主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 第2事案の概要被控訴人は,原判決別紙物件目録1ないし6記載の各土地の共有持分7分の5(以下,総称して「本件各土地」といい,個別の土地をいうときは,同目録の番号により「本件土地1」,「本件土地2」などという。)を有し,本件各土地を公共事業の用に供するため控訴人ないし国に売り渡した。被控訴人は,控訴人との間に,平成10年12月28日,本件土地1,2について代金3288万5245円,引渡日を平成11年3月31日として売買契約を締結し(以下「本件契約」という。),同日,本件土地1,2の引渡日を平成12年3月31日に変更する合意を締結し(以下「本件変更契約」という。),控訴人は,同年4月30日,本件土地1,2について,平成10年12月28日売買を原因として所有権移転登記を得た。他方,被控訴人は,平成13年2月26日,本件各土地の代替資産として原判決別紙物件目録7記載の建物(以下「本件建物」という。)を新築で取得した。浦和県税事務所長は,被控訴人の本件建物取得に関し,本件土地3ないし5の譲渡については,地方税法(平成15年法律第9号改正前のもの。以下同じ。)73条の14第8項(以下「本件特例」という。)を適用したものの,本件土地1,2の譲渡については,その譲渡した日から2年以内に本件建物が取得されていないとして,本件特例の適用を否定し,不動産取得税2418万8600円を賦課する旨の決定(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。 本件は,被控訴人が,本件賦課決定処分には,地方税法73条の14第8項の解釈を誤り,本件土地1,2の譲渡について本件特例を適用しなかった違法があ 定(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。 本件は,被控訴人が,本件賦課決定処分には,地方税法73条の14第8項の解釈を誤り,本件土地1,2の譲渡について本件特例を適用しなかった違法があり,本件建物の取得に係る不動産取得税は2350万8300円であると主張して,浦和県税事務所長が被控訴人に対し平成14年12月2日付けでした本件建物に係る不動産取得税賦課決定処分のうち,2350万8300円を超える部分の取消しを求めたものである。 原審は,本件特例の「公共事業の用に供するため・・・不動産を譲渡し・・・た日から2年以内」の起算日は,譲渡契約締結の日ではなく,代金支払,目的物の引渡し,登記のいずれかが行われた日と解釈すべきであり,本件土地1,2については,代金支払日,所有権移転登記日,引渡日のいずれの日からも2年以内に被控訴人が本件建物を取得しているから,本件特例の適用要件を満たしているとして,被控訴人の本件請求を認容したので,控訴人がこれを不服として控訴した。 本件事案の概要は,以下のとおり当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」に記載したとおりであるからこれを引用する(ただし,原判決5頁4行目の「の一部」を削除する。)。 (当審における控訴人の主張) 原判決は,本件特例の趣旨,目的は,租税特別措置法33条の税優遇措置とほぼ共通するものであること,同条の課税の特例の運用における「引渡し基準」は,今日確立された取扱いであり,実質的にも合理的で,基準としての客観性,明確性も備えていることを理由として,本件特例における「公共事業の用に供するため・・・不動産を譲渡し・・・た日から2年以内」の起算日は,「引渡し基準」によって解釈するのが合理的であるとした。 しかしながら,租税特別措置法 由として,本件特例における「公共事業の用に供するため・・・不動産を譲渡し・・・た日から2年以内」の起算日は,「引渡し基準」によって解釈するのが合理的であるとした。 しかしながら,租税特別措置法33条によって税優遇措置が定められている譲渡所得税は,資産の譲渡によって実現した経済的利益の増加,すなわち 資産の譲渡による所得に着目して課せられるものであるのに対し,他方,本件特例の適用がある不動産取得税は,いわゆる流通税に属し,不動産(所有権)の移転の事実自体に着目して課せられるものであって,不動産の取得者がその不動産を使用,収益,処分することにより得る利益(経済的利益)に着目して課せられるものではない(最高裁判所昭和48年11月16日第二小法廷判決・民集第27巻10号1333頁参照)。 そうすると,譲渡所得の収入すべき時期について,原則として譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるとする「引渡し基準」は,資産の譲渡による収入がある場合の収入の計上時期の基準となるものであるが,上記のとおり,不動産取得税は,譲渡所得税とその性格,課税対象を異にするから,本件特例の「公共事業の用に供するため・・・不動産を譲渡し・・・た日から2年以内」の起算日の解釈について,譲渡所得税における「引渡し基準」をそのまま適用し得るものではない。 また,譲渡所得税における旧通達が改正され,収入金額を計上すべき時期の基準が「所有権その他の財産権の移転時期」や「譲渡契約の効力発生時」から「資産の引渡しがあった日」(「引渡し基準」)に改められたのは,旧通達では,窃盗,横領等の場合には所有権の移転がないから所得にはならないとしていたことについて批判があったため,所得概念を民法上の法律関係を離れ,専ら現実に利得を支配管理し,それを享受しているかどうかという 事実 ,横領等の場合には所有権の移転がないから所得にはならないとしていたことについて批判があったため,所得概念を民法上の法律関係を離れ,専ら現実に利得を支配管理し,それを享受しているかどうかという事実関係に着目して構成することにし,その結果,収入金額を計上すべき時期の基準についても,資産の引渡しが基準とされることになったためである。 以上の,改正の大きな理由との一つとなった所得の概念の変更は,所得税固有の問題であり,不動産取得税に当然に適用されるものではない。 さらに,「引渡し基準」についても,代金の支払,目的物の引渡し,登記という3つの事実のうち,いずれの事実があった日をもって起算日とするのかの認定,判断は必ずしも容易ではないし,目的物の引渡しについても現実 の引渡しを要するのか,それとも引渡しの意思表示だけでも足りるのかなど,引渡しの認定,判断も困難を伴うことが予想され,「引渡し基準」は,基準としての客観性,明確性を備えているとはいい難い。 不動産取得税の趣旨,目的,性格,課税対象等を考慮すると,地方税法73条の2第1項の「不動産の取得」とは,不動産所有権の取得をいうと解するのが相当であり,契約によって不動産所有権が移転する日が定められている場合はその日が,不動産所有権が移転する日が定められていない場合は契約をした日が,それぞれ不動産の所有権の取得日となるから,地方税法73条の2第1項の「不動産の取得」の日は,契約によって不動産所有権が移転する日が定められている場合以外は,契約日と解すべきである。 そして,本件特例は,不動産を取得した日の前2年以内に当該不動産の取得者が公共事業の用に供するため不動産を譲渡したことがあり,かつ,取得した不動産が譲渡した不動産の代替として取得したものと認められる場合に,不動産取得税の特例を認めるもの 前2年以内に当該不動産の取得者が公共事業の用に供するため不動産を譲渡したことがあり,かつ,取得した不動産が譲渡した不動産の代替として取得したものと認められる場合に,不動産取得税の特例を認めるものであるが,譲渡した不動産と取得した不動産には代替関係が認められる以上,不動産の取得と不動産の譲渡は,所有権の移転について逆の関係に立ち,そうすると,上記の不動産の譲渡とは,不動産所有権の取得とは反対の行為である不動産所有権の譲渡をいうものと解すべきである。 また,地方税法73条の2第1項は,「当該収用され,譲渡し・・・た日から2年以内」と規定しており,「収用された日」と「譲渡した日」を共に同項が規定する2年の期間の起算日としている。「収用された日」とは,強制的に土地所有権が取得された日をいうところ,「収用された日」と「譲渡した日」が並列的に規定されていることからすると,「譲渡した日」とは,土地の所有者が譲渡契約に基づいて土地の所有権を移転した日をいうものと理解できる。 そして,本件契約においては,所有権移転の時期についての定めはされて いないから,本件土地1,2は,売買契約の日である平成10年12月28日に所有権が譲渡されたということができる。 以上によれば,被控訴人の本件建物の取得は,本件土地1,2を譲渡した日から2年以内にされたものということはできないから,本件建物の取得に本件特例を適用することはできず,したがって,本件賦課決定処分は適法である。 第3当裁判所の判断 地方税法73条の2第1項が定める不動産取得税は,いわゆる流通税に属し,不動産の移転の事実自体に着目して課せられるものであって,不動産の取得者がその不動産を使用,収益,処分することにより得られるであろう利益に着目して課せられるものではないから,同項にいう「不動産の取 不動産の移転の事実自体に着目して課せられるものであって,不動産の取得者がその不動産を使用,収益,処分することにより得られるであろう利益に着目して課せられるものではないから,同項にいう「不動産の取得」とは不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得するか否かには関係なく,所有権移転の形式により不動産を取得するすべての場合をいうものと解すべきであり(最高裁昭和53年4月11日第三小法廷判決・民集第32巻3号583頁,最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決・民集第27巻10号1333頁,最高裁昭和45年10月23日第二小法廷判決・裁判集民事101号163頁参照),資産の譲渡によって実現した実質的な経済的利益の増加,すなわち資産の譲渡による所得に着目して課せられる譲渡所得税とは異なるものである。そうすると,地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」とは,不動産の所有権の取得をいうと解するのが相当である。 そして,地方税法73条の14第8項は,公共事業の用に供するため不動産を譲渡した者について,譲渡した日から2年以内に代替不動産を取得した場合に,代替不動産の不動産取得税の課税標準の算定において,被収用不動産の固定資産税登録価格相当額を控除するという本件特例を定めているところ,本件特例は,不動産取得税についての軽減措置を定めるものであること,本件特例は,公共事業の用に供するために不動産を譲渡した場合と共に,不動産が収用 された場合も並列的に挙げて不動産取得税についての軽減措置を定めているが,収用された場合に,本件特例が規定する2年の期間の起算日としている「収用された日」とは,強制的に土地所有権が取得された日をいうと解され,「譲渡した日」についても所有権を移転した日をいうものと考えられること,譲渡した不動産とその代わるものとして取 起算日としている「収用された日」とは,強制的に土地所有権が取得された日をいうと解され,「譲渡した日」についても所有権を移転した日をいうものと考えられること,譲渡した不動産とその代わるものとして取得した不動産には代替関係が認められ,本件特例に定める代替不動産の取得と不動産の譲渡については,同一の概念で理解するのが合理的であることなどからすると,本件特例が定める不動産の譲渡とは,不動産所有権の取得とは同一の概念である不動産所有権の譲渡をいうものと解すべきである。 そこで,被控訴人と控訴人との間に平成10年12月28日締結された,本件土地1,2についての本件契約において,本件土地1,2の所有権移転の時期についていかに定められたかを検討する。 (1)前記第2に訂正の上引用した原判決認定事実並びに証拠(甲3,4,5の1,2,乙1ないし3,5,7)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件契約において,被控訴人は控訴人に対し,本件土地1,2について,平成11年3月31日までに引き渡すこと,所有権移転登記手続に必要な書類を速やかに提出することが定められ,他方,控訴人は被控訴人に対し,売買代金のうち2301万9245円を本件土地1,2に存する建物の所有者,その借家人等と控訴人との間に補償契約が成立し,被控訴人が上記所有権移転登記手続に必要な書類を提出したときに支払い,残金986万6000円を本件土地1,2の引渡し,所有権移転登記及び上記補償契約の履行がされたときに支払う旨が定められた。 本件契約において,本件土地1,2についての所有権移転時期については明示して定められていないが,第8条に危険負担として,本件土地1,2が引渡しの時までに,控訴人の責めに帰すことができない事由により滅 失し,又は毀損したときは,その損害は被控訴 移転時期については明示して定められていないが,第8条に危険負担として,本件土地1,2が引渡しの時までに,控訴人の責めに帰すことができない事由により滅 失し,又は毀損したときは,その損害は被控訴人の負担とする旨が定められた。 イ本件契約書は,被控訴人が国と締結した売買契約書とほぼ同じ内容のものであり,国及び控訴人は,公共事業の用に供するための不動産を取得する場合に,本件契約書のような定型的な契約書を用意しているものとうかがわれる。 しかし,被控訴人が国と締結した売買契約書には,危険負担の規定はないが,本件契約書には,上記アの内容の危険負担の規定が定められている。 ウなお,本件全証拠によるも,控訴人が被控訴人に対し,本件契約の締結に当たって,本件土地1,2の所有権移転時期について本件契約締結時であること,本件特例に定める公共事業の用に供するため不動産を「譲渡した日」とは土地の所有権を移転した日をいうものであって,本件契約においては,契約締結日の平成10年12月28日に当たり,上記日時から2年の期間に代替不動産を取得しなければ,本件特例の適用を受けることができないことについて説明をしたとは認められないし,本件売買契約を締結するに当たって,被控訴人に対し,本件契約締結時に本件土地1,2の所有権が移転するということが控訴人の意図であると明確に示されていたとも認められない。 エ本件土地1,2上には株式会社A所有の建物が建築されており,同建物は株式会社Bが借家していてスーパーマーケットを営業していたが,本件土地1,2の売買に伴って行われる株式会社Bに対する営業補償等に係る交渉は,控訴人が担当していた。ところが,控訴人は,当初予定されていた本件土地1,2の引渡日である平成11年3月31日までに,株式会社Bとの間の交渉が合意に至りそうになか Bに対する営業補償等に係る交渉は,控訴人が担当していた。ところが,控訴人は,当初予定されていた本件土地1,2の引渡日である平成11年3月31日までに,株式会社Bとの間の交渉が合意に至りそうになかったので,被控訴人は,平成11年3月23日,控訴人の申入れに基づき,控訴人に対し,本件土地1,2の引渡期限の延期を依頼する旨の申出書を提出し,被控訴人及び控訴人は, 平成11年3月31日付けで,本件契約における本件土地1,2の引渡日を平成12年3月31日に変更する旨の本件変更契約を締結した。 控訴人は,被控訴人に対し,平成11年4月16日,本件土地1,2の売買代金の一部を支払い,被控訴人は,控訴人に対し,同月30日,平成10年12月28日売買を原因として,本件土地1,2について所有権移転登記をした。 なお,公共事業の施行者であるC事務所長作成の「公共事業用資産の買取り等の証明書」において,本件土地1,2の買取り等の年月日は,平成10年12月28日とされている。 (2)ア上記(1)アに認定した事実によると,本件契約においては,本件土地1,2についての所有権移転時期については明示して定められなかったので,民法176条の規定に基づき,本件契約締結時に本件土地1,2の所有権が被控訴人から控訴人に移転すると考えられなくもない。 イしかしながら,実際の不動産取引においては,売買契約締結時に所有権が移転するという例は少なく,買主が売買代金を完済したとき,あるいは売主が不動産の引渡し又は所有権移転登記を完了したときに所有権が移転するという例が多いと考えられる。 上記(1)イ,ウのとおり,控訴人は,被控訴人との本件土地1,2の売買契約締結に当たって,定型的な契約書を利用して売買契約を締結し,その際,控訴人が被控訴人に対し,本件契約の締結に当たって,本件土地 上記(1)イ,ウのとおり,控訴人は,被控訴人との本件土地1,2の売買契約締結に当たって,定型的な契約書を利用して売買契約を締結し,その際,控訴人が被控訴人に対し,本件契約の締結に当たって,本件土地1,2の所有権移転時期について本件契約締結時であることを説明したとは認められない。 本件土地1,2のような特定物売買においては,民法534条に基づき,売買の目的物が売主(債務者)の責めに帰することができない事由によって滅失又は損傷したときは,その滅失又は損傷は買主(債権者)の負担に帰する旨の債権者主義が規定されている(特定物売買においては,民法1 76条によって売買契約時に所有権が売主から買主に移転することが根拠の一つと考えられている。)が,本件契約書においては,国が公共事業の用に供するための不動産を取得する場合に用意している定型的な契約書には定められていない,危険負担の規定を特に第8条に設け,本件土地1,2が引渡しの時までに,控訴人(買主)の責めに帰すことができない事由により滅失し,又は毀損したときは,その損害は被控訴人(売主)の負担とする旨を定め,本件売買契約においては,危険負担について債務者主義をとって,民法534条の適用がないことを明確にしている。上記の趣旨からすると,本件契約においては,本件土地1,2の所有権は,売買契約時に移転するのではなく,本件土地1,2の引渡しが完了したときに移転することとし,同時に危険負担についても引渡しが完了するまでは,売主である被控訴人が負うと考えていたとするのが,本件契約を締結した当事者の意図として合理的であると考えられる。 ウところで,本件契約は,被控訴人において,その自発的な意思によってではなく,公共事業の用に供するために控訴人に対し本件土地1,2を譲渡させられたものである。本件特例の趣旨は であると考えられる。 ウところで,本件契約は,被控訴人において,その自発的な意思によってではなく,公共事業の用に供するために控訴人に対し本件土地1,2を譲渡させられたものである。本件特例の趣旨は,個人の有する生活の基盤ともいうべき不動産が本人の意思にかかわりなく公共事業の用に供するため強制的に収用され又は譲渡させられた場合には,通常やむなくこれに代わるべき不動産を必要とすることが多く,従前の生活保持かつ生活保障のための再投資である代替不動産の取得を税制が阻害する結果となることは相当でなく,むしろこのような場合には課税を軽減する措置を講ずることによってできる限り個人の財産権の維持,保障を図ることが合理的と考えられ,そして,このような取扱いを行うことにより公共事業用地の円滑な取得も図られることにあると解されるところ,上記(1)アウエのとおり,控訴人は,被控訴人に対し,本件契約締結に当たって,本件特例に定める公共事業の用に供するため不動産を「譲渡した日」とは土地の所有権を移転 した日をいうものであって,本件契約においては,契約締結日の平成10年12月28日に当たり,上記日時から2年の期間に代替不動産を取得しなければ,本件特例の適用を受けることができないことを説明したとは認められないこと,本件契約において,当初本件土地1,2の控訴人に対する引渡しが予定されていた平成11年3月31日までに株式会社Bに対する営業補償等に係る交渉の合意ができなかったので,被控訴人及び控訴人は,平成11年3月31日付けで,本件契約における本件土地1,2の引渡日を平成12年3月31日に変更する旨の合意をし,それによって売買代金の支払期日も延びることになったこと,株式会社Bとの間の上記交渉は控訴人が担当しており,本件土地1,2の引渡しが遅れたのは,被控訴人の 成12年3月31日に変更する旨の合意をし,それによって売買代金の支払期日も延びることになったこと,株式会社Bとの間の上記交渉は控訴人が担当しており,本件土地1,2の引渡しが遅れたのは,被控訴人の責任によるものではないことが認められる。 上記の本件契約が締結された事情,本件特例の趣旨,本件土地1,2の引渡しが遅れた事情等を総合考慮すると,本件契約における本件土地1,2の所有権移転時期を検討するに当たっては,被控訴人に不利にならないように配慮すべきであると考えられる。 エ以上の検討によれば,本件契約における本件土地1,2の所有権移転時期については,民法176条の規定に基づき,本件契約締結時に本件土地1,2の所有権が被控訴人から控訴人に移転したとするのは相当ではなく,本件契約には所有権移転時期について明示の記載はないが,控訴人及び被控訴人の意思としては,本件土地1,2の引渡しによって所有権が移転するというものであったと認めるのが相当である。 なお,本件土地1,2についての被控訴人から控訴人に対する所有権移転登記の登記原因としては,平成10年12月28日売買が記載され,公共事業の施行者であるC事務所長作成の「公共事業用資産の買取り等の証明書」において,本件土地1,2の買取り等の年月日は平成10年12月28日とされているが,かかる事実は上記判断を左右するものではない。 そうすると,本件土地1,2が控訴人に引き渡されその所有権が移転したのは平成11年3月31日以降のことであり,被控訴人が本件建物を取得したのは平成13年2月26日であるから,被控訴人の本件土地1,2の譲渡及び本件建物の取得は,本件特例の適用要件を満たしており,被控訴人の本件建物の取得に係る不動産取得税の課税標準について,本件土地1,2の譲渡を控除の対象としなかった本件賦 訴人の本件土地1,2の譲渡及び本件建物の取得は,本件特例の適用要件を満たしており,被控訴人の本件建物の取得に係る不動産取得税の課税標準について,本件土地1,2の譲渡を控除の対象としなかった本件賦課決定処分には,地方税法73条の14第8項の解釈適用を誤った違法がある。そして,本件土地1,2の譲渡を控除の対象として不動産取得税を正しく計算すると,本件賦課決定処分のうち,2350万8300円を超える部分は取り消されるべきである。 以上によれば,被控訴人の本件請求は理由があり,原判決は結論において相当であり本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部裁判長裁判官太田幸夫裁判官前田順司裁判官森一岳
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