平成24(行ケ)10023 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年10月10日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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判決文本文25,406 文字)

- 1 -平成24年10月10日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(行ケ)第10023号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年9月19日判決原告セーブマシン株式会社同訴訟代理人弁護士塚原朋一根本浩上野さやか同弁理士佐藤睦被告日之出水道機器株式会社同訴訟代理人弁理士福田伸一福田賢三加藤恭介田村拓也 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2010-800046号事件について平成23年12月12日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,後記1のとおりの手続において,原告の後記2の本件発明に係る特許に対する被告の特許無効審判の請求について,特許庁が当該特許を無効とした別紙審決書(写し)記載の本件審決(その理由の要旨は後記3のとおり)には,後記4の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。 - 2 - 1 本件訴訟に至る手続の経緯(1) 原告は,平成18年4月24日,発明の名称を「マンホール蓋枠取替え工法」とする特許出願をし(平成15年4月1日に出願した特願2003-349490号(優先権主張日:平成14年4月26日 (1) 原告は,平成18年4月24日,発明の名称を「マンホール蓋枠取替え工法」とする特許出願をし(平成15年4月1日に出願した特願2003-349490号(優先権主張日:平成14年4月26日)の分割出願),平成21年10月16日,設定登録を受けた(特許第4392001号。請求項の数は,全1項である。甲14)。以下,請求項1に係る特許を「本件特許」という。 (2) 被告は,平成22年3月15日,本件特許について,特許無効審判を請求し,無効2010-800046号事件として係属した。 (3) 特許庁は,平成23年1月14日,本件特許を無効とする旨の審決(甲25)をしたが,原告が知的財産高等裁判所に取消訴訟を提起した上(平成23年(行ケ)第10062号),訂正審判請求をしたため,同年6月23日,上記審決は,決定により取り消された(甲27)。 (4) 特許庁は,上記無効審判事件を審理し,特許法134条の3第5項により,上記訂正が訂正請求とみなされた(以下「本件訂正」といい,本件訂正後の明細書(甲28。図面につき甲14)を「本件明細書」という。)。 (5) 特許庁は,平成23年12月12日,本件訂正を認めた上,「本件特許を無効とする。」旨の本件審決をし,同月22日,その謄本が原告に送達された。 2 特許請求の範囲の記載(1) 本件訂正前の特許請求の範囲請求項1の記載は,以下のとおりのものである。なお,文中の「/」は,原文の改行箇所を示す(以下同じ)。 回転円弧状または球面状カッターを,マンホール蓋の中心を中心として,前記マンホール蓋の外周外方に沿って360°旋回させて回転円弧状または球面状切り込みを入れる舗装切断工程と,/前記舗装切断工程で形成された切り込みと,前記蓋を受ける蓋受枠との間の前記蓋受枠と舗装材を一体構造とした 蓋の外周外方に沿って360°旋回させて回転円弧状または球面状切り込みを入れる舗装切断工程と,/前記舗装切断工程で形成された切り込みと,前記蓋を受ける蓋受枠との間の前記蓋受枠と舗装材を一体構造とした擬似円環状の切断片を形成する切断片形成工程と,/前記切断片形成工程で得られる切断片を除去する切断片除去工程と,/下桝の上面を清掃し,調整駒を螺合させた高さ調整部付きア- 3 -ンカーボルトを設置してマンホール蓋受枠の高さを調整するアンカーボルト設置工程と,/前記アンカーボルト設置工程のアンカーボルトの高さ調整部である調整駒を介して,新しい蓋受枠を取付ける蓋受枠取り付け工程と,/前記擬似円環状の切断片を除去して形成される空間に,モルタル類からなる自硬性の高流動性無収縮充填材を,路盤材,調整部材として充填し,さらに,表層材を充填し,転圧しない材料充填工程と,/より成ることを特徴とするマンホール蓋枠取替え工法(2) 本件訂正後の特許請求の範囲請求項1の記載は,以下のとおりのものである(下線部は訂正箇所を示す)。以下,本件訂正後の請求項1に係る発明を「本件発明」という。 回転円弧状または球面状カッターを,マンホール蓋の中心を中心として,前記マンホール蓋の外周外方に沿って360°旋回させて,下枡の外方に回転円弧状または球面状切り込みを入れる舗装切断工程と,/前記舗装切断工程で形成された切り込みと,前記蓋を受ける蓋受枠との間の前記蓋受枠と舗装材を一体構造とした擬似円環状の切断片を形成する切断片形成工程と,/前記切断片形成工程で得られる切断片を除去する切断片除去工程と,/下桝の上面を清掃し,調整駒を螺合させた高さ調整部付きアンカーボルトを設置してマンホール蓋受枠の高さを調整するアンカーボルト設置工程と,/前記アンカーボルト設置工程のアンカーボルトの 片除去工程と,/下桝の上面を清掃し,調整駒を螺合させた高さ調整部付きアンカーボルトを設置してマンホール蓋受枠の高さを調整するアンカーボルト設置工程と,/前記アンカーボルト設置工程のアンカーボルトの高さ調整部である調整駒を介して,新しい蓋受枠を取付ける蓋受枠取り付け工程と,/前記擬似円環状の切断片を除去して形成される,前記蓋受枠と前記回転円弧状または球面状切り込みとの間の空間,及び,前記蓋受枠と前記下枡との間の空間に,モルタル類からなる自硬性の高流動性無収縮充填材を,それぞれ,路盤材,調整部材として充填し,さらに,表層材を充填し転圧しない材料充填工程と,/より成ることを特徴とするマンホール蓋枠取替え工法 3 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,要するに,本件発明は,後記引用例1及び2に記載された発明等並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもの- 4 -であるから,特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,本件特許は,同法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである,というものである。 ア引用例1:登録実用新案第3070638号公報(甲10。平成12年8月11日発行)イ引用例2:特開2001-295216号公報(甲4。平成13年10月26日公開)(2) 本件審決は,その判断の前提として,引用例1に記載された発明(以下「引用発明」という。),本件発明と引用発明との一致点及び相違点を以下のとおり認定した。 ア引用発明:円形カッターを用いて,マンホール蓋体の中心を中心として,受枠の周囲を円形に切断して舗装を切断する工程と,切断された舗装を蓋体の受枠ごとクレーンなどを用いて吊り上げ撤去する工程と,マンホール上壁に接触させるように新たな受枠を再設置する工程と,新たな受枠と舗 枠の周囲を円形に切断して舗装を切断する工程と,切断された舗装を蓋体の受枠ごとクレーンなどを用いて吊り上げ撤去する工程と,マンホール上壁に接触させるように新たな受枠を再設置する工程と,新たな受枠と舗装を受枠ごと撤去して形成される円形開口部との間に,路盤材として早強無収縮性モルタルを装填し,さらに,水溶性の常温硬化型アスファルト混合材料よりなる表層材を受枠の上面側と面一状となるように装填する材料充填工程と,を備えるマンホール蓋枠取替え工法イ一致点:円形カッターにより,マンホール蓋の中心を中心として,マンホール蓋の外周外方の路面に円形状の切り込みを入れる舗装切断工程と,前記舗装切断工程で形成された切り込みと,前記蓋を受ける蓋受枠との間の前記蓋受枠と舗装材を一体構造とした擬似円環状の切断片を形成する切断片形成工程と,前記切断片形成工程で得られる切断片を除去する切断片除去工程と,新しい蓋受枠を取付ける蓋受枠取り付け工程と,前記擬似円環状の切断片を除去して形成される空間に,路盤材としてモルタル類からなる自硬性の無収縮充填材を充填し,さらに,表層材を充填する材料充填工程と,より成るマンホール蓋枠取替え工法である点ウ相違点1:舗装切断工程において,本件発明は,舗装切断のためのカッターが「回転円弧状または球面状カッター」であって,「切断刃を360°旋回させて,- 5 -下枡の外方に回転円弧状または球面状に切り込みを入れる」ものであり,材料充填工程において高流動性無収縮充填材が路盤材として充填される,擬似円環状の切断片を除去して形成される空間が「蓋受枠と回転円弧状または球面状切り込みとの間の空間」であるのに対し,引用発明では,カッターが「円形カッター」であって舗装に円形の切り込みを入れるものであり,したがって,材料充填工程において高流動 蓋受枠と回転円弧状または球面状切り込みとの間の空間」であるのに対し,引用発明では,カッターが「円形カッター」であって舗装に円形の切り込みを入れるものであり,したがって,材料充填工程において高流動性無収縮充填材が路盤材として充填される,擬似円環状の切断片を除去して形成される空間が回転円弧状又は球面状切り込みにより規定されるものに特定されない点エ相違点2:本件発明は,蓋受枠取り付け工程に先だって「下桝の上面を清掃し,調整駒を螺合させた高さ調整部付きアンカーボルトを設置してマンホール蓋受枠の高さを調整するアンカーボルト設置工程」を備え,蓋受枠取り付け工程においては,「前記アンカーボルト設置工程のアンカーボルトの高さ調整部である調整駒を介して」新しい蓋受枠を取付けるのに対し,引用発明は,マンホール上壁に接触させるように新たな受枠を再設置するものであり,上記のようなアンカーボルト設置工程及び蓋受枠取り付け工程に係る構成を備えていない点オ相違点3:モルタル類からなる自硬性の無収縮充填材が,本件発明は,高流動性であるのに対し,引用発明では,高流動性であるか否かが不明な点カ相違点4:本件発明は,材料充填工程において,モルタル類からなる自硬性の無収縮充填材を,蓋受枠と下枡との間の空間に調整部材として充填するのに対し,引用発明では,このような構成となっていない点キ相違点5:本件発明は,材料充填工程において,材料を転圧しないのに対し,引用発明は,材料を転圧するか否かが不明な点 4 取消事由本件発明の容易想到性に係る判断の誤り(1) 引用発明の認定の誤り(2) 一致点及び相違点の認定の誤り- 6 -(3) 相違点1に係る判断の誤り第3 当事者の主張〔原告の主張〕 1 引用発明の認定の誤り(1) 引用 引用発明の認定の誤り(2) 一致点及び相違点の認定の誤り- 6 -(3) 相違点1に係る判断の誤り第3 当事者の主張〔原告の主張〕 1 引用発明の認定の誤り(1) 引用例1の実用新案登録請求の範囲の請求項には,本件審決が認定したような発明は記載されていないから,本件審決が認定した引用発明は,審判体が引用例1の記載全体を考察し,その結果に基づいて,そのような発明が記載されていると案出したものということになる。 しかしながら,引用例1の明細書に接した当業者は,何らの問題意識を与えられない状況で,同明細書に,本件審決が認定したような引用発明が記載されていると想到することは不可能であるか,又は著しく困難である。また,仮に当業者が,本件審決が認定した引用発明が引用例1に記載されていると想到し得たとしても,その発明が,一体いかなる構成を有する発明であるか,いかなる技術的課題を解決しようとした発明であるか,そして,いかなる作用効果がある発明かを認識することは,本件審決が認定した引用発明の構成が不完全であるため,全く不可能であるといわざるを得ない。 (2) 円筒形カッターとお椀形カッターとは,技術的にも,商業的用途としても,全く異なるものであるから,当業者であれば,円筒形カッターが記載されている引用例1に開示される「円形カッター」に,お椀形カッターもまた開示されているなどと認識することはあり得ない。したがって,当業者が,この「円形カッター」を上位概念化して,路上表面の切り込み線がマンホール蓋の中心位置を中心とする円形となるような切り込みを入れるカッターなどという,不自然かつ不特定な,虚構の構成を持つカッターとして認識することはあり得ない。 それにもかかわらず,本件審決は,「円形カッター」を,上位概念化して,路上表面の切 切り込みを入れるカッターなどという,不自然かつ不特定な,虚構の構成を持つカッターとして認識することはあり得ない。 それにもかかわらず,本件審決は,「円形カッター」を,上位概念化して,路上表面の切り込み線がマンホール蓋の中心位置を中心とする円形となるような切り込みを入れるカッターなどという,不自然かつ不特定な,虚構の構成を持つカッター- 7 -として,引用発明を認定した。このような認定は,引用例1に記載された「円形カッター」が,そこにおいて現に開示されている円筒形カッターのみならず,お椀形カッターをも含むように,あえて,上位概念として位置付けられるカッターとして認定したものといわざるを得ない。上記認定は,引用例1記載の発明を本件発明の構成に近づけるために故意に上位概念化を行ったもので,著しく不当である。 (3) なお,乙1のカッターは円錐状のブレードであり,「垂直」の断面を与えるものではない。切断片は台形状である円錐台に形成される。 2 一致点及び相違点の認定の誤り(1) 一致点の認定の誤り本件発明の「回転円弧状または球面カッター」と,引用例1に記載された「円形カッター」とは異なり,後者が前者を包含するという関係にもなく,本件発明の「回転円弧状または球面カッター」による切り込みは回転円弧状又は球面状であるのに対し,引用発明の「円形カッター」による切り込みは円筒状であるから,一致点の認定は誤っている。 したがって,本件発明と引用例1記載の発明との一致点は,正しくは次のとおりである。 路面用カッターにより,マンホール蓋の外周外方の路面に,路上表面の切り込み線がマンホール蓋の中心位置を中心とする円形となるような切り込みを入れる舗装切断工程と,前記舗装切断工程で形成された切り込みと,前記蓋を受ける蓋受枠との間の前記蓋受枠と舗装材を ,路上表面の切り込み線がマンホール蓋の中心位置を中心とする円形となるような切り込みを入れる舗装切断工程と,前記舗装切断工程で形成された切り込みと,前記蓋を受ける蓋受枠との間の前記蓋受枠と舗装材を一体構造とした切断片を形成する切断片形成工程と,前記切断片形成工程で得られる切断片を除去する切断片除去工程と,新しい蓋受枠を取付ける蓋受枠取り付け工程と,前記切断片を除去して形成される空間に,路盤材としてモルタル類からなる自硬性の無収縮充填材を充填し,さらに,表層材を充填する材料充填工程と,より成るマンホール蓋枠取替え工法(2) 相違点1について引用例1の「円形カッター」は,「回転円弧状または球面カッター」を包含しな- 8 -いから,「円形カッター」による切り込みの切断片を除去して形成される空間について,「回転円弧状または球面切り込みにより規定されるものに特定されない」との相違点1の認定は誤っている。 本件発明と本来認定されるべき引用例1に記載された発明との相違点1は,正しくは次のとおりである。 舗装切断工程において,本件発明は,舗装切断のためのカッターが「回転円弧状または球面状カッター」であって,「切断刃を360°旋回させて,下枡の外方に回転円弧状または球面状に切り込みを入れる」ものであるのに対し,引用例1に記載された発明では,カッターが「円形カッター」であって舗装に円筒状の切り込みを入れるものである点(以下「相違点1’」という。)(3) 相違点の看過本件発明と引用例1に記載された発明とは,以下の点においても相違する。 ア舗装切断工程において,本件発明は,回転円弧状又は球面状の切り込みを,下桝の外方に入れるのに対し,引用例1に記載された発明は,円筒状の切り込みを,上壁の直上において入れるものである点(以下「相違点6」という 工程において,本件発明は,回転円弧状又は球面状の切り込みを,下桝の外方に入れるのに対し,引用例1に記載された発明は,円筒状の切り込みを,上壁の直上において入れるものである点(以下「相違点6」という。)イ材料充填工程において,本件発明は,モルタル類からなる自硬性の高流動性無収縮充填材を,路盤材として,蓋受枠と回転円弧状または球面状切り込みとの間の空間において充填するのに対し,引用例1に記載された発明は,早強無収縮性モルタルが上壁の直上においてのみ充填されるものである点(以下「相違点7」という。) 3 相違点1に係る判断の誤り(1) 引用例1に記載された発明に引用例2に記載された発明を適用する動機付けが存在しない。 すなわち,引用例1では,取り出し除去作業を容易にするという点については,課題としても,考案の作用効果としても,全く着目されていない。したがって,引用例1に記載された発明に引用例2を採用する動機付けは何ら存在しない。 - 9 -また,引用例1は,復旧面積内に埋め込む材料を少なくすることが,その技術的思想の1つとされていることは明らかであるから,引用例1においては,復旧面積内に埋め込む材料を少なくするという観点から,円筒状の切り込みを与える円形カッターを用いる場合よりも復旧面積がより広くなるにもかかわらず,あえて引用例2記載の回転円弧状のカッターを採用してより多くの早強無収縮性モルタルを注入する動機付けは存在せず,むしろ阻害要因があるというべきである。 (2) カッターによる切断面の下端が下枡に設置された蓋受枠の外周より外側となる位置にすることは,蓋受枠及び下枡とカッター切断面との間に距離が確保されるので,この空間に補強用鉄筋を網目状に配置してマンホール補修部分の強度を更に補強することができ,また,下枡の外方に切り込 なる位置にすることは,蓋受枠及び下枡とカッター切断面との間に距離が確保されるので,この空間に補強用鉄筋を網目状に配置してマンホール補修部分の強度を更に補強することができ,また,下枡の外方に切り込みを入れることによりすりつけに必要な距離を確保することができるので,技術的な意義がある。 (3) 引用例1にはマンホール補修部の「構造」に関する発明が開示され,それは開口部(円形開口部)が円柱状になるようなマンホール補修部の「構造」であるところ,引用例2記載のカッターを用いた場合には,開口部は円柱状ではなく,回転円弧又は球面から構成される形になるのであるから,引用例2記載のカッターを引用発明に適用することを試みることは,引用発明が対象とするマンホール補修部の「構造」そのものを全く異なるものにすることにほかならない。これは,単なる「置換」や「付加」ではなく,通常の創作能力の発揮を超えるものである。 (4) 以上のとおり,引用例1に記載された発明に引用例2に記載された発明を採用して本件発明に想到することは,容易ではない。なお,本件発明に係る工法であるパラボラ工法は,マンホール補修工事の業界において新規な技術として実務的にも高い評価を受けている(甲31~35)。 〔被告の主張〕 1 引用発明の認定の誤りについて(1) 本件審決が認定した引用発明は,引用例1に記載された事項(【0017】【0019】~【0021】,図2)等に沿って認定されたものであることが明ら- 10 -かである。 (2) 本件審決は,相違点1として,カッターの種類が相違し,このカッターにより切り込みを入れる位置とその切断部形状が相違し,これらの相違に基づいて,充填材を充填する空間が相違することを認定し,原告がいうお椀形カッターを,引用発明の円形カッターと相違するものとし ッターにより切り込みを入れる位置とその切断部形状が相違し,これらの相違に基づいて,充填材を充填する空間が相違することを認定し,原告がいうお椀形カッターを,引用発明の円形カッターと相違するものとして認定している。したがって,原告が主張するように,お椀形カッターも含む上位概念化したカッターとして認定しているわけではない。 ちなみに,円形カッターもお椀形カッターも,マンホール蓋の中心を中心として,マンホール蓋の外周外方の路面に円形状の切り込みを入れる事実に誤りはなく,本件審決の一致点の認定に誤りはない。 さらに,原告は,引用例1に開示されている「円形カッター」は,円筒形カッターにほかならない旨主張するが,例えば,断面を垂直(すなわち円筒状)に切断加工する円形カッターが提案されているとともに(乙1),引用例1において「円筒形カッター」なる文言は記載されていないのであるから,引用発明における「円形カッター」を,引用例1に記載されていない語句を用い,あえて「円筒形カッター」に限定して認定しなければならないという理由は存在しない。 2 一致点及び相違点の認定の誤りについて本件審決は,相違点1において,カッターの種類が相違し,このカッターにより切り込みを入れる位置とその切断部形状が相違し,これらの相違に基づいて,充填材を充填する空間が相違することを認定しているから,原告が認定すべきであるとした相違点1’,6及び7の事項は,全て相違点1として本件審決が行った認定に含まれるものである。 そして,本件審決は,上記相違点1を認定し,その上で,引用発明において引用例2を適用すれば,引用発明によっては特定されない,本件発明との相違点1を容易に想到し得る旨の判断をしており,その判断は正当なものである。原告のいう相違点1’,6及び7の事項は,個別に判断す て引用例2を適用すれば,引用発明によっては特定されない,本件発明との相違点1を容易に想到し得る旨の判断をしており,その判断は正当なものである。原告のいう相違点1’,6及び7の事項は,個別に判断するまでもなく,全て引用発明に引用例- 11 -2を適用することにより容易に想到し得るものであり,あえてこれらの相違点に分けて表現すべき事情は認められない。 3 相違点1に係る判断の誤りについて(1) 引用発明と引用例2に記載された発明とは共に,本件発明と技術分野が同一又は相互に関連する発明であるから,その一の発明に置換可能又は付加可能な技術手段があるときは,他の発明に当該技術手段を適用しようと試みることは,当業者の通常の創作能力の発揮ということができる(乙2)。 引用例2に記載されている新規施工部分が沈下や陥没を生じないとの効果は,引用発明において,切断部が垂直であることなどによって生じる新規施工部分の沈下や陥没の問題を解消する等の課題解決となり,加えて,引用例2に記載されている切断片の取り出しを容易にするという効果も,引用発明に引用例2に記載されたカッターを適用する動機付けの十分な理由になる。 また,引用発明は,復旧面積を極限まで狭くすることによって達成されているものではないし,引用発明における円形カッターに代えて,引用例2に記載された回転円弧状又は球面状カッターを使用したときの復旧面積の広狭は,後者のカッターを使用したときの方が当然に広くなるというものではなく,仮に広がるとしても程度の差にすぎない。当業者は,使用するカッターの性質や作業性等を適宜勘案し,その現場の要請に則して妥当な復旧面積を決定し,マンホール蓋枠取替え工法を実施するものであるから,復旧面積が仮に広がることをもって,阻害要因があるとはいえない。復旧面積の広狭は, 性等を適宜勘案し,その現場の要請に則して妥当な復旧面積を決定し,マンホール蓋枠取替え工法を実施するものであるから,復旧面積が仮に広がることをもって,阻害要因があるとはいえない。復旧面積の広狭は,その現場にあったマンホール蓋枠取替え工法を実施すれば,その現場ごとに所定程度,変動するものと解される。 (2) 当業者は,使用するカッターの性質や作業性等を適宜勘案し,その現場の要請に則して妥当な切り込み位置を決定するのであるから,切り込みの位置を下桝の外方とすることは,当業者が使用するカッターの性質や作業性等を適宜勘案した結果にすぎず,格別な技術的意義として,すなわち容易想到性を否定するような技術的特徴として認められるようなものでもない。当業者は路面に切り込みを入れる前- 12 -から地中に埋設された下桝の外径寸法を予め認識することはできないし,あらかじめ認識できるとする記載が本件発明に認められないことからも,切り込みの位置を下桝の外方とすることは,その結果にすぎないことが明白である。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明について(1) 特許請求の範囲の記載は,前記第2の2に記載のとおりであり,本件明細書には,以下の記載がある(甲28)。 ア技術分野本件発明は,電気,電信,ガス,及び上下水道系等におけるマンホール蓋枠取替え工法に関するものである(【0001】)。 イ従来技術従来,マンホール蓋枠の取替え工事に際しては,平板状のカッター,コアカッター等で四方形又はカット面がストレートな円版状に切断し,切断部を除去した後,補修部分に補修材を充填し,その後転圧機で転圧作業をして工事終了とするのが通例である(【0002】)。 また,舗装路面を開口予定部の周囲に沿って切断すると共にその切断された柱状舗装版を引き上げて取り外す工程 修材を充填し,その後転圧機で転圧作業をして工事終了とするのが通例である(【0002】)。 また,舗装路面を開口予定部の周囲に沿って切断すると共にその切断された柱状舗装版を引き上げて取り外す工程を含み,柱状舗装版に1又は2以上のアンカーが埋設され,柱状舗装版は円形,又は四角形に切断され,四角形の場合は少なくとも対向する二辺は深さ方向に先細りとなるように切断される,舗装路面開口工法も知られている(【0003】)。 ウ発明が解決しようとする課題しかしながら,上述の従来例では,四角形に切断する場合はもちろんのこと,円形切断の場合でも,前者の場合は四隅と底部全縁に,後者の場合は底部全縁に角張った隅部が発生し,補修材等の充填材を充填しても前記隅部に前記充填材が十分に行き渡らず空隙が生じ,切断部が略垂直な壁面となり,切断部側面の摩擦力のみで支持されているのでずれて沈下しやすいため,路面に生じた隙間から雨水等が浸透- 13 -しやすく,沈下を助長し,事故の原因を誘起することとなる(【0004】)。 また,四角形に切断する場合は,四角部に余分なカットクロス部ができ,その分の補修も含まれることになる(【0005】)。 さらに,上述のように従来工法では,カットクロス部のような余分な補修工事が発生したり,補修工事の際に,後工程で転圧作業をしなければ,経時的に表層部及び路盤部が沈下し,路面に凹凸が発生するおそれがある等の不都合な問題があった(【0006】)。 しかも従来の充填材では,硬化時間も含めて工事期間が余り短縮できないという問題があり,更に騒音公害の点でも改善の余地がある,等々の課題がある(【0007】)。 本件発明は,上述の状況に鑑みてなされたもので,予定されたマンホール蓋枠の取替え工事に際して,工事範囲を最小限とすると共に,転 騒音公害の点でも改善の余地がある,等々の課題がある(【0007】)。 本件発明は,上述の状況に鑑みてなされたもので,予定されたマンホール蓋枠の取替え工事に際して,工事範囲を最小限とすると共に,転圧工程を不要とし,工事工程及び工事期間を削減・短縮し,振動及び騒音等の公害をもクリアできるマンホール蓋枠取替え工法を提供することを目的とするものである(【0008】)。 エ発明の効果本件発明により,予定されたマンホール蓋枠の取替え工事に際して,工事範囲を最小限とすると共に,転圧工程を不要とし,工事工程及び工事期間を削減・短縮し,振動及び騒音等の公害をもクリアできるマンホール蓋枠取替え工法を提供することができるようになったものである(【0011】)。 (2) 以上の記載によれば,従来技術では,路面に生じた隙間から雨水等が浸透しやすく,沈下を助長し,事故の原因を誘起したり,カットクロス部のような余分な補修工事が発生したり,補修工事の際に,後工程で転圧作業をしなければ,経時的に表層部及び路盤部が沈下し,路面に凹凸が発生するおそれがある等の不都合な問題があったところ,本件発明は,舗装切断のためのカッターが「回転円弧状又は球面状カッター」であって,「切断刃を360°旋回させて,下枡の外方に回転円弧状又は球面状に切り込みを入れる」ものであり,材料充填工程において高流動性- 14 -無収縮充填材が路盤材として充填される,擬似円環状の切断片を除去して形成される空間が「蓋受枠と回転円弧状又は球面状切り込みとの間の空間」である構成等を採用することにより,予定されたマンホール蓋枠の取替え工事に際して,工事範囲を最小限とすると共に,転圧工程を不要とし,工事工程及び工事期間を削減・短縮し,振動及び騒音等の公害をも解決できるマンホール蓋枠取替え工法を提供するも れたマンホール蓋枠の取替え工事に際して,工事範囲を最小限とすると共に,転圧工程を不要とし,工事工程及び工事期間を削減・短縮し,振動及び騒音等の公害をも解決できるマンホール蓋枠取替え工法を提供するものである。 2 引用例1に記載された発明について(1) 引用例1には,図面とともに以下の事項が記載されている(甲10)。 ア実用新案登録請求の範囲マンホールの蓋体周囲の舗装が円形に切断され,切断された舗装が蓋体の受枠ごと取り出されて,その切除後の円形開口部のマンホール上に受枠が再設置されて構成されるマンホール補修部の構造であって,新たに設置される受枠と円形開口部の間に,早強無収縮性モルタルが装填されてなることを特徴とするマンホール補修部の構造(請求項1)。 請求項1において,前記早強無収縮性モルタルが,セメントと細骨材からなる主材料に,ケイ酸三石灰とケイ酸二石灰を主成分とする早強剤と,カルシウムサルホアルミネートを主成分とする膨張剤とが配合され調製されてなるマンホール補修部の構造(請求項2)。 イ考案の属する技術分野本考案は,マンホールの蓋体周囲の舗装面を整備したり,蓋体を新たなものと交換するような場合に用いられるマンホール補修部の構造に関するものである。本考案でいうマンホールとは,通信回線などを地中に配線するために設けられるハンドホールなども包含するものとする(【0001】)。 ウ従来の技術一般にマンホールの補修を行うに当たっては,マンホールの蓋体周囲の舗装を直線切りカッターを用いて矩形状に切断し,この矩形範囲内にある舗装を破砕して取- 15 -り除いた後,この矩形開口部と蓋体の受枠との間にコンクリートなどを埋め込んでいる。ところが,このような補修工法では,マンホールの蓋体周囲の舗装を矩形状に切断するとき る舗装を破砕して取- 15 -り除いた後,この矩形開口部と蓋体の受枠との間にコンクリートなどを埋め込んでいる。ところが,このような補修工法では,マンホールの蓋体周囲の舗装を矩形状に切断するとき,矩形範囲内にある舗装を正確に取り除くため,カッターによる切断線が互いに交差するように,矩形範囲を越えた舗装の切断つまり余り切りを行う必要がある。また,蓋体周囲の切断される矩形範囲内の面積つまり復旧面積も大きくなる。これらのことから,施工に長時間がかかり,また復旧面積内に埋め込むコンクリートなどの必要材料も多くなって,それだけ施工コストが高くなる(【0002】)。 特に近年では,交通量や車両重量の増加に伴いマンホールに大きな荷重がかかって,このマンホールの蓋体や蓋体周囲の舗装面が傷みやすいことから,マンホールの早期補修を行う必要がある。また,補修作業は交通を遮断して行う必要があるため,低廉な施工コストで短時間のうちに確実な補修が行える補修工法が求められている(【0003】)。 そこで従来,復旧面積をできるだけ小さくするため,マンホールの蓋体周囲の舗装を円切りカッターを用いて円形に切断する工法が提案されている。このように円切りカッターにより蓋体周囲の舗装を円形に切断した後には,この切断された円形舗装を蓋体の受枠ごと外部に取り出し,この受枠から舗装を取り除いた後又は新たな受枠を用いてマンホール上に設置して,この受枠と切断により形成された円形開口部との間にエポキシ樹脂系モルタルを埋め込む(【0004】)。 エ考案が解決しようとする課題しかし,以上のように用いられるエポキシ樹脂系モルタルは,弾性変形性に優れているため,ひび割れなどが起り難い利点を有する反面,耐候性や耐摩耗性の点で問題があって,特に劣化により耐摩耗性が低下しやすい。この ,以上のように用いられるエポキシ樹脂系モルタルは,弾性変形性に優れているため,ひび割れなどが起り難い利点を有する反面,耐候性や耐摩耗性の点で問題があって,特に劣化により耐摩耗性が低下しやすい。このため,補修作業を短期間の間隔で行う必要がある。また,従来では,前記受枠の内方底部側に複数のくさびを打ち込み,これらを複数の油圧ジャッキで持ち上げることにより,受枠とその周囲の舗装を共に外部に取り出し,以後は前記場合と同様にして補修を行う工法- 16 -も知られている。しかし,この工法では受枠とその周囲の舗装を共に油圧ジャッキで持ち上げて取り出すとき,取り出された舗装と残された舗装との間の剪断面に凸凹が発生するため,この凸凹を面一に修正するなどの余分な作業を必要とし,しかも路盤がコンクリートなどの硬い材料の場合は採用することができず,汎用性に乏しい欠陥がある(【0005】)。 そこで,本考案の目的は,低廉な施工コストで短時間のうちに確実な補修が行える汎用性に富むマンホール補修部の構造を提供することにある(【0006】)。 オ考案の実施の形態図1は,補修後のマンホールの状態を示す断面図である。同図の実施形態では,路盤に埋設されたマンホールの上壁で孔部の上方に複数のボルトを介して受枠が固定され,この受枠に蓋体が取り付けられている。また,前記受枠の周囲には,舗装の一部が円形に切断されて円形開口部が形成され,この円形開口部と受枠の間に早強無収縮性モルタルが装填されている(【0010】)。 図1の実施形態では,前記早強無収縮性モルタルの上層側に,舗装と受枠の上面側に対し面一状となるように表層材が設けられている。この表層材は,平坦性を確保するために設けられるもので,前記舗装との馴染性の良好な例えば水溶性の常温硬化型アスファルト混合材料が用いら と受枠の上面側に対し面一状となるように表層材が設けられている。この表層材は,平坦性を確保するために設けられるもので,前記舗装との馴染性の良好な例えば水溶性の常温硬化型アスファルト混合材料が用いられる(【0016】)。 次に,本考案にかかるマンホール補修部の構造のための工法について,図2を参照しながら説明する。 図2(1)に示すように,マンホールの蓋体周囲の舗装を円形カッターを用いて円形状に切断する。この円形カッターは,円形に配置された複数の切断刃を備え,これをモータなどの駆動源に連結させたものである(【0017】)。 この後,図2(2)のように,蓋体を取り外して,マンホールの孔部の上方側に土砂などがマンホール内に落下するのを防止するための仮蓋を取り付ける(【0018】)。 次に,図2(3)のように,切断された舗装を蓋体の受枠ごとクレーンなどを用- 17 -いて吊り上げ撤去する。すると,残りの舗装に円形開口部が形成される(【0019】)。 この後,図2(4)のように,前記仮蓋を取り外してから,円形開口部の内部でマンホール孔部の上方に受枠を再設置する。この受枠としては,前記で取り出されたものから舗装を取り除いた受枠又は新たな受枠が用いられる(【0020】)。 さらにこの後,図2(5)のように,前記受枠と円形開口部の間に,早強無収縮性モルタルを装填し,その上層側に舗装と受枠の上面側と面一状となるように表層材を装填する(【0021】)。 カ考案の効果以上のように,本考案によれば,低廉な施工コストで短時間のうちに確実な補修を行うことができ,汎用性に富むものとなる(【0022】)。 (2) 引用発明の認定について前記(1)のとおり,引用例1の【0017】には,「円形カッターを用いて,マンホール蓋体の中心を中心 を行うことができ,汎用性に富むものとなる(【0022】)。 (2) 引用発明の認定について前記(1)のとおり,引用例1の【0017】には,「円形カッターを用いて,マンホール蓋体の中心を中心として,受枠の周囲を円形に切断して舗装を切断する」構成が記載され,【0019】には,「切断された舗装を蓋体の受枠ごとクレーンなどを用いて吊り上げ撤去する」構成が記載され,【0020】及び図2には,「マンホール上壁に接触させるように新たな受枠を再設置する」構成が記載され,【0021】【0016】には,「新たな受枠と舗装を受枠ごと撤去して形成される円形開口部との間に,路盤材として早強無収縮性モルタルを装填し,さらに,水溶性の常温硬化型アスファルト混合材料よりなる表層材を受枠の上面側と面一状となるように装填する」構成が記載されている。これを本件発明に対比して整理すると,引用例1には,円形カッターを用いて,マンホール蓋体の中心を中心として,受枠の周囲を円形に切断して舗装を切断する工程と,切断された舗装を蓋体の受枠ごとクレーンなどを用いて吊り上げ撤去する工程と,マンホール上壁に接触させるように新たな受枠を再設置する工程と,新たな受枠と舗装を受枠ごと撤去して形成される円形開口部との間に,路盤材として早強無収縮性モルタルを装填し,さらに,- 18 -水溶性の常温硬化型アスファルト混合材料よりなる表層材を受枠の上面側と面一状となるように装填する材料充填工程と,を備えるマンホール蓋枠取替え工法,すなわち,本件審決が認定した引用発明が記載されているということができる。 (3) 原告の主張についてア原告は,引用例1の実用新案登録請求の範囲の請求項には,本件審決が認定したような発明は記載されておらず,引用例1の明細書に接した当業者は,これに本件審決が認定し (3) 原告の主張についてア原告は,引用例1の実用新案登録請求の範囲の請求項には,本件審決が認定したような発明は記載されておらず,引用例1の明細書に接した当業者は,これに本件審決が認定したような引用発明が記載されていると想到することは不可能であるか,又は著しく困難である旨を主張する。 しかしながら,引用例1の請求項の記載に限らず,明細書の実施の形態や図面の記載から引用発明を把握することは可能であるし,前記(2)のとおり,本件審決の引用発明の認定に誤りがあるということはできない。 イ原告は,本件審決が,引用例1に記載された「円形カッター」を,円筒形カッターのみならず,お椀形カッターをも含むように,上位概念として位置付けられるカッターとして認定したことが誤りである旨を主張する。 しかしながら,「円形カッター」という用語は,引用例1の【0017】に記載されたとおりのものであり,引用例1には「円筒形カッター」という用語は記載されていない。 また,本件審決は,相違点1として,カッターの種類が相違し,このカッターにより切り込みを入れる位置とその切断部形状が相違し,これらの相違に基づいて,充填材を充填する空間が相違することを認定し,お椀形カッターを,引用発明の円形カッターと相違するものとして認定しているものである。よって,本件審決は,原告が主張するように,引用発明の円形カッターを,お椀形カッターも含む上位概念化したカッターという趣旨で認定したものではない。 なお,円形カッターもお椀形カッターも,マンホール蓋の中心を中心として,マンホール蓋の外周外方の路面に円形状の切り込みを入れるものであることに違いはない。 - 19 -(4) 小括以上のとおり,本件審決の引用発明の認定に誤りはない。 3 一致点及び相違点の認定について 外周外方の路面に円形状の切り込みを入れるものであることに違いはない。 - 19 -(4) 小括以上のとおり,本件審決の引用発明の認定に誤りはない。 3 一致点及び相違点の認定について(1) 本件発明と引用発明との対比本件発明と引用発明とを対比すると,引用発明の「マンホール蓋体」,「切断された舗装及び蓋体の受枠」,「受枠」,「マンホール上壁」,「新たな受枠」,「円形開口部」は,それぞれ,本件発明の「マンホール蓋」,「切断片」,「蓋受枠」,「下桝の上面」,「新しい蓋受枠」,「切断片を除去して形成される空間」に,相当する。 そうすると,両者は,本件審決が認定した一致点において一致し,相違点1ないし5において相違しているということができる。 (2) 原告の主張についてア原告は,本件発明の「回転円弧状または球面カッター」と,引用発明の「円形カッター」とは異なり,後者が前者を包含するという関係にもなく,本件発明の「回転円弧状または球面カッター」による切り込みは回転円弧状又は球面状であるのに対し,引用発明の「円形カッター」による切り込みは円筒状であるから,本件審決の一致点の認定が誤っている旨を主張する。 しかしながら,本件発明の「回転円弧状または球面カッター」と引用発明の「円形カッター」は,いずれも,マンホール蓋の中心を中心として,マンホール蓋の外周外方の路面に円形状の切り込みを入れるものであるから,路面を円形に切断するカッターを意味する「円形カッター」として共通するということができる。本件審決は,その上で,カッターの具体的な構造の違い,いいかえるとカッターの種類の違いを,相違点1として認定し,その容易想到性を判断しているものである。このように,本件審決は,本件発明の「回転円弧状または球面カッター」と引用発明の「円 な構造の違い,いいかえるとカッターの種類の違いを,相違点1として認定し,その容易想到性を判断しているものである。このように,本件審決は,本件発明の「回転円弧状または球面カッター」と引用発明の「円形カッター」との相違を前提にしているものである。 イ原告は,引用例1に記載された「円形カッター」が「回転円弧状又は球面カ- 20 -ッター」を包含しないから,「円形カッター」による切り込みの切断片を除去して形成される空間について,回転円弧状又は球面切り込みにより規定されるものに特定されないとの相違点1の認定は誤っており,また,相違点6及び7でも相違していることを看過している旨を主張する。 しかしながら,本件審決における相違点1は,カッターの種類が相違し,このカッターにより切り込みを入れる位置とその切断部形状が相違し,これらの相違に基づいて,充填材を充填する空間が相違することを認定するものである。すなわち,本件審決が,「円形カッター」による切り込みの切断片を除去して形成される空間について,回転円弧状又は球面状切り込みにより規定されるものに特定されないことを相違点1と認定したのは,カッターによる切り込みの切断片を除去して形成される空間が,本件発明と引用発明とで相違することを前提にするものである。 また,原告が主張する相違点1’,6及び7の事項は,いずれも本件審決が認定した相違点1に含まれるものというべきである。これを相違点1’,6及び7の事項に分けなければならない事情があるとはいえないし,原告が主張する相違点6及び7についても,相違点1において併せて認定判断しているのであるから,これを看過したものということはできない。 よって,本件審決がこれらを総合して相違点1と認定したことが誤りであるとはいえない。 ウしたがって,原告の主張は, せて認定判断しているのであるから,これを看過したものということはできない。 よって,本件審決がこれらを総合して相違点1と認定したことが誤りであるとはいえない。 ウしたがって,原告の主張は,いずれも採用することができない。 4 本件発明の容易想到性について(1) 相違点1前記3のとおり,相違点1は,舗装切断工程において,本件発明は,舗装切断のためのカッターが「回転円弧状または球面状カッター」であって,「切断刃を360°旋回させて,下枡の外方に回転円弧状または球面状に切り込みを入れる」ものであり,材料充填工程において高流動性無収縮充填材が路盤材として充填される,擬似円環状の切断片を除去して形成される空間が「蓋受枠と回転円弧状または球面- 21 -状切り込みとの間の空間」であるのに対し,引用発明では,カッターが「円形カッター」であって舗装に円形の切り込みを入れるものであり,したがって,材料充填工程において高流動性無収縮充填材が路盤材として充填される,擬似円環状の切断片を除去して形成される空間が回転円弧状又は球面状切り込みにより規定されるものに特定されない点である。 (2) 引用例2記載の発明ア引用例2には,要旨,以下の記載がある(甲4)。 (ア) この発明は,道路工事等の際に用いられる路面用カッターに関する(【0001】。 (イ) 従来,路面を円形にカットする装置としては,球冠体に近似の縦断面台形のブレードを用いたものや,球冠状ブレードを用いた例が知られるが,球冠体に近似の縦断面台形のブレードを用いた所謂截頭円錐形状の回転体の周縁部に切断刃を設けた場合には,切り込み深さが進行するに従って直線状の稜線で形成される円錐面が切断部の壁面に干渉して大きな抵抗が生じ,過負荷状態を呈し,所定の深さの切断加工が不可能で 状の回転体の周縁部に切断刃を設けた場合には,切り込み深さが進行するに従って直線状の稜線で形成される円錐面が切断部の壁面に干渉して大きな抵抗が生じ,過負荷状態を呈し,所定の深さの切断加工が不可能であるし,球冠状ブレードの場合は,手作業を主体とした簡易な構成によるもので,操作性,作業性等の実用面で難がある。従来技術では,直線切断専用,又は円形切断専用であり,施工現場への工具,器具を含めての輸送の面で煩雑であり,また,切断部が垂直の場合では,切断面の接合性が悪く,例えば,補修部分が沈下又は陥没しやすい等の欠点があった(【0003】~【0007】)。 (ウ) この発明は,上述の事情に鑑みてなされたもので,切り取った部分の除去操作が容易な形状にカットすることができ,路面補修等の施工部分の沈下や陥没を防ぎ,また円形状切断,直線状切断両用の兼用機としたことにより,設備投資効果の観点から優れ,更に実用面で運搬効率及び作業性の優れた路面用カッターを提供することを目的とする(【0008】)。 (エ) この発明は,切断刃を周設した断面円弧状回転体を回転させて路面を円形にカットする路面用カッターにより,上記課題を解決することができる(【000- 22 -9】【0010】)。 (オ) なお,断面円弧状のカッターを使用することにより,切断部が断面円弧状,切断面が球面状を呈するために,垂直切断面とは異なり,切断面の接合性が極めて良く新規に施工した部分が沈下したり陥没したり等の不都合な現象を防止することができ,美観を維持すると共に,恒久的工事として施工可能である。更に付け加えるとすれば,切り取った切断片が疑似扁平お椀形となり,取り出し除去作業が容易となる利点がある(【0030】)。 イ前記ア(エ)のとおり,切断刃を周設した断面円弧状回転体を回転させて 更に付け加えるとすれば,切り取った切断片が疑似扁平お椀形となり,取り出し除去作業が容易となる利点がある(【0030】)。 イ前記ア(エ)のとおり,切断刃を周設した断面円弧状回転体を回転させて路面を円形にカットすることは,すなわち,切断刃を360°旋回させて路面に切り込みを入れるカッターということができる。そして,前記アの記載によれば,引用例2には,「切断刃を360°旋回させて路面に切り込みを入れるカッターであって,切り込みを回転円弧状又は球面状にし,切り取った疑似扁平お椀形の切断片を容易に取り出し除去可能とする路面用カッター」が記載されているということができる。 そうすると,引用例2に記載された路面用カッターは,「道路工事等の際に用いられる路面用カッター」であって,切断刃を360°旋回させて路面に回転円弧状又は球面状の切り込みを入れるものであり,本件発明の「回転円弧状または球面状カッター」に相当する。 ウなお,引用例2には,従来から知られる「路面を円形にカットする装置」として,実開昭62-159510号公報(甲12)が挙げられているところ(甲4【0003】),当該公報に係る考案の球冠状のブレードを備えた円形切断装置は「道路占用物の蓋」の周囲の路面を切断するものであり(甲12),マンホールは,蓋を有する道路占用物である。そうすると,引用例2に接した当業者は,引用例2に記載された路面用カッターが,マンホールの蓋の周囲に切り込みを入れることにも使用されることを,当然に認識することができるものと解される。 (3) 相違点1の容易想到性アカッター及び切断片の形状について- 23 -(ア) 前記2のとおり,引用発明は,マンホールの蓋体周囲の舗装面を整備したり,蓋体を新たなものと交換するような場合に用いられるマンホール補修部の アカッター及び切断片の形状について- 23 -(ア) 前記2のとおり,引用発明は,マンホールの蓋体周囲の舗装面を整備したり,蓋体を新たなものと交換するような場合に用いられるマンホール補修部の構造に関するものであり,低廉な施工コストで短時間のうちに確実な補修が行える汎用性に富むマンホール補修部の構造を提供するという目的に沿ったものであって,そのために,①円形カッターを用いて,マンホール蓋体の中心を中心として,受枠の周囲を円形に切断して舗装を切断する工程と,②切断された舗装を蓋体の受枠ごとクレーンなどを用いて吊り上げ撤去する工程と,③マンホール上壁に接触させるように新たな受枠を再設置する工程と,④新たな受枠と舗装を受枠ごと撤去して形成される円形開口部との間に,路盤材として早強無収縮性モルタルを装填し,さらに,水溶性の常温硬化型アスファルト混合材料よりなる表層材を受枠の上面側と面一状となるように装填する材料充填工程とを備えるマンホール蓋枠取替え工法である。 このように,引用発明は,マンホール蓋枠取替え工法であり,上記①②の工程で,マンホール周囲の舗装を切断し,切断された舗装を受枠とともに一体に取り出せるものであって,切断片の取り出し除去作業を行うものである。 ところで,一般に,この種の工事作業において,作業性の向上を図り,作業を容易にしようとすることは,安全性の確保や工費節減,工期短縮などと同様に,またそれらを達成するために,設計者や工事作業者,工事監督者を含む当業者において,当然に考えることであるから,引用発明のマンホール蓋枠取替え工法において,それぞれの工程の作業を容易にしようとする課題が存在しているということができる。 また,引用発明の目的は,低廉な施工コストで短時間のうちに確実な補修を行うことであるところ(前記2(1)エ),作 いて,それぞれの工程の作業を容易にしようとする課題が存在しているということができる。 また,引用発明の目的は,低廉な施工コストで短時間のうちに確実な補修を行うことであるところ(前記2(1)エ),作業を容易にしようとすることは,そのような目的に沿うものということができる。 また,引用例1においても,直線切りカッターに代えて円切りカッターを採用することが記載されているように(前記2(1)ウ),関連する技術分野に置換可能な公知又は周知の技術手段があるときは,当業者であれば,その技術手段の転用を試みるものである。よって,路面の切断作業をする際に,カッターを公知又は周知の- 24 -異なる種類のものに変更しようとすることも,当業者であれば容易に着想することができるものということができる。 (イ) 前記(2)のとおり,引用例2に記載された路面用カッターは,マンホールの蓋の周囲に切り込みを入れることにも使用されるものであるところ,切り取った切断片が疑似扁平お椀形となり,取り出し除去作業が容易となる。 また,引用例2には,切断部が垂直の場合は,切断面の接合性が悪く,補修部分が沈下又は陥没しやすいという問題点があること(前記(2)ア(イ)),断面円弧状のカッターを使用することにより,切断部が断面円弧状,切断面が球面状を呈するために,垂直切断面とは異なり,切断面の接合性が極めて良く新規に施工した部分が沈下したり陥没したり等の不都合な現象を防止することができること(前記(2)ア(オ))が記載されている。 (ウ) 上記(ア)(イ)によれば,引用発明において,切断片の取り出し除去作業を行うに際し,作業を容易にするという課題が示唆されているということができる。 そして,上記課題を解決するため,引用例2に記載された回転円弧状又は球面状のカッターを採用し,当 切断片の取り出し除去作業を行うに際し,作業を容易にするという課題が示唆されているということができる。 そして,上記課題を解決するため,引用例2に記載された回転円弧状又は球面状のカッターを採用し,当該カッターの切断刃を360°旋回させて切り込みを入れることにより,切り取った切断片が疑似扁平お椀形となり,取り出し除去作業が容易になるほか,切断部が垂直であることなどによって生じる新規施工部分の沈下や陥没の問題を解消することができる。すなわち,引用例2に記載されている新規施工部分が沈下や陥没を生じないという効果は,引用発明において,切断部が垂直であることなどによって生じる新規施工部分の沈下や陥没の問題を解消する等の課題を解決するものである。 以上のことを踏まえると,引用発明において,切断片の取り出し除去作業を容易にし,切断部が垂直であることによる問題を解決する等の目的で,カッターとして引用例2に記載された回転円弧状又は球面状のカッターを採用する動機付けがあるということができる。 イ切り込みの位置について- 25 -(ア) 引用発明に引用例2に記載されたカッターを採用するに当たっては,いずれの位置に切り込みを入れるかを決定することとなる。引用発明においては,舗装を蓋受枠ごと取り出すのであるから,その目的を考慮すると,その位置を,カッターによる切断面の下端が下枡に載置された蓋受枠の外周より外側となる位置とすることは,当然に行われるものということができる。 (イ) また,引用例2に記載されたカッターは,切り込みが回転円弧状又は球面状であって下方へ行くほど切断円の径が小さくなるものであるから,そのような引用例2に記載されたカッターの性質や作業性等を勘案して,舗装面における切り込みを入れる位置を蓋受枠の外周から十分離れた位置とすることは,当業 行くほど切断円の径が小さくなるものであるから,そのような引用例2に記載されたカッターの性質や作業性等を勘案して,舗装面における切り込みを入れる位置を蓋受枠の外周から十分離れた位置とすることは,当業者において適宜行うことができることであり,回転円弧状又は球面状の切り込みを入れる位置が下枡の外方となることは,その結果にすぎない。 (ウ) なお,切り込みを入れる位置は,蓋受枠の外周より外側であればよいものであって,下枡の外方であることに特段の技術的意義があると認めるに足りない。 すなわち,本件発明の上記構成は,図面において切り込みが下枡の外方に描かれていたことを根拠に特許請求の範囲における切り込みの位置を下枡の外方と特定する本件訂正がされた結果によるものであって,切り込みの位置を下枡の外方とすることに格別の技術的意義があるとはいえない。 ウ充填材を充填する空間について引用発明において引用例2に記載されたカッターを用いて切り込みを入れれば,その結果として,材料充填工程において高流動性無収縮充填材が路盤材として充填される擬似円環状の切断片を除去して形成される空間が,蓋受枠と「回転円弧状または球面状切り込みとの間の空間」により規定されるものとなる。 (4) 原告の主張についてア原告は,引用例1では,取り出し除去作業を容易にするという点については,課題としても,考案の作用効果としても,全く着目されていないから,引用発明に引用例2に記載された発明を適用する動機付けが存在しない旨を主張する。 - 26 -しかしながら,引用発明の目的は,低廉な施工コストで短時間のうちに確実な補修を行うことであるところ,引用発明のマンホール蓋枠取替え工法において,それぞれの工程の作業を容易にしようとする課題が存在しているのであって,切断された舗装を蓋体の受 コストで短時間のうちに確実な補修を行うことであるところ,引用発明のマンホール蓋枠取替え工法において,それぞれの工程の作業を容易にしようとする課題が存在しているのであって,切断された舗装を蓋体の受枠ごとクレーンなどを用いて吊り上げ撤去する工程における作業を容易にすることも,課題として示唆されているということができる。そして,引用発明と引用例2に記載された発明は,いずれも,本件発明と技術分野が同一又は相互に関連する発明であるから,その一の発明に置換可能な技術手段があるときは,他の発明に当該技術手段を適用しようと試みることは,当業者の通常の創作能力の発揮ということができ,前記のとおり,引用発明において,切断片の取り出し除去作業を容易にする等の目的で,カッターとして引用例2に記載された回転円弧状又は球面状のカッターを採用することは,当業者が容易に想到し得ることである。 イ原告は,引用例1は,復旧面積内に埋め込む材料を少なくすることが,その技術的思想の1つとされているから,円筒状の切り込みを与える円形カッターを用いる場合よりも復旧面積がより広くなる引用例2記載の回転円弧状のカッターを採用することは,むしろ阻害要因があるというべきである旨を主張する。 しかしながら,引用発明は,復旧面積を極限まで狭くすることによって達成されているものではないし,引用発明における円形カッターに代えて,引用例2に記載された回転円弧状又は球面状カッターを使用したときに,その復旧面積が当然に広くなるというものではなく,仮に広がるとしても程度の差にすぎないと解される。 当業者は,使用するカッターの性質や作業性等を適宜勘案し,その現場の要請に則して妥当な復旧面積を決定し,マンホール蓋枠取替え工法を実施するものであるところ,復旧面積の広狭は,その現場に合ったマンホール蓋枠取替 使用するカッターの性質や作業性等を適宜勘案し,その現場の要請に則して妥当な復旧面積を決定し,マンホール蓋枠取替え工法を実施するものであるところ,復旧面積の広狭は,その現場に合ったマンホール蓋枠取替え工法を実施しようとすれば,その現場ごとに,一定程度,変動するものであるから,復旧面積が仮に広がるとしても,その一事をもって,引用発明に引用例2に記載されたカッターを採用することに,阻害要因があるとまでは認められない。 ウ原告は,カッターによる切断面の下端が下枡に設置された蓋受枠の外周より- 27 -外側となる位置にすることは,蓋受枠及び下枡とカッター切断面との間に距離が確保されるから,この空間に補強用鉄筋を網目状に配置してマンホール補修部分の強度を更に補強することができ,また,下枡の外方に切り込みを入れることによりすりつけに必要な距離を確保することができるとして,技術的な意義がある旨主張する。 しかしながら,前記(3)イのとおり,カッターによる切断面の下端が下枡に載置された蓋受枠の外周より外側となる位置とすることは,舗装を蓋受枠ごと取り出すという目的を考慮すると,当然に行われるものということができるし,切り込みを入れる位置は,蓋受枠の外周より外側であればよいものであって,下枡の外方であることに特段の技術的意義があるものではない。 エしたがって,原告の主張は,いずれも採用することができない。 (5) 小括以上のとおり,引用発明及び引用例2に記載された発明に基づいて,本件発明の相違点1に係る構成は,容易に想到することができたものということができる。そして,原告は,本件審決の相違点2ないし5に係る判断について,取り消すべき事由を主張していない。 よって,本件発明は,引用発明及び引用例2に記載された発明等に基づいて,容易に発明するこ できる。そして,原告は,本件審決の相違点2ないし5に係る判断について,取り消すべき事由を主張していない。よって,本件発明は,引用発明及び引用例2に記載された発明等に基づいて,容易に発明することができたものである。 第5 結論 以上の次第であるから,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 土肥章大 裁判官 髙部眞規子 裁判官 齋藤巌

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