- 1 -平成18年(ワ)第4428号損害賠償請求事件平成18年(ワ)第6631号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成18年5月17日判決原告株式会社イー・ピー・ルーム被告住友石炭鉱業株式会社同訴訟代理人弁護士鈴木修同横井康真主文 原告の請求の趣旨( )記載の訴えを却下する。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨( )被告は,原告に対し,金10万円及びこれに対する平成18年3月16日 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( )特許第2640694号の請求項1ないし3に係る特許の取消理由は無効 であることを確認する(以下「本件無効確認の訴え」という。)。 ( )被告は,原告に対し,金10万円及びこれに対する平成18年4月19日 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( )訴訟費用は被告の負担とする。 ( )仮執行宣言 請求の趣旨に対する答弁( )本案前の答弁 主文第1項同旨- 2 -( )本案についての答弁 原告の請求をいずれも棄却する。 第2当事者の主張 請求原因( )本件特許権 原告は,以下の特許権を有していた(以下「本件特許権」という。)。 特許番号特許第2640694号発明の名称放電焼結装置出願日平成2年9月18日優先日平成2年2月2日優先権主張国日本公開番号特開平4-9405登録日平成9年5月2日( )異議決定等 ア被告は,平成10年2月13日,本件特許権の請求項1ないし3の特許につき,異議申立てをした(以下「本件異議申立て」という。)。 イ特許庁は,この事件を平成10年異議第70682号として審理し ア被告は,平成10年2月13日,本件特許権の請求項1ないし3の特許につき,異議申立てをした(以下「本件異議申立て」という。)。 イ特許庁は,この事件を平成10年異議第70682号として審理し,平成13年7月4日,本件特許権の請求項1ないし3に係る特許を取り消す旨の決定をし(以下「本件取消決定」という。),同決定は,平成15年10月9日,上告不受理決定等により確定した。 ( )取消理由の不存在 ア本件取消決定の理由は,原告がした平成7年3月14日付け手続補正は明細書又は図面の要旨を変更するものであり,本件特許権の出願日は平成7年3月14日とみなされるところ,その請求項1ないし3に記載された発明は,その出願前に頒布された刊行物1(特開平4-9405号公報)に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項に違反してされ- 3 -たものである,というものである。 イしかしながら,上記要旨変更との特許庁審判官の判断は誤りである。 ( )不法行為 ア被告がした本件異議申立ては,実公昭46-5289号公報(甲5)が存在するにもかかわらずされたものであり,違法である。 イ被告には,故意又は過失があった。 ( )本件基本契約違反 ア原告は,平成6年1月14日,被告との間で,取引基本契約(甲10)を締結した(以下「本件基本契約」という。)。 イ本件基本契約の前文は,原告と被告は,原告被告間における請負又は物品の売買取引に関し,相互の利益を尊重し,かつ信義誠実の原則に従った契約の履行を確保するため,この取引基本契約を締結する旨定めている。 ウ本件異議申立ては,本件基本契約に違反してされたものである。 ( )損害 ア本件異議申立ての結果,特許庁審判官は,本件取消決定をした。 イ本件 め,この取引基本契約を締結する旨定めている。 ウ本件異議申立ては,本件基本契約に違反してされたものである。 ( )損害 ア本件異議申立ての結果,特許庁審判官は,本件取消決定をした。 イ本件特許権が存続していれば,原告は,被告とライセンス契約を締結するなどして,10万円を超えるライセンス料を得ることができた。 ( )確認の利益等 ア本件無効確認の訴えは,訴えの利益を有する。 イ本件無効確認の訴えは,飽くまで被告を相手方とするものであり,そのような訴えとして訴えの利益等が判断されるべきである。 ( )まとめ よって,原告は,被告に対し,次の支払等を求める。 ア不法行為(上記( ))に基づく損害金の一部10万円及びこれに対する不法行 為後である平成18年3月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(請求の趣旨( )), - 4 -イ請求の趣旨( )記載の無効確認, ウ本件基本契約違反(上記( ))に基づく損害金の一部10万円及びこれに対す る訴状送達の日の翌日である平成18年4月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(請求の趣旨( )) 請求原因に対する認否( )請求原因( )(本件特許権)は認める。 ( )同( )(異議決定等)は認める。 ( )同( )(取消理由の不存在)は否認する。 ( )同( )(不法行為)は否認する。被告は,平成6年法律第116号による改正 後の特許法113条2号に基づき,適法に異議申立てをしたものであり,本件異議申立てには,何ら違法性はない。 ( )同( )(本件基本契約違反)ア及びイは認め,ウは否認する。本件基本契約に は,本件特許権についての言及はなく,本件特許権に対する異議 のであり,本件異議申立てには,何ら違法性はない。 ( )同( )(本件基本契約違反)ア及びイは認め,ウは否認する。本件基本契約に は,本件特許権についての言及はなく,本件特許権に対する異議申立てを禁止する条項もないから,本件異議申立ては,本件基本契約に違反するものではない。 ( )同( )(損害)は否認する。 ( )同( )(確認の利益等)は争う。 ア本件無効確認の訴えは,東京高等裁判所が専属管轄を有する事件(特許法1,78条1項)が東京地方裁判所に中間確認の訴えとして提起されたものであるから中間確認の訴えの要件を欠く(民事訴訟法145条1項ただし書)。 イ本件無効確認の訴えは,国を被告として提起されるべきであり,被告とすべき者を誤った訴えとして却下されるべきである。 ウ本件無効確認の訴えは,訴えの利益を欠くから,却下されるべきである。 理由 不法行為に基づく損害賠償請求について。 ( )請求原因( )(本件特許権)及び( )(異議決定等)は,当事者間に争いがない ( )原告は,本件異議申立ては不法行為法上違法である旨主張する。 - 5 -平成6年法律第116号による改正後の特許法113条は,何人も特許法29条違反等の事由があるときは,特許庁長官に対し,異議の申立てをすることができる旨規定していたものであり,本件異議申立ては特許法により認められた権利の行使であるから,それが不法行為法上違法となるには,権利の濫用に当たる事情が必要であると解される。しかしながら,本件異議申立てが権利の濫用に当たることを認めるに足りる事実の主張立証はない。 ( )したがって,原告の不法行為に基づく損害賠償請求は,その余の点につい て判断するまでもなく理由がない。 本件基本契約違反に基づく損害賠償請求 ことを認めるに足りる事実の主張立証はない。 ( )したがって,原告の不法行為に基づく損害賠償請求は,その余の点につい て判断するまでもなく理由がない。 本件基本契約違反に基づく損害賠償請求について( )原告が平成6年1月14日,被告との間で,本件基本契約(甲10)を締結 したこと,及び本件基本契約の前文は,原告と被告は,原告被告間における請負又は物品の売買取引に関し,相互の利益を尊重し,かつ信義誠実の原則に従った契約の履行を確保するため,この取引基本契約を締結する旨定めていることは,当事者間に争いがない。 ( )原告は,本件異議申立ては本件基本契約に違反してされた旨主張する。 しかしながら,本件基本契約は,ライセンス契約において多く見られるようなライセンシーはライセンサーの特許権につき無効審判請求等を行わないことを定めた条項を有していないし(甲10),原告が指摘する本件基本契約の前文も,各種契約において定型的に規定されている内容を超えるものではないから,本件異議申立てをもって,本件基本契約に違反するものと認めることはできない。 ( )したがって,原告の本件基本契約違反に基づく損害賠償請求は,その余の 点について判断するまでもなく理由がない。 本件無効確認の訴えの適否について( )本件無効確認の訴えは,被告を相手方として提起されたものであるから, 民事訴訟(せいぜい争点訴訟)として適法であるか否かを検討せざるを得ない。 ( )次に,中間確認の訴えとして検討しても,また,通常の訴えの追加的変更 - 6 -として検討しても,本件無効確認の訴えは,過去の法律関係の確認を求めるものであり,しかも,過去の法律関係を確定することが現在の紛争の解決のために有効かつ適切であると認めることもできない。 ( )よって,本件無 ても,本件無効確認の訴えは,過去の法律関係の確認を求めるものであり,しかも,過去の法律関係を確定することが現在の紛争の解決のために有効かつ適切であると認めることもできない。 ( )よって,本件無効確認の訴えは,確認の利益を欠くものとして却下を免れ ない。 結論 以上によれば,原告の請求のうち本件無効確認の訴えは,不適法な訴えとして却下すべきであり,その余の請求は,理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部市川正巳裁判長裁判官杉浦正樹裁判官頼晋一裁判官
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