平成11(行ウ)9 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年7月25日 奈良地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文9,582 文字)

主文 1 原告らの請求中第1項にかかる訴えをいずれも却下する。 2 原告らの被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,三郷町に対し,連帯して1416万9000円及びこれらに対する平成11年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,三郷町に対し,連帯して1432万1743円及びこれらに対する平成11年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,三郷町の住民らが原告となり,同町が,町内の高齢者を対象とした旅行を特定の旅行業者に依頼して随意契約により契約し実施したのは違法であって契約は無効であると主張して,町の職員及び旅行業者に対し,不当利得の返還請求として,旅行代金相当額のうち,参加者の個人負担分を除いた町の負担分の返還を三郷町に代位してそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告らは,いずれも三郷町の住民である。 イ被告Aは,後記本件各支出の当時町長であり,被告Bは後記本件各支出の当時,助役であった。 被告日本ツーリストことCは,肩書地において旅行業を営む者である。 (2) 三郷町においては,平成6年より,町の事業として,町内在住の高齢者を対象とした,「三郷町いきいきふれあい旅行」と称する旅行を実施していた。平成9年度,10年度においても,町内在住の70歳以上の者すべてを対象として,参加費(自己負担金)は一人当たり1万円で,その余の費用は町が負担することとして,1泊2日の温泉旅行を実施した(以下,「本件各旅行」といい,年度を区別するときは「本件平成9年度旅行」などという。)。 (3) 三郷町は,被告C 当たり1万円で,その余の費用は町が負担することとして,1泊2日の温泉旅行を実施した(以下,「本件各旅行」といい,年度を区別するときは「本件平成9年度旅行」などという。)。 (3) 三郷町は,被告Cと随意契約を締結して(以下「本件各契約」などという。)本件各旅行をそれぞれ実施し,平成9年5月16日に本件平成9年度旅行の代金のうち,町の負担分として1416万9000円を,平成10年6月5日には同様に本件平成10年度旅行代金のうち町が負担する部分1432万1743円を,被告Cに支払った(以下「本件各支出」などという。)。 (4) 原告らは,平成11年5月17日,本件平成10年度旅行について,同年6月28日には,本件平成9年度旅行について,それぞれ地方自治法242条1項に基づく監査請求をしたが,三郷町監査委員は,同年7月2日,本件平成9年度旅行についての監査請求を監査期間徒過を理由に却下し,同年7月14日,本件平成10年度旅行についての監査請求を棄却した。 (5) 平成12年度においては,いきいきふれあい旅行の手配等の契約については,指名競争入札が実施された。 2 争点(1) 本件平成9年度旅行に関する訴えの適法性(2) 被告Bが地方自治法242条1項4号所定の「当該職員」に当たるかどうか(3) 本件各旅行につき随意契約によったことが違法となるかどうか(4) 郷町の被った損害額及び被告Cの故意,過失 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件平成9年度旅行に関する訴えの適法性)について(被告らの主張・本案前の答弁)前提事実のとおり,本件平成9年度旅行にかかる住民監査請求は,当該監査請求の対象とされた行為が終わった日から1年以上を経過した後にされたものであり,監査請求自体が却下されている。したがって,本件訴訟のうち平成9年度分の公 平成9年度旅行にかかる住民監査請求は,当該監査請求の対象とされた行為が終わった日から1年以上を経過した後にされたものであり,監査請求自体が却下されている。したがって,本件訴訟のうち平成9年度分の公金支出に関する訴えは不適法である。 (原告らの主張)原告らは,平成11年4月から施行された三郷町情報公開条例に基づき本件平成9年度旅行にかかる公文書について三郷町に情報公開請求をしたことによって,本件平成9年度旅行についての支出が違法であると認識したものであり,三郷町情報公開条例の施行前である平成11年3月以前には,原告らは,本件支出が違法であることを知り得なかった。 したがって,原告らには地方自治法242条2項ただし書にいう期間徒過についての正当な理由があるところ,監査委員はこれを看過し,適法な監査請求を誤って却下したものであるから,原告らの本件平成9年度旅行についての訴えは適法である。 (2) 争点(2)(被告Bが地方自治法242条1項4号所定の「当該職員」に当たるかどうか)について(被告Bの主張・本案前の答弁)被告Bは,本件各支出の当時,三郷町の助役であったが,本件各支出に関する決裁権限を有しておらず,本件公金支出に関する財務会計上の行為を行う権限を有していなかった。 したがって,被告Bは,地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に当たらないから,被告Bに対する訴えは却下されるべきである。 (原告らの主張)地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」とは,本来的に決裁権限を持つ長のほか,専決することを任されているか,又は委任を受けて実際に手続を行った者を意味するところ,被告Bは,平成9年においては助役,平成10年においては町長代行者の地位にあり,それぞれ支払伝票の該当欄に押印して決裁しているから,平成9年度 又は委任を受けて実際に手続を行った者を意味するところ,被告Bは,平成9年においては助役,平成10年においては町長代行者の地位にあり,それぞれ支払伝票の該当欄に押印して決裁しているから,平成9年度は実際に決裁した者として,平成10年度分は本来的に決裁権限を有する者として「当該職員」に該当し, 被告適格を有する。 (3) 争点(3)(本件各旅行につき随意契約によったことが違法となるかどうか)について(原告らの主張)ア本件各旅行は,三郷町の事業として実施されているところ,地方自治法234条,同施行令167条の2,三郷町契約規則28条に基づき,旅行業者との契約は競争入札によりこれを行うべきであったのに,被告らはこれをせず,随意契約でこれを行った。 被告らは,旅行に関する契約は競争入札になじまないと主張するが,旅行業者は多数あり,様々なサービスを提供するなどして競争しているのであるから,競争入札になじまないものではない。 本件各旅行は,いずれも契約締結時には,旅行業者4社から見積りあわせをした上で最低価格の見積りを提出した被告Cと契約した上,旅行中に追加料金を発生させ,最終的には他社の見積額を大きく上回る旅行代金になっており,その違法性は著しい。 イ前提事実のとおり,平成12年度から,いきいきふれあい旅行の契約については一般競争入札によることとなったが,いみじくもこのことが,本件各旅行の契約について競争入札によっても何らの問題もないことを示している。 ウそもそも,本件各旅行は,高齢者福祉事業に名を借りた町長,議長,議員等の選挙対策を目的としたものであり,かかる目的からしても違法なものといわざるをえない。 (被告らの主張)ア一般的な旅行業の業務内容は,観光バス等の交通手段の選択,視察見学先の施設や場所等の選定,宿泊施設・部屋の条件 たものであり,かかる目的からしても違法なものといわざるをえない。 (被告らの主張)ア一般的な旅行業の業務内容は,観光バス等の交通手段の選択,視察見学先の施設や場所等の選定,宿泊施設・部屋の条件等の選択,食事や余興等の内容,程度等の検討,参加者の年齢,人数,趣味,し好等に応じた適切なサービス,旅行内容の設定,対応などの複雑多岐な諸条件について,各旅行業者が独自の知識経験等を有しており,各業者がこれらの知識経験等に基づき各旅行を企画立案して提案する性格の事業であって,価格を中心とする定型的な処理には通常なじまない性格の事業といえる。しかも,旅行の目的地,内容等によっては,業者の信用,経験等をも重視すべき性格の事業であって,旅行の企画,立案に当たっては,これら多様な要素を勘案しながら各業者が具体的に企画立案して提案する旅行の内容,価格等を比較検討して決せられるものである。 それゆえ,旅行事業は性質上必ずしも旅行の仕様を示した上で価格を唯一の基準にして競争入札に付することを相当とするものではないから,本件各旅行につきその企画実行について随意契約により特定の業者と契約したとしても,地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないもの」に当たり,適法,有効である。 なお,同条項に該当するかどうかは,法令の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質,目的等諸般の事情を考慮して当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきであるところ,本件各旅行につき随意契約によったのは,前記の趣旨にてらし合理的である。 イ平成12年度のいきいきふれあい旅行において指名競争入札手続を採用したのは,これまで長年継続してきた同旅行の実績に基づき,今日にいたって本件旅行事 によったのは,前記の趣旨にてらし合理的である。 イ平成12年度のいきいきふれあい旅行において指名競争入札手続を採用したのは,これまで長年継続してきた同旅行の実績に基づき,今日にいたって本件旅行事業を実施するために必要とされる具体的な旅行事業の仕様を予め提示することが可能となったことや,町内から同旅行の実施に関する競争性原理の導入を強く要望されたことにかんがみた結果であり,平成11年度までの同旅行に関する業者選定が随意契約に基づき行われたことの当否を検討した結果ではない。 ウ本件旅行は三郷町内の高齢者において,長年社会に貢献されたことを敬愛するとともに長寿をたたえ,高齢者同士の交流を図り,健康意識を目覚めさせて高齢者の参加を促進し,閉じこもり防止や生きがいの高揚をはかり,高齢化社会を明るく活力に満ちたものとするために行われている事業である。 (4) 争点(4)(三郷町の被った損害額及び被告Cの故意,過失)について(原告らの主張)ア前記のとおり,本件各契約はいずれも競争入札により行うべきところ随意契約で行った違法があり,また,前記の旅行の目的からしても,契約は無効である。無効の契約によって支払った金額は全額返還すべきである。 したがって,被告らは連帯して本件各契約にかかる支出額相当の不当利得を返還する責任がある。 イ仮に契約金額全額は損害ではないとしても,競争入札をしなかったために,町は本件各旅行に不必要な出費を強いられ,この部分について無効というべきであるから,少なくとも競争入札を実施した場合の適正な契約価格との差額は不当利得となるというべきである。 前提事実のとおり,平成12年度のいきいきふれあい旅行についての契約は,競争入札によったものであるところ,町の金額は参加者548名に対し,1371万1641円であった。平成9年度の支 べきである。 前提事実のとおり,平成12年度のいきいきふれあい旅行についての契約は,競争入札によったものであるところ,町の金額は参加者548名に対し,1371万1641円であった。平成9年度の支出合計は532名の参加者に対し1899万9000円の支出,平成10年度の支出は,参加者554名に対し1935万1743円の支出となっているから,1名あたりの支出の差と各年度の参加者を乗じた金額(平成9年度について548万9586円,平成10年度について568万7612円)は損害となる。 ウ被告らの後記主張は争う。 (被告らの主張)本件で原告らが返還を請求する公金はすべて本件各旅行の参加者の交通費等の経費の支払に当てられ,その支出に対応する給付を受けており,特段の不合理性のない適法なものであるから,町に何ら損害は発生しておらず,被告Cに不当な利得もない。 (被告Cの主張)仮に本件各契約が法令違反であるとしても,随意契約の制限に関する法令に違反してされた契約の私法上の効力は当然に無効ではなく,違法であることが誰の目にも明らかである場合や契約の相手方において違法であることを知り又は知りうべかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り私法上無効となると解されるところ,被告Cは,すべて三郷町の指示に従って見積書を提出し,契約,代金決済にいたったのであって,被告Cにおいて,本件各契約の当時,本件各契約が随意契約の制限に反する違法なものであったとの認識を持ち得なかった。したがって,被告Cには故意も過失もなく,責任を負わない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件平成9年度旅行に関する訴えの適法性)について証拠(甲1,2,5,7)及び弁論の全趣旨並び った。したがって,被告Cには故意も過失もなく,責任を負わない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件平成9年度旅行に関する訴えの適法性)について証拠(甲1,2,5,7)及び弁論の全趣旨並びに前提事実によれば,本件平成9年度旅行について,三郷町から被告Cに料金の支払がされたのは平成9年5月16日であること,原告らが三郷町監査委員に対し,監査申立てをしたのは平成11年6月28日であること,前記支払は三郷町の所定の予算科目に計上された上,議会の議決を得て執行されていること,町議会の議事及び本件旅行の実施はいずれも公開,公表されていたことの各事実が認められるのであって,本件平成9年度旅行にかかる支出が秘密裏に行われたものとはいえない。 そうすると,原告らの監査請求は,監査の対象となる行為のあった日から1年を経過してからされたものであることが明らかであり,かつ,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」も認められないというべきである。 したがって,本件平成9年度旅行についての訴えは,適法な監査が前置されない不適法なものであり,これについての被告らの本案前の答弁には理由がある。 この点,原告らは,平成11年4月に施行された情報公開条例に基づく情報公開によって初めて本件支出の違法性を知り得たと主張するが,前判示の事実にてらし同主張は採用できない。 2 争点(2)(被告Bが地方自治法242条1項4号所定の「当該職員」に当たるかどうか)について証拠(甲6)及び弁論の全趣旨によると,本件平成10年度旅行への支出については,被告Bは助役の地位にあって町長の代理として決裁していることが認められる。 右事実によると,少なくとも本件平成10年度旅行への支出については,同号所定の「当該職員」に当たるというべきであって,この点についての被告Bの あって町長の代理として決裁していることが認められる。 右事実によると,少なくとも本件平成10年度旅行への支出については,同号所定の「当該職員」に当たるというべきであって,この点についての被告Bの本案前の主張には理由がない。 3 争点(3)(本件各旅行につき随意契約によったことが違法となるかどうか)について(1) 地方自治法234条2項は,同条1項の「指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができる」と定め,同法施行令167条の2第1項は,随意契約によることができる場合を個別具体的に制限列挙している。 なお,三郷町では,三郷町契約規則によって,契約金額が50万円をこえる契約は競争入札に付することとされている。 (2) ところで,地方自治法施行令167条の2第1項2号に掲げる「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」とは,競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難とはいえないが,不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく,当該契約自体では多少とも価格の有利性を犠牲にする結果になるとしても,普通地方公共団体において当該契約の目的,内容にてらしそれに相応する資力,信用,技術,経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約の締結をするという方法をとるのが当該契約の性質にてらし又はその目的を究極的に達成する上でより妥当である,ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も同項1号に掲げる場合に該当するものと解すべきである。 そして,右のような場合に該当するか否かは,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている地方自治法及び同法施行令の趣旨 のと解すべきである。 そして,右のような場合に該当するか否かは,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている地方自治法及び同法施行令の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質,目的等諸般の事情を考慮して当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきものである。 (3) 被告は,これと同旨の見解にたって,旅行事業は性質上必ずしも旅行の仕様を示した上で価格を唯一の基準にして競争入札に付することを相当とするものではなく,本件平成10年度旅行の契約につき随意契約によったのは,前記の趣旨にてらし合理的である旨主張する。 なるほど,証拠(甲8,乙1,D証人,被告C本人)及び弁論の全趣旨によれば,いきいきふれあい旅行は高齢者の健康,生きがいの増進等を図る目的にでたもので,同目的にふさわしい旅行内容であることが求められること,同旅行は平成6年に初めて実施され,本件平成10年度旅行はいまだ5回目のものであること,被告Cは従前三郷町の職員旅行等に携わった実績があること,支出された公金は旅行役務等の対価として支払われ,最終的には参加者に帰属していることの各事実が認められ,これらの事実によれば,被告らの主張は全く理由のないものとは言い難い。 (4) しかし他方,前記各証拠及び弁論の全趣旨によれば,競争入札が行われた平成12年度のいきいきふれあい旅行の仕様書と,本件平成10年度旅行の見積り徴収の際に示された仕様書とでは,内容にさほどの差異がないこと,本件平成10年度旅行は,被告Cのほか3社から見積りを徴求しているが,結局は,最低の見積価格を提示した被告Cと契約していること,平成9年10月にはいきいきふれあい旅行を担当する三郷町民生部福祉課の職員らが平成10 度旅行は,被告Cのほか3社から見積りを徴求しているが,結局は,最低の見積価格を提示した被告Cと契約していること,平成9年10月にはいきいきふれあい旅行を担当する三郷町民生部福祉課の職員らが平成10年度旅行の目的地を視察し,同視察に被告Cが同行していること,この視察に関して町の担当者が処分されていることの各事実も認められ,本件証拠上,本件平成10年度旅行の見積りにおいて,町の担当者が各社の見積り内容が本件旅行の目的に合致するかどうかを詳細に検討した形跡は認められない。 右事実によると,本件平成10年度旅行においては,見積りを提出した業者中被告Cにのみ三郷町の担当者の意向が分かっていたものであって,見積りあわせの手続は公平性,透明性を欠くものであったといわざるをえない。 そうすると,被告A及び同Bは,本件平成10年度旅行の発注に関し,競争入札を実施すべきかどうかについての検討を怠ったまま,漫然と随意契約に至ったものというべきである。 (5) 上記(3)及び(4)の認定判断を総合すると,被告らの主張を考慮したとしてもなお,本件平成10年度旅行にかかる契約を随意契約の方法によったことに格別の合理性を見いだすことはできず,裁量権を逸脱したものといわざるをえない。 したがって,本件平成10年度旅行は,その契約の当時においても,地方自治法施行令167条の2第1項2号の「性質又は目的が競争入札に適しないもの」ということはできず,競争入札を原則とする地方自治法234条2項,同法施行令167条の2の各規定の趣旨を潜脱した違法がある。 4 争点(4)(三郷町の被った損害額及び被告Cの故意,過失)について(1) この点につき,原告らは本件平成10年度旅行に関する契約が,地方自治法234条2項,同法施行令167条の2の規定に反するので無効である旨主張する。 った損害額及び被告Cの故意,過失)について(1) この点につき,原告らは本件平成10年度旅行に関する契約が,地方自治法234条2項,同法施行令167条の2の規定に反するので無効である旨主張する。 (2) しかし,随意契約の制限に関する法令に違反して締結された契約は,随意契約によることができる場合として掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知りうべかりし場合のように,当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える前記,法及び令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り,私法上無効になるものと解される。 しかるに,原告らは,本件において上記特段の事情を何ら主張立証しないし,本件証拠上これを認めるに足りる証拠もない。 (3) そうすると,三郷町は,被告Cに対し,契約に基づく債務の履行として当該金員を支出したにすぎないのであるから,この全部又は一部を三郷町の損害ないし被告Cの不当利得とみることはできない。 したがって,本件平成10年度旅行が地方自治法施行令に違反して随意契約によってされたもので,違法あるとしても,当該契約の無効を前提とする不当利得の返還を求める原告らの主張は,これを採用することができない。 (4) なお,仮に原告らの主張が,本件平成10年度旅行の実施手続が違法であること自体から,すなわち,本件平成10年度旅行の実施手続につき競争入札によらなかったこと自体から損害が生じ,その賠償を求めているものと解するとしても,本件事案においては,競争入札によった場合の契約金額と随意契約による契約金額との差額を認定することはもはや不可能であって,この点に関する原告らの主張も理由がない。 第4 結論 のと解するとしても,本件事案においては,競争入札によった場合の契約金額と随意契約による契約金額との差額を認定することはもはや不可能であって,この点に関する原告らの主張も理由がない。 第4 結論以上によれば,原告らの請求の第1項にかかる訴えは不適法であるからいずれも却下し,請求の第2項は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所第2民事部裁判長裁判官永井ユタカ裁判官島川勝裁判官松阿弥隆

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