主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求原告が平成12年7月21日付けで被告に対してした別紙物件目録記載の建物の平成12年度固定資産税に係る固定資産課税台帳の登録価格に関する審査申出について,被告が平成13年6月19日付けでした同審査申出を棄却する旨の決定を取り消す。(別紙省略)第2 事案の概要本件は,原告が,自己の所有する建物の平成12年度固定資産税に係る固定資産課税台帳の登録価格が適正な時価を超えるものであるとして,被告に対し審査申出をしたところ,被告が同審査申出を棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)をしたので,原告がその取消しを求めた抗告訴訟である。 1 争いのない事実等(1) 原告は,平成11年5月ころ,樅産業株式会社(以下「樅産業」という。)との間で,代金850万円で,別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)の売買(建築請負)契約を締結し(以下「本件契約」という。),同月14日ころ,納入を受けて所有している(甲2)。 (2) 名古屋市長は,平成12年6月30日,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。以下,その後に改正されたものも含め「評価基準」という。本件建物を評価するに当たって適用されたのは平成12年1月28日自治省告示第12号による改正後の評価基準である。乙1,2)及びこれを根拠に定められた名古屋市家屋評価事務取扱要領(昭和54年3月7日54財固第11号。以下,その後に改正されたものも含め「取扱要領」という。乙3)に定められた手続に従って,以下のとおり,本件建物についての平成12年度の固定資産税の評価額を1272万4606円と決定し,これを平成12年度固定資産課税台帳に登録した(以下,当 領」という。乙3)に定められた手続に従って,以下のとおり,本件建物についての平成12年度の固定資産税の評価額を1272万4606円と決定し,これを平成12年度固定資産課税台帳に登録した(以下,当該登録価格を「本件登録価格」という。)。 ア再建築費評点数評価基準中の非木造家屋再建築費評点基準表(以下「非木造家屋評点基準表」という。)のうち,軽量鉄骨造の工場,倉庫,市場用建物を対象とするもの(以下「本件基準表」という。乙6)に定められている標準評点数を基礎に,本件建物の使用資材の種別,品等,施工量及び施工の程度等の状況に応じて,別表記載のとおり,部分別評点数を算出し,それらを合計して本件建物の1平方メートル当たりの再建築費評点数を4万6900点(100点未満切捨て)と算出した(甲3の1ないし8,弁論の全趣旨)。 なお,部分別評点数の算出に当たっては,別表記載のとおり,必要に応じて本件基準表記載の補正項目(施工量の多少等)に従って補正が行われた。また,床仕上部分の「クッションフロア」,「縞鋼板」及び「ラワン合板(厚さ12ミリメートル)」については,本件建物に使用されている当該資材と同基準表上の評点項目との下地構成が異なるとの理由で,所要の補正(評価基準第2章第1節六1)が行われ,同じく床仕上部分の「ラワン合板(厚さ12ミリメートル+12ミリメートル)」については,同基準表上,該当する評点項目及び標準評点数が示されていないため,評点項目及び標準評点数を作成の上,適用されている(評価基準第2章第1節六2参照)。 イ損耗の状況による減点補正本件建物の損耗の状況を考慮し,取扱要領(第3章第5節)の別表第6「非木造家屋経年減点補正率基準表」中の「7 工場,倉庫,付属家,簡易付属家用家屋,(1)一般用のもの」,構造別区分「鉄骨造(骨格材の肉厚が3 の損耗の状況を考慮し,取扱要領(第3章第5節)の別表第6「非木造家屋経年減点補正率基準表」中の「7 工場,倉庫,付属家,簡易付属家用家屋,(1)一般用のもの」,構造別区分「鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜を超え4㎜以下のもの)」の「経過年数1年」に相当する経年減点補正率0.969を,前記の再建築費評点数4万6900点に乗じて減点補正を行った。 ウ本件登録価格上記イで求められた評点数に本件建物の評価床面積254.54平方メートルを乗じ,さらに,評点1点当たりの価額1.10円を用いて計算した結果,本件登録価格を1272万4606円と算出した。 なお,評点1点当たりの価額とは,「物価水準による補正率」と「設計管理費等による補正率」とを相乗した率を1円に乗じて得た額を基礎として市町村長が定めるものである。物価水準による補正率とは,評価基準に定める標準評点数の基礎となっている平成10年1月現在の資材費,労務費及び建築工事に直接必要とする諸経費等の工事原価に相当する費用の東京都(特別区の区域)における物価水準に対する市町村におけるそれの割合を示すものであり,非木造家屋にあっては,全市町村を通じ1.00とされている。また,設計管理費等による補正率は,全市町村を通じ,床面積がおおむね10平方メートル以下の簡易な構造の家屋を除き,非木造家屋は1.10とされている(評価基準第2章第4節二「経過措置」。乙1)。したがって,評点1点当たりの価額は,前記のとおり,1.10円となる(乙4)。 (3) 原告は,平成12年7月21日,被告に対し,本件登録価格は適正な時価を超えるものであるとして,地方税法(以下「法」という。)432条に基づき審査の申出をしたところ,被告は,平成13年6月19日付けで同審査申出を棄却する旨の本件決定をした(甲1)。 (4) 再建築 えるものであるとして,地方税法(以下「法」という。)432条に基づき審査の申出をしたところ,被告は,平成13年6月19日付けで同審査申出を棄却する旨の本件決定をした(甲1)。 (4) 再建築費評点基準表の補正等について,評価基準第2章第1節六は,以下のとおり定めている(乙1)。 1 市町村長は,「木造家屋再建築費評点基準表」(別表第8)(以下「木造家屋評点基準表」という。)又は非木造家屋評点基準表(別表第12)を当該市町村に所在する家屋について適用する場合において木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表について所要の評点項目及び標準評点数がないとき,その他家屋の実態からみて特に必要があるときは,木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表について所要の補正を行い,これを適用することができるものとする。 2 市町村長は,当該市町村に所在する家屋で当該家屋の構造等からみて木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表を適用して評価することが困難なものがあるとき又は適当でないものがあるときは,当該家屋の構造,様式,施工量等の実態に応じ,木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表の例によって当該家屋に係る木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表を作成してこれを適用するものとする。 (5) 工場量産組立式のいわゆるプレハブ住宅については,これを市町村長が評価するに当たっての自治大臣(現総務大臣。以下略)の技術的援助(法388条4項)として,特別な評点基準表が準則(「住居,アパート用工場量産組立式(プレハブ方式)構造建物に係る再建築費評点基準表(準則)」)として作成され,参考として示されている(以下「プレハブ準則」という。乙5)。プレハブ準則は,自治省から調査研究を委託された日本建築学会の報告に基づいて作成されたもので,これ 評点基準表(準則)」)として作成され,参考として示されている(以下「プレハブ準則」という。乙5)。プレハブ準則は,自治省から調査研究を委託された日本建築学会の報告に基づいて作成されたもので,これにおいて示されている評点項目に係る標準評点数は,部分ごとのプレハブ化の程度に応じ,在来工法の家屋に適用する再建築費評点基準表の標準評点数の積算の基礎となった合計評点数に生産性向上に基づく補正率を乗じてプレハブ住宅に適用する合計評点数を求め,これに基づいて定められている。 なお,プレハブ準則の適用範囲につき,自治省税務局固定資産税課長から各都道府県総務部長あての通達「工場量産組立式(プレハブ方式)構造等の非木造家屋に適用する再建築費評点基準表(準則)の送付について」(昭和41年11月30日自治固第140号。以下「本件通達」という。乙7)の二1には,「本基準表(準則)を用いるにあたっては,同一プレハブメーカーが同種同型の組立式構造の建物について十分量産を挙げ得ている場合の建物の工事費を基礎として算出されたものであることに留意すること。」と定められており,具体的には,プレハブメーカーが年間同種同型のプレハブ住宅を少なくとも50個以上生産している場合に適用されるとの指導がなされている(乙8)。 (6) 評価基準別表第12非木造家屋評点基準表2(8)イで示される軽量鉄骨造の工場・倉庫・市場用建物の評点基準表は,従前,店舗,事務所等の建物を標準として作成されていたことから,その標準量が実態と相当相違するという問題を生じたため,プレハブ住宅と同様,自治省から調査研究を委託された日本建築学会の報告に基づいて,本件通達により,実態に適合するように補正した評点基準表準則が作成され,示されている(乙7,8)。 本件建物を評価するために用いられた本 から調査研究を委託された日本建築学会の報告に基づいて,本件通達により,実態に適合するように補正した評点基準表準則が作成され,示されている(乙7,8)。 本件建物を評価するために用いられた本件基準表(乙6)は,上記の評点基準表準則に依拠したものである。 2 本件の争点及び争点についての当事者の主張(1) 法388条1項は,租税法律主義を定めた日本国憲法84条に反するか。 (原告の主張)市町村長は,評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならないとされている(法403条1項)ところ,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定めた評価基準は,法388条1項により自治大臣が定め,告示すると定められており,これにより,固定資産税額はほぼ自動的に定まる関係にある。 そうすると,固定資産税の税額決定の中心的要素というべき固定資産の評価額が法律の制約を受けず,自治大臣の告示によって決定されることになるから,このような結果をもたらす法388条1項は租税法律主義を定めた憲法84条に反し,違憲である。 (被告の主張)評価基準は,評価における全国的統一によって市町村間の均衡を維持するため,自治大臣が法律の具体的委任を受けて告示するものであって,一種の委任立法であり,補充立法としての性格を有するから,法388条1項は,租税法律主義に反するものではない。 なお,法349条の3及び法附則15条等,課税標準に特例が定められている場合もあるから,必ずしも固定資産評価額の決定により,固定資産税額が自動的に定まるものではない。 (2) 評価基準は租税法律主義に反するか(原告の主張)評価基準は,その内容が明らかにされておらず,また,標準評点数,補正項目,補正係数,評点1点当たりの価格がいかなる根拠に基 (2) 評価基準は租税法律主義に反するか(原告の主張)評価基準は,その内容が明らかにされておらず,また,標準評点数,補正項目,補正係数,評点1点当たりの価格がいかなる根拠に基づいているのかが明確に示されていない点において,租税法律主義に反し,違憲である。 また,評価基準に示された評点は,東京都(特別区の区域)における物価水準により算出した工事原価相当の費用により決定されるところ,各地方の実情に合わせるための補正は,市町村の広はんな裁量に委ねられ,その基準は何ら示されていない。したがって,評価基準は,基準としての規範性を持ち得ず,租税法律主義に反し,違憲である。 さらに,評価基準が定める再建築費評点基準表の補正等(評価基準第2章第1節六)についても,その基準が客観化されていないならば,租税法律主義に反するものである。 (被告の主張)評価基準の内容は,自治省告示(昭和38年12月25日自治省告示第158号)によって明らかにされているし,各地方の実情に合わせるための補正についても,評価基準第2章第4節(経過措置)において,「物価水準による補正率」が定められ,家屋の工事原価に相当する費用の東京都(特別区の区域)における物価水準に対する地域的格差を考慮して定めることとされ,その率も,非木造家屋についていえば,全市町村を通じて1.00であることが示されている。 (3) 本件建物の価格決定に当たり,施工上の特殊性を考慮しなかったことの違法性(原告の主張)ア評価基準においては,家屋の評価は再建築費を基準とした再建築価格方式によるとされており,同方式では,資材費・労務費等を基礎として積算された標準評点数を評価対象の家屋の施工の実態に応じて適用し再建築価格を求めることとされ,個々の家屋の実際 を基準とした再建築価格方式によるとされており,同方式では,資材費・労務費等を基礎として積算された標準評点数を評価対象の家屋の施工の実態に応じて適用し再建築価格を求めることとされ,個々の家屋の実際の売買価格や建築価格は考慮することとされていない。 しかしながら,法403条1項は,評価基準が市町村長を拘束すると規定しているものの,その他の審査機関や国民を拘束するとは規定していないし,評価基準には狭義の法令としての効力はない。したがって,市町村とは別の組織とされる固定資産評価審査委員会(以下「審査委員会」という。)がこれに拘束されるものではないから,被告は,審査に当たって独自の判断をすべきところ,本件決定は,評価基準に従ったとの名古屋市長の判断を是認しているにすぎないから,判断の理由を示したことにはならず,違法である。 また,法が評価基準を定めた趣旨は,実際の取引価格は当事者の主観的事情に左右されやすいことから,これを排除することによって適正な価格を算出することにあり,法も適正な時価を離れて評価基準を硬直的に適用することを許容しているものではない。固定資産税が物税であり,課税客体である固定資産そのものの価値に着目して課税される財産税である以上,市場で形成される価格こそが適正な時価というべきであるから,実際の取引価格に当事者の主観的なつながり等個別事情の偏差があればともかく,当該家屋の取引価格の形成に合理性がある限り,むしろ実際の建築価格をもって適正な時価とすることが法の趣旨に合致するというべきである。 この点,本件建物の施工方法は,工場において,一定の標準的規格(ユニット成型用の定規)に従って内外装から照明灯の設備まで装備されたユニットを成型・量産の上,現場に搬入し,これを組み合わせて建築するというもので,材料 施工方法は,工場において,一定の標準的規格(ユニット成型用の定規)に従って内外装から照明灯の設備まで装備されたユニットを成型・量産の上,現場に搬入し,これを組み合わせて建築するというもので,材料の無駄もない。かかる施工上の特殊性により,プレハブ住宅と同様に,コストの低額化を実現したものであって,当事者の主観的なつながりの結果,評価基準より低い価格が形成されたものではない。 したがって,本件建物の取引価格の形成には合理性が存するというべきであるから,評価基準に上記の施工上の特殊性を反映して補正した評点基準表が存在しないのであれば,名古屋市長は,評価基準を離れ,本件建物の施工法に応じて独自に評価し,実際の取引価格である850万円をもって適正な時価とすべきであった。それにもかかわらず,何ら理由を示さず評価基準によって本件建物を評価したことは,法の上記趣旨に反して違法であり,これを是認した本件決定も違法である。 イ仮に,評価基準に従って本件建物を評価するとしても,本件建物には,前記アのとおり,プレハブ住宅と同様の施工上の特殊性が存したのであるから,名古屋市長は,これに準じて,相当の補正をすべきであった。 すなわち,プレハブ準則が作成された趣旨は,普及しつつあったプレハブ方式の非木造家屋の評価については,非木造家屋評点基準表を補正することが必要であるところ,これらの建物は,その構造,様式,施工量等が全国的に規格化されているため,各市町村において当該建物に適用する基準を統一することが適当と考えられたことにある。かかる趣旨にかんがみれば,新工法が普及したとまでいえなくても,それが普及しつつある場合には,それに応じた補正をすることが予定されているというべきところ,本件建物は,正しく普及しつつある新しい工法によったものである みれば,新工法が普及したとまでいえなくても,それが普及しつつある場合には,それに応じた補正をすることが予定されているというべきところ,本件建物は,正しく普及しつつある新しい工法によったものである。 にもかかわらず,名古屋市長がこうした補正をしないまま本件建物を評価したことは違法であり,これを是認した本件決定も同様に違法である。 (被告の主張)ア原告は,審査委員会は,評価基準に拘束されないで独自の判断をすべきと主張するが,審査委員会は,地方自治法180条の5第3項2号が執行機関として法律の定めるところにより市町村に置かなければならない旨定めているのを受けて,法423条により設置されたものであり,固定資産の価格決定権限を有する市町村長から機関として独立しているにすぎず,価格に関する不服を審査決定するに当たっては,評価基準に拘束されるものである。 また,家屋に係る固定資産税は,家屋の資産価値に応じて公平な負担を求めることが必要条件であるから,取引時の個別的な事情によって偏差があり得る現実の取引価格を評価の基準として採用することは,評価の適正及び均衡を図る上で妥当性を欠くというべきである。評価基準で採用している再建築価格方式は,評価の対象となった家屋と同一の家屋を,評価の時点において,その場所に新築するとした場合に必要とされる建築費,すなわち,再建築費を求めた上,これに経年損耗による減価を考慮して当該家屋の価格を求めるものであり,家屋を現実に新築した際の特殊事情に左右されることなく適正な時価を算出することのできる最も妥当な方法である。 また,本件建物は,その製作の大半が工場で行われているとはいえ,プラスターボード等工場生産された建築資材の取付作業等,建築現場で行われる工事が工場で行われているだけであ 当な方法である。 また,本件建物は,その製作の大半が工場で行われているとはいえ,プラスターボード等工場生産された建築資材の取付作業等,建築現場で行われる工事が工場で行われているだけであって,施工方法自体は特殊なものではないし,プレハブ住宅のように,あらかじめ,同種同型の建物のために,全国的に同一の規格で,主体構造及び壁体,床部分等についてパネル化の可能な部分はすべて専門工場において生産し,これらの取付け又は組立てを行うことによって建物を完成していく方法ではない。 したがって,原告が主張する本件建物の建築価格は,受注者側の個別的な企業努力によって決定されているものであり,正しく当事者の主観的なつながりの結果,評価基準より低い価格が形成されたものであって,合理的な価格とはいえない。 イ本件建物の施工方法には,前記アのとおり,非木造家屋評点基準表を補正する必要があるような施工上の特殊性は存しない。 なお,評価基準中の非木造家屋評点基準表には,昭和48基準年度より,軽量鉄骨造の工場,倉庫及び市場用建物に適用する評点基準表が加えられているが,これは,それまで工場,倉庫及び市場用建物に適用する「住宅用等以外の建物」用の評点基準表が,事務所,店舗用建物を標準として作成されたものであったため,各部分別の標準量が工場,倉庫又は市場用建物と相当の相違があったことから,実態に適合させる目的で作成されたものである。また,評点基準表に示されている各評点項目の標準評点数は,3年に1度の基準年度ごとに,その時点における一般的な建物の工法,生産技術及び施工方法等の変化に対応して見直され,変更されている。したがって,原告の主張する相当な補正は,既に評価基準の中に取り込まれているから,補正を不要とした名古屋市長,ひいては,被告の本 法,生産技術及び施工方法等の変化に対応して見直され,変更されている。したがって,原告の主張する相当な補正は,既に評価基準の中に取り込まれているから,補正を不要とした名古屋市長,ひいては,被告の本件決定に違法はない。 (4) 平成10年1月以降の資材費等の下落の反映の要否(原告の主張)平成12基準年度の評価基準は,平成10年1月現在の東京都(特別区の区域)の水準により積算替えされたものであるところ,平成10年1月以降,資材費,労務費等が下落していることは公知の事実であるから,仮に評価基準によるとしても,上記下落を評価基準に反映させることが法の趣旨にかなうものである。したがって,そうした補正をしなかった名古屋市長の本件建物の評価には違法が存し,これを是認した本件決定も違法である。 (被告の主張)法が,評価基準に従って家屋を評価し,その家屋の適正な時価を求めると規定している以上,複雑かつ様々な要因に左右され不規則に変動する建築物価の動向を個別的に考慮し,具体的な評価に反映させることは,評価の均衡化及び適正化の観点からできないし,特殊事情及び個別の偏差にとらわれず,適正な時価を求める方法として再建築価格方式が採用されていることに照らしても,これらの事情を考慮することはできない。なお,この問題は,評価基準そのものの適否に関することであり,その判断は被告の審査権限外の事項である。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(法388条1項は租税法律主義に反するか)について租税は,国家がその課税権に基づき,その経費に充てるための資金を調達する目的で,一定の要件に該当するすべての者に課するものであって,民主主義国家にあっては,国家の維持及び活動に必要な経費は,主権者たる国民が共同の費用として代表者を通じて定めるところにより自 を調達する目的で,一定の要件に該当するすべての者に課するものであって,民主主義国家にあっては,国家の維持及び活動に必要な経費は,主権者たる国民が共同の費用として代表者を通じて定めるところにより自ら負担すべきものであるが,かかる租税の賦課徴収は,国民の財産権に直接影響を与えるものであるから,課税権者の恣意的な課税を排し,国民の財産権が不当に侵害されることを防止し,国民の経済生活に予測可能性と法的安定性を与える見地から,その手続に関する事項は法律で規定されなければならない。憲法もかかる見地の下,国民の総意を反映した租税立法に基づいて納税の義務を負うことを定め(30条),新たに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要としている(租税法律主義,84条)。それゆえ,課税要件(納税義務者,課税物件,課税物件の帰属,課税標準及び税率)及び租税の賦課徴収の手続は法律によって規定されなければならない。 しかしながら,租税法が対象とする経済事象は,極めて多種多様であり,しかも時の経過により激しく変遷することがあるため,法律の形式をもってこれに完全に対応することは困難であり,課税の公平を実現するためには,その具体的,細目的な定めを下位規範に委任し,事象の変遷に伴って機動的に対応していく必要があることは否定できない。これに加え,憲法84条が「法律又は法律の定める条件による」と規定していることに照らすと,前記のとおり,課税要件の基本的事項については法律の形式によるべきであるが,その具体的,細目的事項については,下位規範の定めるところに委ねることを憲法自身が予定しているというべきである。 そして,前述の租税法律主義の原則に照らせば,下位規範への委任をすることも,それが概括的,白紙的なものでなく,法律自体から委任の の定めるところに委ねることを憲法自身が予定しているというべきである。 そして,前述の租税法律主義の原則に照らせば,下位規範への委任をすることも,それが概括的,白紙的なものでなく,法律自体から委任の目的,内容,程度等が明確にされていれば許されるものと解すべきである。 しかるところ,法は,課税客体(法342条,348条),納税義務者(343条),課税標準(349条ないし同条の5),税率(350条)等の基本的事項を定めており,ただ,課税標準とされた台帳登録価格の具体的算定方法及び手続については,評価基準に委ねられているところ,これらは,上記のように経済事象への機動的な対応が求められ,下位規範への委任の必要性が大きい事柄と考えられる。そして,法388条1項は,自治大臣に委任する内容を「固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続」と個別具体的に規定しているし,これを受けて,評価基準の内容も,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を,土地,家屋及び償却資産に分け,細目的,技術的見地から詳細に規定している。したがって,自治大臣が評価基準を定めることは,法388条1項の委任の範囲内にあって,租税法律主義の趣旨を損なうものではないというべきである。 よって,自治大臣の定めた評価基準によって固定資産の評価額が定まることが租税法律主義に反し,違憲であるとの原告の主張は採用できない。 2 争点(2)(評価基準は租税法律主義に反するか)について(1) 租税法律主義の趣旨が,前記のとおり,課税権者の恣意的な課税を排し,国民の財産権が不当に侵害されることを防止し,国民の経済生活に予測可能性と法的安定性を与えるものであることにかんがみれば,課税要件及び租税の賦課徴収の手続は,具体的な税額を算定する過程に課税権者の恣意的な裁量を入れ 当に侵害されることを防止し,国民の経済生活に予測可能性と法的安定性を与えるものであることにかんがみれば,課税要件及び租税の賦課徴収の手続は,具体的な税額を算定する過程に課税権者の恣意的な裁量を入れる余地がなく,かつ,納税義務者が自己に賦課される税額を一定程度予測することができ,不当又は違法な課税処分に対して,行政上の不服申立てや訴えの提起をなすべきか否かについて合理的な判断を可能ならしめる程度に一義的かつ明確に規定されていることが要請される。 しかるところ,証拠(乙1,2)によれば,評価基準の内容である標準評点数,補正項目,補正係数及び評点1点当たりの価格等が,自治省告示(昭和38年12月25日自治省告示第158号。その後の改正も含む。)によって明示されていることは明らかである。 また,標準評点数が,当該固定資産の標準的な形態,材質,使用量等を備えていると認められるものに対する単位面積当たりの基準点数(乙1によれば,1点は,基準年度の賦課期日の属する年の2年前の1月現在の東京都(特別区の区域)における物価水準により算定した工事原価に相当する費用に基づいて,その費用の1円を示すものであることが認められる。)を意味し,補正項目及び補正係数が,評価額に影響を及ぼすと認められる上記形態,材質,使用量等の諸要素と影響の度合いを意味し,評点1点当たりの価格が,評点数を具体的な金額に転換する際に用いられる係数を意味することは明らかであるところ,これらが,日本建築学会による実情の調査研究の結果を反映したものであることは,プレハブ準則等の作成の経緯(前記第2の1(5),(6))等に照らして優に認めることができる。 そうすると,評価基準の内容が明らかでないとか,それらの根拠が示されていないことを理由に評価基準が租税法律主義に反する 経緯(前記第2の1(5),(6))等に照らして優に認めることができる。 そうすると,評価基準の内容が明らかでないとか,それらの根拠が示されていないことを理由に評価基準が租税法律主義に反するとする原告の主張は採用できない。 (2) また,原告は,各地の物価水準の実情に合わせるための補正について,その基準が示されていないと主張するが,前記争いのない事実等(第2の1(2))記載のとおり,評価基準第2章第4節二「経過措置」の物価水準による補正率は,非木造家屋については,全市町村を通じ,東京都(特別区の区域)と同率の1.00とされていることが認められる(これは,非木造家屋については,各地方ごとに工事原価の有意の違いが認められないことを反映したものである。なお,乙1によれば,木造家屋については,都道府県庁所在地ごとに補正率が異なり,かつ,それ以外の市町村においては,市町村長に一定の範囲で上記と異なる補正率を用いる権限を与えているが,これは恣意的な補正率使用を許すものではなく,当該地方の物価水準を反映した合理的な補正率を用いるべきことを義務づけるものと認められる。)ので,上記主張は採用できない。 (3) さらに,原告は,評価基準が定める再建築費評点基準表の補正等(評価基準第2章第1節六)についても,補正を行う基準が客観化されていないのであれば,かかる点も租税法律主義に反する旨主張する。 しかしながら,甲1によれば,そもそも本件決定は,本件建物の建築に用いられた「施工方法が,標準評点数を補正する必要があるような施工方法であるとは認められ」ないことを理由に,本件基準表を補正する必要はないと判断していることが認められるから,原告の上記主張は,自己の法律上の利益に関係のない違法を指摘するもの(行訴法10条1項)として採用できない(ち れ」ないことを理由に,本件基準表を補正する必要はないと判断していることが認められるから,原告の上記主張は,自己の法律上の利益に関係のない違法を指摘するもの(行訴法10条1項)として採用できない(ちなみに,上記補正も,市町村長の恣意を許すものではなく,その地方の家屋の構造等に照らして,合理性を有すると認められる範囲において行われるべきことは当然である。)。 3 争点(3)(本件建物の価格決定に当たり,施工上の特殊性を考慮しなかったことの適法性)について(1) まず,原告は,評価基準は被告を拘束するものではないし,実際の取引価格が一定の合理性を持って形成された以上,それこそが適正な時価というべきであるから,本件建物の評価に当たり,被告は,評価基準にとらわれることなく実際の取引価格をもって評価額とすべきであった旨主張する。 そこで判断するに,固定資産税は,いわゆる物税であって,資産の所有という事実に着目し,課税客体である固定資産そのものの価値に根拠を置いて課せられる財産税であるから,資産から生ずる現実の収益に着目して課税される収益税とは異なり,担税力は固定資産そのものの有する客観的価値に応じて決定されるべきものである。そして,家屋の固定資産税課税標準額は,適正な時価(法341条5号)として課税台帳に登録されたものによって決定される(法349条)ところ,固定資産税の上記性格に照らせば,その課税標準となる適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該家屋の取引価格,すなわち,家屋自体の有する客観的な交換価値をいうものと解される。 ところで,法は,固定資産の評価については,評価基準によることを求めているところ,評価基準は,家屋についての適正な時価の算定につき,評価客体と同一のものを再建築し,これに要した費用に各種増減価を施 ところで,法は,固定資産の評価については,評価基準によることを求めているところ,評価基準は,家屋についての適正な時価の算定につき,評価客体と同一のものを再建築し,これに要した費用に各種増減価を施してその評価額を決定する方法,すなわち再建築価格方式を採用している。固定資産の評価額を決定する方法としては,この外に,家屋の建築費用や売買の際の価格を基準としたり,賃料等家屋の収益力を基準とする方法が考えられるが,これらは,価格決定の際の個別的な事情による偏差を受けやすく,評価上の困難が伴う(売買価格を基準とする方法についていえば,例えば,家屋の取引が一般的に宅地と共に行われている現状の下で,家屋部分のみを分離して評価することは困難であることが挙げられる。)など,評価の基準として看過できない難点が存するのに対し,再建築価格方式は,こうした個別的な特殊事情に左右されることなく家屋の客観的時価を把握することが可能で,かつ,基準を整備することによって評価も比較的容易であるから,大量の固定資産につき適正かつ公平な税負担を迅速に実現することが要求される課税事務において,適正な時価の算出に最も適当な評価方法であるというべきである。無論,現実に存在する建物は,使用されている資材,規模,施工の程度等が様々に異なっていて,厳密には全く同一の建物が存在しないということもできるが,そうであっても,建築上の社会通念として,標準的なものを想定することは可能であるから,評価基準が,標準的なものの一般的価格を標準評点数とし,更に価格形成に影響を及ぼす諸要因とその影響の程度を補正項目及び補正係数として定めることにより,通常予想され得る範囲内の建物については対応することとし,その範囲を超える例外的な場合についても,前記争いのない事実等(第2の1(4))記載のとおり,一定の 項目及び補正係数として定めることにより,通常予想され得る範囲内の建物については対応することとし,その範囲を超える例外的な場合についても,前記争いのない事実等(第2の1(4))記載のとおり,一定の要件の下,評点基準表に所要の補正を加えたり,新たに評点基準表を作成適用すべき場合について規定し,対応可能な仕組みを採用している。評価基準が定めるこのような評価の仕組みは,適正な時価の算出の方法等として合理性を有するというべきである。 他方,審査委員会は,固定資産課税台帳に登録された事項(土地登記簿又は建物登記簿に関する事項等を除く。)に関する不服を審査決定するために設置されたものであり(地方自治法180条の5第3項2号,法423条),行政組織上,固定資産の価格を決定する市町村長から独立しているが,これは,固定資産の評価を巡る不服に関する審査決定機関としての第三者性,中立性を確保せんとするものにすぎないから,審査委員会が適正な時価の算出手段として合理性を有する評価基準を離れて,独自の方法をもって評価する権限を行使することは,およそ法の予定しないところというべきである。 よって,評価基準に従って本件建物を判断しようとした名古屋市長の評価方法は適法であり,同様に被告の審査方法も適法であって,この点についての原告の主張を採用することはできない(なお,本件において評価基準の補正をする必要が存したか否かについては,次の(2)で検討する。)。 (2) 次に,原告は,本件建物の工法は在来工法と異なる施工上の特殊性を有するから,仮に,本件建物に適用するプレハブ準則が存しないとしても,それに準じて,評点基準表に相当の補正をすべきであったにもかかわらず,それをしなかった名古屋市長の評価には違法があり,これを是認した被告の本件審査決定も違法である旨 プレハブ準則が存しないとしても,それに準じて,評点基準表に相当の補正をすべきであったにもかかわらず,それをしなかった名古屋市長の評価には違法があり,これを是認した被告の本件審査決定も違法である旨主張する。 前記のとおり,家屋についての適正な時価とは,家屋自体の有する客観的な交換価値をいうところ,家屋についての適正な時価の算定は,個別的,具体的に鑑定評価することも考えられなくはないが,全国に大量に存する建物について,一定の時間的制約の中で公平に価格の評価を行うことは,人的資源の限界等により困難であるから,法は,評価方法を自治大臣の定める評価基準によらしめ,評点基準表によって算定される再建築価格をもって統一的に適正な時価とすることを原則とする一方,例外的な事例に対しては所要の補正等を行うことによって対応することを予定しているものと解される。 ところで,ある建物の施工方法が既存の評点基準表を補正して適用すべき特殊要因に当たるかについて検討するに,前記のとおり,適正な時価が家屋自体の有する客観的な交換価値を意味することに照らすと,このような要因に当たるというためには,単に一般の施工方法と比較して特殊性を有するというだけでは足りず,そのような工法を用いることによって,完成した家屋の客観的な交換価値の形成に無視し得ない影響を与えることが一般的に承認されていることが必要というべきである。例えば,ある建築業者の創意工夫によって,材料費や人件費を節約することができ,その結果,請負ないし売買代金を低廉に設定することができたとしても,完成した家屋の形態,機能,規模等が一般的な工法によって建築された他の家屋とほぼ同じであるならば,客観的な交換価値も他の家屋とほぼ同じ程度と評価されるであろうし,評価されるべきである(卑近な言い方をすれば,この 形態,機能,規模等が一般的な工法によって建築された他の家屋とほぼ同じであるならば,客観的な交換価値も他の家屋とほぼ同じ程度と評価されるであろうし,評価されるべきである(卑近な言い方をすれば,この場合は,「値打ちな買い物をした」にすぎず,担税力を低く評価する根拠にはならない。)。もっとも,当該創意工夫を採用する業者が増え,あるいは当該業者の受注件数が伸びて,そのような工法がある程度一般化し,その結果,そのような工法によって建築された家屋が他の家屋と異なる交換価値を有することが客観的,一般的に認識されるようになれば,その時点においては,当該施工方法が家屋自体の客観的な交換価値の形成に無視し得ない影響を与えることが一般的に承認されたものとして,所要の補正等をすることが検討されてしかるべきである。前記争いのない事実等(第2の1(5))の示す,プレハブ住宅に適用されるプレハブ準則の作成過程及び適用要件は,正しくこのような見地から合理性を有するものとして是認できる。 そこで,本件建物について検討するに,証拠(甲3の3ないし8,5の1ないし9,6ないし8,9の1ないし8,10,11)及び弁論の全趣旨によれば,本件建物の施工方法は,工場において,規格化された軽量鉄骨のユニットの数タイプを設計図に従って組み立て,これにプラスターボード,内外装設備,照明灯などを取り付けてユニットを製作し,その後,各ユニットを建築現場に運搬してクレーンで決められた位置に据え付け,これをボルト等の固着手段でもって順に固定していくものであること,この工法によれば,部屋となるユニットのほとんどの製作工程は,工場内で能率よく行われ,天候の影響を受けることがないので,建築現場での作業を大幅に短縮できることなどの事実が認められ,これらに照らせば,本件の施工方法は,いわゆ ユニットのほとんどの製作工程は,工場内で能率よく行われ,天候の影響を受けることがないので,建築現場での作業を大幅に短縮できることなどの事実が認められ,これらに照らせば,本件の施工方法は,いわゆるプレハブ工法と共通した目的,態様,長所を有すると判断することができる。 しかしながら,上記のいわゆるユニット方式は,本件建物の売主である樅産業が創業後まもなく手掛けたもので,現在でも数社が採用しているにすぎないことが認められる(甲7)から,このような工法がある程度広まり,その結果,このような工法によって建築された家屋自体の客観的交換価値は,従来の工法によるものと比較して低く評価されるとの認識が一般化しているとは到底認め難い。 また,証拠(乙5,6)によれば,本件建物に適用された本件基準表の評点数は,プレハブ準則のそれよりも低く設定されている(後者の適用対象が住宅であるのに対し,前者は工場,倉庫,市場用建物を適用対象としていることの反映である。)ところ,本件建物の評価に当たり,別表記載のとおり,主体構造部が既成部材で組み合わされていることを考慮して0.70の補正が行われ,また間仕切骨組部分の評価につき,現場組立てでないことをしんしゃくして「既製品」の標準評点数が適用されているなど,既存の評点基準表の枠内で本件建物の施工方法を配慮した評価がなされていることが認められる。 以上を総合すれば,名古屋市長が本件建物の評価に際して既存の非木造家屋評点基準表を適用し,前記所要の補正等を行わなかったからといって違法とはいえず,したがって,これを是認した被告の本件決定も違法とはいえない。 4 争点(4)(平成10年1月以降の地価の下落の反映の要否)について前記争いのない事実等(第2の1(2))記載のとおり,平成12基準年度の評価基準 認した被告の本件決定も違法とはいえない。 4 争点(4)(平成10年1月以降の地価の下落の反映の要否)について前記争いのない事実等(第2の1(2))記載のとおり,平成12基準年度の評価基準は,平成10年1月現在の東京都(特別区の区域)の水準により積算替えされたものであるところ,原告は,平成10年1月以降,資材費,労務費等が下落していることは公知の事実であるから,これを評価基準に反映させることが法の趣旨にかなうにもかかわらず,かかる補正をしなかったことは違法である旨主張する。 なるほど,固定資産の評価を行うに当たり,できり限り評価時点に近接した時点における物価動向を把握し,これを基礎として標準評点数等が定められることが正確な評価額を決定する上で望ましいといえる。 しかしながら,建築資材や人件費等の工事原価を調査,検討し,これを統計化して標準評点数等に反映させるためには相当な期間を要することが見込まれるので,調査時点と評価時点における工事原価との間に無視し得ないかい離が存すると認められない限り,前者の工事原価をもって評価の基礎とすることを法は許容していると解すべきところ,平成10年1月以降平成12基準年度までの間に,景気後退の影響を受けて特定の分野の消費者物価が下落傾向を示したことは否定できないが,建築の分野において無視し得ない物価の下落が生じたことが公知の事実であるとは到底認められず,その事実を示す証拠もない。 よって,原告の上記主張も採用できない。 第4 結論以上の次第で,原告の本訴提起は理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤 ,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官小嶋宏幸
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