- 1 -平成22年4月28日判決言渡平成21年(行ケ)第10163号審決取消請求事件(特許)口頭弁論終結日平成22年4月21日判決原告シーメンスアクチエンゲゼルシャフト訴訟代理人弁理士山口巖同山本浩被告特許庁長官指定代理人野村亨同廣瀬文雄同佐々木一浩同田村正明主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1請求特許庁が不服2006-28998号事件について平成21年2月3日にした審決を取り消す。 第2事案の概要 本件は,原告が名称を「プロセス自動化システム」とする発明につき国際特許出願をしたところ,日本国特許庁から拒絶査定を受けたので,これに対する不服審判請求をしたが,請求不成立の審決を受けたことから,その取消しを求めた事案である。 - 2 - 争点は,平成20年2月5日付け補正後の請求項1に係る発明(本願発明)が下記各引用文献に記載された発明との関係で進歩性を有するか(特許法29条2項),である。 記・特開平7-153653号公報(発明の名称「半導体製造装置およびその工程管理方法」,出願人株式会社日立製作所,公開日平成7年6月16日。 以下,この文献を「引用例1」といい,これに記載された発明を「引用発明1」という。甲1)・特公平7‐89305号公報(発明の名称「コンピュータソフトレンタル方法」,出願人株式会社ランドシステム,公告日平成7年9月27日。以下,この文献を「引用例2」といい,これに記載された発明を「引用発明2」という。甲2)第3当事者の主張 請求原因(1)特許庁における手続の経緯原告は,1996 告日平成7年9月27日。以下,この文献を「引用例2」といい,これに記載された発明を「引用発明2」という。甲2)第3当事者の主張 請求原因(1)特許庁における手続の経緯原告は,1996年(平成8年)7月8日の優先権(ドイツ)を主張して,1997年(平成9年)7月3日,名称を「プロセス自動化システム」とする発明について国際特許出願(PCT/DE97/01407。日本における出願番号は特願平10-504651号)をし,平成11年1月7日日本国特許庁に翻訳文(甲5)を提出し(国内公表公報は特表2000‐514220号)を提出したが,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をした。 特許庁は,上記請求を不服2006-28998号事件として審理し,その中で原告は平成20年2月5日付けでも特許請求の範囲の変更等を内容とする補正(以下「本件補正」という。請求項の数8。甲4)をしたが,特許庁は,平成21年2月3日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審- 3 -決をし(出訴期間として90日附加),その謄本は平成20年2月19日原告に送達された。 (2)発明の内容本件補正後の特許請求の範囲は,上記のとおり請求項1~8から成るが,このうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)の内容は以下のとおりである。 ・【請求項1】操作・監視層のなかに存在する第1の送信・受信装置(3)に接続された,プロセスを操作しかつ監視するためのターミナル(1)と,下位の自動化層のなかに存在する,プロセスバスを介して第2の送信・受信装置(6)に接続された自動化装置(4)と,第3の送信・受信装置(10)に接続されているマスターコンピュータ(9)とを備えたプロセス自動化システムにおいて,前記マスターコンピュータは,前記操作・監視層および前記自動 れた自動化装置(4)と,第3の送信・受信装置(10)に接続されているマスターコンピュータ(9)とを備えたプロセス自動化システムにおいて,前記マスターコンピュータは,前記操作・監視層および前記自動化層の外側に配置され,前記第3の送信・受信装置(10)は,データ伝送媒体(11)を介して前記第1および第2の送信・受信装置(3,6)と通信して,データが前記操作・監視層と自動化層との間でマスターコンピュータ(9)を介して交換され,その際前記プロセスバスは前記ターミナルとはリンクされていないことを特徴とするプロセス自動化システム。 (3)審決の内容審決の内容は,別添審決写しのとおりである。 その理由の要点は,本願発明は引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから特許を受けることができない(特許法29条2項),というものである。 なお,審決が認定した引用発明1,2の内容は,下記のとおりである。 記- 4 -<引用発明1>「管理部署システム2のなかに存在する送信・受信装置に接続された,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群10~ 10nに対する製造条件の指示,要素プロセス設備群10~10nの作業 者に対する製造条件の指示を管理するための複数の部署別管理計算機25~29と,半導体製造ラインシステム1のなかに存在する,通信回線を介して送信・受信装置に接続された,設備群管理計算機11~11nと,送信・ 受信装置に接続されている電子ファイル管理計算機3とを備えた半導体製造装置において,電子ファイル管理計算機3に接続された送信・受信装置は,電子ファイル管理計算機用通信回線を介して管理部署システム2の中に存在する送信・受信装置,および,半導体製造ラインシステム1の中に存在する送信・受信装置と通信して, 3に接続された送信・受信装置は,電子ファイル管理計算機用通信回線を介して管理部署システム2の中に存在する送信・受信装置,および,半導体製造ラインシステム1の中に存在する送信・受信装置と通信して,部署別管理計算機25で入力されたデータが,電子ファイル管理計算機3を介して,半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11に転送され,その際,半導体製造ラインシステム1の通信 回線は,管理部署システム2の通信回線と,直接リンクされていない半導体製造装置。」<引用発明2>「業務プログラムを利用する企業のオフィスに設置されたユーザーマシンU,U・・・と,業務プログラムの提供者である利用管理センターに設置されたホストマシンHとを,通信回線を経由して接続し,プログラムファイル及びデータファイルの全てをホストマシンHに蓄積し,各種の解析サービスや経営上の指導サービスを行うコンピュータシステム。」(4)審決の取消事由しかしながら,審決には,以下に述べるとおり誤りがあるので,違法として取り消されるべきである。 ア取消事由1(引用発明1認定の誤り)- 5 -(ア)送信・受信装置について審決は,引用発明1において,「・・・管理部署システムシステム2,半導体製造ラインシステム1,電子ファイル管理計算機3は,それぞれ,送信・受信装置を有していることは明らかである。」(5頁下1行~6頁2行)とした。 しかし,引用例1に「管理部署システム2と電子ファイル管理計算機3,及び半導体製造ラインシステム1と電子ファイル管理計算機3とはそれぞれ通信回線を介して接続されている点」は記載されているものの,「部署別管理計算機25から電子ファイル管理計算機3にデータを転送する点」(段落【0047】),「部署別管理計算機27から電子ファイル管理計算機3にデータを転送 れている点」は記載されているものの,「部署別管理計算機25から電子ファイル管理計算機3にデータを転送する点」(段落【0047】),「部署別管理計算機27から電子ファイル管理計算機3にデータを転送する点」(段落【0049】),「部署別管理計算機28から電子ファイル管理計算機3にデータを転送する点」(段落【0050】),「電子ファイル管理計算機3から設備群管理計算機11にデータを転送する点」(段落【0054】)の記載か ら電子ファイル計算機3が送信・受信装置を有するとはいえるが,半導体製造ラインシステム1と管理部署システム2のなかに送信・受信装置が存在することは記載されておらず,これを示唆するものもない。 また,本願発明の「送信・受信装置」は,ターミナル(1)や自動化装置(4)とは別個独立の装置であり,操作・監視層及び自動化層の中にそれぞれ存在するバスシステムを介してターミナル(1)や自動化装置(4)に独自に接続されているものであり,引用例1に記載された部署別管理計算機25等がそれぞれ個別に有する送信・受信装置とは異なるものである。 したがって,審決の上記認定は誤りである。 (イ)リンクについて審決は,引用発明1につき,「半導体製造ラインシステム1の通信回- 6 -線は,管理部署システム2の通信回線と,直接リンクされていない」とした。 しかし,引用例1の【図1】の記載からは,管理部署システム2の通信回線と半導体製造ラインシステム1の通信回線とは電子ファイル管理計算機3を介して接続されているようにも思われるが,【図1】はあくまでも半導体製造装置の要部を示す概略構成図である。そして,その構成を詳細に記載した【図7】,【図9】,【図10】,【図12】から,管理部署システム2の通信回線と半導体製造ラインシステム1の通信回線は直接リンク 造装置の要部を示す概略構成図である。そして,その構成を詳細に記載した【図7】,【図9】,【図10】,【図12】から,管理部署システム2の通信回線と半導体製造ラインシステム1の通信回線は直接リンクされているといえる。 したがって,審決の上記認定は誤りである。 イ取消事由2(本願発明と引用発明1の一致点認定の誤り)(ア)データの交換について審決は「引用発明1の『部署別管理計算機25で入力されたデータが,半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11に転送され』る ことは,本願発明の『データが操作・監視層と自動化層との間で交換され』ることに相当する。」(9頁11行~14行)と認定した。 しかし,引用発明1では,引用例1の段落【0047】,【0049】,【0051】,【0054】に記載されているとおり,「データは部署別管理計算機25から設備群管理計算機11へ送信される」の みであって,「データが交換され」る点については記載されていない。 また,引用例1に記載された従来の半導体製造ラインシステム1は,図13に示されているように,管理部署システム2とは全く独立した構成となっているため,管理部署システム2と半導体ラインシステム1との間でデータ(電子ファイル)を交換することはできず,またデータの交換は想定されていないといえる。 さらに,引用例1の段落【0030】には「半導体製造ラインシステ- 7 -ム1は,図2に示すように,半導体製造ラインのそれぞれの要素プロセス設備群10~10を管理する複数の設備群管理計算機11~11 nと,この半導体製造ラインで製造される製品を管理する製品管理計算n機12とから構成され,これらの複数の設備群管理計算機11~11 と製品管理計算機12とは通信回線により情報転送可能に接続されてnいる。」と 製造ラインで製造される製品を管理する製品管理計算n機12とから構成され,これらの複数の設備群管理計算機11~11 と製品管理計算機12とは通信回線により情報転送可能に接続されてnいる。」と記載されていることから,要素プロセス設備群10~10 nにおいて製造が完了した旨の報告は,複数の設備群管理計算機11~11から製品管理計算機12に対してなされるというべきである。 n加えて,引用例1の特許請求の範囲に係る発明は,段落【0009】に記載されているように,「半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,設備または作業者に対する製造条件の指示などの工程管理において,それぞれ管理部署の異なる複数の電子ファイルからの工程管理用電子ファイルの作成を,情報の信頼性及び機密性を確保した上で管理することができる半導体製造装置及びその工程管理方法を提供すること」を目的としてなされたものであるから,半導体製造ラインシステム1から管理部署システム2へデータの転送が自由に行われるのであれば,情報の信頼性及び機密性の確保の点からも問題があり,上記目的を達成することができない。 なお,後記乙3文献,乙4文献には,生産管理部署から製造ラインシステムに製作数や製作期限等の生産計画に関するデータを送った場合,製造ラインシステムは生産管理部署に製造が完了した旨を報告することが開示されているが,生産管理システムと製造ラインシステムとが直接リンクされているからこそデータの交換ができるのであって,被告が主張するように「管理部署システム2と半導体製造ラインシステム1が直接リンクされていない」のであれば,両者間でデータの交換を行う構成とすることは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 - 8 -したがって,審決の前記認定は誤りである。 (イ)本願発明と引用 リンクされていない」のであれば,両者間でデータの交換を行う構成とすることは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 - 8 -したがって,審決の前記認定は誤りである。 (イ)本願発明と引用発明1との対応関係の誤り①引用例1において,部署別管理計算機25~29はそれぞれの部署に細分化された業務内容の管理に適した電子ファイルの形式でデータが入力されて管理されるようになっているのに対し,本願発明のターミナルは「単にグラフィック出力を引き受け,またマウスおよびキーボードを介して操作入力または画像切換を可能にする。」(本願明細書〔甲11〕1頁9行~11行)ものであり,引用例1の部署別管理コンピュータ25~29とは全く異なるものである。したがって,引用例1の「部署別管理計算機25~29」は本願発明の「ターミナル」に相当するという審決の判断は誤りである。 ②引用例1において,電子ファイル管理計算機3は電子ファイルの情報転送を自動で管理する機能,書類審査,承認及び有効期限を付加して管理する機能,バックアップとして保存する機能を有するのに対し,本願発明のマスターコンピュータは複数の自動化システムの同時操作にも必要となる計算能力を供給するものであり,引用例1の電子ファイル管理計算機3はこのような計算能力を有していない。したがって,引用例1の「電子ファイル管理計算機3」は,本願発明の「マスターコンピュータ」に相当するという審決の判断は誤りである。 ③引用例1において,設備群管理計算機11~11は,工程管理用 n電子ファイル3aによる電子ファイル11a~11aの情報に従っ nて要素プロセス設備群10~10を管理するようになっているのに n対し,本願発明は「設備データの変更,すなわちプロジェクトの変更は,操作・監視層からマスターコ 11a~11aの情報に従っ nて要素プロセス設備群10~10を管理するようになっているのに n対し,本願発明は「設備データの変更,すなわちプロジェクトの変更は,操作・監視層からマスターコンピュータ9に伝達され,マスターコンピュータ9が変更を受け入れ,新しいプロジェクト形態をすべてのターミナル1に伝送する。」(本願明細書〔甲11〕3頁7行~1- 9 -0行)のであるから,設備群管理計算機11~11の機能は,本願 n発明におけるマスターコンピュータ及びターミナルの機能に相当するといえる。また,本願発明の「マスターコンピュータ」は下位の自動化層を管理するものではなく,本願発明には「管理部署計算機」に相当するものもないから,本願発明には「この半導体製造ラインシステム1と管理部署システム2とを接続して総合的な工程管理を行う電子ファイル管理計算機3」(引用例1の段落【0029】)に相当するものは存在しない。したがって,引用例1の「設備群管理計算機11~11」,「複数の設備群管理計算機11~11および製品管理 n n計算機12」,「要素プロセス設備群10~10」,「複数の要素 nプロセス設備群10~10」は,それぞれ本願発明の「ターミナル n1」,「操作・監視層」,「自動化装置4」,「下位の自動化層」というべきであるから,審決の判断に誤りがある。 ウ取消事由3(容易想到性判断の誤り)審決は,引用発明2を引用発明1に適して本願発明に至ることは当業者が容易になし得たことだとしたが,このような判断はそもそも誤って認定された引用発明1を前提とするものである。 また,本願発明は,マスターコンピュータを操作・監視層及び自動化層の外側に配置することによって,ハードディスクなどの記憶装置だけでなく,マスターコンピュータ(計算能 用発明1を前提とするものである。 また,本願発明は,マスターコンピュータを操作・監視層及び自動化層の外側に配置することによって,ハードディスクなどの記憶装置だけでなく,マスターコンピュータ(計算能力)も不要となるが,引用発明2は,ユーザーマシンの計算能力を不要にすることはできないから,引用発明1と引用発明2を組み合わせても本願発明とはならない。 さらに,原告は,引用発明1と本願発明とはいずれも半導体製造ラインなどのプロセス自動化システムに関するものであり,同じ技術分野に属するものであるということができるが,引用発明2は「統合経営情報システム等に代表されるコンピュータソフトの通信回線を用いたレンタル方法」- 10 -に関するものであり,本願発明や引用発明1とは技術分野が異なるものであるから,引用発明1と引用発明2を組み合わせる動機はない。加えて,引用発明2は,コンピュータソフトレンタル方法に関し,高額コンピュータソフトをユーザーに低価格で提供可能とすることを目的とするものであるのに対し,本願発明はハードウエアのコストダウンを目的とするものであって,本願発明と引用発明2は,技術分野および作用効果が全く異なる。 よって,本願発明の構成は,引用発明1と引用発明2を組み合わせても得ることができないばかりか,そのような組み合わせの動機付けをもたらす事情もないのであり,引用発明2を引用発明1に適用して本願発明に至ることは当業者が容易になし得たことだとした審決の判断には誤りがある。 請求原因に対する認否請求原因(1)~(3)の各事実は認めるが,同(4)は争う。 被告の反論審決の判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。 (1)取消事由1に対しア送信・受信装置につき原告は,引用例1には半導体製造ラインシステム1と管理部署システム 争う。 被告の反論審決の判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。 (1)取消事由1に対しア送信・受信装置につき原告は,引用例1には半導体製造ラインシステム1と管理部署システム2のなかに送信・受信装置が存在することは記載されておらず,これを示唆するものでもない,と主張する。 しかし,引用例1には,「また,工程管理用計算機に,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の送受信先を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能が備えられることにより,たとえば電子ファイルを意味のある分類コードなどの識別情報を付けて管理することで,電子ファイルの流れを効率良く管理することが可能になるとともに,製造情報の機密性を確保することができる。」(段落【0021】),「さらに,電子ファイル管理計算機3には,複数の設備群管理計- 11 - n n n算機11~11の持つ電子ファイル11a~11a,11b~11bおよび複数の部署別管理計算機25~29の持つ電子ファイル25a,25b,26a,27a,27b,28a,28b,29aの情報転送を電子ファイルの識別情報に基づいて転送プログラムなどにより自動で管理する機能・・・それぞれの電子ファイル11a~11a,11b~1 n 1b,25a,25b,26a,27a,27b,28a,28b,2n9aの製造管理情報と設備管理情報とを工程管理用電子ファイル3aにバックアップとして保存する機能が備えられている。」(段落【0039】),「従って,本実施例の半導体製造装置によれば,半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11~11と,管理部署システム2の n部署別管理計算機25~29との間に電子ファイル管理計算機3を接続して全体的な工程を管理することにより・ れば,半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11~11と,管理部署システム2の n部署別管理計算機25~29との間に電子ファイル管理計算機3を接続して全体的な工程を管理することにより・・・」(段落【0056】)と記載されている。すなわち,工程管理用計算機である電子ファイル管理計算機3は,送受信先を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能,情報転送を電子ファイルの識別情報に基づいて転送プログラムなどにより自動で管理する機能,製造管理情報と設備管理情報とをバックアップとして保存する機能,及び全体的な工程を管理する機能を有しているものである。電子ファイル管理計算機3が以上の多種類の機能を有するためには,半導体製造ラインシステム1や管理部署システム2と相互にデータの交換を行わなければできないものであるから,電子ファイル管理計算機3,半導体製造ラインシステム1,管理部署システム2はそれぞれ送受信装置を有し,相互にデータ交換することが示されているというべきである。 また,引用例1には「これらの設備群管理計算機11~11および製 n品管理計算機12は,通常のパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサなどによって構成される。」(段落【0032】),「これらの部署別管- 12 -理計算機25~29は,通常のパーソナルコンピュータ,ワードプロセッサなどによって構成される。」(段落【0036】)と記載されている。 そもそもパーソナルコンピュータ間の通信においては,通信を確立する際に相互のデータのやりとりを必要とするのが技術常識であるし,本願の優先権主張日である1996年(平成8年)7月8日当時,通常のパーソナルコンピュータが通信を行う際に送受信装置によって行うことは周知の事項であった(特開平5-260117号公報〔発明の名称 ,本願の優先権主張日である1996年(平成8年)7月8日当時,通常のパーソナルコンピュータが通信を行う際に送受信装置によって行うことは周知の事項であった(特開平5-260117号公報〔発明の名称「通信制御装置」,出願人株式会社リコー,公開日平成5年10月8日。乙1〕の1欄38行~41行,特開平5-218967号公報〔発明の名称「光線通信システム」,出願人株式会社オリイ,公開日平成5年8月27日。乙2〕の4欄49行~5欄35行,図面の第3図)。そうすると,管理部署システム2の部署別管理計算機25,27,28には,通信を行うためにファイルを送り出すだけの送信装置だけでなく受信装置も同様に有することは明らかであり,同様に半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11~11や製品管理計算機12もファイルを受け入れるだけの受信 n装置だけでなく,送信装置も有していることは明らかである。 さらに,引用例1には,生産管理部署21の部署別管理計算機26には品種毎の製作数及び製作期限情報の電子ファイル26aが備えられていることが記載されている(段落【0035】,【図4】)。一般に生産管理部署から製造ラインシステムに製作数や製作期限等の生産計画に関するデータを送った場合,製造ラインシステムは生産管理部署に製造が完了した旨の報告をすることは通常行われていることからすれば(特開平4-25347号公報〔発明の名称「生産管理システム」,出願人株式会社東芝,公開日平成4年1月29日。以下,この文献を「乙3文献」という。乙3〕の1頁右下欄16行~2頁左上欄17行,特開平2-167654号公報〔発明の名称「生産管理システムの製造実施計画における負荷調整方- 13 -式」,出願人日本電気株式会社,公開日平成2年6月28日。以下,この文献を「乙4文献」という 特開平2-167654号公報〔発明の名称「生産管理システムの製造実施計画における負荷調整方- 13 -式」,出願人日本電気株式会社,公開日平成2年6月28日。以下,この文献を「乙4文献」という。乙4〕の2頁左下欄8行~右下欄6行),引用例1に記載された引用発明1においても,設備群管理計算機11~ 11から部署別管理計算機25~29への製造完了に関するデータの送n信を当然行うものと解される。 したがって,引用例1に半導体製造ラインシステム1と管理部署システム2のなかに送信・受信装置が存在することは記載されていないという原告の主張は理由がない。 なお,仮に引用発明1において,設備群管理計算機11~11から部 n署別管理計算機25~29への製造完了に関するデータを送信しているとはいえないとしても,上記のとおり一般に生産管理部署から製造ラインシステムに製作数や製作期限等の生産計画に関するデータを送った場合,製造ラインシステムは,生産管理部署に製造が完了した旨の報告をすることは通常行われていることであることに鑑みれば,半導体製造ラインシステム1と管理部署システム2の中に送信・受信装置を設ける構成とすることは,当業者が容易になし得たものであるから,審決における引用発明1の認定に誤りはない。 イリンクにつき原告は,引用例1では,管理部署システム2の通信回線と半導体製造ラインシステム1の通信回線とは直接リンクされていると主張する。 確かに,引用例1の【図7】,【図9】を参照すると,管理部署システム2の部署別管理計算機25,27,28と半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11とが同じ通信回線上に載っていることが図示さ れ,【図10】,【図12】を参照すると,管理部署システム2の部署別管理計算機25,26と半導体製造ラインシステ ラインシステム1の設備群管理計算機11とが同じ通信回線上に載っていることが図示さ れ,【図10】,【図12】を参照すると,管理部署システム2の部署別管理計算機25,26と半導体製造ラインシステム1の製品管理計算機12とが同じ通信回線上に載っていることが図示されている。 - 14 -しかし,引用例1における段落【0043】~【0059】を参酌すると,管理部署システム2の部署別管理計算機25,27,28で作成されたファイルが電子ファイル管理計算機3を介して半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11に転送されることのみが記載され,管理部 署システム2の部署別管理計算機25,27,28で作成されたファイルが,直接,半導体製造ラインシステム1の設備群管理計算機11に転送 されることは記載されていない。また,引用例1の【図10】,【図12】は,段落【0060】に記載されているとおり別実施例である。 したがって,引用例1において,管理部署システム2の通信回線と半導体製造ラインシステム1の通信回線とが直接リンクされているとの原告の主張は根拠がない。 (2)取消事由2に対しアデータの交換につき原告は,引用発明1では,データは部署別管理計算機25から設備群管理計算機11へ送信されるのみであって,データが交換される点につい ては記載されていない,と主張する。 しかし,前記のとおり,工程管理用計算機である電子ファイル管理計算機3は,送受信先を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能,情報転送を電子ファイルの識別情報に基づいて転送プログラムなどにより自動で管理する機能,製造管理情報と設備管理情報とをバックアップとして保存する機能,及び全体的な工程を管理する機能を有しているものであって,電子ファイル管理計算機3がこのような多 ログラムなどにより自動で管理する機能,製造管理情報と設備管理情報とをバックアップとして保存する機能,及び全体的な工程を管理する機能を有しているものであって,電子ファイル管理計算機3がこのような多種類の機能を有するためには,半導体製造ラインシステム1や管理部署システム2と相互にデータの交換を行わなければできないものであるから,電子ファイル管理計算機3,半導体製造ラインシステム1,管理部署システム2はそれぞれ送受信装置を有し,相互にデータ交換することが示されているといえる。 - 15 -また,前記のとおり,引用例1の段落【0035】及び【図4】を参照すると,生産管理部署21の部署別管理計算機26には,品種毎の製作数および製作期限情報の電子ファイル26aが備えられていることが記載されており,一般に生産管理部署から製造ラインシステムに製作数や製作期限等の生産計画に関するデータを送った場合,製造ラインシステムは生産管理部署に製造が完了した旨の報告をすることは通常行われていることからすれば,引用発明1においても,設備群管理計算機11~11や製品 n管理計算機12から部署別管理計算機25~29への製造完了に関するデータの送信を行うようにすることは当然行われると考えるべきである。したがって,引用発明1では,データは部署別管理計算機25から設備群管理計算機11へ送信されるのみであって,データが交換される点につい ては記載されていないとの原告の主張は理由がない。 なお,仮に,引用発明1において製造完了に関するデータを送信しているとはいえないとしても,前記のとおり,一般に生産管理部署から製造ラインシステムに製作数や製作期限等の生産計画に関するデータを送った場合,製造ラインシステムは生産管理部署に製造が完了した旨の報告をすることは通常行われている 記のとおり,一般に生産管理部署から製造ラインシステムに製作数や製作期限等の生産計画に関するデータを送った場合,製造ラインシステムは生産管理部署に製造が完了した旨の報告をすることは通常行われていることであることに鑑みれば,設備群管理計算機11~11や製品管理計算機12から部署別管理計算機25~29への製 n造完了に関するデータを送信し,データが交換される構成とすることは当業者が容易になし得たものであるから,審決の結論に影響を与えるものではない。 イ「本願発明と引用発明1との対応関係の誤り」につき原告は,本願発明のターミナルは「単にグラフィック出力を引き受け,またマウスおよびキーボードを介して操作入力または画像切換を可能にする。」ものである,本願発明のマスターコンピュータは「複数の自動化システムの同時操作にも必要となる計算能力を供給するものである」,本願- 16 -発明では「設備データの変更,すなわちプロジェクトの変更は,操作・監視層からマスターコンピュータ9に伝達され,マスターコンピュータ9が変更を受け入れ,新しいプロジェクト形態をすべてのターミナル1に伝送する。」と主張する。 しかし,本願の請求項1では,ターミナル(1)に関し「プロセスを操作しかつ監視する」とだけ特定されているだけであって,単にグラフィック出力を引き受け,またマウスおよびキーボードを介して操作入力または画像切換を可能にするものであることは特定されていない。また,マスターコンピュータ(9)に関し「操作・監視層および自動化層の外側に配置され」とその配置を特定しているだけであって,マスターコンピュータが複数の自動化システムの同時操作にも必要となる計算能力を供給するものであり,また設備データの変更,すなわちプロジェクトの変更を受け入れ,新しいプロジェクトの形態を けであって,マスターコンピュータが複数の自動化システムの同時操作にも必要となる計算能力を供給するものであり,また設備データの変更,すなわちプロジェクトの変更を受け入れ,新しいプロジェクトの形態をターミナルに伝送するものであることは特定されていない。したがって,これらの原告主張は請求項1の記載に基づかないものであり,理由がない。 一方,引用例1に「管理部署システム2は,設計管理部署20,生産管理部署21,工程フロー管理部署22,要素プロセス管理部署23,設備管理部署24のそれぞれの部署内において,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群10~10に対する製造条件の n指示,要素プロセス設備群10~10の作業者に対する製造条件の指示 nを管理する複数の部署別管理計算機25~29から構成され」(段落【0034】)と記載されているように,引用発明1において,部署別管理計算機25~29が半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理や要素プロセス設備群10~10に対する製造条件の指示,要素プロセス設備群 n10~10の作業者に対する製造条件の指示を管理しているのであるか nら,これらの機能が「プロセスを操作しかつ監視する」といえるものであ- 17 -り,「部署別管理計算機25~29」が本願発明の「ターミナル」に相当するものである。 したがって,「引用発明1の『管理部署システム2』,『部署別管理計算機25~29』,『半導体製造ラインシステム1』,『設備群管理計算機11~11』,『電子ファイル管理計算機3』はそれぞれ本願発明の n『操作・監視層』,『ターミナル』,『下位の自動化層』,『自動化装置』,『マスターコンピュータ』に相当する。」とした審決の対比に誤りはない。 (3)取消事由3に対しア原告は, 願発明の n『操作・監視層』,『ターミナル』,『下位の自動化層』,『自動化装置』,『マスターコンピュータ』に相当する。」とした審決の対比に誤りはない。 (3)取消事由3に対しア原告は,引用発明2はコンピュータソフトレンタル方法に関し高額コンピュータソフトをユーザーに低価格で提供可能とすることを目的とするものであって,本願発明のようにハードウエアのコストダウンを目的とするものではないと主張する。 確かに,引用発明2の主たる目的は高額コンピュータソフトをユーザーに低価格で提供可能とすることであるが,引用例2に「プログラムファイルのうち,業務処理を担う本体プログラムファイルの全てをホストマシンの記録媒体に格納しておき,ユーザーマシンは通信回線を通じてホストマシンの記録媒体内の本体プログラムファイルにアクセスしながら,業務をユーザーマシンのCPUによって処理した場合は,ユーザーマシンのハードディスクでは格納できないような大規模なサブプログラムでも実行することが可能となり,より高度な業務プログラムの提供が可能となる。」(段落【0050】)と記載されているように,高額コンピュータソフトを低価格でユーザーに提供するだけでなく,ハードディスクというユーザーのハードウエアのコストダウンにも資するものであることが開示されていることは当業者にとって明らかである。したがって,引用発明2はハードウエアのコストダウンを目的とするものではないという原告の主張は理- 18 -由がない。 イ原告は,本願発明の構成は,引用発明1と引用発明2に記載された発明を組み合わせても得ることができないばかりか,そのような組み合わせの動機付けをもたらす事情もない,と主張する。 しかし,引用発明1は,電子ファイル管理計算機3と部署別管理計算機25~29,設備群管理計算 み合わせても得ることができないばかりか,そのような組み合わせの動機付けをもたらす事情もない,と主張する。 しかし,引用発明1は,電子ファイル管理計算機3と部署別管理計算機25~29,設備群管理計算機11~11,製品管理計算機12を通信 n回線で結んだコンピュータネットワークシステムであり,引用発明2は,ユーザーマシンU,U・・・とホストマシンHとを通信回線で結んだコンピュータネットワークシステムであることから,両者は同じ技術分野に属するものであるということができる。また,引用発明2は,通信回線で結ばれた複数のコンピュータのうち,ホストマシンをユーザーマシンU,U・・・を有する企業の外部である利用管理センターに設置するものであることから,審決で認定したように,「コンピュータシステムを構成する複数のコンピュータのうちの一つを外側に配置するコンピュータシステム」といい得るものである。そして,上記「コンピュータシステムを構成する複数のコンピュータのうちの一つを外側に配置する」という構成を,引用発明1に適用できないとする阻害要因も見当たらないことからすれば,当該構成を引用発明1に適用し,そのコンピュータシステムを構成するコンピュータの1つである電子ファイル管理計算機3を外側に配置することは,当業者が容易になし得たことと考えられる。 また,引用例2に設備事業者に対する装置技術的費用を低減することが記載されていることは,前記のとおりである。 ウ以上より,相違点についての認定判断につき審決に誤りはない。 第4当裁判所の判断 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(発明の内容),(3)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 - 19 - 容易想到性の有無審決は,本願発明は引用例1に記載された発明(引用発明1) おける手続の経緯),(2)(発明の内容),(3)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 - 19 - 容易想到性の有無審決は,本願発明は引用例1に記載された発明(引用発明1)に引用例2に記載された発明(引用発明2)を採用することによって当業者が容易に発明をすることができたとし,一方,原告はこれを争うので,以下これにつき検討する。 (1)本願発明の意義ア本件補正後の明細書(国内公表公報〔甲9〕,平成18年8月11日付け手続補正書〔甲11〕,平成19年1月25日付け手続補正書〔甲13〕,平成20年2月5日付け手続補正書〔甲4〕)には,以下の記載がある。 ・「プロセス自動化システムでは,操作・監視装置が,制御・調節技術のプロセスの操作および監視ならびに生ずるプロセス値のアーカイブ化およびプロトコル化または基礎とされる自動化装置のプロセス報知を引き受ける。1つのプロセスを同時に複数の操作員により監視および場合によっては操作させるために,現在はいわゆるクライアント‐サーバー‐コンセプトが用いられており,その際にホスト‐ステーションまたはマスターコンピュータとも呼ばれるサーバーがすべての計算能力を引き受け,ターミナルとも呼ばれるクライアントは単にグラフィック出力を引き受け,またマウスおよびキーボードを介して操作入力または画像切換を可能にする。自動化システムには,自動化装置への接続を形成するプロセスバスと,ターミナルへの物理的接続を形成するターミナルバスとが存在する。ホスト‐ステーションおよびターミナルはたいてい制御室内または隣接する室内に位置している。」(甲11,1頁3行~14行)・「ますます複雑化するプロセスまたは自動化システムは計算能力およびメモリ容量に関して非常に高い要求をホスト‐ステーションに課する。 - は隣接する室内に位置している。」(甲11,1頁3行~14行)・「ますます複雑化するプロセスまたは自動化システムは計算能力およびメモリ容量に関して非常に高い要求をホスト‐ステーションに課する。 - 20 -安全上の要求から,しばしば別の冗長な設備の構成を必要とする。このことおよび装置の維持および保守は設備事業者に対する高い財務的費用を意味する。」(甲11,1頁15行~18行)・「本発明の課題は,プロセス自動化システムにおいて,設備事業者に対する装置技術的費用を低減することである。本発明によれば,この課題は請求項1にあげられているプロセス自動化システムにより解決される。」(甲11,1頁19行~21行)・「本発明による自動化システムの主な利点は,必要な計算能力が自動化設備の外側の,特に中央計算センターのなかの,マスターコンピュータから調達され得るので,設備事業者自体が固有のマスターコンピュータ(ホスト‐ステーション)を必要とせず,したがってそのための購入費用,維持および保守を省略し得ることにある。・・・」(甲11,1頁23行~27行)・「図1中に示されているプロセス自動化システムでは,操作・監視層のなかでターミナル1がターミナルバス2を介して互いにおよび送信・受信装置3と接続されている。自動化層のなかで,自動化装置4,たとえばプログラム記憶式制御装置が,同じくプロセスバス5を介して別の送信・受信装置6と接続されている。構成要素1ないし6はここには概要のみを示されている設備7の構成部分であり,この設備7において,プロセス自動化システムにより制御される技術的プロセスが進行する。設備7の外側に,たとえば計算センター8のなかに,スーパーコンピュータとして構成されたマスターコンピュータ9が配置されており,このマスターコンピュータは第3の送 制御される技術的プロセスが進行する。設備7の外側に,たとえば計算センター8のなかに,スーパーコンピュータとして構成されたマスターコンピュータ9が配置されており,このマスターコンピュータは第3の送信・受信装置10およびデータ遠隔伝送のためのデータ伝送媒体11,たとえば無線接続,衛星接続または遠隔通信回路網を介して,設備7の送信・受信装置3および6と通信する。 送信・受信装置10およびデータ伝送媒体11を介して,マスターコン- 21 -ピュータ9は別の設備12,13のなかの別の,ここには示されていない送信・受信装置と通信する。示されている実施例と異なって,個々のターミナル1またはターミナル群にそれぞれ固有の送信・受信装置が対応付けられてもよい。相応のことが自動化装置4に対しても当てはまる。 ・・・」(甲11,2頁11行~26行。甲13及び甲4により補正。)・「従来の自動化システムとの相違として,下位の自動化装置4のプロセスバス5は操作・監視層のターミナル1に接続されていない。その代わりにデータは自動化層からデータ伝送媒体11を介してマスターコンピュータ9に伝達される。」(甲11,3頁1行~3行)・図面(甲9)【図1】本発明によるプロセス自動化システムのブロック回路図イ上記記載によれば,本願発明は,マスターコンピュータ(ホストステーション),操作・監視層のターミナル及び自動化層の自動化装置とから構成されたクライアントサーバーコンセプトに基づくプロセス自動化システムに関するものであり,設備事業者にとって必要なマスターコンピュータの設備購入及び維持・保守にか- 22 -かる費用を低減するために,マスターコンピュータと操作・監視層及び自動化層との間のデータ交換を,データ伝送媒体を介した通信により行い,システムに必要な計算能力を自動 及び維持・保守にか- 22 -かる費用を低減するために,マスターコンピュータと操作・監視層及び自動化層との間のデータ交換を,データ伝送媒体を介した通信により行い,システムに必要な計算能力を自動化設備の外部に配置されたマスターコンピュータから調達できる構成としたものと認めることができる。 (2)引用発明1の意義ア引用例1(甲1)には,以下の記載がある。 ・【産業上の利用分野】「本発明は,半導体製造技術に関し,特に半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,設備または作業者に対する製造条件の指示などの工程管理において,半導体製造に関連する複数の管理部署で作成された電子ファイルの複合による工程管理用電子ファイルの良好な活用が可能とされる半導体製造装置およびその工程管理方法に適用して有効な技術に関する。」(段落【0001】)・【従来の技術】「近年,計算機を用いた情報処理システムの普及に伴い,半導体製造技術においても,関連情報管理の合理化のために半導体製造関連の管理部署での情報の電子ファイル化とその活用が進められ,それぞれの管理部署の自部署内において,書類作成および管理などに電子ファイルが有効に利用されている。」(段落【0002】)・「一方,それらの管理部署とは独立して,半導体製造ラインの工程管理にも計算機を用いた管理システムの導入が進められている。たとえば,特開平5-28163号公報に記載されるように,半導体製造ラインの各設備を管理する複数の計算機が通信回線を介して主計算機に接続され,この主計算機により半導体製造ラインの工程が管理されるようになっている。」(段落【0003】)・【発明が解決しようとする課題】- 23 -「ところが,前記のような技術においては,近年の半導体製造プロセスの複雑化による半導体製造ラインの工程管理用 ようになっている。」(段落【0003】)・【発明が解決しようとする課題】- 23 -「ところが,前記のような技術においては,近年の半導体製造プロセスの複雑化による半導体製造ラインの工程管理用システムの高機能化,管理部署の細分化に伴い,半導体製造ラインの工程管理用システムの電子ファイルの構成は複雑になり,その作成と管理は膨大な労力を要するようになってきている。」(段落【0006】)・「そこで,本発明の目的は,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,設備または作業者に対する製造条件の指示などの工程管理において,それぞれの管理部署の異なる複数の電子ファイルからの工程管理用電子ファイルの加工作成を,情報の信頼性および機密性を確保した上で管理することができる半導体製造装置およびその工程管理方法を提供することにある。」(段落【0009】)・【課題を解決するための手段】「すなわち,本発明の半導体製造装置は,半導体製造ラインのそれぞれの要素プロセス設備群を管理する複数の設備群管理計算機と,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群に対する製造条件の指示,要素プロセス設備群の作業者に対する製造条件の指示を管理する複数の部署別管理計算機とを備え,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間に工程管理用計算機を設けるものである。」(段落【0012】)・「この工程管理用計算機は,複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイルの製造管理情報を組み合わせて工程管理用電子ファイルを作成し,この工程管理用電子ファイルの作成過程を管理する機能,複数の設備群管理計算機の持つ電子ファイルおよび複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイルの情報転送を管理する機能,それぞれの管理部署または設備群での書類審査・承認および有効期限を管理する機 る機能,複数の設備群管理計算機の持つ電子ファイルおよび複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイルの情報転送を管理する機能,それぞれの管理部署または設備群での書類審査・承認および有効期限を管理する機能,それぞれの電子ファイルの製造管理情報と設備管理情報とを工程管理用電子ファイルにバ- 24 -ックアップとして保存する機能を備えるようにしたものである。」(段落【0013】)・「また,本発明の半導体製造装置の工程管理方法は,半導体製造ラインのそれぞれの要素プロセス設備群を複数の設備群管理計算機により管理し,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群に対する製造条件の指示,要素プロセス設備群の作業者に対する製造条件の指示を複数の部署別管理計算機により管理し,かつ複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の工程管理情報の転送を工程管理用計算機により管理するものである。」(段落【0014】)・【実施例】「本実施例の半導体製造装置は,たとえば半導体製造ラインの工程管理に用いられる半導体製造装置とされ,複数の要素プロセス設備群を管理する半導体製造ラインシステム1と,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群に対する製造条件の指示,要素プロセス設備群の作業者に対する製造条件の指示を管理する管理部署システム2と,この半導体製造ラインシステム1と管理部署システム2とを接続して総合的な工程管理を行う電子ファイル管理計算機(工程管理用計算機)3とから構成されている。」(段落【0029】)・「半導体製造ラインシステム1は,図2に詳細に示すように,半導体製造ラインのそれぞれの要素プロセス設備群10~10を管理する複数 nの設備群管理計算機11~11と,この半導体製造ラインで製造され nる製品を管 ステム1は,図2に詳細に示すように,半導体製造ラインのそれぞれの要素プロセス設備群10~10を管理する複数 nの設備群管理計算機11~11と,この半導体製造ラインで製造され nる製品を管理する製品管理計算機12とから構成され,これらの複数の設備群管理計算機11~11と製品管理計算機12とは通信回線によ nり情報転送可能に接続されている。」(段落【0030】)・「管理部署システム2は,設計管理部署20,生産管理部署21,工程フロー管理部署22,要素プロセス管理部署23,設備管理部署24の- 25 -それぞれの部署内において,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群10~10に対する製造条件の指示,要素 nプロセス設備群10~10の作業者に対する製造条件の指示を管理す nる複数の部署別管理計算機25~29から構成され,これらの複数の部署別管理計算機25~29は通信回線により情報転送可能に接続されている。」(段落【0034】)・「電子ファイル管理計算機3は,複数の部署別管理計算機25~29の持つ電子ファイル25a,25b,26a,27a,27b,28a,28b,29aの製造管理情報を組み合わせて工程管理用電子ファイル3aを作成し,この工程管理用電子ファイル3aの作成過程を管理する機能を持ち,たとえばそれぞれの管理部署20~24に散在している電子ファイル25a,25b,26a,27a,27b,28a,28b,29aの情報を組み合わせて加工生成する場合に,半導体製造ラインのそれぞれの設備群管理計算機11~11の持つ電子ファイル11a~ n 11a,11b~11bの情報に対応する情報に変換して工程管理用n n電子ファイル3aが作成されている。」(段落【0038】)・「さらに,電子ファ ~11の持つ電子ファイル11a~ n 11a,11b~11bの情報に対応する情報に変換して工程管理用n n電子ファイル3aが作成されている。」(段落【0038】)・「さらに,電子ファイル管理計算機3には,複数の設備群管理計算機11~11の持つ電子ファイル11a~11a,11b~11bおよ n n nび複数の部署別管理計算機25~29の持つ電子ファイル25a,25b,26a,27a,27b,28a,28b,29aの情報転送を電子ファイルの識別情報に基づいて転送プログラムなどにより自動で管理する機能,それぞれの管理部署20~24または要素プロセス設備群10~10での書類審査,承認および有効期限を審査・承認情報などを n付加して管理する機能,それぞれの電子ファイル11a~11a,1 n1b~11b,25a,25b,26a,27a,27b,28a, n28b,29aの製造管理情報と設備管理情報とを工程管理用電子ファ- 26 -イル3aにバックアップとして保存する機能が備えられている。」(段落【0039】)・【発明の効果】「(1).複数の設備群管理計算機と,複数の部署別管理計算機との間に工程管理用計算機を設けることにより,半導体製造ラインのそれぞれの要素プロセス設備群を管理するための工程管理用電子ファイルを,各製造関連の管理部署で独自の形式で作成した電子ファイルの組み合わせによって作成することができるので,管理部署と半導体製造ライン間における工程管理情報の作成が容易に可能となる。」(段落【0076】)・「(2).工程管理用計算機に,複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイルの製造管理情報を組み合わせて工程管理用電子ファイルを作成し,かつこの工程管理用電子ファイルの作成過程を管理する機能を備えることに 2).工程管理用計算機に,複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイルの製造管理情報を組み合わせて工程管理用電子ファイルを作成し,かつこの工程管理用電子ファイルの作成過程を管理する機能を備えることにより,複数の関連部署を渡って電子ファイルが作成される場合に,転送プログラムによって電子ファイルの転送を指定して情報の流れを自動で管理することが可能となる。」(段落【0077】)・「(3).工程管理用計算機に,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の送受信先を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能を備えることにより,電子ファイルに識別情報を付けて管理することができるので,電子ファイルの流れを効率良く管理できるとともに,製造情報の機密性を確保することが可能となる。」(段落【0078】)・「(4).工程管理用計算機に,複数の部署別管理計算機または複数の設備群管理計算機を持つそれぞれの管理部署または設備群での書類審査・承認および有効期限を管理する機能を備えることにより,電子ファイルに審査,承認が終了する毎に審査・承認情報を付加してこの情報を加工時に確認することができるので,分散システム上の複数の計算機に渡るデ- 27 -ータの信頼性を確保することが可能となる。」(段落【0079】)・「(7).工程管理用計算機に,複数の部署別管理計算機の製造管理情報と,複数の設備群管理計算機の設備管理情報とを工程管理用電子ファイルにバックアップとして保存する機能を備えることにより,複数の設備群管理計算機側でバックアップを行う必要がなくなるので,半導体製造ラインおよび管理部署のハード構成およびプログラムの簡素化を図ることが可能となる。」(段落【0082】)・図面【図1】本発明の実施例1である半導体製造装置の要部を示す概略構成図 で,半導体製造ラインおよび管理部署のハード構成およびプログラムの簡素化を図ることが可能となる。」(段落【0082】)・図面【図1】本発明の実施例1である半導体製造装置の要部を示す概略構成図イ上記記載によれば,引用例1に記載された発明(引用発明1)の半導体製造装置は,半導体製造ラインの進捗管理及び工程管理において,工程管理用電子ファイルの作成及び管理を容易にすることを基本的な課題とし,そのために次の構成を備えたものであることが認められる。 (ア)半導体製造装置は,複数の要素プロセス設備群を管理する半導体製造- 28 -ラインシステム,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群に対する製造条件の指示及び要素プロセス設備群の作業者に対する製造条件の指示を管理する管理部署システム,及びこの半導体製造ラインシステムと管理部署システムとを接続して総合的な工程管理を行う電子ファイル管理計算機(工程管理用計算機)とから構成される。 (イ)半導体製造ラインシステムの複数の設備群管理計算機及び製品管理計算機は,通信回線に情報転送可能な状態で接続されている。また,管理部署システムの複数の部署別管理計算機も,通信回線に情報転送可能な状態で接続されている。 (ウ)電子ファイル管理計算機(工程管理用計算機)は,複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイルの製造管理情報を組み合わせて工程管理用電子ファイルを作成し,この工程管理用電子ファイルの作成過程を管理する機能,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の送受信先を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能,それぞれの管理部署又は要素プロセス設備群での書類審査,承認及び有効期限を管理する機能,それぞれの電子ファイルの製造管理情報と設備管理情報とを工程管理 れぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能,それぞれの管理部署又は要素プロセス設備群での書類審査,承認及び有効期限を管理する機能,それぞれの電子ファイルの製造管理情報と設備管理情報とを工程管理用電子ファイルにバックアップとして保存する機能を備えている。 そして,引用発明1は,上記構成を備えることにより,管理部署と半導体製造ライン間における工程管理情報の作成が容易になる,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の電子ファイルの流れを効率良く管理できる,半導体製造ライン及び管理部署のハード構成並びにプログラムの簡素化を図ることができる等の効果が得られるものである。 (3)取消事由1(引用発明1認定の誤り)及び取消事由2(本願発明と引用発- 29 -明1の一致点認定の誤り)についてア送信・受信装置につき原告は,審決が引用発明1につき「管理部署システム2,半導体製造ラインシステム1,電子ファイル管理計算機3は,それぞれ,送信・受信装置を有していることは明らかである。」と認定したことは誤りであると主張する。 そこで検討するに,引用例1には,前記のとおりの技術的事項が記載されているところ,半導体製造ラインシステムの複数の設備群管理計算機及び製品管理計算機は通信回線により情報転送可能に接続されており,管理部署システムの複数の部署別管理計算機も通信回線により情報転送可能に接続されている。また,電子ファイル管理計算機は,半導体製造ラインシステムと管理部署システムとを接続し,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の送受信先を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能を備えることから,電子ファイル管理計算機と半導体製造ラインシステムとの間,及び電子ファイル管理計算機と管理部署システムとの間にも,情報の転 を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能を備えることから,電子ファイル管理計算機と半導体製造ラインシステムとの間,及び電子ファイル管理計算機と管理部署システムとの間にも,情報の転送を行う通信回線が存在するということができる。そして,計算機を通信回線により情報転送可能に接続する場合,送受信機能を有する装置を介在させることは,コンピュータネットワークの技術分野における技術常識といえる事項であり,電子ファイル管理計算機,管理部署システムの部署別管理計算機,半導体製造ラインシステムの設備群管理計算機及び製品管理計算機は,いずれも通信回線により情報転送可能に接続されているのであるから,それぞれ送受信機能を有する装置,すなわち「送信・受信装置」を介して情報転送可能に接続されていると認めることができる。 したがって,審決が,引用発明1の認定において,「管理部署システム2のなかに存在する送信・受信装置」,「半導体製造ラインシステム1の- 30 -なかに存在する,通信回線を介して送信・受信装置に接続された,設備群管理計算機11~11」,及び「送信・受信装置に接続されている電子 nファイル管理計算機3」を認定したことに誤りがあるということはできない。 一方,本願発明において,操作・監視層のターミナル,自動化層の自動化装置及びマスターコンピュータは,それぞれ送信・受信装置に接続され,マスターコンピュータとターミナルとの間,及びマスターコンピュータと自動化装置との間で,データ伝送媒体を介して通信し,データを交換することができるものである。ここで,自動化層の自動化装置は,プロセスバスを介して送信・受信装置と接続されているが,本願明細書(甲11)の記載を参酌すれば,「示されている実施例と異なって,個々のターミナル1またはターミナル群に こで,自動化層の自動化装置は,プロセスバスを介して送信・受信装置と接続されているが,本願明細書(甲11)の記載を参酌すれば,「示されている実施例と異なって,個々のターミナル1またはターミナル群にそれぞれ固有の送信・受信装置が対応付けられてもよい。相応のことが自動化装置4に対しても当てはまる。」(2頁23行~26行)と記載されていることから,送信・受信装置をターミナル又は自動化装置固有のものと個々に接続するか,バスを介して接続するかは本質的な差異ではなく,任意に選択できる構成というべきである。そうすると,後記のとおり,引用発明1の「管理部署システム」,「部署別管理計算機」,「半導体製造ラインシステム」,「設備群管理計算機」,「電子ファイル管理計算機」は,それぞれ本願発明の「操作・監視層」,「ターミナル」,「自動化層」,「自動化装置」,「マスターコンピュータ」に相当するといえるから,審決が,本願発明と引用発明1との一致点として,「操作・監視層のなかに存在する第1の送信・受信装置」,「自動化層のなかに存在する,プロセスバスを介して第2の送信・受信装置に接続された自動化装置」及び「第3の送信・受信装置に接続されているマスターコンピュータ」を認定したことに誤りがあるということはできない。 なお,原告は,引用例1には,少なくとも半導体製造ラインシステムと- 31 -管理部署システムの中に「送信・受信装置」が存在することは,記載も示唆もされていないと主張する。 しかし,コンピュータ間でデータを転送するためには,各コンピュータが送受信機能を備える必要があることは,当該技術分野における技術常識であって,引用例1に各計算機においてデータを送信すること又は受信することの一方が明示されていないとしても,各計算機が送信機能及び受信機能を有する装置,すなわ ることは,当該技術分野における技術常識であって,引用例1に各計算機においてデータを送信すること又は受信することの一方が明示されていないとしても,各計算機が送信機能及び受信機能を有する装置,すなわち「送信・受信装置」を有することは,記載されているに等しい事項と認めることができる。 また,原告は,本願発明の「送信・受信装置」は,ターミナルや自動化装置とは別個独立の装置であり,操作・監視層および自動化層のなかにそれぞれ存在するバスシステムを介して,ターミナルや自動化装置と接続されているものであると主張する。 しかし,上記のとおり,本願発明において,送信・受信装置をターミナル又は自動化装置と個々に接続するか,バスを介して接続するかは本質的なことではなく,また,一般にコンピュータシステムにおいて,装置間をバスを介して接続することが周知の技術であることからすれば,引用例1における管理部署システムの部署別管理計算機,半導体製造ラインシステムの設備群管理計算機及び製品管理計算機に接続された送信・受信装置は,バスを介して接続されたものも含まれるというべきである。 イデータの交換につき(ア)原告は,引用例1には,データが部署別管理計算機から設備群管理計算機へ送信されることは記載されているが,部署別管理計算機と設備群管理計算機との間でデータが「交換され」ることは記載されていないから,引用発明1において,半導体製造ラインシステムから部署別管理システムへのデータ転送は行われず,部署別管理システムと半導体製造ラインシステムとの間でデータの交換は行われないと主張する。 - 32 -(イ)しかし,特開平4-25347号公報(乙3文献)には以下の記載があり,それによれば,生産管理システムにおいて,生産管理用コンピュータから製造管理用コンピュータに生産指示を送 。 - 32 -(イ)しかし,特開平4-25347号公報(乙3文献)には以下の記載があり,それによれば,生産管理システムにおいて,生産管理用コンピュータから製造管理用コンピュータに生産指示を送出し,製造管理用コンピュータから生産管理用コンピュータに対し生産管理に必要な生産実績情報を送出することが記載されていると認められる。 ・「本発明は,例えば複数の処理設備を用いて被処理物の処理を行う場合に利用される生産管理システムに係わり,特に製造管理用コンピュータおよび生産管理用コンピュータがそれぞれ負担をかけずに必要な処理を実行する生産管理システムに関する。」(1頁左下欄下1行~右下欄5行)・「第3図はかかる試みの下に実現された生産管理システムの概略構成図である。このシステムは,工場などの製造現場で生産される製品の生産を管理する生産管理用コンピュータ1と,この生産管理用コンピュータ1から指示を受けて製造現場の管理および処理設備3の制御を行う製造管理用コンピュータ2とが設けられている。 しかして,上記システムにおいて実際の情報交換に当っては,上位の生産管理用コンピュータ1から例えば品種,生産個数等の生産指示4を製造管理用コンピュータ2に送出し,この製造管理用コンピュータ2ではその生産指示4に基づいて例えば部品の供給,組立て・加工指示,倉庫への入出庫指示,搬送指示等の製造指示5を処理設備3に送出する。ここで,処理設備3は例えば組立て・加工機であれば製品6の組立て・加工を行い,倉庫であれば製品6の入出庫を行い,搬送機であれば製品6を次の工程や倉庫に搬送する処理を行い,さらに製造実績情報7を製造管理用コンピュータ2に送出し,この製造管理用コンピュータ2ではそのうち生産管理に必要な生産実績情報8を生産管理用コンピュータ1に送出する。」(1頁右下 送する処理を行い,さらに製造実績情報7を製造管理用コンピュータ2に送出し,この製造管理用コンピュータ2ではそのうち生産管理に必要な生産実績情報8を生産管理用コンピュータ1に送出する。」(1頁右下欄16行~2頁左上- 33 -欄17行)(ウ)特開平2-167654号公報(乙4文献)には以下の記載があり,それによれば,生産管理システムにおいて,製造実施計画システムから生産工程管理システムに生産活動の作業指示情報を伝達し,生産工程管理システムから製造実施計画システムに生産実績情報等を伝達することが記載されていることが認められる。 ・「本発明は生産管理システムにおける製造実施計画の負荷調整方式に関し,特に製造ラインの稼働状況と連動した負荷調整方式に関する。」(1頁左下欄17行~19行)・「第1図は,本発明による生産管理システムの製造実施計画における負荷調整方式の一実施例を示すブロック図である。本発明による生産管理システムの製造実施計画における負荷調整方式は,製造実施計画システム1と,生産工程管理システム2とから成る。 製造実施計画システム1は生産活動情報処理を実行するための汎用コンピュータ3と,生産活動情報を記憶するための磁気ディスク4と,生産管理者が生産計画の立案,生産活動の負荷調整,および生産活動の作業指示を行うための端末5とから構成される。 生産工程管理システム2は製造実施計画システム1の下位システムとして存在し,製造実施計画システム1から出力された生産活動の作業指示情報のデータ処理を実行するための生産設備制御コンピュータ6と,生産活動の作業指示情報を記憶するための磁気ディスク7と,生産活動の作業指示情報を生産活動の作業人員に通知し,且つ,生産活動の実績を収集するための生産実績収集端末8と,生産活動の作業指示情報をもとに加工 動の作業指示情報を記憶するための磁気ディスク7と,生産活動の作業指示情報を生産活動の作業人員に通知し,且つ,生産活動の実績を収集するための生産実績収集端末8と,生産活動の作業指示情報をもとに加工機械10を制御し,且つ,加工機械10の稼動状況を監視するための設備稼動情報収集端末9とから構成されている。」(2頁左上欄20行~左下欄3行)- 34 -・「まず,生産管理者により端末5を用いて生産計画の立案を行い,これをもとにして製造オーダごとの日程計画を作成する。次に,生産活動を行う工程別に,生産活動の作業負荷の山積みを行う。これにより,生産活動のネックとなり得る工程を認識し,生産活動がスムーズに行えるように生産計画を調整し,負荷の山崩しと負荷調整とを行う。 修正された生産計画にもとづき再度,前述の負荷山積みを行い,ネック工程がなくなって生産計画に無理や無駄がなくなるまで,上記工程を繰返す。これにより確定した生産計画は,生産活動の作業指示情報として下位システム,および生産工程管理システムへ伝達される。 生産活動作業指示情報にもとづいて,生産活動の人員が生産活動を行うと,生産実績情報は生産実績収集端末8により収集され,生産設備制御コンピュータ6を経由して汎用コンピュータ3に伝達されて生産計画に反映される。 これと同様に,加工機械10の生産実績,および稼動状況は設備稼動情報収集端末9を用いて収集され,生産設備制御コンピュータ6を経由して汎用コンピュータ3に伝達されて生産計画に反映される。」(2頁左下欄8行~右下欄11行)(エ)上記のとおり,生産管理システムの技術分野において,管理部署システムから製造ラインシステムに生産計画等を指示し,製造ラインシステムから管理部署システムに生産実績情報等を報告することは,当該技術分野における周知の技術と 理システムの技術分野において,管理部署システムから製造ラインシステムに生産計画等を指示し,製造ラインシステムから管理部署システムに生産実績情報等を報告することは,当該技術分野における周知の技術ということができる。 そして,引用発明1の電子ファイル管理計算機は,複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイル及び複数の設備群管理計算機の持つ電子ファイルの転送を管理する機能を備え,管理部署システムは,半導体製造ラインシステムに製造条件等の指示及び半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理を行っている。ここで,管理部署システムが前記機能を達- 35 -成するためには,半導体製造ラインシステムからの製品の製造状況等に関するデータが必要であることは自明であり,前記周知技術にかんがみれば,電子ファイル管理計算機は,部署別管理システムから半導体製造ラインシステムへの電子ファイルの転送だけでなく,半導体製造ラインシステムから部署別管理システムへの電子ファイルの転送も行っており,部署別管理システムと半導体製造ラインシステムとの間で電子ファイル管理計算機を介して電子ファイルの交換,すなわちデータの交換が行われていると認めるのが相当である。 一方,本願発明のプロセス自動化システムは,マスターコンピュータと操作・監視層との間,及びマスターコンピュータと自動化層との間で,データが交換され,この結果,操作・監視層と自動化層との間でマスターコンピュータを介してデータが交換されることが認められる。 そして,本願発明において「交換」の技術的意義については明細書を参照しても定義されておらず,データの「交換」とは用語の通常の意味及び技術常識からデータを相互にやり取りすることと解されるから,引用発明1において相互に情報を転送することは,データの「交換」に他ならない。そうすると ておらず,データの「交換」とは用語の通常の意味及び技術常識からデータを相互にやり取りすることと解されるから,引用発明1において相互に情報を転送することは,データの「交換」に他ならない。そうすると,引用発明1の半導体製造装置は,管理部署システムと半導体製造ラインシステムとの間でデータが「交換」されるということができるから,データが操作・監視層と自動化層との間で交換される点を本願発明と引用発明1との一致点とした審決の認定に誤りはない。 (オ)なお,原告は,引用例1に従来の技術として記載された半導体製造ラインシステムは,図13に示されているように,管理部署システムとは全く独立した構成となっているため,管理部署システムと半導体ラインシステムとの間でデータを交換することはできず,またデータの交換は想定されていないと主張する。 - 36 -しかし,原告が主張の根拠とする半導体製造ラインシステムは,引用発明1に至る技術的課題を説明するための従来の技術であるから,その記載によって,引用発明1において管理部署システムと半導体ラインシステムとの間でデータを交換することができない,あるいはデータの交換が想定されていないという根拠とすることはできない。 また,原告は,引用発明1は「それぞれ管理部署の異なる複数の電子ファイルからの工程管理用電子ファイルの加工作成を,情報の信頼性及び機密性を確保した上で管理することができる半導体製造装置およびその工程管理方法を提供すること」(段落【0009】)を目的としており,半導体製造ラインシステムから管理部署システムへデータの転送が自由に行われるのであれば,情報の信頼性及び機密性の確保という目的を達成することができないと主張する。 しかし,引用発明1の電子ファイル管理計算機は,複数の部署別管理計算機と複数の設備群管理 転送が自由に行われるのであれば,情報の信頼性及び機密性の確保という目的を達成することができないと主張する。 しかし,引用発明1の電子ファイル管理計算機は,複数の部署別管理計算機と複数の設備群管理計算機との間の情報転送を管理する機能及びそれぞれの管理部署又は要素プロセス設備群での書類審査,承認及び有効期限を管理する機能を備え,電子ファイルの転送は電子ファイル管理計算機によって管理されているのであるから,データの転送が管理されることなく自由に行われることを前提とした原告の前記主張は,採用することができない。 さらに,原告は,引用発明1は,「半導体製造ラインシステム1は,図2に詳細に示すように,半導体製造ラインのそれぞれの要素プロセス設備群10~10nを管理する複数の設備群管理計算機11~11n と,この半導体製造ラインで製造される製品を管理する製品管理計算機12とから構成され,これらの複数の設備群管理計算機11~11n と製品管理計算機12とは通信回線により情報転送可能に接続されている。」(段落【0030】)との記載から,要素プロセス設備群におい- 37 -て製造が完了した旨の報告は,複数の設備群管理計算機から製品管理計算機に対してなされるというべきであるとも主張する。 しかし,引用例1の上記記載は,製造が完了した旨の報告の情報転送について記載したものではなく,また,仮に設備群管理計算機から製品管理計算機に対して製造が完了した旨の報告がなされるとしても,半導体製造ラインシステムから部署別管理システムへデータ転送が行われることを妨げる理由とはならない。 ウリンクにつき(ア)本願の請求項1(本願発明)は,「・・・前記第3の送信・受信装置(10)は,データ伝送媒体(11)を介して前記第1および第2の送信・受信装置(3,6)と 理由とはならない。 ウリンクにつき(ア)本願の請求項1(本願発明)は,「・・・前記第3の送信・受信装置(10)は,データ伝送媒体(11)を介して前記第1および第2の送信・受信装置(3,6)と通信して,データが前記操作・監視層と自動化層との間でマスターコンピュータ(9)を介して交換され,その際前記プロセスバスは前記ターミナルとはリンクされていない」と特定されているが,本願明細書には「リンク」の用語の定義の記載がない。そこで,本願明細書の記載を参酌すると,「従来の自動化システムとの相違として,下位の自動化装置4のプロセスバス5は操作・監視層のターミナル1に接続されていない。その代わりにデータは自動化層からデータ伝送媒体11を介してマスターコンピュータ9に伝達される。」(甲11,3頁1行~3行)と記載されていることから,前記特定された事項における「前記プロセスバスは前記ターミナルとはリンクされていない」とは,ターミナルとプロセスバスとがデータ伝送媒体を介した通信によって接続されておらず直接データをやり取りできないこと,換言すれば,ターミナルとプロセスバスとの間のデータの交換はマスターコンピュータを介して行われることを意味すると解される。上記解釈は,審判手続において,原告が提出した審判請求書の手続補正書(甲12)に記載された「請求の理由」に,「本願発明においては,ユーザが制御の- 38 -ために操作するターミナル1と制御されるべき自動化装置4とは,直接接続されておらず,外部に設置されたマスターコンピュータ9を介してのみ接続されている。したがって,公知技術における常識に反して,制御は外部のコンピュータにより行われ,制御データはターミナル1と自動化装置4との間で直接やりとりされるのではなく,マスターコンピュータ9を介してのみやりとり がって,公知技術における常識に反して,制御は外部のコンピュータにより行われ,制御データはターミナル1と自動化装置4との間で直接やりとりされるのではなく,マスターコンピュータ9を介してのみやりとりされる。すなわち,マスターコンピュータ9から見れば,ターミナル1と自動化装置4は並列的な関係にある。」(甲12,2頁23行~29行)と記載されていることからも裏付けられる。 引用発明1の電子ファイル管理計算機は,前記のとおり,複数の部署別管理計算機の持つ電子ファイルの製造管理情報を組み合わせて,半導体製造ラインの設備群管理計算機が持つ電子ファイルの情報に対応する情報に変換して工程管理用電子ファイルを作成する機能,複数の設備群管理計算機が持つ電子ファイルと複数の部署別管理計算機が持つ電子ファイルの情報転送を電子ファイルの識別情報に基づいて転送プログラムにより管理する機能,それぞれの管理部署又は要素プロセス設備群での書類審査,承認及び有効期限を審査・承認情報などを付加して管理する機能,及びそれぞれの電子ファイルの製造管理情報と設備管理情報とを工程管理用電子ファイルにバックアップとして保存する機能を備えている。これらの機能は,いずれも電子ファイル,すなわちデータが,一旦電子ファイル管理計算機に転送されることによって達成できる機能であり,半導体製造ラインシステムと管理部署システムとの間で電子ファイルを転送する場合も,電子ファイルは電子ファイルの識別情報に基づいて電子ファイル管理計算機の転送プログラムによって管理されているから,当然,電子ファイル管理計算機を介して転送されることとなる。 そうすると,半導体製造ラインシステムと管理部署システムとは,電- 39 -子ファイルを直接やり取りしておらず,「リンクされていない」ということができるから,審決が を介して転送されることとなる。 そうすると,半導体製造ラインシステムと管理部署システムとは,電- 39 -子ファイルを直接やり取りしておらず,「リンクされていない」ということができるから,審決が,引用発明1の構成として「半導体製造ラインシステム1の通信回線は,管理部署システム2の通信回線と,直接リンクされていない」と認定したことに誤りはない。 (イ)なお,原告は,引用例1の図1の記載からは,管理部署システムの通信回線と半導体製造ラインシステムの通信回線とが,電子ファイル管理計算機を介して間接的に接続されているように図示されているが,同図は半導体製造装置の概略構成図であって,その構成を詳細に記載した図7,図9,図10,図12には,管理部署システムの部署別管理計算機と半導体製造ラインシステムの設備群計算機又は製品管理計算機とが同じ通信回線に載っていることが示されているから,管理部署システムの通信回線と,半導体製造ラインシステムの通信回線とが,直接リンクされているというべきであると主張する。 しかし,原告が主張の根拠とする図面7・9・10・12は,工程管理用電子ファイルの作成方法を示すための説明図であって,図1と同様に半導体製造装置の具体的な構成を示すものではないから,これらの図面に部署別管理計算機と設備群計算機又は製品管理計算機とが実線によって結ばれた図が示されているからといって,管理部署システム2の通信回線と半導体製造ラインシステム1の通信回線とが,直接リンクされていることの根拠とはできない。 また,仮に管理部署システムの通信回線と半導体製造ラインシステムの通信回線とが物理的に接続されていたとしても,上記のとおり,電子ファイルの転送は,電子ファイル管理計算機の転送プログラムによって管理されているのであるから,半導体製造ラインシステ 造ラインシステムの通信回線とが物理的に接続されていたとしても,上記のとおり,電子ファイルの転送は,電子ファイル管理計算機の転送プログラムによって管理されているのであるから,半導体製造ラインシステムと管理部署システムとが電子ファイルを直接やり取りすることはできず,直接リンクされているということはできない。 - 40 -したがって,原告の上記主張は採用することができない。 エ本願発明と引用発明1との対応関係につき(ア)本願発明は,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるプロセス自動化システムであって,マスターコンピュータ,操作・監視層のターミナル及び自動化層の自動化装置から構成され,マスターコンピュータは操作・監視層及び自動化層との間で通信し,データが操作・監視層と自動化層との間でマスターコンピュータを介して交換されるものであり,一方,引用発明1は,前記のとおり,電子ファイル管理計算機(工程管理用計算機),管理部署システム及び半導体製造ラインシステムから構成された半導体製造装置,すなわち半導体製造に係る「プロセス自動化システム」であって,電子ファイル管理計算機と管理部署システム及び半導体製造ラインシステムとの間が通信回線により情報転送可能に接続され,電子ファイルは管理部署システムと半導体製造ラインシステムとの間で電子ファイル管理計算機を介して相互に情報転送されるものである。 本願発明と引用発明1とを対比すると,「プロセス自動化システム」としての構成及び各構成要素相互のデータのやり取りを総合すれば,引用発明1の「電子ファイル管理計算機」,「管理部署システム」及び「半導体製造ラインシステム」は,それぞれ本願発明の「マスターコンピュータ」,「操作・監視層」及び「自動化層」とに対応し,さらに,「電子ファイル管理計算機 イル管理計算機」,「管理部署システム」及び「半導体製造ラインシステム」は,それぞれ本願発明の「マスターコンピュータ」,「操作・監視層」及び「自動化層」とに対応し,さらに,「電子ファイル管理計算機」は,管理部署システム及び半導体製造ラインシステムとの間で通信し,これにより,管理部署システムと半導体製造ラインシステムとの間でデータが交換されることから,本願発明の「マスターコンピュータ」が備える,マスターコンピュータと操作・監視層及び自動化層との間で通信し,操作・監視層と自動化層との間でデータを交換する機能に相当する機能を備えているといえる。そうすると,- 41 -「電子ファイル管理計算機」は,管理部署システム及び半導体製造ラインシステムとの関係及びその機能から,本願発明の「マスターコンピュータ」に相当するということができる。 (イ)また引用発明1の「管理部署システム」は,「部署別管理計算機」により,半導体製造ラインで製造される製品の進捗管理,要素プロセス設備群に対する製造条件の指示,及び要素プロセス設備群の作業者に対する製造条件の指示を管理するものであるから,「部署別管理計算機」は,本願発明の「操作・監視層」の「ターミナル」が備える,プロセスを操作しかつ監視する機能を備えているといえる。そうすると,引用発明の「管理部署システム」及び「部署別管理計算機」は,それらの機能から,それぞれ本願発明の「操作・監視層」及び「ターミナル」に相当するということができる。 (ウ)また引用発明1の「半導体製造ラインシステム」は,製品を製造する半導体製造ラインを構成する「要素プロセス設備群」及び「要素プロセス設備群」を管理する「設備群管理計算機」並びに「製品管理計算機」を含むものであるから,「要素プロセス設備群」,「設備群管理計算機」及び「製品管理 ンを構成する「要素プロセス設備群」及び「要素プロセス設備群」を管理する「設備群管理計算機」並びに「製品管理計算機」を含むものであるから,「要素プロセス設備群」,「設備群管理計算機」及び「製品管理計算機」は,本願発明の「自動化層」の「自動化装置」が有する機能を備えているといえる。そうすると,引用発明1の「半導体製造ラインシステム」は,本願発明の「自動化層」に相当し,また,少なくとも「設備群管理計算機」は本願発明の「自動化装置」に相当するということができる。 (エ)以上のとおりであるから,引用発明1の「電子ファイル管理計算機」,「管理部署システム」,「部署別管理計算機」,「半導体製造ラインシステム」及び「設備群管理計算機」は,それぞれ本願発明の「マスターコンピュータ」,「操作・監視層」,「ターミナル」,「自動化層」及び「自動化装置」に相当するいうことができ,審決の認定に誤りがある- 42 -ということはできない。 (オ)なお,原告は,本願発明の「ターミナル」は「プロセスを操作しかつ監視する」のみであるのに対し,引用発明1の部署別管理計算機はデータを入力し管理するものであるから,引用発明の「部署別管理計算機」が本願発明の「ターミナル」に相当するとした審決の認定は誤りであると主張する。 しかし,引用発明1の「部署別管理計算機」が備えるデータを入力し管理する機能は,本願発明の「ターミナル」が備える「プロセスを操作しかつ監視する」機能を当然に含むものであるから,引用発明1の「部署別管理計算機」が「プロセスを操作しかつ監視する」機能のみではないとしても,上記認定の妨げにならないというべきである。 (カ)また,原告は,本願発明の「マスターコンピュータ」は,複数の自動化システムの同時操作に必要となる計算能力を供給するものであるのに対し,引用 しても,上記認定の妨げにならないというべきである。 (カ)また,原告は,本願発明の「マスターコンピュータ」は,複数の自動化システムの同時操作に必要となる計算能力を供給するものであるのに対し,引用発明1の「電子ファイル管理計算機」はこのような計算能力を有しておらず,引用発明の「電子ファイル管理計算機」が本願発明の「マスターコンピュータ」に相当するとした審決の認定は誤りであると主張する。 しかし,本願発明には「マスターコンピュータ」の計算能力(処理能力)について特定されておらず,当業者において高い計算能力を有するコンピュータを選択することも十分に可能であるし,また,本願明細書には「本発明による自動化システムの主な利点は,・・・特にマスターコンピュータによる複数の自動化システムの同時操作の可能性は,このマスターコンピュータを特に高い計算能力およびメモリ容量の点で優れているスーパーコンピュータとして構想し,それによって各個の自動化システムの有用性を高めることを許す。」(甲11,1頁23行~2頁3行)と記載されているのみで,複数の自動化システムの同時操作に必- 43 -要となる計算能力を供給できることは,本願発明の構成を採用した上で,さらにマスターコンピュータとしてスーパーコンピュータ等の計算能力の高いコンピュータを採用した場合の作用効果にすぎず,本願発明にいう「マスターコンピュータ」を選択したことによって初めて生じる機能とはいえないから,原告の上記主張は採用することができない。 (キ)さらに,原告は,引用発明1の「設備群管理計算機」,「複数の設備群管理計算機及び製品管理計算機」,「要素プロセス設備群」,「複数の要素プロセス設備群」は,それぞれ本願発明の「ターミナル」,「操作・監視層」,「自動化装置」,「自動化層」に相当するというべきで 備群管理計算機及び製品管理計算機」,「要素プロセス設備群」,「複数の要素プロセス設備群」は,それぞれ本願発明の「ターミナル」,「操作・監視層」,「自動化装置」,「自動化層」に相当するというべきであり,本願発明には「部署別管理計算機」及び「電子ファイル管理計算機」に相当するものは存在しないと主張する。 しかし,引用発明の半導体製造装置は,「プロセス自動化システム」であって,装置全体として前記技術的意義を有するのであるから,原告の主張は前提において誤りがあり,採用することはできない。 (4)取消事由3(容易想到性判断の誤り)についてア引用発明2の意義(ア)引用例2(甲2)には以下の記載がある。 ・【産業上の利用分野】「本発明は統合経営情報システム等に代表されるコンピュータソフトの通信回線を用いたレンタル方法に関する。」(段落【0001】)・【従来の技術】「例えば,財務分析,利益計画,予算編成,財務予想,業績評価等を行うことができる,いわゆる統合経営情報システムは,経営計画を立案するうえで強力な武器となることは経営者に広く認識されている。 しかしながら,このような統合経営情報システムは膨大なプログラム- 44 -量と高度な解析内容を有していることから極めて高価であり,例えば買取方式であると,通常200万円~500万円程度の入手費用を要するのが普通である。」(段落【0002】)・【発明が解決しようとする課題】「200万円~500万円の金額は大企業にとっては負担不可能な金額ではないものの,中小企業にとっては極めて大きな負担であり,このことが経営計画立案上,極めて有益な本システムの導入を阻害する大きな要因となっている。また,統合経営情報システムの稼働は通常,一ヵ月に1回~2回程度であり,常時稼働しないシステムに対して多額の費用 ことが経営計画立案上,極めて有益な本システムの導入を阻害する大きな要因となっている。また,統合経営情報システムの稼働は通常,一ヵ月に1回~2回程度であり,常時稼働しないシステムに対して多額の費用を投入することに対する抵抗感も本システム導入の阻害要因となっている。」(【段落0003】)・「このような問題は統合経営情報システムに限らず,利用頻度の少ない高額コンピュータソフト,即ち日常的に利用しない高額コンピュータソフト一般に共通する問題である。本発明はかかる現況に鑑みてなされたものであり,統合経営情報システム等に代表される高額コンピュータソフトを信頼感及び高級感を落とすことなく,ユーザーに低価格で提供でき,しかもシステム開発会社の開発経費の回収も容易にしたコンピュータソフトレンタル方法を提供せんとするものである。」(段落【0006】)・【課題を解決するための手段】「上記課題を解決した本発明は,ユーザーオフィスに設置された通信機能を装備したパソコンよりなるユーザーマシンと,コンピュータソフトの利用管理センターに設置された通信機能を装備したパソコン又は汎用コンピュータよりなるホストマシン,並びに前記ユーザーマシンと前記ホストマシンとを繋ぐ通信回線とから構成された『ハードウェア』と,各種業務を処理するプログラムファイルと,データファ- 45 -イル並びに前記プログラムファイルの実利用時間を計測する手段及び前記プログラムファイルの不正利用を禁止する手段を具備した『ソフトウェア』とから構成されている。・・・」(段落【0009】)・【実施例】「次に本発明の詳細を図例の実施例に基づき説明する。図1は本発明のシステムの概念を示すネットワーク図を示している。本ネットワークは,業務プログラムを利用する企業のオフィスに設置されたユーザーマシンU 次に本発明の詳細を図例の実施例に基づき説明する。図1は本発明のシステムの概念を示すネットワーク図を示している。本ネットワークは,業務プログラムを利用する企業のオフィスに設置されたユーザーマシンU,U……と,業務プログラムの提供者である利用管理センターに設置されたホストマシンHを,通信回線を経由して接続した構成である。通信回線としては公衆回線及びISDNが利用可能であるが,サイズの大きいプログラムファイルやデータファイルの授受を行わない限り,通常は公衆回線の利用で充分対応できる。ユーザーマシンは通信モデム機能を有するパソコンであって,業務プログラムの運用が可能な能力を有するものであれば任意のものが利用可能である。 また,ホストマシンはいわゆる汎用コンピュータ,ミニコンピュータ,ワークステーション,パソコン等が採用可能であり,具体的な処理能力や規模は,ネットワークの規模や利用管理センターが担う業務内容によって適宜選択される。」(段落【0020】)・「図9はパターン(6)の実施形態を示すシステム概念図である。この実施形態でも,プログラムファイル及びデータファイルの全てをホストマシンのハードディスクに格納する方式である。この場合,ユーザーマシンはホストマシンの端末機としての機能を担うことになり,より高度な業務処理が可能となるとともに,プログラムファイル及びデータファイルの全てがホストマシンに蓄積されていることから,利用管理センターが各種の解析サービスや経営上の指導サービスを行うことも可能である。・・・」(【0044】)- 46 -・【発明の効果】「また,プログラムファイルのうち,業務処理を担う本体プログラムファイルの全てをホストマシンの記録媒体に格納しておき,ユーザーマシンは通信回線を通じてホストマシンの記録媒体内の本体プログラム 果】「また,プログラムファイルのうち,業務処理を担う本体プログラムファイルの全てをホストマシンの記録媒体に格納しておき,ユーザーマシンは通信回線を通じてホストマシンの記録媒体内の本体プログラムファイルにアクセスながら,業務をユーザーマシンのCPUによって処理した場合は,ユーザーマシンのハードディスクでは格納できないような大規模なサブプログラムでも実行することが可能となり,より高度な業務プログラムの提供が可能となる。」(段落【0050】)・図面【図1】本発明のシステムの概念を示す説明図【図9】本発明の他の実施例であるパターン(6)のシステムの概念を示す説明図- 47 -(イ)上記記載によれば,引用例2には,ユーザーオフィスに設置された通信機能を備えたユーザーマシンと利用管理センターに設置された通信機能を備えたホストマシンとを公衆回線又はISDNによる通信回線を介して接続し,プログラムファイル及びデータファイルをホストマシンのハードディスクに格納し,ユーザーマシンは通信回線を通じてホストマシンのハードディスク内のプログラムファイルにアクセスしながら,ユーザーマシンによって業務を処理するシステムの発明(引用発明2)が記載されていることが認められる。 ここで,ユーザーマシンはユーザーオフィスに設置され,ホストマシンは利用管理センターに設置されているから,ホストマシンはユーザーオフィスの外部(外側)に配置されているといえる。 また,引用例2には,ユーザーがシステムの導入に要する費用を削減するという目的とともに,「ユーザーマシンはホストマシンの端末機としての機能を担うことになり,より高度な業務処理が可能となる」(段落【0044】),「ユーザーマシンのハードディスクでは格納できないような大規模なサブプログラムでも実行することが可能と ンの端末機としての機能を担うことになり,より高度な業務処理が可能となる」(段落【0044】),「ユーザーマシンのハードディスクでは格納できないような大規模なサブプログラムでも実行することが可能となり,より高度な業務プログラムの提供が可能となる。」(段落【0050】)と記載されていることから,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)であれば,システムに必要な処理能力(計算- 48 -能力)を外部に配置されたホストマシン(コンピュータ)から調達できること,また,この結果,ユーザーにとって,ユーザーマシンやハードディスク等の設備にかかる費用を低減することができることが理解できるから,これらも引用発明2の実質的な目的として示唆されているということができる。 イ容易想到性判断の当否(ア)引用発明1の半導体製造装置は,前記のとおり,電子ファイル管理計算機,管理部署システムの部署別管理計算機及び半導体製造ラインシステムの設備群管理計算機及び製品管理計算機とを通信回線で接続したシステムであり,一方,引用発明2は,上記のとおり,ユーザーマシン(コンピュータ),利用管理センターに配置されたホストマシン(コンピュータ)及びこれらの間を接続する通信回線とから構成されたシステムであるから,引用発明1と引用発明2とはいずれもコンピュータネットワークシステムに関するものということができ,同じ技術分野に属するということができる。また,コンピュータシステムの設備購入や維持・保守にかかる費用を低減することは,当該技術分野における一般的な課題といえるから,引用発明1に引用発明2を組み合わせる動機もあるということができる。さらに,引用発明2のホストマシン及びユーザーマシンは,その機能からそれぞれ引用発明1の電子ファイル管理計算機及び管 といえるから,引用発明1に引用発明2を組み合わせる動機もあるということができる。さらに,引用発明2のホストマシン及びユーザーマシンは,その機能からそれぞれ引用発明1の電子ファイル管理計算機及び管理部署システム又は半導体製造ラインシステムに対応し,引用発明2の公衆回線又はISDNによる通信回線は,引用発明1の電子ファイル管理計算機と管理部署システム又は半導体製造ラインシステムとを接続する通信回線に対応するということができる。そうすると,引用発明1と引用発明2とは,技術分野,課題,機能及び作用が共通するのであるから,これらを組み合わせることができるというべきであり,上記引用発明2を引用発明1に適用して,電子ファイル管理計算機が,管理- 49 -部署システム及び半導体製造ラインシステムと公衆回線又はISDNによる通信回線,すなわちデータ伝送媒体を介して通信して相互に情報を転送する構成とすることにより,電子ファイル管理計算機が管理部署システム及び半導体製造ラインシステムの外部(外側)に配置された構成とすること,すなわち本願発明と引用発明1の相違点に係る構成とすることは,当業者が容易に想到することができたというべきである。 (イ)なお,原告は,相違点に係る審決の判断は,誤って認定された引用発明1を前提とするものであるから誤りであると主張するが,前記のとおり,引用発明1についての審決の認定に誤りがあるということはできないから,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ)また,原告は,本願発明は,マスターコンピュータを操作・監視層および自動化層の外側に配置することによって,ハードディスクなどの記憶装置だけでなく,マスターコンピュータ(計算能力)も不要となるが,引用発明2は,ユーザーマシンの計算能力を不要にすることはできないから,引用発 の外側に配置することによって,ハードディスクなどの記憶装置だけでなく,マスターコンピュータ(計算能力)も不要となるが,引用発明2は,ユーザーマシンの計算能力を不要にすることはできないから,引用発明1と引用発明2を組み合わせても,本願発明とはならないと主張する。 しかし,引用例2には,上記のとおり,ユーザーにとって,ユーザーマシンやハードディスク等の設備にかかる費用を低減することができること,及びシステムに必要な計算能力を外部に配置されたホストマシン(コンピュータ)から調達できることが示唆されているということができるから,引用発明2は,実質的に本願発明と同様の目的を達成するものであるというべきである。 (エ)さらに,原告は,引用発明1と本願発明とはいずれも半導体製造ラインなどのプロセス自動化システムに関するものであり,同じ技術分野に属するものであるということができるが,引用発明2は「統合経営情報システム等に代表されるコンピュータソフトの通信回線を用いたレンタ- 50 -ル方法」に関するものであり,本願発明や引用発明1とは技術分野が異なるから,引用発明1と引用発明2を組み合わせる動機はないと主張する。 しかし,引用発明2は,上記のとおり,引用発明1や本願発明と同じくコンピュータネットワークシステムの技術分野に属するものということができるのであるから,プロセス自動化システムに関する技術分野に属するものではないとしても,引用発明1と組み合わせることを阻害する要因とはならない。そして,上記のとおり,引用発明1と引用発明2とは,技術分野,課題,機能・作用が共通するといえるのであるから,これらを組み合わせることができるというべきであって,原告の上記主張は採用することができない。 結語以上によれば,引用発明1及び2から本願発明は容易想到 能・作用が共通するといえるのであるから,これらを組み合わせることができるというべきであって,原告の上記主張は採用することができない。 結語以上によれば,引用発明1及び2から本願発明は容易想到であるとした審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は全て理由がない。 よって原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官中野哲弘裁判官真辺朋子裁判官田邉実
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