平成20(ワ)23647 育成者権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年2月27日 東京地方裁判所
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平成21年2月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成20年(ワ)第23647号育成者権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成21年1月26日判決栃木県足利市<以下略>原告株式会社バイオテクノジャパン同訴訟代理人弁護士矢花公平茨城県常陸太田市<以下略>被告ワイフーズ株式会社東京都千代田区<以下略>被告株式会社環主文 被告らは,別紙1の「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有するまいたけ種の種苗(菌床の形態のものを含むを生産し調整し譲渡の申出をし譲渡し又はこれら。),,,,の行為をする目的をもって保管してはならない。 被告らは,別紙1の「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有するまいたけ種の種苗(菌床の形態のものを含む)を廃棄せよ。 。 被告ワイフーズ株式会社は,原告に対し,被告株式会社環と連帯して金1095万3589円及びこれに対する平成20年9月23日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 被告株式会社環は,原告に対し,金1095万3589円及びこれに対する平成20年9月5日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員(ただし,金1095万3589円及びこれに対する平成20年9 月23日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員の限度で被告ワイフーズ株式会社と連帯して)を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 この判決は,3項及び4項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 主文1項及び2項同旨 被告らは,原告に対し,連帯して,別紙 ,その余を被告らの負担とする。 この判決は,3項及び4項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 主文1項及び2項同旨 被告らは,原告に対し,連帯して,別紙2記載の謝罪広告を別紙3記載の条件で各1回掲載せよ。 被告ワイフーズ株式会社は,原告に対し,被告株式会社環と連帯して金1145万3589円及びこれに対する平成20年9月23日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 被告株式会社環は,原告に対し,金1145万3589円及びこれに対する平成20年9月5日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員(ただし,金1145万3589円及びこれに対する平成20年9月23日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員の限度で被告ワイフーズ株式会社と連帯して)を支払え。 第2事案の概要,,本件は種苗法に基づき品種登録されたまいたけの育成者権を有する原告が被告らにおいて,購入した上記まいたけの種菌を自家増殖し,まいたけを生産及び販売した行為が,原告の上記育成者権を侵害するとして,被告らに対し,種苗法33条1項,2項に基づく上記まいたけの種苗の生産,譲渡等の差止め及び廃棄,同法44条に基づく信用回復措置としての謝罪広告の掲載並びに民法709条に基づく損害金及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済み に至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 前提となる事実等(争いがない事実以外は証拠等を末尾に記載する)。 (1)当事者ア原告は,キノコの栽培及び販売並びに新品種の開発,キノコの種菌の開発,製造及び販売等を業とする株式会社である。 イ被告ワイフーズ株式会社以下被告ワイフーズというはまいた(「」。),けの栽培及び販売を業と 売並びに新品種の開発,キノコの種菌の開発,製造及び販売等を業とする株式会社である。 イ被告ワイフーズ株式会社以下被告ワイフーズというはまいた(「」。),けの栽培及び販売を業とする株式会社である。 ウ被告株式会社環以下被告環というはまいたけ等の販売を業と(「」。),する株式会社である。 (2)原告の育成者権原告は次の登録品種甲1以下本件登録品種というに係る育成,(。 「」。)者権(以下「本件育成者権」という)を有している。 。 品種登録の番号第11229号登録年月日平成15年3月17日農林水産植物の種類まいたけ登録品種の名称BO-101(3)本件登録品種の重要な形質に係る特性本件登録品種は,通常,栽培及び食用として販売され,別紙1の「重要な形質欄記載の形質について重要な形質に係る特性欄記載の特性を有し」,「」ている(甲1。 )(4)被告らの行為ア被告ワイフーズは,原告から,本件登録品種の種苗を1本900円で購入し,平成18年8月26日,同月31日,同年9月11日及び同年10月26日に各600本の引渡しを受け,同年12月29日までに,その代金合計216万円を支払った(弁論の全趣旨。 ) イ被告ワイフーズは,少なくとも平成19年1月から平成20年7月末日までの間,上記アの種苗を用いて収穫物を得て,それを自己の農業経営において更に種苗として用い白王茸という名称のまいたけを生産し以,「」(下,その生産に用いた種苗を「被告ら種苗」といい,生産されたまいたけを「被告ら商品」という,被告環は,当該被告ら商品を販売した(甲4。)ないし6,弁論の全趣旨。 ) 争点 (1)被告ワイフーズによる本件登録品種の種苗の利用が,種苗法21条 生産されたまいたけを「被告ら商品」という,被告環は,当該被告ら商品を販売した(甲4。)ないし6,弁論の全趣旨。 ) 争点 (1)被告ワイフーズによる本件登録品種の種苗の利用が,種苗法21条2項の自家増殖に該当するか(争点1)(2)被告環による被告ら商品の販売が,原告との契約に基づく適法なものであるか(争点2)(3)被告ら商品の生産及び販売を差し止める必要があるか(争点3)(4)損害の発生及びその額(争点4)(5)信用回復措置の要否(争点5) 争点に関する当事者の主張(1)争点1(被告ワイフーズによる本件登録品種の種苗の利用が,種苗法21条2項の自家増殖に該当するか)について(被告らの主張)ア被告ワイフーズは,農業(農産物であるキノコ栽培業)のみを行っており,農業に常時従業する被告ワイフーズ代表者A1人のみの株主及び取締役で構成される株式会社であり,種苗法施行令5条でいう,農地法2条7項に規定する農業生産法人である。 また,そのことは,被告ワイフーズが,常陸太田市農業委員会から,農地法3条の規定による平成20年7月28日付け許可指令書(以下「本件指令書というを受け農地の賃借権設定を許可されたことからも裏」。),,付けられる。 イ被告ワイフーズは,上記前提となる事実等(4)アのとおり,原告から種苗を購入し,それを用いて得た収穫物である被告ら種苗を,自己の農業経営において更に種苗として用い,被告ら商品を生産したものである。 ウしたがって,種苗法21条2項の規定により,本件育成者権の効力は,被告ら種苗及び被告ら商品には及ばない。 (原告の主張)ア被告ワイフーズが本件指令書を受けていることは認めるが,その余は否認する。 イ被告ワイフーズが農業生産法人であるとして提出された各書証は不十分であり,そ 告ら商品には及ばない。 (原告の主張)ア被告ワイフーズが本件指令書を受けていることは認めるが,その余は否認する。 イ被告ワイフーズが農業生産法人であるとして提出された各書証は不十分であり,それを証明する他の証拠は提出されていない。 (2)争点2(被告環による被告ら商品の販売が,原告との契約に基づく適法なものであるか)について(被告環の主張)ア被告環は,原告との間で,平成18年7月20日付け覚書により,本件登録品種の種苗から生産したまいたけを販売する契約(以下「本件契約」という)を締結し,それに基づいて,被告ら商品を販売した。 。 イしたがって,被告環による被告ら商品の販売は,本件育成者権を侵害するものではなく,適法である。 (原告の主張)ア否認する。 イ被告環が本件契約に基づいて被告ら商品を販売していたとしても,被告ら商品が被告ワイフーズによって違法に増殖された種菌からの収穫物である以上,その販売は違法になる。 (3)争点3(被告ら商品の生産及び販売を差し止める必要があるか)について(原告の主張)被告らは,現に本件育成者権の侵害を行っており,また,過去にも行っ たものであるから,今後も同様の侵害行為をするおそれがあるといえる。 (被告らの主張)否認する。 (4)争点4(損害の発生及びその額)について(原告の主張)ア被告ら商品の生産及び販売に係る損害(ア)被告らは,1か月に4トンの被告ら商品を生産及び販売しており,被告ら商品1個当たりの平均重量が110グラムであるから,被告らによ,,。 る被告ら商品の1か月の生産数は次のとおり3万6364個となる4,000㎏÷0.11㎏=36,364個(イ)本件登録品種の種菌1本で50個の被告ら商品を生産することができるので,被告ワイフーズによる1か月当たりの同種菌使用数は, のとおり3万6364個となる4,000㎏÷0.11㎏=36,364個(イ)本件登録品種の種菌1本で50個の被告ら商品を生産することができるので,被告ワイフーズによる1か月当たりの同種菌使用数は,次のとおり,727本となる。 36,364個÷50個=727本(ウ)被告ワイフーズが原告に無断で本件登録品種の種苗の増殖を開始したのは,遅くとも平成19年1月からであるので,平成20年7月末日までの無断増殖菌種の使用数は,次のとおり,1万3813本である。 727本×19か月=13,813本(),エ原告の本件登録品種の種苗の1本当たりの利益が753円であるので被告らの行為によって原告が被った損害の額は,次のとおり,1040万1189円である。 753円×13,813本=10,401,189円イ本件の調査費用原告は,本件の調査費用として,次のとおり,合計5万2400円を費やした。 (ア)交通費合計2万5110円 a足利,東京都内間の往復の電車料金2万1000円4,200円×5回=21,000円bタクシー代4110円(イ)独立行政法人種苗管理センターへの支払等合計2万7290円a費用2万6660円b送金料630円ウ弁護士費用本件の弁護士費用としては,100万円が相当である。 エ小括上記アないしウを合計すると,原告の被った損害の額は,1145万3589円となる。 (被告らの主張)否認する。 (5)争点5(信用回復措置の要否)について(原告の主張)ア被告らが違法な培養により生産した被告ら製品を原告の本件登録品種の各生産物より廉価で販売していたことにより,本件登録品種の種菌及び菌床の価格相場や商品イメージが低下し,原告の業務上の信用が害された。 イしたがって,原告の業務上の信用を回復するため,被告らに 種の各生産物より廉価で販売していたことにより,本件登録品種の種菌及び菌床の価格相場や商品イメージが低下し,原告の業務上の信用が害された。 イしたがって,原告の業務上の信用を回復するため,被告らにおいて,別紙2記載の謝罪広告を,別紙3記載の条件で,各1回掲載することが必要である。 (被告らの主張)否認する。 第3争点に対する判断 争点1(被告ワイフーズによる本件登録品種の種苗の利用が,種苗法21条2項の自家増殖に該当するか)について 種苗法21条2項の自家増殖の特例が認められるためには「農業を営む個,人」又は農地法2条7項にいう「農業生産法人」であることが必要である(種苗法施行令5条)ところ,証拠(乙1の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,被告ワイフーズが株式会社であること,平成20年7月25日に常陸太田市農業委員会より,同市に所在する4筆の畑の賃借につき,同法3条1項の許可を受けたことが認められる。しかしながら,本件全証拠によっても,被告ワイフーズの株主構成及び同被告の唯一の取締役であるAが常時従事者であるかは明らかではなく,同法2条7項に規定されたその他の要件に該当する事実を認めることはできず,また,上記畑の賃借につき同法3条1項の許可を受けたからといって,直ちに同被告が農業生産法人に該当すると認めることはできない。 したがって,その余について検討するまでもなく,被告ワイフーズによる本件登録品種の種苗の利用について,種苗法21条2項の適用を認めることはできず,この点に関する被告らの主張は理由がない。 争点2被告環による被告ら商品の販売について原告の許諾があるか)につ(,いて弁論の全趣旨によれば,原告と被告環との間において,本件契約が締結された事実は認められるものの,平成18年7月20日付け覚書には,自家 被告ら商品の販売について原告の許諾があるか)につ(,いて弁論の全趣旨によれば,原告と被告環との間において,本件契約が締結された事実は認められるものの,平成18年7月20日付け覚書には,自家増殖によって得た被告ら種苗を用いて生産された被告ら商品についての販売の許諾に関する記載はなく,他に本件契約によって原告が当該許諾をしたと認めるに足る証拠もない。 したがって,この点に関する被告環の主張は理由がない。 争点3(被告ら商品の生産及び販売を差し止める必要があるか)について上記前提となる事実等(4)のとおり,被告ワイフーズ及び被告環は,少なくとも平成19年1月から平成20年7月末日までの間,被告ら種苗を用いて,,,被告ら商品を生産しこれを販売したのであるから現在及び将来にわたって 同様の行為を継続するものと推認することができ,その推認を覆すに足りる証拠はない。 したがって,被告らによる被告ら商品の生産及び販売を差し止める必要があると認めることができる。 争点4(損害の発生及びその額)について(1)上記前提となる事実(1(4)及び弁論の全趣旨によれば,被告らの間),において,被告ワイフーズが生産した被告ら商品を被告環が販売するという,,,関連共同性を認めることができまたこれまで認定した事実を総合すれば被告らにおいて,少なくとも,本件育成者権侵害についての過失を認めることができる。 したがって,被告らによる被告ら商品の生産及び販売については,共同不法行為が成立し,被告らは,連帯して本件育成者権侵害と相当因果関係を有する損害を賠償する責任を負うというべきである。 (2)被告ら商品の生産及び販売に係る損害について上記前提となる事実等 甲第4号証及び第6号証並びに弁論の全趣旨(),によれば,被告らが譲渡した被告 害を賠償する責任を負うというべきである。 (2)被告ら商品の生産及び販売に係る損害について上記前提となる事実等 甲第4号証及び第6号証並びに弁論の全趣旨(),によれば,被告らが譲渡した被告ら商品は,合計76トン(4トン×19か月)であること,それを被告ら種苗の数に直すと,1万3813本であること,原告において,被告らによる侵害行為がなければ販売することができた,。 本件登録品種の種苗1本当たりの利益は753円であることが認められるしたがって,種苗法34条1項により,被告ら商品の生産及び販売による損害額については,1040万1189円であると認められる。 (3)本件の調査費用について証拠(甲6,7,甲8の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件の調査費用として,合計5万2400円を費やしたものと認められ,これは,被告らによる被告ら商品の生産及び販売と相当因果関係のある損害であると認められる。 (4)弁護士費用について本件に表れたすべての事情を総合考慮すれば,被告らによる被告ら商品の生産及び販売と相当因果関係のある弁護士費用額は,50万円であると認められる。 (5)小括以上によれば,被告らは,原告に対し,連帯して,合計1095万3589円の損害を賠償する責任を負うものと認められる。 争点5(信用回復措置の要否)について原告が求める信用回復措置については,認容された損害賠償の額及び前記認定事実に照らしてその必要性を認めるに至らないから同措置に係る原告の請,,求は,理由がない。 第4 結論 以上の次第で,原告の被告らに対する種苗法33条1項,2項に基づく差止及び廃棄請求並びに民法709条に基づく損害額1095万3589円及びこれに対する遅延損害金の請求はいずれも理由があるから,これらを認容することとし,その余 対する種苗法33条1項,2項に基づく差止及び廃棄請求並びに民法709条に基づく損害額1095万3589円及びこれに対する遅延損害金の請求はいずれも理由があるから,これらを認容することとし,その余の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官清水節裁判官坂本三郎裁判官國分隆文

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