令和7(わ)301 殺人、窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年10月30日 千葉地方裁判所
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判決文本文2,249 文字)

令和7年(わ)第301号殺人、窃盗被告事件令和7年10月30日千葉地方裁判所刑事第3部宣告 主文 被告人を懲役19年に処する。 未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 理由 (犯行に至る経緯)被告人は、消費者金融から借金をするなど金銭に窮する中で、日中の勤務先以外からも収入を得るため、令和6年8月上旬、千葉県市原市ab番地cホテルA(以下「本件ホテル」という。)で夜間のアルバイトを開始した。被告人は、本件ホテルの同僚であるBに好意を寄せるようになり、Bに連絡先を尋ねて断られたほか、勤務終了後の深夜に居残って深夜勤務中のBと会話をしたり手を握ったりして、Bの相談を受けた本件ホテルの店長から注意されたが、なおもBも自分に好意を持っていると思っていた。一方で、被告人は、好意を抱いた女性動画配信者に対して送金等を続けていたが、連絡が取れなくなったことなどから、その女性にだまされていたことに気付いた。 被告人は、同年10月中旬から本件ホテルのアルバイトを無断欠勤していたところ、同月31日、本件ホテルに行き夜勤のBに会って連絡先を聞きたいなどと考えたが、店長にはバレたくないと思い、何かあったらBを縛ろうなどとも考えて、日中の勤務先からビニール紐と結束バンドを持ち出し、深夜、これらを持って本件ホテルに向かった。 被告人は、同年11月1日午前1時頃、本件ホテルに到着し、フロント事務室内において、Bに連絡先を尋ねたものの断られ、その後、仕事に戻ろうとしたBを引き止めようとしてその首にビニール紐を巻き、「落ち着いて、話なら聞くよ。」などと言われたが、来訪が店長にバレて怒られたくない、Bも自分をだましているの かなどという思いから、殺害を決意した。 (犯罪事実)被告人は、第 、「落ち着いて、話なら聞くよ。」などと言われたが、来訪が店長にバレて怒られたくない、Bも自分をだましているの かなどという思いから、殺害を決意した。 (犯罪事実)被告人は、第1 令和6年11月1日午前1時24分頃から同日午前1時57分頃までの間に、本件ホテルフロント事務室において、Bに対し、殺意をもって、その頸部をビニール紐で絞め付けた上、その腹部を包丁(刃体の長さ約16センチメートル)で複数回突き刺し、さらに、その頸部を包丁で多数回切り付け、よって、その頃、同所において、同人を絞頸による窒息若しくは腹部刺切創及び頸部切創による出血性ショック又はそれらの競合により死亡させて殺害した第2 前記日時頃、前記フロント事務室において、同所に設置されたレジスター内から有限会社C代表取締役D管理の現金1万2600円を窃取し、本件ホテル105号室において、同所に設置された精算機の扉の隙間にバール様のものを差し入れてこじり、同精算機内から同人管理の現金を窃取しようとしたが、同精算機の防犯装置の警報音が鳴り、その場から逃走したため、その目的を遂げなかったものである。 (量刑の理由)被告人は、持ってきたビニール紐で被害者の頸部を3分程度絞め続け、被害者が動かなくなった後も、持ってきた結束バンドで被害者の両手首を縛った上で、隣の台所から包丁を持ち出し、包丁の刃が曲がるほど強い力で腹部を複数回深く突き刺し、首を多数回切り付けて、その場で被害者を死亡させた。さらに、その後、自らが作り出した犯行が容易な状況に乗じて窃盗にも及んだ。各犯行の計画性は認められないものの、本件殺人は、強固な殺意に基づく非常に危険で残酷な犯行である。 本件犯行により、被害者は想像を絶する恐怖や身体的苦痛を受けた後、その場でかけがえのない生命を奪われており 画性は認められないものの、本件殺人は、強固な殺意に基づく非常に危険で残酷な犯行である。 本件犯行により、被害者は想像を絶する恐怖や身体的苦痛を受けた後、その場でかけがえのない生命を奪われており、結果は極めて重大である。被害者の兄が厳しい処罰を求めることも当然といえる。 被告人が、判示の経緯を経て、店長にバレて怒られたくない、被害者も自分をだ ましているのかなどと考えたことには、境界知能の特性(先の見通しを立てることが困難で、未熟な人格傾向があること、想像力に乏しく、論理的な思考や状況判断、計画的な行動が不得手なことが多いこと等)が現れているといえる。しかし、そのような考えにより、被害者を殺害するという決意をし、上記のような態様で殺害を遂げた点は、背景にある境界知能の特性が現れているというよりは、もっぱら被告人自身の意思によるものと認められるから、境界知能の特性は動機形成の過程に影響を及ぼしたにとどまる。被告人は、人命を軽視して何ら非のない被害者を殺害したのであるから、強く非難すべきである。 以上の犯情に加え、被告人が本件各犯行を認め、被告人なりに反省の態度を示していることや、量刑上考慮すべき前科はないことなどを考慮し、同種の事案(殺人1件、単独犯、凶器:ひも・ロープ類又は刃物類、被害者の立場:知人・友人・勤務先関係、被害者の落ち度:なし、量刑上考慮した前科:なし)の量刑傾向を参照の上、主文の刑に処するのが相当であると判断した。 (求刑懲役22年、弁護人の科刑意見懲役14年)令和7年10月31日千葉地方裁判所刑事第3部 裁判長裁判官池田知史 裁判官東尾和幸 裁 裁判所刑事第3部 裁判長裁判官池田知史 裁判官東尾和幸 裁判官合田愛

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