及び判断を要する業務を担当しつつ職場の指導的役割を果たし成果をあげることができる。 判断力創意があり担当業務に関しかなり高度の応用判断(応用判断)ができる。 業務知識、技能担当業務に関し高度の(かなり高度の)熟練技能と最高の実務知識(実務知識)を身につけてい ことができる。 判断力創意があり担当業務に関しかなり高度の応用判断(応用判断)ができる。 業務知識、技能担当業務に関し高度の(かなり高度の)熟練技能と最高の実務知識(実務知識)を身につけている。 業務遂行力関係先と必要な接渉連携ができ担当業務を円滑かつ効果的に遂行できる。又かなり高度な(積極的に)業務改善、意見具申ができる。 指導性下位資格者にかなり高いレベルの技能伝承等(技能伝承等)育成指導ができる。職場全体の意欲・能力向上に役割を果たせる。 業務態度①何事にも意欲的に取り組む②困難を克服していく強靱さがある③責任感があり信頼できる④常に自己の向上に努力している- 43 -(オ)実際の昇格決定第1次評定者は、評定期間中の評価対象者の行動、成果等に基づき、評価対象者各人について、それぞれ必要能力項目5項目の評価を、○か×で行う(もっとも、原告横須賀製造所人事グループ課長のP27は陳述書(甲2の2)18ページで、平成8年の昇格に関して、上級職2級のP1、P2、P3は、上級職1級の昇格の評定の対象にすらならなかったと述べている。これによれば、評定をする前に何らかの選抜があることになる。)。 5項目全部が○の者だけが、昇格候補者となる。課長(又はその相当職。以下も同じ。上級職1級、同2級への昇格の第1次評定者である。)が、まず、主任技師、係長、職長、班長などの意見も参考にしながら、昇格候補者を人選する。部長(又はその相当職。以下も同じ。)は、課長からの申請を受けて、評定会議を開催し、各課長出席の上で、各候補者ごとに時間をかけ、意見交換をして、部としての昇格候補者を決定する。事業本部人事グループは、部長からの申請を受け、審議会を開き、事業本部としての昇格候補者を決定し、この申請を受けた本社が昇格者を正式決定する。課長が 意見交換をして、部としての昇格候補者を決定する。事業本部人事グループは、部長からの申請を受け、審議会を開き、事業本部としての昇格候補者を決定し、この申請を受けた本社が昇格者を正式決定する。課長が昇格候補者として上げなかった者が、評定会議や審議会で昇格候補者となることはない。 イ年功序列的昇格かどうか参加人らは、P1ら12名を含む参加人組合員が、住重労組員ら参加人組合に所属していない同期同学歴の従業員に比較して、昇格が遅れているとし、昇格差別があると主張する。これに対して、原告は、職能管理制度においては、昇格は上位資格要件を満たしたか否かにより決定されるものであって、年功序列的昇格はないのだから、同期同学歴の従業員と比較することは無意味であると主張している。 そこで、職能管理制度を実施している原告において年功序列的昇格の実- 44 -態があるのかどうかを検討する。 職能管理制度が職務に関する能力の有無に応じて昇格を決定する制度であることは、前記アの制度から明らかである。「養成工昇格状況」等(別表1-1、1-2)によれば、同期同学歴の者でも昇格時期にばらつきがあり、遅れて入社した者が先に昇格している例が普通に存在することが認められる。参加人らも、完全な年功序列的昇格が行われているのではなく、職能管理制度の下で、能力の差が昇格に影響していることを全く否定しているものではない。 しかし、まず、担当職4級から同1級までは、前記2(2)ア(ウ)(42ページ)のとおり、最長在籍年数が定められ、制度上も、勤続年数や当該職位の在籍年数と昇格に関係があることは確かである。 そして、「養成工昇格状況」(別表1-1)によれば、P1、P2、P3が属する昭和32年から昭和39年までに入社し主として船殻設計を担当した養成工36名(いずれも事務技術職である。) とは確かである。 そして、「養成工昇格状況」(別表1-1)によれば、P1、P2、P3が属する昭和32年から昭和39年までに入社し主として船殻設計を担当した養成工36名(いずれも事務技術職である。)については、①全員が、勤続13年から17年までには担当職1級に、勤続21年から25年までに上級職3級に、勤続26年から32年までに上級職2級に昇格していること(別表1-2①)、②全員が上級職1級に昇格しているわけではないけれども、昇格している者は、勤続31年から35年までの間が大半であること、③担当職1級の在籍年数は5年から9年までで7、8年が多く、上級職3級の在籍年数は5年から10年までであることなどが認められる。完全な能力主義であれば存在するはずの昇格直後にさらに上位の格付に昇格している例や、2段階を1度に昇格している例は認められない。 また、P5ら7名及びP6に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-5から2-11まで)によれば、本件救済申立て当時、P5ら7名及びP6が所属する技能職も含め、同学歴、同年齢で入社年が近い者は、圧倒的多数が上級職2級又は上級職3級に格付されていることが認められ、勤続- 45 -年数がほぼ同じ者は、格付が全く同一でないにしても、概ね同様の格付となっていることが窺われる。 以上によれば、原告では、一定の年数経過により必ず昇格をするという完全な年功序列になっているわけではなく、勤続年数や同一資格の在籍年数と昇格の時期にはばらつきや逆転があり、また、上位の資格になれば、そのばらつきは大きくなっていることが認められるものの、職能管理制度の実施下においても、勤続年数や同一資格の在籍年数と昇格との間には、ある程度の幅を持った一定の年数が経過する間には昇格をするのが通例であるという程度の関係があることを否定することはでき 職能管理制度の実施下においても、勤続年数や同一資格の在籍年数と昇格との間には、ある程度の幅を持った一定の年数が経過する間には昇格をするのが通例であるという程度の関係があることを否定することはできない。その原因が、単純に年功的昇格をしていることから生じているものであるか、あるいは、一般的にある程度の幅を持った年数を経ることにより上位の資格の能力が身についてくるからであるかはともかく、勤続年数や在籍期間と昇格との間には、緩やかな相関関係があると認められる(これを年功序列的というか否かは、言葉の問題にすぎない。)。そして、「養成工昇格状況」(別表1-1)から窺える昇格の傾向が原告における一般的な昇格の傾向と大きな相違はないと認められるから、上記の昇格の傾向は、原告における一般的な傾向であると認めることができる。 なお、証拠(甲3、乙168)によれば、住重労組員か参加人組合員かにかかわりなく上級職2級や上級職3級で定年退職する者も少なくないことが認められ、前記のとおり、「養成工昇格状況」(別表1-1)に記載がある養成工においても、上級職1級へは全員が昇格しているわけではないから、とくに上級職1級の昇格については、勤続年数や在籍期間と昇格との間に相関関係があるとみることには問題がないわけではないようにも考えられるが、この点は後述する(2(3)ア(ウ)、53ページ)。 ウ昇格考査の客観性原告は、職能管理制度の下では、具体的な判断基準に基づき、段階評定、- 46 -多面評定により評定考課が行われているから恣意的な決定がされることはあり得ないなどと主張している。 前記2(2)ア(オ)(45ページ)によれば、確かに昇格候補者は昇格資格要件をすべて充足した者から選ばれるものであるとされている。ところが、同(エ)(43ページ)によれば、職能資格要件 張している。 前記2(2)ア(オ)(45ページ)によれば、確かに昇格候補者は昇格資格要件をすべて充足した者から選ばれるものであるとされている。ところが、同(エ)(43ページ)によれば、職能資格要件は、例えば「部レベル以上の観点にたち」「高度の熟練技能」「的確な判断・洞察力」「担当業務の今後をみ通しつつ」「高度な理論的知識」「最高の実務知識」「高いレベルの育成、指導」「使命感があり」等、いずれも該当するか否かが一義的に決められるようなものではなく、下位の昇格資格要件との差違も「高度の」と「かなり高度の」との違い、あるいは「使命感」と「責任感」の違いなど、これも、一義的に決められるものではなく、このような要件に該当するか否かは、評価者が諸般の事情を総合考慮して決定するとしかいいようのないものばかりである。 この点について、P27は、陳述書(甲2の2)において、各部門ごとに評価基準をさらに具体化した評価要素が定められ、例えば、開発設計室(P1、P2、P3が所属していた。)では、上級職1級について、企画力部の年度方針及びこれを各課に展開した年度方針を的確に理解している、又は、課の方針策定に参画あるいは影響を及ぼしている。その上で自らの課題を提起しその課題解決に向かって具体的な解決案を作成できる。 部、課の年度方針、課題や係の個々の業務計画の作成、部下の育成において将来を見通した的確な方向付けを行うことができる。 課長代理の立場から係全体の業務計画を作成できる(係長でない場合ではその能力を有する)。また、- 47 -組織として必要な技術の取得計画をたてることができる。 業務知識、応用力担当する業務については精通し、知識の水準は社内でもトップクラスで、課だけでなく、部の業務内容全般についても概ね把握し、課内の業務内容について熟知し 計画をたてることができる。 業務知識、応用力担当する業務については精通し、知識の水準は社内でもトップクラスで、課だけでなく、部の業務内容全般についても概ね把握し、課内の業務内容について熟知している。 知識・技術の陳腐化及び進化に対応し、常に新しい知識・技術を学んでいる。 業務遂行力過去の事例を把握し、日常的に関係部門との連携、調整をし業務を遂行する。万一問題点が発生した時は、関係部門と調整の上、問題解決を図れる。 操業状況に応じて業務の振り分け、人の采配ができる。 担当業務は完璧にこなし、社内でもトップクラスのスピードで対応する。 指導性組織として技術的な弱い部分を把握でき、的確に部下に割り振り、部下それぞれの指導計画を作成し、細やかに指導できる。また、部下のやる気を引き出し、能力向上を図ることにより組織全体のレベルアップに努めている。 業務態度組織の代表者として問題意識を有し、組織としての業務遂行に、使命感を有している。 とされているなどと述べる。このような基準が正式に定められ、運用されていたことを客観的に明らかにする証拠はなく、このような基準が厳格に適用されていたかどうかは疑問があるが(この点は後述する。2(4)イ、66ページ)、仮に、上記の基準があったとしても、基準はやや具体化さ- 48 -れているとはいえ、結局のところ、各要件に該当するか否かは、評価者が諸般の事情を考慮して総合的に判断するほかないことには変わりがない。 したがって、評価は、その制度上から完全に客観的であると認めることはできない。 また、評価者の査定は、必要能力要件を充足するか否か、すなわち○か×かの判断しかない。そうだとすると、原告における昇格決定に際して、評価者が意図的な評価、恣意的な評価をすることは可能であるし、また、評価者の意識しない思考 要能力要件を充足するか否か、すなわち○か×かの判断しかない。そうだとすると、原告における昇格決定に際して、評価者が意図的な評価、恣意的な評価をすることは可能であるし、また、評価者の意識しない思考の傾向によって、評価が結果的に恣意的なものになる可能性を否定することもできない。 そして、昇格候補者は最初に課長によって決定され、この段階で昇格候補者に選ばれなかった者は、評定会議や審議会において候補者として審査されることはない(前記2(2)ア(オ)、45ページ)のだから、課長によって昇格候補者に選任されなかった者はおよそ昇格させられる可能性がなく、段階的、多面的な評定を受けることはない。 以上によれば、原告における職能管理制度における昇格決定においては、そもそも評価自体が完全に客観的とはいえないし、その制度上、昇格者の決定に関しては、課長が昇格候補者を選任する段階で恣意の入る余地があるというべきであり、これが是正される手段もないことが認められる。 (3)昇格格差の存在(争点(2)ウ)についてア昇格格差の存在についての全般的問題(ア)組合間の集団的な昇格格差参加人らは、「設計職場」の養成工の昇格には、住重労組員と参加人組合のそれぞれの昇格ライン(概ね勤続何年で各資格に昇格するかを示す線)が別個にあるとして、これを記入した表(乙28)を提出し、参加人組合員と住重労組員との間に、昇格分布に明瞭な格差があり、原告による参加人組合員に対する差別が明らかに認められると主張するよう- 49 -である。 しかし、上記表(乙28)から認められる「養成工昇格状況」(別表1-1)によれば、確かに、P1、P2、P3を含め、参加人組合員の昇格は、住重労組員の昇格より相対的に遅い傾向があるけれども(その詳細は後記2(3)イ以下(54ページ)のとおりである。)、昇 (別表1-1)によれば、確かに、P1、P2、P3を含め、参加人組合員の昇格は、住重労組員の昇格より相対的に遅い傾向があるけれども(その詳細は後記2(3)イ以下(54ページ)のとおりである。)、昇格までの年数が参加人組合員と同様の住重労組員も、例えば、2番のP28、3番のP29、8番のP30等、少なからず存在するのであるから、むしろ、参加人組合員と住重労組員との昇格分布が明瞭に2つに分かれている状況にないことが明らかである。このことは、別表1-2④と⑤からも明らかである。したがって、参加人組合員と住重労組員との間で昇格に関して集団的に顕著な格差が存在するとはいえない。 なお、この点に関し、仮に、組合間に集団的に顕著な格差が存在する場合で、かつ、会社がかなり厳格な年功序列的昇格の制度を採用し、しかも会社内の多数の労働者が同種の職種に就き、その職種が個人の能力や技術による差が出にくい場合であれば、昇格に関し顕著な格差に合理的な理由が認められない限り、個々の労働者の格付は、特定の労働組合員であることを理由によるものと推定される場合がある。しかし、原告においては、上記のとおり、昇格に関し組合間に集団的に顕著な格差が存在するとは認められず、しかも原告では職能管理制度が実施され、勤続年数等と昇格との間には緩やかな相関関係が認められるものの、完全な年功序列的昇格ではなく、また従業員の職種は様々であり能力や業務成績に差が生じにくいとはいえないから、上記のような推定はされない。 (イ)組合間の昇格率の差について証拠(乙168、212)によれば、平成2年から平成8年までの間の各年の上級職3級以上の昇格について、参加人組合員と住重労組員(大卒者を除く。)のそれぞれの組合員数と昇格者数及び昇格率は、次- 50 -の表のとおりである。 (年度別昇格状況) 成8年までの間の各年の上級職3級以上の昇格について、参加人組合員と住重労組員(大卒者を除く。)のそれぞれの組合員数と昇格者数及び昇格率は、次- 50 -の表のとおりである。 (年度別昇格状況)昇格者/在籍者(名)昇格率(%)年度住重労参加人全体住重労参加人全体106/9139/58115/97111.615.511.8 101/8967/58108/95411.312.111.3 97/9007/56104/95610.812.510.9 73/8934/5477/9478.27.48.1 54/8896/5560/9446.110.96.4 54/8614/5358/9146.37.56.3 47/8030/4847/8515.90.05.5 532/615537/382569/65378.69.78.7累計(注:住重労は住重労組を、参加人は参加人組合を指す。)これによれば、各年の昇格率をみる限り、参加人組合員の方が昇格率の高い年もあり、全体的にみれば、参加人組合員と住重労組員との間で昇格率に差違はないことが認められる。 原告は、このように昇格率に差がないことを理由として、参加人組合員にはおよそ昇格格差はないと主張する。確かに、平成2年から平成8年までの間は、参加人組合員と住重労組員との間には昇格率の差が認められないから、平成2年から平成8年までの間、参加人組合員に対する昇格が、住重労組員に対する昇格と全体的にみれば概ね同様に行われていたと推測され、平成2年から平成8年の間の「ある年」に昇格をさせたかどうかという点からは、参加人組合員に対する不利益取扱いはないようにみえる。 しかし、例えば、平成元年以前に従業員 同様に行われていたと推測され、平成2年から平成8年の間の「ある年」に昇格をさせたかどうかという点からは、参加人組合員に対する不利益取扱いはないようにみえる。 しかし、例えば、平成元年以前に従業員全体の中で昇格が遅れ、平成- 51 -元年において格付に格差が生じていた者が、平成2年以後、全体の従業員と同様のペースで昇格をした場合には、昇格の有無や昇格の頻度という点では、他の従業員との差はない場合であっても、平成元年以前の遅れた格付がそのまま維持されていることになり、全体の従業員の中で昇格が遅れているという状態には変わりがない。したがって、平成2年以降の昇格率に差がないことをもって、昇格の遅れが全くないということはできない。 (ウ)上級職1級への昇格について前記2(2)イ(47ページ)のとおり、すべての従業員が上級職1級に昇格するわけではないことが認められる。原告は、このことから、上級職1級に昇格しないことを昇格格差ということが無意味であると主張するようである。 証拠(甲2の317ページ)によれば、上級職1級への昇格率、昇格者数は、次の表のとおりであると認められる。 (上級職1級への昇格率、昇格者数)昇格率(%)昇格者数(名)平成2年7.3 平成3年6.6 平成4年6.5 平成5年2.2 平成6年4.0 平成7年5.5 平成8年5.7 これによれば、上級職1級への昇格者は、平成5年を除いて、毎年概ね15名前後であることが認められる。そうすると、上級職1級には上位資格要件を充足した者を昇格させるとしても、概ね一定数の者を相対- 52 -的に選抜している面があることが窺われる。なお、前記2(2)ア(イ)(42ページ)のとおり、職能資格が役職と結びついている以上、毎年一定数の者を 格させるとしても、概ね一定数の者を相対- 52 -的に選抜している面があることが窺われる。なお、前記2(2)ア(イ)(42ページ)のとおり、職能資格が役職と結びついている以上、毎年一定数の者を昇格させる必要があり、絶対的な能力評価だけによって昇格を決められるはずはないと思われる。 また、「養成工昇格状況」(別表1-1)によれば、この表に記載されている36名中15名(41.7%)が上級職1級に昇格していること、とくに住重労組員に限ると、26名中15名(57.7%)が昇格していることが認められる。前記の平成2年から平成8年までの間の上級職1級への各年の昇格率によれば、毎年の昇格率は概ね6%前後であり、上級職1級に6年ないし7年で昇格すると仮定すると、上級職2級の者のうち、36%ないし42%(0.06×6~7=0.36~0. 42)が上級職1級に昇格することになる(以上の試算は、中途採用などで、上級職2級に昇格した時点で年齢が高く、さらに上位に昇格することができない者も母数に含んだ数字によるものであるから、上位に昇格する可能性がある者だけに限定すると、従業員中で昇格する者の割合はさらに高くなる。)。そうだとすれば、上級職2級から上級職1級に昇格する者の割合はけっして少ないわけではないといえる。 以上によれば、上級職1級は、ごく選ばれた者だけが昇格するものではなく、かなりの人数の者が資格要件を充足したとして昇格をしていることが認められるから、上級職1級への昇格に関しても、昇格格差ということが起こりうるというべきである。 イP1、P2、P3の昇格格差について「養成工昇格状況」(別表1-1)及び「設計関係職場・養成工の勤続年数と昇格者数」(別表1-2)によれば、昇格の早い者は、勤続年数14ないし15年で担当職1級、21年ないし22年で上級職 差について「養成工昇格状況」(別表1-1)及び「設計関係職場・養成工の勤続年数と昇格者数」(別表1-2)によれば、昇格の早い者は、勤続年数14ないし15年で担当職1級、21年ないし22年で上級職3級、26年ないし28年で上級職2級に昇格しているのに対して、P1、P2、P3- 53 -は、16年で担当職1級、24年ないし25年で上級職3級、31年ないし32年で上級職2級に昇格しているのであって、この表に記載された36名中、住重労組に所属している3番のP29、8番のP30と並んで、最も昇格が遅れていることが認められる。とくに、P1、P2、P3は、上級職3級に昇格した後(P1、P3は昭和58年、P2は昭和57年)に、昇格の格差が拡大したことが認められる。 また、P1に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-1)によれば、P1と同学歴、同卒年、同年入社、同年齢の従業員は、本件救済申立時12名在籍し、このうち上級職1級が5名、上級職2級が7人であったことが認められる。そうすると、本件救済申立時の格付をみても、上級職2級であったP1は格付が下位に属していたと認められる。 P2に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-2)によれば、P2と同学歴、同卒年、同年入社、同年齢の従業員は、本件救済申立時23名であり、このうち上級職1級が5名、上級職2級が18名であったことが認められる。そうすると、本件救済申立時の格付をみても、上級職2級であったP2は格付が下位に属していたと認められる。 P3に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-3)によれば、P3と同学歴、同卒年、同年入社、同年齢の従業員は、本件救済申立時20名であり、このうち管理職が1名、上級職1級が11名、上級職2級が8名であったことが認められる。そうすると、本件救済申立時の格付をみても、上級職2級 、同年入社、同年齢の従業員は、本件救済申立時20名であり、このうち管理職が1名、上級職1級が11名、上級職2級が8名であったことが認められる。そうすると、本件救済申立時の格付をみても、上級職2級であったP3は格付が下位に属していたと認められる。 以上を併せると、P1、P2、P3は、平成8年4月において、昇格に遅れがあり、この格差のかなりの部分は昭和58年和解の後に生じたものと認めることができる。 ウP4の昇格格差についてP4に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-4)によれば、P4と- 54 -同学歴、同卒年、同年入社、同年齢の従業員は、本件救済申立時9名であり、このうち管理職が1名、上級職1級が5名、上級職2級が3名であることが認められる。この9名は、平成元年には、上級職2級が5名、上級職3級が4名であったことが認められ(甲1)、平成元年に上級職3級、本件救済申立時に上級職2級であったP4は、いずれもこれら9名の者の中で下位の格付であったことが認められる。 また、P4と同年の高卒入社者の昇格の経過を記載したとするP4作成の表(乙83)によれば、この表に記載されている11名の中で、P4は、他の者より、担当職1級の昇格では1年遅れ、上級職3級への昇格では1ないし3年遅れ、上級職2級への昇格では1ないし5年遅れていること、他の10名は平成2年から平成7年までの間に上級職1級に昇格したのに対しP4は本件救済申立時までに昇格をしていないことが認められる。この表については、P4と同年の高卒入社者の全員が記載されているとは認められず、P4自身もこの表が完全でないことを認めている(乙85)けれども、上記の傾向が一般的な傾向と全く異なるものであると認めるに足りる証拠はなく、P4が同期同学歴の者と比較して昇格が遅れている傾向を窺うことができる。 表が完全でないことを認めている(乙85)けれども、上記の傾向が一般的な傾向と全く異なるものであると認めるに足りる証拠はなく、P4が同期同学歴の者と比較して昇格が遅れている傾向を窺うことができる。 以上によれば、P4は、平成8年4月において、昇格に遅れがあったと認めることができる。 エP5、P7、P8、P9、P10、P11、P12(P5ら7名)の昇格格差について(ア)平成8年4月における格付等P5、P7、P8、P9、P10、P11、P12(P5ら7名)は、本件救済申立時に、いずれも、上級職3級であり、平成元年4月1日の時点では、P5、P7、P8、P12は上級職3級、P9、P10、P11は担当職1級であった(前提となる事実(6)オ、キからシまでの- 55 -各②、9ページ以下)。 P5に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-5)によれば、P5と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和39年から昭和49年までに入社した従業員22名の本件救済申立時の資格は、上級職1級1名、上級職2級3名、上級職3級17名(P5が含まれている。)、担当職1級1名であったこと、このうちP5(昭和39年入社)は22名中入社年が最も早いこと、上級職1級及び同2級の4名はP5より入社年が遅いこと、担当職1級の者はP5が入社した6年後の昭和45年入社であることが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この22名は、平成元年には、上級職2級1名、上級職3級14名(P5が含まれている。)、担当職1級7名であったことが認められる。 P7に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-7)によれば、P7と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和36年から昭和47年までに入社した従業員22名の本件救済申立時の資格は、上級職1級1名、上級職2級8名、上級職3級13名(P7が含まれている。)であったこ ば、P7と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和36年から昭和47年までに入社した従業員22名の本件救済申立時の資格は、上級職1級1名、上級職2級8名、上級職3級13名(P7が含まれている。)であったこと、このうちP7(昭和39年入社)は上級職3級の者の中で入社年が最も早い3人に入っていること、上級職1級及び同2級の9名のうち7名はP5より入社年が遅いことが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この22名は、平成元年には、上級職2級3名、上級職3級16名(P7が含まれている。)、担当職1級3名であったことが認められる。 P8に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-8)によれば、P8と同学歴、同卒年、同年入社、同年齢の従業員9名の本件救済申立時の資格は、上級職2級5名、上級職3級4名(P8が含まれいてる。)であったことが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この9名は、平成元年には全員が上級職3級であったことが認められる。 P9に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-9)によれば、P9- 56 -と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和40年から昭和48年までに入社した従業員13名の本件救済申立時の資格は、上級職2級6名、上級職3級6名(P9が含まれいてる。)、担当職1級1名であったこと、このうちP9(昭和40年入社)は上級職3級の者の中で入社年が最も早い2人に入っていること、上級職2級の6名はP9より入社年が遅いか同じかであること、担当職1級の者は昭和48年入社であることが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この13名は、平成元年には、上級職3級8名、担当職1級5名(P9が含まれている。)であったことが認められる。 P10に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-10)によれば、P10と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和39年から昭和49年ま 級8名、担当職1級5名(P9が含まれている。)であったことが認められる。 P10に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-10)によれば、P10と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和39年から昭和49年までに入社した従業員19名の本件救済申立時の資格は、上級職1級1名、上級職2級4名、上級職3級14名(P10が含まれている。)であったこと、このうちP10(昭和40年入社)は上級職3級の者の中で昭和39年入社の者に次いで入社年が早い2人に入っていること、上級職1級、同2級の5名は、いずれもP10より入社年が遅いことが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この19名は、平成元年には、上級職3級9名、担当職1級10名(P10が含まれている。)であったことが認められる。 P11及びP12に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-11)によれば、P11、P12と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和40年から昭和48年までに入社した従業員22名の本件救済申立時の資格は、上級職1級1名、上級職2級7名、上級職3級14名(P11、P12が含まれている。)であったこと、このうちP11及びP12(いずれも昭和40年入社)は上級職3級の者の中で入社年が最も早い4人に入っていること、上級職1級、同2級の8名はP11、P12より入社年- 57 -が遅いことが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この22名は、平成元年には、上級職3級11名、担当職1級11名(P11、P12が含まれている。)であったことが認められる。 以上によれば、P5ら7名は、本件救済申立時において、いずれも同学歴、同卒年、同年齢の者の中で、下位に格付されていたと認めることができる。 (イ)平成2年以降の昇格遅れの有無P5ら7名については、前記2(1)ア(36ページ)のとおり、平成元年和解をしてい 同学歴、同卒年、同年齢の者の中で、下位に格付されていたと認めることができる。 (イ)平成2年以降の昇格遅れの有無P5ら7名については、前記2(1)ア(36ページ)のとおり、平成元年和解をしているから、平成元年和解による格付は正当なものとして認めていたというべきであり、昇格の遅れは、平成2年以降だけが問題となる。 平成元年和解において、P5ら7名は、それぞれP5、P7、P8、P12平成元年上級職3級昇格P9昭和58年担当職1級昇格P10昭和59年担当職1級昇格P11昭和56年担当職1級昇格とする合意をしている(争いのない事実(4)、(6)、6ページ、9ページ以下)。なお、その後、P9は平成3年に、P10は平成4年に、P11は平成2年に、それぞれ上級職3級に昇格している(同)。 そうすると、P5、P7、P8、P12の4名は、平成元年に上級職3級に昇格し、同年における格付が上級職3級、在籍期間0年であることを、正当なものとして了解し、認めていたというべきである。また、P9、P10、P11の3名は、平成元年には、担当職1級の格付が相当であり、同年には上級職3級に昇格する資格を有していないこと、したがって、上級職3級への昇格が平成2年以降となることを、正当なものとして了解し、認めていたというべきである。 - 58 -ところで、上級職3級には最長在籍期間の定めはなく、一定期間が経過すれば当然に昇格をするわけではないけれども、「養成工昇格状況」(別表1-1)によれば、上級職3級昇格後、5年ないし8年で上級職2級に昇格していることが認められる(技能職での昇格状況を明らかにする証拠がないため、養成工の昇格状況を参考にせざるを得ない。)。 P5、P7、P8、P12は、平成元年4月1日に上級職3級に昇格しているから、平成8年4月の時点では る(技能職での昇格状況を明らかにする証拠がないため、養成工の昇格状況を参考にせざるを得ない。)。 P5、P7、P8、P12は、平成元年4月1日に上級職3級に昇格しているから、平成8年4月の時点では、上級職3級の在籍期間は7年になる。P9、P10、P11は、前記のとおり、それぞれ平成3年、平成4年、平成2年に上級職3級に昇格しているから、平成8年4月の時点では、上級職3級の在籍期間は、それぞれ5年、4年、6年である。 もっとも、前記のとおり、P9、P10、P11は、平成元年和解をしたことによって上級職3級への昇格が平成2年以降となることは了解したということができるが、了解しているのは平成2年に昇格することであって、昇格が平成3年以降になることまでも了解したものではないということもできる。しかし、P9、P10が平成2年に昇格したと仮定しても、上級職3級の在籍期間は、P11と同様に、6年である。 そうだとすると、前記のとおり、上級職3級昇格から上級職2級昇格までの在籍期間は、概ね5年ないし8年と認められるから、在籍期間が6年ないし7年であるP5ら7名が、平成8年に上級職2級に昇格しなかったとしても、特別の事情がない限り、これを直ちに不当に昇格が遅れているとはいえない。 加えて、前記(ア)において、P5ら7名について、個々の格付を検討したところによれば、P5ら7名については、いずれも、平成元年の格付において相対的に下位に位置づけられ、これが平成8年においても変わらない状況であるといえる。また、前記2(3)ア(イ)(52ページ)のとおり、平成2年以降は、参加人組合員と住重労組員との間で- 59 -昇格率に差違はないことが認められ、平成2年以降に昇格が遅れたことによって、平成8年における格付の差違が生じているといえるかどうかは疑問である。した 、参加人組合員と住重労組員との間で- 59 -昇格率に差違はないことが認められ、平成2年以降に昇格が遅れたことによって、平成8年における格付の差違が生じているといえるかどうかは疑問である。したがって、P5ら7名は、本件救済申立時において、下位に格付されていることが認められるが、この原因は平成元年以前に昇格が遅れ、平成元年の時点で格付に差があり、これがそのまま変わらないためである可能性が大きい。 以上によれば、P5ら7名は、平成2年以降、昇格の遅れがあったとみるのは疑問であり、平成2年以降に限れば、特別の事情がない限り、昇格格差があったとは認められないというべきである。したがって、P5ら7名は、平成8年4月1日において、昇格の格差があったとは認められないし、平成7年4月1日の昇格を求めているP5、P7、P8、P11、P12について、平成7年4月1日において昇格の格差があったとも認められない(特別の事情がないことは、後述する(2(4)キ、83ページ)。)。 オP6の昇格格差についてP6は、本件救済申立時に上級職3級であり、平成元年4月1日の時点では担当職1級であった(前提となる事実(6)カ②、9ページ)。 P6に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-6)によれば、P6と同学歴、同卒年、同年齢で、昭和39年から昭和49年までに入社した従業員14名の本件救済申立時の資格は、上級職1級2名、上級職2級3名、上級職3級9名(P6が含まれている。)であったこと、このうちP6(昭和39年入社)は上級職3級の者の中で入社年が最も早いこと、上級職1級、同2級の5名はP6より入社年が遅いことが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この14名は、平成元年には、上級職2級2名、上級職3級7名、担当職1級5名(P6が含まれている。)であったことが認め 2級の5名はP6より入社年が遅いことが認められる。また、証拠(甲1)によれば、この14名は、平成元年には、上級職2級2名、上級職3級7名、担当職1級5名(P6が含まれている。)であったことが認められる。 - 60 -ところで、P6は平成元年和解の対象となっておらず、昭和55年合意により昭和54年6月に担当職1級に昇格した後、平成2年に上級職3級に昇格している(前提となる事実(4)、(6)カ②、6ページ、9ページ)。これに対し、P6は、平成元年4月1日に上級職3級に昇格すべきであり、かつ、平成8年4月1日に上級職2級に昇格すべきであったとして、本件救済申立てをしている。証拠(乙99、123、137)及び弁論の全趣旨によれば、P6は、P10、P12らと同様に溶接職(技能職)であり、勤務場所は、P7、P9、P10と同様に追浜造船所内業一課である。 以上から考えると、P6は、P10やP7、P12と同様に、平成元年4月1日に上級職3級に昇格するのであれば、これを正当な取扱いであるとして了解し、受け入れるものと認められ、その前提で、平成8年4月1日に上級職2級への昇格を求めているものである。そうすると、その主張は、平成元年和解により同年4月1日に上級職3級となったP10やP7、P12と同様ということができる。P6が平成元年の格付において相対的に下位に位置づけられ、これが平成8年においても変わらない状況であることも、P5ら7名と同様である。 そうであれば、P6については、P5ら7名と同様に、平成8年に上級職2級に昇格しなかったとしても、特別の事情がない限り、これを直ちに不当に昇格が遅れているとはいえない。また、P5ら7名と同様に、平成元年における格差が、平成8年まで変わらない状態であるといえる。 以上より、P6についても、P5ら7名と同様に、特 限り、これを直ちに不当に昇格が遅れているとはいえない。また、P5ら7名と同様に、平成元年における格差が、平成8年まで変わらない状態であるといえる。 以上より、P6についても、P5ら7名と同様に、特別の事情がない限り、平成8年4月1日において、昇格の格差があったと認めることはできない。 (4)格差に合理的理由がないかどうか(能力の同等性)(争点(2)エ)について- 61 -ア昇格格差の全般的な傾向について(ア)参加人組合員の昇格の全般的な傾向前記2(3)イ(54ページ)のとおり、「養成工昇格状況」(別表1-1)によれば、P1、P2、P3は、この表に記載された36名中、住重労組員である3番のP29、8番のP30と並んで、最も昇格が遅れている。のみならず、同表中の他の参加人組合員7名も、P1、P2、P3と同様かそれよりやや早い程度の昇格経過であり、参加人組合員10名は全員が、住重労組員の中の一部の者とともに、昇格が最も遅い方に属している。また、同表の36名中15名(41.7%。)が上級職1級に昇格しているのに、上級職1級に昇格しているのは、すべて住重労組員であり、参加人組合員は誰ひとり上級職1級に昇格していない。 これに対して、住重労組員だけでみると、上級職1級への昇格率は、57.7%になる。 「救済申立時の資格状況」(別表2-1から2-11まで)をみると、この表に記載されている者の合計185名のうち、上位資格(別表2-1から2-4までについては上級職1級以上、その他については上級職2級以上)に昇格している者は66名(35.7%)であるのに、185名中24名(13.0%)を占める参加人組合員は、1人も上位資格に昇格していない。 「養成工昇格状況」や「救済申立時の資格状況」によれば、住重労組員でも長期にわたって昇格が遅い者や、平成8 、185名中24名(13.0%)を占める参加人組合員は、1人も上位資格に昇格していない。 「養成工昇格状況」や「救済申立時の資格状況」によれば、住重労組員でも長期にわたって昇格が遅い者や、平成8年4月の時点で下位資格に格付されている者は少なくなく、職能管理制度の下で昇格査定を行った結果であると考えられる。したがって、参加人組合員らも昇格査定の結果、昇格が遅れ、あるいは下位の資格のままにされている可能性があり、参加人組合員らに昇格格差があることだけでは、不利益取扱いがされていると推測することはできない。 - 62 -しかし、上記のとおり、参加人組合員は、昇格の過程をみると、どの時点でも、全員が、遅い方に属し、上級職1級には誰ひとり昇格せず、平成8年4月の時点では全員が下位の資格に位置づけられているのであって、こうした状況がすべて昇格査定、すなわち能力の差に基づく結果であるというのは不自然といわざるを得ない。参加人組合員についても、能力の差によって格差が生じている面があることは否定できないにしても、参加人組合員の昇格格差については、参加人組合員であることを理由とする昇格の遅れや格差があるのではないかという疑いを払拭することができない。 (イ)出勤率について原告は、参加人組合員が全般的に昇格が遅れている点に関して、参加人組合員は出勤率が低い者が多いため、参加人組合員の評価が低くなり、昇格が遅れている原因となっているかのような主張をし、本件救済申立手続において、P1ら12名を含む参加人組合員の出勤率が低いことを示すとする証拠(乙143から166まで)を提出している。確かに、証拠(乙159)によれば、平成6年4月1日から平成9年3月31日までの間(所定就業日数は728日)、住重労組員と参加人組合員とでは、出勤率平均(年休取得も欠勤とす 6まで)を提出している。確かに、証拠(乙159)によれば、平成6年4月1日から平成9年3月31日までの間(所定就業日数は728日)、住重労組員と参加人組合員とでは、出勤率平均(年休取得も欠勤とするもの)が93.3%と90.4%、年休取得日数が約41日と約58日などの差があることが認められる。 しかし、両組合員の出勤率の差は、主に年休の取得日数の差によることは明らかであり、年休取得を除くと、両組合員間の出勤率にはほとんど差がない。また、年休取得日数の差に、仕事に対する熱意や協力度など職務態度の違いが現れる場面があることは否定できないにしても、年休取得日数の差は年間6日弱にすぎず、この差が職務の成果や能力向上の差に直ちに結びつくとも考えがたいし、年休取得日数は、企画力、業- 63 -務知識、指導性等の能力とは基本的には関係するとはいえないから、年休取得を含む出勤率の差が昇格の差の主要な原因であるとするのは疑問であり、仮に、出勤率の差違が昇格の格差の唯一のあるいは主要な原因であるのであれば、そのような昇格査定自体に問題があるというべきである。 (ウ)参加人組合脱退者について証拠(乙30)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 いずれも昭和40年入社の技能職であるP6、P7、P8、P9、P11、P12は、昭和49年に3職階(現在の担当職2級に相当する。)に昇格した(P8、P9、P11は昭和55年合意により遡って昇格したものである。)。同人らと同様の入社年で、かつ技能職で当時は参加人組合員であったP15(昭和38年入社)とP14(昭和39年入社)は、同様に、昭和49年に3職階に昇格した(P14は昭和55年合意により遡って昇格したものである。)。4職階又は担当職1級へは、P6、P7が昭和54年に(いずれも昭和55年合意によるも 年入社)は、同様に、昭和49年に3職階に昇格した(P14は昭和55年合意により遡って昇格したものである。)。4職階又は担当職1級へは、P6、P7が昭和54年に(いずれも昭和55年合意によるもの)、P12は昭和55年に(昭和55年合意によるもの)、P11は昭和56年に、P8は昭和57年に、P9は昭和58年に、それぞれ昇格した。P15とP14も上記の者の中では昇格が遅いP8、P9と同様に、それぞれ昭和58年と昭和57年に担当職1級に昇格した。ところが、P14は、昭和60年に参加人組合を脱退すると、翌年の昭和61年に上級職3級に昇格し(担当職1級の在籍期間は4年である。)、平成3年に上級職2級に昇格した(上級職3級の在籍期間は5年である。)。P15は、昭和63年に参加人組合を脱退すると、翌年の平成元年に上級職3級に昇格し、平成7年に上級職2級に昇格した。 以上の昇格の経過をみると、上記の者の中でも昇格が相対的に遅かったP14、P15は、参加人組合を脱退した直後に昇格し、その後は、- 64 -上記の者の中で昇格が最も早くなっている。この2名の昇格が早くなったことについて、この時期に能力が急激かつ飛躍的に上昇した事実を認めるに足りる証拠はなく、参加人組合を脱退したことにより昇格が早くなったのではないかという疑いを拭えない。 (エ)以上によれば、参加人組合に所属していることが昇格の遅れに関係している傾向がみられるといわざるを得ず、参加人組合員の個々の昇格についても、参加人組合に所属していることが影響している疑いを否定することができない。 イ上級職1級に求められる職能資格要件P1、P2、P3、P4は、いずれも上級職1級の職能資格要件を充足しており、上級職1級に昇格した者と能力は同等であると主張している。 そこで、まず、上級職1級の資格要件 職1級に求められる職能資格要件P1、P2、P3、P4は、いずれも上級職1級の職能資格要件を充足しており、上級職1級に昇格した者と能力は同等であると主張している。 そこで、まず、上級職1級の資格要件を充足するのに、現実に求められる実績、能力はどのようなものかを検討する。 P1、P2、P3、P4が属している事務技術職においては、上級職1級の資格要件は、前記2(2)ア(エ)(43ページ)のとおり、「部レベルの観点にたち、高度の企画的又はまとめ業務を担当」「広い視野と的確な判断・洞察力をもち」「高度な理論的知識を身につけ」「関係先と高度な接渉連携ができ」「下位資格者に高いレベルの育成をし」「使命感があり・・すすんで責任をとる」など、多方面に高度の能力を要求され、さらに、前記2(2)ウ(48ページ)のとおり、P27は陳述書(甲2の2)において、具体的な評価要素として「課の方針策定に参画又は影響を及ぼし」「自らの課題を提起、具体的な解決案を作成でき」「部、課の年度方針、課題等の作成をし」「将来を見通した的確な方向付けができ」「知識水準はトップクラス」「部の業務内容全般を概ね把握し、課内の業務内容について熟知」「常に新しい知識・技術を学び」「日常的に関係部門との連携、調整をし業務を遂行」「業務の振り分け、人の采配ができ- 65 -る」「担当業務は完璧にこなし、社内でもトップクラスのスピード」などと定められていると述べている。 しかし、これらの要件は、非管理職では最上位の資格とはいえ、管理職ではない者に求められる資格としては、余りに高度で完璧な能力を要求するものという印象をもたざるを得ない。文言どおりの能力は、ある程度地位の高い管理職に求められる要件としても通用するような内容のように思われる。 ところが、前記2(3)ア(ウ)(54ページ)のとおり るものという印象をもたざるを得ない。文言どおりの能力は、ある程度地位の高い管理職に求められる要件としても通用するような内容のように思われる。 ところが、前記2(3)ア(ウ)(54ページ)のとおり、船殻設計等を担当していた養成工では、住重労組員をみると60%近くの者が上級職1級に昇格し、全体でみても、毎年6%前後が上級職1級に昇格し、少なくとも全体の30ないし40%程度は最終的には上級職1級に昇格していると推測される。また、前記2(2)ア(オ)(45ページ)のとおり、必要な要件を定めた5項目すべてを充たさなければ上位資格要件が充足したことにならないが、5項目すべてが「○」である従業員が全体の6%になるには、各項目について、かなり高い割合で「○」を付けることが必要になる(仮に、各項目について「○」が1、2割程度であるなら、1項目が「○」の者は他の4項目もほとんど「○」であり、大部分の者は「○」が全くないか1個程度ということになる。このような状態なのであれば、各項目ごとに客観性を持たせた評価をしているといっても、全体的に能力があるか否かをみて昇格者を決定しているのと変わらないことになる。)。 以上からすれば、上級事務技術職1級の要件は、実際には、文言上定められている内容の高度さにかかわらず、かなり緩やかに運用されていたと考えざるを得ず、少なくとも、P1、P2、P3が所属している職場における事務技術職の養成工においては、上級職2級に属している者であって、平均的水準を超える能力を有していれば、上級職1級の資格要件を充足するとして扱われていたものと推測される。 - 66 -ウP1について(ア)P1の能力証拠(乙65から67まで、171、172、218、219、丙65)及び弁論の全趣旨によれば、P1の平成8年4月当時の能力に関して、次の 測される。 - 66 -ウP1について(ア)P1の能力証拠(乙65から67まで、171、172、218、219、丙65)及び弁論の全趣旨によれば、P1の平成8年4月当時の能力に関して、次の事実が認められる。 aP1は、当時、鉄構・機器事業本部製造本部設計部橋鉄設計グループに所属し、橋梁設計のうち、材料(主として鋼材)を所定の形状に切断、組立、溶接するために必要な情報を指示図という図面に表して後の工程に送る「原寸業務」に従事していた。同業務は、各橋梁ごとに製番リーダー(製番とは、原告が受注ごとに各橋梁に付けた原告社内における番号のことである。)が置かれ、そのもとに1ないし3名の補助者がついて作業を行っていた。 bP1は、平成2年に上級職2級に昇格したが、それ以前から、コンピュータ化に対応した原寸作業におけるリーダーを務めるようになり、遅くとも平成2年ころには、上級職2級に求められる能力を十分有するに至っていた。上級職2級に昇格後、平成8年に至るまでの6年の間も、橋梁の原寸業務に従事し、製番リーダーを担当し、難しい橋梁を担当するなど、困難な作業に従事し、現場に評価されていた。P1の重大なミスによって原告が重大な損害を受けたり、P1の職務態度に問題があったなどの事実はない。 cP1は、業務に関し意見を具申する能力はあり、原告内の各部門が関係するプロジェクトチームに入って対応していたし、担当業務の知識は高い水準であった。業務遂行に当たっては、他部門との連絡、調整、協議を十分に行い業務を進めていた。また、後輩には積極的な指導をしていた。定時に仕事を終えるのが通常であったが、必要な場合には残業も行っていた。 - 67 -以上の各事実によれば、P1は、平成8年4月当時、P1が所属する職場内の上級職2級の従業員の中で、平均的水準を超 定時に仕事を終えるのが通常であったが、必要な場合には残業も行っていた。 - 67 -以上の各事実によれば、P1は、平成8年4月当時、P1が所属する職場内の上級職2級の従業員の中で、平均的水準を超えた能力を有していたと認められる。 (イ)原告の主張等についてこれに対し、原告は、P1が上級職1級の資格要件を全く充足していないと主張し、当時のP1の上司(課長)であったP31は、陳述書(乙171から173まで)で、P1は製番リーダーを拒否した、P1が担当した原寸作業に誤りがあり多大な手直し時間を要した、キャダム操作が遅い、鈑桁・箱桁の原寸システムの入力データ作成ができない、グループリーダーを進んで引き受ける積極性、責任感の強さがない、などと述べる。また、P27は、陳述書及び中央労働委員会における尋問(甲2の2から5まで、3)において、P1は、課方針策定に参画せず、他業務には関心がなく、担当業務には精通し、課全体の業務も概ね把握していたが、トップクラスではなく、新しい技術、知識を習得する姿勢はなく、業務のスピードは遅く、連携調整はできていないに等しく、自ら積極的に指導することはなく、責任感もないなどとし、上級職1級の資格要件を全く充たさないばかりか、P1の当時の職能資格である上級職2級の能力も、さらに上級職3級の能力すらなかったように述べる。 確かに、P1に対して、上級事務技術職1級の資格要件として定められている各能力要件(前記2(2)ア(エ)、43ページ)を厳格に適用すると、これを充たしているとはいいがたいし、P27がこの資格要件を具体化した要件であると述べる「課の方針策定に参画」したり、「自らの課題を提起、具体的な解決案を作成」した事実は認められないし、「知識水準がトップクラス」「担当業務は社内でトップクラスのスピード」とも認められ 件であると述べる「課の方針策定に参画」したり、「自らの課題を提起、具体的な解決案を作成」した事実は認められないし、「知識水準がトップクラス」「担当業務は社内でトップクラスのスピード」とも認められず、「業務の振り分け、人の采配」などをしていた事実も認められない。しかし、P1は、前記のとおり、橋梁の原寸業- 68 -務について、実際の作業に用いる現図の作成をチームで行うという現場の技術的業務を行っていたのであり、その業務上、課の方針策定に参画したり、業務の振分けをしたりする機会があるとは考えられないから、課の方針策定や人の采配をしていなかったとしても、それがP1の能力不足を意味するものとはいえないし、そもそも前記のとおり、上記各要件が文言どおりに厳格に適用され、運用されていたかどうかは極めて疑問である。 また、P1が製番リーダーを拒否した事実を認めるに足りる証拠はないし、仕事上のミスをし、手直しが必要になったことがあると認められるが、P1が通常の仕事で生じる仕損の範囲をはるかに超えるような、重大な損害を生じさせたことは認められない。P1は、キャダム操作はでき、その操作の遅さがP1の能力に重大な影響を及ぼしているとは認められない。鈑桁・箱桁の原寸システムの入力データ作成ができないという点も同様である。仕事に対する積極性、責任感は、かなり主観的な判断であり、前記のとおり、P1は原寸作業のリーダーを務め、後輩の指導をし、現場から評価されていたのであるから、進んで残業をしないなどの面があったとしても、このことから積極性や責任感に欠けると決めつけるのは疑問であり、P1について積極性や責任感を否定するP31の陳述書の記載は採用できない。 P27は、前記のとおり、前記陳述書等において、P1の能力が低い旨を繰り返し述べるけれども、P27は、平成8 のは疑問であり、P1について積極性や責任感を否定するP31の陳述書の記載は採用できない。 P27は、前記のとおり、前記陳述書等において、P1の能力が低い旨を繰り返し述べるけれども、P27は、平成8年当時、横須賀造船所人事グループ(当時の名称は追浜造船所総務部人事課)に配属され、現在は同グループ課長であって、直接、P1の上司あるいは同僚として業務に従事していたわけではないから、その陳述等の内容は、伝聞あるいは資料等に基づくものでしかなく、信用性には疑問がある。陳述等の内容をみても、P27は、P1が上級職2級昇格当時は能力を具備してい- 69 -たが、その後の技術進歩についていけず、現在は上級職2級や同3級の能力もないかのように述べているが、専門職であるP1が、数年で2段階も下位の能力しかなくなるということは考え難いし(例えば、原寸業務では、図面から立体形状を想像する能力が高いことが必要であるが、このような能力を有することは、技術の進歩の有無にかかわらないと考えられる。)、指導性や業務態度など、技術進歩と無関係な能力評定もある上、P31が、陳述書(乙171、172)において、P1は上級職2級が相当と述べていることに照らしても、P1は現在、上級職2級の能力を有することは明らかであり、これをないと述べるP27の陳述書の記載は信用性が疑わしい。P27は、陳述書(甲2の3)において、キャダムの基本操作を習得しているP1に対して「線を1本引く程度の極めて初歩的なレベル」と述べたり、上級職2級に格付されているP1、P2、P3を「およそ比べものにならない箸にも棒にもかからない能力」などと極端な表現を用いて低い評価をしていることも併せると、P27は、ことさら、P1、P2、P3の能力を誇張して低く述べていることが明らかである。以上から、P27の陳述 箸にも棒にもかからない能力」などと極端な表現を用いて低い評価をしていることも併せると、P27は、ことさら、P1、P2、P3の能力を誇張して低く述べていることが明らかである。以上から、P27の陳述書等は採用することができないというべきである。 (ウ)他の従業員らとの比較等P27は、陳述書(甲2の3)において、平成8年に上級職1級に昇格した者で、P1が比較対象として挙げたP16及びP17は企画力、業務知識、業務遂行力等の各能力が高く、多くの実績があることを挙げ、P1とは能力が全く異なる旨を述べる。しかし、P16、P17の能力、評価に関して、これを客観的に明らかにする証拠は全く提出されていない上、P27が挙げるP16及びP17の実績がすべて個人によるものであるかどうか、P16及びP17の能力が上級職1級に昇格した者の平均的な能力であるのか、上級職1級に昇格しなかった者の平均的な能- 70 -力と大きく異なるものであるのかなどを明らかにする証拠もない。P27の上記陳述書(甲2の3)が、極端な表現をしてP1らの能力をことさら低く述べるものであって、信用できないことからすれば、P16及びP17に関するP27の記述も信用性には疑問がある。以上によれば、P27の上記陳述書からは、平成8年に上級職1級に昇格した他の従業員とP1の能力に明確な差があったことを認めることはできない。 他方、「養成工昇格状況」(別表1-1)及びP1に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-1)によれば、同期同学歴同年齢で養成工であったP25も、平成8年に上級職2級であったことが認められる。しかし、証拠(乙45、218、丙47)によれば、同人は、職場を頻繁に変わり、設計や原寸業務に定着していなかったこと、上司に対して激高し問題を起こしたことがあるなどの事実が認められる。ま められる。しかし、証拠(乙45、218、丙47)によれば、同人は、職場を頻繁に変わり、設計や原寸業務に定着していなかったこと、上司に対して激高し問題を起こしたことがあるなどの事実が認められる。また、P1に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-1)に記載されている者のうち、平成8年の時点で上級職2級の他の者5名(A6、A7、A8、A11、A12)は、いずれも事務技術職ではなく、技能職であることが認められる。事務技術職と技能職の昇格が全く同様に行われているかどうかは不明なところがあり(乙217)、これら技能職5名を事務技術職であるP1と比較することには、疑問がある。そうすると、P25や上記5名が平成8年の時点で上級職2級であったことをもって、P1が上級職1級に昇格していないことに合理性があることの根拠にはならないというべきである。 (エ)以上のとおり、参加人組合員の昇格については参加人組合に所属していることが影響をしていることを否定できず、P1の能力を公平かつ客観的にみて昇格の決定がされてきたかどうかは疑問であり、また、P1の所属する職場では、上級職2級の事務技術職として平均的水準を超える能力を有していれば、上級職1級の資格要件を充足するとされていた- 71 -と推測されるところ、P1は平均的水準以上の能力を有していると認められるのであるから、P1は、上級職1級の資格要件を有していたと認めるのが相当である。 エP2について(ア)P2の能力証拠(乙69から73まで、174、175、224、225、丙66)及び弁論の全趣旨によれば、P2の平成8年4月当時の能力に関して、次の事実が認められる。 aP2は、当時、開発設計室船殻設計グループに所属し、船殻詳細設計のうち、船殻の各部品を作成するための部品表と工作図を比較して部品の漏れの 平成8年4月当時の能力に関して、次の事実が認められる。 aP2は、当時、開発設計室船殻設計グループに所属し、船殻詳細設計のうち、船殻の各部品を作成するための部品表と工作図を比較して部品の漏れのチェックと数量確認を主に行っていた。 bP2は、昭和40年代から、船殻構造の部品表担当になり、船体の図面から部品表を作成するなどの業務に従事してきた。平成元年に上級職2級に昇格し、遅くとも平成元年ころには、上級職2級に求められる能力を十分有するに至っていた。その後、平成8年に至るまで7年の間、上記のとおり、部品表と工作図の比較、確認等の業務に従事してきた。この間、P2の重大なミスによって原告が重大な損害を受けたり、職務態度に問題があったなどの事実は認められない。 cP2は、課の方針は理解し、担当業務に関する知識は十分にあり、造船原図の間違いを指摘し、修正を求めたり、注意を促すなど、再発防止策を提案することがあり、生産性向上に寄与していた。手書きによる作業はできたが、これまで、キャダム(コンピュータ支援設計システム)を必要としない業務を担当させられてきたこともあって、その習得が遅れ、完全に使いこなすまでに至っていなかった。しかし、一定範囲では使用することはできるようになり、現に、一部部材の作成やロンジ外注資料作成などの必要部分では、キャダムを使用してい- 72 -た。他部門との連絡、調整、協議は十分に行い業務を進め、後輩には積極的な指導をしていた。残業はしなかったが、P2の作業は単独作業であり、残業をしなかったことにより、作業が遅れたということはなかった。 以上の各事実によれば、P2は、平成8年4月当時、P2が所属する職場内の上級職2級の従業員の中で、平均的水準を超えた能力を有していたと認められる。 (イ)原告の主張等についてこれに対 なかった。 以上の各事実によれば、P2は、平成8年4月当時、P2が所属する職場内の上級職2級の従業員の中で、平均的水準を超えた能力を有していたと認められる。 (イ)原告の主張等についてこれに対し、原告は、P2が上級職1級の資格要件を全く充足していないと主張し、当時のP2の上司(課長)であったP32は、陳述書等(乙174、175、224、225)において、P2はキャダム操作が大幅に劣り仕事の範囲が狭まっている、ビルトアップロンジ(船側縦通材)の外注資料作成を指示したが拒否した、仕事が繁忙でも残業しない、などと述べる。また、P27は、陳述書や中央労働委員会の尋問(甲2の2から5まで、3)において、P2は、課の方針を的確に理解できず、課方針策定に参画せず、キャダムが使えないため限られた業務しか担当させられず、担当業務には標準的な知識はあるが、新しい技術、知識を習得する姿勢はなく、限られた業務のスピードも速くなく、人の采配や関係部門との折衝連携はできず、高度な知識がないため部下の指導は全くできず、こつこつと担当業務をこなすだけで、残業に協力的でなかったなどと述べ、P1同様、当時の職能資格である上級職2級の能力も、さらに上級職3級の能力すらなかったように述べる。 P2も、P1と同様に、上級事務技術職1級の資格要件として定められれている「課の方針策定」「人の采配」等の各要件等を充足しているとはいい難いけれども、P2は、前記のとおり、部品表と工作図の比較、チェックが担当業務であり、課の方針策定や業務の振り分けをする機会- 73 -があるとは考えられず、方針決定や業務の振り分けをしていないとしても、それがP2の能力不足を意味するものとはいえない。上記各要件が文言どおりに厳格に適用され、運用されていたかどうかが疑問であることは、前記のとおりで ず、方針決定や業務の振り分けをしていないとしても、それがP2の能力不足を意味するものとはいえない。上記各要件が文言どおりに厳格に適用され、運用されていたかどうかが疑問であることは、前記のとおりである。 また、P2は確かにキャダムを十分に使いこなすという状態ではなかったにしても、使用が全くできないというわけではなかったし、P2がキャダム操作を必要としない業務を担当させられていたこともキャダム操作が十分にできない理由の一つであり、キャダム操作に劣る点を厳しく評価するのは相当でない。証拠(甲2の4、乙65、67、172、 丙80)によれば、上級職1級に昇格しているP33はP2、P3と同じ職場にいながらキャダム操作ができないことが認められ、そうすると、キャダム操作に劣っていることは、上級職1級の資格要件を欠く決定的な理由にならないはずである。ビルトアップロンジの外注資料作成を断ったのは、平成8年10月であって、平成8年の昇格についての評価をする期間の後のことであり、しかも、P2がP34係長(技師)との話合いで作成をしないことになっていた作業について、後にP35係長から指示され、これを断ったものであり、P2が技術がないため、あるいは理由なく断ったものではない(乙72)。 P27は、前記陳述書において、P2についても、能力が低い旨を繰り返し述べるけれども、同人はP2の上司や同僚ではなく陳述等は伝聞あるいは資料に基づくものであり、信用性に疑問があること、上級職2級や同3級の能力もないように述べるけれども、P2も最低でも上級職2級の能力があったことは間違いないこと、P2についても「箸にも棒にもかからない能力」などと極端な表現を使用し、能力が低いことを誇張していることが窺えることは、P1の場合と同様であり、P27の陳述書等を採用することはで は間違いないこと、P2についても「箸にも棒にもかからない能力」などと極端な表現を使用し、能力が低いことを誇張していることが窺えることは、P1の場合と同様であり、P27の陳述書等を採用することはできない。 - 74 -(ウ)他の従業員らとの比較等P27は、陳述書(甲2の3)において、平成6年又は平成7年に上級職1級に昇格した者で、P2が比較対象として挙げたP18、P19は、企画力、業務知識、業務遂行能力等の各能力が高く、多くの実績があることを挙げ、P2とは能力が全く異なる旨述べる。しかし、評価を客観的に明らかにする証拠は提出されず、P18、P19の実績がすべて個人によるものであるか、同人らの能力が上級職1級の平均的な能力であるか等を明らかにする証拠もなく、また、P27の上記陳述書が極端な記載があり信用性に疑問があるなど、前記(2(4)ウ(ウ)、71ページ)のP16、P17の場合と同様であり、P27の上記陳述書によっても、上級職1級に昇格した他の従業員とP2の能力に明確な差があったことを認めることはできない。 他方、「養成工昇格状況」(別表1-1)及びP2に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-2)に証拠(乙45、218)を併せると、同期同学歴で養成工であったP28、P29、P36も、平成8年に上級職2級であったことが認められる。しかし、証拠(乙45、218、丙49、50)によれば、P28は病気で身体上無理ができなかったこと、班長就任を断り職場が変わったことなどの事実があり、P29は、仕事が独善的で、ミスが続くなどの事実があり、P36は、じん肺で長期間入院していたことなどの事実が認められる。また、P2に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-2)に記載されている者のうち、上級職2級である他の14名(B6、B9からB21まで)は、いず ん肺で長期間入院していたことなどの事実が認められる。また、P2に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-2)に記載されている者のうち、上級職2級である他の14名(B6、B9からB21まで)は、いずれも事務技術職ではなく技能職であることが認められ、これらの者を事務技術職であるP2と比較することに疑問があることは、P1の場合と同様である。そうすると、P28、P29、P36や上記14名が平成8年の時点で上級職2級であったことをもって、P1が上級職1級に昇格して- 75 -いないことに合理性があることの根拠にはならないというべきである。 (エ)以上のとおり、P1と同様、P2の能力を公平かつ客観的にみて昇格の決定がされてきたかどうかは疑問であり、また、P2の所属する職場では、上級職2級の事務技術職として平均的水準を超える能力を有していれば、上級職1級の資格要件を充足するとされていたと推測されるところ、P2は平均的水準以上の能力を有していると認められるのであるから、P2は、上級職1級の資格要件を有していたと認めるのが相当である。 オP3について(ア)P3の能力証拠(乙74、76、77、174、175、224、225、丙67)及び弁論の全趣旨によれば、P3の平成8年4月当時の能力に関し、次の事実が認められる。 aP3は、当時、開発設計室船殻設計グループに所属し、船殻設計のうち、工作図作成作業、一部の補機台(エンジン等の機械を船体に据え付けるための台)の作図、補機台設計の外注窓口の仕事を行っていた。 bP3は、一貫して船殻設計の仕事に従事し、とくに補機台の作図等、補機台に関する仕事を長く続けてきた。平成2年に上級職2級に昇格し、遅くともそのころには、上級職2級の資格に求められる能力を有するに至っていた。その後、平成8年までの6年間、上記 に補機台の作図等、補機台に関する仕事を長く続けてきた。平成2年に上級職2級に昇格し、遅くともそのころには、上級職2級の資格に求められる能力を有するに至っていた。その後、平成8年までの6年間、上記業務に従事していた。この間、P3の重大なミスによって原告が重大な損害を受けたり、職務態度に問題があったなどの事実は認められない。 cP3は、課の方針を理解し、担当業務に関する知識は十分であった。 とくに、専門性が高く経験や長年の勘が必要な補機台に関する能力は高く、各種の補機類に対応する補機台の難易度、出図時期、業者の能- 76 -力等を勘案して、外注業者に手配をした。また、多種多様な補機台図の寸法チェック、使用材料の適否、強度や過不足などのチェックを行い、他部門との折衝も行っていた。キャダムを必要とする仕事はほとんど担当させられなかったこともあり、キャダムを完全に使いこなすまでには至っていないが、使用することはでき、現に、必要に応じて使用して図面を修正することがあった。強度計算を自ら行い、詳細な指示がなくても工作図を作図していた。後輩に対しては、とくに補機台に関する仕事を中心に、積極的に指導をしていた。残業は行わなかったが、これにより原告に重大な不都合が生じた事実はない。 以上の各事実によれば、P3は、平成8年4月当時、P3が所属する職場内の上級職2級の従業員の中で、平均的水準を超えた能力を有していたと認められる。 (イ)原告の主張等についてこれに対し、原告は、P3が上級職1級の資格要件を全く充足していないと主張し、当時のP3の上司(課長)であったP32は、陳述書等(乙174、175、224、225)において、P3はキャダム操作に劣り速度が遅い、強度計算の基本的な知識が不足している、工作図の作図は指示を受けないとできない、補機台に関して たP32は、陳述書等(乙174、175、224、225)において、P3はキャダム操作に劣り速度が遅い、強度計算の基本的な知識が不足している、工作図の作図は指示を受けないとできない、補機台に関しても船主や船級協会の指摘への対応ができない、などと述べる。また、P27は、陳述書や中央労働委員会の尋問(甲2の2から5まで、3)において、P3は、課の方針を的確に理解できず、課の方針策定に参画せず、キャダムが使えないなどのため限られた業務しか担当させられず、担当業務には標準的な知識、周辺業務の知識はあるが、トップレベルではなく、新しい技術、知識を習得する姿勢はなく、担当業務の能力も通常で、関係部門との連携調整はできず、高度な知識がないため部下の指導は全くできず、指示に従いきちんと担当業務をこなすだけであったなどと述べ、P1、P2- 77 -と同様、当時の職能資格である上級職2級の能力も、さらに上級職3級の能力すらなかったように述べる。 P3も、P1、P2と同様に、上級事務技術職1級の資格要件として定められている「課の方針策定」「人の采配」等の各要件等を充足しているとはいい難いけれども、P3は、前記のとおり、工作図作成作業、補機台の作図、補機台設計の外注窓口が担当業務であり、課の方針策定や業務の振分けをする機会があるとは考えられず、方針策定や業務の振り分けをしていなかったとしても、それがP3の能力不足を意味するものとはいえない。上記各要件が文言どおりに厳格に適用され、運用されていたかどうかが疑問であることは、前記のとおりである。 また、P3は確かにキャダム操作を完全にはできず、速度も遅かったことが認められるが、そうだとしてもキャダムの使用は可能であり、P2と同様に、P3がキャダム操作を必要としない業務の担当であったこともキャダム操作が十分に ャダム操作を完全にはできず、速度も遅かったことが認められるが、そうだとしてもキャダムの使用は可能であり、P2と同様に、P3がキャダム操作を必要としない業務の担当であったこともキャダム操作が十分にできない理由の一つであり、キャダム操作に劣る点を厳しく評価するのは相当でない。上級職1級に昇格しているP33はP2、P3と同じ職場にいながらキャダム操作ができないのであり、キャダム操作に劣っていることが上級職1級の資格要件を欠く決定的な理由にならないことも前記のとおりである。P3が強度計算を間違えたことがあることは認められる(乙174、175、224、225)が、頻繁に間違えている事実や、強度計算の理解ができていないような事実は認められず、むしろ、P3は強度計算を自ら行っている事実が認められる(乙76、77)。工作図も指示を受けないでも作成しているのは、上記のとおりである。船級協会の指摘も、見解の違いによるような指摘もあるし、不具合に対しては改正図を書いて対応をした事実もあり(乙225)、この点が上級職1級の資格要件に重大な意味を持つとは認められない。 - 78 -P27は、前記陳述書等において、P3についても、能力が低い旨を繰り返し述べるけれども、同人はP3の上司や同僚ではなく陳述等は伝聞あるいは資料に基づくものであり、信用性に疑問があること、上級職2級や同3級の能力もないように述べるけれども、P3も最低でも上級職2級の能力があったことは間違いないこと、P3についても「箸にも棒にもかからない能力」などと極端な表現を使用し、能力が低いことを誇張していることが窺えることは、P1、P2の場合と同様であり、P27の陳述書等を採用することはできない。 (ウ)他の従業員らとの比較等P27は、陳述書(甲2の3)において、P3が比較対象として挙げた していることが窺えることは、P1、P2の場合と同様であり、P27の陳述書等を採用することはできない。 (ウ)他の従業員らとの比較等P27は、陳述書(甲2の3)において、P3が比較対象として挙げたP16やP19が、能力が高く多くの実績があることを挙げ、P3とは能力が全く異なる旨述べるが、これが信用できないことは前記(2(4)ウ(ウ)、エ(ウ)、71ページ、75ページ)のとおりであり、上級職1級に昇格した他の従業員とP3の能力に明確な差があったことを認めることはできない。 他方、「養成工昇格状況」(別表1-1)及びP3に係る「申立時の昇格状況」(別表2-3)によれば、同期同学歴で養成工であったP30、P37も、平成8年に上級職2級であったことが認められる。しかし、証拠(乙45、218、丙51、52)によれば、P30は病気で入院するなど欠勤が多かったこと、P37は仕事上のミスが多いことが認められる。また、P3に係る「救済申立時の資格状況」(別表2-3)に記載がある上級職2級である他の5名(C15からC18まで、C20)は、いずれも技能職であることが認められ、これらの者を事務技術職であるP3と比較することに疑問があることは、P1、P2の場合と同様である。そうすると、P30、P37や上記5名が平成8年の時点で上級職2級であったことをもって、P3が上級職1級に昇格して- 79 -いないことに合理性があることの根拠にはならないというべきである。 (エ)以上のとおり、P1、P2と同様、P3の能力を公平かつ客観的にみて昇格の決定がされてきたかどうかは疑問であり、また、P3の所属する職場では、上級職2級の事務技術職として平均的水準を超える能力を有していれば、上級職1級の資格要件を充足するとされていたと推測されるところ、P3は平均的水準以上の能力を有 あり、また、P3の所属する職場では、上級職2級の事務技術職として平均的水準を超える能力を有していれば、上級職1級の資格要件を充足するとされていたと推測されるところ、P3は平均的水準以上の能力を有していると認められるのであるから、P3は、上級職1級の資格要件を有していたと認めるのが相当である。 カP4について(ア)P4の能力証拠(乙29、83、85、86、176、177、丙68)及び弁論の全趣旨によれば、P4の平成8年4月当時の能力に関し、次の事実が認められる。 aP4は、当時、開発設計室機装設計グループに所属し、船殻艤装のうち、配管関係の諸製作図や管一品図、管受け台の作図や、部品表、データ等の帳票の作成を行っていた。 bP4は、昭和55年合意により昭和54年6月に遡って担当職1級に昇格し、昭和61年に上級職3級に昇格し、平成2年に参加人組合がP4の上級職2級昇格要求を行い、翌平成3年に上級職2級に昇格した。P4は、その後、平成8年まで、上記職務に従事し、番船担当(各船ごとの作業の責任者)を務めることもあった。平成3年以降、参加人組合は、平成7年昇格、平成8年昇格を含め、P4の昇格を要求してはいなかった。平成8年1月、P4は、不注意のために、配管関係の部品全部の出図を忘れるという大きなミスを犯し、製造部門に大きな損害を発生させた。原告において、出図を全部忘れるというのは、まれなことである。ただし、この件で、P4が処分を受けること- 80 -はなかった。 cP4は、部、課の方針を理解し、担当業務や周辺業務に関して標準的な知識を有し、意見具申もでき、キャダムを使いこなせ、後輩に指導をし、業務態度にも問題はなかった。ただ、番船担当では、実質的な責任者としての扱いを受けないことがあった。また、他の従業員に比べて残業は少なかっ し、意見具申もでき、キャダムを使いこなせ、後輩に指導をし、業務態度にも問題はなかった。ただ、番船担当では、実質的な責任者としての扱いを受けないことがあった。また、他の従業員に比べて残業は少なかった。 (イ)P4の上位資格要件充足について(ア)の事実によれば、P4は、平成8年4月の時点で、上級職2級としては平均的な水準を超える能力を有していたことが窺われる。 しかしながら、P4に関しては、平成2年に昇格した後、平成8年4月の昇格を含めて、参加人組合は昇格を要求しておらず、参加人組合もP4自身も、平成8年までの時点で、昇格に関して不利益な扱いを受けているという認識がなかったのではないかと想像できる。そして、上記のとおり、平成8年1月に部品全部の出図を忘れるというかなり大きなミスをしていることも併せると、原告がP4を平成8年4月1日に上級職1級への昇格をしなかったことに合理性がないとはいえない。 したがって、原告がP4を平成8年4月1日に昇格させなかったことは不当労働行為(不利益取扱い)ということはできない。 P4は、平成7年4月1日に上級職1級に昇格させなかったことが不当労働行為であると主張している。平成8年4月1日に昇格させなかったことが不当労働行為に該当しない以上、特別の事情がない限り、それより前である平成7年4月1日に昇格させなかったことも、不当労働行為に該当しないというべきである。上記のとおり、P4が大きなミスをしたのは平成7年4月1日の後であるけれども、結果的にみれば、平成7年4月1日の時点においても、P4は重大なミスをしないような能力を有するには至っていなかったということができるし、平成7年4月の- 81 -時点では、参加人組合もP4自身も、なおさら、昇格差別によって不利益な取扱いを受けているという認識がなかったと推測でき を有するには至っていなかったということができるし、平成7年4月の- 81 -時点では、参加人組合もP4自身も、なおさら、昇格差別によって不利益な取扱いを受けているという認識がなかったと推測できるから、結局、P4を平成7年4月1日に昇格させなかったことも、不当労働行為(不利益取扱い)に該当しないということができる。 キP5、P7、P8、P9、P10、P11、P12(P5ら7名)及びP6についてP5ら7名及びP6は、前記2(4)エ(イ)、オ(59ページ、61ページ)のとおり、昇格格差があったとは認められない。 仮に、誰から見ても飛び抜けて能力が高く、抜擢してでも昇格するのが当然であるというような特別な事情があるのにもかかわらず、昇格は通常の範囲内でやや遅いというのであれば、その昇格状況には合理性が疑われることがないわけではないけれども、証拠(乙88、102、110、115、120、127、134、丙69から76まで)によれば、P5ら7名及びP6は、その能力が標準的なものと認められるが、飛び抜けて能力が高いとまでは認められないから、P5ら7名及びP6が平成7年又は平成8年に昇格しなかったことに合理性が疑われる事情は認められない。 (5)不当労働行為意思(争点(2)オ)について前提となる事実(2)、(4)(5ページ、6ページ)のとおり、原告と参加人組合との間には、原告が合併した時以来紛争が続き、昇格差別を巡っても、救済申立てや訴訟が繰り返され、昭和55年合意で、原告は参加人組合員らを昇格させることを受け入れ、昭和58年和解では「原告は、参加人組合に不当労働行為との疑問を抱かせるような行為があったことに対し遺憾の意を表明する」旨を表明したが、その後も昇格格差を巡って原告と参加人組合間には紛争が続き、救済申立てがされ、原告は、平成元年でP 組合に不当労働行為との疑問を抱かせるような行為があったことに対し遺憾の意を表明する」旨を表明したが、その後も昇格格差を巡って原告と参加人組合間には紛争が続き、救済申立てがされ、原告は、平成元年でP5ら7名等を昇格させることを受け入れている。 以上の経緯に鑑みると、原告においては、昭和58年和解以前には、参加- 82 -人組合との間で紛争が続き、不当労働行為とみられるような行為がされ、昇格においては、参加人組合員に対して、参加人組合に所属していることを理由としているとみられる昇格の遅れがあったと認められる。昭和58年和解の後も、原告と参加人組合との間の紛争は続き、平成元年和解に至ったのであって、昭和58年和解の後も、参加人組合員の昇格に格差を付けられるという傾向は完全には是正されず、平成元年和解の前においても、参加人組合員に参加人組合に所属していることを理由としているとみられる昇格格差があったことが認められる。 前記(4)ア(ア)、(ウ)(63ページ、65ページ)のとおり、参加人組合員は、「養成工昇格状況」記載の36名の中で1人も上級職1級に昇格していなかったり、「救済申立時の資格状況」(別表2-1から2-11まで)に記載されている185名中で1人も上位資格に格付されていないことや、参加人組合を脱退した者がその直後に昇格し、その後の昇格も早いことなど、実際の原告の従業員の昇格状況をみても、参加人組合に所属していることを理由とする昇格の遅れや格差があることを否定することができない。 しかも、「養成工昇格状況」は平成8年に至るまでの昇格を示しているものであるから、参加人組合に所属していることが昇格に影響していると疑われる状況は、平成8年当時も存在していたということができる。 以上によれば、P1、P2、P3の平成8年4月1日の昇格に関しても、 ものであるから、参加人組合に所属していることが昇格に影響していると疑われる状況は、平成8年当時も存在していたということができる。 以上によれば、P1、P2、P3の平成8年4月1日の昇格に関しても、同人らが参加人組合に所属していることが原告による昇格評価に影響し、同人らは昇格候補者に選ばれず、昇格しなかったという結果につながったものと認めるのが相当である。 (6)まとめ以上のとおりであり、原告は、P1、P2、P3は上級職1級に昇格する資格要件を充たしていたが、同人らが参加人組合に所属することが影響し、平成8年4月1日に上級職1級に昇格させず、その結果昇格格差が生じてい- 83 -ることが認められ、これは不当労働行為(不利益取扱い)に該当する(P2を平成7年4月1日に上級職1級に昇格させなかったことについては、3で述べる。)。しかし、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12を平成7年4月1日又は平成8年4月1日に上級職1級(P4)又は同2級(P4を除く8名)に昇格させなかったことについては、不当労働行為(不利益取扱い)ということはできない。 争点(3)(救済方法)について労働委員会は、事案に応じた適切な是正措置を決定し命令する権限を有するのであるから、不当労働行為に対してどのような救済方法を命じるかは、労働委員会に裁量がある。 被告は、P1、P2、P3を平成8年4月1日に上級職1級に昇格させなかったことを不当労働行為とした上、事案を考慮して、P1、P2、P3を平成8年4月1日付けで上級職1級に昇格させたものと取り扱い、賃金差額(一時金差額を含む。)を支払うことと、昇格させなかったことが不当労働行為と認定されたこと等を記載した文書の交付をすること等を命じたが、付加金(遅延損害金)の支払、支配介入や不利益取扱いの一 金差額(一時金差額を含む。)を支払うことと、昇格させなかったことが不当労働行為と認定されたこと等を記載した文書の交付をすること等を命じたが、付加金(遅延損害金)の支払、支配介入や不利益取扱いの一般的な禁止、謝罪文(陳謝文)の掲示を命じる必要は認めないとして、これらの申立てを棄却した。昇格における不利益取扱いに対して、最も直接的な救済というべき昇格と賃金差額の支払を命じていること、謝罪文の掲示は認めなかったが、これと同旨の内容を記載した文書の交付を命じていることなどからすれば、参加人らの申立ての一部を棄却したことが裁量の逸脱、濫用であるとは認められない。 なお、参加人らは、P2を平成7年4月1日に上級職1級へ昇格させるように求めていたものであるけれども、前記のとおり、平成8年4月に昇格させなかったことを中心に審理されていたこともあり、平成7年4月において不利益取扱いがあったかどうかは必ずしも明らかでないこと、本件救済申立てが平成9年3月に行われたものであり、被告は本件救済申立ての約1年前である平成- 84 -8年4月1日の昇格は命じていることなどの事情を考えると、平成7年4月1日の昇格を命じなかったことが裁量の逸脱、濫用あるいは違法な命令であるとはいえない。 結論 以上によれば、本件命令はすべて適法であり、本件命令のうち、救済命令を発した部分が違法であるとしてその取消しを求める原告の請求、本件命令のうち申立てを却下又は棄却した部分を違法であるとしてその取消しを求める参加人らの請求は、いずれも理由がないから、すべて棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判長裁判官中西茂裁判官千葉俊之裁判官本多幸嗣 おり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判長裁判官中西茂 裁判官千葉俊之 裁判官本多幸嗣
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