主文 被告人を懲役17年に処する。 未決勾留日数中130日をその刑に算入する。 さいたま地方検察庁で保管中の包丁1本(令和6年さいたま領第530号符号1)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は第1 令和5年8月29日午後9時2分頃、埼玉県三郷市(住所省略)所在の株式会社A敷地内において、B(当時52歳)に対し、殺意をもって、包丁(刃体の長さ約17.4センチメートル、令和6年さいたま領第530号符号1)でその右背部、左側胸部等を複数回突き刺すなどし、よって、同日午後10時17分頃、千葉県松戸市(住所省略)所在のC病院において、同人を右背部刺創による緊張性気胸により死亡させた。 第2 業務その他正当な理由による場合でないのに、同日午後9時2分頃、前記株式会社A敷地内において、前記包丁1本を携帯した。 (証拠の標目)(省略)(累犯前科)(省略)(法令の適用)(省略)(量刑の理由)犯行態様は、被害者の殺害を決意するや、無防備な被害者を背後からいきなり相当強い力で突き刺し、さらに逃げる被害者を追いかけ、転倒した被害者に馬乗りになって繰り返し突き刺すなどしたというもので、強固な殺意に基づく危険で執よう な犯行である。被害者を突然喪った内妻や長女の喪失感は大きく、悲しみは深い。 犯行に至る経緯及び犯行動機について、被告人は、以前から世話になっていたものの、前刑出所後は距離を置こうとしていた元暴力団準構成員の被害者から、令和5年3月以降、返す必要のない入れ墨費用等の総額300万円を返済するよう求められ、親や親戚に頼ってでも金を用意するように迫られたり、刃物で脅されたりなどもして追い詰められていた中、本件当日、被害者から、今すぐ金を用意しろ、それができないなら親のところに を返済するよう求められ、親や親戚に頼ってでも金を用意するように迫られたり、刃物で脅されたりなどもして追い詰められていた中、本件当日、被害者から、今すぐ金を用意しろ、それができないなら親のところに行くしかないなどと決めつけるように言われ、怒りや恐怖心などから被害者の殺害を決意した旨述べているところ、被害者の内妻ら関係者の供述を踏まえても、かかる被告人の供述を排斥することはできないが、被告人の供述を前提としても、本件当日、被告人やその親が被害者から危害を加えられる危険性が差し迫っていたわけではないし、父親をはじめ周囲に相談するなど他の方法を取るべきであったにもかかわらず、被害者を殺害することを選択したもので、被告人が述べる経緯を大きく酌むことはできず、被告人が異種とはいえ二度の服役を経験した累犯前科を有し、犯罪をしないよう強く求められていたことも考慮すると、短絡的に本件犯行に及んだ意思決定は厳しく非難されるべきである。そうすると、被告人の刑事責任は重い。 以上に加え、被告人が罪を認め、当公判廷において被害者や遺族に対する謝罪の言葉を述べ、資格を取得して真面目に稼働し、暴力団とは関わらないなどと述べたこと、出廷した父親が更生支援団体であるNPO法人の支援等も受けて被告人の更生に協力する旨述べたことなどの被告人のために酌むことのできる事情も考慮し、量刑検索システムの同種事案(殺人罪、単独犯、凶器等:あり(刃物類)、被告人から見た被害者の立場:知人・友人・勤務先関係、処断罪と同一又は同種の罪の件数:1件)の量刑傾向も参照の上、主文の刑が相当であると判断した。 (求刑懲役18年、弁護人の科刑意見懲役13年)令和6年9月6日さいたま地方裁判所第4刑事部 裁判長裁判官室橋雅仁 裁判官中川卓 主文 判断した。 理由 (求刑懲役18年、弁護人の科刑意見懲役13年) 事実 令和6年9月6日さいたま地方裁判所第4刑事部 裁判長 裁判官室橋雅仁 裁判官 中川卓久 裁判官 岡春奈
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