平成18(行コ)342等 損害賠償(住民訴訟)請求控訴,同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成14年(行ウ)第230号)

裁判年月日・裁判所
平成20年7月2日 東京高等裁判所 住民訴訟
ファイル
hanrei-pdf-37273.txt

判決文本文57,961 文字)

-- 主文 控訴に基づき,原判決主文第2項ないし第13項を次のとおり変更する。 (1)控訴人P1株式会社は,東京都八王子市に対し,885万1500円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)控訴人P2株式会社は,東京都八王子市に対し,724万5000円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)控訴人P3株式会社は,東京都八王子市に対し,748万1250円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4)控訴人株式会社P4は,東京都八王子市に対し,1489万9500円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5)控訴人P5株式会社は,東京都八王子市に対し,982万8000円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6)控訴人株式会社P6は,東京都八王子市に対し,2488万5000円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (7)被控訴人らの控訴人株式会社P7,同P8株式会社,同P9株式会社,同P10株式会社及び同P11株式会社に対する請求並びに控訴人P1株式会社,同P2株式会社,同P3株式会社,同株式会社P4,同P5株式会社及び同株式会社P6に対するその余の請求をいずれも棄却する。 -- 本件附帯控訴を棄却する。 原判決中,原審原告P12に関する部分を取り消す。 原審原告P12に関する訴訟は,平成▲年▲月▲日,同原審原告の死亡により終了した。 訴訟費用は,第1,2審を通じて,次のとおり各当事者の負担とする。 (1)被控訴人らと控 部分を取り消す。 原審原告P12に関する訴訟は,平成▲年▲月▲日,同原審原告の死亡により終了した。 訴訟費用は,第1,2審を通じて,次のとおり各当事者の負担とする。 (1)被控訴人らと控訴人株式会社P7,同P8株式会社,同P9株式会社,同P10株式会社及び同P11株式会社との間に生じた分は,被控訴人らの負担とする。 (2)被控訴人らと控訴人P1株式会社,同P2株式会社,同P3株式会社,同株式会社P4,同P5株式会社及び同株式会社P6との間に生じた分は,それぞれ,これを10分し,その1をそれ,。 ぞれ上記各控訴人の負担としその余を被控訴人らの負担とする事実及び理由第1当事者の求める裁判 控訴の趣旨(1)原判決主文第2項ないし第13項を取り消す。 (2)被控訴人らの各控訴人に対する請求をいずれも棄却する。 附帯控訴の趣旨(1)原判決主文第2項ないし第13項を(2)項ないし(12)項のとおり変更する。 (2)控訴人株式会社P7(以下「控訴人P7」という)は,東京都八王子。 市に対し,5088万0900円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)控訴人P1株式会社(以下「控訴人P1」という)は,東京都八王子。 市に対し,5713万7850円及びこれに対する平成14年6月6日から-- 支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4)控訴人P8株式会社(以下「控訴人P8」という)は,東京都八王子。 市に対し,7657万6500円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5)控訴人P2株式会社(以下「控訴人P2」という)は,東京都八王子。 市に対し,4394万2500円及びこれに対する平成14年6月6日 6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5)控訴人P2株式会社(以下「控訴人P2」という)は,東京都八王子。 市に対し,4394万2500円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6)控訴人P3株式会社(以下「控訴人P3」という)は,東京都八王子。 市に対し,4941万3000円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (7)控訴人株式会社P4(以下「控訴人P4」という)は,東京都八王子。 市に対し,9888万9000円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (8)控訴人P5株式会社(以下「控訴人P5」という)は,東京都八王子。 市に対し,6492万1500円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (9)控訴人P9株式会社(以下「控訴人P9」という)は,東京都八王子。 市に対し,4226万2500円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (10)控訴人P10株式会社(以下「控訴人P10」という)は,東京都八。 王子市に対し,6673万8000円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (11)控訴人P11株式会社(以下「控訴人P11」という)は,東京都八。 王子市に対し,5811万7500円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (12)控訴人株式会社P6(以下「控訴人P6」という)は,東京都八王子。 -- 市に対し,1億6420万9500円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の 金員を支払え。 (12)控訴人株式会社P6(以下「控訴人P6」という)は,東京都八王子。 -- 市に対し,1億6420万9500円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 本件は,東京都八王子市(以下「八王子市」という)から工事の施工等に。 つき委託を受けた財団法人P13公社(以下「公社」という)が発注した土。 木工事の指名競争入札に際して,P14株式会社(以下「P14」という,。)控訴人P7,同P1,同P8,同P2,同P3,同P4,株式会社P15(以下「旧P15」という,控訴人P9,同P10,同P11及び同P6(以。)下,上記控訴人らを「控訴人10社」と総称する)が談合した結果,受注予。 定者があらかじめ合意され,入札参加者の間で公正な競争が確保された場合に形成されたであろう正常な落札価格と比較して不当に高い価格で落札がされ,,(「」八王子市が損害を受けたにもかかわらず八王子市の市長以下八王子市長という)が控訴人らに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を行使するこ。 とを怠っているとして,八王子市の住民である被控訴人らが,平成14年法律(,「」。)第4号による改正前の地方自治法以下単に改正前地方自治法という242条の2第1項4号に基づき,八王子市に代位して,控訴人らに対し,八王子市への損害賠償の支払を求める住民訴訟である。 被控訴人らは,①控訴人10社,P14及び旧P15を含む原判決添付業者一覧表記載の広域総合建設業者80社(以下「広域総合建設業者80社」とい。),,,うの間では公社が発注する工事について入札前に受注予定者を決定し互いに受注予定者が落札できるように協力することによって,受注予定者が予定価格近似の金 総合建設業者80社」とい。),,,うの間では公社が発注する工事について入札前に受注予定者を決定し互いに受注予定者が落札できるように協力することによって,受注予定者が予定価格近似の金額で落札できるようにするとの合意(以下,この合意を「基本合意」という)が成立しており,原判決添付工事目録1ないし13記載の各。 工事(以下,上記各工事を目録の番号に従い,順次「本件工事1」ないし「本件工事13」という)については,広域総合建設業者80社の間で基本合意。 に基づき,不当に高い価格で落札がされたものであって,控訴人10社,P1-- 4及び旧P15が,基本合意に基づき,落札業者に不当に高い価格で落札をさせた行為は,八王子市に対する共同不法行為を構成すると主張して,控訴人1,(「」0社P14及び旧P15の引受参加人であるP15株式会社以下P15という)に対し,連帯して,本件工事1ないし13の落札価格と最低制限価。 格との差額に消費税相当額5パーセントを加算した金額の合計額の損害賠償を請求し(以下「主位的請求」という,②上記共同不法行為の成立が認めら。)れないとしても,本件工事1ないし8,10,12及び13の各工事(以下,上記各工事を「本件各工事」と総称する)を落札した控訴人10社又は旧P。 15は,それぞれ,本件各工事の入札に当たり,相指名業者との間で,控訴人10社又は旧P15を受注予定者と決定し,相指名業者に各控訴人が落札できるように協力してもらい,控訴人10社又は旧P15が予定価格近似の金額で落札できるようにするとの合意(以下,この合意を「個別合意」という)を。 成立させ,不当に高い価格で本件各工事を落札したものであって,本件各工事の落札業者である控訴人10社及び旧P15の各行為は,八王子市に対する不法行 の合意(以下,この合意を「個別合意」という)を。 成立させ,不当に高い価格で本件各工事を落札したものであって,本件各工事の落札業者である控訴人10社及び旧P15の各行為は,八王子市に対する不法行為に当たると主張して,控訴人10社及び旧P15の引受参加人であるP15に対し,それぞれが落札した本件各工事の落札価格と最低制限価格との差額に消費税相当額5パーセントを加算した金額の損害賠償を請求した以下予(「備的請求」という)事件である。 。 原判決は,被控訴人らの主位的請求を棄却し,予備的請求については,こののうち,控訴人10社及びP15に対し,それぞれが落札した上記各工事の契,,約金額の5パーセントに相当する額の損害賠償を求める限度でこれを認容しその余を棄却したところ,控訴人10社及びP15が,原判決中,それぞれの敗訴部分を取消し,被控訴人らの控訴人10社及びP15に対する請求をそれぞれ棄却することを求めて控訴をし,被控訴人らが,原判決中,予備的請求に係る部分を変更し予備的請求を全部認容することを求めて附帯控訴をした原,(判決中,主位的請求を棄却した部分については,不服の申立てはない。 。)-- なお,被控訴人P12は,原審の口頭弁論終結の日である平成18年9月19日以前である▲年▲月▲日に死亡したから,同人に関する訴訟は,これにより終了した。また,P15は,本件訴訟が当審に係属後,控訴人P5に吸収合併され,同控訴人がP15を承継した。 争いのない事実等は,次のとおり改めるほかは,原判決「事実及び理由」欄「」,(,の第2事案の概要1記載のとおりであるからこれを引用するただし「」「」。)。 原判決中被告らとあるのを控訴人10社及び旧P15と読み替える(1)原判決5頁15行目に「前提 の第2事案の概要1記載のとおりであるからこれを引用するただし「」「」。)。 原判決中被告らとあるのを控訴人10社及び旧P15と読み替える(1)原判決5頁15行目に「前提事実」とあるのを「争いのない事実等(証,,。)」拠によって認定した事実については末尾に認定に供した証拠を掲記すると改める。 (2)同5頁20行目の「脱退被告」から末行の「承継した」までを「旧。),P15」と改め,6頁1行目の「以下,総称して「被告ら」という」を(。)削除する。 (3)同6頁9行目冒頭から13行目末尾までを「P15(平成16年4月,1日の商号変更前の商号はP16株式会社)は,同日にされた会社分割によ,,り旧P15から本件訴訟に係る権利義務関係を免責的かつ包括的に承継し更に,平成19年4月1日,控訴人P5(同日の商号変更前の商号はP17株式会社)に吸収合併された」と改める。 。 (4)同8頁20行目冒頭から9頁2行目末尾まで,同頁8行目冒頭から13行目末尾までを,それぞれ削除する。 (5)同12頁12行目の「特定土木工事」の次に「Aランクの格付の土木(工事及び共同施工方式により施工する土木工事をいう。以下,同じ」を。)加える。 (6)同13頁16,17行目,19行目,14頁1行目,同頁3,4行目の各「本件工事1ないし13」を,いずれも「本件各工事」と,同頁2行目の「別紙工事目録1ないし13記載の」を「原判決添付工事目録1ないし8,-- 10,12及び13記載の」と,それぞれ改める。 (7)同14頁17行目の「本件工事1」から19行目の「該当する」まで。 ,「,,,,,,,,を本件各工事は順次同記載の番号4 24,28,27,34及び7に該 頁17行目の「本件工事1」から19行目の「該当する」まで。 ,「,,,,,,,,を本件各工事は順次同記載の番号4 24,28,27,34及び7に該当する」と改める。 。 (8)同15頁1行目末尾に改行の上「なお,公正取引委員会は,上記審判,事件について,いまだ(当審口頭弁論終結時において,審決案も示してお)らず,もとより審決もしていない」を加える。 。 被控訴人らの主張(1)談合成立の背景事情以下に述べるように,控訴人10社,P14及び旧P15を含む広域総合建設業者80社の間では,公社が発注する工事について,入札前に「本命」と称する受注予定者を決定し,互いに受注予定者が落札できるように協力することによって,受注予定者が予定価格近似の金額で落札できるようにする,(「」。)との基本合意が成立していたかそのような慣行以下本件慣行というが成立していた。 ア多摩地区に営業所を置く広域総合建設業者は,以前,P18と称する会を組織し,各社の多摩地区土木工事の営業担当者等がこの会に参加してい。 ,,,た同会は昭和54年ころに発足し平成4年ころまで存続していたが同年5月15日に公正取引委員会がP18の会員を含む埼玉県発注の土木工事の入札参加者に対して勧告を行ったのを契機として解散した。 しかしながら,P18の解散後も,旧会員らのほか,同解散後に多摩地区に進出した広域総合建設業者や,多摩地区に営業所を置かずに事業活動を行っている広域総合建設業者の営業担当者を含めて,恒例的に懇親会が開催されている。また,P18の解散以前には,広域総合建設業者各社の多摩地区における営業担当者を掲載した名簿が作成されていたところ,解散後もほぼ同じ体裁の名簿が作成されている。 -- イP1 開催されている。また,P18の解散以前には,広域総合建設業者各社の多摩地区における営業担当者を掲載した名簿が作成されていたところ,解散後もほぼ同じ体裁の名簿が作成されている。 -- イP18存続当時,会員である広域総合建設業者の間では,工事の入札に当たって,受注意欲を持つ会社や,発注される工事との関連性を持つ会社がある場合には,当該受注意欲や関連性を尊重することによって各社の間での競争を避けることが望ましいとの認識が共通しており,受注を希望する者の間の話合いが難航した場合には,P18の会長等の役員が受注調整に当たっていた。 P18の解散後においても,多摩地区において事業活動を行う広域総合建設業者各社は,工事の入札に当たって,受注意欲を持つ会社や,発注される工事との関連性を持つ会社がある場合には,当該受注意欲や関連性を尊重することによって各社同士で競争することを避けることが望ましいとの認識を有しており,上記のような受注調整は継続され,P18の最後の(「」会長であったP14のP19営業所長であったP20以下P20所長ということがある)などが,受注を希望する広域総合建設業者の調整役。 と目されてきた。 ウP21新聞社は,業界で取りまとめた多摩地区で営業活動を行う広域総合建設業者を掲載した営業関係者名簿を作成しているが,同名簿に掲載さ(「」。)れている広域総合建設業者ら80社以下仲間業者ということがあるは,いずれも上記イで述べた認識を有し,相互に協力し合う関係にある業者であるとの認識を有していた。多摩地区で事業活動を行う業者であっても,地元の土木工事会社,道路工事や橋梁工事の専門業者,あるいは地元(,「」。)の大手建設業者など以下これらを一括してアウトサイダーというは,個別に受注調整の話合いを行うことはあっ あっても,地元の土木工事会社,道路工事や橋梁工事の専門業者,あるいは地元(,「」。)の大手建設業者など以下これらを一括してアウトサイダーというは,個別に受注調整の話合いを行うことはあったとしても,上記共通認識の下で受注調整を行っている仲間とは認識されていなかった。 (2)本件各工事の入札における談合本件各工事の落札業者である控訴人10社及び旧P15は,それぞれが落札した本件各工事につき,原判決添付の別紙工事目録1ないし8,10,1-- 2及び13の入札日欄記載の入札実施期日までの間に,同工事目録の「入札参加業者及び開札結果」欄記載の各業者(広域総合建設業者80社以外のアウトサイダーを含む。また,入札参加業者が建設共同企業体の場合には主として代表者である業者)に働き掛け,自社を「本命」と称する受注予定者。 として取り決めさせ,その入札において,自社の入札価格又は相手方に入札してもらう価格を連絡し,あるいは相手方の入札価格を確認するなどして,それぞれ予定価格に近似する価格で落札した。 本件各工事の入札に際して,個別に談合が成立していたことについては,原判決22頁20行目冒頭から39頁12行目末尾までに記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決中の「基本合意」を「基本合意ないし本件慣行」と読み替える。 。)なお,本件各工事の中には,相指名業者(入札参加業者が,建設共同企業体である場合は,その代表者をいう。以下も同じ)の中にアウトサイダー。 が含まれる工事もあった。しかし,アウトサイダーといっても,談合と無縁なわけではなく,各工事ごとにアウトサイダーとの間での受注調整が図られており,反対にアウトサイダーが広域総合建設業者に対して,受注についての協力要請をすることもあった。もとより,アウトサイダーの協力が得ら ではなく,各工事ごとにアウトサイダーとの間での受注調整が図られており,反対にアウトサイダーが広域総合建設業者に対して,受注についての協力要請をすることもあった。もとより,アウトサイダーの協力が得られない場合もあり,その場合には,入札価格は「たたき合い」になり最低制限。 ,価格すれすれの金額で落札業者が決まることになる本件各工事については指名業者にアウトサイダーが含まれている場合であっても,入札に当たって価格競争が行われたことを供述する関係者はおらず,現に予定価格に近似した金額で落札されているのであるから,本件各工事について,アウトサイダーも含めた談合が行われていたことは明白である。 (3)損害の発生と損害額八王子市が公社に支払う委託料のうちの工事費は,公社と控訴人10社及び旧P15との各工事契約の契約代金額がそのまま支払われる仕組みになっ-- ていたことは,前記争いがない事実等(4)のとおりであるから,不法行為によって公社の被った損害は,そのまま,八王子市に転嫁されることになる。 そして,談合が行われず,価格競争が行われた場合には,最低制限価格すれすれの価格で落札されることになったはずであるから,本件各工事の入札に当たり,上記(1)のとおり談合が行われた結果,八王子市は,各落札価格から最低制限価格を差し引いた金額に消費税相当額5パーセントを加算した額の損害を被ったものというべきである。このことは,独占禁止法に基づく課徴金の引き上げに当たって,公正取引委員会が,過去の独占禁止法違反事例について,不当利得額を推計した結果,過去のカルテル・入札談合の値上げ率の平均16.5パーセント程度,約9割の事件で8パーセント以上の不当利得が存在し,入札談合事件に限ると,平均約19パーセントの不当利得が存在することからも,実証的に裏付けられ ル・入札談合の値上げ率の平均16.5パーセント程度,約9割の事件で8パーセント以上の不当利得が存在し,入札談合事件に限ると,平均約19パーセントの不当利得が存在することからも,実証的に裏付けられている。 控訴人らの中には,落札した工事の施工によって利益が得られず,むしろ損失を計上したから,八王子市には損害がないとの主張をする者があるが,談合によって八王子市に損害が生じたか否かということと,受注業者が損失を計上したか否かということは全く次元の異なる問題である。談合が成立した場合には,落札価格は予定価格に近似した額になるが,談合がなければ,最低制限価格すれすれになることからすれば,八王子市に損害が生じていることは明らかである。 (4)違法に財産の管理を怠る事実について以上のとおり,控訴人10社及び旧P15による談合行為に基づき,八王子市は,控訴人らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権を有している以上,これを代位行使する被控訴人らの請求は認容されるべきである。 そもそも,普通地方公共団体の機関又は職員が違法に財産の管理を怠っていることは,改正前地方自治法242条の2第1項4号による代位訴訟の訴訟要件ではない。 -- また,改正前地方自治法及び地方自治法施行令の規定からすれば,金銭債権は,それが存在する以上,行使するのが原則であり,行使しないことについての裁量権は認められないと解すべきである(最高裁判所平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決。 )控訴人らは,不当な取引制限(談合)の有無という専門性の高い分野については,公正取引委員会の判断を待つべきであるというが,独占禁止法違反の行為に関する同法25条に基づく損害賠償請求権とは別に民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権を行うことができるのであって(最高裁判所 は,公正取引委員会の判断を待つべきであるというが,独占禁止法違反の行為に関する同法25条に基づく損害賠償請求権とは別に民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権を行うことができるのであって(最高裁判所昭和60年(オ)第933号,同第1162号同平成元年12月8日第二小法廷判決,民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権は,公正取引委員会にお)ける審判手続中であっても独自に消滅時効が完成する可能性があるのであるから,八王子市長は,時効中断についての配慮もしないまま債権を行使しないことは許されない。そして,地方公共団体に代位して損害賠償を請求する住民は,独占禁止法(平成18年法律第66号による改正前のもの)69条に基づき審判手続中の事件記録の閲覧謄写を求めることができるとされていることからしても(最高裁判所平成14年(行ヒ)第242号同15年9月9日第三小法廷判決,八王子市長が,公正取引委員会の審決を待って,本)件各工事に当たって行われた談合による損害の賠償請求について,その対応を決すべきであるとはいえない。 また,八王子市は,被控訴人らの一部勝訴となった原判決を受けて,控訴人らに対し,原判決認容額の支払を求める文書を送付したが,このことによって,違法に財産の管理を怠る事実が解消されたとはいえない。仮に,かかる文書が送付されたことによって,違法に財産の管理を怠る事実が解消され,,,,たとして本件請求が棄却されるとしたならばこれによって八王子市は同じ訴訟物(損害賠償請求権)についての再訴が遮断されることになるという著しく不当な結果となる。したがって,八王子市が,控訴人らに対し,訴-- 訟外で損害賠償請求を行ったことは,本訴には何らの消長も来さないものというべきである。 (5)監査請求の経由被控訴人らが行った監査請求の対象と がって,八王子市が,控訴人らに対し,訴-- 訟外で損害賠償請求を行ったことは,本訴には何らの消長も来さないものというべきである。 (5)監査請求の経由被控訴人らが行った監査請求の対象となった請求権と本件各工事の入札に当たって行われた談合に基づく損害賠償請求権とは,これが完全に一致するものではないが,監査請求の対象と住民訴訟の対象とは完全に一致する必要はなく,事件としての同一性があれば足りるから,上記予備的請求についても,監査請求前置に欠けるところはない。 控訴人らの主張(以下は,控訴人を個別に特定しない限り,控訴人ら共通の主張である)。 (1)個別談合の成立についての認否・反論控訴人10社及び旧P15が,それぞれが落札した本件各工事につき,相指名業者との間で個別に談合したことは否認する。 控訴人10社及び旧P15が公社が発注する工事について入札前に本,,「命」と称する受注予定者を決定し,互いに受注予定者が落札できるように協力することによって,受注予定者が予定価格近似の金額で落札できるようにするとの慣行(本件慣行)に従っていたとの具体的な事実の立証はない。そして,受注調整に関する基本的な認識基盤を欠いた業者間で,指名から入札までの短期間に,受注予定者を決め,相指名業者はこれに協力する旨が合意されたというのであれば,個別談合を基礎付ける行為及びその形成過程を各個別物件ごとに具体的に特定し,主張すべきである。しかるに,被控訴人らは,本件慣行の存在と控訴人10社及び旧P15がこれに従っていたことを前提として,信用性の乏しい一部の関係者の供述のほかは,落札率が高率であることから,個別談合が成立していた旨を抽象的に主張するにとどまり,被控訴人らの主張は,それ自体失当である。 特に,公社の発注に係る公共工事の入札には,控訴 部の関係者の供述のほかは,落札率が高率であることから,個別談合が成立していた旨を抽象的に主張するにとどまり,被控訴人らの主張は,それ自体失当である。 特に,公社の発注に係る公共工事の入札には,控訴人10社及び旧P15-- を始めとする広域総合建設業者のほかに,受注意欲及び受注能力ともにある162社の業者(アウトサイダー)が参加しており,この162社と控訴人10社及び旧P15との間には,受注調整に関する共通の認識がないのであるから,被控訴人らは,本件各工事に係る個別談合が成立した旨を主張するのであれば,控訴人10社及び旧P15による指名及び入札段階における上記162社に属する事業者との間の各競争を制限する行為を個々具体的に明確に主張すべきである。 各控訴人の個別談合の成否に関する主張は,当審における主張として,以下のとおり付加するほかは,原判決43頁10行目冒頭から48行目4行目末尾までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア本件工事1に関する控訴人P7の主張控訴人P7の積算部門は,当初,本件工事1につき,2億6000万円以上と積算したが,現場担当者がより低額の積算をするよう要請し,その結果,2億4550万円との入札価格が決定されたものの,さらに,同現場担当者は,同入札価格では落札できないとの不安を感じ,100万円を減額して入札しているのであって,この経過からも,控訴人P7が相指名業者との価格競争を意識して,入札を行ったことが明らかである。 しかも,本件工事1については,落札率が99.77パーセントであることから談合があったことを推認することはできない。すなわち,相指名業者も,本件工事1は利益の出ない工事であるとして積極的な受注活動を行っておらず,控訴人P7の落札価格を前提とする実行予算でも,純損失1658万6000円 を推認することはできない。すなわち,相指名業者も,本件工事1は利益の出ない工事であるとして積極的な受注活動を行っておらず,控訴人P7の落札価格を前提とする実行予算でも,純損失1658万6000円が予想され,現に最終的に1755万5482円の純損失を計上しているのであって,このことから,本件工事1の予定価格が低額にすぎたことが容易に認定することができるからである。 したがって,控訴人P7が,談合の結果,本件工事1を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 -- イ本件工事2に関する控訴人P1の主張本件工事2の相指名業者となった広域総合建設業者6社うち2社は,公正取引委員会の審判手続における被審人にもなっておらず,残る3社は,アウトサイダーであって,上記各業者との間での受注調整の事実については,およそ立証がない。仮に,広域総合建設業者80社の間では,被控訴人らが主張する本件慣行なるものに基づく何らかの受注調整が図られていたとしても,これと無関係なアウトサイダーは,自社が受注するために,自らの積算と判断に基づいて入札するのであるから,広域総合建設業者80社に含まれる指名業者間で受注予定者を決定しても,相指名業者にアウトサイダーが含まれる以上,それだけでは,その者に落札させることは不可能なのであって,競争制限の結果を生じさせることはできないことは自明である。 したがって,控訴人P1が,談合の結果,本件工事2を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 ウ本件工事3に関する控訴人P8の主張本件工事3の落札率が99パーセント以上であったとの事実は,談合を推認させるものではない。本件工事3の相指名業者にはアウトサイダーが,,,含まれており控訴人P8はこれらの業者との価格競争に勝って落札し受注実績を 99パーセント以上であったとの事実は,談合を推認させるものではない。本件工事3の相指名業者にはアウトサイダーが,,,含まれており控訴人P8はこれらの業者との価格競争に勝って落札し受注実績を上げるために,一般管理費をカットした積算原価を入札価格とすることにしたのであって,本件工事3の予定価格は,そもそも不合理,不適当な低額なものであったために,その入札価格がたまたま予定価格とほぼ同額になったにすぎない。 そして,本件工事3の相指名業者であるアウトサイダーとの間の受注調整の事実については,およそ立証がない。そうであれば,仮に,広域総合建設業者80社に含まれる一部の指名業者間で受注予定者を決定しても,アウトサイダーが入札することにより,受注予定者との間で競争が起こり-- 得る場合には,指名業者の一部である広域総合建設業者との間での上記決定により,当該市場における競争が実質的に制限され,請負代金が不当につり上げられることにはならない。 したがって,控訴人P8が,談合の結果,本件工事3を不当に高い価格で落札したものではないことが明らかである。 エ本件工事5に関する控訴人P3の主張,。 落札率は個別談合の存在を推認させる重要な間接事実とはなり得ないすなわち,予定価格は,工事内容や各別の地域状況,現実の必要業務量,工事の手間,段取りの制約などの個別事情を考慮することなく東京都の建築物価表等の公表されている資料を基礎として画一的基準の下に決定されるために,作業効率の悪い工事などでは,極めて厳しい価格に設定されることになる。本件工事5は,正にそのような工事であって,分断された私道部分6箇所を対象とするために,作業効率が極めて悪く,入札価格は必然的に割高にならざるを得ない。控訴人P3の入札価格は,利益の計上を予定し得ない状況の下で決 にそのような工事であって,分断された私道部分6箇所を対象とするために,作業効率が極めて悪く,入札価格は必然的に割高にならざるを得ない。控訴人P3の入札価格は,利益の計上を予定し得ない状況の下で決定され,結果的にも1438万6820円もの損失を計上しているのであって,落札率が高いことをもって,個別談合の存在を推認することはできない。 さらに,本件工事5の相指名業者のうち2社は,被控訴人らが主張する本件慣行とはかかわりがないアウトサイダーであって,これらの業者との間の受注調整を認めるに足りる証拠はない。 したがって,控訴人P3が,談合の結果,本件工事5を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 オ本件工事6に関する控訴人P4の主張本件工事6の相指名業者には,アウトサイダーであるP22が含まれており,同社との間の受注調整の事実については,およそ立証がない。そうであれば,仮に,広域総合建設業者80社に含まれる一部の指名業者間で-- 受注予定者を決定しても,アウトサイダーが入札することにより,受注予定者との間で競争が起こり得るのであって,指名業者の一部である広域総合建設業者との間での上記決定により,当該市場における競争が実質的に制限され,請負代金が不当につり上げられることにはならない。 したがって,控訴人P4が,談合の結果,本件工事6を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 カ本件工事8に関する控訴人P9の主張本件工事8の相指名業者のうち,広域総合建設業者は2社にとどまり,他は,被控訴人らが主張する本件慣行が通用しないアウトサイダーであって,本件慣行の存在と落札率から,談合の存在を推認することはできない上,アウトサイダーとの間で受注調整が図られたとの立証はない。 そもそも,談合が行われなくても落札率 が通用しないアウトサイダーであって,本件慣行の存在と落札率から,談合の存在を推認することはできない上,アウトサイダーとの間で受注調整が図られたとの立証はない。 そもそも,談合が行われなくても落札率が高率となることはあるのであって,落札率が高いことから,直ちに談合を推認することはできない。現に,控訴人P9では,ぎりぎりの積算を行った上,一般管理費を更に切りつめて本件工事8の入札価格を決定したものであり,粗利も172万2000円にとどまっているのである。本件工事8は,施工区域が住宅地内の幅員の狭隘な道路であり,作業効率が悪い施工条件の工事であって,工事原価の見積積算が高くなることを余儀なくされる工事であるにもかかわらず,予定価格は,これらの事情をほとんど考慮しないで算定されたものであったため,図らずも高い落札率となったにすぎず,高い落札率は,控訴人P9が落札価格をつり上げたことによるものではない。 したがって,控訴人P9が,談合の結果,本件工事8を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 キ本件工事10に関する控訴人P10の主張本件工事10の入札には,広域総合建設業者以外のアウトサイダー3社が相指名業者として参加しており,控訴人P10は,これら3社との間で-- 個別に受注調整を図ったことは一切ないのであるから,これら3社との間。 ,,では公正な競争が行われているのであるそうであれば控訴人P10が上記3社が関係していない談合行為を行ったとしても,これによって,本件工事10に係る価格形成の公正を害したとはいえない。 したがって,控訴人P10が,談合の結果,本件工事10を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 ク本件工事12に関する控訴人P11の主張被控訴人らが主張する本件慣行の存在と本件工事1 がって,控訴人P10が,談合の結果,本件工事10を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 ク本件工事12に関する控訴人P11の主張被控訴人らが主張する本件慣行の存在と本件工事12の落札率が99パーセント以上であった事実から,談合が行われたことが推認できるものではない。現に,控訴人P11の入札価格は,独自の積算価格から700万円を引き下げた価格競争を意識した価格であり,現にわずか5245円の利益しか出ていない。 そして,控訴人P11が,本件工事12の入札に参加した相指名業者のうち,広域総合建設業者である4社との間で,受注調整を図ったとの証拠はないし,まして,アウトサイダー6社と受注調整を図ったとの事実は全く立証されていない。そもそも,落札する意欲も能力もあるアウトサイダーの入札価格は,自らが積算した工事原価を無視した低額なものとなることはないのであって,談合が成立しなかった場合には,最低制限価格すれすれの価格での落札になるなどということはできない。したがって,本件工事12の入札に当たって,これら相指名業者との間で,価格競争が行われたことは明らかである。 したがって,控訴人P11が,談合の結果,本件工事12を不当に高い価格で落札したものではないことは明らかである。 (2)損害の発生についての反論ア控訴人P7本件工事1は,単独工事であるため,予定価格が2億6000万円以下-- であることが明らかであり,それでは利益がでない赤字工事であることが分かっていたから,相指名業者は受注を希望していなかったのであって,受注調整がなければより低い落札価格となったということはできず,八王子市に損害が生じたとはいえない。 イ控訴人P8仮に,本件慣行の存在を前提として,広域総合建設業者である相指名業者との間において本件工 整がなければより低い落札価格となったということはできず,八王子市に損害が生じたとはいえない。 イ控訴人P8仮に,本件慣行の存在を前提として,広域総合建設業者である相指名業者との間において本件工事3についての受注調整が図られたとしても,上記(1)ウにおいて主張したように,本件工事3の落札価格は,アウトサイダーである地場業者が入札に参加した結果形成されたものであって,これら地場業者との間の公正な価格競争によってもたらされた結果である。上記落札価格が,談合によって不当につり上げられた価格であるということはできないから,八王子市には損害が発生していない。 ウ控訴人P3控訴人P3は,本件工事5を請け負ったことによって1438万6820円もの損失を計上しているのであって,その分,八王子市は利得しているということができ,八王子市には損害がない。 エ控訴人P4上記(1)オにおいて主張したように,本件工事6については,相指名業者にはアウトサイダーであるP22が含まれていたのであり,P22との談合が認定できない以上,P22との間で自由競争が制限されたとはいえず,それ以外の一部業者との間での談合によって,八王子市に損害が発生したということはできない。 オ控訴人P5旧P15は,本件工事7を請け負ったことによって約300万円の損失を計上したのであって,その分,八王子市は利得しているということができ,八王子市には損害がない。 -- カ控訴人P10上記(1)キにおいて主張したとおり,本件工事10の入札には,相指名,,業者として広域総合建設業者以外のアウトサイダー3社が参加しておりこれら3社との間には談合が成立していない以上,その者との間では価格競争が行われているのであって,仮に一部の入札業者との間で談合が成立していたとしても,談合と損 外のアウトサイダー3社が参加しておりこれら3社との間には談合が成立していない以上,その者との間では価格競争が行われているのであって,仮に一部の入札業者との間で談合が成立していたとしても,談合と損害との因果関係が認められない。侵害行為と損害との因果関係については,あくまでも厳格な証明を要するものというべきであり,侵害行為と損害との因果関係については,民事訴訟法248条の適用はない。 (3)損害額についての反論被控訴人らは,八王子市の被った損害は,各物件の落札価格と公社の定めた最低制限価格(予定価格の80パーセントに相当する額)の差額に消費税相当額を加えた金額であると主張するが,公正取引委員会による立入検査後の平成12年10月1日から同17年9月30日までに入札のあった公社発注の特定土木工事139物件のうち,落札率が80パーセント(80パーセント以上81パーセント未満)である物件は50件だけであり,残り89物件は落札率は81パーセント以上であるから,談合がおこなわれなければ,最低制限価格で落札がされたとみることは困難である。 また,予定価格との対比で求められる落札率は,個々の工事の個別具体的事情によって異なってくるのであって,上記期間の落札率の平均値が談合がなければ形成されたであろう落札率に近似すると推定することもできない。 (4)違法に財産の管理を怠る事実の不存在本件訴訟は,八王子市が控訴人らに対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,同市長が,その行使を怠っているとして,改正前地方自治法242条の2第1項4号に基づき,怠る事実に係る相手方である控訴人らに対し,八王子市に賠償金を支払うようその請求権を代位行使-- するというものである。 しかし,同号に基づく代位請求のためには,単に当該地方公共団体の執行 ,怠る事実に係る相手方である控訴人らに対し,八王子市に賠償金を支払うようその請求権を代位行使-- するというものである。 しかし,同号に基づく代位請求のためには,単に当該地方公共団体の執行機関等の財務会計職員に財務会計上の怠る事実があるというだけでは足りず,その不作為が作為義務に違反する違法なものであること,すなわち,財務会計職員が請求等の権利行使をしなければならないことが法令の規定から明らかである場合,又は同職員に裁量権がある場合には権利を行使しないことがその裁量権の範囲を超え,若しくはその濫用となる場合に,初めて許容されるものである。改正前地方自治法242条の2第1項4号は,地方公共団体の住民に対し,損害賠償請求権等の地方公共団体の有する債権の行使について行政権限を付与したものではなく,その不行使状態が当該職員の作為義務に違反して財務会計上違法なものであるときに限り,地方財務行政の適正性確保の見地から,住民が訴えをもってその是正等を求めることを認めたものであることに留意すべきである。 本件監査請求は,談合行為の存否につき,八王子市が具体的に立証できるほど明白なものとなっておらず,公正取引委員会の審決が確定した上で損害賠償請求権の行使について検討することが妥当であり,八王子市長が民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことは,違法又は不当に財産の管理を怠る事実に該当しないなどの理由で,棄却されており,八王子市監査委員は,損害賠償請求権の性質,内容及び額の確定等のほか,行使の時期についても八王子市に裁量権があることを前提に,公正取引委員会の審決の確定の時をめどにこれを検討するのが妥当としている。すなわち,現時点において直ちに損害賠償請求権の行使をしないことをもって違法状態にあるとはいえないことを前提としているものであ 正取引委員会の審決の確定の時をめどにこれを検討するのが妥当としている。すなわち,現時点において直ちに損害賠償請求権の行使をしないことをもって違法状態にあるとはいえないことを前提としているものである。被控訴人らが援用する最高裁判所平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決は,債権の存在が客観的に明らかな場合について判断を示したものであり,本件には妥当しない。 -- 本件において被控訴人らが代位行使する損害賠償請求権の成否は,不当な取引制限(談合)の有無というきわめて専門性の高い分野についての事実認定や法律判断を前提として決せられるものであるから,その事実認定や法律判断につき,第一義的な調査,判断権限を有する公正取引委員会の判断(審決)を待って,これを行使するという八王子市長の対応は,行政機関としての事案処理の統一性,確実性等を担保する趣旨からも合理的であって,審決がされるまで,これを行使しないことに何ら違法性はない。監査請求当時や訴え提起当時,八王子市は,控訴人らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使すべきであるといえるだけの証拠資料は保有しておらず,その立証の見通しも立っていなかったことからすれば尚更である。不十分な証拠関係に基づき,公正取引委員会の審決と矛盾する司法判断がされるようなことになれば,収拾困難な混乱が生じかねない。 さらに,本件においては,八王子市長は,原判決言渡し後,控訴人らに対し,原判決認容額の損害賠償を請求する旨の意思表示をしており,その意味でも,既に,八王子市長が財産の管理を怠る事実は存在しない。 以上のとおり,控訴人らは,被控訴人らの主張する損害賠償請求権の存在を争うものであるが,仮に八王子市が控訴人らに対して損害賠償請求権を有するとしても,現時点ではこれを行使しないとはいえず 在しない。 以上のとおり,控訴人らは,被控訴人らの主張する損害賠償請求権の存在を争うものであるが,仮に八王子市が控訴人らに対して損害賠償請求権を有するとしても,現時点ではこれを行使しないとはいえず,またこれを行使しないことが法令の規定に違反するといえるものでないことはもとより,その裁量権の範囲を超え,又はその濫用となるものでもないから,その不行使をとらえて違法と評価できるものではなく,違法に財産の管理を怠る事実は存在しない。 (5)監査請求の前置被控訴人らは,本件各工事の入札に当たって談合が行われたことを理由とする損害賠償請求権については,監査請求をしておらず,上記損害賠償請求訴訟は,監査請求の前置を欠き,不適法である。 -- 第3当裁判所の判断,,当裁判所は被控訴人らの予備的請求に係る訴えは不適法であるとはいえずその請求は,控訴人P1に対して885万1500円,控訴人P2に対して724万5000円,控訴人P3に対して748万1250円,控訴人P4に対して1489万9500円,控訴人P5に対して982万8000円及び控訴人P6に対して2488万5000円並びに上記各金員に対する訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日又は同月7日)から支払い済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を八王子市にすることを求める限度で理由があるから,これらを認容すべきであるが,上記各控訴人に対するその余の請求及びその余の控訴人らに対する請求は,いずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,以下に説示するとおりである。 公社発注工事の落札業者による受注調整の不法行為該当性当審において審理の対象となっている被控訴人らの請求は,公社の発注に係る本件各工事の落札業者である控訴人10社及び旧P15の営業担当者等が,公社が行った上 事の落札業者による受注調整の不法行為該当性当審において審理の対象となっている被控訴人らの請求は,公社の発注に係る本件各工事の落札業者である控訴人10社及び旧P15の営業担当者等が,公社が行った上記各工事の指名競争入札に当たって,相指名業者との間で談合を行い,八王子市に損害を与えたことを理由として,八王子市の住民である被控訴人らが八王子市に代位して八王子市が控訴人10社及び控訴人P5会,,(社分割により旧P15の権利義務を免責的かつ包括的に承継したP15を合併した)に対して有する不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償請求権を代。 位行使するというものである。なお,被控訴人らの本件監査請求は,本件工事1ないし13につき,34社による談合があったことを理由として,八王子市長が34社に対する損害賠償請求権を適正に行使するよう勧告することを求めるものであって,本訴における上記損害賠償請求とは,その対象が完全に一致するものではないが,本件監査請求は,本件各工事の入札に当たって,落札業者が相指名業者との間で行った談合ないし受注調整による損害賠償請求権を適正に行使するように勧告することを求める趣旨をも包含するものと解するのが-- 相当であって,本件訴訟は,監査請求の前置に欠けるところはない。 指名競争入札によって請負契約の受注者が決定される場合において,落札業者が,相指名業者との間において,入札価格を予め談合して入札に臨んだ場合はもとより,相指名業者との間における公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げたものと評価し得る受注調整が図られ,その結果,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格より高額の落札価格をもって,請負契約が締結されたとの事実が立証されたときは,落札業者が行った受注調整は,発注者 のと評価し得る受注調整が図られ,その結果,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格より高額の落札価格をもって,請負契約が締結されたとの事実が立証されたときは,落札業者が行った受注調整は,発注者が公正な競争の下で形成される落札価格をもって請負契約を締結する権利ないし法的利益を侵害し,発注者に損害を与えるものとして,発注者に対する不法行為を構成するものということができる。 そして,前記争いのない事実等(3)及び弁論の全趣旨によれば,公正取引委員会は,34社に対して課徴金納付命令を発するに先立ち,平成12年9月27日,公社発注に係る特定土木工事に関して立入検査を行っているところ,上記立入検査以前である平成9年10月1日から平成12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件の工事件名,落札業者及び落札率等は,原判決添付「P13公社発注の特定土木工事一覧表」のとおりであって,①落札率95パーセント以上の工事が52件(うち落札率99パーセント以上の工事は41件,②落札率90パーセント以上95パーセント未満の工事が)2件,③落札率85パーセント以上90パーセント未満の工事が2件,④落札率80パーセント以上85パーセント未満の工事が16件(うち落札率80パーセント以上81パーセント未満の工事は15件)で,その平均落札率(同一覧表記載の落札率の値を合計し,工事件数72で除した数値)は94.54パーセントであるのに対し,上記立入検査後である平成12年10月1日から平成17年11月1日までの期間における公社発注の特定土木工事139件の工,,「」,事名落札業者及び落札率等は同特定土木工事一覧表のとおりであって①落札率95パーセント以上の工事が57件(うち落札率99パーセント以上-- の工事は6件,②落札率90パー 「」,事名落札業者及び落札率等は同特定土木工事一覧表のとおりであって①落札率95パーセント以上の工事が57件(うち落札率99パーセント以上-- の工事は6件,②落札率90パーセント以上95パーセント未満の工事が3)0件,③落札率85パーセント以上90パーセント未満の工事が1件,④落札率80パーセント以上85パーセント未満の工事が50件(ただし,落札率80パーセント以上81パーセント未満の工事が全件)で,その平均落札率は89.85パーセントとなっていることが認められるのであって,立入検査後の期間においては,特に落札率99パーセント以上の工事が著しく減少し,落札率80パーセント以上81パーセント未満の工事が増加するなど,落札率に有意な変化が生じていることが明らかである。このことに,一般に,談合等の受注調整は,公正な競争が行われることによって落札価格が低額になることを阻止することを目的としてされるものであることを考慮すると,落札業者と他のすべての相指名業者との間で公正な競争を排除する受注調整が図られたことが立証された場合には,仮に公正な競争が行われても,落札業者の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情がない限り,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格より高額の落札価格をもって請負契約が締結され,発注者に損害が発生したものと推認するのが相当であり,上記受注調整は,発注者に対する不法行為を構成するものということができる。 しかしながら,落札業者と相指名業者のうちの一部の業者との間でのみ受注調整が図られ,これらの一部の業者が,落札業者が予定する入札価格で落札できるように協力して,落札業者の入札価格を上回る価格で入札をするなど,一部の業者との間における公正な競争が排除されてい のみ受注調整が図られ,これらの一部の業者が,落札業者が予定する入札価格で落札できるように協力して,落札業者の入札価格を上回る価格で入札をするなど,一部の業者との間における公正な競争が排除されていた場合であっても,他の一部の業者との間においては受注調整が図られず,又は他の一部の業者が受注調整に応ずることを拒絶し,その結果,他の一部の業者と落札業者との間において公正な競争が行われたときは,落札価格は,他の一部の業者と落札者との間の公正な競争の下で形成されたものとみるほかはない。結果的に,受注調整が図られなかった他の一部の業者の入札価格が落札業者の入札価格よりも高額で-- あったために,落札業者が落札することができたとしても,これは,落札業者が一部の業者との間で受注調整を図った結果とみることはできないのであって,落札業者が一部の業者との間でのみ行った上記受注調整によって,発注者が公正な競争によって形成される落札価格によって請負契約を締結する権利ないし法的利益を侵害され,損害が発生したと認めることはできないのである。 なお,本件各工事の発注者は,八王子市ではなく,公社であるが,前記争いのない事実等(4)によれば,八王子市は,公社との間で本件各委託契約を締結し,公社に対し,工事費(公社と工事請負人との間の契約金額)を含む委託費を支払うことになっており,上記各工事は,本件各委託契約及び事業実施協定に基づいて公社が発注したものであり,八王子市は,上記各工事完了ごとに,公社からの請求に応じ,それぞれ本件各委託契約に基づく委託費を支払ったというのであるから,上記事実関係の下においては,上記各工事の落札業者が,公社から上記各工事を受注するに当たり,相指名業者との間における公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを るから,上記事実関係の下においては,上記各工事の落札業者が,公社から上記各工事を受注するに当たり,相指名業者との間における公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げたものと評価し得る受注調整を図り,その結果,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格より高額の落札価格をもって,請負契約が締結され場合においては,本件各委託契約を介して,八王子市の権利が侵害され,同市に損害が生じたもの認めることができ,上記受注調整は,八王子市に対する不法行為を構成するものということができる(最高裁判所平成13年(行ヒ)第104号同14年7月18日第一小法廷判決参照。 )以上の観点から,本件各工事の入札に際して,控訴人10社及び旧P15の営業担当者等が,八王子市に対する不法行為を構成する受注調整を図ったと認めることができるか否かを検討する。 多摩地区における広域総合建設業者の間における受注調整の状況証拠(甲サ3ないし8,54,56,58,59,62,63,66ないし75,79,84,85,89,91ないし93,98,99,102ないし-- ,,,,,, 135ないし140143ないし146149,151ないし156,158,159,161ないし189,191ないし195,202ないし204,209,231,233,236,237,323,354)及び弁論の全趣旨によれば,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,遅くとも昭和58年には,主として受注価格の低落防止を意図して,多摩地区の市町村又は公社が発注する土木工事について,受注意欲を有する業者の中から「本命「チャンピオン」などと称される業者(以下「本命業 くとも昭和58年には,主として受注価格の低落防止を意図して,多摩地区の市町村又は公社が発注する土木工事について,受注意欲を有する業者の中から「本命「チャンピオン」などと称される業者(以下「本命業者」,」,という)が入札期日までに絞り込まれ,相指名業者となった広域総合建設業。 者は,本命業者又は本命業者が代表者である建設共同企業体が落札できるように協力する受注調整が,事実上の慣行(本件慣行)として広く行われていたこと,具体的には,①工事物件と各業者の営業所等の関係施設との距離,発注予定の工事に関連した工事を過去に施工した実績の有無,提携業者等の特別な関係にある建築設計会社又は設計コンサルタント会社(いわゆるダミコン)が発注予定の工事案件に係る調査設計作業にかかわったことがあるか否か,受注の頻度,受注意欲の強弱,営業活動開始時期の先後等の諸条件を勘案し,これら諸条件において優れると思われる業者(建設共同企業体が施工する工事については,これらの諸条件は,代表者となる広域総合建設業者だけでなく,これと共に建設共同企業体を構成する地元業者等についても考慮される)が本命業。 者となるとの事実上の了解の下に,②受注意欲を有する業者は,入札予定が公表される以前からその受注意欲をアピールするための営業活動を行い,そのような営業活動を通じて受注意欲を有する業者が1社のみであることが明らかになったときは,当該業者が自ずと本命業者と目されることになり,受注意欲を有する業者が複数ある場合には,相互の条件を比較検討し,話合いを行い,あるいは条件において劣る業者が受注をあきらめるなどして,本命業者が絞り込,,,まれていたこと③本命業者の絞り込みに際しては受注意欲を有する業者が-- 広域総合建設業者各社の営業活動に関する情報を豊富に収集していた 受注をあきらめるなどして,本命業者が絞り込,,,まれていたこと③本命業者の絞り込みに際しては受注意欲を有する業者が-- 広域総合建設業者各社の営業活動に関する情報を豊富に収集していたP14P19営業所のP20所長やP20所長を補佐するものと目されていたP23P24営業所のP25所長に,自らのアピールポイントを記載した「PR紙,」「PR図」と称する文書を交付するなどして,自社の受注意欲や自社が諸条件において優れていることを伝え,これに対し,P20所長が助言を与えたり,受注調整に助力したりすることもあり,P20所長が当該業者が受注することに異論がないとの対応をした場合には,当該業者は,広域総合建設業者各社の間で本命業者と認めてもらえるであろうとの感触を得ることができたこと,④本命業者が絞り込まれてくると,本命業者は,その受注意欲を他の広域総合建設業者に対して明示し,かつ,入札に広域総合建設業者以外のアウトサイダーが参入し,アウトサイダーとの間で価格競争が起きることを回避する意図の下に,特に受注意欲を有していない広域総合建設業者に対し,工事希望票の提出を依頼することも多かったこと,⑤本命業者は,指名業者が決定されると,入札期日までの間に,自らの入札価格若しくは相指名業者に入札してもらいたい価格(本命業者の入札価格を上回る価格)を相指名業者に直接若しくは間接に連絡して価格調整を行い,又はこのような具体的な入札価格の連絡がない場合であっても,相指名業者は,公社の予定価格を予想した上で(公社の予定価格は,東京都の建築物価表等の公表された資料に依拠して画一的な基準で積算されることから,広域総合建設業者各社においては,その額を大きな誤差なく予想することが可能である,本命業者が落札できるように,高めの積算価。)格や概算見積価格を 資料に依拠して画一的な基準で積算されることから,広域総合建設業者各社においては,その額を大きな誤差なく予想することが可能である,本命業者が落札できるように,高めの積算価。)格や概算見積価格をもって入札をし,本命業者の落札を妨害しないようしてきたこと,以上の事実が認められ,この認定を左右するに足りる証拠はない。 ,(,,,,,,,,,そして 証拠 甲サ2 ,,,,,,,,,, 182,185,189,191,194,208)及び弁論の全趣旨によれば,上記のような受注調整は,おおむねP21新聞社が発行する営業関係者名-- 簿に記載された広域総合建設業者80社の間で慣行的に行われており,それ以外の地元業者等のアウトサイダーは,上記のような受注調整の慣行と直接には関係がなく,相指名業者の中にアウトサイダーが含まれる場合には,本命業者が,アウトサイダーに落札に協力してくれるように個別に依頼することも少な,,くはなかったが依頼をするかどうかは本命業者の個々の判断にかかっていてアウトサイダーが依頼に応ずるかどうかも個々の案件ごとに異なっていたのであって,ある業者が,広域総合建設業者の間では,本命業者と目されており,相指名業者のうち広域総合建設業者は,その業者の落札に協力する価格で入札をしたとしてもアウトサイダーとの間では公正な競争が行われ価格のた,,,「たき合い」になることも少なくなかったことが認められ,この認定を左右するに足りる証拠はない。 以上のとおり,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者80社の間においては,以上のようにし くなかったことが認められ,この認定を左右するに足りる証拠はない。 以上のとおり,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者80社の間においては,以上のようにして受注調整を行う本件慣行があったものと認められるものの,アウトサイダーは,この本件慣行と直接に関係がなかったものということができ,以下においては,このことを前提としつつ,控訴人10社又は旧P15の営業担当者等が,本件各工事をそれぞれ落札するに当たり,相指名業者すべてとの間において,公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げたものと評価し得る受注調整を図ったものと認めることができるかどうかについて,検討を進める。なお,以下の認定における広域総合建設業者は,いずれも広域総合建設業者80社に含まれる業者である。 本件工事1について(1)証拠(甲サ73,167)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P7においては,平成8年にP26営業所を開設したものの,多摩地区における受注実績がなかったことから,かねて,早期に1件でも受注して実績を作りたいと考えていたこと,控訴人P7は,本件工事1の発注情報を得て,受注意欲-- を持ち,同控訴人P26営業所長が,指名通知を受ける以前から,受注に向けた営業活動を行い,他の広域総合建設業者数社の営業担当者に,控訴人P7が本件工事1について受注意欲を持っていることを伝えていたほか,特に親しい関係にあったP27P28営業所長には,工事希望票の提出を依頼したこと,P27は,公社から指名通知を受けることができなかったものの,相指名業者はすべて広域総合建設業者であって,相指名業者が顔を合わせる現場説明会において,控訴人P7P26営業所長が,控訴人P7は本件工事1について受注意欲を持っ を受けることができなかったものの,相指名業者はすべて広域総合建設業者であって,相指名業者が顔を合わせる現場説明会において,控訴人P7P26営業所長が,控訴人P7は本件工事1について受注意欲を持っている旨を表明したところ,他の相指名業者からは,自社も受注意欲を持っているなどの発言はなく,同営業所長は,控訴人P7が本件工事1の本命業者と認められたとの感触を得たこと,本件工事1については,相指名業者のいずれもが,予定価格を上回る価格で入札をし,控訴人P7は,1回目の入札で,落札価格2億4450万円,落札率99. 77パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区で営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,上記2に認定したような本件慣行があったことをも考慮すれば,本件工事1については,相指名業者である広域総合建設業者各社が,控訴人P7の受注意欲を尊重し,入札を行ったことを推認することができる。 ,. ,加えて本件工事1の落札率は9977パーセントという高率であるが公正取引委員会による立入検査後の平成12年10月1日から平成17年11月1日までの期間における公社発注の特定土木工事139件の落札率が原判決添付「特定土木工事一欄表」記載のとおりであったことは前記のとおりであるところ,上記立入検査によって,多摩地区における広域総合建設業者による受注調整が抑制され,公正な競争が行われるようになったことが推認される上記期間についてみると,落札率が99パーセントを超えたのは,139件中わずかに6件にとどまり,公正取引委員会による多摩地区の特定土-- 木工事をめぐる談合に関する調査が進む中で,平成13年7月30日以降に入札がされた工事に関しては,落札率が99パーセン 9件中わずかに6件にとどまり,公正取引委員会による多摩地区の特定土-- 木工事をめぐる談合に関する調査が進む中で,平成13年7月30日以降に入札がされた工事に関しては,落札率が99パーセントを超える工事は皆無となっているのであって,このことからすると,公正な競争が行われた場合には,落札率が99パーセントを超えることは,極めて例外的な場合であるということができ,落札率が99パーセントを超えた事実は,公正な競争を排除する受注調整が図られていたことを推認させる重要な間接事実となり得るものというべきである。 (2)もっとも,落札率は,予定価格と落札価格との相対的な関係によって定まるのであって,工事の具体的な内容,難度等の当該工事の採算性に鑑みると予定価格が相対的に低額である場合は,落札率が99パーセントを超えたからといって,公正な競争が排除されたことが推認できるわけではない。したがって,落札業者において,その入札価格の具体的な積算過程や当該工事が採算性の低い工事であったことを裏付ける事実を明らかにするなどして,落札率が99パーセントを超えた原因が予定価格が相対的に低額であったことを窺わせる特段の事情を反証した場合には,落札率が99パーセントを超える価格で落札がされたとしても,相指名業者との間における公正な競争を排除する受注調整が図られていたとの推認は妨げられる余地があるものというべきである。 これを本件工事1についてみると,証拠(甲サ73,乙ル1ないし7,10)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P7では,本件工事1は,建設共同企業体に発注される予定価格2億6000万円以上の工事になると想定しており,同控訴人本社土木部の本件工事1の見積額は,2億6000万円以上であったこと,同控訴人P26営業所では,多摩地区における受注実績を作るた れる予定価格2億6000万円以上の工事になると想定しており,同控訴人本社土木部の本件工事1の見積額は,2億6000万円以上であったこと,同控訴人P26営業所では,多摩地区における受注実績を作るために本件工事1を受注することに強い意欲を持っていたことから,同控訴人P29支店において上記見積額を切り詰めて積算をしたものの,その見積額は2億4550万円であったこと,同控訴人P26営業所長は,入札当-- 日,その独断で,上記見積額をさらに100万円減額した2億4450万円で入札をしたことによって,かろうじて予定価格を下回る価格で入札することができたこと,控訴人P7の落札価格を前提とした実行予算においては,純損失1658万6000円が予想され,現に最終的に1755万5482円の純損失を計上したこと,以上の事実が認められるのであって,本件工事1の予定価格は,工事内容,工事の難度等のその採算性にかかわる諸事情を考慮すると,相対的に低額であったものと認めるのが相当である(なお,公社の予定価格は,一般に,東京都の建築物価表等の資料により画一的な基準で積算されることは、前判示のとおりであるから,個別の工事の内容,難易度等の具体的な採算性が予定価格に反映されず,このような事態が生じたとみることができる。これらの事実に照らすと,本件工事1については,。)落札率が99パーセントを超えていたことだけから,公正な競争を排除する受注調整が行われたことを推認するについては,疑問が残る。 さらに,本件記録を精査しても,本件工事1については,控訴人P7のほかに,受注意欲を有していた業者があったことを窺わせる証拠はなく,かえって,証拠(甲サ85,162,352)及び弁論の全趣旨によれば,相指名業者の中にはもともと,本件工事1について受注意欲がない業者が含まれ 意欲を有していた業者があったことを窺わせる証拠はなく,かえって,証拠(甲サ85,162,352)及び弁論の全趣旨によれば,相指名業者の中にはもともと,本件工事1について受注意欲がない業者が含まれていたことが認められる上(なお,これらの業者に対し,控訴人P7の営業担当者等が工事希望票の提出を依頼し,受注意欲を持った業者が入札に参加するのを妨げたなどの事実を窺わせる証拠はない,控訴人P7P26営。)業所長が本件工事1を受注するために行った営業活動は上記(1)に認定したところにとどまり,同営業所長が工事希望票の提出を依頼したP27は,公,,社から指名通知を受けることができなかったことや本件記録を精査しても控訴人P7の入札予定価格や相指名業者に入札をしてもらう価格を連絡するなどの価格調整が行われたとの事実を窺わせる証拠は全くないことを総合考,,,慮すると相指名業者である広域総合建設業者各社は本件工事1について-- さほどの受注意欲を有していなかったため,控訴人P7P26営業所長の受注意欲の表明を受けたことから,本件慣行を背景として,その受注意欲を尊重して高めの価格で入札を行い,結果的に本件工事1の入札に当たっては,受注調整が図られたということはできるものの,同所長が営業活動として行った上記(1)に認定した行為は,本件慣行を背景としたものであることを考慮しても,相指名業者との間における公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げる受注調整に当たると評価し得るほどのもの,換言すれば,不法行為を構成するに足りる違法性を有するものとみるについても,疑問が残る。 しかも,上記認定のとおり,本件工事1の予定価格が相対的に低額であったことに加え,控訴人P7は,多摩地区における受注実績を作るという目的 するに足りる違法性を有するものとみるについても,疑問が残る。 しかも,上記認定のとおり,本件工事1の予定価格が相対的に低額であったことに加え,控訴人P7は,多摩地区における受注実績を作るという目的の下に強い受注意欲を持って,積算価格を下回る入札価格を決定したのに対し,相指名業者の中には,本件工事1に受注意欲を有していた業者があったことは窺われないことからすると,控訴人P7P26営業所長の上記行為により,相指名業者である広域総合建設業者が,控訴人P7の受注意欲を尊重するといったことがなかったとしても,同控訴人の入札価格を下回る価格で入札する業者がなかった可能性も否定することはできず,控訴人P7P26営業所長が営業活動として行った上記(1)に認定した行為の結果,本件工事1がより低い価格で落札されることが妨げられて,八王子市に損害が生じたと認めるについても,疑問が残る。 (3)以上によれば,本件工事1の受注に当たって,控訴人P7P26営業所長が上記(1)に認定したように受注意欲を表明するなどの営業活動を行ったことによって,相指名業者との間における公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げたものと評価し得る受注調整が図られ,その結果,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格より高額の落札価格をもって,請負契約が締結されたものと認めるについて-- は,なお疑問が残る。本件記録を精査しても,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 本件工事2について(,,,),(1) 証拠 甲サ80 及び弁論の全趣旨によれば控訴人P1においては,本件工事2の工事現場近くに事務所を有する株式会社P30と建設共同企業体を組むことができたことから,本件工事2の受注に向けて優位な受注 及び弁論の全趣旨によれば控訴人P1においては,本件工事2の工事現場近くに事務所を有する株式会社P30と建設共同企業体を組むことができたことから,本件工事2の受注に向けて優位な受注条件が整ったものと考え,同控訴人P31支店P32営業所長が,発注情報に関する資料等を持参して,P14P19営業所のP20所長を訪ね,その受注意欲を伝えたこと,同控訴人P31支店P32営業所長は,P20所長から控訴人P1が本件工事2を受注することに異存がないとの趣旨の返答を得られたことから,他の広域総合建設業者からも本命業者と認めてもらえるだろうとの感触を得たこと,同控訴人P31支店P32営業所長は,現場説明会において,相指名業者のうちの広域総合建設業者6社に対して,その受注意欲を伝え,協力方を依頼したところ,上記6社からは特段の異論は出なかったこと,その後,同営業所長は,少なくとも相指名,,業者であるP33の担当者と具体額を示して入札価格の調整を行ったこと本件工事2については,相指名業者(建設共同企業体)のいずれもが,予定,,価格を上回る価格で入札をし控訴人P1が代表者である建設共同企業体は1回目の入札で,落札価格2億8100万円,落札率99.21パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,上記2に認定したような本件慣行があったことをも考慮すれば,控訴人P1は,本件工事2の相指名業者である広域総合建設業者6社のうち,指名を辞退したP34を除く5社との間において,公正な競争を排除する受注調整を図ったものと認めるのが相当である。 -- (2)次に,本件工事2の相指名業者の中にはアウトサイダー3社が うち,指名を辞退したP34を除く5社との間において,公正な競争を排除する受注調整を図ったものと認めるのが相当である。 -- (2)次に,本件工事2の相指名業者の中にはアウトサイダー3社が含まれていたことは,前記争いのない事実等(2)イ記載のとおりであるので,控訴人P1と上記アウトサイダー3社との間でも公正な競争を排除する受注調整が図られたと認めることができるかどうかについて検討するに,本件記録を精,,,査しても控訴人P1の営業担当者等が上記アウトサイダー3社との間で受注調整を図ったことを具体的に認定するに足りる証拠はないし,アウトサイダーは,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間における本件慣行と直接には関係がなかったことは,上記2に認定したとおりである。 しかしながら,本件慣行と直接には関係がなかったとはいえ,広域総合建設業者間での受注調整による本命業者は,アウトサイダーにも協力を働き掛けることが少なくはなかったこと,アウトサイダーがその働き掛けに応ずるかどうかは個々の案件ごとに異なっていたことは前判示のとおりであり,さらに,証拠(甲サ56,67,68,71,73,85,93,113,1,,,,,,,,) 及び弁論の全趣旨によれば,アウトサイダーといっても,談合と無縁なわけではなく,本命業者からの働き掛けに応じて,アウトサイダーも本命業者がその入札予定価格で落札できるように協力することもあったが,アウトサイダーが受注調整に応じない場合には,アウトサイダーとの間で価格競争が行われることになる結果,価格の「たたき合い」になって,最低制限価格に一致し,あるいはこれをわずかに上回る落札価格に が,アウトサイダーが受注調整に応じない場合には,アウトサイダーとの間で価格競争が行われることになる結果,価格の「たたき合い」になって,最低制限価格に一致し,あるいはこれをわずかに上回る落札価格になるなどして赤字を出すことになることも少なくなかったことが認められる。そして,公正な競争が行われた場合には,落札率が99パーセントを超えることは,極めて例外的な場合であったことは既に認定したところである。したがって,相指名業者にアウトサイダーが含まれる場合であっても,落札業者において,その入札価格の具体的な積算過程や当該工事が採算性の低い工事であったことを裏付け-- る事実を明らかにするなどして,落札率が99パーセントを超えた原因が予定価格が相対的に低額であったことを窺わせる特段の事情や,アウトサイダーの入札価格等からみて,アウトサイダーが価格競争を意識して入札価格を決定したことが窺われることなどを反証しない限り,落札率が99パーセントを超える価格で落札がされた事実は,アウトサイダーを含む相指名業者すべてとの間で,公正な競争を排除する受注調整が図られたことを推認させる重要な間接事実とみることができるものというべきである。 これを本件工事2についてみると,本件工事2の落札率が99.21パーセントと99パーセントを超えることは,上記のとおりであるところ,控訴人P1は,アウトサイダーとの価格競争を予想して入札価格を決定したなどの本件工事2の入札価格の積算過程や本件工事2が採算性の低い工事であったなどの事情については,何ら主張・立証をしていないことに加え,本件工事2の相指名業者であるアウトサイダーを代表者とする3建設共同企業体の入札価格は,いずれも広域総合建設業者が代表者である5建設共同企業体の入札価格(この入札価格が,控訴人P1との受注調 加え,本件工事2の相指名業者であるアウトサイダーを代表者とする3建設共同企業体の入札価格は,いずれも広域総合建設業者が代表者である5建設共同企業体の入札価格(この入札価格が,控訴人P1との受注調整を前提とするものであることは,前記認定のとおりである)よりも高額であり,予定価格を10。 00万円以上も超えているのであって,アウトサイダーを代表者とする3建設共同企業体の入札価格は,それ自体,価格競争を想定したものであることを窺わせるものでは全くない。そうであれば,落札率が99パーセントを超える本件工事2については,アウトサイダーである相指名業者との間でも,公正な競争を排除する受注調整が図られていたものと推認するのが相当である。 (3)以上によれば,控訴人P1は,アウトサイダーを含めた相指名業者すべてとの間における公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げる受注調整を図ったものと認めることができるところ,本件記録を精査しても,仮に公正な競争が行われても,控訴人P1-- の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情を認めるに足りる証拠はないから,控訴人P1が,本件工事2の受注に当たって行った上記受注調整は,八王子市に対する不法行為を構成するものというべきである。本件記録を精査しても,この認定を左右するに足りる証拠はない。 本件工事3について,,(1)後記の各証拠によれば公正取引委員会の審査官による事情聴取に対し①本件工事3の相指名業者であった控訴人P6P35営業所長は,同営業所副所長のP36から,控訴人P8から協力依頼があったとの報告を受けた旨の供述をしていること(甲サ137,②旧P15P37支店P38営業所)長は,入札までに,広域総合建 6P35営業所長は,同営業所副所長のP36から,控訴人P8から協力依頼があったとの報告を受けた旨の供述をしていること(甲サ137,②旧P15P37支店P38営業所)長は,入札までに,広域総合建設業者同士の情報交換で,控訴人P8が本件工事3の本命業者であると認識していた旨の供述をしていること(甲サ82,③P39P40営業所課長は,P14P19営業所のP20所長から)の情報によって,本件工事3の本命業者は,控訴人P8に決まっていることを承知していた旨の供述をしていること(甲サ172)が認められる。 しかしながら,②及び③の各供述は,控訴人P8の営業担当者等からの受注に向けた働き掛けについては何ら具体的な事実を供述するものではないから,控訴人P8が受注調整のための働き掛けをしたとの証拠は,控訴人P6についての①の供述だけである。しかも,後記の各証拠によれば,公正取引委員会の審査官による事情聴取に対し,④本件工事3の営業活動に当たった,,控訴人P8P41支店P42土木営業所長は本件工事3の受注に当たって受注調整のための働き掛けを行ったなどの事実については,全く供述していないこと(甲サ291,⑤控訴人P6P35営業所長の供述によって,控)訴人P8から直接協力依頼を受けたとされている同営業所副所長のP36の供述中には,本件工事3に当たって,控訴人P8から協力依頼があったことへの言及がないこと(甲サ86,112,233,⑥控訴人P8が本件工)-- 事3の本命業者であると供述している旧P15P37支店P38営業所長も,控訴人P8から協力依頼を受けた記憶はないと供述していること(甲サ82,⑦本件工事3の相指名業者であった株式会社P43P44支店P4)5営業所長の供述も,本件工事3につき,控訴人P8から受注調整のための働き掛けが 依頼を受けた記憶はないと供述していること(甲サ82,⑦本件工事3の相指名業者であった株式会社P43P44支店P4)5営業所長の供述も,本件工事3につき,控訴人P8から受注調整のための働き掛けがあったことには全く言及していないこと(甲サ175,⑧同じ)く相指名業者であったP46株式会社P47支店土木営業部担当部長の供述も,控訴人P8から協力依頼があったとしたら,同控訴人が営業努力をしているといった程度の話だと思うなどというもので,受注調整のための働き掛けがあったことを具体的に述べるものではないこと(甲サ105)が認められるのである。上記④ないし⑧掲記の各号証に加え,本件工事3の受注に当たって,受注調整のための働き掛けをしたことを否定する趣旨に帰する控訴人P8P41支店P42土木営業所長の陳述書(乙チ1)に照らすならば,①の供述の信用性には疑問が残り,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区で営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間に本件慣行があったことを前提にしても,上記①ないし③掲記の各号証によって,本件工事3の入札に当たって,相指名業者である広域総合建設業者に対して控訴人P8の営業担当者等から受注調整のための働き掛けがされたとの事実を認めるには足りないものというほかはない。 (2)しかも,本件工事3の相指名業者の中にはアウトサイダー4社が含まれていたことは,前記争いのない事実等(2)ウ記載のとおりであるところ,本件記録を精査しても,控訴人P8がこれらアウトサイダーとの間で,受注調整を図ったことを具体的に認定するに足りる証拠はない上,アウトサイダーは,広域総合建設業者各社の間における本件慣行と直接には関係がなかったことは,上記2に認定したとおりである。 (3)そして,本件工事3の落札率は,99.90パーセントであって,99 アウトサイダーは,広域総合建設業者各社の間における本件慣行と直接には関係がなかったことは,上記2に認定したとおりである。 (3)そして,本件工事3の落札率は,99.90パーセントであって,99パーセントを超えることは,前記争いのない事実等(2)ウ記載のとおりであ-- り,この事実は,公正な競争を排除する受注調整が図られたことを推認させる重要な間接事実とみることができ,前示の特段の事情等が反証されない限りこれを推認させることは,既に説示したところであるが,証拠(乙チ1ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P8においては,通常は,直接工事費,共通仮設費及び現場管理費を積算した積算原価を92パーセントで割り戻し,その8パーセントを一般管理費として積算原価に加算した額を基礎として入札価格を決定することになっていたものの,同控訴人P41支店P42土木営業所長は,本件工事3の相指名業者の中には,アウトサイダー4社が含まれていることを考慮すると,積算原価に一般管理費を加算した価格では,他の指名業者との価格競争に勝って,落札することは困難であると判断し,一般管理費を加算せずに,積算原価をもって入札価格とすることにしたこと,本件工事3は,交通量の多い,α街道の両側に,直径200ミリメートルの塩ビ管を約1300メートルにわたり埋設する工事であり,工種も多種にわたり,埋設物も多く,積算原価が高額にならざるを得ない工事であったことが認められるのであって,これらの事実に照らすならば,本件工事3については,予定価格が工事内容,工事の難度等のその採算性にかかわ,,る事情を考慮すると相対的に低額であったものと認めるのが相当であって本件工事3の落札率が99.90パーセントであったとの事実だけから,本件工事3の相指名業者すべてとの間で,公正な競争を かわ,,る事情を考慮すると相対的に低額であったものと認めるのが相当であって本件工事3の落札率が99.90パーセントであったとの事実だけから,本件工事3の相指名業者すべてとの間で,公正な競争を排除する受注調整が図られていたことを推認するには足りないものというべきである。 (4)以上によれば,本件工事3については,控訴人P8の営業担当者等が相指名業者であるアウトサイダーはもとより,広域総合建設業者各社に対しても受注調整のための働き掛けを行った事実を具体的に認定するに足りる証拠はない上,控訴人P8による入札価格の積算過程や本件工事3の工事現場の状況等に照らすと,落札率が99パーセントを超えたのは,工事の具体的な内容,難度等の当該工事の採算性に比して予定価格が低額であることに原因-- がある可能性を否定することができず,受注率が99.90パーセントであった事実だけから,相指名業者すべてとの間で,公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げたものと評価し得る受注調整が図られていたと推認するには足りないものというべきである。本件記録を精査しても,他に,本件工事3の入札に当たり,控訴人P8と相指名業者すべてとの間で,上記のような受注調整が図られていたことを認めるに足りる証拠はない。 本件工事4について証拠(甲サ5,56,153,164)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P2においては,平成10年秋ころ,自社と特別な関係にある建設コンサルタントであるP48が本件工事4の調査設計の入札参加者として指名を受けたことから,早くから本件工事4に受注意欲を持ち,同控訴人P49営業所長が,設計の仕様書,図面等を持参し,P14P19営業所のP20所長を訪ね,その受注意欲を伝えたこと,本件工事4の入札予定が公表さ ことから,早くから本件工事4に受注意欲を持ち,同控訴人P49営業所長が,設計の仕様書,図面等を持参し,P14P19営業所のP20所長を訪ね,その受注意欲を伝えたこと,本件工事4の入札予定が公表された後,同控訴人P49営業所長は,広域総合建設業者二,三社に対し,工事希望票の提出を依頼をした上,現場説明会の翌日には,アウトサイダーを含む相指名業者全員に対,,,し控訴人P2が本件工事4につきの受注意欲を持っていることを伝え更に入札の数日前には,アウトサイダーを含む相指名業者に対し,各社に入札をしてもらいたい価格を伝えたこと,控訴人P2は,1回目の入札で,落札価格2億3000万円,落札率97.79パーセントで本件工事4を落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば,控訴人P2は,アウトサイダーを含む相指名業者すべてとの間で,各社の入札価格を含め談合し,その結果,本件工事4を落札したものと認めるのに十分であり,仮に公正な競争が行われても,落札業者の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情は,何ら立証されていないから,上記談合によって,八王子市に損-- 害が生じたものというべきであって,上記談合は,八王子市に対する不法行為を構成することが明らかである。本件記録を精査しても,この認定を左右するに足りる証拠はない。 本件工事5について(1)証拠(甲サ5,6,56,67,72,144,176)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P3においては,本件工事5の発注情報を得て,検討をしたところ,採算性が低く,他の広域総合建設業者が受注意欲を持つことが少ない案件であると考えられたため,平成2年ころから長く公社からの工事を受注していない控訴人P3において,これを受注できる可能性が高いと ころ,採算性が低く,他の広域総合建設業者が受注意欲を持つことが少ない案件であると考えられたため,平成2年ころから長く公社からの工事を受注していない控訴人P3において,これを受注できる可能性が高いと考えて受注意欲を持つようになり,同控訴人P50支店P51営業所長が,平成11年4月ころ,P14P19営業所のP20所長に,その受注意欲を伝えたこと,同営業所長は,P20所長の対応から,アウトサイダーが本件工事5の入札に参加してくる可能性があるものの,他の広域総合建設業者の中で営業努力をしている業者はないとの感触を得て,広域総合建設業者数社に対し,控訴人P3が本件工事5について受注意欲を持っていることを伝えるとともに,広域総合建設業者12社ぐらいに,工事希望票の提出を依頼したこと,現場説明会においては,相指名業者となった広域総合建設業者7社は,特に受注意欲を主張することもなく,控訴人P3を本命業者と認めてくれているという感触が得られたことから,控訴人P3は,相指名業者のうち広域総合建設業者の一部に対し,入札をしてもらう価格の連絡をするなどして入札に臨んだところ,相指名業者である広域総合建設業者各社は,いずれも,概算による高めの見積りで入札をしたり,積算もせずに入札をしたりして,控訴人P3の落札に協力したこと,本件工事5については,1回目の入札では,いずれの入札価格も予定価格を上回ったため,2回目の入札が行われ,1回目の入札価格から150万円減額して入札した控訴人P3が,落札価格2億3750万円,落札率99.77パーセントで本件工事5を落札し-- たこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,上記2に認定した本件慣行があったこと たこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,上記2に認定した本件慣行があったことをも考慮すれば,控訴人P3は,本件工事5の相指名業者である広域総合建設業者7社との間において,公正な競争を排除する受注調整を図ったものと認めるのが相当である。 (2)次に,本件工事5の相指名業者の中にはアウトサイダー2社が含まれていたことは,前記争いのない事実等(2)オ記載のとおりであるので,控訴人P3と上記アウトサイダー2社との間でも公正な競争を排除する受注調整が図られていたと認めることができるかどうかについて検討するに,甲サ67号証及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P3P50支店P51営業所長は,現場説明会において,相指名業者であるアウトサイダー2社(P52協同組合及びP53株式会社)に対しても,控訴人P3が受注意欲を持っていることを伝えたところ,上記2社は「考えておく」といった対応であり,控,。 訴人P3との競争を主張する発言はなかったため,同所長は,上記2社も受注調整に応じてくれたものと理解したことが認められる。 しかも,本件工事5の落札率は,99.77パーセントであって,99パーセントを超えることは,上記のとおりであり,この事実は,公正な競争を排除する受注調整が図られたことを推認させる重要な間接事実とみることができ,前示の特段の事情等が反証されない限りこれを推認させることは,既に説示したところであるが,控訴人P3は,アウトサイダー2社との価格競争を意識して入札価格を決定したなどの入札価格の積算過程については,全く主張・立証をしていない。かえって,甲サ67号証によれば,1回目の入札で落札業者が決まらなかった場合には,2回目の入札にお 格競争を意識して入札価格を決定したなどの入札価格の積算過程については,全く主張・立証をしていない。かえって,甲サ67号証によれば,1回目の入札で落札業者が決まらなかった場合には,2回目の入札において,1回目の最低の入札価格から100万円以内の減額にとどまる金額で入札することによって,本命業者の落札に協力するのが,広域総合建設業者各社の間の暗黙-- の了解事項であると認められるところ,本件工事5については,1回目の入札に当たり,すべての入札業者が予定価格を上回る価格で入札をしたため,2回目の入札が行われているが,相指名業者であるアウトサイダー2社は,いずれも,1回目の最低の入札価格である控訴人P3の入札価格をわずかに30万円又は50万円下回るにとどまる価格で2回目の入札を行っているのであって,上記2社は,控訴人P3との間での「たたき合い」といった価格競争を行うことなく,競争を回避するような価格で2回目の入札を行ったことが窺われるのである。 以上によれば,控訴人P3P51営業所長は,相指名業者であるアウトサイダー2社に対しても本件工事5についての受注意欲を示し,受注調整のための働き掛けを行い,上記2社は,これを拒絶するような対応をしなかったことが認められるにとどまらず,本件工事5の落札率は99パーセントを超えているところ,控訴人P3は,落札率が99パーセントを超えている事実からアウトサイダーとの間でも公正な競争を排除する受注調整が図られたことを推認するのを妨げる反証を行っていないものというべきであるから,控訴人P3と上記アウトサイダー2社との間においても,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認めるのが相当である。 もっとも,証拠(乙ト1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事5は,私道部分6か所において施工するため 2社との間においても,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認めるのが相当である。 もっとも,証拠(乙ト1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事5は,私道部分6か所において施工するため,作業効率が悪く,控訴人P3の策定した実行予算においても1500万円を超える純損失が計上され,結果的にも1400万円を超える純損失が生じたことが認められる。しかし,現場説明会において,アウトサイダー2社を含む相指名業者に対し,控訴人P3P50支店P51営業所長が同控訴人の受注意欲を示したことや,アウトサイダー2社の2回目の入札価格が控訴人P3との競争回避を窺わせることに加え,控訴人P3は,結果的に,本件工事5の施工によって損失が生じたことは主張・立証するものの,その入札価格の積算過程については何ら主-- 張・立証しないことをも考慮するならば,本件工事5が作業効率の悪い工事であって,その採算性が低いものであり,これに比して,予定価格が低めであったというだけでは,上記認定を左右するには足りないものというべきである。 (3)以上によれば,控訴人P3は,アウトサイダーを含めた相指名業者すべてとの間において,公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げる受注調整を図ったものと認めることができるところ,本件記録を精査しても,仮に公正な競争が行われても,控訴人P3の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情を認めるに足りる立証はないから,控訴人P3が,本件工事5の受注に当たって行った上記受注調整は,八王子市に対する不法行為を構成するものというべきである。 なお,控訴人P3は,本件工事5の施工によって,同控訴人に損失が生じている以上,八王子市には利得こそあれ,損害は生じてい った上記受注調整は,八王子市に対する不法行為を構成するものというべきである。 なお,控訴人P3は,本件工事5の施工によって,同控訴人に損失が生じている以上,八王子市には利得こそあれ,損害は生じていないと主張する。 しかし,前判示のとおり,控訴人P3の不法行為は,全指名業者との公正な競争を排除する受注調整を図り,その結果,公正な競争の下で形成されたであろう落札価格よりも高額な落札価格で本件工事5を受注したことにあり,これにより八王子市は公正な競争により形成されたであろう落札価格と現実の控訴人P3の落札価格と差額に相当する損害を被ったことになるのであるから,たとえ,控訴人P3が本件工事5の施工によって利益がなく,かえって損失を計上したとしても,八王子市に損害がなかったとみる余地はない。 控訴人P3の上記主張は,採用することができず,本件記録を精査しても,他に上記認定を左右するに足りる証拠はない。 本件工事6について(1)証拠(甲サ62,74,80,161)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P4においては,本件工事6の入札の1年前ぐらいから,その発注情報-- を得て,本件工事6に強い受注意欲を持っており,同控訴人P54事務所長が,他の広域総合建設業者二,三社に対し,控訴人P4において本件工事6の受注に向けた営業努力をしていることを伝えており,P55には工事希望,,,,票の提出も依頼したこと相指名業者となったP55P56はいずれも同事務所長の営業活動や他の広域総合建設業者からの情報により,控訴人P4を本命業者であると認識しており,入札に当たって,控訴人P4から連絡があった価格で入札をしたり,概算の見積りで高めの価格で入札するなどして,控訴人P4が代表者である建設共同企業体が落札できるように協力した,,(),こ ,入札に当たって,控訴人P4から連絡があった価格で入札をしたり,概算の見積りで高めの価格で入札するなどして,控訴人P4が代表者である建設共同企業体が落札できるように協力した,,(),こと本件工事6については相指名業者建設共同企業体のいずれもが予定価格を上回る価格で入札をし,控訴人P4が代表者である建設共同企業体は,1回目の入札で,落札価格4億7300万円,落札率99.88パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,上記2に認定した本件慣行があったことをも考慮すれば,控訴人P4は,本件工事6の相指名業者である広域総合建設業者8社との間において,公正な競争を排除する受注調整を図ったものと認めるのが相当である。 上記認定に対し,控訴人P4は,上記甲サ各号証には信用性がない旨を主張し,これらに反する乙ニ1号証(控訴人P4P54事務所長の陳述書)を提出する。確かに,上記甲サ各号証の各供述は,本件工事6についての受注調整について,具体性に欠けるうらみがないわけではないものの,同控訴人P54事務所長の営業活動について,一定の具体性をもった供述があることや,上記甲サ各号証の各供述は,本件工事6について,本件慣行を背景とし,,,て受注調整が図られたという点では一致しており上記乙ニ1号証を含め本件記録を精査しても,本件工事6については,広域総合建設業者各社との間でも受注調整が図られることがなく,価格競争が行われたなどの事情を窺-- わせる証拠は全くないのであって,乙ニ1号証をもって,上記認定を左右するには足りない。 (2)次に,本件工事6の入札業者の中にはアウトサイダーであるP22が含ま われたなどの事情を窺-- わせる証拠は全くないのであって,乙ニ1号証をもって,上記認定を左右するには足りない。 (2)次に,本件工事6の入札業者の中にはアウトサイダーであるP22が含まれていたことは,前記争いのない事実等(2)カ記載のとおりであるので,控訴人P4とP22との間でも,公正な競争を排除する受注調整が図られた,,と認めることができるかどうかについて検討するに本件記録を精査しても控訴人P4の関係者が,P22との間で,受注調整を図ったことを具体的に認定するに足りる証拠はないし,アウトサイダーは,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間における本件慣行と直接には関係がなかったことは,上記2に認定したとおりである。 しかしながら,本件工事6の落札率は,99.88パーセントであって,99パーセントを超えることは,上記のとおりであり,この事実は,公正な競争を排除する受注調整が図られたことを推認させる重要な間接事実とみることができ,前示の特段の事情等が反証されない限りこれを推認させることは,既に説示したところであるが,控訴人P4は,P22との価格競争を意識して入札価格を決定したなどの入札価格の積算過程や本件工事6が採算性の悪い工事であったために落札率が高くなったなどの事情については,何ら主張・立証しないし,証拠(甲サ164,170)によれば,P22は,他の特定工事の入札において,広域総合建設業者からの受注協力に応じたこともあることが認められるところ,P22の入札価格は,4億9800万円であって,予定価格を約2450万円も上回っており,それ自体,価格競争を想定したものであることを窺わせるものではない。そうであれば,控訴人P4は,アウトサイダーであるP22との間でも,公正な競争 円であって,予定価格を約2450万円も上回っており,それ自体,価格競争を想定したものであることを窺わせるものではない。そうであれば,控訴人P4は,アウトサイダーであるP22との間でも,公正な競争を排除する受注調整を図ったものと推認するのが相当である。 (3)以上によれば,控訴人P4は,アウトサイダーを含めた相指名業者すべ-- てとの間において,公正な競争を排除し,相指名業者が控訴人P4の入札価格を下回る価格で入札することを妨げる受注調整を図ったものと推認することができるところ,本件記録を精査しても,仮に公正な競争が行われても,控訴人P4の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情を認めるに足りる証拠はないから,控訴人P4が,本件工事6の受注に当たって行った上記受注調整は,八王子市に対する不法行為を構成するものというべきである。本件記録を精査しても,この認定を左右するに足りる証拠はない。 本件工事7について証拠(甲サ4,80,149)及び弁論の全趣旨によれば,旧P15においては,本件工事7については,旧P15が,隣接する八王子市βの下水道築造工事を手掛けた経験があり,他の広域総合建設業者と比べて受注条件において優れていたため,本件工事7に受注意欲を持ち,公社が,本件工事7を含む発注予定物件を公表して間もなく,旧P15P37支店P38営業所長が,P14P19営業所のP20所長を訪れ,その受注意欲を伝えた上,公社から指名通知を受けた後にも,P20所長に電話を掛けて,改めて受注意欲を伝えるとともに,相指名業者の全社(広域総合建設業者6社及びアウトサイダー3社)に対し,電話を掛けるだけでなく,事務所を訪れて,旧P15が受注できるように協力を求めたこと,更に,入札の数日前には,アウトサイダ もに,相指名業者の全社(広域総合建設業者6社及びアウトサイダー3社)に対し,電話を掛けるだけでなく,事務所を訪れて,旧P15が受注できるように協力を求めたこと,更に,入札の数日前には,アウトサイダーを含む相指名業者に対し,各社に入札をしてもらいたい価格を伝えたこと,本件工事7については,相指名業者(建設共同企業体)のいずれもが,予定価格を上回る価格で入札をし,旧P15が代表者である建設共同企業体は,1回目の入札で,落札価格3億1200万円,落札率99.77パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば,旧P15は,アウトサイダーを含む相指名業者すべてとの間において,各社の入札価格を含め談合し,その結果,本件工事7を落-- 札したものと認めるのに十分であり,仮に公正な競争が行われても,落札業者の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情は,何ら立証されていないから,上記談合によって,八王子市に損害が生じたものというべきであって,上記談合は,八王子市に対する不法行為を構成することが明らかである。本件記録を精査しても,この認定を左右するに足りる証拠はない。 これに対し,控訴人P5は,本件工事7の施工によって,旧P15に損失が生じている以上,八王子市に損害はないと主張するが,この主張を採用することができないことは,上記7において判示したとおりである。なお,上記主張が,旧P15が損失を計上した事実からすると,予定価格が低額に過ぎたことが明らかであって,公正な競争が妨げられなくても,旧P15の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることが窺えるとの主張を含むものとしても,上記損失計上の事実だけから,上記可能性があることが窺えるものではなく,失当であ くても,旧P15の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることが窺えるとの主張を含むものとしても,上記損失計上の事実だけから,上記可能性があることが窺えるものではなく,失当である。 本件工事8について(1)証拠(甲サ71,144)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P9においては,同控訴人P57支店P58営業所を設置したものの,公社からの受注実績がなかったことから,受注実績を作る必要を感じており,本件工事8の入札予定が公表される前に,自社と特別な関係にある建設コンサルタント,,業者であるP59から設計図書等を入手して現地調査を行うなどした結果本件工事8に強い受注意欲を持つようになったこと,同営業所長は,公社から指名通知を受ける以前から,P14P19営業所のP20所長に受注意欲を伝えるとともに,P60やP61などの広域総合建設業者数社に対し,工事希望票の提出を依頼し,その受注意欲を示してきたこと,控訴人P9と共,,に本件工事8の相指名業者のうち唯一の広域総合建設業者であるP61は本件工事8については,受注意欲を持っていなかったため,高めの価格で入-- 札をして,控訴人P9が落札できるように協力したこと,本件工事8については,相指名業者のいずれもが,予定価格を上回る価格で入札をし,控訴人P9は,1回目の入札で,落札価格2億0600万円,落札率99.60パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,上記2に認定した本件慣行があったことを考慮すれば,控訴人P9と相指名業者であるP61との間においては,本件慣行を背景として,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認める 各社の間においては,上記2に認定した本件慣行があったことを考慮すれば,控訴人P9と相指名業者であるP61との間においては,本件慣行を背景として,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認めるのが相当である。 (2)次に,本件工事8の相指名業者の中にはアウトサイダー8社が含まれていたことは,前記争いのない事実等(2)ク記載のとおりであるので,控訴人P9と上記アウトサイダー8社との間でも公正な競争を排除する受注調整が図られていたと認めることができるかどうかについて検討するに,本件記録を精査しても,控訴人P9の営業担当者等が,アウトサイダーである相指名業者との間で何らかの受注調整を図ったことを具体的に認定するに足りる証拠はないし,アウトサイダーは,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間における本件慣行と直接には関係がなかったことは,上記2に認定したとおりである。 そして,本件工事8の落札率は,99.60パーセントであって,99パーセントを超えることは,上記のとおりであり,この事実は,公正な競争を排除する受注調整が図られたことを推認させる重要な間接事実とみることができ,前示の特段の事情等が反証されない限りこれを推認させることは,既に説示したところであるが,証拠(乙カ2,3,乙カ4の1ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事8は,施工区域が住宅地内の幅員の狭隘な道路であって,作業効率の悪い工事であり,控訴人P9では,作業効率の悪さを克服するための施工方法を策定するなどして,細目にわたり切り詰めた-- ,,()積算を行ったこと控訴人P9の社内規定においては一般管理費粗利益が工事価格に占める構成比率を8パーセント以上とすることとされているが,本件工事8の見積りに当たって た-- ,,()積算を行ったこと控訴人P9の社内規定においては一般管理費粗利益が工事価格に占める構成比率を8パーセント以上とすることとされているが,本件工事8の見積りに当たっては,これを5パーセントに切り詰めて,これを積算原価に加算した上で,入札価格を2億0600万円と決定し,入札をしたことが認められることに加え,相指名業者のうち,アウトサイダーであるP62株式会社の入札価格は2億0800万円であって,控訴人P9の入札価格とわずかに200万円の差があるにすぎないのであって,その入札価格は,控訴人P9とアウトサイダーである相指名業者との間では,価格競争が行われたことを窺わせるものということができる。これらの事実に照らすと,本件工事8の落札率が99.60パーセントであるとの事実だけから,控訴人P9とアウトサイダーである相指名業者との間において,公正な競争を排除する受注調整が図られていたものと推認するには足りないものというほかはない。本件記録を精査しても,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (3)以上によれば,本件工事8については,アウトサイダーである相指名業者との間において,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認めるには足りず,その間において公正な競争が行われた可能性を否定できないのであって,控訴人P9と共に本件工事8の相指名業者のうち唯一の広域総合建設業者であるP61との間においては,本件慣行を背景として,公正な競争を排除する受注調整が図られていたとしても,上記受注調整をもって,八王子市に対する不法行為を構成するとみることはできないことは,前記1に説示したとおりである。 本件工事10について(1)証拠(甲サ63,113,115,156,164,208,246)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P るとみることはできないことは,前記1に説示したとおりである。 本件工事10について(1)証拠(甲サ63,113,115,156,164,208,246)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P10においては,本件工事10に先行する八王子市γ×番先の下水道築造工事の設計段階から,同工事につき受注-- 意欲を持ち,同控訴人P63支店P64営業所長は,P14P19営業所のP20所長に,委託設計書,地図等の資料を持込み,その受注意欲を伝えていたこと,同工事については,別の業者が受注するところとなったものの,同控訴人P63支店P64営業所長は,同工事の延長工事に当たる本件工事10について,広域総合建設業者数社に対し,受注意欲を伝えるとともに,工事希望票の提出を依頼するなどしたこと,本件工事10については,P65及びP27も受注意欲を持っていたため,控訴人P10との間で受注条件の優劣について協議をし,P65が代表者である建設共同企業体は,控訴人P10が代表者である建設共同企業体の落札に協力する価格で入札し,P27が代表者である建設共同企業体は,自らの積算価格で入札をしたものの,控訴人P10との価格競争を意識して積極的に入札価格を切り詰めるようなことはしなかったこと,他の相指名業者のうち広域総合建設業者である控訴人P2,P66及びP67は,控訴人P10から入札価格の連絡を受け,又は概算見積りで入札をして,控訴人P10が代表者である建設共同企業体の落札に協力し,また,P68も,本件工事10については強い受注意欲を持つ広域総合建設業者が競合している状況にあるとの認識の下で,概算見積り,,で入札をするなどしたこと控訴人P10が代表者である建設共同企業体は1回目の入札で,落札価格3億4500万円,落札率98.06パーセントで本件工事10 る状況にあるとの認識の下で,概算見積り,,で入札をするなどしたこと控訴人P10が代表者である建設共同企業体は1回目の入札で,落札価格3億4500万円,落札率98.06パーセントで本件工事10を落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間には本件慣行があったことをも考慮すれば,控訴人P10と相指名業者である広域総合建設業者7社(具体的な証拠がない控訴人P6を含む)との間においては,本件慣行を背景として,公正な競。 争を排除する受注調整を図られたものと認めるのが相当である。 (2)次に,本件工事10の相指名業者の中には,アウトサイダー2社が含まれていたことは,前記争いのない事実等(2)コ記載のとおりであるので,控-- 訴人P10と上記アウトサイダー2社との間でも公正な競争を排除する受注調整が図られていたと認めることができるかどうかについて検討するに,本件記録を精査しても,控訴人P10の営業担当者等が,上記アウトサイダー2社との間で何らかの受注調整を図ったことを具体的に認定するに足りる証拠はない上,アウトサイダーは,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間における本件慣行と直接には関係がなったことは,上記2に説示したとおりである。 ,(,,),加えて 証拠 乙共6の1乙ヌ3乙ヲ7及び弁論の全趣旨によれば本件工事10の相指名業者のうちアウトサイダーであるP69の土木部長は,公正取引委員会の審問においても,指名を受けた工事については,受注の意思も能力も有しており,広域総合建設業者向けの工事であると考えて入札価格を高めに設定したりしたことはないと供述していることが認められることや, の審問においても,指名を受けた工事については,受注の意思も能力も有しており,広域総合建設業者向けの工事であると考えて入札価格を高めに設定したりしたことはないと供述していることが認められることや,甲サ208号証によれば,本件工事10について受注意欲を持っていたP27P70支店P71営業所長は,控訴人P10とアウトサイダーであるP69やP22との間で価格競争になることを予想していたことが認められることを考慮すると,本件工事10の落札価格は98.06パーセントと高率ではあり,また,P69及びP22の入札価格は予定価格を約820万ないし2920万円も超えるものであったのではあるが,これらのことだけから,控訴人P10と相指名業者のうちアウトサイダーであるP69やP22との間において,公正な競争を排除する受注調整が図られていたと推認するには足りないものというほかはない。 本件記録を精査しても,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (3)以上によれば,本件工事10については,アウトサイダーである相指名業者との間において,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認めるには足りず,その間において公正な競争が行われた可能性を否定できないのであって,控訴人P10と相指名業者である広域総合建設業者7社との間-- においては,本件慣行を背景として,公正な競争を排除する受注調整が図られていたとしても,上記受注調整が,八王子市に対する不法行為を構成するとみることはできないことは,前記1に説示したとおりである。 本件工事12について(1)証拠(甲サ5,71,169)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事12については,建設共同企業体の代表者となり得る業者の中には,特に,優れた受注条件を備えた業者はおらず,控訴人P11も単独では,受注に有利な条件を 71,169)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事12については,建設共同企業体の代表者となり得る業者の中には,特に,優れた受注条件を備えた業者はおらず,控訴人P11も単独では,受注に有利な条件を備えていたわけではなかったが,控訴人P11は,本件工事12の施工場所から約300メートルの位置に社屋を有する地元の建設業者であるP72と建設共同企業体を組むことができたため,広域総合建設業者各社との間では,本件慣行を背景として本命業者として認められる状況になったと認識していたこと,相指名業者のうち,広域総合建設業者のP39は,本件工事12について受注意欲を持っていたものの,当時,P14P19営業所においてP20所長の役割を引き継いでいた同営業所の次長のP73から,本件工事12の受注を控訴人P11に譲ることを求める調整を受けたため,,,P39P40営業所の課長が控訴人P11P74営業所長と話合いを持ち本件工事12については,控訴人P11に譲ることとし,同控訴人から入札価格についての探りを入れる連絡を受け,同控訴人が落札できるように高めの見積りをしたこと,相指名業者のうち,広域総合建設業者のP61は,本,,件工事12については控訴人P11が営業努力をしていることを伝え聞きP72と建設共同企業体を組み,有利な受注条件を備えた同控訴人と競争する意思もないまま,高めの見積りをして入札をしたこと,本件工事12については,相指名業者(建設共同企業体)のいずれもが,予定価格を上回る価格で入札をし,控訴人P11が代表者である建設共同企業体は,落札価格2億8800万円,落札率99.03パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 -- 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業 00万円,落札率99.03パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 -- 上記認定事実に加え,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間においては,上記2に認定した本件慣行があったことや甲サ169号証によれば,控訴人P11P74営業所長が,広域総合建設業者間では,本件慣行を背景として,同控訴人が有利な受注条件を備えていることが認められた結果,本件工事12を落札することができたとの認識を有していることを考慮すると,控訴人P11と相指名業者である広域総合建設業者3社(上記のような具体的な証拠がないP75を含む)との間においては,本件慣行を背景として,公正な競争を排除。 する受注調整が図られたものと認めるのが相当である。 (2)次に,本件工事12の相指名業者の中には,アウトサイダー6社が含まれていたことは,前記争いのない事実等(2)シ記載のとおりであるので,控訴人P11と上記アウトサイダー6社との間でも公正な競争を排除する受注調整が図られていたと認めることができるかどうかについて検討するに,本件記録を精査しても,控訴人P11の営業担当者等が,アウトサイダーである相指名業者との間で何らかの受注調整を図ったことを具体的に認定するに足りる証拠はない上,アウトサイダーは,多摩地区に営業所を有し,又は多摩地区において営業活動を行っている広域総合建設業者各社の間における本件慣行と直接には関係がなかったことは,上記2に説示したとおりである。 しかも,本件工事12の相指名業者のうちアウトサイダーであるP69の土木部長が,指名を受けた工事については,受注の意思も能力も持っており,広域総合建設業者向けの工事であると考えて入札価格を高めに設定したことを否定していることは既に認定のとおりである であるP69の土木部長が,指名を受けた工事については,受注の意思も能力も持っており,広域総合建設業者向けの工事であると考えて入札価格を高めに設定したことを否定していることは既に認定のとおりである。 そして,本件工事12の落札率は99.03パーセントであって,99パーセントを超えていたことは上記認定のとおりであり,この事実は,公正な競争が排除されたことを推認させる重要な間接事実とみることができ,前示の特段の事情等が反証されない限りこれを推認させることは,既に説示した-- ところであるが,証拠(乙ヲ1ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P11は,本件工事12について,P72と建設共同企業体を組むことができたという地域的な利点の上に立って入札価格を積算し,入札価格を計算したにもかかわらず,本件工事12によって,わずか5245円の利益(粗利)が得られたにすぎなかったことが認められるのであって,上記のように相指名業者のうち,アウトサイダーであるP69の土木部長が受注調整が図られたことを否定していること,アウトサイダー6社の入札価格は,それ自体から受注調整を受け入れたことを窺わせるものとまではいえないことをも考慮すると,本件工事12の落札率が99.03パーセントであるとの事実だけから,控訴人P11とアウトサイダーである相指名業者6社との間において,公正な競争を排除する受注調整が図られていたと推認するには足りないものというほかはない。本件記録を精査しても,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (3)以上によれば,本件工事12については,アウトサイダーである相指名業者6社との間において,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認めるには足りず,その間において公正な競争が行われた可能性を否定できないのであって,控訴人P11と相指 ウトサイダーである相指名業者6社との間において,公正な競争を排除する受注調整が図られたものと認めるには足りず,その間において公正な競争が行われた可能性を否定できないのであって,控訴人P11と相指名業者である広域総合建設業者3社との間においては,本件慣行を背景として,公正な競争を排除する受注調整が図られていたとしても,上記受注調整が,八王子市に対する不法行為を構成するとみることはできないことは,前記1に説示したとおりである。 本件工事13について証拠(甲サ5,78,86,88,92,137)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人P6においては,早くから,本件工事13につき受注意欲を持ち,営業活動を行っていたのに対し,他に営業活動を行っている広域総合建設業者はなかったこと,同控訴人P35営業所長は,本件工事13の入札予定が公表されると,広域総合建設業者二十数社に対し,希望調査票の提出を依頼したこ-- と,本件工事13の相指名業者は,いずれも広域総合建設業者であったこと,同控訴人P35営業所長は,上記広域総合建設業者各社の営業所を回るなどして,個別に同控訴人の入札予定価格を伝えるとともに,協力を要請したこと,本件工事13については,相指名業者(建設共同企業体)のいずれもが,予定価格を上回る価格で入札をし,控訴人P6が代表者である建設共同企業体は,落札価格7億9000万円,落札率99.74パーセントでこれを落札したこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば,控訴人P6は,相指名業者すべてとの間で,各社の入札価格を含め談合し,その結果,本件工事13を落札したものと認めるのに十分であり,仮に公正な競争が行われても,控訴人P6の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情は,何ら立証されて 果,本件工事13を落札したものと認めるのに十分であり,仮に公正な競争が行われても,控訴人P6の落札価格を下回る価格で入札をする業者がなかった可能性があることを窺わせる特段の事情は,何ら立証されていないから,上記談合によって,八王子市に損害が生じたものというべきであって,上記談合は,八王子市に対する不法行為を構成することが明らかである。本件記録を精査しても,この認定を左右するに足りる証拠はない。 損害額(1)以上1ないし13に認定説示したように,控訴人P1,同P2,同P3,同P4,旧P15及び控訴人P6は,それぞれが落札した本件工事2,4,5,6,7及び13の入札に当たり,相指名業者すべてとの間において,公正な競争を排除し,相指名業者が自らの入札価格を下回る価格で入札することを妨げる受注調整を図り,その結果,発注者である公社が,公正な競争の下で形成される落札価格をもって請負契約を締結する権利ないし法的利益を侵害し,本件委託契約を介して,公社と委託関係にある八王子市の同様な権利を侵害し,同市に対して,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格と現実の落札価格との差額相当額の損害を与えたものということができる。 しかしながら,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格は,現実に-- は存在しない価格であって,具体的な工事の種類,規模,場所,内容,入札当時の経済情勢,入札業者各社の財政状況や他の工事の受注状況,入札業者各社にとっての公共事業を受注することのメリット,地域性等の多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものであることからすると,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格を証拠に基づき具体的に認定することは著しく困難であるといわざるを得ない。したがって,八王子市に損害が生じたことは認められるものの,損害の性質上 らすると,公正な競争の下に形成されたであろう落札価格を証拠に基づき具体的に認定することは著しく困難であるといわざるを得ない。したがって,八王子市に損害が生じたことは認められるものの,損害の性質上,その額を立証することは,極めて困難であるというほかはないから,民事訴訟法248条に基づき,弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,相当な損害額を認定するよりほかはないものというべきである。 (2)この点につき,被控訴人らは,公正な競争を排除する受注調整が図られなければ,最低制限価格が落札価格となったはずであると主張するが,公正取引委員会による立入検査が行われた後の平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における公社発注の特定土木工事139件の工事名,落札業者及び落札率等が,原判決添付「特定土木工事一覧表」のとおりであることは前記のとおりであり,そのすべてが最低制限価格で落札されているわけではなく,落札率が90パーセントを超える工事も87件にのぼることからすると,被控訴人らの上記主張を認めることは困難である。 さらに,被控訴人らは,公正取引委員会が,過去の独占禁止法違反事例について,不当利得額を推計した結果,過去のカルテル・入札談合の値上げ率の平均16.5パーセント程度,約9割の事件で8パーセント以上の不当利得が存在し,入札談合事件に限ると,平均約19パーセントの不当利得が存在することが実証的に確認されたとも主張する。しかし,甲19号証の2によれば,上記の推計の基礎となった数値は,全く取引分野の異なる取引に関するカルテル・入札に関するものとを含み,また,基礎データも明らかではないのであって,上記推計値をもって,上記各工事に係る受注調整の結果,-- 八王子市に生じた損害額を推定することは相当とはいえない。 (3)そこで, のとを含み,また,基礎データも明らかではないのであって,上記推計値をもって,上記各工事に係る受注調整の結果,-- 八王子市に生じた損害額を推定することは相当とはいえない。 (3)そこで,民事訴訟法248条に基づき,相当な損害額を検討するに,上記「特定土木工事一覧表」からも明らかなとおり,落札率は,個別の工事ごとに相当程度の差異がある上,損害額の算定が困難であるにもかかわらず,,,上記控訴人らに対して損害賠償義務を負わせるものであり上記控訴人らは八王子市が現に被った損害を補填する限度でその賠償義務を負うのであって,損害額を定めるに当たって,上記控訴人らが受注調整を行い,公正な競争を害したことに対する懲罰的な効果や違反行為の防止といった行政目的を達成する上での効果を勘案して賠償額を算定することは相当ではないことなどを総合考慮すると,賠償額の算定に当たっては,ある程度謙抑的にこれを認定するのが相当である。そして,既に認定したとおり,平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件の平均落札率が94.54パーセントになっている一方で,公正取引委員会による立入検査後の同年10月1日から同17年11月1日までの期間における同工事139件の平均落札率が89.85パーセントとなっていて,両期間の平均落札率に4.69パーセントの差が生じていることに,以上に説示したところを勘案すると,八王子市が上記各工事の入札に当たって上記各控訴人が行った受注調整によって被った損害の額は,上記の平均的な落札率の差(4.69パーセント)の範囲内にある上記各工事の契約金額(落札金額に消費税相当額を加算した金額)の3パーセントに相当する以下の金額と認めるのが相当である。 (4)以上によれば,上記各控訴人は,八王子市に対し ーセント)の範囲内にある上記各工事の契約金額(落札金額に消費税相当額を加算した金額)の3パーセントに相当する以下の金額と認めるのが相当である。 (4)以上によれば,上記各控訴人は,八王子市に対し,以下の金員及びこれに対する不法行為後の日である平成14年6月6日(アないしウ)又は同月7日(エないしカ)から支払済みまで年5分の割合による金員の支払義務がある。 ア控訴人P1は,885万1500円-- イ控訴人P2は,724万5000円ウ控訴人P3は,748万1250円エ控訴人P4は,1489万9500円オ控訴人P5は,982万8000円カ控訴人P6は,2488万5000円 怠る事実の違法性(1)改正前地方自治法242条の2の定める住民訴訟は,普通地方公共団体の機関又は職員(以下「当該職員」という)による同項所定の財務会計上。 の違法な行為又は怠る事実につき,住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものであり,このうち,同条1項4号の代位請求訴訟(以下「4号訴訟」という)は,普通地方公共団体が,当該職員又は当該行為若しくは。 怠る事実に係る相手方に対し,同号所定の請求権を有しているにもかかわらず,これを積極的に行使しようとしない場合に,住民が地方公共団体に代位し,当該請求権を行使することを認めるものである(最高裁判所昭和51年(行ツ)第120号同53年3月30日第一小法廷判決参照。 )本件訴訟は,八王子市長が,控訴人らに対して有している不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとして提起された4号訴訟であり,4号訴訟は,上記のように当該職員による財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を目的とする住民訴訟の一類型で に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとして提起された4号訴訟であり,4号訴訟は,上記のように当該職員による財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を目的とする住民訴訟の一類型であることからすると,被控訴人らが主張する損害賠償請求権があることに加え,八王子市長が当該損害賠償請求権を行使しないことが財務会計上違法であることが,その請求を認容するための実体法上の要件となると解される(最高裁判所平成1())。 ,2年行ヒ第246号同16年4月23日第二小法廷判決当該職員が違法に財産の管理を怠っていることは,4号訴訟の要件ではないとする被控訴人らの主張は,独自の見解であって,採用することができない。 -- (2)ところで,地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法,,240条地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,原則として,普通地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はないものと解されるのであって(上記最高裁平成16年4月23日第二小法廷判決,請求権が客観的に存在することが立証された場合には,普通)地方公共団体の長がこれを行使しないことの合理性を肯定するに足りる特段の事情がない限り,長がこれを行使しないことは,違法に財産の管理を怠るものと評価せざるを得ない。本件訴訟において代位行使されている不法行為に基づく損害賠償請求権のように,その性質上,発生原因事実の主張・立証に困難が伴う請求権については,証拠の収集が不十分な段階において,4号,,訴訟が提起され証拠の収集が不十分なまま口頭弁論が終結された場合には請求権の発生原因事実を立証することができず,その請求が棄却されることが避け難いも ,証拠の収集が不十分な段階において,4号,,訴訟が提起され証拠の収集が不十分なまま口頭弁論が終結された場合には請求権の発生原因事実を立証することができず,その請求が棄却されることが避け難いものの(証拠が十分に収集できていないから,請求権を行使しないことが適法化されるのではない,当該訴訟の口頭弁論終結時において,。)請求権の発生原因事実の立証が尽くされ,請求権が客観的に存在するものと判断される場合においては,普通地方公共団体の長が,同時点において,その行使を怠ることは,上記のような特段の事情がない限り,違法と判断せざるを得ないものというほかはない。 ,,,,,したがって既に認定説示したように八王子市は控訴人P1同P2同P3,同P4,同P5及び同P6に対し,損害賠償請求権を有するものということができる以上,八王子市長が,これを行使しないことは,原則として,違法というほかはなく,本件記録を精査しても,これを行使しないことの合理性を肯定するに足りる特段の事情の立証はない。 (3)以上の判断につき,控訴人らは,本件において被控訴人らが代位行使する損害賠償請求権の成否は,不当な取引制限(談合)の有無というきわめて-- 専門性の高い分野についての事実認定や法律判断を前提として決せられるものであるから,その事実認定や法律判断につき,第一義的な調査,判断権限を有する公正取引委員会の判断(審決)を待って,これを行使するという八王子市長の対応は,行政機関としての事案処理の統一性,確実性等を担保する趣旨からも合理的であって,審決がされるまで,これを行使しないことに何ら違法性はなく,監査請求当時や訴え提起当時,八王子市は,控訴人らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使すべきであるといえるだけの証拠資料は保有しておらず されるまで,これを行使しないことに何ら違法性はなく,監査請求当時や訴え提起当時,八王子市は,控訴人らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使すべきであるといえるだけの証拠資料は保有しておらず,その立証の見通しも立っていなかったことからすれば尚更であると主張する。確かに,本件記録によれば,被控訴人らが,本件各工事の入札に当たって談合ないし受注調整が行われたことを立証するために,公正取引委員会の審判手続の事件記録を閲覧,謄写して,原審裁判所に提出し,その取調べがされたのは,本件訴訟提起後3年余りも経過した後であったことが明らかであり,監査請求時や本件訴え提起時を基準とすれば,その時点においては,請求権の立証に必要な証拠資料はほとんど収集されておらず,既にその点において4号訴訟が認容される余地はなかったものとはいえようが,上記説示のとおり,改正前地方自治法は,当該職員が違法に財産の管理を怠っていることを,4号訴訟の実体要件と位置付けているのであるから,口頭弁論終結時を基準として,当該職員が当該請求権を行使しないことが違法と判断されれば足りるものというべきである。そして,口頭弁論終結時において,請求権が客観的に存在すると判断される以上,それが,,公正取引委員会の判断が示される以前であってもこれを行使しないことは原則として違法と評価せざるを得ないのである。控訴人らの上記主張は,これと異なる前提に立つものといわざるを得ず,採用の限りではない。 さらに,控訴人らは,八王子市長が,原判決言渡し後,控訴人らに対し,原判決認容額の損害賠償を請求する旨の意思表示をしており,既に,八王子,(,,市長が財産の管理を怠る事実は存在しないと主張し 証拠 乙ロ1乙ニ5-- 乙ホ1,乙ト4,乙リ2)及び弁論の全趣旨によれば,八王子市長は,原 意思表示をしており,既に,八王子,(,,市長が財産の管理を怠る事実は存在しないと主張し 証拠 乙ロ1乙ニ5-- 乙ホ1,乙ト4,乙リ2)及び弁論の全趣旨によれば,八王子市長は,原判決言渡し後,控訴人P1,同P2,同P3,同P4,同P5及び同P6に対し,原審認容額の損害賠償を請求する内容証明郵便を送付した事実が認められる。しかし,上記控訴人らは,原判決の上記認容額の損害賠償義務を争って,当審に控訴をしている上,上記内容証明郵便の送付を受けても,その支払は行っていないのであって,八王子市長が上記内容証明郵便を送付しただけで,上記各控訴人からの任意の支払がされることは期待できない状況にあるものというほかはない。かかる状況の下においては,八王子市長が,本件訴訟に共同訴訟参加したというのであれば別論,上記内容証明郵便を送付したことによって,八王子市長が,財産の管理を怠る状況が消滅したとみることはできない。控訴人らの上記主張は,独自の見解であって,採用することはできない。 以上によれば,被控訴人らの請求は,控訴人P1に対して885万1500円,控訴人P2に対して724万5000円,控訴人P3に対して748万1250円,控訴人P4に対して1489万9500円,控訴人P5に対して982万8000円及び控訴人P6に対して2488万5000円並びに上記各金員に対する訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日又は同月7日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を八王子市に支払うことを求める限度で理由があるから,これらを認容すべきであるが,上記各控訴人に対するその余の請求及びその余の控訴人らに対する請求は,いずれも理由がないから棄却すべきであって,これと異なる限度で原判決は不当であるから,控訴に基づき,原判決主文第2項から第13 ,上記各控訴人に対するその余の請求及びその余の控訴人らに対する請求は,いずれも理由がないから棄却すべきであって,これと異なる限度で原判決は不当であるから,控訴に基づき,原判決主文第2項から第13項を上記の趣旨に変更し,附帯控訴は理由がないから棄却する。なお,原審原告P12は,平成▲年▲月▲日死亡したこと,,,が記録上明らかであって同原審原告に関する訴訟は同日終了しているので職権により,原判決中,同原審原告に関する部分を取り消し,同原審原告に関する訴訟は,同日,同原審原告の死亡により終了した旨を主文において確認す-- る。 東京高等裁判所第5民事部裁判長裁判官小林克已裁判官綿引万里子裁判官中村愼

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る