令和元年8月29日判決言渡同日原本受領裁判所書記官平成31年(ワ)第3277号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和元年6月20日判決原告 P1 同訴訟代理人弁護士若宮隆幸同松原未保被告日本知財開発株式会社(以下「被告日本知財開発」という。)被告株式会社ecо リーフ (以下「被告ecoリーフ」という。)被告株式会社ジンム(以下「被告ジンム」という。)被告 P2被告 P3 被告 P4被告 P5被告 P6同訴訟代理人弁護士中村里香同安原邦博 被告 P7被告 P8主文 1 被告らは,原告に対し,9032万円,並びに,被告日本知財開発,被告ecoリーフ,被告ジンム及び被告P5につき上記金員に対する平成29年3月8日 から,被告P4につき上記金員に対する同年9月11日から,被告P2及び被告P 3につき上記金員に対する同月12日から,被告P6につき上記金員に 記金員に対する平成29年3月8日 から,被告P4につき上記金員に対する同年9月11日から,被告P2及び被告P 3につき上記金員に対する同月12日から,被告P6につき上記金員に対する同月27日から,被告P7につき上記金員に対する同年10月30日から,被告P8につき上記金員に対する同年12月4日から,各支払済みまで年5分の割合による金員(それぞれ他の被告らの支払額と重なり合う範囲の金員について連帯する。)を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,被告らの連帯負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 被告らは,原告に対し,連帯して,9032万円及びこれに対する平成29年3月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,原告が,被告らに対し,被告らが一体となって原告に対し地盤工法やナビゲーションシステムに関する特許権の共有持分を購入すれば近日中に大幅に価値 が上がる等と嘘を言って勧誘し,特許権持分の購入代金名下に不法に多額の金員を支払わせたとして,共同不法行為ないし会社法429条1項に基づく損害賠償請求として,9032万円及びこれに対する平成29年3月8日(最後の不法行為の日)から支払済みまでの遅延損害金の連帯支払を請求する事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実又は後掲の各証拠及び弁論の全趣旨に より容易に認められる事実)⑴ 本件各特許権原告は,以下の特許権の共有持分を購入した(以下,下記アの地盤強化工法に関する特許を「本件地盤特許」,下記イのナビゲーション装置に関する特許を「本件ナビ特許」といい,両特許に係る特許権を合わせて「本件 告は,以下の特許権の共有持分を購入した(以下,下記アの地盤強化工法に関する特許を「本件地盤特許」,下記イのナビゲーション装置に関する特許を「本件ナビ特許」といい,両特許に係る特許権を合わせて「本件各特許権」という。)。 ア本件地盤特許(甲1,3) 登録番号特許第3793777号(抹消済)発明の名称地盤強化工法出願日平成7年8月14日出願番号 07-237509登録日平成18年4月21日 本件地盤特許の発明者は被告P5,登録当初の特許権者は被告P5が代表者を務める被告ジンムであったが,平成22年10月19日以降は被告P5と被告日本知財開発の共有特許とされ(持分比率70対30),同月14日付けで被告ジンムに対する専用実施権が設定された。 本件地盤特許は,平成25年5月1日付けで無効審判の予告登録がなされ,平成 28年6月24日に確定した無効審判取消訴訟(同年(行ツ)00176号)の判決により無効が確定し,同年6月29日,登録が抹消された。 イ本件ナビ特許(甲2,26)登録番号特許第4141007号発明の名称ナビゲーション装置 出願日平成10年3月18日出願番号 10-110023登録日平成20年6月20日本件ナビ特許の発明者及び登録当初の特許権者は被告P5であったが,平成23年4月25日付けで被告ジンムに対する専用実施権が設定された後,同年5月25 日以降,被告P5と被告日本知財開発の共有特許とされた(持分比率70対30)。 ⑵ 当事者(甲1,2)原告は,肩書住所地に居住する60歳代の主婦である。 被告日本知財開発は,原告が購入した本件各特許権の持分権者として登録されて 発の共有特許とされた(持分比率70対30)。 ⑵ 当事者(甲1,2)原告は,肩書住所地に居住する60歳代の主婦である。 被告日本知財開発は,原告が購入した本件各特許権の持分権者として登録されている株式会社であり,被告P2は,その代表取締役である。 被告ecoリーフは,弁論分離前の相被告株式会社はなみずき(以下「はなみず き」という。)の担当者が,本件地盤特許の共有持分を原告に販売した際に,譲渡店となった会社,弁論分離前の相被告株式会社リーフ(以下「リーフ」という。)は,本件ナビ特許の共有持分が原告に譲渡された際に,譲渡店としてその販売を担当した会社,被告P4は被告ecoリーフの,被告P6ははなみずきの,被告P3はリーフの,それぞれ代表取締役である。 被告ジンムは,取締役会設置会社であって,本件各特許権について専用実施権者として登録されている。被告P5は被告ジンムの代表取締役であって,本件各特許権の発明者かつ共有持分権者であり,被告P7は被告P5の妻であって,被告P8と共に被告ジンムの取締役である。 ⑶ 原告による本件各特許権の共有持分購入(甲4~19。書証は枝番号を含む。 以下同じ。)原告は,平成25年から平成26年にかけて,本件地盤特許の共有持分を複数回にわたり購入し,平成27年から平成29年にかけて,本件ナビ特許の共有持分を複数回にわたり購入した。 2 争点 ⑴ 被告らの原告に対する共同不法行為及び会社法429条1項の責任の成否⑵ 原告の損害額第3 争点についての当事者の主張 1 争点⑴(被告らの原告に対する共同不法行為及び会社法429条1項の責任の成否)について 【原告の主張】⑴ 被告らによる勧誘行為についてア本件地盤特許の共有持分の購入平成 1 争点⑴(被告らの原告に対する共同不法行為及び会社法429条1項の責任の成否)について 【原告の主張】⑴ 被告らによる勧誘行為についてア本件地盤特許の共有持分の購入平成25年1月ころ,原告は,はなみずきのP9と名乗る人物から,本件地盤特許の共有持分を1口(2万分の1持分。本件地盤特許について以下同じ。)6 0万円(手数料1口3万円)で購入しないかという勧誘を受け,その際,同特許の 共有持分権者である被告P5及び被告日本知財開発が訴外鹿島建設株式会社(以下「訴外鹿島建設」という。)に対して特許権侵害訴訟(以下「本件地盤特許侵害訴訟」という。)を提起しており,2,3年内に勝訴すれば,持分の価値が2倍から3倍になるとの説明を受けた。原告は,この勧誘により,同月から同年4月までの間に,本件地盤特許の共有持分合計40口を購入し(書類上の販売店は被告eco リーフ),P9に対し,購入代金及び手数料合計2520万円を現金で支払った。 本件地盤特許の購入後,原告に対し,被告日本知財開発から,被告P5及び被告日本知財開発の作成した報告書が頻繁に送付され,本件地盤特許侵害訴訟の経過が報告された。 イ本件ナビ特許の共有持分の購入 平成26年12月ころ,原告は,リーフのP10と名乗る人物から,本件ナビ特許の共有持分を1口(10万分の1持分。本件ナビ特許について以下同じ。)20万円(手数料1口1万円)で購入しないかという勧誘を受け,その際,被告P5が有している国際特許は市場も注目している技術で,本件ナビ特許は1億ドル以上で売れる等という説明を受けた。原告は,この勧誘により,平成27年1月,本 件ナビ特許の共有持分20口を代金及び手数料合計420万円で購入し,同年11月までの間に,さらに ビ特許は1億ドル以上で売れる等という説明を受けた。原告は,この勧誘により,平成27年1月,本 件ナビ特許の共有持分20口を代金及び手数料合計420万円で購入し,同年11月までの間に,さらに何度か追加購入を行った結果,P10に対し,本件ナビ特許の共有持分合計135口の購入代金及び手数料として,合計2835万円を現金で支払った。 その後,原告は,P10から,本件地盤特許侵害訴訟がうまくいかないので,本 件地盤特許に支払った2400万円を無駄にしないよう本件ナビ特許の共有持分に振り替えることを勧められ,振替えの際にはさらに本件ナビ特許を購入する必要があると言われ,上記アの本件地盤特許の共有持分40口について,本件ナビ特許の共有持分120口への振替えを受けた上,本件ナビ特許の共有持分40口を追加購入し,その購入代金及び手数料として合計840万円を支払った。 また,原告は,平成29年3月に,P10から,本件ナビ特許に関し,平成30 年2月には購入した半額が必ず戻ってくる等と言われ,さらに100口分を追加購入し,購入代金及び手数料合計2100万円を現金で支払った。 一連の勧誘により,原告が,本件各特許権の共有持分の購入の代金及び手数料として支払った額は,合計8295万円である。 本件ナビ特許の共有持分購入に当たり,原告に渡された特許権共有持分譲渡 受申込要項は,その様式,内容が,本件地盤特許の共有持分購入の際のものと酷似している。また,本件各特許権に係る特許権譲受申込書も,譲渡者は被告P5及び被告日本知財開発であって同一であり,譲渡店のみ,本件地盤特許については被告ecoリーフである一方,本件ナビ特許についてはリーフであるという違いがある。 また,本件ナビ特許に関して原告に送付された報告書(甲22ない であって同一であり,譲渡店のみ,本件地盤特許については被告ecoリーフである一方,本件ナビ特許についてはリーフであるという違いがある。 また,本件ナビ特許に関して原告に送付された報告書(甲22ないし24)は, 被告P5及び被告日本知財開発が作成し,被告日本知財開発が送付したものである。 なお,原告が,リーフに対し,勧誘の際に確実に転売できると言われたことを強く述べたところ,リーフは,原告から本件ナビ特許の共有持分3口分を買い戻すとして,原告に63万円を返還した。 ウ原告は,上記一連の勧誘を受ける中で,P9やP10のみならず,P3や, 被告日本知財開発の従業員と名乗る者からも勧誘を受けた。 ⑵ 詐欺的商法であること特許権は,なんらかの事業に活用されて初めてその価値が生じるものであるところ,本件の特許権販売においては,広く使われている特許である,すでに侵害されているといった抽象的な説明しかなされておらず,特許権の客観的価値を具体的に 評価し得るような基本的な情報の提供はなかった。しかも,本件地盤特許及び本件ナビ特許は,いずれも,原告に対する共有持分販売の前に,被告ジンムに対する専用実施権の設定がなされているところ,原告に対し,この事実やライセンス料等に関する条件についての説明はなかった。 原告の本件各特許権の共有持分の購入価格は,本件ナビ特許において1口20万 円とされていることから,本件ナビ特許の価値の総額は200億円という評価がさ れていることになるが,そのような評価を根拠づける要素,要因,その裏付け資料はない。むしろ,上記のとおり専用実施権が設定されている状況からすれば,特許権者が新たに高額のロイヤリティ等を得られる可能性は客観的に極めて低い。そうすると,上記のような原告の購入価格は 裏付け資料はない。むしろ,上記のとおり専用実施権が設定されている状況からすれば,特許権者が新たに高額のロイヤリティ等を得られる可能性は客観的に極めて低い。そうすると,上記のような原告の購入価格は,本来算定されるべき正当な時価からすればあり得ない程度に高額であった蓋然性が極めて高く,本件の特許権持分販売自体 が明らかな詐欺的商法であるといわざるを得ない。 なお,原告は,本件ナビ特許に関し,ロイヤリティや配当等の金銭を全く受け取っていない。 ⑶ 被告らの責任についてア被告日本知財開発,被告ecoリーフ及び被告P5について 本件の特許権販売は,被告日本知財開発及び被告P5が保有する本件各特許権の持分を,販売会社であるはなみずき,被告ecoリーフ及びリーフが,販売会社として詐欺的言辞を用いて原告に販売したという構造になっているところ,上記販売は,販売会社に対し,特許権者である被告日本知財開発及び被告P5が特許権に関する基本的な情報を提供しなければ成り立たない。また,リーフの代表取締役 である被告P3,被告日本知財開発の実質的経営者であるP11及びP12も,原告に対する勧誘を行っていた。 原告がはなみずきから勧誘され購入した本件地盤特許の共有持分と,リーフから勧誘されて購入した本件ナビ特許の共有持分に関する特許権共有持分譲渡受申込要項及び特許権譲受申込書の内容や書式は,ほぼ同一である。また,リーフのP 10は,平成28年8月ころ,原告に対し,本件地盤特許についての裁判がうまくいかないことを理由に,本件ナビ特許に振り替えるように勧めた。すなわちリーフは,本件地盤特許の内容を把握しており,はなみずきらとの間で原告の情報を共有していた。 また,被告日本知財開発は,原告が本件各特許権を購入した後,被告日本知財開 替えるように勧めた。すなわちリーフは,本件地盤特許の内容を把握しており,はなみずきらとの間で原告の情報を共有していた。 また,被告日本知財開発は,原告が本件各特許権を購入した後,被告日本知財開 発及び被告P5の作成に係る説明書面を原告に対して送付しているところ,これら の書面は,上記一連の詐欺行為において,原告に本件各特許権が価値のあるものであると信じさせる重要な役割を担っていた。 以上より,被告日本知財開発は,本件各特許権の共有持分の販売において,主体的な立場で,はなみずき,被告ecoリーフ及びリーフを指揮していたものであり,これらの会社及び被告P5は一体となって,共同不法行為に基づく損害賠償責任を 負う。 被告日本知財開発及び被告P2は,被告日本知財開発はリーフら販売店に本件各特許権の共有持分権を譲渡しただけであって,原告に対する再譲渡契約には関与していないと主張するが,特許権譲受申込書の記載によれば原告への譲渡者は被告日本知財開発及び被告P5であり,リーフや被告ecoリーフはあくまで販売店 とされている。また,被告日本知財開発は,被告P5によるレポートを直接原告に送付していた。 したがって,被告日本知財開発は,本件各特許権の販売に主体的に関わっていたことが認められる。 イ被告P2,被告P3,被告P4,被告P6について 被告P2,被告P3,被告P4,被告P6は,それぞれ,被告日本知財開発,リーフ,被告ecoリーフ,はなみずきの代表取締役であるところ,本件の特許権販売が,違法な詐欺的商法であることについて認識しつつこれを漫然と遂行していたのであるから,その職務を行うについて悪意,少なくとも重過失があったといえ,会社法429条1項に基づき,原告に対して損害賠償責任を負う。 であることについて認識しつつこれを漫然と遂行していたのであるから,その職務を行うについて悪意,少なくとも重過失があったといえ,会社法429条1項に基づき,原告に対して損害賠償責任を負う。 また,それぞれが役割を分担して本件の特許権販売を行っていたことから,共同して責任を負う。 被告P6は,原告に対する本件各特許権販売に全く関わっていないと主張するが,被告P6は,特許権の売買等を目的とするはなみずきを設立したのであり,その代表取締役として,はなみずきが業務として行った本件地盤特許の持分権販売 の内容を把握していなかったとは考えられない。 ウ被告ジンムについて被告ジンムは,本件地盤特許の当初の特許権者であり,本件地盤特許及び本件ナビ特許について,専用実施権の設定を受けている。 被告ジンムは,本件地盤特許について特許権侵害訴訟を提起し,その状況を逐一被告日本知財開発に対して報告し,これを受けて,被告日本知財開発は,原告ら特 許権持分の購入者に対して勝訴が確実であるかのような報告を行っていた。 よって,被告ジンムも,被告日本知財開発と一体となって本件特許権販売行為を行ったと評価されるべきである。 エ被告P5,被告P7及び被告P8について 被告P7及び被告P8は,被告ジンムの取締役であるところ,上記イの被告 らと同様に,本件の特許権共有持分の販売が,違法な詐欺的商法であって被告ジンムがその不可欠な役割を担っていることを認識しながら,これを漫然と遂行していたのであるから,その職務を行うについて悪意,少なくとも重過失があったといえ,会社法429条1項に基づき,原告に対して損害賠償責任を負う。被告P5が,本件の特許権共有持分の販売に積極的に携わっていたことは前述のとおりであり,被 悪意,少なくとも重過失があったといえ,会社法429条1項に基づき,原告に対して損害賠償責任を負う。被告P5が,本件の特許権共有持分の販売に積極的に携わっていたことは前述のとおりであり,被 告P5は,被告ジンムの代表取締役としての責任も負う。また,各被告らそれぞれが役割を分担して本件の特許権販売を行っていたことから,共同して責任を負う。 被告P7及び被告P8は,被告ジンムの業務内容を全く知らなったと主張する。本件各特許権の共有持分販売において,被告ジンムとしての行為は,代表取締役である被告P5が中心となって行っていたところ,代表取締役が行う業務状況の 監視は,取締役の最も基本的な義務であるにもかかわらず,被告P7及び被告P8は,取締役会の開催を要求することもなく,ただ漫然と被告P5の行為を放置していたのであるから,当然に監視義務違反が認められる。 オまとめ以上より,被告らは,原告に対し,共同不法行為責任ないし会社法429条1項 の責任を負う。 【被告日本知財開発及び被告P2の主張】⑴ 被告日本知財開発は,本件地盤特許1口分を管理料込みの代金15万円でリーフに譲渡し,リーフはこれを63万円で譲渡しているから,被告日本知財開発は,リーフが得た代金の23.8%を受領したにすぎない。 本件各特許権の共有持分権は,リーフ又は被告ecoリーフに譲渡された後,原 告に権利移転しており,原告に対する直接の譲渡者はリーフ又は被告ecoリーフである。被告日本知財開発は,被告P5から本件各特許権の管理委託を受けたにすぎない。本件各特許権の譲受申込要項の書式が類似しているのは,双方とも被告日本知財開発が管理委託機関であるからである。また,被告日本知財開発は,原特許権者である被告P5の報告に基づ 委託を受けたにすぎない。本件各特許権の譲受申込要項の書式が類似しているのは,双方とも被告日本知財開発が管理委託機関であるからである。また,被告日本知財開発は,原特許権者である被告P5の報告に基づき,原告のみならず全ての持分権者に対して経過 報告を行っていた。 ⑵ 被告日本知財開発の従業員が,原告に対し勧誘を行ったことはなく,被告P3に対し勧誘の指導をしたこともない。被告日本知財開発及び被告P2は,リーフや被告ecoリーフによる勧誘行為に直接関与していない。 被告日本知財開発は,すべての譲渡店に対し注意喚起書面(乙2)を送り,関連 法規の順守について注意喚起を行っており,リーフに対しても,譲渡契約に際して譲受者の特性に鑑みた上で無理な譲渡契約を行わないように再三伝えていた。 ⑶ リーフも,本件各特許権の持分権者であるため,本件各特許権の内容や情報についての報告を受けており,その内容を把握しているのは当然である。 【被告ecoリーフ及び被告P4の主張】 本件は,被告P3が被告ecoリーフに在籍中,被告ecoリーフを利用して行ったものであって,被告ecoリーフ及び被告P4は無関係である。 【被告ジンム及び被告P5の主張】本件地盤特許は正当なものであり,価値を有する。 被告P5は,被告日本知財開発に,特許権の30%を譲渡し,その対価をもらう ことになっているが,その他の金員は受け取っておらず,原告に対する譲渡につい ては知らない。 被告P5は,本件地盤特許を侵害した訴外鹿島建設に対し,本件地盤特許侵害訴訟を提起しており,この訴訟について被告P5が作成した報告書(レポート)は事実に基づく。 被告P5は,被告日本知財開発から,その事業が合法的なものであると説明を受 けていたのであ 盤特許侵害訴訟を提起しており,この訴訟について被告P5が作成した報告書(レポート)は事実に基づく。 被告P5は,被告日本知財開発から,その事業が合法的なものであると説明を受 けていたのであり,原告に対する詐欺行為は行っていないし,他の被告らと共謀もしていない。 【被告P3の主張】被告日本知財開発の実質的な経営者であるP11とは,以前から親交があり,本件各特許権の共同保有者を募る代理店になってほしいとの要請を受けて,リーフに おいて勧誘を行った。P11からは,本件地盤特許1口に対し,本件ナビ特許3口との交換に応じる,その際顧客から手数料名目で本件ナビ特許1口を余計に買ってもらっている代理店もある,との指導を受けた。また,平成29年11月には本件ナビ特許の売却が決まっているとの被告P5によるレポートも見せられた。リーフは,平成29年7月,債務超過により休眠状態となった。 【被告P6の主張】被告P6は,平成23年6月ころ,元部下であるP9から,新しい事業をしようと持ち掛けられ,主として不動産関係の仲介業務等の事業を行うことを考え,はなみずきを設立し代表となった。しかし,はなみずきは約1か月後に事実上倒産し,それ以降の事業については全く関知していない。P9との連絡も全くとっていない。 したがって,被告P6には,本件についての故意・過失がなく,他の被告らとの共同関係も認められない。 【被告P7の主張】被告P7は,本件に関して被告P5から何も説明されておらず,全く知らない。 【被告P8の主張】 3年ほど前,被告ジンムの取締役となることを了承したが,その後は役員会等も 開かれておらず,報酬も受け取っておらず,事業内容や本件については全く知らない。 2 争点⑵(原告の 3年ほど前,被告ジンムの取締役となることを了承したが,その後は役員会等も 開かれておらず,報酬も受け取っておらず,事業内容や本件については全く知らない。 2 争点⑵(原告の損害額)について【原告の主張】⑴ 原告が特許権持分購入代金名下に支払わされた金額は,合計8295万円で あるが,うち,本件ナビ特許3口分63万円については,転売・買戻名目で返還を受けたため,これを控除した8232万円が損害額となる。 ⑵ 被告らに負担させるべき弁護士費用としては,上記損害額の約1割である800万円が相当である。 ⑶ したがって,被告らは,原告に対し,合計9032万円の損害賠償責任を負 う。 【被告らの主張】争う。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実(前提事実及び後掲各証拠又は弁論の全趣旨から認定できる事実) ⑴ 被告ら及びリーフとの関係についてア被告P5は,平成7年に,本件地盤特許の出願を行い,権利が奪われたりしないよう友人の会社を譲り受けて被告ジンムを設立し,その名義で特許出願を行った。本件地盤特許は,平成18年4月21日に特許登録され,被告ジンムはその特許権者となったが,本件地盤特許は,同年6月14日以降,被告P5の関連会社3 社に順次移転された後,平成22年10月14日,被告P5に対し移転登録された(甲1,31)。 イ被告P5は,平成10年に自らを特許出願人として本件ナビ特許の出願を行い,本件ナビ特許は,平成20年6月20日,特許登録された(甲2)。 ウ被告P5は,平成22年10月19日,かねてからの知己であったP11に すすめられ,本件地盤特許侵害訴訟を提起するに当たって必要な費用を負担しても らうことなどを念頭に,P11が実質的に経営す 2年10月19日,かねてからの知己であったP11に すすめられ,本件地盤特許侵害訴訟を提起するに当たって必要な費用を負担しても らうことなどを念頭に,P11が実質的に経営する被告日本知財開発に対し,本件地盤特許の共有持分(100分の30)を譲渡し,同月14日,自身が代表者である被告ジンムに対し,本件地盤特許の専用実施権を設定した(甲1)。 また,被告P5は,上記同様の理由で,平成23年4月25日,被告ジンムに本件ナビ特許の専用実施権を設定した上で,同年5月25日,本件ナビ特許の共有持 分(100分の30)を被告日本知財開発に譲渡した(甲2)。上記各持分譲渡の際,被告P5と被告日本知財開発は,譲渡契約書等を作成しておらず,持分譲渡の対価の支払もなかった(甲31)。 エ被告日本知財開発は,平成23年ころ,本件地盤特許の持分の譲渡を受けた者に対し,本件地盤特許のライセンシング収入や,侵害訴訟による損害賠償金とし て回収された金員を,特許権の権利終了まで毎年支払う旨を約し,本件地盤特許の持分を2万分の1に分割して,その1口を価格60万円及び手数料3万円で譲渡する,特許権共有持分譲渡受の枠組みを考案した(甲3,乙1)。 上記枠組みにおいて,被告日本知財開発は,管理委託機関として,自らの管理基本台帳に譲受人を記載し,権利証書を発行して(別途費用を負担しない限り,特許 原簿への登録は予定されていない。),ライセンシング等収入を集計し,年1回譲受人に支払うこととされており,特許権者及び権利の譲渡者は,被告P5及び被告日本知財開発とされている(甲3)。 被告日本知財開発の実質的経営者であるP11は,知人である被告P3に対し,上記枠組みによる共有持分譲渡の代理店となるよう依頼し,被告日本知財開発は代 表 日本知財開発とされている(甲3)。 被告日本知財開発の実質的経営者であるP11は,知人である被告P3に対し,上記枠組みによる共有持分譲渡の代理店となるよう依頼し,被告日本知財開発は代 表者被告P2の名で,福岡市所在のリーフは代表者被告P3の名で,平成23年7月20日,リーフが本件地盤特許の案内をして,譲受者から譲受金,手数料等を収受し,被告日本知財開発は,委託業務手数料として,譲受金が回収された1口につき15万円をリーフに支払うこと等を内容とする契約を締結した(乙1)。 オ被告日本知財開発は,リーフ以外の数社に,本件地盤特許の持分譲渡の案内 を委託していたとされ(甲28の1),その中に,被告P3が一時在籍していた, やはり福岡市所在の被告ecoリーフが含まれていたと推認される(弁論の全趣旨)。 カ被告P6は,以前の会社で部下であったP9から,新しい事業を始めようと提案され,平成23年6月,特許権・債権の売買及び売買の媒介その他を目的とする会社として,大阪市所在のはなみずきを設立し,自ら代表取締役となったが,はなみずきの実際の業務はP9に任せていた(弁論の全趣旨)。 ⑵ 本件地盤特許の共有持分権の購入等(甲29,30)ア原告は,平成24年12月,はなみずきのP9から,3年間使わない金があれば良い話があるからと電話で勧誘を受け,同月末頃面談し,本件地盤特許の共有持分を,1口60万円(手数料1口3万円)で購入できるから10口分を購入しないかと勧誘を受けた。 P9は,「発明の名称地盤強化工法」と表紙に示された「特許権共有持分譲渡受申込要項」と題する書面(甲3の1ないし3枚目。以下「本件地盤特許申込要項」という。)を示しながら,被告P5及び被告日本知財開発が,訴外鹿島建設に対して本 法」と表紙に示された「特許権共有持分譲渡受申込要項」と題する書面(甲3の1ないし3枚目。以下「本件地盤特許申込要項」という。)を示しながら,被告P5及び被告日本知財開発が,訴外鹿島建設に対して本件地盤特許侵害訴訟を提起しており(同訴訟における実際の原告は被告ジンムである。甲20),2,3年後に勝訴すれば持分の価値が2,3倍になること,保 有するのをやめたくなれば,被告日本知財開発が買い戻してくれることを述べた。 イ原告は,平成25年1月18日,本件地盤特許の共有持分10口分を購入することとし,「特許権譲受申込書」(甲3の4枚目以降。以下「本件地盤特許譲受申込書」という。)に必要事項を記入した上,P9に,10口分の代金,手数料合計として,現金630万円を手渡した。P9は,はなみずきは,被告日本知財開発 の販売店であるリーフ(リーフと被告ecoリーフが区別されているかは不明。)の下請けであると話した。 本件地盤特許申込要項の表紙には,「管理委託機関日本知財開発株式会社」との記載があり,本件地盤特許譲受申込書には,特許権者及び譲渡者として被告P5及び被告日本知財開発の名称が記され,譲渡店として被告ecoリーフの名称が記 されている。 本件地盤特許申込要項には,被告日本知財開発及び被告P5は,譲受人から入金を確認した時点で,管理基本台帳にその内容等を記載し,譲受人に権利証書を郵送するものとし,この時点で譲受人に当該特許権は発生すること,権利金の支払は,毎年12月末日時点の管理基本台帳登録人に対し,知的財産管理委託機関である被告日本知財開発またはその委託団体がライセンシング等収入を集計し,登録人指定 口座に振込むこと,但し,権利金は保証するものでないこと等が記載されている。 ウ原告は,P9 管理委託機関である被告日本知財開発またはその委託団体がライセンシング等収入を集計し,登録人指定 口座に振込むこと,但し,権利金は保証するものでないこと等が記載されている。 ウ原告は,P9から追加購入を勧誘され,4人家族で1人10口ずつとなるよう平成25年2月1日,同年3月8日及び4月10日に,各10口ずつ購入し,P9に対し,その都度,10口分の代金,手数料として現金630万円ずつを手渡した(甲4,25)。 なお,上記各購入のうち,4月分のみはなみずき名義の領収証が提出され,同年2月分,3月分については,はなみずき等の領収書も被告日本知財開発への譲渡申込書も書証として提出されていないが,被告P5及び被告日本知財開発が,平成26年12月の時点で原告が40口の持分権者であることを確認していることから(甲4),上記購入及び支払はあったものと認められる。 原告は,平成25年末ころ,リーフの被告P3から電話を受け,本件地盤特許の追加購入を勧誘されたが,値上がりするといいながら,その後値上がりしていなかったことから,これを断った。 エ原告は,本件地盤特許を購入した後,被告P5が本件地盤特許侵害訴訟の経過について説明する「御報告」と題する書面(甲22,23,24の2)や,被告 日本知財開発が同様に説明する「ご報告(弊社の見解について)」と題する書面(甲24の1)等をほぼ毎月受け取り,P9から,あるいは電話を通じて被告日本知財開発のP12及びP11,又は被告P3から,本件地盤特許侵害訴訟の内容について説明を受けていた。 上記報告書には,必然的に被告(訴外鹿島建設)が敗訴となること(甲22), 原告(被告ジンム)の理が被告を圧倒していること(甲23),弁論終結の際に, 非公開の別室におい 上記報告書には,必然的に被告(訴外鹿島建設)が敗訴となること(甲22), 原告(被告ジンム)の理が被告を圧倒していること(甲23),弁論終結の際に, 非公開の別室において,原告(被告ジンム)が勝訴することを示唆する内容があったことなどが記載されていた(甲24の2)。 オ被告P5は,被告日本知財開発が,本件各特許権を細分化し,証券化して第三者に譲渡していることは認識しており,被告日本知財開発より,不定期に,1回当たり7万円ないし200万円という金額を受け取っており,妻である被告P7に 対し,特許の一部を譲った代金である旨を説明したことがある(甲31)。 カ本件地盤特許については,平成25年に無効審判請求がなされ,同年5月1日付けでその予告登録がなされ,その後これを無効とする審判がなされたところ,同審判は,平成28年6月24日,無効審判取消訴訟の確定により無効が確定し,同月29日,登録が抹消された。 本件地盤特許侵害訴訟については,平成26年2月26日,原告(被告ジンム)の請求を棄却する旨の東京地裁判決がなされ,同判決は,平成28年6月24日の上告不受理決定により確定した(甲20,乙5)。 ⑶ 本件ナビ特許の共有持分の購入等(甲29,30)ア本件ナビ特許の権利者である被告P5及び被告日本知財開発,その専用実施 権者である被告ジンムは,その権利登録がなされた平成23年5月以降のいずれかの時点で,本件ナビ特許についても,管理委託機関である被告日本知財開発が,ライセンシング等収入を集計して,権利の譲受人に支払う旨を約して本件ナビ特許の持分を10万分の1に分割して,その1口を価格20万円及び手数料1万円で譲渡し,その案内及び譲受金等の収受をリーフ等に委託するという,本件地盤特許と全 て,権利の譲受人に支払う旨を約して本件ナビ特許の持分を10万分の1に分割して,その1口を価格20万円及び手数料1万円で譲渡し,その案内及び譲受金等の収受をリーフ等に委託するという,本件地盤特許と全 く同様の枠組みを考案した(甲2,5,26)。 イ原告は,平成26年12月ころ,リーフのP10と名乗る人物から電話を受け,本件地盤特許侵害訴訟がうまくいっていないが,被告P5には別の特許があり,こちらはもっと確実であるとして,話を聞くよう勧誘された。 原告は,本件地盤特許の持分を購入した際に,リーフのことは聞いていたので, P10に会ったところ,P10は,本件ナビ特許は確実にもうかる,被告P5は現 在自動車に搭載されているカーナビゲーションシステムの発案者である,本件ナビ特許はそれをさらに進化させたものであり,アメリカですでに特許をとっており,大手IT企業(グーグル)に1億ドル以上の値段で売れるなどと述べて,本件ナビ特許の共有持分を,1口20万円(手数料1口1万円)で購入するよう勧誘した(甲29)。 ウ原告は,本件ナビ特許の持分を20口譲り受けることとして,リーフとの間で,平成27年1月22日,特許権譲受申込書(甲5),及び十分な説明受けたこと等を確認する特許権譲受申込確認書(乙4の1)を作成して,特許権共有持分譲渡受申込要項(甲26)を受け取り,同月27日に220万円を,同月28日に200万円を,いずれもリーフのP10に支払った(甲6の1,2)。 原告が作成,受領した上記書面は,本件地盤特許に関して原告が受領した書類と同様の書式・内容であり,ライセンシング収入等を集計して譲受人に分配する管理委託機関として被告日本知財開発の名が記載され,特許権者及び譲渡者として被告P5及び被告日本知 に関して原告が受領した書類と同様の書式・内容であり,ライセンシング収入等を集計して譲受人に分配する管理委託機関として被告日本知財開発の名が記載され,特許権者及び譲渡者として被告P5及び被告日本知財開発の名が,譲渡店としてリーフの名称が記載されている。 エ原告は,その後,リーフのP10から,本件ナビ特許については,当初の数 倍の価値が出ている,問題ない,大丈夫などと勧誘を受け,平成27年3月6日に10口分代金手数料合計210万円を,同年6月7日までに20口分420万円を,同年7月23日までに20口分420万円を,同年11月13日に50口分1050万円を,同月30日に15口分315万円を,いずれもリーフに支払い,本件ナビ特許の持分の譲渡を受けた(甲8ないし15,29)。 なお,上記譲渡のうち同年6月分の420万円と同年7月分の420万円については,リーフ名義の領収書は証拠として提出されていないが,これ以外の譲渡ではすべて,リーフが代金を受領した日以降に権利を原告に移転した旨の被告日本知財開発名義の知的財産権証書が発行されているところ,同年6月7日付け及び同年7月23日付けで権利を原告に移転した旨の知的財産権証書が発行されていることか ら(甲10,11),同年6月分,7月分についても,リーフは原告から代金を受 領したものと認められる。 オ原告は,平成27年11月に本件ナビ特許の持分数計65口を購入し,総計1365万円をリーフに支払っているが,これはリーフのP10が,平成28年2月か3月には,本件ナビ特許を高額で売却できる見込みであり,売却できたら持分に応じて金員が支払われるので,是非追加購入すべきであると勧誘したことによる のであり,被告日本知財開発が原告に交付した報告書の中にも,本件ナ 特許を高額で売却できる見込みであり,売却できたら持分に応じて金員が支払われるので,是非追加購入すべきであると勧誘したことによる のであり,被告日本知財開発が原告に交付した報告書の中にも,本件ナビ特許について,上場企業との共同事業が進んでいること,米国IT企業との契約交渉がおこなわれていること等が記載されていた(甲27の1ないし3,29)。 しかしながら,平成28年2月中旬を過ぎても被告日本知財開発からの連絡がないことから,原告は,被告日本知財開発に電話をして,本件地盤特許,本件ナビ特 許の交渉状況について尋ねるなどした(甲29,乙3)。 カ P10は,平成28年8月ころ,原告に連絡して,本件地盤特許侵害訴訟がうまくいっていないこと,原告が取得した本件地盤特許の持分40口を本件ナビ特許の持分120口に振り替えてもらいたいこと,そうでないと本件地盤特許に支払った2400万円が無駄になること,上記振替を行うのであれば,本件ナビ特許4 0口分を追加購入する必要があると述べた(甲29)。 原告は,追加購入の理由をP10に尋ね,被告日本知財開発にも電話をして,本件地盤特許と本件ナビ特許の交換について尋ねるなどしていたが,P10の提案に応じることとし,同月31日,リーフに840万円を支払って本件ナビ特許の持分40口分の移転を受けるとともに,本件地盤特許の振替分として本件ナビ特許の持 分120口分の移転を受け,本件地盤特許に関し発行を受けていた知的財産権証書を被告日本知財開発に返却した(甲16,17,29)。 キ P10は,平成29年2月ころ,本件ナビ特許に関し,複数の大手企業と正式に契約を締結しため,同月末ころには販売終了となること,平成30年2月には必ず購入した半額が戻ってくること,ロイヤリティも年々増加すること, 成29年2月ころ,本件ナビ特許に関し,複数の大手企業と正式に契約を締結しため,同月末ころには販売終了となること,平成30年2月には必ず購入した半額が戻ってくること,ロイヤリティも年々増加すること,もし原告 に資金が必要となった時には1口63万円で転売することができること,新規の客 には1口63万円の販売となるが,原告であれば1口21万円で販売できることを述べて,本件ナビ特許100口を追加購入するよう原告を勧誘した。 原告は,これまでの話が駄目になっていたことから,P10や被告P3に連絡して,本当に間違いないのかを確認し,P10が,資金が必要になれば1口63万円で転売できる旨を確約したため,本件ナビ特許100口を購入することとし,平成 29年3月8日,リーフに2100万円を支払って,権利の移転を受けた(甲18,19,29)。 原告は,上記売買後,不安を感じ,クーリングオフをしようとして,P10,被告P3,被告日本知財開発のP11に電話するなどしたが説得され,クーリングオフを断念した。 ⑷ その後の経緯ア原告は,P10に対し,本件ナビ特許を1口63万円で転売するよう強く求めたがかなわず,平成29年4月26日,リーフが1口21万円で3口を買い戻すということで,63万円の支払を受け,3口分の知的財産権証書を返還した。 イ本件各特許権の持分の譲渡については,被告日本知財開発が作成した証書等 に記載されるに止まり,特許原簿への登録はされていないから,効力は生じておらず(特許法98条1項),本件地盤特許については平成28年6月29日の閉鎖時点において,本件ナビ特許については平成29年6月8日の時点において,特許権者は,いずれも被告P5及び被告日本知財開発である。 ウ原告は,前記アの 地盤特許については平成28年6月29日の閉鎖時点において,本件ナビ特許については平成29年6月8日の時点において,特許権者は,いずれも被告P5及び被告日本知財開発である。 ウ原告は,前記アの持分返還名目で受領した63万円を除き,管理委託機関で ある被告日本知財開発あるいは他の被告らから,本件各特許権の持分を譲り受けたことによる収益又は対価としての金員の支払を全く受けていない(甲29)。 2 争点⑴(被告らの原告に対する共同不法行為及び会社法429条1項の責任の成否)について⑴ 本件各特許権持分譲渡時の説明の虚偽性について ア前記1で認定したところによれば,①被告P5,被告日本知財開発及び被告 ジンムは,本件各特許権を被告P5と被告日本知財開発の共有とし,これに被告ジンムの専用実施権を設定した上で,本件各特許権を細分化して譲渡するという枠組みを考案したこと,②この枠組みは,被告日本知財開発を管理委託機関とし,被告日本知財開発より委託を受けたリーフ,被告ecoリーフあるいはさらにその下請けであるはなみずきその他が顧客に案内し,代金等を収受するものであること,③ リーフらの担当者又は代表者であるP9,P10,被告P3らは,原告に対し,被告ら側が本件地盤特許侵害訴訟に勝訴することや,本件ナビ特許について大手企業とロイヤリティについて契約したり,多額の対価を得て本件ナビ特許を売却したりすることにより,本件各特許権の共有持分の価値が上がり,原告に莫大な利益が還元されるかのような説明をし,これにより,原告が本件各特許権の持分を購入する に至ったこと,④原告の前記購入後,被告日本知財開発は,被告P5が作成した報告書を原告に送付したが,その内容は,前記③に沿うものであったこと,以上の事実が認め が本件各特許権の持分を購入する に至ったこと,④原告の前記購入後,被告日本知財開発は,被告P5が作成した報告書を原告に送付したが,その内容は,前記③に沿うものであったこと,以上の事実が認められる。 イ他方,前記1によれば,原告が前記購入した時点で,①本件各特許権の残存期間はごくわずかであったこと,②被告P5及び被告日本知財開発が被告ジンムよ り専用実施権の対価を得ていたことは認められず,これ以外に,本件各特許権について第三者からのライセンス料が得られるような具体的案件が進行中であった,あるいは将来的に本件特許権の価値が上昇し,高額で転売し得る見込みがあったことを示すような客観的証拠は何ら提出されていないこと,③本件地盤特許については,権利存続期間満了の直前にこれを無効とする審決があり,本件地盤特許侵害訴訟に ついては請求棄却となっているが,被告日本知財開発やリーフらの関係者が,これを適切に原告に説明していたとは認められず,かえって,訴訟がうまくいっていないことを理由に原告に本件地盤特許を本件ナビ特許に振り替えさせ,その際に,新たに本件ナビ特許の持分を購入させたこと,④本件で現れたどのような事情を考慮しても,本件地盤特許の2万分の1の持分を60万円,本件ナビ特許の持分10万 分の1の持分を20万円と評価すべき理由は見出されないこと,⑤実際に,被告P 5又は被告日本知財開発が,本件各特許権について,ライセンス収入や損害賠償など,持分の譲受人に対し配分可能な収入を得たと認めるべき証拠はなく,3口分の解約に伴う返戻金を除き,被告らから原告に金員が支払われた事実がないこと,⑥原告は,持分の転売が可能との説明を受けたが,原告の持分取得については,被告日本知財開発が作成した証書に記載されるにとどまり, 約に伴う返戻金を除き,被告らから原告に金員が支払われた事実がないこと,⑥原告は,持分の転売が可能との説明を受けたが,原告の持分取得については,被告日本知財開発が作成した証書に記載されるにとどまり,特許原簿への登録がないた め,権利者としての保護はないこと,以上の点を指摘することができる。 ウ以上ア及びイで述べたところを総合すると,原告が本件各特許権の持分の譲渡を受けた際に,リーフ,被告ecoリーフ,はなみずきの担当者又は代表者であるP9,P10,被告P3らがした前記⑴ア③の説明は,客観的裏付けのない,原告に金員を出させることのみを目的とした虚偽のものであったといわざるを得ない。 そして,本件各特許権の持分を細分化して高額で譲渡するという基本的枠組みは,被告P5,被告日本知財開発,被告ジンムの関与がなければ成立し得ないものであり,前記P9らは,被告日本知財開発らが定めた基本的枠組み,あるいは被告P5が作成し被告日本知財開発が配布した報告書の内容に沿って案内をしたものと認められるから,前記P9らが被告P5,被告日本知財開発及び被告ジンムと無関係に, 原告に案内,説明したと考える余地はなく,同被告らは,前記P9らが原告に前記虚偽の説明をして本件各特許権の持分を取得させたことを認識していたものと認めることができる。 ⑵ 共同不法行為の成立についてア前記1で認定したとおり,原告に対する本件各特許権の持分の譲渡は,4年 余りの間,13回にわたって行われたものであり,前半は本件地盤特許について,書面上は被告ecoリーフを譲渡店とし,その下請けのはなみずきを介して行われ,後半は本件ナビ特許について,書面上はリーフを譲渡店として行われたものである。 しかしながら,既に検討したとおり,本件地盤特許と本件ナビ特許の フを譲渡店とし,その下請けのはなみずきを介して行われ,後半は本件ナビ特許について,書面上はリーフを譲渡店として行われたものである。 しかしながら,既に検討したとおり,本件地盤特許と本件ナビ特許の各持分の譲渡は,いずれも被告P5,被告日本知財開発及び被告ジンムが設定した同様の枠組 みに従って行われており,また本件地盤特許侵害訴訟がうまくいかなくなるや,そ れを契機として本件ナビ特許の案内を行い,原告にその持分を取得させているのであるから,本件地盤特許の持分の譲渡も,本件ナビ特許の持分の譲渡も,全体として一連のものとして行われたというべきであり,被告P5,被告日本知財開発,被告ジンム,リーフ,被告ecoリーフ及びはなみずきの責任を,本件地盤特許の持分の譲渡と,本件ナビ特許の持分の譲渡とに分断して考えることはできない。 そして,前述のとおり,原告が被告ecoリーフの下請けであるはなみずきのP9から本件地盤特許について虚偽の説明を受け,リーフの担当者であるP10又は代表者である被告P3から,本件ナビ特許について虚偽の説明を受けたことにより,代金及び手数料を支払ったことが認められ,被告P5,被告日本知財開発及び被告ジンムはこれを認識していたと認められるのであるから,被告ecoリーフ,はな みずき,リーフ,被告P5,被告日本知財開発及び被告ジンムは,原告が,虚偽の説明により,本件各特許権の持分代金及び手数料の名目で金員を詐取されたことの全体について,共同不法行為責任を負うというべきである。 イまた,本件各特許権の持分譲渡受申込要項(甲3,26)には,権利金の支払は保証するものではない旨の記載があり,リーフが書証として提出するチェック シート(乙4の1)には,原告により,平成27年1月22日に本件ナ の持分譲渡受申込要項(甲3,26)には,権利金の支払は保証するものではない旨の記載があり,リーフが書証として提出するチェック シート(乙4の1)には,原告により,平成27年1月22日に本件ナビ特許の持分を譲り受けた際に,権利金は現在未確定である旨の説明を受けたこと,説明中に断定的な収入例,又は誇大表現で収入例を強調されていないこと等のチェック欄につき,いずれも「はい」の欄に丸が付けられている。 しかしながら,このような形式的記載によって,前記検討した上記被告らの不法 行為責任は,左右されるものではない。 ⑶ 会社法429条1項の責任ア被告P2,被告P7及び被告P8について被告P2は被告日本知財開発の代表取締役であり,被告P7及び被告P8は被告ジンムの取締役である。 被告日本知財開発の実質的な経営者がP11であったとしても,被告P2には, 代表取締役としてP11の業務を指揮・監督する義務があったところ,これを怠ったといわざるを得ないから,業務を執行するに際し任務懈怠があり,少なくとも重過失が認められるべきである。 また,被告P7及び被告P8は,本件については何も知らなかったと主張する。 しかし,被告P7は,被告P5から,本件各特許権の共有持分権を第三者に対して 販売することについて聞いていたのであり,また,名目上の取締役であっても,代表取締役である被告P5に対する監視・監督義務を負うところ,被告P7及び被告P8は,本件について調査したり取締役会を招集したりすることなく,ただ漫然と被告P5の行為を許容していたのであるから,任務懈怠があり,これについて少なくとも重過失が認められる。 したがって,被告P2,被告P7及び被告P8は,原告に対し会社法429条1項に基づく損 告P5の行為を許容していたのであるから,任務懈怠があり,これについて少なくとも重過失が認められる。 したがって,被告P2,被告P7及び被告P8は,原告に対し会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負うものと解するのが相当である。 なお,被告P5及び被告ジンムが原告に対し不法行為責任を負うことは前述のとおりであるが,被告P5は,被告ジンムの代表取締役として,会社法429条1項に基づく責任も負う。 イ被告P3,被告P4及び被告P6について被告P3はリーフの,被告P4は被告ecoリーフの,被告P6ははなみずきの代表取締役であるところ,上記⑵アのとおり,リーフ,被告ecoリーフ及びはなみずきは,原告に対し不法行為責任を負うべきところ,それぞれの代表取締役には,その職務を執行するにつき任務懈怠があり,これについて少なくとも重過失がある と認められ,原告に対し会社法429条1項の損害賠償責任を負うものと解するのが相当である。 被告P3は,被告日本知財開発や被告P5から送付されたレポート等をもとに,本件ナビ特許について実際に価値あるものと誤認していたと述べるが(甲28),客観的な証拠がないにもかかわらず,漫然と被告日本知財開発及び被告P5の説明 を信じていたものといわざるを得ず,被告P3の重過失は否定されない。 また,被告P4及び被告P6は,本件については関知しておらず,名目的な代表取締役にすぎなかったと主張するが,代表取締役として会社の業務内容を把握しておくべき任務を懈怠したというにすぎず,同被告らについても,少なくとも重過失が認められる。 ⑷ 両責任の関係 以上検討したところによれば,本件各特許権の持分の譲渡について,被告日本知財開発以下について不法行為責任が成立し ,同被告らについても,少なくとも重過失が認められる。 ⑷ 両責任の関係 以上検討したところによれば,本件各特許権の持分の譲渡について,被告日本知財開発以下について不法行為責任が成立し,被告P2以下について会社法429条1項の責任が成立するが,損害賠償の対象とする事項が両責任において一致していることから,被告らの責任は,全体として(遅延損害金については重なる限度において)不真正連帯債務の関係になると解するのが相当である。 3 争点⑵(原告の損害額)について⑴ 原告の支払金額前記認定事実によれば,原告が,はなみずきのP9及びリーフのP10を介して,管理委託機関である被告日本知財開発に対し,本件各特許権の持分権の対価及び手数料として支払った金額は合計8295万円であり,後に返還を受けた63万円を 控除して,8232万円が損害と認められる。 ⑵ 弁護士費用被告らの不法行為及び会社法429条1項の責任と相当因果関係のある弁護士費用は,上記⑴の金額の約1割である800万円とするのが相当である。 ⑶ 原告の損害額の合計 以上より,原告の損害額の合計は,9032万円となる。 ⑷ 遅延損害金の起算日について被告日本知財開発,被告ecoリーフ,被告ジンム及び被告P5は,共同不法行為に基づく損害賠償債務を負うところ,遅延損害金の起算日は,最後の不法行為の日である平成29年3月8日となる。 被告P2,被告P3,被告P4,被告P6,被告P7及び被告P8は,会社法4 29条1項に基づく損害賠償債務を負うところ,同債務は,法が取締役の責任を加重するため特に認めたものであって,不法行為に基づく損害賠償債務の性質を有するものではないから,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る(最高 に基づく損害賠償債務を負うところ,同債務は,法が取締役の責任を加重するため特に認めたものであって,不法行為に基づく損害賠償債務の性質を有するものではないから,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る(最高裁平成元年9月21日第一小法廷判決・裁判集民事157号635頁)ところ,被告P4は平成29年9月10日に,被告P2及び被告P3は同月11日に,被告P6は同月26日に, 被告P7は同年10月29日に,被告P8には同年12月3日に,訴状の送達による履行の請求を受けたと認められるから,遅延損害金の起算日は,上記各翌日となる。 4 結論以上により,原告の請求は,被告らに対し,9032万円(元金),並びに,被 告日本知財開発,被告ecoリーフ,被告ジンム及び被告P5につき上記元金に対する平成29年3月8日(最後の不法行為の日)から,被告P4につき上記元金に対する同年9月11日(本訴状送達の日の翌日。以下同じ。)から,被告P2及び被告P3につき上記元金に対する同月12日から,被告P6につき上記元金に対する同月27日から,被告P7につき上記元金に対する同年10月30日から,被告 P8につき上記元金に対する同年12月4日から,各支払済みまでの遅延損害金を,それぞれ他の被告らの支払額と重なり合う範囲の金員について連帯して支払うよう求める限度で理由があるのでこれを認容し,その余の請求については理由がないのでこれを棄却する。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官 谷有恒 裁判官 官 谷有恒 裁判官野上誠一 裁判官島村陽子
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