昭和45(う)1129 兇器準備集合、建造物侵入、公務執行妨害被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和47年4月12日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      一 原判決中被告人らに関する部分を破棄する。      二 被告人Aを懲役二年に、      被告人Bを懲役一年一〇月に、      被告人C、同Dを各懲役一年六月に、    

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判決文本文4,620 文字)

主文一原判決中被告人らに関する部分を破棄する。 二被告人Aを懲役二年に、被告人Bを懲役一年一〇月に、被告人C、同Dを各懲役一年六月に、それぞれ処する。 三原審における各未決勾留日数中、被告人Aに対し二七〇日を、被告人Cに対し二六〇日を、被告人B、同Dに対し各二一〇日をそれぞれ右各本刑に算入する。 四但し、被告人全員に対し、この裁判確定の日から三年間右各刑の執行を猶予する。 五原審における訴訟費用の各一一分の一づつを各被告人の負担とする。 理由本件控訴の趣意は、被告人ら作成名義の控訴趣意書(各控訴趣意補充書は、いずれも期限後の提出にかかるものであるから、判断の対象としない。)に、これに対する答弁は、検事松本卓矣作成名義の答弁書に、それぞれ記載してあるとおりであるから、いずれもこれを引用し、これに対して当裁判所は、つぎのとおり判断する。 さて、論旨は多岐にわたつているが、控訴理由としてみるときは、控訴趣意書第四章結論において述べられているとおり、要するに原審訴訟手続の法令(憲法を含む。)違反を主張するに帰するものであるところ、そのすべてにつき理由がないとの結論に達したが、以下のとおり、論旨を整序、要約したうえ、個々的に判断を示すこととする。 一、本件グループ別審理方式の違法を主張する点(第一章第一節ないし第三節、第八節、第二章、第三章)について。 論旨は、まず、本件公訴は被告人ごとになされ、原審はこれを併合のうえ、いわゆるグループ別審理方式により審判したものであるところ、本件はいわゆるE大事件の一環であつて、被告人、弁護人側においてE大闘争の過程および全体的状況を立証するためには、いわゆる統一公判という審 いわゆるグループ別審理方式により審判したものであるところ、本件はいわゆるE大事件の一環であつて、被告人、弁護人側においてE大闘争の過程および全体的状況を立証するためには、いわゆる統一公判という審理方式以外には方法はないので、原審のとつた審理方式は、刑訴法三一三条一項に違反し、憲法三七条により認められた被告人らの防禦権、とくに証人反対尋問権および弁護人による弁護権の適切な行使を妨げ、ひいて被告人の迅速な裁判を受ける権利をも奪う結果となつたなどと主張するものである。 <要旨第一>よつて審案するに、関係資料によれば、東京地方裁判所におけるいわゆるE大事件の審理方式につき、全被</要旨第一>告人を同一法廷に集めるという、いわゆる統一公判の方式が採用されず、被告人を一〇名前後のグループに分け、各グループを各部において分担するという、いわゆるグループ別あるいは分割審理方式が採用され、本件被告人らに対してもこれが適用されたものであることは、所論のとおりである。そこで、本件のような複数被告人の共犯関係にある事案に対する審理の併合、分離に関する関係法規をみてみるに、所論も援用する刑訴法三一三条一項は、「裁判所は、適当と認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、決定を以て、弁論を分離し若しくは併合……することができる。」と規定しているのであつて、被告人側の請求のあつたときは、必ず弁論を併合しなければならないものとはしておらず、そのかぎりにおいて、弁論の併合を裁判所の合目的的な裁量事項としている趣旨を看取するにかたくなく、しかも、同条二項が、「……被告人の権利を保護するため必要があるときは、……決定を以て弁論を分離しなければならない。」としていることと対比して考えてみると、弁論を併合するよりも分離する方が被告人の利益保護にかなつ 項が、「……被告人の権利を保護するため必要があるときは、……決定を以て弁論を分離しなければならない。」としていることと対比して考えてみると、弁論を併合するよりも分離する方が被告人の利益保護にかなつているとする法の趣旨も優に窺われるところである。もつとも、このことは、刑事裁判というものが、個々の被告人の罪責の有無、程度を判定するという目的を有するものである以上、あえて明文の規定を要するまでもない一般原則であるともいえるであろう。もとより、かような一般論が本件E大裁判にもそのままあてはまるか、否かについては、種々の角度からの慎重な検討を必要とするであろう。けだし、本件は、その背景、動機、態様、起訴人員数等において、これまでに類を見ない特異性をもつているのであつて、その審理方式についても特段の配慮を要するものがあると考えられるからである。そして、この点について、論旨は、被告人の防禦権、弁護人の弁護権を全うするには、統一公判方式以外にはあり得ないとするのであるが、所論を考慮に入れたうえ、原審訴訟記録を検討してみるに、原審が、被告人側の請求を却けて、いわゆるグループ別審理方式をとつたことには何ら違法、不当の廉は存しないものというべきである。その理由は、つぎのとおりである。 (一) 数百人の被告人を一堂に集めるという審理方式は、まずこれに適した法廷を求めることに難点があるといわなければならず、被告人らは既設の法廷以外の場所を便宜使用するか、特設すれば足りるとするが、そのような場所は、もはや従来の観念における「法廷」と呼べるものではない。また、刑事裁判というものは、とくにとりたてていうまでもなく、検察官、被告人、弁護人を立ち会わせたうえ、証拠調、弁論等の手続によつて、公訴事実についての被告人の刑責の有無、程度を明らかにすることを目的とするものであ うものは、とくにとりたてていうまでもなく、検察官、被告人、弁護人を立ち会わせたうえ、証拠調、弁論等の手続によつて、公訴事実についての被告人の刑責の有無、程度を明らかにすることを目的とするものであるが、裁判官の能力にも限界がある以上、このような多人数の被告人につき常時単一の法廷において審理することにより、右目的の達成を期することは著しく困難であるといわざるを得ないのである。それに、本件程に被告人の人数がふえれば、それだけ、身柄の戒護、訴訟指揮、法廷警察等本来の公判審理による心証形成以外のことに裁判官の注意力がそがれる結果となり、ひいては訴訟の遅延をきたし、被告人側にも不利益を醸すのではないかとも考えられるところであつて、原審が同様の危倶を抱いたとしても、十分に首肯されるところである。 (二) もつとも、原審のようなグループ別審理方式をとると、被告人側の希望するような審理上の目的が達成されないこととなるというのであれば問題であろうが、本件公訴事実の内容に照らすに、数百人の全被告人につき、どうしても合一確定をしなければ、被告人らの権利を著しく侵害することとなるというような事実上の争点が含まれているものとはとうてい認められないのであつて、被告人毎の個別審理あるいは本件のようなグループ別審理方式によつても、本件犯罪事実の有無ないし背景事実に関する立証活動、弁護活動は十分に果たすことができるものと考えられ、現に、本件E大紛争に関し、かような個別審理あるいはグループ別審理方式によつて、相当数の事件が落着を見ており、また現に第一審公判の行なわれているものもあることは、当裁判所に顕著な事実であつて、かような審理方式上のことがらにつき、被告人の権利擁護の観点から問題視すべきものがあるとは、とうてい解されないところである。 なお、論旨は、原審が本件審 もあることは、当裁判所に顕著な事実であつて、かような審理方式上のことがらにつき、被告人の権利擁護の観点から問題視すべきものがあるとは、とうてい解されないところである。 なお、論旨は、原審が本件審理方式を採用したことに関連し、東京地方裁判所刑事部がE大事件の分割審理方針案を作成、決定する過程において、同刑事部に設けられている裁定合議委員会が、検察庁からの情報提供に基づき、公訴事実、自白および分離希望の有無、所属大学、保釈の有無、逮捕歴、派閥等に従つて被告人らを分類し、グループ分けしたという事実があり、このことはいわゆる予断排除の原則に反するもので、刑訴法二五六条六項に違反し、ひいて憲法三一条、三七条に違反するというところがあるが、本件を審理した原審裁判官が所論の裁定合議委員会の構成員であつたことを窺うに足りる資料はないから、所論はすでにこの点において前提を欠き失当というのほかはない。 論旨は理由がない。 (中略)なお、原審における本件審理については、原審訴訟記録に明らかなとおり、異常、異例ともいえる事態が生じたのであるが、当審公判廷においても、これと同様、常識では考えられないような事態が発生したため、控訴審としても、先例がないような処置に出ざるを得ないこともあつたので、これらの点につき、若干の説明を付け加えて置く。 一、第一回(昭和四五年二月二日)公判期日において、弁護人側の控訴趣意の陳述につき、いわゆる擬制陳述の処置をとつたことについて。 <要旨第二>この点については、同期日にかかる公判調書の記載により明らかなとおり、弁護人側は、公判冒頭から、法</要旨第二>廷警備態勢が過剰であるとして、警察官要請の理由の説明を求め、これに対する裁判長の回答を不満として、訴訟指揮に対する異議を申し立て、これが棄却されるや、裁判官全員の忌避 公判冒頭から、法</要旨第二>廷警備態勢が過剰であるとして、警察官要請の理由の説明を求め、これに対する裁判長の回答を不満として、訴訟指揮に対する異議を申し立て、これが棄却されるや、裁判官全員の忌避を申し立て、右申立はいわゆる簡易却下されたものであるが、その間、裁判長は、右異議申立以前の段階から、弁護人側に対し控訴趣意の陳述を促し、十分にその機会を与えていたのに、弁護人側はいわゆる合議(意見調整)をしたのちも、右陳述をすることがなかつたので、裁判長としては、つぎの手続に進むほかないものとして、やむなく検察官の答弁を求め、同期日の手続を終了したものである。いうまでもなく、刑事控訴審における通常の手続は、弁護人あるいは検察官の控訴趣意の陳述をもつて始まり、これによつて審判の対象である争点が確定し、その後、これに対する相手方の答弁、双方の事実取調の請求と、手続が進行していくのであつて、本件経過に明らかなように、何ら正当な理由がないのに(前記忌避申立の簡易却下決定に対する異議申立が棄却されたことは、記録上明らかである。)、弁護人が控訴趣意の陳述を肯んじないということは、控訴申立人の弁護人の態度として、全く理解に苦しむところであつて、かような場合には、控訴趣意の撤回があつたものと扱うべきであるとする見解もあり得ようが、それはとにかくとして、それまでの訴訟の経過のほか、本件事案の性質、被告人らの置かれている立場、境遇等にかんがみ、とにかく審理の促進をはかることが被告人らの客観的利益となるものと信ずる当裁判所としては、以上の措置に出ざるを得なかつたものであつて、何ら非議されるべきいわれはないものと考える。 (以下省略)(裁判長判事栗本一夫判事小川泉判事藤井一雄) て、何ら非議されるべきいわれはないものと考える。 (以下省略)(裁判長判事栗本一夫判事小川泉判事藤井一雄)

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