平成12(ワ)11906

裁判年月日・裁判所
平成14年5月29日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-11849.txt

キーワード

判決文本文34,606 文字)

平成12年(ワ)第11906号特許権侵害差止請求事件口頭弁論終結日平成14年3月18日判決原告株式会社ウエスタン・アームス訴訟代理人弁護士宗万秀和同高橋隆二同荒木和男同近藤良紹同早野貴文同川合順子同鬼頭栄美子同藤原靖夫同山枡幸文補佐人弁理士神原貞昭被告株式会社東京マルイ訴訟代理人弁護士湊谷秀光同中島茂同栗原正一同浅見隆行補佐人弁理士井澤洵 同浅見隆行補佐人弁理士井澤洵 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載の製品を製造,販売してはならない。 2 被告は,占有する前項記載の製品及びその製造用金型を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,6億5433万2600円及びこれに対する平成13年3月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告に対し,別紙謝罪広告目録記載の内容の広告を同目録記載の要領で同目録記載の各新聞に各1回ずつ掲載せよ。 第2 事案の概要本件は,玩具銃に関する特許権を有する原告が,玩具銃の製造及び販売をしている被告に対して,被告の同行為が原告の上記特許権を侵害するとして,被告の上記行為の差止め及び損害賠償金の支払等を求めている事案である。 1 争いのない事実(1) 原告は,玩具銃の製造販売等を業とする株式会社であり,以下のとおりの特許権(以下「本件特許権」といい,そのうちの請求項1記載の発明を「本件発明」という。)を有している。 特許番号第2871583号発明の名称ガス圧力式玩具銃出願日平成5年5月17日登録日平成11年1月8日特許請求の範囲別紙特許公報(以下「本件公報」 平成5年5月17日登録日平成11年1月8日特許請求の範囲別紙特許公報(以下「本件公報」という。)写しの該当欄請求項1記載のとおり(以下,同公報掲載の明細書を「本件明細書」という。)(2) 本件発明の構成要件を分説すると,次のAないしDのとおりとなる。 A① 本体に,② 弾倉部と,③ 弾丸が供給される装弾室と,B 内部に摺動部材が配され,上記本体に対して移動可能とされた空間部形成部材と,C 上記本体に対して移動可能とされ,上記空間部形成部材を移動させる状態をとるスライダ部とが設けられ,D① 上記摺動部材が,② 上記空間部形成部材内に得られるガス圧により上記装弾室に供給された弾丸が銃身部内に移動せしめられることになる状態をとった後,③ 該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ,④ 上記スライダ部の後退及びその後の前進,及び,それに伴う上記空間部形成部材の移動が生じて,上記弾倉部からの弾丸が上記装弾室に送り込まれることになる状態をとることを特徴とするガス圧力式玩具銃(3) 被告は,玩具銃の製造販売等を業とする株式会社であり,別紙物件目録記載の製品(以下「被告製品」という。)を,平成7年7月ころから業として製造し,販売している。 (4) 被告製品の動作状況の概要は,次のとおりである。 ア別紙被告製品動作状況図1は,グリップ部29に,弾倉部36と蓄圧室37を有するマガジンケース34を装着した状 している。 (4) 被告製品の動作状況の概要は,次のとおりである。 ア別紙被告製品動作状況図1は,グリップ部29に,弾倉部36と蓄圧室37を有するマガジンケース34を装着した状態の縦断面図である。 なお,同図の1はスライダ,3は可動部材(シリンダー),5はコイルスプリング,6は皿形弁,7は止め輪,8はピストンカップ,10は銃身,12は銃身部,16はトリガー,26はハンマー,32はバルブ,35は弾丸BB,38はガス通路,39は装弾室,40は圧力室,41は受圧部である。 イ別紙被告製品動作状況図2は,別紙被告製品動作状況図1の状態から,手動により,スライダ1を後退させた後,前進させて,マガジンケース34内の最上段の弾丸35を装弾室39に移動させて,発射準備が完了した状態(ハンマー26はシアー21によって固定されロッキングした状態である。)の縦断面図である。 ウ別紙被告製品動作状況図3は,別紙被告製品動作状況図2の状態においてトリガー16を引くと,ハンマー26が前方へ回動してバルブ32を開状態とし,蓄圧室37からのガス圧が装弾室39内の弾丸35とともにピストンカップ8(受圧部41)にかかった状態の縦断面図である。同図中の線アは,蓄圧室37からのガスが装弾室39まで流れる道筋を示したものである。 エ別紙被告製品動作状況図4は,ガスが圧力室40に供給され,受圧部41にガス圧が作用して,スライダ1が後退している状態の縦断面図である。同図中の線ウは,蓄圧室37からのガスが受圧部41に流れる道筋を示したものである。 オ別紙被告製品動作状況図5は,別紙被告製品動作状況図4の状態に続き,可動部材3がスライダ1とともに後退を始め,バルブ32が閉じた状態の縦断面図である。 カ別紙被告製品動作状況図6は オ別紙被告製品動作状況図5は,別紙被告製品動作状況図4の状態に続き,可動部材3がスライダ1とともに後退を始め,バルブ32が閉じた状態の縦断面図である。 カ別紙被告製品動作状況図6は,別紙被告製品動作状況図5の状態に続き,スライダ1が慣性によって後退を続けた後,コイルスプリング14の反発力によって前進を始める状態の縦断面図である。 (5) 被告製品は,本件発明の構成要件A及びCを充足する。 2 争点(1) 被告製品は本件発明の構成要件を充足するか。 ア構成要件Bの充足性被告製品は,「摺動部材」及び「空間部形成部材」を有するか。 イ構成要件Dの充足性(ア) 構成要件D①,②被告製品は,「摺動部材」及び「空間部形成部材」を有するか((1)アと同じ。)。 (イ) 構成要件D③a 被告製品は,「該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下」を充足するか(本件発明における「弾丸の銃身部内への移動」と「空間部形成部材内におけるガス圧の低下」との関係)。 b 被告製品は,「上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ」を充足するか(「空間部形成部材内におけるガス圧の低下」と「摺動部材の位置の切り換え」との関係)。 c 被告製品は,皿形弁の「位置が切り換えられ」るか(「位置が切り換えられ」の意味)。 (2) 本件特許の無効理由の存在が明らかであり,本件特許権に基づく権利行使は,権利の濫用として許されないか。 (3) 被告製品全体の販売等の差止めは許されるか。 (4) 謝罪広告掲載は相当か。 の無効理由の存在が明らかであり,本件特許権に基づく権利行使は,権利の濫用として許されないか。 (3) 被告製品全体の販売等の差止めは許されるか。 (4) 謝罪広告掲載は相当か。 (5) 損害額はいくらか。 3 争点に対する当事者の主張(1) 構成要件B及びD①,②の充足性被告製品は,「摺動部材」及び「空間部形成部材」を有するか(争点(1)ア及び争点(1)イ(ア))について(原告の主張)ア構成要件B及びDの「摺動部材」の意義本件明細書には,「摺動」に関する具体的な説明はない。「摺動」とは,位置の切り換えを意味するものと解すべきである。そして,弁状の部材の位置が切り換えられるのに伴い,その部材を支持している他の部材との間には,物体同士の接触に伴う摺り合わせが生ずることは技術上自明であるから,「摺動部材」は,他の部材に触れ合いながら位置の切り換えを行う部材であると解すべきである。 イ被告製品との対比(ア) 被告製品の皿形弁6は,可動部材3内に移動可能に設けられており,バルブスプリングとKリングで支持されているところ,位置が切り換えられるのに伴い上記各部材と接触し,摺動することは明らかである。したがって,皿形弁6は本件発明の構成要件B,Dの「摺動部材」に当たる。 (イ) また,被告製品の可動部材3は,構成要件B,Dの空間部形成部材に該当する。 (被告の反論)ア(ア) 「摺動部材」の意義a 本件明細書においては,「摺動部材」の積極的説明はされておらず,詳細な説明欄の【0023】及び【0035】に,「摺動部材 (被告の反論)ア(ア) 「摺動部材」の意義a 本件明細書においては,「摺動部材」の積極的説明はされておらず,詳細な説明欄の【0023】及び【0035】に,「摺動部材」の用語が使用されているのみである。 「摺動」という語は,国語辞典中には存在しない。角川書店発行の「大字源」では,「摺」という言葉は,動詞の「する」に当たるとされ,用語例としては,「版木で摺る」,「絵柄を摺る」等が挙げられる。また,特許庁編「技術用語による特許分類索引」には,「摺動環」,「摺動子」,「摺動自在ないす」,「摺動ファスナー」,「摺動変圧器」,「摺動面」の6項目があり,いずれも「する」動きという意味で使用されている。 本件明細書においては,「ロッド26を有したガス通路制御部25は,可動部材54内に摺動自在に配された摺動部材を形成している。」【0023】と記載されていることから,摺動部材とは,可動部材54内で,前後に「する」ように移動可能な部材,すなわち,ロッド26,同ロッド26を前方に付勢するコイルスプリング28及び弁部材27を示すものというべきである。摺動部材を「する」という意味を除いた,単なる「部材」と置き換えることはできない。 b また,本件発明の効果は,ガス通路制御部が,そのロッドに嵌合された弁部材によって弾丸発射用ガス通路を閉塞した状態にしたときに,弾丸供給用ガス通路が開状態となり,装弾室に弾丸を供給するための動作を開始させ,このように,弾丸発射後に装弾室に弾丸を供給するための動作を開始させることにより,装弾室に弾丸を供給するための動作の影響を受けて,発射された弾丸の弾道に狂いが生ずることを回避するというものである。したがって,本件発明におけるガス通路制御部 するための動作を開始させることにより,装弾室に弾丸を供給するための動作の影響を受けて,発射された弾丸の弾道に狂いが生ずることを回避するというものである。したがって,本件発明におけるガス通路制御部すなわち摺動部材は,弾丸発射用ガス通路が開状態にしたときは,弾丸供給用ガス通路を閉状態に制御する構造を有するものでなければならない。 (イ) 「空間部形成部材」の意義本件発明の構成要件B及びDにおける「空間部形成部材」は,本件発明の実施例における可動部材54であり,①中央空間部20,②弾丸発射用ガス通路21,③弾丸供給用ガス通路22,④共通ガス通路23,⑤ガス通路制御部25から構成される。同ガス通路制御部は上記各構成要件における摺動部材を指すと解すべきである。 イ被告製品との対比(ア) 被告製品においては,本件明細書の実施例のロッド26に相当するものは存在せず,他の部材と摺動する部材が存在しない。また,被告製品の皿形弁6は,スプリング5で支えられ,浮動しているのに近く,同皿形弁は摺動や滑動を必要とするものではないから,摺動部材に当たらない。 (イ) また,被告製品においては,弾丸供給用ガス通路は,弾丸発射用ガス通路にガスが供給されたときから弾丸が発射されるに至るまで終止開状態となっており,被告製品の皿形弁は,弾丸発射用ガス通路を開とする状態において,弾丸供給用ガス通路を閉状態に制御するものではないから,摺動部材に当たらない。 (ウ) したがって,被告製品には,摺動部材及びこれを構成要素とする空間部形成部材は存在しない。 (2) 構成要件D③の充足性(その1)被告製品は,「該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内にお 部材及びこれを構成要素とする空間部形成部材は存在しない。 (2) 構成要件D③の充足性(その1)被告製品は,「該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下」を充足するか(本件発明における「弾丸の銃身部内への移動」と「空間部形成部材内におけるガス圧の低下」との関係)(争点(1)イ(イ))について(原告の主張)ア 「該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下」の解釈構成要件D③の「弾丸の銃身部内への移動により生じるガス圧の低下」とは,弾丸が装弾室から銃身部内へ移動する作動の段階を経た後に生ずる空間部形成部材内のガス圧の低下をいうものと解釈すべきである。すなわち,上記「ガス圧の低下」には,装弾室から銃身部内に移動した弾丸が銃身部内を外部に向かって進んでいる状態の下でのガス圧の低下も,装弾室から銃身部内に移動した弾丸が銃身部からその外部に飛び出した状態の下でのガス圧の低下も含まれる。 イ被告製品との対比被告製品においては,空間部形成部材内のガス圧は弾丸が銃身部内へ移動した後に低下しているから,被告製品は,構成要件D③を充足する。 (被告の反論)ア 「該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下」の解釈構成要件D③の「銃身部内への移動」とは,「装弾室から銃身部内への移動」という意味であり,それより後の「銃身部外への移動」は含まないと解すべきである。したがって,「該弾丸の銃身部内への移動により生じる」とは,弾丸が銃身部内へ移動してから発射されるまでの間に,空間部形成部材内のガス圧の低下が生じることを意味すると解すべきで ないと解すべきである。したがって,「該弾丸の銃身部内への移動により生じる」とは,弾丸が銃身部内へ移動してから発射されるまでの間に,空間部形成部材内のガス圧の低下が生じることを意味すると解すべきである。その理由は以下のとおりである。 (ア) 構成要件D③は,「弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下」と記載され,同文言に照らすならば,空間部形成部材内におけるガス圧の低下は,弾丸の銃身部内への移動によって生じる必要がある。 (イ) 構成要件D③の「該弾丸」とは,構成要件D②の「上記装弾室に供給された弾丸」を指すことは明らかであるから,「該弾丸の銃身部内への移動」とは,「装弾室に供給された弾丸の装弾室から銃身部内への移動」という意味になる。 イ被告製品との対比被告製品においては,弾丸の移動より先にガス圧の低下が始まっている。 また,原告及び被告は,被告製品について,弾丸BBの動き出しの時期,弾丸BBが銃口から飛び出す時期,中央空間部における圧力の変化の様子並びに皿形弁の移動開始及び移動終了時期等を明らかにするために,共同して実験(以下「本件共同実験」という。)を行った。本件共同実験④(弾丸BBの移動を抑止したもの)及び⑤(皿形弁を固定したもの)の結果から明らかなように,弾丸BBの移動が阻止されると空間部形成部材内のガス圧の低下は生じず,また,同ガス圧の低下は,摺動部材の動作とは関連しない弾丸BBのインナーバレル内への移動があって認められるものであり,被告製品の皿形弁は弾丸BBのインナーバレル内への移動により生じる空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴ってその位置が切り換えられていることは明らかである。 なお,本件共 ものであり,被告製品の皿形弁は弾丸BBのインナーバレル内への移動により生じる空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴ってその位置が切り換えられていることは明らかである。 なお,本件共同実験の結果によると,被告製品においては,常温では大部分,低温では一部の場合,皿形弁の移動は,弾丸が銃身部へ移動するのと同時に開始していることが確認された(弾丸の銃身部内への移動の時期は弾丸の後端がチャンバーの直前にある受光部を通過した瞬間とみるべきである。)。 したがって,被告製品は構成要件D③を充足しない。 (3) 構成要件D③の充足性(その2)被告製品は,「上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ」を充足するか(「空間部形成部材内におけるガス圧の低下」と「摺動部材の位置の切り換え」との関係)(争点(1)イ(ウ))について(原告の主張)ア 「空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ」の解釈(ア) 「ガス圧の低下に伴って」の意義「伴って」とは,その文言の通常の意義どおり,「時をほぼ同じくして」ということを意味する。 したがって,本件発明の構成要件D③の「ガス圧の低下に伴って」とは,「ガス圧の低下と時をほぼ同じくして」という意味であり,ガス圧の低下を原因として摺動部材の位置の切り換えが行われることを要求するものではない。 原告が準備書面(1)において,弁部材の移動の起因について述べたのは,「伴って」に関する時間的観点から上記の趣旨を主張したものにすぎない。 (イ) なお,構成要件D③における摺動部材の位置の切り換えの時点は,単に切り 材の移動の起因について述べたのは,「伴って」に関する時間的観点から上記の趣旨を主張したものにすぎない。 (イ) なお,構成要件D③における摺動部材の位置の切り換えの時点は,単に切り換えのための移動が開始した時点を指すのではなく,弾丸発射用ガス通路を閉の状態にした時点を指すと解すべきである。その理由は以下のとおりである。 a 本件明細書には,「摺動部材が先ず,(中略)位置におかれる。そして,弾丸が装弾室から銃身部内に移動せしめられると,(中略)位置へと移動せしめられる。それにより,装弾室に装填された弾丸の発射が行われた後に,装弾室に弾丸を供給するための動作が開始されることになり,その結果,(中略)生じてしまう事態の発生が回避される。」【0007】と記載されているように,摺動部材がある位置から他方の位置に移動せしめられることをもって特有の作用効果を奏するものとされている。また,実施例中には,摺動部材を形成するガス通路制御部25が弾丸発射用ガス通路に向けて移動し,弾丸発射用ガス通路を閉状態とする位置を採ることが記載されている。本件明細書の上記説明によれば,摺動部材の位置の切り換えは,一方の位置から他方の位置に移動し,それが終了した状態を意味することは明らかである。 b 他方,本件明細書には,摺動部材の移動の開始をもって位置の切り換えと理解すべきであるとの見解を根拠付ける記載は一切ない。 イ被告製品との対比(ア) 本件共同実験において,スイッチDに生じる出力電圧変化を観察すると,多くの場合,皿形弁は,後方位置から前方位置に移行するに当たり,前方位置への到達と前方位置から後方側への離隔を複数回繰り返した後,前方位置に落ち着いている。皿形弁は,前方位置に落ち着いて初めて弾丸 ,多くの場合,皿形弁は,後方位置から前方位置に移行するに当たり,前方位置への到達と前方位置から後方側への離隔を複数回繰り返した後,前方位置に落ち着いている。皿形弁は,前方位置に落ち着いて初めて弾丸発射用ガス通路を閉塞して,弾丸発射用ガス通路へのガス圧の供給を止める機能を果たすのであるから,皿形弁が前方位置に落ち着いたとき(スイッチDの出力変化が変動状態を脱して一定状態となったとき),皿形弁の位置が切り換えられたことになる。すなわち,皿形弁の位置が切り換えられたと判断すべき時点は,スイッチDの出力電圧が変動状態から一定状態に安定した時点であると解すべきである。 (イ) 本件共同実験⑧,⑨によれば,15度及び25度のいずれの場合においても,被告製品の皿形弁は,空間部形成部材内のガス圧の低下が認められた後に弾丸発射用ガス通路を閉塞していることが認められ,ガス圧の低下後に皿形弁の位置が切り換えられているといえる。 (ウ) したがって,被告製品は,構成要件D③を充足する。 (被告の反論)ア 「空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ」の解釈(ア) 「ガス圧の低下に伴って」の意義本件発明の構成要件D③の解釈からすると,本件発明の技術的範囲に含まれるというためには,摺動部材の位置の切り換えは,空間部形成部材内におけるガス圧の低下によってもたらされる必要がある。原告の準備書面(1)でも,ガス圧の低下を原因として,摺動部材の切り換えが生じる旨説明されている。また,本件特許の親出願に係る明細書(乙8)中には,「伴って」という文言はすべて因果関係を表現する意味で用いられている。 上記の解釈からすると,摺動部材はガス圧の低 れている。また,本件特許の親出願に係る明細書(乙8)中には,「伴って」という文言はすべて因果関係を表現する意味で用いられている。 上記の解釈からすると,摺動部材はガス圧の低下の後に動き出すことが必要となる。 (イ) なお,構成要件D③における摺動部材の位置の切り換えの時点は,摺動部材が動き出した時点を指すと解すべきである。 この点,原告は,「位置が切り換えられ」たというためには,弁が閉じられた状態に至る必要があると主張する。 しかし,弁の移動開始については,スプリングの付勢力に抗する力が問題となるが,弁の停止は何らかの物理的作用によってされる訳ではない。したがって,意味があるのは,いつ弁が移動を開始したかであって,完全に閉状態となったのはいつかという点は技術的には些細な問題である。 イ被告製品との対比被告製品においては,皿形弁は蓄圧室からの高圧ガスによってもたらされるガスの流れによって移動するのであって,空間部形成部材内におけるガス圧の低下によってもたらされるものではない。 本件共同実験の結果によれば,被告製品では,多くの場合において,ガス圧の低下が生じる前に皿形弁の移動が開始されている。 また,本件共同実験⑨では,皿形弁が弾丸発射用ガス通路を塞いだ時点において,弾丸発射用ガス通路のガス圧は低下に向かっているが,弾丸供給用ガス通路のガス圧は一貫して上昇を続けている。そして,皿形弁が弾丸発射用ガス通路を閉じて停止するのは,弾丸発射用ガス通路の後端開口部に皿形弁が当たって(閉塞して),それ以上前進できない状態となったからにすぎない。したがって,ガス圧の低下が皿形弁の閉塞の原因ではない。 を閉じて停止するのは,弾丸発射用ガス通路の後端開口部に皿形弁が当たって(閉塞して),それ以上前進できない状態となったからにすぎない。したがって,ガス圧の低下が皿形弁の閉塞の原因ではない。 したがって,被告製品は,本件発明の構成要件D③を充足しない。 (4) 構成要件D③の充足性(その3)被告製品は,皿形弁の「位置が切り換えられ」るか(「位置が切り換えられ」の意味)(争点(1)イ(エ))について(原告の主張)ア構成要件D③の「位置が切り換えられ」たの意義構成要件D③の「位置が切り換えられ」たとは,摺動部材が後方から前方へ移動することを指す。摺動部材が位置を切り換える際,切り換えの前において摺動部材が構成要件D②の状態にあり,切り換えの後において摺動部材が構成要件D④の状態にあれば足りる。その理由は以下のとおりである。 (ア) 構成要件Dは,摺動部材が構成要件D②の位置から構成要件D④の位置に切り換えられることを規定したものであって,D④に定めるスライダ部の後退等の給弾動作が摺動部材の位置の切り換えに基づいて開始されることを規定したものではない。構成要件D②とD④にそれぞれ記載される「状態をとる」主体は摺動部材であって,いずれも摺動部材の動作,状態を規定したものである。構成要件D②,D④の各記載は摺動部材の位置の切り換えの前後の玩具銃の動作が規定されているが,D②とD④に記載される玩具銃のそれぞれの動作状況の相互の関係については何ら限定していない。摺動部材の位置が切り換えられる前にD④の動作状況があってはならないという根拠はない。 (イ) 本件明細書の特許請求の範囲には,「弾丸発射用ガス通路」,「弾丸供給用ガス通路」,「開」及び「閉」 位置が切り換えられる前にD④の動作状況があってはならないという根拠はない。 (イ) 本件明細書の特許請求の範囲には,「弾丸発射用ガス通路」,「弾丸供給用ガス通路」,「開」及び「閉」のいずれの記載もないのであるから,この点に関する被告の立論は請求の範囲の記載に基づくものではなく,本件発明の技術的範囲を明細書の実施例の記載に基づいて解釈しようとするものであり,失当である。 イ被告製品との対比被告製品においては,皿形弁は後方から前方へ移動しているから,「位置が切り換えられ」たといえる。 また,本件共同実験の結果によれば,皿形弁は,切り換えられる前には被告が主張する第1の状態にあること,切り換えられた後には被告が主張する第2の状態にあることは明らかである。 したがって,被告製品は本件発明の構成要件D③を充足する。 (被告の反論)ア構成要件D③の「位置が切り換えられ」の意義構成要件D③の「位置が切り換えられ」は,摺動部材が,弾丸発射用ガス通路を開,弾丸供給用ガス通路を閉の状態にしていたのを,弾丸発射用ガス通路を閉,弾丸供給用ガス通路を開の状態とすることを意味すると解すべきである。その理由は以下のとおりである。 (ア) 本件発明の構成要件D②の「上記空間部形成部材内に得られるガス圧により,上記装弾室に供給された弾丸が銃身部内に移動せしめられることになる状態」とは,「弾丸発射用ガス通路から装弾室に至る部分にガスを供給し,弾丸にガス圧を加えた状態」であり,「弾丸発射用ガス通路から装弾室に至るガス通路部分を『開』状態とすること」である。この状態を第1の状態という。 次に,本件発明の構成要件D④の 給し,弾丸にガス圧を加えた状態」であり,「弾丸発射用ガス通路から装弾室に至るガス通路部分を『開』状態とすること」である。この状態を第1の状態という。 次に,本件発明の構成要件D④の「上記スライダ部の後退及びその後の前進,及び,それに伴う上記空間部形成部材の移動が生じて,上記装弾部からの弾丸が上記装弾室に送り込まれることになる状態」とは,「弾丸供給用ガス通路から固定部材に至る部分にガスを供給し,スライダ部の後退,前進が生じて」ということであり,すなわち,「弾丸供給用ガス通路から固定部材に至るガス通路部分を『開』状態とすること」である。この状態を第2の状態という。 ところで,「切り換える」とは,「今までのに取りかえて別のものにする。新しくする。」ということを意味する(広辞苑第5版)。したがって,本件発明の構成要件D③の「位置が切り換えられ」とは,摺動部材の位置が切り換えられることにより,上記第1の状態から第2の状態に移行することである。なお,弾丸供給用ガス通路が当初から開かれている場合は,論理的に「切り換える」という語は用いられない。 (イ) 本件発明が解決しようとする課題は,「スライダの移動が弾丸の発射前に行われると,弾丸の発射時に銃身部がスライダの移動による影響を受けることになって,銃身部から発射された弾丸の弾道に狂いが生じてしまう虞がある。」【0004】との点を克服することである。そして,その方法として,「装弾室に装填された弾丸の発射が行われた後に,装弾室に弾丸を供給するための動作が開始されることになるガス圧力式玩具銃を提供する。」【0005】というのである。 したがって,本件発明においては,弾丸発射用ガス通路と弾丸供給用ガス通路の両方が同時に開の状態となる場合は想 とになるガス圧力式玩具銃を提供する。」【0005】というのである。 したがって,本件発明においては,弾丸発射用ガス通路と弾丸供給用ガス通路の両方が同時に開の状態となる場合は想定されていない。 イ被告製品との対比被告製品においては,弾丸供給用ガス通路は,弾丸発射用ガス通路にガスが供給されたときから弾丸が発射されるに至るまで終止開状態となっており,ガスは当初から弾丸発射用ガス通路と弾丸供給用ガス通路に供給されている。そのため,被告製品では,プレシュート(次弾装填のためのスライダーの移動よりも先に弾丸を発射させる構造)を実現させておらず,スライダーの後退と弾丸の発射は同時となっている。 そして,上記のことは,本件共同実験の結果からも立証されている。 したがって,被告製品においては,仮に,皿形弁が,構成要件B及びDの「摺動部材」に相当するとしても,皿形弁によって「位置が切り換えられ」るということはないから,被告製品は,本件発明の構成要件D③の「位置が切り換えられ」を充足しない。 (5) 本件特許権に基づく権利行使は権利の濫用に当たるか(争点(2))について(被告の主張)ア本件明細書では,摺動部材の位置の切り換えがどのようにして行われるかを特定していないから,本件特許は平成6年法律第116号による改正前の特許法36条5項1号に違反し,無効である。 イまた,本件発明は,摺動部材の位置が空間部形成部材内に得られるガス圧によって自動的に切り換えられるという構成を有するが,この点は,本件特許に係る原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていない。また,本件明細書では,「空間部形成部材」,「摺動部材」と 圧によって自動的に切り換えられるという構成を有するが,この点は,本件特許に係る原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていない。また,本件明細書では,「空間部形成部材」,「摺動部材」という新たな概念を表す用語が記載されている。したがって,本件特許に係る分割出願は,特許法44条1項の要件を充たしていない。 そうすると,本件特許には,特許法44条2項本文の規定が適用されないので,その出願日は現実の出願日である平成8年4月4日となる。ところで,この時点で被告製品は既に製造販売されていた。 したがって,本件特許は無効である。 ウ本件特許権に基づく権利行使は権利の濫用として許されない。 (原告の反論)ア本件特許に係る原出願の当初明細書には,「可動部材54は,その内部に,中央空間部20,中央空間部20から可動部材54の前端部に向かって伸びる弾丸発射用ガス通路21,中央空間部20から可動部材54の後端部に向かって伸びる弾丸供給用ガス通路22,及び,中央空間部20からグリップ6に向かって伸びる共通ガス通路23が設けられるとともに,ガス通路制御部25が設けられたものとされており,(中略)ガス通路制御部25は,弾丸供給用ガス通路22から中央空間部20を貫通して弾丸発射用ガス通路21内に伸びるロッド26と,ロッド26に嵌合せしめられて中央空間部20内に位置する弁部材27とを含んで構成されている。」【0013】,「そして,環状部材4における前方側部分に移動した弾丸BBが,蓄圧室33からのガス圧により銃身2内に移動せしめられるものとなると,銃身2と弾丸BBとの間に生じる比較的小なる隙間を通じて銃身2内にガスが漏れ出し,弾丸BBの銃身2における前端部側に向かう移動が加速されるとともに,中央 より銃身2内に移動せしめられるものとなると,銃身2と弾丸BBとの間に生じる比較的小なる隙間を通じて銃身2内にガスが漏れ出し,弾丸BBの銃身2における前端部側に向かう移動が加速されるとともに,中央空間部20内におけるガス圧が低下する。斯かる中央空間部20内におけるガス圧の低下に伴って,ロッド26がコイルスプリング28の付勢力により前進するものとなり,それに伴って弁部材27が,図6に示される如くに,弾丸供給用ガス通路22から弾丸発射用ガス通路21に向けて移動せしめられる。そして,ロッド26の前進により弁部材27が,図7に示される如くの弾丸発射用ガス通路21を閉状態となす位置におかれるまでの間において,銃身2内に移動せしめられた弾丸BBが銃身2から発射される。このようにして弁部材27が,弾丸発射用ガス通路21を閉状態として,弾丸供給用ガス通路22を,中央空間部20及び共通ガス通路23を介して,ケース30内に設けられた上方ガス通路38に連通させる位置におかれると」【0023】ないし【0025】と記載されている。そして,本件特許出願における当初明細書にも,上記と同様の記載がある(【0013】ないし【0014】,【0028】ないし【0030】)。 したがって,本件特許に係る原出願の当初明細書及び本件特許出願の当初明細書には,本件発明の構成要件D③の「ガス圧の低下に伴って」の明確な記載があるとともに,弾丸BBの銃身2内への移動によって生じる中央空間部20内におけるガス圧の低下に伴って摺動部材の位置が切り換えられることの技術的内容がすべて開示されている。 イ分割出願は,原出願の明細書に記載された文言をそのまま用いなければ直ちに不適法となるものではない。原出願に記載されていない文言が用いられた場合であっても,原出願に当 示されている。 イ分割出願は,原出願の明細書に記載された文言をそのまま用いなければ直ちに不適法となるものではない。原出願に記載されていない文言が用いられた場合であっても,原出願に当該発明が開示されていれば足りるのであって,原出願の明細書との関係を明示して新たな文言を用いたとしても何ら問題はない。本件発明の空間部形成部材及び摺動部材は,原出願の技術用語との関係を明示して記載されており,本件発明は原出願の明細書に記載された発明であることは明らかである。 ウなお,本件特許については,被告が申し立てた無効審判において,無効理由がない旨の審決がされている。 エしたがって,被告の主張は失当である。 (6) 被告製品全体の販売等の差止めの可否(争点(3))について(原告の主張)被告製品全体の販売等の差止めが認められるべきである。 (被告の反論)本件発明は,ブローバックエアガンにおける,ブローバックのためのガス制御に関するものである。 ところで,被告製品は,スライド,バレル,フレーム,マガジン等に区分することができ,その中でガス制御に関する部分は,スライド内のシリンダーバルブ(皿形弁),シリンダーバルブスプリング,バルブベースのみであり,被告製品の一部でしかない。 したがって,仮に被告製品が本件特許権に抵触するとしても,本件特許権に基づく差止めの対象は,被告製品のガス制御に関する部分に限定されるべきである。 (7) 謝罪広告掲載の可否(争点(4))について(原告の主張)原告は,被告製品を製造,販売する被告の行為が原告の有する特許権を侵害する旨を主張し,被告はそれを争っており,この事実は問屋,小売店及び (争点(4))について(原告の主張)原告は,被告製品を製造,販売する被告の行為が原告の有する特許権を侵害する旨を主張し,被告はそれを争っており,この事実は問屋,小売店及びユーザーが知っている。被告は,問屋,小売店に対し,原告が特許権侵害を主張することは故無き圧力であり被告に対する中傷行為である旨を通知した。 被告は業界において首位の売上高を有する有力企業であり,流通各社に対する影響力は甚大なものである。被告は,本件訴訟を本案とする仮処分決定(差止認容)がされた後においても,裁判所のした決定が誤りであるかのような印象を与える通知を取引先に送付し,原告が本件特許権の権利行使をすることが故無き圧力であることを再々表明した。 そのため,原告は自己の有する特許権が侵害されて損害を受けているにもかかわらず,原告が違法行為を行っている旨の評価を受け,一部の問屋は原告製品を取り扱わないこととなり,原告の業界における営業上の信用が害されるに至った。この原告の受けた信用毀損は,被告の問屋,小売店に対する通告に基づくものであり,本件訴訟の損害賠償をもってしても回復しがたい。 したがって,原告は,被告に対し,特許権者の業務上の信用を回復するため別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告をすることを求める。 (被告の反論)争う。 被告は,問屋,小売店に対し,原告の行為が被告の行う商行為に対する故無き圧力,中傷である旨通知したが,これは,原告が訴訟手続又は正当な権利行使の範囲を逸脱して,被告の重要な取引先に内容証明郵便を送付したり,直接乗り込んでいって,被告製品を扱うときは,問屋,小売店に対しても莫大な損害賠償請求権を行使すると恫喝したため,やむを得ざる措置としてしたものである。 告の重要な取引先に内容証明郵便を送付したり,直接乗り込んでいって,被告製品を扱うときは,問屋,小売店に対しても莫大な損害賠償請求権を行使すると恫喝したため,やむを得ざる措置としてしたものである。 原告が違法行為を行っている旨の評価を受けているのは,本件について裁判所で係争中でありながら,あたかも権利が確定したかのような言辞を用いて上記のような行動を採ったためであり,被告の通知が原因ではない。 (8) 損害額(争点(5))について(原告の主張)ア原告は,被告に対し,本件発明の出願公開後,本件発明に係る内容を記載した書面を提示して平成9年3月12日警告した。 被告製品の各モデルにつき,上記警告後登録日(平成11年1月8日)まで及び登録後の各販売実績は以下のとおりである。 (ア) デザートイーグル50AE販売開始日平成7年7月販売価格 1丁当たり1万890円警告後登録までの販売数 4万8000丁上記総販売価格 5億2272万円登録後の販売数 8万4000丁上記総販売価格 9億1476万円(イ) デザートイーグル50EAロングバレル10インチ販売開始日平成8年8月販売価格 1丁当たり1万890円警告後登録までの販売数 2万4000丁上記総販売 月販売価格 1丁当たり1万890円警告後登録までの販売数 2万4000丁上記総販売価格 2億6136万円(ウ) デザートイーグル50EAバイオハザード2モデル販売開始日平成10年1月販売価格 1丁当たり1万2540円発売から登録までの販売数 3万6000丁上記総販売価格 4億5144万円(エ) デザートイーグル50EAバイオハザード10インチカスタム販売開始日平成10年9月販売価格 1丁当たり1万4190円発売から登録までの販売数 1万8000丁上記総販売価格 2億5542万円登録後の販売数 1万8000丁上記総販売価格 2億5542万円イ上記の被告の販売実績につき,本件特許権侵害に係る補償金請求及び損害賠償請求の対象となる販売額をまとめると以下のとおりとなる。 (ア) 補償金請求対象物件販売数量 12万6000丁販売額 14億9094万円(イ) 損害賠償対象物件販売数量 10万2000丁 販売数量 12万6000丁販売額 14億9094万円(イ) 損害賠償対象物件販売数量 10万2000丁販売額 11億7018万円ウ被告製品の実施に対して受けるべき金銭の額に相当する補償金は少なくとも販売価格の19パーセントを下らないので,原告は,被告に対して,2億8327万8600円の補償金請求権を有する。 また,被告は,被告製品を販売したことにより,少なくとも販売価格の30パーセントの利益を得ており,原告は同額の損害を受けた(特許法102条2項)。したがって,原告は,被告に対して,総販売額11億7018万円の30パーセントである3億5105万4000円の損害賠償請求権を有する。 エ原告は本件訴訟の提起,遂行を弁護士に依頼したが,その費用としては,2000万円が相当である。 オ遅延損害金は,訴えの変更申立書の送達の日の翌日である平成13年3月9日から求める。 (被告の反論)争う。 第3 当裁判所の判断 1 構成要件D③の充足性(その2)まず,被告製品は,構成要件Dの「上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ」を充足するか(「空間部形成部材内におけるガス圧の低下」と「摺動部材の位置の切り換え」との関係)について判断する。 後記2で述べるとおり,当裁判所は,被告製品の「皿形弁」は,構成要件B及びDの「摺動部材」に該当しないものと解する。そこで,以下は,仮に,原告主張のとおり,被告製品の「皿形弁」が「摺動部材」に当たるとした場合に,「皿形弁」が「該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空 びDの「摺動部材」に該当しないものと解する。そこで,以下は,仮に,原告主張のとおり,被告製品の「皿形弁」が「摺動部材」に当たるとした場合に,「皿形弁」が「該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ」といえるかについて検討するものである。 (1) 構成要件D③の「ガス圧の低下に伴って」の解釈構成要件Dは,「上記摺動部材が,上記空間部形成部材内部に得られるガス圧により上記装弾室に供給された弾丸が銃身部内に移動せしめられることになる状態をとった後,該弾丸の銃身部内への移動により生じる上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ,上記スライダ部の後退及びその後の前進,及びそれに伴う上記空間部形成部材の移動が生じて,上記弾倉部からの弾丸が上記装弾室に送り込まれることになる状態をとる」と記載され,摺動部材の位置の切り換えは,空間部形成部材内の「ガス圧の低下に伴って」行われるとの構成が記載されている。 当裁判所は,本件明細書の「発明の詳細な説明」欄の記載中の本件発明の解決課題,解決手段,実施例等を参酌すると,「空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ(る)」とは,「コイルスプリングの付勢力の存在下において,空間部形成部材内のガス圧の低下を原因として摺動部材の位置が切り換えられる」と理解すべきであると判断する。その理由は,以下のとおりである。 ア構成要件D③の明確化の必要性摺動部材が空間部形成部材内のガス圧の低下に伴って切り換えられるという前記D③の構成要件が,下記の課題を解決するための構成として記載されていることは明らかである。しかし,特許請求の範囲の記載のみでは,摺動部材の位置の切 材内のガス圧の低下に伴って切り換えられるという前記D③の構成要件が,下記の課題を解決するための構成として記載されていることは明らかである。しかし,特許請求の範囲の記載のみでは,摺動部材の位置の切り換えが,どのような原理又は機序で実現されているのかが不明であり,結局,本件発明の「特許請求の範囲」の記載から,「ガス圧の低下に伴って」の意義を明確にすることができない。 したがって,本件明細書の「発明の詳細な説明」欄の記載及び図面を参酌し,これらに開示されている技術内容(これにより当事者が容易に実施し得る技術も含む。)に限定して,特許請求の範囲の記載を解釈するのが相当である。 イ本件発明の解決課題本件明細書には,「しかしながら,従来提案されている,上述の如くに蓄圧ボンベからのエアが利用されて移動するスライダが備えられた玩具銃にあっては,トリガが引かれると,先ずスライダの後退移動が行われ,それに続いて弾丸の発射が行われるようにされており,このようにスライダの移動が弾丸の発射前に行われると,弾丸の発射時に銃身部がスライダの移動による影響を受けることになって,銃身部から発射された弾丸の弾道に狂いが生じてしまう虞がある。斯かる点に鑑み,本発明は,蓄圧室が備えられ,その蓄圧室に充填されたガスが利用されて,装弾室に装填された弾丸の発射及び装弾室に弾丸を供給するための動作が行われるにあたり,装弾室に装填された弾丸の発射が行われた後に,装弾室に弾丸を供給するための動作が開始されることになるガス圧力式玩具銃を提供する。」(2頁右欄8ないし23行),「それにより,装弾室に装填された弾丸の発射が行われた後に,装弾室に弾丸を供給するための動作が開始されることになり,その結果,弾丸の発射が装弾室に弾丸を供給するための動 (2頁右欄8ないし23行),「それにより,装弾室に装填された弾丸の発射が行われた後に,装弾室に弾丸を供給するための動作が開始されることになり,その結果,弾丸の発射が装弾室に弾丸を供給するための動作の影響を受けて,発射された弾丸の弾道に狂いが生じてしまう事態の発生が回避される。」(2頁右欄50ないし3頁左欄4行),「このように銃身2から弾丸BBが発射された後に,弾丸供給用ガス通路22を通じて固定部材51内に供給される蓄圧室33からのガス圧によるスライダ部50の後退が開始されるので,弾丸BBの発射に際し,スライダ部50がその移動による影響を銃身2に及ぼすものとなることが回避され,銃身2から発射される弾丸BBの弾道に狂いが生じることが防止される。」(6頁左欄41ないし47行),「それにより,装弾室に装填された弾丸の発射が行われた後に,装弾室に弾丸を供給するための動作が開始されることになり,その結果,弾丸の発射が装弾室に弾丸を供給するための動作の影響を受けて,発射された弾丸の弾道に狂いが生じてしまう事態の発生が回避される。」(8頁左欄2ないし6行)と各記載されている。以上のとおり,本件発明の解決課題は,スライダの移動を弾丸の発射後に行わせることにより,弾丸の発射時にスライダの移動の影響により銃が振動し,弾丸の弾道に狂いが生じるのを回避することにあることが明らかである。 ウ発明の詳細な説明欄の記載等本件明細書の発明の詳細な説明欄には,本件発明の実施例の説明として,「このような中央空間部20内におけるガス圧の低下に伴って,ロッド26がコイルスプリング28の付勢力により前進するものとなり,それに伴って弁部材27が,図6に示される如くに,弾丸供給用ガス通路22から弾丸発射用ガス通路21に向けて移動せしめられる。そして ロッド26がコイルスプリング28の付勢力により前進するものとなり,それに伴って弁部材27が,図6に示される如くに,弾丸供給用ガス通路22から弾丸発射用ガス通路21に向けて移動せしめられる。そして,このように中央空間部20内におけるガス圧の低下によるロッド26の前進により弁部材27が,図7に示される如くの弾丸発射用ガス通路21を閉状態となす位置におかれるまでの間において,銃身2内に移動せしめられた弾丸BBが銃身2から発射される。」(5頁右欄49行ないし6頁左欄8行)と記載され,同記載の「ロッド26がコイルスプリング28の付勢力により前進する」及び「中央空間部20内におけるガス圧の低下によるロッド26の前進により」との記載からすると,コイルスプリング28による付勢力の存在下において,中央空間部20内におけるガス圧の低下を原因として,摺動部材の位置の切り換えが達成されるという解決手段が開示されていると理解するのが相当である。そして,本件明細書には,同記載の他に,摺動部材の位置の切り換えを実現させる解決手段についての記載はない。 エそうすると,本件発明の構成要件D③の「上記空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴って位置が切り換えられ(る)」とは,コイルスプリングによる付勢力の存在下において,空間部形成部材内におけるガス圧の低下を原因として,摺動部材の位置が切り換えられるとの意味に限定して解釈するのが相当である。 (2) 被告製品との対比ア本件共同実験の結果甲27及び乙45によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 原告及び被告は,被告製品における,弾丸BBの動き出しの時期,弾丸BBが銃口から飛び出す時期,中央空間部における圧力の変化の様子並びに皿形弁の移動開始及び移動 が認められる。 (ア) 原告及び被告は,被告製品における,弾丸BBの動き出しの時期,弾丸BBが銃口から飛び出す時期,中央空間部における圧力の変化の様子並びに皿形弁の移動開始及び移動終了時期等について明らかにするために,共同して実験(本件共同実験)を行った。 本件共同実験においては,温度を25度及び15度に,蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントに設定して,次の項目について実験をした。 なお,圧力センサーの取付位置は別紙「東京マルイデザートイーグル圧力センサー取付位置」記載のとおりである。 ① 中央空間部圧力センサー部を塞いで,発射ガス通路圧力センサーのみによってガス圧変化を測定する(以下「実験①」という。)。 ② 発射ガス通路圧力センサー部を塞いで,中央空間部圧力センサーのみによってガス圧変化を測定する。 ③ 発射ガス通路圧力センサー及び中央空間部圧力センサーの双方によって各ガス圧変化を測定する(以下「実験③」という。)。 ④ 上記③の測定条件で,弾丸BBが装弾室から発射されない状態(インナーバレルの先端から棒状のものを挿入する。)でガス圧変化を測定する。 ⑤ 上記③の測定条件で,皿形弁を固定した状態でガス圧変化を測定する。 ⑥ 上記③の測定条件で,原告が用意したスペーサーに変換してガス圧変化を測定する(以下「実験⑥」という。)。 ⑦ 上記③の測定条件で,スペーサーを除去した状態でガス圧変化を測定する(以下「実験⑦」という。)。 ⑧ 上記③の測定条件で,被告製品に交換可能なバレルアッセンブリー(チャンバー部分は無加工)を原告が用意し,それと交換してガス圧変化を測定する(以下「実験⑧」と 以下「実験⑦」という。)。 ⑧ 上記③の測定条件で,被告製品に交換可能なバレルアッセンブリー(チャンバー部分は無加工)を原告が用意し,それと交換してガス圧変化を測定する(以下「実験⑧」という。)。 ⑨ 上記⑧の測定条件で,原告が用意したスペーサーと変換してガス圧変化を測定する(以下「実験⑨」という。)。 ⑩ 上記⑧の測定条件で,スペーサーを除去した状態でガス圧変化を測定する(以下「実験⑩」という。)。 (イ) 本件共同実験の実験①の結果a 原告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,移動開始後も上昇し続け(途中で一旦わずかに低下しているが,その後再び上昇している。),皿形弁が閉鎖位置に接触する直前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,移動開始後もわずかに上昇し,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,移動開始後もわずかに上昇し,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおける 置に接触する前に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始とほぼ同時に低下し,その後わずかに上昇したが,その後低下と上昇を繰り返し,閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧の低下と皿形弁の移動開始の前後関係は不明である(皿形弁の移動開始時期が明確でない。)。 b 被告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後もわずかに上昇し,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する直前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後もわずかに上昇し,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後も上昇し,皿形弁が閉鎖位置に接触した後に低下し始めて ス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後も上昇し,皿形弁が閉鎖位置に接触した後に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前とほぼ同時にわずかに低下したが,再びわずかに上昇し,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセント及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧の低下と皿形弁の移動開始の前後関係は不明である(皿形弁の移動開始時期が明確でない。また,ガス容量を10パーセントとした場合は,ガス圧の低下の時期も正確には分からない。)。 (ウ) 本件共同実験の実験③の結果a 原告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後もわずかに上昇し,その後わずかに低下した後再び上昇し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前には低下し始めておらず,皿形弁の移動開始後もわずかに上昇し,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 は,皿形弁が移動開始する前には低下し始めておらず,皿形弁の移動開始後もわずかに上昇し,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後もおおむね上昇傾向であったが,皿形弁が閉鎖位置に接触する前には低下に転じている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧の低下と皿形弁の移動開始の前後関係は不明である(皿形弁の移動開始時期が明確でない)。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する直前にわずかに低下し,皿形弁の移動開始後から概ね低下傾向にある。 b 被告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後暫く一定の状態にあり,その後低下と上昇を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する直前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前に低下し始め,皿形弁が移動を開始した後閉鎖 触する直前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前に低下し始め,皿形弁が移動を開始した後閉鎖位置に接触する前に,一旦上昇したが,その後低下している。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した直後に低下し始めたが,その後上昇と低下を繰り返し,皿形弁が閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前に上昇を止め,上昇と低下を繰り返し,移動開始後暫くしてから低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する直前に低下し始めている。 (エ) 本件共同実験の実験⑥の結果a 原告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始と同時に低下し始めたが,その後再び上昇し(皿形弁の移動開始時のガス圧より高くなっている。),皿形弁が閉鎖位置に接触する前に再び低下し始めている。 ス圧は,皿形弁の移動開始と同時に低下し始めたが,その後再び上昇し(皿形弁の移動開始時のガス圧より高くなっている。),皿形弁が閉鎖位置に接触する前に再び低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセント及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動を開始する直前に低下し始めたが,その後再び上昇し(皿形弁の移動開始時のガス圧に近い高さまで上昇している。),皿形弁が閉鎖位置に接触する前に再び低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントとした場合のいずれにおいても,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 b 被告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始め,その後皿形弁が閉鎖位置に接触するまでに,一旦上昇したが,再び低下している。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下しておらず,移動開始のときから暫くは一定の状態であったが,その後低下し,皿形弁が閉鎖位置に接触するまでに,一旦上昇したが,再び低下している。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下しておらず,皿形弁が移動を開始した直後に低下し始め,その後皿形弁が閉鎖位置に接触 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下しておらず,皿形弁が移動を開始した直後に低下し始め,その後皿形弁が閉鎖位置に接触するまでに,一旦上昇したが,再び低下している。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントとした場合のいずれにおいても,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 (オ) 本件共同実験の実験⑦の結果a 原告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後,閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始とほぼ同時に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動を開始する前又は移動開始とほぼ同時に低下し始めている(皿形弁の移動開始時期が明確でない)。 b 被告による実験 ,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動を開始する前又は移動開始とほぼ同時に低下し始めている(皿形弁の移動開始時期が明確でない)。 b 被告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後,閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,皿形弁が移動を開始した後,閉鎖位置に接触するときに低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントとした場合のいずれにおいても,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 (カ) 本件共同実験の実験⑧の結果a 原告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始とほぼ同時に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,移動開始後暫くはほぼ一定の状態であり,閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容 力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,移動開始後暫くはほぼ一定の状態であり,閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,移動開始後暫くはほぼ一定の状態であり,閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントとした場合のいずれにおいても,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 b 被告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合及び50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始とほぼ同時に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動を開始する前又は移動開始とほぼ同時に低下し始めている(皿形弁の移動開始時期が明確でない)。 蓄圧室のガス容量を50パーセント及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 ( 蓄圧室のガス容量を50パーセント及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 (キ) 本件共同実験の実験⑨の結果a 原告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合及び50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動を開始する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始と同時に低下し始め,その後皿形弁が閉鎖位置に接触する前に一旦上昇したが再び低下している。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントとした場合のいずれにおいても,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 b 被告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始とほぼ同時に低下し始め,その後皿形弁が閉鎖位置に接触する前に一旦上昇したが再び低下している。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動を開始する直前に低下し始め,その後皿形弁が閉鎖位置に接触する前に一旦上昇したが再び低下している。 した場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動を開始する直前に低下し始め,その後皿形弁が閉鎖位置に接触する前に一旦上昇したが再び低下している。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始と同時に低下し始め,その後一旦上昇したが(皿形弁の移動開始時のガス圧の高さに近い高さまで上昇した。),皿形弁が閉鎖位置に接触する前に再び低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントとした場合のいずれにおいても,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 (ク) 本件共同実験の実験⑩の結果a 原告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧の低下と皿形弁の移動開始の前後関係は不明である(皿形弁の移動開始時期が明確でない)。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始とほぼ同時に低下し始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント及び50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス 始めている。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント及び50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始とほぼ同時に低下し始めている。 b 被告による実験(a) 温度25度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント及び10パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁の移動開始前には低下し始めておらず,移動開始後暫く上昇し,閉鎖位置に接触する前に低下し始めている。 蓄圧室のガス容量を50パーセントとした場合は,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧の低下と皿形弁の移動開始の前後関係は不明である(皿形弁の移動開始時期が明確でない)。 (b) 温度15度の場合蓄圧室のガス容量を90パーセント,50パーセント及び10パーセントとした場合のいずれにおいても,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧は,皿形弁が移動開始する前に低下し始めている。 イ被告製品における動作状況及び構造被告製品の動作状況は,前記争いのない事実のとおりである。被告製品の皿形弁は,被告製品作動状況図1の位置から被告製品作動状況図4の位置へ移動する(なお,この移動が「位置の切り換え」に当たるか否かについては当事者間に争いがある。)。 なお,被告製品の弾丸とピストンカップと可動部材で囲まれた部分を「 状況図4の位置へ移動する(なお,この移動が「位置の切り換え」に当たるか否かについては当事者間に争いがある。)。 なお,被告製品の弾丸とピストンカップと可動部材で囲まれた部分を「全中央空間部」といい,このうちの皿形弁より銃身側(前方)の部分を便宜「前方中央空間部」ということもある。 (ア) まず,被告製品の皿形弁に付されたコイルスプリングの付勢力は,後方向(銃口と反対側)に働いているから,被告製品の皿形弁の位置が切り換えられるのはコイルスプリングの付勢力に基づくものではないことは明らかである。 (イ) 次に,被告製品の皿形弁の移動が,前方中央空間部におけるガス圧の低下を原因とするものであるか否かについて検討する。 a 本件共同実験によれば,前方中央空間部におけるガス圧は,発射ガス通路圧力センサーによって計測されているので,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧が低下し始めた時期と皿形弁の移動開始時期とを対比することにより,上記因果関係の有無を判断することができる。そして,皿形弁が移動を開始する時期が,前方中央空間部におけるガス圧が低下した後であるか,又は低下と同時であれば,皿形弁の移動と前方中央空間部におけるガス圧の低下との間の因果関係は肯定する余地があるということができるが,これに対して,前方中央空間部におけるガス圧が低下する前であれば,ガス圧の低下との間の因果関係は否定されることになる。 この場合,前方中央空間部におけるガス圧が低下し始めた時期と皿形弁の移動開始時期とを正確に比較するためには,(a) 発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧を測定していること,(b) 皿形弁の移動に対して制約していないこと, 動開始時期とを正確に比較するためには,(a) 発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧を測定していること,(b) 皿形弁の移動に対して制約していないこと,(c) 弾丸BBの移動に対して制約をしていないことが必要である。そうすると,実験①,③,⑥ないし⑩のみが有効である。同実験の結果は,前記アで認定したとおりである。 b 上記実験の結果において,皿形弁の移動開始と同時又は移動開始前には発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧が,低下を始めていないものは次のとおりである。 すなわち,温度25度における実験のうち,実験①の原被告の実験のすべてのもの,実験③のうち原告実験のすべて並びに被告実験の蓄圧室のガス容量を90パーセント及び10パーセントとしたもの,実験⑥のうち被告実験の蓄圧室のガス容量を50パーセント及び10パーセントとしたもの,実験⑦のうち原告実験の蓄圧室のガス容量を90パーセント及び10パーセントとしたもの並びに被告実験のすべてのもの,実験⑧のうち原告実験の蓄圧室のガス容量を50パーセント及び10パーセントとしたもの,実験⑩のうち被告実験の蓄圧室のガス容量を90パーセント及び10パーセントとしたものである。 したがって,上記の各場合には,皿形弁の移動と前方中央空間部におけるガス圧の低下との間に因果関係がないことは明らかである。 c このように,被告製品の皿形弁は,実験条件によっては,前方中央空間部におけるガス圧の低下と関係なく,後方側から銃口側へ移動するのであるから,被告製品は,皿形弁が前方中央空間部におけるガス圧の低下を起因として移動するという構造を有していないことになり,被 中央空間部におけるガス圧の低下と関係なく,後方側から銃口側へ移動するのであるから,被告製品は,皿形弁が前方中央空間部におけるガス圧の低下を起因として移動するという構造を有していないことになり,被告製品において,皿形弁の移動と前方中央空間部のガス圧の低下との間に因果関係を認めることはできないというべきである。 d この点,本件共同実験の結果の中には,発射ガス通路圧力センサーにおけるガス圧の低下が皿形弁の移動開始に先行する場合が存在する(特に温度15度における実験)。しかし,被告製品における皿形弁が移動を開始する時期が,前方中央空間部におけるガス圧が低下した後,又は低下と同時でないものが多数存在する。そして,皿形弁の移動が,条件によって,別個の原理で移動すると考えるのは不自然である。 したがって,被告製品においては,すべての場合に,皿形弁は前方中央空間部のガス圧の低下と無関係の原因及び機序によって移動していると解するのが合理的である。 (ウ) さらに,前記争いない事実,前記(イ)で認定した事実及び証拠(乙1,2)によれば,被告製品においては,蓄圧室から全中央空間部へ流れ込んだガスが当初から皿形弁の前方側と後方側の双方へ流れ込むことができる構造であること,皿形弁は,コイルスプリングにより,後方への付勢力が働いていること,皿形弁は,コイルスプリングで支えられている外は,比較的自由な動きが可能であることが認められ,これらの事実を総合すれば,被告製品において,皿形弁が後方から前方へ移動するのは,①蓄圧室からの高圧ガスによって,全中央空間部内にガスの流れが生じること,②全中央空間部のうちの,皿形弁より後方部分(ピストンカップ側の部分)のガス圧が,皿形弁より前方部分(中間部形成部材内)のガ ,①蓄圧室からの高圧ガスによって,全中央空間部内にガスの流れが生じること,②全中央空間部のうちの,皿形弁より後方部分(ピストンカップ側の部分)のガス圧が,皿形弁より前方部分(中間部形成部材内)のガス圧よりも高くなることの双方又は一方を原因とするものであると推測される(なお,上記の場合,前方中央空間部におけるガス圧が低下することは必ずしも必要ではない。)。 (3) 小括以上のとおり,構成要件D③における,前方中央空間部の「ガス圧の低下に伴って」とは,コイルスプリングの付勢力の存在下において,前方中央空間部の「ガス圧の低下を原因として」と解すべきであるのに対し,被告製品における,皿形弁の位置の移動は,①全中央空間部内にガスの流れが生じること,②全中央空間部のうちの,皿形弁より後方部分(ピストンカップ側の部分)のガス圧が,皿形弁より前方部分(前方中央空間部)のガス圧よりも高くなることの双方又は一方を原因とするものであって,コイルスプリングの付勢力に基づくものではなく,また,前方中央空間部におけるガス圧の低下を原因とするものでもない点において相違する。 したがって,被告製品の構成は,構成要件D③を充足しない。 2 被告製品は,「摺動部材」を有するか(争点(1)ア及びイ(ア))について(1) 構成要件B及びDの「摺動部材」の意義ア本件全証拠によるも,本件明細書の特許請求の範囲欄の「摺動部材」の内容を確定することはできない。 「摺」という語には,「こする」という意味があり(角川書店「漢和中辞典」),本件明細書の記載及び図面に照らして解釈すると,本件明細書の構成要件B及びDにおける「摺動部材」は,「他の部材と接触してこすれながら動く部材」という意味と推測される あり(角川書店「漢和中辞典」),本件明細書の記載及び図面に照らして解釈すると,本件明細書の構成要件B及びDにおける「摺動部材」は,「他の部材と接触してこすれながら動く部材」という意味と推測される(なお,「摺る(する)」という語は,①印刷する,②版木などに墨や絵の具などをつけ,紙などに当て,こすって写し取る,③版木に押し当て,染料で色をつけて模様を染め出す,という意味を有する(三省堂「大辞林」)が,上記のいずれの意味も,本件発明の技術内容とは無関係である。また,甲8,9,11(実用新案公報,公開実用新案公報)には,「摺動」という言葉が記載されているが,上記各公報によっても,「摺動」の意味を明らかにすることはできない。)。 イそこで,本件明細書の「発明の詳細な説明」欄を参酌して,「摺動部材」の意味を解釈することとする。本件発明の実施例においては,「ガス通路制御部25は,弾丸供給用ガス通路22から中央空間部20を貫通して弾丸発射用ガス通路21内に伸びるロッド26と,ロッド26に嵌号せしめられて中央空間部20内に位置する弁部材27とを含んで構成されている。そして,ガス通路制御部25におけるロッド26は,ガス通路制御部25の前端部を含んでおり,弾丸供給用ガス通路22内に収容されたコイルスプリング28によって,装弾室4a側に向けて付勢されている。ガス通路制御部25における弁部材27は,環状弾性シール部材を形成しており,ロッド26の移動に応じて弾丸発射用ガス通路21と弾丸供給用ガス通路22との間を移動せしめられて,それら弾丸発射用ガス通路21及び弾丸供給用ガス通路22を開閉制御するものとされている。」(3頁右欄39行ないし4頁左欄2行),「ガス通路制御部25を構成するロッド26は,例えば,図3のA,B及びCに示される如く,断面形状が 及び弾丸供給用ガス通路22を開閉制御するものとされている。」(3頁右欄39行ないし4頁左欄2行),「ガス通路制御部25を構成するロッド26は,例えば,図3のA,B及びCに示される如く,断面形状が三叉形状とされた後端部分26aと,本体部分26bに嵌合せしめられた弁部材27と,半球状の先端部が設けられた中実棒とされる本体部分26bとを有したものとされる。そして,本体部分26bが後端部分26aから装弾室4aに向けて直線的に伸びるものとされて,弾丸発射用ガス通路21内に配されるとともに,後端部分26aが弾丸供給用ガス通路22内に配され,弾丸発射用ガス通路21内に配された本体部分26bにあっては,その周囲に,弾丸発射用ガス通路21の内面との間の空隙を成す外周溝が形成される。」(4頁左欄12ないし23行),「斯かるコイルスプリング28の付勢力に抗する方向に押圧されるロッド26を有したガス通路制御部25は,可動部材54内に摺動自在に配された摺動部材を形成している。」(5頁左欄23ないし26行),「このような中央空間部20内におけるガス圧の低下に伴って,ロッド26がコイルスプリング28の付勢力により前進するものとなり,それに伴って弁部材27が,図6に示される如くに,弾丸供給用ガス通路22から弾丸発射用ガス通路21に向けて移動せしめられる。そして,このような中央空間部20内におけるガス圧の低下によるロッド26の前進により弁部材27が,図7に示される如くの弾丸発射用ガス通路21を閉状態となす位置におかれるまでの間において,銃身2内に移動せしめられた弾丸BBが銃身2から発射される。」(5頁右欄49行ないし6頁左欄8行)と記載されている。 ウそうすると,構成要件B及びD①の「摺動部材」とは,上記各記載及び各図面に参酌するならば,実施例における 身2から発射される。」(5頁右欄49行ないし6頁左欄8行)と記載されている。 ウそうすると,構成要件B及びD①の「摺動部材」とは,上記各記載及び各図面に参酌するならば,実施例におけるガス通路制御部25(すなわち,ロッド26及びこれに嵌合せしめられた弁部材27)のように,「他の部材と接触してこすれながら移動する部材」を指すと解するのが相当である。 (2) 被告製品との対比,前記争いのない事実及び証拠(乙1,2)によれば,被告製品の皿形弁は,弾丸発射用ガス通路を開状態から閉状態にする方向に,又はその逆方向に移動するが,同移動の際に他の部材と接触し,こすれることはない。 したがって,被告製品の皿形弁は,本件発明の構成要件B及びD①の「摺動部材」に該当しないというべきである。 3 したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官飯村敏明裁判官佐野信裁判官谷有恒は,転補につき署名押印できない。 裁判長裁判官飯村敏明別紙物件目録別紙図に示され,以下の構成を有する自動弾丸供給機構付玩具銃(商品名「デザートイーグル」。但し,①デザートイーグル50AE,②デザートイーグル50AEロングバレル10インチ,③デザートイーグル50AEバイオハザード2モデル,④デザートイーグル50AEバイオハザード10インチカスタムの4モデルがあり,①及び③は銃全長約25センチメートル,②及び④は銃全長が約35センチメートルである。)a グリップ ード2モデル,④デザートイーグル50AEバイオハザード10インチカスタムの4モデルがあり,①及び③は銃全長約25センチメートル,②及び④は銃全長が約35センチメートルである。)a グリップ部29内に配される弾倉部36,b 蓄圧室37と,蓄圧室37から連結されたガス通路38,c 銃身部12の後端に設けられ,弾倉部36における一端の近傍に配置される装弾室39,d トリガー16の操作に連動してガス通路38を開閉するバルブ32,e 銃身部12に沿って移動可能なスライダ1,f スライダ1と一体的に移動する受圧部41,g 装弾室39と受圧部41との間に配された可動部材3,h 可動部材3内に移動可能に設けられた皿形弁6, (図面の説明)図は,グリップ部29に,弾倉部36と蓄圧室37を有するマガジンケース34を装着した状態の縦断面図である。 (符号の説明)1=スライダ,3=可動部材,5=コイルスプリング,6=皿形弁,7=止め輪,8=ピストンカップ,10=銃身,12=銃身部,16=トリガー,21=シアー,26=ハンマー,29=グリップ部,32=バルブ,34=マガジンケース,35=弾丸,36=弾倉部,37=蓄圧室,38=本件共同実験④(弾丸BBの移動を抑止したもの)及び⑤(皿形弁を固定したもの)の結果から明らかなように,弾丸BBの移動が阻止されると空間部形成部材内のガス圧の低下は生じず,また,同ガス圧の低下は,摺動部材の動作とは関連しない弾丸BBのインナーバレル内への移動があって認められるものであり,被告製品の皿形弁は弾丸BBのインナーバレル内への移動により生じる空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴ってその位置が切り換えられていることは明らかである。 ガス通路,39=装弾室,41=受圧部,43=銃口 別紙謝 ンナーバレル内への移動により生じる空間部形成部材内におけるガス圧の低下に伴ってその位置が切り換えられていることは明らかである。 ガス通路,39=装弾室,41=受圧部,43=銃口 別紙謝罪広告目録 1 広告の内容「デザートイーグル」の特許権侵害についてのお詫び当社の「デザートイーグル」について,先般当社は,特許権者であるウエスタン・アームス社からの特許権侵害の警告は健全な商取引に対する故無き圧力・中傷であって,取引秩序を破壊するものである旨を当社の取引各社に通知しました。 しかし,当社の「デザートイーグル」はウエスタン・アームス社の特許権を侵害する商品であって,同社が特許権侵害を警告することは正当な行為であり,当社の取引先に対する上記の通知によって同社の営業上の信用を害し,多大な御迷惑をおかけしましたので,ここに深く陳謝致します。 平成年月日 東京都足立区(以下省略)株式会社東京マルイ 2 掲載の要領(1) 使用活字の大きさ課題,会社名,代表取締役の指名 2倍活字その他(本文,年月日,住所,代表取締役の文字)  1.5倍活字(2) 掲載の新聞朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,産経新聞,日本経済新聞の各全国版(3) 掲載箇所5㎝×2段

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る