令和5(ネ)10046 発信者情報開示請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年1月18日 知的財産高等裁判所 3部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 令和4(ワ)2237
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判決文本文10,555 文字)

令和6年1月18日判決言渡令和5年(ネ)第10046号発信者情報開示請求控訴事件(原審東京地方裁判所令和4年(ワ)第2237号)口頭弁論終結の日令和5年11月6日判決 控訴人 X同訴訟代理人弁護士齋藤理央 被控訴人 GoogleLLC日本における代表者グーグル・テクノロジー・ジャパン株式会社 同訴訟代理人弁護士赤川圭同山内真之 同早川晃司 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、原判決別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 第2 事案の概要 1 本件は、原判決別紙著作物目録掲載の写真(以下「本件写真」という。)の著 作権を有する控訴人が、同別紙発信者目録記載の各発信者(以下、同目録記載の発信者1を「本件発信者1」と、同目録記載の発信者2を「本件発信者2」と、それぞれいい、本件発信者1と本件発信者2を、併せて「本件発信者ら」という。)が本件写真をそれぞれウェブサイト(以下「本件各ウェブサイト」という。)に投稿(以下「本件各投稿」という。)したことによって、控訴人 い、本件発信者1と本件発信者2を、併せて「本件発信者ら」という。)が本件写真をそれぞれウェブサイト(以下「本件各ウェブサイト」という。)に投稿(以下「本件各投稿」という。)したことによって、控訴人の本件写 真に係る複製権、送信可能化権及び自動公衆送信権が侵害されたと主張して、本件各ウェブサイトを管理する被控訴人に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)5条1項に基づき、原判決別紙発信者情報目録記載の各情報の開示を求める事案である。 原審における争点整理の結果、本件の権利侵害の明白性に係る争点は、著作権法41条(時事の事件の報道のための利用)の適用の可否のみであるとされた(令和5年2月6日に行われた原審第6回口頭弁論調書。)。 原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、これを不服とする控訴人が控訴した。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3のとおり当審における当事者の主な補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」(以下「事実及び理由」との記載を省略する。)の第2の2、3及び第3(原判決2頁12行目から5頁9行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(なお、証拠を摘示する場合には、特に記載のない限り、枝番 を含むものとする。)。 ⑴ 原判決3頁4行目の「提起した」の次に「本件写真の著作権侵害幇助に係る」を、同頁5行目の「ブログ記事」の次に「(甲55。以下「控訴人ブログ」という。)」をそれぞれ加え、同頁11行目の「別件訴訟の判決内容」を「別件訴訟の判決(以下「別件訴訟判決」という。)の内容」と、同頁11行目か ら同頁12行目及び同頁13行目の各「当該判決内容」をいずれも をそれぞれ加え、同頁11行目の「別件訴訟の判決内容」を「別件訴訟の判決(以下「別件訴訟判決」という。)の内容」と、同頁11行目か ら同頁12行目及び同頁13行目の各「当該判決内容」をいずれも「別件訴 訟判決の内容」とそれぞれ改める。 ⑵ 同4頁3行目の「投稿(」の次に「甲17。」を加え、同頁9行目の「当該判決」を「別件訴訟判決」と改める。 ⑶ 同5頁3行目の「情報は、」の次に「プロバイダ責任制限法5条1項に定める」を加える。 3 当審における当事者の主な補充主張〔控訴人の主張〕⑴ 本件投稿1の著作権法41条の適用についてア原審でも主張したとおり、本件元投稿は、控訴人ブログを受けたものであるところ、本件元投稿も、これを受けた本件投稿1も、「まとめサイト」 でのインラインリンクに著作権侵害幇助の判決についての概要や要点を報道しようとするものではなく、控訴人ブログによる報道記事の存在とURLを紹介しようとするものであるから、著作権法41条に定める「時事の事件の報道」にはあたらない。 すなわち、本件元投稿は、簡単な「インラインリンクは著作権の幇助侵 害にあたるという判決が出たそうです」というコメントと共に、控訴人の元記事へのURLを貼付(いわゆるハイパーリンク)するものである。このハイパーリンクによって、本件元投稿は読者を控訴人ブログに誘導していることから、控訴人ブログへのリンクによる誘導を目的とする投稿ということができ、本件元投稿の趣旨は、「時事の事件の報道」というより、時 事の事件を報道する「控訴人のブログ記事の存在の公衆への紹介、伝達」である。そして、本件元投稿を受けた本件投稿1も、同様に「インラインリンクは著作権の幇助侵害にあたるという判決」の内容の報道や紹介ではなく、 報道する「控訴人のブログ記事の存在の公衆への紹介、伝達」である。そして、本件元投稿を受けた本件投稿1も、同様に「インラインリンクは著作権の幇助侵害にあたるという判決」の内容の報道や紹介ではなく、判決の内容、意味を報道する控訴人のブログの存在とそのファイルの場所の紹介を趣旨とするものである。 イ本件元投稿は本件写真を利用することを意図するものではなく、「怖いか らGoogle先生が勝手に出しているサムネイル消しておこう」(甲17)との記載があるとおり、被控訴人のシステムから意図せず本件写真が添付されてしまい、慌てて削除したという経緯がある。このように、URL及びURL紹介の趣旨さえ示せば、本件元投稿及びこれを受けた本件投稿1の目的は達せられるのであって、本件写真に係る事件の内容や詳細を 報道する趣旨でない本件投稿1において、事件を構成する本件写真を添付する必要はない。加えて、本件投稿1との分量比からしても、主従関係、明瞭区分性は認められず、本件投稿1の本件写真の利用態様には著作権法32条の引用利用も成立しないから、このような利用態様は、控訴人にとって不利益が大きい。 職業写真家である控訴人においては、仮に当該判決を報道する場合、利用料を払って本件写真を利用してもらうという商業的な意図もあって控訴人ブログを掲載している。そのような本件写真を、本件投稿1のようにアイキャッチ的な利用として認めてしまえば、本来的な商業利用の市場と正面から衝突し、控訴人に不利益というべきである。 本件写真について、本件投稿1に利用することを著作権法41条で適法化できる利益状態にないから、同条は適用されるべきではない。 ⑵ 本件投稿2の著作権法41条の適用についてア本件投稿2は、本件発信者2によるスパム 本件投稿1に利用することを著作権法41条で適法化できる利益状態にないから、同条は適用されるべきではない。 ⑵ 本件投稿2の著作権法41条の適用についてア本件投稿2は、本件発信者2によるスパム記事の投稿(甲5等)に本件写真を利用するものである。本件投稿2に係るブログは、本件投稿2のよ うな自動生成記事を大量に投稿している(甲58)。本件投稿2は、同ブログが自動で生成した11ページからなる記事の、3ページ目の記事である。 ページ毎の無断掲載写真(画像検索サイトなどから自動収集したと考えられる画像及び文章)は約10点であり、それが11ページにわたっていることから、約100点以上の無断掲載画像が一つの記事を形成しているも のと思料される。 このようなスパムブログの狙いは、自動生成した記事から検索流入したユーザーをアダルトサイトやオンラインカジノサイト等に誘導してアフィリエイト収入を得ること、及び悪意あるサイトに誘導してユーザーのクライアントコンピュータをスパイウェア、マルウェアやウイルスに感染させたり個人情報やクレジットカード情報を取得する点にあると解される。 このように、スパムブログの記事たる本件投稿2は、自動で生成された何らの意図や情報伝達の目的を持たない投稿である。すなわち、ページの内容としては明確な意図や伝達したい事実などはなく、検索流入により悪意あるサイトや広告に誘導してアフィリエイト収入を得られればよいのであり、挿入されている画像なども記事の自動生成ツールで機械的に選別さ れたものでしかない。 上記のとおり、本件投稿2は自動生成ツールで生成されたスパム記事であり、機械的に取集された文章、画像の羅列に過ぎず、発信者に何らの事実の伝達の意図はないから、時事の事件の報道には当たらず、本件 上記のとおり、本件投稿2は自動生成ツールで生成されたスパム記事であり、機械的に取集された文章、画像の羅列に過ぎず、発信者に何らの事実の伝達の意図はないから、時事の事件の報道には当たらず、本件投稿2における本件写真の利用態様は、リダイレクトによるアダルト広告へのリ ンクやフェイクアラートによる悪意あるウェブサイトへの遷移を企図したものであるから、本件写真の掲載は正当な利用の範囲とはいえない。 イ本件投稿2に係るブログは、フェイクアラートをポップアップ表示しているところ(甲79)、フェイクアラートは、ウェブサイトに表示されるポップアップ式の警告であり、その狙いは悪意のあるウェブサイトに飛ばし たり、怪しいアプリをインストールさせる点にあるとされる(甲66)。同ブログは、ブラウザのJAVASCRIPTが作用しない状態にしないと、勝手にフェイクアラートサイト(甲62)などに遷移する状態となり閲覧さえままならなかった(甲79)。同ブログは、閲覧すると同時にフェイクアラートサイトに飛ばされるなど、極めて怪しく、ウイルス感染の恐れも 疑われるようなサイトであった(甲79)。 以上のとおり、本件投稿2に係るブログは、自動生成ツールで生成されたスパム記事であり、本件投稿2は報道としての価値を有さない悪意あるサイトなどへの誘導を企図した有害なものである。そのような本件投稿2に本件写真を利用することは、控訴人に与える悪影響が大きく、控訴人の著作権を不当に侵害するものであり、明白に違法である。 リダイレクトによるアダルト広告へのリンクや、フェイクアラートによる悪意あるウェブサイトへの遷移を企図したウェブサイトに控訴人の本件写真を掲載することは、控訴人の名誉声望を傷つけ(著作権法113条違反)、控訴人の写 アダルト広告へのリンクや、フェイクアラートによる悪意あるウェブサイトへの遷移を企図したウェブサイトに控訴人の本件写真を掲載することは、控訴人の名誉声望を傷つけ(著作権法113条違反)、控訴人の写真のブランド価値を極めて深刻に侵襲する。このような本件投稿2に著作権法41条の適用はない。 ⑶ AdSenseアカウントの開示について本件投稿2に係るAdSenseアカウントは、発信者の氏名、住所などとして開示の対象となるというべきである。この点につき、「侵害情報の発信者情報」を、侵害情報が投稿されたログイン時のIPアドレスから把握される発信者情報に限定して解釈するのではなく、当該侵害情報を送信した者の 情報であると認められるのであれば、侵害情報を送信した後のログイン時のIPアドレスから把握される発信者情報や、侵害情報の送信の直前のログインよりも前のログイン時のIPアドレスから把握される発信者情報も、プロバイダ責任制限法4条1項にいう「権利の侵害に係る発信者情報」に当たり得ると判示する下級審裁判例の存在に照らしても、控訴人の主張は認められ るべきである。 本件においてAdSenseアカウントを付与されて本件投稿2に係るブログを収益化した者は、たとえ本件投稿2の発信者ではないとしても、ブログの収益化に力を貸し、侵害情報の送信に動機付けを与え、あるいは収益の分配などを行っていたおそれさえ高いのであり、その情報の開示を甘受すべ き立場にあるといえる。また、本件においては、グーグルアカウントに住所 が登録されておらず、氏名も実際の氏名か判然としないのであるから、AdSenseアカウントを開示しなければ発信者の特定に至らないのであり、当該情報を開示すべき要請も極めて強い。 以上から、本件投稿2に係るAdSens 氏名も実際の氏名か判然としないのであるから、AdSenseアカウントを開示しなければ発信者の特定に至らないのであり、当該情報を開示すべき要請も極めて強い。 以上から、本件投稿2に係るAdSenseアカウントに係る氏名、住所などは開示の対象となるというべきである。 ⑷ 網羅的アクセスログの開示について本件で控訴人が開示を請求する、原判決別紙発信者情報目録第1ログイン情報1記載の、最新アクセスログを含めた網羅的アクセスログは、全て侵害に係る送信と「相当の関連性」(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則5条柱書)を有する通信に該 当し、プロバイダ責任制限法5条1項にいう「権利の侵害に係る発信者情報」に該当し、開示の対象となる。 本件では、被控訴人のようなコンテンツプロバイダに対する開示請求は、アクセスログの内容について不明である中で、どの範囲のアクセスログを開示できるかが問題となる。プロバイダ責任制限法においては、アクセスプロ バイダに対する開示請求とコンテンツプロバイダに対する開示請求の場面の違いを意識できていない点に問題があり、被害者の権利の救済を軽視し、バランスを欠いていることから、前記のとおりの「相当の関連性」に関する適正な法解釈によって、被害者の保護が図られるべきである。 〔被控訴人の主張〕 ⑴ 本件投稿1の著作権法41条の適用について本件投稿1は報道についての著作権法41条の要件を満たしており、控訴人の主張は独自の解釈である。甲17に「怖いからGoogle先生が勝手に出しているサムネイル消しておこう」との記載があることは認めるが、かかる記載によれば、本件発信者1に著作権侵害の故意・過失がなかったこと は明らかである。また、控訴人は、本件 le先生が勝手に出しているサムネイル消しておこう」との記載があることは認めるが、かかる記載によれば、本件発信者1に著作権侵害の故意・過失がなかったこと は明らかである。また、控訴人は、本件で問題となる著作権法41条の議論 と、同法32条の議論を混同している。 ⑵ 本件投稿2の著作権法41条の適用についてア本件投稿2についても報道についての著作権法41条の要件を満たしており、控訴人の主張は独自の解釈である。本件投稿2に係るブログが自動的に記事を生成していることについては控訴人の主張立証によっても明 らかとはいえないが、仮に自動的に記事を作成するものであったとしても、何らかの選定基準により「発信者情報裁判Line上告棄却敗訴確定ニュース・・・」という記載を選択しているのであれば、報道目的は十分に窺われる。 イ本件投稿2に係るブログが、控訴人の主張するようなスパムブログであ ることが証拠上明らかであるとはいえない。 これに係る証拠として控訴人が当審において新たに提出した各証拠(甲57以下)は、そもそも原審において提出することが可能であった証拠であり、控訴人の主張は後付けの主張であることが明らかである。控訴人によるこれら証拠の提出時点においては、本件投稿2に係るブログは既に削 除されて閲覧できない状態であり、控訴人の主張内容を正確に検証することは不可能である。 実際、被控訴人代理人において、本件投稿2に係るブログを表示した際には、控訴人の提出した甲5と同様に、フェイクアラートが表示されたり、別サイトへとリダイレクトされることはなかった(乙25)。 また、本件投稿2に係るブログに限らず、ブログにはネット広告が設定されることがあり、かかるネット広告にはフェイクアラートのプロ 別サイトへとリダイレクトされることはなかった(乙25)。 また、本件投稿2に係るブログに限らず、ブログにはネット広告が設定されることがあり、かかるネット広告にはフェイクアラートのプログラムが仕込まれることがあるが、そのようなネット広告には広告が表示されるウェブサイトが意図的に表示しているものではないことも少なくない。そのため、ウェブサイトの作成者には何ら表示の意図がなくても、ネット広 告のスペースを設置しただけで、投稿者の意図によらずに、ウェブサイト の閲覧者に対してフェイクアラートが表示されてしまう場合もある(乙26)。ネット広告は、ウェブサイトの検索傾向により、ユーザーごとに表示される広告が異なる仕組みになっている(乙27)。したがって、控訴人が主張するように仮に本件投稿2に係るブログを閲覧した際にフェイクアラートが表示され、それをクリックした場合に悪意のあるサイトに飛ばさ れたことがあるとしても、当該フェイクアラートは本件投稿2に係るブログの作成者によって設置されたものとはいえず、かかる事情のみから本件投稿2に係るブログ自体がスパムブログであるとか、報道の要件を満たさないものであるとすることはできない。 ⑶ 控訴人のその他の主張について 原審の第6回口頭弁論期日において、侵害論に係る争点は著作権法41条のみであって他に主張立証がないことが確認され、AdSenseアカウントについても主張立証が尽くされたことを確認した上で口頭弁論が終結された。したがって、これら以外についての控訴人の主張はいずれも時機に後れた攻撃防御方法に当たるものとして却下されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり補正し、 れも時機に後れた攻撃防御方法に当たるものとして却下されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり補正し、後記2のとおり、当審における当事者の主な補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決第4の1(原判決5頁11行目から8頁3行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決5頁17行目の「上記にいう著作権侵害幇助の判決(以下「別件訴訟判決」という。)」を「上記にいう著作権侵害幇助についての別件訴訟判決」と、同頁24行目の「にいう事件を構成する著作物」を「にいう『当該事件を構成』する著作物(以下「事件を構成する著作物」という。)」と改める。 ⑵ 同6頁15行目ないし16行目の「時事の事件の主題となった著作物であ る」を「時事の事件の主題となった、事件を構成する著作物である」と、同 頁25行目、同26行目、同7頁2行目及び同頁3行目の各「判決」をいずれも「決定」と改める。 ⑶ 同7頁4行目の「侵害の有無」を「著作権侵害の成否」と、同頁19行目の「判決」を「決定」と改め、同頁4行目から5行目の「当該事件の主題となった著作物である」及び同頁19行目から同頁20行目の「時事の事件の 主題となった著作物である」をいずれも「時事の事件の主題となった、事件を構成する著作物である」と改める。 2 当審における当事者の主な補充主張に対する判断⑴ 控訴人の前記第2の3⑴の主張について控訴人は、本件投稿1は、報道目的はなく、著作権法41条に該当しない 旨を主張する。 しかし、補正の上で引用した原判決第4の1⑴のとおり、本件写真は、別件訴訟判決という時事の事件の主題となった、事件を構成する著作物であり、本 く、著作権法41条に該当しない 旨を主張する。 しかし、補正の上で引用した原判決第4の1⑴のとおり、本件写真は、別件訴訟判決という時事の事件の主題となった、事件を構成する著作物であり、本件投稿1に係る本件写真の掲載は、社会的な意義のある事件を客観的かつ正確に伝えるものとして、著作権法41条にいう時事の事件の報道に係る著 作物の掲載として適法であるものと認められる。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑵ 控訴人の前記第2の3⑵の主張について控訴人は、本件投稿2は自動生成に係るもので、違法なスパムブログにユーザーを誘導するものであり、著作権法41条にいう報道には当たらない旨 を主張する。 しかし、控訴人が本件投稿2に係る証拠として提出した甲5において、そもそも控訴人が主張するようなフェイクアラート等の存在を認めることができない。被控訴人代理人も、控訴人代理人から提供を受けた訴状記載の正確なURLから本件投稿2に係るブログを閲覧したが、問題なく当該ブログを 閲覧することができ、一定時間が経過してもリダイレクトされることはなく、 フェイクアラートが表示されることもないまま、問題なく前記甲5と同様の画面が表示され続けていたとしている(乙25)。 加えて、ブログにおけるインターネット広告には、広告が表示されるウェブサイトが意図的に表示しているものではないことも少なくなく、ウェブサイトの作成者には何ら表示の意図がなくても、インターネット広告のスペー スを設置しただけで、投稿者の意図によらずに、ウェブサイトの閲覧者に対してフェイクアラートが表示されてしまう場合もあることが認められる(乙26)。さらに、インターネット広告は、ウェブサイトの検索傾向により、ユーザーごとに表示される広告 ずに、ウェブサイトの閲覧者に対してフェイクアラートが表示されてしまう場合もあることが認められる(乙26)。さらに、インターネット広告は、ウェブサイトの検索傾向により、ユーザーごとに表示される広告が異なる仕組みになっていることも認められる(乙27)。 そうすると、控訴人が、当審において本件投稿2に係るブログがスパムブログであることに係る具体的な証拠として提出した甲57、甲58、本件投稿2に係るブログのフェイクアラートとする甲59ないし62等の存在を考慮しても、本件投稿2に係るブログが控訴人の主張するスパムブログであると直ちに認めることはできない上に、本件投稿2に係るブログに控訴人の指 摘するようなフェイクアラート等が表示されることがあったとしても、前記認定の事実に照らせば、本件投稿2自体が、ユーザーをスパムブログに誘導するものであると直ちに認めることもできないというべきである。 また、控訴人は、本件投稿2に係るブログにつき、「諸般の状況から」本件発信者2が「記事を自ら書いているのではなく、自動的に生成していること は明白と思料されます」とし、スパムブログが世に多く存在し、本件投稿2に係るブログはそれにつき指摘される特徴が当てはまるから、本件投稿2に係るブログが記事を自動生成していることは明らかであるとする(甲79)。 しかし、これらは一般的に自動生成に係るスパムブログが備えるとする特徴を示すものにすぎず、既に述べたとおり、本件投稿2に係るブログがスパ ムブログであると直ちにいうことはできず、本件投稿2が自動生成に係るも のであることを直ちに示すものともいえないというべきである。 そうすると、これら控訴人の主張は、補正の上で引用した原判決第4の1⑵のとおりの本件投稿2に係る本件写真の掲載の適法性に るも のであることを直ちに示すものともいえないというべきである。 そうすると、これら控訴人の主張は、補正の上で引用した原判決第4の1⑵のとおりの本件投稿2に係る本件写真の掲載の適法性について、その認定及び判断を左右するものではない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑶ 被控訴人の前記第2の3⑶の主張について被控訴人は、控訴人による前記第2の3の⑶、⑷及びその他主張は時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきであると主張する。 しかし、控訴人の前記第2の3⑶、⑷及びその他主張等の提出は、当事者双方の主張立証を経て令和5年11月6日に行われた当審第2回口頭弁論期 日で弁論を終結するに至った本件訴訟の経過に照らすと、直ちに本件訴訟の完結を遅延させるものということはできない。 したがって、上記被控訴人の主張する、民事訴訟法157条1項に基づく時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立てには理由がないから、上記申立ては却下することとする。 ⑷ 控訴人の前記第2の3⑶及び⑷の主張について控訴人は、AdSenseアカウント(本件投稿2に関し)及び網羅的アクセスログを開示すべきである旨を主張する。 しかし、既に述べたとおり、本件各投稿はいずれも著作権法41条により適法であるから、被控訴人に対し、前記情報の開示を命ずることはできない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 3 控訴人はその他縷々主張するが、いずれも前記認定及び判断を左右しない。 4 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、控訴人の請求はいずれも棄却すべきであって、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴は理由がない。 よって、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判 主文 点について判断するまでもなく、控訴人の請求はいずれも棄却すべきであって、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴は理由がない。 よって、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。 理由 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則

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