平成20(行コ)295 行政処分取消請求控訴事件(原審・さいたま地方裁判所平成19年(行ウ)第29号)

裁判年月日・裁判所
平成21年6月18日 東京高等裁判所 公用負担・公用収用など
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判決文本文16,542 文字)

- 1 -主文 原判決を取り消す。 被控訴人が控訴人に対してした別紙換地処分目録記載の換地処分のうち,清算金額を同目録記載の額とする部分を取り消す。 訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨主文と同旨第2事案の概要 本件は,別紙換地処分目録記載1から3までの各「従前の土地(以下,併」せて「本件従前地」という)を所有していた控訴人が,α(β駅西側)土地。 区画整理事業(以下「本件事業」という)の施行者である被控訴人に対し,。 被控訴人が土地区画整理法に基づいて控訴人に対して行った別紙換地処分目録記載の換地処分(以下「本件換地処分」という)のうち,清算金(以下「本。 件清算金」という)の額を定めた部分について,当該額が固定資産税課税標。 準額(住宅用地につき地方税法349条の3の2の特例が適用されたもの)に基づいて算定されたために過少となっており,その算定が違法であると主張して,その取消しを求める事案である。 原審は,本件清算金の算定が固定資産税課税標準額に基づいて行われたことに違法な点はなく,その額の決定は適法なものであったとして,控訴人の請求を棄却した。そこで,控訴人がこれを不服として控訴した。 前提事実(争いのない事実及び掲記の証拠により容易に認められる事実)次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要等」2(1)から(6)まで(同2頁5行目から5頁20行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決2頁15行目の「同人」から同17行目の「本件換地処分通知書」までを「控訴人所有の本件従前地を別紙- 2 -換地処分目録記載1から3までの各「処分後の土地(以下,併せて「本件換」地」という)に換地する本件換地処分を行い 同17行目の「本件換地処分通知書」までを「控訴人所有の本件従前地を別紙- 2 -換地処分目録記載1から3までの各「処分後の土地(以下,併せて「本件換」地」という)に換地する本件換地処分を行い,同月27日,控訴人は,本件。 換地処分に係る換地処分通知書」に,3頁10行目の「表現される」を「表現される」にそれぞれ改める。 。 争点 被控訴人が本件清算金の算定を固定資産税課税標準額に基づいて行ったことについての違法性の有無 争点に関する当事者の主張次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要等」5の(原告の主張)及び(被告の主張(同5頁24行目から9頁2)6行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決5頁26行目の「行い,評価指数を1個61円と換算している」。 を「行っている」に改める。 。 (2)6頁26行目の「単価は」を「単価については」に,7頁2行目の「被告は本件土地を被控訴人は土地に同6行目のこれによりをこ」「,」,「」「」,「,」れを基準として行った評価によるにそれぞれ改め同9行目のすなわちの次に「被控訴人は」を加え,同10行目の「本件土地」を「土地」に改,め,同21行目末尾に改行の上,次を加える。 「このように,本件清算金の算定において,被控訴人が土地の評価に際して基準として用いた固定資産税課税標準額は,固定資産税評価額の約32パーセントにすぎず,住宅用地に係る固定資産税評価額が地価公示価格又は鑑定価額の7割を目途として評定されていることからすると,当該土地の時価のわずか約22.4パーセントにすぎないことになる」。 (3)7頁23,4行目の「なったが」を「なったものであるが,本件清算,」,「」「」,金の算定に ことからすると,当該土地の時価のわずか約22.4パーセントにすぎないことになる」。 (3)7頁23,4行目の「なったが」を「なったものであるが,本件清算,」,「」「」,金の算定においてに8頁12行目の本件処分を本件換地処分に同16行目の「取扱いは」を「取扱いは」にそれぞれ改める。 ,- 3 -(4)8頁18行目の「清算金は」を「清算金は」に,同22行目の「なさ,れるを行われるに9頁15行目の固定資産税課税標準価格を固」「」,「」「定資産税課税標準額」にそれぞれ改め,同18行目末尾に改行の上,次を加える。 「また,被控訴人は,本件清算金の算定に当たり,住宅用地の評価について地方税法349条の3の2の特例が適用された固定資産税課税標準額を採用したが,これは,土地区画整理事業における清算金制度の趣旨に照らせば,取引価格又は固定資産税評価額よりも当該固定資産税課税標準額の方が,その制度趣旨に適うものであるためである。仮に,取引価格又は固定資産税評価額を算定の基礎として採用した場合には,清算金を徴収される土地の権利者はこれを売却しなければ実現することができない価値を負担させられることになり,また,清算金の交付を受ける土地の権利者は従前の価値を維持した上でさらにこれを売却したと同様の利益を受けることとなるが,いずれも宅地の利用の増進という土地区画整理事業の目的には適わないところである」。 (5)9頁20行目の「清算金の算定の基礎とする」を「本件清算金の算定の基礎とした」に改め,同22行目冒頭から同26行目末尾までを削る。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人の本件請求は理由があるものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 土地区画整理法94条について土地区画整理法 頭から同26行目末尾までを削る。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人の本件請求は理由があるものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 土地区画整理法94条について土地区画整理法においては,土地区画整理事業(都市計画区域内の土地について,公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため,同法で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業。同法2条1項)を施行する者は,施行地区(土地区画整理事業を施行する土地の区域。同法2条4項)内の宅地について換地処分を行うため,換- 4 -地計画を定めなければならず(同法86条1項前段,換地計画において換地)を定める場合においては,換地及び従前の宅地の位置,地積,土質,水利,利用状況,環境等が照応するように定めなければならず(同法89条1項,換)地を定めた場合において,不均衡が生ずると認められるときは,従前の宅地の位置,地積,土質,水利,利用状況,環境等を総合的に考慮して,金銭により清算するものとし,換地計画においてその額を定めなければならない(同法94条前段)とされている。 この土地区画整理法94条の清算金の制度は,従前の宅地とそれについて定められた換地との関係につき,換地設計上の技術的理由等から,換地相互間に不均衡が生ずることが避けられない場合における当該不均衡を是正するためのものであると解されるところ,換地計画において換地に係る清算金を定めようとする場合においては,都道府県又は市町村は,土地の価額を評価しなければならないものとされ,その評価の適正を担保するため,その評価については同法65条1項の規定により選任された評価員の意見を聴かなければならないとされている(同法65条3項)ことに照らすと,同法においては,当該清算金の算定は 評価の適正を担保するため,その評価については同法65条1項の規定により選任された評価員の意見を聴かなければならないとされている(同法65条3項)ことに照らすと,同法においては,当該清算金の算定は土地の適正な評価額を基準として行うべきものとされていることは明らかである。 固定資産税課税標準額について固定資産税は,土地その他の固定資産の有する価値に着目して課税するものであって,その課税標準は,原則として固定資産の価格であり(地方税法349条349条の2この価格とは適正な時価をいうものとされている同,),,(法341条5号。 )この適正な時価とは,正常な条件の下において成立する取引価格をいうものと解されるところ,固定資産の評価は,総務大臣が定める固定資産評価基準に(,),よって行われることを要するものとされており同法388条403条1項固定資産評価基準においては,土地につき売買実例価額を基準として評価する- 5 -方法が採られ,宅地については,地価公示価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の鑑定評価から求められた価格を基準とし,これらの価格の7割を目途に評価を行うこととされている(甲11。この評価に基づき決定される固定)資産税評価額が,原則として固定資産税課税標準額となる。 なお,多くの課税客体を有する固定資産税については,評価事務に係る費用等の観点から,課税標準額を一定期間据え置くものとすることに合理性があることから,土地及び家屋については,その課税標準額を原則として3年間据え置くこととされている(同法349条1項から3項まで。 )ところで,固定資産税については,各種の政策的要請に基づく課税上の特例が設けられており,その一つに,住宅用地に対する課税標準の特例がある。すなわち,住宅用地に対して課する固定資産 から3項まで。 )ところで,固定資産税については,各種の政策的要請に基づく課税上の特例が設けられており,その一つに,住宅用地に対する課税標準の特例がある。すなわち,住宅用地に対して課する固定資産税の課税標準は,当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1(小規模住宅用地にあって)()。 ,は6分の1の額とするものとされている同法349条の3の2これは住宅用地について,住宅政策上の観点から,税負担の軽減を図る趣旨で設けられている特例であると解されるものであり,固定資産税の税額が課税標準額に所定の税率を乗ずることによって導かれるものであるところ,上記の住宅用地に係る特例は,その税額を3分の1(又は6分の1)に減額するため,立法技術的に,その税率を減ずるという手法ではなく,当該住宅用地に係る課税標準額を機械的に本来の額の3分の1(又は6分の1)に減ずるという手法を採用するものであるにすぎず,その特例が適用された課税標準額が当該住宅用地の「価格(同法341条5号)や適正な評価額を意味することとなるものでは」ないことは明らかである。 被控訴人が本件清算金の算定を固定資産税課税標準額に基づいて行ったことについての違法性の有無について(1)以上を踏まえて検討するに,上記のとおり,本件清算金の算定に当たっ,,ては本件事業の施行地区内の従前地及び換地の各宅地価格の評価に際して- 6 -住宅用地につき上記の特例が適用された固定資産税課税標準額が用いられ,その結果,指数単価が61円と決定されたものであるところ,被控訴人は,土地区画整理事業における清算金制度の趣旨,土地区画整理事業の特質等にかんがみると,清算金を算定するために必要とされる土地の評価は時価又は取引価格とは当然異なったものとなるべきであり,本件清算 は,土地区画整理事業における清算金制度の趣旨,土地区画整理事業の特質等にかんがみると,清算金を算定するために必要とされる土地の評価は時価又は取引価格とは当然異なったものとなるべきであり,本件清算金の算定に当たって固定資産税課税標準額が用いられたことは合理的である旨主張する。 確かに,施行地域内の広大な面積に及ぶ多数の従前地及び換地の双方につき同一時点における公平かつ迅速な評価をすることが要請される土地区画整理事業の特質にかんがみれば,一般に,その清算金の算定に当たってその評価につき固定資産税課税標準額を用いることは,許容され得るものと解される。しかしながら,それは,上記のとおり固定資産税の課税標準が原則として当該固定資産の適正な時価である「価格」とされているが故であり,具体的な固定資産税課税標準額が当該固定資産の適正な評価額を表していないことが明らかである場合において,当該固定資産税課税標準額を用いることが,。 ,許されないことは上記の清算金制度の趣旨に照らして自明であるそして本件清算金の算定の基礎に用いられた固定資産税課税標準額は住宅用地につきその特例が適用されたものであり,それが当該住宅用地の評価額を意味するものでないことは上記のとおりであって,当該固定資産税課税標準額を用いて行われた本件清算金の算定は,土地区画整理法94条に違反するものであることが明らかであるといわなければならない。 (2)また,証拠(甲4,8)及び弁論の全趣旨を総合すれば,被控訴人は本件事業につき施行規程及び「土地評価基準(甲4)を定めており,当該施」行規程においては,従前の宅地及び換地の評定価額は施行者がその位置,地積,区画,土質,水利,利用状況,環境,固定資産税の課税標準等を考慮し評価員の意見を聴いて定めると規定され「土地評価基準」においては,従 においては,従前の宅地及び換地の評定価額は施行者がその位置,地積,区画,土質,水利,利用状況,環境,固定資産税の課税標準等を考慮し評価員の意見を聴いて定めると規定され「土地評価基準」においては,従,前の宅地及び換地の評価方法につき路線価式評価方法を採用することとした- 7 -上「指数1個当たりの単価は,鑑定評価額及び固定資産税課税標準価額,,売買実例等を考慮して評価員の意見を聞いて定める(第10条)と規定。」されていることが認められるが,それらの規定における固定資産税の課税標準又は「固定資産税課税標準価額」とは,上記の清算金制度の趣旨にかんがみれば「固定資産税の課税標準となるべき価格(地方税法349条の3,」),,の2すなわち固定資産税評価額を指すものと解するのが合理的であってそれらの規定の存在をもって,住宅用地につきその特例が適用された固定資産税課税標準額を用いた本件清算金の算定を適法なものと評価することはできないものというべきである。 (3)さらに,被控訴人は,土地区画整理事業における清算金の制度趣旨に照らせば,取引価格又は固定資産税評価額を用いるよりも住宅用地につきその特例が適用された固定資産税課税標準額を用いる方が,その制度趣旨に適う旨主張するところ,その趣旨は,要するに,清算金額が多額になることが宅地の利用の増進という土地区画整理事業の目的には適わないとするものである。 この点について,上記認定事実に弁論の全趣旨を総合すれば,本件事業における清算は従前地の評価相当分を確保した上での換地相互間の不均衡の是正を目的とするものであり,清算金の徴収対象者が390名,交付対象者が293名であること,仮に固定資産税評価額を基礎として清算金の算定を行ったとすると,指数単価は189円となり,徴収対象者からの各徴収金額 的とするものであり,清算金の徴収対象者が390名,交付対象者が293名であること,仮に固定資産税評価額を基礎として清算金の算定を行ったとすると,指数単価は189円となり,徴収対象者からの各徴収金額及び交付対象者への各交付金額はそれぞれ約3倍の額となるべきであることが認められるが,土地区画整理法が換地相互間に生ずる不均衡を清算金をもって是正することを義務付け,かつ,当該清算金の算定は土地の適正な評価額を基準として行うべきこととしていること,及び住宅用地に係る特例が適用された固定資産税課税標準額を当該住宅用地の適正な評価額とみることができないことは上記のとおりであり,被控訴人の主張は,同法が是正されるべ- 8 -きものとしている不均衡の是正を約3分の1の程度にとどめることを正当化せんとするものであって,およそ採用することができない。 以上のとおり,本件清算金の算定は土地区画整理法94条に違反するものであるから,本件換地処分のうち,清算金額を別紙換地処分目録記載の額とする部分は,その取消しを免れないというべきである。 よって,控訴人の請求を棄却した原判決は不当であって,本件控訴は理由があり,控訴人の請求を認容すべきであるから,主文のとおり判断する。 東京高等裁判所第7民事部裁判長裁判官大谷禎男裁判官相澤哲裁判官吉村真幸- 9 -(別紙)換地処分目録事業名草加都市計画事業α(β駅西側)土地区画整理事業処分日平成17年3月15日処分対象地及び清算金額 従前の土地α×番1宅地76.03㎡処分後の土地同×番2宅地69.09㎡清算金額13万5244円の交付 従前の土地α×番2宅地247.93㎡処分後の土地同×番3宅地226.09㎡清算金額39万 .03㎡処分後の土地同×番2宅地69.09㎡清算金額13万5244円の交付 従前の土地α×番2宅地247.93㎡処分後の土地同×番3宅地226.09㎡清算金額39万0917円の交付 従前の土地α×番宅地181.81㎡処分後の土地同×番1宅地166.09㎡清算金額26万7942円の交付- 10 -(原裁判等の表示)主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 草加市長が原告に対してなした別紙換地処分目録記載の換地処分のうち清算金額を同目録記載の額と定める部分を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 第2事案の概要等 事案の概要本件は,別紙換地処分目録1,2及び3記載の従前の土地(本件従前地)を所有していた原告が,α(β駅西側)土地区画整理事業(本件事業)の施行者である被告に対し,被告が土地区画整理法に基づいて原告に対して行った換地処分(本件換地処分)のうち,被告が定めた清算金(本件清算金)の額が過少であり,違法であると主張して,換地処分のうち清算金の額を定めた部分の取り消しを求めた事案である。 争いのない事実等(証拠により容易に認められる事実は,かっこ内に証拠を示す)。 (1)当事者ア原告は,本件換地処分当時,本件従前地を所有していた者である。 イ被告は,土地区画整理法に基づき,本件事業を施行する者である。 (2)本件事業本件事業は,P1線β駅西側の約34万平方メートルの区域において,街路,広場,公園,緑地等の整備を行うことを目的として,昭和43年5月10日の都市計画決定(公告)及び昭和50年3月15日の事業計画決定(公- 11 -告)に基づいて施行されたものである。 (3)本件換地処分被告は 等の整備を行うことを目的として,昭和43年5月10日の都市計画決定(公告)及び昭和50年3月15日の事業計画決定(公- 11 -告)に基づいて施行されたものである。 (3)本件換地処分被告は,平成17年3月15日,原告に対し,土地区画整理法103条1項に基づき,同人所有の本件従前地を別紙換地処分目録1,2及び3記載の換地処分後の土地(本件換地)に換地する処分(本件換地処分)を行い,同月27日,原告は本件換地処分通知書を受領した。被告は,本件換地処分において,原告に対し,別紙換地処分目録記載のとおり本件清算金を交付する旨定めた。 (4)本件清算金の算定方式被告は,本件換地処分に伴う清算金を,いわゆる比例清算方式により,以下のとおり算定した。 ここで,比例清算方式とは,土地区画整理事業施行前と施行後との宅地価格の総額が同額とならない場合において,その差額相当額を従前の各筆宅地価格に比例配分し,整理前と整理後との宅地総価格を同額として各筆の清算金を定める方法である。この方法は,事業施行地区内における換地についての宅地価格の総額と従前地についての宅地価格の総額とを比較し,前者の後者に対する比(比例率)を求め,これを従前地の評価額に乗じて標準指数を求め,これと当該換地の評価額とを比較するものであり,このことにより,各従前地の同一区画整理事業地区内における土地価格の増進変動の有無及び,。 その程度範囲を客観的に数値としてとらえることが可能となるものであるなお,算定の際に必要となる土地価額の評価においては,各街路に付された路線価を基礎としてこれを各土地の形状等に応じて修正するという方法が用いられた。この路線価は,実務上「点数」あるいは「個数」として表現される(通常,区画整理事業地内の従前の最高路線価を1000個としたうえで,各街路の路 を各土地の形状等に応じて修正するという方法が用いられた。この路線価は,実務上「点数」あるいは「個数」として表現される(通常,区画整理事業地内の従前の最高路線価を1000個としたうえで,各街路の路線価はこの最高地点との相対比として表現される。 )【比例算定方式による算定方法】- 12 -清算金額={a×比例率-b}×指数単価a:個々の宅地の整理前評定指数比例率:整理後の宅地の評定額の合計/整理前の宅地の評定額の合計b:個々の宅地の整理後評定指数a×比例率<b・・・清算金の徴収となるa×比例率>b・・・清算金の交付となるa×比例率を標準指数という。 【本件清算金の算定】本件従前地の1平方メートル当たりの路線価:929個本件従前地の面積:505.77平方メートル本件従前地の評定指数(a):(路線価929個/平方メートル)×505.77平方メートル=46万9860個本件事業施行地区内の換地の宅地価格の総額=146億1752万9979円本件事業施行地区内の従前地の宅地価格の総額=139億7809万2477円比例率:146億1752万9979円/139億7809万2477円=1.04574569標準指数(a×比例率:46万9860個×1.04574569)=49万1353個本件換地の1平方メートル当たりの路線価:1037個本件換地の面積:461.27平方メートル本件換地の評定指数(b):(路線価1037個/平方メートル)×461.27平方メートル=47万8336個- 13 -指数単価:61円清算金額:49万1353個-47万8336個)×61円(=79万4037円なお,本件清算金の額は合計79万4103円であり,上記計算による清算金額との間に差が生じているが,これは,便宜上本件換地をまとめて計算し 53個-47万8336個)×61円(=79万4037円なお,本件清算金の額は合計79万4103円であり,上記計算による清算金額との間に差が生じているが,これは,便宜上本件換地をまとめて計算したためである。 (甲3の2)(5)指数単価の算定方法被告は,本件清算金の算定において,本件事業の施行地区内30か所について平成15年度の固定資産税課税標準額を調査し,土地の面積,土地の評価指数及び土地評価額の合計を求めたうえ,以下の計算方法により指数単価を61円と算定した。 A:整理後の宅地価格=平成15年度における本地区内30地点の固定資産税課税標準額の合計=4億6097万5733円B:本地区内30地点の評価指数の合計=758万0377個S:本地区内30地点の対象面積の合計=評価面積(仮換地面積)7984平方メートル又は換地面積(出来形面積)7984.24平方メートルA/S(評価面積:)=4億6097万5733円/7984平方メートル=5万7737.44円/平方メートルB/S(換地面積:)=758万0377個/7984.24平方メートル- 14 -=949.42個/平方メートル評価指数1個の単価:5万7737.44円/949.42個=61円(甲3の2)(6)本件訴訟提起に至る経緯原告は,平成17年4月28日,本件換地処分に対して審査請求を行ったが,埼玉県知事は,平成19年3月30日,原告の審査請求を棄却する旨の裁決を行い,同裁決は同年4月2日に原告に送達された。 原告は,平成19年9月12日,本件訴えを提起した。 争点 清算金を固定資産税課税標準額に基づいて算定することの違法性 争点に関する当事者の主張(原告の主張)本件清算金の算定において,被告は,整理前後の宅地価格の評価を固定資産税課税標準額に基づ 争点 清算金を固定資産税課税標準額に基づいて算定することの違法性 争点に関する当事者の主張(原告の主張)本件清算金の算定において,被告は,整理前後の宅地価格の評価を固定資産税課税標準額に基づいて行い,評価指数を1個61円と換算している。しかし,固定資産税課税標準額を基準として清算金の算定をすることは,以下の理由により違法である。 ア土地区画整理法94条違反土地区画整理法94条は,換地処分において換地の結果不均衡が生じる場合には金銭により清算する旨を定めているところ,同条の趣旨は,同法に基づいて強制的に進められる土地区画整理事業において生じた事業地内の権利者相互間の不均衡を是正するところにある。そして,土地の価額を著しく下回る額により算定した清算金を交付しても,権利者相互間の不均衡は是正されないから,清算金の算定に当たっては,土地の価額を基準とすべきである。このことは,同法65条3項が清算金を定めるに当たり,土地等の「価額を評価しなければならない」とし,その際には評価員(土- 15 -地又は建築物の評価について経験を有するもの)の「意見を聞かなければならない」と定めていることからも明らかであるといえる。 もっとも「土地の価額」といってもその価額を定めることは必ずしも,容易ではなく,土地区画整理事業において大量の不動産を一度に評価する必要があることに照らせば,事業者が個々の物件について土地価額を定める方法をとらずに土地価額を表象する何らかの公的価額に依拠しつつ土地価額を決めることは許容されるというべきである。 ただし,その場合であっても基準として採用すべきは土地価額を示す評価額でなければならないことは明らかであり,公示価額批准額,路線価額(相続税,固定資産税評価額などがこれにあたる。そして,土地の取引)価額を示すこれらの価 も基準として採用すべきは土地価額を示す評価額でなければならないことは明らかであり,公示価額批准額,路線価額(相続税,固定資産税評価額などがこれにあたる。そして,土地の取引)価額を示すこれらの価額が存在する場合に,それらをあえて排した上で,公的評価額の水準と全くかけ離れた水準の基準を採用することは許されるものではない。被告は自ら定めた土地評価基準(甲4)においても「適,正な土地の評価」をすることを目的とした諸規定を定めているが,そこでは指数1個あたりの単価は固定資産税課税標準額だけでなく鑑定評価額及び売買実例等を考慮することが要求されている(同基準10条。 )本件清算金の算定において,被告は本件土地の評価に際して固定資産税課税標準額を基準として,評価指数を1個61円と換算している。しかしながら,固定資産税課税標準額は,固定資産税の税額を各種の政策上の観,()点から統制する目的で設けられた基準額であって土地の価額取引価額とは明らかに異なる意味を持つ数値であり,これにより土地の評価額は,著しく時価と乖離するものとなり,さらに以下のように公的な評価額と比較しても不当に低廉な額になってしまう。 すなわち,固定資産税課税標準額に基づき,評価指数を1個61円と換算しているが,これは,被告が本件土地の評価額を1平方メートルあたり6万3257円と評価したことを意味している(6万3257円=従前地- 16 -の指数1037個×61円。 )しかしながら,平成15年度公示価額比準額によれば,1平方メートルあたりの評価額は27万3428円となる(近隣の地価公示地「γ-×」に比準したもの。平成15年度公示価額43万5000円に公示地と本件土地との路線価比(220/350)による地点修正を加えて算出。本件土地の路線価は,東西及び南北の両道路の路線 地価公示地「γ-×」に比準したもの。平成15年度公示価額43万5000円に公示地と本件土地との路線価比(220/350)による地点修正を加えて算出。本件土地の路線価は,東西及び南北の両道路の路線価の平均を用いた。ま。)た,平成15年度路線価(相続税)によれば,1平方メートルあたりの評価額は22万円(東西及び南北の両道路の路線価の平均)となり,平成。 15年度固定資産税評価額によれば,1平方メートルあたりの評価額は22万9000円となる。 以上より,本件清算金は,被告がその算定に当たって,固定資産税課税標準額を基準として土地の評価を行ったため,不当に低廉な価格になったが,固定資産税課税標準額を基準とすることは,土地区画整理法が清算を義務付けた趣旨に反し,同法94条に反するものである。 なお,本件清算金の額が時価と乖離しているのは,区画整理事業の技術的な制約を反映したものと評価することはできない。 イ必要事項を考慮しなかった違法(),,被告は前記のとおり自ら土地評価基準甲4を定めており同基準は「適正な土地の評価」をするために,指数あたりの単価の算定において,固定資産税課税標準額だけでなく鑑定評価額及び売買実例等を考慮することを要求している(同基準10条。 )本件清算金の算定に当たって,被告は,固定資産税課税標準額を基準として用いるのみであり上記規定により考慮すべきとされる土地の価額を考慮に入れていない。 この点においても,被告の本件処分は違法であるといえる。 ウ憲法14条違反- 17 -本件処分のように時価を著しく下回る尺度を用いて清算金を算定した場合には,事業において標準以上の利益をたまたま手にした者はそうでない者の犠牲の上に故なく利益を得ることになり,これは区画整理事業者たる行政機関がこうした不合理をあえて是正す 用いて清算金を算定した場合には,事業において標準以上の利益をたまたま手にした者はそうでない者の犠牲の上に故なく利益を得ることになり,これは区画整理事業者たる行政機関がこうした不合理をあえて是正することなく放置することを意味。 。 するかかる合理的な理由のない不平等な取扱いは憲法14条に違反する(被告の主張)土地区画整理事業における清算金は事業の施行による宅地の利用増進という事業効果を当該施行地区内の宅地等の権利者に配分した場合に生ずる不均衡を是正するためのもの,つまり利用価値の不均衡を是正するためのものである。また,上記是正が宅地の権利者相互間における金銭の授受という方法によりなされるものであり,さらに広大な面積に亘る多数の従前の宅地及び換地の双方について,同一時点において公平かつ迅速に評価を行うことが要請されるものであることなど,土地区画整理事業の特質等に鑑みると,清算金を算定するために必要とされる土地の評価は,時価ないし取引価格とは当然異なったものとなる。 上記特質を考慮すれば,事業の施行者は,清算金の算定に際して,清算金の趣旨に沿う清算金の額を合理的に算定できるような統一された方法を採用すれば足りるものといえる。 本件において,被告は,権利者別清算金の徴収・交付額の分布の検証や固定資産税評価額を基礎とした場合の清算金額との比較検討を行ったうえ,施行地区内の権利者の相当数の理解が得られ,かつ,事業の円滑な終了が見込める清算金算定の基礎として合理的な固定資産税課税標準額を選定し,評価員及び審議会への諮問を経て,評価指数1個あたりの額を61円に決定しているのであるから,何ら違法はない。 加えて,清算金が前述のように,事業の施行による事業効果の配分の不均衡を是正するためのものであることからすれば,その清算金の算定に際して- 18 1円に決定しているのであるから,何ら違法はない。 加えて,清算金が前述のように,事業の施行による事業効果の配分の不均衡を是正するためのものであることからすれば,その清算金の算定に際して- 18 -土地の評価をするに当たっては,土地の持つ収益性の観点からの,換言すれば,継続的に土地を使用収益することを基礎として生ずる価値を表す評価を基準とすべきである。このような観点からの評価として最も代表的な公的評価は,固定資産税課税標準価格である。すなわち,固定資産税は,収益的財産税であって,その課税客体たる固定資産とは,使用収益するところに財産的価値が見出されるものであり,その課税標準は収益価格としての評価であるとされている。 以上より,固定資産税課税標準額を基準として清算金を算定することは,むしろ適切な方法といえ,被告がこれをもって清算金の算定の基礎とすることには何ら違法はない。 また,原告は,仮換地指定処分及び使用収益通知がなされた後の,平成6年3月23日及び同年7月6日の売買により本件従前地の所有権を取得している。原告は,仮換地指定がなされ,かつ公共施設整備が終了して使用収益ができることとなった本件換地を確認した上で売買により取得したものであ,。 るから本件清算金の多寡によって不測の損害を被る立場にある者ではない第3争点に対する判断 清算金を固定資産税課税標準額に基づいて算定することの違法性について(1)土地区画整理法94条違反の有無土地区画整理は,都市計画区域内の土地について,公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図り,健全な市街化の造成を図ることを目的として,土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する工事をするものであり(土地区画整理法1条,2条1項,土地区画整理事業において,施)行地区内の宅地に換地を交付 の造成を図ることを目的として,土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する工事をするものであり(土地区画整理法1条,2条1項,土地区画整理事業において,施)行地区内の宅地に換地を交付する場合には,従前地と換地が照応するように()。 ,,定めなければならないとされている同法89条1項しかし現実には公益上の必要及び換地設計上の技術的理由から,換地相互間に若干の不均衡が生ずることは避けられない。この不均衡を金銭でもって是正しようとする- 19 -のが清算金の制度であると解される。 なお,換地不交付や強減歩の場合のように,換地照応の原則の適用がない場合の金銭の交付徴収については,不均衡是正をするという清算金の特質になじまないから,損失補償的な性格を有するものと解すべきである。 本件換地処分は,前記争いのない事実等によれば,上記換地照応の原則の適用がない場合に当たらないから,本件清算金の趣旨は,換地相互間の不均衡を是正するものであり,しかも本件清算金は,上記争いのない事実等に認定したとおり区画整理前の評価額相当分を確保した後の増加分の不均衡の是正を目的とするものである。 ところで,清算金の算定に当たっては,土地の評価をする必要があるが,この土地評価は施行地区内の広範な土地について公平かつ迅速に行う必要がある。また,土地区画整理事業を円滑に遂行するためには,施行地区内の権利者の多数の納得を得られるよう配慮する必要性も存在する。 清算金の趣旨が,前記のように換地相互間の不均衡を是正する点にあること,区画整理における土地評価に当たっては上記のような点を考慮する必要性があることに鑑みれば,土地の評価は必ずしも取引価格を前提とする価額である必要はなく,土地区画整理事業の施行に適合した合理的な評価方法によれば足りると解すべきである は上記のような点を考慮する必要性があることに鑑みれば,土地の評価は必ずしも取引価格を前提とする価額である必要はなく,土地区画整理事業の施行に適合した合理的な評価方法によれば足りると解すべきである。土地区画整理法94条もこれを許容する趣旨であると解すべきである。 他方,固定資産税課税標準額は「適正な時価」とされているところ(地,方税法341条5項,この額は,固定資産税が収益的財産税であることを)前提に,担税力等の政策的な配慮等から,交換価値を前提として得られた固定資産税評価額をもとにして,これに一定の数を乗じたり,又は前年度の課税標準に負担調整率を乗じるなどして求められるものである。 そこで,本件清算金の算定にあたって,固定資産税課税標準額をもって算定することが上記土地区画整理法94条に違反するものであるかについて検- 20 -討する。本件清算金は,上記のとおり土地区画整理事業の結果増加した,宅地の利用増進という事業効果の配分における不均衡を是正することを目的としているのであるから,その基礎となる土地の評価を行うにあたっては,使用収益することによって生ずる価値に着目して評価を行うことが相当であり,そうであれば,収益的財産税としての固定資産税課税標準額を用いて算定することは相当というべきである。また,上記のような必要性が認められることに鑑みれば,固定資産税課税標準額を,本件清算金算定の際の土地評価の基準とすることは合理的なものであるということができる。そして,本件清算金の算定にあたり採用された固定資産税課税標準額自体に不合理な点はない。 したがって,被告が固定資産税課税標準額に基づいて本件清算金の算定を行ったことが法94条に違反するということはできない。 なお,原告は,公示価額,路線価額(相続税,固定資産税評価額など,)土地の取 したがって,被告が固定資産税課税標準額に基づいて本件清算金の算定を行ったことが法94条に違反するということはできない。 なお,原告は,公示価額,路線価額(相続税,固定資産税評価額など,)土地の取引価額を示す価額が存在する場合に,それらをあえて排した上で,公的評価額の水準と全くかけ離れた水準の基準を採用することは許されないと主張するが,合理的と認められる基準のうち,いかなる基準を採用するかについては,区画整理事業の施行者が円滑な事業遂行のために施行地区内の権利者の納得という点等も勘案して定めるべき裁量事項であり,また上記のとおり,本件清算金の額の算定の基礎となる土地の評価については,収益的財産税である固定資産税課税標準額を採用したことが相当であることに照ら,,。 すとその裁量を逸脱したということはできず原告の主張には理由がないまた,原告は,固定資産課税課税標準額が,固定資産税評価額(いわゆる7割評価により求められた価額)につき,さらに政策的考慮により低額に抑えた金額であることから,交換価値から乖離しており本件清算金の算定にあたって用いられるべきではない旨主張するが,本件清算金は,その趣旨目的に照らすと,必ずしも交換価値相当の価値の回復を図るものではないのであ- 21 -るから,交換価値との乖離があったとしてもやむを得ないのであり,また本件における乖離の程度をもって本件清算金の趣旨目的を没却するものともいえない。 (2)必要事項を考慮しなかった違法の有無前記のとおり,固定資産税課税標準額を採用したことは相当であり,他の事項を考慮しない違法はなく,この点の原告の主張にも理由がない。 なお,原告の指摘する土地評価基準の10条(甲4)においては「指数,1個当たりの単価は,鑑定評価額及び固定資産税課税標準額,売買実例等を考慮して評価 違法はなく,この点の原告の主張にも理由がない。 なお,原告の指摘する土地評価基準の10条(甲4)においては「指数,1個当たりの単価は,鑑定評価額及び固定資産税課税標準額,売買実例等を考慮して評価員の意見を聞いて定める」と規定されているが,この規定か。 ,,,ら鑑定評価額や売買実例による価額を清算金の算定の際に考慮したうえさらにこれを清算金に反映させることが必要であるとまで解することはできない。 そうすると,上記評価員の意見を聞く手続を欠くと認めるべき証拠のない本件においては,上記規程に反する判断がなされたということもできない。 (3)憲法14条違反の有無について前述のとおり,清算金算定に当たり,固定資産税課税標準額を基準とすることは合理的であるといえるから,この点に関する原告の主張にも理由がない。 結論 以上のとおり,本件清算金の額の決定は適法であり,原告の請求には理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第4民事部裁判長裁判官遠山廣直- 22 -裁判官八木貴美子裁判官辻山千絵

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