主文 1 被告は原告に対し,1397万1832円及びこれに対する平成9年8月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,1,3項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は原告に対し,1541万3147円及びこれに対する平成9年8月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は原告が被告に対し不法行為に基づく損害の賠償及びこれに対する不法行為の終了時から支払済みまで民法所定の年5分の遅延損害金の支払いを求める事案である。 1 争いのない事実被告は,商品先物取引の受託業務を目的とする株式会社で,東京工業品取引所等の商品取引員である。 平成8年10月ころ及び11月11日,被告従業員のAが原告に電話して先物取引の勧誘である旨を告げ,原告の勤め先を訪問し,パラジウムの先物取引を勧めた。 原告は,Aの勧めに応じて,平成8年1月14日,被告に対し,本件取引委託証拠金74万2500円を預託してパラジウム(97年10月限)15枚を買建てして先物取引を開始し,以後,平成9年8月6日まで先物取引を続けたが,最終的に1341万3147円の損失を被った。 2 争点(1) 本件先物取引の不法行為性に関する原告の主張と被告の認否は次のとおりである。 ア説明義務違反(ア) 原告の主張Aは,原告に対し,先物取引の仕組みや 取引の不法行為性に関する原告の主張と被告の認否は次のとおりである。 ア説明義務違反(ア) 原告の主張Aは,原告に対し,先物取引の仕組みや危険性について十分な説明をしなかった。 (イ) 被告の認否否認する。 平成8年11月11日,Aは原告に対し,図面を書いて取引方法を説明し,予測が外れた場合の売買対処説明書も説明し,原告から先物取引の危険性,投機性を十分に理解した旨の受領書,約諾書等の交付を受けた。原告は初回取引の際に被告が行ったアンケートに対しても,先物取引の投機性,元本保証がないことを知っている旨回答するなどしている。また,原告は株式取引の経験もあった。 イ断定的判断の提供(ア) 原告の主張Aは原告に対し,ロシアのパラジウム鉱山が労働者のストで輸出されていないので,間違いなく値段が上がる,絶対あがる,絶対大丈夫などと断定的判断の提供を繰り返した。 (イ) 被告の認否否認する。 Aは,パラジウムの主産地であるロシアの政情不安により生産が減少し,相場が上がるという相場観は示したが,断定的判断の提供はしていない。 また,原告は,最悪でも投資額50万円をあきらめれば済むと言っており,Aの提供する情報が必ず的中するとは考えていなかった。 従って,仮に断定的判断の提唱があったとしても,原告は最悪の事態も予測して取引を行っている。 ウ新規委託者保護規定違反(ア) 原告の主張新規委託者の保護育成の見地 提唱があったとしても,原告は最悪の事態も予測して取引を行っている。 ウ新規委託者保護規定違反(ア) 原告の主張新規委託者の保護育成の見地から,受託業務管理規則は,委託者について,3か月の熟慮期間を定め,制限建て玉枚数(原則20枚)の範囲内においてこれを行うこととするのが一般的である。ところが,本件においては,1月20日に25枚,27日に50枚,2月3日に75枚,7日に200枚,12日に300枚,13日に450枚,14日には475枚と膨大な数量の建て玉がなされており,新規委託者保護規定に違反する。 (イ) 被告の認否被告の内規として,受託業務管理規則があることは認めるが,同規則違反の主張は否認する。 同規則は,習熟期間が3か月未満の委託者の建て玉を一律に20枚に制限するものでなく,目安に過ぎないものであって,本人の希望により,社内審査で相当と認められれば,20枚を超える取引をすることもできる。 本件においても,原告の希望により,適正な社内審査によって許可されたものであって,違反の事実はない。 エ過大な建て玉(ア) 原告の主張本件では,最大で475枚の建て玉がなされており,原告の資産状況や経験に照らして不相当に過度な取引である。 (イ) 被告の認否1委託者当たりの建て玉制限は,各商品取引所の市場管理基本要綱に定められており,東京工業品取引所はパラジウムについて,1番限月20枚,2番限月50枚,その他1限月当たり200枚と定められていた。 当時,パラジウムは7限月制であったか 綱に定められており,東京工業品取引所はパラジウムについて,1番限月20枚,2番限月50枚,その他1限月当たり200枚と定められていた。 当時,パラジウムは7限月制であったから,1委託者当たりの建て玉制限枚数は1070万円であった。したがって,原告の最大建て玉が475枚であったことは事実であるが,建て玉制限には違反していない。 オ利乗せ満玉(ア) 原告の主張利益を生じた顧客に対し,利益を証拠金に振り替えさせて証拠金の限度いっぱいまで建て玉を拡大させると,いずれは予想に反した値動きとなり,これまでの利益を一度に失うとともに,多額の損失を被る結果となるのであって,かかる利乗せ満玉は客殺し商法として許されない。 ところが,本件では,原告が利益金の返還を求めたにもかかわらず,これを無視して証拠金に振り替え,建て玉を拡大した結果,2月14日の暴落で原告にそれまでの利益を喪失させ,多額の損害を被らせた。 (イ) 被告の認否利乗せも,満玉も,広く行われている取引であって,これを禁止する法令,規則は存在しない。 原告は,2月14日の暴落を指摘するが,同日直ちに全て決済していれば,値洗い損と委託手数料及び実質入れ金額を控除してもまだ349万1499円が利益金となっていた。 したがって,利乗せ満玉の取引手法そのものが悪いわけではない。 むしろ,原告は,本件取引の危険性を当初から知りながら,自ら利益を求めて新たな入金をし,取引を拡大していったのである。 カ無断売買(ア) 原告の主張Aは,原 件取引の危険性を当初から知りながら,自ら利益を求めて新たな入金をし,取引を拡大していったのである。 カ無断売買(ア) 原告の主張Aは,原告の個別の承諾を得ることなく,2月12日に300枚,13日に450枚と,膨大な数量の買い玉を建てたのであって,商品取引法の無断取引の禁止規定に違反する。 (イ) 被告の認否否認する。原告主張の売買はいずれも原告の注文に基づいてなされたものである。 むしろ,原告は,取引の後,被告から「報告書及び計算書」の送付を受けても異議の申出をせず,また,2月17日には残高照会回答書に相違ない旨の署名押印をしている。 キ仕切り拒否(ア) 原告の主張原告は,何度となく繰り返し仕切りを求めてきたが(ことに2月12日以降),Aがこれを無視した結果,原告は多額の損害を被った。 これは,省令46条10号に違反する。 (イ) 被告の認否否認する。 原告は,平成9年8月6日に取引を終了しているが,被告から送付された同年同月11日付の残高照合確認書の内容を確認した上で回答書に署名押印している。 また,原告は,同年9月1日には,本件取引の不足金1万7263円を被告の銀行口座に任意に振り込んで支払っているのであるから,結果について不満があったとしても,自己責任を十分自覚して本件取引を行ったとみるべきである。 ク両建て(ア) 原告の主張両建てとは,同一商品について,買い玉と売り玉を同時に建て 責任を十分自覚して本件取引を行ったとみるべきである。 ク両建て(ア) 原告の主張両建てとは,同一商品について,買い玉と売り玉を同時に建てる取引をいう。 両建ては,無意味であるばかりか,手数料が2倍必要になり,また,建て玉数が増大し,より高額の損を被る契機となる等顧客の利益を害することが明らかである。さらに,両建てをした後,それをはずして利益に導くことは至難の技であり,一般投資家には不可能である。両建て後,委託者は外務員の判断に依存せざるを得ないのであって,両建ては主体的取引を著しく困難にし,外務員による委託取引の支配に導くものであり,両建てを勧誘すること自体が違法である。 ところが,被告は,2月14日の暴落後,同月17日,買い玉100枚,売り玉100枚の両建てを勧誘し,無用な証拠金等を拠出させた。 (イ) 被告の認否両建てそのものを禁止する規定はなく,同時両建て,常時両建ての状況,因果玉の放置等の両建てが不適正であるに過ぎないところ,本件両建ては平成9年2月17日と同年7月17日の2回だけであって,これらは不適正な両建てには当たらない。 ケ無意味な反復売買(転がし)(ア) 原告の主張受託業務指導基準は,委託者の理解が得られないままに過度の取引を勧めることを不適切な取引行為として禁止し,具体例として,①既存玉を仕切ると同時に売り直し又は買い直しを行うこと,②同一区域内の建て落ちを繰り返すこと,③委託者の意思に反する同時両建て又は引かれ玉を手仕舞いしないままでの両建て等を禁止事項としてあげている。 また,取引指示 しを行うこと,②同一区域内の建て落ちを繰り返すこと,③委託者の意思に反する同時両建て又は引かれ玉を手仕舞いしないままでの両建て等を禁止事項としてあげている。 また,取引指示事項は,取引に関する不適切な行為として,委託者の十分な理解が得られないまま過度に取引を勧めることをあげ,事例としては,委託者の理解が得られない状態において,既存の建て玉を仕切ると同時に売り直し又は買い直し等を勧めたり,建て落ちを頻繁に繰り返して行わせることなどを指摘し,これらの行為を商品取引員の受託業務の適正履行義務に背くものであって,社会的信用の保持及び委託者保護に欠ける行為として厳に慎むことを規定している。 農水省のチェックシステムによれば,特定の売買(売直し買直し,途転,日計り,両建玉,手数料不抜)の率を20パーセント以下,売買回転率を月間3回以内,手数料化率を10パーセント程度とする方向で指導するということになっていた(なお,売直し買直しとは,既存建て玉を仕切り,同一日内に新規に売直し,買直しを行うこと。途転とは,既存建て玉を仕切り,同一日内に新規に反対の建て玉を行うこと。日計りとは,新規に建て玉し,同一日内に仕切ること。両建玉とは,既存建て玉に対応させて反対建て玉を行うこと。手数料不抜とは,売買取引により利益が発生したものの,委託手数料を下回るため差引損になることをいう)。 ところが,本件売買の場合,これらの特定売買は35回で,全取引回数(建て落ちをそれぞれ1回として計算する)66回のうち53パーセントを占める。 また,売買回転率(落ち玉回数÷取引日数×30日)は3.72であるが,平成9年2月17日以降は既に建てられた建て玉の仕切りのみであって,それ以前に頻繁に取 セントを占める。 また,売買回転率(落ち玉回数÷取引日数×30日)は3.72であるが,平成9年2月17日以降は既に建てられた建て玉の仕切りのみであって,それ以前に頻繁に取引がなされている。 さらに,手数料化率は52パーセントである(手数料707万6000円÷損害1341万3147円)。 以上のとおり,被告の取引は,無意味な反復売買(転がし)であることが明らかである。 (イ) 被告の認否否認する。 手数料稼ぎのために無意味な売買を行ったものではない。 そもそも,農水省のチェックシステムに,原告のいうような,特定売買比率20パーセント,手数料化率10パーセント,建て玉回転率月3回程度という数値は存在しない。また,同チェックシステムは,個別の取引の適否を判断するためのものではなく,全商品取引員の平均特定売買比率と当該取引員のそれを比較し,受託業務全般の指導,監督を行うためのものであるから,個別事案の判断基準としては使うことができない。 (2) 慰謝料ア原告の主張100万円イ被告の認否争う。 (3) 弁護士費用ア原告の主張100万円イ被告の認否争う。 第3 争点に対する判断証拠によれば以下の事実が認められる。 1 原告について原告は,昭和35年2月生の独身男性であって,本件取引開始時(平成8年11月14日),36歳であった(弁論の全趣旨)。高校卒業後,昭和53年4月,aに入所し,b,c, 1 原告について原告は,昭和35年2月生の独身男性であって,本件取引開始時(平成8年11月14日),36歳であった(弁論の全趣旨)。高校卒業後,昭和53年4月,aに入所し,b,c,dを経て,平成4年からcに勤務し,平成12年から現在までaに勤務している。本件取引当時はcで係長をしていた(甲10,弁論の全趣旨)。 原告には不動産はなく,宿舎住まいであり,本件取引開始当時,普通預金残高は数万円で,自動車のローンと共済組合からの借入が若干あった(甲12,原告本人)。本件取引当時の給与は手取りで月18万数千円で,平成8年12月の賞与は78万数千円,夏の賞与は約50万円であった(甲12,原告本人)。 原告は,平成元年から本件取引までの間に,電力会社,ガス会社,わかもと製薬,鹿島建設,任天堂などの銘柄の株を買ったことがあるが,本件取引当時は任天堂の株のみ保有していた。商品先物取引の経験は本件以前には全くなかった(甲10,原告本人)。 2 本件取引の経過について証拠(甲10,32,乙40の1・2,乙43の1・2,証人A,同B,原告本人〔ただし,乙40の1・2並びに証人A及び同Bについては,以下の認定に反する部分を除く〕及び以下に個別に掲げるもの)によれば,以下の事実が認められる。 (1) 平成8年10月Aは,名簿を見て先物取引の勧誘先として原告に目星をつけ,10月31日ころ,勤務先の原告に電話をし,一度だけ話を聞いてほしいと何度も頼むと原告が面談に応じたため,翌日ころ,昼休みに原告の勤務先を訪れた。Aは原告に対し,被告会社の説明を簡単にし,新聞等の資料を示しながら,パラジウムは今が底値だから値が上がるなどと説明して,パラジウムの先物取引の勧誘をした。面談時間は3,40 原告の勤務先を訪れた。Aは原告に対し,被告会社の説明を簡単にし,新聞等の資料を示しながら,パラジウムは今が底値だから値が上がるなどと説明して,パラジウムの先物取引の勧誘をした。面談時間は3,40分であった。 Aは,この際,被告会社作成の「商品先物取引委託のガイド」(乙4)を交付することも,これを使って先物取引の仕組みや危険性などについて説明することもしなかった。 (2) 平成8年11月11月11日,Aが再度原告の勤め先を昼休みに訪ねた。原告は,Aから,勤め出したばかりで営業成績を上げなければならないなどと泣きつかれると共に,パラジウムは今が底値でこれから必ず上がる,仮に値が下がってもストップ安の制度があるから安全である,勉強のつもりで50万円ほど投資してほしいなどと勧誘されて,これに応じることにした。原告は,先物取引の仕組みや危険性について簡単な説明を受けると共に,被告会社作成の「商品先物取引委託のガイド」(乙4),受託契約準則,「予想が外れた場合の売買対処説明書」(乙5)の交付を受け,受領書に署名押印し(乙3),「先物取引の危険性を承知した上で,自分の判断と責任において取引を行うことを承諾する」旨記載された約諾書に署名押印した(乙1)。同日の面談時間は3,40分であった。 そこで,原告は,持っていた任天堂の株式の一部を処分して(甲13)委託証拠金74万2500円を捻出し,11月14日,パラジウムを15枚買建てした(甲1の1,14,乙39の1)。 Aは,このころ,被告の内部資料である「顧客カルテ」に,原告の年収は500万円以上,住居は自宅,資産状況は「不動産5000万円,有価証券500万円,預貯金1000万円」,株式投資の経験ありなどという,実際と異なる記載をし 部資料である「顧客カルテ」に,原告の年収は500万円以上,住居は自宅,資産状況は「不動産5000万円,有価証券500万円,預貯金1000万円」,株式投資の経験ありなどという,実際と異なる記載をして被告会社に提出した(乙38)。 (3) 平成9年1月20日から27日その後約2か月の間,被告からは何の音沙汰もなかったが,1月20日にAから原告の勤め先に電話があり,パラジウムの値上がりにより利益が出ているので,建て玉の増加を勧められた。そこで,原告は,買い玉15枚を仕切って得た利益金を証拠金に振り替えて25枚を買い直した(甲1の1,乙39の2・3)。 更に,原告は,翌21日に任天堂株200株を処分することにより1月24日に約148万円を入手し(甲12,15),1月27日,その中から123万7500円を申込証拠金として振り込んで25枚を買増しした(甲1の2,乙39の4)。これにより原告の建て玉は50枚の買建てとなった。 (4) 平成9年2月3日原告は,買い玉50枚を仕切り,その利益金で75枚を買建てした(甲1の3,乙39の5・6)。 (5) 平成9年2月7日原告は,両親に頼んで,父の退職金から300万円を借り受け,申込証拠金314万5884円を振り込むと共に(甲12),買い玉75枚を仕切って手に入れた利益金も証拠金に振り替え,新たに200枚を買い直した(甲1の4,乙39の7ないし9)。 (6) 平成9年2月12日原告は,有り金を全て先物取引に注ぎ込んでしまい,銀行の預金残高も2月7日にはマイナスになってしまったため,Aに電話で全額払い戻してほしい,せめて半分でも戻してほしいと伝えたが,Aは,まだ値上がりするので今仕切ると損だ 物取引に注ぎ込んでしまい,銀行の預金残高も2月7日にはマイナスになってしまったため,Aに電話で全額払い戻してほしい,せめて半分でも戻してほしいと伝えたが,Aは,まだ値上がりするので今仕切ると損だと言って原告の指示に従わなかった。Aと押し問答になり,苛立った原告が「もういいです」と言うと,Aは「買ってもいいんですね」と述べたため,原告は「勝手に言ってろ」と怒って電話を切った。 Aは,原告に無断で,午前9時20分に買い玉200枚を仕切り,午後1時及び2時に新たに300枚を買い直した(甲1の5・6,乙39の10ないし14)。 (7) 平成9年2月13日午前中にAから,「前日に買い玉200枚を仕切り,300枚を買い直した。まだ値が上がるので,更に買い増ししたい」という電話があった。原告は,無断で売買されたことについて文句を言い,これ以上急いで買わなくてもいいから,状況を見てからにしてほしいと頼んだ。 ところが,Aは,午前10時45分,前日の買い玉300枚を仕切り,新たに450枚を買い直した(甲1の7・8,乙39の15ないし19)。 午後,Aの上司のBから,現在2160万円の利益があるが,内2000万円で本日450枚を買い直したという電話があった。原告は,再度無断で売買がなされたことについて抗議し,せめて残りの160万円だけでも返してほしいと言ったが,聞き入れられなかった。 (8) 平成9年2月14日原告は,昨日まで,連日のように買い直しを勧める電話があったのに,この日はAから何の連絡もなかったため不審に思い,夕方,勤め先にあった新聞でパラジウムの値段を確認すると,値が下がっていたので大変驚き,Aに電話をして,どうして売ってくれなかったのか抗議をし のに,この日はAから何の連絡もなかったため不審に思い,夕方,勤め先にあった新聞でパラジウムの値段を確認すると,値が下がっていたので大変驚き,Aに電話をして,どうして売ってくれなかったのか抗議をした。Aは,どうしようもなかったという趣旨の返事をした。 なお,Aは,この日,原告に無断で,午後1時に更に25枚の買い建てをし,これにより原告の建て玉を475枚に増やしていたが(甲1の9,乙39の20),夕方に原告と電話した際には,この25枚の買い増しの事実を原告に告げなかった。 (9) 平成9年2月17日Aから原告に電話があり,パラジウムが大幅に値を下げてしまい,大きな損失が発生して最悪の結果になってしまったと謝罪した。原告が抗議するとAの上司であるBが電話を替わり,両建という方法があるのでとりあえずそれで様子を見ようと提案した。 同日の夜,Bが原告宅を訪問し,買い建てした475枚の内,375枚を仕切り,残りの100枚の買い玉に対して,新たに100枚の売り玉を建てれば,相場が反転し上昇に転じた時にはどちらかを仕切って利益を上げることができるなどと説明して両建を勧めた。また,Bは,今後の費用として新たに700万円が必要であると述べた。原告は,両建の意味については十分理解できなかったが,大量の損失が生じたことにショックを受けていたことと,Bが損失を取り戻すと言うのを信じたことから,Bの助言に従うことにした。 なお,証拠(甲1の10ないし12,乙39の21ないし24)によれば,同日の午前8時50分には既に買い玉475枚のうち,375枚が仕切られ,新規に100枚が売り建てされて,100枚の両建がなされていたことが認められる。従って,同日夜のBの両建の勧めは,上記無断売買を原告に事 前8時50分には既に買い玉475枚のうち,375枚が仕切られ,新規に100枚が売り建てされて,100枚の両建がなされていたことが認められる。従って,同日夜のBの両建の勧めは,上記無断売買を原告に事後追認させるためになされた説得と認められる。 (10) その後,平成9年8月6日まで原告は,Bに言われた700万円を捻出するため,2月26日,サラ金5社から合計330万円を,翌27日,サラ金2社から110万円を,28日には株式会社東京三菱銀行から100万円を,3月25日には運輸省共済組合から150万円をそれぞれ借り入れて(以上,借入金合計690万円)(甲16から24),その中から被告宛に証拠金として振り込んでいった。 その後,原告は,被告からの入金の督促と,サラ金の借金の支払いに追われ,一時は自殺を考えるほどであった。 原告は,今仕切ってしまうと損失が確定してしまうとBに言われるまま,以下のとおり取引を続けたが,結局,相場が上昇に転じることはなく,利益を上げることのできないまま,追証をこれ以上入金することができなくなり,8月6日に全ての取引を仕切った結果,1341万3147円の損失が確定した。 ア 4月3日(甲1の12,乙39の25・26)100枚の買い玉のうち50枚を仕切った。 100枚の売り玉のうち50枚を仕切った。 イ 4月28日(甲1の13,乙39の27・28)残50枚の買い玉のうち10枚を仕切った。 残50枚の売り玉のうち10枚を仕切った。 ウ 7月10日(甲1の14,乙39の29・30)残40枚の買い玉のうち20枚を仕切った。 残50枚の売り玉のうち10枚を仕切った。 ウ 7月10日(甲1の14,乙39の29・30)残40枚の買い玉のうち20枚を仕切った。 残40枚の売り玉のうち20枚を仕切った。 エ 7月11日(甲1の15,乙39の31)残20枚の買い玉を全て仕切った。 オ 7月14日(甲1の16,乙39の32)残20枚の売り玉のうち10枚を仕切った。 カ 7月17日(甲1の17,乙39の33)新規に5枚を買い建てした。 キ 7月22日(甲1の18,乙39の34)残10枚の売り玉のうち5枚を仕切った。 ク 8月6日(甲1の19,乙39の35・36)残5枚の売り玉を仕切った。 残5枚の買い玉を仕切った。 以上により,取引を全て終了した。 3 A,Bの証言の信用性について以上の認定に対して,Aは,①平成8年10月31日と11月11日の2回,原告と面談した際に,先物取引の仕組みや危険性について,「先物取引委託のガイド」(乙4)の該当箇所を朗読した他,図表をその場で書くなどして詳細に説明した旨,②平成9年2月12日から17日にかけて,原告から手仕舞いを命じられたことはなかったと証言する。また,Bも,原告から無断売買や仕切り拒否について抗議を受けたことはない旨証言する。 (1) Aの原告に対する説明の程度内容についてcの係長という原告の当時の役職に照らすと,昼休み時間を延長してまで庁内で説明を受け続けたとは考え難いから,食事の時間も考えると,原告とAの面談 の原告に対する説明の程度内容についてcの係長という原告の当時の役職に照らすと,昼休み時間を延長してまで庁内で説明を受け続けたとは考え難いから,食事の時間も考えると,原告とAの面談の時間はせいぜい3,40分であったと推認される。そうすると,その間,Aは,あいさつや世間話もあったであろうし,営業マンである同人とすれば,先物取引の危険性について説明するよりはむしろパラジウム取引の魅力の説明に時間を割いたであろうと考えられるから,先物取引の仕組みや危険性について,同人が詳細に説明をしたとは認め難い。また,原告が,平成8年11月18日付けで被告が行ったアンケート(乙6)において,「受託契約準則をよく読んだか」,「パンフレットをよく読んだか」,「委託証拠金に本証拠金,追証拠金,定時増,臨時増証拠金の4種類があることを知っているか」という質問に対していずれも「いいえ」と答えていることも,原告が先物取引の危険性や仕組みについて詳細な説明を受けなかったことを裏付ける事実というべきである。 (2) 平成9年2月12日から17日までの取引について証拠(甲12)によれば,原告の銀行預金口座は,平成9年2月7日から17日まで残高がマイナスであったことが認められ,生活費にも事欠く状態であったこと,同口座から,自動車のローンや光熱費などが引き落とされることになっていたことが認められるから,そのような状態にあった原告が,当時,取引を手仕舞いして利益金の返還をAに求めたというのは成り行きとして自然である。しかも,原告は,平成9年2月13日に,勝手に2000万円で買建てをされたと聞き,せめて差額の160万円だけでも返すよう求めた旨供述するところ,証人B自身,原告から160万円の返還を求められたことについては記憶がある旨の証言する 3日に,勝手に2000万円で買建てをされたと聞き,せめて差額の160万円だけでも返すよう求めた旨供述するところ,証人B自身,原告から160万円の返還を求められたことについては記憶がある旨の証言するのであって,同証言は原告の上記供述を裏付けるものということができる。更に,上記認定のとおり,2月17日,「最悪の結果になった」と電話で言うAに原告が抗議したところ,上司であるBが電話を替わって謝罪し,更に同日夜,わざわざ原告宅に出向いて今後の対策を協議しているのであって,このことは,Aが仕切り拒否,無断売買を行ったことを推認させる事実というべきである(Aは同日電話に出たことはなく,最初からBが電話で原告と話していた旨証言するが,それまでずっと原告の担当として取引を続けてきたAが,大きな損が発生したというのに全く電話にも出ず,状況の説明もしないとは考えられないから,Aの同証言は信用できない)。 もっとも,被告は,原告が,2月17日現在の残高照合回答書(乙9の4)に2月21日に署名押印し,その後も同様の書面に署名押印をし続け,無断売買について抗議もしなかったことを理由に,2月12日から14日までの取引に無断売買や仕切り拒否はなかったと主張する。しかしながら,これらの書面に原告が署名押印したのは,多額の損失が発生した2月17日より後のことであって,被告に抗議をしたからといって取引を取り消してくれるかどうかも不明である以上,無断売買,仕切り拒否の事実をあきらめて受け入れてしまったとしても人間の心理として理解できるし,また,多額の損失が発生したことにショックを受けていた原告が,損失を取り戻すというBの説明にすがってしまったとみることもできるから,残高照合回答書に署名押印し,無断売買,仕切り拒否について抗議をしなかったからといって,これ ことにショックを受けていた原告が,損失を取り戻すというBの説明にすがってしまったとみることもできるから,残高照合回答書に署名押印し,無断売買,仕切り拒否について抗議をしなかったからといって,これをもって,2月12日から17日に仕切り拒否や無断売買がなかったことを推認する事実とみることはできない。 (3) 以上検討したところによれば,上記認定のとおり,原告は,平成9年2月12日以降,Aに対し,手仕舞いをして利益を精算するように求め続けたにもかかわらず,Aは,原告の要求に従わず,それどころか,原告に無断で買い増しを繰り返し,建て玉を拡大させたと認めることができる。以上の認定に反するA及びBの証言は信用することができない。 4 以上の認定事実を前提に,被告の不法行為の有無を検討する。 (1) 説明義務違反前記認定のとおり,平成8年10月31日ころ及び11月11日にAが行った先物取引の仕組み及び危険性についての説明は比較的簡単なものであって,同人はむしろ主にパラジウムの取引の勧誘を主に行ったことが認められる。 しかしながら,前記認定のとおりの原告の年齢,経歴,学歴,以前に株式の取引の経験があること等に鑑みるならば,原告は,先物取引の危険性に関する相応の知識ないし常識があったとみるべきであること,Aが,これらの点について詳細な説明がなされたパンフレット(乙4)を交付していること,上記認定のとおり,原告が,平成8年11月11日,「商品先物取引の仕組み等につき詳細に説明を受け,商品先物取引の「投機性」「危険性」など十分に理解できました」と記載されたパンフレットの受領書に署名押印していること(乙3),同月18日にも,被告の実施したアンケートの「商品取引は投機であり,相場の変動により損益が発生し, 危険性」など十分に理解できました」と記載されたパンフレットの受領書に署名押印していること(乙3),同月18日にも,被告の実施したアンケートの「商品取引は投機であり,相場の変動により損益が発生し,また,元本が保証されていないことをご存じですか」という質問に対して,知っていると回答していること(乙6)を総合すると,Aが,先物取引の仕組みや危険性に関して必要な説明義務を尽くしておらず違法であるとまで認定することはできない。 (2) 断定的判断の提供原告は,Aから,パラジウムは今が底値なので絶対に上がる,絶対に損はしないという断定的判断の提供を受けた旨述べ,これに対して,Aは,「絶対」とは言わなかった旨証言する。しかしながら,仮に,Aが絶対に損はしないという趣旨の発言をしたとしても,上記のとおりの原告の年齢,経歴,学歴,株式取引の経験等に照らすと,原告がAの説明をそのまま鵜呑みにしたとは考えられないし,また,すべきではないと認められるから,Aのそのような勧誘を違法と認定することはできない。 (3) 新規委託者保護規定違反・過大な建て玉・利乗せ満玉上記認定のとおり,原告の取引は,11月14日の当初15枚の買い玉から始まり,1月20日に25枚,1月27日に50枚,2月3日75枚,2月7日に200枚,2月12日300枚,2月13日450枚,2月14日475枚と,利益を新たな建て玉の委託証拠金に回すことにより,短期間に著しい勢いで拡大していることが認められる。 そして,前記認定の当時の原告の収入,資産に照らしても,また,先物取引を行う会社81社の平成9年度における1委託者当たりの建て玉数の平均が36枚であること(甲28)と比較しても,原告の取引が著しく多量であることは明らかであって 収入,資産に照らしても,また,先物取引を行う会社81社の平成9年度における1委託者当たりの建て玉数の平均が36枚であること(甲28)と比較しても,原告の取引が著しく多量であることは明らかであって,相場が反転した場合に原告が被る損害を考えると,非常に危険であることが認められる。 もっとも,上記の取引のうち,平成8年11月14日から同9年2月7日までの取引については,原告自らがより大きな利益を求めて行ったものと認めることができ,原告自身の落度というべき面もないではない(原告は,これらの取引の動機について,Aから何度も電話がかかってきてあまりうるさいので根負けして行った旨供述するけれども,原告は,1月27日には,ほとんど唯一の資産というべき任天堂の株式を全て処分して証拠金を捻出しており,また,2月7日には父親の退職金から300万円を借り入れてまで建て玉を200枚に拡大しているのであって,このような原告の熱心さに照らすと,Aの勧誘が契機になったとしても,取引をそこまで拡大したのはあくまで原告の主体的な判断によるものとみるのが合理的である)。しかしながら,かかる過大な取引がもたらす危険性に鑑みると,原告が自らそのような大きな取引を望んだとしても,受託者である被告としては,原告を思いとどまらせるなどして取引を抑制すべきである。ところが,Aは,原告が上記のような大量の取引を行うにつき,原告を思いとどまらせるよう説得するどころか,原告に積極的に取引の拡大を勧め,更に2月12日から14日にかけては無断売買まで行って,475枚にまで取引を拡大したことが認められる。 また,被告の内規である受託業務管理規則(乙10)においては,先物取引の経験のない新たな委託者の保護と育成を図るため,資質,資力等を考慮の上,相応の建て玉枚数の範 ことが認められる。 また,被告の内規である受託業務管理規則(乙10)においては,先物取引の経験のない新たな委託者の保護と育成を図るため,資質,資力等を考慮の上,相応の建て玉枚数の範囲において受託を行うよう,以下の取り決めを厳守するものとされ,新規委託者の制限建て玉枚数を原則として20枚以内とし,これを超える場合には管理担当班が審査に当たること,41枚を超える建て玉の要請があった場合の許可基準としては,動産が1000万円以上の委託者で,商品取引に対する知識,理解度等が深いことなどが規定されている(乙10)。しかしながら,証拠(甲31の1ないし3,証人A,同B)及び弁論の全趣旨によれば,本件においては,上記の審査手続は取られておらず,かつ,原告の場合,上記の41枚以上の許可条件も満たさないことが認められる(なお,Aが作成した,被告の内部資料である「顧客カルテ」(乙38)には,原告の年収は500万円以上,資産状況は「不動産5000万円,有価証券500万円,預貯金1000万円」,株式投資の経験ありなどという記載があるが,これが実際と異なることは前記認定のとおりである)。 以上の事実に照らすと,被告が,原告の取引を475枚まで拡大させたことについては,原告自身の落度とみるべき部分もないではないものの,主として,Aの受託者としての注意義務違反による過失に基づくものであると認めることができる。 (4) 仕切り拒否・無断売買更に,2月12日ないし14日の取引の拡大については,前記認定のとおり,Aが原告の承諾を得ずに行った無断売買であること,原告の仕切り要求を拒否して続けられたものであることが認められる。 もっとも,これに対して,Aは,2月12日から14日の取引について,原告の仕 の承諾を得ずに行った無断売買であること,原告の仕切り要求を拒否して続けられたものであることが認められる。 もっとも,これに対して,Aは,2月12日から14日の取引について,原告の仕切り要求は明確ではなく,また,下がったら売れと言われても,相場は細かく上げ下げを繰り返しながら動いていくものであるから,具体的な指し値注文をされないといつ売ればいいのか明らかでないと弁解する。確かに,原告は,Aと相談し,同人の助言を得ながら取引をしていたことが認められ,このような両名の関係に照らすと,原告のAに対する取引の指示は必ずしも明確でなかった可能性がある。 しかしながら,2月12日以降の経緯についてみるに,前記認定のとおり,原告は利益金の払い戻しを求めている以上,取引をいったん仕切って精算することを求めているとみることは十分可能である。 また,受託者としては,委託者の指示が明確でないのであれば,原告に手仕舞いの意思があるのかどうかどうかを問いただし,原告が仕切りを求めるのであれば,直ちに手仕舞いすべきであって,原告の指示が明確でないことは仕切りを拒否する理由にはならないし,Aは,単に消極的に仕切りを拒否するどころか,積極的に無断で新たな買い玉まで建てているのであって,上記の弁解は理由がないというべきである。 そもそも,原告は過去に先物取引の経験がなく,パラジウムに関して自ら主体的に売買ができるほどの相場観や情報を有していたとは認められないし,朝から夕方までcで係長としての勤めがあって,時々刻々変動する相場に即応して直ちに取引の指示をすることが困難な立場にあったことは明らかであるから,Aとしては,そのような原告の状況に配慮して受託業務を遂行すべきである。現に,Aは,相場の上昇時には,原告の仕 る相場に即応して直ちに取引の指示をすることが困難な立場にあったことは明らかであるから,Aとしては,そのような原告の状況に配慮して受託業務を遂行すべきである。現に,Aは,相場の上昇時には,原告の仕切り要求に応じず,無断取引を繰り返してまで積極的に買い玉を拡大しているのであるから,逆に,相場が反転の動きを示した2月14日においても同様に,原告に至急相場反転の事実を知らせ,原告の損失が拡大しないように積極的に手を打つべきであったし,それは十分可能であったと認められる。 にもかかわらず,Aは,2月12日以降,原告の仕切り要求に応じず,かつ,無断売買を繰り返して,取引を475枚という莫大かつ危険な規模まで拡大しておきながら,相場が反転した2月14日には下落の事実を原告に告げず,何ら対処しないまま放置し,むしろ,原告に無断で更に25枚の買い玉まで建てて原告の損害を拡大させ,相場が大幅に下落し多大な損失が発生した2月17日まで本件取引を手仕舞いせずに放置して原告の損害が拡大するにまかせたのであるから,Aの以上の一連の行為は,受託者としての注意義務に反するものであり,違法性は重大であって,過失が認められることは明らかである。 (5) 以上の事実に照らすと,その余の争点(両建の違法性,無意味な反復売買の有無)について検討するまでもなく,Aの行為が不法行為に該当することは明らかである。 5 過失相殺の可否もっとも,確かに,前記のとおり,原告にも,当初の15枚から2月7日の200枚まで取引を拡大させた点については落度がないわけではない。しかしながら,前記認定のとおり,2月12日から14日にかけて,Aは,原告の仕切り要求を拒否しながら無断売買を続け,原告が関与した200枚の建て玉の倍以上である475枚まで建て玉を いわけではない。しかしながら,前記認定のとおり,2月12日から14日にかけて,Aは,原告の仕切り要求を拒否しながら無断売買を続け,原告が関与した200枚の建て玉の倍以上である475枚まで建て玉を拡大させていること,Aが原告の仕切り要求に応じ,2月14日までに手仕舞いしていれば,原告に損害は発生せず,むしろ多額の益金が発生していたと認められること(甲25ないし27)を考えると,原告の損害の発生,拡大の責任は主としてAの無断売買,仕切り拒否,475枚までもの取引の拡大にあり,原告が自ら行った2月7日の200枚までの取引拡大が損害発生に寄与した割合は必ずしも大きくないというべきである。従って,原告の過失割合としては1割を相当と認める。 6 損害額以上の次第で,原告が被った1341万3147円の損失は,被告の従業員であるAの不法行為と相当因果関係があるものと認めることができる。従って,被告は,使用者責任として,同損害について責任を負う。 また,上記認定のとおり,原告は,被告の不法行為の結果,サラ金などから多額の借金をしてその返済に追われ,一時は自殺を考えるまで思い詰め,多大な精神的苦痛を被ったと認められる。これに対する慰謝料としては100万円を相当と認める。 以上の損害合計1441万3147円について,上記認定のとおりの1割の過失相殺を行うと1297万1832円となる。 そして,本件訴訟の認容額や難易などを総合すると,原告の訴訟代理人弁護士に支払うべき弁護士費用の内100万円について,被告の不法行為と相当因果関係があるものと認められる。 よって,被告は原告に対し,1397万1832円及びこれに対する不法行為の終了時(取引の終了時である平成9年8月6日)から支払済みまで民法所定の と相当因果関係があるものと認められる。 よって,被告は原告に対し,1397万1832円及びこれに対する不法行為の終了時(取引の終了時である平成9年8月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。 7 結論以上の次第で,原告の請求を一部認容する。 神戸地方裁判所第4民事部裁判官太田敬司
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