令和2年3月17日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第36271号特許権侵害損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和元年11月14日判決 原告 A 被告西日本旅客鉄道株式会社 同訴訟代理人弁護士森本純 髙山和也同訴訟代理人弁理士前堀義之川崎茂雄主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,10万円及びこれに対する平成30年12月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,座席管理システムの特許に係る特許権者である原告が,被告の使用に係る後記の被告各システムは,上記特許に係る特許請求の範囲に記載された構成の各要件を充足し,又は,被告の使用に係る後記の被告システム1は,上記特許に係る特許請求の範囲に記載された各構成と均等なものであり,いずれ も,その各特許発明の技術的範囲に属すると主張して,被告に対し,特許権侵 害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,10万円及びこれに対する平成30年12月1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む(以下同様)。) (1) 本件特許原告は,発明の名称を「座席管理システム」とする特許権(特許第3995133号。請求項の数は2である。 。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む(以下同様)。) (1) 本件特許原告は,発明の名称を「座席管理システム」とする特許権(特許第3995133号。請求項の数は2である。以下,この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。原告は,本件特許につき,平成12年5月8日に特許出願をし,平成19年8月10日にその設定登録を受けた(甲1,2)。 (2) 本件各発明本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1及び2(以下,これらを併せて「本件各特許請求の範囲」といい,また,これに係る発明を順次「本件発明1」,「本件発明2」といい,併せて「本件各発明」という。また,その明細書(図面を含む。)を「本件明細書」といい,その該当部分の記載を段落【0 001】などと表すこととする。)の記載は,別紙特許公報の該当部分のとおりである。 (3) 被告各システム被告は,平成30年2月頃から,山陽新幹線の指定席につき,別紙「被告システム1」記載のシステム(以下「被告システム1」という。)を使用して おり,また,平成24年2月頃から平成30年6月頃まで,山陽新幹線の指定席につき,別紙「被告システム2」記載のシステム(以下「被告システム2」といい,被告システム1と併せて「被告各システム」という。)を使用していた。 3 当事者の主張 (1) 原告の主張 別紙「訴状」,「平成31年1月15日付け陳述書」,「原告第1準備書面」,「令和1年5月23日付け陳述書(2)」,「原告第2準備書面」,「原告第3準備書面」,「原告第3準備書面の訂正書」の各写しに記載のとおりであり,被告各システムは,いずれも,本件各発明の技術的範囲に属し,被告に対する特許権侵害の不法行為による前記1記載の損害賠償請求に理由がある旨を ,「原告第3準備書面の訂正書」の各写しに記載のとおりであり,被告各システムは,いずれも,本件各発明の技術的範囲に属し,被告に対する特許権侵害の不法行為による前記1記載の損害賠償請求に理由がある旨をい うものである。 すなわち,原告は,本件各発明の「座席表示情報」は,券情報と発券情報という2種類の情報を統合したものであり,座席レイアウトも含めた3種類の情報を統合したものということはできないこと,被告システム1における改札通過情報及びOD情報が,何らかの手段により,結果的に車内補充券発 行機に伝送され,それが表示されていれば,被告システム1は本件各発明の技術的範囲に属すること,本件各発明の1個のホストコンピュータと被告システム1の2個のサーバは,技術思想として同一とみなされるべきであることなどを指摘しており,その上で,被告各システムについては,本件各特許請求の範囲に記載された各構成の要件を充足している旨をいう。 また,原告は,本件各発明の本質的部分は,券情報と発券情報の両情報を地上から列車内の端末機に伝送して,車掌が目視・確認できるようにしたことにあるとして,本件各発明と被告システム1との間に相違部分があるとしても,これは本件各発明の本質的部分に当たるとはいえず(均等の第1要件の充足),また,被告システム1は,上記本質的部分において本件各発明と一 致しているから,同一の作用効果を奏する(均等の第2要件の充足)などの旨を述べ,このような被告システム1は,本件各特許請求の範囲に記載された構成と均等なものである旨をいう。 (2) 被告の主張ア被告システム1は,次の(ア)ないし(ウ)などに照らし,本件各特許請求の 範囲に記載された各構成の要件を充足しない。 (ア) 本件各発明は,本件各特許請求の (2) 被告の主張ア被告システム1は,次の(ア)ないし(ウ)などに照らし,本件各特許請求の 範囲に記載された各構成の要件を充足しない。 (ア) 本件各発明は,本件各特許請求の範囲に記載された各構成を備えることにより,ホストコンピュータから端末機へ伝送する情報量が半減され,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度等を軽減するとともに,端末機のコストダウンが図られ,システムの構成を容易にする効果を達成したものである。しかして,被告システム1においては,本件各発明 の「座席指定券の券情報」に相当する「改札通過情報」,及び本件各発明の「発券機等で発券された座席指定券の発券情報」に相当する「OD情報」は,それぞれ別のサーバに保存,管理されており,別々に車掌が携帯する端末である「車内補充券発行機」に伝送されるものであって,本件各発明の上記効果を奏しないものである。 (イ) 本件各発明の「ホストコンピュータ」は,「券情報」,「発券情報」及び座席レイアウトの3種類の情報を保存,管理するものである。しかして,被告システム1においては,「OD情報」は「マルスサーバ」に,「改札通過情報」は「改札情報兼セキュリティサーバ」に,本件各発明の「指定座席のレイアウト」に相当する「編成情報」は「車内補充券発行機」 にそれぞれ別個に保存されているから,被告システム1の各サーバは「ホストコンピュータ」に当たらない。また,本件各発明の「端末機」は「ホストコンピュータ」と通信回線で結ばれているが,被告システム1は「ホストコンピュータ」を備えていない以上,このような「端末機」も備えていない。 (ウ) 被告システム1は,本件各発明の「座席表示情報」,すなわち,「ホストコンピュータ」が「券情報」,「発券情報」及び座席レイアウ 備えていない以上,このような「端末機」も備えていない。 (ウ) 被告システム1は,本件各発明の「座席表示情報」,すなわち,「ホストコンピュータ」が「券情報」,「発券情報」及び座席レイアウトの3種類の情報を統合することにより生成した1種類の情報を具備していないから,この情報を「ホストコンピュータ」において作成する「作成手段」と,「該作成手段によって作成された前記座席表示情報を記憶する記憶手 段」と,「該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を伝送する伝 送手段」も具備していない。 なお,仮に,本件各発明の「座席表示情報」を,原告が主張するとおり認定する場合であっても,本件各発明は,「座席表示情報」を作成する際に,少なくとも「券情報」と「発券情報」を統合して1個の情報を作成することを必須の構成とするものであるところ,被告システム1は, 前記のとおり,「OD情報」や「改札通過情報」の各情報が,それぞれ保存,管理されている各サーバから別個に車内補充券発行機に送信される構成であるから,いずれにせよ文言侵害は成立しない。 イ被告システム2は,次の(ア)ないし(ウ)などに照らし,本件各特許請求の範囲に記載された各構成の要件を充足しない。 (ア) 被告システム2においては,改札通過情報が車内補充券発行機に伝送されない。 (イ) 被告システム2においては,本件各発明の「券情報」に相当する情報を保存,管理する構成を備えておらず,また,「OD情報」は「マルスサーバ」に,「編成情報」は「車内補充券発行機」にそれぞれ別個に保存, 管理されているから,「券情報」,「発券情報」及び座席レイアウトの3種類の情報を保存,管理する本件各発明の「ホストコンピュータ」を具備していない。 (ウ) 被告システム2にお 個に保存, 管理されているから,「券情報」,「発券情報」及び座席レイアウトの3種類の情報を保存,管理する本件各発明の「ホストコンピュータ」を具備していない。 (ウ) 被告システム2においては,本件各発明の「座席表示情報」も具備しておらず,これを作成する「作成手段」と,「該作成手段によって作成さ れた前記座席表示情報を記憶する記憶手段」と,「該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を伝送する伝送手段」も具備していない。 ウ被告システム1は,次の(ア)(イ)などに照らし,本件各特許請求の範囲に記載された各構成と均等なものとはいえない。 (ア) 均等の第1要件 本件明細書の記載(段落【0005】,【0007】),各公開特許公報 の記載(乙8ないし10)に照らせば,本件各発明については,「券情報」,「発券情報」,「座席レイアウト」の各情報をあらかじめホストコンピュータにおいて統合処理し,1つの「座席表示情報」として端末機に伝送する構成を採用することによって通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度とを半減するという効果を実現させた点が,従来技術に見られ ない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であり,本件各発明の本質的部分であるといえる。しかして,前記ア及びイのとおり,被告システム1は,このような構成を備えておらず,本件各発明の本質的部分を備えているとはいえないものであって,均等の第1要件を充足しない。 (イ) 均等の第2要件 被告システム1は,本件各発明の上記(ア)の効果を奏するものではないから,均等の第2要件を充足しない。 第3 当裁判所の判断 1 本件各発明について(1) 本件各特許請求の範囲の記載文言は,前記第2の2(2)に説示したとおり であるところ,本件明細書 いから,均等の第2要件を充足しない。 第3 当裁判所の判断 1 本件各発明について(1) 本件各特許請求の範囲の記載文言は,前記第2の2(2)に説示したとおり であるところ,本件明細書には,発明の詳細な説明として,次の記載がある(甲2,弁論の全趣旨)。 ア発明の属する技術分野【0001】本発明は,指定座席を管理する座席管理システムに関する。 イ従来の技術 【0002】従来,指定座席を管理する座席管理システムとしては,カードリーダで読取られた座席指定券の券情報及び券売機等で発券された座席指定券の発券(座席予約)情報等を,例えば列車車内において,端末機(コンピュータ)で受けて記憶し表示して,指定座席の利用状況を車掌が目視できるようにして車内検札を自動化する座席指定席利用状況監視装置(特 公H5-47880号公報)が発明されている。 【0003】図2は,前記座席指定席利用状況管理装置に備えられる端末機の概略図を示すもので,券情報入力15で受けたカードリーダで読取られた座席指定券の券情報と,発券情報入力16で受けた券売機等で発券された座席指定券の発券情報等の情報をCPU17に記憶して情報処理して,各指定座席の使用及び空席等の利用状況をディスプレイ18に表示して, 該表示を車掌が目視できるようにして,車内検札を自動化した座席管理装置である。 【0004】このように,前記座席指定席利用状況監視装置は,共に指定座席の使用及び空席等の利用状況を表示する座席表示情報となり,かつ,車内検札を自動化するのに絶対不可欠な前記券情報或いは前記発券情報を 用いて,列車車内において各指定座席の利用状況を表示するようにしたことで,初めて車内検札を自動化した画期的な発明である。さらに共に表示情報として作用す 不可欠な前記券情報或いは前記発券情報を 用いて,列車車内において各指定座席の利用状況を表示するようにしたことで,初めて車内検札を自動化した画期的な発明である。さらに共に表示情報として作用する前記情報と前記発券情報との両情報を独立して表示できるとともに,前記発券情報による表示を前記券情報による表示に優先して表示して発券されていない例えば変造や偽造の座席指定券の使用を防止 できるようにしているが,例えばこれ等の両情報を地上の管理センターから受ける場合,伝送される情報は2種になるために通信回線の負担を1種の場合に比べて2倍にするとともに端末機の記憶容量と処理速度とをともに2倍にするなどの問題がある。 ウ発明が解決しようとする課題 【0005】本発明が解決しようとする課題は,上記発明の座席指定席利用状況監視装置は上記券情報と上記発券情報とに基づいて各座席指定席の利用状況を表示するにはこれ等の両情報を地上の管理センターから受ける場合,伝送される情報量が2倍になるために,該情報を伝送する通信回線の負担を2倍にするとともに端末機の記憶容量と処理速度をともに2倍に するなどの点にある。 エ課題を解決するための手段【0006】上記問題を解決するために,本発明は,上記管理センターに備えられるホストコンピュータが,カードリーダで読取られた座席指定券の券情報と券売機等で発券された座席指定券の発券情報とを入力して,これ等の両情報に基づいて表示する座席表示情報を作成して,作成された前 記座席表示情報を,前記ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機へ伝送して,該端末機が,前記座席表示情報を入力して表示してするように構成したことを主要な特徴とする。 オ作用 ピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機へ伝送して,該端末機が,前記座席表示情報を入力して表示してするように構成したことを主要な特徴とする。 オ作用 【0007】本発明は,これ等の構成によって,上記ホストコンピュータから上記端末機へ伝送される情報量が上記券情報と上記発券情報との両表示情報から1つの表示情報となる上記座席表示情報にすることで半減され,これによって通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度とを半減する。 カ実施例 【0009】ホストコンピュータ1において,券情報入力3は前記券情報を受けてこれをCPU6へ入力して,さらに発券情報入力4は前記発券情報を受けてこれをCPU6へ入力して,制御情報入力5は端末機2から情報の伝送を指令する伝送指令情報或いは前記座席管理地において発券された座席指定席の発券情報等を受けてこれ等の情報をCPU6へ入力する。 【0010】CPU6は,券情報入力3から入力された前記券情報及び発券情報入力4から入力された前記発券情報それに制御情報入力5から入力された前記発券情報等を記憶するとともに,これ等の情報に基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて,例えば前記券情報及び前記発券情報の両情報又は前記発券情報が存在するときは 「1」(使用席)とし,両情報が存在しないときは「0」(空席)として, 各指定座席の利用状況を表示する座席表示情報を作成して,これを記憶するとともに,該座席表示情報を,制御情報入力5から前記伝送指令情報が入力されたとき表示情報出力8へ出力する。 【0011】…表示情報出力8は,制御情報入力5が前記伝送指令情報を受けてCPU6に入力したときCPU6から出力された前記座席表示情 から前記伝送指令情報が入力されたとき表示情報出力8へ出力する。 【0011】…表示情報出力8は,制御情報入力5が前記伝送指令情報を受けてCPU6に入力したときCPU6から出力された前記座席表示情報 を通信回線に乗せて端末機2へ伝送する。…【0012】次に,端末機2において,表示情報入力10は,ホストコンピュータ1と通信回線で結ばれて,伝送された前記座席表示情報を受けてこれをCPU11へ入力する。 【0013】…ディスプレイ12はCPU11に記憶された前記座席表示 情報を受けて,当該座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて各指定座席の利用状況を表示する。 【0016】これ等のことから,本発明の座席管理システムは,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられるホス トコンピュータ1が,前記券情報と前記発券情報,それに,ホストコンピュータ1と通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機2からの,当該座席管理地で発券された座席指定券の発券情報等を受けて,これ等の情報に基づいて,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて座席表示情報を作成して,これを 表示するとともに,作成された座席表示情報を,端末機2からの前記座席表示情報の伝送を指令する伝送指令情報を受けて伝送して,さらに,端末機2が,ホストコンピュータ1から伝送された前記座席表示情報を受けてこれを表示するとともに,…座席管理者が各指定座席の利用状況を目視できるようにしている。 【0018】さらに,端末機2でする前記座席表示情報の表示は,当該座 席管理地に設置される指定座席の各座席ごとの着席され 管理者が各指定座席の利用状況を目視できるようにしている。 【0018】さらに,端末機2でする前記座席表示情報の表示は,当該座 席管理地に設置される指定座席の各座席ごとの着席されているか否かに係る着席情報を入力して,該着席情報と前記座席表示情報とに基づいて新たな座席表示情報を作成して表示して,各指定座席の利用状況の表示をより正確にする…とよい。 キ発明の効果 【0020】以上説明したように本発明の座席管理システムは,上記管理センターに備えられるホストコンピュータが,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報と券売機等で発券された座席指定券の発券情報とを入力して,これ等の両情報に基づいて表示する座席表示情報を作成して,作成された前記座席表示情報を,前記ホストコンピュータと通 信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機へ伝送して,該端末機が前記座席表示情報を入力して表示してするようにしたことで,該端末機がする各指定座席の利用状況の表示を前記券情報と前記発券情報との両表示情報から1つの表示情報となる前記座席表示情報で実現できるようになり,これによって前記ホストコンピュータから前 記端末機へ伝送する情報量が半減され,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度等を軽減するとともに,端末機のコストダウンが計られて,本発明のシステムの構築を容易にする。 (2) このような本件明細書の各記載によれば,発明の詳細な説明の記載について,次のように整理することができる。 ア本件各発明は,指定座席を管理する座席管理システムに関するものであるところ(段落【0001】),従来の指定座席を管理する座席管理システムとしては,カードリーダで読取られた座席指定券の券情報及び券売 本件各発明は,指定座席を管理する座席管理システムに関するものであるところ(段落【0001】),従来の指定座席を管理する座席管理システムとしては,カードリーダで読取られた座席指定券の券情報及び券売機等で発券された座席指定券の発券(座席予約)情報等を,列車車内において,端末機(コンピュータ)で受けて記憶し表示して,指定座席の利用状況を 車掌が目視できるようにして車内検札を自動化する座席指定席利用状況監 視装置があった(段落【0002】)。この座席指定席利用状況監視装置に備えられる端末機は,カードリーダで読取られた座席指定券の券情報と,券売機等で発券された座席指定券の発券情報等の情報を記憶し情報処理して,各指定座席の使用及び空席等の利用状況をディスプレイに表示することで,車掌がこの表示を目視できるものであった(段落【0003】)。 イしかし,管理センターから券情報と発券情報の両情報を端末機で受ける場合,伝送される情報が2種になることから,伝送される情報が1種の場合と比べて,通信回線の負担が2倍となり,端末機の記憶容量と処理速度を2倍にするなどの問題があった(段落【0004】,【0005】)。 ウそこで,本件各発明は,上記問題を解決するために,管理センターに備 えられるホストコンピュータにおいて,券情報と発券情報の両情報に基づいて1つの座席表示情報を作成してこれをホストコンピュータと通信回線で結ばれている端末機へ伝送し,端末機において座席表示情報を表示する構成にしたことを主要な特徴としている(段落【0006】)。本件各発明は,このような構成をとったことにより,ホストコンピュータから端末機 へ伝送される情報量を半減させ,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度を半減させたものである(段落【0007】 件各発明は,このような構成をとったことにより,ホストコンピュータから端末機 へ伝送される情報量を半減させ,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度を半減させたものである(段落【0007】)。 エ本件各発明の実施例として,ホストコンピュータ1において,CPU6は,券情報入力3から入力された券情報,発券情報入力4から入力された発券情報,制御情報入力5から入力された発券情報等を記憶するとともに, これらの情報に基づき,かつ,座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて,例えば券情報及び発券情報の両情報又は発券情報が存在するときは「1」(使用席)とし,両情報が存在しないときは「0」(空席)として,各指定座席の利用状況を表示する座席表示情報を作成し,表示情報出力8が,CPU6から出力された座席表示情報を通信回線に乗せて端 末機に伝送し,端末機において,表示情報入力10は伝送された座席表示 情報をCPU11に入力し,ディスプレイ12はCPU11に記憶された座席表示情報を受けて,座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて各指定座席の利用状況を表示するという構成がある(段落【0009】~【0013】)。 (3) 以上によれば,本件各発明につき,従来技術に見られない特有の技術的思 想を構成する特徴的部分(課題解決原理)は,指定座席を管理する座席管理システムに関して,管理センターから券情報と発券情報の両情報を端末機で受ける場合,伝送される情報が2種になることから,伝送される情報が1種の場合と比べて,通信回線の負担が2倍となり,端末機の記憶容量と処理速度を2倍にするなどの技術的課題があったことに鑑み,管理センターに備え られるコンピュータが,カードリーダで読み取られた券情報と,券売機等で読 回線の負担が2倍となり,端末機の記憶容量と処理速度を2倍にするなどの技術的課題があったことに鑑み,管理センターに備え られるコンピュータが,カードリーダで読み取られた券情報と,券売機等で読み取られた発券情報等を入力して,これらの情報から1つの座席表示情報を作成し,作成された座席表示情報を,コンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられた端末機に伝送して,端末機が座席レイアウトに基づき各指定座席の利用状況を表示するという構成を 採用したことによって,上記技術的課題を解決したという点にあるものというべきである。 そうすると,本件各発明の「座席表示情報」は,券情報と発券情報という2つの情報を1つに統合したものであり,ホストコンピュータは,このような座席表示情報を作成,記憶するとともに,端末機へ伝送するものであり, 端末機は,伝送された座席表示情報を入力,記憶し,これを表示するものであると認められる。 (4) この点,被告は,本件各発明の「座席表示情報」は,券情報と発券情報とともに,座席レイアウトも含めた3種類の情報を統合したものであると主張するが,上記(2),(3)の説示に照らせば,座席表示情報は券情報と発券情報 という2種類の情報を統合したものであると認められ,座席レイアウトも含 めた3種類の情報を統合したものであるということはできない。被告の上記主張は採用することができない。 (5) 本件各発明の構成要件の分説以上を踏まえると,本件各発明の構成要件は,次のとおり分説することが相当というべきである。 ア本件発明1の構成要件の分説1-A: カードリーダで読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備 が相当というべきである。 ア本件発明1の構成要件の分説1-A: カードリーダで読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられるホストコンピュータと,該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設 置管理する座席管理地に備えられる端末機とから成る,指定座席を管理する座席管理システムであって,1-B: 前記ホストコンピュータが,①前記券情報と前記発券情報とを入力する入力手段と,②該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報と に基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段と,③該作成手段によって作成された前記座席表示情報を記憶する記憶手段と, ④該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を伝送する伝送手段と,1-C: 前記端末機が,①前記伝送手段によって伝送された前記座席表示情報を入力する入力手段と, ②該入力手段によって入力された前記座席表示情報を記憶する 記憶手段と,③該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を表示する表示手段と,1-D: を備えて成ることを特徴とする座席管理システム。 イ本件発明2の構成要件の分説 2-A: カードリーダで読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられるホストコンピュータと,該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,複数の座席管理地に備えられる端末機と から成る,指定座席を管理する座席管理システムであって,2-B: 前記ホストコンピュータが,①前記券情報と前記発券情報とを入力す 回線で結ばれて,複数の座席管理地に備えられる端末機と から成る,指定座席を管理する座席管理システムであって,2-B: 前記ホストコンピュータが,①前記券情報と前記発券情報とを入力する入力手段と,②該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とを,複数の前記座席管理地又は前記端末機を識別する座席管 理地識別情報又は端末機識別情報別に集計する集計手段と,③該集計手段によって集計された前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段と, ④該作成手段によって作成された前記座席表示情報を記憶する記憶手段と,⑤該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を伝送する伝送手段と,2-C: 前記端末機が, ①前記伝送手段によって伝送された当該座席管理地識別情報又 は端末機識別情報の前記座席表示情報を入力する入力手段と,②該入力手段によって入力された前記座席表示情報を記憶する記憶手段と,③該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を表示する表示手段と, 2-D: を備えて成ることを特徴とする座席管理システム。 2 被告システム1が,本件各発明の技術的範囲に属するか(文言侵害の有無)(1) 被告システム1が,本件発明1の技術的範囲に属するかア被告システム1の構成(ア) 証拠(乙1,3,4)及び弁論の全趣旨によれば,本件発明1との対 比における被告システム1の構成は,次のとおりであると認められる。 1-a: 改札機で読取られた指定券の改札通過情報32を管理する改札情報兼セキュリティサーバ3,及び発券機等で販売された指定券の発売情報22を管理するマルスシステムの一部 おりであると認められる。 1-a: 改札機で読取られた指定券の改札通過情報32を管理する改札情報兼セキュリティサーバ3,及び発券機等で販売された指定券の発売情報22を管理するマルスシステムの一部を構成するマルスサーバ2と,編成情報41を記憶・管理する車補統括 管理サーバ4と,前記改札情報兼セキュリティサーバ3,マルスサーバ2及び車補統括管理サーバ4との間で,それぞれ公衆通信回線網で結ばれた車内補充券発行機1とを備える,指定席を管理するシステムであって,1-b1: 前記改札情報兼セキュリティサーバ3は, ①前記改札通過情報32を入力する第1の入力手段と,②前記改札通過情報32を記憶する第1の記憶手段と,③該第1の記憶手段によって記憶された前記改札通過情報32から前記車内補充券発行機1の要求に応じて特定の列車について抽出した改札通過情報32’を伝送する第1の伝 送手段 を備え,1-b2: 前記マルスサーバ2は,①前記発売情報22を入力する第2の入力手段と,②前記発売情報22を記憶する第2の記憶手段と,③該第2の記憶手段によって記憶された前記発売情報22か ら抽出したOD情報23を伝送する第2の伝送手段を備え,1-b3: 前記車補統括管理サーバ4は,①前記編成情報41を入力する第3の入力手段と②前記編成情報41を記憶する第3の記憶手段と ③該第3の記憶手段によって記憶された前記編成情報41を伝送する第3の伝送手段とを備え,1-c: 前記車内補充券発行機1は,①前記改札情報兼セキュリティサーバ3から前記第1の伝送手 段によって伝送された前記改札通過情報32’と,前記マルスサーバ2から前記第2の伝送手段によって伝送された前記OD情報23と,前 ①前記改札情報兼セキュリティサーバ3から前記第1の伝送手 段によって伝送された前記改札通過情報32’と,前記マルスサーバ2から前記第2の伝送手段によって伝送された前記OD情報23と,前記車補統括管理サーバ4から前記第3の伝送手段によって伝送された更新された前記編成情報41とを入力する第4の各入力手段と ②該第4の入力手段によって入力された前記改札通過情報32’と,前記第4の入力手段によって入力された前記OD情報23と,前記第4の入力手段によって入力された前記編成情報41とを記憶する第4の各記憶手段と③前記第4の記憶手段に記憶された前記改札通過情報32’と 前記編成情報41とに基づき,または前記第4の記憶手段に 記憶された前記OD情報23と前記編成情報41とに基づき,前記指定席の利用状況を含む情報を作成する作成手段と④該作成手段によって作成された前記指定席の利用状況を含む情報を記憶する第4の記憶手段と⑤該第4の記憶手段によって記憶された前記指定席の利用状況 を含む情報を表示する表示手段1-d: とを備えるシステム。 (イ) 証拠(乙1,3,4)及び弁論の全趣旨によれば,本件発明2との対比における被告システム1の構成は,次のとおりであると認められる。 2-a: 改札機で読取られた指定券の改札通過情報を管理する改札情 報兼セキュリティサーバ3,及び発券機等で販売された指定券の発売情報22を管理するマルスシステムの一部を構成するマルスサーバ2と,編成情報41を記憶・管理する車補統括管理サーバ4と,前記改札情報兼セキュリティサーバ3,マルスサーバ2及び 車補統括管理サーバ4との間で,それぞれ公衆通信回線網で結ばれた複数の車内補充券発行機1とを備える,指定席を管理するシ サーバ4と,前記改札情報兼セキュリティサーバ3,マルスサーバ2及び 車補統括管理サーバ4との間で,それぞれ公衆通信回線網で結ばれた複数の車内補充券発行機1とを備える,指定席を管理するシステムであって,2-b1: 前記改札情報兼セキュリティサーバ3は,①前記改札通過情報32を入力する第1の入力手段と, ②該第1の入力手段によって入力された前記改札通過情報32から前記車内補充券発行機1の要求に応じて特定の列車に関する改札通過情報32’を抽出する手段と,③該抽出された改札通過情報32’を記憶する第1の記憶手段と, ④該第1の記憶手段によって記憶された前記抽出された改札 通過情報32’を伝送する第1の伝送手段とを備え,2-b2: 前記マルスサーバ2は,①前記発売情報22を入力する第2の入力手段と,②前記第2の入力手段によって入力された前記発売情報22 から前記車内補充券発行機1の要求に応じて前記特定の列車に関するOD情報23を抽出する手段と,③該抽出されたOD情報23を記憶する第2の記憶手段と,④該第2の記憶手段によって記憶された前記OD情報23を伝送する第2の伝送手段, とを備え,2-b3: 前記車補統括管理サーバ4は,①前記編成情報41を入力する第3の入力手段と,②前記編成情報41を記憶する第3の記憶手段と③該第3の記憶手段によって記憶された前記編成情報41を 伝送する第3の伝送手段,とを備え,2-c: 前記車内補充券発行機1は,①前記改札情報兼セキュリティサーバ3から前記第1の伝送手段によって伝送された前記改札通過情報32’と,前記マル スサーバ2から前記第2の伝送手段によって伝送された前記OD情報23と,前記車補統括管 札情報兼セキュリティサーバ3から前記第1の伝送手段によって伝送された前記改札通過情報32’と,前記マル スサーバ2から前記第2の伝送手段によって伝送された前記OD情報23と,前記車補統括管理サーバ4から前記第3の伝送手段によって伝送された更新された前記編成情報41とを入力する第4の各入力手段と,②該第4の入力手段によって入力された前記改札通過情報32’ と,前記第4の入力手段によって入力された前記OD情報2 3と,前記第4の入力手段によって入力された前記編成情報41とを記憶する第4の各記憶手段と,③前記第4の記憶手段に記憶された前記改札通過情報32’と前記編成情報41とに基づき,または前記第4の記憶手段に記憶された前記OD情報23と前記編成情報41とに基づき, 前記指定席の利用状況を含む情報を作成して前記第4の記憶手段に記憶させる作成手段と,④前記第4の記憶手段によって記憶された前記指定席の利用状況を含む情報を表示する表示手段と2-d: を備えるシステム。 (ウ) 前記1(5)及び上記(ア)及び(イ)によれば,被告システム1の「改札通過情報」は本件各発明の「券情報」に,被告システム1の「OD情報」は本件各発明の「発券情報」に,被告システム1の「車内補充券発行機」は本件各発明の「端末機」にそれぞれ相当するものであると認められる。 イしかして,前記1(3)で説示したとおり,本件各発明においては券情報と 発券情報から,1つの「座席表示情報」が作成等され,これが端末機に送られるものであるところ,上記アで認定した被告システム1の構成によれば,被告システム1においては,改札通過情報及びOD情報は,それぞれ別のサーバに保存,管理されており,両情報は,統合されることなく,各サーバから別々 ころ,上記アで認定した被告システム1の構成によれば,被告システム1においては,改札通過情報及びOD情報は,それぞれ別のサーバに保存,管理されており,両情報は,統合されることなく,各サーバから別々に車内補充券発行機に伝送されることが認められるもので ある。そうすると,このような被告システム1には,本件各発明の「座席表示情報」に相当するものが存在しないというほかない。そして,このような「座席表示情報」に相当するものが存在しない被告システム1のサーバについては,「座席表示情報」を作成する手段,記憶する手段,伝送する手段のいずれも備えていないこととなり,また,被告システム1の車内補 充券発行機についても,「座席表示情報」を入力する手段,記憶する手段, 表示する手段のいずれも備えていないこととなるというべきである。 したがって,被告システム1は,本件発明1の構成要件1-B及び1-C並びに本件発明2の構成要件2-B及び2-Cの文言を充足しない。 (2) 原告の主張についてこの点,原告は,①改札通過情報及びOD情報が,何らかの手段により, 結果的に車内補充券発行機に伝送され,それが表示されていれば,被告システム1は本件各発明の技術的範囲に属し,また,②本件各発明の1個のホストコンピュータと被告システム1の2個のサーバは,技術思想として同一とみなされるべきである旨主張するが,本件各特許請求の範囲の記載文言は,前記第2の2(2)に説示したとおりであって,同記載文言において,ホストコ ンピュータにおいて,券情報と発券情報から1つの座席表示情報が作成され,これが端末機へと伝送されることが明記されている以上,これを充足しない被告システム1は,本件各発明の技術的範囲に属しないというほかなく,本件各特許請求の範囲の記載文言 1つの座席表示情報が作成され,これが端末機へと伝送されることが明記されている以上,これを充足しない被告システム1は,本件各発明の技術的範囲に属しないというほかなく,本件各特許請求の範囲の記載文言から離れて,上記①,②のようにいうことはできない。原告の上記主張はいずれも採用することができない。 (3) 小括以上によれば,被告システム1は,本件各発明の技術的範囲に属するものとは認められない。 3 被告システム2が,本件各発明の技術的範囲に属するか(文言侵害の有無)(1) 被告システム2が,本件発明1の技術的範囲に属するか ア被告システム2の構成(ア) 証拠(乙1,2,4)及び弁論の全趣旨によれば,本件発明1との対比における被告システム2の構成は,次のとおりであると認められる。 1-a: 発券機等で発売された指定券の発売情報22を管理するマルスシステムの一部を構成するマルスサーバ2と, 編成情報を記憶・管理する車補統括管理サーバ4と, 前記マルスサーバ2及び車補統括管理サーバ4との間で,それぞれ公衆通信回線網で結ばれた,車内補充券発行機1とを備える,指定席を管理するシステムであって,1-b1: 前記マルスサーバ2は,①前記発売情報22を入力する第1の入力手段と, ②前記発売情報22を記憶する第1の記憶手段と,③該第1の記憶手段によって記憶された前記発売情報22から抽出したOD情報23を伝送する第1の伝送手段とを備え,1-b3: 前記車補統括管理サーバ4は, ①前記編成情報41を入力する第2の入力手段と,②前記編成情報41を記憶する第2の記憶手段と,③該第2の記憶手段によって記憶された前記編成情報41を伝送する第2の伝送手段とを備え, 編成情報41を入力する第2の入力手段と,②前記編成情報41を記憶する第2の記憶手段と,③該第2の記憶手段によって記憶された前記編成情報41を伝送する第2の伝送手段とを備え, 1-c: 前記車内補充券発行機1は,①前記マルスサーバ2から前記第1の伝送手段によって伝送された前記OD情報23と,前記車補統括管理サーバ4から前記第2の伝送手段によって伝送された更新された前記編成情報41とを入力する第3の入力手段と, ②該第3の入力手段によって入力された前記OD情報23と,前記第3の入力手段によって入力された前記編成情報41とを記憶する第3の記憶手段と③前記第3の記憶手段に記憶された前記OD情報23と前記編成情報41とに基づき,前記指定席の利用状況を含む情報を 作成する作成手段と, ④該作成手段によって作成された前記指定席の利用状況を含む情報を記憶する第3の記憶手段と,⑤該第3の記憶手段によって記憶された前記指定席の利用状況を含む情報を表示する表示手段1-d: とを備えるシステム。 (イ) 証拠(乙1,2,4)及び弁論の全趣旨によれば,本件発明2との対比における被告システム2の構成は,次のとおりであると認められる。 2-a: 発券機等で販売された指定券の発売情報を管理するマルスシステムの一部を構成するマルスサーバ2と,編成情報を記憶・管理する車補統括管理サーバ4と, 前記マルスサーバ2及び車補統括管理サーバ4との間で,それぞれ公衆通信回線網で結ばれた複数の車内補充券発行機1とを備える,指定席を管理するシステムであって,2-b1: 前記マルスサーバ2は,①前記発売情報22を入力する第1の入力手段と ②該第1の入力手段によって入力された前記発売情報22 とを備える,指定席を管理するシステムであって,2-b1: 前記マルスサーバ2は,①前記発売情報22を入力する第1の入力手段と ②該第1の入力手段によって入力された前記発売情報22から前記車内補充券発行機1の要求に応じて前記特定の列車に関するOD情報23を抽出する手段と,③該抽出されたOD情報23を記憶する第1の記憶手段と,④該第1の記憶手段によって記憶された前記OD情報23を 伝送する第1の伝送手段とを備え,2-b2: 前記車補統括管理サーバ4は,①前記編成情報41を入力する第2の入力手段と,②前記編成情報41を記憶する第2の記憶手段と, ③該第2の記憶手段によって記憶された前記編成情報41を 伝送する第2の伝送手段とを備え,2-c: 前記車内補充券発行機1は,①前記マルスサーバ2から前記第1の伝送手段によって伝送された前記OD情報23と,前記車補統括管理サーバ4から前 記第2の伝送手段によって伝送された更新された前記編成情報41とを入力する第3の入力手段と,②前記第3の入力手段によって入力された前記OD情報23と,前記第3の入力手段によって入力された前記編成情報41とを記憶する第3の記憶手段と, ③前記第3の記憶手段に記憶された前記OD情報23と前記編成情報41とに基づき,前記指定席の利用状況を含む情報を作成して前記第3の記憶手段に記憶させる作成手段と,④前記第3の記憶手段によって記憶された前記指定席の利用状況を含む情報を表示する表示手段と 2-d: を備え成るシステム。 (ウ) 前記1(5)及び上記(ア)及び(イ)によれば,被告システム2の「OD情報」は本件各発明の「発券情報」に,被告システム2の「車内補充券発行機」は「端末機 2-d: を備え成るシステム。 (ウ) 前記1(5)及び上記(ア)及び(イ)によれば,被告システム2の「OD情報」は本件各発明の「発券情報」に,被告システム2の「車内補充券発行機」は「端末機」にそれぞれ相当するものであると認められる。 イしかして,前記1(3)で説示したとおり,本件各発明においては,「ホス トコンピュータ」において券情報と発券情報を管理しており,これらの情報から,1つの「座席表示情報」が作成等され,これが端末機に送られるものであるところ,上記アで認定した被告システム2の構成によれば,被告システム2においては,発券情報に相当するOD情報のみが,サーバから車内補充券発行機に伝送され,券情報に相当する情報を保存,管理する 構成は存在しないことが認められるものである。そうすると,このような 被告システム2には,本件各発明の「座席表示情報」に相当するものが存在しないというほかない。そして,「座席表示情報」が存在しない以上,被告システム2のサーバは,「座席表示情報」を作成する手段,記憶する手段,伝送する手段のいずれも備えておらず,また,被告システム2の車内補充券発行機は,「座席表示情報」を入力する手段,記憶する手段,表示する手 段のいずれも備えていないというべきであり,ひいては「ホストコンピュータ」に相当する構成も備えていないこととなるものである。 したがって,被告システム2は,本件発明1の構成要件1-A,1-B及び1-C並びに本件発明2の構成要件2-A,2-B及び2-Cの文言を充足しない。 (2) 小括以上によれば,被告システム2は,本件各発明の技術的範囲に属するものとは認められない。 4 被告システム1が,本件各発明と均等なものとして,その技術的範囲に属するか(均等侵害の有 (2) 小括以上によれば,被告システム2は,本件各発明の技術的範囲に属するものとは認められない。 4 被告システム1が,本件各発明と均等なものとして,その技術的範囲に属するか(均等侵害の有無) (1) 前記2(1)イで説示したとおり,被告システム1において,改札通過情報及びOD情報は,それぞれ別のサーバに保存,管理されており,両情報は,統合されることなく,各サーバから別々に車内補充券発行機に伝送されるものであるから,被告システム1は,本件各発明における,ホストコンピュータにおいて券情報と発券情報から1つの「座席表示情報」を作成し,これを, 指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機に伝送し,端末機において「座席表示情報」を表示するという構成を有していないものである。 すなわち,このような点において,両者には相違部分があり,被告システム1は,本件各発明における当該部分と相違するものであると認められる(以下,この相違部分を「本件相違部分」という。)。 (2) この点につき,原告は,上記のような場合であっても,被告システム1は, 本件各特許請求の範囲に記載された構成と均等なものであり,本件各発明の技術的範囲に属する旨主張する。しかして,本件各特許請求の範囲に記載された構成中に被告システム1と異なる部分が存する場合であっても,所定の要件(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照。「第1要件」「第2要件」などという。)を 満たすときには,被告システム1は,本件各特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,本件各発明の技術的範囲に属するというべきである。 (3) そこで,均等の第1要件(相違部分が本質的部分における相違でないこと)につい 1は,本件各特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,本件各発明の技術的範囲に属するというべきである。 (3) そこで,均等の第1要件(相違部分が本質的部分における相違でないこと)について検討する。 前記1(3)の説示のとおり,本件各発明につき,従来技術に見られない特有 の技術的思想を構成する特徴的部分(課題解決原理)は,指定座席を管理する座席管理システムに関して,管理センターから券情報と発券情報の両情報を端末機で受ける場合,伝送される情報が2種になることから,伝送される情報が1種の場合と比べて,通信回線の負担が2倍となり,端末機の記憶容量と処理速度を2倍にするなどの技術的課題があったことに鑑み,管理セン ターに備えられるコンピュータが,カードリーダで読み取られた券情報と,券売機等で読み取られた発券情報等を入力して,これらの情報から1つの座席表示情報を作成し,作成された座席表示情報を,コンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられた端末機に伝送して,端末機が座席レイアウトに基づき各指定座席の利用状況を表示すると いう構成を採用したことによって,上記技術的課題を解決したという点にあるものというべきである。 そうすると,本件各発明における,管理センターに備えられるコンピュータが,カードリーダで読み取られた券情報と,券売機等で読み取られた発券情報等を入力して,これらの情報から1つの座席表示情報を作成し,作成さ れた座席表示情報を,コンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置 管理する座席管理地に備えられた端末機に伝送して,端末機が座席レイアウトに基づき各指定座席の利用状況を表示することにしたという,本件相違部分にかかる構成は,まさに,本件発明における,従来技術 管理する座席管理地に備えられた端末機に伝送して,端末機が座席レイアウトに基づき各指定座席の利用状況を表示することにしたという,本件相違部分にかかる構成は,まさに,本件発明における,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分(本質的部分)に当たるものというべきであって,本件相違部分は本質的部分における相違であると認められる。 そうすると,被告システム1が本件各発明と相違する部分(本件相違部分)は,本件各発明の本質的部分に係るものであるというべきであるから,被告システム1は,均等の第1要件を充足しないというほかない。 (4) 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被告システム1は,本件各特許請求の範囲に記載された各構成と均等なものであるとはいえ ず,本件各発明の技術的範囲に属するということはできないことに帰する。 (5) 原告の主張についてこの点につき,原告は,本件各発明の本質的部分は,券情報と発券情報の両情報を地上から列車内の端末機に伝送して,車掌が目視・確認できるようにしたことにあるとして,本件相違部分は本件各発明の本質的部分ではない 旨を主張する。 しかしながら,原告が本件各発明の本質的部分であると主張する上記の点は,券情報と発券情報が何らかの方法で端末機に伝送され,それにより各座席指定席の利用状況を確認するという構成についていうものであると解されるところ,このような技術的事項は,前記に認定した本件明細書の段落【0 002】ないし【0004】の記載に照らせば,まさに従来技術として開示されているものというべきであるから,本件各発明の本質的部分(従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分)ということはできない。 したがって,原告の上記主張は,採用すること して開示されているものというべきであるから,本件各発明の本質的部分(従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分)ということはできない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 5 小括 以上によれば,被告の使用に係る被告各システムは,いずれも本件各発明の技術的範囲に属するものとは認められず,被告による被告各システムの使用は,原告の特許権を侵害しない。その他,原告は縷々主張するが,その各主張内容を慎重に精査しても,いずれも上記判断を左右するものとはいえない。 6 結論 よって,原告の請求には理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官田中孝一 裁判官奥俊彦 裁判官本井修平 (別紙は掲載省略)
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