- 1 -平成31年2月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成28年(ワ)第5544号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成30年11月26日判決原告株式会社キャン 同訴訟代理人弁護士小 西 憲太郎同石堂一仁同白岩健介被告ぴゅあすまいる合同会社(以下「被告会社」という。) 被告 P1上記2名訴訟代理人弁護士嶋津裕介被告 P2同訴訟代理人弁護士松村廣治同大黒光大 主文 1 被告P2は,原告に対し,10万円及びこれに対する平成28年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告P2は,原告に対し,6万2000円及びこれに対する平成28年12月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告の被告会社及び被告P1に対する請求並びに被告P2に対するその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用のうち,原告と被告P2との間に生じた費用についてはこれを100分し,その99を原告の負担とし,その余を被告P2の負担とし,原告と被告会社及び被告P1との間に生じた費用については原告の負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 - 2 - 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告に対し,連帯して,1億円及びこれに対する被告会社及び被告P1については 第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 - 2 - 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告に対し,連帯して,1億円及びこれに対する被告会社及び被告P1については平成28年7月1日から,被告P2については同年7月27日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告P2は,原告に対し,21万2500円及びうち6000円に対する平成24年3月17日から,うち6000円に対する同年4月17日から,うち1万2000円に対する同年6月17日から,うち2万4000円に対する同年7月17日から,うち4万5000円に対する同年8月17日から,うち3万1000円に対する同年9月17日から,うち3万3000円に対する同年10月17日から, うち2万8500円に対する同年11月17日から,うち2万7000円に対する平成25年1月から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告P1は,原告に対し,1万7500円及びうち1500円に対する平成24年4月17日から,うち9000円に対する同年5月17日から,うち1500円に対する同年6月17日から,うち5500円に対する同年8月17日から, それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,原告が,被告らに対し,次の各請求をした事案である。 (1) 被告らに対する共通する請求(アとイは選択的併合と解される。) ア被告P1及び被告P2が以下の行為を行い,被告会社がそれらを利用して利益を受け,それらによって原告が以下の損害を受けたことを理由として,民法709条,719条1項前段,後段又は2項(被告会社について民法709条の責任が認められない場合には,被告P2の らを利用して利益を受け,それらによって原告が以下の損害を受けたことを理由として,民法709条,719条1項前段,後段又は2項(被告会社について民法709条の責任が認められない場合には,被告P2の行為につき民法715条の適用又は類推適用,被告P1の行為につき同条又は会社法600条の適用又は類推適用)に基づき, 連帯して1億円及びこれに対する不法行為の後である本件訴状送達日の翌日(被告- 3 -P1及び被告会社は平成28年7月1日,被告P2は同月27日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (ア) 原告の従業員に対する退職働きかけ行為,原告の顧客等に対する信用毀損行為,原告の顧客に対する被告会社への利用勧誘行為等の一連の不法行為をしたことによる7891万8000円の営業上の損害 (イ) 原告の顧客等に対する信用毀損行為をしたことによる1000万円の無形損害(ウ) 弁護士費用相当額1108万2000円の損害イ上記アのうち原告の顧客等に対する信用毀損行為が不正競争(不正競争防止法2条1項15号。ただし,行為時の規定は,平成27年法律第54号による 改正前の同法2条1項14号)に該当することを理由として,同法4条に基づき,連帯して上記アと同じ損害の賠償及びこれに対する不正競争行為の後である上記アと同じ本件訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (2) 被告P2のみに対する請求 被告P2が給与の支払要件を満たさないにもかかわらず給与の支払を受けたことを理由として,不当利得返還請求権に基づき,上記給与21万2500円の返還及びこれに対する各給与の支払日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による民法704条前段所定の利息の 与の支払を受けたことを理由として,不当利得返還請求権に基づき,上記給与21万2500円の返還及びこれに対する各給与の支払日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による民法704条前段所定の利息の支払を求める。 (3) 被告P1のみに対する請求 P3が給与の支払要件を満たさないにもかかわらず給与の支払を受け,それを被告P1が受領したことを理由として,不当利得返還請求権に基づき,上記給与1万7500円の返還及びこれに対する各給与の支払日(被告P1の受領日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による民法704条前段所定の利息の支払を求める。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠又は弁論の全趣旨により容- 4 -易に認められる事実。なお,本判決における書証の掲記は,枝番号の全てを含むときはその記載を省略する。)(1) 当事者等ア原告は,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(改正前の法律の題名は障害者自立支援法。以下「障害者総合支援法」という。)に 基づく障害福祉サービス事業,児童福祉法に基づく障害児通所支援事業等を目的とする株式会社である(甲1)。 イ原告の代表取締役はP4(以下「原告代表者」という。)であり,取締役のP5は,原告代表者の妻である(甲1)。 ウ被告会社は,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための 法律に基づく障害福祉サービス事業,児童福祉法に基づく障害児通所支援事業等を目的とする合同会社である(甲2)。 エ被告P1は,平成23年7月1日から平成25年6月30日まで,原告において従業員として勤務していた。そして,被告P1は,同年7月4日,被告会社を設立し,その代表社員兼業務執行社員の地位にある(甲2,83)。 オ被 1日から平成25年6月30日まで,原告において従業員として勤務していた。そして,被告P1は,同年7月4日,被告会社を設立し,その代表社員兼業務執行社員の地位にある(甲2,83)。 オ被告P2は,平成23年9月頃,原告においてアルバイトとして勤務するようになり,同年11月7日,原告との間で正社員として勤務する雇用契約を締結し,平成25年7月6日,原告を退職した。そして,被告P2は,同年9月1日から,被告会社において従業員として勤務している(甲82)。 (2) 原告の事業内容と被告P1及び被告P2の勤務状況 ア原告は平成22年5月13日に設立され,平成23年6月20日,大阪府知事から,障害者自立支援法に基づき「児童デイサービス」について指定障害福祉サービス事業者の指定を受け,その後,堺市<以下略>において,事業所「キャン・デイ」を開設した(甲1,107)。 イ原告は,平成23年11月22日,大阪府知事から,障害者自立支援法 に基づき「居宅介護,同行援護」について指定障害福祉サービス事業者の指定を受- 5 -け,その後,堺市<以下略>(原告の当時の本社所在地)において,事業所「キャン・ドゥ」を開設した。また,同年12月1日,同事業所について,障害者自立支援法に基づく堺市の地域生活支援事業たる移動支援事業について,移動支援事業者の登録が認められた。なお,キャン・ドゥの事業所は,後に堺市<以下略>(現在の原告の本社所在地)に移転された(甲10,13,14,61)。 ウ原告は,児童福祉法に基づき指定障害児通所支援事業者の指定を受け(甲11),平成24年5月1日,堺市において,放課後等デイサービス事業所「キャン・ディア」を開設した。 エキャン・デイについては,平成24年4月1日以降,児童発達支 児通所支援事業者の指定を受け(甲11),平成24年5月1日,堺市において,放課後等デイサービス事業所「キャン・ディア」を開設した。 エキャン・デイについては,平成24年4月1日以降,児童発達支援及び放課後等デイサービスに係る指定を受けたものとみなされていたところ(障がい者 制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律附則22条1項参照),原告は,同年11月28日,キャン・デイについて,堺市長から,児童福祉法に基づき「放課後等デイサービス」について指定障害児通所支援事業者の指定を受け,同事業を行った。 なお,キャン・デイやキャン・ディアの利用者の中には,キャン・ドゥを利用している者もいた(甲29)。 オ原告は,ほかにも就労継続支援事業の事業所「キャン」,就労移行支援事業の事業所「金魚」を開設していた。また,キャン・デイやキャン・ディアは,児童発達支援も事業としていた。 カ被告P1は,キャン・デイが開設された平成23年7月1日から平成25年4月30日まで,キャン・デイの管理者兼児童発達支援管理責任者(以下「管理者」という。)を務めていた。 なお,キャン・ディアの管理者は,P6であった。 キ被告P2は,元々キャン・デイの業務に従事していたところ,キャン・ ドゥが開設された平成23年12月1日以降,その管理者兼サービス提供責任者- 6 -(これについても,以下「管理者」という。)を務めていた。もっとも,被告P2は,同日以降もキャン・デイの業務を担当し,キャン・ディアが開設された後は,その業務も担当していた(甲82,丙1ないし10,16,被告P2供述)。 (3) 被告会社の事業開始と原 とも,被告P2は,同日以降もキャン・デイの業務を担当し,キャン・ディアが開設された後は,その業務も担当していた(甲82,丙1ないし10,16,被告P2供述)。 (3) 被告会社の事業開始と原告の事業の帰趨ア被告P1は,平成25年5月中旬,原告に対し,原告を退職することを 伝え,同年6月30日をもって退職する旨の退職届を提出した(乙32)。 イ被告P2は,同年5月30日,原告に対し,同年7月31日をもって原告を退職する旨の退職届を提出した(甲31)。なお,実際の退職日は同月6日であった。 ウ被告P1は,同月4日,被告会社を設立し,その代表社員・業務執行社 員となった(甲1)。 エ原告は,同年8月22日,堺市<以下略>に所在している2階建ての建物を,「障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業用」として賃借使用するために,賃借した(なお,入居者の商号・名称・営業種目・職業の欄には,「キャン・ステイ」と明記されている。)。なお,原告は平成23年2月頃から,上記場 所に事業所を開設することを考えており,平成25年7月には建物の設計に向けた準備を進めていた(甲17ないし19,56)。 オ被告会社は,同年8月29日,堺市長から,児童福祉法に基づき「放課後等児童デイサービス,児童発達支援」について指定障害児通所支援事業者の指定を受け,同年9月1日,堺市<以下略>において,児童発達支援事業所・放課後等 デイサービス事業所「すまいるガーデン」を開設した(乙1,2)。 カ放課後等デイサービス事業所であるキャン・デイは,元々,堺市<以下略>に開設されていたが,平成26年5月1日,すまいるガーデンから直線距離にして数百メートル程度離れている堺市<以下略>に移転された。また,同じ土地上の隣の建物に るキャン・デイは,元々,堺市<以下略>に開設されていたが,平成26年5月1日,すまいるガーデンから直線距離にして数百メートル程度離れている堺市<以下略>に移転された。また,同じ土地上の隣の建物に短期入所施設「キャン・ステイ」が開設された(乙7)。 キ原告は,同年6月2日,堺市長に対し,キャン・ドゥについて,支援体- 7 -制が不十分なため,同年5月30日に居宅介護,重度訪問介護及び同行援護事業並びに移動支援事業を廃止したことを届け出た。なお,その時点でキャン・ドゥの利用者はいなかった。 また,原告は,同年6月2日,堺市長に対し,キャン・ディアについて,児童発達支援管理者及び指導員の退職で要員補充が難しく,利用者に適切な支援ができな いため,同年5月末に児童発達支援事業を廃止したことを届け出た。なお,その時点でのキャン・ディアの利用者は,キャン・デイと利用契約を交わした(甲10,11)。 ク現在,原告は,キャン・デイのほか,少なくともキャン・ステイを運営している。他方,現在,被告会社は,すまいるガーデンのほか,少なくとも児童発 達支援事業所・放課後等デイサービス事業所「ぴゅあガーデン」を運営している(甲106)。 (4) 原告による移動支援費及び居宅介護費の一部返還原告は,キャン・ドゥにおいて移動支援や居宅介護を行ったとして,堺市から移動支援費及び居宅介護費の支給を受けていたが,平成25年6月21日,堺市長 に対し,支給要件の不適合を理由にその一部を自主返還することを申し出て,返還した(甲22,23)。 第3 当事者の主張原告の主張は別紙「原告の主張(請求の原因等)」記載のとおりであり,被告P1及び被告会社の認否・主張は別紙「被告P1及び被告会社の認否・反論」記載のと おり 23)。 第3 当事者の主張原告の主張は別紙「原告の主張(請求の原因等)」記載のとおりであり,被告P1及び被告会社の認否・主張は別紙「被告P1及び被告会社の認否・反論」記載のと おりであり,被告P2の認否・主張は別紙「被告P2の認否・反論」記載のとおりである。 前記第2の1記載のとおり,原告の請求は,①被告らに対し,共同不法行為等に基づき,営業上の損害,無形損害及び弁護士費用相当の損害の賠償請求等をするもの,②被告らに対し,不正競争防止法4条に基づき,同じ損害の賠償請求等をする もの,③被告P2及び被告P1それぞれに対し,不当利得返還請求権に基づき,支- 8 -払った給与の返還請求等をするものである。 このうち①及び②については,原告が主張する被告P1又は被告P2の行為(原告の従業員に対する退職働きかけ行為,原告の顧客等に対する信用毀損行為,原告の顧客に対する被告会社への利用勧誘行為等)の有無や,その違法性の有無,原告の損害及び因果関係の有無,共同不法行為の成否等が争点となる。 また,③の請求については,給与の支払要件を満たしていなかったかということとの関係で,原告と被告P2及びP3との間でどのような場合に「移動支援時給」等を支払う旨合意されたか等が争点となる。 第4 当裁判所の判断 1 まず,被告らの共同不法行為等に基づく営業上の損害の賠償請求について検 討する。この請求に係る請求の原因は,別紙「原告の主張(請求の原因等)」の第1の1ないし11(1)及び(3)記載のとおりであり,原告は,その2ないし9で主張されている各行為が不法行為に該当することを前提として,それを一連ものと評価すべきであると主張しているものと解される。そこで,まず,その各行為が不法行為に該当するかについて,順番に検討して 9で主張されている各行為が不法行為に該当することを前提として,それを一連ものと評価すべきであると主張しているものと解される。そこで,まず,その各行為が不法行為に該当するかについて,順番に検討していくこととし,必要に応じて原告主張の各 行為と原告主張の営業上の損害との間の因果関係の有無についても検討を加えることとする。 2 事実関係前提事実に加え,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1) 原告では,平成25年当時,本社事務所において原告代表者,P5及びP 7により事務が執られる(甲66ないし69の別紙)ほか,「キャン・デイ」及び「キャン・ディア」において障害児のための放課後等デイサービス事業を行い,「キャン・ドゥ」において居宅介護等の事業を行っていた。平成25年3月のキャン・デイ及びキャン・ディアのシフト表では,それらの指導員として被告P1,被告P2のほか,P8,P9,P10,P11,P12,P13,P14,P15,P7, P16が挙げられており,送迎バスのドライバーとしてP17,P18,P19,- 9 -P20が挙げられていた(丙4)。 このうち被告P1は,長男が「金魚」に通所していた縁で,平成23年7月からキャン・デイに勤務するようになり,キャン・デイの管理者を務めていた(乙32)。 (2) 上記の原告の従業員のうち,P16は,平成25年3月に入社したばかりであったが,同年4月に退職した(甲45)。また,P13は,それ以前から原告 で勤務していたが,同じく同年4月に退職した(乙32,弁論の全趣旨)。 (3) 被告P1は,平成25年5月1日,原告が新たに開設した特定相談支援及び障害児相談支援事業の事業所「キャン・ナビ相談支援センター」の相談支援専門員として配属された(乙3 ,弁論の全趣旨)。 (3) 被告P1は,平成25年5月1日,原告が新たに開設した特定相談支援及び障害児相談支援事業の事業所「キャン・ナビ相談支援センター」の相談支援専門員として配属された(乙32)。そのため,原告は,新たにP8を雇用して被告P1の後任のキャン・デイの管理者とした。また,原告は,同年5月又は6月,キャ ン・ディアの管理者として,P21を雇用してP6の後任とした。 (4) キャン・ドゥについては,被告P2を管理者としつつ,同被告はキャン・デイ及びキャン・ディアの業務も行っていた。キャン・ドゥでは,平成23年11月の指定申請時には被告P2ほか10人を非常勤の従業者として申請した(甲14,15)が,その中には従業者として働いていない者が含まれており(丙11,13, 16,弁論の全趣旨),実際には,被告P2のほか,P14,P6,P3らキャン・デイ及びキャン・ディアの職員や,P22ら他の事業所と兼務する者がヘルパーとして業務に当たっていた(甲24ないし28,105)。 (5) 被告P1は,遅くとも平成25年5月までには,独立して会社を設立し,放課後等デイサービス事業所を開設しようと考え,そのための準備を始めた。そし て,同月中旬,原告に対し,退職することを伝え,同年6月30日をもって退職する旨の退職届を提出した。 (6) 被告P2は,同年5月22日,大阪府福祉部障がい福祉室が堺市民会館で開催した「平成25年度障がい者総合支援制度における指定事業者・施設集団指導」に出席した。そこでは,資料(丙14)が配布され,その「指定取消し等事 業者等一覧」の中に,「管理者及びサービス提供責任者が専従できないことを十分予- 10 -見しながら指定申請を行い,不正の手段により指定を受けた」事業者の例が記載 れ,その「指定取消し等事 業者等一覧」の中に,「管理者及びサービス提供責任者が専従できないことを十分予- 10 -見しながら指定申請を行い,不正の手段により指定を受けた」事業者の例が記載されていたほか,後記12(1)スのとおり,介護給付費を不正に請求して受領した事業者等の例が記載されていた。 被告P2は,この後の同月30日,原告の本社事務所において,原告代表者に対し,同年7月31日をもって退職する旨の退職届を提出した。そこでは,退職の理 由として,「一身上の都合と,従事する事への身の危険を感じましたので」と記載したほか,その宛名を「株式会社キャン社長 P4へ」と記載し,さらに,退職届を「FUCKYOU」と記載するととともに,8個の安全ピンが取り付けられた封筒に入れており(甲31の1,2),「ヒヤリハット報告書」として,「会議や自ら調べた時に違法行為だと気づいた時。H25年になってから本社に詰めたが,バカな 答えしか返ってこなかった。」,「告発もしくは潰れてしまって下さい。(さらに,似顔絵の絵文字と共に,「Fuck」という文字が記載されている。)」等の記載をしたものを添付した(甲31の3)。なお,後の同年6月10日に,被告P2は,このときにP5に傷害を負わせたとの被疑事実によって逮捕され,勾留されたが,同月25日にP5との間で示談書を交わし,その後,不起訴処分となった(甲32。なお, 被告P2はこの被疑事実を否認している。)。 また,このとき被告P2は,原告の本社事務所においてP7に本件書面(甲8)を8枚作成させ,その後,当時のキャン・ドゥの利用者であった6名から8名に送付した(甲69,丙16,被告P2供述,弁論の全趣旨)。 被告P2は,実際には同年7月6日に退職したが,原告は,キャン・ドゥについ せ,その後,当時のキャン・ドゥの利用者であった6名から8名に送付した(甲69,丙16,被告P2供述,弁論の全趣旨)。 被告P2は,実際には同年7月6日に退職したが,原告は,キャン・ドゥについ て,同年7月26日,堺市長に対し,キャン・ドゥの管理者を同月16日に被告P2からP23に変更したことを届け出た(甲12,60)。 (7) 被告P1は,同年6月17日,被告会社の名義で,堺市<以下略>に所在している2階建ての建物を,「障がい福祉サービス事業等」として賃借使用するために,賃借した(乙8)。 被告P1は,同月は概ね有給休暇を取得していたが,同月19日及び同月20日,- 11 -キャン・デイ又はキャン・ディアの事務所から,原告の事業所の利用者に対し,退職の挨拶の電話をかけた。なお,被告P1が作成し,P5に原告の事業所の利用者への配布を依頼した「キャンディ・キャンディアをご利用の皆様」と題する書面(乙6)には,退職後のことは何ら記載されていない。 また,被告P1は,同月中に,エスコープ大阪等の同業者に対し,退職の挨拶を 記載した書面(甲78)を送付した(なお,これが原告の事業所の利用者に配布されたことを認めるに足りる証拠はない。)。被告P1は,この書面に,「退職後は,児童発達支援・放課後等デイサービス事業所『すまいるガーデン』を●(省略)●にて開設させていただく予定でございます。準備が整いましたら改めてご挨拶させていただく所存でございます。」と記載した(甲78,乙6,32)。 (8) 被告P1は,同月30日,原告を退職した。また,ほぼ同じ頃に,P14,P15,P17及びP19も原告を退職した。なお,P14は被告P1の妹,P15はP14の友達,P17は被告P1の夫の元上司,P19は被告P1の夫の元部下で 告を退職した。また,ほぼ同じ頃に,P14,P15,P17及びP19も原告を退職した。なお,P14は被告P1の妹,P15はP14の友達,P17は被告P1の夫の元上司,P19は被告P1の夫の元部下であった(乙32)。 (9) 被告P1は,同年7月4日,被告会社を設立し,その代表社員兼業務執行 社員となった(社員は被告P1だけである。)。なお,同社の目的には,原告の目的と共通する部分が含まれていた(甲1,2)。 その後,被告P1は,被告会社の代表者として,同月中旬頃までには,指定障害児通所支援事業者の指定に係る堺市との事前協議を済ませ,同月30日,堺市長に対し,その指定の申請手続をし,同年8月29日,堺市長からその指定を受けた (乙1,2,被告P1供述)。 上記事前協議に当たっては,事前協議書等の書類の提出が必要とされており,事前協議書には,事業の概要,事業所(施設等)の概要,人員配置の状況(サービス提供時間,各職種ごとに常勤と非常勤の人数等)を記載すべきものとされており,被告P1はこれらの書類に必要事項を記載した。 また,上記指定の申請に当たっては指定申請書等の提出が必要とされており,そ- 12 -こでは,従業者の勤務体制及び勤務形態等を明記するとともに,組織体制や事業計画等を明らかにする必要があり,事業計画の内容として,従業者の予定人員に加え,利用者の推定数及び通常の事業地域内外比率を記載することとされており,被告P1はこれらの書類に必要事項を記載した(甲187ないし193,被告P1供述)。 (10) 被告会社は,同年9月1日,堺市<以下略>において,児童発達支援事 業所・放課後等デイサービス事業所「すまいるガーデン」を開設した。なお,そこはその当時,堺市<以下略>にあった被告P1の自宅に近かった(被 ,同年9月1日,堺市<以下略>において,児童発達支援事 業所・放課後等デイサービス事業所「すまいるガーデン」を開設した。なお,そこはその当時,堺市<以下略>にあった被告P1の自宅に近かった(被告P1供述,弁論の全趣旨)。 すまいるガーデンの管理者は被告P1が務め,開設当初の従業員は7名いた。そのうち常勤の従業員は,原告の元従業員であるP14,P15及び被告P2であり, 非常勤の従業員は原告の元従業員であるP17のほか,3名いたが,その3名は原告の元従業員ではなかった(なお,P14らとほぼ同じ頃に原告を退職したP19は,被告会社に就職していない。)。 また,上記開設当初,すまいるガーデンの利用者は少なくとも3名おり(別紙「児童氏名一覧表」記載の児童3番,児童4番及び児童37番),いずれも原告の事 業所を利用していた者であった。なお,被告P1は,すまいるガーデンの開設まで,特段の宣伝広告はしなかった(被告P1供述,P24証言)。 その後程なくして,原告の事業所の元利用者である児童12番,児童33番等が利用を始め,最終的には,原告の事業所の元利用者のうち別紙「利用終了児童一覧表」の「被告利用」欄に「○」が付された児童(合計25名)がすまいるガーデン を利用するに至り,すまいるガーデンの利用者には原告の事業所の元利用者でない者もいたものの,原告の事業所の元利用者が相当程度の割合を占めていた。なお,すまいるガーデンの事業の実施地域は堺市全域であり,利用者の住所も堺市<以下略>に限定されていなかった(被告P1供述,P25証言,P26証言)。 (11) 堺市<以下略>には放課後等デイサービスの事業所が平成26年2月の 時点で8か所,平成27年2月の時点で12か所あった。 - 13 -放課後等デイサービス事業所 P26証言)。 (11) 堺市<以下略>には放課後等デイサービスの事業所が平成26年2月の 時点で8か所,平成27年2月の時点で12か所あった。 - 13 -放課後等デイサービス事業所であるキャン・デイは,元々,堺市<以下略>に開設されていたが,平成26年5月1日,すまいるガーデンから直線距離にして数百メートル程度離れている堺市<以下略>に移転された。また,同じ土地上の隣の建物に短期入所施設「キャン・ステイ」が開設された(乙7)。 原告は,同年6月2日,堺市長に対し,キャン・ドゥについて,支援体制が不十 分なため,同年5月30日に居宅介護,重度訪問介護及び同行援護事業並びに移動支援事業を廃止したことを届け出た。なお,その時点でキャン・ドゥの利用者はいなかった。 また,原告は,同年6月2日,堺市長に対し,キャン・ディアについて,児童発達支援管理者及び指導員の退職で要員補充が難しく,利用者に適切な支援ができな いため,同年5月末に児童発達支援事業を廃止したことを届け出た。なお,その時点でのキャン・ディアの利用者は,キャン・デイと利用契約を交わした(甲10,11)。 3 被告P1と近しい原告の従業員の雇用関係解消行為について(1) 原告は,被告P1がP14ら近しい関係にある原告の従業員に働きかけ, 同人らの一斉退職を計画・実行したなどと主張している。 (2) 前記2で認定した事実のとおり,本件では,被告P1とほぼ同じ時期にP14,P15及びP17が原告を退職し,後に被告会社に就職している。この経緯について,被告P1はP14に対しては一緒に力になってほしいとお願いしたことを認めている(被告P1供述)が,P15及びP17についても何らかの勧誘がさ れたであろうことは,合理的に推認できる。そして, ,被告P1はP14に対しては一緒に力になってほしいとお願いしたことを認めている(被告P1供述)が,P15及びP17についても何らかの勧誘がさ れたであろうことは,合理的に推認できる。そして,これらの勧誘は,被告P1の原告在職中に行われたと推認される。 しかし,そもそも,従業員には職業選択(転職)の自由があるから,その自由意思によって勤務する会社を選択することが許容されることはいうまでもない。したがって,会社在職中に自ら勤務している会社の他の従業員に対して転職を勧誘する 行為についても,直ちに不法行為と評価するのは相当ではなく,転職の勧誘行為を- 14 -不法行為法上違法と評価し得るためには,それが単なる転職の勧誘にとどまらず、社会的相当性を逸脱した背信的方法で行われた場合であることを要すると解するのが相当である。 そこで,そのような観点から不法行為の成否を検討すると,前記2で認定したとおり,P14は被告P1の妹,P15はP14の友達,P17は被告P1の夫の元 上司であり,いずれも被告P1やP14との関係で原告に就職したものと推認されるところ,そのような被告P1との関係性や,原告への就職の経緯を踏まえると,被告P1が平成25年6月末で原告を退職し,新たに被告会社で事業を開始するという場合に,同人らが被告P1と行動を共にするのは自然なことであり,被告P1が無理な勧誘をせずとも,自らの意思で原告を退職することも十分に考えられる。 そして,P14らが自らの意思で原告を退職する場合,被告P1と近しい関係にあったことを考えると,被告P1が既に同年5月,同年6月30日をもって原告を退職する旨の退職届を提出していたから,それと近い時期に原告を退職することも自然な経緯と認められる。 以上の事情に照らすと,P14らが近 えると,被告P1が既に同年5月,同年6月30日をもって原告を退職する旨の退職届を提出していたから,それと近い時期に原告を退職することも自然な経緯と認められる。 以上の事情に照らすと,P14らが近接した時期に一斉に退職したからといって, 被告P1が上記P14らに対して社会的相当性を逸脱した違法な勧誘をしたとはいえない。 なお,原告は,P14らが退職した後も事業所の運営を継続するために,新規の職員を確保したり,他の事業所の従業員に応援を求めたりするなど相当程度,負担を負うことになったことがうかがわれるが(甲37ないし42,47,108,P 5証言),P14らが自由な意思によって退職・転職することはやむを得ないことであるし,同人らの退職が直接的な原因となって事業所の運営が直ちに立ち行かなくなったとも認められないから,この点からも被告P1が違法な勧誘をしたとはいえない。 (3) 次に,P19について見ると,前記2で認定したとおり,同人は上記P1 4らとほぼ同じ頃に原告を退職したものの,後に被告会社に就職していない。そう- 15 -すると,ほぼ同じ頃に退職したとの一事をもって被告P1がP19に退職を勧誘したと推認することはできず,他にそのことを認めるに足りる証拠もない。 (4) さらに,被告P2について見ると,被告P2は,平成25年5月22日の集団指導において,自分がキャン・ドゥの管理者をしながらキャン・デイやキャン・ディアの業務も行うという違法なことをやらされていると認識したことから, 原告を退職することを決意したものであり,原告退職後,被告P1がすまいるガーデンを立ち上げることを聞き,自分の意思でそこで働こうと決意したと供述している。 そこで,その信用性を検討すると,前記2で認定したとおり,被告P2は,被 のであり,原告退職後,被告P1がすまいるガーデンを立ち上げることを聞き,自分の意思でそこで働こうと決意したと供述している。 そこで,その信用性を検討すると,前記2で認定したとおり,被告P2は,被告P1の退職に1か月先立つ平成25年5月30日に,自らの退職届に退職の理由と して,「一身上の都合と,従事する事への身の危険を感じましたので」と記載したほか,その宛名を「株式会社キャン社長 P4へ」と記載し,さらに,退職届を「FUCKYOU」と記載するととともに,8個の安全ピンが取り付けられた封筒に入れて,本社事務所に赴いて原告代表者に提出するという行動に出ている。このような退職行動の異常性や突発性に照らすと,被告P2が被告P1と意を通じて原 告を退職したとは考え難く,被告P2は原告代表者らに対して怒りの気持ちを抱くなどして退職を決意し,退職届を提出したことがうかがわれる。この点について,原告は,被告P2が原告在籍時に,先輩として被告P1を慕っていたと主張しているところ,そのような事情により退職することにしたのであれば,被告P2の退職行動は上記のP14らと同様に被告P1に追随するものとなるのが自然であるが, 上記のような被告P2の退職行動をそのように捉えることはできないから,被告P2の上記供述を採用するのが相当である。 なお,被告P2は,別件訴訟において,平成25年8月末頃に被告P1から勧誘されたことを認める供述をしており(甲69),この供述は,被告P1からの勧誘の有無については本件での供述と相違しているものの,いずれにせよ在職中に勧誘を 受けたわけではないという点では本件での上記供述と整合するものであり,本件で- 16 -の上記供述の信用性を阻害するものではない。 したがって,被告P1が被告P2に対して社会的 に勧誘を 受けたわけではないという点では本件での上記供述と整合するものであり,本件で- 16 -の上記供述の信用性を阻害するものではない。 したがって,被告P1が被告P2に対して社会的相当性を逸脱した違法な勧誘をしたと認めることはできない。 (5) 以上より,被告P1がP14らに対して違法な雇用関係解消行為をしたとは認められず,不法行為は成立しない。 4 原告の従業員に対する退職働きかけ行為について原告は,被告P1が,原告の事業継続を困難ならしめる意図の下に,P16やP13に対してシフトで勤務日を割り当てない嫌がらせをして,同人らを退職に至らせたと主張している。 この点,丙2ないし10によれば,P16について,平成25年4月のシフト表 には21日出勤することが記載されているのに対し,同年5月のシフト表には何らの記載がなく,P13については,シフト表に同年1月以前には月に13日ないし17日記されていたが,同年2月には8又は9日,同年3月には6日,同年4月には7日と勤務日が減少していると認められる。 しかし,P16については,同人の陳述書(甲45)によっても,シフトで勤務 日を割り当てないことが退職の主要な原因となったとは認められず,P13については,P5の陳述書(甲108)では被告P1にシフトを入れてもらえないのが退職理由だと語っていたとされている反面,被告P1の陳述書(乙32)では家庭の事情と聞いているとされており,判然としない。 また,この点を措くとしても,本件で原告が主張する損害は,その主張する嫌が らせ行為の被害者であるP16やP13が直接に被った損害ではなく,従業員であるP16やP13が退職したために使用者である原告が被ったいわゆる間接損害であるところ,それにより原告が侵害 る嫌が らせ行為の被害者であるP16やP13が直接に被った損害ではなく,従業員であるP16やP13が退職したために使用者である原告が被ったいわゆる間接損害であるところ,それにより原告が侵害された権利・利益というのが原告とP16及びP13との間の雇用契約上の権利等を指すのであれば,債権侵害に当たり得るものであり,被告P1に原告に対する害意が認められれば,原告に対する不法行為の成 立を認めることができる(原告の主張もこの趣旨をいうものと解される。)。しかし,- 17 -本件では,キャン・デイやキャン・ディアには他の従業員もいた上に,それぞれの従業員が他の事業所で勤務することもあったこと(丙1ないし10)からすると,P16及びP13の退職によって,直ちにキャン・デイやキャン・ディアの運営が立ち行かなくなったなどという事情は認められない。また,その後に前記3のとおりP14らが退職するに至るが,同人らの退職は被告P1との特殊な人的関係に基 づくものであるから,同人らの退職をP16らの退職と一連のものとして捉えることもできない。したがって,P16らに対する嫌がらせ行為が仮にあったとしても,それが原告に対する害意によってされたと認めることはできない。 これに対し,原告は,平成25年6月頃に被告P1がP21及びP8に対しても退職するよう促したとして,このことから被告P1には原告の事業継続を困難なら しめる意図があったと主張しており,被告P1が両名に対して退職の促しをした旨の陳述・証言もある(甲47,108,P5証言)。しかし,被告P1はそのような発言を否定する供述をしており,発言の有無は判然としない。また,仮に被告P1がそこに挙げられている発言をしたとしても,その発言の文脈,態度や雰囲気が明らかでないから,その実質的な趣旨 1はそのような発言を否定する供述をしており,発言の有無は判然としない。また,仮に被告P1がそこに挙げられている発言をしたとしても,その発言の文脈,態度や雰囲気が明らかでないから,その実質的な趣旨を汲み取ることが困難である。そうすると,そ のような発言をもって,被告P1の害意を推認することはできないというべきである。 以上より,被告P1が違法な退職働きかけ行為をしたと認めることはできず,不法行為は成立しない。 5 原告の顧客等に対する信用毀損行為及び事務所閉鎖という虚偽告知について (1) 被告P1による平成25年5月23日の発言の有無について原告は,被告P1が同日,さかい障がい児童放課後連絡会(甲5)の会長であるP27に対し,「キャンは人員体制が整っていない。」などの発言をしたと主張し,P7はこれに沿う証言をしている。 確かに,証拠(乙16,17,32,被告P1)によれば,被告P1は,原告を 代表する役員として同日の役員会に出席しており,P7も被告P1の後任者として- 18 -出席していたと認められる。 しかし,被告P1はこの発言を否定する供述をしているところ,原告が発言した相手として主張しているP27も,原告主張のような発言があったという記憶はなく,上記役員会に参加していた他の役員にも念のため確認したが,そのような発言はなかったということであったと陳述しており(乙15),P7の上記証言はこの陳 述と整合しておらず,被告P1が上記の発言をしたと認定することは困難である。 また,この点を措くとしても,P7は,会議が始まる前の会話の中で上記の発言がされたと証言するところ,被告P1が原告主張のような発言をした前後のP27とのやりとりや,同人らがどのような反応をしたかは覚えていないと証言している も,P7は,会議が始まる前の会話の中で上記の発言がされたと証言するところ,被告P1が原告主張のような発言をした前後のP27とのやりとりや,同人らがどのような反応をしたかは覚えていないと証言しているから,被告P1とP27との間で具体的にどのようなやりとりを経て原告主張のよ うな発言がされたのかが判然とせず,その発言の実質的趣旨も不明であるから,それによって原告の信用が毀損されるように受け止められるものであったか否かも不明といわざるを得ず,現にP27も上記のとおり発言の記憶がないと陳述しているところである。そうすると,上記の発言が,原告の信用を毀損するものであることについても,これを認めるに足りないというべきである。 したがって,被告P1が原告主張の上記発言をしたとの不法行為は認められない。 (2) 被告P1による平成25年6月20日の発言の有無について原告は,被告P1が同日,移動支援ネットワーク・さかい(甲6)の会議において,その参加者に対し,「キャン・ドゥは今月で閉鎖します。」との発言をしたと主張し,P28はこれに沿う陳述をしている(甲51)。 確かに,被告P1及び被告会社は,被告P1が同日の会議に出向いたことを認めており,かかる事実が認められる(乙32,弁論の全趣旨)。 しかし,被告P1は,同日の会議には退職の挨拶をしに赴いただけで,原告が主張する発言はしていないと供述するところ,上記陳述をしたP28については,原告が証人尋問申請をし,これを採用の上,尋問期日に呼び出されたものの,出頭し なかったという経緯が認められる(当裁判所に顕著な事実)。また,同人の陳述を裏- 19 -付ける客観的証拠があるわけでもなく,むしろ,同日の会議に出席していたP29は,その日にキャン・ドゥに関する個別 たという経緯が認められる(当裁判所に顕著な事実)。また,同人の陳述を裏- 19 -付ける客観的証拠があるわけでもなく,むしろ,同日の会議に出席していたP29は,その日にキャン・ドゥに関する個別の話が話題になったことはないなどと証言し,これは同人の陳述書(乙18)における陳述から一貫したものであるし,同人は原告とも被告らとも直接の利害関係があるわけではなく,同人の証言の信用性を否定すべき事情は特に見当たらない。なお,原告主張の上記発言の内容は,被告P 2がキャン・ドゥの利用者に対して送付した本件書面(甲8)の内容と整合的であるものの,後述のとおり,その作成・送付に被告P1が関与していたとは認められないから,同時期に作成された本件書面が存在しているからといって,P28の上記陳述の信用性を肯定することはできない。以上のことを踏まえると,P28の上記陳述を採用することはできない。 また,P5は,上記会議に参加していたP30から原告の主張に沿う内容を聞いたと証言しており,P7もP30から,被告P1が児童デイサービスの1つを閉鎖すると言っていたことを聞いたと証言しているが,いずれも伝聞にすぎず,P29の上記証言に照らしてその陳述を直ちに採用することはできない。そして,その他に原告主張の上記事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,被告P1が原告主張の上記発言をしたとの不法行為は認められない。 (3) 被告P2による本件書面の送付行為についてア前記2で認定したとおり,被告P2は,平成25年5月30日以降,キャン・ドゥの利用者6名から8名に対して本件書面(甲8)を送付したと認められる。 そして,本件書面の内容は,①6月からキャン・ドゥの全サービスを休止する,②その理由は,ヘルパーの人員確保ができ ドゥの利用者6名から8名に対して本件書面(甲8)を送付したと認められる。 そして,本件書面の内容は,①6月からキャン・ドゥの全サービスを休止する,②その理由は,ヘルパーの人員確保ができなくなったことと,経営の不手際があったため,充分なサービスの提供が難しくなったことである,③再開のめどは今のところたっていないなどというものであるところ,②のような具体的な理由を説明した上で,運営している事業所の全サービスを休止するという本件書面の内容に照ら せば,本件書面の内容は,原告の営業上の信用を低下させるものであるというべき- 20 -である。 イ被告P2の主張について(ア) 被告P2は,本件書面は退職届を提出した現場で原告代表者に文面を見せて,原告代表者も了解したことから,P7に指示して作成させたものであると主張し,それに沿う供述をしている。 しかし,原告代表者はそのような経緯であったことを否定する供述をしている。 また,本件書面には原告に「経営の不手際があった」と記載され,原告代表者の名前も明記されているところ,そのような内容の書面を利用者に直接送付することを原告代表者が了解したとは考え難い。さらに,前記2で認定した被告P2による退職届の提出状況等に照らせば,被告P2と原告代表者との関係は円満なものではな かったと認められるから,そのような状況に照らしても,原告代表者が本件書面の作成・利用者への送付を了解したとは考え難い。したがって,被告P2の上記供述を採用することはできない。 (イ) また,被告P2は,キャン・ドゥの従業員は自らだけであったから,退職するとキャン・ドゥの全サービスは休止となることや,原告代表者がキャン・ ドゥを休止せざるを得ないことを認めていたから,記載内容は虚偽ではないと キャン・ドゥの従業員は自らだけであったから,退職するとキャン・ドゥの全サービスは休止となることや,原告代表者がキャン・ ドゥを休止せざるを得ないことを認めていたから,記載内容は虚偽ではないと主張し,それに沿う供述をしている。 確かに,被告P2が退職した頃,キャン・ドゥの利用者は6名ないし8名程度であり,平成23年11月の指定の申請時に原告が提出した従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表(甲15)には,平成25年5月末の時点で原告で実際に勤務してい なかった者が多く含まれている。しかし,原告はキャン・ドゥ以外の事業所も運営しており,他の事業所の従業員を異動させたり,その応援を求めたり,ヘルパー等を新規採用するなどして,ヘルパー等の従業員を確保することも不可能ではなく,現に,被告P2が逮捕・勾留され,退職した後,P23をキャン・ドゥの管理者に就任させ,利用者に対するサービスの提供も継続することができた(甲60,10 8,P5証言,弁論の全趣旨)。したがって,被告P2が退職することによって当然- 21 -にキャン・ドゥの全サービスを休止せざるを得ない状況であったと認めることはできないから,この点についての被告P2の上記主張・供述を採用することはできない。 (ウ) さらに,被告P2は,原告に実際に経営の不手際があったと主張し,その内容として,①被告P2がキャン・ドゥの管理者でありながら専属できず,キ ャン・デイやキャン・ディアの業務も担っているように人員の確保ができていないこと,②居宅介護費等の支給要件に該当しないサービス提供を偽って請求していたこと(後記12)等を述べる。しかし,ここで問題とされるべきなのは,それらがキャン・ドゥの全サービスを直ちに休止せざるを得ないほどの経営の不手際であったかということであるが,上 を偽って請求していたこと(後記12)等を述べる。しかし,ここで問題とされるべきなのは,それらがキャン・ドゥの全サービスを直ちに休止せざるを得ないほどの経営の不手際であったかということであるが,上述のとおり,キャン・ドゥについて,被告P2が退職 した後も,結果として,管理者やヘルパーを確保し,サービスを継続することができたから,上述するような程度の経営の不手際があったと認めることはできない。 したがって,この点についての被告P2の上記主張・供述を採用することはできない。 ウ以上の認定・判示を踏まえると,上記アの本件書面の記載は,原告の営 業上の信用を毀損する事実を告知するものであったものと認められ,被告P2による本件書面の送付について,不法行為が成立する。 (4) 被告P1及び被告P2による噂の流布行為の有無について原告は,被告P1及び被告P2が原告に関して「児童を虐待している」等の悪い噂を流布した旨主張しており,それらに関しては,①原告のドライバーであった P18の陳述書(甲50)及び証言,②児童19番の母の陳述書(甲79),③他の事業所を営むP31の陳述書(甲49),④キャン・ディアを利用していた児童12番の母であるP25の証言,⑤甲117のネットの書き込み,⑥P5の陳述書(甲194)及び証言において触れられている。これらからすると,平成25年から平成26年頃,原告に関して,児童を虐待をしている等の噂が流れていたことは認め られる。 - 22 -しかし,まず,P18(上記①)は,児童14番の母から,被告P1より退職前に電話があり,原告を退職する旨とともに「キャンが児童に虐待をしている」と言っていたと聞いたと陳述している(甲50)。しかし,被告P1はこの発言を否定する陳述をしているとこ から,被告P1より退職前に電話があり,原告を退職する旨とともに「キャンが児童に虐待をしている」と言っていたと聞いたと陳述している(甲50)。しかし,被告P1はこの発言を否定する陳述をしているところ(乙32),P18は,証人尋問においては,聞いたのは「うわさ話」であるとも述べ,実際に被告P1がそのような発言をしたと聞いたの かは曖昧である。また,被告P1が虐待に関する発言をしたとしても,P18の陳述・証言は上記母からの伝聞にすぎず,被告P1が発言をした文脈や趣旨が不明であるから,被告P1の発言の意味を正確に捉えることができない。そうすると,P18の陳述及び証言から,被告P1が原告における虐待の事実を告げたとまで認めることはできない。 また,P5(上記⑥)は,平成25年11月に堺市役所の健康福祉関係の部署の担当者から虐待の事実の調査を受けた後,児童14番の母に駅前で会ったときに,同人から,被告P1から頼まれてすまいるガーデンを利用するようになったが,被告P1からキャンが虐待していると聞いて驚いたと聞いたと陳述し(甲194),同趣旨を証言する。しかし,上記の発言は,駅前で会ったときに原告の経営者である P5に対してする発言としては唐突感を否めない上,被告P1がそのような発言をした文脈や趣旨が不明であることは上記と同様であるから,P5の陳述及び証言から,被告P1が原告における虐待の事実を告げたとまで認めることはできない。 さらに,児童19番の母(上記②)は平成26年末頃の話として原告の主張に沿う陳述をしているが(甲79),内容が簡略で,発言に至る経緯等も不明である上, 証人尋問の申請もなく,反対尋問も経ていないから,これを採用することはできない。また,他の事業所を営むP31(上記③)は,平成25年8月頃に児童の保 が簡略で,発言に至る経緯等も不明である上, 証人尋問の申請もなく,反対尋問も経ていないから,これを採用することはできない。また,他の事業所を営むP31(上記③)は,平成25年8月頃に児童の保護者から聞いた話として原告の主張に沿う陳述をしている(甲49)が,これも伝聞であり,証人尋問の申請もなく,反対尋問を経ていない上,発言をしたという「キャンを辞められる職員」が誰かも不明であり,「新しく立ち上げる所に移っているみ たい」というのもまだすまいるガーデンの開設前の時期であるから,これを採用す- 23 -ることはできない。 なお,P25(児童12番の母,上記④)は,証人尋問において,児童1番の母から原告の事業所で子供を虐待したのを知っているかと言われたと証言しているが,児童1番の母はあちこちからいろんな情報を集めてきて話をしているとも証言しているから,同証言をもって被告P1が児童1番の母に対して原告における虐待の事 実を告げたと認めることはできない。 また,甲117(上記⑤)のキャン・デイに関する平成27年5月1日のネット投稿には,「いろいろ見学したけど,これはアカンよ…いまにみてろ,たぶん不正や虐待ばれておしまいだね。」との書き込みがあり,原告は,これは被告P2が投稿したものであると主張しているが,それを認めるに足りる証拠はない。 さらに,原告の事業所において虐待が行われている旨の噂が流れたなどとの証拠もあるが(甲41等),噂話等をしていた人物が特定されているわけではないから,その噂等の出所が被告P1又は被告P2であるとまで認めることはできない。 そして,その他に原告の主張を認めるに足りる証拠はないから,原告主張の事実を認めることはできない。 (5) 事務所閉鎖という虚偽告知について原告が るとまで認めることはできない。 そして,その他に原告の主張を認めるに足りる証拠はないから,原告主張の事実を認めることはできない。 (5) 事務所閉鎖という虚偽告知について原告が請求の原因として主張しているのは上記(2)及び(3)の行為であるから,上記(2)及び(3)で判断したとおりである。 (6) まとめ上記(3)及び(5)の被告P2の行為(本件書面のキャン・ドゥの利用者への送付 行為)について不法行為が成立するが,その余について不法行為は成立しない。 6 原告に対する業務妨害行為について原告は,被告P1が平成25年6月19日及び同月20日の2日間にわたり,キャン・デイにおいて固定電話を利用し,原告の業務に不要な電話をかけ続け,原告の業務を妨害したと主張している。 確かに,被告P1及び被告会社は,原告が主張する時期に,キャン・デイ又はキ- 24 -ャン・ディアの事務所で原告の事業所の利用者に電話をかけたことを認めており,被告P1がその時期に,そこで相当長時間にわたって原告の事業所の利用者に電話をかけたと認められる(甲52,乙32,弁論の全趣旨)。 しかし,原告の主張によっても,原告の事業所や事務所の運営自体が妨げられたわけではなく,原告の事業への支障としては,一定時間,原告の事業所の利用者等 からの電話がつながりにくかったという程度にとどまる。また,キャン・デイ又はキャン・ディアは電話によってサービスを提供するものではないから,電話がつながりにくいことによるサービスそのものに対する影響が大きかったとはいえないし,原告の事業所の利用者等は本社に電話をすることはできたから(甲52),利用者等からの連絡が完全に断たれたというものでもなかった。 この点につき,原告は被告P1による電話 ったとはいえないし,原告の事業所の利用者等は本社に電話をすることはできたから(甲52),利用者等からの連絡が完全に断たれたというものでもなかった。 この点につき,原告は被告P1による電話は原告の業務に不要であったと主張している。しかし,被告P1が電話をかけていた相手は原告の事業所の利用者であり,自らが退職することの挨拶をしたというのであるが(乙32),被告P1は長年,キャン・ディアの管理者という責任ある立場にあったことや,平成25年6月末の退職時期が迫っていたものの,乙6の書面が原告の事業所の利用者に配布されていな かったこと(乙32,弁論の全趣旨)を考えると,P21がキャン・デイの後任の管理者に選任されていたことを考慮しても,被告P1による原告の事業所の利用者への電話自体が全く不要なものであったとまで認めることはできない。また,被告P1は従前,原告から携帯電話を渡されていたが,それがP5のP7に対する指示が不十分であったことによって解約されてしまい,被告P1が電話をするとすれば, 固定電話を使用するしかなかった(乙12,32,弁論の全趣旨)。そして,被告P1が接した原告の事業所の利用者の人数や,退職の挨拶という性質上,話が長くなることもあり得ること等に照らせば,被告P1が電話をかけた時間が不相当に長かったとまで認めることもできない。 以上のような被告P1による行為の必要性や,原告の業務への支障の程度等を総 合すると,被告P1の行為が原告の業務を妨害したものとまでいうことはできない- 25 -し,またそれが社会通念上許容される限度を超え,原告に対する不法行為を構成するとまで認めることもできない。 したがって,被告P1が主張するP5から電話を使用することの許可があったかという点について判断するまでもなく 通念上許容される限度を超え,原告に対する不法行為を構成するとまで認めることもできない。 したがって,被告P1が主張するP5から電話を使用することの許可があったかという点について判断するまでもなく,被告P1の上記行為について不法行為は成立しない。なお,原告主張の被告P1の行為があったのは2日だけのことであるか ら,それによって原告主張の営業上の損害が生じたと認めることもできない。 7 原告の什器備品の持出し行為について原告は,被告P1及び被告P2が本件机及び本件書庫各1個を無断で持ち出したと主張している。 確かに,被告P1及び被告会社は,かつてキャン・ディア内の2階に本件机及び 本件書庫が設置されていたことを認めており,かかる事実が認められるものの(甲64,乙32,弁論の全趣旨),これを被告P1及び被告P2が持ち出したことを裏付ける的確な証拠はない。なお,P10の陳述書(甲48)では被告P1が退職した後の状況が陳述されているにすぎず,P5の陳述(甲108の8項)は伝聞にすぎず,直ちに採用できないから,これらによって原告主張の事実を認めるには足り ない。また,原告は,P7において被告P1が最後の勤務日におもちゃを持ち帰ったと証言していることを指摘しているが,その事実を前提にしても,原告主張の上記事実が推認されるとはいえない。 したがって,原告主張の行為の存在を認定することはできず,不法行為は成立しない。なお,そもそも,原告はこの行為を営業上の損害の賠償請求の根拠として主 張しているが,原告が主張している行為は単なる動産の持出しであり,原告自身,本件机及び本件書庫が被告会社に設置され,利用されていると推測しているのであるから,その動産の返還を求めれば足り,その行為が直ちに原告主張の営業上の損害につながるものであ の持出しであり,原告自身,本件机及び本件書庫が被告会社に設置され,利用されていると推測しているのであるから,その動産の返還を求めれば足り,その行為が直ちに原告主張の営業上の損害につながるものであったとは認め難い。また,仮にその返還を求めることができなかったとしても,動産の持出しによる損害は,基本的にはその動産の価値に相当 するものにすぎず,原告主張の営業上の損害との間に因果関係があることをうかが- 26 -わせる事情の主張立証がされているとはいえない。 8 原告の情報の持出し・抹消行為について(1) 情報の抹消行為について原告は,被告P1がパソコンに保存されていた業務に必要なデータを原告の許可なく消去したと主張している。 しかし,このようなデータ消去について述べるP7も,その証言からすると同人がそのように考えるのは推測にすぎないと認められ,それについて確たる証拠があるとはいえない。 したがって,原告主張の行為の存在を認定することはできず,不法行為は成立しない。なお,原告が主張するデータの内容等については抽象的な主張しかされてお らず,原告が提出している陳述書によっても書類の種類等が記載されているだけで,それが具体的にどのようなものであったのかは判然としないが,仮に被告P1が何らかのデータを抹消したとしても,復元できたものもあるということであるから(甲48,52),そのデータについては原告主張の営業上の損害に結びつくものとは認められないし,復元できなかったデータがあるとしても,その具体的内容等は 判然としないことなどから,同じく原告主張の営業上の損害との因果関係を認めることはできない。 (2) 情報の持出し行為について原告は,被告P1が業務日誌,年賀状,名刺,写真等を原告の許可なく持ち帰っ ないことなどから,同じく原告主張の営業上の損害との因果関係を認めることはできない。 (2) 情報の持出し行為について原告は,被告P1が業務日誌,年賀状,名刺,写真等を原告の許可なく持ち帰ったと主張している。 確かに,被告P1及び被告会社は原告が主張する動産類が相当程度,事務所に存在していたことを認めるとともに,名刺を数枚待ち帰ったことを認めており,かかる事実を認めることができる(乙32,弁論の全趣旨)。しかし,名刺に財産的価値はほとんどない上,被告P1が名刺交換した相手も同業者や行政の担当者が考えられる程度にすぎず,それらに記載された情報が秘密管理されているとも思われない から,被告P1が名刺を持ち帰った行為に不法行為を構成するほどの違法性を認め- 27 -ることはできない。また,その余の動産類について,原告の従業員であったP10の陳述書(甲48)では,被告P1が退職した後に動産類がなくなっていた旨記載されているにとどまり,それらを被告P1が持ち出したことを合理的に推認させる事情も記載されておらず,他に被告P1が名刺数枚以外の動産類を持ち出したことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告主張の行為の存在を認定することはできず,不法行為は成立しない。なお,原告が主張している動産の持出し行為については,上記7の本件机及び本件書庫と同じく,その動産の返還を求めれば足り,その行為が直ちに原告主張の営業上の損害につながるものであったとは認め難いし,仮にその返還を求めることができなかったとしても,原告主張の営業上の損害との間に因果関係があること をうかがわせる事情の主張立証がされているとはいえない。 (3) 以上より,原告主張の不法行為を認定することはできない。 9 原告の顧客に対する被告会社への利 害との間に因果関係があること をうかがわせる事情の主張立証がされているとはいえない。 (3) 以上より,原告主張の不法行為を認定することはできない。 9 原告の顧客に対する被告会社への利用勧誘行為について(1) 原告は,被告P1及び被告P2が,平成25年2月頃から平成26年4月頃にかけて,原告の顧客に対し,キャン・デイ又はキャン・ディア(以下,この項 で「キャン・デイ等」という。)の利用を終了して,被告会社との間で利用契約を締結するよう勧誘し,その結果,多くの児童がキャン・デイ等の利用を終了して,被告会社のサービスを利用するに至ったことが不法行為を構成すると主張する。 (2) 原告在職中の勧誘行為についてアまず,早い時期に被告P1が勧誘をしたとする証拠としては,P25の 陳述書(甲116)及び証言があり,P25は,①平成25年4月(被告P1の退職の2か月から3か月前)頃,息子をキャン・ディアに迎えに行ったときに,被告P1から,キャンはよくないし,なくなるかもしれないと言われ,新しく立ち上げる施設の利用を勧誘された,②その頃,息子から,被告P2が,キャンがなくなると言ってすまいるガーデンの利用を勧誘し,友達やP14らも来ると言っており, 他の子らも誘っていたと聞いたと述べている。 - 28 -しかし,被告P1がすまいるガーデンの事務所を賃借したのは同年6月17日,原告を退職したのが同月末で,堺市との事前協議を終えたのが遅くとも同年7月中旬であり,実際にすまいるガーデンを開設したのが同年9月1日であることからすると,同年4月の時点では,被告P1が退職して独立することを検討していた可能性はあるものの,開設する事業所の具体的な勧誘行為までを行うとは考えにくいと ころがある。また,このような勧誘が からすると,同年4月の時点では,被告P1が退職して独立することを検討していた可能性はあるものの,開設する事業所の具体的な勧誘行為までを行うとは考えにくいと ころがある。また,このような勧誘がP25に限定してされるとは考え難いから,勧誘がされたとすればある程度の人数に対して勧誘が行われたはずであるが,そうであれば,その頃に原告に対する問合せが寄せられてもおかしくないにもかかわらず,そのような事実は認められず,原告の従業員であるP7が,同年6月頃から原告に対する問合せが寄せられるようになったと述べていること(甲52,P7証 言)とも整合しない。そうすると,P25の証言の①は,直ちに採用することができない。なお,仮にこの時期にごく限定的に勧誘がされたのだとしても,この段階では未だ事業所の開設場所も開設時期も未定であるから,勧誘は将来についての抽象的なものであるにすぎず,直ちに原告に損害をもたらすものではない(P25は後に,すまいるガーデンを利用するに至ったが,それは被告P1から上記のような 勧誘を受けたからではなく,子が希望したからである(甲116,P25証言)。)ところ,会社在職中の従業員には使用者に対する誠実義務があり,その違反の態様が社会的相当性を逸脱したものである場合には,使用者に対する加害行為として不法行為を構成することもあると解されるが,上記のような抽象的な勧誘がされたにすぎない場合には,たとえそれがキャンがなくなるかもしれないという発言を伴う ものであったとしても,懲戒処分の対象となり得ることは各別,それを超えて不法行為としての違法性を認めることはできない。 また,その頃に被告P2がP25の息子らを勧誘したという点についても,前記3(4)のとおり被告P2は原告を退職するまでに被告P1と意を通じていたとは 不法行為としての違法性を認めることはできない。 また,その頃に被告P2がP25の息子らを勧誘したという点についても,前記3(4)のとおり被告P2は原告を退職するまでに被告P1と意を通じていたとは認められないことからすると,その頃に被告P2が被告会社への勧誘をするとは考え難 いところがある。そうすると,P25の証言の②も,直ちに採用することができな- 29 -い。 イ次に,P23の陳述書(甲42)には,被告P1の退職の2か月から3か月前頃に,被告P1の息子が,通所する「金魚」において,被告P1が独立を考えており,数人の利用者とは既に契約の約束をしており,一つ目を立ち上げたらすぐに二つ目を立ち上げて年齢分けをすると述べていたのを聞いたとの記載がある。 しかし,そこでの話では児童12番と既に契約の約束をしているとされていながら,その母であるP25は,後にすまいるガーデンを利用するようになったのは,すまいるガーデン開設後に息子が希望したからであると証言しており,整合しておらず,また,P18が14番の母から聞いたという被告P1による勧誘が,退職の連絡の際にされたというものである(甲50)こととも整合しない。確かに,被告P1が 退職の2か月から3か月前頃から独立を考えており,そのために家庭内でいろいろと話をしていたというのはあり得ることであるとしても,P23の上記陳述に現れた話から,そのような家庭内での話以上に,キャン・デイ等の利用者に対する実際の勧誘まで行っていたと認定することはできない。 ウ続いて,平成25年6月頃に被告P1が勧誘をしたとする証拠を見ると, 前記のとおり,P7の陳述(甲52)及び証言があり,P7は,①被告P1が有休に入った後に,キャン・ディアがつぶれるのかという問合せや,被告P1の開設す 告P1が勧誘をしたとする証拠を見ると, 前記のとおり,P7の陳述(甲52)及び証言があり,P7は,①被告P1が有休に入った後に,キャン・ディアがつぶれるのかという問合せや,被告P1の開設する新しい事業所についての問合せが原告に来るようになり,②特に児童24番の母からは,被告P1から新しい事業所に勧誘されたが,やってもいいことなのかと強く言われたと述べている。 また,P18は,14番の母から,被告P1から電話があり,キャンを退職することと,新しい事業所の利用者がいないので契約して欲しいと言われたと聞いたと陳述し(甲50),証言する。 これに対し,被告P1は,同月19日と同月20日にキャン・ディアとキャン・デイの事務所から利用者に退職の挨拶の電話をしたが,そのときには,何人かには 話の流れで独立して新しく事業をするという話はしたかもしれないが,勧誘や事業- 30 -所の場所等は話していないと陳述している(乙32)。 また,P24(児童4番の母)は,①同月に被告P1から退職の電話をもらった際,今後の話として独立して放課後等デイサービス事業を始めることは聞いたが,勧誘はされておらず,事業をする場所や時期も聞かなかった,②その後,キャン・デイを利用していた児童3番の母(別の放課後等デイサービス事業所の職員でもあ った者)から,被告P1がすまいるガーデンを立ち上げることを教えてもらい,被告P1の連絡先を聞いて,自ら被告P1に連絡をとったと陳述し(乙19),証言している。 さらに,P26(児童33番の母)も,被告P1から原告を退職する旨を退職の少し前に聞いたが,そのときは被告P1が新しく事業所を作る話は聞いておらず, その少し後に誰かから聞いたと証言している。 これらからすると,被告P1は,同月にキャン・デイ を退職する旨を退職の少し前に聞いたが,そのときは被告P1が新しく事業所を作る話は聞いておらず, その少し後に誰かから聞いたと証言している。 これらからすると,被告P1は,同月にキャン・デイ等の利用者に対し,原告を退職する旨を伝えたと認められる。しかし,P26のように退職の連絡を受けながら原告が独立することすら聞かなかった者がいたり,P24のように退職の連絡の際に独立の話は聞いたが勧誘は受けていない者がいたりすること(同人らの証言に よれば,P26はすまいるガーデンを開設当初の時期に1,2回利用したにとどまり,P24も既にすまいるガーデンの利用をやめていると認められるから,被告らと特段の利害関係はなく,内容的にも不合理とはいえないから,それらの証言は信用し得ると考えられる。)からすると,被告P1が,キャ・デイ等の利用者に対して,自己が開設する事業所への勧誘を積極的に行おうとしたと見るには疑問がある。そ して,一般に退職の連絡をした場合に,退職後の予定に話が及ぶのは自然なことであり,そこで独立の予定を話した場合には,その利用に話が及ぶことも十分あり得ることである。これらのことを考えると,P7が述べる児童24番の母や,P18が述べる児童14番の母に対して被告P1が何らかの勧誘的発言をしたとしても,積極的に勧誘をしたとは直ちに認め難く,話の流れからそのような発言に至ったこ とも考えられるところであり,P7やP18が述べる児童14番の母や児童24番- 31 -の母の発言も伝聞で,被告P1から勧誘されたとする文脈や趣旨が明らかでないから,被告P1がどの程度の勧誘を行ったのか不明であるといわざるを得ない。 そして,会社在職中の従業員は,使用者に対する誠実義務を負っており,その違反の態様が社会的相当性を逸脱したものである でないから,被告P1がどの程度の勧誘を行ったのか不明であるといわざるを得ない。 そして,会社在職中の従業員は,使用者に対する誠実義務を負っており,その違反の態様が社会的相当性を逸脱したものである場合には,使用者に対する加害行為として不法行為を構成することもあると解されるが,話の流れで退職後の事業への 勧誘的な発言に及んだにすぎない場合など,積極的な勧誘行為と評価できない場合には,社会的相当性を逸脱した不法行為としての違法性を認めることは相当でないというべきである。 なお,被告P1が退職の挨拶として同業者に送付した書面(甲78)には,退職後にすまいるガーデンを堺市<以下略>で開設する旨の記載があるが,これは同業 者に送付されたにすぎないから,これをもって利用者に対して勧誘が行われたと推認することはできない。 また,原告は,被告P1が児童14番の母に対して,被告会社の利用者がいないという虚偽の事実を告げた(甲50,194)とも主張しているが,勧誘の時期が早ければ,被告会社の利用者がまだ確保できていなかったことも考えられるから, 直ちに虚偽とはいえない。 (3) 原告退職後の勧誘行為について原告退職後に被告P1が勧誘をしたとする証拠(時期不明のものも含む。)としては,原告の従業員であったP32の陳述書(甲47)があるほか,児童14番の母の発言を聞いたとするP5の陳述書(甲194)及び証言がある。 しかし,退職後については,被告P1及び被告P2は原告に対して誠実義務を負っておらず,被告側にも営業の自由があることに照らせば,これが違法(不法行為)となるのは,その勧誘行為が原告を誹謗したり,原告の営業秘密を使用するものであったりするなど,社会通念上自由競争の範囲を逸脱したものである場合に限られると解するのが相 らせば,これが違法(不法行為)となるのは,その勧誘行為が原告を誹謗したり,原告の営業秘密を使用するものであったりするなど,社会通念上自由競争の範囲を逸脱したものである場合に限られると解するのが相当である。 そうすると,甲47では,単に被告P1から誘われた母もいると述べられている- 32 -にすぎず,甲194及びP5の証言でも利用者が少ないとして勧誘されたと述べられているにすぎないから,これらによって社会通念上自由競争の範囲を逸脱した勧誘行為を被告らがしたとは認めるに足りないというべきである。 なお,証拠の中には,被告P1からキャンがつぶれる,なくなると聞いたなどと述べるものがある(P25証言,P7証言,P18証言,甲108)が,P25の 証言を採用できないことは前記のとおりであり,他の陳述や証言は,発言に至る文脈や趣旨が明らかでない伝聞であったり,出所の確かでない噂であったりするにすぎないから,それらをもって被告P1が原告を誹謗することを述べて勧誘したと認めることはできない。 また,原告は,被告らが勧誘に当たり原告の利用者情報等を利用したとも主張す るが,前記8(2)のとおり,被告P1らが原告の顧客情報を持ち出したことは認めるに足りず,他に原告の営業秘密を使用したことを認めるに足りる証拠はない。 (4) キャン・デイ等の元利用者によるすまいるガーデンの利用状況についてア前記2で認定したとおり,すまいるガーデンの利用者は,開設当初,少なくとも3名(児童3番,児童4番及び児童37番)おり,その後程なくして,児 童12番,児童33番等が利用を始め,最終的には,キャン・デイ等の利用者のうちの合計25名がすまいるガーデンを利用するに至っており,原告は,このような利用者の移動状況からも,被告P1らによる 童12番,児童33番等が利用を始め,最終的には,キャン・デイ等の利用者のうちの合計25名がすまいるガーデンを利用するに至っており,原告は,このような利用者の移動状況からも,被告P1らによる勧誘が推認されると主張している。 イそこで,キャン・デイ等の元利用者で,後にすまいるガーデンを利用するようになった事情が判明している者の経緯について検討すると,開設当初からす まいるガーデンを利用していたP24(児童4番の母)は,キャン・デイを利用していた児童3番の母(別の放課後等デイサービス事業所の職員でもあった者)から,被告P1がすまいるガーデンを立ち上げることを教えてもらい,被告P1の連絡先を聞いて,自ら被告P1に連絡をとった旨証言している。 そこで,さらにこの証言の信用性について検討すると,放課後等デイサービスは 障害のある児童が利用するものであるところ,その性質上,それぞれの児童の状態- 33 -や個性等に応じて対応することが求められるから,サービスを提供する事業者やその従業員の質はもちろん,その者と児童や保護者との信頼関係,あるいは児童との相性等が重要な意味を持ってくると考えられる(乙27ないし29,被告P1供述。 なお,この点についてはP5やP25も同様の証言をしているほか,同業者であるP29も同趣旨の証言をしている。)。そして,P24は自らの子に対するキャン・ デイのスタッフの接し方に満足していなかったとして,具体的なエピソードを証言する一方で,被告P1のことを信頼していたとして,その具体的なエピソードも証言している。これらの証言内容に照らせば,自ら希望して被告P1が経営するすまいるガーデンを利用するようになったとのP24の証言は,自然かつ合理的なものということができる。また,児童3番の母から被告P1がすま る。これらの証言内容に照らせば,自ら希望して被告P1が経営するすまいるガーデンを利用するようになったとのP24の証言は,自然かつ合理的なものということができる。また,児童3番の母から被告P1がすまいるガーデンを立ち 上げることを教えてもらい,被告P1の連絡先を聞いたという点についても,乙29の陳述とも共通性を有している。以上のことを踏まえると,P24の上記証言を採用することができる。 ウまた,乙27ないし29の陳述書の作成者も,元々はキャン・デイやキャン・ディアを利用していたが,すまいるガーデンを利用するようになったところ, その経緯について,被告P1の妹であるP14や子の友達の母からすまいるガーデンのことを聞いたとか,自ら被告P1に連絡をとったと陳述し,また,すまいるガーデンを利用するようになった理由について,キャン・デイやキャン・ディアはスタッフの出入り(職員の入れ替わり)が多く,子が落ち着かないと考えるようになった(子の落ち着きがなくなった)とか,子が楽しくないとして,被告P1が経営 するすまいるガーデンに行きたいと言ったと陳述している。そして,これらの陳述には,児童12番の母であるP25も,すまいるガーデンを利用し始めたのは,キャン・ディアを利用する友達が少なくなって,息子が希望したためであると証言していることや,平成25年6月頃,被告P1のほかに,職員が相当数,自らの意思で原告を退職したという客観的な経緯や,上記イで判示した放課後等デイサービス 事業の性質等に照らして,不自然,不合理な点はみられず,これらの陳述も採用す- 34 -ることができる。 エ以上検討したところを踏まえると,すまいるガーデン開設当初から利用者がいたことから,被告P1が原告在職中に誠実義務に違反した違法な勧誘をして 陳述も採用す- 34 -ることができる。 エ以上検討したところを踏まえると,すまいるガーデン開設当初から利用者がいたことから,被告P1が原告在職中に誠実義務に違反した違法な勧誘をしていたことや,退職後に社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な勧誘をしていたことが推認されるとはいえない。 これに対し,原告は原告の事業所の利用者のうち相当な割合の者がほぼ同時期に,原告の事業所の利用を辞め,すまいるガーデンを利用するようになったとも指摘する(別紙「利用終了児童一覧表」参照)。確かに,すまいるガーデンの利用者は原告の事業所の元利用者が相当程度の割合を占めていたが,上記認定・判示したとおり,放課後等デイサービス事業の性質等に加え,原告の事業所には,従業員が自らの意 思で大量に退職したという事情があった一方で,被告P1は原告の事業所の利用者から一定の信頼を得ていたこと(乙27,P24証言,弁論の全趣旨)などから,利用者が自ら希望して,すまいるガーデンを利用するようになる可能性が相当程度あったといえる。それだけでなく,すまいるガーデンの開設後,自らの意思で原告の事業所の利用を辞め,すまいるガーデンを利用するようになった者が増加してい ったことが,原告の事業所の利用を辞める者が増加することに拍車をかけた面があったことが推察され,それは自らの意思で辞めた利用者がいた結果にすぎない。 以上より,原告が主張する事実や前記認定事実から被告P1による違法な勧誘行為の存在を推認することはできない。また,原告は被告P2も違法な勧誘をしていたと主張しているが,以上検討した事実に照らせば,以上の判示は被告P2にも妥 当すると考えられる。 (5) そして,他に被告P1又は被告P2が原告の在職中又は退職後に被告会社への違法な勧誘 たと主張しているが,以上検討した事実に照らせば,以上の判示は被告P2にも妥 当すると考えられる。 (5) そして,他に被告P1又は被告P2が原告の在職中又は退職後に被告会社への違法な勧誘行為をしたことを認めるに足りる証拠はないから,被告らの勧誘行為の不法行為をいう原告の主張は理由がない。 10 小括 以上の検討によれば,被告P2による本件書面のキャン・ドゥの利用者への送付- 35 -行為(前記5の(3)及び(5)参照)については不法行為が成立する。しかし,被告P1が本件書面の作成・送付に何らかの関与をしていたことを認めるに足りる証拠はないから,被告P1が被告P2の上記行為について共同不法行為等の責任を負うことはない。そして,そのことに加え,被告P2の上記行為は被告会社設立前の行為で,被告P2がその従業員として行為したものでもないから,被告会社が被告P2 の上記行為について民法709条や715条に基づく責任を負う余地はなく,同条を類推適用すべきとの原告の主張も採用できない。 また,被告P2の上記行為は被告会社設立前の行為にすぎず,また被告P2は被告会社の従業員にすぎないから,被告らについて不正競争防止法4条に基づく責任が成立する余地はない。 11 被告P2の不法行為による損害(1) 営業上の損害との間の因果関係の有無本件書面は8枚作成され,被告P2はこれをキャン・ドゥの利用者である児童2番の親権者をはじめ6名から8名に送付したと認められる(甲66,69,被告P2供述)。ところで,本件書面の内容は,キャン・ドゥの全サービスを休止し, 再開のめどは今のところたっていないというものであるが,本件書面には,契約の継続,解除等のことについては,原告代表者に連絡するよう記載してあるから,この書面を ン・ドゥの全サービスを休止し, 再開のめどは今のところたっていないというものであるが,本件書面には,契約の継続,解除等のことについては,原告代表者に連絡するよう記載してあるから,この書面を受領した利用者が直ちにキャン・ドゥの利用を辞め,他の事業所の利用を開始するとは考えられず,まずは原告に連絡をとるものと考えられる。そして,その場合には,利用者から連絡を受けた原告代表者又は原告の従業員等は, キャン・ドゥのサービスは休止しないこと,引き続きキャン・ドゥの利用を継続することができることを説明することになり,原告において自ら利用者の誤解を解く機会があることになる。 また,本件書面にはキャン・ドゥのサービスに関することしか記載されておらず,本件書面を見た者がキャン・ディアやキャン・デイのサービスも休止されると理解 するとは考え難い(なお,甲53は乙26により撤回されている。)。 - 36 -以上のことを踏まえると,本件書面の送付によってキャン・ディアやキャン・デイの事業を廃止せざるを得なくなったと認めることはできない。したがって,被告P2による本件書面の送付行為と原告主張の営業上の損害との間に因果関係は認められない。 (2) 無形損害の有無及び額 本件書面が送付されたことによって,原告は営業上の信用が毀損され,キャン・ドゥの利用者に対してサービス(契約)の継続に向けた対応を余儀なくされたと推認される。もっとも,本件書面が送付されたのはキャン・ドゥの利用者多くても8名にとどまっており,上記対応の負担が大きかったものと認めることはできないし,「経営の不手際」についても,その具体的内容は何ら記載されていないから, 原告の営業上の信用が毀損された程度も大きくない。 なお,原告は本件書面が送付されたこ たものと認めることはできないし,「経営の不手際」についても,その具体的内容は何ら記載されていないから, 原告の営業上の信用が毀損された程度も大きくない。 なお,原告は本件書面が送付されたことによって,キャン・ドゥの利用者を通じて広く流布される可能性があるとか,同業者からも事業所を閉鎖するのかの問合せを受けたと主張している。しかし,前者については実際に流布されたことをうかがわせる証拠はないし,後者については本件書面を送付したことによるものであるこ とを認めるに足りる証拠はない(本件証拠によれば,本件書面の送付前から原告の事業所閉鎖等の噂話があったことがうかがわれ,原告主張の問合せが本件書面の送付を受けたものであるとまで推認することはできない。)。 以上の事情その他本件に現れた一切の事情を総合すれば,本件書面の送付による原告の無形損害は10万円と認めるのが相当である。 12 被告P2及び被告P1に対する不当利得返還請求の可否(1) 前提事実に加え,証拠(甲15,22ないし28,30,31,57,84,96,102,103,108,109,乙13,14,20ないし25,32,丙16,19のほか後掲の各書証,原告代表者供述,被告P1供述,被告P2供述,P5証言,P24証言)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア原告は,平成23年7月にキャン・デイを開設し,被告P1がその管理- 37 -者を務めていた。キャン・デイは当初,児童デイサービスを提供しており,閉所時刻を迎えると,児童を送迎車によってそれぞれの自宅等に送っていた。 ところが,キャン・デイの利用者である児童2番の母や児童4番の母(P24)から,原告がキャン・デイの閉所時刻後も児童を預かってくれると助かるなどという,居宅介護や移動 れぞれの自宅等に送っていた。 ところが,キャン・デイの利用者である児童2番の母や児童4番の母(P24)から,原告がキャン・デイの閉所時刻後も児童を預かってくれると助かるなどという,居宅介護や移動支援の要望があったことから,被告P1が原告代表者やP5に 対し,そのことを伝えた。 イ原告は,障害福祉サービスの種類を居宅介護及び同行援護とする指定障害福祉サービス事業者の指定を受けるとともに,移動支援事業者の登録をすることにした。 その際に,被告P1は,P5に対し,被告P1の長男が別の事業者との間で締結 していた移動支援事業に係る重要事項説明書(甲96)等を渡した。また,被告P1は,原告代表者又はP5に対し,友達に介護福祉士の資格を有している者がいるとして,その者の登録証のコピー(甲102)を渡したほか,ヘルパーの給与がどれくらいの金額なのかということを話したこともあった。さらに,被告P2は自らは介護福祉士の資格を有していたところ,妻は介護保険法施行令3条1項2号に掲 げる研修の2級課程を修了していたことから,その修了証明書のコピー(甲103)を原告に提出し,これらをもとに「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」(甲15)が作成された。 ウ原告は上記イの指定や登録を受け,平成23年12月1日,キャン・ドゥを開設し,その管理者には被告P2が就任した。 エキャン・ドゥが指定・登録を受けた事業の内容(ア) 居宅介護「居宅介護」とは,障害者の家事援助・身体介護を障害者の居宅において行うものであり,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律5条2項では,「障害者等につき,居宅において入浴,排せつ又は食事の介護その他の 厚生労働省令で定める便宜を供与すること」と規定され,この「厚生労働省令 及び社会生活を総合的に支援するための法律5条2項では,「障害者等につき,居宅において入浴,排せつ又は食事の介護その他の 厚生労働省令で定める便宜を供与すること」と規定され,この「厚生労働省令で定- 38 -める便宜」とは,「入浴,排せつ及び食事等の介護,調理,洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助」(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則1条の3)とされている。 (イ) 同行援護「同行援護」とは,視覚障害により,移動に著しい困難を有する障害者等 につき,外出時において,当該障害者等に同行し,移動に必要な情報を提供するとともに,移動の援護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することであるが(障害者総合支援法5条4項),キャン・ドゥの利用者には当時,視覚障害者はおらず,キャン・ドゥは同行援護を実施していなかった。 (ウ) 移動支援 a 市町村は,厚生労働省令で定めるところにより,地域生活支援事業として,「移動支援事業」を行うこととされており(障害者総合支援法77条1項8号),これは「障害者等が円滑に外出することができるよう,障害者等の移動を支援する事業」である(同法5条26項)。 b 堺市では,移動支援事業について,事業者が堺市からの登録を受け ることとし,利用者は堺市からの支給決定を受けた上で,登録事業者との契約に基づきサービスを利用する仕組みとされている。また,移動支援に係る給付費について,利用者からの委任に基づき,サービス提供事業者が給付費の代理受領を行う方式を採用している。 c 原告は,大阪府高石市に居住している児童33番について,キャ ン・ドゥにおいて移動支援サービスを提供したとして,同市に対して移動支援費を請求し 付費の代理受領を行う方式を採用している。 c 原告は,大阪府高石市に居住している児童33番について,キャ ン・ドゥにおいて移動支援サービスを提供したとして,同市に対して移動支援費を請求し,その支給を受けていた。 同市においては,移動支援のサービス内容を次のようなものとしており,公的行事への参加や,生活必需品の買い物,冠婚葬祭,理美容等で利用できるものとしていた。他方で,通年かつ長期にわたる外出,いわゆる通所施設や障がい者支援施設 等の通所,保育所や幼稚園,学校等への送迎は原則利用できず,学童保育,デイサ- 39 -ービスや短期入所,日中一時支援事業への送迎にも利用できないものとしていた。 (a) 外出中の移動の介護や,外出先での排泄,食事等の介助(b) 外出中やその前後におけるコミュニケーション支援(c) 外出に伴い,必要と認められるその前後の身の回りの準備オ事業者が居宅介護サービスを提供した場合には,支給決定がされた障害 者(児童)ごとに,月ごとに,「居宅介護サービス提供実績記録票」(甲25等)(以下「居宅介護実績記録票」という。)が作成され,そこには日付,曜日,サービス内容(家事か身体か),居宅介護計画(開始時間・終了時間,計画時間数),サービス提供時間(開始時間,終了時間),算定時間数,派遣人数が記載され,サービス提供者(ヘルパー)が押印するとともに,利用者に確認印を押してもらうこととされて いた。そして,国民健康保険団体連合会(国保連)に対する居宅介護費の請求に当たっては,居宅介護実績記録票の写しを提出して請求することとされていた。 また,事業者が移動支援サービスを提供した場合には,支給決定がされた障害者(児童)ごとに,月ごとに,「移動支援サービス提供実績記録票」(甲24等) 績記録票の写しを提出して請求することとされていた。 また,事業者が移動支援サービスを提供した場合には,支給決定がされた障害者(児童)ごとに,月ごとに,「移動支援サービス提供実績記録票」(甲24等)(以下「移動支援実績記録票」といい,居宅介護実績記録票とまとめて「実績記録票」と いうことがある。)が作成され,そこには日付,曜日,サービス内容,移動支援計画(開始時間・終了時間,計画時間数),サービス提供時間(開始時間,終了時間),算定時間数等が記載され,サービス提供者(ヘルパー)が押印するとともに,利用者に確認印を押してもらうこととされていた。そして,堺市では,事業者が移動支援実績記録票の写しを提出して移動支援費を請求することとされており,大阪府高 石市においても同様であった。 そして,原告においては,原告代表者がP7その他の担当者を通じ,又は本社事務所に持参した被告P1から,実績記録票を受け取り,それをもとにサービスを提供した月の翌月10日までに,居宅介護費や移動支援費の請求手続を行っていた。 カキャン・ドゥでは,障害者の居宅において家事援助や身体介護を行って おらず,居宅介護費の支給要件を満たしていないにもかかわらず,「居宅介護」のサ- 40 -ービスを提供したものとして,居宅介護実績記録票を作成し,利用者に確認印を押してもらい,国保連からそれに対応する居宅介護費の支給を受けたことがあった。 また,キャン・ドゥでは,移動支援費の支給要件を満たしていない場合(例えば,キャン・デイやキャン・ディアの開所時刻前又は閉所時刻後に,児童の送迎のために送迎車で他の児童の自宅等を回っていただけである場合)であるにもかかわらず, 「移動支援」のサービスを提供したものとして,移動支援実績記録票を作成し,利用者に確認印を押 後に,児童の送迎のために送迎車で他の児童の自宅等を回っていただけである場合)であるにもかかわらず, 「移動支援」のサービスを提供したものとして,移動支援実績記録票を作成し,利用者に確認印を押してもらい,堺市等からそれに対応する移動支援費の支給を受けたことがあった。 例えば,居宅介護実績記録票には,P3が児童3番や児童4番に対して居宅介護(家事援助,身体介護)サービスを提供した旨記載されていたが,P3はこれら児 童に対して同サービスを提供したことはなかった。 また,居宅介護実績記録票には,被告P2が児童2番,児童4番及び児童5番に対して居宅介護(家事援助,身体介護)サービスを提供した旨記載されていたが,被告P2はこれら児童に対して同サービスを提供したことはなかった。 さらに,移動支援実績記録票には,被告P2が児童1番に対して移動支援サービ スを提供した旨記載されていたが,被告P2は児童1番に対して移動支援費の支給要件に該当するサービスを提供していないにもかかわらず,上記記載をしたことがあった。 キ原告においては,居宅介護及び移動支援等のサービスを提供した場合には,ヘルパーごとに,月ごとに作成された「業務日誌」(甲57)に記録することと されており,これには,日付,曜日,利用者名,サービス内容(家事,身体,移動,重心),サービス提供時間,時間を記載し,担当者が押印することとされていた。 ク原告においては,毎月,キャン・ドゥで作成された実績記録票及び業務日誌を原告の本社事務所に持参することとされており,これを被告P2又は被告P1が持参していた。 そして,原告においては,P7又はその他の担当者が,業務日誌に記載されてい- 41 -る業務の時間数をもとに,各従業員に対して支払うべき「身体介護 告P2又は被告P1が持参していた。 そして,原告においては,P7又はその他の担当者が,業務日誌に記載されてい- 41 -る業務の時間数をもとに,各従業員に対して支払うべき「身体介護時給」等の額を算定していた。 具体的には,原告においては,居宅介護サービスを提供した従業員に対し,身体介護については1時間当たり1500円の「身体介護時給」を,家事援助については1時間当たり1000円の「家事援助時給」を,移動支援サービスを提供した従 業員に対し,1時間当たり1000円の「移動支援時給」を,それぞれ支給していた。給与明細は,キャン・ドゥ以外の事業所所属の従業員については,キャン・ドゥを所属とする給与明細書が別途発行されており,キャン・ドゥの従業員(被告P2を含む。)については,キャン・ドゥを所属とする給与明細書が2通(上記各時給に係る分とそれ以外の分)発行されていた(甲30,乙20ないし25)。そして, 被告P2が原告から,別紙「不当利得一覧表(被告P2関係)」記載のとおり給与の支払を受けたことについては,当事者間に争いがない。 なお,キャン・デイやキャン・ディアにおいて,正社員が児童を送迎した際には,その正社員に対し,1回当たり100円の送迎手当が支給されていた。また,身体介護時給等は,サービスを提供した月の末日締めで,翌月17日に支払われていた。 ケ居宅介護(家事援助,身体介護)は利用者の居宅においてサービスを提供するものであり,また移動支援は通所施設への通所や送迎には利用できないものであったから,真に居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当する行為がされた場合には,キャン・デイ等の利用者について,その閉所時刻(午後5時)と居宅介護や移動支援のサービス提供開始時刻が同じであるとか,逆に,開所時刻( 居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当する行為がされた場合には,キャン・デイ等の利用者について,その閉所時刻(午後5時)と居宅介護や移動支援のサービス提供開始時刻が同じであるとか,逆に,開所時刻(午前11 時)とサービス提供終了時刻が同じであるということは起こるはずがなかった。 ところが,キャン・ドゥにおいては,少なくとも平成24年2月から同年12月分の実績記録票には,上記のような記載がされたものがあり(甲24ないし28,120,160,163,165,175ないし177,181,182等),そのサービス提供者は,被告P2や平成23年8月1日から平成24年8月31日まで キャン・デイに勤務していたP3だけではなく,キャン・ディアに勤務していたP- 42 -14やP6らも含まれていた。 他方で,同年12月以前に作成された実績記録票においても,居宅介護や移動支援の開始時刻が午後5時15分とされたり,終了時刻が午前10時45分とされたりするなど,サービス提供時間との関係で,上述したような問題の生じない形で実績記録票が作成されている場合もあった(もっとも,その場合について,居宅介護 費や移動支援費の支給要件に該当するサービスが提供されたかどうかは不明である。)(甲119,120,128,130,131,133,137,139,149ないし151,153,166,179,184,185,丙18等)。 コ平成25年2月上旬,被告P2は,少なくともヘルパー名をP14,被告P2及びP15とする同年1月分の業務日誌の記載のうち,ヘルパーが児童1番 に対して午後5時から午後6時又は6時30分まで移動支援サービスを提供したという記載がされた部分及び児童2名(児童5番及び児童7番)に対して午前9時30分から午前11時ま ヘルパーが児童1番 に対して午後5時から午後6時又は6時30分まで移動支援サービスを提供したという記載がされた部分及び児童2名(児童5番及び児童7番)に対して午前9時30分から午前11時まで居宅介護(家事援助)サービスを提供したという記載がされた部分について,それが居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当しないと考え,備考欄に「実績は上げていません。」と記載する(甲57)とともに,実績記録票に はそれに対応したサービスを提供したことを記載しなかった。 サ被告P1は,同年2月上旬頃,上記コのような内容の業務日誌に,赤字で次の(ア)及び(イ)記載のような修正等をするとともに,「実績は上げていません。」との記載を赤の横線で消した。また,被告P1は,修正等をした後の業務日誌に「時間書き直しているので担当者(ヘルパーさん)印もらって本社に提出して下さ い。」と記載した付箋を貼って,被告P2の手に渡るようにした。そして,被告P2はそれに従って,業務日誌を作成し直すとともに,実績記録票にもそれに対応して,居宅介護や移動支援のサービスを提供したことを記載した。 なお,被告P1は,原告在職中から,居宅介護費や移動支援費の支給要件を満たしていないにもかかわらず,業務日誌や実績記録票が作成され,原告が居宅介護費 や移動支援費の請求をしていることを知っていた。 - 43 -(ア) 移動支援についてサービス提供時間が午後5時から午後6時又は6時30分と記載された部分については,午後6時15分から午後7時15分又は7時45分,あるいは午後7時から午後8時と修正した。 (イ) 居宅介護(家事援助)について 元の記載を削除し,児童5番に対して午前8時から午前9時30分まで家事援助のサービスを提供した旨加 時45分,あるいは午後7時から午後8時と修正した。 (イ) 居宅介護(家事援助)について 元の記載を削除し,児童5番に対して午前8時から午前9時30分まで家事援助のサービスを提供した旨加筆するとともに,児童7番に対しては他のヘルパーが同じ時間にサービスを提供した旨加筆した。 シ平成25年1月分以降の実績記録票には,上記サの修正等やその趣旨を踏まえた記載がされ,原告はそれをもとに居宅介護費や移動支援費を請求するとと もに,被告P2らに対して身体介護時給等を支払った。 ス被告P2は,同年5月22日,大阪府福祉部障がい福祉室が堺市民会館で開催した「平成25年度障がい者総合支援制度における指定事業者・施設集団指導」に出席した。そこでは,資料(丙14)が配布され,その中の「指定障がい福祉サービス事業者等に対する指導及び監査」に関する資料として,「指定取消し 等事業者等一覧」という書面が含まれており,「家事援助のサービスを提供したものを,身体介護のサービスを提供したとして介護給付費を不正に請求し,受領した」事業者や,「サービスを行っていないにもかかわらず,架空の内容でサービス提供を記録し,介護給付費を不正に請求し受領した」事業者,「介護給付として評価のできない就労継続支援事業所への送迎を居宅介護サービスの提供を行ったこととして, 介護給付費を不正に請求し,受領した」事業者,「居宅以外で行われていたサービス(当該法人が運営する生活介護事業所内において見守りしていたもの)を,居宅で行ったサービス提供として,介護給付費を請求し,受領した」事業者,「重度訪問介護の利用者に対するサービスにおいて,他の事業とのサービス提供時間が重複することを避けるために,サービス提供実績記録票及びサービス提供記録表とのサービ 請求し,受領した」事業者,「重度訪問介護の利用者に対するサービスにおいて,他の事業とのサービス提供時間が重複することを避けるために,サービス提供実績記録票及びサービス提供記録表とのサービ ス提供時間を意図的に改ざんした」事業者について,指定取消し等がされたことが- 44 -記載されていた。 セ被告P2は,同月30日,原告の本社事務所において,原告代表者に対し,退職届を提出したところ,そこに退職の理由として,「従事する事への身の危険を感じました」と記載していたほか(前記2(6)参照),次の内容の「ヒヤリハット報告書」を一緒に提出した(甲31)。また,被告P2は,同日,上記スの資料を持 参していた。 (ア) いつ平成24年の10月~平成25の6月頃,Everyday!! (イ) どこで株式会社キャン(ウ) どうしていた時勤務していた時(キャン・ディ,キャン・ディア, キャン・ドゥetc…)(エ) ひやりとした時のあらまし会議や自ら調べた時に違法行為だと気づいた時。H25年になってから本社に詰めたが,バカな答えしか返ってこなかった。 (オ) 原因 ①環境に問題があった Yes,②設備・機器等に問題があった Yes,③対応に問題があった Yes,④自分自身に問題があった(バツ印 を付した上で,「あるとすれば就職した事」と記載した。)(カ) 教訓・対策告発もしくは潰れてしまって下さい。(さらに,似顔絵の絵文字と共に,「Fuck」という文字が記載されている。)ソ原告は,平成25年6月21日,堺市長に対し,次の移動支援費について,放課後等デイサービスの後にサービスを提供しており,移動支援の開始場所が 自宅ではないので,請求不可であることが分かったことを理由として,6万2800円 堺市長に対し,次の移動支援費について,放課後等デイサービスの後にサービスを提供しており,移動支援の開始場所が 自宅ではないので,請求不可であることが分かったことを理由として,6万2800円を自主返還することを申し出て,返還した(甲22)。なお,サービス提供者には被告P2だけでなく,P14も含まれていた(甲24,175,176)。 (ア) 児童1番提供年月平成24年7月 1万4000円 同年8月 2800円- 45 -同年9月 8400円同年10月 1万1200円(イ) 児童17番提供年月平成24年9月 2800円同年10月 2万3600円 タ原告は,平成25年6月21日,堺市長に対し,次の居宅介護費について,確認したところ実際に行っていたサービスと請求したサービスが一致していなかったことを理由として,80万3824円(ただし,次の合計額とは一致しない。)を自主返還することを申し出て,返還した(甲23)。なお,サービス提供者には被告P2やP3だけでなく,少なくともP6,P14及びP33(ただし,名 は不詳)も含まれていた(甲25ないし28)。 (ア) 児童4番(いずれもサービスの種類は身体介護)提供年月平成24年7月 7万2960円同年8月 5万8268円同年9月 7万5716円 同年10月 6万6992円同年12月 8万1588円(イ) 児童2番(いずれもサービスの種類は家事援助)提供年月平成24年7月 2万0415円同年8月 4万8993円 (ウ) 児童7番(い 588円(イ) 児童2番(いずれもサービスの種類は家事援助)提供年月平成24年7月 2万0415円同年8月 4万8993円 (ウ) 児童7番(いずれもサービスの種類は家事援助)提供年月平成24年7月 1万6249円同年9月 1万2995円同年10月 9752円(エ) 児童5番(いずれもサービスの種類は家事援助) 提供年月平成24年7月 1万6249円- 46 -同年9月 1万2995円同年10月 9752円(オ) 児童3番(いずれもサービスの種類は家事援助)提供年月平成24年7月 2万5895円同年10月 9402円 (2) 原告と被告P2及びP3との間の「身体介護時給」等に関する合意内容ア原告は,被告P2以外については身体介護時給等を支払うこととしていた一方,被告P2については基本給以外の給与を支払う予定はなかったところ,仮に被告P2についても被告P2以外(本件で関係があるのはP3)と同様に身体介護時給等を支払う旨の(黙示の)合意があるとしても,それらを支払う旨の合意は あくまで,被告P2やP3が「居宅介護費」又は「移動支援費」の支給要件に該当する行為をした場合に,時給計算した給与を支給するというものであると主張している。 イまず,被告P2に対しても,身体介護時給等が支払われてきたことは原告も認めるところであり,これが単なる過誤であったとは考え難いから,被告P2 との間でも,被告P2以外の者と同様に,それらの支払に関する合意はあったと認められる。 ウそこで,合意内容について検討する であり,これが単なる過誤であったとは考え難いから,被告P2 との間でも,被告P2以外の者と同様に,それらの支払に関する合意はあったと認められる。 ウそこで,合意内容について検討するに,身体介護時給等については,原告の就業規則(甲80)や給与規程(甲81)や雇用契約書(甲82ないし84)に定めはないから,諸事情を考慮する必要があるところ,確かに,キャン・ドゥは, 指定障害福祉サービス事業者の指定を受けるとともに,移動支援事業者の登録をしていたから,キャン・ドゥの事業に関して「居宅介護」や「移動支援」という文言を用いる場合,それは居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当する行為を指すと解するのが自然ではある。 しかし,居宅介護費や移動支援費の支給要件は行政上の概念であるから,これを 請求する立場にある原告(原告代表者)がその内容を正確に理解しているべきもの- 47 -であるのに対し,従業員がそれを当然に正確に理解しているとは限らないから,従業員としては,原告社内で身体介護等の業務として扱われる業務を行った場合に身体介護時給等が支給されるものと理解することも自然なことである。 そうすると,身体介護時給等が居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当する行為をした場合に支払われるものであるならば,使用者である原告が従業員に対して その要件の内容を具体的に説明したり,事後的に,その要件に該当する行為がされているのかを確認して,要件に該当しない場合には身体介護時給等の支払をしない措置をとったりするなどして,原告の意図と従業員認識との間に齟齬が生じないような手当てがされるべきものである。 しかし,原告の主張によっても,原告代表者やP5は,キャン・ドゥが開設され た時点で,居宅介護事業や移動支援事業について詳しい 認識との間に齟齬が生じないような手当てがされるべきものである。 しかし,原告の主張によっても,原告代表者やP5は,キャン・ドゥが開設され た時点で,居宅介護事業や移動支援事業について詳しいことを認識していなかったとうかがわれるから(原告代表者やP5も同様の供述・証言をしている。),被告P2を含む従業員に対して,居宅介護費や移動支援費の支給要件の内容の具体的説明をしたとは考えられない。 また,前記認定によれば,キャン・ドゥにおいては,被告P2やP3だけでなく, 少なくともP14やP6,P33がヘルパーを担当した場合も,居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当する行為をしていないにもかかわらず,実績記録票にそれがされたことを前提とした記載がされ(前記(1)ケ,ソ及びタ),原告はそれを踏まえて居宅介護費や移動支援費を請求し,そのような状況は相当長期間にわたって継続されていたと認められる。そして,そのような実態がある中で,被告P2を含む 従業員に対し,「身体介護時給」等が支払われていたのである。以上の実態を踏まえると,原告において,事後的に,居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当する行為がされているのかを確認するというようなことは行われていなかったと推認される。 以上の実態に照らせば,少なくとも従業員の側において,身体介護時給等の支給 の趣旨が原告主張のようなものであるとの認識が得られていたと認めるのは困難と- 48 -いわざるを得ない。 エむしろ,前記(1)で認定した事実からすると,原告の側においても,居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当しない場合にも,従業員が利用者に対してサービスを提供したことに伴う時給を支払うことを前提として行動していたとみるほかない。 すなわち,平成25年2月上旬頃,被告P 移動支援費の支給要件に該当しない場合にも,従業員が利用者に対してサービスを提供したことに伴う時給を支払うことを前提として行動していたとみるほかない。 すなわち,平成25年2月上旬頃,被告P2が自ら,P14及びP15をヘルパー名とする業務日誌の記載のうち,居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当しないと考えた部分に「実績は上げていません。」と記載し,実績記録票にはそれに対応する実績を上げなかったところ,被告P1が赤字で支給要件に該当するような内容に修正等し,修正等された内容のとおりサービスが提供された前提で,原告が居 宅介護費や移動支援費を請求するという出来事があった(前記(1)コないしシ)。この経緯については争いがあるが,そもそも,実績記録票や業務日誌をもとに居宅介護費や移動支援費の請求をし,給与を計算すべき立場にあったのは原告であり,本来,被告P2が業務日誌等を提出すべき相手も原告であったから,被告P2が作成した当初の実績記録票や業務日誌は原告の本社事務所に持参されたと推認されるし, 被告P1には上記請求手続や給与計算を行う権限があったわけではないから,被告P1の独断で上記修正等をしたとは考え難く,被告P1が上記修正等をするに当たっては,原告代表者又はP5から,実績記録票を上げられるように業務日誌の内容を修正等するよう,検討の指示があったとの被告P1の供述は合理的である。 この点について,原告は,サービス提供実態のない実績記録票を作成し,それに 基づいて原告に対して給与を請求すること等は被告P1及び被告P2の主導のもとに行われたと主張しているが,前記認定のとおり,被告P2が平成25年2月上旬に業務日誌に「実績は上げていません。」と記載した行為は,その内容に照らして原告に向けられた行為とみるのが自然であり,その に行われたと主張しているが,前記認定のとおり,被告P2が平成25年2月上旬に業務日誌に「実績は上げていません。」と記載した行為は,その内容に照らして原告に向けられた行為とみるのが自然であり,その行為からは,被告P1と被告P2との間に原告主張のような共謀等がなかったことがうかがわれる。また,原告の 主張によれば,被告P1はわずか2万円弱のために被告P2と共謀等したことにな- 49 -るが,動機として弱いことは否めないし,前記認定のとおり,サービス提供時間との関係で,問題の生じない形で実績記録票が作成されている場合もあったから,原告主張のように計画的に偽装工作等がされたとまで認めることも困難である。そして,被告P1は,キャン・デイの管理者であり,キャン・ディアの業務も行っていたものの,キャン・ドゥについては,息子が利用する(甲105,157等)以外 に自ら業務を執り行っていたことはうかがわれず,キャン・ドゥ開設当初の被告P1の行為から,被告P1がキャン・ドゥにおける書類作成を主導していたことが推認されると認めることはできないし,被告P2のタイムカードを被告P1が管理していた(甲71ないし76,86ないし89)からといって,被告P2はキャン・デイの業務にも従事していたから,キャン・ドゥの業務を被告P1が主導していた との原告の主張が基礎付けられるともいえない。 むしろ,被告P2が前記認定のような資料が配布された同年5月22日の集団指導の約1週間後に,「身の危険を感じました」と記載した退職届や自らがしていたことが「違法行為だと気づいた」などと記載したヒヤリハット報告書を提出し,原告を退職するに至ったという経緯は,被告P2が自ら積極的に前記認定のような実 績記録票や業務日誌を作成していたわけではないことをうかがわせる づいた」などと記載したヒヤリハット報告書を提出し,原告を退職するに至ったという経緯は,被告P2が自ら積極的に前記認定のような実 績記録票や業務日誌を作成していたわけではないことをうかがわせるものというべきである。以上の認定に反する原告の主張は前記認定の事実関係や証拠と整合せず,採用できない。 以上のように,「身体介護時給」等を支払う立場にある原告(原告代表者やP5)において,居宅介護費や移動支援費の支給要件を意識した行動をとっておらず, むしろこれらの支給要件に該当する行為がされていないことを認識しながら,実績記録票を上げることができるよう業務日誌の内容の修正等の検討を指示し,それを踏まえて被告P1において,業務日誌の内容を修正等し,実績を上げて,原告が居宅介護費や移動支援費を請求するとともに,被告P2らに対して身体介護時給等を支払ったのであるから,原告(原告代表者やP5)は,そのような場合にも,従業 員が利用者に対してサービスを提供したことに伴う時給を支払うことを前提として- 50 -行動していたとみるほかない。そして,その際に,原告として実績記録票を上げることや,サービスを提供した旨業務日誌に記載することをやめさせなかったことに照らせば,それ以前から,原告代表者やP5が同様の認識であったことが推認されてもやむを得ないというべきである。 オ以上の検討によれば,原告の上記主張を採用することはできず,従業員 が利用者に対して,原告社内において居宅介護や移動支援として扱われるサービスを提供した場合には,時給の請求権が発生すると解される。そうすると,原告において,被告P2やP3がした行為が居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当しないことを主張立証するだけでは,被告が「法律上の原因なく」利益を受け,原告に 請求権が発生すると解される。そうすると,原告において,被告P2やP3がした行為が居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当しないことを主張立証するだけでは,被告が「法律上の原因なく」利益を受け,原告に損失を及ぼしたこと(民法703条)の立証をすることができたとはいえないこと になる。 ただし,「身体介護時給」という名目では,他の時給と異なり,1500円という高い金額が支払われていたが,少なくとも被告P2及びP3は身体介護に値するサービスを提供していなかったから,児童4番に対するサービスの提供に限って,時給として1500円を支払う合理的理由はないというべきである。したがって, 被告P2やP3が利用者に対して何らかのサービスを提供した場合には,1000円の限度で時給を請求できると解するのが相当であり,それを超える500円分については法律上の原因がないというべきである。 (3) 被告P2に対する不当利得返還請求の可否ア被告P2による利用者に対するサービス提供の有無 サービスの提供実態がないことは不当利得返還請求の請求原因として原告が主張立証する必要があると解され,原告はそのような主張もしているが,利用者(児童1番等の親権者)が実績記録票に確認印を押したことからすると,居宅介護費や移動支援費の支給要件に該当しないとしても,利用者に対して何らかのサービスを提供したものと推定される。したがって,原告においては,被告P2が利用者 に対して何らのサービスも提供せず,時給の請求権が発生しなかったことを具体的- 51 -に主張立証する必要がある。 そこで,検討すると,まず,平成24年12月12日の児童4番に対する居宅介護サービスの提供に関しては,実績記録票(甲27の10)の「算定時間数」に「2」(時間)と記載され 主張立証する必要がある。 そこで,検討すると,まず,平成24年12月12日の児童4番に対する居宅介護サービスの提供に関しては,実績記録票(甲27の10)の「算定時間数」に「2」(時間)と記載され,身体介護時給も2時間分が支払われているものの(別紙「不当利得一覧表(被告P2関係)」参照),「サービス提供時間」欄には18時 15分にサービスを提供し,19時15分にサービスを終了したことが記載されており,サービス提供時間は1時間であったと認められる。そして,この記載は被告P2のタイムカードの記録とも整合的である(別紙「実績記録票の記載と被告P2のタイムカードの記載との対照表」参照)。したがって,被告P2がその日の分として支払を受けた身体介護時給1時間分(1500円)は不当利得ということにな る。 次に,原告は,別紙「実績記録票の記載と被告P2のタイムカードの記載との対照表」記載のとおり,タイムカードの出退勤時刻と実績記録票のサービス提供時刻とが整合していないことを指摘している。しかし,そもそも,本件で被告P2は,実績記録票に記載されている時間は実際のサービス提供時間と異なると供述してい るから,タイムカードの出退勤時刻と実績記録票のサービス提供時刻とを比較する形での主張立証に特に意味があるとは考えられないし,甲53ないし55で被告P2によるサービス提供実態が全くなかったことが陳述されているわけでもない。むしろ,P24は,午後5時以降も児童4番を預かってもらっていたと証言しており,児童4番の面倒をP24も被告P2らも誰もみていなかったとは考え難いから,児 童4番に対するサービスの提供実態はあったと認められる。そして,上述したとおり,児童1番,児童2番,児童3番及び児童5番についても,親権者が実績記録票に確認印を押した たとは考え難いから,児 童4番に対するサービスの提供実態はあったと認められる。そして,上述したとおり,児童1番,児童2番,児童3番及び児童5番についても,親権者が実績記録票に確認印を押したことから,午後5時以降も児童を預かっていたなど,何らかのサービス提供実態があったことが推定されるところ,原告からこの推認を妨げるほどの主張立証がされているとはいえない。 もっとも,原告はタイムカードに出勤の記載がない日について,そもそも出勤実- 52 -態がなく,サービス提供実態もないと主張しており,別紙「実績記録票の記載と被告P2のタイムカードの記載との対照表」の「タイムカードの記載」欄が「…」とされている日(平成24年5月9日と同年8月30日)は,タイムカードに記載がない日である。これについて,被告P2は,そのような日はタイムカードのトラブルがあった等と主張するが,証拠(甲71ないし76,86ないし89)によれば, 被告P2のタイムカードについては,打刻忘れ等に対応するための手書きによる修正と被告P1による確認印の押捺が随所に施されており,記載の正確性について日頃からよく管理されていると認められるから,そのような修正すらなされていない日については,就労が全くされなかったと認めるのが相当である。したがって,タイムカードに記載がない日の分の身体介護時給等として支払われた分については, 不当利得と認められる。 以上より,原告が不当利得返還請求をしている時給に関し,被告P2が何らのサービスを提供していなかったと認められるのは,平成24年5月9日と同年8月30日の各2時間のサービス,上記平成24年12月12日の児童4番に対する1時間分のサービスのみであり,その余については,被告P2が何らのサービスも提供 していなかった 4年5月9日と同年8月30日の各2時間のサービス,上記平成24年12月12日の児童4番に対する1時間分のサービスのみであり,その余については,被告P2が何らのサービスも提供 していなかったと認めることはできない。したがって,原告の被告P2に対する不当利得返還請求は,基本的には理由がないが,次の請求の限度では理由があるというべきである。 (ア) 児童4番に対するサービスの提供分について,時給1500円と1000円の差額に相当する額(5万7000円)(前記(2)オの末尾参照。別紙「不当 利得一覧表(被告P2関係)」の「児童4番」の「時間」欄の合計114時間×500円)(イ) 平成24年12月12日の児童4番に対するサービス提供実態がない1時間分の時給に相当する額(1500円。ただし,上記(ア)の分を除くと1000円) (ウ) タイムカードに記載がない平成24年5月9日と同年8月30日の分- 53 -として支払われた時給(5000円。ただし,上記(ア)の分を除くと4000円)イ不法原因給付の抗弁の成否被告P2は,居宅介護費等の不正受給を企てた原告が被告P2に既払時給の返還を求めるのは不法原因給付に当たると主張するが,上記で述べたように身体介護時給等の支払は居宅介護費等の支給要件と関係を持つものではないと解されるか ら,被告P2の主張を前提にしても,原告が被告P2に対して支払った給与が不法な原因のためにされた給付(民法708条本文)に当たるとまで認めることはできない。 ウ以上より,原告の被告P2に対する不当利得返還請求は,上記アの末尾記載の限度で理由がある。また,前記認定の身体介護時給や移動支援時給が支払わ れるに至った経緯や業務日誌の作成状況が必ずしも明らかでないこと等に照らせ 2に対する不当利得返還請求は,上記アの末尾記載の限度で理由がある。また,前記認定の身体介護時給や移動支援時給が支払わ れるに至った経緯や業務日誌の作成状況が必ずしも明らかでないこと等に照らせば,被告P2が悪意の受益者に当たるとまで認めることはできない。そして,原告の請求は,被告P2が悪意の受益者に当たらない場合には,不当利得返還債務に対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する趣旨と解されるから,付帯請求は,原告が被告P2に対して不当利得返還請求をした日である訴えの変更申立書 の送達日(平成28年12月8日。当裁判所に顕著な事実)の翌日から支払済みまでの遅延損害金の支払請求の限度で理由がある。 (4) 被告P1に対する不当利得返還請求の可否事案に鑑み,まず,P3が被告P1に対して原告から支払を受けた身体介護時給及び家事援助時給を渡していたかについて検討する。 この点については,P7が原告の主張に沿う陳述・証言をしているのに対し,P3はこれを否定する証言をし,被告P1もこれを否定する供述をしている。 そこで,P7の証言の信用性について検討すると,P7は,P3が退職して,最後に本社事務所に来たときに,給与が入った封筒を被告P1のかばん入れたのを見たと証言しているが,P3はこれを否定する証言をしており,その証言は一貫し, それなりに説得力のある内容となっているから,客観的証拠のない本件では,P7- 54 -の証言を直ちに採用することは困難である。また,P7はP5がP3に聞くと,居宅介護サービスの給与を被告P1に全部渡しているとの事だったと陳述していたが(甲52),証人尋問においては,P5とP3の会話の流れは知らないと証言しており,証言・陳述の内容が一貫していない。したがって,P7の上記証言を を被告P1に全部渡しているとの事だったと陳述していたが(甲52),証人尋問においては,P5とP3の会話の流れは知らないと証言しており,証言・陳述の内容が一貫していない。したがって,P7の上記証言を直ちに採用することはできない。 したがって,P3が被告P1に対して原告から支払を受けた身体介護時給及び家事援助時給を渡したと認めることはできないから,P3が利用者に対して何らかのサービスを提供したかを判断するまでもなく,原告の被告P1に対する不当利得返還請求には理由がないこととなる。 13 結論 以上によれば,原告の請求は被告P2に対し,不法行為に基づき主文第1項の請求をするとともに,不当利得返還請求権に基づき主文第2項の請求をする限度で理由があるから,それらの限度で認容することとし,被告会社及び被告P1に対する請求並びに被告P2に対するその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 髙松宏之 裁判官 野上誠一- 55 - 裁判官 大門宏一郎- 56 -別紙原告の主張(請求の原因等) 第1 被告らの共同不法行為等又は不正競争防止法 大門宏一郎- 56 -別紙原告の主張(請求の原因等) 第1 被告らの共同不法行為等又は不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求 1 被告P1及び被告P2は,新会社(被告会社)に原告の従業員,顧客,物的 設備・情報を移転させた上,原告の事業継続を困難ならしめ,廃止させる企図のもとに,次の各行為を行った。なお,被告P1が原告と同種の事業を行うことを決めたのは,遅くとも平成25年2月頃である。 2 被告P1と近しい原告の従業員の雇用関係解消行為(1) 被告P1の行為 被告P1は,平成25年5月頃から同年6月頃にかけて,原告の従業員であったP14,P15,P17,被告P2及びP19に対し,原告を退職するよう促した。そして,同月中旬頃にP17及びP19が,同月30日にP14及びP15が,同年7月6日に被告P2が,それぞれ退職し,その後,P14,P15,P17及び被告P2は被告会社に就職した。 (2) その他の事実関係P14は被告P1の妹,P15はP14の友達,P17は被告P1との縁で原告に就職した人物,P19は被告P1の夫の元部下である。そして,被告P2は,原告在籍時に,先輩として被告P1を慕っており,また,被告P1と原告に対する不法行為をともにしていたものである。このように,P14らは被告P1と近しい 関係にある。 また,P14らが退職した結果,キャン・ディアにおいて利用者数に応じた人員配置ができないなどという状況が生じた。 (3) 評価ア被告P1と近しい関係にある者が近接した時期に5名退職し,そのうち 4名が被告会社に就職したところ,次の就職先の見込みがないにも関わらず退職す- 57 -るこ じた。 (3) 評価ア被告P1と近しい関係にある者が近接した時期に5名退職し,そのうち 4名が被告会社に就職したところ,次の就職先の見込みがないにも関わらず退職す- 57 -ることは不自然であり,被告P1が被告会社で採用することを約するなどして,P14らに働きかけたことによって,同人らが一斉退職を計画・実行したと推認できる。 イ被告P1は,雇用契約上,原告に対し誠実義務を負っていたところ,被告P1がキャン・ディアのシフトを編成していたこと,P14らが一斉退職すれば, 原告がこれに対応できないことは被告P1において予見可能であること,実際,原告はP21をキャン・ディアに配置するなどして対応したこと等からすると,被告P1の行為は,社会的相当性を逸脱し,原告の営業力・競争力を著しく減退させるもので原告の営業を阻害する行為といえ,誠実義務に反し,また不法行為としての違法性を有するといえる。 3 原告の従業員に対する退職働きかけ行為(1) 被告P1の行為ア P16に対する行為被告P1はキャン・ディアの勤務シフトを編成する権限を有していたところ,平成25年3月中旬頃に原告に入社したP16に対し,「会社が常勤で雇っても, 私は認めない。」等と述べた上で,同年4月頃,翌月である5月分の勤務シフトについて,勤務日を入れない又はこれまでの勤務日から相当少ない日数しか入れないシフトを作成するなどし,同人に示した。以上の嫌がらせの結果,P16は,同年4月末に,1か月半という短期間で原告を退職した。 イ P13に対する行為 被告P1は,P13について,平成25年1月頃,翌月である2月分の勤務シフトについて,勤務地をそれまでのキャン・デイからキャン・ディアに変更した上で,従前の勤務日より相当少ない日数し 行為 被告P1は,P13について,平成25年1月頃,翌月である2月分の勤務シフトについて,勤務地をそれまでのキャン・デイからキャン・ディアに変更した上で,従前の勤務日より相当少ない日数しか入れないシフトを作成するなどした。 また,被告P1は,P13について,同年3月及び同年4月も,同年1月と比較して相当少ない日数を勤務日とするシフトを作成するなどした。以上の嫌がらせの結 果,P13は,同年4月末に原告を退職した。 - 58 -ウ P21及びP8に対する行為被告P1は,平成25年6月頃,P21及びP8に対し,それぞれ「この会社は真っ黒です。あなたの経歴に傷がつくから退職しなさい。」,原告は近いうちに事業ができなくなり潰れるなどと述べ,退職するように促した。 (2) 評価 ア P16及びP13に対する行為被告P1は,労働契約の存続中,原告に対して誠実に労務を提供する義務を負っていたところ(労働契約法3条4項等),シフト作成権限があることを利用して,P16及びP13に勤務日を割り当てないことによって,P16及びP13が退職せざるを得ない状況を作出し,実際,P16及びP13が退職したものである から,被告P1には誠実義務違反が認められる。そして,従業員が退職すれば,新規採用や異動等で人員の確保が必要となるため,被告P1の行為は,原告の権利・利益を侵害するものであり不法行為における違法性を有する。 イ P21及びP8に対する行為P21は平成25年6月からキャン・ディアの業務に従事し,被告P1退職 後,キャン・ディアの管理者となることになっていた。また,P8は知識も実務経験もあり,また実務能力も優れていた上,児童発達支援管理責任者の資格も有し,P21が退職するのであれば,キャン・ディアの管理者 ,キャン・ディアの管理者となることになっていた。また,P8は知識も実務経験もあり,また実務能力も優れていた上,児童発達支援管理責任者の資格も有し,P21が退職するのであれば,キャン・ディアの管理者となり得るのはP8であった。 被告P1のP21及びP8に対する行為は,キャン・ディアの事業を継続すること が不可能になるよう企図して行ったものと評価できる。そして,原告がキャン・ディアの事業を継続することが不可能になれば,被告会社に原告の従業員や顧客,物的設備・情報を移転させることが容易になることから,被告P1の行為は前記1記載の企図があったことを推認させる1つの事実と評価できる。 4 原告の顧客等に対する信用毀損行為 (1) 被告P1の行為- 59 -ア被告P1は,平成25年5月23日,さかい障がい児放課後連絡会において,当時の会長であったP27に対し,「キャンは人員体制が整っていない。」,「管理者は何も知識がない。」などの発言をした。 イ被告P1は,平成25年6月20日,移動支援ネットワーク・さかいの会議において,NPO法人栄友社代表のP30ら参加者に対し,「キャン・ドゥは 今月で閉鎖します。」との報告を行なった。 (2) 被告P2の行為被告P2は,平成25年5月30日から同年6月10日にかけて,キャン・ドゥの利用者複数名に対し,「誠に勝手都合で申し訳ないのですが,6月からキャン・ドゥの全サービスを休止させて頂きます。理由としましては,ヘルパーの人員 確保ができなくなったことと経営の不手際があったため,充分なサービスの提供が難しくなったことによります。再開のめどは今のところたっていません。(不手際の内容については本社株式会社キャンの社長,P4にお確かめ下さい。)つきましては,契約の継続 たため,充分なサービスの提供が難しくなったことによります。再開のめどは今のところたっていません。(不手際の内容については本社株式会社キャンの社長,P4にお確かめ下さい。)つきましては,契約の継続,解除等のことにつきましては,株式会社キャンのP4まで,ご連絡お願いします。」と記載された書面(甲8。以下「本件書面」という。)を送り つけた。 (3) 被告P1及び被告P2の行為被告P1及び被告P2は,平成25年5月から平成26年12月頃にかけて,別紙「児童氏名一覧表」記載14番及び19番の児童の親権者(以下,同別紙記載の児童をその番号で「児童○番」と表記することがある。),その他障がいを有する 児童の親権者,障がい児本人,障がい児が利用する施設の運営者・従業員等に対し,キャン・デイでは子どもにおやつをあげるとき「お手」,「おかわり」と言わせている,虐待をしている,子どもを道具のように扱いお金のことしか考えていない等の噂を流布した。 (4) 評価 ア上記(1)の各発言は原告の営業上の信用を毀損する行為であるところ,- 60 -原告の人員体制は整っており,管理者の知識も十分であったし,平成25年6月当時,キャン・ドゥを閉鎖する予定など全くなかったから,その内容は虚偽である。 これらの発言は福祉事業関係者らに対してなされたものであるが,さかい障がい児放課後連絡会及び移動支援ネットワーク・さかいには,原告と同様に,障がい児に対する事業を行う事業者が参加しており,その事業者の利用者等が原告を利用しよ うとしたり,その評判を確認したりした際に,事業者から利用者に対し,原告に対する悪評が伝えられたり,噂として悪評を聞いたりすることにより,利用者において,原告の利用を控えたり,原告との利用契約を解約したりする可能性 評判を確認したりした際に,事業者から利用者に対し,原告に対する悪評が伝えられたり,噂として悪評を聞いたりすることにより,利用者において,原告の利用を控えたり,原告との利用契約を解約したりする可能性がある。そのため,上記発言は,原告の利用者減少という結果と相当因果関係を有する行為である。 イ上記(2)の言動は,原告の営業上の信用を毀損する行為であるところ,当時,キャン・ドゥではヘルパーの人員は確保されていたし,不手際も起こしておらず,休止の予定も全くなかった。 この言動は原告の利用者に向けて直接行われたものであり,利用者が原告との利用契約を解約し,原告の既存利用者が減少する可能性が生じるし,上記連絡内容が 流布されることにより,原告の新規利用者が減少する可能性が生じる。そのため,上記言動は,原告の利用者減少という結果と相当因果関係を有する行為である。 ウ上記(3)の言動のうち「子どもを道具のように扱いお金のことしか考えていない」については,原告が利用児童に対し真摯なサービスを提供することなく,児童は利益をあげる道具であるとの方針にて事業を運営しているという事実を摘示 するものであり,原告の名誉・信用を毀損するものである。その他の発言は,原告の営業上の信用を毀損する行為である。しかし,キャン・デイで上記のようなことがあった事実はない。 これらの言動は,障がい児童の保護者,障がい児童及び障がい児童らが利用する施設の運営者・従業員等に対しなされたものであるが,それらの者が,原告の利用 を控えたり,噂をさらに流布することによって,原告の既存利用者が減少したり,- 61 -それを聞いた潜在的利用者が原告の利用を控える等して新規利用者が減少する可能性が生じる。実際,児童14番は,原告の利用を終了し, に流布することによって,原告の既存利用者が減少したり,- 61 -それを聞いた潜在的利用者が原告の利用を控える等して新規利用者が減少する可能性が生じる。実際,児童14番は,原告の利用を終了し,被告会社を利用することになった。そのため,上記言動は,原告の利用者減少という結果と相当因果関係を有する行為である。 5 事業所閉鎖という虚偽告知 (1) 被告P1の行為前記4(1)イと同じ。 (2) 被告P2の行為前記4(2)と同じ。 (3) 評価 平成25年6月でキャン・ドゥを閉鎖するというのは虚偽の事実であり,原告の利用者が,同月でキャン・ドゥのサービスを休止する予定である旨を聞いたならば,休止前に原告の利用を控えたり,他の施設を利用したりするのが通常であるため,上記言動は,原告の利用者減少という結果と相当因果関係を有する不法行為である。 6 原告に対する業務妨害行為(1) 被告P1の行為被告P1は,平成25年6月19日及び同月20日,キャン・デイにおいて,利用回線が1本しかない固定電話を利用し,原告の業務に不要な電話をかけ続けた。 具体的には,被告P1は,同月19日には約5時間にわたり電話をかけ続け,P7 らが業務に支障が出るため電話の利用を止めるように伝えたにもかかわらず,これを継続し,同月20日も午前11時から同様の電話をかけ続けていたため,P32においてこれ以上,業務に支障が出ることを防ぐために,新規に携帯電話を契約し,これを被告P1に交付する必要が生じた。 被告P1は,以上の行為により,原告の利用者等が原告と連絡がとれない状況を 作り,原告の業務を妨害した。 - 62 -(2) 評価被告P1が原告の利用者に対して原告を退職する旨連絡することは,被告P1の後任 より,原告の利用者等が原告と連絡がとれない状況を 作り,原告の業務を妨害した。 - 62 -(2) 評価被告P1が原告の利用者に対して原告を退職する旨連絡することは,被告P1の後任としてP21が勤務している状況においては,特段の必要性は認められない。 被告P1は,労働契約の存続中,原告に対して誠実に労務を提供する義務を負っていたところ(労働契約法3条4項等),有給休暇を取得している最中に,原告の業 務上不要な電話を行うことはこの義務に反し,また違法性を有する行為である。 そして,被告P1の上記行為により,原告の利用者から,欠席の電話や利用の電話がつながらないという苦情が寄せられることになったところ,電話がつながらないことで利用者の満足度が低下し,原告との利用契約が解除されて既存利用者が減少したり,利用予定者からの問い合わせの電話がつながらないことで,新規利用者 が減少したりする可能性が生じる。そのため,上記行為は,原告の利用者減少という結果と相当因果関係を有する行為である。 7 原告の顧客に対する被告会社への利用勧誘行為(1) 被告P1及び被告P2の行為被告P1及び被告P2は,平成25年2月頃から平成26年4月頃にかけて, 原告の顧客(少なくとも,別紙「児童氏名一覧表」記載3番,4番,8番ないし18番及び20番ないし40番の児童の親権者)に対し,被告会社を設立することを告げ,キャン・デイ又はキャン・ディアの利用を終了して,被告会社との間で利用契約を締結するよう勧誘した。その結果,別紙「利用終了児童一覧表」(同別紙記載の「児童番号」は別紙「児童氏名一覧表」記載の番号である。)記載の児童がキャ ン・デイ又はキャン・ディアの利用を終了し,また同一覧表中,少なくとも「被告利用」欄に「○」がある児 」(同別紙記載の「児童番号」は別紙「児童氏名一覧表」記載の番号である。)記載の児童がキャ ン・デイ又はキャン・ディアの利用を終了し,また同一覧表中,少なくとも「被告利用」欄に「○」がある児童が被告会社のサービスを利用した。 (2) その他の事実関係被告P1及び被告P2は,勧誘に当たり,社外への持出し等が禁止されている原告が保有する利用者情報等を利用し,また前記4のような信用毀損行為を行った ほか,勧誘行為が前記6のような原告の業務を妨害する態様でされたこともあった。 - 63 -さらに,被告P1及び被告P2は,勧誘に当たり,キャン・ドゥだけでなく,キャン・デイやキャン・ディアも閉鎖する旨の虚偽の事実を告げた。 そもそも,原告と被告会社の潜在利用者は共通しており一定数に限られるところ,平成25年5月及び同年6月のキャン・デイ及びキャン・ディアの合計利用者数の平均は22.2人であり,そのうち少なくとも17人が原告を利用しなくなる一方 で,被告会社を利用しており,その数はキャン・デイ及びキャン・ディア平均利用者数の77%に相当する。そして,その利用終了時期が同年6月及び同年8月に集中していることからすると,原告が主張する以外にも,被告P1及び被告P2の勧誘行為によって,被告会社を利用するに至った元原告利用児童が相当数存在するものと思われる。 (3) 評価被告P1及び被告P2は,原告との労働契約の存続中,原告に対して誠実に労務を提供する義務を負っていたところ(労働契約法3条4項等),同義務に違反して,原告の在職中に原告の利用者に対し,勧誘行為を行ったほか,原告退職後も同様の勧誘行為を行った。そして,被告P1はキャン・デイの管理者,被告P2はキ ャン・ドゥの管理者であり,各事業の責任ある立場にあり,同人 原告の利用者に対し,勧誘行為を行ったほか,原告退職後も同様の勧誘行為を行った。そして,被告P1はキャン・デイの管理者,被告P2はキ ャン・ドゥの管理者であり,各事業の責任ある立場にあり,同人らはその立場を利用し,勧誘行為を行った。 以上のこと等を踏まえると,被告P1及び被告P2の勧誘行為は社会的相当性を逸脱したものであり違法性を有するといえる。そして,上記言動は,原告の利用者減少という結果と相当因果関係を有する行為である。 8 原告の什器備品の持出し行為(1) 被告P1及び被告P2の行為被告P1及び被告P2は,平成25年5月1日から遅くとも同年6月30日までの間(おそらくキャン・ディアの休業日である同年5月3日から同月6日の連休の間)に,キャン・ディア内の2階に設置されていた原告所有にかかる①60㎝× 120㎝のスチール製会議テーブル(以下「本件机」という。)及び②60㎝×9- 64 -0㎝のスチール製鍵付書庫(以下「本件書庫」という。)各1個を無断で持ち出した。 キャン・ディアの建物は施錠されており,ドアや窓が壊される等,窃盗犯が侵入した形跡がなかったことから,これらの搬出は建物の鍵を保有していた者によってなされたといえる。そして,被告P1及び被告P2は,建物の鍵を預かり保管中で あり,本件机は大きく,女性一人で搬出することは不可能であるから,被告P2がこれを手伝ったものと推認される。 (2) 評価被告P1及び被告P2の上記行為は,財産権侵害行為であり,違法性を有する。 また,本件机及び本件書庫は,被告会社に設置され,利用されていると推測される ところ,上記行為は,原告から物的資源を奪い取ったり,原告において代替品を調達するなどで本来の業務に従事できない時間を作出したりすることを 庫は,被告会社に設置され,利用されていると推測される ところ,上記行為は,原告から物的資源を奪い取ったり,原告において代替品を調達するなどで本来の業務に従事できない時間を作出したりすることを目的としており,被告P1及び被告P2が前記1記載の企図を有していたことを推認させる事実といえる。 9 原告の情報の持出し・抹消行為 (1) 被告P1の行為被告P1は,平成25年6月4日から同年6月末日までの各火曜日に,キャン・デイ及びキャン・ディアの各事務所を訪れ,各事業所のパソコン内に保存されていた顧客情報,顧客に送付する書面のテンプレート文章,他の事業所との間のメール,顧客との間の連絡メール,行政機関との間のメール,通所支援計画,その他 業務に必要なデータを原告の許可なく消去した。 また,被告P1は,同月4日から同年6月末日までの各火曜日に,有給休暇消化期間中であるにもかかわらず,キャン・デイ及びキャン・ディアの事務所を訪れ,業務日誌,個別支援計画書,運行表フォーマット,ひやりハット表,利用者と交わした記録書面,年賀状,名刺,タイムカードのコピー,子どもたちの様子を撮影し たDVD,子どもたちの日常の様子を写した写真等を原告の許可なく持ち帰った。 - 65 -(2) 評価被告P1の上記行為は,雇用契約上の誠実義務違反や財産権侵害行為であり,違法性を有する。また,被告P1及び被告P2が前記1記載の企図を有するとともに,原告の資産を被告会社にて利用しようとする意図を有していたことを推認させる事実といえる。 10 前記2ないし9の各行為の評価前記2及び3の各行為により原告に人的資源の喪失という結果を生じさせ,前記4ないし7の各行為により原告の顧客の減少という結果を生じさせ,前記8及び9の各行為によ 10 前記2ないし9の各行為の評価前記2及び3の各行為により原告に人的資源の喪失という結果を生じさせ,前記4ないし7の各行為により原告の顧客の減少という結果を生じさせ,前記8及び9の各行為により原告に物的資源・情報の喪失という結果を生じさせた。これらの行為が競合することによって,原告はキャン・デイ及びキャン・ディアの事業価値を 毀損され,最終的に,平成26年5月末をもってキャン・ディアの事業は廃止された。 そして,これらの行為はすべて,被告P1及び被告P2による前記1記載の企図のもとに行われたものであるため,一連の行為として評価すべきである。 11 原告の損害 (1) 営業上の損害前記2ないし9の一連の行為によって,原告に次の損害(合計7891万8000円)が発生した(甲34)。 ア平成25年9月から平成26年8月までの損害額(合計3044万5000円) (ア) キャン・ディア分 1683万7000円(イ) キャン・デイ分 1360万8000円イ平成26年9月から平成27年8月までの損害額キャン・ディア分 4847万2000円(2) 無形損害(民法710条) 前記4の信用毀損行為によって原告に生じた信用低下等の無形損害の額は,1- 66 -000万円を下らない。 すなわち,前記4の(1)の各発言は,福祉事業関係者らが出席する会議においてなされたものであるため,原告の業界における同業者や取引業者等からの信用が低下した。 また,同(2)の文書配布は,キャン・ドゥの利用者に対してなされたが,文書と いう後に残る形で配布することによって,利用者を通じて広く流布される可能性があり,実際,原告は利用者だけではなく,同業者からも閉鎖するのかの問い合わせを受けている。そのため なされたが,文書と いう後に残る形で配布することによって,利用者を通じて広く流布される可能性があり,実際,原告は利用者だけではなく,同業者からも閉鎖するのかの問い合わせを受けている。そのため,この行為によって,原告の業界における同業者や取引業者等からの信用が低下した。 さらに,同(3)の発言は,施設の運営者・従業員等に対してもなされており,原 告の業界における同業者や取引業者等からの信用が低下した。 そして,原告はキャン・デイ及びキャン・ディア以外の事業も営んでいるため,上記(1)の営業上の損害の賠償だけでは填補されない損害が発生している。 (3) 弁護士費用上記(1)及び(2)の損害の賠償請求について,原告は訴訟提起を余儀なくされた ため,弁護士費用が損害として認められるべきであり,合計1108万2000円が相当因果関係のある損害として認められるべきである。 12 被告らの責任(1) 被告P1及び被告P2の責任ア被告P1及び被告P2は,それぞれ一連の行為について民法709条 (不法行為)に基づく損害賠償責任を負うほか,前記4の信用毀損行為は不正競争に該当するから,同法4条に基づく損害賠償責任も負う。 同法2条1項15号(改正前の14号)の「競争関係」については,市場における競合が生じるおそれがあれば足りるものと解すべきである。被告P1は,原告と同様の目的を有する被告会社を設立したところ,それ以前からその意思があったこ とは明らかである上に,放課後等デイサービスを主たる業務とするすまいるガーデ- 67 -ンという事業所を開設し,原告と同じく堺市から指定を受けているほか,会社の目的や事業を行う地域等も共通しており,被告P2は被告会社の従業員となった。そして,被告P1及び被告P ガーデ- 67 -ンという事業所を開設し,原告と同じく堺市から指定を受けているほか,会社の目的や事業を行う地域等も共通しており,被告P2は被告会社の従業員となった。そして,被告P1及び被告P2の行為は,外形上,(設立予定の)被告会社のためにされたといえる。したがって,原告と被告P1及び被告P2の間は「競争関係」にあったというべきである。 イ前記2ないし9の各行為には,被告P1及び被告P2が単独でした行為も含まれているが,同人らは前記2ないし9の一連の行為を分担しており,また相互に教唆・幇助する関係にあるため,民法719条1項前段,後段又は同条2項に基づき,原告に生じた損害を連帯して賠償する責任を負う。 (2) 被告会社の責任 前記2ないし9の一連の行為によって利益を得ているのは被告会社であるところ,被告会社設立前に行われた被告P1及び被告P2の違法行為を被告会社として認識しながら,被告会社の利用者との利用契約を解消したり,原告の信用回復措置をとったりすることなく,違法行為により作出された状態を利用し,引き続き利益を得ている。したがって,被告会社には民法709条によって直接的に不法行為が 成立し,被告P1及び被告P2との間で民法719条1項前段,後段又は同条2項により共同不法行為が成立するから,これに基づき,被告P1及び被告P2と連帯して,原告に生じた損害を賠償する責任を負う。 また,前記4の信用毀損行為については,不正競争防止法4条に基づく損害賠償責任を負う。 仮に法人の責任として民法709条が直接適用されないとしても,被告会社は,被告P1の行為について民法715条又は会社法600条の(類推)適用,被告P2の行為について民法715条の(類推)適用により,被告P1及び被告P2と連帯して原告 接適用されないとしても,被告会社は,被告P1の行為について民法715条又は会社法600条の(類推)適用,被告P2の行為について民法715条の(類推)適用により,被告P1及び被告P2と連帯して原告に生じた損害を賠償する責任を負う。 持分会社の社員となろうとする者が開業準備行為を開始した段階で不正競争行為 により第三者に損害を加えた場合も,それにより一番利益を享受するのは設立後の- 68 -会社であるため,会社法600条等の趣旨が妥当するから,同条等(の趣旨)を類推適用すべきである。被告P2は上記段階では被告会社の社員でないが,被告P2の行為は,被告P1,ひいては被告会社の利益のためにされたものといえるから,被告P2の行為についても同様に解すべきである。 第2 被告P2及び被告P1に対する不当利得返還請求 1 被告P2に対する不当利得返還請求(1) 事実関係ア被告P2はキャン・ドゥにおいて居宅介護や移動支援事業等を行うことが業務であるため,同人が所定労働時間中に同業務を行っても,基本給以上に給与 を支給する予定はなかった。また,原告の認識では,被告P2は「管理監督者」(労働基準法41条2号)であると理解していたため,別途割増賃金を支給する予定はなかった。 しかし,被告P2以外の原告の従業員が,休日などに,ヘルパーとして居宅介護等を行った際には,家事援助及び移動支援は時給1000円,身体介護は時給15 00円という基準で給与計算し,別途の給与として支給していたところ,被告P2についても,被告P1から給与計算を行っていたP7に対し,該当月のサービス提供実績記録票のコピーや,居宅介護や移動支援を行った時間数が記載された紙等が提出されたときには,他の従業員と同様に給与計算し,支給されていた。 その 与計算を行っていたP7に対し,該当月のサービス提供実績記録票のコピーや,居宅介護や移動支援を行った時間数が記載された紙等が提出されたときには,他の従業員と同様に給与計算し,支給されていた。 その後,原告代表者は,被告P2について,当初予定していたことと違うことに 気づき,平成25年3月頃,被告P2に対し,今後は時給計算分の給与は支給しない旨を伝えたが,被告P2は興奮して,原告代表者らに詰め寄った。そこで,原告代表者は,仕方なく,引き続き,被告P2が,居宅介護や移動支援を行った場合には,行政から居宅介護費等が支給されることから,その一部を,時給計算による歩合給として別途支給することにした。なお,原告としては,当然,行政から居宅介 護費等が支給される要件を満たしているサービス提供実態があるものと理解してい- 69 -た。 このように,被告P2と原告との(黙示の)合意があるとしても,それはあくまで,被告P2が「居宅介護費」又は「移動支援費」の支給要件に該当する行為をした場合に,管理業務以外の現業手当的な意味合いで時給計算した給与を支給していたにすぎない。 イ被告P2から居宅介護サービス提供実績記録票及び移動支援サービス提供実績記録票が提出され,これには被告P2が別紙「不当利得一覧表(被告P2関係)」記載のとおり,居宅介護や移動支援のサービスを提供したことが記載されていた。そして,原告は,これに基づき,別紙「不当利得一覧表(被告P2関係)」記載のとおり,被告P2に対し,身体介護時給等として合計21万2500円を支 払った。 ウしかし,上記実績記録票に記載され,時給支払対象行為として申請された時刻は,タイムカードと矛盾していること(別紙「実績記録票の記載と被告P2のタイムカードの記載との対照表」 払った。 ウしかし,上記実績記録票に記載され,時給支払対象行為として申請された時刻は,タイムカードと矛盾していること(別紙「実績記録票の記載と被告P2のタイムカードの記載との対照表」参照)などから,出勤実態やサービス提供実態がない。したがって,身体介護時給等を支給する要件を満たさない。 エしたがって,原告は被告P2に対し,基本給に加えて歩合給的な身体介護時給等を支給する必要性はなく,上記支給分(21万2500円)は被告P2の不当利得である。 オ被告P2は,故意をもって不正に原告から金銭を受け取っていたから,悪意の受益者である。 (2) 被告P2の下記主張について被告P2の下記主張は否認し,争う。 被告P2は不法原因給付の主張をしているが,原告が支給を受けた居宅介護費及び移動支援費は,その時期に照らして,被告P2に対する身体介護時給等の原資となっていない。また,原告が被告P2に身体介護時給等を支給したことを原因とし て,居宅介護費及び移動支援費を受給できるわけではない。したがって,原告の被- 70 -告P2に対する身体介護時給等の支払は,何ら不法な原因に基づくものではない。 なお,被告P2が何らかの労務の提供を行っていたとしても,基本給とは別に,歩合給的な身体介護時給等の支給を受ける法律上の原因は存在しない。 2 被告P1に対する不当利得返還請求(1) 事実関係 ア原告代表者やP5は,被告P2以外の従業員について,休日等に,ヘルパーとして,居宅介護や移動支援を行ったのであれば,基本給等とは別に,時給計算による給与を支給する必要があると考えており,そのような理解のもと,時給計算による給与を別途支給していた。このように,P3と原告との(黙示の)合意 動支援を行ったのであれば,基本給等とは別に,時給計算による給与を支給する必要があると考えており,そのような理解のもと,時給計算による給与を別途支給していた。このように,P3と原告との(黙示の)合意があるとしても,それはあくまで,P3が「居宅介護費」の支給要件に該当する行為 をした場合に,時給計算した給与を支給する,という合意である。 イ被告P2から居宅介護サービス提供実績記録票が提出され,これにはP3が別紙「不当利得一覧表(P3関係)」記載のとおり,居宅介護のサービスを提供したことが記載されていた。そして,原告は,これに基づき,別紙「不当利得一覧表(P3関係)」記載のとおり,P3に対し,身体介護時給等として合計1万7 500円を支払った。 ウしかし,上記実績記録票に記載されているサービスの提供実態はなく,身体介護時給等を支給する要件を満たさない。 エしたがって,原告はP3に対し,基本給に加えて歩合給的な身体介護時給等を支給する必要性はなかった。 オ被告P1は,児童3番及び児童4番に対する居宅介護サービス提供実績記録票について,P3がサービスを提供したかのように装い,これを原告に対し提出させ,P3が原告から封筒に入った身体介護時給等の分の現金を手渡しで受け取った後,P3から同現金の交付を受けたものである。そのため,最終的な利得者は被告P1であり,上記1万7500円について,被告P1に不当利得が存在する。 (2) 被告P1の下記主張について- 71 -被告P1は原告代表者及びP5の指示があったと主張しているが,否認し,争う。ヘルパーらの協力を得てサービス提供実態のないホームヘルプサービス実施記録や居宅介護サービス提供実績記録票を作成すること,作出された居宅介護サービス提供実績記録 ったと主張しているが,否認し,争う。ヘルパーらの協力を得てサービス提供実態のないホームヘルプサービス実施記録や居宅介護サービス提供実績記録票を作成すること,作出された居宅介護サービス提供実績記録票に基づいて原告に対し給与を請求すること等は,被告P1及び被告P2の主導のもとに行われたことである。 なお,P3が何らかの労務の提供を行っていたとしても,それは基本給で支給される部分であり,別途,身体介護時給等が支給される要件を満たすものではない。 以上- 72 -別紙被告P1及び被告会社の認否・反論 ※ 次の数字は別紙「原告の主張(請求の原因等)」の各項目と対応している。 第1 被告らの共同不法行為等又は不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求 1 被告P1及び被告P2が原告主張のようなことを企図していたことは否認し,争う。なお,被告P1が原告と同種の事業を行うことを決めたのは,早くとも平成25年5月であった。 2 被告P1と近しい原告の従業員の雇用関係解消行為 (1) 被告P1がP14らに対し,原告を退職するよう促したこと及びP17の退職時期は否認し,原告のその余の主張は認める。P14らは自らの意思で原告を退職し,被告会社に就職したのである。 (2) 被告P1とP14らとの関係は,被告P2が被告P1と不法行為をともにしていたという点を除き,認める。原告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 なお,P21がキャン・ディアに配置されたのは,被告P1が原告に退職の意思を伝える前,平成25年5月であった。 (3) 被告P1と近しい関係にある者が近接した時期に5名退職し,そのうち4名が被告会社に就職したことは認めるが,原告のその余の主張は否認し,争う。 3 原告の従業員に対する退職働きかけ行為 (3) 被告P1と近しい関係にある者が近接した時期に5名退職し,そのうち4名が被告会社に就職したことは認めるが,原告のその余の主張は否認し,争う。 3 原告の従業員に対する退職働きかけ行為 (1) P16が平成25年4月中旬に原告を退職したこと,P13が同月末に原告を退職したことは認め,原告のその余の主張は否認する。 (2) P21がキャン・ディアの管理者となったことは認め,原告のその余の主張は否認し,争う。原告の主張によっても,従業員の退職が原告の営業上の利益侵害とどう関連するのか(因果関係)について明らかとされていない。 4 原告の顧客等に対する信用毀損行為- 73 -(1) 被告P1が平成25年5月23日,さかい障がい児放課後連絡会の役員会に出席したこと及び同年6月20日,移動支援ネットワーク・さかいの会議に出向いたことは認めるが,原告主張の発言をしたことは否認する。 (2) 不知。 (3) 被告P1の行為については否認し,被告P2の行為については不知。 (4) 児童14番が原告の利用を終了し,被告会社を利用するようになったことは認め,原告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 ア及びイにつき,P6が平成24年5月1日以降,キャン・ディアの管理者であったが,実際にはその業務に従事しておらず,被告P1がその業務を行っていた。 したがって,原告は人員体制が整っていなかった。また,原告も自認するとおり, キャン・ドゥでは居宅介護,移動支援事業を実際には行っておらず,それをするに足りる人員もいなかった。 5 事業所閉鎖という虚偽告知(1) 前記4(1)と同じ。 (2) 前記4(2)と同じ。 (3) 否認し,争う。 6 原告に対する業務妨害行為(1) 被告P1の行為被 。 5 事業所閉鎖という虚偽告知(1) 前記4(1)と同じ。 (2) 前記4(2)と同じ。 (3) 否認し,争う。 6 原告に対する業務妨害行為(1) 被告P1の行為被告P1は,平成25年6月19日頃及びその翌日(午前11時頃から),キャン・デイ又はキャン・ディアの事務所において利用者(の保護者)に電話をかけ たこと,P32が新規の携帯電話を契約し,被告P1に差し出したことは認め,原告のその余の主張は否認し,争う。 (2) 否認し,争う。被告P1は利用者(の保護者)に対し,電話で退職するとの報告や挨拶をしたのであるが,P5にそのために電話を使わせてほしいと願い出て,許可されていた。 7 原告の顧客に対する被告会社への利用勧誘行為- 74 -(1) 別紙「利用終了児童一覧表」記載の児童のうち,「被告利用」欄に「○」が付された児童が原告の利用を終了し,被告会社のサービスを利用したことは認め,原告のその余の主張は否認する。 (2) 原告の利用者名簿の社外持出しが禁止されていたこと,原告の利用を終了し,被告会社のサービスを利用した児童は上記(1)のとおりであることは認め,原 告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 (3) 被告P1がキャン・デイの管理者,被告P2がキャン・ドゥの管理者であったことは認め,原告のその余の主張は否認し,争う。 8 原告の什器備品の持出し行為(1) 本件机及び本件書庫の設置場所は認め,原告のその余の主張は否認し,争 う。 (2) 否認し,争う。 9 原告の情報の持出し・抹消行為(1) そもそも,原告主張のデータ等は特定されていないし,それらが存在していたこと自体,不知又は否認する。また,被告P1の行為についても否認する。 ( 9 原告の情報の持出し・抹消行為(1) そもそも,原告主張のデータ等は特定されていないし,それらが存在していたこと自体,不知又は否認する。また,被告P1の行為についても否認する。 (2) 業務日誌に該当するものや年賀状,名刺等が存在していたこと,他の事業所の職員の名刺等を数枚持ち帰ったことは認め,原告のその余の主張は否認し,争う。名刺を数枚持ち帰ったことに特段の違法性はないし,原告から求められれば返還する。 10 前記2ないし9の各行為の評価 キャン・ディアの事業が廃止されたことは認め,原告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 11 原告の損害(1)・(2)・(3) 否認し,争う。原告が主張する権利侵害行為と営業上の損害との因果関係は不明確である。 12 被告らの責任- 75 -(1) 被告P1が被告会社を設立し,その目的や事業を行う地域等が原告と共通することは認め,原告のその余の主張は否認し,争う。 被告会社が存在しない時点での不正競争行為なるものは観念できないから,その時点における競争関係の主張は,主張自体失当である。なお,キャン・デイとすまいるガーデンは近隣に存在しているが,平成26年5月1日に原告の方から近隣地 に移転してきたのである。 (2) 否認し,争う。 第2 被告P2及び被告P1に対する不当利得返還請求 1 (被告P2に関する事実につき,認否不要) 2 被告P2が原告に提出した実績記録票の記載内容,P3が居宅介護費の行政上の支給要件に該当する行為をしたことがないこと,原告が居宅介護費の支給を受けたことは認め,原告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 原告とP3との間の雇用契約では,原告から「身体介護時給」等の名目で,基本給とは別途の歩合給が支払 ないこと,原告が居宅介護費の支給を受けたことは認め,原告のその余の主張は不知又は否認し,争う。 原告とP3との間の雇用契約では,原告から「身体介護時給」等の名目で,基本給とは別途の歩合給が支払われる約束であった。P3が原告の指示のもと労務提供 を行ったのであるから,これに対して対価が支払われない理由はなく,居宅介護費の支給要件に該当する行為のみならず,事業所の開所前又は閉所後の子どもたちの送迎の仕事をしたとき,時間当たりの単価に労働時間を乗じた額が「身体介護時給」等として支払われるとの明示又は黙示の合意があった。 また,居宅介護サービス等について,実際にその支給要件を満たさないのに,満 たすかのように書類を作成していたのは,全て原告,すなわち原告代表者及びP5の判断,指示によるものである。 以上- 76 -別紙被告P2の認否・反論 ※ 次の数字は別紙「原告の主張(請求の原因等)」の各項目と対応している。 第1 被告らの共同不法行為等又は不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求 1 否認し,争う。 2 被告P1と近しい原告の従業員の雇用関係解消行為(1)・(2) 不知又は否認し,争う。被告P2は,原告の退職を決意した時点では,被告P1に雇ってもらうことや被告会社に就職することなど全く考えていなか った。 3 原告の従業員に対する退職働きかけ行為(1)・(2) 不知又は否認し,争う。 4 原告の顧客等に対する信用毀損行為(1) 不知又は否認し,争う。 (2) 認める。本件書面は,被告P2が原告代表者に作成を提案したところ,原告代表者も了解し,P7に指示して作成させ,配布したものである。 (3)・(4) 不知又は否認し,争う。 被告P2が退職した時点で,キャン・ドゥ 面は,被告P2が原告代表者に作成を提案したところ,原告代表者も了解し,P7に指示して作成させ,配布したものである。 (3)・(4) 不知又は否認し,争う。 被告P2が退職した時点で,キャン・ドゥの従業員は被告P2だけであったから,被告P2が原告を退職する以上,キャン・ドゥの全サービスは休止となり,そのこ とを本件書面を配布して利用者に知らせることは当然のことであった。また,当時,キャン・ドゥにヘルパーの人員はおらず,原告代表者も被告P2が退職届を提出した際に確認したところ,被告P2が退職した後,キャン・ドゥを休止せざるを得ないことを認めていた。 また,原告は経営の不手際はない旨主張しているが,後記第2のとおり架空請求 をしていたほか,人員(ヘルパー)の確保ができていなかった。それだけでなく,- 77 -被告P2は,キャン・ドゥの業務のほかキャン・デイとキャン・ディアの業務もかけもちで行わされており,キャン・ドゥの管理者である被告P2がキャン・ドゥに専従できない勤務体制・人員配置となっていたなど,経営の不手際は存在した。 5 事業所閉鎖という虚偽告知(1) 前記4(1)と同じ。 (2) 前記4(2)と同じ。 (3) 否認し,争う。 6 原告に対する業務妨害行為(1)・(2) 不知又は否認し,争う。 7 原告の顧客に対する被告会社への利用勧誘行為 (1)・(2) 不知又は否認し,争う。 8 原告の什器備品の持出し行為(1)・(2) 不知又は否認し,争う。 9 原告の情報の持出し・抹消行為(1)・(2) 不知又は否認し,争う。 10 前記2ないし9の各行為の評価不知又は否認し,争う。 11 原告の損害(1)・(2)・(3) 否認し,争う。 12 被告らの責任 (1)・(2) 不知又は否認し,争う。 10 前記2ないし9の各行為の評価不知又は否認し,争う。 11 原告の損害(1)・(2)・(3) 否認し,争う。 12 被告らの責任 (1) 被告P1が被告会社を設立し,その目的や事業を行う地域等が原告と共通することは認め,原告のその余の主張は否認し,争う。 被告会社がすまいるガーデンを開業した当時,キャン・デイは堺市<以下略>にあったから,市場における競争関係が生じるおそれはなく,キャン・デイが移転したのは平成26年5月1日のことであった。 (2) 否認し,争う。 - 78 - 第2 被告P2及び被告P1に対する不当利得返還請求 1 被告P2が原告に提出した実績記録票の記載内容,原告が堺市等から移動支援費等の支給を受けたこと,実績記録票に事業所の開所時刻前又は閉所時刻後に送迎車の中で過ごしたことをもって移動支援の散歩に当たると記載したことがあった こと(ただし,違法性に気付き出した後は,自宅到着後,自宅前の公園に散歩等に行くなどしていた。),居宅介護を行っていないのに実績記録票にそれを行った旨記載したことがあったこと(ただし,児童3番に対しては,実際に自宅にて家事援助のサービスを提供した。),実績記録票に実際と異なる時間を記載したことがあったこと,原告が被告P2に対して支払った給与の額は認め,原告のその余の主張は不 知又は否認し,争う。 平成24年2月頃,児童4番の母から午後7時まで子を預ってほしいとの要請があり,P5と相談した結果,預かることになり,この際,時間外労働になることは明らかであったので,原告との間で,実際に預かっている時間について,別途,家事援助や移動支援の場合は1時間1000円,身体介護の場合は1時間1500円 ることになり,この際,時間外労働になることは明らかであったので,原告との間で,実際に預かっている時間について,別途,家事援助や移動支援の場合は1時間1000円,身体介護の場合は1時間1500円 の給与を支払う旨の合意がされた。この約束は,デイでの仕事を超える仕事をした分を,実際に労働した時間に応じて支払う旨の約束であり,歩合給的な要素もある。 したがって,原告との間でされたのは,堺市等から居宅介護費等が支払われるかどうかにかかわらず,上記仕事をした場合に給与を支払うという合意であった。 被告P2がしたことが本来,「居宅介護」等に当たらないとしても,原告はこれ に当たるとして,被告P2にその時間,送迎をさせるなどさせたのであって,原告からの業務命令や業務指示に基づき,その指揮命令下での労務の提供があるから,被告P2に対して支払われた給与は不当利得とならない。なお,平成24年5月9日にタイムカードの打刻がないのは,カードリーダーに何らかのトラブルがあったためであり,被告P2が出勤していたのは事実である。 結果として内容が虚偽の実績記録票を作成し,原告に提出したのは,不正受給を- 79 -計画した原告代表者やP5の指示命令によるものであり,従うほかなかった。仮に,堺市等に居宅介護費等を請求できなかったとしても,原告が被告P2に支払った給与は,不法な原因基づく給付に当たるから,不法原因給付として,返還を要しない(民法708条本文)。 2 (被告P1に関する事実につき,認否不要) 以上 別紙児童氏名一覧表 (省略) 別紙利用終了児童一覧表 (省略) 申し訳ありませんが、具体的なテキストが提供されていないため、整形を行うことができません。整形したいテキストを提供していただければ、ルールに従って整形いたします。
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