- 1 -令和元年11月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(行ウ)第7号消費税等更正処分取消等請求事件口頭弁論終結日令和元年9月27日判決主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 札幌α税務署長が原告に対して平成27年6月8日付けでした平成23年4 月1日から平成24年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分のうち納付すべき消費税額446万9400円を超える部分及び納付すべき地方消費税111万7300円を超える部分並びに過少申告加算税のうち2万2000円を超える部分の賦課決定処分を取り消す。 2 札幌α税務署長が原告に対して平成27年6月8日付けでした平成24年4 月1日から平成25年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分のうち納付すべき消費税額41万2400円を超える部分及び納付すべき地方消費税10万3100円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 札幌α税務署長が原告に対して平成27年6月8日付けでした平成25年4 月1日から平成26年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分のうち納付すべき消費税額550万4500円を超える部分及び納付すべき地方消費税137万6100円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 4 札幌α税務署長が原告に対して平成27年6月8日付けでした平成22年5 月,6月,8月,9月,同年11月から平成23年3月まで,同年5月,6月,- 2 -同年8月から平成24年2月まで,同年4月,5月及び同年7月から12月までの各月分に係る源泉所得税についての不納付加算税の各 月,9月,同年11月から平成23年3月まで,同年5月,6月,- 2 -同年8月から平成24年2月まで,同年4月,5月及び同年7月から12月までの各月分に係る源泉所得税についての不納付加算税の各賦課決定及び各納税告知処分を取り消す。 5 札幌α税務署長が原告に対して平成27年6月8日付けでした平成25年1月,2月,4月,5月,7月,9月,10月,同年12月から平成26年4月 まで,同年6月,7月及び9月の各月分に係る源泉所得税及び復興特別所得税についての不納付加算税の各賦課決定及び各納税告知処分を取り消す。 第2 事案の概要一般貨物自動車運送業等を営む株式会社である原告は,その業務に従事した運転手らに別紙1記載の別表1-1及び1-2のとおり支払った金員(以下「本件 各金員」という。)につき,これらが所得税法28条1項の「給与等」に当たらないことを前提に,①平成23年4月1日から平成24年3月31日まで(以下「平成24年3月課税期間」という。),同年4月1日から平成25年3月31日まで(以下「平成25年3月課税期間」という。),同年4月1日から平成26年3月31日まで(以下「平成26年3月課税期間」という。)の消費税及び地方 消費税の確定申告において,その一部を課税仕入れに係る支払対価の額として計上し,また,②本件各金員についての平成22年5月分から平成26年9月分までの源泉徴収に係る所得税(以下「源泉所得税」という。)及び復興特別所得税(以下,源泉所得税と併せて「源泉所得税等」という。)を徴収しなかった。 本件は,札幌α税務署長が,原告に対し,本件各金員は所得税法28条1項の 「給与等」に当たるとした上,①本件各金員の額は消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないとして,平成24年3月課税期間 幌α税務署長が,原告に対し,本件各金員は所得税法28条1項の 「給与等」に当たるとした上,①本件各金員の額は消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないとして,平成24年3月課税期間,平成25年3月課税期間及び平成26年3月課税期間における消費税・地方消費税に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定をするととともに,②源泉所得税等を徴収する義務があるとして,平成22年5月から平成26年9月までの間の一部の月につ き源泉所得税等に係る納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をしたこと- 3 -につき,原告が,これらの処分(更正処分については確定申告による合計税額を超える部分)の各取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め(1) 所得税法所得税法27条は,事業所得とは,農業,漁業,製造業,卸売業,小売業, サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう旨定め,同法28条は,給与所得とは、俸給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下「給与等」という。)に係る所得をいう旨定める。 そして,同法183条は,日本国内の居住者(同法2条1項3号)に対し 給与等の支払をする者は,その支払の際,その給与等について所得税を徴収し,その徴収の日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならない旨定める。 (2) 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(以下「復興財源確保法」という。) 復興財源確保法28条1項は,所得税法の規定により所得税を徴収して納付すべき者は,その徴収(平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に行うべきものに限る。)の際,復興 う。) 復興財源確保法28条1項は,所得税法の規定により所得税を徴収して納付すべき者は,その徴収(平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に行うべきものに限る。)の際,復興特別所得税を併せて徴収し,当該所得税の法定納期限(国税通則法〔平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。〕第2条8号)までに,当該復興特別所得税を当該所得 税に併せて国に納付しなければならない旨定める。 (3) 消費税法(平成24年法律第68号による改正前のもの。以下同じ。)消費税法30条1項は,事業者が国内において行う課税仕入れについては,当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控 除する旨定める。ここにいう課税仕入れとは,事業者が事業として他の者か- 4 -ら資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供を受けることをいうが,当該「役務の提供」からは,所得税法28条1項に規定する給与等を対価とする役務の提供は除外されている(消費税法2条1項12号)。 2 前提事実(後掲証拠〔枝番号を特記しない場合は枝番号を含む。以下同じ。〕により認定した事実等以外は当事者間に争いがない。) (1) 原告ア原告は,牛乳の集荷事業及び北海道内における一般貨物自動車運送業を営む株式会社である。 イ原告は,本件課税期間において,「償却制社員」と呼ばれる運転手(このうち,本件各金員の支払を受けた者〔別紙1記載の別表1-1及び1- 2のとおり。〕を,以下「本件各運転手」という。)のほか,原告と雇用契約を締結している運転手(以下「雇用契約社員」という。)や外注先の運送会社を通じて運送業務を行っていた。 (2) 本件各金員の 2のとおり。〕を,以下「本件各運転手」という。)のほか,原告と雇用契約を締結している運転手(以下「雇用契約社員」という。)や外注先の運送会社を通じて運送業務を行っていた。 (2) 本件各金員の支払原告は,平成22年5月から平成26年9月までの間,本件各運転手が行 った原告の事業に係る運送業務に対し,各月の出来高に応じ,原則として,2か月後の月末と,2か月半後の月の15日とに金員を支払っていた。本件各金員はこのうち月末の支払に係る部分であり,具体的な支払先,支払年月日及び支払額は別紙1記載の別表1-1及び1-2のとおりである。 (3) 本件各処分に至る経緯 ア原告は,本件各金員が所得税法28条1項にいう給与等に該当しないことを前提に,①平成22年5月,6月,8月,9月,同年11月から平成23年3月まで,同年5月,6月,同年8月から平成24年2月まで,同年4月,5月及び同年7月から12月までの各月分(以下「平成24年以前各月分」という。),②平成25年1月,2月,4月,5月,7月,9月, 10月,同年12月から平成26年4月まで,同年6月,7月及び9月の- 5 -各月分(以下「平成25年以後各月分」という。)の本件各金員の支払に際して,源泉所得税等を徴収しなかった。 イ原告は,平成24年3月課税期間,平成25年3月課税期間及び平成26年3月課税期間の消費税・地方消費税の各確定申告において,本件各金員が所得税法28条1項にいう給与等に該当せず,本件各運転手からの役 務の提供につき消費税法2条1項12号にいう課税仕入れに該当することを前提として,本件各金員の一部を,課税仕入れに係る支払対価の額として計上し,消費税法30条1項に基づき,これに対応する消費税額を控除して申告を行った。 ウ処分行政庁は 課税仕入れに該当することを前提として,本件各金員の一部を,課税仕入れに係る支払対価の額として計上し,消費税法30条1項に基づき,これに対応する消費税額を控除して申告を行った。 ウ処分行政庁は,平成27年6月8日,原告に対し,本件各金員は所得税 法28条1項にいう給与等に該当することから,原告において源泉所得税等を徴収しなければならないとして,原告に対し,①平成24年以前各月分の源泉所得税に係る各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分をするとともに,②平成25年以後各月分の源泉所得税に係る各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分をした(以下,納税告知処分につ いて併せて「本件各納税告知処分」と,賦課決定処分について併せて「本件各不納付加算税賦課処分」といい,総称して「本件各納税告知処分等」という。)。 また,処分行政庁は,平成27年6月8日,原告に対し,本件各金員は所得税法28条1項にいう給与等に該当することから,本件各金員の額は 消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないなどとして,原告に対し,平成24年3月課税期間,平成25年3月課税期間及び平成26年3月課税期間における消費税・地方消費税に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定をした(以下,更正処分について併せて「本件各更正処分」と,賦課決定処分について併せて「本件過少申告加算税賦課処分」 といい,総称して「本件各更正処分等」という。また,本件各納税告知処- 6 -分と本件各更正処分等を併せて,「本件各処分」という。)。 (4) 本件訴訟に至る経緯ア原告は,平成27年8月3日,異議審理庁に対し,本件各処分につき取消しを求める旨の異議申立てをしたところ,同年10月29日付けでこれらをいずれも棄却する旨の裁決を受けた。 本件訴訟に至る経緯ア原告は,平成27年8月3日,異議審理庁に対し,本件各処分につき取消しを求める旨の異議申立てをしたところ,同年10月29日付けでこれらをいずれも棄却する旨の裁決を受けた。 イ原告は,平成27年11月27日,国税不服審判所長に対し,本件各処分につき取消しを求める旨の審査請求をしたところ,平成28年11月1日付けでこれらをいずれも棄却する旨の裁決を受け,同年11月7日,裁決書謄本を受領した(乙14)。 ウ原告は,平成29年4月27日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著 な事実)。 3 被告の主張する本件各処分の税額等の計算の根拠被告の主張する本件各処分の税額等の計算の根拠は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」のとおりである。 なお,上記別紙3の第3の1(1)ア(イ)cのとおり,被告は,平成24年3月 課税期間に係る消費税及び地方消費税額について,原告が上記期間にA株式会社に外注費として支払った金員を仕入税額から除いて算定しているが,本訴において,原告はこの点を争っていない。 4 争点(1) 本件各金員が所得税法28条1項にいう給与等に該当するか否か (2) 本件各処分が信義則に反するか否か 5 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件各金員が所得税法28条1項にいう給与等に該当するか否か)について(被告の主張) ア所得税法28条1項の給与等に含まれる給与所得とは,雇用関係又はそ- 7 -れに類する関係に基づいて提供される個人の非独立的ないし従属的な人的役務の提供の対価としての性質をもった所得を指し,自己の計算と危険において行われる経済活動から生ずる業務の対価という性質を有する所得である事業所得とは区別される。 そして,給与所得に該 的な人的役務の提供の対価としての性質をもった所得を指し,自己の計算と危険において行われる経済活動から生ずる業務の対価という性質を有する所得である事業所得とは区別される。 そして,給与所得に該当するか否かを判断する上では,①使用者との関 係において何らかの空間的,時間的な拘束を受けているか,②継続的ないし断続的に労務又は役務の提供をしており,当該所得がその対価として支給されるものか,③役務提供契約等の内容等について,使用者の指揮命令に服しているか,④役務の提供に係る用具等を提供されているか,⑤危険負担や費用の負担,などといった要素等を総合して考慮すべきである。 イこれを本件についてみると,以下のとおり評価すべきである。 (ア) 空間的,時間的な拘束(上記①)について原告は,本件各運転手に対し,集荷先や荷物の数量,到着時刻等の指示内容が記載された発注書をファックス送信していた。また,原告は,本件各運転手及び雇用契約社員に対し,始業時刻,終業時刻,荷主名, 品名,到着時刻,拘束時間等が記載された乗務日報を提出させるとともに,タコグラフのチャート紙を提出させ,この乗務日報の記載内容に基づき,車両ごとに車両別収入経費一覧を作成していた。 これらの点からすれば,本件各運転手は,原告から指示された集荷先や到着時刻等を遵守して業務に従事し,運送業務中の動きについても子 細に管理された状態で運送業務に従事していたといえる。そうすると,本件各運転手は,原告から,雇用契約社員と同等の空間的及び時間的拘束を受けていたというべきである。 (イ) 継続的な労務等の提供(上記②)について本件各運転手は,貨物自動車運送事業の許可を有していないところ, トレーラーヘッド(トレーラーをけん引する車両)のような貨物自動 きである。 (イ) 継続的な労務等の提供(上記②)について本件各運転手は,貨物自動車運送事業の許可を有していないところ, トレーラーヘッド(トレーラーをけん引する車両)のような貨物自動車- 8 -運送事業に用いる車両については,そもそも,貨物自動車運送事業法による許可を得ていない者を「使用者」とする場合には営業用車両として登録できないという制度上の制約がある。そのため,本件各運転手は,貨物自動車運送事業者である原告を離れて自由に貨物運送をなし得ないという制約を受けており,制度上,事業者である原告の監督を受けるべ き立場にある。 そして,本件各運転手は,原告の運送業務のみに従事し,自ら新たな仕事を得るための営業活動もしていないのであり,実態としても,貨物自動車運送事業者である原告を離れて,自由に貨物運送を行うことは想定されていないというべきである。 これらの点からすれば,本件各運転手は,継続的ないし断続的に原告の運送業務に従事しており,本件各金員はその対価として支給されたものであるといえる。 なお,原告は,本件各運転手への報酬は労働時間ではなく運送業務の結果に対して支払われていた旨主張するが,雇用関係においても出来高 制による給与算定があり得るのであって,報酬の算定が時間を基準にしていなくても,そのことから直ちに本件各金員が事業所得であるとはいえない。 (ウ) 指揮命令(上記③)について本件各運転手は,上記(ア)のとおり,乗務日報及びタコグラフのチャ ート紙を原告に提出しており,原告の指示を受けて勤務状況について子細に管理されていた上,上記(イ)のとおり,継続的な役務の提供を前提として,原告の下で稼働していたのであるから,原告の指揮命令に服していたというべきである。 また 指示を受けて勤務状況について子細に管理されていた上,上記(イ)のとおり,継続的な役務の提供を前提として,原告の下で稼働していたのであるから,原告の指揮命令に服していたというべきである。 また,原告の本件各運転手に対する指示と原告の雇用契約社員に対す る指示は同様であるから,契約内容に関わりなく,原告と本件各運転手- 9 -との間には,直接の指揮監督があるといえる。 これらの点から,本件各運転手は原告の指揮命令に服していたというべきである。 (エ) 用具等の提供(上記④)について本件各運転手のうちB(以下「B」という。)以外の者らは,原告が 購入又は賃借していた車両を使用して運送業務を行っており,原告は,購入した車両を償却資産台帳に記載した上で,法人税の計算上,当該各車両に係る減価償却費を計上するとともに,車両に係るリース料を損金の額に算入し,消費税及び地方消費税の計算上も課税仕入れとして扱っていた。また,原告は,札幌運輸支局長に対し,上記各車両について, 使用者を原告として事業用車両の申請を行って事業用車両ナンバーを取得するなどし,運送業務の用に供していた。これらの点からすれば,上記各車両は,原告がその管理と責任の下で本件各運転手に提供していたというべきである。 原告は,本件各運転手の使用するトレーラーヘッドの大半は,当該運 転手が原告から割賦で購入したものであり,実質的な所有者は本件各運転手である旨主張する。しかし,本件各運転手が原告に対してトレーラーヘッドの代金を支払っていたとしても,その支払を継続している間,車両の所有権は本件各運転手に移転せず,法的な使用権限を得ることもできないのであるから,原告の主張には理由がない。 なお,本件各運転手のうちBは,自らトレーラーヘッドを を継続している間,車両の所有権は本件各運転手に移転せず,法的な使用権限を得ることもできないのであるから,原告の主張には理由がない。 なお,本件各運転手のうちBは,自らトレーラーヘッドを購入し,原告の業務を行うために使用していた者であるが,上記(イ)において述べた点からすれば,Bを含む本件各運転手は,法制度上も,実態としても,原告を離れて貨物運送事業を行うことは想定されていなかったのであり,Bがトレーラーヘッドを所有していた点を過大に評価すべきではない。 (オ) 危険負担(上記⑤)について- 10 -原告のグループ会社が包括的な保険に加入しており,運送業務中の事故の場合,本件各運転手に対しても上記保険による対応がなされていた。 また,荷物を破損させた場合でも,荷物が到着していれば,本件各運転手に対する業務の対価の支払はなされていた。 これらの点からすれば,原告の運送業務に係る危険は原告が負ってお り,本件各運転手は,原告の運送業務に係る危険を負担していないというべきである。 ウ以上のとおり,本件運転手は原告との関係において空間的,時間的な拘束を受け(上記①),原告に対して継続的に役務の提供をし,その対価として本件各金員の支払を受け(上記②),その間原告の指揮命令に服し (上記③),少数の運転手の車両を除く全ての車両を原告がその管理と責任の下で本件各運転手に提供し(上記④),本件各運転手が運送業務中の危険を負担していない(上記⑤)から,本件各運転手の勤務実態は,自己の計算と危険において独立して営まれ,営利性,有償性を有し,かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務とは到底 いえず,本件各金員は,雇用関係又はこれに類する原因に基づき非独立的ないし従属的な勤労の対価と 利性,有償性を有し,かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務とは到底 いえず,本件各金員は,雇用関係又はこれに類する原因に基づき非独立的ないし従属的な勤労の対価として支払われたものであるから,所得税法28条1項にいう給与等に該当する。 (原告の主張)ア被告の主張アについてはおおむね認めるが,空間的,時間的な拘束の有 無(上記①)の要素については,およそ何らかの拘束があればよいのではなく,空間的,時間的な拘束がなされる理由についても検討されるべきである。また,継続的,断続的な役務の提供及び対価としての性格(上記②)の要素については,拘束された時間に応じて対価が支給されているかどうかが重要である。指揮命令(上記③)の要素についても,指揮命令の程度 が重要なのであり,通常注文者が行う程度の指示にとどまる場合には,指- 11 -揮監督を受けているとはいえない。 イ本件では,上記①ないし⑤の要素について,以下のとおり評価すべきである。 (ア) 空間的,時間的な拘束(上記①)について本件各運転手は,原告の配車担当者から運送ルートや出発地,到着地, 到着時間などの指示を受けておらず,単に荷主からの発注書の送付を受けるにすぎない。また,仮に本件各運転手が原告から運行指示書を交付されたり,配車係からの指示を受けたりしていたからといって,それは請負関係にある当事者間において発注及び契約の履行のために内容を確認したにすぎず,雇用関係を基礎付けるような拘束があったとはいえな い。 (イ) 継続的な労務等の提供(上記②)について本件各運転手は,距離や荷物の内容による運賃を基礎に金銭の支払を受けるのであって,役務提供に係る時間に応じて金銭の支払を受けるわけではない。また,本件各金 継続的な労務等の提供(上記②)について本件各運転手は,距離や荷物の内容による運賃を基礎に金銭の支払を受けるのであって,役務提供に係る時間に応じて金銭の支払を受けるわけではない。また,本件各金員の一部が内部的に「給与」として処理さ れていたとしても,それは運輸局からの指導を避けるための便宜的な取扱いにすぎない。 被告は,本件各運転手が貨物自動車運送事業法に基づく許可を受けていないとするが,この点は決定的な要素ではない。そもそも運転手を「償却制社員」とする制度は,同法の抜け道を探った結果編み出した制 度であるが,同法に基づく規制には服しており,規制に従う限り,輸送の安全や貨物自動車事業の健全な発達といった許可制度の趣旨に反しないため,事業者と運転手らとの間の契約の方式は問題にされてこなかった。こうした背景を考えれば,運転手が個人事業主のように自由な事業を展開することは,黙認されていたというべきである。また,本件各運 転手は,法的規制及びそれに基づく事業者の監督を受けつつも,原告か- 12 -ら独立かつ非従属的に運送事業を行っていたのであり,原告から何らかの監督を受けていたことのみをもって直ちに独立の事業者でないとはいえない。 (ウ) 指揮命令(上記③)について本件各運転手は,原告に対し最低限の報告を行ったり,原告から法令 で定められた管理を受けたりする場合があったものの,そのことのみをもって指揮命令下にあったとはいえず,その程度の「指揮命令」は,むしろ,請負契約の債務に必然的に含まれるというべきである。本件各運転手は,契約の趣旨に基づいて行動していたにすぎず,雇用契約社員同様に全面的に指揮命令下にあったとはいえない。これは,本件各運転手 が自由に他社との契約を行っていたことからも明らかで 本件各運転手は,契約の趣旨に基づいて行動していたにすぎず,雇用契約社員同様に全面的に指揮命令下にあったとはいえない。これは,本件各運転手 が自由に他社との契約を行っていたことからも明らかである。 (エ) 用具等の提供(上記④)について本件各運転手が使用していた車両は,形式的には原告名義になっていたものの,これは,高額なトレーラーヘッドを便宜上原告が購入する形をとり,運転手は原告に対し割賦金を支払って,支払が完了すると登録 名義を当該運転手に移すことができるという仕組みがとられていたためである。本件各運転手は,実質的にみれば,役務を提供するのに最も重要な道具であるトレーラーヘッドを自ら所有していた。また,雇用契約の運転手であれば原告から支給されるべき制服や乗務日報の用紙などの物品について,自ら購入していた。 これらの点からすれば,原告から本件各運転手に対する用具の提供があったとはいえず,むしろ,本件運転手らは,自ら独立して事業を展開していたというべきである。 (オ) 危険負担(上記⑤)について本件各運転手は,トレーラーヘッドの使用に係る各種費用のほか,各 種税金も含めて,通常の労働者であれば自ら負担しない費目の一切を負- 13 -担していた。車両保険や荷物に係る保険は,本件各運転手が個人でも加入し得るが,原告名義の保険に一括で加入した方が保険料が安いために,原告に保険料を払いつつ原告名義の保険に加入したにすぎないし,本件各運転手は,保険料相当額を自ら負担していた。 こうした点からすれば,本件各運転手は,自ら危険や費用を負担して いたというべきである。 ウ以上のとおり,本件各運転手と原告の関係につき,上記①ないし⑤の観点から検討しても,本件各運転手が原告の指揮命令下にあり従属していた 手は,自ら危険や費用を負担して いたというべきである。 ウ以上のとおり,本件各運転手と原告の関係につき,上記①ないし⑤の観点から検討しても,本件各運転手が原告の指揮命令下にあり従属していたとはいえず,両者は相互に独立した請負契約の当事者の関係にあったというべきである。したがって,本件各金員は所得税法28条1項にいう給与 等には該当しない。 (2) 争点(2)(本件各処分が信義則に反するか否か)について(原告の主張)平成4年頃,原告に対する税務調査が行われた際,国税局の調査担当者は,償却制社員に対して支払う金員(傭車費)について,運転手らが自ら確定申 告するよう指導し,その他,原告の事務処理について改善するよう求めることはしなかった。こうした指導は,納税者からみれば信頼すべきものであり,公的見解が表示されたといえる。 そして,上記の指導を受けて,原告は,償却制社員らに対し確定申告をするよう伝えるとともに,償却制社員に対して支払う金員につき,所得税法2 8条1項にいう給与等として処理しなかった。これは,上記の公的見解の表示を信頼して行動したといえ,この点につき原告の責めに帰すべき事由はない。 しかるに,処分行政庁は,上記の表示に反する処分を行ったのであるから,本件の各処分は信義則に反するものであって違法である。 (被告の主張)- 14 -原告の主張する事実関係については不知であり,主張は争う。 租税法律主義の原則が支配する租税法律関係においては信義則の適用につき慎重に解するべきであり,信義則適用の基礎となる公的見解が表示されたというためには,税務署長など一定の責任ある立場の者が正式に見解を表示する必要があると解するべきである。そして,税務調査を担当する職員が税 務調査の過程で 則適用の基礎となる公的見解が表示されたというためには,税務署長など一定の責任ある立場の者が正式に見解を表示する必要があると解するべきである。そして,税務調査を担当する職員が税 務調査の過程で何らかの発言をしたとしても,上記の場合には該当しないというべきであるから,本件各処分は信義則に反しない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各金員が所得税法28条1項にいう給与等に該当するか否か)について (1) 認定事実当事者間に争いのない事実,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告と本件各運転手の業務上の関係(ア) 原告は,本件各運転手に対し,荷主,出発地,到着地,到着時間,積 込みに関する指示等が記載された運行指示書や荷主からの発注書を交付しており,本件各運転手はこれをもとに自ら運行ルートを考え,荷物の配送業務を行っていた(争いのない事実,証人B〔11,12頁〕)。 これら運行指示書ないし発注書の内容は,本件各運転手と雇用契約社員とで異なるところはなかった(証人C〔以下「C」という。18頁〕, 弁論の全趣旨)。 (イ) 原告は,雇用契約社員及び本件各運転手に対して,出発と帰着の際,点呼を実施していた(証人D〔27頁〕,証人C〔18頁〕)。 また,原告は,本件各運転手が何らかの事情で運送業務の遂行ができない場合,当該運転手にその旨を電話で連絡させ,他の運転手又は外注 先に運送業務を依頼することとしていた(争いのない事実)。 - 15 -(ウ) 本件各運転手は,荷物を届け終わった後,原告に連絡してその旨を報告するとともに,自ら作成した乗務日報やタコグラフのチャート紙,相手方から受領した受領証等を原告に提出していた(争いのない事実,乙13〔55枚目〕,証人B〔 届け終わった後,原告に連絡してその旨を報告するとともに,自ら作成した乗務日報やタコグラフのチャート紙,相手方から受領した受領証等を原告に提出していた(争いのない事実,乙13〔55枚目〕,証人B〔12,35,36頁〕,証人D〔21頁〕)。 乗務日報には,乗務の開始・終了に係る場所や時刻のほか,荷物の内容, 荷主,乗務キロ数,さらには運転時間や休憩・仮眠時間を記載する欄があり,「労働時間」の合計を記載する欄と,これに休憩・仮眠時間を加えた「拘束時間」を記載する欄があった(乙13〔56枚目〕)。 なお,原告は,雇用契約社員に対しては,本件各運転手と同様に,乗務の都度,乗務日報やタコグラフのチャート紙を提出させていた一方, 運送業務の外注先に対しては,荷物の遅着等の事故があった場合に乗務日報とタコグラフのチャート紙を提出させていた(証人D〔21頁〕,乙10〔9頁〕)。 (エ) 原告は,本件各運転手から提出された乗務日報等の資料をもとに,「車両別収入・経費一覧表」を作成し,運転手ごとの走行距離のほか, 燃料費,ETC利用料等の種々の経費の金額を記録していた(甲41~51,証人B〔25頁〕,証人D〔11頁〕)。 (オ) 原告は,本件各運転手に対して,原告以外の事業者から直接に仕事を受けることを禁止してはいなかったものの,原告の専属の運転手として稼働してほしい旨伝えていた(証人D〔4,17,18頁〕)。 本件各運転手のうちBは,平成20年頃から平成28年頃までの間,原告の事業に係る運送業務のみを行い,自ら荷主と交渉したり,独自に営業活動をしたりすることはなかった(証人B〔36~38,43頁〕)。 また,原告から仕事の連絡を受けた際に,これを断ったことはなかった(同〔13,14頁〕)。 イ本件各運転手に対す 自に営業活動をしたりすることはなかった(証人B〔36~38,43頁〕)。 また,原告から仕事の連絡を受けた際に,これを断ったことはなかった(同〔13,14頁〕)。 イ本件各運転手に対する金銭の支払- 16 -(ア) 原告は,平成22年5月から平成26年9月までの間,本件各運転手が行った原告の事業に係る運送業務に対し,当該月の2か月後の月末と2か月半後の15日とに金員を支払っていた(前記前提事実(2))。 (イ) 上記(ア)のうち15日に支払われる金員の額は20万円であり,原告はこれを「給与」として取り扱い,その支払の際,源泉所得税をそれぞ れ徴収するとともに,本件各運転手に対し給与明細を交付していた(争いのない事実,乙8,9,証人B〔25頁〕,弁論の全趣旨)。また,原告は,本件各運転手をいずれも社会保険に加入させ,上記20万円の支払の際,健康保険,介護保険,厚生年金及び雇用保険等に係る保険料を徴収していた(争いのない事実,乙11,証人D〔9頁〕)。 (ウ) 他方,上記(ア)のうち月末に支払われる金員(本件各金員)の額は,「車両別収入・経費一覧表」(上記ア(エ))に基づき,①距離や荷物の内容をもとにして荷主から支払われる運賃の総額である売上額と高速道路利用料の合計額から,②原告の手数料10%,各種経費(保険料や車両償却費(後記ウ(エ)参照),燃料費,修理費,ETC利用料,社会保険料 等)と上記(イ)の15日支払分20万円との合計額を控除した金額であり,本件各運転手の従事した運送業務の量や費用の額により変動していた(争いのない事実,甲41~51,乙8,証人B〔14,15頁〕,証人D〔7,10頁〕)。 原告は,本件各金員については源泉徴収をしておらず,本件各運転手 らの多くが自ら確定申告をし ていた(争いのない事実,甲41~51,乙8,証人B〔14,15頁〕,証人D〔7,10頁〕)。 原告は,本件各金員については源泉徴収をしておらず,本件各運転手 らの多くが自ら確定申告をしていたが,一部の者ら(E及びF)は本件各処分の後に確定申告を始めた(争いのない事実)。 (エ) 本件各運転手は,割増賃金の支払を受けたり,有給休暇を取得したりしたことはなく,自らに就業規則が適用されるとの認識もなかった(争いのない事実,証人B〔4頁〕)。 (オ) 本件各運転手と原告との間で,報酬額の決定方法や控除の内容につい- 17 -て交渉がされたことはなかった(証人B〔42頁〕,弁論の全趣旨)。 ウ業務に使用する用具等について(ア) 原告は,本件各期間において,札幌運輸支局長に対し,本件各運転手が業務に使用するトレーラーヘッド(以下「本件各車両」という。)につき使用者を原告とする事業用車両の申請を行い,事業用車両ナンバー を取得していた(争いのない事実,乙12)。 (イ) 本件各車両のうちBが運転していた車両については,平成21年の購入の際,Bが購入代金の全額を負担したものの,当該車両につき事業用ナンバーを取得するという理由で,原告を買主,Bを連帯保証人として購入に係る契約を締結していた(甲16〔資料1~4〕,乙12の8 〔5頁〕,証人B〔6~8頁〕)。 (ウ) 他方,本件各車両のうちB以外の運転手が運転していた車両については,いずれも原告が購入したか,リースを受けていたものであった。購入車両については,原告が買主となって割賦販売契約を締結して購入代金を負担し,原告は,償却資産台帳にこれを記載した上で,法人税の計 算上その減価償却費を損金算入していた(乙18,弁論の全趣旨)。また,賃借している車両に となって割賦販売契約を締結して購入代金を負担し,原告は,償却資産台帳にこれを記載した上で,法人税の計 算上その減価償却費を損金算入していた(乙18,弁論の全趣旨)。また,賃借している車両については,原告においてリース契約を締結し,リース料を支払った上で,当該リース料を損金算入していた(乙19,20,弁論の全趣旨)。 なお,割賦販売契約により購入した車両の所有権は,代金の支払が終 わるまで,売主に留保されていた(乙23〔2枚目〕第3条,8条1項,証人D〔16頁〕)。 (エ) 原告は,本件各運転手に支払う金員を算定する際,本件各車両の購入代金等を基準として算定された一定の分割金を,「車両償却費」との名目で毎月の支払額から控除していた(以下,この分割金を単に「車両償 却費」という。甲41~51,証人C〔2頁〕)。 - 18 -また,「償却制社員」から雇用契約社員に転換した場合,それまで使用していたのと同じ車両を使用して運転することになるが,当該運転手に固有の使用権限は認められていなかった(証人C〔3,9,17頁〕)。 本件各運転手のうち一部の者ら(G,F,H及びE)は,平成25年4月までの間に車両償却費の支払を終了していたところ,本件訴訟提起 に至るまでの間に,これらの運転手の使用する各車両の所有者名義が各運転手に移転されることはなかった(乙8の2〔1,7枚目〕・3〔12枚目〕・4〔2枚目〕,10〔資料12〕,12の1・2・7・11,弁論の全趣旨)。 (オ) 本件各運転手は,集荷・配達先に出向く際には,原告の制服を着用す ることとされており,この制服には原告のロゴが入っていた。原告は,この制服につき,雇用契約社員には貸し与え,本件各運転手には購入させ,外注先の会社の運転手には,荷主の要望に応じて業務 着用す ることとされており,この制服には原告のロゴが入っていた。原告は,この制服につき,雇用契約社員には貸し与え,本件各運転手には購入させ,外注先の会社の運転手には,荷主の要望に応じて業務の都度に貸し与えることとしていた(証人B〔4,5,27頁〕,証人D〔11,19,30頁〕,弁論の全趣旨)。 エ事故を起こした場合の対応本件各運転手が事故を起こした場合には,原告が一括して加入していた保険により対応することとされていた(争いのない事実)。 オ法令による規制(ア) 一般貨物自動車運送事業を行おうとする者は,事業許可を得る必要が あり(貨物自動車運送事業法3条),許可を受けた者は,事業計画や運送約款,安全管理規程等につき,国土交通大臣から各種の監督を受けるものとされている(同法8条,10条,16条)。 なお,本件各運転手は,上記の事業許可を得ていなかった(争いのない事実)。 (イ) 自動車を運行の用に供しようとするときは,当該自動車の使用者は,- 19 -国土交通大臣の行う新規検査を受けなければならず(道路運送車両法59条1項),同法58条の委任を受けた同法施行規則36条2項1号は,自動車運送事業の用に供する自動車に係る新規検査の申請に際しては,当該自動車の使用が,自動車運送事業の経営の開始に伴って必要となる場合においては,貨物自動車運送事業法に基づく許可や道路運送法によ る事業の許可など,各事業の許可について証する書面及びこれに係る事業計画を記載した書面を提出することを求めている。 (2) 判断枠組み所得税法28条1項にいう給与所得とは,自己の計算と危険によらず,雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労 務の対価として使用者から受ける給付をいう 判断枠組み所得税法28条1項にいう給与所得とは,自己の計算と危険によらず,雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労 務の対価として使用者から受ける給付をいうのであって,業務の遂行ないし労務の提供から生じる所得が給与所得に該当するか否かについては,①使用者との関係において何らかの空間的,時間的な拘束を受けているか,②継続的ないし断続的に労務又は役務の提供をしており,当該所得がその対価として支給されるものか,③業務ないし役務の内容について,使用者の指揮命令 に服しているか,④業務の遂行ないし役務の提供に係る用具等を使用者から提供されているかどうか,⑤危険負担や費用負担の所在,などといった要素を考慮して総合的に判断すべきものと解される(最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決・民集35巻3号672頁参照)。 (3) 検討 そこで,前記認定事実の内容を踏まえ,上記の各要素を考慮しつつ,本件各金員が給与等に係る所得(給与所得)に当たるかについて検討する。 ア個別の業務における原告と本件各運転手の関係原告は,本件各運転手に対し,業務の端緒として集荷先や荷物の数量,到着時間や積込みに関する指示が記載された運行指示書や発注書を送付し て指示を行い(認定事実ア(ア)),業務の前後で点呼を行うとともに,業務- 20 -遂行の支障となる事情がある場合には当該運転手に委ねずに他の運転手や外注先に依頼していたのであって(認定事実ア(イ)),このことからは,本件各運転手は原告からの指示に基づいて業務を行い,原告は,本件各運転手が業務を行うことができるかについて監督していたといえるし,本件各運転手は,上記指示のとおりの到着時間に,定められた業務を行っていた のであるから,一定程度,原 業務を行い,原告は,本件各運転手が業務を行うことができるかについて監督していたといえるし,本件各運転手は,上記指示のとおりの到着時間に,定められた業務を行っていた のであるから,一定程度,原告から時間的・空間的な拘束を受けていたものといえる。 また,原告は,運送業務が終わった後も,本件各運転手に対し,雇用契約社員と同様,タコグラフのチャート紙のほか,乗務の開始・到着の場所や時刻,乗務キロ数や荷物の内容といった業務の結果に関する事項のほか, 「労働時間」や「拘束時間」といった欄のある乗務日報を提出させていたのであって(認定事実ア(ウ)),原告は,本件各運転手の行った業務の内容,結果を具体的に把握し,管理していたということができる。 そして,原告の本件各運転手に対する上記のような指示,監督及び管理は,原告の指揮監督下で業務を行っていることに争いのない雇用契約社員 に対するものと同様であったというのである。他方,原告は,外注先に対しては,荷物の遅着等の事故があった場合にのみ乗務日報を提出させていたにすぎず(認定事実ア(ウ)),その業務内容等を具体的に把握し,管理していたとまではいえない。 以上の事実を踏まえると,個別の業務を行うに当たって,本件各運転手 には,原告から,雇用契約社員と異ならない程度の指揮監督が及び,かつ,原告から時間的・空間的拘束を受けていたものというべきである。 なお,本件各運転手は,運行ルートを自由に定めることができたものであるが(認定事実ア(ア)),上記のとおり,集荷先及び到着時間については原告の指示に従っていたのであるから,このことをもって,時間的・空間 的拘束を受けていなかったと評価することはできない。 - 21 -イ原告の営業活動と本件各運転手の関係原告の営業活 告の指示に従っていたのであるから,このことをもって,時間的・空間 的拘束を受けていなかったと評価することはできない。 - 21 -イ原告の営業活動と本件各運転手の関係原告の営業活動における本件各運転手との関係についてみると,①原告は,本件各運転手に対し,他の事業者から仕事を受けるのを禁止してはいなかったものの,専属の運転手として稼働してほしい旨伝えていたこと(認定事実ア(オ)),②本件各運転手は,貨物自動車運送事業に係る許可を 得ていなかった(認定事実オ(ア))ため,本件各運転手が自己の責任において業務を行うことは法令上許容されておらず,現にBは,本件課税期間前後の8年にわたり原告の業務のみに従事し,自ら荷主との交渉や営業を行っていなかったこと(認定事実ア(オ)),③本件各運転手が顧客先を訪問する際には原告の制服を着用するものとされていたこと(認定事実ウ(オ)) などに照らせば,本件各運転手が原告以外の事業者の業務を行うことは想定されておらず,原告に従属した立場で,継続的ないし断続的に原告の業務を行っていたものというべきである。 ウ報酬の決定方法及び控除の内容原告の本件各運転手に対する報酬の支払は,荷物の内容や走行距離に応 じて支払われてはいたが(認定事実イ(ア)及び(ウ)),このような出来高制の賃金形態は雇用関係でもあり得るところであり,現に原告では,雇用契約社員についても出来高制(歩合給)を定めていたのであって(乙10〔添付資料10〕,乙13〔8ないし10,12ないし17枚目〕),上記のような報酬の決定方法から直ちにこれが給与所得に当たらないとするこ とはできない。 かえって,原告は,本件各運転手に対する金銭の一部につき,名目上は給与として扱うとともに,これに対応する給与明細を交付 の決定方法から直ちにこれが給与所得に当たらないとするこ とはできない。 かえって,原告は,本件各運転手に対する金銭の一部につき,名目上は給与として扱うとともに,これに対応する給与明細を交付し,源泉所得税のほか,健康保険,介護保険,厚生年金及び雇用保険等に係る保険料を徴収しており(認定事実イ(イ)),他方で原告と本件各運転手との間では報酬 の決定方法や控除の内容について交渉をしておらず(認定事実イ(オ)),本- 22 -件各金員について確定申告をしていない者もいたところであって(認定事実イ(ウ)),これらの諸点からしても,果たして原告が本件各運転手を独立の事業者として扱っていたといえるのか,疑問を差し挟まざるを得ない。 エ用具等の提供前記認定事実のとおり,①原告は,本件各運転手が業務に使用する車両 (Bが使用する車両を除く。)について,原告が契約上の名義人となって割賦販売契約を締結するか,又はリース契約を締結して車両を取得し,②原告を使用者として事業ナンバーを取得するとともに,③本件各車両を償却資産台帳に記載し,減価償却費を計上するとともに,本件各車両に係るリース料を損金に算入していたものであるところ(認定事実ウ(ウ)),これ らの事情からすれば,本件各車両の実質的な所有者は原告であり,これを,原告がその責任の下で本件各運転手に使用させていたものと評価するのが相当である。 オ業務に伴う危険の負担本件各運転手については,事故が発生した場合にも原告が一括で加入し ていた保険で対応がなされていたのであって(認定事実エ),本件各運転手の業務に伴う危険は,基本的には原告がこれを負担していたものとみるのが相当である。 カ小括以上のとおり,本件各運転手は,原告から通常の注文者の行う指示にと って(認定事実エ),本件各運転手の業務に伴う危険は,基本的には原告がこれを負担していたものとみるのが相当である。 カ小括以上のとおり,本件各運転手は,原告から通常の注文者の行う指示にと どまらず雇用契約社員と同程度の指揮監督を受けながら,原告の所有ないし管理に係る車両を利用し,原告に従属した立場で継続的ないし断続的に原告の業務に従事していたものであって,業務に伴う危険を自ら負担していたとまではいえないことなどの事情をも併せ考慮すると,本件各運転手は,自己の危険と計算によらず,原告の指揮命令に服して労務を提供して いたというべきであるから,原告が本件各運転手に対して支払った本件各- 23 -金員は,給与等に該当するというべきである。 なお,本件各運転手のうちBについては,その車両の購入代金の全額をBが負担したところではあるが(認定事実ウ(イ)),購入に係る売買契約の買主はあくまでも原告であり,事業用ナンバーも原告が取得していたものであって,購入代金をBが負担したということのみをもって,同人に対し て支払われた金員が給与等に当たらないとすることは相当ではない。 (4) 以上に対し,原告は以下のとおり主張するが,いずれも採用することができない。 ア原告は,本件各運転手が本件各車両を所有していたと主張した上で,原告から本件各運転手に対する支払の際に控除されている車両償却費は,実 質的には,原告が本件各運転手に対して本件各車両を割賦販売したことに基づく割賦金であると主張する。 しかし,前記のとおり,原告が自らを使用者として事業用ナンバーを取得していること,原告は本件各車両を償却資産台帳に記載した上で,支払った割賦金やリース料を損金算入していることは,いずれも,本件各運転 手が実質的所有者であ らを使用者として事業用ナンバーを取得していること,原告は本件各車両を償却資産台帳に記載した上で,支払った割賦金やリース料を損金算入していることは,いずれも,本件各運転 手が実質的所有者であることと整合しない。これに加え,①原告は,割賦販売契約等に基づき,割賦金の支払終了までは本件各車両の第三者への譲渡を禁止されていたこと,②車両償却費の支払が終了した運転手についても,本件課税期間中,原告から登録名義が移転されていないことを併せ考えると,仮に,本件各運転手が,車両償却費の控除という形式で本件各車 両の購入代金等の一部ないし全部を負担していたとしても,これをもって,本件各車両の実質的所有者が本件各運転手であると認めることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 イ原告は,本件各運転手が貨物自動車運送事業法に基づく許可を得ていなかったことについて,こうした事業の形態は黙認されてきたのであり,こ の点を過大に重視すべきではない旨主張する。 - 24 -しかし,同法は,法令に基づく許可を得た事業者に対し,事業計画や運送約款,安全管理規程といった法令の規定に即した個別具体的な監督を行うことを規定しているところ(認定事実オ(ア)),許可を得ていない者が事業を営む場合,こうした個別具体的な監督が十分になされず,輸送の安全や貨物自動車運送事業の健全な発達を図るという同法の目的が阻害される おそれがある。また,道路運送車両法及び同法施行規則の規定も,新たに経営を開始するために自動車を利用しようとする場合には,貨物自動車運送事業法等に基づく事業の許可を受けたことを証する書面及びこれに係る事業計画を記載した書面の提出を要求しており(認定事実オ(イ)),こうした関係法令の規定も,貨物自動車運送事業を には,貨物自動車運送事業法等に基づく事業の許可を受けたことを証する書面及びこれに係る事業計画を記載した書面の提出を要求しており(認定事実オ(イ)),こうした関係法令の規定も,貨物自動車運送事業を営む者が事業につき許可を得 ることを前提としているものと解される。これらの点からすれば,法令上の許可を得ずに事業を営むことが黙認されていたとは,にわかに解し難い。 この点につき,原告は,同法の規定に基づいて定められる貨物自動車運送事業輸送安全規則3条2項ないし4項の規定が,許可を得ていない個人事業主が合法的に黙認されていたことの手がかりになる旨主張する。しか し,同条2項は,事業計画の遂行のために必要な員数として常時選任される運転者の要件について規定し,また,同条3項及び4項は,運転者一般との関係での休憩の時間や施設の設置について規定しているところ,その文言や内容を検討しても,これらの規定から許可を得ていない者につき事業を行うことが黙認されているとは解し得ない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ウ原告は,①本件各運転手は有給休暇や割増賃金を取得しておらず,自らに就業規則が適用されるとの認識もなかったこと(認定事実イ(エ)),②本件各運転手のうちI(以下「I」という。)やJ(以下「J」という。)は,原告を通さずに自由に仕事を受けていたことなどの事情を指摘し,こうし た業務の実態からすれば,本件各運転手は独立の事業を営む者である旨主- 25 -張する。 しかし,上記①については,所得税法28条にいう給与等に該当するか否かは,自己の計算と危険によらず,雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務か否かにより決せられるのであって,原告と本件各運転手の間の契約 条にいう給与等に該当するか否かは,自己の計算と危険によらず,雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務か否かにより決せられるのであって,原告と本件各運転手の間の契約の形式が雇用契約であるか否かや, 本件各運転手において労働法上の規律が及ぶものと認識していたか否かとは別個の問題であるから,原告の主張は直ちに上記判断を左右するものではない。 また,上記②については,原告が指摘するIの稼働状況は本件課税期間より後のものであって,本件課税期間における本件各金員の法的性質を直 ちに左右しないし,本件課税期間から本件各処分に至るまでの稼働状況を前提としても,Iが原告の業務とは無関係に車両を走行させたと考え得るのは5か月間で2日程度(甲41~45〔荷主名の記載がない一方で走行キロの記載がある欄〕)であるから,Iが原告の主張するような自由な稼働状況にあったとは認め難い。Jについても,もともとは原告が契約した のではない仕事を原告に持ち込んで業務を行っていた旨の証言が存在するものの(証人D〔15頁〕),仮にJがこうした業務を行っていたとしても,原告を離れて自由に仕事を受けることが一般的であったとまでは認められないし,Jは仕事を原告に持ち込んだというのであって,いずれにせよ,原告を通して仕事をしていたというべきであるから,Jが自己の危険や計 算によって業務に従事していたとみることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 エ原告は,本件各運転手に対して支払った金銭の一部につき給与として取り扱い,社会保険料等を控除していたのは,運輸局の指導を受けた便宜的な取扱いにすぎない旨主張する。 しかし,原告が運輸局から上記のような指導を受けていたことを認める- 26 与として取り扱い,社会保険料等を控除していたのは,運輸局の指導を受けた便宜的な取扱いにすぎない旨主張する。 しかし,原告が運輸局から上記のような指導を受けていたことを認める- 26 -に足りる的確な証拠はないし,仮に指導を受けていたとしても,原告において,社会保険料等の控除を単なる便宜的な取扱いにとどめていたことを端的に示す的確な証拠も見当たらない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 オ原告は,保険料相当額につき本件各運転手が自ら負担していたこと,制 服については本件各運転手が自ら購入していたこと(認定事実ウ(オ))を指摘し,これらの点からすれば,本件各運転手が業務に伴う危険や道具を自ら負担していたというべきである旨主張する。 確かに,本件各運転手への支払額の算定に当たり,保険料相当額が控除されていたのであるから(認定事実イ(ウ)),保険料相当額を本件各運転手 が自ら負担したとはいえるものの,証拠によれば,保険料相当額は,原告において一括して保険に加入していたため個人での保険加入と比較して大幅に安価な保険料にとどまっていたというのであって(証人D〔8頁〕),このような保険料相当額の負担のみをもって,本件各運転手が自己の危険と計算により業務に従事していたとまではいえない。 また,本件各運転手が制服を購入していたとの点については,雇用契約社員の場合と扱いが異なるとはいい得るものの,制服の価格自体それほど高額とは考え難く,これを購入していたからといって自己の計算に基づいて業務を行っていたとは直ちにいえない。むしろ,原告は外注先には荷主の要望に応じて業務の都度に貸し与えるにとどまっていたのであって(認 定事実ウ(オ)),このことは,本件各運転手が,単なる外注先とは異な っていたとは直ちにいえない。むしろ,原告は外注先には荷主の要望に応じて業務の都度に貸し与えるにとどまっていたのであって(認 定事実ウ(オ)),このことは,本件各運転手が,単なる外注先とは異なり,継続的ないし断続的に原告の業務に従事していたことをうかがわせる事情と評価することも可能である。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 2 争点(2)(本件各処分が信義則に反するか否か)について (1) 原告は,①国税局の調査担当者は,原告に対し,本件各運転手などの「償- 27 -却制社員」らに支払う金員につき,当該各運転手が自ら確定申告するよう発言・指導をしたのであって,これにより公的見解が表示された,②これを受けて原告は,上記金員につき所得税法28条1項の給与等には該当しないものとして処理をした,③しかるに,処分行政庁は上記①の表示に反する本件各処分を行ったのであるから,本件各処分は信義則に反するなどと主張する。 そして,このうち上記①については,原告で事務員をしていたK及び運転手をしていたCがこれに沿う証言をしている(証人K〔10頁〕,証人C〔4頁〕)。 (2) しかし,租税法規に適合する課税処分について,法の一般原理である信義則の法理の適用により,当該課税処分を違法なものとして取り消すことがで きる場合があるとしても,法律による行政の原理とりわけ租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては,上記法理の適用については慎重でなければならず,租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に,初 めて右法理の適用の是非を考えるべきものである( う要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に,初 めて右法理の適用の是非を考えるべきものである(最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決・集民152号93頁参照)。 そして,このように信義則の法理の適用について慎重であるべき租税法律関係の特質を考慮すれば,様々な状況下で行われる税務職員の見解の表示の全てが信頼の対象となる公的見解の表示となるものでないことはいうまでも なく,どのような申告をすべきかは納税者の判断と責任に任されていることを考慮すれば,信頼の対象となる公的見解の表示であるというためには,税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であることを要するというべきである。 本件についてこれをみるに,仮に調査担当者から何らかの発言があったと しても,これは,税務調査の過程において税務官庁の一担当者としての見解- 28 -ないし処理方針を示すものにすぎないというべきであって,その発言が税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であることをうかがわせる事情も見当たらない。 したがって,原告の上記主張は,そもそもその前提を欠くものといわざるを得ない。 (3) そして,この点を措くとしても,「償却制社員」らのうち一部の者らが自ら確定申告をしていたとして,それが具体的にいつからどのような契機で確定申告を始めるに至ったのかは明らかでなく,果たして当該確定申告が原告の主張するような指導を受けてなされたものなのか,本件証拠上およそ明らかではない。 そもそも,Kの証言は,税務調査担当者の発言を直接聞いていたというものではないし(証人K〔9~11,14頁〕),Cの証言も,そのよう てなされたものなのか,本件証拠上およそ明らかではない。 そもそも,Kの証言は,税務調査担当者の発言を直接聞いていたというものではないし(証人K〔9~11,14頁〕),Cの証言も,そのような発言を伝え聞いたというにすぎない(証人C〔4頁〕)。そして,他に,税務調査担当者の発言を裏付けるに足りる的確な証拠も見当たらない。 したがって,いずれにせよ,上記①の事実については,これを認めるに足 りないものといわざるを得ない。 (4) 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,争点(2)における原告の主張は理由がない。 3 本件各処分の適法性について(1) 上記1の判断のとおり,本件各金員は所得税法28条にいう給与等に該当 するから,原告は,平成22年5月から平成26年9月までの間に本件各運転手に本件各金員を支払う際,所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する義務を負っていたものというべきであり,その徴収すべき税額は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」記載のとおりであると認められる。 したがって,本件各納税告知処分は,いずれも適法である。 (2) そして,本件各納税告知処分はいずれも適法であるところ,原告が源泉所- 29 -得税等を徴収し,法定納期限までに納付しなかったことについて,国税通則法67条1項ただし書に定める「正当な理由」があることを根拠付ける事情は見当たらないから,原告は,不納付加算税を納付する義務を負っていたものというべきであり,その納付すべき税額は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」記載のとおりであると認められる。 したがって,本件各不納付加算税賦課処分は,いずれも適法である。 (3) また,上記1の判断を前提とすると,本件各金員につき,消費税法上の課税仕入れ 性」記載のとおりであると認められる。 したがって,本件各不納付加算税賦課処分は,いずれも適法である。 (3) また,上記1の判断を前提とすると,本件各金員につき,消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に計上せずに,本件各課税期間における原告の納付すべき消費税及び地方消費税の額を算定すべきであるところ,原告の納付すべき税額は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」記載のとおりであ ると認められる。 したがって,本件各更正処分は,いずれも適法である。 (4) そして,本件各更正処分はいずれも適法であるところ,原告が納付すべき税額を過少に申告したことについて,国税通則法65条4項に定める「正当な理由」があることを根拠付ける事情は見当たらないから,原告は,過少申 告加算税を納付する義務を負うものというべきであり,その納付すべき税額は,別紙3「本件各処分の根拠及び適法性」記載のとおりであると認められる。 したがって,本件各過少申告加算税賦課処分は,いずれも適法である。 4 結論 よって,本件各処分はいずれも適法であり,原告の請求にはいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第5部 裁判長裁判官 孝 - 30 - 裁判官河野文彦 裁判官佐藤克郎 - 31 -(別紙1)省略(別紙2)省略(別紙3) 本件各処分の根拠及び適法性第1 本件各納税告知処分の根拠及び適法性 1 本件各納税告知処分の根拠原告が,本件各運転手に対し本件各金員を支払う際,本件各運転手から徴収 すべき源泉所得税又は源泉所得税等の額は,①本件各運転手のうち,平成22年から平成26 1 本件各納税告知処分の根拠原告が,本件各運転手に対し本件各金員を支払う際,本件各運転手から徴収 すべき源泉所得税又は源泉所得税等の額は,①本件各運転手のうち,平成22年から平成26年において,各年の最初に原告から給与等の支払を受ける日の前日までに,所得税法194条に規定する給与所得者の扶養控除等申告書を提出している者が支給を受けた本件各金員については,同法190条の規定に基づき,別表2-1及び2-2の「(1)課税対象額」欄記載の各金額を,本件各 運転手の支払年月日の属する月の給与の額に加算して年末調整の再計算を行い,算出した年税額と当初の年税額との差額を本件各月分の給与の支払金額に応じて按分して算出した税額の合計金額となる。また,②上記扶養控除等申告書を提出していない者が支給を受けた本件各金員については,同法185条1項2号及び復興財源確保法29条1項に規定する所得税法別表第二「給与所得の源 泉徴収税額票(月額表)」の乙欄又は平成24年3月財務省告示第115号(平成25年5月財務省告示第175号による改正前のもの)別表第一「平成25年1月1日以後の給与所得の源泉徴収税額票(月額表)」の乙欄を適用して算出した税額の合計金額となる。 以上から,原告は,本件各金員につき,別表2-1及び2-2「(2)納付す べき税額」欄の各金額を本件各運転手から徴収し,国に納付しなければならな- 32 -い。 2 本件各納税告知処分の適法性本件訴訟において被告が主張する原告が,本件各運転手に対し本件各金員を支払う際,本件各運転手から徴収すべき源泉所得税又は源泉所得税等の額は,上記1のとおりであり,これらの各金額は,いずれも本件各納税告知処分にお ける納付すべき税額と一致するから,本件各納税告知処分は適法であ 件各運転手から徴収すべき源泉所得税又は源泉所得税等の額は,上記1のとおりであり,これらの各金額は,いずれも本件各納税告知処分にお ける納付すべき税額と一致するから,本件各納税告知処分は適法である。 第2 本件各不納付加算税賦課処分の根拠及び適法性 1 本件各不納付加算税賦課処分の根拠原告に課されるべき不納付加算税の額は,本件各納税告知処分によって原告が新たに納付すべきこととなった納付すべき源泉所得税又は源泉所得税等の額 (ただし,通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額であり,具体的には,別表2-1及び2-2「(3)不納付加算税の額」欄記載の各金額となる。 2 被告が本訴において主張する原告に課されるべき不納付加算税の額は,上記1のとおりであり,これらの各金額は,いずれも本件各不納付加算税賦課処分 における納付すべき税額と一致するから,本件各不納付加算税賦課処分は適法である。 第3 本件各更正処分等の根拠及び適法性 1 本件各更正処分の根拠(1) 平成24年3月課税期間に係る更正処分の根拠 消費税及び地方消費税の合計税額(後掲別表3の①欄の順号10)760万3200円上記金額は,次のア及びイの各金額の合計額である。 ア納付すべき消費税額(別表3の①欄の順号7)608万2600円 上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を差し引いた金額である(た- 33 -だし,国税通則法〔以下「通則法」という。〕119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てたもの。以下,平成26年3月課税期間に係る更正処分の納付すべき消費税額まで同じ。)。 (ア) 課税標準額に対する消費税額(別表3の①欄の順号2) 1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てたもの。以下,平成26年3月課税期間に係る更正処分の納付すべき消費税額まで同じ。)。 (ア) 課税標準額に対する消費税額(別表3の①欄の順号2)2948万3720円 上記金額は,原告の平成24年3月課税期間の課税標準額7億3709万3000円(ただし,通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下,平成26年3月課税期間に係る更正処分の課税標準額に対する消費税額まで同じ。)に,消費税法29条に規定する100分の4の税率を乗じて算出した金額であり,原 告の平成24年3月課税期間の消費税及び地方消費税の確定申告書の「消費税額」の欄に記載した金額と同額である。 (イ) 控除対象仕入れ税額(別表3の①欄の順号6)2340万1046円上記金額は,次のaの金額からb及びcの各金額を差し引いた金額で ある。 a 確定申告における控除対象仕入税額(別表3の①欄の順号3)2519万5104円上記金額は,原告の平成24年3月課税期間の確定申告書の「控除税額」欄のうち,「控除対象仕入税額」と同額である。 b 傭車費に係る仕入控除否認額(別表3の①欄の順号4)161万3205円上記金額は,原告が,本件各金員が傭車費(総勘定元帳における仮払勘定及び預り金勘定から傭車費勘定へ振り替えた計上額)であるとして,同金員につき仕入税額控除を行った金額(平成24年3月課税 期間の上記計上額4234万6619円に消費税法30条1項に規定- 34 -する105分の4を乗じて算出した金額)であるが,本件各金員は,所得税法28条1項に規定する給与等に該当することから,消費税法2条1項12号の規定により課税仕入れに係る支払対価の額から除か -する105分の4を乗じて算出した金額)であるが,本件各金員は,所得税法28条1項に規定する給与等に該当することから,消費税法2条1項12号の規定により課税仕入れに係る支払対価の額から除かれる。 c 外注費に係る仕入控除否認額(別表3の①欄の順号5) 18万0853円上記金額は,原告が,平成24年3月課税期間にA株式会社に対して外注費として支払った474万7407円につき仕入税額控除を行った金額(474万7407円に消費税法30条1項に規定する105分の4を乗じて算出した金額)であるが,当該外注費は,原告がA 株式会社から従業員の出向を受け,原告の負担すべき当該従業員の給与に相当する金額を支払ったものと認められるから,消費税法2条1項12号の規定により課税仕入れに係る支払対価の額から除かれる。 イ納付すべき地方消費税額(別表3の①欄の順号9)152万0600円 上記金額は,前記アの金額(608万2600円)に,地方税法(ただし,平成24年法律第69号改正前のもの。以下同じ)72条の83に規定する100分の25の税率を乗じて算出した金額(ただし,同法20条の4の2第3項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後のもの。 以下,平成26年3月課税期間に係る更正処分の納付すべき地方消費税額 まで同じ。)である。 (2) 平成25年3月課税期間に係る更正処分の根拠消費税及び地方消費税の合計税額(別表3の②欄の順号10)271万1500円上記金額は,次のア及びイの各金額の合計額である。 ア納付すべき消費税額(別表3の②欄の順号7)- 35 -216万9200円上記金額は,次の金額から(イ)の金額を差し引いた金額である。 (ア) 課税標準額に対する消費税額(別表3の ア納付すべき消費税額(別表3の②欄の順号7)- 35 -216万9200円上記金額は,次の金額から(イ)の金額を差し引いた金額である。 (ア) 課税標準額に対する消費税額(別表3の②欄の順号2)2974万5920円上記金額は,原告の平成25年3課税期間の課税標準額7億4364 万8000円に,消費税法29条に規定する100分の4の税率を乗じて算出した金額であり,原告の平成25年3月課税期間の消費税及び地方消費税の確定申告書の「消費税額」欄(順号②)に記載された金額と同額である。 (イ) 控除対象仕入税額(別表3の②欄の順号6) 2757万6637円上記金額は,次のaの金額からbの金額を差し引いた金額である。 a 確定進行における控除対象仕入税額(別表3の②欄の順号3)2933万3518円上記金額は,原告の平成25年3月課税期間の確定申告書の「控除 税額」欄のうち「控除対象仕入税額」欄(順号④)に記載された金額と同額である。 b 傭車費に係る仕入控除否認額(別表3の②欄の順号4)175万6881円上記金額は,原告が,本件各金員が傭車費(総勘定元帳における仮 払金勘定及び預り金勘定から傭車費勘定へ振り替えた計上額)であるとして,同金員につき仕入税額控除を行った金額(平成25年3月課税期間の上記計上額4611万8385円に消費税法30条1項に規定する105分の4を乗じて算出した金額)であるが,本件各金員は,所得税法28条1項に規定する給与等に該当することから,消費税法 2条1項12号の規定により課税仕入れに係る支払対価の額から除か- 36 -れる。 イ納付すべき地方消費税額(別表3の②欄の順号9)54万2300円上記金額は,前記アの金額(216万9200 項12号の規定により課税仕入れに係る支払対価の額から除か- 36 -れる。 イ納付すべき地方消費税額(別表3の②欄の順号9)54万2300円上記金額は,前記アの金額(216万9200円)に,地方税法72条の83に規定する100分の25の税率を乗じて算出した金額である。 (3) 平成26年課税期間に係る更正処分消費税及び地方消費税の合計税額(別表3の③欄の順号10)978万円上記金額は,次のア及びイの金額の合計額である。 ア納付すべき消費税額(別表3の③欄の順号7) 782万4000円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を差し引いた金額である。 (ア) 課税標準額に対する消費税額(別表3の③欄の順号2)3109万7040円上記金額は,原告の平成26年3月課税期間の課税標準額7億774 2万60000円に,消費税法29条に規定する100分の4の税率を乗じて算出した金額であり,原告の平成26年3月課税期間の消費税及び地方消費税の確定申告書の「消費税額」欄(順号②)に記載された金額と同額である。 (イ) 控除対象仕入税額(別表3の③欄の順号6) 2327万3024円上記金額は,次のaの金額からbの金額を差し引いた金額である。 a 確定申告における控除対象仕入税額(別表3の③欄の順号3)2559万2502円上記金額は,原告の平成26年3月課税期間の確定申告書の「控除 税額」欄のうち,「控除対象仕入税額」欄に記載された金額と同額で- 37 -ある。 b 傭車費に係る仕入控除否認額(別表3の③欄の順号4)231万9478円上記金額は,原告が,本件各金員が傭車費(総勘定元帳における仮払金勘定及び預り金勘定から傭車費勘定へ振り替えた計上額)である に係る仕入控除否認額(別表3の③欄の順号4)231万9478円上記金額は,原告が,本件各金員が傭車費(総勘定元帳における仮払金勘定及び預り金勘定から傭車費勘定へ振り替えた計上額)である として,同金員につき仕入税額控除を行った金額(平成26年3月課税期間の上記計上額6088万6322円に消費税法30条1項に規定する105分の4を乗じて算出した金額)であるが,本件各金員は,所得税法28条1項に規定する給与等に該当することから,消費税法2条1項12号の規定により課税仕入れに係る支払対価の額から除か れる。 イ納付すべき消費税額(別表3の③欄の順号9)195万6000円上記金額は,前記アの金額(782万4000円)に,地方税法72条の83に規定する100分の25の税率を乗じて算出した金額である。 2 本件各更正処分の適法性(1) 本件各更正処分による平成24年3月課税期間,平成25年3月課税期間及び平成26年3月課税期間の納付すべき消費税及び地方消費税の額は以下のとおりである。 消費税額地方消費税額 平成24年3月課税期間 608万2600円 152万0600円平成25年3月課税期間 216万9200円 54万2300円平成26年3月課税期間 782万4000円 195万6000円(2) 本件訴訟において被告が主張する原告の平成24年3月課税期間,平成25年3月課税期間及び平成26年3月課税期間に係る納付すべき消費税及び 地方消費税の額は,別表3の①ないし③欄(順号7~9)の各金額のとおり- 38 -である。これらの各金額は,いずれも本件各更正処分における納付すべき消費税及び地方消費税の額と一致するから,本件各更正処分は適法である。 第4 本件過少申告加 ~9)の各金額のとおり- 38 -である。これらの各金額は,いずれも本件各更正処分における納付すべき消費税及び地方消費税の額と一致するから,本件各更正処分は適法である。 第4 本件過少申告加算税賦課処分の根拠及び適法性 1 本件過少申告加算税賦課処分の根拠(1) 平成24年3月課税期間(別表3の①欄の順号15) 22万4000円上記の金額は,通則法65条1項の規定に基づき,平成24年3月課税期間に係る更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額224万円(別表3の①欄の順号12。ただし,同法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数を切り捨てたもの。以下同じ。)を基礎とし,これに100 分の10の割合を乗じて算出した金額である。 (2) 平成25年3月課税期間(別表3の②欄の順号19)30万3000円上記の金額は,通則法65条2項の規定に基づき,①平成25年3月課税期間に係る更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額219 万円(別表3の②欄の順号12)を基礎とし,これに同条1項に規定する100分の10の割合を乗じて算出した金額21万9000円に,②上記更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった額219万6000円のうち,原告の平成25年3月課税期間の確定申告書により既に納付の確定した消費税及び地方消費税の合計額51万5500円を超える部分に相当する税 額168万円(別表3の②欄の順号16)を基礎とし,これに100分の5の割合を乗じて算出した金額8万4000円を合計した金額である。 (3) 平成26年3月課税期間(別表3の③欄の順号15)28万9000円上記の金額は,通則法65条1項の規定に基づき,平成26年3月課税期 間に係る更正処分により原告が新たに ある。 (3) 平成26年3月課税期間(別表3の③欄の順号15)28万9000円上記の金額は,通則法65条1項の規定に基づき,平成26年3月課税期 間に係る更正処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額289万- 39 -円(別表3の③欄の順号12)を基礎とし,これに100分の10の割合を乗じて算出した金額である。 2 本件過少申告加算税賦課処分の適法性(1) 平成24年3月課税期間,平成25年3月課税期間及び平成26年3月課税期間に係る過少申告加算税賦課決定処分の額は,以下のとおりである。 平成24年3月課税期間 22万4000円平成25年3月課税期間 30万3000円平成26年3月課税期間 28万9000円(2) 上記金額は,1のとおり,被告が本件訴訟において主張する各過少申告加算税額と一致するから,本件各過少申告加算税賦課処分は適法である。 - 40 -
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