主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 国土交通大臣が,平成17年12月19日付けで沖縄県に対してした空港設置許可処分(同日付け国空管第○号)を取り消す。 3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要等 1 本件は,沖縄県が同県石垣市に設置しようとする公共の用に供する飛行場(以下「本件空港」という。)の敷地の一部の土地の共有者である控訴人らが,処分行政庁が平成17年12月19日付け国空管第○号をもって沖縄県に対してした本件空港の設置を許可する旨の処分(以下「本件許可処分」という。)につき,航空法(平成20年法律第75号による改正前のもの。以下同じ。)38条2項,3項(航空法施行規則78条1項,76条1項4号),39条1項又は環境影響評価法(平成20年法律第75号による改正前のもの。 以下「評価法」という。)33条1項の規定に違反する瑕疵があるなどとして,本件許可処分の取消しを求める事案である。 原審は,本件許可処分は適法であるとして,控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,これを不服として控訴人らが控訴した。なお,原審において,本件空港予定地の敷地の共有者でない原判決別紙当事者等目録2記載の原告らの訴えについては,原告適格が認められないとして,いずれも却下されたが,同原告らからの控訴は,なされなかった。 2 関係する法令の定め,前提事実,本件許可処分の根拠及び適法性に関する当事者の主張,争点及び争点に関する当事者の主張は,次の3ないし5のとお り,当審における控訴人らの主張を付加するほか,原判決「事 する法令の定め,前提事実,本件許可処分の根拠及び適法性に関する当事者の主張,争点及び争点に関する当事者の主張は,次の3ないし5のとお り,当審における控訴人らの主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」1ないし5(原判決2頁2行目冒頭から14頁3行目末尾まで及び同152頁冒頭から同407頁末尾まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,専ら原判決別紙当事者等目録2記載の当事者に関する部分を除く。 3 本件許可処分は,航空法39条1項1号並びに同法施行規則79条1項4号及び7号イに違反する。 (1) 本件許可処分がされた当時の計画が実現した場合における滑走路等の直下の客観的強度は設置許可申請の審査対象となるものというべきであり,原判決が,設置しようとする滑走路等が有すべき性能としての強度の計画が十分な強度を有する計画になっていれば航空法39条1項1号違反の問題は生じないとした点は,不当である。 本件許可処分時点での審査内容に滑走路直下の地盤の客観的強度が含まれることは,平成20年の航空法施行規則一部改正により,同規則79条1項4号及び7号が改められ,強度を要求される滑走路等には「基礎地盤を含む」ことが明記され(同4号),滑走路等の性能について「自重,土圧,地震動…,水圧,波浪…等による損傷等が当該施設の機能を損なわず,継続して使用することに影響を及ぼさないこと」とされた(同7号)ことにより明らかになった。これらの強度に関する規定は,新たに追加された規定ではなく,これまでも黙示的な規定として存在しており,本件許可処分にかかる審査の中では基礎地盤等の強度については当然ながら十分な審査がなされなければならないものであった。特に滑走路が自重,土圧,地震動等による損傷によっても影響を受けず,継続 ており,本件許可処分にかかる審査の中では基礎地盤等の強度については当然ながら十分な審査がなされなければならないものであった。特に滑走路が自重,土圧,地震動等による損傷によっても影響を受けず,継続して使用できるか否かについては,滑走路直下の地盤の客観的強度抜きには判断できない。 (2) 原判決の説示する「二段階審査」の不当性ア原判決(33頁)が,航空法は,第1段階の飛行場設置許可申請の審査 の段階では,施設の設置の計画が基準に適合するものであるかについて審査し,基準に適合しない計画による飛行場の施設の設置工事が行われることを防ぐとともに,第2段階の完成検査の審査の段階では,完成した施設がその設置の計画に適合するものであるかについて審査することにより,設置の計画に適合せず,ひいては基準に適合しない施設が供用されることを防ぐことによって,航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止(航空法1条参照)を図ろうとしているものと解されるとして,本件許可処分がされた当時の計画が実現した場合における滑走路等の直下の客観的強度は事実上設置許可申請の審査対象とならず,実際に設置される滑走路等が計画された強度を有するものであるかどうかは,第2段階である完成検査の審査事項であるとした点は,不当である。原判決が「二段階審査」を要求している点は甚だ失当であり,あくまで,設置許可処分の審査は,航空法39条の定める審査によって完結するものというべきであり,完成検査の役割は,2度のチェックを通じて安全性の確保を図ることにある。 そもそも,行政処分は,申請,申請に対する審査,処分の順に行われるのが通常であり,本件の場合,航空法38条2項に基づく飛行場の設置許可申請がなされ,これを受けた国土交通大臣が同法39条に基づき審査を行い,その結果 分は,申請,申請に対する審査,処分の順に行われるのが通常であり,本件の場合,航空法38条2項に基づく飛行場の設置許可申請がなされ,これを受けた国土交通大臣が同法39条に基づき審査を行い,その結果に基づいて設置許可処分をするか否かを決定する。しかるに原判決は,同法42条に基づく飛行場完成時の検査をあたかも設置許可申請に対する第2段階の審査であるかのように位置づけている。かかる原判決の論理に従えば,飛行場の設置については,申請,申請に対する審査(第1段階),処分,申請に対する審査(第2段階)の順に行われることになり,行政処分の順序立てに反するものである。 イ航空法48条は,同法42条1項の検査(飛行場完成時の検査)の結果,飛行場が申請書に記載した設置又は変更の計画に適合していないと認 めるときは,設置許可を取り消し,又は期間を定めて,空港等の全部若しくは一部の供用の停止を命ずることができると定めている。すなわち,同法42条1項の飛行場完成時の検査は,それ以前に確定している設置許可処分の取消処分又は供用停止処分を行うための行政手続として位置づけられている。 ウ原判決を前提にすると,飛行場の設置許可処分の適法性を争う際には,原則として飛行場の滑走路直下の地盤の客観的強度を理由にして争うことができないことになる。そうすると,飛行場の滑走路直下の地盤の客観的強度について争う機会がどこかの段階で与えられなければならない。原判決が航空法42条に基づく飛行場完成時の検査を重視していることを踏まえるならば,国土交通大臣が完成検査に合格した(航空法42条2項)とすることについての処分性を肯定し,その処分の適法性を争う際にかかる機会が与えられることになるはずである。しかし,東京地方裁判所平成20年1月29日判決(判例時報2000号27頁)は 42条2項)とすることについての処分性を肯定し,その処分の適法性を争う際にかかる機会が与えられることになるはずである。しかし,東京地方裁判所平成20年1月29日判決(判例時報2000号27頁)は,鉄道施設変更工事の完成検査に関する事案において,かかる検査を定めた規定は,安全な輸送及び安定的な輸送を確保することによって公共の福祉を増進することを目的とするものであって,周辺住民の利益を保護したものではないということを理由に,完成検査の結果,当該鉄道施設を合格とした処分の適法性を周辺住民が争うことはできないとした。これを前提とすれば,控訴人らのような者が飛行場の完成検査後の合格通知処分の適法性を争うことができないことになり不当である。 エ完成検査の役割滑走路直下の地盤の客観的強度が完成時に不足していれば,そのような滑走路を持つ飛行場を開港させるべきではないから,滑走路直下の地盤の客観的強度は,完成検査時の審査対象となる。この点は原判決も認めるところであるが,それはそもそも,滑走路直下の地盤の客観的強度が設置許 可申請時の審査対象になっているからだというべきである。実際,滑走路直下の地盤の客観的強度が不足していた場合,滑走路の陥没により航空機の離着陸時に死傷者が出る恐れがあるのであって,完成検査の役割は,2度のチェックを通じて安全性の確保を図ることにあるというべきである。 したがって,完成時の検査ではなく,あくまで設置許可申請時の審査がメインであるというべきである。 (3) 原判決が,滑走路等の設置の計画と滑走路等の直下の地盤の客観的強度とを対比,区別して考えるべきものでない理由として,「飛行場の設置の許可の申請時における滑走路等の直下の地盤の強度について,これを滑走路それ自体等の強度と区別して申請書の記載事項とし又はこ 観的強度とを対比,区別して考えるべきものでない理由として,「飛行場の設置の許可の申請時における滑走路等の直下の地盤の強度について,これを滑走路それ自体等の強度と区別して申請書の記載事項とし又はこれを明らかにする資料を添付書類とする航空法及び航空法施行規則等の関連法令の規定は見当たらないこと」を挙げているが,飛行場の設置が想定される場所では直下地盤の強度が問題になることが稀であるために法令上の規定が存在しなかったに過ぎない一方,滑走路直下の地盤の強度を明らかにする資料は飛行場の工事設計と密接不可分の関係にある以上,航空機の航行の安全を重視する航空法の趣旨に照らせば,かかる資料を空港等の工事設計図書(航空法施行規則76条2項3号)の一部として申請書に添付することが黙示の要件であったと理解すべきである。 (4) 原判決は,滑走路等の強度の変更(同法施行規則85条1号)には国土交通大臣の許可が必要であるが(航空法43条1項),「滑走路等の構造等をどのようなものとするかについての具体的な計画(設計図書等)を変更することについては国土交通大臣の許可を必要としていないこと」(原判決37頁)を挙げているが,変更に許可を要する対象としての「滑走路の強度」には「滑走路直下の地盤の強度」も含まれると理解すべきである。 (5) 原判決は,本件許可処分に際しては基礎地盤の点も考慮しているという具体的な根拠を何ら示すことなく,かかる点も考慮しているとしているが, 実際には基礎地盤の強度を考慮していない。 (6) 本件洞窟等の危険性についてア本件許可処分当時の計画によっては完成時(計画実現時)の本件空港滑走路及び誘導路等の直下の地盤が十分な強度を有しているとは言えず,本件空港の滑走路及び誘導路等が航空機の想定される運航状況に十分耐えるだけの強度 当時の計画によっては完成時(計画実現時)の本件空港滑走路及び誘導路等の直下の地盤が十分な強度を有しているとは言えず,本件空港の滑走路及び誘導路等が航空機の想定される運航状況に十分耐えるだけの強度を欠いていることは明らかである。本件許可処分は,E洞窟,B1洞窟,A1洞窟及び現存すると考えられる未知の空洞の存在並びにドレーンの設置により,これらの洞窟及び空洞が崩落して滑走路が陥没する危険性を看過し,航空法39条1項1号並びに同法施行規則79条1項4号及び7号イに違反した違法なものであるから,同処分は取り消されるべきである。 各洞窟等の問題点はイ以下のとおりである。 イ E洞窟についての問題点(ア) E洞窟崩壊のプロセス名蔵礫層と琉球石灰岩層(秋吉台等に比べ,強度が不均質で強度が低い部分も含んでいる。)の境目から名蔵礫層にかけて広がっている。琉球石灰岩は,古くても200万年前と新しく,強い圧力や熱を受けていないために強度が不均質であり,強度が低い部分も含んでいる(甲202・4頁,a5,6頁,)。またE洞窟の下半分を構成する名蔵礫層の強度は,スコップ等で容易に削り取ることができるほどで,琉球石灰岩に比べてかなり弱い(甲152・12頁以下,a34頁)。 本件空港が設置されると滑走路の下には雨水が浸透せず,滑走路の下に位置する洞窟周辺の地層が乾燥する(甲151・1頁,219・20頁)。乾燥により,鍾乳石の接着力が弱まり,鍾乳石と琉球石灰岩との接着面が剥がれ,鍾乳石剥離が発生する。鍾乳石剥離が起きると,基盤が収縮して亀裂が広がり,広がった亀裂のために接着力がなくなった部 分が層理剥離を起こし,洞窟が拡大する(甲151・1頁,甲178・13頁,甲182・2頁)。E洞窟には,このような剥離現象を起こしている部分が36か 広がった亀裂のために接着力がなくなった部 分が層理剥離を起こし,洞窟が拡大する(甲151・1頁,甲178・13頁,甲182・2頁)。E洞窟には,このような剥離現象を起こしている部分が36か所あり,そのうち特に5か所が危険であり,そのいずれもが本件空港の滑走路予定地直下にある(甲184・1頁)。 本件空港の滑走路周辺には,内陸部地域の雨水も集まり,地下川となって流れ込んでくるのに加えて,本件空港設置工事が開始されると,設置工事現場周辺の雨水は,浸透ゾーンⅡを含む浸透ゾーンに集められ,そこから地下に浸透させるものとされている。しかし,浸透ゾーンⅡ内には吸い込み穴が9つ以上存在し,そのうち5つについては一体のケイブシステムであるC洞ないしE洞につながっている(甲189・4頁)。 以上からすれば,本件空港設置工事が開始されると,通常時は乾燥が進む一方,大雨などの増水時には,大量の水がE洞窟を流れることになる。増水時には洞窟内の水が地下水として浸透することはなく,その結果,本件空港設置工事が開始されると,増水によりE洞窟内での砂層剥離が誘発される(甲196・1頁)。これらの剥離現象により,E洞窟内の強度は低下する。E洞窟上には盛土をするため,圧力がかかり,さらに,本件空港の開港後には航空機の着陸による圧力がかかる。かかる圧力は,空洞に集中し,岩層の耐久力を超えると,空洞が崩落する。 現在,滑走路の強度を確保するという理由で,構造物をE洞窟の上に設置しているが,これにより,E洞窟の天板に強い圧力が掛かる上,E洞窟の乾燥が進み,また,沖縄県が,E洞窟の支流に浸透ゾーンⅡの水を流すことにし,E洞窟の吐水口の穴も大きくしたことにより,空気が流れ,E洞窟内の乾燥に拍車がかかる(甲193・3頁,195,199・3頁)。剥離現象が た,沖縄県が,E洞窟の支流に浸透ゾーンⅡの水を流すことにし,E洞窟の吐水口の穴も大きくしたことにより,空気が流れ,E洞窟内の乾燥に拍車がかかる(甲193・3頁,195,199・3頁)。剥離現象が進行し,E洞窟の天井崩落により,水流が変化し,大雨等で増水する等の事態が発生することにより,E洞窟の名蔵礫 層部分が削られれば,E洞窟は広がり,構造物の幅を超え,盛土の圧力によってE洞窟が崩壊し,また,構造物の基礎が損壊し,構造物自体が崩れ,滑走路が陥没する(甲193・4頁,196・1頁,200・1頁,6頁)。 (イ) 国土交通大臣は,E洞窟の安定性を確保できないためにE洞窟が崩壊し,その上にある本件空港の滑走路が陥没するおそれを看過し,本件許可処分をした。 b氏の平成16年8月から9月にかけての洞窟調査により(甲149,152),E洞窟が本件空港滑走路の直下に存在することが平成16年11月までに明らかになった。沖縄県は,平成16年12月に,国土交通大臣に対し,滑走路等の強度について,新石垣空港建設工法検討委員会資料(甲14,15議事録)及び変形解析結果資料(甲146)をもとに説明した(甲147)。E洞窟を対象とした変形解析結果資料によれば,沖縄県は,E洞窟の下半分が名蔵礫層で構成されていた場合,E洞窟崩壊に関する安全率が1.01と最低限の基準1.00をクリアしているか否かといえる数値となっており,再度E洞窟についての洞窟内変位を計測する必要があることを認識していた(甲146)。 平成17年11月21日,沖縄県,b及びcの打合せにおいて,既往調査では,空洞周辺地盤は琉球石灰岩と想定されていたが,E洞窟における地盤調査では石灰岩(粘土質礫)あるいは,礫混じり粘土であり,既往の空洞影響検討時の地盤条件と比べ,かなり弱い地盤と おいて,既往調査では,空洞周辺地盤は琉球石灰岩と想定されていたが,E洞窟における地盤調査では石灰岩(粘土質礫)あるいは,礫混じり粘土であり,既往の空洞影響検討時の地盤条件と比べ,かなり弱い地盤と想定されるとされ,E洞窟に対する地盤調査及び影響対策の検討が提案されていた(甲157,158)。沖縄県は,滑走路直下に存在する名蔵礫層の強度について十分検討することを怠って設置許可申請をしたのである。 国土交通大臣は,沖縄県に確認することにより,遅くとも本件許可処分当時までにはかかるリスクを容易に知ることができたはずである。に もかかわらず,国土交通大臣は,平成17年12月19日に本件許可処分をするまでの間,同年9月の本件空港設置許可申請時に舗装構造の確認を行うことしかせず(甲147),E洞窟の安全性に対する不安を解消することなく,本件許可処分をした。 (ウ) 沖縄県は,平成19年7月23日に開催された第10回新石垣空港建設工法検討委員会において「空洞の崩壊の可能性があることが判明した」として「空洞崩壊対策工事」を実施する予定であるとしている(甲11)。被控訴人は,遅くとも平成19年7月23日の工法検討委員会の開催時以降,直ちに本件許可処分を取り消す義務を負っていたといわねばならない。 (エ) 違法な本件許可処分につき瑕疵の治癒を認める余地はない。 本件許可処分後に出された対策,すなわちE洞窟の上に構造物を置き,本件空港の滑走路の強度を確保する対策によっても,本件空港の滑走路の陥没を防ぐことはできず,かかる対策は無意味である。 ウ B1洞窟崩壊による滑走路崩壊のおそれ浸透ゾーンⅡには周辺の雨水が流れ込み,また,浸透ゾーンⅡ内の吸い込み穴の1つはB1洞窟につながっており,B1洞窟へ雨水が流れ込む(甲189・4頁,1 ウ B1洞窟崩壊による滑走路崩壊のおそれ浸透ゾーンⅡには周辺の雨水が流れ込み,また,浸透ゾーンⅡ内の吸い込み穴の1つはB1洞窟につながっており,B1洞窟へ雨水が流れ込む(甲189・4頁,190・30頁,194・1頁,197・3頁)。そのため,増水時には,B1洞窟が海抜26mの高さまで冠水し,B1洞窟は透水性の高い琉球石灰岩でできていることから,冠水時に洞窟周辺の土壌に高い水圧が掛かり,土壌が滑走路を支えきれなくなり,滑走路は崩壊する(甲187・2頁,193・5頁,194・1頁,196・18頁,200・2頁,7頁,224・1頁)。b氏は,B1洞窟に伴う危険を繰り返し沖縄県に訴えたが,沖縄県はこれを無視し,B1洞窟を破壊した(甲194・1頁)。国土交通大臣はかかる危険を看過し,本件許可処分をした。 エ A1洞窟崩壊による滑走路崩壊のおそれ浸透ゾーンⅡには周辺の雨水が流れ込み,また,浸透ゾーンⅡ内の吸い込み穴の1つはA洞窟につながっており,A洞窟を通じてA1洞窟へ雨水が流れ込む(甲190・29頁)。A1洞窟は本件空港の滑走路の下を走っており,その吐水口は滑走路の下にあるから,浸透ゾーンⅡに流れ込んだ水は,地下水として滑走路の直下に溜まり,そこから粘土を巻き込んで流れることになり,滑走路の直下で粘土が削れた分の空間が生じ,結果として滑走路は陥没する(甲200・2頁)。国土交通大臣はかかる危険を看過し,本件許可処分をした。 オ不適切なドレーン設置による滑走路崩壊のおそれ本件空港設置にあたり,排水処理にドレーンが3つ使用されているが,そのうちの1つは,本件空港付近のケイブシステムを流れる水の吐出口と重なっており,増水時には大量の水が流れ,かかるドレーンに流れる水が周囲に漏れ出し,周辺の土壌を崩す可能性が高い 使用されているが,そのうちの1つは,本件空港付近のケイブシステムを流れる水の吐出口と重なっており,増水時には大量の水が流れ,かかるドレーンに流れる水が周囲に漏れ出し,周辺の土壌を崩す可能性が高い(甲193・3頁)。また,残りの2つのドレーンは盛土内に設置されることになるが,浸透ゾーンⅠに近いところに設置されているため,ドレーンに土が詰まった場合には,水の力により滑走路が破壊される可能性が高い(甲193・3頁)。 このように不適切なドレーンの設置により,滑走路が崩壊する危険がある。国土交通大臣はかかる危険性を看過し,本件許可処分をした。 カ J洞窟について本件空港の用地の直下をJ洞窟が走っているが,沖縄県は,J洞窟の存在を見落として,本件設置許可申請をした(甲189・1頁,192・1頁,225・1頁)。 キ K洞窟についてもともとK洞窟を流れていた地下水は,B1洞窟の方向に流れ込んでいたが,本件空港の建設工事によりK洞窟が埋設されたため,浸透ゾーンⅡ に流れ込むことになり(甲223・1頁,225・2頁),流れ込んだ水がE洞窟,B1洞窟,A1洞窟の崩壊を導くことになる。K洞窟は,本件空港の用地の直下を走っているが,沖縄県は,K洞窟の存在を見落として,本件設置許可申請をした(甲225・1頁)。 ク未知の洞窟について本件空港用地内の地下に未知の洞窟が多数あることが推測されていたが(甲143,a),沖縄県は十分な洞窟調査をしないまま本件設置許可申請をした。その結果,本件許可処分後にB1洞窟,J洞窟,K洞窟,C1洞窟等が発見され,さらにb氏らの調査において,滑走路の下に「小規模な地下水系の可能性」のある箇所が明らかになった(甲144)。これらの事実は,本件空港用地内の地下,とりわけ滑走路下に未知のまま存在し 等が発見され,さらにb氏らの調査において,滑走路の下に「小規模な地下水系の可能性」のある箇所が明らかになった(甲144)。これらの事実は,本件空港用地内の地下,とりわけ滑走路下に未知のまま存在している洞窟が多数あることを示唆している(a)。 このような洞窟には,本件空港の設置に伴い,滑走路を整備するための盛土や航空機の着陸による圧力が掛かる。そのためこれら未知の洞窟は,将来的に崩壊する可能性があり,かかる崩壊は,本件空港の滑走路の陥没につながる(a32頁)。 4 5号要件(航空法39条1項5号の要件)の充足の有無について(1) 原審が,5号要件の充足の有無につき,当事者の主張立証がほとんどないまま,土地収用法上の事業認定要件の充足の有無を決定的争点として位置づけて判断をしたことは弁論主義違反である。 (2) 設置許可時における5号要件の充足の有無は,土地収用法の手続によらず,任意買収等の交渉により確実に土地の所有権その他の使用権原を取得できるか否かにかかっている。 航空法39条1項5号は,土地収用法3条の特則であるから,航空法39条1項5号の趣旨は,「飛行場の設置においては,土地収用法の手続によらず,任意買収等の交渉により確実に土地の所有権その他の使用の権原を取得 できることが認められなければならない」ことにある。 本件では,平成17年12月19日時点で,本件空港建設予定地内にある1556㎡の土地を654名の地主が共有しており,そのほぼ全員が未同意地権者となっていた。その上,これら未同意地権者のうち,少なくとも約300名が,平成17年8月から12月ころにかけて,国土交通大臣に対し,「新石垣空港建設用地の不提供に関する通知」と題する内容証明郵便によって,自ら所有する土地を本件空港建設用地に提供しない旨の意思 00名が,平成17年8月から12月ころにかけて,国土交通大臣に対し,「新石垣空港建設用地の不提供に関する通知」と題する内容証明郵便によって,自ら所有する土地を本件空港建設用地に提供しない旨の意思を表示している。 (3) 本件事業は,次のとおり,土地収用法20条3号の要件に適合しない。 ア同号の判断には,裁量権限の相応の制限が生じるものである(東京高裁昭和48年7月13日判決参照)。 イ本件空港の需要が高いとは見込まれないこと現空港については,平成18年度ないし19年度をピークとして,近年は利用者の減少する傾向がみられ,現空港の利用客が減少傾向にあるのは,日本国内の経済情勢の低迷,少子高齢化及び人口減少傾向といった構造的な要因によるものであり,今後需要が大きく増加することは考えがたく,本件空港建設の前提となっている需要予測は過大なものと認められる。国土交通省の国内空港需要予測は破綻している。 ウ国土交通大臣による本件許可処分は,滑走路の強度,乱気流や津波への対応等について,航空法及び施行規則の数々の規定に違反していることから,沖縄総合事務局長による事業認定処分により空港運営上の問題が生じるといえ,本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益があるとはいえず,事業認定処分は土地収用法20条3号の要件に適合しない。 エ現空港でのオーバーラン事故の危険性について被控訴人は,昭和57年8月26日のf航空機オーバーラン事故につい て,事故の直接の原因が機長の制動停止動作の不適切さにあったことを認めながら,滑走路長が短いことによる過重な精神的負担が影響していることも否定できないと主張する。しかし,実際には1500mの滑走路で小型ジェット機を就航させており,同年以降には同種の事故は発生してい めながら,滑走路長が短いことによる過重な精神的負担が影響していることも否定できないと主張する。しかし,実際には1500mの滑走路で小型ジェット機を就航させており,同年以降には同種の事故は発生していないのである。もし危険であるならただちに対策を講じなければならず,その場合,現空港の滑走路を少し斜めにして,遺跡を回避して滑走路を延長する工事をすることは容易に出来ることである。空港整備特別会計の適切な支出の観点から言っても2000mの滑走路を確保するには,現空港拡張案がもっとも妥当である。 オ航空機騒音問題について現空港周辺の騒音は嘉手納基地,普天間基地に比べれば,早急な対策が必要とされるレベルではなく,土地収用法20条3号で考慮すべきレベルにない。現空港周辺については,航空機にかかる環境基準はそもそも指定されていない。沖縄県が公表している騒音コンターでは,うるささ指数(WECPNL値)で75を超える地区は,現空港のごく近くの部分にかぎられている。石垣市に対する騒音の苦情も少なく,嘉手納基地,普天間基地の周辺の騒音コンターとは比較にならないものである。現空港が,暫定ジェット化された後も同空港周辺に居住する住民が増えていることから(甲248),騒音被害があるとしても,受忍限度内と感じる者が多数おり,同法20条3号の評価に当たり考慮すべきレベルの騒音被害とはいえない。 (4) 本件事業による絶滅危惧種である小型コウモリ類に対する影響及び赤土流出によるサンゴ礁に対する影響から,本件許可処分には,評価法33条(横断条項)違反があり,事業認定処分は土地収用法20条3号の要件に適合しない。 (5) 事業計画策定及び事業認定に至るまでの経緯について 沖縄県は,当初からα岳陸上案(本件起業地)を選択することを前提としていた 処分は土地収用法20条3号の要件に適合しない。 (5) 事業計画策定及び事業認定に至るまでの経緯について 沖縄県は,当初からα岳陸上案(本件起業地)を選択することを前提としていたものであって,合理的な位置選定は行われていない。平成11年8月に設置された選定委員会において,α岳東側,α岳陸上,β,γの4案を候補地として審議されたが,既存施設を有効活用でき,自然環境への負荷や事業費が少なくて済む現空港の拡張案(北側・南側拡張)は含まれていなかった。 (6) 本件起業地が本件事業の用に供されることによって失われる利益が大きい。 ア自然的価値・ヤエヤマコキクガシラ等の小型コウモリ3種及びサンゴ類は取り返しのつかない重大な影響を受けるおそれがある。 イ文化的価値本件起業地内洞窟(C1洞窟,後にd洞穴と命名)で発見された人骨等は,極めて高い公共性が認められ,十分な調査をする必要がある。 沖縄県は,平成16年11月の時点で,洞窟の測量調査を依頼したbから,「A洞,E洞などには堆積層があり相当な化石が存在している」「D洞は遺跡で人骨を発見している」などの調査報告の概要を受け,平成17年1月にbから,化石調査の必要性を要請されていた。しかし,沖縄県が平成17年9月に縦覧させたアセス補正書には,国内最古の人骨やその出土遺跡については一切の言及がない。事業認定の告示においてもこの件は全く触れられていない。その後,平成19年8月の浸透ゾーンⅡの掘削工事において,C1洞窟が発見され,bがその洞窟調査を行い,同年12月にC1洞窟(埋設本洞)から人の頭蓋骨などが発見された。そして,翌平成20年5月の調査において,「化石のホール」と呼ばれる場所から,国内最古と分かったものを含む人骨5点とイノシシの骨などが出土したが,その約2 埋設本洞)から人の頭蓋骨などが発見された。そして,翌平成20年5月の調査において,「化石のホール」と呼ばれる場所から,国内最古と分かったものを含む人骨5点とイノシシの骨などが出土したが,その約2か月弱後の平成20年8月27日に事業認定処分が下された。 ウ得られる利益と失われる利益との衡量について,選択の基準が一切明示 されておらず,客観的基準を見いだすことは不可能であって,本件起業地の選定におよそ合理性が認められない。 エ本件事業が土地収用法20条3号への該当性を欠くことは明らかである。 (7) 本件事業が土地収用法20条4号の要件に適合しない。 申請事業を早期に施行する必要性は認められない。本件起業地の範囲及び収用又は使用の別の合理性を議論する余地はない。そもそも本件起業地への空港設置自体が不合理なのであるから,上記合理性を議論するまでもない。 5 評価法違反の点について(1) 原判決は,保全されるべき対象の取捨選択及び選択された対象の保全方法の選択については,もっぱら免許等を付与する者の合理的な裁量に委ねられている旨説示し,免許等を付与する者の判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合でない限り,免許等を付与する者の判断を尊重しているが,免許等を付与する者の判断が違法となる場合について,司法審査の対象をあまりに狭く解しすぎている。評価法は,保全すべき環境対象や保全のための手段方法の選択に際し,免許等を付与する者の裁量を常に「ベスト追求」という観点から羈束していると解すべきであり,この点でその裁量には限界が存する。 (2) 原判決(63頁)が,環境影響評価を行うにあたって検討すべき「環境保全措置」に,事業計画地についての代替案検討は含まれないと解しているが,評価法自体の解釈から,「環境保全措置」 が存する。 (2) 原判決(63頁)が,環境影響評価を行うにあたって検討すべき「環境保全措置」に,事業計画地についての代替案検討は含まれないと解しているが,評価法自体の解釈から,「環境保全措置」の中に事業計画地について代替案の検討が含まれるか否かを検討する必要があり,評価法の趣旨は「ベスト追求」であり,立地についての代替案検討は,環境影響の回避・低減に資する程度が著しく大きく,事業者が地方公共団体の場合,事業計画地を選定することは十分に可能なのであるから,評価法は事業計画地について代替案の検討をも義務付けていると解すべきである。 (3) 原判決は,いわゆる23条意見ないし24条意見に事業者が合理的理由を示さずに対応しなくとも,免許等を付与する者が環境配慮審査適合性を認めるに際し特段問題はない旨説示しているが,不当であり,事業者は,合理的理由が存在しない限り,24条意見に対応しなければならず,24条意見に対応しない場合,事業者が対応しない合理的理由を明示しなければならないと解すべきである。また,評価法25条の「前条」には,同法23条も含まれるのであり,事業者は23条意見を勘案すべきであり,23条意見は,免許等を行う者による環境配慮審査の際に審査の基礎とされるものである。 (4) 本件国土交通大臣意見1ないし10について原判決は,国土交通大臣の24条意見に対応していないことを理由とする控訴人らの主張を採用することができないとするが,以下のとおり誤っている。各国土交通大臣意見は,環境配慮として必要不可欠な意見としてなされた可能性があるとみるべきであるから,事業者が対応しない理由を明示しなければならないことになるところ,このような理由を明示していないのであるから,国土交通大臣の裁量は拘束され,本件許可処分は,裁量権を逸脱 性があるとみるべきであるから,事業者が対応しない理由を明示しなければならないことになるところ,このような理由を明示していないのであるから,国土交通大臣の裁量は拘束され,本件許可処分は,裁量権を逸脱,濫用したものと評価すべきである。 ア本件国土交通大臣意見1について原判決は,本件国土交通大臣意見1は,同意見2以下で求めるものに対する取組とは別個独立の取組を求める趣旨であると解することはできないと説示するが,同意見1は,同意見2と区別して意見が述べられているのであるから,同2以下とは別の取組みを求める趣旨と解すべきである。 イ本件国土交通大臣意見2について原判決は,本件国土交通大臣意見2は,B洞窟,C洞窟及びE洞窟を可能な限りコウモリ類が利用できる状態で保全することを求める趣旨であり,コウモリ類の利用がなくなってしまったところにコウモリ類を戻ってこさせる方策を求める趣旨ではないと説示したが,同意見2にはない「状 態で」との文言を付加しており,同意見2が環境保全のために要求している水準を低く変容しており失当である。同意見2は,工事期間中にコウモリ類の利用がなくなってしまった空洞や滑走路の直下に残された空洞をコウモリ類が利用できるようになる方策を要求しているとみるのが自然であるが,本件補正書はこれに対応していない。 ウ本件国土交通大臣意見3について原判決は,本件補正書は,本件国土交通大臣意見3に対応していないとは認め難いと説示するが,事業者の行った調査は,年間を通じた調査でないことが明らかであり,コウモリ類の生態を調査する場合に,通常は複数年にわたる調査,最低でも1年を通じた調査が不可欠であり,コウモリ類の生態を調査して保全の要否を検討すべきとした同意見3の趣旨に反する。 エ本件国土交通大臣意見4 態を調査する場合に,通常は複数年にわたる調査,最低でも1年を通じた調査が不可欠であり,コウモリ類の生態を調査して保全の要否を検討すべきとした同意見3の趣旨に反する。 エ本件国土交通大臣意見4について原判決は,A洞窟奥部の地下水に影響を与えないためにより万全な対策が検討され,これが講じられることとされたと説示しているが,本件国土交通大臣意見4で要求されている浸透方法についての再検討は行われていない。また,ドレーン層を10m下流に動かしても,結局A洞窟の上部にドレーン層があり,ドレーン層を通じてA洞窟内に赤土を含む雨水が流入することに変わりはない。沖縄県の対応は,同意見4に全く対応していないに等しい。 オ本件国土交通大臣意見5について原判決は,本件国土交通大臣意見5がコウモリ類の生息継続を達成すること自体を直接求めているわけではないとした上で,本件補正書が同意見5に対応していないということはできないと説示したことは失当である。 カ本件国土交通大臣意見6について原判決は,本件国土交通大臣意見6が,その余の意見に対する対応とは 切り離した別個独立の対応を求める趣旨であるとは認められないとするが,法律が大臣意見制度を設けた趣旨を没却するような解釈は許されない。また,原判決は,本件補正書が,A及びD洞窟を対象として,建設機械の稼働による騒音・振動レベルが最大となる3年次ないし5年次の出産・ほ育時期及び冬眠時期に,事後調査を行い,環境影響の程度が著しいことが明らかになった場合には,洞窟付近での作業を一旦休止し,専門家の指導・助言を得た上で適切な措置を講じることとしていること(8-9ないし11)から,同意見6に対応していないということはできないとするが,機械的に出産時期を判定することはできず,事後調査といっ 家の指導・助言を得た上で適切な措置を講じることとしていること(8-9ないし11)から,同意見6に対応していないということはできないとするが,機械的に出産時期を判定することはできず,事後調査といっても形式的なものにすぎず,工事を休止することなどできないから,事後調査を評価するのは誤っている。 キ本件国土交通大臣意見9について原判決は,本件国土交通大臣意見9について,どのような内容の人工洞窟を設置整備するのが相当かの検討経過や具体的な設置整備の内容を評価書に示すことまでは求めていないとして,本件補正書が同意見9に対応していることは明らかであるとしたが,同意見9は,整備することを要求しているのに,本件補正書の記載は整備を検討するというだけのものであって,同意見9に対応したとは評価できない。また,現在の人工洞については,コウモリ類が生息しているという報告はなく,人工洞穴の整備は極めて困難であることは明らかである。 ク本件国土交通大臣意見10について原判決は,本件国土交通大臣意見10が,要するに,当該情報の提供,関係機関への要請などを行う措置を採ることとして,その旨を評価書に記載することを求めるにとどまるものであるとして,控訴人らが指摘するような記載がないとしても,そのことをもって同意見10への対応が不十分であるということはできないと説示するが,本件補正書には,事業実施区 域や事業者が取得する地域の周辺の洞窟の保全や採餌場所としての林地に該当するいかなる区域において,潜在的なものも含めいかなる形態の土地利用について,いかなる権限を有するいかなる機関の部署に対して,いかなる土地利用上の配慮を要請しようとしているのかについての具体的な記載が全くないから,同意見10への対応として不十分である。 (5) 本件国土交通 かなる権限を有するいかなる機関の部署に対して,いかなる土地利用上の配慮を要請しようとしているのかについての具体的な記載が全くないから,同意見10への対応として不十分である。 (5) 本件国土交通大臣意見11について事業者の赤土流出防止対策の主要な一つが表流水を浸透ゾーンに集めて地下浸透させるというものであるところ,浸透ゾーンの設置にあたっては,浸透した水が直接洞窟に入り込まないように,設置位置を検討するとしており,その際には,地下川となる地下洞窟の位置や流れ方を把握しなければ洞窟に入り込まないような位置に浸透ゾーンを設置することはできない。国土交通大臣意見11は,このような事業実施区域及び周辺地域の特性と,地下浸透させる方法の赤土流出防止対策が採られていることを踏まえて,「海域に浸出する経路」の記載を求めたのであって,ここでいう「経路」は,具体的な地下洞窟の走り方を調査の上記載することを求めたことは明らかである。しかるに,沖縄県は,地表からの浸透という「入口」だけの調査及び評価書への記載に止まっており,そこから先の具体的な経路について対応せず,対応しない理由は一切明示されていない。したがって,大臣意見11に対応していないことは明らかである。 (6) 赤土流出防止対策についてア原判決は,浸透ゾーンの地盤の目詰まりの危険,岩盤の割れ目などがあること,パイピング空洞等による海域への赤土流出,地下川の調査がないことについて,浸透ゾーンによる赤土対策の有効性が一応認められ,相応の対策は講じられているとした。しかし,沖縄県の赤土流出等防止対策は,地表だけの対策でしかなく,地下浸透後のことは何一つ考慮していない。琉球石灰岩自体にろ過機能が存在せず,「緩速ろ過方式」により,水 流を限界流速以下に落とすことで懸濁物質を沈殿させ 対策は,地表だけの対策でしかなく,地下浸透後のことは何一つ考慮していない。琉球石灰岩自体にろ過機能が存在せず,「緩速ろ過方式」により,水 流を限界流速以下に落とすことで懸濁物質を沈殿させるという機能が確保される保証はなく,沖縄県の透水実験でも,濁水の注入量の増加に従い,透水係数が徐々に低下する傾向が確認され(本件補正書6-1-24),これは濁水による目詰まりが生じていることを示すものである。 イ本件補正書では,工事により発生した濁水を,沈殿池,浸透ゾーンに集めることが計画されているが,その途中で石灰岩層の表面の亀裂や土で覆われている部分には無数の割れ目や穴があいており,全ての濁水を浸透ゾーンへ導くことは不可能である(a12頁)。本件補正書等に岩盤の切れ目の存在が記載されていないことをもって,その危険性は存在しないと判断した国土交通大臣の判断の誤りは明らかである。原判決は,仮に切れ目が見つかったとしても,被覆シート,その他の適切な対応が取られるものと考えられるから,控訴人らが指摘するような危険性は認められないと判断しているが,無数に存在する切れ目からの洞窟への流入を防ぐという沖縄県の対応には現実性がないことは明らかである。現状の赤土防止策のままでは,大雨のときに発生した濁水が地下川を通ってそのまま海中に流出し,サンゴ礁への重篤な影響を与える危険がある。すなわち,名蔵礫層及び沖積層には,A1洞窟及びE洞窟から海岸湧水帯に向かって最短距離を進むパイピング現象によって形成された水みちが存在し,洞窟地下川の水は,そこを通って海岸から湧き出している。パイピング現象は,傾斜がなくとも,大雨による大量の水が流れ込んだ洞窟の地下川には,逃げ場をなくし非常に高い水圧が生じることとなり,この圧力をもって,水流が沖積層にぶつかり,そこに小さ 出している。パイピング現象は,傾斜がなくとも,大雨による大量の水が流れ込んだ洞窟の地下川には,逃げ場をなくし非常に高い水圧が生じることとなり,この圧力をもって,水流が沖積層にぶつかり,そこに小さな穴や切れ目があると水圧が集中することによって生じるのである。沖縄県の赤土流出防止策は,パイピング現象について,全く考慮していなかったため,調査及び対策が講じられていない。本件アセスメントは,δ地域の環境の重大な要素となっている地下川の調査・予測・評価を欠いており,アセスメントとして欠陥がある。これを看 過した国土交通大臣の判断及びこれを追認した原判決の誤りは明らかである。 ウ本件許可処分の違法評価書に記載された赤土等流出防止対策では赤土の流出という環境保全上の重大な支障を生じさせることが判明し,「環境の保全についての適正な配慮を欠く結果,環境保全上の支障を生ずる場合」であるにもかかわらず,国土交通大臣は,赤土流出の防止によるサンゴ礁の保全が図られると判断したことは,明らかに評価法33条に違反し,事実誤認,判断過程に裁量を逸脱した違法があり,本件許可処分が違法となることは明らかである。また,赤土が流出した場合の被害拡大の防止,あるいは,所期の対策が想定通り機能しているかを確認するための検証可能性や実効性確認の手段も欠いている点からも不十分である。本件事業に対する環境影響評価手続は,調査の不足,事実評価の誤り等により,影響評価を著しく誤ったものであり,その誤った環境影響評価が記載された評価書に基づいて下された本件許可処分は,環境保全上の支障が生ずるか否かに関わらず,違法となる。 (7) 原判決が,本件事業予定地周辺に生息するコウモリ類等の保全に関する本件許可処分の違法性がないと判断したことは誤りである。 ア B,C及び 全上の支障が生ずるか否かに関わらず,違法となる。 (7) 原判決が,本件事業予定地周辺に生息するコウモリ類等の保全に関する本件許可処分の違法性がないと判断したことは誤りである。 ア B,C及びE洞窟の保全対策についてB,C及びE洞窟が本件工事によって改変されることになり,コウモリ類が生育できない状況が生まれるものであるところ,原判決は次のとおり誤っている。 (ア) 原判決は,B,C及びE洞窟の保全対策を評価しているが,コウモリ類の生態に対する無理解に起因するものであり,同保全対策は,コウモリ類の保全には全く役立たない。 (イ) 原判決は,コウモリ類のねぐらを変えていることから,洞窟の減少 が直ちに個体数の減少につながるとまでいえる根拠は見当たらないとするが,δ地域の一体性を過少評価し,かつ,環境収容力についての理解の欠如を示すものであり,失当である。 (ウ) 原判決は,コウモリ類が本件事業予定地から相当距離のある洞窟にも移動しているとして,洞窟の減少が直ちにコウモリ類の絶滅あるいは激減するといった関係は認められないとするが,非科学的な判断をしている本件補正書に基づく誤った判断である。 (エ) 原判決は,コウモリ類の保全を石垣島全体で考慮していく視点が重要とする点に合理性が認められるとするが,本件補正書の記載は,単なる主観的憶測を記述したレベルのものにすぎず,科学的でない。 イ A及びD洞窟の環境保全について原判決は,本件補正書の出産・ほ育及び冬期の休眠時期の工事中の騒音・振動の影響の低減の措置について,騒音・振動の点を過小評価している。 ウ原判決が,e委員会の報告書を考慮しなくても裁量逸脱等にならないとするが,確定評価書等外の事実であったとしても,処分行政庁がこの点を考慮していないことについて,裁 動の点を過小評価している。 ウ原判決が,e委員会の報告書を考慮しなくても裁量逸脱等にならないとするが,確定評価書等外の事実であったとしても,処分行政庁がこの点を考慮していないことについて,裁量権の範囲の逸脱又は濫用を帰結しないとはいえない。 エ原判決が,コウモリ類の個体数が減少傾向といえないとするのは誤りである。 オ原判決は,本件補正書が,航空機の離発着に伴う騒音・振動によるコウモリ類に対する影響に関し,相応に適切な対応を取っているとするが,ヤエヤマコキクガシラコウモリが出産・ほ育場所として利用しているA洞の最奥部(滑走路の中心まで120mしかない。)と,現空港から洞口まで約250mの洞窟でのコウモリ類(生息しているのはほんの少しである。)の利用状況を比較するのは不適切である。 カ採餌場所となる緑地と移動経路の創出のための樹木を植栽する環境保全措置についての原判決の説示は誤りである。 キ A洞窟をユビナガの出産・ほ育場所と評価できるかについて,原判決が,県はA洞窟がユビナガの出産・ほ育場所でもあるという調査結果を把握していながら,事実を黙殺したとか,意図的に事実を隠ぺいしたとかいうことはできないとした判断は失当である。 ク石垣島全体での保全を考えるならば,石垣島全体のコウモリ類が利用する洞窟についての調査をすべきであるのに,そのような調査をしないまま,本件事業地及びその周辺で生息できなくなったコウモリ類がほかの場所で生息できるはずという本件補正書を鵜呑みにした原判決の説示は失当である。 ケ原判決(111頁)が指摘するコウモリ類調査の方法は,生態研究ではあり得ない不適切な調査方法である。小型コウモリ類検討委員会の委員の構成が極めて恣意的で公正な選任が行われたとは言い難い。 ココウモリ類の生息する洞 が指摘するコウモリ類調査の方法は,生態研究ではあり得ない不適切な調査方法である。小型コウモリ類検討委員会の委員の構成が極めて恣意的で公正な選任が行われたとは言い難い。 ココウモリ類の生息する洞窟の調査にあたり,控訴人らの主張する上記洞内環境調査をとることは標準的なものであり,洞窟内の空気の流れなどの洞内環境調査をしなかったことの評価についての原判決の判断は誤りである。 サ A1洞窟のコウモリ類調査の方法の評価についての原判決の判断は誤りである。A1洞窟は,コウモリ類に利用される可能性はなく,保全措置としては,相当な配慮をしたとはいえない。 シ平成19年8月23日本件空港の滑走路予定地の北側で洞窟が発見されたことは本件許可処分後の確定評価書等外の事実であるとしても,事後的に本件設置許可を見直すべき根拠として考慮されるべきである。 ス平成18年以降にコウモリ類以外の好洞窟性動物等が複数種発見されたことの評価についての原判決の判断は,事業者が当然になすべきことをし ていれば認識できたはずのことを外部者に責任転嫁するような態度であり,失当である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,原判決の結論は正当であると判断する。その理由は,次の2ないし4のとおり,当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,専ら原判決別紙当事者等目録2記載の当事者に関する部分を除き,原判決94頁24行目の「D」を「E」に改め,同115頁3行目の「コウモリ」の次に「類」を加える。 当審において控訴人らが主張する本件許可処分の違法事由は,第1に航空法39条1項1号(同法施行規則79条1項4号及び7号イ)違反(滑走路の地盤の強度不足をい 「コウモリ」の次に「類」を加える。 当審において控訴人らが主張する本件許可処分の違法事由は,第1に航空法39条1項1号(同法施行規則79条1項4号及び7号イ)違反(滑走路の地盤の強度不足をいう点を含む。),第2に同項5号違反をいうもの及び第3に評価法33条1項違反をいうものである。以下,順次判断する。 2 航空法39条1項1号(同法施行規則79条1項4号及び7号イ)違反について(1) 控訴人らは,本件許可処分において,計画が実現した場合における滑走路等の直下の基礎地盤の客観的強度は,本件設置許可申請の審査対象であり,当該基礎地盤の客観的強度が不足していたのになされた本件許可処分は,航空法39条1項1号並びに同法施行規則79条1項4号及び7号イに違反する違法なものであるから,取り消されるべきであると主張する。 航空法38条2項は,飛行場の設置許可の申請をしようとする者は,「当該施設について,位置,構造等の設置の計画,管理の計画,工事完成の予定期日その他国土交通省令で定める事項」等を記載した申請書を提出しなければならないとし,同法39条1項は,国土交通大臣は,飛行場の設置許可申請があったときは,その申請が同項1号ないし5号に適合しているかどうかを審査しなければならないと定め,同項1号は,「当該飛行場…の位置,構 造等の設置の計画が国土交通省令で定める基準に適合するものであること」と定めている。これを受けて航空法施行規則79条1項は,設置基準を定め,同項4号で,飛行場の滑走路,誘導路及びエプロン(以下「滑走路等」という。)について,「これらを使用することが予想される航空機の予想される回数の運航に十分耐えるだけの強度を有するものであること」と定めている。同施行規則76条は申請書の記載事項並びに添付すべき書類及び図面を ついて,「これらを使用することが予想される航空機の予想される回数の運航に十分耐えるだけの強度を有するものであること」と定めている。同施行規則76条は申請書の記載事項並びに添付すべき書類及び図面を定め,同条5号は,「飛行場の種類,着陸帯の等級及び滑走路の強度」を申請書の記載事項としており,このうち本件設置許可申請における「滑走路の強度」については,「単車輪荷重 31.5t」「舗装体の設計強度 LA-12」の記載がなされている(原判決2頁,乙3・Ⅰ-4)。なお,LA-12は,航空機の機種(B767等)を基準にした舗装の設計荷重の区分である(甲250)。 これらの規定の仕方を参酌すると,設置許可申請に対する審査としては,申請に係る計画と国土交通省令(航空法施行規則)で定める基準とを照らし合わせて,適合性を審査すべきものと法令上位置付けられているものと解され,控訴人らが主張するように滑走路直下の基礎地盤の客観的強度が審査の対象となっているとはいえない。 この点に関し,本件許可処分の後に,航空法施行規則の一部を改正する省令(平成20年国土交通省令第54号,平成20年7月1日施行)により,同号の滑走路等には,「基礎地盤」を含むこととされたが,基礎地盤を含む滑走路等が航空機の予想される回数の運航に十分耐えるだけの強度を有することを設置基準とすることを明確化したものと解せられるのであって,実質的な改正ではないと解される(引用に係る原判決35頁15行目ないし21行目及び甲116)。そして,同省令による改正後の施行規則79条1項7号イは,滑走路について,「次の性能を有するものであること」として,「自重,土圧,地震動(当該施設を設置する地点において発生するものと想 定される地震動のうち,地震動の再現期間と当該施設の設計供用期間(当該 いて,「次の性能を有するものであること」として,「自重,土圧,地震動(当該施設を設置する地点において発生するものと想 定される地震動のうち,地震動の再現期間と当該施設の設計供用期間(当該施設の設計に当たつて,当該施設に求められる性能を満足し続けるものとして設定される期間をいう。以下同じ。)との関係から当該施設の設計供用期間中に発生する可能性の高いものに限る。以下同じ。),水圧,波浪(当該施設を設置する地点において発生するものと想定される波浪のうち,当該施設の設計供用期間中に発生する可能性の高いものに限る。以下同じ。)等による損傷等が当該施設の機能を損なわず,継続して使用することに影響を及ぼさないこと。」と定めている(着陸帯,誘導路,エプロンについても同様である。同号ロないしニ)。上記改正後の施行規則79条1項7号イは,改正前の空港の設置基準が,施設に求められる性能を定めるとともに,標準的な設計方法等(「空港土木施設設計基準」(編・国土交通省航空局))を示していたのに対し,このような基準・運用では,新技術や新工法は採用されにくくなる可能性があるとして,技術革新に柔軟に対応するために,施設に求められる性能のみを定めることとし,その性能の照査に際し考慮すべき基本的事項,性能の照査に必要な作用等の設定及び性能の照査の要件(性能規定)を定めることとしたものである(甲116)。この改正後の設置基準は,滑走路等が本来備えるべき性能を表示したものであって,従前の設置基準により滑走路の備えるべき強度を実質的に変更したものではないと解する余地がある。しかしながら,基準として考慮すべき事項が具体的に示されることとなっており,本件許可処分時に本件空港の滑走路について,上記改正後の施行規則79条1項7号イの基準に沿う形式で具体的な検討がなされてい しかしながら,基準として考慮すべき事項が具体的に示されることとなっており,本件許可処分時に本件空港の滑走路について,上記改正後の施行規則79条1項7号イの基準に沿う形式で具体的な検討がなされていなかったとしても,本件許可処分の違法をもたらすものとは言えないというべきである。この点は,改正後においても,地盤の強度を具体的に示す資料が申請書の添付資料とされていないことからも裏付けられる。そうすると,本件許可処分について,上記改正後の施行規則79条1項7号イ違反をいう控訴人らの主張部分は,採用することができない。 (2) 控訴人らが指摘する原審の二段階の審査の誤りについてア控訴人らは,原判決は,航空法42条に基づく飛行場完成時の検査をあたかも設置許可申請に対する第2段階の審査であるかのように位置づけており,原判決の論理に従えば,飛行場の設置については,申請,申請に対する審査(第1段階),処分,申請に対する審査(第2段階)の順に行われることになり,通常の行政処分の順序立てに反するものであると主張する。 飛行場の設置者は,許可に係る施設の工事が完成したときは,遅滞なく国土交通大臣の検査を受けなければならず,国土交通大臣は,検査の結果当該施設が申請書に記載した設置の計画に適合していると認めるときは,これを合格としなければならず(航空法42条1項,2項),検査の結果,当該施設が申請書に記載した設置計画に適合していないと認めるときは,相当の期間を定めて,当該施設を申請書に記載した計画若しくは39条1項1号の基準に適合させるための措置をとるべきことを命じ,その期間内に飛行場の設置者が,その命令に従わなかった場合に,飛行場の設置の許可を取り消し,又は期間を定めて,飛行場の全部若しくは一部の供用の停止を命ずることができると定められ とるべきことを命じ,その期間内に飛行場の設置者が,その命令に従わなかった場合に,飛行場の設置の許可を取り消し,又は期間を定めて,飛行場の全部若しくは一部の供用の停止を命ずることができると定められている(航空法48条本文,ただし書,2号)。 航空法上,設置許可処分と,許可に係る施設の工事が完成したときに国土交通大臣の検査の結果によりこれを合格とし又は計画に適合していないと認めて設置の許可を取り消す処分とは別個の行政処分として位置付けられていると解すべきであるから,行政処分の順序立てに反するとする控訴人らの主張は当を得ないものである。控訴人らは,原判決の説示を捉えて,一つの申請に対する2段階の審査を想定しているかのように主張するが,控訴人ら独自の解釈と言わざるを得ない。 イ控訴人らは,航空法48条が,同法42条1項の検査(飛行場完成時の 検査)の結果,飛行場が申請書に記載した設置又は変更の計画に適合していないと認めるときは,設置許可を取り消し,又は期間を定めて,空港等の全部若しくは一部の供用の停止を命ずることができると定めていることから,同項の飛行場完成時の検査は,それ以前に確定している設置許可処分の取消処分又は供用停止処分を行うための行政手続として位置づけられており,条文上からも原判決の論理構成は不当であると主張する。しかしながら,上記のとおり,設置許可の申請について審査後にする処分と完成後の検査に基づく処分とは別個の行政処分であり,同法48条は,完成時の検査による場合に限られず,飛行場の供用が開始された後の場合(同条4号,5号)についても設置許可の取消等の処分ができると規定しているのであって,控訴人らが主張するように解することはできない。 ウ控訴人らは,原判決の判断を前提にすると,飛行場の設置許可処分の適法性 ,5号)についても設置許可の取消等の処分ができると規定しているのであって,控訴人らが主張するように解することはできない。 ウ控訴人らは,原判決の判断を前提にすると,飛行場の設置許可処分の適法性を争う際には原則として飛行場の滑走路直下の地盤の客観的強度を理由にして争うことができないことになり,国土交通大臣が完成検査に合格した(航空法42条2項)とする処分の適法性を争う際に飛行場の滑走路直下の地盤の客観的強度について争う機会が与えられなければならないところ,東京地裁平成20年1月29日判決(判例時報2000号27頁)の説示を援用して,控訴人らのような者が飛行場の完成検査後の合格通知処分の適法性を争うことができないことになり,不当である旨主張する。 しかしながら,控訴人らが援用する東京地裁判決は,周辺住民の原告適格に関するものであるところ,控訴人らの本件訴訟における原告適格は,本件空港予定地に共有土地を有していることを理由とするものであるから,同判決の場合とは事案が異なる。また,完成検査による合格の処分を争う訴訟において,控訴人らの当事者適格が認められるかどうかによって,本件許可申請の審査対象が決定されるという関係にないので,控訴人らの主張は失当である。 エ控訴人らは,滑走路直下の地盤の客観的強度が完成時に不足していれば,そのような滑走路を持つ飛行場を開港させるべきではないから,滑走路直下の地盤の客観的強度は,完成検査時の審査対象となるところ,それはそもそも,滑走路直下の地盤の客観的強度が,設置許可申請時の審査対象になっているからだと主張する。 しかしながら,許可申請時の審査と完成時の審査とでは,同じく滑走路の強度が審査の対象となるといっても,審査の方法が異なる。すなわち,申請時の審査が,計画と国土交通省令の定 るからだと主張する。 しかしながら,許可申請時の審査と完成時の審査とでは,同じく滑走路の強度が審査の対象となるといっても,審査の方法が異なる。すなわち,申請時の審査が,計画と国土交通省令の定める基準とを対照して適合性を審査するものであるのに対し,完成時の審査においては,申請時に基準と適合するとされた計画に対して,現実に工事がなされ完成した施設の内容がこれに適合するかを審査すべきものである。その際に,基準及び計画に対して,滑走路直下の地盤の客観的強度が不足していないかどうかが審査されるべきものである。このように,審査の対象及び方法が異なるのであるから,控訴人らが主張するように滑走路直下の地盤の客観的強度が,設置許可申請時の審査対象になっているとはいえない。 ところで,完成検査においては,現に工事の完成した飛行場について,設置の計画に適合しているかどうかを検査することとなり,設置基準に定められた「予想される航空機の予想される回数の運航に十分耐えるだけの強度」の有無を検査することとなる。そして,その際には,平成20年改正後の設置基準(航空法施行規則79条7号イ要件)により,滑走路,着陸帯,誘導路及びエプロンについて有することとされた性能,すなわち,「自重,土圧,地震動(当該施設を設置する地点において発生するものと想定される地震動のうち,地震動の再現期間と当該施設の設計供用期間との関係から当該施設の設計供用期間中に発生する可能性の高いものに限る。),水圧,波浪(当該施設を設置する地点において発生するものと想定される波浪のうち,当該施設の設計供用期間中に発生する可能性の高い ものに限る。)等による損傷等が当該施設の機能を損なわず,継続して使用することに影響を及ぼさないこと」,及び「自然状況,利用状況その他の当該施設が置か 設計供用期間中に発生する可能性の高い ものに限る。)等による損傷等が当該施設の機能を損なわず,継続して使用することに影響を及ぼさないこと」,及び「自然状況,利用状況その他の当該施設が置かれる諸条件を勘案して,適当な表面を有すること」という性能を有しているかが検査の基準となると解せられる(平成20年国土交通省令第54号の附則において,航空法施行規則79条1項4号に関する経過措置はなく,同項7号については,現に存する滑走路等のみに関して経過措置が設けられているだけであって,設置途上にあって,未だ飛行場完成検査を受けていないものについての経過措置はない。実質的にも,これらの性能基準の内容からみて,完成検査においては,航空機の航行の安全のために飛行場が当然に有していなければならない性能であるから,設置許可時点での改正前の規則において,これらの性能基準が定められていなかったことは,性能基準が完成検査において適合性判断の基準となることを否定する理由とはならないと考えられる。)。このような性能基準に照らして,本件空港の地盤に含まれるE洞窟初め,各洞窟の存在及び防護工の工法及び施工内容等について,完成検査において適合性の有無を審査すべきこととなる。その意味において,滑走路直下の地盤の客観的強度も完成検査の対象として考慮されることとなる。しかし設置許可申請時の審査において,完成検査におけると同様の意味では,滑走路直下の地盤の強度が具体的な審査の対象となるものでないことは既に述べたとおりである。 (3) 控訴人らは,原判決が,「飛行場の設置許可申請時における滑走路等の直下の地盤の強度について,これを滑走路それ自体等の強度と区別して申請書の記載事項とし又はこれを明らかにする資料を添付書類とする航空法及び航空法施行規則等の関連法令の規定は見当 時における滑走路等の直下の地盤の強度について,これを滑走路それ自体等の強度と区別して申請書の記載事項とし又はこれを明らかにする資料を添付書類とする航空法及び航空法施行規則等の関連法令の規定は見当たらないこと」を挙げている点について,飛行場の設置が想定される場所では直下地盤の強度が問題になることが稀であるために法令上の規定が存在しなかったに過ぎない一方,滑走路 直下の地盤の強度を明らかにする資料は飛行場の工事設計と密接不可分の関係にある以上,航空機の航行の安全を重視する航空法の趣旨に照らせば,かかる資料を空港等の工事設計図書(同施行規則76条2項3号)の一部として申請書に添付することが黙示の要件であったと理解すべきであると主張する。 しかし,法令上の規定が存在しないことについて,控訴人らの主張のように解するのは無理があり,控訴人らの主張するように解する根拠はないというべきである。 (4) 控訴人らは,原判決が,滑走路等の強度の変更(同施行規則85条1号)には国土交通大臣の許可が必要であるが(航空法43条1項),「滑走路等の構造等をどのようなものとするかについての具体的な計画(設計図書等)を変更することについては国土交通大臣の許可を必要としていないこと」(原判決37頁)を挙げていることについては,変更に許可を要する対象としての「滑走路の強度」には「滑走路直下の地盤の強度」も含まれると理解すべきであると主張する。しかし,控訴人らの主張は,「滑走路直下の地盤の強度」の変更に許可が必要であるというものにほかならず,法律上の根拠を欠くものである。 (5) 控訴人らは,原判決が,本件許可処分に際しては基礎地盤の点も考慮しているという具体的な根拠を何ら示すことなく,かかる点も考慮しているとするが,実際には基礎地盤の強度を考慮して ものである。 (5) 控訴人らは,原判決が,本件許可処分に際しては基礎地盤の点も考慮しているという具体的な根拠を何ら示すことなく,かかる点も考慮しているとするが,実際には基礎地盤の強度を考慮していないと主張する。 しかし,引用に係る原判決が説示するとおり(37頁ないし39頁),本件空港は,滑走路の単車輪荷重は31.5t,舗装体の設計強度はLA-12等として設計,計画されており,そのようなものとして本件空港の滑走路等は十分な強度を有するとして本件許可処分がなされたことを原判決が認定しているのであって,控訴人らの主張には理由がない。 (6) 以上によれば,設置許可申請の審査段階における地盤を含む滑走路の強 度の審査の対象は,申請書に記載された計画上の強度であって,滑走路等予定地の実際の地盤そのものの強度の審査を含まないことは明らかである。 控訴人らは,本件許可処分の審査対象が現実の地盤の強度に及ぶことを前提として,本件空港の滑走路の客観的強度が十分でなく,滑走路が陥没する危険性があるとして,具体的には,E洞窟,B1洞窟,A1洞窟及び現存すると考えられる未知の空洞の存在並びにドレーンの設置により,これらの洞窟及び空洞が崩落して滑走路が陥没する危険性があるのに,本件許可処分はこれらの危険を看過した違法があると主張する。控訴人らの主張は,本件許可処分の審査対象が現実の地盤の強度に及ぶことを前提とする点で失当であるが,申請段階における計画の審査においても基礎地盤を含む滑走路等の強度が不足し,計画において予定した強度を完成時に確保できないことが明らかである場合,すなわち,空港設置予定地の地盤等を考慮し,空港設置工事において採用されることが予想される工法及び技術水準を考慮に入れても,申請書及び添付書類等から滑走路の地盤の強度が計 いことが明らかである場合,すなわち,空港設置予定地の地盤等を考慮し,空港設置工事において採用されることが予想される工法及び技術水準を考慮に入れても,申請書及び添付書類等から滑走路の地盤の強度が計画上の強度を満たすことができないと判断される場合には,「予想される航空機の予想される回数の運航に十分耐えるだけの強度を有するものであること」(航空法施行規則79条1項4号)といえないこととなり,設置基準を満たさないこととなるから,そのような場合に設置を許可することは違法の評価を受けることとなる。以下,このような観点から,控訴人らの指摘する本件空港予定地の地下に存在する洞窟(以下「本件洞窟」という。)等の危険性について検討する。 (7) 控訴人らが指摘する本件洞窟等の危険性についてア本件空港予定地について,掲記の証拠により認められる事実及び証人a並びに証人bが指摘する危険性の概要は次のとおりである。 (ア) 本件空港予定地のδは,サンゴ礁が隆起した,長くても200万年程度の若い琉球石灰岩から成る,0.6k㎡程度の狭いカルスト地形で あり,洞窟,地下水系,ドリーネ(石灰岩地域で見られるすり鉢状のくぼ地),カレンフェルト(石塔原)等が発達し,特に地下には,様々な形状の洞窟が密集し,バリエーションに富んでおり,浸食が進みやすく,地下川でつながっているという特徴がある。琉球石灰岩は,圧密を受けておらず,隙間が多いのが特徴であり,性質は均一ではなく,かつてサンゴの骨格であった部分は強い層であるが,サンゴとサンゴの間部分等はサンゴの破片や砂が詰まっただけの弱い層となっていることがある(甲140・8頁,a5頁以下)。 (イ) 沖縄県は,本件環境影響評価でA-A1-A2洞窟の地下水系と,B-C-E洞窟の地下水系の2水系を予測したが,aが行っ っただけの弱い層となっていることがある(甲140・8頁,a5頁以下)。 (イ) 沖縄県は,本件環境影響評価でA-A1-A2洞窟の地下水系と,B-C-E洞窟の地下水系の2水系を予測したが,aが行った調査により,B洞地下水系は,C-E洞地下水系とは別の水系をなしていることが明らかとなり,その後の調査により,沖縄県もB洞地下水系とC-E洞地下水系とが別の水系であることを確認した(甲63・平成20年2月学術調査報告書,140・12頁)。 (ウ) 証人b及び同aは,本件洞窟に崩落の危険性があると指摘しており,崩落の形態としては次の2種類のものが想定されるという(甲5)。 ① 平成11年に岡山県ε町で起こった空洞陥没と同様な陥没甲271(平成12年3月岡山県土地陥没事象調査報告書)によれば,岡山県ε町ζ地区において,平成10年8月から平成11年10月までの間に断続的に土地陥没事象が発生した。岡山県土地陥没事象調査委員会の調査によると,同地区の基盤岩は古生代に形成された石灰岩であり,その上に崩積土が長期に亘り堆積している状態であり,陥没発生のメカニズムとしては,初期段階において,石灰岩層中の深層地下水位の変動(低下)に伴う地下水の流れによって崩積土中の土粒子の一部が石灰岩層中の割れ目を通じて流失し,凹地あるいは凹地 縁辺部の崩積土中に空隙が形成され,空隙の上部が崩壊し,次第に大きくなるとともに上方へ移動し,崩積土層が厚い場合には,地表面が長期間にわたりゆるやかに地盤の変状が生じ,崩積土層の厚さが薄い場合には,短時間のうちに地表で陥没が発生すると推定された。 証人bは,岡山の崩落事故と同じタイプとして,深刻なのは,A1洞からの水の出口の問題とB洞であるとして,地下水路の中に堆積土壌が流れ込み,土壌陥没が生じる危険性を指摘 が発生すると推定された。 証人bは,岡山の崩落事故と同じタイプとして,深刻なのは,A1洞からの水の出口の問題とB洞であるとして,地下水路の中に堆積土壌が流れ込み,土壌陥没が生じる危険性を指摘する(b32頁,36頁,a33頁も同旨)。 ② 証人bの供述する剥離現象による洞窟崩壊滑走路の下には雨水が浸透せず,洞窟が乾燥してくると,鍾乳石が重さで剥離し,石灰岩(裸岩)が露出し,基盤が収縮して亀裂が広がり,石灰岩と石灰岩の間の土壌などが落ち込んで,石灰岩が非常に剥離し易い状態となり(層理剥離),これが進行すると,洞窟の中にドーム状の煙突ができ,崩壊に至る(甲151,b9頁)。E洞窟の中で層理剥離が36か所あり,そのうち5か所は特に危険であり,ほとんど滑走路真下にある(甲182,b11頁)。 名蔵礫層は砂であるので,水流によって水平方向に削られ,名蔵礫層と石灰岩との間に大きなフローストン(壁に付く鍾乳石)が発達し,その重量で凹んだ部分の礫層が剥離することがあり,また,増水により名蔵礫層の幅が段々と広くなり,防護工の幅を超えるようなことも想像される(b11,14頁)。 本件空港の地盤に設置された防護工によって,E洞窟の崩壊を防ぐことはできず,洞窟内の乾燥を進めるのでより危険な状況になっている(b14頁)。 もっとも,証人bは洞窟内の湿度管理及び点検により管理可能であることを否定していない(b33,39頁)。 (エ) bは,平成16年に,沖縄県に対し,滑走路予定地の真下にあるE洞窟をどのように崩壊から守るかについての検討が必要である旨を指摘し,平成17年4月26日頃,沖縄県に対し,洞内の空気,水の状態その他の調査を提案し,平成17年11月21日,沖縄県との「新石垣空港洞窟保全対策について」の会合において ての検討が必要である旨を指摘し,平成17年4月26日頃,沖縄県に対し,洞内の空気,水の状態その他の調査を提案し,平成17年11月21日,沖縄県との「新石垣空港洞窟保全対策について」の会合において,滑走路下の洞窟は乾燥することが予想され,E洞窟のホール部に落石があり,もたないのではないかなど,洞窟専門家としての意見を述べている(甲153,156,157)。 (オ) 沖縄県は,平成15年11月1日に開催された第8回新石垣空港建設工法検討委員会において,滑走路下に存在する空洞に対して盛土荷重,重機荷重,航空機荷重による空洞崩落の影響はないと結論づけていたが,平成19年7月23日に開催された第10回新石垣空港建設工法検討委員会において「空洞の崩壊の可能性があることが判明した」として「空洞対策工法」の検討を行い,防護工を設置することとした(甲11)。 イ控訴人らが主張するE洞窟が崩壊し,その上にある本件空港の滑走路が陥没するおそれについて(ア) 前記認定のとおり,E洞窟については,本件許可申請段階において,本件空港の滑走路予定地直下に存在することは,bの調査によって,明らかになっていたが,崩落の危険性が,沖縄県及び国土交通大臣に明らかになっていたと認めるに足る証拠はない。そして,a及びbは,E洞窟崩落の危険性があると述べているが,いずれも洞窟研究者としての危惧感を表明するものであっても,それ以上に,その危険性の程度が本件空港の安全性に具体的な影響を及ぼす程度の危険があることを根拠付ける内容ではない。仮に,a及びbの述べる危険性があるとしても,b自身も洞窟内を管理することが可能であると述べており(いかな る管理方法が妥当であり,どのように管理していくかは,本件空港完成後において事業者(管理者)の責任において適切に検討,実施 も,b自身も洞窟内を管理することが可能であると述べており(いかな る管理方法が妥当であり,どのように管理していくかは,本件空港完成後において事業者(管理者)の責任において適切に検討,実施されるべき事柄であり,設置許可申請において問題とすべきものではない。),空港建設において対処ができない程の危険があるとは認められない。そして,前記認定のとおり,沖縄県は,本件許可処分後の第10回新石垣空港建設工法検討委員会において,何らの措置を取らない場合には崩落の危険があるとして,対策を検討し,防護工を設置することとしたものである。防護工の効果については,bは,洞窟内の乾燥を招きかえって洞内の鍾乳洞剥離及び層理剥離を進行させるものとして批判しているが,その批判の当否は,本件証拠上,明らかではなく,また,本件許可処分後に取られた防護工設置の措置の当否が本件許可処分の違法性判断に影響を及ぼすものでないことは明らかである。 (イ) 控訴人らは,被控訴人は,遅くとも平成19年7月23日の工法検討委員会の開催時以降,直ちに本件許可処分を取り消す義務を負っていたと主張するが,工法検討委員会は,危険性を認識して,対策を検討していたのであって,このような場合に,本件許可処分を取り消すことを根拠付ける法令上の根拠はなく,控訴人らの主張を採用することはできない。 (ウ) 控訴人らは,bの平成16年8月から9月にかけての洞窟調査により(甲149,152),E洞窟が本件空港滑走路の直下に存在することが平成16年11月までに明らかになり,沖縄県は,平成16年12月に,国土交通大臣に対し,滑走路等の強度について,工法検討委員会資料(甲14,15議事録)及び変形解析結果資料(甲146)をもとに説明し(甲147),E洞窟を対象とした変形解析結果資料によれば,沖縄 ,国土交通大臣に対し,滑走路等の強度について,工法検討委員会資料(甲14,15議事録)及び変形解析結果資料(甲146)をもとに説明し(甲147),E洞窟を対象とした変形解析結果資料によれば,沖縄県は,E洞窟の下半分が名蔵礫層で構成されていた場合,E洞窟崩壊に関する安全率が1.01と最低限の基準1.00をクリアして いるか否かといえる数値となっており,再度E洞窟についての洞窟内変位を計測する必要があることを認識していたから(甲146),国土交通大臣は,E洞窟が崩壊するおそれを看過したと主張する。 この点,甲146によれば,「検討結果」として「点安全率の最小値は,航空機荷重載荷時に洞窟周辺の名蔵礫層において1.01であり,破壊には至っていない」とされ,「洞窟の安定性評価」として,「下半が名蔵礫層で構成された洞窟においても,今回想定した規模(横幅9m,高さ6m)以下であれば,施工時の重機荷重,盛土荷重および航空機荷重のいずれに対しても応力・変形上の安定性は確保されるものと評価される」「ただし,洞窟周辺の名蔵礫層には安全率≒1.0となる領域が存在することから,施工時には洞窟内変位を計測する必要がある」とされたことが認められるが,これらの事実を参酌しても,直ちにE洞窟が崩壊するおそれがあるとは認められず,国土交通大臣がE洞窟が崩壊するおそれを看過したとする控訴人らの主張を採用することはできない。 (エ) 控訴人らは,違法な本件許可処分につき瑕疵の治癒を認める余地はないと主張するが,そもそも本件許可処分が違法とはいえないから,控訴人らの主張は前提を欠く。 ウ控訴人らは,A1洞窟及びB1洞窟の崩壊により,滑走路が崩壊する危険があると主張する。 しかしながら,これらの具体的な危険があると認めるに足る証拠はない。証人bらが の主張は前提を欠く。 ウ控訴人らは,A1洞窟及びB1洞窟の崩壊により,滑走路が崩壊する危険があると主張する。 しかしながら,これらの具体的な危険があると認めるに足る証拠はない。証人bらが述べる,浸透ゾーンⅡに流れ込んだ雨水が,B1洞窟及びA1洞窟へ流れ込み,水圧又は土壌の浸食により,洞窟及び滑走路が崩壊する危険があるというのは,1つの推論に過ぎず現実的な危険があるとは認められない。また,証人bは,A洞窟及びB1洞窟について,岡山の崩落事故と同様の危険がある旨述べているが,岡山の崩落事故は,石灰岩層 の上の堆積土が,地下水位の変動(低下)により,流失したことが原因であるとされているところ,本件空港予定地で,工事により,土壌流失を生じるような地下水位の変動(低下)が生じるという証拠はなく,直ちに岡山と同様の陥没事故が起きる危険があるとは認められない。よって,控訴人らの主張を採用することはできない。 エ控訴人らは,ドレーンの不適切な設置による危険を主張する。 しかしながら,ドレーン設置を含む工事方法が,本件許可申請の審査対象に含まれるものではないところ,ドレーンの設置が不適切であると認めるに足る証拠もないから,控訴人らの主張を採用することはできない。 オ控訴人らは,J洞窟,K洞窟及び未知の空洞の存在及び崩壊の危険を主張するが,これらは本件許可申請時に存在が明らかでなく審査対象に含まれるものではないところ,これらの洞窟の存在によって,本件空港に危険を生じることを認めるに足る証拠もないから,控訴人らの主張を採用することはできない。 (8) 航空法39条1項1号違反の主張についての結論上記説示のとおり,航空法39条1項1号並びに同法施行規則79条1項4号及び7号イ等の条文の建て方等からすれば,完成検査において きない。 (8) 航空法39条1項1号違反の主張についての結論上記説示のとおり,航空法39条1項1号並びに同法施行規則79条1項4号及び7号イ等の条文の建て方等からすれば,完成検査においては,現に工事の完成した飛行場について,設置基準に定められた「予想される航空機の予想される回数の運航に十分耐えるだけの強度」(航空法施行規則79条1項4号)の有無を検査することとなり,その際には,平成20年改正後の設置基準により,滑走路直下の地盤の客観的強度が不足していないかどうかも審査されるべきであるとしても,設置許可申請の審査段階における地盤を含む滑走路の強度の審査の対象は,申請書に記載された計画上の強度であって,滑走路等予定地の実際の地盤そのものの強度の審査を含まないものというべきである。もっとも,申請段階における計画の審査においても基礎地盤を含む滑走路等の強度が不足し,計画において予定した強度を完成時に確保 できないことが明らかである場合は,設置基準を満たさないこととなるから,そのような場合に設置を許可することは違法の評価を受けることとなるが,本件では,滑走路等の下にある洞窟については,崩落の危険性があるとの意見もあるが,その危険性の程度が本件空港の安全性に具体的な影響を及ぼす程度の危険があることを根拠付ける内容ではないことや,その後の沖縄県の検討結果,防護工を設置したことからすれば,違法ということができない。 3 5号要件(航空法39条1項5号の要件)の充足の有無について(1) 控訴人らは,原審が,5号要件の充足の有無につき,当事者の主張立証がほとんどないまま,土地収用法上の事業認定要件の充足の有無を決定的争点として位置づけて判断をしたことは弁論主義違反であると主張する。 しかしながら,原審において,被控訴人は,国 事者の主張立証がほとんどないまま,土地収用法上の事業認定要件の充足の有無を決定的争点として位置づけて判断をしたことは弁論主義違反であると主張する。 しかしながら,原審において,被控訴人は,国土交通大臣が,本件空港の建設予定地のうち,敷地面積の99.6%については,地権者から用地取得の同意が得られていたこと,同意が得られていない用地のうち,0.3%は所在不明者2名が所有し,残り0.1%は空港建設に反対する654名が共有している状況であること,同意の得られていない地権者については,沖縄県が,ねばり強く説得にあたり,本件事業への理解と協力を求めていくこと等により,県の責任において当該土地を取得する旨を確約していること,仮に同意が得られなかった場合でも,空港建設事業の公共性に基づき,土地収用法の適用が可能であること等の諸般の諸事情を総合勘案し,沖縄県が,本件空港の敷地について,使用権原を取得することが確実であると判断して,5号要件に適合すると認めたと主張していたものであり(被控訴人の平成19年1月17日付け準備書面(1)),これに対し,控訴人らは,5号要件の用地取得の確実性は,任意取得の確実性によると主張し,仮に,土地収用法による取得が航空法39条1項5号の充足性の判断について考慮されうるとしても,任意取得の状況及び任意取得に応じない地権者の意思,反対理由等 あらゆる事情を考慮すると,国土交通大臣が本件空港につき,同法39条1項5号を充たすと判断し,本件許可処分をしたのは裁量権を逸脱しているとして5号要件の充足を争っていたものである(控訴人らの平成19年5月21日付け準備書面4)。更に,控訴人らは,土地収用のための事業認定を受けるための要件である土地収用法20条3号及び4号の要件の充足を具体的な主張をもって争っていたものであ 控訴人らの平成19年5月21日付け準備書面4)。更に,控訴人らは,土地収用のための事業認定を受けるための要件である土地収用法20条3号及び4号の要件の充足を具体的な主張をもって争っていたものであり(控訴人らの平成22年9月22日付け最終準備書面44頁以下),要件該当性において問題となる具体的な事実について,双方で主張立証を尽くしていたと認められるから,弁論主義違反の問題が生じるものではない。よって,弁論主義違反をいう控訴人らの主張は採用できない。 (2) 控訴人らは,航空法39条1項5号が土地収用法3条の特則であり,航空法39条1項5号の趣旨は,「飛行場の設置においては,土地収用法の手続によらず,任意買収等の交渉により確実に土地の所有者その他の使用権原を取得できることが認められなければならない」ことにあると主張する。 しかしながら,土地収用法3条12号は,航空法による飛行場等で公共の用に供するものを,土地を収用し,又は使用することができる公共の利益となる事業として,定めているところであって,航空法39条1項5号が,土地収用法による収用を除外すべきことを定めていると解すべき根拠はない。 控訴人らの主張によれば,飛行場の設置を許可すべき場合に,土地収用法を適用することがほとんど考えられないこととなる一方,飛行場設置予定地の権利者の一部が反対する限り,航空法39条1項5号の要件を充たさないものとして,設置を許可できないこととなり,極めて不合理な結果となる。 控訴人らの上記主張は,およそ採用することができない。 (3) 控訴人らは本件事業が土地収用法20条3号の要件に適合しないと主張する。 ア同号の判断には,裁量権限の相応の制限が生じるとして,東京高裁昭和 48年7月13日判決を援用するが,本件において,判断を左右する が土地収用法20条3号の要件に適合しないと主張する。 ア同号の判断には,裁量権限の相応の制限が生じるとして,東京高裁昭和 48年7月13日判決を援用するが,本件において,判断を左右するものではない。 イ控訴人らは,本件空港建設の前提となっている需要予測は過大であり,本件空港の需要が高いとは見込まれないと主張する。 証拠(甲242ないし245,270)によれば,現空港の利用状況,航空会社の現空港への航空便の搭乗率及び八重山地域への観光客数は,平成18,19年頃をピークとしてその後は減少傾向にあり,その理由が日本経済の低迷など構造的な要因にあるとする控訴人らの主張を否定することはできない。本件設置許可申請時の旅客利用に関する需要予測が些か過大である可能性は否定できない。しかしながら,そうであるとしても,証拠(甲242)によれば,一般貨物利用については漸増していることが認められるのであって,現空港の諸問題を参酌すると,本件空港の設置事業の相当性及び必要性は肯定されるところであり,旅客利用に関する需要予測が些か過大であることから本件事業の土地収用法20条3号要件該当性が否定されるとはいえない。 ウ控訴人らは,国土交通大臣による本件許可処分は,滑走路の強度,乱気流や津波への対応等について,航空法及び同法施行規則の数々の規定に違反していることから,沖縄総合事務局長による本件事業認定処分により空港運営上の問題が生じるといえ,本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益があるとはいえず,本件事業認定処分は土地収用法20条3号の要件に適合しないと主張するが,控訴人らが主張する航空法及び同法施行規則違反は認められないから,控訴人らの主張には理由がない。 エ控訴人らは,現空港でのオーバーラン事故の危険性に 用法20条3号の要件に適合しないと主張するが,控訴人らが主張する航空法及び同法施行規則違反は認められないから,控訴人らの主張には理由がない。 エ控訴人らは,現空港でのオーバーラン事故の危険性について,実際には1500mの滑走路で小型ジェット機を就航させており,同年以降には同種の事故は発生していないのである。もし危険であるならただちに対策を 講じなければならず,その場合,現空港の滑走路を少し斜めにして,遺跡を回避して滑走路を延長する工事をすることは容易に出来ることであり,2000mの滑走路を確保するには,現空港拡張案がもっとも妥当であると主張する。 しかし,現空港でのオーバーラン事故の潜在的な危険性があることは否定できず,控訴人らが主張する現空港拡張案は,現空港及びその周辺住民の置かれた状況を考慮しないものであって,実現可能性の裏付けのない現空港拡張案が妥当であるとは到底いえないものである。 オ控訴人らは,石垣空港周辺の騒音は嘉手納基地,普天間基地に比べれば,早急な対策が必要とされるレベルではなく,現空港周辺については,航空機に係る環境基準はそもそも指定されておらず,現空港周辺の騒音は,周辺に居住する者が増えていることや,嘉手納基地,普天間基地の周辺の騒音と比較すると,同法20条3号の評価に当たり考慮すべきレベルの騒音被害とはいえないと主張する。 しかしながら,土地収用法20条3号該当性を判断する際に,現空港周辺の騒音を本件空港設置の相当性,必要性の要素の一つとして考慮することが妥当であり,周辺に居住する者が増えていることや,沖縄県の他の基地周辺の騒音と比較することにより,現空港周辺において,同号の評価に当たり考慮すべき騒音被害がないとする控訴人らの主張は,現空港周辺において現に騒音を受忍している周辺住民の ることや,沖縄県の他の基地周辺の騒音と比較することにより,現空港周辺において,同号の評価に当たり考慮すべき騒音被害がないとする控訴人らの主張は,現空港周辺において現に騒音を受忍している周辺住民の住環境を軽視するものであって採用できない。 カ控訴人らは,評価法33条(横断条項)違反があると主張するが,同法違反は認められない。 キ控訴人らは,事業計画策定及び本件事業認定に至るまでの経緯について,沖縄県は,当初からα岳陸上案(本件起業地)を選択することを前提としたものであって,合理的な位置選定は行われていないと主張する。 しかしながら,沖縄県が,当初の白保海上案を撤回し,紆余曲折を経て,他の案との比較検討をしたうえ,α岳陸上案を選定するに至った経緯及び内容を斟酌すると同案選定には十分な合理性がある。 ク控訴人らは,本件起業地が本件事業の用に供されることによって失われる利益として,自然的な価値であるヤエヤマコキクガシラ等の小型コウモリ類3種及びサンゴ類は取り返しのつかない重大な影響を受けるおそれがあること,文化的価値である本件起業地内洞窟(C1洞窟,後にd洞穴と命名)で発見された人骨等は,極めて高い公共性が認められ,十分な調査をする必要があると主張する。 控訴人らが主張する自然的価値については,本件環境影響評価において考慮されたものであり,引用に係る原判決記載のとおり,小型コウモリ類3種及びサンゴ類は取り返しのつかない重大な影響を受けるおそれがあるとは認められない。控訴人らが主張する文化的価値である国内最古の人骨発見に関する事情は,本件許可処分後の事情であり(甲191,196,260等),本件処分時に事業認定が得られるか否かの判断において考慮することは困難であったと認められ,その点を十分考慮しなかったとして に関する事情は,本件許可処分後の事情であり(甲191,196,260等),本件処分時に事業認定が得られるか否かの判断において考慮することは困難であったと認められ,その点を十分考慮しなかったとしても本件許可処分の違法性の有無の判断に影響しない。 ケ控訴人らは,得られる利益と失われる利益との衡量について,選択の基準が一切明示されておらず,客観的基準を見いだすことは不可能であって,本件起業地の選定におよそ合理性が認められないと主張する。 しかしながら,石垣島住民の多数が本件空港を切望する状況において,他の案と比較検討した結果α岳陸上案を選定したことには,合理性があるから,控訴人らの主張を採用することはできない。 (4) 控訴人らは,申請事業を早期に施行する必要性は認められず,本件事業が土地収用法20条4号の要件に適合しないと主張するが,本件空港の設置のため本件空港予定地を収用することに公益上の必要性が認められるから, 控訴人らの主張を採用することはできない。 (5) 引用に係る原判決が認定するとおり,本件空港の建設予定地については,敷地面積142万0442㎡うち141万5057㎡(99.6%)については,沖縄県が所有し,又は地権者から用地取得の同意が得られており,同意の得られていない地権者については,沖縄県が,ねばり強く事業への理解と協力を求めていくこと等により当該土地を取得する旨を確約しているのである。そして,仮に同意が得られなかった場合でも,上記説示のとおり,土地収用法3条12号は公共の用に供する飛行場に関する事業を土地収用可能の事業と定めており,本件許可申請時の旅客利用に関する需要予測が些か過大であるとしても,一般貨物利用については漸増していることが認められること,現空港でのオーバーラン事故の潜在的な危険性があるこ 可能の事業と定めており,本件許可申請時の旅客利用に関する需要予測が些か過大であるとしても,一般貨物利用については漸増していることが認められること,現空港でのオーバーラン事故の潜在的な危険性があることや現空港周辺の騒音のため現空港拡張案は妥当であるとは到底いえないこと等からすれば,新空港の設置のため新空港予定地を収用することに公益上の必要性が認められ,土地収用も可能であるから,本件空港の設置については,航空法39条1項5号の要件を満たしているというべきである。 4 評価法違反の主張について(1) 控訴人らは,原判決が,免許等を付与する者の判断が違法となる場合について,司法審査の対象をあまりに狭く解しすぎていると主張する。 しかしながら,引用に係る原判決が説示するとおり,①評価法は,事業者による方法書作成以後,意見を有する者及び関係都道府県知事等外部者からの意見を受け,これを勘案して検討を加えた上,環境影響評価の実施方法を選定して,環境影響評価を実施し,更に,事業者は,当該環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聞くために準備書を作成し,外部者からの意見を受け,これを勘案して,記載事項について検討を加え,修正を必要と認めるときは修正に応じた措置をとった上で評価書を作成し,免許等を行う者等の意見(環境大臣の意見を勘案したもの)を勘案し,記載事項 について検討を加え,修正を必要と認めるときは修正に応じた措置をとった上で評価書を補正して,確定評価書を作成し,これらの書面の送付,公告及び縦覧をするといった段階を踏んだ評価書確定手続を定めていること,②同法が,免許等に係る審査について,対象事業に係る免許等を行う者は,当該免許等の審査に際し,確定評価書及び同法24条の書面に基づいて,当該対象事業につき環境の保全につい 確定手続を定めていること,②同法が,免許等に係る審査について,対象事業に係る免許等を行う者は,当該免許等の審査に際し,確定評価書及び同法24条の書面に基づいて,当該対象事業につき環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査し,当該免許等に係る当該規定に定める当該基準に関する審査と環境の保全に関する審査の結果を併せて判断するものとし,免許等基準審査に適合している場合であっても,当該判断に基づき,当該免許等を拒否する処分を行い,又は当該免許等に必要な条件を付することができるものとすると定めていること,③環境配慮審査は,環境の保全についての適正な配慮がされるものであるかどうかの審査であり,対象事業により環境の構成要素の一部が必ず変動することを前提とするため,保全されるべき対象を取捨選択することの当否の判断を必然的に含む審査であるところ,この当否を判断する際によるべき基準について直接定めた法令の規定は見当たらないことからすれば,同法は,当該免許等を行う者が,環境の保全に関する審査の結果を判断して,免許等を行うか否か,又は当該免許等に条件を付すか否かについては,免許等を行う者の合理的な裁量に委ねていると解すべきである。 控訴人らは,評価法が,「ベスト追求」という観点から免許等を付与する者の裁量を常に羈束していると解すべきであると主張する。しかしながら,評価法が「ベスト追求型」(甲252,253)とされるのは,評価法以前のいわゆる閣議要綱アセスにおいて,環境基準等あるいは事業者が設定した目標をクリアできればよいとされがちな「基準クリア型」であったこととの対比において,事業者が実行可能な範囲で環境影響をできる限り回避・低減しているかという観点からの評価を指向していることをいうものであって,そこには,環境の保全等のため常 準クリア型」であったこととの対比において,事業者が実行可能な範囲で環境影響をできる限り回避・低減しているかという観点からの評価を指向していることをいうものであって,そこには,環境の保全等のため常に最高水準を講じるべきであるとする等の 絶対的基準があるわけではないから,免許等を行う者の合理的な裁量を否定するものとは考えられない。 よって,原審の判断は妥当であり,控訴人らの上記主張を採用することはできない。 (2) 控訴人らは,評価法の趣旨が,「ベスト追求」であることから,事業者が地方公共団体の場合,事業計画地について代替案の検討をも義務付けていると解すべきであると主張する。 しかし,評価法の「ベスト追求」の趣旨は,上記のとおりであり,評価法自体が事業計画地についての代替案検討を義務付けていると解することには無理があり,控訴人らの主張に法律上の根拠があるとはいえない。 (3) 控訴人らは,事業者が,合理的理由が存在しない限り,24条意見に対応しなければならず,24条意見に対応しない場合,合理的理由を明示しなければならないと解すべきであり,また,事業者は23条意見を勘案すべきであり,23条意見は,免許等を行う者による環境配慮審査の際に審査の基礎とされるものであると主張する。 しかしながら,事業者は,24条意見を勘案して,評価書の記載事項に検討を加え,当該事項の修正を必要とすると認めるときは,修正の区分に応じて,評価書の補正又は修正に係る部分について環境影響評価を行う等の措置をとらなければならないのであって(同法25条1項),24条意見に従わない場合には,環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかの環境配慮審査(同法33条1項)において,審査の対象となり,免許等を拒否する処分等がなされることがある ),24条意見に従わない場合には,環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかの環境配慮審査(同法33条1項)において,審査の対象となり,免許等を拒否する処分等がなされることがあるが(このことから,同法上,事業者は24条意見を尊重することを要請されているといえる。),事業者に24条意見に従うべきことや,従わない場合に合理的理由を示すことを義務付ける規定が見当たらないことは,引用に係る原判決が説示するとおりである。また,環境大臣の23条意見は,免許等を行う者に対する意見であり, 免許等を行う者が24条意見を述べる場合に勘案すべきものであって(同法23条,24条),事業者がこれを勘案し,環境配慮審査の際に審査の基礎とされるものとされていないことは法文上明らかである。よって,控訴人らの上記主張を採用することはできない。 (4) 国土交通大臣の24条意見(1ないし10)への対応についてア本件国土交通大臣意見1について控訴人らは,本件国土交通大臣意見1は,同2以下とは別の取組みを求める趣旨と解すべきであると主張する。 本件国土交通大臣意見1を控訴人ら主張のように解するとしても,乙23によれば,同意見1に対して,事業者の対応として,本件補正書の記載に関して「A,D洞窟について,小型コウモリ類の採餌場への移動経路及び洞口環境並びに周辺環境の保全に万全を期すために,A,D洞口周辺の土地を取得することを追記した。」などの記載があり(13-5),該当箇所(6-12-256等)にその旨の記載があることが認められ,事業者が同意見1に対応していないとはいえない。控訴人らの主張は前提を欠き,失当である。 イ本件国土交通大臣意見2について控訴人らは,原判決が,本件国土交通大臣意見2が環境保全のために要求してい 同意見1に対応していないとはいえない。控訴人らの主張は前提を欠き,失当である。 イ本件国土交通大臣意見2について控訴人らは,原判決が,本件国土交通大臣意見2が環境保全のために要求している水準を低く変容しており失当であり,同意見2は,工事期間中にコウモリ類の利用がなくなってしまった空洞や滑走路の直下に残された空洞をコウモリ類が利用できるようになる方策を要求していると見るのが自然であるが,本件補正書はこれに対応していないと主張する。 乙23(13-5)によれば,同意見2に対して,事業者の対応として,本件補正書の記載に関して,B洞窟に新たな洞口を創設し,C洞窟はトンネルを設け,敷地外に創出する緑地に新たな洞口を創設し,E洞窟は,小型コウモリ類の利用に配慮して,ボックスカルバート内の工夫,洞 口付近への樹林の植栽等を行うこと,及び専門家の助言を得た上で,具体的な形状等を決定することを追記した旨の記載があり,該当箇所(7-68以下)にその旨及び工事中は小型コウモリ類のねぐらとして利用できなくなるが,供用後において小型コウモリ類の利用を期待できるとして保全対策を講じる旨の記載があることが認められる。そうすると事業者が同意見2に対応していないとはいえない。控訴人らの主張を採用することはできない。 ウ本件国土交通大臣意見3について控訴人らは,事業者の行った調査は,年間を通じた調査でなく,最低でも1年を通じた調査をして,コウモリ類の生態を調査して保全の要否を検討すべきとした同意見3の趣旨に反すると主張する。 しかしながら,同意見3は,「小型コウモリ類の利用について,追加調査を行うこと」とするものであって,1年以上の生態調査をした上で保全の要否を検討すべき旨を示していないのであるから,控訴人らの主張を採用するこ ら,同意見3は,「小型コウモリ類の利用について,追加調査を行うこと」とするものであって,1年以上の生態調査をした上で保全の要否を検討すべき旨を示していないのであるから,控訴人らの主張を採用することはできない。 エ本件国土交通大臣意見4について控訴人らは,同意見4で要求されている浸透方法についての再検討は行われていないこと,及びドレーン層を10m下流に動かしても,ドレーン層を通じてA洞窟内に赤土を含む雨水が流入することに変わりはないと指摘し,沖縄県の対応は,同意見4に全く対応していないに等しいと主張する。 しかしながら,同意見4は,「A洞窟奥部の上部にドレーン層が設置される場合は,A洞窟奥部の地下水に影響を及ぼすことがないよう,ドレーン層の位置,浸透方法についてさらに検討を行い,それらの見直しを含めた適切な措置を講じること」とするものであって,ヤエヤマコキクガシラコウモリの出産・ほ育が確認されたA洞窟奥部付近のドレーン層を10m 地下水の下流側(海側)に移動することにより(乙23・6-12-256ないし258),同意見4の「A洞窟奥部の上部にドレーン層が設置される場合」には当たらなくなると解することができ,また,ドレーン層を移動してもドレーン層を通じてA洞窟内に赤土を含む雨水が流入することに変わりはないとする控訴人らの指摘の裏付けはないから,控訴人らの主張を採用することはできない。 オ本件国土交通大臣意見5について控訴人らは,原判決が,本件国土交通大臣意見5がコウモリ類の生息継続を達成すること自体を直接求めているわけではないとした上で,本件補正書が同意見5に対応していないということはできないと説示したことは失当であると主張する。 乙23によれば,同意見5に対して,事業者の対応として,本件補正書 ているわけではないとした上で,本件補正書が同意見5に対応していないということはできないと説示したことは失当であると主張する。 乙23によれば,同意見5に対して,事業者の対応として,本件補正書の記載に関して,「小型コウモリ類の移動経路及び餌場として事業実施区域西側及び北側に約50m幅の緑地を創出すること,また,A,D洞窟の洞口周辺から国道周辺の樹林に至る範囲に緑地を創出することを追記した。」「事業による土地改変は段階的に実施し,樹林の伐採は,全体を一度に行わず,2~4年次に段階的に行うこと,また採餌場所,移動経路となる緑地を早期に創出することを追記した。」との記載(13-5)があり,該当箇所(6-12-318・319,7-63)にその旨の記載がされていることが認められる。そうすると事業者が同意見5に対応していないとはいえない。控訴人らの主張を採用することはできない。 カ本件国土交通大臣意見6について控訴人らは,原判決が,本件国土交通大臣意見6について,その余の意見と別個独立の対応を求める趣旨であるとは認められないとする点及び,本件補正書において,騒音・振動レベルの事後調査を行い,環境影響の程度が著しいことが明らかになった場合には,洞窟付近での作業を一旦休止 し,専門家の指導・助言を得た上で適切な措置を講じることとしていることを評価することは誤りであると主張する。 しかしながら,国土交通大臣の意見としては別個であっても,事業者が必ずしも別個の対応をしなければならないとまでは言えず,事後調査によって環境影響に配慮することが国土交通大臣意見に対応することにならないともいえないから,控訴人らの主張を採用することはできない。 キ本件国土交通大臣意見9について控訴人らは,本件国土交通大臣意見9は,人工洞窟を ことが国土交通大臣意見に対応することにならないともいえないから,控訴人らの主張を採用することはできない。 キ本件国土交通大臣意見9について控訴人らは,本件国土交通大臣意見9は,人工洞窟を整備することを要求しているのに,本件補正書の記載は整備を検討するというだけのものであって,同意見9に対応したとは評価できないと主張する。 乙23によれば,同意見9に対して,事業者の対応として,本件補正書の記載に関して,「できる限り早い段階で設置することを追記した」との記載があり(13-6),該当箇所(7-71)にはその旨の記載があることが認められるから,控訴人らの主張を採用することはできない。控訴人らは,人工洞でコウモリ類が生息しているという報告はなく,人工洞の整備は極めて困難であると主張するが,同意見9は,「人工洞窟については,専門家の指導・助言を得た上で,補正評価書の公告後のできる限り早い段階で設置すること」を求めているのであるから,人工洞でのコウモリ類の生息例が乏しいとしても,人工洞を設置することが同意見9に対応していないとはいえない。控訴人らの主張を採用することはできない。 ク本件国土交通大臣意見10について控訴人らは,本件補正書には,事業実施区域や事業者が取得する地域の周辺の洞窟の保全や採餌場所としての林地に該当するいかなる区域において,潜在的なものも含めいかなる形態の土地利用について,いかなる権限を有するいかなる機関の部署に対して,いかなる土地利用上の配慮を要請しようとしているのかについての具体的な記載が全くないから,同意見1 0への対応として不十分であると主張する。 乙23によれば,同意見10に対する事業者の対応として,本件補正書の記載に関して,「本事業において実施された小型コウモリ類の調査結果, 見1 0への対応として不十分であると主張する。 乙23によれば,同意見10に対する事業者の対応として,本件補正書の記載に関して,「本事業において実施された小型コウモリ類の調査結果,事後調査結果の情報を石垣市や沖縄県等の関係機関へ提供し,小型コウモリ類の生息に影響を与えないような土地利用が図られるよう要請などを行うことを追記した」との記載があり(13-6),該当箇所(7-73)にはその旨の記載があることが認められるから,同意見10に対する対応として不十分ということはできず,控訴人らの主張を採用することはできない。 (5) 本件国土交通大臣意見11について控訴人らは,本件国土交通大臣意見11は,事業実施区域及び周辺地域の特性と,地下浸透させる方法の赤土流出防止対策が採られていることを踏まえて,「海域に浸出する経路」の記載を求めたのであって,ここでいう「経路」は,具体的な地下洞窟の走り方を調査の上記載することを求めたのであることは明らかであるのに,沖縄県は,地表からの浸透という「入口」だけの調査及び評価書への記載に止まっており,そこから先の具体的な経路について対応せず,対応しない理由は一切明示されていないから,同意見11に対応していないことは明らかであると主張する。 確かに,同意見11は,「海域に浸出する経路」について把握し,その結果を評価書に記載することとしているのに対し,引用に係る原判決(75頁)が指摘するとおり,本件補正書にはこの点の記載がなく,同意見11に対する対応は不十分である。ところで,同意見11の趣旨を検討すると,国土交通大臣が意見を述べる際に勘案したとみられる環境大臣意見(乙20)における,本件国土交通大臣意見11と同趣旨の意見は,「2.サンゴ礁生態系への影響」の表題と「濁り,栄養塩などの水質 討すると,国土交通大臣が意見を述べる際に勘案したとみられる環境大臣意見(乙20)における,本件国土交通大臣意見11と同趣旨の意見は,「2.サンゴ礁生態系への影響」の表題と「濁り,栄養塩などの水質の変化,赤土等の堆積がサンゴ礁生態系に影響を与えることが懸念されるため,以下の措置を講じる こと」との文章の次に最初の項目として記載されており,これを勘案した本件国土交通大臣意見11も同趣旨と解されるから,同意見11は,本件空港設置工事により,「事業実施区域及びその周辺区域への降雨及び流入水」がサンゴ礁生態系へ与える影響を評価するための前提として,「η川に流入し」又は「海域に浸出する」経路及びその量について把握し,その結果を評価書に記載することを求めたものと考えられる。しかしながら,同意見11及びその他の国土交通大臣意見には,事業実施区域等への降雨等の海域への流出経路について,河川及び地下水への言及はあるが,地下川又は地下水流についての言及がない(ケイブシステムについての言及もない。)ことからすると,同意見11が地下川又は地下水流の経路を特定して把握することまで求めていたと考えることには疑問がある。そうすると,本件補正書の同意見11への対応の不十分さは,国土交通大臣が,当該事業につき,環境の保全についての適正な配慮がなされるものかどうかを審査する際に,それ自体で直ちに問題とされるものではなく,サンゴ礁生態系についての環境影響評価全体の中で考慮されるべきものである。 (6) 赤土流出防止対策についてア控訴人らは,琉球石灰岩自体にろ過機能がなく,「緩速ろ過方式」により,水流を限界流速以下に落とすことで懸濁物質を沈殿させるという機能が確保される保証はなく,沖縄県の透水実験でも,濁水の注入量の増加に従い,透水係数が徐々に低下する傾向 がなく,「緩速ろ過方式」により,水流を限界流速以下に落とすことで懸濁物質を沈殿させるという機能が確保される保証はなく,沖縄県の透水実験でも,濁水の注入量の増加に従い,透水係数が徐々に低下する傾向が確認され(本件補正書6-1-24),濁水による目詰まりが生じていることを示すものであると指摘する。 しかしながら,控訴人らの主張する浸透ゾーンのろ過機能がないという主張については,浸透ゾーンの仕組みが緩速ろ過方式(乙48)であるということを考慮すると,控訴人らの主張を裏付ける具体的な根拠はないというべきである。濁水の注入量増加に従い透水係数が低下するという透水 実験の結果についても直ちにろ過機能を否定するものとは考えられない。 本件補正書(乙23の6-1-44)によれば,浸透ゾーンへは,場内で設置される仮設調整池において自然沈降により濁度低減を図るとともに,ろ過沈殿処理施設を経由して,地下浸透させることで,工事区域内の雨水を処理するものとし,ろ過沈殿処理施設は,浸透ゾーンの直前に設置し,浸透ゾーンに流入する濁水の濁度を200mg/L以下に低減する機能をもつものとされ,浸透ゾーンの流入口で濁水の濁度が目標値を満足するか管理するものとされている。そして,ろ過沈殿処理施設と浸透ゾーン等の施設を点検し,維持管理するものとされていることを参酌すると,国土交通大臣が,浸透ゾーンのろ過機能について,環境の保全の見地から問題視しなかったことをもって,その裁量権の行使の逸脱又は濫用があるとはいえない。よって控訴人らの主張を採用することはできない。 イ控訴人らは,大雨のときに工事現場において発生した濁水が,石灰岩層の表面の亀裂や土で覆われている部分に存在する無数の割れ目や穴から洞窟地下川に流入し,ろ過機能のない地下川及びパイピング現象によって 控訴人らは,大雨のときに工事現場において発生した濁水が,石灰岩層の表面の亀裂や土で覆われている部分に存在する無数の割れ目や穴から洞窟地下川に流入し,ろ過機能のない地下川及びパイピング現象によって形成された水みちを通って濁水が海岸から湧き出し,サンゴ礁への重篤な影響を与える危険があると主張する。 しかしながら,控訴人らが主張するように石灰岩層の亀裂や割れ目等から,一定程度雨水が浸透し,濁水がそのままろ過されずに海岸から湧き出し,サンゴ礁に重篤な影響を与える危険があることは,本件補正書等からこれを窺うことはできず,その他の証拠によっても控訴人らの主張が裏付けられているとはいえない。 甲128,132によれば,平成20年6月に,大雨により本件空港工事現場周辺の赤土を含む濁水が海域へ流失する事態が生じ,海水がにごったことが認められるが,海水の濁りの大部分はη川から流入した赤土によるものと思われ(甲128・21頁),どの程度の濁水がAないしE洞窟 を経由し,A1洞窟とE洞窟の海側の先に存在する海岸湧水帯から湧出したと考えられるかは不明であり,控訴人らの上記主張が裏付けられるとはいえない。 よって,控訴人らの主張は採用できない。 ウ控訴人らは,評価書に記載された赤土等流出防止対策では赤土の流出という環境保全上の重大な支障を生じさせることが判明し,「環境の保全についての適正な配慮を欠く結果,環境保全上の支障を生ずる場合」であるにもかかわらず,国土交通大臣は,赤土流出の防止によるサンゴ礁の保全が図られると判断したことは,明らかに評価法33条に違反し,事実誤認,判断過程に裁量を逸脱した違法があり,本件許可処分が違法となることは明らかであると主張する。 しかしながら,控訴人らの主張する赤土等流出防止対策では赤土の流出 に評価法33条に違反し,事実誤認,判断過程に裁量を逸脱した違法があり,本件許可処分が違法となることは明らかであると主張する。 しかしながら,控訴人らの主張する赤土等流出防止対策では赤土の流出という環境保全上の重大な支障を生じさせることが判明したことを認めるに足る証拠はない(白保のサンゴが減少したこと(アオサンゴを除く。甲263,264)と本件工事による赤土流出を関連づけるに足る証拠はない。)。 (7) 控訴人らは,原判決が,本件事業予定地周辺に生息するコウモリ類等の保全に関する本件許可処分の違法性がないと判断したことは誤りであると主張する。 ア控訴人らは,原判決が,B,C及びE洞窟の保全対策を評価しているが,コウモリ類の生態に対する無理解に起因するものであり,同保全対策は,コウモリ類の保全には全く役立たないとして種々主張する。 しかしながら,原判決は,B,C及びE洞窟についてもできる限りコウモリ類が継続してそれらを利用できるよう,専門家の指導・助言を受けて保全策が検討され,洞窟に変更が加えられ,新たな洞口は採餌場所や移動経路とのつながりに配慮して設けられることを考慮して判断しているので あり,誤りはない。 イ控訴人らは,A洞窟及びD洞窟の環境保全等について種々批判し,コウモリ類の減少がみられると主張する。 しかしながら,控訴人らの主張は,実質的に原審における主張の繰り返しであり,これに対する当裁判所の判断は引用に係る原判決記載のとおりである。甲273によれば,カグラコウモリの冬季の休眠時期におけるAないしE洞窟での最大個体数が経年変動の範囲を下回っていること及び石垣島の主な利用洞窟における総個体数が工事開始後減少傾向にあることが認められ,事業実施による影響であると考えられる場合にあっては,専門家の 洞窟での最大個体数が経年変動の範囲を下回っていること及び石垣島の主な利用洞窟における総個体数が工事開始後減少傾向にあることが認められ,事業実施による影響であると考えられる場合にあっては,専門家の助言を受け,適切な環境保全措置を実施することとされたことが認められる。甲296(資料-2)によれば,AないしE洞窟内でカグラコウモリ等の減少傾向が認められるが,石垣島島内における総個体数に明らかな減少傾向が認められるとはいえない(なお,控訴人らは,乙19・資-453の「98%以上」との記載に依拠して,2%の相違が重要であるとして,石垣島全体でコウモリ類を見るのは誤っていると主張するが,同書証は,石垣島全体で一つの個体群を形成しているとみることができる確率が98%以上あることを述べるものであって,同主張に理由がない。)。 本件空港建設工事によりAないしE洞窟内の小型コウモリ類に影響を与えたことが認められるが,石垣島全島の観点からみた場合に本件環境影響評価及びこれに基づく本件許可処分に瑕疵があるとまでは認められない。よって,控訴人らの主張は採用できない。 ウ控訴人らは,その他るる主張するが,原判決又は本件に提出された書証を正解しないものであって,いずれも採用することができない。 (8) 控訴人らは,原判決は控訴人らが指摘した点を無視し,本件補正書に記載されたもののみ,記載があるという事実のみを考慮の対象としたが,これは誤っていると主張する。 しかしながら,許可処分の審査の際に本件補正書の記載事項及び24条書面に基づいて対象事業につき,環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかを審査すべきことは法律上の要請であり,それが将来の事態に対する対応であってもその内容に照らして評価し,許可処分の審査をすべきであると考えられる。 境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかを審査すべきことは法律上の要請であり,それが将来の事態に対する対応であってもその内容に照らして評価し,許可処分の審査をすべきであると考えられる。原判決が,本件補正書の記載内容に照らして,相応の配慮をしていると判断したことに誤りがあるとはいえない。控訴人らの主張は採用し得ない。 そうすると,控訴人らの評価法違反の主張についても理由がない。 5 以上によれば,原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。なお,控訴人らは,静岡空港の完成検査の内容によれば被控訴人の完成検査に関する主張は虚偽であるとして弁論再開を申し立てたが,検査内容は法律事項である上,事案も異なるので弁論は再開しなかった。 東京高等裁判所第17民事部 裁判長裁判官南敏文 裁判官江口とし子 裁判官野村高弘
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