- 1 -平成19年5月30日判決言渡平成18年(行ケ)第10260号審決取消請求事件平成19年5月16日口頭弁論終結判決原告株式会社トプコン訴訟代理人弁理士新村悟被告特許庁長官中嶋誠指定代理人高見重雄同高橋泰史同大場義則同山本章裕主文 特許庁が不服2002-24838号事件について平成18年4月21日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1請求主文1項と同旨第2争いのない事実 特許庁における手続の経緯原告は,平成6年11月15日,発明の名称を「異物検出装置」とする特許出願特願平6-280701号以下本願というをした原告は平(,「」。)。 ,成14年10月25日付けで本願に係る明細書特許請求の範囲を含む及び(。)図面を補正する手続補正をしたが,同年11月15日付けで拒絶査定を受け,これに対して,同年12月25日,拒絶査定不服審判を請求した(不服2002-24838号事件その審理の過程で原告は平成15年1月23日付け)。 ,- 2 -(。),で本願に係る明細書特許請求の範囲を含むを補正する手続補正をしたが特許庁は,平成17年9月5日,上記補正を却下する決定をした。その後,原告は,平成17年9月21日付けで拒絶理由通知を受けて,同年11月25日付けで本願に係る明細書特許請求の範囲を含むを補正する手続補正をした(。),,,が同年12月20日付けで最後の拒絶理由通知を受け平成18年3月6日(。)(,本願に係る明細書特許請求の範囲を含むを補正する手続補正をした以下この補正を本件補正といい本件補正後の本願に係る明細書及び図面 けで最後の拒絶理由通知を受け平成18年3月6日(。)(,本願に係る明細書特許請求の範囲を含むを補正する手続補正をした以下この補正を本件補正といい本件補正後の本願に係る明細書及び図面を本「」。 「願明細書」という。 。)特許庁は,平成18年4月21日「本件審判の請求は,成り立たない」と,。 の審決をし,同年5月8日,その謄本を原告に送達した。 特許請求の範囲,(,本願明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである以下この発明を「本願発明」という。 。)請求項1異物が存在するかもしれない回転する検査対象物であるウエ「【】ハを照明するための照明光学系と,回転する検査対象物であるウエハからの散乱反射光を受光し,電流信号を出力するための電流源たる受光部と,該電流源たる受光部からの電流信号が入力され,該電流信号中の直流電流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流電流成分を除去する直流電流成分除去部と,該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部と,該増幅部からの出力から異物を検出する異物検出部と,を有することを特徴とする異物検出装置」。 審決の理由- 3 -別紙審決書写しのとおりである。要するに,本願発明は,本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-249791号公報以下審決と同じく刊(,,「」。 )(,,「」行物1という甲1に記載された発明以下審決と同じく引用発明という及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもの。)であり,特許法29条2項の規定により特許 ,「」行物1という甲1に記載された発明以下審決と同じく引用発明という及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもの。)であり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。なお,審決は,周知技術を示すものとして,特開昭62-198738号公報甲2特開平2-80942号公報甲3及び特開平4-2(),()83970号公報(甲4)を例示している。 審決が上記結論を導くに当たり認定した引用発明の内容,本願発明と引用発明との一致点・相違点は,次のとおりである。 (引用発明の内容)「異物が存在するかもしれない走査される被検査物であるウエハ1に照射するための検査光照明装置20と,走査される被検査物であるウエハ1からの散乱光31を受光し,検出信号を出力するための散乱光検出器34と,該散乱光検出器34からの検出信号が入力され,該検出信号の直流成分をカットして出力するためのオフセット処理回路38と,該オフセット処理回路38からの出力を増幅するための増幅器35と,該増幅器35からの出力から異物を検出する異物判定装置40と,を有する異物検出装置」。 (一致点)「異物が存在するかもしれない走査される検査対象物であるウエハを照明するための照明光学系と,走査される検査対象物であるウエハからの散乱反射光を受光し,検出信号を出力するための受光部と,該受光部からの検出信号が入力され,該検出信号中の直流成分を除去して出力するための直流成分除去部と,該直流成分除去部からの出力を増幅するための増幅部と,- 4 -該増幅部からの出力から異物を検出する異物検出部と,を有する異物検出装置」である点。 。 (相違点1)本願発明では,ウエハを回転させて異物を検出するのに対し,引用発明では,この 部と,- 4 -該増幅部からの出力から異物を検出する異物検出部と,を有する異物検出装置」である点。 。 (相違点1)本願発明では,ウエハを回転させて異物を検出するのに対し,引用発明では,この構成が明確ではない点。 (相違点2),,本願発明では受光部が電流信号を出力するための電流源であるのに対し引用発明では,この構成が明確ではない点。 (相違点3)本願発明では,直流成分を除去する手段として,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部と,,の間に配置されるコンデンサ部とから構成しているのに対し引用発明ではこの構成を用いていない点。 第3取消事由に係る原告の主張審決には,以下のとおり,本願発明と引用発明との一致点の認定を誤り,相違点を看過した違法取消事由1相違点3の認定判断を誤った違法取消事(),(由2)があり,また,被告の予備的主張も失当であるから,審決は取り消されるべきである。 取消事由1(一致点の認定の誤り・相違点の看過)(1)本願発明と引用発明との対比の誤り審決は,本願発明と引用発明との対比に際して,引用発明の「オフセット処理回路38」が本願発明の「直流(電流)成分除去部」に相当するとした上,本願発明と引用発明とが「該受光部からの検出信号が入力され,該検出信号中の直流成分を除去して出力するための直流成分除去部」を有する点で一致する旨認定した審決はその前提として本願発明の構成につき直。 ,,,「流『電流』成分を除去する」という特徴的部分を捨象して,単に「直流成分- 5 -除去部とのみ認定しまた本願発明においては電流電圧変換が増」,,,「」,「幅部」ではなく「直流電流成分除去部」で行われると認定している。 ,しかし 単に「直流成分- 5 -除去部とのみ認定しまた本願発明においては電流電圧変換が増」,,,「」,「幅部」ではなく「直流電流成分除去部」で行われると認定している。 ,しかし,本願明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載から明らかなよう,,「」「」に本願発明では直流電流成分を除去するのは直流電流成分除去部であり電流電圧変換し増幅するのは増幅部であるから審決の上記,「」「」,認定は誤りである。 なお,被告は,本願発明の要旨を特許請求の範囲の記載のとおり認定すべきではなく,実施例(図2の回路構成)の記載に基づいて認定すべきであると主張するが,被告の主張は,審決との論理的一貫性を欠くものであり,失当である。 (2)除去される「直流成分」の相違審決は,本願発明における「直流電流成分「直流電流成分除去部」をそ」,「」,「」,,れぞれ直流成分直流成分除去部と置き換えて引用発明と対比して一致点を認定している。しかし,除去される「直流成分」は,本願発明では「直流電流成分」であるのに対し,引用発明では「直流電圧成分」である点において相違するから,審決は,この点の相違を看過した誤りがある。 本願明細書の請求項1及び段落【0003【0004【0007】の】,】,各記載によれば,本願発明は,異物による散乱光に相当する電流成分に加えて,ウエハ表面自身による散乱光に相当する直流成分が含まれているため,電流電圧変換回路で変換可能な,すなわち測定可能な異物による散乱光の範囲が狭く制限されてしまうという問題点を解決するために,電流源である受光部が出力した異物による散乱光に相当する電流成分と,ウエハ表面自身による散乱光に相当する直流電流成分を含む電流信号から,電流信号に対してハイパ てしまうという問題点を解決するために,電流源である受光部が出力した異物による散乱光に相当する電流成分と,ウエハ表面自身による散乱光に相当する直流電流成分を含む電流信号から,電流信号に対してハイパスフィルターとして機能する直流電流成分除去部が,ウエハ表面自身による散乱光に相当する直流電流成分を除去し,異物による散乱光に相当する電流成分のみを含む電流信号を形成し,この電流信号が,後段に設けられ- 6 -電流電圧変換を行い増幅する増幅部や,該増幅部からの出力から異物を検出する異物検出部で処理することにより,ダイナミックレンジを広く利用することができるとする発明であり直流電流成分除去部により除去される直,「」「流成分」は「直流電流成分」である。 ,これに対して引用発明のオフセット処理回路38が除去するのは直,「」,「流電流成分」ではなく「直流電圧成分」である。刊行物1には「オフセッ,,ト処理回路38」の具体的な回路構成は記載されていない。しかし,直流成分をカットする旨記載されていることその作用は散乱光検出器34の,,「」出力信号波形として,図2及び図4に示されていること,図2には,ベースラインの部分にGNDと表記されGNDとは接地を意味し基準電「」,「」,(),「」,,「」位0Vすなわち電圧を示していること図4にはmV/divという「電圧」の単位が明記されていることから,引用発明の「オフセット処理回路38」が除去するのは「電流成分」ではなく「電圧成分」である,,ことが明らかである。 このように,本願発明と引用発明とでは,除去される「直流成分」が異なる。 (3)「電流電圧変換「直流成分除去」について」審決は,前記のとおり,本願発明における「直流電流成 ことが明らかである。 このように,本願発明と引用発明とでは,除去される「直流成分」が異なる。 (3)「電流電圧変換「直流成分除去」について」審決は,前記のとおり,本願発明における「直流電流成分「直流電流成」,分除去部」をそれぞれ「直流成分「直流成分除去部」と置き換えて,一致」,点を認定しているしかし本願発明では直流電流成分を除去した後に。 ,,「」電流電圧変換を行うのに対し引用発明では電流電圧変換を行った後に直,,「流電圧成分」を除去している点で相違するので,審決には,上記相違点を看過した誤りがある。 本願明細書の請求項1,段落【0003【0004【0007】及び】,】,図2の各記載が示すように,本願発明は,電流源である受光部が,異物による散乱光に相当する電流成分(パルス成分)及びウエハ表面自身による散乱- 7 -光に相当する直流電流成分を含む電流信号を出力し,異物による散乱光に相当する電流成分と,それ以外の直流電流成分とを含む電流信号を,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,電流信号に対してハイパスフィルターとして機能する直流電流成分除去部が受け取り,ここで直流電流成分を除去し,異物による散乱光に相当する電流成分のみの,,,電流信号としてこの電流信号が後段の電流電圧変換し増幅する増幅部や該増幅部からの出力から異物を検出する異物検出部で処理されるのであり,直流成分を除去した後に電流電圧変換を行うものである。本願明細書の図面(特に図2)には,電流源であるフォトマルの出力が抵抗とコンデンサからなるハイパスフィルターである直流電流除去部に入力され,そのコンデンサの出力が増幅器に入力されることが明 である。本願明細書の図面(特に図2)には,電流源であるフォトマルの出力が抵抗とコンデンサからなるハイパスフィルターである直流電流除去部に入力され,そのコンデンサの出力が増幅器に入力されることが明確に記載されている(なお,本願明細書の段落【0006【0012】には一部不適切な記載があるが,上記の】,とおり,本願明細書には,電流源であるフォトマルの出力が抵抗とコンデンサからなるハイパスフィルターである直流電流除去部に入力され,そのコンデンサの出力が増幅器に入力されることが明確に記載されているから,段落【0006【0012】の各記載は,本願発明を上記のとおり理解するこ】,とを妨げるものではない。 。)これに対し,引用発明では,電流電圧変換を行った後に直流成分を除去しているすなわち前記(2)で指摘したとおり刊行物1の図2にはベース。 ,,,ラインの部分にGNDという電圧を示す表記があるから散乱光検「」「」,「出器34」の出力信号波形は電圧信号であって,電圧信号のオフセット成分を除去していると解される。 このように,本願発明と引用発明とでは,直流成分の除去と電流電圧変換のタイミングが異なることは明らかである。 取消事由2(相違点3の判断の誤り)- 8 -審決は,相違点3の容易想到性の判断に際し,甲4記載の従来技術を例示して受光回路において電流電圧変換を行い直流成分を除去するために電流,「,,源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗と,電流源と抵抗の間から分岐してコンデンサを配置することが周知技術であると認定し電気回路技術」,「において,電流電圧変換を行うために,一端を電流源に接続し他端を接地した抵抗体を用いることや,直流成分を除去するために,コンデンサを用いることは,そ が周知技術であると認定し電気回路技術」,「において,電流電圧変換を行うために,一端を電流源に接続し他端を接地した抵抗体を用いることや,直流成分を除去するために,コンデンサを用いることは,それぞれ常套手段」であると判断した。 しかし,そもそも電気回路を構成する抵抗やコンデンサの結合状態を一切考慮せずに,構成部品単体の作用を取り出して評価することは,不適切である。 のみならず,甲4に従来技術として記載されている直流電圧成分除去部は,受光部からの信号を抵抗によって電流電圧変換を行い電圧源を構成し,その電圧信号を入力端子に接続するコンデンサと,その出力端子とアース間に設けられた抵抗により構成され,電圧信号に対してハイパスフィルターとして機能を果たしているものであって,本願発明のように,直流電流成分を除去するものではない。 本願発明の直流電流成分除去部は,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,電流信号に対してハイパスフィルターとして機能を果たしているのであり,このような構成とすることは,上記周知技術に基づいて当業者が容易になし得るとはいえない。 したがって引用発明における直流成分を除去する手段を電流源たる受光,「,部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成することは,当業者が容易に為し得ることである」とした審決の判断は,誤りである。 増幅器のダイナミックレンジでの飽和状態を防止するように設けられた直流電圧成分を除去するオフセット処理回路を設ける引用発明と,電流源たる受光- 9 -部からの電流信号をアースに導く抵抗により電圧信号に変換し,その電圧信号から直流電圧成分を除 るように設けられた直流電圧成分を除去するオフセット処理回路を設ける引用発明と,電流源たる受光- 9 -部からの電流信号をアースに導く抵抗により電圧信号に変換し,その電圧信号から直流電圧成分を除去する直流電圧成分除去部が構成される周知技術とを組み合わせたとしても,電流電圧変換した後に直流電圧成分を除去するものにすぎないから,本願発明は当業者であれば予測できる範囲のものではない。 したがって本願発明の作用効果は引用発明及び上記周知技術から当業者,「,であれば予測できる範囲のものである」とした審決の判断には誤りがある。 被告の予備的主張について被告は,本願発明の「直流電流成分除去部「増幅部」を原告主張のとおり」,解するとしても,本願発明は,引用発明及び周知技術(実願平1-67670号のマイクロフィルム〈乙6,特開平3-12832号公報〈乙7,特開平〉〉2-263123号公報乙8に基づいて当業者が容易に発明をすること〈〉),ができたものであると主張する。 しかし,乙6~8は,審決が周知技術であるとした技術的事項ではなく,増幅器において電流電圧変換を行うという新たな事実を立証するものであるから,審決で審理判断された事実及び証拠を単に補強するものではなく,新たな拒絶理由を構成する事実を立証するための証拠であって,審決取消訴訟の段階での提出は認められない。 のみならず,乙6~8を考慮しても,本願発明は,当業者にとって,容易に発明をすることができたものではない。 すなわち,乙6~8では,いずれも,受光素子からの信号を電圧信号に変換し,バイアス電圧を生じさせるバイアス抵抗と,受光素子の直流分光量をカットし,光量変化分のみを通すためのコンデンサCからなる構成が,記載されている。バイアス抵抗は,一般に増幅回路で,入力信号の交流 し,バイアス電圧を生じさせるバイアス抵抗と,受光素子の直流分光量をカットし,光量変化分のみを通すためのコンデンサCからなる構成が,記載されている。バイアス抵抗は,一般に増幅回路で,入力信号の交流電圧がグリッドに掛かっても,グリッドに電流が流れないように信号の電圧より大きい電圧を掛ける機能を果たすものと解釈される甲37したがって乙6~8のバイア()。 ,ス抵抗は,電流源たる受光部からの電流信号を電圧信号に変換し,バイアス電- 10 -圧を生じさせる機能を果たす抵抗部であり,コンデンサと一緒にハイパスフィルターを構成するものではない。すなわち,乙6~8ではいずれも,ハイパスフィルターに相当する機能を果たすのは,コンデンサ単体であって,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導くバイアス抵抗は,バイアス成分を生じさせる別の機能を果たすものである。これに対して,本願発明は,電流源たる受光部からの異物による散乱光に相当する電流成分,及びウエハ表面自身による散乱光に相当する直流電流成分を含む電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部により,電流信号に対するハイパスフィルターとして機能する直流電流成分除去部を構成し,その後,電流電圧変換が行われるという作用効果を奏するものである。 第4取消事由に係る被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。また,仮に審決の認定判断に原告主張の瑕疵があるとしても,下記3のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記瑕疵は審決の結論に影響するものではない。 取消事由1(一致点の認定の誤り・相違点の看過)について(1)本願発明と引用発明との対比の誤り本願明 容易に発明をすることができたものであるから,上記瑕疵は審決の結論に影響するものではない。 取消事由1(一致点の認定の誤り・相違点の看過)について(1)本願発明と引用発明との対比の誤り本願明細書の請求項1における「該電流源たる受光部からの電流信号が入力され,該電流信号中の直流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流電流成分を除去する直流電流成分除去部と,該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部と・・・を有するとの記載,」のうち該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し,「増幅するための増幅部」との部分は,一般に増幅部が電圧増幅又は電流増幅を行うものであることに照らし電流電圧変換しという事項を明確に理解,「」- 11 -することができない。 そこで,本願明細書の記載(段落【0006【0009【0012】】,】,及び図4~8等を参照すると検査対象物からの散乱反射光を受光した受),「光部の出力電流信号から,直流成分除去部によって直流成分を除去して電圧信号に変換し,増幅部によって増幅して異物を検出する」という,直流成分除去部によって電流電圧変換を行うことを明確に表現した記載がある上,具体的な回路構成としても,直流成分除去部110によって直流成分を除去して電流電圧変換し,増幅部114,118,122によって電圧増幅を行うことが示唆されている一方,増幅部で電流電圧変換することは何ら記載されていない。原告自身,平成18年3月6日付け意見書(甲19)において,直流成分除去部によって電流電圧変換を行う旨を述べていた。 このように, されている一方,増幅部で電流電圧変換することは何ら記載されていない。原告自身,平成18年3月6日付け意見書(甲19)において,直流成分除去部によって電流電圧変換を行う旨を述べていた。 このように,請求項1の「該直流電流成分除去部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部」という記載は根拠を欠くものであるから,本願発明は実施例である図2の回路構成に関する記載に基づいて該電流源た,,「る受光部からの電流信号が入力され,該電流信号中の直流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流成分を除去して電流電圧変換する直流成分除去部と,該直流成分除去部のコンデンサ部からの出力を増幅するための増幅部と・・・を,有する」ものと認定すべきである。 「直流電流成分除去部」については,本願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「当初明細書」という。甲6)には,直流成分を除去する直流成分除去部が記載されているのみであって,直流電流成分を除去することは記載されていない。また,本願明細書の実施例を見ても,直流電流成分を除去することを示唆する記載はない。 ,,「」,「」,したがって本願発明において電流電圧変換が増幅部ではなく- 12 -「直流電流成分除去部」で行われると認定して,本願発明と引用発明とを対比した審決に誤りはない。 (2)除去される「直流成分」の相違本願発明の要旨は上記(1)のとおり認定すべきであり他方刊行物1の段,,落【0032【0049】の記載によれば,引用発明が「該散乱光検出器】,34からの検出信号が入力され,該検出信号の直流成分をカットして出力するためのオフセット処理回路 他方刊行物1の段,,落【0032【0049】の記載によれば,引用発明が「該散乱光検出器】,34からの検出信号が入力され,該検出信号の直流成分をカットして出力するためのオフセット処理回路38」を有することは明らかである。 引用発明の「オフセット処理回路38」と本願発明の「直流電流成分除去部とは該受光部からの検出信号が入力され該検出信号中の直流成分を」,「,除去して出力するための直流成分除去部」である点で一致し,また,両発明の増幅部は該直流成分除去部からの出力を増幅するための増幅部で「」,「」ある点で一致する直流成分除去部について回路構成が同じであれば同。「」,様の機能を奏することになる。 したがって本願発明と引用発明との相違点として本願発明では直流,,「,成分を除去する手段として,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成しているのに対し,引用発明では,この構成を用いていない点」のみを相違点として認定した審決に誤りはない。 取消事由2(相違点3の判断の誤り)について(1)本願発明の直流電流成分除去部は電流源たる受光部からの電流信号「」,をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成されるが,本願明細書には,この抵抗部とコンデンサ部とが,どのような作用により電流電圧変換と直流電流成分除去を行うかは,何ら記載されていない。 そして,電流電圧変換を行うために,一端を電流源に接続し他端を接地した抵抗体を用いることは,特開平4-201358号公報(乙2)に示され- 13 -ており,また,直流成分を除去するために,コンデンサを用いるこ 電圧変換を行うために,一端を電流源に接続し他端を接地した抵抗体を用いることは,特開平4-201358号公報(乙2)に示され- 13 -ており,また,直流成分を除去するために,コンデンサを用いることは,岡村廸夫著「OPアンプ回路の設計」第12版,CQ出版株式会社,昭和54年2月1日発行(乙1)や特開昭55-20454号公報(乙3)に示されており,これらの点は常套手段である。 (2)原告は本願発明の直流電流除去部が電流信号に対してハイパスフィル,,ターの機能を果たしているのに対して,甲4に従来技術として記載された直流電圧成分除去部は,電圧成分に対して,ハイパスフィルターの機能を果たしているものであるから,甲4の従来技術に基づいて,本願発明を容易想到とすることはできない旨主張する。 しかし,本願発明には,直流電流除去部がハイパスフィルターであるとの限定はなく,直流電流成分を除去して出力するとされているにすぎない。そして,甲4の段落【0005】には,従来技術の説明として,DC電圧成分をカットすることが記載されているが,図6の回路では,直流電流成分がコ,,ンデンサC1を流れることはないから直流電流成分もカットされることは明らかである。したがって,甲4の従来の技術などにみられる周知技術を用いることにより,本願発明の相違点3に係る構成を容易想到とした審決の判断に,誤りはない。 なお,受光回路において,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部により,電流電圧変換を行い,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅,,部との間に配置されるコンデンサ部により交流電圧成分を取り出すことは甲4のほか特開昭64-13424号公報乙4実公昭59-6019,(),号公報(乙5)にも示されるように,周知技術である。 (3)刊行物1の段落 ンサ部により交流電圧成分を取り出すことは甲4のほか特開昭64-13424号公報乙4実公昭59-6019,(),号公報(乙5)にも示されるように,周知技術である。 (3)刊行物1の段落0075には本願発明の作用効果と同様の効果が示【】,唆されているから審決が本願発明の作用効果は引用発明及び上記周知,,「,技術から当業者であれば予測できる範囲のものである」と判断した点に,誤りはない。 - 14 - 予備的主張仮に本願発明の直流電流成分除去部増幅部についてそれぞれ該,「」,「」,「電流源たる受光部からの電流信号が入力され,該電流信号中の直流電流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流電流成分を除去する直流電流成分除去部「該直流電」,流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部」と認定した上で,引用発明との相違点を認定すべきであるとしても,以下のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 乙6~8によれば,受光回路において,電流源たる受光部からの電流信号が入力され,該電流信号中の直流電流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流電流成分を除去する直流電流成分除去部と,該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換するための増幅部とを備えることは,周知の技術である。 ,,,そして上記周知技術は引用発明と同様の受光回路の分野の技 流電流成分除去部と,該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換するための増幅部とを備えることは,周知の技術である。 ,,,そして上記周知技術は引用発明と同様の受光回路の分野の技術であるから引用発明の「直流成分除去部」及び「増幅部」に,上記周知技術を適用し,本願発明の「該電流源たる受光部からの電流信号が入力され,該電流信号中の直流電流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置され,」るコンデンサ部とから構成され直流電流成分を除去する直流電流成分除去部及び「該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部」とすることは,当業者が容易になし得ることである。 第5当裁判所の判断 取消事由1(一致点の認定の誤り・相違点の看過)について- 15 -まず審決が本願発明の構成を認定するに当たり直流電流成分を除去す,,,「るという特徴的部分を捨象して単に直流成分除去部とのみ認定し電」,「」,「流電圧変換」が「増幅部」ではなく「直流電流成分除去部」で行われると認,,定したこと,その結果,本願発明と引用発明との一致点の認定を誤り,相違点を看過した違法があるとする原告の主張の当否を検討する。 (1)本願明細書の特許請求の範囲請求項1の記載は前記第22のとお(),,りでありその構成要件として該電流源たる受光部からの電流信号が入力,,「され,該電流信号中の直流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流電流成分を除去する直流電流成分 を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流電流成分を除去する直流電流成分除去部」及び「該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部」がある。 これに対して,審決では,前記第2,3のとおり,本願発明と引用発明との一致点・相違点の認定において,本願発明の「直流電流成分除去部」が直流電流成分を除去するとの構成,及び「増幅部」が電流電圧変換するとの構成とした認定・判断は行っていない。 したがって,審決は,本願発明の「直流電流成分除去部」が直流電流成分,「」,を除去するとの構成及び増幅部が電流電圧変換するとの構成について引用発明と対比していないので,一致点・相違点についての認定判断を欠いた誤りがあるといえる。 (2)この点について,被告は「増幅部」が「電流電圧変換し」という構成は,,,明確に理解することはできないから本願明細書を参照すべきであるところ本願明細書には,電流電圧変換は,直流成分除去部によって行い,増幅部で行われることの記載はないから,特許請求の範囲の記載のとおり認定することは妥当でない旨主張する。 しかし上記(1)のとおり本願発明の増幅部が電流電圧変換するとの,,「」- 16 -構成は,本願明細書の特許請求の範囲の記載中で明確であるから,被告の主張はその前提を欠き,失当である。 なお,特許庁審判官が,平成17年12月20日付け拒絶理由通知書(甲18)において,一般論として「増幅器として典型的なオペアンプを,電流電圧変換回路として利用することも普通のことである」旨述べた上,本件補正前の請求項1に係る発明と引用発明の一致点として該直流電流成分除去 いて,一般論として「増幅器として典型的なオペアンプを,電流電圧変換回路として利用することも普通のことである」旨述べた上,本件補正前の請求項1に係る発明と引用発明の一致点として該直流電流成分除去,「部からの出力を電流電圧変換し,増幅するための増幅部」を有することを認定していることに照らせば,本願明細書の請求項1における「該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部」との記載における「電流電圧変換し」という構成が,技術常識に照らして理解できない,あるいは誤記であることが明らかであるとはいえない。 以上のとおりであり,審決は,本願発明の「直流電流成分除去部」が直流電流成分を除去するとの構成,及び「増幅部」が電流電圧変換するとの構成について,引用発明と対比しておらず,本願発明が上記の点において引用発明と相違するか否かについて判断を遺脱したものであって,この点が審決の結論に影響することは明らかであるから,審決の認定判断には違法がある。 (3)結論は以上のとおりであるが,なお補足的に述べる。 ア本願明細書(甲6,8,20)には,次の記載がある。 (ア)「0002】【【従来の技術】従来の異物検出装置は,異物の存在する可能性のある領域を所定角度傾斜した方向からレーザ光束によって照明し,異物からの散乱反射光をフォトマルによって検出する。すなわち,検出信号は,電流電圧変換回路により電流電圧変換され,出力された電圧信号を変換処理して異物を。 ,,検出するこの従来の電流電圧変換回路200は図12に示すように電流源であるフォトマル202の出力をOPアンプ204のマイナス入- 17 -力端子206に入力し,該マイナス入力端子206と出力端子208を抵抗210を介して接続してなる。演算回路200の出力によって であるフォトマル202の出力をOPアンプ204のマイナス入- 17 -力端子206に入力し,該マイナス入力端子206と出力端子208を抵抗210を介して接続してなる。演算回路200の出力によって,異物の有無やサイズを演算する。 受光部であるフォトマルによって検出される散乱光電流信号には,図13に示すように,異物による散乱光に相当するパルス成分に加えて,ウエハ表面自身による散乱光に相当する直流成分が含まれる。そして,図13に示す散乱光電流信号は,電流電圧変換回路200によって図14に示す散乱光電圧信号に変換される。 【0003】【発明が解決する課題】従来の異物検出装置においては,異物を検出するための検出信号に異物による散乱光に相当するパルス成分に加えて,ウエハ表面自身による散乱光に相当する直流成分が含まれているため,電流電圧変換回路で変換可能な,すなわち測定可能な異物による散乱光の範囲が狭く制限されてしまうという問題があった。 【0004】【発明の目的】本発明は,従来の異物検出装置において,電流電圧変換回路のダイナミックレンジが狭くなって異物による散乱光の検出範囲が狭く制限されてしまうという問題に鑑みてなされたものであって,電流電圧変換回路の異物検出のためのダイナミックレンジが広く,従って測定可能な異物による散乱光の大きさの範囲が広く広範囲のサイズの異物を検出できる異物検出装置を提供することを目的とする。本発明はまた,ダイナミックレンジの広い部分を有効に利用して高分解能の異物検出を行うことができる異物検出装置を提供することを目的とする。 (イ)「0005】【- 18 -【発明の構成】本発明は,異物が存在するかもしれない回転する検査対象物であるウエハを照明するための照明光学系と,回転する検査対象物であるウエハからの散乱 。 (イ)「0005】【- 18 -【発明の構成】本発明は,異物が存在するかもしれない回転する検査対象物であるウエハを照明するための照明光学系と,回転する検査対象物であるウエハからの散乱反射光を受光し,電流信号を出力するための電流源たる受光部と,該電流源たる受光部からの電流信号が入力され,該電流信号中の直流電流成分を除去して出力するために,電流源たる受光部からの電流信号をアースに導く抵抗部と,電流源と抵抗部の間から分岐し増幅部との間に配置されるコンデンサ部とから構成され,直流電流成分を除去する直流電流成分除去部と,該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部と,該増幅部からの出力から異物を検出する異物検出部と,を有することを特徴とする異物検出装置である。 本発明の実施態様は,以下のとおりである。上記増幅部が,上記受光部の出力信号を異なる倍率で増幅する複数の増幅器からなることを特徴とする。上記増幅部が,上記受光部の出力信号を異なる倍率で増幅する複数の増幅器からなり,かつ,上記異物検出部が,複数の増幅器のうち。 ,適切なレンジの出力によって異物を検出することを特徴とするさらに上記増幅部が,該受光部からの出力信号を共通の値に設定されている前段の抵抗値と後段の抵抗値の比によって異なる増幅倍率で増幅する複数の増幅器を並列に配置して形成され,上記異物検出部が,上記複数の増幅器の出力のうち適切なレンジの出力によって異物を検出するように形成され,かつ大きな倍率の信号から順次判定を行い,最初にオーバーフローしなかった信号を最大値データとして判定するように構成したことを特徴とする」。 - 19 -(ウ)「0007】【【発明の効果】本発明の異物検出装置によれば,電流電圧変換回路のダイナミック ーしなかった信号を最大値データとして判定するように構成したことを特徴とする」。 - 19 -(ウ)「0007】【【発明の効果】本発明の異物検出装置によれば,電流電圧変換回路のダイナミックレンジが広く,従って測定可能な異物による散乱光の大きさの範囲が広く。 ,広範囲のサイズの異物を検出できる効果を有する本発明によればまたダイナミックレンジの広い部分を有効に利用して高分解能の異物検出を行うことができる効果を有する」。 イ上記のとおり,本願明細書には,①従来の異物検出装置は,検出信号を電流電圧変換回路により電流電圧変換し,出力された電圧信号を変換処理して異物を検出するものであったが,検出信号に異物による散乱光に相当するパルス成分に加え,ウエハ表面自身による散乱光に相当する直流成分,,が含まれているため電流電圧変換回路のダイナミックレンジが狭くなり測定可能な異物による散乱光の範囲が狭く制限されてしまうという問題があったことに鑑み,電流電圧変換回路の異物検出のためのダイナミックレンジが広く,測定可能な異物による散乱光の大きさの範囲が広く広範囲のサイズの異物を検出できる異物検出装置を提供することを目的とすること,②増幅部は,直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するためのものであって,その実施態様は,受光部の出力信号を異なる倍率で増幅する複数の増幅器からなることが記載されている。 ウ確かに,本願明細書中の「発明の詳細な説明」欄の【実施例】に関する記載段落0008~0012及び実施例に対応する図面を検討(【】【】)しても,請求項1における「電流電圧変換し増幅するための増幅部」との,,。 構成をこの構成だけでその内容を正確に理解することには困難が伴うまた「作用】検査対象物からの散 討(【】【】)しても,請求項1における「電流電圧変換し増幅するための増幅部」との,,。 構成をこの構成だけでその内容を正確に理解することには困難が伴うまた「作用】検査対象物からの散乱反射光を受光した受光部の出力電流,【,,信号から直流成分除去部によって直流成分を除去して電圧信号に変換し増幅部によって増幅して異物検出する段落0006との記載もあ。」(【】)- 20 -り同記載を読む限りにおいては直流成分除去部が直流成分を除去し,,「」て電圧信号に変換する機能まで担いこれに対して増幅部が増幅及,,「」,び異物検出機能まで担うものと理解する余地も生ずる。しかし,上記記載,【】,,部分は段落0006までに説明されたまとめとして作用を中心にタイミングを示したものにすぎないと理解するのが相当であるから,段落【0006】の記載があることによって,直ちに,本願明細書の請求項1における「該直流電流成分除去部のコンデンサ部からの出力を電流電圧変換し増幅するための増幅部」との記載について,技術常識から理解不能で,,,「」「」あるあるいは誤記と認められるとして電流電圧変換が増幅部ではなく直流電流成分除去部で行われると解釈をすることは相当,「()」でない。 エ以上のとおり,本願明細書に記載された実施例において,電流電圧変換,,を行うのがいずれの回路であるかは明らかでないものの本願明細書には電流電圧変換回路の異物検出のためのダイナミックレンジが広く,測定可能な異物による散乱光の大きさの範囲が広く広範囲のサイズの異物を検出できる異物検出装置を提供することが記載されており,電流電圧変換回路のダイナミックレンジを広くするためには,少なくともそれ ,測定可能な異物による散乱光の大きさの範囲が広く広範囲のサイズの異物を検出できる異物検出装置を提供することが記載されており,電流電圧変換回路のダイナミックレンジを広くするためには,少なくともそれ以前に直流成分を除去しなければならないから,本願発明において,電流電圧変換より前に除去される直流成分が「電流成分」であることは当然であり,また,まず直流成分除去部で直流電流成分を除去した上で,電流電圧変換し,増幅するものであると解することができる。 オこの点について,被告は,原告が審判手続の段階で提出した平成18年3月6日付け意見書(甲19)において,直流成分除去部によって電流電圧変換を行う旨述べていた旨を主張する。確かに,上記意見書は,原告が審判手続の段階で本願明細書の特許請求の範囲の記載に基づかない点を述べていたことを示すものであるが,これをもって,特許請求の範囲の記載- 21 -と異なる認定をする根拠にはならない。 また,被告は,当初明細書には,直流成分を除去する直流成分除去部が記載されているのみであって,直流電流成分を除去することは記載されていない旨主張する。しかし,補正後の特許請求の範囲に記載を解釈するに当たり,参照されるべき対象は,手続に沿って行われた当該補正後の明細,,書及び図面であって願書に最初に添付した明細書及び図面ではないのでこの点の被告の主張は失当である。 被告の予備的主張について被告は,本願発明の「直流電流成分除去部「増幅部」を原告主張のとおり」,,,,,解して引用発明との相違点を認定判断すべきであるとしても本願発明は引用発明及び周知技術を組み合わせれば,これに基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。そして,周知技術を示すものとして,実願平1-67670号(実開平 としても本願発明は引用発明及び周知技術を組み合わせれば,これに基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。そして,周知技術を示すものとして,実願平1-67670号(実開平3-10319号)のマイクロフィルム(乙6,特開平3-12832号公報(乙7,特開平2-263123号))公報(乙8)を挙げる。 そこで,この点を検討する。 (1)拒絶査定不服審判請求及び無効審判請求に対する審決取消訴訟においては,当該審判で審理判断された特定の公知事実との対比における拒絶理由ないし無効理由と別個の公知事実との対比における拒絶理由ないし無効理由を主張することは許されない(最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51年3)。 ,,月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁これは審判手続において拒絶理由ないし無効理由について,当事者に対してその争点を明確にさせた上で十分な審理を尽くさせ,専門的知識経験を有する審判官による審判の手続を経由させるべきであるなど当事者の利益保護に由来するものであるということができる。したがって,審判において,特定の公知事実との対比における拒絶理由ないし無効理由の存否が実質的に審理され,かつ,その審理に- 22 -おいて,当事者に対する弁明の機会が与えられているときには,審決取消訴訟において,審決の行った,特定の公知事実と当該発明との一致点・相違点,,に関する認定・判断容易想到性を基礎付ける公知事実の組み合わせの選択容易想到性の認定・判断などの点において,形式的には異なる拒絶理由ないし無効理由の存否に係る主張がされた場合であっても,一律的画一的に,当該主張を審理判断の対象とすることが許されないと解すべきではない。 ,。 ,以下この観点にそって判断する本件について審判手続の経緯を見ると本願に 係る主張がされた場合であっても,一律的画一的に,当該主張を審理判断の対象とすることが許されないと解すべきではない。 ,。 ,以下この観点にそって判断する本件について審判手続の経緯を見ると本願に関する審判手続において,平成17年12月20日付け拒絶理由通知甲18が発せられ同通知には引用発明におけるA/D変換器36の(),,「後の異物判定装置40は,電圧で信号処理するのが普通であり,増幅器として典型的なオペアンプを,電流電圧変換回路として利用することも普通のことであることから,引用発明の増幅器35は,電流電圧変換をしていると認められる・・・また直流成分を除去するために抵抗とコンデンサからな。 ,,るハイパスフィルターを用いることは,技術分野を問わない周知技術(例えば,実願昭61-61605号(実開昭62-173045号)のマイクロフィルム特開平6-276054号公報図5などを参照されたいで,()。)ある・・・などの記載がある引用発明の増幅部及び直流成分除去。」。 「」「部」に,周知例(乙6~8)を適用することによって,当業者が容易に本願発明をすることができるか否かの争点については,審判手続において審理がされ,原告に対してこれに対する意見陳述の機会が与えられていたものと認めることができる。しかし,他方で,本件訴訟において,被告の予備的主張の当否を判断をするためには,その前提として,本願発明の「直流電流成分除去部」及び「増幅部」と,引用発明の各構成とを対比し,その異同を明らかにする必要があるというべきであるが,審決は,本願発明を理解するに当たり直流電流成分除去部が直流電流成分を除去するとの構成及び増幅,「」「部」が電流電圧変換するとの構成についての認定を誤り,その結果,引用 いうべきであるが,審決は,本願発明を理解するに当たり直流電流成分除去部が直流電流成分を除去するとの構成及び増幅,「」「部」が電流電圧変換するとの構成についての認定を誤り,その結果,引用発- 23 -明との対比を誤った瑕疵があるので,この点に関しては,むしろ,審決において,改めて,出願人である原告に対して,本願発明の容易想到性の存否に関する主張,立証をする機会を付与した上で,再度の判断をするのが相当であるといえる。 (2)以上のとおりであるから審判手続において審理判断された公知事実を超,,,,えるものとまではいえないが審決の認定の誤りの内容原告に対する主張立証の機会の保障等の点を考慮して,被告の予備的主張を採用しないこととする。 結論 ,,以上のとおりであるから原告のその余の主張について検討するまでもなく本訴請求には理由があるから,審決を取り消すこととし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官飯村敏明裁判官嶋末和秀裁判官上田洋幸
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