令和2(わ)15 強要,傷害被告事件

裁判年月日・裁判所
令和2年10月2日 水戸地方裁判所
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判決文本文4,481 文字)

1 令和2年10月2日宣告 令和2年(わ)第15号,第81号,第180号 主 文 被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中230日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。 理 由 (罪となるべき事実)※末尾の【 】内は起訴状及び追起訴状の日付け並びに公訴 事実の番号を示す。また,氏名の表記については,二度目以降原則として姓のみで 行う。 被告人は, 第1 普通乗用自動車(以下「被告人運転車両」という)を運転し,高速自動車国 道a自動車道下り線をbインターチェンジ方面からcインターチェンジ方面に 向かい進行中,たまたま同一方向に車両を進行させていたAの運転に怒りを募 らせ,同人(当時23歳)を怖がらせてその運転する普通乗用自動車(以下 「A運転車両」という)を減速させることなどを考え,令和元年7月23日午 前6時5分頃から同日午前6時6分頃までの間,浜松市(住所省略)前記自動 車道下り線d起点eキロポスト付近の片側2車線道路において,同道路の第二 車両通行帯を進行していたA運転車両に対し,第一車両通行帯から追い越した 直後にその進路前方に被告人運転車両を割り込ませて減速した上,A運転車両 が第一車両通行帯に車線変更するや,その進路前方に被告人運転車両を割り込 ませて減速,蛇行して被告人運転車両をA運転車両に急接近させることでブレ ーキをかけさせてA運転車両が時速約9キロメートルで進行する状態にさせ, さらに,同日午前6時8分頃,同市(住所省略)前記自動車道下り線d起点f キロポスト付近の片側2車線道路において,同道路の第一車両通行帯を進行し 2 ていたA運転車両に対し,その進路前方に被告人運転車両を割り込ませて 頃,同市(住所省略)前記自動車道下り線d起点f キロポスト付近の片側2車線道路において,同道路の第一車両通行帯を進行し 2 ていたA運転車両に対し,その進路前方に被告人運転車両を割り込ませて減速, 蛇行した上,A運転車両の進路前方で低速走行するなどして被告人運転車両を A運転車両に急接近させてA運転車両を減速させるように要求し,Aに,その 要求に応じなければ,同人の生命等に何らかの危害が加えられるかもしれない と怖がらせ,よって,その頃,同道路において,同人にブレーキをかけさせて, A運転車両を時速約1キロメートルまで減速させ,もって暴行を用いて,かつ, 同人の生命等に対し害を加える旨を告知して脅迫し,人に義務のないことを行 わせた。 【令和2年4月28日付け】 第2 被告人運転車両を運転し,高速自動車国道g自動車道h線下り線をiインタ ーチェンジ方面からjインターチェンジ方面に向かい進行中,たまたま同一方 向に車両を進行させていたBの運転に怒りを募らせ,同人(当時45歳)を怖 がらせてその運転する大型貨物自動車(以下「B運転車両」という)を減速さ せることなどを考え,令和元年7月23日午前6時37分頃から同日午前6時 38分頃までの間,愛知県岡崎市(住所省略)地内前記自動車道h線kキロポ スト付近から同市(住所省略)地内前記自動車道h線lキロポスト付近までの 片側2車線道路において,同道路の第一車両通行帯を時速約90キロメートル で進行していたB運転車両に対し,その進路前方に被告人運転車両を割り込ま せて減速,蛇行し,引き続き,B運転車両が第二車両通行帯に車線変更するや, その進路前方に被告人運転車両を割り込ませて減速,蛇行するなどした上,B 運転車両の進路前方で低速走行してB運転車両を減速させるように要求し,B に,その要求に応じなければ同人の 行帯に車線変更するや, その進路前方に被告人運転車両を割り込ませて減速,蛇行するなどした上,B 運転車両の進路前方で低速走行してB運転車両を減速させるように要求し,B に,その要求に応じなければ同人の生命等に何らかの危害が加えられるかもし れないと怖がらせ,よって,その間,同人にブレーキをかけさせ,前記lキロ ポスト付近道路において,B運転車両を時速約9キロメートルまで減速させ, もって暴行を用いて,かつ,同人の生命等に対し害を加える旨を告知して脅迫 し,人に義務のないことを行わせた。 3 【令和2年1月29日付け】 第3 高速自動車国道m自動車道上り線をnインターチェンジ方面からoインター チェンジ方面に向かい被告人運転車両で進行中,たまたま同一方向に車両を進 行させていたCの運転に怒りを募らせ,同人(当時24歳)を怖がらせてその 運転する普通乗用自動車(以下「C運転車両」という)を停車させることなど を考え,令和元年8月10日午前6時17分頃から同日午前6時19分頃まで の間,茨城県守谷市(住所省略)前記自動車道p起点上りqキロポスト付近か ら同市(住所省略)前記自動車道p起点上りrキロポスト付近までの片側3車 線道路において,同道路を第3,第2,第1の順で各車両通行帯に車線変更し つつ進行していたC運転車両に対し,その都度繰り返し被告人運転車両をC運 転車両の至近距離まで接近させて幅寄せし,その進路前方に割り込み減速する などしてC運転車両に法定最低速度を下回る低速走行をさせるなどし,さらに, 第二車両通行帯に車線変更したC運転車両の進路前方に被告人運転車両を停止 させてC運転車両を第二車両通行帯に一時的に停止させ,「今すぐ出てこい。 殺してやる。」などと怒鳴るなどし,再度進行を開始したC運転車両が第一車 両通行帯に車線変更するや,C運転車両の進路前方に を停止 させてC運転車両を第二車両通行帯に一時的に停止させ,「今すぐ出てこい。 殺してやる。」などと怒鳴るなどし,再度進行を開始したC運転車両が第一車 両通行帯に車線変更するや,C運転車両の進路前方に被告人運転車両を割り込 ませて再び停止させるなどして前記自動車道上り線の道路上にC運転車両を停 車させるように要求し,Cに,その要求に応じなければ,同人の生命等に何ら かの危害を加えられるかもしれないと怖がらせ,よって,前記rキロポスト付 近路上にC運転車両を停車させ,もって暴行を用いて,かつ,同人の生命等に 対し害を与える旨を告知して脅迫し,人に義務のないことを行わせた。 【令和元年12月27日付け第1】 第4 令和元年8月10日午前6時21分頃,前記m自動車道p起点上りrキロポ スト付近路上において,判示第3の怒りを抱いたまま降車し,同判示のとおり 停車していたC運転車両の運転席に座っていたCに対し,怒鳴り付けるなどす る中で気持ちを高ぶらせ,やにわにその顔面を右拳で5回殴打するなどの暴行 4 を加え,よって,同人に加療約1週間を要する顔面打撲傷等の傷害を負わせた。 【令和元年12月27日付け第2】 (証拠の標目)記載省略 (法令の適用)記載省略 (量刑の理由) 判示第1から第3の罪について,被告人は,各被害者車両の極端な減速ないし停 車をもくろんで,高速道路上で執拗ないわゆるあおり運転行為を立て続けに繰り返 し,それぞれ被害者らの運転を妨害して低速運転等を強いたばかりか,取り分け判 示第3では停車させるに至っている。このような被告人の強要行為は,追突等によ る重大な事故を引き起こしかねず,危険極まりないものであった。さらに,被告人 は本件各犯行に及んだ理由として,自らが被害者らに運転を妨害されたと感じて怒 りを募らせ,被害者らに運 強要行為は,追突等によ る重大な事故を引き起こしかねず,危険極まりないものであった。さらに,被告人 は本件各犯行に及んだ理由として,自らが被害者らに運転を妨害されたと感じて怒 りを募らせ,被害者らに運転を妨害された側の気持ちを分かってもらうために,や り返そうと思ったという趣旨のことを述べるのであるが,そもそもやられたからや り返そうという動機自体が自己中心的で身勝手なものである。そうすると,判示第 1から第3の罪に関する被告人の刑事責任を軽視することはできない。 また,判示第4の罪について,被告人は,高速道路上に停車した車両の運転席に いる被害者の顔面を殴打している。被害者は暴行を受ける間,後続車の追突等の危 険があっても回避行動を取ることができない状態に置かれたのであり,被告人の行 為の危険性は高い。しかし他方で,被害者が負った傷害の程度をみると,傷害罪全 体の中の位置付けとしては軽い部類に属する。 このような本件の犯情を十分に考慮しつつ,被告人が,当然ながらいずれも厳罰 を求めている本件被害者3名のうち2名に対して,合計93万円の被害弁償を行っ ていること,更にそれらと同等に評価することはできないにせよ,残る本件被害者 1名に対しても100万円の被害弁償を申し出ていること,その他,被告人が,直 近10年余の間前科がなく,過去実刑に処されたこともないこと,既に相当の期間 身柄を拘束されたことにより,事実上処罰を受けた面もあるといえることをも踏ま 5 えて,強要及び高速道路や自動車専用道路上での傷害ないし危険運転致傷等の事案 の量刑傾向に照らすと,本件の社会的影響等を加味するなどして被告人をここで直 ちに実刑に処することは,行為責任や予測可能性の観点から導かれる公平な量刑を 逸脱しかねないものというべきである。よって,本件に関しては,被告人の犯行に 相応し 影響等を加味するなどして被告人をここで直 ちに実刑に処することは,行為責任や予測可能性の観点から導かれる公平な量刑を 逸脱しかねないものというべきである。よって,本件に関しては,被告人の犯行に 相応しい刑事責任を明確にした上で,刑の執行を猶予するのが相当である。 その上で,本件各犯行に至った背景に被告人の偏った性格傾向があること等から すれば,被告人の社会的な孤立にもつながっているそのような人格の偏りを是正し て更生を図ると共に本件と同種の違法行為に再度及ぶのを抑止するため,保護観察 に付して,社会性を身に付けさせるための指導及び遵守義務に違反した場合の執行 猶予取消しによる威嚇をそれぞれ実施することが必要かつ相当であると判断した。 (量刑意見 検察官:懲役3年8月,弁護人:執行猶予) 令和2年10月2日 水戸地方裁判所刑事第1部 裁判長裁判官 結 城 剛 行 裁判官 河 野 一 郎 裁判官 金 子 恵 理

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