平成15(わ)879 傷害被告事件

裁判年月日・裁判所
平成16年4月19日 神戸地方裁判所
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判決文本文2,279 文字)

主文 被告人を懲役10か月に処する。 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成14年6月9日午後9時47分ころ,神戸市a区bc丁目d番e号所在のA電鉄株式会社B駅から同区fの前g番h号所在の同社C駅間を進行中のD発E行き普通電車の後から2両目車内において,乗客のF(当時19歳)が通話していた携帯電話機を払いのけようとし,また,同女に覆い被さるようにしたところ,同女が両膝を曲げて両足を上げるようにしてこれを防ごうとしたため,同女に対し,両手で同女の右足を引っ張り,同女の前額部等を両手拳で数回殴打し,さらに,同女の右足を数回足蹴にするなどの暴行を加え,よって,同女に加療約1週間を要する頭部外傷の傷害を負わせた。 (証拠)括弧内の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。 (省略)(事実認定の補足説明及び弁護人の主張に対する判断) 1 弁護人は,被告人は,Fに対し,暴行を加えたことはないから,被告人は無罪である旨主張し,被告人も捜査段階及び当公判廷において,これに沿う供述をするので,以下,この点について補足説明する。 2 本件の被害者とされるFは,本件電車の座席に座って携帯電話機で通話していたところ,B駅から乗り込んできた被告人から,判示の暴行を受けたことについて供述しているが,この供述(以下「F供述」という。)は,具体的,詳細であって,格別不自然,不合理な点はなく,Gの目撃供述ともおおむね合致しているし,本件直後の関係者の行動については,車掌のHの供述ともおおむね合致していることに加え 供述」という。)は,具体的,詳細であって,格別不自然,不合理な点はなく,Gの目撃供述ともおおむね合致しているし,本件直後の関係者の行動については,車掌のHの供述ともおおむね合致していることに加え,被告人と一面識もなく,また,互いに面識のなかった同人らがあえて虚偽の供述をしてまで被告人を罪に陥れなければならない理由もないことからして,十分信用することができるものであり,このF供述及びG供述を含む関係証拠を総合すると,本件傷害の事実はこれを優に認めることができる。 他方,被告人の捜査段階及び当公判廷における供述は,内容それ自体不自然である上,不合理な変遷等を繰り返しており,証拠上明らかに認められる事実と齟齬している点が多々あることなどからすれば,前記認定・判断に抵触する部分はF供述及びG供述を含む関係証拠と対比して信用することができない。 3 そして,F供述及びG供述を含む関係証拠を総合すると,被告人は,B駅から本件電車に乗り込むや,座席に座って携帯電話機で通話していたFの前に立ち,「何しとんねん。」などと言いながら,Fが持っていた携帯電話機を払いのけるようにして右手でFの右腕を払い,さらに,「まだやってるんか。」などと言いながらFに覆い被さるようにしたため,殴られると思ったFが両膝を曲げて両足を上げるようにしてこれを防ごうとしたところ,被告人が両手でFの右足を引っ張り,さらに,Fの前額部等を両手拳で数回殴打し,また,Fの右足を蹴るなどの暴行を加えてFに判示の傷害を負わせたことを認めることができ,この暴行の態様からすれば,被告人に暴行の故意があったことは十分推認することができる。 4 そして,以上から認められる本件の経緯や暴行の態様,Fの負った傷害の程度などからすれば,仮に傷害の事実が認められるとしても,その被告人の行為には可罰的違法 あったことは十分推認することができる。 4 そして,以上から認められる本件の経緯や暴行の態様,Fの負った傷害の程度などからすれば,仮に傷害の事実が認められるとしても,その被告人の行為には可罰的違法性がない旨いう弁護人の主張は,到底採用することはできない。 よって,弁護人の主張はいずれも理由がない。 (法令の適用)罰条刑法204条刑種の選択懲役刑を選択刑の執行猶予刑法25条1項訴訟費用の負担刑事訴訟法181条1項本文(量刑の理由)本件は,被告人が電車内で携帯電話機を使用していた被害者に対し,暴行を加えて傷害を負わせたという事案であるが,被告人が事実を否認しているため,その動機の詳細は不明であるが,いずれにしろ,女性に対していきなり暴行を振るって傷害を負わせているのであって,酌量の余地は乏しいというほかなく,犯行態様も執拗で悪質であり,被害者の処罰感情も厳しい。また,被告人は,不合理な弁解を繰り返して犯行を否認しており,反省の態度も見られない。以上からすれば,被告人の刑事責任は軽視し得ない。 他方,本件は,酔余の上の犯行であるといえること,被害者の負った傷害の程度は,加療約1週間にとどまっていること,被告人にはこれまで前科がなく,長年にわたって犯罪とは無縁のそれなりに真面目な社会生活を送ってきていたことなどの被告人のために酌むべき事情も認められる。 そこで,これら被告人に有利・不利な事情を総合考慮した結果,被告人に対しては,主文の刑に処してその刑事責任を明らかにした上,今回はその刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑・懲役10か月)平成16年4月19日神戸地方裁判所第12刑事係乙 主文 よって,主文のとおり判決する。 (求刑・懲役10か月)平成16年4月19日神戸地方裁判所第12刑事係乙 裁判官川上宏

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