平成13(行コ)47 固定資産評価審査決定取消、審査決定取消各請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成10年(行ウ)第93号、第219号)

裁判年月日・裁判所
平成13年8月29日 東京高等裁判所 租税
ファイル
hanrei-pdf-15533.txt

判決文本文11,715 文字)

主文 一原判決を次のとおり変更する。 1 控訴人が被控訴人Aに対し平成10年2月26日付けでした原判決添付別紙物件目録一及び二記載の各土地の固定資産課税台帳に登録された平成9年度の価格についての審査の申出に対する決定のうち、同目録一記載の土地の価格が229万6875円を超える部分、同目録二記載の土地の価格が946万3125円を超える部分について審査の申出を棄却した部分を取り消す。 2 控訴人が被控訴人Bに対し平成10年2月26日付けでした同目録三及び四記載の各土地の固定資産課税台帳に登録された平成9年度の価格についての審査の申出を棄却する旨の決定を取り消す。 3 控訴人が被控訴人Bに対し平成10年8月11日付けでした同目録四の1記載の土地の固定資産課税台帳に登録された平成10年度の価格についての審査の申出に対する決定のうち、価格が1033万3550円を超える部分について審査の申出を棄却した部分を取り消す。 4 被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 二被控訴人Aと控訴人との間に生じた訴訟費用は、第1、2審とも控訴人の負担とし、被控訴人Bと控訴人との間に生じた訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを4分し、その1を被控訴人Bの負担とし、その余を控訴人の負担とする。 事実及び理由 第一控訴の趣旨一原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 二被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 第二事案の概要一事案の概要は、控訴人の当審における補充主張を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第二事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。 二控訴人の当審における主張 1 適正な時価について原判決は、「適正な時価」とは、正常な条件の下に成立する取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうものと解すべきで あるから、これを引用する。 二控訴人の当審における主張 1 適正な時価について原判決は、「適正な時価」とは、正常な条件の下に成立する取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうものと解すべきであると判示している。 しかし、地方税法(以下「法」という。)は、第403条第1項が定めた方法によって決定された価格を「適正な時価」と定義し、これを第411条第1項により固定資産課税台帳に登録することとしているのであって、「適正な時価」に原判決がいうような特別な意義と効果を持たせていない。 仮に「適正な時価」について原判決のような考え方をとった場合には、論理的には、常に法に従い評価基準等によって決定された価格を客観的な時価によって検証しなければならないことになり、不合理である(争いがあれば常に鑑定をしなければならないということになれば、経済的に大きなロスであり、本来大量一括評価をせざるを得ない立場の評価方法と個別的な鑑定評価とは手法が異なるのであるから、前者と後者を対比させるようなことを法が定めているとは考えられない。)。 2 原判決添付別紙物件目録一記載の土地(本件土地1)及び同目録二記載の土地(本件土地2)の評価について(一) 原判決は、本件土地1及び2が「市街化宅地評価法適用地区の雑種地」と「その他の宅地評価法適用地区の雑種地」との中間に位置付けられるべき雑種地であるとの前提に立ち、町田市固定資産(土地)評価事務取扱要領(取扱要領)において後者について0.5の減価率が認められていることに照らし、中間に位置する上記両地についてはその中間値である0.75をとるべきであると判示している。 しかし、評価基準において上記両地区の中間に位置する土地というものはないところ、本件土地1及び2が市街化宅地評価法適用地区に存在することは争いがなく、両土地 .75をとるべきであると判示している。 しかし、評価基準において上記両地区の中間に位置する土地というものはないところ、本件土地1及び2が市街化宅地評価法適用地区に存在することは争いがなく、両土地の周辺は市街化された区域であり、造成費用をかければいつでも宅地化できる状態にあるのであるから、同評価法を適用し、宅地とした場合の価格から造成費用を控除したことは当然である。 したがって、上記のような中間に位置付けられるべき土地であるとの見方に立って、中間値である0.75という根拠のない減価率を採用することは、適正ではないというべきである。 (二) 原判決は、正面街路の幅員に差があってもこれに至るまでの街路が狭いことを理由として価格差を認めない。 しかし、正面街路の幅員がその土地の価値にとって極めて重要な要素であることは明らかであるところ、大量の土地を一括して評価し、処理する必要のある固定資産評価の実務においては、個々の不動産鑑定の場合と異なり、正面街路に至る途中の道路の幅員を考慮することなく、客観的に明確な正面街路の幅員を基準とすることが最も簡明かつ正確といえるから、この点を比準の条件の一つとする町田市土地価格比準表は合理的である。 また、原判決は、正面街路に至るまでの公道が狭小である点も7割評価通達等に基づく3割減価によって結果的にカバーされる旨の控訴人の主張は採用することができないと判示している。 しかし、7割評価は、いわゆる7割評価通達等によって、政策的配慮から特定の減価事由の有無にかかわりなく一律に減価するものであって、一括大量処理の不都合を結果的にカバーする効果があることは明らかであり、正面街路に至るまでの公道が狭小である点も、7割評価通達等による3割減価によって結果的にカバーされるというべきである。 (三) 原判決は、評価基準 合を結果的にカバーする効果があることは明らかであり、正面街路に至るまでの公道が狭小である点も、7割評価通達等による3割減価によって結果的にカバーされるというべきである。 (三) 原判決は、評価基準及びそれを受けて作成された取扱要領(評価基準等)によって決定された価格と客観的な時価を対比し、前者が後者を超過する部分は違法であると判示している。 しかし、仮にそうであるとするならば、後者は、本件標準宅地1の鑑定評価価格1平方メートル当たり18万3000円に基づいて時点修正した価格によるべきであり、評価基準の定める7割評価をすることは、特別の減価事由もないのに3割減価をすることであって、許されない。 3 平成9年度における原判決添付別紙物件目録三記載の土地(本件土地3)及び同目録四記載の土地(本件土地4)の評価について原判決は、本件土地4は、昭和51年2月25日に建築基準法第42条第1項第5号による道路位置指定を受けた私道(位置指定道路)として、法律上建物の建築が禁止され、もはや宅地としては使用できない状態にあり、現に不特定多数の者が制限なく通行できる道路の用に供されているものといえるから、控訴人がこれと宅地である本件土地3とを一体として一画地としたことは適正ではない旨判示している。 しかし、本件土地4は、いわゆる貫通道路ではないから、本来不特定多数の公衆が通り抜けて通行できる道路ではないという意味で基本的な制約があり、また、位置指定道路であるとはいえ、あくまでも私道であり、私道の所有者である被控訴人Bが本件土地3上にある同被控訴人所有のアパートの居住者のために設置したものであるから、基本的にはその専用道路である。そして、これに隣接する建物の居住者が本件土地4を利用するとはいえ、その利用者は、限られた範囲の隣接地関係者でいずれも特定され の居住者のために設置したものであるから、基本的にはその専用道路である。そして、これに隣接する建物の居住者が本件土地4を利用するとはいえ、その利用者は、限られた範囲の隣接地関係者でいずれも特定され得る者であり、かつ、公衆と比較してそれほど多数ともいえない。したがって、本件土地4は主として宅地である本件土地3のための通路であるとして、これらを一体となす一画地の宅地として評価したことは理由があり、行政庁の裁量の範囲内にあるものというべきである。 4 平成10年度における原判決添付別紙物件目録四の1記載の土地(本件土地4の1)の評価について原判決は、本件土地4は一画地として評価すべきである旨判示している。 しかし、そうだとすれば、原判決が本件土地4の1及び原判決添付別紙物件目録四の2記載の土地(本件土地4の2)に区分して評価しているのは誤りである。そして、原判決添付別紙四によれば、原判決が本件土地4を一画地として評価した価格は2909万6552円(本件土地4の1の価格1033万3550円と本件土地4の2の価格1876万3002円の合計額)であり、控訴人の主張する本件土地4の合計の価格は1161万9299円である。したがって、控訴人の主張する本件土地4の評価価格は、原判決の上記評価価格を上回るものではないから、同土地については、被控訴人Bの請求を一括して棄却すべきである。 第三当裁判所の判断一当裁判所も、①本件土地1及び2の固定資産課税台帳に登録すべき平成9年度の価格は、本件土地1が229万6875円、本件土地2が946万3125円である、②町田市長がした平成9年度における本件土地3及び4の評価は、両土地を一体をなす一画地の宅地として評価している点において評価基準に反するもので、違法である、③平成10年度における本件土地3の評価につい 町田市長がした平成9年度における本件土地3及び4の評価は、両土地を一体をなす一画地の宅地として評価している点において評価基準に反するもので、違法である、③平成10年度における本件土地3の評価については法及び評価基準に違反する部分があるが、同土地に関する同年度の登録価格は、結果的に法及び評価基準に従って正当に評価した額と一致するから、同登録価格に係る審査の申出を棄却する旨の決定は取り消されるべきものということはできない、④本件土地4の1の固定資産課税台帳に登録すべき平成10年度の価格は1033万3550円である、⑤平成10年度においては、本件土地4の2は非課税とされていて、その登録価格0円は正当な評価額を上回るものではないから、同土地に関する同年度の登録価格に係る審査の申出を棄却する旨の決定は取り消されるべきものということはできない、以上のように判断する。その理由は、原判決51頁7行目の「すべきであるところ」から同9行目の「べきである。」までを「すべきである。」に、同67頁8行目の「法」から同9行目から10行目にかけての「取り消されるべきである。」までを「1033万3550円とすべきである。」にそれぞれ改め、控訴人の当審における主張に対する判断を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第三当裁判所の判断」一ないし四に記載のとおりであるから、これを引用する。 二控訴人の当審における主張に対する判断 1 適正な時価について法は、土地に対して課する固定資産税の課税標準を、基準年度に係る賦課期日における「価格」で土地課税台帳等に登録されたものとし(第349条第1項)、この「価格」とは「適正な時価」であるとしており(第341条第5号)、固定資産税が資産の所有という事実に着目して課される財産税であることに照らすと、上記「価 登録されたものとし(第349条第1項)、この「価格」とは「適正な時価」であるとしており(第341条第5号)、固定資産税が資産の所有という事実に着目して課される財産税であることに照らすと、上記「価格」あるいは「適正な時価」は、当該土地の交換価値に着目したもので、正常な条件の下に成立する土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値(客観的時価)をいうものと解される。 他方、法は固定資産の価格の決定に当たっては評価基準によって評価することを求めており(第403条第1項)、評価基準は、個々の土地を個別的に評価することなく、諸制約の下において大量の土地について可及的に適正な時価を評価する技術的方法と基準を規定するものである。したがって、登録価格の決定に当たり評価基準を忠実に適用しなかった場合及び評価に用いた取扱要領が評価基準の趣旨に反する場合には、当該登録価格は、賦課期日における客観的な時価を表わしているか否かにかかわらず、法に反するものというべきである。また、法は、評価基準自体が賦課期日における客観的な時価を求めるのにふさわしいものであることを要求しているものというべきであるから、評価基準及びそれを受けて作成された取扱要領(評価基準等)を忠実に適用したとしても、その結果が賦課期日における客観的な時価を表わさない場合には、その限度で評価基準等に問題があるといわざるを得ないのであり、それによって決定された登録価格は、法の趣旨に反するものというべきである。 原判決はこの趣旨を判示しているのであって、もとより正当である。 控訴人の「適正な時価」に関する主張は、原判決を正解しないものであり、採用することができない。 2 本件土地1及び2の評価について(一) 控訴人は、「評価基準において「市街化宅地評価法適用地区の雑種地」と「その他の宅地評価法適用地 は、原判決を正解しないものであり、採用することができない。 2 本件土地1及び2の評価について(一) 控訴人は、「評価基準において「市街化宅地評価法適用地区の雑種地」と「その他の宅地評価法適用地区の雑種地」との中間に位置する土地というものはないところ、本件土地1及び2が市街化宅地評価法適用地区に存在することは争いがないのであるから、同評価法を適用し、宅地とした場合の価格から造成費用を控除したことは当然である」と主張する。 評価基準によれば、雑種地の評価は、ゴルフ場等の用に供される土地及び鉄軌道用地を除き、原則として、雑種地の売買実例価額から評定する適正な時価によってその価額を求める方法によるものとし、市町村内に売買実例価額がない場合においては、土地の位置、利用状況等を考慮し、付近の土地の価額に比準してその価額を求める方法によるものとされているところ、町田市においては、雑種地の売買実例が少なく、売買実例価額から雑種地の適正な時価を求めることが困難であるため、「その他の雑種地」の評価について、当該土地が宅地であるとした場合の価額を付近の宅地に比準して求めることとしており、この町田市の取扱い自体は、評価基準に従ったものとして、適法というべきである。しかし、町田市の取扱要領が、市街地宅地評価法適用地区の雑種地とその他の宅地評価法適用地区のそれとに2分して、評価方法に区別を設けている点は、これを例外なく一律に適用すると、評価基準が要求している「土地の位置、利用状況等」の考慮を欠く可能性があるから、その適用に当たっては、この考慮に基づいた適切な例外的取扱いをして初めて評価基準に適合する場合もあると考えられる。すなわち、評価基準は、土地の位置を考慮すべきものとしているが、その趣旨は上記のように単純な分類によって大幅に異なった評価方法を一律に適用 扱いをして初めて評価基準に適合する場合もあると考えられる。すなわち、評価基準は、土地の位置を考慮すべきものとしているが、その趣旨は上記のように単純な分類によって大幅に異なった評価方法を一律に適用することを許すものとは考え難いし、評価基準が土地の位置のほかに土地の利用状況等も考慮すべきものとしていることに鑑みると、雑種地の所在のみを指標とする比準方法を機械的に適用することが相当でないと認められる場合には、雑種地の態様に応じて比準方法に相当な修正を加える必要があり、これをしないまま一律に前記の区分のみを指標として評価することは、評価基準に適合するものとはいえず、固定資産の評価について法によって市町村長に認められた裁量判断の範囲を逸脱するものとして許されないというべきである。 しかして、前記引用に係る原判決認定の本件土地1及び2の位置、現況、利用状況等に照らすと、この各土地は、主として市街地的形態を形成する地域に所在するけれども、宅地化が容易ではなく、客観的にみて宅地化を前提とした評価をすることが不適当な土地というべきであり、現実の利用状況を前提として宅地との価格差を求めるべきものと考えられるから、控訴人が、上記取扱要領に基づき、主として市街地的形態を形成する地域に属する土地として市街地宅地評価法を適用し、宅地とした場合の価格から造成費用を控除するにとどめたことは、上記評価基準の趣旨に沿わないものであり、適正を欠くというべきである。そして、評価基準に従って本件土地1及び2を評価するに当たっては、標準宅地に比準して住宅地とした場合の価額を求めた上、上記のような現況及び利用状況がそのまま維持されることを想定し、そのような土地と宅地との価格差に応じた減価をするのが相当であるところ、その減価の割合は、原判決説示のとおり、2割5分を下回るものでは 、上記のような現況及び利用状況がそのまま維持されることを想定し、そのような土地と宅地との価格差に応じた減価をするのが相当であるところ、その減価の割合は、原判決説示のとおり、2割5分を下回るものではないと認めるのが相当である。 したがって、控訴人の前記主張は採用することができない。 (二) 控訴人は、「正面街路の幅員がその土地の価値にとって極めて重要な要素であることは明らかであるところ、大量の土地を一括して評価し、処理する必要のある固定資産評価の実務においては、個々の不動産鑑定の場合と異なり、正面街路に至る道路の幅員を考慮することなく、客観的に明確な正面街路の幅員を基準とすることが最も簡明かつ正確といえるから、この点を比準の条件の一つとする町田市土地価格比準表は合理的である」と主張する。 しかしながら、前記引用に係る原判決が認定説示するとおり、本件正面街路1は公道からコの字形に入り込んで再び同一の公道へ出るための私道であり、この街路に至るまでの公道はすなわち本件主要な街路1であって、その幅員は1.82メートルないし2.73メートルと狭くなっており、本件正面街路1に沿接する土地は全体として上記主要な街路から入り込んだ独立の小規模な一団の区画を形成しているところ、この一団の区画に属する土地は、主要な街路から入り込んでいることにより、特段の事情がない限り、同街路に直接沿接している土地に比べて宅地の利用上の便が良いとはいえず、経済的価値の面でも同等以上のものではないとみるのが相当であって、小規模の区画内の街路の幅員が3.8メートルと主要な街路より広いという程度の事情は上記特段の事情には該当しないというべきである。そうとすれば、町田市土地価格比準表を単純に適用し、本件正面街路1の幅員が3.8メートルであることを9パーセントの増額要素とすることは という程度の事情は上記特段の事情には該当しないというべきである。そうとすれば、町田市土地価格比準表を単純に適用し、本件正面街路1の幅員が3.8メートルであることを9パーセントの増額要素とすることは、双方の宅地の利用上の便等の相違を総合的に考慮したものとはいえず、評価基準に反するものといわざるを得ない。 さらに、控訴人は、7割評価通達等に基づく7割評価は、政策的配慮から特定の減価事由の有無にかかわりなく一律に減価するものであるから、正面街路に至るまでの公道が狭小である点も、7割評価通達等による3割減価によって結果的にカバーされるというべきであると主張する。 しかしながら、いわゆる7割評価通達に基づく7割評価は、各種の政策的配慮に基づき、評価の均衡化、適正化を図る観点から、宅地の評価に当たっては、地価公示価格等の7割程度を目途とすることとされたものであるところ、前記のように増額要素に該当しないにもかかわらず9パーセントの増額を行うことは、評価基準に違背するものであって、その結果が適正な時価といかなる関係にあるかにかかわらず違法というほかない。 控訴人の前記主張は、いずれも採用することができない。 (三) 控訴人は、「原判決は、評価基準等によって決定された価格と客観的な時価を対比し、前者が後者を超過する部分は違法であると判示しているが、仮にそうであるとすれば、客観的な時価を算定する場合には、本件標準宅地1の鑑定評価価格1平方メートル当たり18万3000円に基づいて時点修正をした価格によるべきであり、特別の減価事由もないのに3割減価をすることは許されない」旨主張する。 しかしながら、さきに説示したとおり、「適正な時価」とは、正常な条件の下に成立する土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうものと解すべきものであるが、他方、法が土地 れない」旨主張する。 しかしながら、さきに説示したとおり、「適正な時価」とは、正常な条件の下に成立する土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうものと解すべきものであるが、他方、法が土地の登録価格の決定に当たっては評価基準によって評価すべきものとしていることからすると、登録価格の決定に当たり評価基準を忠実に適用しなかった場合及び評価に用いた取扱要領が評価基準の趣旨に反する場合には、当該登録価格は、賦課期日における客観的な時価を表わしているか否かにかかわらず、法に反するものと評価せざるを得ず、また、評価基準等を忠実に運用したとしても、その結果が賦課期日における客観的な時価を表わさない場合は、その限度で評価基準等に問題があるというべきであり、それによって決定された登録価格もまた法の趣旨に反するものというほかない。 原判決は、これと同旨の見解に立って、町田市長の本件土地1及び2の評価は評価基準に違背しているとし、法及び評価基準に基づいてこれを評価し直すと原判決添付別紙四「当裁判所の判断」欄記載のとおりになると判示しているのであって、評価基準によって決定された価格と客観的時価とを対比して、控訴人主張のような判断をしているのではない。 したがって、控訴人の前記主張は、原判決を正解しないものであり、採用することができない。 3 平成9年度における本件土地3及び4の評価について控訴人は、「本件土地4は、不特定多数の公衆が通り抜けて通行できる道路ではなく、また、位置指定道路であるとはいえ、所有者である被控訴人Bが本件土地3上にある同被控訴人所有のアパートの居住者のために設置した私道であり、その他の利用者は隣接地の関係者等に限定されるから、本件土地4は、主として宅地である本件土地3のための通路であるとして、これらを一体となす一画地の宅地 有のアパートの居住者のために設置した私道であり、その他の利用者は隣接地の関係者等に限定されるから、本件土地4は、主として宅地である本件土地3のための通路であるとして、これらを一体となす一画地の宅地として評価したことは理由があり、行政庁の裁量の範囲内にあるものというべきである」と主張する。 しかしながら、前記引用に係る原判決の認定事実によると、本件土地4は、位置指定道路として、法律上建物の建築が禁止され、もはや宅地としては使用できない状態にあり、現に不特定多数の者が制限なく通行できる道路の用に供されているものといえるから、控訴人がこれと宅地である本件土地3を一体として一画地と判定したことは適正ではなく、これらを一体をなす一画地の宅地としてした評価は、評価基準に反することが明らかであって、本件土地3及び4を一体として一画地としたことが行政庁の裁量の範囲内にあるということはできない。 控訴人の前記主張は、採用することができない。 4 平成10年度における本件土地4の1の評価について控訴人は、「原判決は、本件土地4は一画地として評価すべきであるとしながら、本件土地4の1及び2に区分して評価しているのは誤りである。そして、原判決添付別紙四によれば、原判決が本件土地4を一画地として評価した価格は2909万6552円であり、控訴人の主張する同土地の合計の価格は1161万9299円である。したがって、控訴人の主張する本件土地4の評価価格は、原判決の上記評価価格を上回るものではないから、同土地については、被控訴人Bの請求を一括して棄却すべきである」と主張する。 しかしながら、原判決は、本件土地4は一画地として評価すべきであるが、二つの画地に区分して登録価格が付されていることから、これらに対してされた控訴人の決定の適否は上記区分に従って判断すべきで る。 しかしながら、原判決は、本件土地4は一画地として評価すべきであるが、二つの画地に区分して登録価格が付されていることから、これらに対してされた控訴人の決定の適否は上記区分に従って判断すべきであるとし、上記区分に従って法及び評価基準を正しく適用した評価を行い、その結果、平成10年度の本件土地4の2の登録価格0円は、正しい評価額1876万3002円を上回るものではないが、本件土地4の1の登録価格1161万9299円は、正しい評価額1033万3550円を上回るものであると判断しているのであって、原判決には控訴人が主張するような誤りはない(この場合における審査決定取消の範囲については、後述する。)。 控訴人の前記主張は、採用することができない。 三固定資産評価審査委員会(以下「審査委員会」という。)の違法な審査決定とその取消判決の関係原判決は、本件土地1及び2の固定資産課税台帳に登録すべき平成9年度の価格は、本件土地1が229万6875円、本件土地2が946万3125円であり、また、本件土地4の1の固定資産課税台帳に登録すべき平成10年度の価格は1033万3550円であると判断した上、上記各土地に関する当該年度の登録価格に係る審査の申出を棄却した控訴人の決定をいずれも違法なものとして全部取り消す旨の判決をした。 その理由は必ずしも明らかではないけれども、法には、審査委員会が審査決定をした場合における登録価格等の修正手続についての規定(第435条)はあるが、審査決定の取消判決が確定した場合の手続についての規定がないことを主な理由とするものと推測される。しかし、裁判所が、争いのある土地の登録価格について、法及び評価基準等を正しく適用した結果として、特定の金額をもって適正な時価を認定し、審査決定中その金額を超える部分のみを取り消す一部 と推測される。しかし、裁判所が、争いのある土地の登録価格について、法及び評価基準等を正しく適用した結果として、特定の金額をもって適正な時価を認定し、審査決定中その金額を超える部分のみを取り消す一部取消判決をした場合には、取消判決の拘束力(行政事件訴訟法第33条第1項)によって、市町村長は審査決定の場合と同様の措置をとることが義務づけられるものと解されるのであって、改めて審査委員会の審査決定を介在させる必要性はないし、介在させないことによって特に不都合が生ずるとも考えられず、むしろ、紛争の早期解決につながるものと考えられる。 そうすると、前記各決定については、原判決の認定に係る適正な価格を超える部分について審査の申出を棄却した部分のみを違法として取り消すべきである。 これに対し、違法の理由が審査手続の違法である場合や、内容の違法であっても、例えば、標準宅地の評定方法そのものに過誤があってその再施を要するなど、例外的に審査委員会に審査のやり直しを求めるのが相当である場合には、審査決定の全部を取り消すべきである。 したがって、平成9年度における本件土地3及び4の評価は、両土地を一体をなす一画地の宅地として評価している点において評価基準に反するものであり、正当な評価方法により改めて登録価格が決定されるべきであるから、両土地に関する同年度の登録価格に係る審査の申出を棄却した決定はその全部を取り消すべきである。 第四結論以上によれば、原判決は上記判断と抵触する限度で相当ではないから、主文第一項のとおり変更することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第67条第2項、第61条、第64条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部裁判長裁判官魚住庸夫裁判官飯田敏彦裁判官菅野博之 訟法第67条第2項、第61条、第64条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部裁判長裁判官魚住庸夫裁判官飯田敏彦裁判官菅野博之

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る