主文 被告人を懲役11年に処する。 理由 【犯行に至る経緯】被告人は、父母及び姉(被害者)と同居していたが、長年にわたって被害者との折り合いが悪く、同人の日々の言動に不満を溜め込む中で、令和6年3月上旬頃からは、被害者が被告人の部屋に向けて有害なスプレーを噴射していると考えてさらに苛立ちを募らせるようになった。そのような中、被告人は、令和6年3月21日の深夜から明け方の時間帯に、被害者が複数回にわたって被告人の部屋に向けてスプレーを噴射したと考え、被害者の部屋に踏み込んだところ、スプレー缶を手に持った被害者を発見して怒りを爆発させた。 【罪となるべき事実】被告人は、令和6年3月21日午前6時20分頃、奈良県生駒市(住所省略)被告人方において、被害者(当時54歳)に対し、殺意をもって、同人の首を両手で絞め付け、よって、同日午後2時頃、奈良市(住所省略)A医療センターにおいて、同人を扼頸による窒息に基づく低酸素脳症により死亡させて殺害したものである。 【証拠の標目】(省略)【法令の適用】(省略)【量刑の理由】本件犯行態様に計画性はなく、凶器も用いられていないものの、被害者の抵抗やその場に居合わせた母親の制止を振り切って、体格差のある被害者の頸部を強い力で長時間絞め続けており、突発的なものとはいえ強固な意思に基づくものと認められる。 被告人は、被害者が被告人の部屋に向けてスプレーを噴射したことを契機とし て本件犯行に及んだところ、被告人が怒りの感情を抱いたこと自体は理解できないわけではないものの、本件犯行を正当化するほどの事情とはいえない。また、長年にわたる同居生活の中で被害者との確執を抱えていたとはいえ、被告人が述べる被害者への多数の不満はいずれも些細 は理解できないわけではないものの、本件犯行を正当化するほどの事情とはいえない。また、長年にわたる同居生活の中で被害者との確執を抱えていたとはいえ、被告人が述べる被害者への多数の不満はいずれも些細な内容である上に、家庭内での話し合いや第三者への相談等によってその都度対処を試みることが不可能であったとまでは認められない。本件犯行に至った経緯や動機等を大きく酌むことはできない。 以上のことを踏まえれば、本件事案は同種事案との比較において、軽い部類に属する内容とは認められない。 他方で、被告人には反省をさらに深めることが求められるものの、公訴事実を認めており、深い後悔の念も認められる。また、前科前歴もなく、同種再犯の可能性が具体的に懸念される状況とまではいえないこと、複雑な心境をうかがわせながらも早期の社会復帰を願う高齢の母親が存在しており、被告人の更生への一助となり得ることなども、被告人に酌むべき事情といえる。 よって、以上の事情を総合し、主文の量刑とした。 (求刑:懲役15年)令和7年2月19日奈良地方裁判所刑事部 裁判長裁判官澤田正彦 裁判官岡田卓 裁判官林香穂
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