判決 主文 1 被告らは,原告に対し,各自33万円及びこれに対する平成14年10月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを10分し,その7を原告の負担,その余を被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告に対し,各自110万円及びこれに対する平成14年10月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は,被告らの負担とする。 3 仮執行宣言第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告(ア)原告(昭和47年8月31日生)は,鳥取大学教育学部小学校教員養成課程において小学校教諭1種,中学校教諭1種(英語),中学校教諭2種(国語),高等学校教諭1種(英語)等の教員免許を取得し,平成7年9月,同課程を卒業した。 (イ)原告は,平成7年11月以降,鳥取大学教育学部附属小学校,鳥取市立高草中学校等において,講師として勤務した後,平成12年4月1日,鳥取県教育委員会(以下「県教委」という。)により米子市公立学校教員に任用されるとともに,米子市立福生中学校(以下「福生中学校」という。)の教諭に補せられ,現在まで同校の教諭である。 イ被告ら(ア)a(以下「a」という。)は,福生中学校校長として勤務しており,学校教育法40条,28条により,福生中学校の「校務をつかさどる」者であり,被告米子市の公務員である。 (イ)被告鳥取県は,aの給与その他の費用負担者であり(弁論の全趣旨),県教委を設置している。また,児童福祉法7条に基づいて,児童自立支援施設である県立喜多原学園(以下「学園」という。)を設置している。 そして,学園内には,福生中学校喜多原学園 あり(弁論の全趣旨),県教委を設置している。また,児童福祉法7条に基づいて,児童自立支援施設である県立喜多原学園(以下「学園」という。)を設置している。 そして,学園内には,福生中学校喜多原学園分教室(以下「分教室」という。)が設置されている。 (2) 原告の配置転換等原告は,平成12年4月1日以降,福生中学校本校(以下「本校」という。)において勤務していたが,aは,原告について,平成14年4月1日付け(同年3月15日内示)で,本校から分教室への配置転換をした(以下「本件配転」という。)。 (3) 本件配転後の長期病気休暇等原告は,本件配転以降,分教室において勤務していたが,平成14年10月9日から平成15年1月6日まで病気休暇を取り,引き続き同年2月28日まで休職した。 (4) 本校への復職原告は,平成15年3月1日,本校に復職した。 (5) 原告の,平成12年度ないし平成15年度における年次有給休暇及び病気休暇並びに休職等の状況は,別紙1のとおりである(乙B20,B27,弁論の全趣旨)。 なお,別紙1中の健康管理区分の内容は,別紙2のとおりであり,被告鳥取県の健康管理区分を被告米子市が準用している(証人a調書37項)。 2 原告の請求原告は,本件配転当時,精神疾患,精神障害が完治しておらず,当時の勤務状況を続けるべきであったにもかかわらず,本件配転を受け,その結果,精神的,肉体的苦痛を被ったもので,本件配転は,被告米子市の公務員であるaの不法行為であると主張して,被告米子市に対しては国家賠償法1条1項に基づき,被告鳥取県に対しては同法3条1項に基づき,慰謝料200万円のうち各自100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円及びこれに対する平成14年10月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支 しては同法3条1項に基づき,慰謝料200万円のうち各自100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円及びこれに対する平成14年10月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 3 争点(1) aの原告に対する不法行為の有無ア 本件配転の違法性の有無イ aによる嫌がらせ行為の有無(2) (1)が認められた場合の,原告に生じた損害第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)ア(本件配転の違法性の有無)について【原告の主張】(1) 本件配転に至る経緯等ア 本件配転の内示までの経緯(ア) 原告は,平成12年4月から本校において英語科教諭,1年生の学級担任として勤務するようになったが,同年5月ころから不安,孤独感,食欲不振などが顕著になり,同年9月以降,朝起きあがれない等のうつ(鬱)の症状が出始めたこと等をきっかけとして医師を受診し,同年11月13日,「こなんホスピタル」のb医師(以下「b医師」という。)から,病名「うつ状態」と診断され,同日から病気休暇(以下「病休」という。)を取った。 そして,原告は,同月24日から平成13年1月24日まで松江生協病院(以下「生協病院」という。)に入院し,その後は同病院に通院するなどして,同年2月10日まで病休を取った後,引き続き同年3月19日まで休職して,うつ状態(あるいは抑うつ状態)の治療を継続した。 (イ) 原告は,上記入院とともに学級担任を外れ,平成13年3月21日に本校に復職したが,再度学級担任を引き受けるまでは体調が戻っていなかったため,平成13年度からは3年生の補助担任となった。受持ち時間数は,英語20時間,総合的な学習の時間(以下「総合」という。)1時間の計21時間であった。 原告は,その後もうつ状態の治療を継続したが,同年10月ころに体調が悪 3年生の補助担任となった。受持ち時間数は,英語20時間,総合的な学習の時間(以下「総合」という。)1時間の計21時間であった。 原告は,その後もうつ状態の治療を継続したが,同年10月ころに体調が悪化し,同年12月には健康管理区分がB1となった。 (ウ) 平成14年1月28日に原告を診察した生協病院のc医師(以下「c医師」という。),及び,同年2月8日に原告を診察した県教委健康管理審査会のd医師(以下「d医師」という。)は,原告について,現在の勤務状態で仕事を続けることが望ましいと診断し,原告は,同日,各医師の指示事項が記載された診断書をaに提出した上,同人に対し,健康管理区分B1を継続する旨(すなわち,平成14年度も補助担任を希望する旨)伝えた。 なお,平成13年12月中旬,福生中学校の全職員に向けて,退職・転任・留任届けを提出するようaから指示があったが,原告は,新規採用2年目であり異動の対象にならないことから,形ばかり留任を希望した。 (エ) 平成14年3月ころ,原告の本校での勤務が軽減されたことに伴い,原告の体調は回復に向かい,c医師も,原告の体調に回復の兆しが見えてきたことを指摘すると同時に,原告に対し,あと1年は無理をしないことを指示した。 (オ) 以上の原告の体調については,aも,原告から診断書の提出を受けるなどして認識していた。 イ 本件配転の内示等(ア) 平成14年3月15日,aは,原告に対し,突然,本件配転を内示し,その際,原告には健康上の問題があるが,分教室は校務分掌や部活がなく,土曜日も休みであるから勤務も楽になるとの説明をした。 (イ) 本件配転の内示を受け,原告は,以下の点から,自分が本校では必要がないとして排斥されたのだと感じ,また,分教室での勤務に不安感を覚えて希死念慮等の状態となった。 ① 新規 との説明をした。 (イ) 本件配転の内示を受け,原告は,以下の点から,自分が本校では必要がないとして排斥されたのだと感じ,また,分教室での勤務に不安感を覚えて希死念慮等の状態となった。 ① 新規採用の3年間は異動の対象にならず,また,通例では,若い講師の教員が分教室に配置されるにもかかわらず,教諭である原告が新規採用2年で配置されたこと。 ② 学園は,施設の性質上閉鎖的であり,入所者も非行歴を抱えていて,分教室での勤務は男性の教員すら勤務の困難性を感じるものであり,前年度に勤務していた女性の講師は,分教室での苦悩が大きく,教諭への採用試験合格発表を前に退職してしまったと聞いていたこと。 ③ うつ状態により朝起きあがれないという症状を有し,かつ,当時自動車を保有していない原告は,遠方にある学園に通勤することが非常に困難であること。 ④ aは,分教室を日常的に「山(ヤマ)」と侮蔑的に呼び,生徒に対して偏見を持った対応をし,また,分教室の生徒の学力保障をしなくてよい旨の発言をするなど,分教室の存在を軽視し,疎ましく思うなどしていたこと。 ⑤ 分教室の教員は原告を含めて2名,うち1名は男性教員(主任教員)であり,世間から隔絶されたような学園で,相談相手がいないなどと不安に思ったこと。 ⑥ 1年半もの闘病の末,ようやく体調が回復してきた時期に本件配転の内示を受けたこと。 (ウ) 平成14年3月18日,原告が生協病院を訪ねたところ,c医師も配置転換に怒りを示すなどした。 (エ) 原告は,平成14年3月20日,福生中学校の教頭に内示は変わらないかなどと尋ねたところ,教頭は内示は変わらないなどと述べた。 そして,aは,原告に対し,① 分教室に行くのも鳥取県東部に飛ばされるのも同じであり,そのような者は沢山いる,② 分教室に行ったらどんどん休めばよい,③ ところ,教頭は内示は変わらないなどと述べた。 そして,aは,原告に対し,① 分教室に行くのも鳥取県東部に飛ばされるのも同じであり,そのような者は沢山いる,② 分教室に行ったらどんどん休めばよい,③本校では生徒数が多く,学力を保障しないといけないが,分教室では生徒数も少ない,④ 配置転換は県教委が決めたことであるから変えられない,⑤ 通勤が大変であれば金を借りて下宿でもすればよい,⑥ 分教室では自習をさせておいて通院すればよい,⑦ 分教室では部活がなく,分教室では校務分掌や出張も少ない,⑧ 分教室に配置転換する以上,夏休みの期間中でも本校で仕事をすることはいけないなどと述べた。 (オ) 原告は,aの対応に非常な不快感を覚えたが,配置転換が変わることはないと感じ,平成14年4月1日から分教室で教員として勤務することとした。 (2) 分教室での勤務(本校での勤務との対比)ア 学園の実態等(ア) 分教室において,原告は,当初,中学3年生(男女各1名)及び2年生(男1名)の英語,国語のほか,補助的に総合(炎天下での農場作業も含む。),体育,鼓笛(音楽),さらにはパソコン指導を担当し,また,中学2年生の男子1名の担任にもなった。 合計の授業時間数は週22時間と本校に比べても多く(特に総合の時間が4時間と多く,これは施設職員が生徒についていなくてもよい時間を増やすためである。),生徒に学習意欲を持たせるためのプリント教材の作成や,教材研究のために,土日も休養が取れない状態であった。 その後,原告は,1年生の授業も担当するようになったが,1年生と2年生は,1つの教室内で2つの教科書を使用して異なる学習内容を並行的に指導する,負担の多い複式学級であった。 なお,原告は,抗うつ薬の副作用により口渇を覚え,水分補給を適宜しないと排尿困難になるが 生は,1つの教室内で2つの教科書を使用して異なる学習内容を並行的に指導する,負担の多い複式学級であった。 なお,原告は,抗うつ薬の副作用により口渇を覚え,水分補給を適宜しないと排尿困難になるが,学園の特性上,生徒に対して作業の際に水分補給を認めていない以上,原告自身も水分を補給することができなかった。 (イ) 放課後には男子寮,女子寮ごとに部活動に当たるものがあり,寮に補習をしに行くことも要請された。 原告の健康管理区分は出張等をさせないB1であったが,教員が2名しかいない状況では,実質的な出張である遠足への参加も余儀なくされた。 その後,原告が健康管理区分を理由に行事への参加を断ると,学園職員との間に溝ができるようになった。 (ウ) 学園においては,非常勤講師や学園職員による生徒への体罰がしばしばあり,原告は,生徒らの情緒を落ち着かせる役目を担うほか,自らも精神疾患等を抱えているため,精神的に不安定となった。そして,学園は,健常人でも抑うつ状態になりがちな閉鎖的環境であり,挨拶等をしても返ってこないことがあるなど,相談相手も見つけられなかった。 また,学園の職員は,教員の授業補助等に協力することはなく,何かにつけて2名の教員に押し付けていた。 (エ) 本件配転後に入所した生徒らの中には,反指導的な傾向,人格障害的傾向,粗暴傾向を有する者があり,女性教員である原告に対して攻撃をしてくるため,原告の精神状態は不安定になり,他方,原告を母的,姉的存在と捉えて愛情を欲する者もおり,その対応も大きな負担となる。 また,授業への関心・意欲を抱くことが困難な生徒の影響が他の生徒にも及び,次第に授業が成り立たないようになった。 なお,分教室における対生徒指導の困難性は,前年度に分教室において勤務していた女性の講師が,分教室勤務での苦悩の くことが困難な生徒の影響が他の生徒にも及び,次第に授業が成り立たないようになった。 なお,分教室における対生徒指導の困難性は,前年度に分教室において勤務していた女性の講師が,分教室勤務での苦悩のため,教諭への採用試験合格発表を前に退職してしまったほどである。 (オ) 原告は,本件配転の当時自動車を保有しておらず,本校までは自転車で10分程で通勤することができたが,分教室には2,3時間に1本しかないバスを使用して約1時間10分かけて通勤しなければならず,バス停からは山道を荷物を持って1キロ徒歩で上がる必要があった。そして,原告の身体症状には,息切れ・動悸等があり,山道を上がるのは大変な苦痛であった。 なお,この道は,大型トラックが速度を上げて走行するにもかかわらず歩道はなく,また,街灯や民家もなく,原告は,何度か通行車の男性から車に乗らないかと声を掛けられて非常に怖い思いをし,危うく強姦被害に遭いかけたこともあった。 (カ) 原告には定期通院が不可欠であるが,分教室では教員が少ないことや,交通の便が悪いため心理的・物理的に通院がしづらく,「適正な治療を受けさせる」という健康管理区分に合致しない。 イ 被告米子市の主張に対する反論(ア) 分教室は本校より生徒数がはるかに少ないが,教員数も2名とはるかに少なく,生徒は,複雑な生育環境と心理環境を抱え,マンツーマンでも指導が困難である。 (イ) 分教室では本校よりも部活動の機会は少ないかも知れないが,生徒数が少ないため,練習メニューを与えてキャプテンを中心に意欲的に活動する本来の部活動と異なり,教職員も実際に体を動かす必要があり,意欲の薄い生徒に対しては,練習に向かわせるために一般の中学校以上の労力を要する。 なお,aは,本件配転の内示の段階では,分教室での部活動はないと断言していた ,教職員も実際に体を動かす必要があり,意欲の薄い生徒に対しては,練習に向かわせるために一般の中学校以上の労力を要する。 なお,aは,本件配転の内示の段階では,分教室での部活動はないと断言していた。 (ウ) 分教室では,原告は,単独での授業のほか,経験の少ない体育,鼓笛(音楽),総合(園芸・陶芸・パソコン)の科目で,1ないし4名の女子生徒の指導を担当しており,専門科目を1人で同じ時間数持つことの方が,はるかに職務の軽減になる。 (エ) 学園の職員は個々に施設職員としての職務を有しており,原告ら教員が授業の時間帯に職員の協力を得ることはできない。 (オ) 分教室では保護者との折衝はないが,生徒にはそれぞれ担当・副担当の施設職員が割り当てられており,保護者と同等以上の目で教員を一日中見ており,また,苦情や厳しい意見を教員側に述べることもあり,これら施設職員との関係を築くことは,保護者との関係を築くことよりも困難である。 (カ) 原告は,本校において深夜勤務をしたことはあるが,ほとんどの場合,他の教員とともにしていた残業であり,それも,本校での差別事象以降,毎日同和問題について討議等していたものであって,意味のない深夜勤務をしていたものではない。 なお,原告は,異常なまでの早朝勤務をしたことはない。 (キ) 被告米子市は,分教室に英語科を担当することができる者を配置する必要があったとしているが,原告が配置される前年度後期の分教室講師の専門科目は国語科であり,かつ小学校が主免許であった。そして,教員であれば,中学校レベルの英語は,たいてい担当できるのであるから,原告を分教室に配置する必要性は存在しなかった。 (3) 以上のように,aは,原告の病状や現在の勤務状態で続けるのが望ましいとの医師の診断,対生徒関係や対職員関係において困難が存在 きるのであるから,原告を分教室に配置する必要性は存在しなかった。 (3) 以上のように,aは,原告の病状や現在の勤務状態で続けるのが望ましいとの医師の診断,対生徒関係や対職員関係において困難が存在する学園の実態,原告にとって通勤に非常な困難が伴うこと等を当然に認識し,本件配転によって原告の病状が悪化することを知りながら,他の教員と同じような質,量の仕事をこなせない原告を学校から排斥するため,分教室での勤務は楽である,本件配転は県教委が決めたことであるなどと原告をだまして本件配転をしたものである。 したがって,本件配転は,aの校長としての裁量権を著しく逸脱した,故意または少なくとも重過失による不法行為である。 【被告米子市の主張】aは,同人が職員に対して有する校長としての服務監督権及び学校運営上の管理監督権に基づき,本件配転を行ったものであるが,aは何ら裁量権を逸脱・濫用していない。 (1) すなわち,aは,原告が精神的な疾病を有していることを十分に認識した上,分校での勤務は,① 本校に比べてはるかに生徒数が少ない,② 本校では毎日のようにある部活動がない(放課後の部活動的なことは皆無ではないが,本校に比べて格段に少ない。),③ 単独での授業持ち時間数が本校より少ない,④ 複数の施設指導員のフォローを受けることができる,⑤ 生徒の保護者との折衝がない,⑥ 原告が従前異常に行っていた早朝や深夜の勤務がしにくい等により,本校での勤務より明らかに職務の軽減を図ることができると判断した。 (2) また,分教室への職員の配置は,受持ち教科の関係で英語科を担当することができる者である必要があるが,原告は英語科を担当する教員であり,また,分教室で担当のいなかった国語科の免許も持っていたことから,原告について資格上の適任者として,本件配転をした。 ( 担当することができる者である必要があるが,原告は英語科を担当する教員であり,また,分教室で担当のいなかった国語科の免許も持っていたことから,原告について資格上の適任者として,本件配転をした。 (3) 本件配転について,原告から内示は変わらないかとの申し出はあったが,これを拒否するとの主張等は聞いておらず,実際に,原告は本件配転により,平成14年4月1日から分教室での勤務を開始し,その後,原告が長期病休に至る同年10月までの間,原告から分教室での勤務が精神的・身体的に辛いなどの訴えはなかった。 【被告鳥取県の主張】原告の主張のうち,前記前提事実(第2の1)に関するもの以外は不知。 2 争点(1)イ(aによる嫌がらせ行為の有無)について【原告の主張】(1) aは,原告の健康管理区分がB1で担任を持つべきでないにもかかわらず,分教室で担任を任せた。 (2) aは,原告の勤務を軽減する必要があることについて学園に伝えておらず,その結果,例年のような講師ではなく教諭である原告が着任したことで,学園の職員に原告への過度の期待をさせ,原告の負担を増大し,また,原告が学園の行事に参加できなかった際,職員らとの人間関係が悪化した。 (3) 原告は,平成13年3月の本校への復職以来,年休を取得して通院していたところ,教頭から,通院回数が多くなって年休が足りなくなるといけないから,病休を使用することを勧められたが,aは,書類を用意するのが面倒であるなどとして,当初,原告の病休取得を認めなかった。 (4) 原告は,学園からの帰りに教材研究のため本校に立ち寄る場合や,病休を取得して通院する日には,診察を受けた後に分教室まで戻る余裕がないため,本校で仕事をする場合があったが,aは,人を介して原告に苦言を伝えてきた。 aは,原告が本校に出入りすることを快く思って 病休を取得して通院する日には,診察を受けた後に分教室まで戻る余裕がないため,本校で仕事をする場合があったが,aは,人を介して原告に苦言を伝えてきた。 aは,原告が本校に出入りすることを快く思っておらず,原告が挨拶しても反応がないことがほとんどであり,原告は,本校の運動会で以前に担任していた生徒が活躍する姿を,帽子と日傘で姿を隠して保護者席から見るしかなった。 また,aは,他の教員に対し,原告とは関わらないようにと述べていた。 【被告米子市の主張】(1) 原告主張に係るaによる嫌がらせ行為は否認する。 (2) なお,aは,当初,原告の病状,健康管理区分等を他の職員らに十分に伝えていなかったが,これは,原告のプライバシーや精神的な疾病であることを伝えることによる逆の影響を考慮して,職場内への周知は好ましくないと判断したものである。 【被告鳥取県の主張】原告の主張のうち,前記前提事実(第2の1)に関するもの以外は不知。 3 争点(2)((1)が認められた場合の,原告に生じた損害の有無及びその額)【原告の主張】(1) 本件配転後の原告の病状悪化ア 前記のとおり,平成13年度末には原告の病状は回復に向かっていたのであるが,本件配転後の平成14年4月以降,原告の体調は悪化し,朝起きあがれないなどの症状が再び発現し,同年5月には,動悸,息切れ,頻脈,倦怠感,不眠等の主症状が発現した。 そこで,原告については,それ以降,総合の一環である農場作業については不参加,体育は内容によって見学する等の職務軽減がなされたが,原告の体調は回復せず,同年6月以降は過呼吸の発作,同年7月以降は自律神経系の症状が発現し,精神科をも受診するようになった。 イ 平成14年9月以降,原告の体調は独力では出勤できないほど悪化し,毎日7種類21の薬を服用し,また,胃に充血が 吸の発作,同年7月以降は自律神経系の症状が発現し,精神科をも受診するようになった。 イ 平成14年9月以降,原告の体調は独力では出勤できないほど悪化し,毎日7種類21の薬を服用し,また,胃に充血が認められたことから胃潰瘍の薬も服用しながら出勤していたが,体は疲れているのに頭が冴えて眠れないといった過緊張状態が継続した。 ウ そして,原告は,別紙1のとおり,平成14年10月9日以降平成15年2月末まで,5か月もの病休及び休職を余儀なくされる状態となった。 (2) 原告の損害ア 上記不法行為は,原告の精神疾患者・精神障害者としての人権,教師・人間としての尊厳を踏みにじって,原告に精神的苦痛・肉体的苦痛を与え,心的外傷も負わせるものであるが,さらに,回復に向かっていた原告の病状を悪化させて5か月間にわたる病休等を余儀なくさせたものであり,その精神的損害は200万円を下ることはない。 イ 原告の支出した弁護士費用のうち10万円は,上記不法行為と因果関係のある損害である。 【被告ら】原告の主張は否認ないし争う。 第4 証拠本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。 第5 当裁判所の判断 1 前記前提事実(第2の1)に証拠(甲1,2,4~11,乙A1,A2~A6〔枝番号を含む〕,A7,乙B1~B7〔枝番号を含む〕,B8~B19,B21~B24,B28~B32,証人e,同f,同a,原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 (1) 平成12年度における原告の勤務状況等ア 原告は,平成12年4月1日に福生中学校の教諭に補せられ,以後,同校において英語科教諭,1年生の学級担任として勤務するようになったが,同年5月ころ以降,不安,孤独感,食欲不振,喘息様の咳,尿蛋白陽性等の症状が発現した。 イ 平成12年9月以 諭に補せられ,以後,同校において英語科教諭,1年生の学級担任として勤務するようになったが,同年5月ころ以降,不安,孤独感,食欲不振,喘息様の咳,尿蛋白陽性等の症状が発現した。 イ 平成12年9月以降,原告は,朝起きあがれない等のうつ(鬱)の症状が出始めたこと等をきっかけとして,医師を受診したところ,同年11月13日,原告が受診した「こなんホスピタル」のb医師は,原告について,「病名:うつ状態,附記:倦怠感,脱力感,気力の低下,決断力の低下等,うつ状態の症状を認め,2週間の自宅療養を要する」旨の診断書を作成し(乙B1の3),原告は,同月13日から同月26日まで病休を取った。 平成12年11月20日,b医師は,原告について,「病名:うつ状態,附記:1か月間の休養が必要である」旨の診断書を作成した(乙B2の3)。このころ,aも「こなんホスピタル」に赴き,b医師から,原告にはしばらく休養が必要であるなどの説明を受けた。 ウ 原告は,平成12年11月24日から生協病院に入院加療することになり,引き続き,同年11月27日から同年12月19日まで病休を取った(乙B2の1,2)。 平成12年12月12日,生協病院のc医師は,原告について,「傷病名:抑うつ状態,症状並びに程度:3か月間の休養が必要である」旨の診断書(乙B3の3)を作成した。そして,原告は,同年12月20日から平成13年2月10日まで病休を取った。 平成13年1月ころ,原告が同年2月11日から同年3月19日まで休職することが明らかになり,aは,原告の学級担任を変更した。 エ 原告は,職場復帰に備えて平成13年1月24日に退院し,その後,病休から休職となった。 そして,aは,平成13年1月30日に生協病院を訪問した際,c医師から原告の病状について説明を受けたが,原告が復職したときの病気 備えて平成13年1月24日に退院し,その後,病休から休職となった。 そして,aは,平成13年1月30日に生協病院を訪問した際,c医師から原告の病状について説明を受けたが,原告が復職したときの病気に対する配慮や対応等について具体的なことは聞かなかった。 オ 平成13年2月11日以降,原告の健康管理区分はA1であり,c医師は,同月19日,「4月より復職は可能と考えますが,精神的に過度のストレスがかかると,うつ状態が再燃することが考えられます。仕事として,授業くらいで,生徒や親などとかかわることは,もう少しよくなってから,という軽減措置ができれば,それが望ましいと思います。」と診断した(乙A1)。 また,そのころ,原告は復職希望を提出した(証人a調書42項)。 カ 平成13年3月20日,原告の健康管理区分はC1となり(乙A2の1),復職可能となった。そして,この復職は,あくまで健常者としての復職であることから(証人a調書49項),aは,その頃,原告に対し,平成13年度は担任をしてほしい旨要望したが,原告が体調面からこれを断ったので,同年度は補助担任にすることとした。また,校務分掌の面においても,比較的負担の少ないものを担当させることとした(証人a調書64項)。 (2) 原告の平成13年度の校務分掌と指導状況は,次のとおりである(乙B23)。 ア 原告は,校務分掌として,① 3年生の補助担任,② 教務部の国際理解教育担当,③ 生徒指導部の生徒会会計担当,拾得物担当,④ 校内での拾得物の管理等の業務に当たり,また,⑤ 水泳部の顧問,⑥ 事務部における各種事務等に当たった。 なお,部活動については,福生中学校においては,全教員が担当することになっていた(証人a調書68項)。 イ また,2,3年生の英語の授業を週に20時間,総合を週に1時間,合計2 事務等に当たった。 なお,部活動については,福生中学校においては,全教員が担当することになっていた(証人a調書68項)。 イ また,2,3年生の英語の授業を週に20時間,総合を週に1時間,合計21時間の授業を担当した。 (3) 平成13年度における原告の勤務状況等ア 平成13年4月1日以降,原告は,補助担任ではありながら3年生担当(3年団)であり,また,授業も3年生を担当したため,仕事量は少なくなく,学年主任からも仕事を回された。 また,原告が休職中の平成13年2月ころに福生中学校で差別事象が起こったため,その対処で他の教員は多忙であったが,原告も,同和教育について深く勉強するため,復職後同年7月ころまで,他の教員とともに任意で夜遅くまで本校に残っていた。そして,そのために,夜間に教材研究が出来ず,原告は,早朝に出勤して仕事をするなどした(原告本人調書48項)。 原告は,c医師から,うつの反動であるから,仕事を抑えるようになどの指示を受けていたが,この時期,原告はどれだけ働いても全く疲れを感じないどころか,逆に快感ですらあったため,抑えることができなかった。 なお,福生中学校の入退館記録簿に記載されている原告の入退館状況は,別紙3のとおりである(乙B21)。 これに対し,aは,原告の時間外勤務を制限するため,教頭とともに職員朝会や職員会で定時退庁を指示するなどしたが,他方,原告の病名については,個人のプライバシーのこともあり全教員に周知する必要はないと考えていた。 イ 平成13年4月中旬ころ,原告が顧問を務める水泳部の部員の保護者と原告の間で,部員が県の強化合宿に参加する間の出席の扱いを巡ってトラブルになり,最終的にaが保護者対応をして解決するということがあった。 ウ 平成13年6月14日,c医師は,「復職後,仕事や対人関係のスト 間で,部員が県の強化合宿に参加する間の出席の扱いを巡ってトラブルになり,最終的にaが保護者対応をして解決するということがあった。 ウ 平成13年6月14日,c医師は,「復職後,仕事や対人関係のストレスで不安が増強することもあるが,自分で休養をとるなどして,コントロールしています。 現在のまま,ひきつづき加療必要です。」と診断し,同月27日,d医師は,「現在,不安あるものの領解可能な程度であり,就労可能と判断する。」と診断した(乙A2の2)。 平成13年7月12日,原告の健康管理区分はD1となった。 エ 2学期に入ると,原告の時間外勤務は減少したが,他方において体調は悪化し始め,平成13年10月末ころからうつ状態が再現するようになった。 そして,平成13年11月19日,c医師は,原告について,「傷病名・自律神経失調症,11月26日までの安静加療が必要」と診断し(乙B4の3),原告は,同月19日から同月26日まで病休を取った(乙B4の1,2)。 また,平成13年12月13日,原告の健康管理区分がB1に変更されたことを受け,aは,教頭や学年主任に原告の健康管理区分のことを話し,原告の勤務に配慮するように指示し,原告が,落ち着ける場所として使えるように更衣室にベンチを設置したりした。 オ 平成13年12月中旬,aは,福生中学校の全職員に向けて,退職,転任,留任届けを提出するよう指示し,原告は,新規採用の3年間は異動の対象にならないと考えたため,留任に形ばかり丸を付けた。 カ 3学期に入ると,3年団は高校入試の準備で多忙であったが,原告に対しては,生徒会会計等の校務分掌から外して英語の授業に専念できるようにし,3学年の進路指導関係事務においても3年団は原告の仕事が加重にならないように配慮したりしたので,原告の勤務は軽減されるようになった(原告本人 会計等の校務分掌から外して英語の授業に専念できるようにし,3学年の進路指導関係事務においても3年団は原告の仕事が加重にならないように配慮したりしたので,原告の勤務は軽減されるようになった(原告本人調書62項)。 しかし,これ以降も原告の体調は回復したようには見えず,むしろ,以前は当日の朝までには原告から年休の申請があったが,このころは連絡もなく出勤時間になっても出勤しないことがあり,学校側から電話をして休暇の確認をすることもあった。また,出勤してきても,体調が悪いせいか勤務時間中に職員更衣室で横になっていることもあり,授業に出ることができないこともあった(乙B17の2頁)。 キ 平成14年1月28日,c医師は,原告について,「仕事が忙しくなり,休養がとれなくなると,症状の悪化を認めます。もうしばらく現在の勤務状態で,続けた方がよいです。ひきつづき加療必要です。」と診断し,同年2月8日,d医師は,「現在,授業中の緊張感はなくなり,ゆとりがでて,授業に関しては自信ができてきた。ただ,無理をすることは(残業など)できない。抑うつ気分,判断力の低下あるものの,今の仕事のペースであれば就労可能である。」と診断した。 原告は,平成14年2月8日,これらの診断内容が記載された診断書(乙A4の2)をaに提出した。その際,aは,原告に対し,より軽い健康管理区分への変更を希望するか否か確認を求めたが,原告は,未だ担任になれるほど回復していないと考えたことから,従来どおりのB1を希望した。 他方,aは,分教室においては,授業を中心に行えばよく,また,生徒数が少なく(本校の全児童数は約300人,分教室は約10人)休暇を取った場合の事後処理も容易であると考えていたことから(証人a調書300項),平成13年度末に行われた平成14年度の人事についての聞き取りにおい (本校の全児童数は約300人,分教室は約10人)休暇を取った場合の事後処理も容易であると考えていたことから(証人a調書300項),平成13年度末に行われた平成14年度の人事についての聞き取りにおいて,米子市教育委員会(以下「市教委」という。)及び県教委に対し,原告の職務の軽減を図るため,分教室への配置転換を提案したところ,県教委は,それも1つの方法であると答えた。また,以前から学園が数学科と英語科の教員を要請していたことから,aは,分教室で勤務をさせる教員は数学科と英語科の教員にしたいと希望した(証人a調書293項)。 ク 平成14年3月15日,市教委から平成14年度の人事について内示があり(証人a調書282項),福生中学校における英語科の教員は4名の教諭で,原告を含む2名が留任し,2名が交代するという内容であったが,本校での英語の授業は3名で対応できる状態であった。 そして,aは,原告とは別の留任した教諭にはバスケットボール部顧問を,交代した教諭の1名には同和教育主任を担当させる予定であり,交代した別の教諭1名は40代の女性であったが,担任をさせることを予定していたことから,校長としての服務監督権及び学校運営上の管理監督権により,原告を分教室に配置することにした(証人a調書135項)。 なお,この時,aは,原告の配置転換について医師の見解を聞いたことはなく,環境の変化がうつ状態に与える影響についても考慮しなかった(証人a調書495項,531項)。 (4) 本件配転の内示等ア 原告は,平成14年3月以降,ようやく体調が回復してきたと感じ,c医師も,同様の指摘をすると同時に,あと1年これまでと同様のペースで我慢するようにと述べた。 イ aは,原告に対し,平成14年3月15日,本件配転を内示し,その際,原告には健康上の問題があるし,分 医師も,同様の指摘をすると同時に,あと1年これまでと同様のペースで我慢するようにと述べた。 イ aは,原告に対し,平成14年3月15日,本件配転を内示し,その際,原告には健康上の問題があるし,分教室には校務分掌や部活がなく,土曜日も休日であるから,今までより楽になると思うと話した。 ウ 本件配転の内示を受け,原告は,新規採用の3年間は異動の対象にならず,しかも原告は留任を希望しており,また,通例では,若い講師の教員が分教室に配置されるにもかかわらず,新規採用2年目の教諭である原告を配置するということは,自分が本校では必要がないとして排斥されたのだと感じ,希死念慮等の状態となった。 さらに,原告は,学園は,施設の性質上閉鎖的であり,入所生徒も非行歴を抱えていて,分教室での勤務は男性の教員すら勤務の困難性を感じ,前年度に勤務していた女性の講師は,分教室での苦悩が大きく,教諭への採用試験合格発表を前に退職したと聞いていたこと,分教室の教員は原告を含めて2名,うち1名は男性の主任教員であり,世間から隔絶されたような所で,相談相手がいるかなどと不安に思ったこと,ようやく体調が回復してきた時期に突然本件配転の内示を受けたことなどで精神的に混乱した状態となった。 そして,原告は,うつ状態の症状として朝起きあがれず,当時自動車を保有していないため遠方にある学園に通勤することが非常に困難であることからも,本件配転により,aは,原告が自ら退職を申し出ることを期待しているのではないかと考えた。 エ 平成14年3月18日,原告が生協病院を訪ねたところ,c医師も本件配転の内示に怒りを示すなどした。 オ 原告は,平成14年3月20日,g教頭に,内示は変わらないかなどと尋ねたところ,教頭は内示は変わらないなどと述べた。 原告は,そのころ,aに対しても本件配転に 配転の内示に怒りを示すなどした。 オ 原告は,平成14年3月20日,g教頭に,内示は変わらないかなどと尋ねたところ,教頭は内示は変わらないなどと述べた。 原告は,そのころ,aに対しても本件配転についての不満を述べたが,aは,①学園に行ったらどんどん休めばよい,② この配置転換は県教委も認めたことである,③ 自分ならバスでいくらでも通うし,近くに引っ越すなどすればよい,④ 分教室ではプリント学習でも何でもさせておいて,その間通院すればよい,⑤ 今後は本校ではなく分教室で仕事をしなければならないなどと述べた。 この時,aは,原告の発言がきつい物言いであったことから,原告が配置転換を嫌がっていることを認識していた(証人a調書492項以下)。 カ 原告は,aの対応に非常な不快感を覚えたが,配置転換が変わることはないと感じ,平成14年4月1日から分教室で教員として勤務することとした。 (5) 学園の概況及び原告の平成14年度の校務分掌と指導状況ア 学園は,「不良行為をなし,又はなすおそれのある児童及び家庭環境上の理由により生活指導を要する児童を入所させ,又は保護者の下から通わせて,個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い,その自立を支援することを目的とする」児童自立支援施設である。 学園は大山の麓に所在し(甲3),その入所定員は36名であり,各年度4月1日時点での入所児童数は,平成10年度 11人,平成11年度 11人,平成12年度 9人,平成13年度 13人,平成14年度 8人である。 平成14年7月1日現在の組織体制は,別紙4のとおりである。 イ 分教室は平成8年度に設置されたが,学園側から英語科と数学科の教員を配置してほしいとの要望があったため,以降,同要望に沿った教員の配置が行われている。 学園と分教室との役割分担については,① 学 分教室は平成8年度に設置されたが,学園側から英語科と数学科の教員を配置してほしいとの要望があったため,以降,同要望に沿った教員の配置が行われている。 学園と分教室との役割分担については,① 学園職員は生活指導と実技教科の指導を担当する,② 分教室教員は英語,数学,社会,国語,道徳の学習指導を担当する(英語科の教員が国語を担当し,数学科の教員が社会を担当する)とともに,朝の会や終わりの会などの学級活動を担当する,③ 他の教科は,学園の非常勤講師や職員が主に担当するというものである。 ウ 原告は,分教室における校務分掌として,① 学習指導,② 1,2年生の学級の担任及び主任教員の補佐を担当することとなった。 エ 原告の指導状況は,① 1,2年生の英語4時間,国語3時間,道徳1時間(複式学級),3年生の英語4時間,国語3時間,② 総合4時間,体育2時間,鼓笛1時間の補助的指導(以上合計22時間)であった。 (6) 本件配転後の経緯ア 原告は,本件配転後の当初,学園における職員及び非常勤講師との人間関係,本校とは異なる生徒との関係,また,教材研究に時間を取られたことなどにより,精神的負担を受けて,病状は一時悪化した。しかしながら,総合の一環である農場作業・体育への不参加等の軽減措置が執られたことなどにより,平成14年6月ころにはうつ状態は軽快し(原告本人調書545項),また,原告は,原告を頼りにする生徒がいたことなどから,分教室での勤務に対する意欲を高めた。 平成14年6月20日,c医師は,原告について,「4月に勤務が変わり,不安・不眠・うつ状態が一時増悪した。現在少しずつ慣れてきており,もうしばらく現在の勤務状態で続けることが必要です。引き続き加療必要です。」と診断し,また,同月21日,d医師は,「現在,4月より勤務が変わってストレスもあ 一時増悪した。現在少しずつ慣れてきており,もうしばらく現在の勤務状態で続けることが必要です。引き続き加療必要です。」と診断し,また,同月21日,d医師は,「現在,4月より勤務が変わってストレスもあったが,何とか勤務もできるし,意欲もある。現在は,今の条件で就労可能と判断する。」と診断した(乙A5の2)。 イ 平成14年度の当初,分教室の生徒は2年生男子1名,3年生男女各1名であったが,同年4月に2年生男子1名,同年5月に2年生男子1名,同年7月に3年生女子1名,3年生男子1名,同年8月に2年生女子,1年生男子,同年10月に1年生男子の各入所があった。これらの生徒の中には,粗暴的傾向を有する者や,ADHDの傾向を有する者もおり,学園は次第に荒れるようになった。 原告の病状は,平成14年6月末ころから少しずつ悪化し,同年7月から精神科のh医師(以下「h医師」という。」)を受診するようになった。そして,同年9月ころ以降,さらに悪化し,平成14年10月9日,h医師は,原告について,「病名・抑うつ状態,自律神経失調症,約1か月間の休養を要する。」旨診断し(乙B5の3),原告は,同日以降,病休を取って自宅で療養することになった。 平成14年10月21日,h医師は,原告について,「平成14年4月より勤務が変わり,緊張が高まり,不眠,うつ状態が出現し,不安定な状態が続いていたが,夏休み明けから緊張がいっそう高くなり,同症状が悪化しているため,自宅での休養を利用して加療中である。当面,加療は必須の状態である。」と診断し,また,同月23日,d医師は,原告について,「本日の診療では,抑うつ気分,意欲低下,対人恐怖,早朝覚醒,入眠困難を認め,就労は難しいと判断する。」と診断した(乙A6の2)。 ウ 原告は,平成14年10月9日から平成15年1月6日まで病休を ,「本日の診療では,抑うつ気分,意欲低下,対人恐怖,早朝覚醒,入眠困難を認め,就労は難しいと判断する。」と診断した(乙A6の2)。 ウ 原告は,平成14年10月9日から平成15年1月6日まで病休を取り,以降,同年2月28日まで休職したが,同年3月1日,本校に復職した。 なお,原告が休職をしている間は,県教委が代わりの教員を分教室に配置し,平成15年度からは,平成14年度以降福生中学校に勤務するようになった,前記の40代の女性の教諭が分教室に配置されている。 (7) 平成15年度の経緯aは,原告の勤務軽減のため,平成15年度も原告を補助担任とし,校務分掌も極力あてないなどの対応を執ったが,原告の体調は,8月の後半から悪化し始め,2学期に入ると病休が目立つようになり,学校に連絡をしないで無断欠勤になることも度々あった。 しかし,原告本人尋問が行われた平成16年2月2日時点では,尋問に対しても的確に答えており,服用している薬が合っており,精神的に良い状態となっている(原告本人調書422項)。 2 本件配転の違法性の有無(争点(1)ア)について原告は,aが,原告の病状を認識し,本件配転によって原告の病状が悪化することを知りながら,他の教員と同じような質,量の仕事をこなせない原告を本校から排斥するため,分教室での勤務は楽であるなどと原告をだまして本件配転をしたものであり,本件配転は,校長としての裁量権を著しく逸脱した,故意または少なくとも重過失による不法行為であると主張する。 そこで検討するに,aが,本件配転によって原告の病状が悪化することまでを知りながら,原告を排斥するために本件配転を行ったと認めることはできないが,次に述べる理由から,本件配転は,その決定に至る過程において,当時の原告の病状や治療の必要性,原告本人の治療についての意向 知りながら,原告を排斥するために本件配転を行ったと認めることはできないが,次に述べる理由から,本件配転は,その決定に至る過程において,当時の原告の病状や治療の必要性,原告本人の治療についての意向を十分に確認することなく,これらに対する配慮を欠いたままなされ,その結果,一時的に原告の病状を悪化させるなどしたもので,違法といわざるを得ない。 (1) 当時の原告の健康管理区分前記1(3)のとおり,原告の平成13年度の健康管理区分は,当初C1であったものが,平成13年7月12日にD1に改善したものの,同年10月ころからうつ状態が再現し,同年12月13日にはB1となり,本件配転時まで改善されなかった。 健康管理区分上B1は,勤務面においては,「職務の変更,勤務場所の変更,休暇(日単位のものを除く。)等の方法により勤務を軽減」することなどが必要な状態である。 (2) 学園における勤務と本校における勤務との対比原告は,本件配転により,勤務が過重となったと主張し,被告米子市は,むしろ,本件配転が勤務の軽減となると主張するので,以下,検討する。 ア 分教室による学習指導証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によると,分教室での学習指導については,1クラスの生徒数が本校よりはるかに少ない。また,生徒の学力の程度が高くなく,進学を希望する生徒も少ないという認識のもと,本校よりも楽であると感じる者がいる(証人f調書88項,401項)。 しかし,証拠(甲4,6,原告本人)によると,その一方で,複数の学年の2教科(原告の場合は,英語と国語)を担当するだけでなく,他の教科の補助をしなければならず,これらを合わせた授業時間数は少ないわけではなく(原告の場合,平成13年度における本校の授業時間数21時間より,1時間多かった。),また,学園の生徒の学力の程度に応じた教 の補助をしなければならず,これらを合わせた授業時間数は少ないわけではなく(原告の場合,平成13年度における本校の授業時間数21時間より,1時間多かった。),また,学園の生徒の学力の程度に応じた教材研究の準備が必要となる(本校における教材を流用することができない。)。このため,本校と比べても大変であると感じる者もいる(証人e調書64項,163項)。 また,分教室での授業は帰りの会も含めて午後3時ころには終了するが,本校での終了時間は午後4時ころである(証人f調書374項,同a113項)。しかし,勤務時間自体に変わりがあるわけではなく,分教室の所在が通勤に不便なところにあることも併せ考えると,授業の終了時間による勤務の軽重に及ぼす影響は明らかとはいえない。 イ 学園の施設指導員によるフォロー被告米子市は,複数の学園の施設指導員のフォローを受けることができると主張するが,証拠(証人e調書73項)によると,必ずしも,常に指導員のフォローを受けるとは限らず,また,受けることができたとしても,本来の学習指導上の勤務の軽減を目的とするものかどうかは不明である。 ウ 分教室への通勤証拠(甲4,5,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,原告が本校に通勤するのに比べ,分教室に通勤することは,通勤の負担が増加することは認められるが,通常,配転によって,通勤の負担が増減することがあり得るのは当然であり,原告の指摘する,本件配転に基づく通勤の負担増のみをもって,通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものとはいえない。 しかし,当時の原告の病状を前提とすると,他の勤務状況と相俟って,通常甘受すべき程度を著しく越える不利益となる可能性を否定できない。 エ 分教室におけるその他の指導について学園においては,校務分掌やPTA活動,行事,部活動などがほ ると,他の勤務状況と相俟って,通常甘受すべき程度を著しく越える不利益となる可能性を否定できない。 エ 分教室におけるその他の指導について学園においては,校務分掌やPTA活動,行事,部活動などがほとんどなく,教員は部活動に参加しなくともよい(証人e調書60項,72項,263項)。このため,分教室での勤務については,本校での勤務よりも精神的に楽であると感じる者がいる(証人f調書101項,152項)。 しかし,その一方で,生徒のほぼ全員が問題性を抱えており,学園での人員にも限りがあるので,粗暴行為等の問題が生じないように常に気を配っておく必要があり,また,指導員ごとに生徒に対する指導の仕方が違うので,指導員との関係性も難しいなど,本校よりも精神的負担ははるかに大きいと感じる者もいる(証人e調書71項以下,184項以下,196項以下)。 なお,原告は,学園内での体罰があり,精神的不安定となったと主張し,これに沿う供述をするが(甲4),これを裏付けるに足る証拠はなく,また,aがこれを認識していたという証拠もない。 オ 休暇の取得についてaは,分教室では,休暇を取りやすいと供述する。たしかに,授業の終了時間は分教室の方が1時間早いが,通勤時間のことを考えると,そのことが原告の通院や勤務の軽減に必ずしも資するとはいえず,また,aが他のどのような理由をもってそのように供述するのかは不明である(分教室の授業なら,少々おろそかにしてよいということが許されるはずがない。)。 分教室では教員は2名しかいないため,原告が休暇をとると,その間の代替をもう1人の教員のみに委ねることになってしまい,むしろ,分教室の方が,本校と比べ,休暇を取りにくいという側面がある(人数だけでいうと,本校の方が,代替となりうる教員は多い。)。 カ まとめ以上のとおり,分教 員のみに委ねることになってしまい,むしろ,分教室の方が,本校と比べ,休暇を取りにくいという側面がある(人数だけでいうと,本校の方が,代替となりうる教員は多い。)。 カ まとめ以上のとおり,分教室における勤務と本校における勤務との軽重については,個々人によってその受け取り方には大きな違いが見られる。その原因については,分教室の勤務に対する取り組み方の違いによるとも,分教室の勤務を得意とするか否かという性格的なものとも考えられ(これは,単に,中学校教師としての資質以外の資質による違いとも考えられ,分教室の勤務が不得手であることをもって,直ちに,中学校教師としての資質に欠けるとはいえない。),これを一義的に説明することは困難である。 このことは,分教室と本校での勤務内容の違いが大きいため,単純な比較が困難であることを示すものといえる。 しかし,以上に検討したところによると,少なくとも,原告にとっては,被告米子市が主張するように,本件配転が勤務の軽減となったということはできないし,aとしては,これを認識すべきであった。 (3) 原告の当時の病状と本件配転との関係本件配転当時の原告の病状は前記(1)のとおりであるが,本件配転は,前記(2)のとおり,勤務の軽減措置となるとは考えられない。むしろ,本件配転は,一般的な中学校から,「不良行為をなし,又はなすおそれのある児童等が入所するなどしている」児童自立支援施設内の分教室へと,原告を配置転換し,従前の人間関係を含めた原告の勤務環境を大幅に変更するものである。そして,前記(2)のとおり,分教室での勤務の負担感については個人差があるものの,平成12年度以降継続してうつ状態により治療を受けてきたという原告の心身の状況や,本件配転前の医師の診断において,しばらくは現在の勤務状態で続けたほうがよいなど の負担感については個人差があるものの,平成12年度以降継続してうつ状態により治療を受けてきたという原告の心身の状況や,本件配転前の医師の診断において,しばらくは現在の勤務状態で続けたほうがよいなどとされており,aもこれらの事実を認識していたものであることにかんがみれば,このような大幅な環境の変更は,原告に精神的負担を与え,うつ状態の悪化を招来する危険性のあるものというべきであり,そのことは,容易に予測できたというべきである。 それにもかかわらず,aは,本件配転に際して何ら医師の見解を聞くなどしないまま,本件配転を命じたものであり,本件配転は,原告の病状に対して十分な配慮を欠いたままなされたものであるといわざるを得ない。 (4) 原告の同意の有無本件配転を内示した際,原告が明確な拒否をしたことは窺えないが,前記1(4)のとおり,a自身,原告が本件配転に対し,拒否的であったことを認識していたと認められる。 そして,健康管理区分がB1である者の勤務の軽減をしなくてはならない場合,しかも,その疾病の内容がうつ状態である場合においては,本人の同意しない配転が,その病状をかえって悪化させる可能性を考える必要があり,分教室での勤務が本校での勤務と比べ,必ずしも楽であるとはいえない以上,本件配転は,原告にとって,勤務の軽減とはならず,むしろ,過重となる可能性を考える必要があったというべきである。 (5) 原告の病状の悪化前記1(6)記載のとおり,本件配転後の平成14年4月,5月ころ,原告は,職場環境が変わり,精神的負担を受けて,うつ状態が一時増悪したことが認められ,この悪化は,本件配転の結果であると推認される(もっとも,後述するとおり,分教室勤務中の病状の悪化の全てと本件配転との間に因果関係を認めることは困難である。)。 (6) 本校における とが認められ,この悪化は,本件配転の結果であると推認される(もっとも,後述するとおり,分教室勤務中の病状の悪化の全てと本件配転との間に因果関係を認めることは困難である。)。 (6) 本校における軽減措置の可能性なお,前記認定事実によるも,福生中学校の運営上,原告以外の教員を分教室に配置することができない態勢であったとも認められず,原告について,一層の軽減を図った上で本校における勤務を継続することが出来なかったとはいえない。 (7) 以上によると,aは,原告の勤務の軽減を意図して本件配転を命じた可能性があるとはいえ(したがって,aに原告の病状悪化等についての故意を認めることはできない。この点,原告は,aは学園での成績会議に出席するなどして,分教室での勤務の困難性を認識していたとも主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。),その意図どおりの軽減がなされたと認めることはできず,かえって,過重となった可能性を否定できない。また,本件配転を命じるにあたり,本人の意思を十分に確認しないまま,専門家の意見を改めて聴取することもなく,本件配転を命じたものであり,その結果,原告の病状の悪化を招いたものである。それゆえ,本件配転は,原告に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであったというべきであり,少なくとも,aには,そのことについて過失があったというべきである(原告は,aに故意あるいは重過失があったと主張するが,過失の存在の主張もしていると解する。なお,原告が本件配転を明確に拒否しなかったことを考えると,本人の意思を確認しなかったことについて重過失があったともいえないし,平成13年度の3学期において,原告の本校での勤務に関して一定の軽減措置を講じたにもかかわらず,むしろ病状が悪化したように見える状況もあったことを考慮すれば,結局 いて重過失があったともいえないし,平成13年度の3学期において,原告の本校での勤務に関して一定の軽減措置を講じたにもかかわらず,むしろ病状が悪化したように見える状況もあったことを考慮すれば,結局,本件配転に関して,aに重過失があったとまではいえない。)。 以上を総合すれば,本件配転は,aが服務監督権及び学校運営上の管理監督権の裁量を逸脱したものといわざるを得ず,かつ,本件配転による原告の病状悪化等についてaには過失が認められるというべきであるから,本件配転はaによる不法行為であると認められる。 3 aによる嫌がらせ行為の有無(争点(1)イ)について(1) 原告は,本件配転後,aは,① 原告の健康管理区分がB1で担任を持つべきでないにもかかわらず,分教室で担任を任せた,② 学園の職員に対して原告の健康状態について伝えなかったため,例年と異なり講師でなく教諭である原告が着任したことで,学園の職員に原告への過度の期待をさせ,原告の負担を増大し,また,学園の行事に参加できないこともある原告と,職員らとの人間関係が悪化した,③ 書類を用意するのが面倒であるなどとして,当初,原告の病休取得を認めなかった,④ 原告が本校で仕事をすることについて人を介して苦言を呈し,また,他の教員に対し,原告とは関わらないようにと述べていたことを他の教員から聞いたなどと主張し,原告はこれに沿う供述をする(甲4,原告本人)。 (2) しかしながら,①については,健康管理区分がB1である場合は担任を持たせることはできないという規定はなく(証人a調書57項,原告本人調書162項),単に担任としての出張業務をさせないというに止まるものと認められる(原告本人調書157項)から,分教室において担任を任せたということが,直ちに,aの原告に対する嫌がらせなどといえるものではない。 ),単に担任としての出張業務をさせないというに止まるものと認められる(原告本人調書157項)から,分教室において担任を任せたということが,直ちに,aの原告に対する嫌がらせなどといえるものではない。 ②については,校長は,当初,原告の病状を学園の園長に伝えていなかったが,これは,aは,個人のことで差し控えた方がよいとの判断をしたためであり(乙B18の4頁),このことについて,原告の病状についての配慮を欠いていたかはともかく,違法な嫌がらせ行為とまではいえない。 ③については,病休の手続上で校長が特段の書類を用意することはないのであるから(乙B18の5頁),aが原告の病休取得を殊更に認めなかったとは考えがたい。 そして,④については,aは苦言を呈したことは否定しており(乙B18の5頁,証人a),また,原告の主張を前提としても,aの言動については第三者からの伝聞であり,aにおいて,原告の主張する趣旨の言動があったかどうか(嫌がらせをするために苦言を呈したか否か)は不明であり,また,本件において,aが原告主張のような言動をしたことを認めるに足りる証拠もない。 (3) したがって,aが原告に対して違法な嫌がらせ行為をしたとは認められない。 4 原告に生じた損害(争点(2))について前記2のとおり,本件配転はaによる不法行為であると認められるので,本件配転によって生じた原告の損害について検討する。 (1) 前記のように,本件配転は,突然,原告の勤務環境を大幅に変更して,平成12年度よりうつ状態にあった原告に対して精神的負担を与えており,現実に,本件配転後,原告の病状は一時悪化しているものである。 (2) しかしながら,他方,平成14年10月9日からの原告の長期病休及び休職について,本件配転と因果関係があるとまでは認められない。 ア すなわち,前記 後,原告の病状は一時悪化しているものである。 (2) しかしながら,他方,平成14年10月9日からの原告の長期病休及び休職について,本件配転と因果関係があるとまでは認められない。 ア すなわち,前記認定のように,原告のうつ状態は平成14年6月ころ軽快しており,医師らも,原告について,「現在少しずつ慣れてきており,もうしばらく現在の勤務状態で続けることが必要です。」または「現在,4月より勤務が変わってストレスもあったが,何とか勤務もできるし,意欲もある。現在は,今の条件で就労可能と判断する。」と診断している。 イ そして,平成14年度以外の平成12年度,平成13年度及び平成15年度のいずれの年度においても,原告の体調は2学期以降特に悪化しているのである(別紙1参照)。 ウ そうすると,本件配転を原因とする原告の体調の悪化は平成14年6月ころまでで止まり,他方において,平成14年10月9日からの長期病休等については,原告の素因によるところが大きいと考えることもでき,以下にみるように,ほかに,本件配転と原告の長期病休等との因果関係を認めるに足りる証拠はないというべきである。 (ア) 原告は,上記アの診断に関して,① 「現在の勤務状態で続けることが必要」との部分については,勤務を軽減するB1の状態で続けることが必要との趣旨に過ぎない,また,② 分教室の生徒のためにも長期の病休を取ることは避けたいとの心情を医師に伝えて,診断書を作成してもらったものであると供述する(甲10の9頁)。 しかしながら,上記①については,上記診断内容について原告の供述のような趣旨に解することはできず,上記②については,証拠(原告本人調書544項)によれば,原告が医師に伝えたのは,分教室で勤務する意欲があるという点だけであったと認められるから,上記診断は,専ら医師自らの 旨に解することはできず,上記②については,証拠(原告本人調書544項)によれば,原告が医師に伝えたのは,分教室で勤務する意欲があるという点だけであったと認められるから,上記診断は,専ら医師自らの判断によるものというべきである。 (イ) 原告は,c医師及びd医師が,原告の病状が悪化したのは,配転が主な原因であると断定したと主張し,これに沿う供述をする(甲5の2頁)が,これを認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 原告は,上記イに関し,平成15年度の2学期に原告の体調が特に悪化しているのは,本件訴訟が係属していることによるストレスによるものであると供述する(原告本人)が,これを認めるに足りる証拠はない。 (エ) 前記認定のように,平成14年10月時点において,h医師は,原告の症状が同年4月以降継続して悪化していたとするような診断をしているが,h医師が原告の診断を開始したのは同年7月であるから,同人の診断を全面的に採用することはできない。 (オ) なお,仮に,平成14年度2学期以降,学園が荒れ始めたことが原告の病状の悪化の一因となっているとしても,本件配転の際に,aがこのような事情を予見できたと認めるに足りる証拠はない。 (3) 以上のような本件配転の違法性の程度,これに対するaの認識,本件配転の際の原告の精神的負担,本件配転を原因とする原告の病状の悪化及びその程度等,本件に現われた一切の事情を考慮すると,原告は本件配転によって精神的損害を受けたものであり,かつ,それを慰謝するためには30万円が相当であると認められる。 そして,本件訴訟の内容,訴訟活動の経過,その他の事情にかんがみると,本件訴訟に伴う弁護士費用のうち3万円の限度で,本件配転と因果関係のある原告の損害と認めるのが相当である。 5 以上によれば,被告米子市は国家賠償法1条1 訴訟活動の経過,その他の事情にかんがみると,本件訴訟に伴う弁護士費用のうち3万円の限度で,本件配転と因果関係のある原告の損害と認めるのが相当である。 5 以上によれば,被告米子市は国家賠償法1条1項に基づき,被告鳥取県は同法3条1項に基づき,原告に対し,各自33万円(及びこれに対する遅延損害金)を支払う義務があることになる。 第6 結論以上の次第で,原告の請求については,被告らに対し,各自33万円及びこれに対する平成14年10月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからいずれもこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,64条,65条1項本文をそれぞれ適用して(なお,仮執行の宣言については必要性がないので,その申立てを却下することとし),主文のとおり判決する。 (口頭弁論終結日平成16年2月2日)鳥取地方裁判所民事部裁判長裁判官山田陽三裁判官山本和人裁判官小野寺明
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