- 1 -平成25年9月12日判決言渡平成25年(行コ)第128号各外務員登録取消処分取消等請求,各追加的併合控訴事件 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が平成22年4月13日付けでa証券会社に対してした金融商品取引法64条の5第1項の規定に基づく控訴人bの外務員登録取消処分を取り消す。 3 被控訴人が平成22年4月13日付けでa証券会社に対してした前同様の規定に基づく控訴人cの外務員登録取消処分を取り消す。 4 控訴人bが被控訴人の「協会員の従業員に関する規則」(平成22年5月18日改正前のもの)12条1項の規定に基づく不都合行為者でないことを確認する。 5 被控訴人は,控訴人bに対し,2200万円及びこれに対する平成23年8月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 控訴人cが被控訴人の「協会員の従業員に関する規則」(平成22年5月18日改正前のもの)12条1項の規定に基づく不都合行為者でないことを確認する。 7 被控訴人は,控訴人cに対し,2200万円及びこれに対する平成23年8月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,金融商品取引法(以下「金商法」という。)の規定に基づく認可金融商品取引業協会として内閣総理大臣から外務員の登録に関する事務の委任を受けた被控訴人が,その協会員であるa証券会社(a。以下「a社」という。)d支店に勤務し,外務員として登録されていた控訴人らにおいて,顧客である株式会社e(以下「e社」という。)による転換社債型新株予約権付社債(以下「本件- 2 -転換社債」という。)の発行に係る開 d支店に勤務し,外務員として登録されていた控訴人らにおいて,顧客である株式会社e(以下「e社」という。)による転換社債型新株予約権付社債(以下「本件- 2 -転換社債」という。)の発行に係る開示書類の提出に当たり,これとともに同社とa社との間で締結されたスワップ取引に関する情報を開示しないようにe社に要請したことが外務員の職務に関して著しく不適当な行為(金商法64条の5第1項2号)に該当するとして,a社に対し,控訴人らの外務員登録をいずれも取り消すとの各処分をするとともに,被控訴人の内部規則である「協会員の従業員に関する規則」(ただし,平成22年5月18日改正前のもの。以下同じ。)に基づき,控訴人らをそれぞれ不都合行為者として取り扱う旨の決定をしたことから,被控訴人に対し,上記の不適当な行為に当たるようなことをしていないので各外務員登録取消処分はいずれも違法であると主張して,各処分の取消しを求めるとともに,いずれも不都合行為者に当たらないことの確認を求め,さらに,不法行為に基づく損害賠償金として各2200万円(逸失利益の一部2000万円,弁護士費用200万円)及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成23年8月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 被控訴人は,各外務員登録取消処分はa社に対してされたものであって,控訴人らに対してされたものではないから,本件訴えのうち同処分の各取消しを求める部分についてはその取消しを求めるにつき法律上の利益を欠き,控訴人らに原告適格はないと主張したが,原判決は,控訴人らの原告適格を認めた上で,上記各処分は適法であり,不都合行為者の決定は有効であるとして,控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らがこれを不服としてそれぞれ ないと主張したが,原判決は,控訴人らの原告適格を認めた上で,上記各処分は適法であり,不都合行為者の決定は有効であるとして,控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らがこれを不服としてそれぞれ控訴をした。 2 判断の前提となる事実(関係法令の定め及び争いのない事実等),争点並びに争点に関する当事者の主張は,次項のとおり当審における控訴人の主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1ないし4(3頁26行目から33頁10行目まで)記載のとおり(ただし,6頁22行目及び25行目の「○○」をいずれも「○○」と改める。)であるから,これを引用する。 - 3 - 3 当審における控訴人の主張の要旨(1) 控訴人らの行為の金商法64条の5第1項2号及び従業員規則12条1項該当性等金商法64条の5第1項2号の「外務員の職務に関して著しく不適当な行為」及び従業員規則12条1項の「金融商品取引業の信用を著しく失墜させるもの」に該当するためには,法令上の義務の違反又はこれに準ずる従業員規則や外務員規則等に具体的に定められた義務の違反が存することを要すると解すべきであり,「不正又は著しく不当な行為であってその情状が特に重いもの」(金商法52条1項9号参照)に当たる場合が含まれるとしても,①a社d支店においては,本件取引のような非定型的取引の法令適合性については専らコンプライアンス部及び法務部が判断することとされており,資本市場ソリューション部に所属する控訴人らは,本件スワップ契約の開示は必要ないとのd支店コンプライアンス部長及び同法務部長の判断に従い,かつ,本件スワップ契約の開示の必要性について可能な限り法律専門家の意見を求めていたこと,②控訴人らは,ヘッジ比率等本件スワップ契約の詳細を開示することには消極的であっ 及び同法務部長の判断に従い,かつ,本件スワップ契約の開示の必要性について可能な限り法律専門家の意見を求めていたこと,②控訴人らは,ヘッジ比率等本件スワップ契約の詳細を開示することには消極的であったが,本件スワップ契約の存在自体の開示を拒んでいたわけではなく,その意向はe社に伝わっており,また,控訴人らは,最終的に,e社に対し,本件スワップ契約の開示の必要性についてfと相談し,その意見に従い開示内容を改定するように勧めたにもかかわらず,e社がこれを行わなかったこと,③控訴人らの行為は反復されたものではなく,控訴人らはその行為が違法・不適切であると認識しておらず,隠蔽行為もなかったこと,以上の諸点に照らすと,上記の「不正又は著しく不当であってその情状が特に重いもの」には当たらず,仮にこれに該当するとしても,控訴人らに処分歴がないことからすれば,本件登録取消処分及び本件不都合行為者決定はいずれも重きに失し,社会通念上の相当性を欠くというべきである。 (2) 手続上の瑕疵- 4 -本件のように外務員が既に解雇又は退職によって金融商品取引業者等に所属していない場合,外務員登録取消処分の実質上の名宛人は当該外務員であるというべきであるから,本件登録取消処分に先立ち,控訴人らの聴聞を行うべきであった。また,不都合行為者決定は,5年間にわたり金融商品取引業者に就職できないという重大な不利益を与えるものであり,職業選択の自由を著しく制限するものであるから,控訴人らに弁明の機会を付与せずに行われた本件不都合者決定には手続上の瑕疵があり,違法である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件登録取消処分及び本件不都合行為者決定はいずれも適法であって,控訴人らの請求はいずれも理由がないので,棄却すべきであると判断する。その理由は,次項のとおり補 3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件登録取消処分及び本件不都合行為者決定はいずれも適法であって,控訴人らの請求はいずれも理由がないので,棄却すべきであると判断する。その理由は,次項のとおり補正し,3項のとおり当審における控訴人らの主張に対する判断を加えるほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」(33頁11行目から61頁3行目まで)記載の理由説示のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の理由説示の補正(1) 43頁22行目及び23行目を削る。 (2) 46頁8行目の「18の1,」の次に「36,」を,9行目冒頭に「本件取引は,e社を含む新興の不動産業者の信用力に消極的な評価をする報道がされ,一般投資家がe社の資金繰りや資金調達に注目していた時期に行われたものであって,」をそれぞれ加える。 (3) 47頁14行目の「回答していること」を「回答しており」に改め,同行の「(乙35)」の次に「,この回答が虚偽であることを認めるに足りる証拠はないこと」を加える。 (4) 50頁5行目の「払込金」から7行目の「その変動支払金も」までを「調達額の全てを直ちに本来の使途である債務の返済(乙7,31)に充てることができるわけではなく,手取金はいったんe社に支払われるものの,直ちにそ- 5 -の全額が前渡金として本件スワップ契約に基づく払込金に充当され,e社は,本件スワップ契約において定める変動支払日(2本のスワップのうちスワップ1(VMAP連動型)については約定の各計算日(計算期間中の各営業日)の3営業日後の日(ただし,開始日において決定された変動支払額については翌営業日),スワップ2(VMAPアモチ型)については前同様の日及び平成20年1月11日に始まり平成22年7月11日に終わる毎年1月及び7月の各11日)に 始日において決定された変動支払額については翌営業日),スワップ2(VMAPアモチ型)については前同様の日及び平成20年1月11日に始まり平成22年7月11日に終わる毎年1月及び7月の各11日)において初めて現実の資金である変動支払金を順次入手し得るにとどまり,しかも,その額は,」と改め,22行目の「支払の時期と」を削る。 3 当審における控訴人らの主張に対する判断(1) 控訴人らの行為の金商法64条の5第1項2号及び従業員規則12条1項該当性等について控訴人らは,本件スワップ契約の開示についてはd支店コンプライアンス部長及び同法務部長の判断に従ったものであると主張し,この主張に沿う供述をする(甲20,原審控訴人c本人)。しかしながら,控訴人らの供述のほかには,上記両部長が本件スワップ契約の開示は不要であると判断して取引承認委員会その他の機会においてその旨の意見を明示的に述べたことを認めるに足りる証拠はなく,かえって,被控訴人のa社に対する照会に対する同社の回答には,上記両部長が控訴人らの指摘するような発言をしたことはなく,控訴人ら,e社及びd支店顧問弁護士の所属事務所と直接やり取りをしていた者を除くa社d支店の役職員が開示の内容や程度を承認していたという事実はないとの記載があり(乙35),被控訴人不服審査会による不服審査結果及び異議申立てに対する決定には,本件スワップ契約の開示の要否について,a社内部の承認手続の中では何ら議論がされていなかったとの記載がある(乙28の1及び2,29,30)など,控訴人らの主張に反する証拠も存在することに照らせば,確実な裏付けのない控訴人らの供述を直ちに信用することはできない。 なお,この点に関し,控訴人らは,別件訴訟(東京地方裁判所平成○年(ワ)- 6 -第○号,第○号,平成○年(ワ)第○ に照らせば,確実な裏付けのない控訴人らの供述を直ちに信用することはできない。 なお,この点に関し,控訴人らは,別件訴訟(東京地方裁判所平成○年(ワ)- 6 -第○号,第○号,平成○年(ワ)第○号事件)において,e社代表取締役は,同社財務部長からa社のリーガルにおいても本件スワップ契約開示の必要はないとの意見を述べているとの説明を受けていたと供述している旨主張するけれども,その供述内容は抽象的なものにとどまり,e社財務部長がa社の誰からいかなる機会にどのような状況で上記意見を聞いたのかも明らかでないことからすれば,上記供述を直ちに信用することはできず,その存在をもって直ちにd支店コンプライアンス部長及び同法務部長が本件スワップ契約の開示を要しないと判断し,その旨の意見を述べていたとまでは認められない。 次に,控訴人らは,d支店顧問弁護士の法律意見に基づき本件スワップ契約の開示は不要であると判断したと主張するが,証拠(甲18,20,乙17,18,23,24の各2,乙36)及び弁論の全趣旨によれば,d支店顧問弁護士は,本件スワップ取引の開示の要否について意見を求められた当初,自分たちの記憶する限りでは,有価証券報告書でスワップ取引の損益を開示している例は多数あるものの,スワップ取引そのものをCB発行と同時に開示している例はないと思うとの一般論を述べ,控訴人らの依頼に応じて本件スワップ契約に触れないプレスリリースの案文を作成した後,これを見て本件取引のスキームを開示すべきであるとしたe社顧問弁護士の意見を受けて,自分としては最終的な資金使途を開示すればよいのではないかと思うが,fから開示内容が相当でないと判断された場合のリスクは発行体が負うことになるから,プレスリリースの表現についてはe社顧問弁護士が考えるべきであると発言し,その後作 示すればよいのではないかと思うが,fから開示内容が相当でないと判断された場合のリスクは発行体が負うことになるから,プレスリリースの表現についてはe社顧問弁護士が考えるべきであると発言し,その後作成されたプレスリリースの案文の検討を求められた際にも,「プレスの資金使途の部分について,スワップ取引の詳細を記載するのを避けたいとの貴行の意向を踏まえ(中略)コメントいたしました」と記載した電子メールを送信したことが認められる。しかしながら,これらのやり取りは,平成20年6月19日及び翌20日のわずか2日間に集中して行われており,その発言内容に照らすと,d支店顧問弁護士において本件スワップ契約の内容及びe社の財務- 7 -状態に及ぼす影響について十分検討した上で上記の意見を述べたのか疑いを差し挟まざるを得ず,このような経緯については控訴人らも十分承知していたと考えられるので,同弁護士の意見があることをもって,e社に対して本件スワップ契約を開示しないように要請した行為を正当化することはできない。 また,控訴人らは,本件スワップ契約の存在自体の開示に消極的だったわけではなく,ヘッジ比率等の詳細についての開示を避けたいと考えていたにすぎず,この意向は,e社に伝わっていたと主張する。しかしながら,e社は当初から本件スワップ契約については開示せざるを得ないと考えていたことは前判示のとおりであるところ,その後数次にわたる改訂の上確定されたプレスリリース及び本件有価証券報告書の記載に本件スワップ契約の記載が全く見られず,e社が本件スワップ契約を開示しないことに方針転換したのは,a社からe社に対して「当該スワップの詳細まで開示する例を伺っておりません。経済的に資金使途を示せば足りるとのスタンスでここの開示の程度を簡略化できないでしょうか。」などと記載した 針転換したのは,a社からe社に対して「当該スワップの詳細まで開示する例を伺っておりません。経済的に資金使途を示せば足りるとのスタンスでここの開示の程度を簡略化できないでしょうか。」などと記載した電子メールが送信され,d支店顧問弁護士からスワップ部分の記載を削除したプレスリリースの案文が送信された後であると認められること(乙17及び18の各2,乙36)からすれば,控訴人らは,ヘッジ比率等の本件スワップ契約の詳細にとどまらず,本件取引の全体像が投資家に推測されることを回避するため,本件スワップ契約の存在自体を開示しないようe社に働きかけたものと認めるのが相当である。 さらに,控訴人らは,最終的にはe社に対してfと相談して開示内容を詰めるよう勧めたにもかかわらず,e社がこれを怠ったものであるとして,本件スワップ契約について開示しなかったのはe社の責任であると主張する。しかしながら,控訴人らの行為が外務員として著しく不適当な行為や金融取引業の信用を著しく失墜させるものに当たるか否かを判断する上で問題となるのは,金融商品取引上,投資家の自主的な投資判断のために必要な情報が適時に開示されるようにすべき責務を負った外務員である控訴人らがこれを怠り,本件転換- 8 -社債を発行するe社に投資家の判断のため必要であると考えられる情報を開示しないよう働きかけた事実の存否であって,そのような事実が存在したと認められる以上,控訴人らの働きかけを受けたe社の行動は,控訴人らの行為が上記金商法及び従業員規則の規定に該当すること自体を否定する理由となるものではない。 以上検討したところによれば,控訴人らの行為が反復されたものでないこと,控訴人らが外務員の行為として著しく不適当であると認識した上で本件スワップ契約について開示しないようe社に働きかけたとまで認 以上検討したところによれば,控訴人らの行為が反復されたものでないこと,控訴人らが外務員の行為として著しく不適当であると認識した上で本件スワップ契約について開示しないようe社に働きかけたとまで認めるに足りる証拠はないこと,隠蔽を図った形跡のないことなど,控訴人らが指摘する点を考慮しても,控訴人らの行為は,不正かつ著しく不当なものであり,かつ,その情状が特に重いものとして,外務員の職務に関して著しく不適当な行為(金商法64条の5第1項2号)に該当するといわなければならず,過去において控訴人らに処分歴がないことを考慮しても,本件登録取消処分が重きに失するとは認められない。 また,従業員規則は,「事故顛末報告書を審査した結果,当該従業員などが退職し又は当該協会員より解雇に相当する社内処分を受けた者で,かつ,その行為が金融商品取引業の信用を著しく失墜させるものと認めたときは,決定により,当該従業員等を不都合行為者として取り扱う」と規定し(12条1項)被控訴人が金融商品取引業の信用を著しく失墜させるものと認めた場合,不都合行為者として取り扱う旨の決定をするか否かについて被控訴人に裁量の余地は残されていないことは引用に係る原判決の理由説示のとおりであるから,本件不都合行為者決定について被控訴人の裁量権の逸脱又は濫用を論ずる余地もなく,したがって,本件不都合行為者決定が社会通念上の相当性を欠くとの主張は,失当である。 (2) 手続上の瑕疵について本件登録取消処分及び本件不都合行為者決定がされたのは平成22年4月1- 9 -3日であること,これに先立つ同年3月31日に控訴人らがa社d支店を退職したことについては当事者間に争いがない。しかしながら,証拠(乙17の1及び2,乙18の1及び2,乙20ないし22)及び弁論の全趣旨によれば,a社は 先立つ同年3月31日に控訴人らがa社d支店を退職したことについては当事者間に争いがない。しかしながら,証拠(乙17の1及び2,乙18の1及び2,乙20ないし22)及び弁論の全趣旨によれば,a社は,同年3月10日,被控訴人に対して事故顛末報告書を提出したこと,翌11日,被控訴人は,同月25日を聴聞の期日と定め,a社に対して聴聞通知書を送付したこと,同月24日,a社は,不利益処分の原因となる事実に争いはなく,聴聞の期日に出頭して特に述べる意見はないとして,出頭に代えて陳述書を提出したことが認められ,これによれば,本件登録取消処分に関する聴聞の手続は控訴人らがa社を退職する前に行われていたことになるから,その後に控訴人らがa社を退職したことは,本件登録取消処分の手続上の瑕疵の判断について特段の影響を及ぼすものではない。そして,本件登録取消処分は,登録が取り消される外務員の所属する金融商品取引業者等に対する処分であることからすれば,法定の聴聞手続は被処分者であるa社に対して行われるべきものと解されるばかりでなく,証拠(乙19)及び弁論の全趣旨によれば,a社は,事故顛末報告書を被控訴人に提出するに当たり,本来,控訴人らの経緯書を添付すべきところ,a社において行った懲戒処分をめぐって控訴人らと係争中であるため,控訴人らから経緯書の提出を受けることができないと記載した書面を添付していることが認められ,これによれば,被控訴人がa社に対する処分である本件登録取消処分の要否を判断するに当たり,処分の対象となる行為をした控訴人らの説明に係る証拠を徴求しなかったこともやむを得ないと考えられるのであって,他の証拠によって控訴人らの行為を確定することができた以上,本件登録取消処分の手続に違法な点があったとは認められない。 次に,本件不都合行為者決定は,金融 ともやむを得ないと考えられるのであって,他の証拠によって控訴人らの行為を確定することができた以上,本件登録取消処分の手続に違法な点があったとは認められない。 次に,本件不都合行為者決定は,金融商品取引業者等を協会員として構成される被控訴人の内部規律として行われたものであるから,その手続についても被控訴人の自主的判断に委ねられているところ,本件不都合行為者決定は,本- 10 -件当時に効力を有していた従業員規則に従って行われたものであって,本件不都合行為者決定をしたことについて被控訴人の裁量権の逸脱又は濫用があるとはいえないことは前判示のとおりであるから,当時の従業員規則に弁明に関する手続が定められていなかったからといって,直ちに本件不都合行為者決定の効力を左右するものではなく,このことは,本件不都合行為者決定がされた結果,控訴人らが5年間にわたり金融商品取引業者等に就職することができず,かつ,同決定がされた時点で控訴人らがa社を退職していたからといって,何ら異なるところがない。 4 以上によれば,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件各控訴はいずれも理由がないので,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部 裁判長裁判官齋藤隆 裁判官一木文智 裁判官岡部純子
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