- 1 -令和6年1月24日判決言渡令和5年(ネ)第10081号商品販売差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和3年(ワ)第17926号)口頭弁論終結日令和5年11月28日判決 控訴人株式会社ワイエムエヌ 控訴人 XことX’ 上記2名訴訟代理人弁護士河合弘之北村賢二郎前山慶斗 被控訴人ツインガーデン株式会社 同訴訟代理人弁護士大下良仁 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 用語の略称及び略称の意味は、本判決で改めて、又は新たに付するもののほかは、原判決に従う。また、原判決の引用部分の「別紙」を全て「原判決別紙」と改める。 第1 控訴の趣旨 1 原判決中被控訴人関係部分を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人XことX’の肖像又は「X」の芸名を付した原判決別紙- 2 -商品目録記載の各商品の譲渡、販売又は販売のための広告をしてはならない。 3 被控訴人が占有する控訴人XことX’の肖像又は「X」の芸名を付した原判決別紙商品目録記載の各商品を廃棄せよ。 4 被控訴人は、控訴人XことX’に対し、1億円及びこれに対する令和3年8月21日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨控訴人XことX’(原審原告。以下「原告X」という。)の所属する控訴人株式会社ワイエムエヌ(原 21日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨控訴人XことX’(原審原告。以下「原告X」という。)の所属する控訴人株式会社ワイエムエヌ(原審原告。以下「原告会社」といい、原告Xと併せて「原告ら」という。)は、アスクレピオス製薬株式会社(原審被告。以下「原審被告アスクレ ピオス」という。)との間で原審被告アスクレピオスが販売する原判決別紙商品目録記載1の商品(以下「被告商品」という。)の広告等において原告Xの氏名、原告会社が事前確認した肖像及びコメント(以下「本件氏名等」という。)の使用を許諾する旨の本件広告出演契約を締結していた。本件は、原告らが、原審被告アスクレピオス及び同社から会社分割により被告商品に係る事業を承継した被控訴人(原審被 告。以下「被告ツインガーデン」といい、原審被告アスクレピオスと併せて「被告ら」という。)に対し、原告会社と原審被告アスクレピオスとの間で本件広告出演契約を解除する旨の本件和解が成立したにもかかわらず、その後も被告らが被告商品の広告等に本件氏名等を使用していると主張して、原告Xは人格権としての氏名権、肖像権及びパブリシティ権に基づき、原告会社は本件広告出演契約及び本件和解に 基づき、被告らに対し、本件氏名等を使用した被告商品及びその販売促進品として被告商品とともに頒布されている原判決別紙商品目録記載2の商品(以下「被告DVD」という。)の譲渡等の差止め及び廃棄を求めると共に、原告Xが、被告らに対し、それぞれ、不法行為に基づく損害賠償として1億円(パブリシティ権侵害についての使用料相当損害額の一部である9500万円並びに氏名権及び肖像権侵害に ついての精神的損害500万円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日(原審被告- て1億円(パブリシティ権侵害についての使用料相当損害額の一部である9500万円並びに氏名権及び肖像権侵害に ついての精神的損害500万円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日(原審被告- 3 -アスクレピオスについて令和3年8月25日、被告ツインガーデンについて同月21日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は、原告らの請求を、原告Xが被告ツインガーデンに対し、47万5000円及びこれに対する令和4年1月19日から支払済みまで年3%の割合による金 員の支払を求める限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却した。 原告らは、敗訴部分に不服があるとして控訴した。 原告らは、その後、原判決中原告らの原審被告アスクレピオスに対する各請求をいずれも棄却した部分についての控訴を取り下げた。したがって、当審における審判の対象は、原告らの被告ツインガーデンに対する各請求部分のみである。 2 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張以下のとおり補正し、後記3において当審における当事者の補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1から3まで(原判決2頁19行目から20頁1行目まで)に記載するとおりであるから、これを引用する。なお、引用文(補正後のものも含む。)中「被告アスクレピオス」とあるの は「原審被告アスクレピオス」と、「被告らの主張」とあるのは「被告ツインガーデンの主張」と、それぞれ読み替える(以下同じ。)。 (1) 3頁16行目の「原告会社が出演管理」から18行目の「「本件氏名等」という。)」までを「本件氏名等」と改める。 (2) 11頁19行目の「本件和解書」を「上記②の合意解約に係る和解書(乙3 4。以下「レア 告会社が出演管理」から18行目の「「本件氏名等」という。)」までを「本件氏名等」と改める。 (2) 11頁19行目の「本件和解書」を「上記②の合意解約に係る和解書(乙3 4。以下「レアラボ和解書」という。)及び本件和解書」と改める。 (3) 12頁4行目の「和解書(以下「レアラボ和解書」という。)」を「レアラボ和解書」と改める。 (4) 14頁19行目の「Aの代表権濫用を知り」を「本件和解の締結が、Aの代表権濫用によるものであることを知っていたか」と、15頁10行目の「これらの 行為」を「本件和解の締結」と、それぞれ改める。 - 4 -(5) 16頁4行目の「同年7月頃」を「令和元年7月頃」と改め、13行目の「同業の」を削る。 (6) 17頁8行目の「原告会社」を「B」と、「ネクスト製薬と」を「ネクスト製薬の代表者と」と、15行目の「また、請求書を」を「また、Bが、レアラボ名義の請求書を」と、それぞれ改める。 (7) 18頁23行目及び24行目の各「被告商品」を「被告商品及び被告DVD」とそれぞれ改める。 (8) 19頁5行目の「原告Xの広告の使用」を「本件氏名等の広告における使用」と改める。 3 当審における当事者の補充主張(争点1-2「Aの代表権濫用についての原 告会社の悪意又は過失の有無」に関するもの)(1) 原告らの主張Bは、次のとおり、Aの背任の意図すなわち権限濫用について善意かつ無過失であった。 ア仮にAに背任の意図があったとすれば、被告商品に関するものとしては、被 告商品(BBB)の販売を終了し、BBBプラスとして、自らの支配下に移転させることにあった。しかしながら、Aが関係する会社によって、実際にBBBプラスが販売されることはなく、また、BとA 被 告商品(BBB)の販売を終了し、BBBプラスとして、自らの支配下に移転させることにあった。しかしながら、Aが関係する会社によって、実際にBBBプラスが販売されることはなく、また、BとAとの間で、BBBプラスの販売について協議がされたという事実すらない。これは、Bが、BBBプラスの販売又はこれに対する協力要請を拒否したからに他ならない。 イ Aを含む原審被告アスクレピオスでは「BBB売りまくり作戦」と称して計画を実施していたが(乙19の1・3枚目)、同作戦については「B社長との合意を優先」するとされており、これは、被告商品の移転に関し、AとBが共謀していないことを前提とするものである。なお、Aの画策していた被告商品に係る事業の移転に関し、Bが何らかの主体的な関与をしていることを示す証拠はない。 ウ本件和解書は、被告商品をAの支配下に移転させることを内容とするもので- 5 -はなく、その他にAの利益となるような条項は存在しないから、Aが自己の利益のために本件和解を締結したとは言い難い。 エ Aが、LINEにより「問題なくAが経営を継続できた場合、次期の契約金に充当する」とのメッセージを送信したが、「問題なくAが経営を継続できた場合」とは、Cの関与という取引上の障害事由が事後的に消滅するに至り、原告会社と原 審被告アスクレピオスと間の取引が継続可能な状況となった場合のことであり、AとBの間で、このような場合に次期の契約金に充当するとの話し合いがされたとしても、何ら本件和解を反故にするものではない。そもそも上記メッセージの内容はAの希望にすぎず、Bが合意していたものではない。 オ本件和解書には、本件広告出演契約終了後も一定期間在庫商品の販売を認め るなど、原審被告アスクレピオスにも配慮す 上記メッセージの内容はAの希望にすぎず、Bが合意していたものではない。 オ本件和解書には、本件広告出演契約終了後も一定期間在庫商品の販売を認め るなど、原審被告アスクレピオスにも配慮する規定が含まれており、一方的に原審被告アスクレピオスを害する内容となっていない。外観上、第三者から見て法的に形式を整えられたものであって、Aの権限濫用をうかがわせる記載はない。 カ Bは、Aが画策していた「BBB売りまくり作戦」を含む一連の計画を認識していなかった。本件商品開発契約書をバックデートにより作成したことやその契 約条項の内容、ネクスト製薬との契約等については、Aの申し入れに応じたにすぎず、Aの権限濫用を知らなかったことについて過失があるとはいえない。 キ Bは、フクビに関するやりとりをしていたLINEグループのグループ名等が変更されたことについて疑義を呈することはなかったが、これは、同グループにおいては専ら事務的なやり取りがされていて、経営上の重要事項はやり取りされて いなかったこともあって、グループに含まれるアカウントを重視しておらず、必要のないメンバーは勝手に退会すると認識していたためである。 クレアラボ(B)は、令和2年3月26日、ネクスト製薬に請求書を送付したものの、到着したことが確認できなかったところ、AからBにレアラボの振込先の確認がされたことから、Aに対し、請求書を交付した。Bは、原審被告アスクレピ オスからネクスト製薬への引継ぎに関し、Aが責任をもって引継ぎを取り次ぐもの- 6 -であって、Aがネクスト製薬の窓口であると認識していたことから、Aと協議を進めたのであり、何ら不自然なことではない。 (2) 被告ツインガーデンの主張ア Bが被告商品の移転を拒否したことを裏付ける証拠は がネクスト製薬の窓口であると認識していたことから、Aと協議を進めたのであり、何ら不自然なことではない。 (2) 被告ツインガーデンの主張ア Bが被告商品の移転を拒否したことを裏付ける証拠はない。原告らは、AとBとの間のメール等の客観的証拠のみ存在しないとの理由で開示しない。なお、A のチャットワーク等によれば、Aが他社でBBBプラスを販売していないのは、Bから拒否されたためではなく、本件和解締結後の紛争状態が理由であると考えるのが自然である。 イ代表権の濫用は、利益簒奪(さんだつ)意図を有して、自己又は第三者の利益を図ることであるから、自己に対する財産の移転に限らず、第三者に対する流出 であっても代表権濫用の場面でいう背任にあたる。 そして、Aは、D弁護士とともに「一番可能性が高いのは子会社を譲渡して、他の協力者に財産を逃がす方法です。」「見解ありがとうございます!」とやり取りしている(乙12の2(17・18頁))のであるから、Aの背任目的に、原告会社がいうところの自己への財産の「移転」のほか、第三者に対する財産の「流出」を含 む意図が含まれていることは明らかである。 ウ原審被告アスクレピオスが、被告商品の出荷を令和2年6月まで行うことができるようにしたのは、Aが自身に利益を移転させるために当初から計画していたところであり、本件和解において、原告会社が、本件広告出演契約の解約後も、一定期間在庫商品の販売や本件氏名等の使用を認めたことをもって、原審被告アスク レピオスの利益にも配慮した内容であるなどとはいえない。そもそもBは、関連事件の尋問(乙216の1)においても、本件和解の内容について交渉したという話は全くしていない。 エ原告らは、Bが、AのBBB売りまくり作戦を含む一連の計画を認識して えない。そもそもBは、関連事件の尋問(乙216の1)においても、本件和解の内容について交渉したという話は全くしていない。 エ原告らは、Bが、AのBBB売りまくり作戦を含む一連の計画を認識していなかったと主張するが、悪意又は有過失の対象は背任目的であってAが計画してい たBBB売りまくり作戦の詳細ではない。 - 7 -オ Bは、LINEグループ名等の変更について疑義を呈しなかったが、原審被告アスクレピオスのLINEの法人アカウント・LINEグループを、Aとは関係のない、ネクスト製薬が使えるはずがないのであり、これを疑問に思わないこと自体不合理である。 カ Bは、ネクスト製薬に対する請求書をAに渡したが、Aとの間でネクスト製 薬の請求書に関するやり取りをしたり、ネクスト製薬に対する請求書をAに対して交付したりするのは、Aがネクスト製薬を支配しており、このことをBが知っていたからにほかならない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、原告らの被告ツインガーデンに対する請求は、原告Xが被告ツ インガーデンに対し、38万9500円及びこれに対する令和4年1月19日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余の請求にはいずれも理由がないものと判断する。理由は、以下のとおり補正し、後記2において当審における原告らの補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」(以下「原判決の第3」とい う。原判決20頁2行目から39頁24行目まで)に記載するとおりであるから、これを引用する。 (1) 20頁25行目の「ネクスト製薬株式会社(以下「ネクスト製薬」という。)」を「ネクスト製薬」と改め、22頁22行目の「同月16日以降」の次に「、 記載するとおりであるから、これを引用する。 (1) 20頁25行目の「ネクスト製薬株式会社(以下「ネクスト製薬」という。)」を「ネクスト製薬」と改め、22頁22行目の「同月16日以降」の次に「、「株主問題解決チャット」(乙12の1)や、「株主問題解決防御編」(乙12の2)とい った名前のチャットワークのグループを立ち上げるとともに」を加える。 (2) 24頁23行目の「同年」を「令和2年」と、25頁17行目の「同月頃」を「同年2月頃」と、21行目の「乙12の2、47」を「乙12の2、乙47、214の1」と、それぞれ改める。 (3) 25頁22・23行目の「アクア及びAD社に対し、以下の貸付を行った。」 を「アクア及びAD社との間で、それまでに行われた貸付に係る締結済み契約書を- 8 -ベースにこれを修正するなどして、以下の内容の金銭消費貸借契約書を作成し、弁済期を延長した。」と、26頁1行目、3行目及び8行目の各「同年」を「令和元年」と、10行目の「乙9、12の2」を「乙9の4~8、乙12」と、それぞれ改める。 (4) 26頁13行目の「同月25日」を「同月25日のミーティング(乙62) で」と、22行目の「グループ名が「B社長×ネクスト製薬(化粧品)」と変更された。」を「グループ名が「B社長×アスク・・・」から「B社長×ネクスト製薬(化粧品)」へと変更された(乙157、乙167の2)。」と、それぞれ改める。 (5) 27頁16・17行目の「被告アスクレピオスの申立てに係る破産手続開始申立事件(当庁令和2 年(フ)第2675 号)」を「原審被告アスクレピオスの申立て に係るアクアを債務者とする破産手続開始申立事件(東京地方裁判所令和2年(フ)第2675号)」と改める。 (6) 29頁9行目の「甲118 2675 号)」を「原審被告アスクレピオスの申立て に係るアクアを債務者とする破産手続開始申立事件(東京地方裁判所令和2年(フ)第2675号)」と改める。 (6) 29頁9行目の「甲118~121、乙47、48」を「甲118~121、131、乙47、48、213の1、216の1」と改め、17行目を削る。 (7) 31頁26行目の「代表取締役が」の次に「、平成29年法律第44号の施 行日(令和2年4月1日)前に」を加え、32頁2行目の「平成29年法律第44号による改正前の民法」を「平成29年法律第44号附則6条1項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法による改正前の民法」と、7行目の「株式譲渡」を「原審被告アスクレピオスの株式名義の譲渡」と、8・9行目の「被告アスクレピオスの経営権の維持に関する懸念が生じたことを受け、」を「自ら の原審被告アスクレピオスに対する経営権を失う可能性が相当程度あると考え、それまでに原審被告アスクレピオスの資産等を自らの支配下に移転させて、その実体的価値を低下させることを計画し、」と、15行目の「以下の行為を」を「原審被告アスクレピオスの代表者として、以下の行為を」と、それぞれ改める。 (8) 32頁20行目から22行目までを次のとおり改める。 「・アクア及びAD社に対する多額かつ複数回の貸付についての弁済期の延長。 - 9 -契約書の作成日付をバックデートして、契約書上の作成日付から5年後を弁済期とした。(同(13))」(9) 32頁25行目の「アクア株式の譲渡」を「アクア株式300株の1株1円(合計300円)での譲渡」と改める。 (10) 33頁2行目の「バックデートした」を「令和元年10月31日を算定基準 日とし、作成日をバックデートした同年 」を「アクア株式300株の1株1円(合計300円)での譲渡」と改める。 (10) 33頁2行目の「バックデートした」を「令和元年10月31日を算定基準 日とし、作成日をバックデートした同年12月3日付けの」と、20行目の「1000万円程度と想定」を「1000万円程度の違約金を想定」と、26行目の「交渉等を通じて金額の精査が十分に行われたとは」を「交渉がされたことや、金額の精査が行われたことは」と、それぞれ改める。 (11) 36頁16・17行目の「フクビに関する」から18行目の「かかわらず、」 までを「フクビに関するやり取りを行っていたB及び原審被告アスクレピオス従業員らによるLINEグループについて、メンバーはそのままで、グループ名が「B社長×ネクスト製薬(化粧品)」へと変更されたにもかかわらず、」と改める。 (12) 36頁24・25頁の「Bは、本件和解の締結に際し、Aの代表権濫用を知っていたものとみるのが相当である。」を「Bは、本件和解の締結時、AとCとの間 で原審被告アスクレピオスの代表権等について争いがあり、Cへの対抗手段として、Aが、原審被告アスクレピオスの資産等を自らの支配下へと移転し、その実体的価値を低下させようとしていたことを知り、又は知り得べきものであったと認めるのが相当である。」と、37頁4行目の「Aの代表権濫用につき悪意であった」を「Aの真意を知り、又は少なくとも知り得べきものであった」と、それぞれ改める。 (13) 37頁12行目の「被告商品に係る行為」を「被告商品及び被告DVDに関し本件氏名等を使用した行為」と、15行目の「被告商品」を「被告商品及び被告DVD」と、26行目の「当該広告記事等」を「当該記事広告等」と、それぞれ改める。 (14) 38頁3行目の末尾に「さら し本件氏名等を使用した行為」と、15行目の「被告商品」を「被告商品及び被告DVD」と、26行目の「当該広告記事等」を「当該記事広告等」と、それぞれ改める。 (14) 38頁3行目の末尾に「さらに、被告らが、現在においても被告商品及び被 告DVDを譲渡している事実は認められず、今後、被告商品及び被告DVDの譲渡- 10 -等をするおそれがあると認めることもできない。」を加え、4・5行目の「被告商品に係る原告Xの本件氏名等を使用した被告商品の譲渡等」を「本件氏名等を使用した被告商品及び被告DVDの譲渡等」と、8行目の「被告商品」を「被告商品及び被告DVD」とそれぞれ改める。 (15) 39頁7・8行目の「平成31 年1 月~令和2 年3 月の15 か月間における 被告商品の売上は1 日平均で2561 万0960 円」を「平成31年1月から令和2年3月までの15か月間における被告商品の売上額は合計93億4800万0741円であり、これを同期間の日数456日で除すると、1日当たりの売上額は2050万円(1万円未満四捨五入)」と改める。 (16) 39頁14行目の「本件においては、」から15行目の「合計47 万5000 円」 までを「本件においては、上記1日当たりの売上額の約0.1%である2万0500円を1 日当たりの損害額とし、合計38万9500円」と改める。 2 当審における原告らの補充主張に対する判断(1) 原告らは、BにおいてAが被告商品を自己の支配下に移転しようとする意図があったことを知らず、かつ知るべきものであったともいえない旨の主張(前記第 2の3(1)ア~ウ)をしている。しかし、本件で問題となるのは、本件和解に係るAの意思表示が代表権の濫用の意図をもって行われたかどうか、そして、当該意図をB ったともいえない旨の主張(前記第 2の3(1)ア~ウ)をしている。しかし、本件で問題となるのは、本件和解に係るAの意思表示が代表権の濫用の意図をもって行われたかどうか、そして、当該意図をBにおいて知り、又は知り得べきものであったかどうかである。この点については、前記補正の上引用した原判決の第3の2及び3のとおり、Aは、令和元年12月頃から、Cとの間の株式を巡る紛争により原審被告アスクレピオスの経営権を失う可 能性があることを想定し、原審被告アスクレピオスの資産等を自らの支配下へと移転させ、その実体的価値を低下させるための様々な行為を計画し、実施していたことが認められる。本件和解についても、Cの逮捕及び有罪判決により原告会社に具体的な損害が発生したことがうかがわれるような事情は見当たらないにもかかわらず、原審被告アスクレピオスは原告会社に対し2860万円を賠償金として支払う ことに合意しており、当事者間において、賠償額について具体的な交渉をした形跡- 11 -がないことに照らすと、Aは、原審被告アスクレピオスの財産を流出させる意図をもって、本件和解書を作成したことが推認され、これを覆すに足りる証拠はない。 また、同じ頃、Bは、レアラボの代表者として、本件商品開発契約に係る契約書をバックデートして作成すること及びこれを解除し、500万円の賠償金を受け取る旨のレアラボ和解書を作成することに応じているところ、当該バックデートして作 成された契約書には、Cが逮捕され、有罪判決を受けたことを念頭に置いた条項が設けられている一方、レアラボ和解書の賠償額についても具体的な交渉がされた形跡はない。Bにおいて、令和元年12月6日のCのFacebookの記載を目にしていたことが合理的に推認されるのは前記補正の上引用した原判決のとおり アラボ和解書の賠償額についても具体的な交渉がされた形跡はない。Bにおいて、令和元年12月6日のCのFacebookの記載を目にしていたことが合理的に推認されるのは前記補正の上引用した原判決のとおりであり、令和2年3月30日付けの本件和解書及びレアラボ和解書が作成された当時、 Bは、AとCとの間で原審被告アスクレピオスの経営をめぐって紛争状態にあることを知っていたと考えられる。これらの点を考え合わせると、Bは、本件和解の際、Aが、Cへの対抗手段として、原審被告アスクレピオスの資産等を自らの支配下へと移転するなどしてその実体的価値を低下させるために、財産を流出させる意図をもって本件和解に係る意思表示をしたことを知り、又は知り得べきものであったと いうべきである。したがって、原告らの主張は、採用することができない。 (2) 原告らのその余の主張に理由がないことは、前記補正の上引用した原判決の第3の3のとおりである。「Aが経営を継続できた場合」に、本件和解による和解金を「次期の契約金に充当」するとの合意があったとなると、本件広告出演契約の終了により原告会社に損害が生じておらず、原審被告アスクレピオスが損害賠償をす る理由がなかったことが裏付けられるというべきである。その余の原告らの指摘する事情についても、Aが「経営を継続することができた場合」についてBとの間で話をし、次期の契約金に充当する合意をしたこと(原判決の本件一覧表№74、75)は、逆にいえば、本件和解は、Aが経営を継続することができない場合を想定して締結されたことを示すものである。しかるところ、Bにおいて、AとCとの間 の原審被告アスクレピオスの経営権を巡る紛争の存在を認識していたと認められる- 12 -以上、会社の現代表者であり当該紛争の当事者である特 のである。しかるところ、Bにおいて、AとCとの間 の原審被告アスクレピオスの経営権を巡る紛争の存在を認識していたと認められる- 12 -以上、会社の現代表者であり当該紛争の当事者である特定の個人が、当該会社の経営を継続することができない場合を想定して、当該会社の取引関係を終了させ、その財産を第三者に移転させることを内容とする意思表示をしたときは、その相手方において、当該代表者である個人の背任又は権利濫用の意図を知り、又は少なくとも知り得べきものであったというほかないから、これらの事情は、前記判断を左右 するものではない。 3 結論以上の次第で、原告らの請求は、原告Xが被告ツインガーデンに対し、38万9500円及びこれに対する令和4年1月19日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるところ、これを47万5000円及 びこれに対する令和4年1月19日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認めた原判決は一部不当であるが、被告ツインガーデンは控訴をしていないから不利益変更禁止の原則により本件控訴を棄却するにとどめることとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官 清水響 裁判官- 13 -浅井憲 裁判官 勝又来未子 浅井憲 裁判官 勝又来未子
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