- 1 -平成25年1月31日判決言渡平成24年(行ケ)第10283号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年11月26日判決 原告株式会社紅谷 訴訟代理人弁護士小林幸夫坂田洋一弁理士渡部 仁 被告株式会社金時米菓 訴訟代理人弁護士石毛和夫弁理士高田修治 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 原告の求めた判決特許庁が取消2011-300151号事件について平成24年6月29日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要- 2 -本件は,被告の登録商標の不使用を理由とする原告からの登録取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,商標の使用の事実の有無である。 1 特許庁における手続の経緯被告は,本件商標の商標権者である。 【本件商標】 ・登録第5109979号・指定商品第30類菓子,パン・出願日平成19年6月29日・登録日平成20年2月8日原告は,平成23年2月9日,本件商標につき,商標法50条1項に基づく商標登録の取消審判請求をし(取消2011-300151号),同年3月2日,取消審判請求がされた旨の予告登録がされた。特許庁は,平成24年6月29日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年7月9日に原告に送達された。 2 審決の理由の要点審判手続において被告が提出した証拠(甲18の 特許庁は,平成24年6月29日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年7月9日に原告に送達された。 2 審決の理由の要点審判手続において被告が提出した証拠(甲18の2,21の1及び2,22,23の1,24の4及び5,25,28の2)によれば,被告は,あられ製造・販売を事業内容とするものであり,相撲の平成22年9月場所の興業に際して,国技館サービス株式会社に対し,菓子「あられ」が透明の小袋に入っており,その小袋に本件商標と社会通念上同一と認められる「大銀杏」の漢字を縦書きした商標が付された,2630円の本件商品を販売した事実が認められる。したがって,被告は,本件審判請求の登録前3年以内に,日本国内において,指定商品中の「菓子」につ- 3 -いて,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。 第3 原告主張の審決取消事由(被告による本件商標の使用の事実の有無) 1 審決は,甲18の2(1,2頁)の商品写真と,甲21の2及び甲22(7,8頁)の商品写真とで荷姿が符合していることを前提として事実認定を行っているが,甲18の2の2頁の左最上段の商品写真は極めて不鮮明であって,辛うじて「金時米菓」の文字が判読できるほかは,およそ商品の外観を細部にわたって判別することはできない。しかも,これが平成22年9月場所の商品であるか否かについて,写真から断定することはできない。このような不鮮明な写真から荷姿が符合しているとすることは許されない。 審決は,甲28の2から,被告があられ製造・販売を事業内容とすることを認定し,これを理由に,甲21の2及び甲22(7,8頁)の商品写真中の左下の透明の小袋に入ったあられが,被告の製造に係る商品である旨認定しているが,あられ製造・販売業者など 売を事業内容とすることを認定し,これを理由に,甲21の2及び甲22(7,8頁)の商品写真中の左下の透明の小袋に入ったあられが,被告の製造に係る商品である旨認定しているが,あられ製造・販売業者など全国に無数に存在することは明らかであり,このような乱暴な認定は成り立ち得ない。むしろ,被告から,商品パンフレットやカタログ等の確実な証拠の提出がないことは,極めて不自然というべきである。甲23の1の「納品書」の「大銀杏シール橙」との記載についても,これが,甲21の2や甲22(7,8頁)の商品写真の「大銀杏」なる記載のされたシールと一致するとの確実な証拠はない。 審決は,甲25(7頁,平成22年9月12日付け納品書)の「2630せんべい」等の記載を根拠に,甲18の2(2頁左最上段)に記載された本件商品が,2630円で国技館サービス株式会社と取引されたと認定している。しかしながら,審決は,甲18の2(2頁)の商品写真と甲22(7,8頁)の商品写真とで荷姿が符合することを前提として事実認定をしているところ,甲22において,7,8頁の2630円の商品と,5,6頁の2630円の商品とは,同じ2630円の商- 4 -品なのに,中身の構成が大幅に違っており,その他,中身の入れ替えは容易である(証拠作成の際の作為の容易性)などの事情にも鑑みれば,甲25の「2630せんべい」との記載が,本件商品の取引の証拠であるとすることは許されない。 2 審決は,菓子の詰合せの中の小袋の一部に「大銀杏」と記載されている事実を認定したにすぎない。すなわち,被告が国技館サービス株式会社と取引したのは,小袋1つ1つではなく,集合した商品としての本件商品(2630円で販売される詰合せのあられ)であるところ,そのような本件商品に対して,商標「大銀杏」が使用されたとする証拠は存在 会社と取引したのは,小袋1つ1つではなく,集合した商品としての本件商品(2630円で販売される詰合せのあられ)であるところ,そのような本件商品に対して,商標「大銀杏」が使用されたとする証拠は存在しない。 また,小袋の1部に「大銀杏」と記載されているとしても,本件商品につき,「大銀杏」の商標を使用するのであれば,小袋全部に統一して「大銀杏」と表記するのが自然であるし,このように表記されなければ,需要者も出所表示の標識として理解することができない。本件商品のように,小袋の記載がばらばらになされている状態では,そのうちの記載の一つにすぎない「大銀杏」に注目して,需要者がこれを本件商品の出所表示の標識として理解することはないというべきであるから,このような使用は,商標法50条1項の「使用」には該当しないというべきである。 3 なお,被告は,詰合せ用の箱にも本件商標を使用したと主張するが,この事実を立証する証拠として被告が提出する甲19の2(納品書),甲29(取引証明書)には,単に品名等として「大銀杏(小)」等と記載されているにすぎないから,これらの記載が被告主張の詰合せ用の箱を指すものとはいえない。 第4 被告の反論 1 審決は,便宜上,平成22年9月場所用の2630円の詰合せにおける小袋での使用のみを認定している。被告は,その他にも,国技館サービス株式会社に対し,同年5月場所,同年9月場所及び平成23年1月場所用に,複数の価格帯の詰合せを販売しており,それらの詰合せ用の箱(甲20の1)に本件商標を使用し,さらに,詰め合わせた小袋の1つ又は複数に本件商標を付したシールを貼付してい- 5 -る。 原告は,甲18の2(平成22年9月場所商品見本帖)の商品写真が不鮮明であるなどと主張するが,原本を確認すれば,原告の主張に理由がないことは 数に本件商標を付したシールを貼付してい- 5 -る。 原告は,甲18の2(平成22年9月場所商品見本帖)の商品写真が不鮮明であるなどと主張するが,原本を確認すれば,原告の主張に理由がないことは明らかである。 甲22(7,8頁)の写真についても,商品のすぐ脇に被告の商号が示されていることからして,被告が販売していることは明らかである。 また,原告は,甲22の7,8頁と5,6頁の商品写真で詰合せの中身が違っていることを指摘するが,7,8頁は平成22年9月場所用の詰合せであり,5,6頁は同年5月場所用の詰合せであることから,内容が異なっているにすぎない。甲25の納品書に記載されるように,被告は,甲22の7,8頁に記載された商品を同年9月場所用に販売しているのであるから,審決の認定に誤りはない。 2 平成22年9月場所商品見本帖(甲18の2,乙2)の写真のとおり,平成22年9月場所用2630円の詰合せにおいても,「大銀杏」の商標は一見して需要者の注意を惹起する態様で使用されている。なお,上記1で主張したとおり,被告は,詰合せの外箱にも本件商標を使用している。 第5 当裁判所の判断証拠(証拠の番号は文中に掲記のとおり)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1) 被告は,平成22年9月12日,国技館サービス株式会社が相撲の平成22年9月場所で販売する商品の1つとして,同社に対し,2630円のせんべい詰合せを45セット販売した(甲25,29)。 (2) 国技館サービス株式会社は,同社が相撲興行の際に販売する商品について,「商品見本帖」を作成しており,そこに掲載する被告から購入した商品については,被告から商品の写真を入手していた(甲18の2,29,乙2,4)。 (3) 国技館サービス株式会社が作成した平成22年9月場所 品見本帖」を作成しており,そこに掲載する被告から購入した商品については,被告から商品の写真を入手していた(甲18の2,29,乙2,4)。 (3) 国技館サービス株式会社が作成した平成22年9月場所用の見本帖には,- 6 -透明な小袋入りのせんべい,あられ等7袋からなる詰合せの写真が掲載されており,このうち左下に入れられた1つの小袋には「大銀杏」の漢字が縦書きされた橙色のシールが貼付され,また,詰合せの横には,「金時米菓」,「二六三〇円」と記載された札が添えられていた(甲18の2,21の2,22,乙2,4)。 以上の事実によれば,被告が,指定商品中の「菓子」であるあられについて,本件商標と社会通念上同一と認められる「大銀杏」の商標が記載されたシールを包装の小袋に貼付した上で,これを本件審判請求の登録前3年以内である平成22年9月12日に,国技館サービス株式会社に対して譲渡し,もって,本件商標を使用した事実が認められるのであって(原告が取消事由として主張する点は,いずれもこの認定を動かすものではない。),本件商標の使用の事実を認めた審決に誤りはない。 以上のとおりで,原告主張の取消事由は理由がない。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官池下 朗 裁判官古 谷 健二郎 古谷健二郎
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