【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中四十日を被告人の原判決の刑に算入する。 理 由 弁護人諌山博が陳述した控訴趣意は記録に、編綴
主文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中四十日を被告人の原判決の刑に算入する。 理由 弁護人諌山博が陳述した控訴趣意は記録に、編綴されている同弁護人及び被告人提出の各控訴趣意書記載のとおりであるからこれを引用する。 弁護人の控訴趣意第一点の(一)について、一九四八年一二月一〇日第三回国際連合総会において採択された人権に関する世界宣言第十三条第二項には、人はすべて自国を含むいづれの国をも立ち去る権利及び自国に帰る権利を有する旨宣言しており同宣言が世界各国の準拠すべき普遍的な原則の一つであること並びに国際連合の構成国家でない日本国においても憲法第二十二条は、何人も公共の福祉に反しない限り居住、移転、及び職業選択の自由を有する。何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない旨右世界宣言の条規と同趣旨の規定をしていることはまことに<要旨第一>所論のとおりである。 しかし、外国人は有効な旅券又は乗員手帳を所持しないで本邦に入国してはならない旨</要旨第一>定めた出入国管理令第三条の規定は直接的にも、また間接的にも右世界宣言第十三条の規定に背反するものでないことは同宣言と出入国管理令第三条の規定を対比し極めて明瞭なるのみならず、前示日本国憲法第二十二条第一項は、日本国内においては何人もすなわち日本人は勿論又適法に日本国に居住する外国人も、公共の福祉に反しない限り、日本国内において居住、移転等の自由を有すべきことを定めたものであり、又同条第二項は日本国民は何人も外国に移転し又は国籍を離脱する自由を有し、この自由は国法を以て制限することができないことを定めたものであると解すべきことは同条の文理上又は精神上毫も疑を容れないところであるから、前掲出入国管理令第三条の規定が日本国 を離脱する自由を有し、この自由は国法を以て制限することができないことを定めたものであると解すべきことは同条の文理上又は精神上毫も疑を容れないところであるから、前掲出入国管理令第三条の規定が日本国憲法第二十二条に反する違憲の法規でないことも容易に了解し得るであろう。なお所論は朝鮮と日本国とは現時正規の手続により出入国をすることはできない状態にあるのでかような状態にある場合朝鮮人の日本への入国につき出入国管理令第三条の手続を履むべきことを要請することは朝鮮人には日本国に渡航することを一切許容しないことに等しいので同条は前掲人権に関する世界宣言第十三条、又び日本国憲法第二十二条の精神に反するというのであるが、およそ、国と国との交通が正常関係でなければ、なおさら外国人の出入国を適正に規正することが必要であることは言うを俟たない。従つて出入国管理令第三条は所論のごとく右世界宣言はもとより日本国憲法第二十二条の精神に背反するものというを得ないので論旨は採用の限りではない。 同控訴趣意第一点の(二)について、<要旨第二>人権に関する世界宣言第十四条第一項に人はすべて、迫害からの避難所を他国において求めまた有する権利</要旨第二>を有すると宣言していることは所論のとおりであるが、同条第一項をその第二項と対比すれば同条第一項の趣旨は或国において政治犯人等が迫害を受ける場合その者が他国に避難所を求めこれを求めたときはこれを有する権利を有することを宣言したものであつて外国人がすべて国際法上当然外国に避難し得る権利を定めたものとは解し得られないのみならず、国家は国家間の条約乃至は慣行として許されない場合でない限り国際法上一般原則として外国人の入国を許可すべき義務を負担しないのであるから、朝鮮が動乱状態にあり、同国民が国外に避難を求めなければならない状態 は国家間の条約乃至は慣行として許されない場合でない限り国際法上一般原則として外国人の入国を許可すべき義務を負担しないのであるから、朝鮮が動乱状態にあり、同国民が国外に避難を求めなければならない状態にあると否とを問わず朝鮮との間に条約もない日本国は一般朝鮮人を入国せねばならぬ何等の義務がないものといわなければならない。従つて出入国管理令第三条は国際信義に反するものというを得ないし、又同条が違憲でないことは既に前点に判断したとおりであるから同条が国際信義乃至は憲法の精神に反するものとする論旨も採用しがたい。 同控訴趣意第二点及び被告人の控訴趣意について、しかし、本件記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われた被告人の性格、年齢、境遇、並びに犯罪の情状及び犯罪後の情況等を考究し、なお、所論の情状を参酌しても、原判決の刑の量定はまことに相当であつて、これを不当とする事由を発見することができないので、論旨は採用することができない。 そこで刑事訴訟法第三百九十六条に則り本件控訴を棄却し、なお刑法第二十一条に則り当審における未決勾留日数中四十日を原判決の被告人の刑に算入することとする。 よつて主文のとおり判決する(裁判長裁判官谷本寛裁判官藤井亮裁判官吉田信孝)
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