- 1 - 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 (1) 被控訴人は,控訴人に対し,231万円を支払え。 (2) 控訴人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,第一,二審を通じてこれを15分し,その1を被控訴人の負担とし,その余は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,3494万3877円を支払え。 3 訴訟費用は,第一,二審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(略称は,特記しない限り,原判決に従う。) 1 Aは,広島家庭裁判所福山支部において,控訴人の成年後見人に選任されたが,その在任期間中に,控訴人の預金から3794万3877円を横領した。 本件は,控訴人が,Aに知的障害があって財産管理能力がなかったから,家事審判官のAに対する成年後見人の選任,その後の後見監督などに違法があったなどとして,また,人権擁護委員に委嘱されていたBが家庭裁判所調査官にAの知的障害を告知しなかったことに違法があったとして,国家賠償法1条1項に基づき,被控訴人に対し,損害金3794万3877円の支払を求めるのに対し,被控訴人が控訴人の請求を争う事案である。 原判決は,控訴人の請求を棄却したので,控訴人が控訴をした。なお,控訴人は,当審において,A等から300万円の弁済を受けたとして,上記第1の2のように請求を減縮した。 2 前提事実は,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1項(原判決2頁11行目から同5頁20行目まで。ただし,同4頁1行目の「4- 2 -803万円」を「4803万」と改める。)に,争点及び争点についての当事者の主張は,後記3に当事者の当審における主 (原判決2頁11行目から同5頁20行目まで。ただし,同4頁1行目の「4- 2 -803万円」を「4803万」と改める。)に,争点及び争点についての当事者の主張は,後記3に当事者の当審における主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2項(原判決5頁21行目から同13頁23行目まで)に記載のとおりであるから,これらを引用する。 3 当事者の当審における主張(控訴人)(1) Aを成年後見人に選任したことの違法ア家事審判官は,控訴人の受け取る保険金が数千万であることを認識していたから,Aに対する適格性の審査を慎重にすべきであった。そのような審査をしていれば,他人の財産を管理する能力がないAを控訴人の成年後見人に選任することはなかったはずである。ところが,家事審判官は,その裁量権を逸脱,濫用し,Aを控訴人の成年後見人に選任したのであるから,この選任は違法である。 イ担当の家庭裁判所調査官(以下「担当調査官」という。)は,Aに対し,成年後見人の役割及び任務について十分な説明をしなかった。これが行われていれば,控訴人の損害の拡大を阻止できた。 (2) 後見監督の違法ア第1回後見監督について担当調査官は,Aの面接調査において,Aが保険金入金後4か月足らずのうちに470万円を払い戻していたことを確認し,これに対するAの説明は,預金の払戻状況と整合しない不自然なものであった。そうすると,担当調査官は,Aの知的障害を疑い,少なくとも3か月程度先にAが手持金の管理を改めているかを確認すべきであった。しかし,担当調査官は,上記調査を怠り,その次の後見監督事件の立件を1年後と設定したものであるから,その裁量権を逸脱,濫用した違法がある。 - 3 -イ を改めているかを確認すべきであった。しかし,担当調査官は,上記調査を怠り,その次の後見監督事件の立件を1年後と設定したものであるから,その裁量権を逸脱,濫用した違法がある。 - 3 -イ第2回後見監督について担当調査官は,Aの面接調査により,多額の使途不明金があることを発見し,このまま放置しては,被後見人の財産が更に減少する危険があるとして,早急に手続を進める必要があると考えたにもかかわらず,不十分な対処方針を立案したにすぎず,その後のAらの横領を防ぐことができなかったのであるから,裁量権を逸脱,濫用した違法がある。 (3) 最高裁判所の組織的な違法について最高裁判所は,全国の成年後見制度の運用状態を把握できたのであるから,成年後見人の選任とその監督,被後見人の所有する金銭の不正使用をチェックする仕組みなどを全国的に指導ないしは制度化すべきであったが,これを怠った。そのため,本件の横領が発生したものである。 (被控訴人)(1) 担当調査官の職務上の注意義務は,家庭裁判所内部のものに止まり,被後見人に対して負うものではない。また,家事審判官の職務行為に国家賠償法1条1項の違法が認められるためには,家事審判官が,違法,不当な目的をもって裁判をしたなど,その付与された権限の趣旨に背いてこれを行使したと認められるような特別の事情が必要であるが,そのような事情はない。 (2) Aを成年後見人に選任したことの違法についてア Aを成年後見人に選任したことについて,担当調査官の調査及び家事審判官の審判に違法な点はない。 担当調査官は,Aが成年後見人候補者として申し立てられたから,Aを調査し,適任と判断し,その旨の意見を提出したのである。その際,Aから様々な事項を聴取したが, 官の審判に違法な点はない。 担当調査官は,Aが成年後見人候補者として申し立てられたから,Aを調査し,適任と判断し,その旨の意見を提出したのである。その際,Aから様々な事項を聴取したが,その会話からAに知的障害があることまでは認識できなかった。また,申立書の一部がA以外の者によって記載されていたが,実務上,そのようなことは珍しいことではない。 - 4 -イ Aは,成年後見人の職務を理解しており,担当調査官からもその役割及び任務について説明を受けていた。仮に説明に問題があったとしても,そのこととAの横領との間に相当因果関係はない。 (3) 後見監督の違法についてア第1回後見監督について成年後見人には,本人の財産を管理する包括的な権限が付与されており,その財産管理の方法は後見人が裁量的に決めるべき事項である。担当調査官は,Aに現金管理の方法を指導し,預金を被後見人(控訴人)名義の口座に移し替えるよう指導したところ,Aが直ちに指導に従った。 そこで,担当調査官は,次回の後見監督事件の立件時期を1年後とする意見を提出したのであるから,裁量権の逸脱,濫用はない。 また,家事審判官は,Aの不正行為を疑うべき状況がなかったので,更に追及的な補充調査を命じなかったのである。 イ第2回後見監督について担当調査官が報告書に記載した今後の方針は,対処方法として適切であり,裁量権の逸脱,濫用はない。 (4) 控訴人は,平成23年**月**日,C及びAとの間において,AのCに対する400万円の損害賠償債権を,Aが控訴人に負担する損害賠償義務のうち,400万円の代物弁済として控訴人に譲渡する旨の和解を成立させたから,控訴人の損害の一部は回復された。 第3 当裁判所の判断 0万円の損害賠償債権を,Aが控訴人に負担する損害賠償義務のうち,400万円の代物弁済として控訴人に譲渡する旨の和解を成立させたから,控訴人の損害の一部は回復された。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,控訴人の請求は,被控訴人に対し,231万円を控訴人に支払うよう求める限度で理由があり,その余の請求は理由がないものと判断する。その理由は以下のとおりである。 2 本件紛争に至る経緯前記前提事実,証拠(甲2,11,21ないし49及び関係箇所に掲記の- 5 -各証拠)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件紛争に至る経緯として,次のとおりの事実が認められる。 (1) Aらの知的障害(甲13,16,20)ア Aは,昭和44年**月**日,Dの子(女性)として出生したが,幼少のころから精神の発達が遅れ,昭和52年**月,軽度精神薄弱(IQ65,精神年齢5歳2か月)と判定され,障害程度Bの療育手帳の交付を受け,小中学校を障害児学級で学び,卒業後は,Dが勤務していた**工場で働くとともに,定時制の高等学校に通学し,途中通信制の高等学校に転校した。Aは,上記**会社に約7年間勤めたが,その後,**で品物の出し入れなどのアルバイトをし,その間の,平成5年ころ,両親(Dと養父)の元から独立し,異父弟妹と同居し,自身の収入や障害者年金のほか,弟妹らの収入,交際相手の男性(C)からの援助等によって生計を立てていたが,平成16年**月,中等度精神遅滞(IQ47,精神年齢8歳4か月)と判定され,障害程度Bの療育手帳が交付された。 Aは,限られた範囲内なら日常会話をすることができるが,込み入った話は難しく,簡単な読み書き(ほとんどひらがなの文章しか作成できない。)や簡単な金銭の計算やある程度の抽象的思考はでき,職業生活も何とか可能であり,A 内なら日常会話をすることができるが,込み入った話は難しく,簡単な読み書き(ほとんどひらがなの文章しか作成できない。)や簡単な金銭の計算やある程度の抽象的思考はでき,職業生活も何とか可能であり,ATMを操作して預金を引き出したり,銀行の窓口で預金を下ろすことはできるものの,その知的能力は小学3年生ないし4年生程度でしかなかった。また,後記刑事裁判の精神鑑定における検査(平成20年**月**日)でも,IQ46,中程度の精神遅滞と鑑定されている。 イ Dも,平成16年**月,中等度精神遅滞(IQ40,精神年齢7歳2か月)と判定され,障害程度Bの療育手帳の交付を受け,社会との適応能力はAより劣っていたが,夫と市営住宅に居住し,障害者年金や生- 6 -活保護を受けて生活し,Aとは頻繁に交流を持っていた。 (2) 控訴人の受傷とその後の経過ア控訴人は,Dの弟(Aの叔父)であるが,平成13年**月**日,交通事故に遭って脳挫傷等の傷害を負い,意識障害,四肢麻痺等の後遺障害が残り,転院を重ねた後,平成16年**月**日,社会福祉法人**身体障害者療護施設**ホームに入所し,脳血管障害による体幹機能障害1級の認定を受けた。控訴人は,いわゆる植物状態に陥り,他の者との意思疎通が不可能となった。 イ D及びその家族は,控訴人と親戚付き合いをしていたところ,Dと控訴人は,入院中の控訴人を定期的に見舞い,おしめ,パジャマなどを購入し,その費用を交通事故の相手方が加入する保険会社(E損保)に請求するなどしていた。なお,控訴人には,妻子はいないが,Dのほか2人の兄弟姉妹がいた。 ウ E損保は,控訴人の入院費等を負担していたところ,控訴人と和解をして保険金を支払いたいと考えたが,控訴人に意思能力がないため,平成15年ころ,上記イの費用請求手続を担っ 人の兄弟姉妹がいた。 ウ E損保は,控訴人の入院費等を負担していたところ,控訴人と和解をして保険金を支払いたいと考えたが,控訴人に意思能力がないため,平成15年ころ,上記イの費用請求手続を担っていたD及びAに話を持ちかけ,Aがこれに対応することとなった。しかし,Aは,込み入った話はできないため,Aの定時制高校時代の担任教諭の妻であるBに相談し,Bが話合いの場に関わることもあった。Bは,町会議員になったこともあり,Aらの療育手帳の再交付申請手続も手伝っており,また,平成9年**月**日から平成15年**月**日までと平成16年**月**日以降,人権擁護委員に委嘱されていた。 (3) Aを控訴人の成年後見人に選任ア Aは,E損保から,和解契約の締結及びこれに基づき支払われる保険金の受領のため,控訴人に成年後見人を付す必要があると促されたので,Bの助力を得て,必要書類を集め,平成15年**月**日,広島家庭- 7 -裁判所福山支部に対し,自己を後見人候補者として控訴人の成年後見開始の申立てをした。Aは,後見開始申立書の申立人欄,本人欄及び成年後見人候補者欄等には自ら記載したが,申立ての実情欄については,記載すべき内容をまとめたり,それを表現することが困難であったため,Bに依頼して記載してもらった(甲12)。 イ上記後見開始申立事件の担当家事審判官(F)は,G調査官に対し,調査命令(包括調査)を発した。 G調査官は,平成15年**月**日,A及びDに対して面接調査を行い,控訴人の心身の状況,E損保から多額の保険金が入金される予定であること,控訴人にはDの外,姉Hと兄がいるが,兄は知的障害者更生施設に入所中であること,控訴人の姉であるDを後見人候補者とすべきところ,Dは健康がすぐれないため,Aが候補者となったこと,Aは,定 あること,控訴人にはDの外,姉Hと兄がいるが,兄は知的障害者更生施設に入所中であること,控訴人の姉であるDを後見人候補者とすべきところ,Dは健康がすぐれないため,Aが候補者となったこと,Aは,定時制の高等学校を経て,**会社に7年間勤め,現在は**で商品の出し入れの仕事をしており,控訴人とは従前から親戚付き合いがあり,事故後は,Dと共に週1回病院に行って面会していることなどを聴取した。 G調査官は,上記面接調査の後,控訴人との面接,戸籍照会,医師への照会等必要な調査をするとともに,控訴人の姉のHに照会書を発送したが,回答がなかったため,平成16年**月**日ころ,担当家事審判官(F)に対し,控訴人につき後見を開始し,Aを成年後見人に選任し,また,多額の保険金が入金される予定であるから,後見監督区分はB(定期的に調査,調整又は指導を行う必要があるもの)として,第1回後見監督事件の立件を1年後の平成17年**月ころとするのが相当である旨の調査報告書(甲3)を提出した。なお,G調査官は,Aが療育手帳の交付を受けている知的障害者であることに気付かなかった。 担当家事審判官(F)は,平成16年**月**日,上記調査報告に- 8 -基づき,控訴人について成年後見を開始するとともに,その成年後見人としてAを選任する旨の審判をし,その審判は平成16年**月**日に確定した。また,担当家事審判官(F)は,G調査官の上記意見のとおりの後見監督処理をした。 (4) Aの保険金受領とその管理の開始ア Aは,交通事故の相手方との間で和解契約を締結し,保険金受領のため,平成16年**月,**銀行**支店にA名義の預金口座(以下「A預金口座」という。)を開設したところ,同年**月**日,E損保から,A預金口座に,上記和解契約に基づき,保険金4 ,保険金受領のため,平成16年**月,**銀行**支店にA名義の預金口座(以下「A預金口座」という。)を開設したところ,同年**月**日,E損保から,A預金口座に,上記和解契約に基づき,保険金4770万円が入金された。 イ Aは,成年後見人は被後見人の財産を管理するもので,被後見人の財産を私的に使用してはならないことを認識していたが,保険金が入金がされると,Dと共謀して,これの一部を払い戻し,私的に使用することを繰り返した。 (5) 第1回後見監督ア担当家事審判官(F)は,平成17年**月,第1回の後見監督事件を立件し,同月**日,I調査官に対し,調査命令(包括調査)を発した。 イ I調査官は,後見事務や財産管理の状況について調査するため,同年**月**日,A預金口座の通帳や領収書を提示させて,A(Dも同席)に対する面接調査を行ったところ,出納帳等がなく,一部保存している領収書も整理されていないため,支出の内訳が判然としない上,A預金口座に4770万円の保険金が入金され,その後高度障害保障として33万1500円が入金されたが,保険金入金から約4か月の間に470万円もの金員が払い戻されていて,その残高が4333万0768円となっていたのを発見した。そこで,I調査官は,Aに対し,上記事情を- 9 -尋ねたところ,Aは,上記(4)イの私的使用の事実を隠蔽するため,毎月必要な支出の合計額が25万円程度であり,70万円はベッドの購入など施設入所に際しての臨時の出費等に費消したが,急な出費に備えて,常時手元に現金で300万円を管理しているとの虚偽の説明をした。なお,控訴人の必要経費は,定期的に給付される高度障害補償金で賄うことができ,保険金を使用する必要性は存しなかった。I調査官は,上記説明を信じ,Aに対し,現状どおり現金を管 るとの虚偽の説明をした。なお,控訴人の必要経費は,定期的に給付される高度障害補償金で賄うことができ,保険金を使用する必要性は存しなかった。I調査官は,上記説明を信じ,Aに対し,現状どおり現金を管理するのであれば出納帳に記載するようにし,手元に現金を置かず毎月必要な定額を払い戻し,臨時の出費があれば別途その額を払い戻すのであれば,通帳に費目を記載するよう,また,控訴人の預金全額をA名義の預金口座から被後見人である控訴人名義の口座に移し替えるよう指導した。Aは,上記指導に従い,同日,株式会社**銀行**支店に「控訴人後見人A」名義の普通預金口座(本件預金口座)を開設し,4333万0768円を同預金口座に入金し,その通帳や印鑑,キャッシュカードは,AがDに預けるなどして保管した。 I調査官は,同日,上記預金の預け替えが行われたことを確認したので,Aらの横領について疑いを抱くことなく,同月**日ころ,担当家事審判官(F)に対し,当面は,収支の確認を中心とした監督を継続していくことが必要であるとし,監督区分はBのまま,次回は約1年後の平成18年**月に立件するのを相当とする旨の意見を付けて,調査報告書(甲4)を提出した。 ウ担当家事審判官(F)は,I調査官の上記意見と同様の処理をすることとして,第1回の後見監督を終了した。 (6) 第1回後見監督後のAらの横領の反復ア A及びDは,第1回の後見監督において,控訴人の預金の私的使用が発覚しなかったことに安心し,上記面接の2日後の平成17年**月*- 10 -*日,本件預金口座から30万円を払い戻して,これを私的に費消し,その後,自らないしは情を知らない妹のJに依頼して,本件預金口座から,以下のとおり金員を払い戻し,生活費や,飲食費,遊興費,さらには交際する男性(C)のために 万円を払い戻して,これを私的に費消し,その後,自らないしは情を知らない妹のJに依頼して,本件預金口座から,以下のとおり金員を払い戻し,生活費や,飲食費,遊興費,さらには交際する男性(C)のために物品を購入するなどして費消し,その額は,平成17年**月初めから同年**月末までの7か月間だけで1120万円にまで達した。 平成17年**月,3回に分けて100万円同年**月,3回に分けて120万円同年**月,3回に分けて110万円同年**月,4回に分けて180万円同年**月,5回に分けて200万円同年**月,3回に分けて120万円同年**月,5回に分けて290万円イ Aは,Dと共謀し,平成17年**月,会社の同僚に頼まれて,本件預金口座の金員から280万円を貸与することにし,さらに,交際男性(C)の家の工事代金の支払や同僚の結婚祝にテレビを購入するなどして,同月に5回に分けて合計570万円を払い戻し,これらを着服した。 ウ Aは,Dと共謀し,平成17年**月,自宅用にテレビを1台,母親の自宅用にテレビを2台購入し,また,交際男性(C)にテレビ等を贈与することにしてテレビを3台とデジタルカメラ1台などを購入し(代金合計250万6900円),そのためなどで,本件預金口座から同年**月は4回に分けて1000万円同年**月は3回に分けて 330万円平成18年**月は2回に分けて 150万円を払い戻し,これらを着服した。 また,同年**月**日,本件預金口座から100万円を払い戻し,- 11 -ソファを購入するなどした。 エ Aは,同年**月**日ころ,テレビで を払い戻し,これらを着服した。 また,同年**月**日,本件預金口座から100万円を払い戻し,- 11 -ソファを購入するなどした。 エ Aは,同年**月**日ころ,テレビで銀行預金のペイオフのことを聞き,本件預金口座に300万円を残して,865万3877円を払い戻し,両備信用組合にA名義の口座を設け,うち700万円を預け入れ,残りの現金をDと共謀して着服した。 Aは,Dと共謀して,同日,本件預金口座から10万円を引き下ろし,同年**月**日に88万円を払い戻し,自己の指輪の購入代金等に充てた。 オ A及びDの上記横領の詳細は,別紙一覧表記載のとおりである。 (7) 第2回後見監督と横領の発覚ア担当家事審判官(F)は,平成18年**月ころ,第2回の後見監督事件を立件し,同月**日,I調査官に対し,調査命令(包括調査)を発した。 イ I調査官は,同年**月**日(Dが同席)及び同月**日(Bが同席),Aに対し,本件預金口座の通帳等や領収書を提示させて,面接調査を行い,預金残高等について確認したところ,第1回後見監督の際に預金約4333万円と現金300万円の約4633万円が存することになっていたが,預金1075万7069円しか見当たらず,1年間で約3559万円が減少し,その後に入金された高度障害補償金と必要生活費を合わせ考えると,3614万2196円の費消に理由がなく,これに対し,Aは,その使途等について,わからないなどと述べてほとんど答えられず,その全部が使途不明金となっていることを確認した。 I調査官は,Aに対し,勝手に使ったら警察に捕まると注意するともに,控訴人の口座に戻すべき財産があれば,早急に振り込んでおくこと,支出の使途の資料を準備するよう指示した。 ウ Aは,上 した。 I調査官は,Aに対し,勝手に使ったら警察に捕まると注意するともに,控訴人の口座に戻すべき財産があれば,早急に振り込んでおくこと,支出の使途の資料を準備するよう指示した。 ウ Aは,上記調査により,不安や恐怖心を抱き,同年**月**日,同- 12 -僚に貸し付けていた金員のうち100万円の返金を受けて,本件預金口座へ入金し,同月**日ころ,その写しをI調査官に送付した。 エ I調査官は,同月**日ころ,担当家事審判官(F)に対し,調査報告書(甲5)を提出し,3600万円を超える使途不明金があり,その使途を説明できないことから,これらがAらによって私的に費消されたと考えざるを得ないとして,A(必要に応じてD)に対する審問をして使途不明金を確定し,第三者(弁護士)を新たに後見人に加えて財産管理を任せ,Aの権限を身上監護にとどめ,Aとの間で返済についての取り決めを行うのが相当であり,このまま放置しておけば,被後見人の財産が際限なく減少する危険があるため,早急に手続を進める必要があると報告した。 (8) 横領発覚後のAらの横領の反復ア Aらは,I調査官から勝手に使ったら警察に捕まると言われたので,不安や恐怖心を抱き,控訴人の預金を払い戻して着服することを止めたが,上記面接調査から約1か月半経過しても,家庭裁判所から何の指示もないので,再び,以下のとおり,控訴人の預金から金員を払い戻してこれを着服することを繰り返した。その合計額は231万円となる。詳細は,別紙一覧表記載のとおりである。 平成18年**月**日 50万円**月**日 20万円**日 3万円**日 2万円 50万円**月**日 20万円**日 3万円**日 2万円**月**日 20万円**日 20万円**月**日 50万円**日 10万円- 13 -**日 5万円**日 6万円**日 5万円**月**日 10万円**日 10万円**日 10万円**日 10万円イ担当家事審判官は,第2回後見監督の調査報告書が提出されてから約4か月後の平成18年**月**日,K弁護士(現在の後見人)を控訴人の二人目の成年後見人として選任する審判をした。 K弁護士は,同日,A宛に本件預金口座等の通帳や印鑑の交付を求める書面を送付したが,Aは,これに応ぜず,上記アのとおり,その後も,控訴人の預金口座から金員を払い戻してこれを着服することを続けた。 そこで,K弁護士は,金融機関に対し,控訴人の預金の支払を停止するよう依頼し,同年**月**日ころまでに上記措置がとられた結果,Aらは,控訴人の預金口座から金員を払い戻してこれを着服することができなくなった。 ウ担当家事審判官(L)は,第2回後見監督の調査報告書が提出されてから約7か月後の平成18年**月**日,Aは本件預金口座を管理していたところ,平成17年**月**日から平成18年**月**日までの 担当家事審判官(L)は,第2回後見監督の調査報告書が提出されてから約7か月後の平成18年**月**日,Aは本件預金口座を管理していたところ,平成17年**月**日から平成18年**月**日までの間に上記口座から4263万6922円が払い戻され,そのうち3000万円以上の使途不明金が生じているが,その使途について合理的な説明をすることができないから,後見の任務に適しない事由があることが明らかであるとして,Aを控訴人の成年後見人から解任する旨の審判をした(甲6)。 (9) Aらに対する刑事事件と本件訴えの提起- 14 -ア広島家庭裁判所は,平成18年**月下旬ころ,Aを業務上横領により告発し,Aに対する捜査が開始された。Aは,平成18年から平成19年にかけて,業務上横領の罪により広島地方裁判所福山支部に公訴提起され,同裁判所は,平成21年**月**日,Aを懲役1年10月の,Dを懲役1年8月執行猶予3年の各刑に処するとの有罪判決を言い渡し,A及びDはこれに控訴したが,広島高等裁判所は,平成21年**月**日,原判決を破棄した上,Aを懲役1年8月の,Dを懲役1年6月執行猶予3年の各刑に処するとの有罪判決を言い渡し,この判決は確定した(甲9,10)。 上記刑事判決によると,Aは,Dと共謀して,別紙一覧表のとおり平成17年**月**日から平成18年**月**日までの1年6か月の間に,74回にわたって,本件預金口座から現金合計3629万円を引き出し,また,平成18年**月**日,本件預金口座から他の金融機関に預け替えるため引き出した865万3877円のうち165万3877円を着服し,もって合計3794万3877円を横領したと認定され,Aは,別紙一覧表21ないし59記載の犯行及び165万3877円を着服当 替えるため引き出した865万3877円のうち165万3877円を着服し,もって合計3794万3877円を横領したと認定され,Aは,別紙一覧表21ないし59記載の犯行及び165万3877円を着服当時,躁状態及び知的障害のため心神耗弱状態にあり,Dは上記各犯行当時,知的障害のため心神耗弱状態にあったと判断された。 イ控訴人の成年後見人であるK弁護士は,平成21年**月**日,控訴人を代理して,被控訴人に対し,刑事判決で横領と認定された額である3794万3877円の損害賠償を求めて,本件訴えを提起した。 3 争点に対する判断(1) Aを控訴人の成年後見人に選任したこと及びその後見監督についてア控訴人は,控訴人の成年後見人であるAが,平成17年**月**日から平成18年**月**日までの約1年6か月の間に,74回にわた- 15 -って,被後見人である控訴人の本件預金口座等から現金合計3629万円を引き出し,また,平成18年**月**日,本件預金口座から他の金融機関に預け替えるため引き出した865万3877円のうち165万3877円を着服し,もって合計3794万3877円を横領したことについて,担当家事審判官がAを控訴人の成年後見人に選任したこと,その後のAに対する後見監督に違法があり,担当調査官及び担当家事審判官に故意,過失もあるとして,被控訴人に対し,国家賠償を求める。 イところで,成年後見の制度(法定後見)は,家庭裁判所が,判断能力(事理弁識能力)の不十分な者を保護するため,審判によって,その成年後見人を選任する制度である。成年後見人は,被後見人の財産管理等を行うものであるが,そのため,被後見人の財産について,財産管理権とその財産に関する法律行為について被後見人を代表する権限(民法859条1項)が与えられている。被 成年後見人は,被後見人の財産管理等を行うものであるが,そのため,被後見人の財産について,財産管理権とその財産に関する法律行為について被後見人を代表する権限(民法859条1項)が与えられている。被後見人と成年後見人の関係は委任の一形態と考えられるので,成年後見人は,これらの権限の行使について,被後見人に対し,善良な管理者としての注意義務を負い,この注意義務に反して,被後見人の財産を横領する等の不正行為を行った場合は,被後見人に対し,損害賠償義務を負うものである。他方,家庭裁判所は,選任した成年後見人の職務を監督することができるが,これは,成年後見人の権限が広範であるため,いったん不正行為が行われたときは,被後見人に回復し難い損害が発生するおそれがあるので,家庭裁判所に,一定の範囲で,成年後見人による後見事務が適正に行われているかどうかを確認することを可能にしたものというべきである。 上記成年後見の制度(法定後見)の趣旨,目的,後見監督の性質に照らせば,成年後見人が被後見人の財産を横領した場合に,成年後見人の被後見人に対する損害賠償責任とは別に,家庭裁判所が被後見人に対し国家賠償責任を負う場合,すなわち,家事審判官の成年後見人の選任や- 16 -後見監督が被害を受けた被後見人との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるのは,具体的事情の下において,家事審判官に与えられた権限が逸脱されて著しく合理性を欠くと認められる場合に限られるというべきである。そうすると,家事審判官の成年後見人の選任やその後見監督に何らかの不備があったというだけでは足りず,家事審判官が,その選任の際に,成年後見人が被後見人の財産を横領することを認識していたか,又は成年後見人が被後見人の財産を横領することを容易に認識し得たにもかかわらず,その者を成年後見人に 足りず,家事審判官が,その選任の際に,成年後見人が被後見人の財産を横領することを認識していたか,又は成年後見人が被後見人の財産を横領することを容易に認識し得たにもかかわらず,その者を成年後見人に選任したとか,成年後見人が横領行為を行っていることを認識していたか,横領行為を行っていることを容易に認識し得たにもかかわらず,更なる被害の発生を防止しなかった場合などに限られるというべきである。 なお,被控訴人は,裁判官の独立や上訴制度による是正制度の存在に照らし,裁判官の職務行為に国家賠償法1条1項の違法が認められるためには,当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなどその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認められるような「特別の事情」が必要であると主張するが,上記法理は,裁判官が行う争訟の裁判について適用されるものであるところ,家事審判官が職権で行う成年後見人の選任やその後見監督は,審判の形式をもって行われるものの,その性質は後見的な立場から行う行政作用に類するものであって,争訟の裁判とは性質を異にするものであるから,上記主張は採用することができない。 ウそこで,上記観点に立って,控訴人の主張を検討する。 (ア) Aを控訴人の成年後見人に選任したことについて広島家庭裁判所福山支部の担当調査官(G調査官)や担当家事審判官(F)が,Aを控訴人の成年後見人に選任した際,Aが控訴人の財産を横領することを認識していたと認めるに足りる証拠はなく,また,- 17 -前記2の認定事実によっても,上記担当調査官や担当家事審判官が,Aが控訴人の財産を横領することを容易に認識し得たということもできない。 したがって,担当家事審判官(F)がAを控訴人の成年後見人に選任したことが違法との控訴人の主張は,採用するこ 事審判官が,Aが控訴人の財産を横領することを容易に認識し得たということもできない。 したがって,担当家事審判官(F)がAを控訴人の成年後見人に選任したことが違法との控訴人の主張は,採用することができない。 なお,控訴人は,Aに知的障害があったことが,Aの横領行為の直接の原因であると主張するようであるが,Aに善悪の判断能力があったことは,前記2の認定事実からも明らかであり,Aには刑事責任能力も認められていたのであるから,Aの横領行為は,Aの自由な意思により行われたものであって,その知的障害によって生じたものとはいえない。したがって,Aの知的障害の点は,本件の判断に直接影響を及ぼす事情にはならないというべきである。 (イ) 第1回後見監督について広島家庭裁判所福山支部の担当家事審判官(F)や担当調査官(I調査官)が,第1回後見監督において,Aが控訴人の預金を私的に使用していたことを認識していたと認めるに足りる証拠は存しない。 ただし,前記2の認定事実によれば,Aは,平成16年**月**日,A預金口座に控訴人の保険金4770万円が入金されると,Dと共謀して,同預金から一部の金員を払い戻して私的に使用することを繰り返していたところ,I調査官は,第1回の後見監督の面接調査日である平成17年**月**日,保険金入金から約4か月の間に470万円もの金員が払い戻されていることを発見している。 しかし,被後見人の財産の管理方法は成年後見人の裁量的判断に委ねられているところ,前記2の認定事実によれば,I調査官が,Aに事情を尋ねたのに対し,Aは,毎月必要な支出の合計額が25万円程度であり,70万円はベッドの購入など施設入所に際しての臨時の出- 18 -費等に費消したが,急な出費に備えて,常時手元に現金で300万円を管理していると Aは,毎月必要な支出の合計額が25万円程度であり,70万円はベッドの購入など施設入所に際しての臨時の出- 18 -費等に費消したが,急な出費に備えて,常時手元に現金で300万円を管理しているとの一応合理的な説明をしているのである。また,I調査官が,Aに対し,控訴人の預金全額をA名義の預金口座から控訴人名義の口座に移し替えるよう指導したところ,Aは,同日,上記指導に従い,株式会社**銀行**支店において「控訴人後見人A」名義の本件預金口座を開設し,4333万0768円を同預金口座に入金して,素直に従っているのである。そうすると,I調査官がAの上記説明を信じてAの横領について疑いを抱くことがなかったことが,著しく合理性を欠くとまでいうことはできず,少なくとも,I調査官や担当家事審判官(F)において,Aが横領行為を行っていることを容易に認識し得たということはできない。 そうすると,担当家事審判官(F)が,第1回の後見監督後,Aに対し,更なる被害発生を防止するための監督処分を行わなかったことが,違法ということはできない。 (ウ) 第2回後見監督について前記2の認定事実によれば,担当調査官であるI調査官は,平成18年**月**日及び同月**日のAらに対する面接等の調査により,同月**日ころ,担当家事審判官(F)に対し,3600万円を超える使途不明金があり,その使途を説明できないことから,これらがAらによって私的に費消されたと考えざるを得ない,このまま放置しておけば,被後見人の財産が際限なく減少する危険があるため,早急に手続を進める必要があるとの調査報告をしている。したがって,担当家事審判官(F)は,同日ころ,Aが控訴人の預金から多額の金員を横領しており,放置すれば今後も同様の横領が繰り返される可能性が高いことを認識したという があるとの調査報告をしている。したがって,担当家事審判官(F)は,同日ころ,Aが控訴人の預金から多額の金員を横領しており,放置すれば今後も同様の横領が繰り返される可能性が高いことを認識したというべきである。ところが,担当家事審判官(Fら)は,更なる横領を防止する適切な監督処分(なお,家庭裁- 19 -判所は,職権で,被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分をすることができ(民法863条2項),後見人に不正な行為,著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは,職権で,後見人を解任することができる(同法846条)。)をしなかった。そのため,Aらは,本件預金口座の通帳,印鑑,キャッシュカードを所持し続け,何の制約も受けずにこれらを行使できたところ,上記面接調査から約1か月半後である同年**月**日に50万円,同年**月**日に20万円,同月**日に3万円,同月**日に2万円,同年**月**日に20万円,同月**日に20万円,同年**月**日に50万円,同月**日に10万円,同月**日に5万円,同月**日に6万円,同月**日に5万円,同年**月**日に10万円,同月**日に10万円,同月**日に10万円,同月**日に10万円と,反復して控訴人の預金から金員を払い戻してこれらを着服(合計231万円)していたのである。 なお,担当家事審判官は,同年**月**日(横領発覚から約4か月後),K弁護士を二人目の成年後見人に選任しているが,Aが本件預金口座の通帳,印鑑,キャッシュカードを所持し,横領を繰り返していたのであるから,これは現に行われている横領行為を直ちに防止する有効な処分には当たらないというほかない。Aらの横領を阻止したのは,K弁護士が金融機関に対し控訴人の預金の支払を停止するよう依頼し,同年**月**日 ,これは現に行われている横領行為を直ちに防止する有効な処分には当たらないというほかない。Aらの横領を阻止したのは,K弁護士が金融機関に対し控訴人の預金の支払を停止するよう依頼し,同年**月**日ころまでにその措置がとられたことによる。そして,担当家事審判官(L)が,Aを解任したのは,上記措置の後,横領発覚から約7か月も経過した同年**月**日のことである。 上記事実によれば,Aらが控訴人の預金から金員を払い戻してこれを着服するという横領を行っていたにもかかわらず,これを認識した- 20 -担当家事審判官(Fら)がこれを防止する監督処分をしなかったことは,家事審判官に与えられた権限を逸脱して著しく合理性を欠くと認められる場合に当たり,国家賠償法1条1項の適用上違法になるというべきであり,また,担当家事審判官(Fら)に過失があったことも明らかである。 (2) 最高裁判所の組織的な違法について控訴人は,成年後見制度における人事及び予算等の態勢を十分整備してないから,担当調査官あるいは担当家事審判官の職務上の注意義務違反を招き,Aらの横領をもたらしたとして,最高裁判所担当職員に組織的な未必的,概括的故意があると主張するが,上記主張は,そもそもAの横領に係る国家賠償請求の理由としては当を得ず,上記主張を裏付ける事実も認められないから,上記主張は失当である。 (3) Bに公務員としての不法行為が成立するか控訴人は,人権擁護委員に委嘱されていたBが,Aに知的障害があることを知りながら担当調査官にこれを告知しなかったことが,公務従事者としての不法行為が成立すると主張するが,Bは,人権擁護委員としてではなく,私人としてAの相談に乗っていたと推認され,また,G調査官の面接調査に立ち会ったことを認めるべき確実な証拠もないのであ 事者としての不法行為が成立すると主張するが,Bは,人権擁護委員としてではなく,私人としてAの相談に乗っていたと推認され,また,G調査官の面接調査に立ち会ったことを認めるべき確実な証拠もないのであるから,控訴人が主張するような違法は認められず,上記主張は失当である。 4 まとめ以上の次第で,被控訴人は,控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,控訴人が被った損害231万円を支払うべき義務がある。 これに対し,被控訴人は,平成23年**月**日,C及びAとの間において,AのCに対する400万円の損害賠償債権を,Aが控訴人に負担する損害賠償義務のうち,400万円の代物弁済として控訴人に譲渡する旨の和解を成立したから,控訴人の損害の一部は回復されたと主張するが,Aの控- 21 -訴人に対する損害賠償義務は3494万3877円となるところ,上記債権譲渡が上記損害のうち被控訴人が責任を負う231万円の部分に充当されるとの立証はないので,本件の弁済と認めることはできない。 5 結論よって,原判決は一部不当であるから,上記判断に従って原判決を変更することとし,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第4部 裁判長裁判官宇田川基 裁判官近下秀明 裁判官松葉佐隆之
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