【DRY-RUN】○ 主文 被告が昭和三八年四月三〇日付でした原告の昭和三六年八月一日より昭和三七年七 月三一日までの年度分の所得金額を金四、三一四万九、七八〇円とする更正処分の うち金二、七一四万〇、一八〇円を超える
○ 主文被告が昭和三八年四月三〇日付でした原告の昭和三六年八月一日より昭和三七年七月三一日までの年度分の所得金額を金四、三一四万九、七八〇円とする更正処分のうち金二、七一四万〇、一八〇円を超える部分を取消す。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は三分しその一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 ○ 事実<略>○ 理由一請求原因第一ないし第四項の事実は当事者間に争いがない。 二よつて被告のなした本件更正処分の適否について判断する。 (工事原価否認金一、六〇〇万九、六〇〇円について)原告が昭和三六年一二月一〇日買受けた(売主がAなること後述)第一物件の取得価格を金七、六〇〇万九、六〇〇円としてこれを損金に算入して申告したこと、右売買に於て代金額は金六、〇〇〇万円とされているが、原告が売買に際しBに対し支払つた仮払金一、六〇〇万九、六〇〇円があり、原告はこれをも含めて右取得価格とするものであることは当事者間に争いがない。 1 成立に争いのない甲第七号証、乙第二号証、証人Bの証言およびこの証言により成立の認められる甲第五、第六号証、証人A、同C、同D、同E、同Fの各証言および原告代表者G(第一、二回)尋問の結果によれば、以下の事実を認めることができる。そしてこれら認定事実を覆えずに足る証拠はない。 (一) 本件譲渡当時、第一物件の登記簿上の所有名義人は、訴外Hとなつていたが、実際の所有者は訴外Aであり、同人は昭和二八年買受け後昭和三〇年五月までこの物件でパチンコ店を営んできたが、その後訴外Iの主宰する合資会社伊勢屋に右物件を賃貸し、伊勢屋も右物件においてパチンコ店を経営し、この物件では長年パチンコ経営がつづけられてきたこと。 (二) 訴外Aは、右伊勢屋に勤務する訴外Eに第一物件を代金六、〇〇〇万円程度で売却するよう依頼していた 勢屋も右物件においてパチンコ店を経営し、この物件では長年パチンコ経営がつづけられてきたこと。 (二) 訴外Aは、右伊勢屋に勤務する訴外Eに第一物件を代金六、〇〇〇万円程度で売却するよう依頼していたところEは不動産仲介業者の訴外Bに依頼し、また原告側も不動産仲介業者の訴外Dに委託し、同人らの間において本件売買の交渉がなされたが、原告においては、第一物件を買受けた後、同所においてパチンコ店を経営するつもりはなく、原告会社の本店として使用するつもりであつたこと。 (三) 当時パチンコ店経営にあたつては、いわゆる釘師や景品買い等暴力団関係者との交渉をもたないわけにはいかず、従つてパチンコ店経営を廃止する場合には、それらの者が得ていた利益が失われ生計の道を奪われることになるから、それら暴力団関係者との間でイザコザが生じる例がしばしばあり、何らかの形で失われる利益に対する補償等の措置を講ずる必要があつたこと。 (四) 本件譲渡においても事情は右と同様で、買主たる原告に於てはパチンコ店を廃業した状態で第一物件の引渡を受ける必要があり、その廃業のためには右暴力団関係への補償は避けられなかつたところ、売主側ではその責任を回避し、その費用を除いた手取額を売買代金として約定を締結することを求めたので、結局前記のとおり金六、〇〇〇万円を売買代金額としたが、これとは別に右廃業による補償等の問題解決のため仮払金という名目で金一、六〇〇万九、六〇〇円が原告よりBに交付され、同人より前記伊勢屋に関係する暴力団関係へ支払われたこと。右解決金の額を定める明確な基準があつたとは見られないが、第一物件でのパチンコ店営業が京都市内に於ても古く、景品買い人とパチンコ店との従来からの利益率が他の新しい店の場合に比し景品買い人に低かつたこと、店舗が市内で最も繁華な位置環境にあること等 ないが、第一物件でのパチンコ店営業が京都市内に於ても古く、景品買い人とパチンコ店との従来からの利益率が他の新しい店の場合に比し景品買い人に低かつたこと、店舗が市内で最も繁華な位置環境にあること等が考慮されたこと。 (五) 右のごとく、買主である原告は名目はともあれ現実には金七、六〇〇万九、六〇〇円を支出し、売主であるAの現実の取得額は金六、〇〇〇万円であるため、一応前項のとおり取扱つたものの実質上の売買代金額がいくらであるかについて双方の見解が相違し、かつ実際の所有者と登記名義人が異なる等本件売買には複雑な事情があつたため、それぞれ代金額、売主を異にする売買契約書が三通(甲第五、第六号証、乙第二号証)も作成されたこと。 (六) 原告よりAに対し右契約の成立した昭和三六年三月一〇日に手付金として、金一、五二〇万円(端数あるも免除)、同年六月一〇日に金四、四八〇万円合計金六、〇〇〇万円が支払われたが、右手付金額は、右金六、〇〇〇万円に前記金一、六〇〇万九、六〇〇円を加えた額の二割に相当すること。 なお、証人Jの証言によれば、昭和三八年四月頃に行なわれた原告会社に対する法人税調査の際、Bは右金一、六〇〇万九、六〇〇円の使途を質問されたのに対し、一旦は受領の事実を否認し、認めた後も使途を明確にしなかつたことが認められ、本件に於けるBの右証言によつてもBは右金員を暴力団関係の成人物に対し一括して交付し、その人物より各人に対し支払われたことは窺えるが、その人物の氏名は秘され、末端への支払関係は氏名、金額とも一切不明であるため、果して右金員が前記認定の趣旨でBに交付されたものとしてよいかについて疑問が生じないでもない。しかし一、六〇〇万円余りもの多額の金員が原告からBに交付されたことについては当然首肯し得べき理由がある筈であり、単に名目とする「仮払金 Bに交付されたものとしてよいかについて疑問が生じないでもない。しかし一、六〇〇万円余りもの多額の金員が原告からBに交付されたことについては当然首肯し得べき理由がある筈であり、単に名目とする「仮払金」ではその説明とはならない。右Bの証言及び本件弁論の全趣旨によれば、本件売買契約に関与した人々(証人D、E、Aその他)が暴力団関係への右金員の支払について口を緘していることが歴然と窺える。そうすれば却つて右不明確さは右金一、六〇〇万九、六〇〇円が前認定の趣旨による支出であることを強めこそすれ、弱めるものとは言えない。 被告は、原告は昭和三七年七月一八日、第一物件を訴外Kほか一名に代金七、〇〇〇万円で売却しており、不動産業者である原告が金六〇〇万円余りも損をしてまで売却するとは考えられないと主張しているが、証人Lの証言および同証言により成立の認められる乙第九号証、証人Mの証言および同証言により成立の認められる乙第一〇号証、証人Kの証言および同証言により成立の認められる乙第一一号証によれば、右売却代金は金九、四五〇万円であつたものと認められるから、被告の主張するような不合理は生じない。 2 以上によれば、本件第一物件のパチンコ営業を廃した状態での売買については、廃業のために景品買い人等暴力団関係への相当の出費は避けられず、それを売主側で負担するとすれば売買代金はそれだけ嵩み、買主側で負担すればその分だけ売買代金に含めない計算となるが、買主にとつてはいずれにせよ取得のため免れ得ない出費であるから、名目の如何に係らず、本件売買代金六、〇〇〇万円のみならず、仮払金一、六〇〇万九、六〇〇円も資産の取得に要した費用と解すべきである。(収用等の場合の損金算入否認金九六二万一、八二五円について)被告抗弁の第三の三の(1)の事実は当事者間に争いがない。 原告は第 払金一、六〇〇万九、六〇〇円も資産の取得に要した費用と解すべきである。(収用等の場合の損金算入否認金九六二万一、八二五円について)被告抗弁の第三の三の(1)の事実は当事者間に争いがない。 原告は第二物件の土地については、昭和三五年一二月開催された原告会社の取締役会において、右土地を貸店舗アパート並びに作業場建設用地として使用することを決定し、その準備中であつたものであつて、分譲住宅建設の敷地ではない旨主張し、証人金岡睦雅の証言及びこれにより真正に成立したことを認めることのできる甲第一〇号証並に原告会社代表者G尋問の結果(第一回)中には右主張にそう趣旨の部分があるが、成立について争いのない乙第六ないし第八号証、証人N、Oの各証言に照らし、また原告会社がいわゆる同族会社であること(当事者間に争いがない)から見て、にわかに措信することができず、却つて右各証拠によれば、原告に於ては第一物件の土地をその周辺をも含めてすべて分譲住宅建設予定地としていたものであつて、日本道路公団等に買収されるに当つて、商品としての期待利益が買収価格中に充分に考慮されるよう接衝し、買収価格はこれを含んで定められたことが認められ、前記証人金岡睦雅の証言及び原告代表者Gの供述(第一回)に見られる、第二物件を分譲地として期待利益の考慮を強調したのは単に買収価格を高めるための方便であつたとの供述は採り得ない。そして他に右認定を左右するに足る証拠はない。 そうすれば第二物件は租税特別措置法第六五条の二の適用を受ける事業用資産には当らず、棚卸資産と言うべきであるから、被告の第二物件についての損金算入否認は理由がある。 三被告は追加抗弁として前出第四のとおり主張するが、この主張事実は本件係争年度分の青色申告に対する被告の更正処分の理由として通知書に付記されなかつた事実であり、青 ての損金算入否認は理由がある。 三被告は追加抗弁として前出第四のとおり主張するが、この主張事実は本件係争年度分の青色申告に対する被告の更正処分の理由として通知書に付記されなかつた事実であり、青色申告に対する更正処分に理由付記を要する趣旨からすれば、付記理由以外の事実を以て更正処分の正当性を根拠づけることを許さないものと解すべきであるから、被告が付記以外の追加抗弁事実を主張することは(その事実があるとしても、それを再更正処分の理由とした場合を除き)許されない。 四以上によれば、本件更正処分は、総所得金額を収用等の場合の損金算入否認金九、六二万一、八二五円に原告の申告所得額を加えた金二、七一四万〇、一八〇円とする限度で正当であるが、これを超える部分は違法である。よつて原告の本訴請求中、総所得金額二、七一四万〇、一八〇円を超える更正処分の取消を求める部分を正当として認容し、その余の部分を失当として棄却し、民訴法第八九条、第九二条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官林義雄富川秀秋房村精一)(別紙)物件目録(省略)
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