平成23年5月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成20年(行ウ)第2号損失補償請求事件平成21年(ワ)第185号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成23年2月17日主文 1 被告は,原告甲に対し,211万2520円及びこれに対する平成20年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告乙に対し,438万2213円及びうち11万3838円に対する平成18年4月1日から,うち90万3291円に対する平成19年4月1日から,うち87万7852円に対する平成20年4月1日から,うち86万9897円に対する平成21年4月1日から,うち83万0137円に対する平成22年4月1日から,うち78万7198円に対する平成23年4月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告丙に対し,2344万2859円及びうち60万8988円に対する平成18年4月1日から,うち483万2198円に対する平成19年4月1日から,うち469万6111円に対する平成20年4月1日から,うち465万3555円に対する平成21年4月1日から,うち444万0855円に対する平成22年4月1日から,うち421万1152円に対する平成23年4月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 原告甲(1) 主位的請求 被告は,原告甲に対し,2064万2297円及びうち708万2482円に対する平成18年2月14日から,うち1355万9815円に対する平 請求 1 原告甲(1) 主位的請求 被告は,原告甲に対し,2064万2297円及びうち708万2482円に対する平成18年2月14日から,うち1355万9815円に対する平成18年2月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 予備的請求被告は,原告甲に対し,1964万2297円及びこれに対する平成18年2月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告乙被告は,原告乙に対し,1355万9815円及びこれに対する平成18年2月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告丙被告は,原告丙に対し,7260万4579円及びこれに対する平成18年2月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要被告が行う多治見都市計画事業多治見駅北土地区画整理事業(以下「本件事業」という。)の施行地区内に土地を所有又は共有している原告らは,被告から,当該各土地を従前地として土地区画整理法(以下「法」という。)98条1項に基づく仮換地の指定(以下「本件仮換地指定処分」という。)を受けるとともに,原告甲は,法77条1項に基づき当該各土地上の原告甲所有の工作物等につき直接除却処分(以下「本件除却処分」という。)を受けた。 本件は,原告甲が,主位的に違法な本件除却処分によって財産的及び精神的損害を受けたと主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として708万2482円及びこれに対する本件除却処分の日である平成18年2月14日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,予備的に本件除却処分により損失を被ったと主張して,被告に対し,法78条1項に基づく損失の補償として608万2482円 年2月14日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,予備的に本件除却処分により損失を被ったと主張して,被告に対し,法78条1項に基づく損失の補償として608万2482円及びこれに対する本件除却処分の日の翌日である平成18年2月15日から支払済みまで民法所 定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,原告らが,被告が原告らの仮換地についてその使用収益の開始日を別に定めて通知するとされたため,従前地及び仮換地のいずれも使用収益ができなくなったことによる損失を被ったと主張して,被告に対し,平成18年2月14日から同23年3月31日までの法101条1項に基づく損失の補償及びこれらに対する本件除却処分の日の翌日である平成18年2月15日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実又は後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告甲,原告乙及び原告丙は,以下の各土地(所在は,いずれも岐阜県多治見市a町b丁目である。)を所有し又は共有する者である。(甲1の1ないし6) 地番地目地積所有者又は原告らの共有持分c番d雑種地 661㎡原告甲及び原告乙各368分の70原告丙 368分の228c番e雑種地 65㎡原告甲,原告乙及び原告丙各3分の1c番f雑種地 49㎡原告甲,原告乙及び原告丙各3分の1g番h雑種地 67㎡原告甲,原告乙及び原告丙各3分の1g番i雑種地 50㎡原告甲,原告乙及び原告丙各3分の1g番j雑種地 598㎡原告丙 以下,これらの土地を併せて「本件各従前地」という 原告乙及び原告丙各3分の1g番i雑種地 50㎡原告甲,原告乙及び原告丙各3分の1g番j雑種地 598㎡原告丙 以下,これらの土地を併せて「本件各従前地」という。 原告甲は,本件除却処分当時,本件各従前地からなる一団の土地上において,63台分の月極駐車場(以下「本件駐車場」という。)を営業し, また,第三者に看板を設置させて賃料を得ていた。 イ被告は,本件事業の施行者である。 ⑵ 被告は,平成14年11月25日,原告らに対し,本件事業の施行者として,本件事業の施行地区内の本件各従前地について,法98条1項に基づき,以下の土地を仮換地として指定し,その効力発生日を同年12月4日とし,かつ,仮換地の使用又は収益を開始することができる日は別に定めて通知する旨の通知をした(本件仮換地指定処分)。(甲2の1ないし3,3の1ないし3及び4) 仮換地(街区は別紙位置図,画地は別紙仮換地図のとおり)従前地 街区番号 画地番号 地積c番d 572㎡c番ec番fg番hg番i 201㎡g番j 517㎡ (3) 被告は,平成17年11月21日付けで,原告らに対し,法77条2項に基づくものとして,同18年1月31日の経過後においては本件各従前地上の工作物等を除却する旨の通知及び原告ら自らがこれらを除却する意思があるか否かの照会を行い(甲20),同年2月14日,法77条7項に基づくものとして,原告甲が本件各従前地上に所有する工作物(以下「本件工作物」という。)及び立竹木(以下「本件立竹木」という。)について除却工事を実施した(本件除却処分)(甲5)。 項に基づくものとして,原告甲が本件各従前地上に所有する工作物(以下「本件工作物」という。)及び立竹木(以下「本件立竹木」という。)について除却工事を実施した(本件除却処分)(甲5)。 本件除却処分によって,原告らは,本件各従前地を現実に使用収益できなくなった。(弁論の全趣旨)(4) 原告甲は,本件駐車場の利用者らとの各賃貸借契約(以下「本件各賃貸借契約」という。)の締結・改訂・解除等を含む一切の管理については,丁信用農業協同組合(以下「JA丁」という。)に委託していた(以下「本件管理委託契約」という。)が,本件除却処分後も,本件駐車場の利用者らから賃料の入金が続いていたため,JA丁に確認したところ,JA丁が,原告甲に無断で,本件駐車場の利用者らに対し,本件各賃貸借契約の目的土地が,被告が平成18年2月1日までに用意した土地(以下「本件代替地」という。)へ変更される旨通知していたことが判明した。(甲15,24の2及び3,25の9,乙1,16,弁論の全趣旨)そこで,原告甲は,平成18年3月28日付けで,本件管理委託契約を解除するとともに(甲15),本件駐車場の利用者らに対し,目的物である駐車場が無くなったため,同年1月31日付けで本件各賃貸借契約が終了した旨通知し(甲16),同年6月12日までの間に,本件駐車場の利用者らに対し,同年2月以降の賃料及び保証金を全額返還した(甲17)。 被告は,平成18年9月13日付けで,原告甲に対し,今後代替駐車場用地が必要か不要か照会した。これに対し,原告甲は,同月25日付けで,被告に対し,本件駐車場の代替地が不要であることを書面で通知した。(甲18,19)(5) 原告らと被告は,法78条1項ないし法101条1項の損失補償について,任意協議及び法定協議を行ったが折り合いがつか し,本件駐車場の代替地が不要であることを書面で通知した。(甲18,19)(5) 原告らと被告は,法78条1項ないし法101条1項の損失補償について,任意協議及び法定協議を行ったが折り合いがつかず,被告は,平成19年3月27日付けで,岐阜県収用委員会(以下「収用委員会」という。)に対し,損失補償の裁決申請を行った。 原告乙及び原告丙は,平成19年10月19日付けで,原告甲に対し,上記裁決申請事件に関する全事項につき,代理権を授与した。(乙7,8) 収用委員会は,平成20年3月13日,原告甲に対して,法78条1項の損失補償額として300万0405円(内訳は,本件工作物の価額相当の補償として207万2709円,本件立竹木の価額相当の補償として70万7696円及び地代減収の補償として22万円。)及び法101条1項の損失補償額として別表記載の内訳のとおり1861万0150円の合計2161万0555円(うち1117万7755円については同年5月13日,うち498万9600円については同月31日,うち544万3200円については同21年4月30日を補償すべき時期とする。)を補償し,原告乙及び原告丙に対しては,補償しない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をし,同月18日,本件裁決の正本が原告甲に送達された。(甲5,6の1ないし3)(6) 被告は,原告甲に対し,平成20年4月21日,法78条1項の損失補償額として300万0405円,同18年11月から同20年4月分の法101条1項の損失補償額として817万7350円(合わせて1117万7755円),同20年5月19日,同20年5月から同21年3月分の法101条1項の損失補償額として498万9600円,同21年4月27日,同21年4月から同22年3月分の法101条1項の 117万7755円),同20年5月19日,同20年5月から同21年3月分の法101条1項の損失補償額として498万9600円,同21年4月27日,同21年4月から同22年3月分の法101条1項の損失補償額として544万3200円を支払った。(争いがない。)被告は,平成22年1月28日,本件各従前地とその仮換地の双方について,同23年3月31日までの使用収益開始が困難となったことから,原告甲に対し,同22年4月1日から同23年3月31日までの法101条1項の損失補償額として544万3200円の支払をする旨通知し,同22年4月1日,岐阜地方法務局多治見支局において同損失補償金の弁済供託をした。 (甲28,29)(7) 原告らは,平成20年5月16日,本訴を提起した。 2 争点 (1) 本件除却処分の違法性及び損害額(2) 法78条1項の「通常生ずべき損失」についてア砕石舗装が補償の対象に含まれるか否か及び補償額イ看板の賃料収入の補償額ウ駐車場の営業停止による補償の要否(3) 法101条1項の「通常生ずべき損失」についてア損失補償額及び個別払いの要否イ平成18年2月から同年10月までの代替駐車場提供による補償の可否 3 争点に関する当事者の主張(1) 本件除却処分の違法性及び損害額(原告甲の主張)ア本件除却処分の違法性従前地が第三者の仮換地に指定されている場合の仮換地指定の目的は,換地計画に基づく換地処分の円滑化及び権利関係の早期安定にあることから,その場合における「必要となったとき」(法77条1項)とは,第三者が仮換地として使用収益を開始するために従前地上に存する建物等が障害となる場合に限定される。しかるに,本件各従前地を仮換地に指定され その場合における「必要となったとき」(法77条1項)とは,第三者が仮換地として使用収益を開始するために従前地上に存する建物等が障害となる場合に限定される。しかるに,本件各従前地を仮換地に指定されている第三者に対しては,使用収益開始日が別に定めて通知するとされているため,本件除却処分は,第三者が仮換地として使用収益を開始するために従前地上に存する建物等が障害となる場合に該当せず,法77条1項に反し違法である。 また,本件除却処分は,都市計画道路築造の際の迂回路としての仮設道路建設のために行われたものであるところ,被告は,施行者管理権(法100条の2)に基づき同仮設道路設置工事を実施した旨主張するが,施行者管理権は,従前地が公共施設予定地,保留地予定地若しくは未指定地となる場合にのみ認められ,第三者の仮換地に指定される場合には認められ ず,そのような場合には,法79条の規定によって仮設道路設置工事を実施する他に方法がない。そうすると,同仮設道路設置工事の実施自体が違法であるから,本件除却処分はいずれにせよ「必要となったとき」(法77条1項)の要件を欠き違法である。 移転又は除却処分(法77条1項)は,地権者に重大な影響を及ぼす行政処分であるから,施行者は,移転又は除却処分につき,目的を達するための必要最小限度の方法に止めなければならず,できる限り地権者の利益を尊重し損害を与えることの少ない方法を選ぶべきである。したがって,仮に本件除却処分が法77条1項の要件を満たすとしても,上記仮設道路予定地は,63台分の駐車スペースからなる本件駐車場のうち19台分の駐車スペース分の範囲にとどまるから,その範囲を除却することで同仮設道路建設の目的を達成することができたにもかかわらず,本件駐車場を構成する本件工作物及び本件立竹木をすべ 本件駐車場のうち19台分の駐車スペース分の範囲にとどまるから,その範囲を除却することで同仮設道路建設の目的を達成することができたにもかかわらず,本件駐車場を構成する本件工作物及び本件立竹木をすべて除却した本件除却処分は,比例原則に違反し,被告の裁量権を濫用逸脱するもので違法である。 被告は,本件除却処分が,「公共施設の変更若しくは廃止に関する工事を施行する場合」(法77条1項)に該当する旨主張するが,これは,既に設置されている公共施設の廃止,変更に伴う事後的な措置をする場合をいい,新たに公共施設を設置する際,その予定地上に存する物件を除却する場合を含まない。よって,本件はこれに該当しないことが明らかである。 イ損害額本件除却処分により原告甲が被った損害額は,以下のとおり,690万5557円である。 (ア) 本件除却処分により除却された本件工作物の損害として,222万6261円。(甲5)ただし,原告甲が新たに砕石舗装を施工するためには,砕石舗装の単価に加えて諸経費(業者の施工費用)・消費税を支払う必要があるから, これらの金額も損害に含まれるべきである。 (計算式)(120万5002円(砕石舗装以外の本件工作物費)+49万1197円(砕石舗装費))×0.25(諸経費)=42万4050円(120万5002円+42万4050円+49万1197円)×1. 05(消費税)=222万6261円(イ) 本件除却処分により除却された本件立竹木の損害として,70万7696円。(甲5)(ウ) 看板設置の賃料収入相当損害金として,25万円。 原告甲は,本件各従前地において看板を設置させ賃料を得ていたが,本件除却処分によって,その賃 として,70万7696円。(甲5)(ウ) 看板設置の賃料収入相当損害金として,25万円。 原告甲は,本件各従前地において看板を設置させ賃料を得ていたが,本件除却処分によって,その賃料収入を得られなくなった。 (計算式)5000円(賃料)×50か月=25万円(エ) 本件駐車場の営業停止による損害として,272万1600円。 原告甲は,本件各従前地において本件駐車場を営んでおり,本件除却処分によって,その営業を停止せざるを得なくなった。 なお,法101条1項に基づく借地料相当額の損失補償を受けたとしても,仮換地の使用収益が可能となった後,即時に63台分の顧客を確保して営業することは不可能であるから,賃料6か月分程度の営業損害は生じる。 (計算式)8000円(賃料)×63台×0.9(管理費控除)×6か月=272万1600円(オ) 精神的損害として,50万円。 原告甲は,違法な本件除却処分により,本件駐車場の営業を廃止に追い込まれ,また,新聞報道されたことによって近隣の住民から白い目で見られ(甲23),多大な精神的打撃を受けた。 (カ) 弁護士費用として,50万円。 (被告の主張)ア本件除却処分の違法性従前地が第三者の仮換地に指定されている場合,直接施行の要件である「必要となったとき」(法77条1項)とは,第三者が仮換地として使用収益を開始するために従前地上に存する建物等が障害となる場合に限定されるとの原告甲の主張は争う。ただし,本件は,そのような障害となる場合にあたる。 また,本件除却処分は,公共施設である都市計画道路音羽小名田線の変更のために行った工事であり,「公共施設の変更若しくは廃止に関する工事を施行する場合」(法77条1項) 障害となる場合にあたる。 また,本件除却処分は,公共施設である都市計画道路音羽小名田線の変更のために行った工事であり,「公共施設の変更若しくは廃止に関する工事を施行する場合」(法77条1項)において必要となったために行われたものであるから,同項の要件を満たす。 さらに,本件各従前地と,原告らに指定された仮換地とが重なる部分はごくわずかであり,同部分を除いた部分は他の人の仮換地ないしは新設道路の敷地となるという状況において,本件各従前地のすべてについて直接施行することが合理的であることは明らかであって,本件除却処分には比例原則違反の違法はない。 イ損害額争う。 (2) 法78条1項の「通常生ずべき損失」についてア砕石舗装が補償の対象に含まれるか否か及び補償額(原告甲の主張)砕石舗装は,土地から独立しており,他の本件工作物と同様に本件除却処分の対象となっていることから,法78条1項の損失補償の対象となるのは明らかである。原告甲が新たに砕石舗装を施工するためには砕石舗装の単価に加えて諸経費(業者の施工費用)・消費税を支払う必要があるの であるから,諸経費及び消費税を含めて補償されるべきである。 よって,本件工作物の補償額は,222万6261円である。(計算式は,(1)イ(ア)に同じ。)(被告の主張)砕石(砂利敷)は土地と一体化しており,法77条1項にいう「建築物等」に該当せず,損失補償の対象外となる。本件裁決においては,被告が原告甲の主張に鑑み裁量によって現物補償として砕石の価格分を補償額に含めたに過ぎないから,これに諸経費及び消費税を加えるべきとの原告甲の主張は失当である。 よって,本件工作物の補償額は,本件裁決のとおり,207万2709円となる。 (計算 の価格分を補償額に含めたに過ぎないから,これに諸経費及び消費税を加えるべきとの原告甲の主張は失当である。 よって,本件工作物の補償額は,本件裁決のとおり,207万2709円となる。 (計算式)120万5002円(砕石舗装以外の本件工作物費)×0.25(諸経費)=30万1200円(120万5002円+30万1200円)×0.05(消費税)=7万5310円120万5002円+30万1200円+7万5310円+49万1197円(砕石舗装費)=207万2709円イ看板の賃料収入の補償額(原告甲の主張)原告甲は,本件各従前地上に看板を設置し賃料を得ていたが,本件除却処分によってその賃料収入を得られなくなった。本件除却処分がなければ少なくとも50か月は看板を設置していたと推定できるから,50か月分の賃料である25万円が補償されるべきである。(計算式は,(1)イ(ウ)に同じ。)(被告の主張) 本件裁決における補償額のとおり44か月分の賃料額をもって相当というべきである。 ウ駐車場の営業停止による補償の要否(原告甲の主張)原告甲は,本件各従前地上において本件駐車場を営業していたが,本件除却処分によって本件各賃貸借契約が終了し,その営業を停止(廃止)せざるを得なくなった。そして,仮換地の使用収益が可能となった後,即時に63台分の顧客を確保して営業することは不可能であるから,少なくみても賃料6か月分の営業収益である272万1600円が補償されるべきである。 なお,被告は,法101条1項の補償と二重補償になる旨主張するが,法101条1項の損失補償期間について営業損失を請求するものではないので,かかる主張は失当である。( されるべきである。 なお,被告は,法101条1項の補償と二重補償になる旨主張するが,法101条1項の損失補償期間について営業損失を請求するものではないので,かかる主張は失当である。(計算式は,(1)イ(エ)に同じ。)(被告の主張)本件駐車場の収入は土地に基因するものであり,本件裁決において法101条1項に基づき補償している。 (3) 法101条1項の「通常生ずべき損失」についてア損失補償額及び個別払いの要否(原告らの主張)(ア) 法101条1項の「通常生ずべき損失」は,土地収用法72条,同71条を類推し,従前地及び仮換地のいずれも使用収益できない期間の従前地の借地料相当額であると解される。(甲7)かかる解釈の下に,法101条1項による損失補償額につき,土地区画整理事業の施行に伴う損失補償基準(以下「損失補償基準」という。)23条及び同細則第16第1項第1号(社団法人戊協会)は,宅地の補償額を「当該地域における土地の正常な取引価格に6%(年)を 乗じて得た額の範囲内で当該地域における地代又は借賃の取引事例を参考として適正に定めた額」と規定している(甲26)。このように,従前地の借地料相当額とは,仮換地指定当時の従前地の使用収益形態や賃貸条件によって定まるものではなく,従前地の諸条件から客観的に算定した適正な借地料である。よって,本件各従前地の正常取引価格に6パーセントを乗じた価格が借地料相当額であり,補償されるべき額である。 被告は損失補償額を現実の賃料相当額で算定すると主張するが,その当時の土地の利用状況という偶然の事情によって損失補償額が変わることとなり,妥当でない。 (イ) 本件各従前地の正常取引価格は,21万5900円/㎡で 賃料相当額で算定すると主張するが,その当時の土地の利用状況という偶然の事情によって損失補償額が変わることとなり,妥当でない。 (イ) 本件各従前地の正常取引価格は,21万5900円/㎡である(甲13)。同価格は,被告が本件事業の事業計画書や施行地区内の路線価図の作成のために用いたものであるから(甲11,12),本件損失補償請求に係る損失補償額の算定は上記価格によるべきである。 (ウ) 被告が,原告乙及び原告丙に対して法101条1項の損失補償をしないことは,個別払いの原則からすれば,明らかな違法である。原告甲は,収用委員会の審理において,法78条1項の損失補償の支払先について原告甲一人と述べたに過ぎず,法101条1項の損失補償の支払先については原告らである旨書面で明確に主張している。(甲25の16)(エ) 計算式以上により,以下の補償額が補償されるべきである。 a 原告甲661㎡×368分の70+65㎡×3分の1+49㎡×3分の1+67㎡×3分の1+50㎡×3分の1=202.6㎡202.6㎡×21万5900円×0.06(年利回り)×62か月÷12か月=1355万9815円 b 原告乙661㎡×368分の70+65㎡×3分の1+49㎡×3分の1+67㎡×3分の1+50㎡×3分の1=202.6㎡202.6㎡×21万5900円×0.06(年利回り)×62か月÷12か月=1355万9815円c 原告丙661㎡×368分の228+65㎡×3分の1+49㎡×3分の1+67㎡×3分の1+50㎡×3分の1+598㎡=1084.8㎡1084.8㎡×21万5900円×0.06(年利回り)×62か月÷12か月=7260万4579円 3分の1+49㎡×3分の1+67㎡×3分の1+50㎡×3分の1+598㎡=1084.8㎡1084.8㎡×21万5900円×0.06(年利回り)×62か月÷12か月=7260万4579円(被告の主張)(ア) 本件各従前地のごとく,建築物がなく駐車場用途の場合は,損失補償基準23条及び同細則第16第1項第4号(甲26)の「雑種地等」並みとして,「利用実態等を勘案し」,実際にあったであろう所得をもって補償として足りるものである。遊休地であれば損失はないので,その補償はしない。 本件各従前地は,駐車場営業に供されていたから,駐車場営業に係る営業収入の減少分を金銭で補償すべきであり,その額は,本件裁決の額が相当である。計算式は,別表のとおりとなる。(甲5)(イ) 仮に地価を用いて補償額を算出するとしても,本件除却処分時の平成18年2月及び今日までに近い時点の地価を用いるべきである。 本件各従前地の価格は,鑑定の結果によれば平成14年2月25日当時,13万6000円/㎡であり(乙17),市街地価格指数を用いて算出するに,同18年3月当時の価格は,9万4435円/㎡である(乙18)。 (ウ) 原告甲は,収用委員会の審理において,原告乙及び原告丙の代理人として,その支払先は原告甲一人だと文書で回答し,かつ,口頭で述べた(乙2,3)。よって,原告乙及び原告丙に対しては法101条1項の損失補償をすることを要しない。 イ平成18年2月から同年10月までの代替駐車場提供による補償の可否(原告らの主張)損失補償は原則として金銭をもってしなければならず(金銭補償の原則),現物補償をする場合は地権者の承諾が必要であるところ,原告らは,現物補償を承諾してい 可否(原告らの主張)損失補償は原則として金銭をもってしなければならず(金銭補償の原則),現物補償をする場合は地権者の承諾が必要であるところ,原告らは,現物補償を承諾していないばかりか,むしろ金銭補償を希望していた(甲14ないし19,24)。 したがって,被告が原告らに対し,平成18年2月から同年10月まで,駐車場代替地を提供したことは,同期間の法101条1項の損失補償とはならない。 (被告の主張)土地区画整理事業は,従前地について(仮)換地を用意する事業であり,その精神は,土地所有者及びその土地の利用者の利用状況を尊重するものである。したがって,金銭補償に代わる代替駐車場の提供については,明示の反対がなければ,積極的な同意は不要である。 原告甲は,被告に対し,再三に渡り「駐車場経営が生業であり,収入が減少することは困る」との要望をしていた。また,原告甲は,本件駐車場の管理をJA丁に委託しており,本件除却処分当時,本件管理委託契約は継続していたところ,被告は,JA丁と具体的協議を行い,駐車場利用者との契約維持については,隣接する土地で代替駐車場を用意することがベストであり従前と同様の利用形態を維持するということとなり,原告甲の損失も生じないと判断するに至ったものである。 被告は,これらを受け,原告らに対し,平成18年2月1日から同年1 0月31日まで,本件代替地を駐車場用地として提供した。 したがって,被告は,平成18年2月から同年10月分の損失補償を金銭で支払うことを要しない。 第3 当裁判所の判断 1 本件除却処分の違法性及び損害額(1) 本件除却処分は,都市計画道路築造の際の迂回路としての仮設道路建設のために行われたものであるところ(甲5,2 ことを要しない。 第3 当裁判所の判断 1 本件除却処分の違法性及び損害額(1) 本件除却処分は,都市計画道路築造の際の迂回路としての仮設道路建設のために行われたものであるところ(甲5,21,弁論の全趣旨),被告は,法100条の2の施行者管理権に基づき同仮設道路設置工事を実施した旨主張するが,本件各従前地のように第三者の仮換地に指定されている土地は,同条に基づく施行者管理権は及ばず,法79条に基づき土地の使用について土地収用法の規定による事業認定を受けない限り,適法に公共施設に関する工事の施工のための施設の設置をなし得ないと解されるから,これを欠く同仮設道路設置工事の実施手続には,瑕疵があると言わざるを得ない。そうすると,同仮設道路設置工事実施のために本件除却処分を行う必要性が生じたことは,法77条1項所定の「必要となったとき」の要件に該当するということはできず,本件除却処分は同条に反し違法というべきである。 また,被告の主張に鑑み,念のため付言するに,被告は,本件除却処分は,第三者が仮換地として使用収益を開始するために従前地上に存する建物等が障害となる場合として法77条1項の必要性の要件を満たす旨も主張するが,本件各従前地を仮換地に指定されている者らは(位置関係は,別紙「6街区周辺重ね図」のとおり。),平成14年11月25日付けで仮換地について使用又は収益を開始することができる日につき「別に定めて通知する」と通知されており(乙12ないし14),以後,当該仮換地の使用又は収益を開始することができる日が定められて通知されたことを認めるに足りる証拠はないから,当該仮換地の指定を受けている者らが使用収益を開始しようとしていたとはいえず,上記被告の主張は採用できない。さらに,被告は,本件 除却処分は,「公共施設の変更若しくは に足りる証拠はないから,当該仮換地の指定を受けている者らが使用収益を開始しようとしていたとはいえず,上記被告の主張は採用できない。さらに,被告は,本件 除却処分は,「公共施設の変更若しくは廃止に関する工事を施行する場合」(法77条1項)に該当する旨主張するが,「公共施設の変更若しくは廃止に関する工事を施行する場合」とは,文字通り,既に設置されている公共施設を廃止又は変更した結果,存置することの許されなくなった同廃止又は変更前の公共施設の用に供する土地上の物件を排除することができるとする,いわば公共施設を廃止し又は変更した後の事後的な措置を規定したものというべきであり,都市計画において新たに公共施設を設置することが決定されたことを理由として,当該施設を設置する場合に障害となる物件を排除できるとする規定であるとは認められないから,上記被告の主張もまた採用できない。 よって,本件除却処分は,法77条1項の要件を充足せず違法であり,原告甲は,違法な本件除却処分により,本件各従前地の使用収益権を現実に侵害されたというべきである。 (2) 次に,本件除却処分によって原告甲に生じた損害額について検討する。 アまず,前示のとおり,原告甲は,本件除却処分により,本件各従前地上に所有する本件工作物及び本件立竹木を喪失したことから,本件工作物の設置費用及び本件立竹木の価額相当の損害を被ったと認められる。そして,これらに係る損害額は,本件裁決において本件工作物及び本件立竹木の補償額として算定された額(甲5,損失補償額としては当事者間に争いがない。)に本件工作物のうち砕石舗装に係る諸経費及び消費税を加えた価額をもって相当と認める。(乙4ないし6,弁論の全趣旨)なお,被告は,当該砕石舗装は土地と一体化していたから,これを除却しても原告甲に 本件工作物のうち砕石舗装に係る諸経費及び消費税を加えた価額をもって相当と認める。(乙4ないし6,弁論の全趣旨)なお,被告は,当該砕石舗装は土地と一体化していたから,これを除却しても原告甲に損害は生じない旨主張するが,土地と一体化しているか否かによって上記判断が左右されると解することはできない。また,当該砕石舗装の価額として,これに係る諸経費及び消費税が含まれないというべき根拠は見出し難い。 よって,本件工作物の価額相当の損害として222万6261円,本件立竹木の価額相当の損害として70万7696円を相当と認める。 イ次に,原告甲は,本件除却処分により,本件駐車場及び看板設置の営業を途絶させられるという損害を被ったと認められる。原告甲は,原告らにより仮換地の使用収益が可能となった後,同仮換地において駐車場経営及び看板設置を再開することができる地位にあると認められること,これらを再開した場合に,再開から従前と同等の顧客を確保することは困難と考えられることから,これらについて再開から従前と同等の顧客を確保するまでの間に3か月分の営業収入が減少するものとして,その減収額を本件除却処分と相当因果関係のある損害と認める。 なお,本件除却処分から上記再開するまでの営業収入の喪失に係る賠償又は補償については,原告らは,本件各従前地の所有者として,法101条1項の損失補償として請求する意思であると解され,本件各従前地における営業者としての原告甲と,本件各従前地の所有者としての原告らとの間で,これをどのように分配取得すべきものとするかは,いわば原告らの内部問題ということができ,二重補償(二重賠償)とならない限りにおいて,その意思に従うものとするのが相当と判断する。 そうすると,看板設置に係る営業損害として1か月当たり5 かは,いわば原告らの内部問題ということができ,二重補償(二重賠償)とならない限りにおいて,その意思に従うものとするのが相当と判断する。 そうすると,看板設置に係る営業損害として1か月当たり5000円の3か月分1万5000円,本件駐車場に係る営業損害として3か月分136万0800円を相当と認める。 (計算式)5000円(賃料)×3か月=1万5000円(看板設置)8000円(賃料)×63台×0.9(管理費控除)×3か月=136万0800円(本件駐車場)ウ原告甲は,違法な本件除却処分により精神的苦痛を被ったことによる慰謝料として50万円を主張するが,本件除却処分自体によっては損害賠償 に値すべき精神的苦痛が生じたと認めることはできない。また,本件除却処分が新聞報道されたことにより同原告に精神的苦痛が生じていたとしても,同新聞報道が被告の行為によるものと認めるべき証拠はない。よって,原告甲の上記主張を採用することはできない。 エ原告甲は,違法な本件除却処分により本訴提起を余儀なくされたと認められるから,そのための弁護士費用としては,30万円を損害として相当と認める。 オ以上によれば,原告甲は,違法な本件除却処分により,460万9757円の損害を被ったと認められる。 (計算式)222万6261円+70万7696円+1万5000円+136万0800円+30万円=460万9757円 2 法78条1項の「通常生ずべき損失」について上記のとおり本件除却処分は違法と認められるから,法78条1項の損失補償については,判断することを要しない。 3 法101条1項の「通常生ずべき損失」について(1) 損失補償額及び個別払いの要否ア損失補償額前示のとおり,原告らは,本件除却処分の日である平 は,判断することを要しない。 3 法101条1項の「通常生ずべき損失」について(1) 損失補償額及び個別払いの要否ア損失補償額前示のとおり,原告らは,本件除却処分の日である平成18年2月14日から本件各従前地を現実に使用できなくなり,かつ,本件仮換地指定処分においてその仮換地について使用又は収益を開始することができる日を別に定めて通知するとされたことから,同日から平成23年3月31日まで,仮換地及び従前地の双方を現実に使用収益できないことによる損失を被ったと認められる(本件口頭弁論終結日の翌日である平成23年2月18日から同年3月31日までの損失補償については,被告がその額を争っていることから,将来請求の訴えとしてその利益があり,適法と認められ る。),そうすると,原告らに対しては,同期間につき法101条1項により「通常生ずべき損失」が補償されるべきである。 「通常生ずべき損失」(法101条1項)とは,原因たる事実と相当因果関係にある損失をいうところ,仮換地指定に基づく土地の使用は,土地収用法に基づく土地使用と同じく,施行者が従前地の所有権を制約してその土地を使用する場面であるから,その損失補償額も「使用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額」は「その土地及び近傍類地の地代及び借賃等を考慮して算定した」相当な価格を補償するとする土地収用法72条を類推すべきである。この点について,被告は,個々の従前地の使用収益形態により実際にあったであろう所得をもって補償すれば足り,仮に遊休地であれば損失はないので,補償することを要しない旨主張するが,この主張によれば,当時の暫定的な利用形態によって補償額が著しく異なる不平等が生じ相当でないから,これを採用することはできない。 そし ば損失はないので,補償することを要しない旨主張するが,この主張によれば,当時の暫定的な利用形態によって補償額が著しく異なる不平等が生じ相当でないから,これを採用することはできない。 そして,上記の解釈に基づき,損失補償基準細則第16第1項は,法101条1項の補償額について「従前の土地の利用形態等に応じ,それぞれ次の各号に定める額を標準として算定するものとする」として,第1号として「宅地当該地域における土地の正常な取引価格に6%(年)を乗じて得た額の範囲内で当該地域における地代又は借賃の取引事例を参考として適正に定めた額」,第3号として「山林山林経営による標準所得を基準として算定した額」,第4号として「雑種地等利用実態等を勘案し,第1号又は前号に準じて定めた額」と規定している(甲26)。しかるところ,前示のとおり,本件各従前地は,地目は雑種地であり,本件駐車場として使用されていたのであるが,弁論の全趣旨によれば,本件各従前地は,宅地としての利用も想定し得る地域に位置しているものと認められ,このことからすると,本件に係る法101条1項の損失補償額は,上記の 宅地についての補償に準じて定めるのが相当というべきである。 他方,乙17の5枚目及び6枚目によれば,本件各従前地が所在する多治見市a町b丁目付近である多治見駅前は,月極駐車場という土地利用形態が多く,駐車場経営が土地を最有効利用する形態の一つであると推測されるから,本件各従前地近辺の土地の収益性ないし利回り率を算定する上では,駐車場による営業収入額は,重要な指標の一つになると考えられる。 以上のような諸事情を総合して検討すれば,本件に係る法101条1項の損失補償額は,本件の全期間を通じて本件各従前地の推定正常価格の年4パーセントと定めるのが相当と判断する。そ なると考えられる。 以上のような諸事情を総合して検討すれば,本件に係る法101条1項の損失補償額は,本件の全期間を通じて本件各従前地の推定正常価格の年4パーセントと定めるのが相当と判断する。そして,被告が本件事業の事業計画書や施行地区内の路線価図の作成のために用いたと認められる鑑定書をもとに,市街地価格指数により,本件の全期間につき本件各従前地の1平方メートル当たりの推定正常価格を算出すると,別紙推定正常価格表のとおりとなる(甲11,12,13,乙18)。以上の認定判断と異なる当事者双方の主張は採用できない。 イ個別払いの要否被告は,原告甲が,収用委員会の審理において,原告乙及び原告丙の代理人として,法101条1項の補償の支払先は原告甲一人だと文書で回答し,かつ,口頭で述べたため,原告乙及び原告丙に対しては,法101条1項に基づく補償をすることは不要である旨主張する。 確かに,乙3,7及び8によれば,平成19年12月20日に行われた収用委員会の審理において,原告乙及び原告丙からの委任をも受けていた原告甲は,収用委員会の会長から,補償金の支払先を確認する趣旨で「(本件)駐車場の賃料相当額の収益権者は誰か」と質問されたのに対し,同原告一人である旨回答した事実が認められるが,引き続いて同会長は,口頭でのやりとりでは不明確になるとして,同原告に対し,求釈明事項を記載した書面を渡すので,書面により回答を求める旨述べたことが認めら れる。そして,甲25の16及び24の5によれば,原告甲は,この求釈明事項書に対する釈明として作成,提出した第6意見書の8頁で,「法101条に係る補償」については,「(原告らの)各人持ち分面積による按分とし,年度毎請求とする。」旨主張した事実が認められ,その後にこれと異なる主張をした事実は認めら 出した第6意見書の8頁で,「法101条に係る補償」については,「(原告らの)各人持ち分面積による按分とし,年度毎請求とする。」旨主張した事実が認められ,その後にこれと異なる主張をした事実は認められない。しかるところ,前記1(2)アに説示したとおり,本件各従前地における営業者としての原告甲と,本件各従前地の所有者としての原告らとの間で,土地を利用できないことによる補償金をどのように配分取得すべきものとするかは,いわば原告らの内部問題ということができ,二重補償(二重賠償)とならない限りにおいて,その意思に従うものとするのが相当と判断されるから,被告としては,法101条1項の補償額は,上記第6意見書に従って,本件各従前地の原告らの所有面積ないし共有持分割合に応じて支払うべきものと認められる。 (2) 平成18年2月から同年10月までの代替駐車場提供による補償の可否被告は,原告らに対し,平成18年2月から同年10月までの法101条1項の補償として,本件代替地を提供したため,金銭により補償することを要しない旨主張する。 しかし,損失補償が特定の財産権について個人の受ける損失を経済的価値に換算して補償するものであることに鑑みれば,「通常生ずべき損失を補償」(法101条1項)するとは,その経済的価値を普遍的,客観的に示すことができる金銭をもって補償を行うことを原則とすべきである。したがって,当該財産権の損失を受けた者による明示的な申し出ないし同意がない限り,施行者は,現物による補償をもって法101条1項の補償とすることはできないというべきである。 これを本件についてみると,本件除却処分の前である平成15年8月11日に行われた被告と原告甲との交渉においては,「金銭補償が良いか替地の代用が良いか。」という被告からの問いかけに対し,原告甲 。 これを本件についてみると,本件除却処分の前である平成15年8月11日に行われた被告と原告甲との交渉においては,「金銭補償が良いか替地の代用が良いか。」という被告からの問いかけに対し,原告甲は,「金銭補償 の場合の諸条件を理解していないのではっきりとは言えないが,金銭補償の方が良いような気がする」等と回答しており,現物補償につき明示的に同意したとは認められない。(甲14)また,被告は,原告甲から本件駐車場についての管理権を受託したJA丁との間で協議を行い,金銭補償に代えて本件代替地を提供することについて合意をした旨主張するが,原告甲がJA丁に対し,法101条1項の補償として本件代替地の提供という現物補償によることを被告と合意する代理権を授与した旨の主張はなく,これを認めるに足りる証拠もないから,被告とJA丁の上記合意をしたことをもって,原告甲の上記同意があるということはできない。 その他,原告らが,被告に対し,法101条1項の補償として現物補償を申し出る旨の意思表示をしたという具体的事実の主張はなく,これを認めるに足りる証拠もない。 したがって,被告の前記主張は採用できない。 (3) まとめ法101条1項に基づく損失補償金の支払時期については,法令に明文の規定がないが,宅地以外の地代の支払時期を毎年末とする民法614条の趣旨を類推し,また,被告が地方公共団体であることに鑑みて,被告の会計年度末である毎年3月31日と認めるのが相当と判断する。このことと,前示のとおり同損失補償金(年額)を本件各従前地の推定正常価格の年4パーセントとすべきことからすると,各年度の損失補償金は,各年度を通じて別紙推定正常価格表の当該各年度の直近の数値を標準として算定するのが相当であり(ただし,平成18年2月14日 推定正常価格の年4パーセントとすべきことからすると,各年度の損失補償金は,各年度を通じて別紙推定正常価格表の当該各年度の直近の数値を標準として算定するのが相当であり(ただし,平成18年2月14日から同年3月31日までの間については,同年3月の数値を同等と認めて採用するのが相当である。),また,これに対する各支払期日の翌日以降の遅延損害金(民法所定年5分の割合)も「通常生ずべき損失」に含まれると解すべきである。 以上を総合すると,法101条1項による損失補償金は,別紙補償額計算書記載のとおり,原告甲及び原告乙については,それぞれ438万2213円及びうち11万3838円に対する平成18年4月1日から,うち90万3291円に対する平成19年4月1日から,うち87万7852円に対する平成20年4月1日から,うち86万9897円に対する平成21年4月1日から,うち83万0137円に対する平成22年4月1日から,うち78万7198円に対する平成23年4月1日から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金となり,原告丙については,2344万2859円及びうち60万8988円に対する平成18年4月1日から,うち483万2198円に対する平成19年4月1日から,うち469万6111円に対する平成20年4月1日から,うち465万3555円に対する平成21年4月1日から,うち444万0855円に対する平成22年4月1日から,うち421万1152円に対する平成23年4月1日から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金となる。 なお,平成22年4月1日から同23年3月31日までの損失補償金の支払を求める訴えについては,収用委員会の裁決を経ていないけれども,既に法律上の争点を同一にする収用委員会の本件裁決を経ており,同裁決に お,平成22年4月1日から同23年3月31日までの損失補償金の支払を求める訴えについては,収用委員会の裁決を経ていないけれども,既に法律上の争点を同一にする収用委員会の本件裁決を経ており,同裁決に基づき,上記期間の法101条1項に基づく補償金が供託されたことからすれば,裁決による補償額が確定しているに等しく,適法な訴えと解される。 4 弁済の抗弁について(1) 前示のとおり,被告は,原告甲に対して,平成20年4月21日,法78条1項の損失補償額として300万0405円,原告甲に対する同18年11月から同20年4月分の法101条1項の損失補償額として817万7350円(合わせて1117万7755円),同20年5月19日,同20年5月から同21年3月分の法101条1項の損失補償額として498万9600円,同21年4月27日,同21年4月から同22年3月分の法10 1条1項の損失補償額として544万3200円を各支払い,同22年4月1日,原告甲に対する同22年4月1日から同23年3月31日までの法101条1項の損失補償額として544万3200円を岐阜地方法務局多治見支局に供託した。 (2) 被告は,法78条1項に基づく上記補償金の支払は,本件除却処分の違法を理由とする賠償金と同一の被害に対する広義の金銭的補償である点について共通するため,同賠償金の弁済として有効である旨主張するほか,法101条1項に基づく上記補償金の支払は,原告ら3名に対する同項の損失補償金の弁済として有効である(原告甲一人に対してのみ弁済の効力が生じるとの原告らの主張は信義則に反する。)旨主張する。 よって検討するに,(3)アまず,法78条1項に基づく上記補償金300万0405円の支払は,本件除却処分の違法を理由とする国家賠償法1条1項に との原告らの主張は信義則に反する。)旨主張する。 よって検討するに,(3)アまず,法78条1項に基づく上記補償金300万0405円の支払は,本件除却処分の違法を理由とする国家賠償法1条1項に基づく賠償と同一の原因事実に基づく被害の填補としての共通性を有するため,同賠償の弁済として有効というべきである。 前示によれば,一部弁済日(平成20年4月21日)の時点では,原告甲の被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権として,460万9757円及びこれに対する平成18年2月14日から同20年4月20日までの年5分の割合による遅延損害金である50万3168円の債権が発生していたと認められるから,上記弁済金である300万0405円を遅延損害金,元本の順に充当すると,残元本は211万2520円となり,したがって,原告甲の国家賠償法1条1項に基づく請求は,211万2520円及びこれに対する平成20年4月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を求める限度で理由があることとなる。 イ次に,被告による法101条1項に基づく上記補償金の支払は,すべて 原告甲に対してされており,これが原告乙及び原告丙に対する補償の(一部)弁済となるものと認めるべき証拠はない。原告らが原告乙及び原告丙に対する弁済効を否認するのは信義則に反する旨の被告の主張に根拠があるとは認められず,これを採用することはできない。 そうすると,被告から原告甲に対し法101条1項に基づく損失補償として既に支払われた合計1861万0150円(供託金は除く。)は,前示により原告甲に支払われるべき法101条1項に基づく補償額を超えて過払いとなっているから(弁済金の充当関係は,別紙計算表のとおり。ただし,供託金については記載していない。),原告甲の法 。)は,前示により原告甲に支払われるべき法101条1項に基づく補償額を超えて過払いとなっているから(弁済金の充当関係は,別紙計算表のとおり。ただし,供託金については記載していない。),原告甲の法101条1項に基づく損失補償金の請求は理由がない。 5 結論したがって,原告甲の請求は211万2520円及びこれに対する平成20年4月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を求める限度で,原告乙の請求は438万2213円及びうち11万3838円に対する平成18年4月1日から,うち90万3291円に対する平成19年4月1日から,うち87万7852円に対する平成20年4月1日から,うち86万9897円に対する平成21年4月1日から,うち83万0137円に対する平成22年4月1日から,うち78万7198円に対する平成23年4月1日から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,原告丙の請求は2344万2859円及びうち60万8988円に対する平成18年4月1日から,うち483万2198円に対する平成19年4月1日から,うち469万6111円に対する平成20年4月1日から,うち465万3555円に対する平成21年4月1日から,うち444万0855円に対する平成22年4月1日から,うち421万1152円に対する平成23年4月1日から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないから棄却することとし,訴 訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,同64条,同65条を適用して,主文のとおり判決する。 岐阜地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官針塚遵 裁判官村上未来子 主文 訟法61条,同64条,同65条を適用して,主文のとおり判決する。 理由 事実 争点 判断 岐阜地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官針塚遵 裁判官村上未来子 裁判官笹邉綾子
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