昭和22(れ)129 殺人未遂

裁判年月日・裁判所
昭和22年12月11日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 福岡高等裁判所 0
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破毀し、本件を福岡高等裁判所に差戻す。          理    由  弁護人江川甚一郎上告趣意は「原審の弁護人両名は原審に於て自首減軽を主張し たのである。而してそ

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判決文本文2,070 文字)

主    文      原判決を破毀し、本件を福岡高等裁判所に差戻す。          理    由  弁護人江川甚一郎上告趣意は「原審の弁護人両名は原審に於て自首減軽を主張し たのである。而してそのことは原審の公判調書に「江川弁護人ハ本件ハ被告人ニ於 テ殺意ヲ認メテ居ルガ犯行ニ用ヒタ兇器ヲ出刃庖丁ヤ藁切庖丁等手近カニ鋭利ナモ ノガアツタニモ拘ラス殺人ノ用ニ供スルモノトシテハ極メテ不相当ナ草刈鎌ヲ選ン テ居ル点ソノ他犯罪ノ動機等カラ見テ客観的ニ見タトキ殺意ハ否定サルベキデアル 依テ本件ハ傷害罪トシテ処断サルベキモノデアル併シ被告人ガ殺意ヲ認メテ居ル為 殺人罪ト認定サレルトスレバ証人ノAノ証言ニ依ツテモ明カデアル如ク被告人ハ自 己ノ意思ニ因ツテ犯行ヲ中止シテ居ルノデアルカラ中止未遂トシテ法定ノ減刑又ハ 刑ノ免除アリタイ仮ニ刑ノ免除カナイトキハ犯罪ノ動機カ憫諒スベキモノアルコト ハ法律上ノ自首ニハナラナイトシテモ事実上自首ヲシテ居ルコトト被害者ニ対シ慰 籍ノ方法ヲ講ジ被害者モ寛恕シテ居ルコト被告人ノ家庭ノ事情カ被告人ナクテハ農 耕カ出来ナイ事等デ情状酌量ノ上刑ノ執行猶予ノ判決アリタキ旨弁論シタ堤弁護人 ハ江川弁護人ト同趣旨ノ弁論ヲシタ」とあるに因て推断はつくのである。弁護人は 中止減軽と共に自首減軽を主張し仮定的に法律上自首の効力がないとしても実質的 には自首と同様であるからその他の事情と綜合して刑の執行猶予を与へられたいと 言ふたのであつて唯筆録者の筆が廻らなかつたに過ぎない尚此ことは同公判調書に 裁判長との問答として、問、B巡査ノ報告書ニ依ルト斯様ニナツテ居ルカCカ誰カ ガ報告ニ行ツタノテB巡査カ現場ニ出掛ケテ居ル途中被告人ト会ツタノデハナイカ (巡査Bノ犯罪自首ニ関スル報告書(記録九八丁以下)ヲ読聞ケタ答)、駐在所ニ 行クトB巡査ト言フ人(これは筆録の誤記でCであること 告ニ行ツタノテB巡査カ現場ニ出掛ケテ居ル途中被告人ト会ツタノデハナイカ (巡査Bノ犯罪自首ニ関スル報告書(記録九八丁以下)ヲ読聞ケタ答)、駐在所ニ 行クトB巡査ト言フ人(これは筆録の誤記でCであることは明瞭である)ハ居リマ セヌ私が駐在所ニ行ツタトキB巡査ハ私服ヲ着テ居ツタノデスカ官服ニ着換ヘル迄 - 1 - 約十五分位待タサレタノデアリマスと掲げられて居り又江川弁護人の問に対し被告 人が左記の様に答へて居るのでも窺ひ知ることが出来るのである。問、被告人ガ駐 在所ニ自首シテ行ツタトキ駐在所ニCモ行ツテ居ツタノデハナイカ、答、ソンナ者 ハ行ツテ居リマセンテシタ而して弁護人が自首の点を重視し七月一日附書面を以て 巡査Bの訊問を申出たこともで自首減軽の主張をしたことを証拠立得るのではなか らうか、しかるに原判決は自首減軽の点につき何等の判断を下さす申出た証人Bの 採否につき決定を与へなかつた明かに刑事訴訟法第三百六十条第二項第四百十条二 十項十四に違反し破毀を免れざるものと信ずる」というにある。  本件記録を調べてみると、原審において弁護人は、公判期日前に証人D、A及び Bの三名の訊問を申請したのに対し、原審は証人D及びAの喚問につき決定をなし 公判においてもこの両名の取調を行つたがBについては遂に所論のように採否を決 せずそのまま結審して判決を言渡したことは明白であるそして刑事訴訟法第三四四 条第一項によれば弁護人のかかる証拠調の請求を却下するときは決定をなすべきも のである。かくの如き証拠調の請求につき決定をなすべき場合に原審がこれをしな かつたことは、前記法条に反する違法がある。記録によれば原審においては公判の 最終にあたり、裁判長は「事実並に証拠の取調を終る旨を告げた」旨の記載があり、 又「被告人に対し意見並に最後に陳述したい事はないかと尋ねた」旨の記載があり、 被告人は 。記録によれば原審においては公判の 最終にあたり、裁判長は「事実並に証拠の取調を終る旨を告げた」旨の記載があり、 又「被告人に対し意見並に最後に陳述したい事はないかと尋ねた」旨の記載があり、 被告人は「寛大な処分を仰ぐ旨述べた」と記載されているが、この問答をもつて直 ちに弁護人はさきに請求したBの訊問申請を拠棄したものと解したり、又は原審は 結審に当り同証人訊問の請求を却下したものと解したりすることは、軽々に許され ないところである(同法第四一〇条第一四号)。従つて、本件上告は理由がある。  よつて、刑事訴訟法第四百四十七条、第四百四十八ノ二に則り主文の通り判決す る。  この判決は、裁判官全員の一致した意見である。 - 2 -  検察官松岡佐一関与。   昭和二十二年十二月十一日      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    真   野       毅             裁判官    沢   田   竹 治 郎             裁判官    岩   松   三   郎 - 3 -

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