令和2(ワ)8642 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年9月28日 東京地方裁判所
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判決文本文94,241 文字)

令和5 年9 月28 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2 年(ワ)第8642 号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和5 年6 月7 日判決原告アムジエン・インコーポレーテツド 同訴訟代理人弁護士大野聖二同山口裕司同多田宏文同盛田真智子同補佐人弁理士森田裕 被告サノフィ株式会社同訴訟代理人弁護士三村量一同東崎賢治同中島慧同訴訟代理人弁理士南条雅裕 同訴訟復代理人弁護士安部智貴同補佐人弁理士瀬田あや子同伊波興一朗主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する控訴のための付加期間を30 日と定める。 事実 及び理由第1 請求の趣旨被告は、原告に対し、10 億円及びこれに対する令和2 年6 月23 日から支払済み まで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、いずれも発明の名称を「プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質」とする2 件の特許に係る特許権(以下、各特許を後記のとおり「本件特許1」などといい、本件特許1 及び2 を 併せて「本件特許」という。また、本件特 型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質」とする2 件の特許に係る特許権(以下、各特許を後記のとおり「本件特許1」などといい、本件特許1 及び2 を 併せて「本件特許」という。また、本件特許に係る特許権を併せて「本件特許権」という。)を有する原告が、被告の販売等に係る別紙1 物件目録記載の製品(以下「被告製品」という。)は本件特許に係る発明の技術的範囲に属するから、その販売等は本件特許権をいずれも侵害する行為であると主張して、被告に対し、本件特許権侵害の不法行為(民法709 条、損害額につき特許法102 条2 項又は同条3 項)に 基づき、損害の一部である10 億円の損害賠償及びこれに対する令和2 年6 月23 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29 年法律第44 号による改正前のもの)所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記した証拠(枝番の記載を省略したものは枝番を含む。以下同じ。)又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1) 当事者原告は、医薬品等の製造、販売及び輸出等を業とし、米国法に準拠して設立された法人である。 被告は、医薬品等の製造、販売、輸入等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許権 原告は、以下の特許(本件特許)に係る特許権(本件特許権)を有する。 ア本件特許1特許番号特許第5705288 号登録日平成27 年3 月6 日出願番号特願2013-195240 号 出願日平成25 年9 月20 日(特願2010-522084 号の分割) 原出願日平成20 年8 月22 日優先日平成19 年8 月23 日、同年12 月21 日 出願日平成25 年9 月20 日(特願2010-522084 号の分割) 原出願日平成20 年8 月22 日優先日平成19 年8 月23 日、同年12 月21 日、平成20 年1 月9 日、同年 8 月4 日(以下、同各日を併せて「本件優先日」という。)発明の名称プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質 イ本件特許2特許番号特許第5906333 号登録日平成28 年3 月25 日出願番号特願2015-33054 号出願日平成27 年2 月23 日(特願2013-195240 号の分割) 原出願日平成20 年8 月22 日優先日本件優先日発明の名称プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質ウ本件特許1 に係る願書添付の明細書及び図面(以下、これらを併せて「本件 明細書1」という。)及び本件特許2 に係る願書添付の明細書及び図面(以下、これらを併せて「本件明細書2」という。また、本件明細書1 及び2 を併せて「本件明細書」という。なお、段落番号は、本件明細書1 及び2 において同一である。)には、別紙2 のとおりの記載がある(甲2、4)。 (3) 本件訂正等 ア被告の親会社であるサノフィ(フランス法人。以下「サノフィ社」という。)は、本件特許それぞれについて特許無効審判(本件特許1 につき無効2016-800004号、本件特許2 につき無効2016-800066 号)を請求した。 原告は、上記各特許無効審判請求事件において、いずれも平成29 年5 月8 日付け訂正請求書(甲11)により、本件特許に係る特許請求 本件特許2 につき無効2016-800066 号)を請求した。 原告は、上記各特許無効審判請求事件において、いずれも平成29 年5 月8 日付け訂正請求書(甲11)により、本件特許に係る特許請求の範囲の訂正を請求した(以 下、上記各訂正請求を「本件訂正」という。)。本件訂正後の特許請求の範囲のうち、 本件特許1 に係る請求項1 及び9 並びに本件特許2 に係る請求項1 及び5 は、それぞれ、以下のとおりである。 (ア) 本件特許1【請求項1】 PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9との結合に関して、配列番号49 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖 と、配列番号23 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体。 【請求項9】 請求項1 に記載の単離されたモノクローナル抗体を含む、医薬組成物。 (以下、請求項9 に係る発明(ただし、請求項1 に係るもの)を「本件発明1」 という。また、「配列番号49 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号23 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む抗体」を「21B12 抗体」という。)。 (イ) 本件特許2【請求項1】 PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9 との結合に関して、配列番号67 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号12 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体。 【請求項5】 請求項1 に記載の単離されたモノクローナル抗体を含む、医薬組成物。 (以下、請求項5(ただし、請求項1 に係るもの)に係る発明を 競合する、単離されたモノクローナル抗体。 【請求項5】 請求項1 に記載の単離されたモノクローナル抗体を含む、医薬組成物。 (以下、請求項5(ただし、請求項1 に係るもの)に係る発明を「本件発明2」という。また、本件発明1 及び2 を併せて「本件発明」という。さらに、「配列番号 67 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号12 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む抗体」を「31H4 抗体」といい、これと21B12 抗体を併せて「参照抗体」ともいう。)。 イ特許庁は、平成29 年8 月2 日、本件訂正を認めた上で、本件特許1 に関し ては「請求項1、9 に係る発明についての審判請求は成り立たない。」などとする審決を、本件特許2 に関しては「請求項1、5 に係る発明についての審判請求は成り立たない。」などとする審決を、それぞれ行った(甲12)。 ウサノフィ社は、上記各審決につき、それぞれ、審判請求は成り立たないとした部分の取消しを求める訴訟(本件特許1 につき、知的財産高等裁判所平成29 年 (行ケ)第10225 号審決取消請求事件。本件特許2 につき、同第10226 号審決取消請求事件。以下、これらを併せて「別件審決取消訴訟」という。)を提起したが、知財高裁は、平成30 年12 月27 日、サノフィ社の請求をいずれも棄却する判決を言い渡した(甲13)。 サノフィ社は、同判決を不服として上告受理申立てをしたが、最高裁判所は、令 和2 年4 月24 日、上告不受理決定をし、同判決は確定した(甲17)。 (4) 構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると、以下のとおりである。 ア本件発明1APCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することがで し、同判決は確定した(甲17)。 (4) 構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると、以下のとおりである。 ア本件発明1APCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、 BPCSK9 との結合に関して、21B12 抗体と競合する、C 単離されたモノクローナル抗体D を含む、医薬組成物。 イ本件発明2APCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、 B’ PCSK9 との結合に関して、31H4 抗体と競合する、C 単離されたモノクローナル抗体D を含む、医薬組成物。 (5) 被告製品ア製造販売承認の取得等 被告は、被告製品について、平成28 年7 月4 日付けで厚生労働大臣から医薬品 製造販売承認を得、同年8 月31 日付けで薬価基準収載された被告製品を、遅くとも同年9 月5 日より輸入し、販売し、販売の申出をした(ただし、被告による被告製品の製造の有無及び現在までの輸入、販売、販売の申出の継続の有無については当事者間に争いがある。)。 イ構成 被告製品の構成は、以下のとおりである(以下、被告製品に含まれる抗体を「アリロクマブ」又は「316P 抗体」という。)。 aPCSK9 とLDLR タンパク質の結合を阻害し、bPCSK9 との結合に関して、21B12 抗体と競合し、b’ PCSK9 との結合に関して、31H4 抗体と競合する、 c 単離されたモノクローナル抗体d を含む、医薬組成物。 (6) 関連訴訟等ア当事者間の前訴原告は、平成29 年に、被告に対し、本件特許権に基づき被告製品の譲渡等の差止 め等を求める訴訟(当庁平成29 年(ワ)第16468 号特許権侵害差止請求 関連訴訟等ア当事者間の前訴原告は、平成29 年に、被告に対し、本件特許権に基づき被告製品の譲渡等の差止 め等を求める訴訟(当庁平成29 年(ワ)第16468 号特許権侵害差止請求事件。以下「前訴」という。)を提起した。これについて、東京地方裁判所は、平成31 年1 月 17 日、被告に対し、被告製品の譲渡等の差止め等を命じる判決を言い渡した(甲14)。 これに対して被告が控訴したところ(知的財産高等裁判所平成31 年(ネ)第10014号特許権侵害差止請求控訴事件)、知財高裁は、令和元年10 月30 日、被告の控訴 を棄却した(甲15)。これに対する被告の上告受理申立事件につき、令和2 年4 月 24 日、最高裁判所が上告不受理決定をした(甲16)ことにより、東京地方裁判所の上記判決は確定した。 イリジェネロンによる審決取消訴訟リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(以下「リジ ェネロン」という。)は、令和2 年2 月12 日、本件特許について特許無効審判(本 件特許1 につき無効2020-800011 号、本件特許2 につき無効2020-800012 号)を請求した。特許庁は、令和3 年4 月7 日、上記各事件につき、いずれも、無効審判請求は成り立たない旨の審決をした(甲22)。 これに対し、リジェネロンは、上記各審決の取消しを求める訴訟(本件特許1 につき、知的財産高等裁判所令和3 年(行ケ)第10093 号審決取消請求事件。本件特 許2 につき、同第10094 号審決取消請求事件。)を提起した。これについて、知財高裁は、令和5 年1 月26 日、本件発明はいずれもサポート要件に適合するものとは認められないとして、上記各審決につき、それぞれ、審決を取り消す旨の 決取消請求事件。)を提起した。これについて、知財高裁は、令和5 年1 月26 日、本件発明はいずれもサポート要件に適合するものとは認められないとして、上記各審決につき、それぞれ、審決を取り消す旨の判決を言い渡した(乙51)。原告は、これに対して上訴している。 3 争点 (1) 被告製品の本件発明の技術的範囲への属否(争点1)(2) 無効理由の有無(争点2)アサポート要件違反(争点2-1)(ア) サポート要件違反の有無(争点2-1-1)(イ) 訂正の再抗弁の成否(争点2-1-2) イ実施可能要件違反(争点2-2)ウ進歩性欠如(争点2-3)エ明確性要件違反(争点2-4)オ発明該当性要件違反(争点2-5)カ被告による無効理由の主張と信義則違反の有無(争点2-6) (3) 原告の損害(争点3) 4 争点に関する当事者の主張(1) 被告製品の本件発明の技術的範囲への属否(争点1)について〔原告の主張〕ア被告製品の構成a、b 及びb’、c 並びにd は、それぞれ本件発明の構成要件 A、B 及びB’、C 並びにD に該当するから、被告製品は本件発明の構成要件を全て 充足する。したがって、被告製品は、本件発明の技術的範囲に属する。 イ被告の主張について(ア) 被告は、機能的クレームであることを理由に被告製品が本件発明の技術的範囲に属しない旨主張する。しかし、機能的クレームであることを理由に特殊なクレーム解釈をすべきではない。 特許発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず、その場合、明細書の記載及び図面を考慮して特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとされている。このことは、そのクレームが被告の主張するような 求の範囲の記載に基づいて定めなければならず、その場合、明細書の記載及び図面を考慮して特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとされている。このことは、そのクレームが被告の主張するような機能的クレームか否かにより異ならず、被告が問題とする実施可能要件の問題は、無効の抗弁の問題として処理すべきものである。 また、本件発明は実施可能要件に違反するものではなく、「機能的クレーム」(実施可能要件に違反する広すぎるクレーム)に該当するものではない。したがって、有効性維持の原則からも、限定解釈される余地はない。 (イ) 機能的クレームであることを理由に、被告製品が本件発明の技術的範囲に属しない旨を被告が主張することは、前訴の知財高裁判決において示された文言解釈 と相容れず、信義則に反して許されない。 〔被告の主張〕以下のとおり、本件発明は、その対象を機能的観点のみで定義している機能的クレームであり、その技術的範囲は当業者が明細書から理解し、実施することができる構成に限定されるところ、これによれば、被告製品は、本件発明の技術的範囲に 属さない。 すなわち、本件発明1 においては、21B12 抗体が競合の対象として参照されているにすぎず、参照抗体である21B12 抗体についてはその構成が特定されているが、本件発明1 の対象である抗体については、何らその構成の特定がされていない。すなわち、本件発明1 は、「抗体を含む医薬組成物」という物の発明であるが、その対 象の構成が特定されておらず、(抗体が)「結合を中和することができる」ことと、 「参照抗体と競合すること」という機能のみによって特定される、いわゆる機能的クレームである。本件発明2 も同様である。 このように、特許請求の範囲に記載された構 とができる」ことと、 「参照抗体と競合すること」という機能のみによって特定される、いわゆる機能的クレームである。本件発明2 も同様である。 このように、特許請求の範囲に記載された構成が機能的、抽象的な表現で記載されている場合(機能的クレームの場合)に、当該機能ないし作用効果を果たし得る全ての構成がその技術的範囲に含まれると解するならば、当業者が明細書の記載か ら理解し、実施することができる範囲を超えて特許発明の技術的範囲を拡張することとなり、明細書に開示されていない技術的思想に属する構成までもが権利範囲に含まれる結果をも招きかねず、発明の公開の代償として独占権を付与するという特許制度の趣旨に反する。したがって、機能的クレームの場合、その技術的範囲は、当業者が明細書から理解し、実施することができる構成に限定され、これを超える 構成は技術的範囲に含まれないと解すべきである。 被告製品はアリロクマブを有効成分とするところ、アリロクマブはEGFa ミミック抗体である。EGFa ミミック抗体とは、LDLR のEGFa ドメインのPCSK9 への結合を模倣(ミミック)する抗体であり、すなわち、LDLR のEGFa ドメインが認識するPCSK9 の表面上のアミノ酸の大部分を認識する結合中和抗体をいう。しか し、後記((2)及び(4)の各〔被告の主張〕イ)のとおり、EGFa ミミック抗体は、本件明細書から当業者が理解することができ、かつ、実施(取得)することができるように記載されているとはいえない。そうである以上、EGFa ミミック抗体は、機能的クレームである本件発明の技術的範囲に含まれない。したがって、EGFa ミミック抗体であるアリロクマブを有効成分とする被告製品は、本件発明の技術的範囲 に属さない。 ( ミック抗体は、機能的クレームである本件発明の技術的範囲に含まれない。したがって、EGFa ミミック抗体であるアリロクマブを有効成分とする被告製品は、本件発明の技術的範囲 に属さない。 (2) サポート要件違反の有無(争点2-1-1)について〔被告の主張〕ア理由1以下のとおり、「参照抗体と競合する抗体であれば、高い蓋然性をもってPCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体である」などとはいえないことから、本件発明は、 発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものである。 (ア) サポート要件は、請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであるか否かにより判断される。 本件発明の解決すべき課題は「結合中和抗体を提供する」ことであり、それ自体は周知の課題である。他方、本件発明の構成は、「参照抗体と競合する(単離されたモノクローナル)抗体」であるということだけであり、「参照抗体との競合の程度」については規定されていない。このような本件発明において、特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するためには、「参照抗体と競合する(単離されたモノクロ ーナル)抗体」であれば、高い蓋然性をもって「PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」であることを、当業者が理解できるように明細書に記載されていなければならないといえる。 (イ) 本件発明は、「結合中和抗体の提供」という本件発明が解決すべき課題と、「参照抗体と競合する(単離されたモノクローナル)抗体」という課題解決手段の みによって特定されている。したがって、本件発明に含まれる抗体の数は数え 体の提供」という本件発明が解決すべき課題と、「参照抗体と競合する(単離されたモノクローナル)抗体」という課題解決手段の みによって特定されている。したがって、本件発明に含まれる抗体の数は数え切れず、少なくとも何百万に上る。のみならず、本件発明には、本件明細書の実施例抗体とは全く異なる種々の性質・構造・結合部位を有する抗体が含まれる。 他方、本件明細書記載の「参照抗体と競合する抗体」の例は、いずれも、先に、「結合中和する抗体」のみスクリーニングにより選別した上で、次に、「参照抗体と の競合」の有無により分類した結果得られた抗体であり、その結果、全て結合中和抗体となるというに過ぎない。このため、本件明細書の実施例の記載は、論理関係からして、「参照抗体と競合する抗体」であれば「結合中和抗体」であることを示すものではなく、「結合中和抗体」であれば、「参照抗体と競合する抗体」であることを示すものでもない。 したがって、本件明細書には、「参照抗体と競合する(単離されたモノクローナル) 抗体」であれば、高い蓋然性をもって「PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」であると当業者が理解できる記載は存在しない。 (ウ) そもそも、参照抗体は、LDLR(のEGFa ドメイン)が結合するPCSK9 表面上の部位のごく末端においてPCSK9 に結合するに過ぎず、LDLR(のEGFa ドメイン)が結合するPCSK9 表面上の部位とは無関係な部位であって、参照抗体と 競合し得る部位において、PCSK9 上に結合する抗体は無数に存在し得る。したがって、科学的事実としても、「参照抗体と競合する(単離されたモノクローナル)抗体」であれば、高い蓋然性をもって「PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」であるなど 無数に存在し得る。したがって、科学的事実としても、「参照抗体と競合する(単離されたモノクローナル)抗体」であれば、高い蓋然性をもって「PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」であるなどとはいえない。 (エ) したがって、本件発明は、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決で きることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであり、サポート要件に違反する。 イ理由2以下のとおり、本件発明にはEGFa ミミック抗体までもが含まれるが、原告が本件優先日から約5 年後においても見つけることができていなかったEGFa ミミッ ク抗体は、本件明細書に記載された発明であるとはいえない。 (ア) 本件発明に含まれる膨大な数の種々の結合中和抗体には、EGFa ミミック抗体までもが含まれる。EGFa ミミック抗体とは、LDLR のEGFa ドメインのPCSK9との結合を模倣するかのように、LDLR のEGFa ドメイン(PCSK9 に結合するドメイン)が結合する部位であるPCSK9 の表面上におけるアミノ酸の大部分を認識 する結合中和抗体である。PCSK9 とLDLR の結合を中和する抗体としては、PCSK9の表面上におけるLDLR のEGFa ドメインが結合するアミノ酸をなるべく多く認識する抗体である方が、結合中和活性においてより有利であることが技術的に期待される。 しかし、本件明細書には、EGFa ミミック抗体は記載されていない。すなわち、本件明細書には、PCSK9 の表面における、LDLR のEGFa ドメインの結合部位として15 個のアミノ酸が示されているが、参照抗体である21B12 抗体はそのうち4~6 個、31H4 抗体はそのうち3 個を認識するに過ぎないから、こ る、LDLR のEGFa ドメインの結合部位として15 個のアミノ酸が示されているが、参照抗体である21B12 抗体はそのうち4~6 個、31H4 抗体はそのうち3 個を認識するに過ぎないから、これらはEGFa ミミック抗体ではない。 また、別紙3 の表(以下「結合部位対照表」という。)は、表中に「アムジェンの抗体」と示される、本件明細書記載の各実施例抗体が認識する、LDLR が結合するPCSK9 表面上のアミノ酸(「PCSK9 結合部位」と表記された欄の計15 個のアミノ酸)を示すものであるところ、紺色で塗りつぶされたセル(■)は、その抗体が当該アミノ酸を認識することを示す。このように、本件明細書に記載されたアムジェン の抗体は、いずれもEGFa ミミック抗体とは異なる。 のみならず、本件発明の発明者自身、本件優先日から約5 年後の2012 年(平成 24 年)においてさえ、「(我々は)現在、EGFa ミミック抗体を取得できていない」、「EGFa ミミック抗体は、我々が現在有する抗体の2 つの一部重複するエピトープのちょうど中間に位置することから、EGFa ミミック抗体を見つけることは一筋縄 ではいかないだろう」と述べていた。このことは、本件明細書にEGFa ミミック抗体が記載されたものとはいえないことを示している。 したがって、本件発明のうち、少なくともEGFa ミミック抗体に関する部分については、本件明細書に記載されているとはいえず、サポート要件に違反する。 (イ) 原告の主張についてa 原告は、①本件優先日又は出願日において、EGFa ミミック抗体という概念や同抗体を取得するといった課題は存在せず、出願時に存在しない課題について解決手段を提供することは求められない、②被告によるEGFa 、①本件優先日又は出願日において、EGFa ミミック抗体という概念や同抗体を取得するといった課題は存在せず、出願時に存在しない課題について解決手段を提供することは求められない、②被告によるEGFa ミミック抗体という用語及び定義は独自のものであり、また、技術的意義を有しないEGFa ミミック抗体が 本件明細書に記載されているかどうかは、サポート要件とは関係がない、③本件明細書によれば、「EGFa ドメインを十分にミミックする抗体」を取得できることが当業者であれば理解できる、④被告がEGFa ミミック抗体と称するアリロクマブは本件優先日当時から用いられていた一般的な手法により本件明細書に依拠して作成されたものであり、EGFa ミミック抗体が本件明細書の記載から取得できないという 主張は事実に反すると主張する。 b ①について本質的問題は、EGFa ミミック抗体に例証されるとおり、本件発明には、明細書に開示された内容を遥かに超え、明細書においてサポートされているとはいえない抗体まで広範に含まれていることであり、EGFa ミミック抗体という概念や課題が 当時存在していたかではない。加えて、「EGFa ミミック抗体」という用語自体が周知でなかったとしても、PCSK9 とその天然のリガンドであるLDLR との天然において生じている結合を忠実に模倣する抗体という概念は、本件発明に係る特許出願当時の当業者が認識し得たことである。また、そのような抗体であればLDL-C レベルを減少させるのに好適であることも同様である。 c ②について甲55 文献(後記〔原告の主張〕ウ(イ))はEGFa ミミック抗体の定義を意味するものではなく、1D05 抗体の立体構造が解析された文献であるから、立体構造の観点でそのように説明されて ついて甲55 文献(後記〔原告の主張〕ウ(イ))はEGFa ミミック抗体の定義を意味するものではなく、1D05 抗体の立体構造が解析された文献であるから、立体構造の観点でそのように説明されているに過ぎない。EGFa ミミック抗体が構造的類似性の意味で用いられていたのであれば、本件発明の発明者が1D05 抗体ではないファイ ザー社の抗体(RN316、J16 とも呼ばれる。)を「EGFa ミミック抗体」と認識する はずもなく、「見つからないエピトープ」を図示するスライドにおいて、当該「見つからないエピトープ」の部分に当該J16 抗体が結合した図を示すはずもない。 また、上記のとおり、EGFa ミミック抗体は、本件明細書においてサポートされているとはいえない抗体まで広範に本件発明に含まれていることの端的な例証に過ぎず、EGFa ミミック抗体自体の技術的意義を論じる必要性はない。その点を措く としても、理論的に、EGFa ミミック抗体はPCSK9 のLDLR 結合部位である15個のアミノ酸の大部分と結合する抗体であるから、PCSK9 の表面上のLDLR 結合部位をほぼ完全に塞ぐことにより、確実に結合中和活性を示すことが技術的に理解できる。 さらに、21B12 抗体自体がEGFa ミミック抗体と同様に優れた結合中和能を有す るとしても、そのことは、本件発明に含まれる抗体がその通有的な特徴として同様に優れた結合中和能を有することを意味するものではないから、21B12 抗体とアリロクマブを比較することに意味はない。 d ③について9C9 抗体は、本件明細書においては弱い中和抗体とされている抗体であり、結合 部位対照表のとおり、LDLR と結合する際のPCSK9 上のアミノ酸の大部分をエピトープとし d ③について9C9 抗体は、本件明細書においては弱い中和抗体とされている抗体であり、結合 部位対照表のとおり、LDLR と結合する際のPCSK9 上のアミノ酸の大部分をエピトープとして認識するEGFa ミミック抗体とはいえない。原告も、本件明細書ではEGFa ミミック抗体を得られていないことを理解している。 e ④についてアリロクマブ(316P 抗体)は、原告の本件明細書の公開よりも前に出願された最 先の基礎出願であるリジェネロンの特許の第1 基礎出願において、本件明細書の内容を全く知得していない状態で独自に作成され、優れた結合中和抗体として既に選択されていた。 また、本件発明に含まれる(何らかの)結合中和抗体を、本件優先日当時の一般に利用可能な方法を用いて容易に取得することが可能であったことは事実であるが、 EGFa ミミック抗体を取得するには、そもそも、動物免疫法等により多数の結合中 和抗体をランダムに作製する時点において、EGFa ミミック抗体が含まれていなければならない。したがって、抗体作製時に種々の工夫を行う必要がある上に、所望のEGFa ミミック抗体が得られなければ、更に多数の結合中和抗体を作製して選択するという工程を繰り返すほかなく、種々の試行錯誤を重ねた末にアリロクマブが得られたのである。 ウ理由3以下のとおり、本件発明には参照抗体との競合の程度が低い抗体も含まれるが、そのような低競合抗体について、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体の提供という本件発明の課題を解決できると当業者が認識することはできない。 すなわち、本件発明の解決すべき課題は、PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR と の結合を中和する抗体の提供であるところ、本件発明 課題を解決できると当業者が認識することはできない。 すなわち、本件発明の解決すべき課題は、PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR と の結合を中和する抗体の提供であるところ、本件発明の発明特定事項は、この課題自体のほかは、参照抗体と競合する(単離されたモノクローナル)抗体であることしかない。しかるに、本件発明には、「競合」及び「中和」のいずれに関しても、何らの限定もない。このため、参照抗体との競合の程度が低い抗体であっても、何らかの結合中和をする限り、本件発明に含まれることになる。 しかし、参照抗体と競合すれば結合中和抗体であるとの蓋然性が高いとはいえない。仮に参照抗体との競合こそが結合中和の良い指標であると考えたとしても、参照抗体とわずかにしか競合しない抗体(低競合抗体)について、類型的に、その全て又は大部分が結合中和抗体であるとはいえない。本件明細書のどこにも、参照抗体との低競合抗体について、類型的にPCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体で ある蓋然性が高いと当業者が理解し得る記載はなく、そのような技術常識も存在しない。 したがって、本件発明に含まれる低競合抗体について、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体の提供という本件発明の課題を解決できる蓋然性が高いと当業者が認識することはできない。 エ小括 以上のとおり、本件発明はサポート要件に違反する。したがって、本件特許は特許法36 条6 項1 号所定の要件を満たさない特許出願に対してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123 条1 項4 号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使し得ない(同法104 条の3 第1 項)。 〔原告の主張〕 ア本件発明がサポート 判により無効にされるべきものであるから(同法123 条1 項4 号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使し得ない(同法104 条の3 第1 項)。 〔原告の主張〕 ア本件発明がサポート要件を充足すること本件明細書においては、参照抗体が極めて良好にPCSK9 とLDLR との結合を遮断すること、及び、参照抗体と競合する抗体はPCSK9 とLDLR との結合を遮断できることが示されている。すなわち、本件明細書の記載によれば、PCSK9 への結合に際して参照抗体と競合する抗体は、PCSK9 上で参照抗体と重なる位置に結合す るため、参照抗体と同様に、結合によって形成される立体障害によって、LDLR のPCSK9 への結合を中和することに有利であることが立体構造学的に明らかである。 このため、当業者は、本件明細書の記載から、参照抗体は、PCSK9 上の、PCSK9とLDLR との結合を遮断できる位置、いわば「スウィートスポット」に結合するものであり、参照抗体と競合する抗体は、PCSK9 とLDLR との結合を中和する結合 中和抗体である蓋然性が高いことを認識できる。 また、本件明細書には、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗PCSK9 モノクローナル抗体が、血清LDL コレステロールレベルの減少に有効であることを示す記載がある。 さらに、本件明細書には、免疫プログラムの手順及びスケジュールに従った免疫 化マウスの作製、免疫化マウスを使用したハイブリドーマの作製、参照抗体と競合し、PCSK9-LDLR との結合を強く遮断する抗体を同定するためのスクリーニング及びエピトープビニングアッセイの方法が記載されている。当業者は、これらの方法を用いれば、本件明細書に具体的に記載された抗体以外にも参照抗体と競合す 合を強く遮断する抗体を同定するためのスクリーニング及びエピトープビニングアッセイの方法が記載されている。当業者は、これらの方法を用いれば、本件明細書に具体的に記載された抗体以外にも参照抗体と競合する中和抗体(クレームに含まれる抗体)を得ることができ、また、参照抗体と競合す るものの結合を中和しない抗体(クレームに含まれない抗体)を容易に除外できる ことを認識できる。 以上から、当業者は、本件明細書の記載から、PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和し、参照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体を得ることができること、このような本件発明のモノクローナル抗体を使用した本件発明の医薬組成物によって、高コレステロール血症等の上昇したコレステロールレベルが関連す る疾患を治療し、又は予防し、疾患のリスクを低減するとの課題を解決できることを認識できる。 したがって、本件発明はサポート要件に適合する。 イ被告主張に係る理由1 について被告主張に係る理由1 は、本件発明において、参照抗体との競合という要件のみ が実質的な要件であり、結合中和は単なる解決課題ないし効果だという理解を前提とする。しかし、そもそも、本件発明は、参照抗体との競合という特性のみで規定したものではなく、結合を中和することも実質的な構成要件として規定しており、両者を満たすものにしか権利は及ばない。 本件発明の課題は、参照抗体とPCSK9 との結合に関して競合するという特性と、 PCSK9 とLDLR との結合を中和するという特性の両方を備えた抗体を提供することである。当業者は、本件明細書と本件優先日及び出願日当時の技術常識に基づき、そのような抗体を取得することができる。また、取得された抗体が本件発明の効果を奏すること 性の両方を備えた抗体を提供することである。当業者は、本件明細書と本件優先日及び出願日当時の技術常識に基づき、そのような抗体を取得することができる。また、取得された抗体が本件発明の効果を奏することが理解できるように、本件明細書には本件発明が記載されている。したがって、本件発明はサポート要件を満たす。 仮に、本件発明の課題をPCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体を得ることとしたとしても、当業者は本件明細書と本件優先日及び出願日当時の技術常識に基づいて、上記各特性のそれぞれに基づき抗体を選別することにより、PCSK9 とLDLRとの結合を中和する抗体を得ることができる(実際には、得られる抗体は、参照抗体とPCSK9 との結合に関して競合するという特性をさらに有する抗体である。)。 ウ被告主張に係る理由2 について (ア) 本件発明に係る抗体は、LDLR のEGFa ドメインと重複する位置(又は同様の位置)に結合してLDLR とPCSK9 の触媒ドメインとの結合を中和できる抗体であり、本件明細書で初めて開示された新しいクラスの抗体である。本件特許の出願までは、LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 の触媒ドメインの特定の部位との結合を阻害するような抗体が、PCSK9 とLDLR との結合を中和し、最終的に体内の LDL-C レベルを低下させる上で有効であろうとの知見は知られていなかった。本件発明により初めて、参照抗体と競合し(すなわち、PCSK9 の触媒ドメインの特定の領域に結合し)、LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 の触媒ドメインの小さな15 アミノ酸の領域との結合を阻害するような抗体が、PCSK9 とLDLR との結合を中和し、最終的に体内のLDL-C レベルを低下させる上で有 GFa ドメインとPCSK9 の触媒ドメインの小さな15 アミノ酸の領域との結合を阻害するような抗体が、PCSK9 とLDLR との結合を中和し、最終的に体内のLDL-C レベルを低下させる上で有効であることを見出したの である。したがって、本件優先日又は出願日には、EGFa ドメインを模倣する抗体という概念は存在せず、EGFa ミミック抗体と称する抗体を取得しようという課題も存在しなかった。 我が国の特許制度においては、出願人又は特許権者は、出願時に存在しない課題について解決手段を提供することまでは求められていない。上記のとおり、本件明 細書には、出願当時に認識できている範囲で、発明の課題を解決することができると合理的に理解できる程度に本件発明につき記載がされているから、サポート要件を満たす。出願時に課題として認識されたことのないEGFa ミミック抗体が本件明細書に記載されていないことを理由として、サポート要件に反するとすることはできない。 (イ) 被告がEGFa ミミック抗体と称するアリロクマブは、原告が21B12 抗体に基づいて開発したエボロクマブと同等の作用効果しか示さず、参照抗体を超える技術的意義を有するものでもない。 また、被告はEGFa ミミック抗体を「PCSK9 の表面上におけるLDLR 結合部位の大部分のアミノ酸を認識するような結合中和抗体」と定義する。しかし、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体に対して「ミミック」という用語を用いたのは、 1D05 抗体を作製し、1D05 抗体の立体的構造がEGFa ドメインの立体構造をミミックしていることを明らかにしたメルクの科学者らによる論文「LDL 受容体のEGF(A)ドメインを構造的に模倣するPCSK9 結合抗体は、生 05 抗体の立体的構造がEGFa ドメインの立体構造をミミックしていることを明らかにしたメルクの科学者らによる論文「LDL 受容体のEGF(A)ドメインを構造的に模倣するPCSK9 結合抗体は、生体内でLDL コレステロールを減少させる」(甲55。以下「甲55 文献」という。)が初めてであるところ、同文献では、「ミミック」の語は、抗体自体の立体構造に着目したものであり、これ がLDLR のEGFa ドメインと似ているかどうかという観点で記述されている。また、甲55 文献から理解できるように、「ミミック」という用語がPCSK9 上で抗体がいくつのアミノ酸を認識するかという意味で用いられたことはない。 さらに、原告の科学者の大半は、「EGFa ミミック」という用語を、21B12 抗体と31H4 抗体の両方と競合する抗体を指すために用いていた。 このように、被告による「EGFa ミミック抗体」という用語及びその定義は独自のものであり、当業者に受け入れられたものではなく、発明の技術思想に関係する技術的意義を有しない。また、「大部分のアミノ酸を認識」という技術事項は、本件発明の課題の解決において何らの技術的意義も有しない。このような技術的意義を有しないミミック抗体が本件明細書に記載されているかどうかは、サポート要件と は関係がない。 (ウ) 本件明細書に記載された9C9 抗体は、PCSK9 上のEGFa 結合領域の正に中心部分に結合するものであり、程度はともかくとして、EGFa ドメインを模擬(ミミック)する抗体である。上記のとおり、「LDLR 結合部位の大部分を認識」するかどうかは本件発明の課題の解決において何らの技術的意義も有しないから、本件明 細書には、十分にEGFa ドメインを模擬(ミミック)する抗体が開示さ り、「LDLR 結合部位の大部分を認識」するかどうかは本件発明の課題の解決において何らの技術的意義も有しないから、本件明 細書には、十分にEGFa ドメインを模擬(ミミック)する抗体が開示されている。 (エ) アリロクマブは、本件優先日当時から用いられていた一般的な手法によって産生されたものであり、優先日後に新たに開発された技術を用いたものではないと被告自身が自認している。しかも、その開発経緯においては、抗体を2 つの参照抗体(21B12 抗体及び31H4 抗体)の両方と競合することを競合試験により確認し、 その後に316P と命名された抗体が選択され、同抗体に向けられた請求項(クレー ム)が新設されて、アリロクマブとして製品化されたのである。このように、被告がEGFa ミミック抗体であると称するアリロクマブは、本件優先日当時から用いられていた一般的な手法により、本件明細書に完全に依拠して作成されたものであり、EGFa ミミック抗体が本件明細書の記載から取得できないという主張は事実に反する。 エ被告主張に係る理由3 について当業者は、本件明細書と本件優先日及び出願日当時の技術常識に基づき、参照抗体とPCSK9 との結合に関して競合するという特性と、PCSK9 とLDLR との結合を中和するという特性のそれぞれで抗体を選別することにより、PCSK9 とLDLRとの結合を中和する抗体のうち、参照抗体とPCSK9 との結合に関して競合する抗 体群(この抗体群は、LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 の触媒ドメインとの結合を中和すると考えられる。)を得ることができる。したがって、本件発明はサポート要件を満たす。 仮に低競合であったとしても、PCSK9 とLDLR との結合は一般的な抗体によ の触媒ドメインとの結合を中和すると考えられる。)を得ることができる。したがって、本件発明はサポート要件を満たす。 仮に低競合であったとしても、PCSK9 とLDLR との結合は一般的な抗体による結合親和性と比較して弱く、低競合抗体がよい中和抗体となることは特に不思議で はない。そもそも、本件発明はPCSK9 とLDLR との結合を中和するという特性を有することで特定されているから、本件発明の抗体がこの特性を有することは明らかである。 (3) 訂正の再抗弁の成否(争点2-1-2)について〔原告の主張〕 ア訂正の内容(ア) 本件特許1a 特許請求の範囲以下のとおり、各請求項に下線部を追加し、請求項9 を独立項とする(以下、訂正後の請求項1 に係る発明を「本件再訂正発明1-1」、請求項9 に係る発明を「本件 再訂正発明1-2」といい、これらを併せて「本件再訂正発明1」という。)。 【請求項1】 PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9との結合に関して、配列番号49 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号23 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む参照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体。 【請求項9】 PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9 との結合に関して、配列番号49 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号23 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む参照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体のFab 断片がPCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、かつ、前記モノクローナル抗体のF む参照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体のFab 断片がPCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、かつ、前記モノクローナル抗体のFab 断片が、PCSK9 との結 合に関して、上記参照抗体のFab 断片と競合することができる、単離されたモノクローナル抗体を含む、医薬組成物。 b 明細書以下のとおり、本件明細書1 の【0138】について、取消線部分を削除し、本件発 明1 における「中和」の意義を限定する。 「『中和抗原結合タンパク質』又は『中和抗体』という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的効果を妨げ、又は低下させる、それぞれ、抗原結合タンパク質又は抗体を表す。これは、例えば、リガンド上の結合部位を直接封鎖することによって、又はリガンドに結合し、間接的な手段(リガンド中の構造的又はエネル ギー的変化など)を通じて、リガンドの結合能を変化させることによって行うことができる。」また、以下のとおり、本件明細書1 の【0140】について、取消線部分を削除し、本件発明1 における「競合」の意義を限定する。 「通常、検査抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定 される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)には、基準抗原結合タンパ ク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質及び立体的妨害が生じるのに、基準抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。競合結合を測定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書中の実施例に提供されている。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合には、少なくとも40 から45%、45 タンパク質が含まれる。競合結合を測定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書中の実施例に提供されている。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合には、少なくとも40 から45%、45 から50%、 から55%、55 から60%、60 から65%、65 から70%、70 から75%又は75%又はそれ以上、共通の抗原への基準抗原結合タンパク質の特異的結合を阻害する(例えば、低下させる)。」(イ) 本件特許2a 特許請求の範囲 以下のとおり、各請求項に下線部を追加し、請求項5 を独立項とする(以下、訂正後の請求項1 に係る発明を「本件再訂正発明2-1」、請求項5 に係る発明を「本件再訂正発明2-2」といい、これらを併せて「本件再訂正発明2」という。)。 【請求項1】 PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9との結合に関して、配列番号67 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖 と、配列番号12 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む参照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体であって、配列番号3 に記載のアミノ酸配列を有するPCSK9 の374 位のアスパラギン酸(D)がチロシン(Y)に置換した変異体(PCSK9 のD374Y 変異体)とLDLR タンパク質との結合を中和することができ、かつ、前記モノクローナル抗体のFab 断片が、PCSK9 との結合に関 して、前記参照抗体のFab 断片と競合することができる、抗体。 【請求項5】 PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9との結合に関して、配列番号67 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号12 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含 9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9との結合に関して、配列番号67 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号12 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む参照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体であって、競合の程度が80%以上で あり、かつ、前記モノクローナル抗体のFab 断片がPCSK9 とLDLR タンパク質の 結合を中和することができる、単離されたモノクローナル抗体を含む、医薬組成物。 b 明細書以下のとおり、本件明細書2 の【0138】について、取消線部分を削除し、本件発明2 における「中和」の意義を限定する。 「『中和抗原結合タンパク質』又は『中和抗体』という用語は、リガンドに結合し、 そのリガンドの生物学的効果を妨げ、又は低下させる、それぞれ、抗原結合タンパク質又は抗体を表す。これは、例えば、リガンド上の結合部位を直接封鎖することによって、又はリガンドに結合し、間接的な手段(リガンド中の構造的又はエネルギー的変化など)を通じて、リガンドの結合能を変化させることによって行うことができる。」 また、以下のとおり、本件明細書2 の【0140】について、取消線部分を削除し、本件発明2 における「競合」の意義を限定する。 「通常、検査抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)には、基準抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質及び立体的妨害が生じるのに、 基準抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。競合結合を測定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書中の 、 基準抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。競合結合を測定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書中の実施例に提供されている。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合には、少なくとも40 から45%、45 から50%、から55%、55 から60%、60 から65%、65 から70%、70 から75%又は75%又 はそれ以上、共通の抗原への基準抗原結合タンパク質の特異的結合を阻害する(例えば、低下させる)。」イ訂正要件の充足上記の訂正(以下「本件再訂正」という。)は、いずれも特許請求の範囲の減縮ないし従属項を独立項にするものであるから訂正要件を満たし(特許法126 条1 項1 号及び4 号)、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の 範囲内のものであり、また、独立特許要件を欠く事情もない。 ウ無効理由の解消(ア) 本件特許1a 本件再訂正発明1-1本件明細書1 の【0140】の訂正により、「競合」するタンパク質から、重複しな いエピトープに結合するものは除外されている。したがって、「配列番号49 のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号23 のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む参照抗体と競合する」抗体は、参照抗体である21B12 抗体と重複したPCSK9 上のエピトープに結合する抗体を意味する。 また、本件明細書1 の【0138】の訂正により「中和」の意義が限定され、「中和」 とは、「リガンド上の結合部位を直接封鎖する」態様を意味する。したがって、ここでいう「中和」とは、PCSK9 とLDLR との結合面に結合して両者の 正により「中和」の意義が限定され、「中和」 とは、「リガンド上の結合部位を直接封鎖する」態様を意味する。したがって、ここでいう「中和」とは、PCSK9 とLDLR との結合面に結合して両者の結合を直接中和することを意味する。 このような本件再訂正により、本件再訂正発明1-1 は、参照抗体である21B12 抗体と標的上の同様の部位に結合し、かつ、21B12 抗体と同様にPCSK9 とLDLR と の結合を直接中和する抗体に限られることとなる。すなわち、「21B12 抗体がPCSK9 と結合する部位と異なり、かつ、結晶構造上、抗体がLDLR のEGFa ドメインの位置とも異なる部位に結合し、21B12 抗体に軽微な立体的障害をもたらして、21B12 抗体のPCSK9 への特異的結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)」抗体は、もはや本件再訂正発明1-1 に含まれない。 したがって、仮に本件発明1 に参照抗体(21B12 抗体)がPCSK9 と結合する部位と異なり、かつ、結晶構造上、抗体がLDLR のEGFa ドメインの位置とも異なる部位に結合し、21B12 抗体に軽微な立体的障害をもたらして、21B12 抗体のPCSK9への特異的結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)もの等も含まれ得ることを理由として本件特許がサポート要件違反により無効にされるべきものである としても、その無効理由(以下「本件無効理由1」という。)は本件再訂正により解 消される。 b 本件再訂正発明1-2本件明細書1 の【0138】及び【0140】の訂正のみによって、既に、本件無効理由 1 は解消されているが、次の訂正により、重ねて本件無効理由1 は解消されている。 すなわち、本件再訂正発明1-2 では、「前 の【0138】及び【0140】の訂正のみによって、既に、本件無効理由 1 は解消されているが、次の訂正により、重ねて本件無効理由1 は解消されている。 すなわち、本件再訂正発明1-2 では、「前記モノクローナル抗体のFab 断片が PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ」、かつ、「前記モノクローナル抗体のFab 断片が、PCSK9 との結合に関して、上記参照抗体のFab 断片と競合することができる」ことを規定している。Fab 断片が「参照抗体のFab 断片と競合する」ためには、PCSK9 上の参照抗体と同様の位置に結合する必要があることから、この規定により、クレームされた抗体が、参照抗体と同様の部位に結合し、 かつ、PCSK9 とLDLR との結合を効果的に中和する位置に結合すること、及び、参照抗体と同様のメカニズムでPCSK9 とLDLR との結合を中和できることが更に明らかになっている。 (イ) 本件特許2a 本件再訂正発明2-1 本件再訂正発明1-1 と同様に、本件明細書2 の【0138】及び【0140】の訂正のみによって、仮に本件発明2 に参照抗体(31H4 抗体)がPCSK9 と結合する部位と異なり、かつ、結晶構造上、抗体がLDLR のEGFa ドメインの位置とも異なる部位に結合し、31H4 抗体に軽微な立体的障害をもたらして、31H4 抗体のPCSK9 への特異的結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)もの等も含まれ得ること を理由として本件特許がサポート要件違反により無効にされるべきものであるとしても、その無効理由(以下「本件無効理由2」という。)は本件再訂正により解消される。 さらに、次の訂正により、重ねて、本件無効理由2 が解消されている。 すなわち 効にされるべきものであるとしても、その無効理由(以下「本件無効理由2」という。)は本件再訂正により解消される。 さらに、次の訂正により、重ねて、本件無効理由2 が解消されている。 すなわち、本件再訂正発明2-1 は、「配列番号3 に記載のアミノ酸配列を有する PCSK9 の374 位のアスパラギン酸(D)がチロシン(Y)に置換した変異体(PCSK9 のD374Y 変異体)とLDLR タンパク質との結合を中和することができる」ことで特定されている。PCSK9 のD374Y 変異体は、LDLR に対して、野生型PCSK9 よりも強く結合する。PCSK9 に対して同等の結合親和性を有する抗体がPCSK9 のD374Y 変異体とLDLR との強い結合を中和するためには、当該抗体にはD374Y 変異体のLDLR との相互作用を遮断できるに適したエピトープに結合することが更 に要求されることとなる。また、本件再訂正発明2-1 は、「前記モノクローナル抗体のFab 断片が、PCSK9 との結合に関して、前記参照抗体のFab 断片と競合することができる」ことを規定している。Fab 断片が「参照抗体のFab 断片と競合する」ためには、PCSK9 上の参照抗体と同様の位置に結合する必要がある。 以上から、本件再訂正発明2-1 は、参照抗体である31H4 抗体と標的上の同様の 部位に結合し、31H4 抗体と同様のメカニズムによってPCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体に限られる。 b 本件再訂正発明2-2上記のとおり、本件明細書2 の【0138】及び【0140】の訂正のみによって、既に、本件無効理由2 は解消されている。 さらに、次の訂正により、重ねて本件無効理由2 が解消されている。 すなわ り、本件明細書2 の【0138】及び【0140】の訂正のみによって、既に、本件無効理由2 は解消されている。 さらに、次の訂正により、重ねて本件無効理由2 が解消されている。 すなわち、本件再訂正発明2-2 は、「競合の程度が80%以上」の抗体に限定されている。これにより、31H4 抗体との競合により適したエピトープに結合することが更に要求されることとなる。これは、クレームされた抗体に、参照抗体である31H4 抗体と同様の位置に結合することを更に要求する。加えて、本件再訂正発明 2-2 は、「前記モノクローナル抗体のFab 断片がPCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができる」ことを規定している。Fab 断片が「結合を中和する」ためには、抗体がLDLR タンパク質が結合するPCSK9 上の部位に結合し、両者の結合を中和することが要求される。 以上から、本件再訂正発明2-2 は、参照抗体である31H4 抗体と標的上の同様の 部位に結合し、31H4 抗体と同様のメカニズムによってPCSK9 とLDLR との結合 を中和する抗体に限られる。 エ訂正審判請求本件では、本件特許の特許無効審判が、本訴の提起(令和2 年3 月31 日)よりも前の令和2 年2 月12 日に請求され、これがまだ確定していない。そのため、原告は本件再訂正に係る訂正審判請求を法律上行い得ないから(特許法126 条2 項)、 本件において、訂正審判請求を行うことは不要である。 オ被告製品が技術的範囲に属すること本件再訂正を踏まえると、被告製品の構成は、次のとおりである。 ①被告製品の抗体は、参照抗体(21B12 抗体及び31H4 抗体)とPCSK9 への結合に関して競合し、31H4 抗体との競合割合は 本件再訂正を踏まえると、被告製品の構成は、次のとおりである。 ①被告製品の抗体は、参照抗体(21B12 抗体及び31H4 抗体)とPCSK9 への結合に関して競合し、31H4 抗体との競合割合は、91~99%である。 ②被告製品の抗体のFab 断片は、参照抗体(21B12 抗体及び31H4 抗体)のFab断片と競合することができる。 ③被告製品の抗体は、PCSK9 とLDLR タンパク質との結合を中和することができる。 ④被告製品の抗体のFab 断片は、PCSK9 とLDLR タンパク質との結合を中和す ることができる。 ⑤被告製品の抗体は、配列番号3 に記載のアミノ酸配列を有するPCSK9 の374位のアスパラギン酸(D)がチロシン(Y)に置換した変異体(PCSK9 のD374Y 変異体)とLDLR タンパク質との結合を中和することができる。 このような構成の被告製品は、本件再訂正発明1 及び2 それぞれの技術的範囲に 属する。 〔被告の主張〕争う。 (4) 実施可能要件違反(争点2-2)について〔被告の主張〕 ア理由1 以下のとおり、本件発明には、個性豊かな全く異なる種々の性質・構造・結合部位を有する膨大な数の抗体が含まれるが、これらの抗体を当業者が本件明細書に記載の方法により過度の試行錯誤及び実験を強いられることなく製造し得たとはいえない。 すなわち、本件発明に含まれる抗体はアミノ酸配列によって特定されていないた め(アミノ酸配列で特定されているのは参照抗体である。)、本件発明に含まれる抗体の数は少なくとも何百万に上り、その数自体が膨大であるのみならず、本件発明は、本件明細書の実施例抗体とは全く異なる種々の性質・構造・結合部位を有する抗体を含む。これに る。)、本件発明に含まれる抗体の数は少なくとも何百万に上り、その数自体が膨大であるのみならず、本件発明は、本件明細書の実施例抗体とは全く異なる種々の性質・構造・結合部位を有する抗体を含む。これに対し、本件明細書には、動物免疫法を用いてPCSK9 に結合するモノクローナル抗体を多数作成し、結合中和アッセイによりPCSK9 とLDLR と の結合を中和できる抗体を取得した旨が記載されているに過ぎない。また、本件明細書において実際に得られた実施例抗体も、本件発明に含まれる膨大な数の抗体のうちのわずか一部でしかない。加えて、本件明細書には、参照抗体と競合する抗体をスクリーニングすることにより、PCSK9 とLDLR との結合中和抗体を効率的に取得できる旨が記載されているわけでもない。 このため、本件発明に含まれる抗体を取得しようとする当業者は、依然として、本件特許の発明者と実質的に同じ量の仕事を行うことを要求されるといった、過度の試行錯誤及び実験を繰り返さなければならないこととなる。 しかも、抗体の産生方法が異なれば得られる抗体の反応性も異なるため、本件明細書に記載された方法を過度に繰り返したとしても、本件発明に含まれる膨大な数 の抗体に含まれる、個性豊かな全く異なる種々の性質等を有する抗体群が得られるとは理解し得ない。 以上のとおり、本件発明には個性豊かな全く異なる種々の性質・構造・結合部位を有する膨大な数の抗体が含まれるが、これら全ての抗体を、当業者が本件明細書に記載の方法により過度の試行錯誤及び実験を強いられることなく製造し得たとは いえない。したがって、本件発明は実施可能要件に違反する。 イ理由2本件発明には、EGFa ミミック抗体までもが含まれるが、以下のとおり、原告が本件 く製造し得たとは いえない。したがって、本件発明は実施可能要件に違反する。 イ理由2本件発明には、EGFa ミミック抗体までもが含まれるが、以下のとおり、原告が本件優先日から約5 年後においても見つけることができていなかったEGFa ミミック抗体を本件明細書に記載の方法により当業者が過度の試行錯誤なく製造し得たとはいえない。 すなわち、本件発明にはEGFa ミミック抗体までもが含まれるところ、本件明細書には、EGFa ミミック抗体に関する記載はない。また、本件明細書記載の方法を誰よりも熟知する原告自身、EGFa ミミック抗体は1 つも取得することができておらず、また、本件優先日から約5 年後の2012 年(平成24 年)においてさえ、その取得について「一筋縄ではいかない」と述べていることに鑑みると、過度の試行錯 誤や実験を繰り返し行うことなく、当業者が確実にEGFa ミミック抗体が得られたと理解できる記載はないといえる。 したがって、本件発明のうち、少なくともEGFa ミミック抗体に関する部分については、その実施には過度の試行錯誤及び実験を強いられるため、実施可能要件に違反する。 ウ理由3本件発明には参照抗体との競合の程度が低い抗体も含まれるところ、以下のとおり、低競合抗体であってPCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体を、当業者が、本件明細書記載の方法により過度の試行錯誤及び実験を強いられることなく製造し得たとはいえない。 本件発明においては、「競合」及び「中和」のいずれに関しても、何らの限定もないから、参照抗体との競合の程度が低い抗体であっても、何らかの結合中和をする限り、本件発明に含まれることになる。しかし、参照抗体と僅かにしか競合しない抗体(低 和」のいずれに関しても、何らの限定もないから、参照抗体との競合の程度が低い抗体であっても、何らかの結合中和をする限り、本件発明に含まれることになる。しかし、参照抗体と僅かにしか競合しない抗体(低競合抗体)について、類型的に、その全て又は大部分が結合中和抗体であるとはいえない。 したがって、そのような低競合抗体であってPCSK9 とLDLR との結合を中和す る抗体を、当業者が、明細書に記載の方法により過度の試行錯誤及び実験を強いられることなく製造し得たとはいえず、本件発明は実施可能要件に違反する。 エ小括以上のとおり、本件発明は実施可能要件に違反する。したがって、本件特許は特許法36 条4 項1 号所定の要件を満たさない特許出願に対してされたものであり、 特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123 条1 項4 号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使し得ない。 〔原告の主張〕ア本件発明が実施可能要件を充足すること本件明細書には、免疫プログラムの手順及びスケジュールに従った免疫化マウス の作製、免疫化マウスを使用したハイブリドーマの作製、参照抗体と競合し、PCSK9-LDLR との結合を強く遮断する抗体を同定するためのスクリーニング及びエピトープビニングアッセイの方法が記載されている。当業者は、これらの方法を用いれば、本件明細書に具体的に記載された抗体以外にも参照抗体と競合する中和抗体を得ることができ、また、参照抗体と競合するものの結合を中和しない抗体を 容易に除外できる。 このように、当業者は、本件明細書の記載や出願当時の技術常識に基づいて、クレームに含まれる抗体全体を生産でき、かつ、使用できるのであるから、本件明細書は、当業者が明細書及び図面の記載並 できる。 このように、当業者は、本件明細書の記載や出願当時の技術常識に基づいて、クレームに含まれる抗体全体を生産でき、かつ、使用できるのであるから、本件明細書は、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づいて、その物を生産でき、かつ、使用できるように具体的に記載されているものといえる。す なわち、本件発明は実施可能要件を充足する。 イ被告主張に係る理由1 について実施可能要件に適合するというためには、物の発明にあっては、当業者が明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づいて、その物を生産でき、かつ、使用できるように、明細書に具体的に記載されていれば足りる。本件発明は、PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ、PCSK9 との結合に関して、参 照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体についての技術的思想である。 発明の詳細な説明に、このような技術的思想を具体化した抗体を作ることができる程度の記載があれば、当業者は、その実施をすることが可能というべきであり、特許発明の技術的範囲に属し得るあらゆるアミノ酸配列の抗体を全て取得することができることまで記載されている必要はない。 ウ被告主張に係る理由2 について被告の主張は、特許請求の範囲に含まれる実施品(抗体)の全てが明細書に実施可能に記載されていることが実施可能要件に適合する要件になる、との理解を前提とするものである。しかし、特許請求の範囲に含まれる実施品の全てを明細書に実施可能に記載することを求めることは、特許出願人に不可能を強いることになり妥 当でないから、前提となる理解が誤っている。 本件発明は、抗原上のどのアミノ酸を認識するかについては特定しない抗体の発明であるから、EGFa とは、特許出願人に不可能を強いることになり妥 当でないから、前提となる理解が誤っている。 本件発明は、抗原上のどのアミノ酸を認識するかについては特定しない抗体の発明であるから、EGFa ミミック抗体が発明の詳細な説明の記載から実施可能に記載されているかどうかは、実施可能要件とは関係しない。 また、本件優先日又は出願日に課題として認識されたことのないEGFa ミミック 抗体が本件明細書に記載されていないなどとして実施可能要件を否定できないことなどは、サポート要件の場合(前記(2)〔原告の主張〕ウ)と同様である。 エ被告主張に係る理由3 についてそもそも、本件発明は、参照抗体との競合という特性のみで規定したものではなく、結合を中和することも実質的な構成要件として規定している。当業者は、本件 明細書の記載に従えば、過度の試行錯誤なく、参照抗体と競合し、かつ、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体を作製し、使用できる。 (5) 進歩性欠如(争点2-3)〔被告の主張〕ア乙1 文献の記載事項 (ア) NatureStructural & MolecularBiology、vol.14(5)、pp.413-419(2007)(乙 1。以下「乙1 文献」という。また、同文献記載の発明を「乙1 発明」という。)は、PCSK9 が脂質異常症の治療のための魅力的なターゲットであることを述べた上で、結論部分において、PCSK9 を標的とし、心血管疾患の治療に用いるための薬剤として、「PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」を具体的に提案しており、そのような抗体を治療に用いるという技術的思想としての発明(乙1 発明)を開示している。 また、乙1 文献に に結合し、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」を具体的に提案しており、そのような抗体を治療に用いるという技術的思想としての発明(乙1 発明)を開示している。 また、乙1 文献には、実験結果と従来の知見を踏まえた分析として、PCSK9 とLDLR との直接結合が細胞表面へのLDLR のリサイクルの阻害をもたらすメカニズムが記載されている。これに基づいて、乙1 文献には、PCSK9 に結合して、PCSK9とLDLR の結合を中和する抗体を治療に用いることが開示されているといえる。 (イ) さらに、乙1 文献には、PCSK9 とLDLR との結合において、PCSK9 の374位が極めて重要であること、PCSK9 の374 位がPCSK9 の表面に存することが示されている。 イ本件発明と乙1 発明との対比乙1 文献には、乙1 発明が示されている一方で、「モノクローナル抗体」との文 言自体はない。しかし、「PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」を疾患の治療のための抗体として用いることが記載されている。本件優先日当時の技術常識や周知技術を踏まえれば、治療に用いることを意図した抗体は当然に「モノクローナル抗体」を意味するが、以下では一応の相違点とする。 また、本件発明は「参照抗体と競合する」抗体である旨を規定するが、乙1 文献 にはその点に関する記載はない。 以上より、乙1 発明と本件発明は、高コレステロール血症や心血管疾患の治療のために「PCSK9 に結合して、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体」を用いる点において一致するが、「モノクローナル抗体」であるか不明である点(相違点1)、「参照抗体と競合する」抗体であるか不明である点(相違点2)において相違する。 ウ進歩 中和する抗体」を用いる点において一致するが、「モノクローナル抗体」であるか不明である点(相違点1)、「参照抗体と競合する」抗体であるか不明である点(相違点2)において相違する。 ウ進歩性の判断基準 本件においては、本件発明の発明特定事項である参照抗体自体につき当業者が容易に想到し得たか否かにかかわらず、本件発明の抗体の中に含まれる何らかの抗体を当業者が容易に取得できた場合には、本件発明は、その限度で、当業者が容易に想到し得た発明と判断されなければならない。 エ理由1 以下のとおり、乙1 発明及び周知技術に基づき、PCSK9 全長を抗原として結合中和モノクローナル抗体を取得するだけで、本件発明に含まれる抗体を容易に取得できることから、本件発明は進歩性を欠く。 (ア) 相違点1 について乙1 文献は、PCSK9-LDLR 結合中和抗体が有効な治療薬になるであろうことを 述べ、PCSK9-LDLR 結合中和抗体の取得を動機付ける。本件優先日当時、治療用に用いられる抗体としては単一の抗体であるモノクローナル抗体を用いることが技術常識であり、また、そもそもモノクローナル抗体でなければ抗体毎の特性を評価し得ない。したがって、乙1 文献に接した当業者であれば、「PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR との結合を阻害する抗体」をモノクローナル抗体として取得する ことを動機付けられたといえる。 また、本件優先日当時、タンパク質の全長を抗原としてモノクローナル抗体を取得することや所望の活性を有する抗体を結合中和アッセイにより選別することは、既に確立した周知技術であった。 したがって、乙1 文献により動機付けられた当業者は、「PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR との結 る抗体を結合中和アッセイにより選別することは、既に確立した周知技術であった。 したがって、乙1 文献により動機付けられた当業者は、「PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR との結合を阻害する抗体」を、PCSK9 全長を抗原としてモノクローナル抗体として取得できた。 (イ) 相違点2 について以下のとおり、乙1 文献及び周知技術に基づき、PCSK9 全長を抗原として結合中和モノクローナル抗体を取得するだけで、本件発明に含まれる抗体を容易に取得 することができる。 すなわち、まず、参照抗体はPCSK9 とLDLR との結合部位に結合するから、PCSK9 とLDLR との結合を阻害する結合中和抗体には、参照抗体と競合する抗体が少なからず含まれる。このため、乙1 文献及び周知技術に基づき、PCSK9 全長を抗原として結合中和モノクローナル抗体をいくつか取得するだけで、当業者は、参照抗体と競合する抗体すなわち本件発明に含まれる抗体を容易に取得し得る。 また、本件発明には、結合中和活性の程度については何の限定もなく、本件明細書でも、「中和抗体」の説明として、少なくとも約1~20%の中和能しか有しない抗体も中和抗体に含まれるとしていることから、本件発明は、その抗体の通有性として顕著な効果を備えるものとはいえない。加えて、本件発明は、参照抗体との競合についても何ら限定がなく、競合の程度が低いものも含む。このように、結合中和 活性の程度も競合の程度も無限定である以上、周知技術に基づき結合中和抗体をいくつか取得し、そのような抗体を結合中和の程度や参照抗体との競合の程度で分類した際に、参照抗体と何らかの程度において競合するものが含まれることになる。 したがって、周知技術に基づき取得される結合中 くつか取得し、そのような抗体を結合中和の程度や参照抗体との競合の程度で分類した際に、参照抗体と何らかの程度において競合するものが含まれることになる。 したがって、周知技術に基づき取得される結合中和抗体の1 つ1 つが常に参照抗体と競合するとはいえないとしても、所定の低くない割合で本件発明に含まれる抗 体を取得できるのであれば進歩性を否定すべきところ、本件発明には結合中和の程度及び参照抗体との競合の程度のいずれにおいても何らの限定もないから、当業者は、本件発明に含まれる抗体を容易に取得できたものといえる。 (ウ) 小括このように、乙1 発明及び周知技術に基づき、PCSK9 全長を抗原として結合中 和モノクローナル抗体を取得するだけで、本件発明に含まれる抗体を容易に取得できるため、本件発明は進歩性を欠く。 オ理由2以下のとおり、乙1 発明及び周知技術に基づき、PCSK9 の374 位周辺ペプチドを抗原として結合中和モノクローナル抗体を取得するだけで、本件発明に含まれる 抗体を容易に取得できるため、本件発明は進歩性を欠く。 (ア) 乙1 文献は、PCSK9-LDLR 結合中和抗体が有効な治療薬になるであろうことを述べ、PCSK9-LDLR 結合中和抗体の取得を動機付ける。本件優先日当時、治療用に用いられる抗体として単一の抗体であるモノクローナル抗体を用いることが技術常識であったことなどから、乙1 文献に接した当業者であれば、「PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR との結合を阻害する抗体」をモノクローナル抗体として取 得することを動機付けられたといえる。 また、乙1 文献には、特にPCSK9 の374 位がPCSK9 とLDLR との結合において重要であり、かつ、PCSK9 の3 クローナル抗体として取 得することを動機付けられたといえる。 また、乙1 文献には、特にPCSK9 の374 位がPCSK9 とLDLR との結合において重要であり、かつ、PCSK9 の374 位がPCSK9 の表面を形成することが示されていることから、当業者は、PCSK9 の374 位周辺ペプチドを抗原として、結合中和モノクローナル抗体を取得することを動機付けられるといえる。 本件優先日当時、特定の抗原に対して結合する抗体を作成する方法としては、タンパク質の全長を抗原として用いて取得する方法のほか、タンパク質の特定部位のペプチドを抗原として用いて取得する方法も周知であった。 したがって、乙1 文献により動機付けられた当業者は、PCSK9 の374 位周辺ペプチドを抗原として、「PCSK9 に結合し、PCSK9 とLDLR との結合を阻害する抗 体」をモノクローナル抗体として取得することができた。 (イ) 参照抗体はPCSK9 とLDLR との結合部位に結合するため、PCSK9 とLDLRとの結合を阻害する結合中和抗体には、参照抗体と競合する抗体が少なからず含まれる。したがって、乙1 文献及び周知技術に基づき、PCSK9 の374 位周辺ペプチドを抗原として結合中和モノクローナル抗体をいくつか取得するだけで、当業者は、 参照抗体と競合する抗体、すなわち本件発明に含まれる抗体を容易に取得できる。 また、本件発明には結合中和活性の程度や参照抗体との競合の程度については何の限定もないため、なおさら、本件発明には当業者が容易に取得し得た抗体が含まれることは、理由1 の場合と同様である。 (ウ) 小括 このように、乙1 発明及び周知技術に基づき、PCSK9 の374 位周辺ペプチドを が容易に取得し得た抗体が含まれることは、理由1 の場合と同様である。 (ウ) 小括 このように、乙1 発明及び周知技術に基づき、PCSK9 の374 位周辺ペプチドを 抗原として結合中和モノクローナル抗体を取得するだけで、本件発明に含まれる抗体を容易に取得できるため、本件発明は進歩性を欠く。 カ小括以上のとおり、本件発明は理由1 及び2 により、進歩性を欠き(特許法29 条2項)、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123 条 1 項2 号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使し得ない。 〔原告の主張〕ア本件発明と乙1 発明との対比(ア) 乙1 文献には、単離されたモノクローナル抗体が取得されたことは記載されていない上に、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体が取得されたことも全く 記載されていない。したがって、乙1 発明と本件発明との間には一致点は存在せず、相違点は、本件発明はPCSK9 とLDLR との結合を中和する単離されたモノクローナル抗体であるのに対して、乙1 発明は単離されたモノクローナル抗体であるか不明である点(相違点1’)、及び本件発明はPCSK9 との結合に関して参照抗体と競合する抗体であるのに対して、乙1 発明は抗体が参照抗体と競合するかどうか不明で ある点(相違点2’)である。 (イ) 乙1 文献は、単にPCSK9 が脂質異常症の治療のターゲットになり得ることを述べ、その抽象的な候補として、「理論の上では、PCSK9 の自己プロセシング及び分泌を阻害し、PCSK9 の機能喪失型変異と同様の効果を奏する細胞透過性のプロテアーゼ阻害剤の標的とすることができるかもしれない。」、「血漿中のPCSK9 に 結合し、その ロセシング及び分泌を阻害し、PCSK9 の機能喪失型変異と同様の効果を奏する細胞透過性のプロテアーゼ阻害剤の標的とすることができるかもしれない。」、「血漿中のPCSK9 に 結合し、そのLDLR との結合を阻害する抗体や低分子もPCSK9 の機能の効果的な阻害剤となり得る。」として、複数の候補を列挙しているに過ぎない。また、乙1 文献に開示された実験結果は、PCSK9 とLDLR の結合が細胞内で行われ、血漿中のPCSK9 が生理的に不活性であることを強く示唆するものであった。このため、乙1文献は、当業者にとって抗体(細胞内に入ることができない)による治療の有効性 に様々な懸念を生じさせる内容であった。 したがって、乙1 文献は、PCSK9 とLDLR の結合を中和する抗体によって治療することを当業者に動機付け得るものではなく、むしろ、抗体による治療の困難性を示唆するものである。 そればかりか、乙1 文献には、特にPCSK9 に存在するプロドメインがLDLR との結合に寄与することが示された上、PCSK9 の3 つのドメインがLDLR との結合 面の形成に関与しており、プロドメイン及び触媒ドメインでは活性に不十分である旨が記載されている。乙1 文献は、PCSK9 とLDLR との結合領域について、当業者に何も教えていない。 以上から、乙1 文献は、結合中和抗体のターゲットとすべき部位(PCSK9 上のLDLR との結合領域)に関しても、当業者に動機付けを与えるものではなく、PCSK9 上のLDLR との結合領域(触媒ドメイン)の中でも特定の位置に結合することにより結合を中和する本件発明の参照抗体を取得する動機付けや、この参照抗体と競合する抗体を取得する動機付けを当業者に与えるものでもない R との結合領域(触媒ドメイン)の中でも特定の位置に結合することにより結合を中和する本件発明の参照抗体を取得する動機付けや、この参照抗体と競合する抗体を取得する動機付けを当業者に与えるものでもない。 イ進歩性の判断基準特許法29 条2 項は、容易想到性の対象は技術思想である「発明」であり、「発明」 に含まれる個々の物ではないことを明確に規定しているところ、本件発明は、PCSK9 とLDLR の結合を中和し、参照抗体と競合するという構成要件によって規定された単離されたモノクローナル抗体であり、個々の抗体ではない。 仮に結合中和抗体のプールの中に参照抗体と競合する抗体が含まれていたとしても、本件優先日当時にはその抗体が参照抗体と競合するという特性を認識すること すらできなかった。そうであれば、抗体分野の技術常識に基づけば、「競合する抗体が得られた」などということはできない。したがって、仮に被告の主張する進歩性判断基準を前提とした場合であっても、本件発明は進歩性を有する。 ウ容易想到性(ア) 相違点1’について 本件優先日当時の技術常識によれば、PCSK9 は細胞内でLDLR と相互作用して いるとみられていたため、結合中和抗体による治療は有望ではないと考えられていた。また、未だPCSK9 上の結合領域が特定されていなかったことから、結合中和抗体を作製しようにも、その抗体のターゲットにすべきPCSK9 上の領域すら分かっていなかった。 さらに、本件発明は、試行錯誤の末、有効な結合中和抗体が得られる条件(固相 化方法、D374Y 変異体を用いたスクリーニング方法、強力な免疫法等)を見出したのであり、本件発明のモノクローナル抗体は周知技術によって容易に取得できるものではない。その根拠は る条件(固相 化方法、D374Y 変異体を用いたスクリーニング方法、強力な免疫法等)を見出したのであり、本件発明のモノクローナル抗体は周知技術によって容易に取得できるものではない。その根拠は、例えば次のとおりである。 ・本件明細書では参照抗体と競合する結合中和抗体の有用性を実証したが、周知技術や乙1 文献には参照抗体と競合する抗体を選択する動機付けがないため、抗体 を選択して本件発明のモノクローナル抗体を取得することはできない。 ・技術常識に従ったとしても、当然に結合中和抗体が得られたということはできない。 ・本件発明では、本件発明において初めて構築されたスクリーニング方法を用いており、当該スクリーニング方法では、PCSK9 のD374Y 変異体とLDLR との結 合を中和するアッセイも用いられているが、PCSK9 のD374Y 変異体とLDLR との結合を中和する抗体を得ることは、乙1 文献には開示も示唆もされていない。 ・PCSK9 のD374Y 変異体とLDLR との結合を中和するアッセイ系を用いることで、PCSK9 とLDLR のEGFa ドメインとの結合が中和できる抗体が多く得られたが、乙1 文献には、どのようにしてPCSK9 とLDLR のEGFa ドメインとの結合 を中和する抗体を得るかについては開示も示唆もされていない。 ・本件明細書では、PCSK9 に結合する抗体のバリエーションを増やすために新しく強力な免疫法を確立し(実施例1)、有用な抗体群を特定したが、そのような免疫法についても、乙1 文献には開示も示唆もされていない。 したがって、相違点1’については、このような抗体を具体的に着想し、これを取 得すること自体、当業者にとって容易想到とはいえない。 (イ) 相違点 示も示唆もされていない。 したがって、相違点1’については、このような抗体を具体的に着想し、これを取 得すること自体、当業者にとって容易想到とはいえない。 (イ) 相違点2’について本件優先日当時、参照抗体は未だ得られておらず、乙1 文献にも、また本件優先日当時の技術常識にも、参照抗体と競合する抗体を「選択する動機付け」はなく、参照抗体と競合する抗体を「選択する技術手段」も示されていない。そもそも、PCSK9 上のLDLR との結合領域(触媒ドメイン)が特定されていなかったことか ら、触媒ドメインの中でも特定の位置に結合し、これにより、LDLR の特にEGFaドメインとの結合を中和することができる抗体はもちろん、上記特定の位置に結合する参照抗体に着目する動機付けすら存在していない。そうすると、本件明細書の開示内容に基づく後知恵なく、参照抗体と競合する抗体に想到することはできない。 他方、本件発明は、参照抗体と競合する結合中和抗体の有用性を実証している。 すなわち、本件発明には、参照抗体と競合する抗体が、生体内でPCSK9 と結合し、PCSK9 の機能を阻害し、LDLR の特にEGFa ドメインとPCSK9 との結合を中和することによって、LDLR タンパク質とその活性を増加させ、血漿コレステロールを適切に低下させることができるという新しい情報が開示されていた。LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 との結合を中和することの技術的意義は、本件明細書に おいて初めて明らかにされ、それ故に、参照抗体の有用性及び参照抗体と競合する抗体の有用性が明らかになったのである。乙1 文献には、LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 との結合を中和すること(又は参照抗体と競合する抗体)の技術的意義に の有用性及び参照抗体と競合する抗体の有用性が明らかになったのである。乙1 文献には、LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 との結合を中和すること(又は参照抗体と競合する抗体)の技術的意義については、何ら開示も示唆もされていない。そのような状況で、LDLR のEGFaドメインとPCSK9 との結合を中和する抗体に容易に想到することができたとはい えない。なお、LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 との結合を中和すること(又は参照抗体と競合する抗体)と、LDLR とPCSK9 との結合を中和することとは同一視することはできないから、乙1 文献から、LDLR のEGFa ドメインとPCSK9 との結合を中和すること(又は参照抗体と競合する抗体)に容易に想到し得たということもできない。 したがって、相違点2’も、容易想到とはいえない。 エ被告主張に係る理由1 について被告がその主張の基礎とする「PCSK9 とLDLR との結合を阻害する結合中和抗体には、参照抗体と競合する抗体が少なからず含まれることを示している」とする実験結果自体が誤りである。 オ被告主張に係る理由2 について 乙1 文献には、3 つのドメイン全てが結合に関与し、触媒ドメインのみでは結合に不十分であり、プロドメインが結合に関与していること、D374Y だけでなく、S127R もLDLR と強固に結合することが記載されている。また、乙1 文献にも別の文献(乙8 の1)にも、D374Y の機能獲得型点突然変異があるPCSK9 がLDLRと強固に結合することは示されているものの、この部位が結合面であることは示唆 されていなかった。このように、乙1 文献は、PCSK9 上のLDLR との結合部位について、何も示唆し がLDLRと強固に結合することは示されているものの、この部位が結合面であることは示唆 されていなかった。このように、乙1 文献は、PCSK9 上のLDLR との結合部位について、何も示唆していない。したがって、当業者は、乙1 文献により、374 位周辺ペプチドを抗原として抗PCSK9 抗体を取得することを動機付けられたとはいえない。 また、被告が、本件優先日当時の周知技術を用いてPCSK9 の374 位周辺ペプチ ドを抗原として得られた抗PCSK9 モノクローナル抗体について結合中和試験及び参照抗体との競合試験を行った結果として提出した証拠に係る実験は、抗体-ファージディスプレイのライブラリーとしてHAL4 及びHAL7 を用いているところ、このようなライブラリーが本件優先日前に抗体作成に有用なライブラリーとして入手可能であったとはいえず、本件優先日前の技術水準には無かったものを含むから、 その結果を本件発明の進歩性を否定する資料として考慮することは許容されない。 (6) 明確性要件違反(争点2-4)〔被告の主張〕本件発明は、「競合」及び「中和」いずれについても、その程度に関して何らの限定もない。このため、本件発明の「参照抗体と競合する」という発明特定事項は、 その外延が不明確である。 また、PCSK9 との結合に関し、ある抗体が参照抗体と競合するか否かを判断するに際しては、ある抗体を最初に抗原(PCSK9)に結合させて参照抗体をその後に加える場合と、参照抗体を最初に抗原に結合してある抗体をその後に加える場合とで、「競合」について異なる結果が生じ得るが、これらの結果が異なる場合に「競合」するといえるのかは不明である。本件明細書においても、片方のパターンで競合す るからといって をその後に加える場合とで、「競合」について異なる結果が生じ得るが、これらの結果が異なる場合に「競合」するといえるのかは不明である。本件明細書においても、片方のパターンで競合す るからといって他方のパターンで競合するとは限らず、競合試験において抗体が使用される順序が重要であることが開示されている(【0495】)。 さらに、本件発明においては、いかなる試験方法で「競合」の程度を評価するのかも特定されておらず、この点でも、本件発明の外延は不明確である。 以上のとおり、本件発明の「参照抗体と競合する」との発明特定事項は、その外 延が不明確であるから、本件発明は明確性要件に違反する。したがって、本件特許は特許法36 条6 項2 号所定の要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123 条1 項4号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使し得ない。 〔原告の主張〕 本件明細書には、「競合」につき、「検査されている抗原結合タンパク質(例えば、抗体又は免疫学的に機能的なその断片)が共通の抗原(例えば、PCSK9 又はその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンド又は参照抗体)の特異的結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)アッセイによって測定された抗原結合タンパク質間の競合を意味する」と規定されている(【0140】)。当業者であれば、 この記載と出願当時の技術常識に基づいて適切に実施された競合アッセイにより、有意な競合を検出できることを理解し、PCSK9 との結合に関して競合する抗体を得ることができたはずである。 また、本件明細書の記載から明らかであるように、PCSK9 とLDLR との結合を中和し、かつ「競合」するならば、当該ある抗体 SK9 との結合に関して競合する抗体を得ることができたはずである。 また、本件明細書の記載から明らかであるように、PCSK9 とLDLR との結合を中和し、かつ「競合」するならば、当該ある抗体が参照抗体と重複する位置に結合 して、PCSK9 とLDLR との結合を中和すると考えられるから、ある適切な条件下 で競合を示す抗体であれば、本件発明の効果を奏することとなる。 さらに、被告が指摘する本件明細書の記載(【0495】)は、競合の順序によっては、重複するエピトープに結合する抗体であっても競合しないように見える場合があることを述べたものであり、いずれかの順番で競合試験をした場合に、「競合」することが示されれば権利範囲であることを明確にしたものである。本件明細書では、順 番によらずに競合することを「互いに競合する」と区別しており、「競合する」は「互いに競合する」場合と「互いに競合しない」場合を含むことは明らかであって、不明確ではない。 試験方法の点については、本件明細書は、当業者が、本件出願日当時の技術常識と本件明細書の記載に基づいて適切に設定した条件下で、適切に競合アッセイをす ることにより、有意に「競合」するか否かを判定することが理解できるように本件発明を記載しているから、本件発明は明確であり、第三者に不測の不利益をもたらすことはない。 (7) 発明該当性要件違反(争点2-5)〔被告の主張〕 本件発明は、課題を解決するための具体的手段を何ら提示するものではないから、「技術的思想の創作」とはいえず、「発明」(特許法2 条1 項)に該当しない。 すなわち、本件発明は、①「PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ」、②「PCSK9 との結合に関して参照抗体と競合す はいえず、「発明」(特許法2 条1 項)に該当しない。 すなわち、本件発明は、①「PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和することができ」、②「PCSK9 との結合に関して参照抗体と競合する」、③「単離されたモノクローナル抗体」、④「を含む、医薬組成物」という構成要件からなる。 発明の解決すべき課題はPCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体を提供することであるから、①は、解決すべき課題を特定するものであり、課題を解決する手段を提示するものではない。また、③及び④は、本件発明がモノクローナル抗体及び医薬組成物についてのものであることを特定する以上の意味はない。そうすると、課題の解決手段として実際に意味を持ち得るのは②のみである。 しかし、本件明細書は、PCSK9 に結合し、かつ、PCSK9 とLDLR との結合を中 和することができる抗体をスクリーニングし、PCSK9 に対する抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマを同定してから、競合するか否かの試験を行い、参照抗体と競合するか否かによって分類している。このように、競合するか否かの試験を行う前にPCSK9 とLDLR との結合を中和することができる抗体をスクリーニングし、PCSK9 に対する抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマを選択している のであるから、いかなる意味でも、「PCSK9 との結合に関して、参照抗体と競合する抗体であれば、PCSK9 とLDLR の結合を中和することができる」という技術思想を読み取ることはできない。そうすると、②も、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体を提供するとの課題に対する具体的な課題解決手段を提供していない。 このため、本件発明は、課題を解決するための具体的手段を何ら提示するもので ②も、PCSK9 とLDLR との結合を中和する抗体を提供するとの課題に対する具体的な課題解決手段を提供していない。 このため、本件発明は、課題を解決するための具体的手段を何ら提示するもので はなく、「技術的思想の創作」とはいえないから、「発明」に該当しない。 したがって、本件特許は、「発明」に該当しないものに対して特許された点で特許法29 条1 項柱書に違反してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123 条1 項2 号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使し得ない。 〔原告の主張〕本件発明は、PCSK9 とLDLR の結合を中和することができ、参照抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体及びこれを含む医薬組成物の発明であり、「自然法則を利用した技術的思想が、課題解決の主要な手段として提示されている」から、「技術的思想の創作」に該当する。したがって、本件発明は「発明」に該当する。 (8) 被告による無効理由の主張と信義則違反の有無(争点2-6)について〔原告の主張〕被告がサポート要件違反及び実施可能要件違反の無効理由を主張することは、訴訟上の信義則に反して許されない。 すなわち、被告の親会社であり被告と実質的に同一人であるサノフィ社は、サポ ート要件違反及び実施可能要件違反等を理由に、本件特許につき無効審判を請求し た上、その不成立審決につき別件審決取消訴訟を提起したが、既に無効審判請求は成り立たない旨の審決が確定している。 サポート要件及び実施可能要件に関しては「同一の事実及び同一の証拠」(特許法 167 条)の範囲を法条単位で考えるべきことや前訴の経緯に鑑みると、本件においては、サノフィ社の完全子会社である被告がサポート要件違 件及び実施可能要件に関しては「同一の事実及び同一の証拠」(特許法 167 条)の範囲を法条単位で考えるべきことや前訴の経緯に鑑みると、本件においては、サノフィ社の完全子会社である被告がサポート要件違反及び実施可能要件違 反の主張を行うことは紛争の蒸し返しであり、信義則に反して許されない。 仮にサポート要件及び実施可能要件に係る審決の効力の範囲につき法条単位で考えないとしても、被告が本件で新たに加わったものとして主張するサポート要件違反及び実施可能要件違反に係る理由3 の主張は、別件審決取消訴訟において排斥された理解を前提とした主張であり、「同一の事実及び同一の証拠」の要件を回避でき るものではない。他方、ミミック抗体に関する主張(サポート要件違反及び実施可能要件違反に係る理由2 の主張)に関しては、本件発明は抗原上のどのアミノ酸を認識するかについては特定しない抗体の発明であるから、LDLR が認識するPCSK9上のアミノ酸の大部分を認識する特定の抗体(EGFa ミミック)が発明の詳細な説明の記載に実施可能に記載されているかどうかは、サポート要件、実施可能要件と は全く関係しない。さらに、サポート要件違反及び実施可能要件違反に係る理由1の主張は、別件審決取消訴訟においてその請求が成り立たないことが既に確定しており、単なる紛争の蒸し返しに過ぎない。 〔被告の主張〕被告がサポート要件違反及び実施可能要件違反として主張する無効理由は、前訴 の事実審の口頭弁論終結時点では未だ日本の訴訟手続で提出することを不可能とされていた、EGFa ミミック抗体に関する原告自身が作成した電子メール及びプレゼンテーション資料に関する証拠等の新証拠に基づくものであることなどから、別件審決取消訴訟及び前訴におけるものと「同一の事実及び同一 EGFa ミミック抗体に関する原告自身が作成した電子メール及びプレゼンテーション資料に関する証拠等の新証拠に基づくものであることなどから、別件審決取消訴訟及び前訴におけるものと「同一の事実及び同一の証拠」に基づくものではない。したがって、被告がこれらの主張をすることが許されないとされる理由 はない。 (9) 原告の損害(争点3)〔原告の主張〕ア特許法102 条2 項に基づく原告の損害額被告は、遅くとも平成28 年9 月5 日から、被告製品を製造、販売している。 被告製品の販売開始から販売中止までの売上高は35 億3446 万5151 円と推計さ れるところ、このうち、仕切価格売上の割合が約88%であるとすると、被告に生じた売上は31 億1032 万9333 円となる。被告の限界利益率は少なくとも仕切価格売上の70%を下回らないと考えられるから、限界利益額は少なくとも21 億7723 万 0533 円を下回らない。 イ特許法102 条3 項に基づく原告の損害額 特許法102 条3 項に基づく相当実施料は、被告に発生した被告製品の売上の少なくとも65%であり、この額が原告の損害となる。 ウ原告は、上記原告の損害の一部である10 億円の損害賠償を求める。 〔被告の主張〕争う。 第3 当裁判所の判断 1 事案に鑑み、まず、サポート要件違反(争点2-1)及び実施可能要件違反(争点2-2)の被告主張に係る理由2 について検討する。 (1) 本件明細書の記載本件明細書の記載(別紙2)によれば、本件明細書には、本件発明に関し、次の 事項が開示されている。 ア本件発明は、PCSK9(プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン 9 型)に結合する抗原結合タンパク質 2)によれば、本件明細書には、本件発明に関し、次の 事項が開示されている。 ア本件発明は、PCSK9(プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン 9 型)に結合する抗原結合タンパク質等に関するものである。PCSK9 は、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)タンパク質のレベルの制御に関与するセリンプロテアーゼであり、LDLR タンパク質と直接相互作用し、LDLR と共に肝臓の細胞内に 取り込まれ、肝臓中のLDLR タンパク質のレベルを減少させ、さらには、細胞表面 (細胞外)でLDL への結合に利用可能なLDLR タンパク質の量を減少させることにより、対象中のLDL の量を増加させる。(【0002】、【0003】、【0071】)イ 21B12 抗体及び31H4 抗体(参照抗体)は、PCSK9 とLDLR タンパク質との結合を強く遮断する中和抗体である(【0138】、【0377】~【0379】(実施例11)、表2)。参照抗体は、結晶構造上、LDLR のEGFa ドメインの位置と部分的に重複 し、PCSK9 へのその結合を立体的に妨害する(【0444】(実施例31)、図20A)。 ウ LDLR のEGFa ドメインは、PCSK9 の触媒ドメインに結合する。結晶構造上、EGFa ドメインの5 オングストローム以内に存在するPCSK9 のアミノ酸残基は、LDLR のEGFa ドメインとの相互作用界面の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基(コア残基)である。また、EGFa ドメインの5 オングストロームから8 オングス トロームに存在するPCSK9 残基は、LDLR のEGFa ドメインとの相互作用界面の境界PCSK9 アミノ酸残基である。これらのアミノ酸残基のいずれかと相互作用し、又は遮断する抗体は、PC トロームに存在するPCSK9 残基は、LDLR のEGFa ドメインとの相互作用界面の境界PCSK9 アミノ酸残基である。これらのアミノ酸残基のいずれかと相互作用し、又は遮断する抗体は、PCSK9 とLDLR のEGFa ドメイン(及び/又はLDLR 一般)との間の相互作用を阻害する抗体として有用であり得る。(【0428】~【0432】(実施例28)、図17)。 図19A に図示されるように、参照抗体は、PCSK9 の触媒ドメインに結合する。 21B12 抗体と31H4 抗体とは異なる結合部位を有し、両者は同時にPCSK9 に結合することができる。結晶構造上、21B12 抗体及び31H4 抗体の5 オングストローム以内に存在するPCSK9 のアミノ酸残基は、それぞれ、21B12 抗体及び31H4 抗体との相互作用界面の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基(コア残基)である。LDLR のEGFa ドメインとの相互作用界面の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基(コア残基)又はLDLR のEGFa ドメインとの相互作用界面の境界PCSK9 アミノ酸残基のいずれかの残基と相互作用し、又は遮断する抗体は、PCSK9/LDLR 相互作用の阻害のために有用であり得る(【0433】、【0434】、【0437】(以上、実施例29)、【0438】~【0440】、【0443】(以上、実施例30)、図19A)。 【図19A】 また、実施例30 から得られた三次複合体(PCSK9/31H4/21B12、図19A)の構造をPCSK9/EGFa ドメイン構造(実施例28、図17)上に重ね合わせた結果が図20A である。この図が示すように、21B12 抗体及び31H4 抗体のいずれも、LDLRのEGFa ドメインの位置と CSK9/EGFa ドメイン構造(実施例28、図17)上に重ね合わせた結果が図20A である。この図が示すように、21B12 抗体及び31H4 抗体のいずれも、LDLRのEGFa ドメインの位置と部分的に重複し、PCSK9 へのその結合を立体的に妨害 する(【0444】(実施例31)、図20A)。 【図20A】 他方、LDLR のEGFa ドメインとの相互作用界面の15 個の特異的コアPCSK9アミノ酸残基(コア残基。S153、I154、P155、R194、D238、A239、I369、S372、D374、C375、T377、C378、F379、V380 及びS381。以下「PCSK9 のコア残基」 という。結合部位対照表の「PCSK9 結合部位」欄参照)は、21B12 抗体との相互作用界面の20 個の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基(コア残基)とは6 アミノ酸残基が、31H4 抗体との相互作用界面の32 個の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基(コア残基)とは3 アミノ酸残基が、それぞれ共通している(結合部位対照表の「21B12」欄と「31H4」欄の紺色で塗りつぶされたセル(■)参照)。また、EGFa ドメインへの結合に関与し、かつ、抗原結合タンパク質(21B12 抗体又は31H4 抗体)が結合する領域に近い残基は、LDLR へのPCSK9 の結合を操作するのに有用であり得る(【0446】、【0447】、表12)。 エ参照抗体と「競合」するモノクローナル抗体は、PCSK9 への参照抗体の結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)抗体である(【0138】、【0140】、【0261】、 【0262】、【0269】)。 オ PCSK9 に対する中和 SK9 への参照抗体の結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)抗体である(【0138】、【0140】、【0261】、 【0262】、【0269】)。 オ PCSK9 に対する中和ABP(抗体)は、PCSK9 とLDLR との結合を中和し、LDLR の量を増加させることにより、対象中のLDL の量を低下させ、対象中の血清コレステロールの低下をもたらす効果を奏し、また、この効果により、高コレステロール血症等の上昇したコレステロールレベルが関連する疾患を治療し、又は予 防し、疾患のリスクを低減することができるので、治療的に有用であり得る(【0155】、【0270】、【0271】、【0276】)。 (2) 本件発明の概要本件明細書の上記開示事項によれば、本件発明は、LDLR タンパク質の量を増加させることにより、対象中のLDL の量を低下させ、対象中の血清コレステロール の低下をもたらす効果を奏し、また、この効果により、高コレステロール血症等の上昇したコレステロールレベルが関連する疾患を治療し、又は予防し、疾患のリスクを低減すること、そのために、LDLR タンパク質と結合することにより、対象中のLDLR タンパク質の量を減少させ、LDL の量を増加させるPCSK9 とLDLR タンパク質との結合を中和する抗体又はこれを含む医薬組成物を提供することを課題 とした上で、PCSK9 はLDLR のEGFa ドメインに結合すること、及び、参照抗体 は、結晶構造上、LDLR のEGFa ドメインの位置と部分的に重複する位置でPCSK9とLDLR タンパク質の結合を立体的に妨害し、その結合を強く遮断する中和抗体であり、参照抗体と「競合」するモノクローナル抗体は、PCSK9 への参照抗体の結合を妨げ、又 に重複する位置でPCSK9とLDLR タンパク質の結合を立体的に妨害し、その結合を強く遮断する中和抗体であり、参照抗体と「競合」するモノクローナル抗体は、PCSK9 への参照抗体の結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)抗体であることを明らかにするものである。 (3) 「中和」の意味本件発明における「中和」の意味について、本件明細書には、以下の記載がある。 ・「『中和抗原結合タンパク質』又は『中和抗体』という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的効果を妨げ、又は低下させる、それぞれ、抗原結合タンパク質又は抗体を表す。これは、例えば、リガンド上の結合部位を直接封鎖する ことによって、又はリガンドに結合し、間接的な手段(リガンド中の構造的又はエネルギー的変化など)を通じて、リガンドの結合能を変化させることによって行うことができる。」(【0138】)・「本明細書中に提供されている抗原結合タンパク質は、PCSK9 とLDLR 間の相互作用を妨害し、遮断し、低下させ、又は調節することができる。このような抗原 結合タンパク質は、『中和』と表される。…中和ABP は、PCSK9 がLDLR に結合するのを妨げる位置及び/又は様式で、PCSK9 に結合する。このようなABP は、『競合的に中和する』ABP と特に記載することができる。」(【0155】)これらの記載に鑑みると、本件発明における「中和」とは、PCSK9 のLDLR タンパク質結合部位を直接封鎖することによって、又は、PCSK9 に結合し、間接的な 手段(リガンド中の構造的又はエネルギー的変化等)を通じてLDLR タンパク質に対するPCSK9 の結合能を変化させることによって、PCSK9 とLDLR タンパク質の間の相互作用を妨害し、遮 手段(リガンド中の構造的又はエネルギー的変化等)を通じてLDLR タンパク質に対するPCSK9 の結合能を変化させることによって、PCSK9 とLDLR タンパク質の間の相互作用を妨害し、遮断し、低下させ、又は調節することを意味するものと解される。 (4) 「競合」の意味 本件発明における「競合」の意味について、本件明細書には、以下の記載がある。 ・「同じエピトープに対して競合する抗原タンパク質(例えば…中和抗体)という文脈において使用される場合の『競合する』という用語は、検査されている抗原結合タンパク質(例えば、抗体又は免疫学的に機能的なその断片)が共通の抗原(例えば、PCSK9 又はその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンド又は参照抗体)の特異的結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)アッセイに よって測定された抗原結合タンパク質間の競合を意味する。…競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)には、基準抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質及び立体的妨害が生じるのに、基準抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。」 (【0140】)・「競合する抗原結合タンパク質…PCSK9 への特異的結合に関して、本明細書中に記載されているエピトープに結合する例示された抗体又は機能的断片の1 つと競合する抗原結合タンパク質が提供される。このような抗原結合タンパク質は、本明細書中に例示されている抗原結合タンパク質の1 つと同じエピトープ又は重複する エピトープにも結合し得る。」(【0269】)これらの記載に鑑みると、本件発明における参照抗体との 質は、本明細書中に例示されている抗原結合タンパク質の1 つと同じエピトープ又は重複する エピトープにも結合し得る。」(【0269】)これらの記載に鑑みると、本件発明における参照抗体との「競合」とは、参照抗体がPCSK9 と結合する部位と同一もしくは重複するPCSK9 上の部位に結合して、又は、参照抗体がPCSK9 と結合する部位に近接した部位に結合し、参照抗体とPCSK9 との結合を立体的に妨害して、参照抗体の特異的結合を妨げ、又は阻害する (例えば、低下させる)ことを意味するものと解される。 (5) 「EGFa ミミック抗体」についてア証拠(甲2、4、乙4、50)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 本件発明の発明者の1 人は、本件特許の優先日から約5 年後、出願日から約4 年 後の2012 年(平成24 年)の電子メール(以下「本件メール」という。)に、「我々 は、現在、EGFa ミミック抗体を取得できていない、しかし、ファイザーは有しているから、それは可能なはずである〔(RN316)〕…EGFa ミミック抗体は、我々が現在有する抗体の2 つの一部重複するエピトープのちょうど中間に位置することから、EGFa ミミック抗体を見つけることは一筋縄ではいかないだろう。」と記載していた。また、原告が2012 年(平成24 年)に作成した資料には、次の「Conceptual EpitopeSpace(概念的なエピトープスペース)」と題する図(以下「本件プレゼンテーション資料」という。)が含まれている。これには、21B12 抗体及び31H4 抗体を示す各楕円形の中間に’MissingEpitope…’(見つからないエピトープ)との記載がある。 前記((1)ウ) )が含まれている。これには、21B12 抗体及び31H4 抗体を示す各楕円形の中間に’MissingEpitope…’(見つからないエピトープ)との記載がある。 前記((1)ウ)のとおり、15 個のPCSK9 のコア残基、すなわちLDLR のEGFaドメインとの相互作用界面の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基(S153、I154、P155、R194、D238、A239、I369、S372、D374、C375、T377、C378、F379、V380 及 びS381)と相互作用し、又は遮断する抗体は、PCSK9/LDLR 相互作用の阻害のために有用であり得る。本件明細書の各実施例抗体と、それらが認識し、結合するPCSK9 のコア残基との対応関係は、結合部位対照表のとおりである。なお、同表中に「アムジェンの抗体」と示される抗体が本件明細書記載の各実施例抗体である。 また、同表の「J16」は、ファイザー社の抗体であり、本件メールに「RN316」、本 件プレゼンテーション資料に「J16」と記載されているものと同一の抗体である(以下「J16 抗体」という。)。 イ 「EGFa ミミック抗体」の意味上記アのとおり、「EGFa ミミック抗体」なる語は、本件発明の発明者自身が使用したものである。そこで、その意味について検討する。 (ア) 「EGFa ミミック抗体」との用語は、「ミミック(mimic)」の語義(「模倣する」、「擬態する」等)に照らせば、「模倣」ないし「擬態」といい得る程度に、LDLRのEGFa ドメインが結合する部位であるPCSK9 の表面上のアミノ酸を多く認識する抗体を意味するものと理解できる。 (イ) 本件発明の発明者は、本件メールにおいて、EGFa ミミック抗体は、原告が 有する2 が結合する部位であるPCSK9 の表面上のアミノ酸を多く認識する抗体を意味するものと理解できる。 (イ) 本件発明の発明者は、本件メールにおいて、EGFa ミミック抗体は、原告が 有する2 つの抗体(21B12 抗体及び31H4 抗体)の一部重複するエピトープのちょうど中間に位置するとしている。原告が作成した本件プレゼンテーション資料においても、PCSK9 に結合する21B12 抗体と31H4 抗体の間の、「EGFa」と記載されたPCSK9 上のスペースが「見つからないエピトープ」とされ、当該部分にJ16 抗体が結合した図が示されている。また、「エピトープ」につき、本件明細書には、「エ ピトープは、その抗原を標的とする抗原結合タンパク質によって結合される抗原の領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗原結合タンパク質に直接接触する特定のアミノ酸を含む。」との記載がある(【0142】)。これらの事情を踏まえると、原告は、「EGFa ミミック抗体」につき、「見つからないエピトープ」とされている特定の結合部位に結合する抗体を示す意味で用いていたものと理解される。 加えて、本件メール及び本件プレゼンテーション資料によれば、原告は、J16 抗 体をEGFa ミミック抗体と認識していたとみられるところ、結合部位対照表によれば、同抗体は、15 個のPCSK9 のコア残基のうち14 個を認識する抗体である。 そうすると、本件発明の発明者を始めとする原告側において、「EGFa ミミック抗体」の語は、15 個のPCSK9 のコア残基の大部分を認識する、すなわち、LDLR のEGFa ドメインが結合する部位であるPCSK9 表面上の各アミノ酸を覆うように直 接的に結合する抗体を意味するものとして使用されていたことがう ア残基の大部分を認識する、すなわち、LDLR のEGFa ドメインが結合する部位であるPCSK9 表面上の各アミノ酸を覆うように直 接的に結合する抗体を意味するものとして使用されていたことがうかがわれる。 (ウ) これらの事情を総合的に考慮すると、「EGFa ミミック抗体」とは、15 個のPCSK9 のコア残基の大部分を認識する結合中和抗体を意味するものと理解される。 (エ) これに対し、原告は、EGFa ミミック抗体は21B12 抗体と31H4 抗体の両方と競合する抗体を指すとか、9C9 抗体がEGFa ミミック抗体であるかのような主 張をする。 しかし、原告は、本件メールにおいて「EGFa ミミック抗体」をいかなる文脈において用いていたのか明らかにしない。その点を措くとしても、21B12 抗体と31H4抗体の両方と競合する抗体も9C9 抗体も本件明細書に記載されているところ(【0138】、実施例37、【表17】、【0494】)、これらがEGFa ミミック抗体であると すれば、本件発明の発明者が、本件特許の出願日から約4 年後に、本件メールにおいて、EGFa ミミック抗体を取得できていないとしていることとおよそ整合しない。 なお、原告は、甲55 文献では「ミミック」は抗体自体の立体構造に対して向けられており、これがLDLR のEGFa ドメインと似ているかどうかという観点で記述されているから、「ミミック」という用語がPCSK9 上で抗体がいくつのアミノ酸を 認識するかという意味で用いられてはいないと主張する。 甲55 文献は、2010 年(平成22 年)に公表された文献であり、結合部位対照表にも記載のある1D05 抗体について記載されている。 同文献には、「我々は、PCSK9 にナノモルの親和性で結合す 文献は、2010 年(平成22 年)に公表された文献であり、結合部位対照表にも記載のある1D05 抗体について記載されている。 同文献には、「我々は、PCSK9 にナノモルの親和性で結合するフラグメント抗原結合型(Fab)1D05 を同定した。この完全ヒト型抗体1D05-IgG2 は、野生型PCSK9 及び2 つの機能獲得型ヒトPCSK9 変異体(S127R 及びD374Y)の阻害作用を完 全に遮断する。PCSK9 に結合した1D05-Fab の結晶構造から、1D05-Fab はLDLrEGF(A)結合部位全体を含むPCSK9 触媒ドメインのエピトープに結合することが明らかとなった。また、1D05-Fab のCDR-H3 及びCDR-H2 ループは、LDLr のEGF(A)ドメインを構造的にミミックしていることが注目される。」、「PCSK9/1D05とPCSK9/EGF(A)の構造(12,27)の重ね合わせから、1D05 のCDR-H3 はヘアピン 構造をとり、構造的にEGF(A)の2 つのβ 鎖…をミミックしている。」、「残基Gly50-Gly56 からなるCDR-H2 ループの先端は、構造的にEGF(A)のヘリカルターン(残基Gly293-Asp299)をミミックしている。」との記載がある。これらの記載は、「ミミック」の語につき、抗体の立体構造に着目して使用しているものとも理解し得る。 しかし、他方で、「PCSK9ΔC/1D05 複合体において無秩序であるSer153 及び Ile154 を除いて、EGF(A)と接触するPCSK9 のすべてのアミノ酸も1D05 と相互作用する。以上のように、構造的分析は、1D05 がPCSK9 との相互作用においてLDLr のEGF(A)ドメインを構造的にミミ GF(A)と接触するPCSK9 のすべてのアミノ酸も1D05 と相互作用する。以上のように、構造的分析は、1D05 がPCSK9 との相互作用においてLDLr のEGF(A)ドメインを構造的にミミックし、その結果、PCSK9 が受容体に結合するのを立体的に防止することによりPCSK9 を阻害することを明らかにした。」と、PCSK9 のコア残基に着目しているかのような、1D05 抗体が15 個のPCSK9 のコア残基のうち13 個を認識する(相互作用する)旨の記載もある。また、上記(イ)のとおり、原告は、EGFa ミミック抗体の語を、構造的類似性ではなく特定の結合部位に結合する抗体を示す観点で使用していたものである。 したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。 (6) EGFa ミミック抗体が本件発明に含まれること EGFa ミミック抗体とは、15 個のPCSK9 のコア残基の大部分を認識する結合中和抗体である(前記(5)イ(ウ))。また、本件発明における「中和」とは、PCSK9 のLDLR タンパク質結合部位を直接封鎖することによって、PCSK9 とLDLR タンパク質の間の相互作用を妨害し、遮断し、低下させ、又は調節することを含む意味である(前記(3))。さらに、参照抗体との「競合」とは、参照抗体がPCSK9 と結合す る部位と同一又は重複するPCSK9 上の部位に結合して、参照抗体の特異的結合を 妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)ことを含む意味である(前記(4))。 結合部位対照表によれば、15 個のPCSK9 のコア残基の大部分を認識するEGFaミミック抗体は、参照抗体である21B12 抗体及び31H4 抗体のいずれに対する関係でも、同各抗体が結合するPCSK9 のコア残基と れば、15 個のPCSK9 のコア残基の大部分を認識するEGFaミミック抗体は、参照抗体である21B12 抗体及び31H4 抗体のいずれに対する関係でも、同各抗体が結合するPCSK9 のコア残基と同一又は重複する部位に結合し、参照抗体の特異的結合を妨げ、又は阻害すると共に、LDLR タンパク質結合部位を 直接封鎖して、PCSK9 とLDLR タンパク質の間の相互作用を妨害等するものといえる。 したがって、EGFa ミミック抗体は本件発明に含まれる。 (7) サポート要件違反及び実施可能要件違反の有無ア本件明細書には、本件発明に関し、前記各認定の記載に加え、次の事項が記 載されている。 (ア) PCSK9 に対する抗体を作製するためにXenoMouse(R)マウスの2 つのグループを使用し、表3 の免疫化プログラムのスケジュールに従って免疫化マウスを作製し、PCSK9 に対して特異的な抗体を産生するマウス(10 匹)を選択し、脾臓及びリンパ節から脾細胞及びリンパ球を単離した。(【0312】~【0314】(実施例1)、 【0320】、【0321】)(イ) 上記(ア)で選択したマウスのリンパ系組織からB 細胞を解離させ、非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653 細胞と混合し、融合された細胞を遠心沈降させる等の手順を経て、PCSK9 に対する抗原結合タンパク質を産生するハイブリドーマを作製した。 (【0322】~【0324】(実施例2)) (ウ) ニュートラビジンで被覆したプレートに結合させたV5 タグを持たないビオチン化されたPCSK9 を捕捉試料とするELISA による一次スクリーニングを行い、これによって合計3104 の抗原(野生型PCSK9)特異的ハイブリドーマを得た。 (【0325】~【0328】) ン化されたPCSK9 を捕捉試料とするELISA による一次スクリーニングを行い、これによって合計3104 の抗原(野生型PCSK9)特異的ハイブリドーマを得た。 (【0325】~【0328】)安定なハイブリドーマが確立されたことを確認するために、野生型PCSK9 の結 合に関して上記の合計3000 の陽性を再スクリーニングして合計2441 の陽性を第2 のスクリーニング(確認用スクリーニング)で反復し、次いで、抗体がヒト及びマウスの両方に結合することを確認するために「マウス交叉反応スクリーニング」を行い、579 抗体がマウスPCSK9 と交叉反応することを確認した。 (【0329】、【0330】)捕捉試料としてLDLR を結合させたプレートに、ハイブリドーマ枯渇上清と、LDLR に対して高い結合親和性を有するビオチン化されたD374YPCSK9 変異体を 移し、LDLR に結合されたビオチン化されたD374Y 変異体をストレプトアビジンHRP を用いて検出するスクリーニング(大規模受容体リガンド遮断スクリーニング)を行い、PCSK9 とLDLR ウェル間での相互作用を遮断する384 の抗体を同定し、うち100 の抗体は、PCSK9 とLDLR の結合相互作用を90%超阻害することを確認した。(【0332】) 次いで、第1 の大規模受容体リガンド遮断スクリーニングにおいて同定された中和物質384 に対してD374Y 変異体を用いて受容体リガンドアッセイを反復し、90%を超えてD374Y 変異体とLDLR 間の相互作用を遮断する85 の抗体を同定した。 (【0333】、【0334】(以上、実施例3))(エ) これらのアッセイ(スクリーニング)に基づいて同定されたPCSK9 との所 望の相互 間の相互作用を遮断する85 の抗体を同定した。 (【0333】、【0334】(以上、実施例3))(エ) これらのアッセイ(スクリーニング)に基づいて同定されたPCSK9 との所 望の相互作用を有する抗体を産生するハイブリドーマから産生される21B12 抗体及び31H4 抗体(参照抗体)は、PCSK9 とLDLR との結合を強く遮断する中和抗体である。(【0138】、【0377】~【0379】(実施例11)、表2)(オ) 第1 の抗体(2µg/mL)で被覆し、3%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックしたELISA プレート上にビオチン化されたヒトPCSK9(30ng/mL)を第2 の抗 体と共に適用して洗浄後、同じ結合特性を有する抗体を同じエピトープビンにグループ分けした結果は、表8.3 のとおりであり、21B12 抗体はビン1 に、31H4 抗体はビン3 にグループ分けされた。(【0373】、【0374】(実施例10)、表8.3)次いで、ヒトIgG 捕捉抗体で被覆されたビーズコートを1%BSA を加えたリン酸緩衝化生理食塩水(PBSA)で3 回洗浄して2µg/mL の抗PCSK9 抗体を加えPBSA で3 回洗浄した後に2µg/mL のPCSK9 を添加し、さらに2µg/mL の抗PCSK9 抗 体を添加してビニングを行って、競合する抗体を同定した結果が表37.1 のとおりであり、ビン1(21B12 抗体と競合する)及びビン3(31H4 抗体と競合する)は互いに排他的であり、ビン2 はビン1 及びビン3 と競合し、ビン4 はビン1 及びビン 3 と競合しない。上記の結果によれば、ビン1(21B12 抗体と競合するが、31H4 抗体と競合しないもの)が19 個、ビン2(21B12 抗体と31H4 抗体 と競合し、ビン4 はビン1 及びビン 3 と競合しない。上記の結果によれば、ビン1(21B12 抗体と競合するが、31H4 抗体と競合しないもの)が19 個、ビン2(21B12 抗体と31H4 抗体のいずれとも競 合するもの)が3 個、ビン3(31H4 抗体と競合するが21B12 抗体と競合しないもの)が10 個である。そして、ビン1 に含まれる抗体のうち16 個は、表2 に掲げられた抗体であり、そのうち27B2 抗体を除く15 個は中和抗体であること、ビン3 に含まれる抗体のうち7 個は、表2 に掲げられた抗体であり、中和抗体であることが確認されている。また、ビン2 に含まれる抗体のうち2 個(27B2 抗体)は、表2 に掲げられた抗体であり、非中和抗体であることが確認されており、残りの1 個(12H11 抗体)は、表2 に掲げられておらず、結合中和抗体であるのか明らかではない。ビンのそれぞれの中の抗体は、PCSK9 上のエピトープ位置の異なる種類の代表であり、それらの幾つかは互いに重複する。(【0138】、【0489】~【0495】(実施例37)、表2、表37.1) (カ) ヒトPCSK9 を発現する遺伝子組み換えマウスに21B12 抗体及び31H4 抗体の10mg/kg 又は30mg/kg のいずれかの単回大量瞬時注射を行った結果、対照マウスと比較して、21B12 抗体及び31H4 抗体はいずれも投与後最大48 時間(48 時間を含む)著しいLDL-コレステロール低下を示した。(【0422】、【0423】(実施例26)) イ本件発明は、LDLR タンパク質の量を増加させることにより、対象中のLDLの量を低下させ、対象中の血清コレステロールの低下をもたらす効果を奏し、また、この効果により、高コレステロール イ本件発明は、LDLR タンパク質の量を増加させることにより、対象中のLDLの量を低下させ、対象中の血清コレステロールの低下をもたらす効果を奏し、また、この効果により、高コレステロール血症等の上昇したコレステロールレベルが関連する疾患を治療し、又は予防し、疾患のリスクを低減すること、そのために、LDLRタンパク質と結合することにより、対象中のLDLR タンパク質の量を減少させ、 LDL の量を増加させるPCSK9 とLDLR タンパク質との結合を中和する抗体又は これを含む医薬組成物を提供することを課題とするものである(前記(2))。 また、前記(1)及び上記アによれば、本件明細書には、実施例抗体の作製方法として、免疫プログラムの手順及びスケジュールに従った免疫化マウスの作製、免疫化マウスを使用したハイブリドーマの作製、参照抗体と競合する、PCSK9-LDLR との結合を遮断する抗体を同定するためのスクリーニング及びエピトープビニングア ッセイの方法が記載されている。 ところで、EGFa ミミック抗体とは、15 個のPCSK9 のコア残基の大部分を認識する結合中和抗体である。本件明細書の記載によれば、参照抗体である21B12 抗体はそのうち6 個のアミノ酸残基を、31H4 抗体はそのうち3 個のアミノ酸残基を認識するに過ぎないから(前記(1)ウ)、参照抗体はいずれもEGFa ミミック抗体では ない。また、結合部位対照表に記載されている本件明細書の各実施例抗体は、最大でも8 個のアミノ酸残基を認識するにとどまるから(1A12 抗体)、これらはいずれもEGFa ミミック抗体とはいえない。他に本件明細書の各実施例抗体がEGFa ミミック抗体であることを認めるに足りる証拠はない。そうすると、本件明細 にとどまるから(1A12 抗体)、これらはいずれもEGFa ミミック抗体とはいえない。他に本件明細書の各実施例抗体がEGFa ミミック抗体であることを認めるに足りる証拠はない。そうすると、本件明細書には、EGFa ミミック抗体が取得できたことが記載されているとはいえない。 当業者が、本件明細書の記載に基づき、一連の手順を最初から繰り返し行うことによって、本件明細書に具体的に記載された参照抗体と競合する中和抗体(ビン1に含まれる21B12 抗体と競合する15 個の抗体、ビン3 に含まれる31H4 抗体と競合する7 個の抗体)以外に、参照抗体と競合する中和抗体を作製できると仮定しても、A教授の第2 鑑定書(乙43)では、「特定のマウスが特定の抗体を生成するか どうかは運に支配されるため、候補となり得る抗体を全て生成しスクリーニングすることは不可能である」とされるところ、この点につき疑義を抱くべき合理的な事情は見当たらない。そうすると、本件明細書記載の抗体の作製過程を経たとしても、免疫化されたマウスの中でPCSK9 のどの位置に結合する抗体が得られるかは「運に支配される」ものといえることになる。しかるに、EGFa ミミック抗体を含め、 特定の位置に結合する抗体を作製する方法が本件特許の出願時における技術常識で あったことを認めるに足りる証拠はない。 これらの事情を踏まえると、本件明細書に記載された抗体の作製方法に関する記載をもって、本件明細書の発明の詳細な説明が、本件発明に含まれるEGFa ミミック抗体を当業者が作製できるように記載されているということも、また、本件発明に含まれるEGFa ミミック抗体が本件明細書の発明の詳細な説明に記載されてい るということもできない。 そもそも、原告は、本件特 が作製できるように記載されているということも、また、本件発明に含まれるEGFa ミミック抗体が本件明細書の発明の詳細な説明に記載されてい るということもできない。 そもそも、原告は、本件特許の出願日から約4 年後の2012 年(平成24 年)に至っても、EGFa ミミック抗体を取得できていないことを自認している上、EGFa ミミック抗体を見つけることは一筋縄ではいかないだろうと述べている(前記(5)ア)。 このように、EGFa ミミック抗体は、特許権者が本件出願日の後にあっても取得で きておらず、取得困難と認識している抗体である。 以上によれば、本件明細書にはEGFa ミミック抗体及びその具体的な作製方法は記載されておらず、当業者において、本件明細書の記載及び本件特許出願当時の技術常識によっては、これを作製できないものと認められる。 したがって、本件発明は、いずれも発明の詳細な説明に記載されたものとはいえ ず、また、発明の詳細な説明が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものともいえない。すなわち、本件特許は、サポート要件及び実施可能要件に違反し、特許無効審判により無効にされるべきものである。 ウ原告の主張について (ア) 原告は、本件優先日又は出願日には、EGFa ドメインを模倣する抗体という概念も、EGFa ミミック抗体と称する抗体を取得しようという課題も存在せず、我が国の特許制度においては、出願時に存在しない課題について解決手段を提供することまでは求められていないから、出願時に課題として認識されたことのないEGFaミミック抗体が本件明細書に記載されていないとして、サポート要件及び実施可能 要件違反とすることはできな 提供することまでは求められていないから、出願時に課題として認識されたことのないEGFaミミック抗体が本件明細書に記載されていないとして、サポート要件及び実施可能 要件違反とすることはできない旨を主張する。 しかし、原告の主張を前提としても、EGFa ミミック抗体の作製という将来解決すべき課題及びその課題解決手段の構成について、本件明細書に記載されておらず、公開されたものといえないにもかかわらず、特許発明として保護することは、発明を公開した代償として特許権を付与するとの特許制度の趣旨・目的に適合せず、相当でない。特許権者である原告でさえも本件発明に含まれるEGFa ミミック抗体を 取得できない状況にあったことを踏まえると尚更である。 (イ) 原告は、被告がEGFa ミミック抗体と称するアリロクマブは、原告が21B12抗体に基づいて開発したエボロクマブと同等の作用効果しか示さず、本件発明の課題の解決において、「大部分のアミノ酸を認識」という技術事項には技術的意義が認められない旨をも主張する。 しかし、LDLR のEGFa ドメインを模倣するように、15 個のPCSK9 のコア残基を多く認識し結合する抗体の方が、完全適合に近くなり、PCSK9 のLDLR 結合部位を広く覆う形で結合することになるものといえ、PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を立体的に妨害し、その結合を強く遮断すること、すなわち、PCSK9 とLDLRタンパク質の結合を中和する能力が高くなることが期待できる。また、PCSK9 のコ ア残基との結合の数が多ければ、PCSK9 と抗体との間の総合的な結合力も強くなり、PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和する能力が高くなることが期待できる。このように、抗体と抗原の関係を論 ア残基との結合の数が多ければ、PCSK9 と抗体との間の総合的な結合力も強くなり、PCSK9 とLDLR タンパク質の結合を中和する能力が高くなることが期待できる。このように、抗体と抗原の関係を論理的にみて、EGFa ミミック抗体は、PCSK9とLDLR タンパク質の結合中和活性において、より有利であると考えられる。 また、21B12 抗体は、本件発明の抗体そのものではなく、参照抗体であるにとど まる。本件発明には多種多様な抗体が含まれるところ、本件明細書では9C9 抗体や3B6 抗体が「弱い中和物質」とされていること(【0138】)からもうかがわれるとおり、本件発明に含まれる抗体全てが参照抗体と同等の作用効果を有するわけではない。このため、21B12 抗体とアリロクマブ(316P 抗体)の比較に基づきEGFa ミミック抗体の技術的意義を論じることの意義は乏しい。そもそも、本件メール及び 本件プレゼンテーション資料によれば、原告もEGFa ミミック抗体を探求していた とみられるのであり、そのことからも、EGFa ミミック抗体には十分な技術的意義があることがうかがわれる。 (ウ) さらに、原告は、被告がEGFa ミミック抗体と称するアリロクマブは、本件優先日当時から用いられていた一般的な手法により、本件明細書に完全に依拠して作成されたものであり、EGFa ミミック抗体が本件明細書の記載から取得できない とはいえない旨をも主張する。 しかし、原告は、本件特許の出願日から約4 年後の2012 年(平成24 年)に至っても、EGFa ミミック抗体を取得できていないことを自認している上、EGFa ミミック抗体を見つけることは一筋縄ではいかないだろうと述べており、この点のみをもってしても、EGFa ミミック抗体の ても、EGFa ミミック抗体を取得できていないことを自認している上、EGFa ミミック抗体を見つけることは一筋縄ではいかないだろうと述べており、この点のみをもってしても、EGFa ミミック抗体の具体的な作製方法が本件明細書に記載されて いるとはいい難く、また、本件優先日及び出願日当時の技術常識であったともいえない。被告が、EGFa ミミック抗体であるアリロクマブ(316P 抗体)の産生に当たり本件優先日前から用いられていた一般的な手法を用いていたとしても、「特定のマウスが特定の抗体を生成するかどうかは運に支配されるため、候補となり得る抗体を全て生成しスクリーニングすることは不可能」なものと考えられる以上(前記 イ)、そのことをもって、EGFa ミミック抗体を作製する具体的な方法が本件優先日及び出願日当時の技術常識として確立していたことを示すものとはいえない。 さらに、証拠(甲8、乙35)及び弁論の全趣旨によれば、316P 抗体は、リジェネロンが取得した特許の特許請求の範囲に記載されたものであるところ、本件明細書の公開(2009 年(平成21 年)2 月26 日)前であるその第1 基礎出願(出願日 2008 年(平成20 年)12 月15 日)において、試験された抗体の中で最も優れた結合中和活性を示したものと記載されている。このような出願の経緯を踏まえれば、316P 抗体が本件明細書に依拠して作成されたものとはいえず、他にこれを認めるに足りる証拠もない。 (エ) その他原告が縷々主張する点を踏まえても、サポート要件及び実施可能要件 違反に関する原告の主張は採用できない。 (8) 小括以上のとおり、本件特許は、サポート要件及び実施可能要件に違反し、特許法36条6 項1 号及び同条4 項1 能要件 違反に関する原告の主張は採用できない。 (8) 小括以上のとおり、本件特許は、サポート要件及び実施可能要件に違反し、特許法36条6 項1 号及び同条4 項1 号所定の要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123 条1項4 号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使することができない(同法104 条 の3 第1 項)。 2 訂正の再抗弁の成否(争点2-1-2)について原告は、訂正の再抗弁を主張する。 しかし、この再抗弁は、仮に本件無効理由1 及び2 があるとした場合(本件発明に、参照抗体がPCSK9 と結合する部位と異なり、かつ、結晶構造上、抗体がLDLR のEGFa ドメインの位置とも異なる部位に結合し、参照抗体に軽微な立体的障害をもたらして、参照抗体のPCSK9 への特異的結合を妨げ、又は阻害する(例えば、低下させる)もの等も含まれ得ることを理由として、本件特許がサポート要件違反により無効にされるべきものである場合)を前提とするものである。本件特許は、本件発明にはEGFa ミミック抗体が含まれると解されるところ、本件明細書に記載 された抗体の作製方法に関する記載をもって、本件明細書の発明の詳細な説明が、本件発明に含まれるEGFa ミミック抗体を当業者が作製できるように記載されているということも、また、本件発明に含まれるEGFa ミミック抗体が本件明細書の発明の詳細な説明に記載されているということもできないことにより、サポート要件及び実施可能要件違反を理由として特許無効審判により無効にされるべきものと 考えられるものである。このため、本件発明からEGFa ミミック抗体が除外されない限り上記無効理由が り、サポート要件及び実施可能要件違反を理由として特許無効審判により無効にされるべきものと 考えられるものである。このため、本件発明からEGFa ミミック抗体が除外されない限り上記無効理由が解消されることはないところ、原告の訂正の再抗弁が前提とする本件無効理由1 及び2 はこれとは異なるものであり、本件再訂正の内容を見ても、本件発明からEGFa ミミック抗体を除外するものとはいえない。 そもそも、被告製品に含まれるアリロクマブはEGFa ミミック抗体である。これ が本件再訂正発明の技術的範囲に属するとする原告の主張の趣旨に鑑みると、本件 再訂正が本件発明からEGFa ミミック抗体を除外する趣旨とも理解し得ない。 したがって、本件再訂正によってはサポート要件違反(及び実施可能要件違反)の無効理由は解消されておらず、訂正の再抗弁は成り立たない。この点に関する原告の主張は採用できない。 3 被告による無効理由の主張と信義則違反の有無(争点2-6)について 原告は、被告の親会社であるサノフィ社が、サポート要件違反及び実施可能要件違反等を理由に、本件特許につき特許無効審判を請求したが、別件審決取消訴訟を経て不成立審決が確定していることを踏まえ、特許法167 条の趣旨や前訴の存在に照らせば、被告が本訴においてサポート要件及び実施可能要件違反の無効理由の主張を行うこと自体紛争の蒸し返しであり、信義則に反して許されないと主張する。 しかし、本件において、被告は、EGFa ミミック抗体に係るサポート要件及び実施可能要件違反の無効理由の主張に当たり、前訴及び別件審決取消訴訟では提出されなかった本件メール及び本件プレゼンテーション資料に主に依拠している。被告又はサノフィ社において、これらの証拠を前訴又は別件審 能要件違反の無効理由の主張に当たり、前訴及び別件審決取消訴訟では提出されなかった本件メール及び本件プレゼンテーション資料に主に依拠している。被告又はサノフィ社において、これらの証拠を前訴又は別件審決取消訴訟の事実審の口頭弁論終結日以前に提出できたことをうかがわせる具体的な事情はないことに鑑み ると、この点に関する被告の主張をもって信義則に反して許されないとまではいえない。この点に関する原告の主張は採用できない。 4 まとめ以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告は、被告に対し、本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権を有しない。 第4 結論よって、原告の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官 小口五大 裁判官 久野雄平 (別紙1)物件目録 プラルエント®(英語名:Praluent®)以上 (別紙2)本件明細書の記載 1 発明の分野本発明は、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PCSK9) に結合する抗原結合タンパク質並びに該抗原結合タンパク質を使用及び作製する方法に関する。(【0002】) 2 背景技術プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PC K9) に結合する抗原結合タンパク質並びに該抗原結合タンパク質を使用及び作製する方法に関する。(【0002】) 2 背景技術プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PCSK9)は、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)タンパク質のレベルの制御に関与するセリンプロ テアーゼである(Hortonetal.、、2007;SeidahandPrat、、 2007)。インビトロ実験は、HepG2 細胞へのPCSK9 の添加は細胞表面LDLR のレベルを低下させることを示している(Benjannetetal.、、 2004;Lagaceetal.、、 2006;Maxwelletal.、、 2005;Parketal.、、 2004)。マウスを用いた実験は、PCSK9 タンパク質レベルを増加させることが肝臓中のLDLR タンパク質のレベルを減少させる (Benjannetetal.、、 2004;Lagaceetal.、、 2006;Maxwelletal.、、2005;Parketal.、、 2004)が、PCSK9 ノックアウトマウスは肝臓中のLDLR の増加したレベルを有する(Rashidetal.、、 2005)ことを示した。さらに、血漿LDL の増加又は減少したレベルの何れかをもたらす様々なヒトPCSK9 変異が同定されている(Kotowskietal.、、 2006;Zhaoetal.、、 2006)。PCSK9 は、LDLR タンパク質 と直接相互作用し、LDLR とともに細胞内に取り込まれ、エンドソーム経路全体を通じてLDLR と同時に免疫蛍光を発する(Lagaceetal.、、2006)ことが示されている。PCSK9 によるLDLR の し、LDLR とともに細胞内に取り込まれ、エンドソーム経路全体を通じてLDLR と同時に免疫蛍光を発する(Lagaceetal.、、2006)ことが示されている。PCSK9 によるLDLR の分解は観察されておらず、細胞外LDLR タンパク質レベルを低下させる機序は不明である。(【0003】) 3 発明を実施するための形態 当業者によって理解されるように、本発明の開示に照らせば、PCSK9 とLDLR の間の相互作用を変化させることは、LDL への結合に利用可能なLDLR の量を増加させ、続いて、これは、対象中の血清LDL の量を減少させ、対象の血清コレステロールレベルの低下をもたらす。従って、PCSK9 に対する抗原結合タンパク質は、上昇した血清コレステロールレベルを有する対象、上昇した血清コレステロールレベルのリスクを有する対象又は血清コレステロールレベルの低下が有益であり得る 対象を治療するための様々な方法及び組成物において使用することができる。従って、血清コレステロールの増加を低下させ、維持し、又は妨げるための様々な方法及び技術も、本明細書中に記載されている。幾つかの実施形態において、抗原結合タンパク質はPCSK9 とLDLR の間の結合を可能とするが、抗原結合タンパク質はLDLR に対するPCSK9 の有害な活性を妨げ、又は低下させる。幾つかの実施形態 において、抗原結合タンパク質は、LDLR へのPCSK9 の結合を妨げ、又は低下させる。(【0066】)「PCSK9 活性」という用語は、PCSK9 のあらゆる生物学的効果を含む。ある種の実施形態において、PCSK9 活性は、基質若しくは受容体と相互作用し、又は基質若しくは受容体に結合するPCSK9 の能力を含む。幾つかの実施形態にお CSK9 のあらゆる生物学的効果を含む。ある種の実施形態において、PCSK9 活性は、基質若しくは受容体と相互作用し、又は基質若しくは受容体に結合するPCSK9 の能力を含む。幾つかの実施形態において、 PCSK9 活性は、LDL 受容体(LDLR)に結合するPCSK9 の能力によって表される。幾つかの実施形態において、PCSK9 は、LDLR を含む反応に結合し、触媒する。幾つかの実施形態において、PCSK9 活性は、LDLR の利用可能性を変化させる(例えば、低下させる)PCSK9 の能力を含む。幾つかの実施形態において、PCSK9活性は、対象中のLDL の量を増加させるPCSK9 の能力を含む。幾つかの実施形態 において、PCSK9 活性は、LDL への結合に利用可能なLDLR の量を減少させるPCSK9 の能力を含む。幾つかの実施形態において、「PCSK9 活性」は、PCSK9 シグナル伝達から生じるあらゆる生物活性を含む。典型的な活性には、LDLR へのPCSK9 の結合、LDLR 又は他のタンパク質を切断するPCSK9 酵素活性・・・が含まれるが、これらに限定されない。(【0071】) 本明細書において使用される「抗原結合タンパク質」(「ABP」)は、特定された標 的抗原を結合するあらゆるタンパク質を意味する。本願において、特定された標的抗原は、PCSK9 タンパク質又はその断片である。「抗原結合タンパク質」には、抗体及びその結合部分(免疫学的に機能的な断片など)が含まれるが、これらに限定されない。ペプチボディは、抗原結合タンパク質の別の例である。本明細書において使用される抗体又は免疫グロブリン鎖(重鎖又は軽鎖)抗原結合タンパク質の「免 疫学的に機能的な断片」(又は単に「断片」)という 。ペプチボディは、抗原結合タンパク質の別の例である。本明細書において使用される抗体又は免疫グロブリン鎖(重鎖又は軽鎖)抗原結合タンパク質の「免 疫学的に機能的な断片」(又は単に「断片」)という用語は、完全長の鎖中に存在するアミノ酸の少なくとも幾つかを欠如するが、抗原になお特異的に結合することができる抗体の部分(当該部分がどのようにして取得され、又は合成されたかを問わない。)を含む抗原結合タンパク質の種である。このような断片は、標的抗原に結合し、あるエピトープへの結合に関して、完全な状態の抗体を含む他の抗原結合タン パク質と競合し得るという点で生物学的に活性を有する。幾つかの実施形態において、断片は、中和断片である。幾つかの実施形態において、断片は、LDLR とPCSK9の間の相互作用の可能性を遮断し、又は低下させることができる。一態様において、このような断片は、完全長の軽鎖又は重鎖中に存在する少なくとも1 つのCDR を保持し、幾つかの実施形態において、単一の重鎖及び/又は軽鎖又はその一部を含 む。・・・(【0109】)「抗原結合領域」は、特定の抗原(例えば、パラトープ)を特異的に結合するタンパク質又はタンパク質の一部を意味する。例えば、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に対して付与するアミノ酸残基を含有する抗原結合タンパク質のその部分は、「抗原結合領域」と称される。抗原結合 領域は、通例、1 つ又はそれ以上の「相補性結合領域」(「CDR」)を含む。ある種の抗原結合領域は、1 つ又はそれ以上の「フレームワーク」領域も含む。「CDR」は、抗原結合特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、CDR の適切な立体構造の維持を補助して、抗原結合領域と抗原 はそれ以上の「フレームワーク」領域も含む。「CDR」は、抗原結合特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、CDR の適切な立体構造の維持を補助して、抗原結合領域と抗原の間の結合を促進することができる。構造的には、フレームワーク領域は、抗体中においてCDR 間 に位置することができる。フレームワーク及びCDR 領域の例は、図2A から3D、 3CCC-JJJ 及び15A から15D に示されている。・・・(【0123】)可変領域は、3 つの超可変領域(相補性決定領域又はCDR とも称される。)によって連結された、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を典型的に呈する。各対の2 つの鎖から得られるCDR は、フレームワーク領域によって通例並列され、これにより、特異的なエピトープへの結合が可能となり得る。 N 末端からC 末端へ、軽鎖及び重鎖可変領域は何れも、通例、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3 及びFR4 を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、通例、免疫学的に関心が持たれるタンパク質のKabat 配列の定義(NationalInstitutesofHealth、、Bethesda、、 Md.(1987 and 1991))、又は「Chothia &Lesk、、 J.Mol.Biol.、、 196:901-917 (1987);Chothiaetal.、、 Nature、、 342: 878-883 (1989)」に従う。(【0127】)「軽鎖」という用語は、完全長の軽鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長軽鎖は、可変領域ドメイン、VL 及び定常領域ドメイン、CL (【0127】)「軽鎖」という用語は、完全長の軽鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長軽鎖は、可変領域ドメイン、VL 及び定常領域ドメイン、CL を含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端に位置する。軽鎖は、κ鎖及びλ鎖を含む。(【0132】) 「重鎖」という用語は、完全長の重鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長の重鎖は、可変領域ドメインVH 及び3つの定常領域ドメインCH1、CH2 及びCH3 を含む。VH ドメインはポリペプチドのアミノ末端に、及びCH ドメインはカルボキシル末端に位置し、CH3 がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3 及びIgG4 サブタイプを含む。)、IgA(IgA1 及びIgA2 サブタイプを含む。)、IgM 及びIgE などのあらゆるイソタイプのものであり得る。(【0133】)「中和抗原結合タンパク質」又は「中和抗体」という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的効果を妨げ、又は低下させる、それぞれ、抗原結合タンパク質又は抗体を表す。これは、例えば、リガンド上の結合部位を直接封鎖すること によって、又はリガンドに結合し、間接的な手段(リガンド中の構造的又はエネル ギー的変化など)を通じて、リガンドの結合能を変化させることによって行うことができる。幾つかの実施形態において、この用語は、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を発揮するのを妨げる抗原結合タンパク質も表し得る。抗原結合タンパク質(例えば、抗体又は免疫学的に機能的なその断片)の結合及び/又は特異性を評価する際に、抗体の過剰が(インビト パク質が生物学的機能を発揮するのを妨げる抗原結合タンパク質も表し得る。抗原結合タンパク質(例えば、抗体又は免疫学的に機能的なその断片)の結合及び/又は特異性を評価する際に、抗体の過剰が(インビトロ競合的結合アッセイで使用された 場合に)少なくとも約1 から20、20 から30%、30 から40%、40 から50%、50 から60%、60 から70%、70 から80%、80 から85%、85 から90%、90 から95%、 95 から97%、97 から98%、98 から99%又はそれ以上、リガンドに結合された結合対の量を低下させるときに、抗体又は断片はその結合対へのリガンドの結合を大幅に阻害することができる。・・・幾つかの実施形態において、PCSK9 抗原結合タ ンパク質の場合には、このような中和分子は、PCSK9 がLDLR を結合する能力を低減させることができる。幾つかの実施形態において、競合アッセイを介して、中和能力を性質決定し、及び/又は記載する。・・・幾つかの実施形態において、ABP27B2、13H1、13B5 及び3C4 は、非中和ABP であり、3B6、9C9 及び31A4は弱い中和物質であり、表2 中の残りのABP は強い中和物質である。幾つかの実 施形態において、抗体又は抗原結合タンパク質は、PCSK9 へ結合し、PCSK9 がLDLR に結合するのを妨げる(又はPCSK9 がLDLR に結合する能力を低下させる)ことによって中和する。幾つかの実施形態において、抗体又はABP は、PCSK9に結合し、PCSK9 をLDLR へ結合させながら、LDLR のPCSK9 媒介性分解を妨げ、又は低下させることによって中和する。・・・(【0138】) 同じエピトープに対して競合する抗原結合タンパク質(例えば LDLR へ結合させながら、LDLR のPCSK9 媒介性分解を妨げ、又は低下させることによって中和する。・・・(【0138】) 同じエピトープに対して競合する抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質又は中和抗体)という文脈において使用される場合の「競合する」という用語は、検査されている抗原結合タンパク質(例えば、抗体又は免疫学的に機能的なその断片)が共通の抗原(例えば、PCSK9 又はその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンド又は参照抗体)の特異的結合を妨げ、又は阻害する(例 えば、低下させる)アッセイによって測定された抗原結合タンパク質間の競合を意 味する。ある抗原結合タンパク質が別の抗原結合タンパク質と競合するかどうかを決定するために、競合的結合アッセイの多数の種類、例えば、固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接又は間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahlietal、、 1983、、 MethodsinEnzymology 9:242-253 参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirklandetal、、 1986、、 J.Immunol.137:3614-3619 参照)、・・・固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung、、 etal.、、 1990、、 Virology 176:546-552 参照)・・・を使用することができる。典型的には、このようなアッセイは、これらの何れかを有する固体表面又はセルに結合された精製抗原、標識されていない検査抗原結合タンパク質及び標識された基準抗原結合タンパク質を使用することを含む。競合的阻 害は、検査抗原結合タンパク質の存在下で、固体 る固体表面又はセルに結合された精製抗原、標識されていない検査抗原結合タンパク質及び標識された基準抗原結合タンパク質を使用することを含む。競合的阻 害は、検査抗原結合タンパク質の存在下で、固体表面又はセルに結合された標識の量を測定することによって測定される。通常、検査抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)には、基準抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質及び立体的妨害が生じるのに、基準抗原結合タンパク質によって結合される エピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。・・・(【0140】)「エピトープ」という用語は、抗体又はT 細胞受容体などの抗原結合タンパク質によって結合され得るあらゆる決定基を含む。エピトープは、その抗原を標的とする抗原結合タンパク質によって結合される抗原の領域であり、抗原がタンパク質で ある場合、抗原結合タンパク質に直接接触する特定のアミノ酸を含む。最も頻繁には、エピトープはタンパク質上に存在するが、幾つかの事例では、核酸などの分子の他の種類上に存在することができる。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基を含むことができ、特異的な三次元構造の特徴及び/又は特異的な電荷的特長を有することができる。 一般に、特定の標的抗原に対して特異的な抗体は、タンパク質及び/又は高分子の 複雑な混合物中において、標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。 (【0142】)PCSK9 に対する抗原結合タンパク質プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PCSK9)は、低密度リポタンパク質 抗原上のエピトープを優先的に認識する。 (【0142】)PCSK9 に対する抗原結合タンパク質プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9 型(PCSK9)は、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)タンパク質のレベルの制御に関与しているセリンプロテアーゼである(Hortonetal、、 2007;SeidahandPrat、、 2007)。PCSK9 は、セリンプロテアーゼのスブチリシン(S8)ファミリーのプロホルモン-プロタンパク質コンベルターゼである(Seidahetal.、、2003)。・・・PCSK9 タンパク質の構造は、2 つのグループによって最近解決された・・・。PCSK9 は、シグナル配列、N 末端プロドメイン、スブチリシン様触媒ドメイン及びC 末端ドメインを含む。 (【0154】) ヒトPCSK9 を含むPCSK9 を結合する抗原結合タンパク質(ABP)は、本明細書中に記載されている。幾つかの実施形態において、提供される抗原結合タンパク質は、本明細書に記載されているように、1 つ又はそれ以上の相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチドである。同じ抗原結合タンパク質において、CDR は、CDR の適切な抗原結合特性が達成されるようにCDR を方向付ける「フレームワーク」領 域中に包埋されている。幾つかの実施形態において、本明細書中に提供されている抗原結合タンパク質は、PCSK9 とLDLR 間の相互作用を妨害し、遮断し、低下させ、又は調節することができる。このような抗原結合タンパク質は、「中和」と表される。幾つかの実施形態において、抗原結合タンパク質が中和性であり、PCSK9 に結合されている場合でさえ、PCSK9 とLDLR 間の結合はなお起こり得る。例えば、 幾つかの 「中和」と表される。幾つかの実施形態において、抗原結合タンパク質が中和性であり、PCSK9 に結合されている場合でさえ、PCSK9 とLDLR 間の結合はなお起こり得る。例えば、 幾つかの実施形態において、ABP は、PCSK9 上のLDLR 結合部位を封鎖することなく、LDLR に対するPCSK9 の悪影響を妨げ、又は低下させる。従って、幾つかの実施形態において、ABP は、PCSK9 とLDLR 間の結合相互作用を抑制する必要なしに、LDLR の分解をもたらすPCSK9 の能力を調節し、又は変化させる。このようなABP は、「非競合的に中和する」ABP と特に記載することができる。幾つか の実施形態において、中和ABP は、PCSK9 がLDLR に結合するのを妨げる位置及 び/又は様式で、PCSK9 に結合する。このようなABP は、「競合的に中和する」ABP と特に記載することができる。上記中和物質は何れも、対象中に存在している遊離のLDLR のより大きな量をもたらすことができ、これにより、LDL に結合しているより多くのLDLR がもたらされる(これにより、対象中のLDL の量を低下させる。)。続いて、これは、対象中に存在する血清コレステロールの量の低下をも たらす。(【0155】)提供されている抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域の幾つかの具体例及びそれらの対応するアミノ酸配列は表2 中に要約されている。(【0170】)【表2】(【0171】) 同じく、表2 に列記されている典型的な可変重鎖の各々は、抗体を形成するため に、表2 に示されている典型的な可変軽鎖の何れとも組み合わせることができる。 表2 は、本明細書中に開示されている抗体の幾つかの中に見出される典型的な 重鎖の各々は、抗体を形成するため に、表2 に示されている典型的な可変軽鎖の何れとも組み合わせることができる。 表2 は、本明細書中に開示されている抗体の幾つかの中に見出される典型的な軽鎖及び重鎖の対を示している。・・・(【0172】)・・・幾つかの実施形態において、ABP はABP21B12 と競合する。(【0261】)・・・幾つかの実施形態において、ABP はABP31H4 と競合する。(【0262】) 幾つかの実施形態において、ABP21B12 は、残基162 から167(例えば、配列番号1 の残基D162-E167)を含むエピトープに結合する。・・・(【0268】)競合する抗原結合タンパク質別の態様において、PCSK9 への特異的結合に関して、本明細書中に記載されているエピトープに結合する例示された抗体又は機能的断片の1 つと競合する抗原結合 タンパク質が提供される。このような抗原結合タンパク質は、本明細書中に例示されている抗原結合タンパク質の1 つと同じエピトープ又は重複するエピトープにも結合し得る。例示された抗原結合タンパク質と同じエピトープと競合し、又は結合する抗原結合タンパク質及び断片は、類似の機能的特性を示すと予想される。例示された抗原結合タンパク質及び断片は、重鎖及び軽鎖可変領域ドメイン並びに表2 及び/又は図2 から3 及び15 に含まれるCDR を有するものなど、上述されているものを含む。従って、具体例として、提供される抗原結合タンパク質には、(a)図2 から3 及び15 に列記されている抗体に対して列記されているCDR の 6 つ全て;(b)表2 中に列記されている抗体に対して列記されているVH 及びVL;又は (c)表2 に列記されている抗体 に列記されている抗体に対して列記されているCDR の 6 つ全て;(b)表2 中に列記されている抗体に対して列記されているVH 及びVL;又は (c)表2 に列記されている抗体に対して明記されている2 つの軽鎖及び2 つの重鎖を有する抗体又は抗原結合タンパク質と競合するものが含まれる。(【0269】)ある種の治療的用途及び医薬組成物ある種の事例において、PCSK9 活性は、多数のヒトの病状と相関する。例えば、 ある種の事例において、高すぎる又は低すぎるPCSK9 活性は、高コレステロール 血症などのある種の症状と相関する。従って、ある種の事例において、PCSK9 活性を調節することは治療的に有用であり得る。ある種の実施形態において、PCSK9 に対する中和的抗原結合タンパク質は、少なくとも1 つのPCSK9 活性(例えば、LDLR への結合)を調節するために使用される。このような方法は、上昇した血清コレステロールレベルと関連する、又は上昇したコレステロールレベルが関連する 疾患を治療し、及び/又は予防し、及び/又は疾患のリスクを低減することができる。(【0270】)当業者によって理解されるように、本開示に照らして、変動したコレステロール、LDL 又はLDLR レベルと関連し、変動したコレステロール、LDL 又はLDLR レベルを伴い、又は変動したコレステロール、LDL 又はLDLR レベルによって影響を 受け得る疾患は、抗原結合タンパク質の様々な実施形態によって対処することができる。幾つかの実施形態において、(「血清コレステロール関連疾患」を含む)「コレステロール関連疾患」には、例えば、上昇した総血清コレステロール、上昇したLDL、上昇したトリグリセリド、上昇したVL きる。幾つかの実施形態において、(「血清コレステロール関連疾患」を含む)「コレステロール関連疾患」には、例えば、上昇した総血清コレステロール、上昇したLDL、上昇したトリグリセリド、上昇したVLDL 及び/又は低HDL を呈し得る以下のもの:高コレステロール血症、心臓病、メタボリックシンドローム、糖尿病、冠状動 脈性心臓病、卒中、心血管疾患、アルツハイマー病及び脂質異常症全般の何れか1つ又はそれ以上が含まれる。・・・(【0271】)幾つかの実施形態において、PCSK9 に対する抗原結合タンパク質は、異常に高いレベル又は正常なレベルからPCSK9 活性の量を減少させるために使用される。幾つかの実施形態において、PCSK9 に対する抗原結合タンパク質は、高コレステロー ル血症を治療若しくは予防するために、並びに/又は高コレステロール血症及び/若しくは他のコレステロール関連疾患(本明細書中に記載されているものなど)に対する医薬の調製において使用される。ある種の実施形態において、PCSK9 に対する抗原結合タンパク質は、PCSK9 活性が正常である高コレステロール血症などの症状を治療又は予防するために使用される。このような症状において、例えば、正 常を下回るPCSK9 活性の低下は、治療効果を提供することができる。(【0276】) (実施例1)免疫化及び力価測定抗PCKS9 抗体及びハイブリドーマの作製PCSK9 の成熟形態に対する抗体(図1A 中の配列として図示されており、プロドメインに下線が付されている。)を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するマウスで あるXenoMouse(R)マウス(Abgenix、、 Fremont、、 CA)中で作製した。PCSK9に対する抗体を作製する 付されている。)を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するマウスで あるXenoMouse(R)マウス(Abgenix、、 Fremont、、 CA)中で作製した。PCSK9に対する抗体を作製するために、XenoMouse(R)マウスの2 つのグループ(グループ1 及び2)を使用した。グループ1 は、完全ヒトIgG2κ及びIgG2λ抗体を産生するXenoMouse(R)系統XMG2-KL のマウスを含んだ。グループ1 のマウスを、ヒトPCSK9 で免疫化した。GenBank 配列を参照として(NM174936)を使用 する標準的組換え技術を用いて、PCSK9 を調製した。グループ2 は、完全ヒトIgG4κ及びIgG4λ抗体を産生するXenoMouse(R)系統XMG4-KL のマウスを含んだ。グループ2 のマウスも、ヒトPCSK9 で免疫化した。(【0312】)表3 中のスケジュールに従って、両グループのマウスに抗原を11 回注射した。 最初の免疫化において、腹部中に腹腔内送達された抗原計10µg を各マウスに注射 した。その後の強化免疫は5µg の用量であり、注射法は、腹部内への腹腔内注射と尾の基部への皮下注射間でずらされる。腹腔内注射のために、TiterMax(R)Gold(Sigma、、 Cat # T2684)を加えたエマルジョンとして抗原を調製し、皮下注射のために、抗原をAlum(リン酸アルミニウム)及びCpG オリゴと混合する。注射 2 から8 及び10 において、アジュバントalum ゲル中の抗原計5µg を各マウスに 注射した。マウス当り抗原5µg の最終注射をリン酸緩衝化された生理的食塩水中に送達し、2 つの部位に送達する(腹部内へ50%腹腔内及び尾の基部に50%皮下)。 免疫化プログラムは、以下に示され 注射した。マウス当り抗原5µg の最終注射をリン酸緩衝化された生理的食塩水中に送達し、2 つの部位に送達する(腹部内へ50%腹腔内及び尾の基部に50%皮下)。 免疫化プログラムは、以下に示されている表3 中に要約されている。(【0313】)【表3】(【0314】) ヒトPCSK9 に対する抗体の力価は、記載されている可溶性抗原を用いて免疫化されたマウスに対するELISA アッセイによって検査した。表4 は、ELISA データを要約し、PCSK9 に対して特異的であるように見受けられる幾つかのマウスが存在したことを示す。例えば、表4 を参照されたい。従って、免疫化プログラムの終 わりに、10 匹のマウス(表4 中の太字)を採集のために選択し、本明細書中に記載されているように、それぞれ、脾臓及びリンパ節から脾細胞及びリンパ球を単離した。(【0320】)【表4】(【0321】) (実施例2)リンパ球の回収、B 細胞の単離、融合及びハイブリドーマの作製この実施例は、免疫細胞がどのようにして回収され、ハイブリドーマがどのようにして作製されたかについて概説する。選択された免疫化マウスを頚椎脱臼によって屠殺し、各コホートから流入領域リンパ節を採集し、プールした。細胞を組織か ら放出させるために、DMEM 中で磨り潰すことによって、リンパ系組織からB 細 胞を解離させ、細胞をDMEM 中に懸濁した。細胞を計数し、穏やかに、但し、完全に細胞を再懸濁させるために、1 億のリンパ球当りDMEM0.9mL を細胞沈降物に添加した。(【0322】)1:4 の比で、リンパ球をATCC、cat.#CR11580 から購入した非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653 億のリンパ球当りDMEM0.9mL を細胞沈降物に添加した。(【0322】)1:4 の比で、リンパ球をATCC、cat.#CR11580 から購入した非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653 細胞(Kearneyetal.、、(1979)J.Immunol.123、、1548-1550)と 混合した。400×g で、4 分の遠心によって、細胞混合物を穏やかに沈降させた。容器を傾けて上清を除去した後、1mL ピペットを用いて、細胞を穏やかに混合した。 1 分にわたって、穏やかに撹拌しながら、Sigma(cat#P7306)から得た事前加熱されたPEG/DMSO 溶液(B 細胞100 万個当り1mL)をゆっくり添加した後、1分間混合した。次いで、穏やかに撹拌しながら、2 分にわたって、事前加熱された IDMEM(B 細胞100 万個当り2mL)(グルタミン、L-グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、MEM 非必須アミノ酸なしのDMEM)(全て、Invitrogen から得た)を添加した。最後に、3 分にわたって、事前加熱されたIDMEM(10 の6乗個のB 細胞当り8mL)を添加した。(【0323】)400×g で6 分、融合された細胞を遠心沈降させ、100 万個のB 細胞当り選択培 地20mL(L-グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、MEM 非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、2-メルカプトエタノール(全て、Invitrogen から入手)、HA-アザセリンヒポキサンチン及びOPI(オキサロアセタート、ピルバート、ウシインシュリン)(何れも、Sigma から入手)及びIL-6(BoeringerMannheim)が補充された、DMEM(Invitrogen)、15%FBS(Hyclone)中に再懸 ート、ウシインシュリン)(何れも、Sigma から入手)及びIL-6(BoeringerMannheim)が補充された、DMEM(Invitrogen)、15%FBS(Hyclone)中に再懸濁した。37℃ で20 から30 分間、細胞を温置し、次いで、選択培地200mL 中に再懸濁し、96 ウェルへの播種の前に、T175 フラスコ中で3 から4 日間培養した。このようにして、PCSK9 に対する抗原結合タンパク質を産生するハイブリドーマを作製した。 (【0324】)(実施例3) PCSK9 抗体の選択 本実施例は、様々なPCSK9 抗原結合タンパク質をどのようにして性質決定し、選択したかについて概説する。(実施例1 及び2 で産生されたハイブリドーマから産生された)分泌された抗体のPCSK9 への結合を評価した。抗体の選択は、結合データ及びLDLR へのPCSK9 の結合の阻害及び親和性を基礎とした。以下に記載されているように、ELISA によって、可溶性PCSK9 への結合を分析した。結合親 和性を定量するために、BIAcore(R)(表面プラズモン共鳴)を使用した。 (【0325】)一次スクリーニング野生型PCSK9 に結合する抗体に対する一次スクリーニングを行った。2 つの採集物に対して、一次スクリーニングを行った。一次スクリーニングは、ELISA アッ セイを含み、以下のプロトコールを用いて行った。(【0326】)Costar37-2 培地結合384 ウェルプレート(CorningLifeSciences)を使用した。 40µL/ウェルの容量で、1×PBS/0.05%アジ化物中、4µg/mL の濃度のニュートラビジンでプレートを被覆した。4℃で一晩、プレート CorningLifeSciences)を使用した。 40µL/ウェルの容量で、1×PBS/0.05%アジ化物中、4µg/mL の濃度のニュートラビジンでプレートを被覆した。4℃で一晩、プレートを温置した。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek、、Huntsville、、AL)を用いて、プレートを洗浄した。 3 サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90µL でプレートをブロックし、室温で約30 分間温置した。次いで、プレートを洗浄した。再度、3 サイクルの洗浄を行った。捕捉試料は、V5 タグを持たないビオチン化合されたPCSK9 であり、40µL/ウェルの容量で、1×PBS/1%ミルク/10mMCa2+中に0.9µg/mL で添加した。次いで、プレートを室温で1 時間温置した。次に、3 サイクル洗浄を用い て作動されるTitertek プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mMCa2+40µL 中に、上清10µL を移し、室温で1.5 時間温置した。再度、3 サイクル洗浄を用いて作動されるTitertek プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mMCa2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度のヤギ抗ヒトIgGFcPOD40µL/ウェルをプレートに添加し、室温で1 時間 温置した。3 サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。最後に、1 工程 TMB(Neogen、、 Lexington、、 Kentucky)の40µL/ウェルをプレートに添加し、室温で30 分後に、1N 塩酸の40µL/ウェルを用いて消光を行った。Titertek プレートリーダーを用いて、450nm でOD を直ちに読み取っ cky)の40µL/ウェルをプレートに添加し、室温で30 分後に、1N 塩酸の40µL/ウェルを用いて消光を行った。Titertek プレートリーダーを用いて、450nm でOD を直ちに読み取った。(【0327】)一次スクリーニングによって、2 つの採集物から同定された合計3104 の抗原特異的ハイブリドーマが得られた。最高のELISAOD に基づいて、合計3000 の陽性 に対して、採集物当り1500 のハイブリドーマをさらなる操作に用いた。(【0328】)確認用スクリーニング次いで、安定なハイブリドーマが確立されたことを確認するために、野生型PCSK9 への結合に関して、3000 の陽性を再スクリーニングした。・・・合計2441の陽性を、第二のスクリーニングで反復した。次いで、その後のスクリーニングに おいて、これらの抗体を使用した。(【0329】)マウス交叉反応スクリーニング次いで、抗体がヒト及びマウスPCSK9 の両方に結合できることを確認するために、マウスPCSK9 に対する交叉反応性に関して、ハイブリドーマのパネルをスクリーニングした。・・・579 抗体は、マウスPCSK9 と交叉反応することが観察され た。次いで、その後のスクリーニングにおいて、これらの抗体を使用した。 (【0330】)D374Y 変異体結合スクリーニングPCSK9 中のD374Y 変異は、ヒト集団中において文献に記載されている(例えば、TimmsKMetal 、、“ AmutationinPCSK9 causingautosomal -dominant hypercholesterolemiainaUtahpedigree”、、 Hum.Genet.114:349-353、、2 causingautosomal -dominant hypercholesterolemiainaUtahpedigree”、、 Hum.Genet.114:349-353、、2004)。 抗体が野生型に対して特異的であり、又はPCSK9 のD374Y 形態に結合されているかどうかを測定するために、次いで、変異D374Y を含む変異体PCSK9 配列への結合に関して、試料をスクリーニングした。・・・野生型PCSK9 に対する陽性ヒットの96%以上が、変異体PCSK9 も結合した。(【0331】) 大規模受容体リガンド遮断スクリーニング LDLR へのPCSK9 結合を遮断する抗体をスクリーニングするために、D374YPCSK9 変異体を用いたアッセイを開発した。LDLR に対してより高い結合親和性を有するので、このアッセイに対して変異体を使用し、より感度が高い受容体リガンド遮断アッセイの開発を可能とした。受容体リガンド遮断スクリーニングでは、以下のプロトコールを使用した。スクリーニングでは、Costar3702 培地結合 384 ウェルプレート(CorningLifeSciences)を使用した。40µL/ウェルの容量で、1×PBS/0.05%アジ化物中、2µg/mL のヤギ抗LDLR(R&DCat#AF2148)でプレートを被覆した。4℃で一晩、プレートを温置した。次いで、Titertek プレート洗浄装置(Titertek、、Huntsville、、AL)を用いて、プレートを洗浄した。3 サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90µL でプレートをブロックし、室温で約 分間温置した。次いで、Titertek プレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。 3 サイク イクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90µL でプレートをブロックし、室温で約 分間温置した。次いで、Titertek プレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。 3 サイクルの洗浄を行った。捕捉試料は、LDLR(R&D、Cat#2148LD/CF)であり、40µL/ウェルの容量で、1×PBS/1%ミルク/10mMCa2+中に0.4µg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1 時間10 分間温置した。同時に、Nunc ポリプロピレンプレート中のハイブリドーマ枯渇上清15µL とともに、ビオチン化さ れたヒトD374YPCSK9 の20ng/mL を温置し、枯渇上清濃度を1:5 希釈した。 次いで、プレートを室温で約1 時間30 分間事前温置した。次に、3 サイクル洗浄を用いて作動されるTitertek プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。事前温置された混合物50µL/ウェルを、LDLR で被覆されたELISA プレート上に移し、室温で1 時間温置した。LDLR に結合されたb-PCSK9 を検出するために、ア ッセイ希釈液中の500ng/mL のストレプトアビジンHRP40µL/ウェルをプレートに添加した。プレートを室温で1 時間温置した。再度、Titertek プレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3 サイクルの洗浄を行った。最後に、1 工程TMB(Neogen、、 Lexington、、 Kentucky)の40µL/ウェルをプレートに添加し、室温で30 分後に、1N 塩酸の40µL/ウェルを用いて消光した。Titertek プレートリ ーダーを用いて、450nm でOD を直ちに読み取った。スクリーニングによって、 PCSK9 とLDLR ウェル間での相互作用を遮 用いて消光した。Titertek プレートリ ーダーを用いて、450nm でOD を直ちに読み取った。スクリーニングによって、 PCSK9 とLDLR ウェル間での相互作用を遮断する384 の抗体が同定され、100 の抗体は相互作用を強く遮断した(OD<0.3)。これらの抗体は、PCSK9 とLDLR の結合相互作用を90%超阻害した(90%超の阻害)。(【0332】)遮断物質のサブセットに対する受容体リガンド結合アッセイ次いで、第一の大規模受容体リガンド阻害アッセイにおいて同定された中和物質 の384 にサブセットに対して、変異体酵素を用いて受容体リガンドアッセイを反復した。384 の遮断物質サブセットアッセイのスクリーニングでは、大規模受容体リガンド遮断スクリーニングにおいて行われたものと同じプロトコールを使用した。 この反復スクリーニングによって、最初のスクリーニングデータが確認された。 (【0333】) この384 メンバーのサブセットのスクリーニングによって、90%を超えて、PCSK9 変異体酵素とLDLR 間の相互作用を遮断する85 の抗体が同定された。 (【0334】)野生型PCSK9 を結合するが、D374Y 変異体を結合しない遮断物質の受容体リガンド結合アッセイ3000 の上清の当初パネル中には、野生型PCSK9 に特異的に結 合するが、huPCSK9(D374Y)変異体に結合しないことが示された86 の抗体が存在していた。LDLR 受容体への野生型PCSK9 の結合を遮断する能力に関して、これらの86 の上清を検査した。・・・(【0335】)スクリーニングの結果記載されているアッセイの結果に基づいて、PCSK9 との所望の相互作用を有す る抗体を産生す 力に関して、これらの86 の上清を検査した。・・・(【0335】)スクリーニングの結果記載されているアッセイの結果に基づいて、PCSK9 との所望の相互作用を有す る抗体を産生するとして、幾つかのハイブリドーマ株が同定された。各株からクローンの管理可能な数を単離するために、限外希釈を使用した。ハイブリドーマ株の数字(例えば、21B12)及びクローン数(例えば、21B12.1)によって、クローンを表記した。一般に、特定の株の異なるクローン間の差は、本明細書中に記載されている機能的アッセイによって検出された。2、3 の事例では、機能的アッセイにおい て異なる挙動を示した特定の株からクローンが同定された。例えば、25A7.1 は PCSK9/LDLR を遮断しないが、25A7.3(本明細書において、25A7 と称される。)は中和性であることが見出された。単離されたクローンを、ハイブリドーマ溶媒50から100mL 中でそれぞれ増殖させ、枯渇するまで増殖させた(すなわち、約10%未満の細胞生存率)。これらの培養物の上清中でのPCSK9 に対する抗体の濃度及び効力を、本明細書中に記載されているようなELISA によって、及びインビトロ機 能的検査によって測定した。本明細書に記載されているスクリーニングの結果として、PCSK9 に対する抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマを同定した。図2A から3D 及び表2 中に、選択されたハイブリドーマが示されている。(【0336】)(実施例10)エピトープビニング 抗PCSK9 抗体のビニングのために、競合ELISA を使用した。要約すれば、2 つの抗体が同じエピトープのビンに属するかどうかを決定するために、一晩の温置によって、2µg/mL で、 抗PCSK9 抗体のビニングのために、競合ELISA を使用した。要約すれば、2 つの抗体が同じエピトープのビンに属するかどうかを決定するために、一晩の温置によって、2µg/mL で、ELISA プレート(NUNC)上に、まず抗体(mAb1)の1 つを被覆した。次いで、プレートを洗浄し、3%BSA でブロックした。一方、ビオチン化されたhPCSK9 の30ng/mL を、室温で2 時間、第二の抗体(mAb2)とともに 温置した。混合物を被覆されたmAb1 に適用し、室温で1 時間温置した。次いで、ELISA プレートを洗浄し、1:5000 の希釈で1 時間、Neutravidin-HRP(Pierce)とともに温置した。さらなる洗浄後、TMB 基質とともにプレートを温置し、Titertekプレートリーダーを用いて、シグナルを650nm で検出した。同じ結合特性を有する抗体を、同じエピトープビンの中にグループ分けした。抗体ビニング研究の結果 が、表8.3 に示されている。(【0373】) 【表11】(【0374】) (実施例11)D374YPCSK9/LDLR 結合を遮断する31H4 及び21B12 の効果本実施例は、PCSK9D374Y がLDLR に結合する能力を遮断する上での、抗体の 2 つに対するIC50値を提供する。緩衝液A(100mM カコジル酸ナトリウム、pH7.4)中に希釈されたヤギ抗LDL 受容体抗体(R&DSystems)2µg/mL で、透明な384ウェルプレート(Costar)を被覆した。緩衝液A でプレートを完全に洗浄した後、緩衝液B(緩衝液A 中の1%ミルク)で2 時間ブロックした。洗浄後、緩衝液C(10mMCaCl2 が 透明な384ウェルプレート(Costar)を被覆した。緩衝液A でプレートを完全に洗浄した後、緩衝液B(緩衝液A 中の1%ミルク)で2 時間ブロックした。洗浄後、緩衝液C(10mMCaCl2 が補充された緩衝液B)中に希釈されたLDL 受容体(R&DSystems) 0.4µg/mL とともに、プレートを1.5 時間温置した。この温置と同時に、緩衝液A中に希釈された31H4IgG2、31H4IgG4、21B12IgG2 又は21B12IgG4 抗体の様々な濃度又は緩衝液A のみ(対照)とともに、ビオチン化されたD374YPCSK9 の20ng/mL を温置した。LDL 受容体を含有するプレートを洗浄し、ビオチン化されたD374YPCSK9/抗体混合物をプレートに移し、室温で1 時間温置した。LDL 受 容体へのビオチン化されたD374Y の結合は、緩衝液C 中の500ng/mL のストレプトアビジン-HRP(Biosource)とともに、次いで、TMB 基質(KPL)とともに温置することによって検出した。1NHCl を用いてシグナルを消光し、450nm で吸光度を読み取った。(【0377】)この結合研究の結果が、図6A から6D に示されている。要約すると、各抗体に 対してIC50値を測定し、31H4IgG2 に対して199pM(図6A)、31H4IgG4 に対して156pM(図6B)、21B12IgG2 に対して170pM(図6C)及び21B12IgG4 に対して169pM(図6D)であることが見出された。(【0378】)抗体は、このアッセイにおいて、LDLR への野生型PCSK9 の結合も遮断した。 (【0379】) (実施例12)細胞LDL 取り込みアッセイ本実施例は、様 【0378】)抗体は、このアッセイにおいて、LDLR への野生型PCSK9 の結合も遮断した。 (【0379】) (実施例12)細胞LDL 取り込みアッセイ本実施例は、様々な抗原結合タンパク質が細胞によるLDL の取り込みを低下させ得ることを示す。・・・(【0380】)細胞取り込みアッセイの結果が、図7A から7D に示されている。要約すると、 各抗体に対してIC50 値を測定し、31H4IgG2 に対して16.7nM(図7A)、31H4IgG4に対して13.3nM(図7B)、21B12IgG2 に対して13.3nM(図7C)及び21B12IgG4に対して18nM(図7D)であることが見出された。これらの結果は、適用された抗原結合タンパク質がPCSK9(D374Y)の効果を低下させて、細胞によるLDL の取り込みを遮断できることを示している。抗体は、このアッセイにおいて、野生型 PCSK9 の効果も遮断した。(【0381】) (実施例13) 6 日の研究における31H4 抗体の血清コレステロール低下効果PCSK9 タンパク質に対する抗体治療を介した野生型(WT)マウスにおける総血清コレステロール(TC)低下を評価するために、以下の手順を行った。 (【0382】) JacksonLaboratory(BarHarbor、、ME)から得られた雄のWT マウス(C57BL/6 系統、9 から10 週齢、17-27g)には、実験の期間を通じて、通常の食餌(Harland-Teklad、、 Diet2918)を与えた。t=0 において、マウスの尾静脈を通じて、10mg/kg のレベルで、抗PCSK9 抗体31H4(PBS 中の2mg/mL)又は対照IgG(PBS中2m eklad、、 Diet2918)を与えた。t=0 において、マウスの尾静脈を通じて、10mg/kg のレベルで、抗PCSK9 抗体31H4(PBS 中の2mg/mL)又は対照IgG(PBS中2mg/mL)の何れかをマウスに投与した。ナイーブマウスも、ナイーブ対照群 として別に分けた。投薬群及び屠殺の時間が、表9 に示されている。(【0383】)【表12】(【0384】) 表9 に示されている所定の時点でのCO2 窒息を用いて、マウスを屠殺した。大静脈を介して、エッペンドルフチューブの中に血液を集め、室温で30 分間凝固さ せた。次いで、血清を分離するために、10 分間、12、、000×g での卓上遠心機中で、試料を遠心沈降させた。Hitachi912 臨床分析装置及びRoche/HitachiTC 及びHDL-C キットを用いて、血清総コレステロール及びHDL-C を測定した。 (【0385】)実験の結果が、図8A から8D に示されている。要約すると、抗体31H4 が投与されたマウスは、実験の間にわたって、減少した血清コレステロールレベルを示した(図8A 及び図8B)。さらに、マウスは減少したHDL レベルを示すことも注目される(図8C 及び図8D)。図8A 及び図8C に関して、%変化は、同じ時点での対照 IgG に対する(*P<0.01、#P<0.05)。図8B 及び8D に関して、%変化は、t=0時間で、ナイーブ動物中において測定された総血清コレステロール及びHDL レベルに対する(*P<0.01、#P<0.05)。(【0386】)低下したHDL レベルに関して、マウス中でのHDL の減少はHDL の減少がヒトで起きることを示唆せず、この生物中での血清コレステロールが減少したこと .01、#P<0.05)。(【0386】)低下したHDL レベルに関して、マウス中でのHDL の減少はHDL の減少がヒトで起きることを示唆せず、この生物中での血清コレステロールが減少したことをさ らに反映するに過ぎないことが当業者に理解されることが注目される。マウスは高密度リポタンパク質(HDL)粒子中に血清コレステロールの大半を輸送し、これはLDL 粒子上に殆どの血清コレステロールを有するヒトとは異なることが注目される。マウスでは、総血清コレステロールの測定は、血清HDL-C のレベルを最も近似する。マウスHDL は、LDL 受容体(LDLR)に対するリガンドであるアポリポ タンパク質E(apoE)を含有しており、LDLR によるHDL の排除を可能とする。 従って、HDL を調べることは、マウスにおける、本実施例での適切な指標である(HDL の減少は、ヒトに対しては予測されないことが理解される。)。これに対して、例えば、ヒトHDL は、apoE を含有しておらず、LDLR に対するリガンドではない。PCSK9 抗体はマウス中でのLDLR 発現を増加させるので、肝臓はより多く のHDL を排除させることができ、従って、血清HDL-C レベルを低下させる。 (【0387】)(実施例14) 6 日の研究における、LDLR レベルに対する抗体31H4 の効果本実施例は、予想されたように、抗原結合タンパク質が、経時的に、対象中のLDLR のレベルを変化させることを示す。LDLR レベルに対する抗体31H4 の効果を確認 するために、ウェスタンブロット分析を行った。実施例13 で記載した屠殺されたマウスから得られた肝臓組織50 から100mgを、完全なプロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有す を確認 するために、ウェスタンブロット分析を行った。実施例13 で記載した屠殺されたマウスから得られた肝臓組織50 から100mgを、完全なプロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有するRIPA 緩衝液(SantaCruzBiotechnologyInc.)0.3mL 中において均質化した。ホモゲネートを氷上で30 分間温置し、細胞破砕物を沈降させるために遠心した。BioRad タンパク質アッセイ試薬(BioRadlaboratories)を用いて、上清 中のタンパク質濃度を測定した。70℃で10 分間、タンパク質100µg を変性させ、 4 から12%Bis-TrisSDS 勾配ゲル(Invitrogen)上で分離した。0.45µmPVDF 膜(Invitrogen)にタンパク質を移し、室温で1 時間、5%無脂肪ミルクを含有する洗浄緩衝液(50mMTrisPH7.5、、 150mMNaCl、、2mMCaCl2 及び0.05%Tween20)中でブロックした。次いで、室温で1 時間、ヤギ抗マウスLDLR 抗体(R&Dsystem) 1:2000 又は抗βアクチン(sigma)1:2000 を用いて、ブロットのプローブ検査を行った。ブロットを短時間洗浄し、ウシ抗ヤギIgG-HRP(SantaCruzBiotechnologyInc.)1:2000 又はヤギ抗マウスIgG-HRP(Upstate)1:2000 とともに温置した。室温で1 時間の温置後、ブロットを完全に洗浄し、ECLplus キット(Amershambiosciences)を用いて、免疫反応性バンドを検出した。ウェスタン ブロットは、図9 に図示されているように、抗体31H4 の存在下でのLDLR タンパク質レベルの増加を示した。(【0 biosciences)を用いて、免疫反応性バンドを検出した。ウェスタン ブロットは、図9 に図示されているように、抗体31H4 の存在下でのLDLR タンパク質レベルの増加を示した。(【0388】)(実施例15) 13 日の研究における抗体31H4 の血清コレステロール低下効果 13 日の研究において、PCSK9 タンパク質に対する抗体治療を介した野生型(WT) マウスにおける総血清コレステロール(TC)低下を評価するために、以下の手順を行った。(【0389】)JacksonLaboratory(BarHarbor、、ME)から得られた雄のWT マウス(C57BL/6 系統、9 から10 週齢、17-27g)には、実験の期間を通じて、通常の食餌(Harland-Teklad、、Diet 2918)を与えた。t=0 において、マウスの尾静脈を通じて、10mg /kg のレベルで、抗PCSK9 抗体31H4(PBS 中の2mg/mL)又は対照IgG(PBS 中2mg/mL)の何れかをマウスに投与した。ナイーブマウスも、ナイーブ対照群として別に分けた。(【0390】)投薬群及び屠殺の時間が、表10 に示されている。動物を屠殺し、肝臓を摘出し、実施例13 のとおりに調製した。(【0391】)【表13】(【0392】) 6 日の実験を13 日の研究に延長すると、6 日の研究において観察された同じ血清コレステロール低下効果が、13 日の研究においても観察された。より具体的には、10mg/kg で投薬された動物は、3 日目に、血清コレステロールの31%の減少を示し、13 日までに、投薬前レベルまで徐々に戻った。図10A は、この実験の結果を 図示する。図10C は、31H4 /kg で投薬された動物は、3 日目に、血清コレステロールの31%の減少を示し、13 日までに、投薬前レベルまで徐々に戻った。図10A は、この実験の結果を 図示する。図10C は、31H4 の10mg/kg 用量を用いた、及び同じく10mg/kg の別の抗体16F12 を用いた上記手順を反復した結果を図示している。投薬群及び屠殺の時間が、表11 に示されている。(【0393】)図10C に示されているように、16F12 及び31H4 は何れも、単回投薬のみの後に、総血清コレステロールの著しく、大幅な減少をもたらし、1 週以上にわたって (10 日又はそれ以上)有益であった。反復された13 日の研究の結果は最初の13 日の研究の結果と合致しており、3 日目における26%の血清コレステロールレベルの 減少が観察される。図10A 及び図10B に関して、%変化は、同じ時点での対照IgGに対する(*P<0.01)。図10C に関して、%変化は、同じ時点での対照IgG に対する(*P<0.05)。(【0395】)(実施例26)インビボでLDL を低下させるPCSK9 及びABP の能力に対するマウスモデル ヒトPCSK9 を過剰発現するマウスを作製するために、マウス中のLDL-コレステロールの測定可能な増加を与える正しい力価を測定するためにヒトPCSK9 を発現するように組換え的に修飾されたアデノ随伴ウイルス(AAV)の様々な濃度を、尾静脈投与を介して3 週齢WTC57B1/6 マウスに注射した。ヒトPCSK9 を発現するこのウイルスを用いて、ウイルスの4.5×10E12pfu は循環血液中の約40mg/ dL のLDL-コレステロールレベル(WT マウス中のLDL の正常レベルは、約10mg K9 を発現するこのウイルスを用いて、ウイルスの4.5×10E12pfu は循環血液中の約40mg/ dL のLDL-コレステロールレベル(WT マウス中のLDL の正常レベルは、約10mg/dL である。)をもたらすことが決定された。これらの動物中のヒトPCSK9 レベルは、約13µg/mL であることが見出された。この注射基準を用いて、マウスのコロニーを作製した。(【0422】)注射から1 週後に、LDL-コレステロールレベルに関してマウスを評価し、異な る処理群へ無作為に振り分けた。次いで、尾静脈注射を介して、16F12、21B12 又は31H4 抗原結合タンパク質の10mg/kg 又は30m/kg の何れかの単回大量瞬時注射を動物に投与した。投薬対照として、動物の別個の群にIgG2ABP を投与した。 次いで、ABP 動物から24 及び48 時間後に、動物のサブグループ(n=6 から7)を安楽死させた。何れの投薬量でも、IgG2 投与後に、LDL-コレステロールレベル に対する影響は存在しなかった。31H4 及び21B12 は何れも、IgG2 対照(2 つの異なる投薬量で図14A 及び14B に示されている。)と比べて、投与後最大48 時間まで(48 時間を含む。)著しいLDL-コレステロール低下を示した。16F12 は、48 時間の時点までに、約40mg/dL のベースラインに復帰するレベルで、中間のLDL-コレステロール低下応答を示す。このデータは、31H4 と21B12 の間でヒト PCSK9 に対してほぼ等しい結合親和性を示し、PCSK9 に対して16F12 のより低 い親和性を示すインビトロ結合データ(Biacore 及びKinexa)と合致している。 (【0423】)(実施 ぼ等しい結合親和性を示し、PCSK9 に対して16F12 のより低 い親和性を示すインビトロ結合データ(Biacore 及びKinexa)と合致している。 (【0423】)(実施例27)31H4 及び21B12 は、PCSK9 のProCat 領域に結合する本実施例は、様々な抗体がPCSK9 のどこに結合するかを決定するための1 つの 方法を記載する。(【0426】)PCSK9 タンパク質のProCat(配列番号3 の31 から449)又はV ドメイン(配列番号3 の450 から692)を、抗体31H4 又は21B12 の何れかと組み合わせた。 複合体の形成に関して、非変性PAGE によって、試料を分析した。図16A 及び図16B から明らかなように、ProCat/31H4 及びProCat/21B12 試料に関してゲル シフトが存在し、抗体がProCat ドメインに結合したことを示す。(【0427】)(実施例28)LDLREGFa ドメインは、PCSK9 の触媒ドメインに結合する本実施例は、2.9 オングストロームの分解能で(以下の実施例に記載されている条件)、LDLREGFa ドメイン(293 から334)に結合されたPCSK9ProCat(配列番号3 の31 から454) の解明された結晶構造を表す。(【0428】)EGFa に結合されたPCSK9 の構造の図解が、図17 に示されている。結晶構造(及び図17 中のその図解)は、LDLR のEGFa ドメインがPCSK9 の触媒ドメインに結合することを明らかにする。さらに、PCSK9 とEGFa の相互作用は、図17に図示されている構造中の残基D374 とS153 の間にあるPCSK9 の表面を横切っ て起こるようであ ンに結合することを明らかにする。さらに、PCSK9 とEGFa の相互作用は、図17に図示されている構造中の残基D374 とS153 の間にあるPCSK9 の表面を横切っ て起こるようである。(【0429】) 【図17】 LDLREGFa ドメインとの相互作用界面の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基が、EGFa ドメインの5 オングストローム以内に存在するPCSK9 残基として定義された。コア残基は、以下のとおりである。S153、I154、P155、R194、D238、A239、 I369、S372、D374、C375、T377、C378、F379、V380 及びS381。(【0430】)LDLREGFa ドメインとの相互作用界面の境界PCSK9 アミノ酸残基は、EGFa ドメインの5 オングストロームから8 オングストロームに存在するPCSK9 残基として定義された。境界残基は、以下のとおりである。W156、N157、L158、E159、H193、E195、H229、R237、G240、K243、D367、I368、G370、A371、S373、 S376 及びQ382。下線が付された残基は、PCSK9 内にほぼ埋没し、又は完全に埋没している。(【0431】)当業者に理解されるように、本実施例から得られた結果は、PCSK9 とEGFa が相互作用することを示している。従って、これらの残基の何れかと相互作用し、又は遮断する抗体は、PCSK9 とLDLR のEGFa ドメイン(及び/又はLDLR 一般) との間の相互作用を阻害する抗体として有用であり得る。幾つかの実施形態において、PCSK9 に結合された場合に、上記残基の何れかと相互作用し若しくは遮断す ドメイン(及び/又はLDLR 一般) との間の相互作用を阻害する抗体として有用であり得る。幾つかの実施形態において、PCSK9 に結合された場合に、上記残基の何れかと相互作用し若しくは遮断する 抗体、又は上記残基の15 から8、8、8 から5 若しくは5 オングストロームにある抗体は、LDLR へのPCSK9 結合の有用な阻害を与えるものと想定される。 (【0432】)(実施例29)31H4 は、PCSK9 のプロドメイン及び触媒ドメインの両方に由来するアミノ酸残基と相互作用する 本実施例は、2.3 オングストロームの分解能になるように測定された(以下の実施例に記載されている条件)、31H4 のFab 断片に結合された完全長PCSK9(配列番号3 のN533A 変異体)の結晶構造を表す。図18A 及び18B に図示されているこの構造は、触媒部位の領域中において、31H4 がPCSK9 に結合し、プロドメイン及び触媒ドメインの両方に由来するアミノ酸残基と接触することを示す。(【0433】) 【図18A】 【図18B】 図示されている構造によって、PCSK9 との31H4 の相互作用界面のための特異的コアPCSK9 アミノ酸残基を同定することも可能である。これは、31H4 タンパク質の5 オングストローム内に存在する残基として定義された。コア残基は、以下 のとおりである。W72、F150、A151、Q152、T214、R215、F216、H217、A220、S221、K222、S225、H226、C255、Q256、G257、K258、N317、F318、T347、L348、G349、T350、L351、E366、D367、D374、V380、S381、Q382、S383 S225、H226、C255、Q256、G257、K258、N317、F318、T347、L348、G349、T350、L351、E366、D367、D374、V380、S381、Q382、S383 又はG384。(【0434】) 当業者によって理解されるように、実施例29 から得られる結果は、PCSK9 に対する抗体はPCSK9 に対して相互作用できること、及びEGFa との(従って、LDLRとの)相互作用からPCSK9 を遮断できることを示す。従って、これらのPCSK9 残基の何れかと相互作用し、又はこれらの残基の何れかを(例えば、これらの残基に結合する他の抗原結合タンパク質から)遮断する抗原結合タンパク質は、PCSK9 と EGFa(従って、LDLR)の相互作用を阻害する抗体として有用であり得る。従って、幾つかの実施形態において、上記残基の何れかと相互作用し、又は上記残基の5 オングストローム以内の残基と相互作用する抗原結合タンパク質は、LDLR へのPCSK9 結合の有用な阻害を与えるものと想定される。同様に、上記残基の何れかを遮断する抗原結合タンパク質(例えば、競合アッセイを介して測定することができ る。)は、PCSK9/LDLR 相互作用の阻害のためにも有用であり得る。(【0437】)(実施例30)21B12 は、PCSK9 の触媒ドメインに結合し、31H4 と異なる結合部位を有し、31H4 と同時にPCSK9 に結合することができる。(【0438】)本実施例は、2.8 オングストロームの分解能で測定された(以下の実施例に記載 されている条件)、31H4 及び21B12 のFab 断片に結合されたPCSK9ProCat(配列番号3 の31 から449)の結晶構造を表す。図19A 能で測定された(以下の実施例に記載 されている条件)、31H4 及び21B12 のFab 断片に結合されたPCSK9ProCat(配列番号3 の31 から449)の結晶構造を表す。図19A 及び19B に図示されているこの結晶構造は、31H4 及び21B12 がPCSK9 上に異なる結合部位を有すること、両抗原結合タンパク質はPCSK9 に同時に結合できることを示す。構造は、21B12 はPCSK9 の触媒ドメイン由来のアミノ酸残基と相互作用することを示す。この構造 において、PCSK9 と31H4 の間の相互作用は上に観察されたものと類似している。 (【0439】) 【図19A】 【図19B】 21B12 との相互作用界面の特異的コアPCSK9 アミノ酸残基が、21B12 タンパク質の5 オングストローム以内に存在するPCSK9 残基として定義された。コア残基は、以下のとおりである。S153、S188、I189、Q190、S191、D192、R194、E197、 G198、R199、V200、D224、R237、D238、K243、S373、D374、S376、T377 及びF379。(【0440】)当業者によって理解されるように、実施例30 から得られる結果は、PCSK9 に対する抗体結合タンパク質のどこがPCSK9 に対して相互作用できるか、及びEGFaとの(従って、LDLR との)相互作用からPCSK9 をなお遮断できることを示す。 従って、これらのPCSK9 残基の何れかと相互作用し、又はこれらの残基の何れかを遮断する抗原結合タンパク質は、PCSK9 とEGFa(従って、LDLR)の相互作用を阻害する抗体として有用であり得る。従っ 、これらのPCSK9 残基の何れかと相互作用し、又はこれらの残基の何れかを遮断する抗原結合タンパク質は、PCSK9 とEGFa(従って、LDLR)の相互作用を阻害する抗体として有用であり得る。従って、幾つかの実施形態において、上記残基の何れかと相互作用し、又は上記残基の5 オングストローム以内の残基と相互作用する抗体は、LDLR へのPCSK9 結合の有用な阻害を提供するものと想定され る。同様に、上記残基の何れかを遮断する抗原結合タンパク質(例えば、競合アッ セイを介して測定することができる。)は、PCSK9/LDLR 相互作用の阻害のためにも有用であり得る。(【0443】)(実施例31)EGFa、PCSK9 及び抗体の間の相互作用上例から得られた三次複合体(PCSK9/31H4/21B12)の構造をPCSK9/EGFa 構造(実施例28 に記載されているとおりに決定された。)上に重ね合わせ、この組み合わせの結果が図20A に図示されている。この図は、EGFa とのPCSK9 相互作用を阻害するように有用に標的化することができるPCSK9 上の領域を示す。図は、31H4 及び21B12 が何れも、LDLR のEGFa ドメインの位置と部分的に重複し、PCSK9 へのその結合を立体的に妨害することを示している。さらに、構造から明ら かなように、21B12 は、LDLREGFa ドメインへの結合に特異的に関与しているアミノ酸残基のサブセットと直接相互作用する。(【0444】)【図20A】 上述のように、結晶構造の分析によって、PCSK9 と対タンパク質(コア及び PCSK9 表面上の界面の境界領域)間の相互作用に関与している特異的アミノ酸及びこれらの対タンパク質がPCSK9 と 述のように、結晶構造の分析によって、PCSK9 と対タンパク質(コア及び PCSK9 表面上の界面の境界領域)間の相互作用に関与している特異的アミノ酸及びこれらの対タンパク質がPCSK9 と相互作用する空間的必要条件が同定された。 この構造は、PCSK9 とLDLR 間の相互作用を阻害する方法を示唆する。第一に、上述のように、LDLR のEGFa ドメインの結合部位と共通する残基を共有しているPCSK9 への因子の結合は、PCSK9 とLDLR 間の相互作用を阻害する。第二に、共通の残基の外側に結合する因子は、EGFa ドメインに対してN 末端又はC 末端にあるLDLR のEGFa ドメイン又は領域を立体的に妨害して、PCSK9 とLDLR 間 の相互作用を妨害することができる。(【0445】)幾つかの実施形態において、EGFa 結合に関与し、且つ上記抗原結合タンパク質が結合する領域に近い残基は、LDLR へのPCSK9 の結合を操作するのに特に有用である。例えば、異なる結合対に対してコア領域と境界領域の両領域中の共通する界面由来のアミノ酸残基が、下表12 に列記されている。PCSK9 タンパク質内に完 全に埋没されているアミノ酸残基に、下線が付されている。(【0446】)【表15】(【0447】) 当業者によって理解されるように、幾つかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、上記残基の少なくとも1 つに結合し、及び/又は遮断する。(【0448】) (実施例37)エピトープマッピング-ビニング 実施例10 中の組に加えて、ビニング実験の別の組を実施した。実施例10 におけると同様に、互いに競合するABP は、標的上の同じ部位に結合するものと考えることができ -ビニング 実施例10 中の組に加えて、ビニング実験の別の組を実施した。実施例10 におけると同様に、互いに競合するABP は、標的上の同じ部位に結合するものと考えることができ、一般的な語法では、互いに「ビン」を形成していると言われる。 (【0489】)Jia 他(J. ImmunologicalMethods、、 288 (2004) 91-98)によって記載された多重化ビニング法の改変を使用した。室温で1 時間、暗所にて、0.5µg/mL ビ オチン化一価マウス抗ヒトIgG 捕捉抗体(BDPharmingen、、#555785)100µL 中で、ストレプトアビジンによって被覆されたLuminex ビーズの各ビーズコードを温置し、次いで、PBSA(1%ウシ血清アルブミン(BSA)を加えたリン酸緩衝化生理的食塩水(PBS))で3 回洗浄した。2µg/mL 抗PCSK9 抗体(CoatingAntibody)100µL とともに、各ビーズコードを別々に1 時間温置した後、PBSA で3 回洗浄し た。ビーズをプールした後、96 ウェルフィルタープレート(Millipore、、#MSBVN1250)に分配した。2µg/mL の精製されたPCSK9 タンパク質100µL をウェルの半分に添加した。緩衝液を対照として他の半分に添加した。反応を1 時間温置した後、洗浄した。2µg/mL 抗PCSK9 抗体(DetectionAb)100µL を全てのウェルに添加し、1 時間温置し、次いで、洗浄した。別の対象として、無関係のヒ トIgG(Jackson、、#009-000-003)を走行させた。各ウェルに、PE 連結された一価マウス抗ヒトIgG(BDPharmingen、、#555787)20µL を添加し、 ヒ トIgG(Jackson、、#009-000-003)を走行させた。各ウェルに、PE 連結された一価マウス抗ヒトIgG(BDPharmingen、、#555787)20µL を添加し、1 時間温置し、次いで、洗浄した。PBSA100µL 中にビーズを再懸濁し、最低100 事象/ビーズコードをBioPlex 装置(BioRad)上で収集した。(【0490】)PCSK9 を含有する対応する反応のシグナルから、PCSK9 なしでの抗体対の中央 値蛍光強度(MFI)を差し引いた。抗体対が同時に(従って、異なるビンに)結合したと考えられるためには、差し引かれたシグナルは、それ自身と競合する抗体のシグナルより3 倍大きく、且つ無関係の抗体と競合する抗体のシグナルより3 倍大きくなければならなかった。(【0491】)上記から得られたデータは、図23A から23D に図示されている。ABP は、5 つ のビンに属した。影が付いた枠は、PCSK9 へ同時に結合することができるABP を 示している。影が付いていない枠は、結合に関して互いに競合するABP を示している。結果の要約が、表37.1 に示されている。(【0492】)【表17】(【0493】) ビン1(ABP21B12 と競合する。)及び3(31H4 と競合する)は、互いに排他的 であり、ビン2 はビン1 及び3 と競合し、並びにビン4 はビン1 及び3 と競合しない。この実施例において、ビン5 は、他のビンに適合するABP を記載するために、「キャッチオール」ビンとして表される。従って、ビンのそれぞれの中の上記ABPは、PCSK9 上のエピトープ位置の異なる種類の代表であり、それらの幾つかは互いに重複する。(【0494】) 「キャッチオール」ビンとして表される。従って、ビンのそれぞれの中の上記ABPは、PCSK9 上のエピトープ位置の異なる種類の代表であり、それらの幾つかは互いに重複する。(【0494】) 当業者によって理解されるように、基準ABP がプローブABP の結合を妨げるのであれば、抗体は同じビン中にあると称される。ABP が使用される順序が重要であり得る。ABPA が基準ABP として使用され、ABPB の結合を遮断すれば、逆は必 ずしも真ではない。基準ABP として使用されるABPB は必ずしもABPA を遮断しない。ここで役割を果たしている多数の因子が存在する。ABP の結合は、標的中の立体構造の変化を引き起こすことができ、これは、第二のABP の結合を妨げ、又は互いに重複するが、互いを完全に封鎖しないエピトープは、結合を可能とするのに十分な標的との高親和性相互作用を第二のABP がなお有することを可能にし得る。 ずっと高い親和性を有するABP は、遮断するABP を押し出すより大きな能力を有し得る。一般に、何れの順序においても競合が観察されれば、ABP は互いにビンであると称され、両ABP が互いに遮断することができれば、エピトープはより完全に重複する可能性がある。(【0495】)以上 (別紙3) 以上

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