平成7(ワ)7992 損害賠償等請求事件(通称 住友金属工業男女昇格昇級差別)

裁判年月日・裁判所
平成17年3月28日 大阪地方裁判所
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判決文本文130,443 文字)

主文 本件訴えのうち,原告,原告及び原告の,平成16年12月末日BCDを支払日とする別紙請求金一覧表の「差額賃金(月額」欄記載の金員の支)払を求める部分中の平成16年12月16日以降の差額賃金相当損害金の支払を求める部分及び平成17年1月から各月末日限り別紙請求金一覧表の「差額賃金(月額」欄記載の各金員の支払を求める部分並びにこれらに対)する各支払日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める部分を却下する。 被告は,原告に対し,1885万円及び別表の「原告内金」欄記載AAの金額に対する同表の「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を,原告に対し,1833万8000円及び別表Bの「原告内金」欄記載の金額に対する同表の「遅延損害金起算日」欄記B載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を,原告に対し,14C55万円及び別表の「原告内金」欄記載の金額に対する同表の「遅延損C害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を,原告に対し,1137万4000円及び別表の「原告内金」欄記載の金額DDに対する同表の「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用中,各原告に生じた費用の各20分の3及び被告に生じた費用の20分の3をいずれも被告の負担とし,各原告に生じた費用の各20分の17を各原告の負担とし,被告に生じた費用の20分の17を原告らの負担とする。 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 主位的請求 被告は,原告らに対し,別紙請求金一覧表の当該原告の「請求金合計」 負担とする。 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 主位的請求 被告は,原告らに対し,別紙請求金一覧表の当該原告の「請求金合計」( )欄記載の金員及び別紙遅延損害金一覧表1 ないし4 の当該原告の「請求金( )( )内金」欄記載の金額に対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告,原告及び原告に対し,平成14年4月から毎月末( )BCD日限り,別紙請求金一覧表の当該原告の「差額賃金(月額」欄記載の金員)及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 予備的請求 被告は,原告に対し,4950万円及びうち2500万円に対する平( )A成7年9月20日から,うち2450万円に対する平成15年10月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告に対し,2970万円及びうち1500万円に対する平( )B成7年9月20日から,うち1470万円に対する平成15年10月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告及び原告に対し,それぞれ1980万円及びうち10( )CD00万円に対する平成7年9月20日から,うち980万円に対する平成15年10月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,被告住友金属工業株式会社(以下「被告会社」という)の事務技。 術職掌(以下「事務職」ともいう)に属する従業員又は元従業員である原告。 らが,被告会社から,女性であることを理由として昇格及び昇級において差別的取扱い(以下「本件差別的取扱い」という)を受け,これにより,①主位。 職」ともいう)に属する従業員又は元従業員である原告。 らが,被告会社から,女性であることを理由として昇格及び昇級において差別的取扱い(以下「本件差別的取扱い」という)を受け,これにより,①主位。 的に,本件差別的取扱いがなかった場合の得べかりし賃金(退職金を含む)。 との差額(具体的には事務技術職掌に属する男性従業員(以下「男性事務職」 という)で同期同学歴の者との昭和61年度(昭和61年4月1日から昭和。 62年3月31日まで。以下,各年における前記期間を同様に各「年度」と称する)以降の賃金の差額)相当の損害及び精神的損害,②予備的に,技能職。 掌に属する従業員として採用された後,事務技術職掌に転換した男性従業員(以下「LC転換者」という)で同期同学歴の者との賃金差額を考慮した額。 相当の精神的損害,以上のほか,③弁護士費用相当の損害を被ったとして,不法行為に基づき,これらの損害賠償金と遅延損害金の支払を求めた事案である。 争いのない事実等(括弧内に証拠等を掲げたもの以外は,当事者間に争いがない)。 当事者( )ア被告会社は,昭和24年に設立された鉄鋼及び非鉄金属等の製造販売を主な事業内容としている株式会社であり,現在住友グループの中核に位置している。 平成6年3月末現在の資本金は約2106億円で,同年6月末の全従業員数は2万1097名である。 イ原告は,昭和14年12月生まれの女性であるが,昭和33年3月AにO高等学校を卒業後,翌34年9月11日から昭和37年7月31日まで訴外住友軽金属工業株式会社(以下「住友軽金属」という)庶務課に。 勤務し,同年8月1日に被告会社に入社した。 その後の原告の能力評価,所属,業務内容は,別紙1(なお,別紙A1ないし4は,被告会社準備書面一に添付されているものである)の 」という)庶務課に。 勤務し,同年8月1日に被告会社に入社した。 その後の原告の能力評価,所属,業務内容は,別紙1(なお,別紙A1ないし4は,被告会社準備書面一に添付されているものである)の()。 とおりであり(ただし,JK部長賞や同役員賞をグループの一員として受賞したとする点については当事者間に争いがある,平成11年12月。)に被告会社を定年により退職した。 ウ原告は,昭和25年4月生まれの女性であるが,昭和44年3月にBP高等学校を卒業後,同月に被告会社に入社した。 その後の原告の能力評価,所属,業務内容は,別紙2のとおりであBる。 なお,原告は,一部の品目の購買契約業務を担当するようになったB後も購買契約業務の補助業務を担当している。 エ原告は,昭和29年5月生まれの女性であるが,昭和48年3月にCQ高等学校を卒業後,同年4月に被告会社に入社した。 その後の原告の能力評価,所属,業務内容は,別紙3のとおりであCり,その後,平成14年4月には,カンパニー制導入に伴う組織変更により,鋼板建材カンパニー外注・購買部建材室に,同年10月には,組織変更により設備建材室に配属された。 原告は,現在,総合技術研究所と本社にかかる請負契約業務及び調C整業務(ただし,補助)を担当している。 オ原告は,昭和31年9月生まれの女性であるが,昭和50年3月にDR高等学校を卒業後,同年4月に被告会社に入社した。 その後の原告の能力評価,所属,業務内容は,別紙4のとおりであDる。 被告会社における採用制度( )ア被告会社の社員就業規則は,以下のとおり定めている(甲6。 )第1条(原則)。 , 被告会社における社員(試用中の者を含む)の就業に関してはこの規則の定めるところによる。 (略)第2条 ア被告会社の社員就業規則は,以下のとおり定めている。 第1条(原則)。 被告会社における社員(試用中の者を含む)の就業に関してはこの規則の定めるところによる。 (略)第2条(採用)新たに採用された者は,被告会社と雇用契約を締結し,次の書類を提出しなければならない。 履歴書 住所届 本人の写真 給与所得者の扶養控除等申告書 厚生年金・雇用保険被保険者証 その他被告会社が提出を求めた書類 第3条(試用・任用)(略) 第4条(配属)新たに採用した者の配属は,本人の経験・技能・体力等を考慮して行う。 第5条(異動)業務上必要がある場合は,転籍,転勤,派遣,出向等異動を命ずる。 第6条(役付の任免)(略) 第7条(分類) 社員を,各人が従事する職務の種類と内容及び各人が保有する職務遂行能力を中心として,後記3アウにいう各職掌,職分,職級に区分する。 (略) 別に管理職掌を設ける。 第8条(職掌転換)業務上必要がある場合は,職掌を転換する。 イ昭和26年に制定された被告会社の任用規程は,以下のとおり定めている。なお,後記下線部が昭和48年10月に削除された。 第1条(原則)この規程は,本社において採用する社員の任用に関する取扱いを定める。 第2条(選考書類)選考に際しては,あらかじめ志願者から次の書類を提出させるものとする。 就職申込書 最終学校の卒業成績証明書(旧制中学以上の学歴ある者) 学校当局推薦書(学校卒業後直ちに入社しようとする者) 学校当局人物調査表(新制高校卒業後直ちに入社しようとする者) 前職調査表(前職ある者) 写真(名刺型上半身) 戸籍謄本又は戸籍記載事項証明書 その他特に必要と認める書類 る者) 学校当局人物調査表(新制高校卒業後直ちに入社しようとする者) 前職調査表(前職ある者) 写真(名刺型上半身) 戸籍謄本又は戸籍記載事項証明書 その他特に必要と認める書類第3条(選考方法)選考には,面接及び健康診断を行うものとする。 ただし,事情により筆記試験又は適性検査を行うことがある。 面接は,本人の関係書類・就職申込書・前職調査表及び観察表により行うものとする。 健康診断は,体格・臨床及びX線検査により行うものとする。 第4条(試用・任用)(略) 試用採用及び社員任用の辞令は,本社において交付する。 ただし,事情により特に指定した所において交付することがある。 第5条(入社日) 採用辞令の日付をもって本人の入社日とする。 ただし,第4条第1項ただし書の場合は,任用辞令の日付とする。 第6条(所における準用)この規程は,所において採用する者について準用することができる。 被告会社における職分制度の概要( )ア被告会社では,昭和35年8月6日付けで住友金属労働組合連合協議会と締結した協定書(以下「昭和35年職分協定」という。乙2の1)により,職務の種類と内容等により管理職を除く従業員を四つの職掌(事務技術職掌,作業職掌(昭和49年8月1日付けで技能職掌に改称(甲12の2,以下,この時の職分制度の改正を「昭和49年職分制度改正」とい)う,特務職掌,医務職掌)に分類し,さらに各職掌において職分・職。)級に区分する職分制度を採用していた。 ア職掌の定義()a事務技術職掌事務的又は技術的専門知識・経験を基として,事務的又は技術的業務の調査・研究・企画・設計・指導・監督・調整・実施・監査・対内外折衝等を行う者をいう。 b技能職掌(昭和49年職分制度改正前は作業職掌)作業知識・技能 門知識・経験を基として,事務的又は技術的業務の調査・研究・企画・設計・指導・監督・調整・実施・監査・対内外折衝等を行う者をいう。 b技能職掌(昭和49年職分制度改正前は作業職掌)作業知識・技能を基として,主として生産又は生産に関連する作業に直接又は間接的に従事する者及びこれらの作業員を直接指導監督する者をいう。 (略)イ職分の定義()a原告らは,事務技術職掌に分類されており,事務技術職掌は,以下のとおりの職分に分類されていた。 なお,昭和42年10月1日に職分制度が改正(以下,この改正を「昭和42年職分制度改正」という。乙2の2)される以前は,一般執務職は,一般事務技術職と呼称されていた。 a管理補佐職副長又はこれに相当する職()b企画総括職上長の指示に従い,高度の専門的知識と経験をも()って総合,分析,調整,折衝,統制,監督及び重要な計画・設計等複雑困難な業務の企画総括を主とする職c専門執務職相当包括的な指示又は基準に従い,専門知識と経()験をもって細部に関する企画,調査,分析及び指導等業務の実施を主とする職d一般執務職具体的指示又は基準に従い,専門知識と経験をも()って基準の細部についての部分的・定型的分析,調査及び業務の定型的実施を主とする職b技能職掌は,昭和49年職分制度改正後,以下のとおりの職分に分類されていた(甲12の2。 )a統括職総作業長又はこれに相当する職()b上級監督職作業長又はこれに相当する職()c監督指導職工長又は高度の作業知識と卓抜な熟練技能を基と()して,複雑困難な作業に従事する職d一般技能職具体的指導監督の下に,一般的作業に従事する職()ウ職分職級(特務職掌,医務職掌については省略)()昭和49年職 な熟練技能を基と()して,複雑困難な作業に従事する職d一般技能職具体的指導監督の下に,一般的作業に従事する職()ウ職分職級(特務職掌,医務職掌については省略)()昭和49年職分制度改正後の職分職級は以下のとおりであった。 技能職統括職上級監督一般職掌分監督職指導職技能職職級 事職管理企画専門務分補佐職総括職執務職技職級 術一般職執務職掌 なお,上は事務技術職掌と技能職掌の職分職級上の位置付けの対応をも表しており,したがって,技能職掌から事務技術職掌に職掌を転換する場合,職掌転換後の職分職級は,転換によって,当人の処遇に変動が生じないよう,職掌転換前の職分職級をその上下にスライドさせた職分職級となった。ただし,技能職掌一般技能職1級の者が事務技術職掌に職掌転換するときは,原則として一般執務職1級に当てはめるものとしていた。 なお,昭和42年職分制度改正前は,事務技術職掌については,企画総括職は2級まで,その下に専門執務職1ないし3級,その下に一般事務技術職1ないし3級が存在した。 エ初任の職分職級()事務技術職掌の初任の職分職級は,以下のとおりとされていた。 a昭和35年職分協定締結時次の場合を除き各職掌一般職3級を初任職級とし,職分点は0点とする。 a新制大学卒()専門執務職3級見習とし,職分点は付与しない。 見習期間終了時は専門執務職3級とし,職分点は0点とする。 b新制高校卒() 原則として一般事務技術職2級とし,職分点は5点とする。 見習として予備的訓練のため,長期実習を命ぜられるものの実習終了後の職級は一般事務技術職1級とし,職分点は10点とする。 制高校卒() 原則として一般事務技術職2級とし,職分点は5点とする。 見習として予備的訓練のため,長期実習を命ぜられるものの実習終了後の職級は一般事務技術職1級とし,職分点は10点とする。 b昭和42年職分制度改正昭和42年職分制度改正により,事務技術職掌の初任の職分職級及び個人職分点も,次のとおり改正された(16条,乙2の2。 )初任時における職分職級及び個人職分点は,次のとおりとする。ただし,経験者その他特に必要と認める者については,その人物・技能・経験等を参酌して,その都度被告会社が決定する。 次の場合を除き,一般執務職(従来の一般事務技術職から名称変更)3級とし,個人職分点は0点とする。 a大学卒業(大学院卒を含む。以下同じで「大卒」と略称す(),る)者は,専門執務職3級見習とし,個人職分点は付与しない。 。 見習期間終了時は,専門執務職3級とし,個人職分点は0点とする。 b見習として予備的訓練のため長期実習を命ぜられた者の実習終()了後の職分職級は,一般執務職2級とし,個人職分点は5点とする。 c昭和61年職分制度改正昭和61年10月1日に職分制度協定が改正され(以下,この改正を「昭和61年職分制度改正」という。乙2の3,初任時における)職分職級及び個人職分点は,次のとおりとされた。 ただし,経験者その他特に必要と認める者については,その人物・技能・経験等を参酌して,その都度被告会社が決定する。a長期実習を命じない一般事務業務従事として採用された者は次()のとおりとする(なお,以下,短期大学卒業を「短大卒,高等学」校卒業を「高卒」と略称する。 。) 職分職級個人職分点高卒者一般執務職3級0点短大卒者〃2点大卒者〃4点b大卒者で長期実習を命ずる専門事務技術業務従事と 卒,高等学」校卒業を「高卒」と略称する。 。) 職分職級個人職分点高卒者一般執務職3級0点短大卒者〃2点大卒者〃4点b大卒者で長期実習を命ずる専門事務技術業務従事として採用さ()れた者は,専門執務職3級見習とし,個人職分点は付与しない。実習終了時は,専門執務職3級とし,個人職分点は0点とする。 イ職分職級の運営(昇進)職分職級の運営(昇進)は,能力評価,基本職分点及び個人職分点に基づき,原則として毎年1回の定期査定時(4月1日)に行うこととしているが,その具体的な運営方法は次のとおりである。 ア能力区分と標準基本職分点()能力評価要綱に基づいて各人の能力評価を行い「OA」ないし「O,C」の7段階からなる能力区分を決定する。 職分制度協定上,事務技術職掌については,標準的な基本職分点として,次のとおり,能力区分のうち「OA」ないし「OC」の5区分に,対応する基本職分点のみを明示している。 OAABCOC一般執務職2.001.551.000.750.60専門執務職5.003.002.001.150.80企画総括職8.006.004.001.750.75イ能力評価区分と能力評価区分別基本職分点()前記アにかかわらず,硬直的な昇進運営を回避するため,能力区分()内の運営区分として11段階に細分化した評価区分(以下,別表D①-1ないし3及び別表D②-1ないし3(以下「本件人事資料」という)上の概念である評価区分と区別する意味で「能力評価区分」とい。 ()う。なお,別表A,別表B及び別表Dは,いずれも原告ら準備書面38に添付されているものである)を設け,次のとおり,能力評価区分別。 に基本職分点を定めている。 能力区分OAAB+B ()う。なお,別表A,別表B及び別表Dは,いずれも原告ら準備書面38に添付されているものである)を設け,次のとおり,能力評価区分別。 に基本職分点を定めている。 能力区分OAAB+BC+COC能力評価区分OAA+AA-B+BB-C+CC-OC一般執務職2.00 1.75 1.55 1.35 1.15 1.00 0.90 0.80 0.75 0.70 0.60専門執務職5.00 4.00 3.00 2.60 2.30 2.00 1.50 1.30 1.15 1.00 0.80企画総括職8.00 7.00 6.00 5.30 4.65 4.00 3.25 2.25 1.75 1.25 0.75ウ調整点について()個人職分点が過去の能力評価の積み上げであることによる硬直的な昇進運営を回避する観点から,これを調整するため,被告会社は別に調整点を設けている。 エ個人職分点の決定()基本職分点を査定期間中の欠勤日数に応じて修正し,これを前年度の各人の個人職分点に加算して,当年度の個人職分点を決定する。 オ昇進の決定()職分職級の昇進については,各人の個人職分点が所定の職分職級昇進資格点に到達した場合は昇進の検討の対象となるが,昇進には次の2種類がある。 a選抜昇進個人職分点が所定の選抜昇進資格点以上に達し,当該職分職級に必要とする経験・能力を有する者の中から,次の選定基準によって選定して昇進させる。 a技能職掌()作業組織上の観点より選定を行う場合は,徳望・識見・技能をⅰ 兼ね備え,十分な統率能力を有する者より選定する。 主として職務内容に着目して選定を行う場合は,高度の作業知ⅱ識と卓抜な熟練・技能を基として複雑困難な作業に従事している者より選定する。 主として能力面に着 ,十分な統率能力を有する者より選定する。 主として職務内容に着目して選定を行う場合は,高度の作業知ⅱ識と卓抜な熟練・技能を基として複雑困難な作業に従事している者より選定する。 主として能力面に着目して選定を行う場合は,卓抜な能力・識ⅲ見を有するが,作業組織の関係上役分に任命し得ない者より選定する。 b事務技術職掌()技能職掌に準じて取り扱う。 b自動昇進個人職分点が所定の自動昇進資格点以上に達した者は,自動的に昇進させる。 昇進については,原則としては上記の2種類であるが,これ以外に,職分制度協定15条2項ただし書に「特に優秀な者については,個人職分点の如何にかかわらず昇進させることがある」と定義されており,。 業務実績が特に顕著な者や能力的に特に優れていると認められた者については,職分点に関係なく上位の職分職級に昇進させることがある。 カ昇進資格点()a自動昇進職分職級資格点専門執務職の個人職分点32点以上1(昭和42年職分制度改正時に38点以上として追加後,昭和49年に変更。甲12の2)専門執務職の個人職分点16点以上専門(昭和42年職分制度改正時に20点以上として追加執務職2後,昭和49年に変更。甲12の2) 一般執務職の個人職分点18点以上(昭和42年職分制度改正時に20点以上として追加後,昭和49年に変更。甲12の2)3(一般事務技術職の職分点21点以上とされていたものが,昭和42年職分制度改正時に削除)一般1一般執務職の個人職分点10点以上執務職2一般執務職の個人職分点5点以上3一般執務職の個人職分点5点未満b選抜昇進職分職級資格点管理1企画総括職の個人職分点40点以上補佐職1企画総括職の個人職分点12点以上(昭和42年職分制度改正時に10点以上から 3一般執務職の個人職分点5点未満b選抜昇進職分職級資格点管理1企画総括職の個人職分点40点以上補佐職1企画総括職の個人職分点12点以上(昭和42年職分制度改正時に10点以上から変更)企画2企画総括職の個人職分点6点以上総括職(昭和42年職分制度改正時に18点以上から変更)3専門執務職の個人職分点18点以上(昭和42年職分制度改正時に追加)1専門執務職の個人職分点12点以上専門2専門執務職の個人職分点6点以上執務職3一般執務職の個人職分点10点以上(昭和42年職分制度改正時に15点以上から変更) 被告会社における賃金制度( )ア昭和37年8月昭和37年8月1日に締結された給与に関する協定(乙3の1)において,基準内賃金は,基本給,業務手当,勤務加算,家族手当の4項目から 構成されていたが,このうち業務手当は基準内賃金のおおむね47%程度を占め,職分職級に応じて支給される給与として,次のとおり規定されていた。 第13条(業務手当)事務技術職掌の業務手当は次のとおりとする。 支給算式所定労働時間勤務1か月につき,次のとおりとする。 基本給×業務手当支給率+基準単価×職分係数+250円 支給率(上記業務手当支給率)は次のとおりとする。 職分職級支給率管理補佐職1級78.0%企画総括職1級72.1%〃2級68.1%専門執務職1級64.1%〃2,3級60.0%一般事務技術職1ないし3級なお,職掌転換者については,別に定める率を上記支給率に加算する。 基準単価は603円10銭とする。 職分係数は次のとおりとする。 職分職級職分係数管理補佐職1級11.0企画総括職1級9.5〃2級8.0専門執務職1級6.5〃2級5.5 〃3級4.5 0銭とする。 職分係数は次のとおりとする。 職分職級職分係数管理補佐職1級11.0企画総括職1級9.5〃2級8.0専門執務職1級6.5〃2級5.5 〃3級4.5一般事務技術職1級3.5〃2級2.5〃3級1.5イ昭和45年8月昭和45年8月1日,基本給については,労働協約付属協定に以下の規定が置かれた(乙3の2。 )第11条(初任基本給)初任基本給は,別表(省略)に定めるとおりとする。ただし,経験者その他特に必要と認める者については,その人物・技能・経験等を参酌して,その都度被告会社が決定する。 第18条(実習生手当)学校卒業後直ちに入社し,長期実習を命ぜられた者の入社初年度については,基本給及び業務手当にかえ,所定労働時間勤務1か月につき,別表(省略)に定める実習生手当を支給する。 ウ昭和56年4月事務技術職掌の給与については,従来の業務手当,勤務加算等が職分給Ⅱと職能給に統合再編され,基準内賃金は主として基本給,職分給Ⅱ,職能給(勤務の実績に応じ,交替勤務手当が含まれることがある)から構。 成されることになった。 このうち,職分給Ⅱは基準内賃金のおおむね35%程度を占め,各人の保有する職務遂行能力に対応する給与として業務手当の考え方を基本的に踏襲し,引き続き職分職級との結びつきを相当程度存置させる体系としており,具体的には次のとおり規定した(乙3の3。 )第15条(職分給Ⅱ)事務技術職掌の職分給Ⅱは,次のとおりとする。 支給算式所定労働時間勤務1か月につき,次のとおりとする。 基本給×支給率+職分基準単価×職分係数+職分定額 支給率及び職分基準単価は,別表に定めるとおりとする。 職分係数は,次のとおりとする。 職分職級職分係数管理補佐職1級9.5企 とする。 基本給×支給率+職分基準単価×職分係数+職分定額 支給率及び職分基準単価は,別表に定めるとおりとする。 職分係数は,次のとおりとする。 職分職級職分係数管理補佐職1級9.5企画総括職1級8.5〃2級7.7〃3級6.9専門執務職1級6.1〃2級5.3〃3級4.5一般執務職1級4.5〃2級3.5〃3級2.5 職分定額は,基礎額及び加算額とし,それぞれ別表に定めるとおりとする。 なお,上記2,4に記載の別表は次のとおりである。 (1)支給率20.27%(2)職分基準単価6900円(3)職分定額①基礎額職分職級定額管理補佐職1級17,400円企画総括職1級・2級16,450円 〃3級15,500円専門執務職1級・2級15,500円〃3級13,900円一般執務職1級13,900円〃2級12,000円〃3級上級・中級10,100円〃3級一般8,100円②加算額職分職級別中間段階上級該当者2,760円職分職級別中間段階中級該当者1,380円エその後,改定が行われ,平成7年7月1日に大幅に改定される直前の制度内容は以下のとおりである。 ア基本賃金について()a基本賃金の構成被告会社の基本賃金は,①基本給,②職分給Ⅰ(技能職掌の場合)・職分給Ⅱ(事務技術職掌及びその余の職掌の場合,③職務給(技)能職掌の場合・職能給(事務技術職掌及びその余の職掌の場合)か)ら構成されている。 b基本給について基本給は,考課,勤続年数及び生計費傾向を反映する給与であり,具体的には,次の算式により算定する。 基本給=初任基本給+昇給額+年齢補正額a初任基本給について()昭和40年10月1日付け(甲10, は,考課,勤続年数及び生計費傾向を反映する給与であり,具体的には,次の算式により算定する。 基本給=初任基本給+昇給額+年齢補正額a初任基本給について()昭和40年10月1日付け(甲10,昭和43年8月1日付け)(甲11の3・5)各労働協約付属協定においては「学校卒業後,直ちに入社した定期採用者」と「それ以外の者(昭和43年8月」 1日付け前記協定では「その他の初任職級一般職3級の者)とに」分けた上,前記定期採用者については,高卒・大卒の学歴ごとに額が規定されていたが,昭和49年8月1日付け(甲12の2・3)及び昭和56年10月1日付け(甲13の2・3)各労働協約付属協定では,高卒後直ちに入社し,長期実習を命じない事務技術・特務・医務職掌定期採用者とその他の初任職級一般職3級の者とに二分して規定されることになった。 なお,平成6年度の初任基本給の額は次のとおりである。 高卒者5万7190円短大卒者6万2110円大卒者6万8060円b昇給額について()毎年の定期査定時に,原則として昇給基準要綱に定める昇給基準の範囲内で,各人の考課に応じた各人ごとの昇給額を決定している。 平成6年度の昇給基準は次のとおりである。 年齢満49歳以下の者ⅰ昇給額最高基準最低勤続年齢満19初1年歳以上22 2300円1840円1180円一任未満歳迄の者職の者それ以外2570円2040円1340円般級の者事3勤続年齢満19執級1年歳以上22 2550円2270円1380円務の以上歳迄の者 務者の者それ以外下の一般執務職3級に同じ技の者職 級2380円の上限25%以内術一般者4040円下限15%以内1680円 級2550円〃職 級2860円〃 務者の者それ以外下の一般執務職3級に同じ技の者職 級2380円の上限25%以内術一般者4040円下限15%以内1680円 級2550円〃職 級2860円〃 級3260円の上限35%以内掌専門執務職6510円下限25%以内2300円 級3680円〃 級4080円〃企画総括職7580円4730円の上限45%以内3330円下限25%以内管理補佐職別に定める年齢満50歳以上の者ⅱ昇給額最高基準最低事3級1320円~720円~370円務一般執務職2級2380円1410円~770円~390円0円技1級1580円~860円~440円術3級2130円~980円~170円職専門執務職2級4230円2400円~1110円~190円0円掌1級2660円~1230円~210円企画総括職4270円3550円~1420円~240円0円管理補佐職別に定めるc年齢補正額()毎年4月1日現在の満年齢が19歳から40歳までの者を対象 に,その満年齢に応じ,原則として昇給基準要綱に定める補正額を昇給額に加算している。 なお,平成6年度の補正額は次のとおりである。 補正額(満年齢)一般者LC転換者技能職掌19~21歳410円250円250円22~23歳570円720円720円24~27歳610円28~32歳640円720円720円33~40歳750円c職分給Ⅱについて各人の職務遂行能力を反映する給与であり,具体的には,次の算式により算定する。 職分給Ⅱ=職分基準単価×職分係数+職分定額基礎額+加算額a職分基準単価について()職分係数の如何にかかわらず同一金額であり,平成6 反映する給与であり,具体的には,次の算式により算定する。 職分給Ⅱ=職分基準単価×職分係数+職分定額基礎額+加算額a職分基準単価について()職分係数の如何にかかわらず同一金額であり,平成6年度実績は後記のとおり3670円である。 b職分係数について()職分職級の違いを給与に反映させるため,職分職級ごとに設定された一定の係数であり,平成6年度実績は後記のとおりである。 c職分定額基礎額について()職分職級の違いを給与に反映させるため,職分職級ごと(ただし,一般執務職3級については,後記dで述べるとおり,中間段階を()設けてさらに細分化している)に設定された一定の金額であり,。 平成6年度の実績は次のとおりである。 職分職級職分基準単価職分係数職分定額基礎額管理補佐職1級9.57万8205円1級8.57万6369円企画総括職2級7.73級6.91級6.17万4533円専門執務職2級3670円5.33級4.56万9745円1級一般執務職2級3.55万0481円3級2.53万8364円d加算額について()職分職級が昇進しない者も一定の年数を経過すれば職分給が増えるようにするため,同一職分職級内においても,さらに中級又は上級という中間段階を特に設定し,当該職分職級昇進後,一定の在級年数を経過した者につき,一定の金額を加算している。 平成6年度の実績は次のとおりである。 職分職級中間段階対象者加算額1級上級当該職級昇進後満4年を経専門執務職2級過した者3級上級当該職級昇進後満3年を経1460円1級過した者2級上級当該職級昇進後満2年を経一般執務職過した者上級当該職級中級適用後満2年3級を経過した者730円 2級過した者3級上級当該職級昇進後満3年を経1460円1級過した者2級上級当該職級昇進後満2年を経一般執務職過した者上級当該職級中級適用後満2年3級を経過した者730円 中級入社後満1年を経過した者なお,在級年数は,専門執務職3級については一般執務職1級の在級年数を通算し,また,一般執務職3級については入社後の経過年数による。職能給について職務遂行に際しての能力発揮の度合いを反映する給与であり,具体的には次の算式により算定する。職能給=職能基準単価×職能点+加算額職能基準単価について職分係数の如何にかかわらず同一金額であり,平成6年度実績は544.32円である。職能点についてⅠないしⅣの各職能区分ごとに,次のとおり最高,基準,最低の職能点があらかじめ設定されている。なお,Ⅳは管理補佐職,Ⅲは企画総括職,Ⅱは専門執務職,Ⅰは一般執務職(1ないし3は1級ないし3級)にそれぞれ相当する。職能区分最高基準最低Ⅳ~Ⅲ~Ⅱ~Ⅰ各人の職能点は,まず,毎年の定期査定時に能力評価要綱に定める技能度の合計評点に応じて,次のとおり5段階に区分される。区分合計評点90点以上75点以上90点未満50点以上75点未満35点以上50点未満35点未満さらに各区分内において,次のとおり職能区分ごとに点数の範囲が細分化されており,この基準に基づいて,各人ごとの職能点を決定している。職能区分Ⅳ350~296295~291290~270 て,次のとおり職能区分ごとに点数の範囲が細分化されており,この基準に基づいて,各人ごとの職能点を決定している。 職能区分 Ⅳ350~296295~291290~270269~265264~210Ⅲ290~246245~236235~205204~195194~155Ⅱ220~176175~166165~135134~125124~100 150~141140~131130~120119~110109~100Ⅰ 120~111110~106105~9594~9089~80 95~8887~8382~7271~6766~60c加算額について()職能区分Ⅰ(一般執務職)の者のうち,前述した中間段階の者に対し,同様の趣旨に基づき,一定の金額を加算している。 平成6年度実績は,一般執務職1級及び2級の各上級適用者が1960円,一般執務職3級上級及び中級適用者が980円である。 e基本賃金の改定以上の基本賃金の金額は,毎年の被告会社と労働組合とのベースアップ交渉により,改定されることがある。 イ賞与一時金について()賞与一時金については,労働組合との交渉により,原則として年2回,夏期及び年末に支給している。 a一時金についてa労働組合との交渉により,算式及び基準金額が決定される。各()人ごとの支給金額は,支給日当日の各人の職分職級,職能点等により決定される。 b平成6年度の算式等の実績(半期分)は次のとおりである。 ()算式ⅰ一時金=基本給× リンク率+定額Ⅰ+定額Ⅱリンク率ⅱ1.43621定額Ⅰⅲ支給日当日の職分職級に応じ,下記の金額が支給された。 職分職級金額管理補佐職1級18万6000円1級17万90 本給× リンク率+定額Ⅰ+定額Ⅱリンク率ⅱ1.43621定額Ⅰⅲ支給日当日の職分職級に応じ,下記の金額が支給された。 職分職級金額管理補佐職1級18万6000円1級17万9000円企画総括職2級17万2000円3級16万5000円1級上級15万9600円一般15万6000円専門執務職2級上級15万0600円一般14万7000円3級上級13万4100円一般12万5500円1級上級13万4100円一般12万5500円2級上級10万5400円一般執務職一般9万2000円 上級7万1900円3級中級6万5200円一般5万8500円定額Ⅱⅳ支給日当日の職能点に応じ,下記の金額が支給された。 職能点金額265点~350点24万1500円235点~264点22万7000円215点~234点21万2500円195点~214点19万8000円165点~194点16万2000円135点~164点12万6000円125点~134点12万1000円100点~124点9万4500円60点~99点6万8000円b賞与について賞与は,労働組合との交渉により,毎年の基準金額が決定される。 各人ごとの支給金額は,各支給期における各人の考課(査定期間は,原則として夏期分は前年10月1日から当年3月末日まで,年末分は当年4月1日から当年9月末日まで)により決定している。 なお,平成6年度の支給基準は基本給の0.96か月であった。 被告会社の能力評価制度( )被告会社は,労使間の協定により定められた能力評価要綱に基づき,従業員全員の能力評定を実施しているが,その概要は次のとおりである。 ア評価要素),能力評価は,技能度(①熟練の程度,②仕事の実 )被告会社は,労使間の協定により定められた能力評価要綱に基づき,従業員全員の能力評定を実施しているが,その概要は次のとおりである。 ア評価要素),能力評価は,技能度(①熟練の程度,②仕事の実績,③仕事の応用力 勤怠(勤務状況,人的特性(①積極性,②協同性)の三つの評価要素に)ついて行われる。 各評価要素ごとの評点は5段階で評定され,それぞれの評点の合計によって,各能力区分に分けられる。 イ評定基準各評価要素については,次の基準を基に,bを標準としてa,b,cの3段階で評定している(ただし,特に秀でた者又は特に劣る者については,例外的にoa,ocの評定を行う。 。)ア技能度()a熟練の程度職務評価において評価した技能度と比較し,熟練の度合いを評定する。 評定段階評定基準a現在の仕事に精通し十分な技能を有している。 b現在の仕事に対して通常の技能を有している。 cおおむね現在の仕事は遂行できるが,技能はやや不足している。 b仕事の実績与えられた仕事の遂行結果の良否・正確さ・所定期間内の達成度等,その成果を評定する。 評定段階評定基準a職務遂行に当たり,的確な処理を行い,予期以上の効果を上げている。 b職務遂行に当たり,予期どおりの効果を上げている。 c職務遂行に当たり,時に予期どおりの効果を上げていない。 c仕事の応用力職務知識・経験を基として,状況の変化又は新任務に対する応用能力を評定する。 評定段階評定基準a著しい状況の変化についても十分に処理し得る。 b状況の変化に応じ,普通程度に処理し得る。 c状況の変化に際し,時に処理が困難なことがある。 イ勤怠-勤務状況()仕事に対し,各人の出欠勤を中心として,その勤務振りを評定する。 評定段階評定基 変化に応じ,普通程度に処理し得る。状況の変化に際し,時に処理が困難なことがある。 主文 勤怠-勤務状況 仕事に対し,各人の出欠勤を中心として,その勤務振りを評定する。 評定段階評定基準 a仕事に対して極めて精励である。 b仕事に対して精励である。 c仕事に対しておおむね精励である。 人的特性 積極性 一々指示を与えられなくても,進んで仕事を行う性向を評定する。 評定段階評定基準 a自ら進んで仕事に取り組み,創意工夫に富む。 b自ら進んで仕事に取り組む。 c予定どおりの仕事に対して時に指示する必要がある。 協同性 他と協力して仕事を行う性向を評定する。 評定段階評定基準 a積極的に他とよく協力して仕事を行う。 b他と協力して仕事を行う。 c他との協力は時に不十分である。 評点 評価要素及び評定段階を基に設けられた評点を合計して各人についての評点の合計点を求める。 〈事務技術・特務・医務職掌〉 評定段階 oa ab c o c 評価要素 熟練 技能度 実績 応用力 勤怠 勤務状況 人的特性 積極性 協同性 能力区分 上記の評点を基に,次のとおり能力区分を決定している。 能力区分合計評点 OA180点以上 A145点〃 B+130点〃 B110点〃 C+90点〃 C75点〃 OC75点未満 苦情処理手続 苦情処理手続については,職分制度協定の苦情処理機関要綱において,次のとおり定めている。 ア苦情処理機関 ア苦情処理の段階 苦情処理の機関としては,慎 未満 苦情処理手続( )苦情処理手続については,職分制度協定の苦情処理機関要綱において,次のとおり定めている。 ア苦情処理機関 ア苦情処理の段階()苦情処理の機関としては,慎重な審議と公正な処理を期するため,原則として2段階ないし3段階制を採る。 イ構成()a第1段階苦情の申立てが行い易く,かつ迅速な解決を図るため,委員会制を採らず,当該工場・室長,当該組合支部代表者のほか別に定める双方の職場関係者の審議により処理する。 b第2段階以上委員会制を採用し,会社側は労務担当部・室長,組合側は組合本部代表者のほか,別に定める双方の委員をもって構成する。 c議決方法苦情処理機関における議決方法は,その性格上全員一致の原則による。 イ苦情処理手続ア申立方法()苦情の申立ては原則として書面をもって行う。 ただし,第1段階の苦情処理機関への申立てについては,実態に即し簡素化を図るため,口頭にて申立てを行い得るものとする。 イ申立期間()苦情の本旨に鑑み,申立期間を各段階に応じ定める。 ウ審議期間()苦情を公正,かつ迅速に処理し得るよう,各段階ごとに審議期間を設定する。 ウ苦情処理決定の効力苦情処理解決の結果,事態発生時の適用と異なる決定の行われた場合は, その決定は事態発生時に遡り効力を発するものとする。 エ審議不調の場合の取扱い最終段階の苦情処理機関において審議が調わなかった場合は,その取扱いについて会社・組合双方協議する。 被告会社の他の制度における男女間格差( )ア自己都合退職の場合の退職金住友金属本社従業員組合(以下「訴外組合」という)との間の昭和4。 0年10月1日付け労働協約附属協定(甲10)において,被告会社は,組合員が退職した時は,退職時の基本給に勤続年 退職の場合の退職金住友金属本社従業員組合(以下「訴外組合」という)との間の昭和4。 0年10月1日付け労働協約附属協定(甲10)において,被告会社は,組合員が退職した時は,退職時の基本給に勤続年数に応じた乗率を乗じた退職金を支給するとし,自己都合の場合の金額を以下のとおりとしていた。 勤続満2年以上満3年未満所定額の6分の1勤続満3年以上満5年未満所定額の6分の2勤続満5年以上満10年未満所定額の6分の3勤続満10年以上満15年未満所定額の6分の4勤続満15年以上満20年未満所定額の6分の5勤続満20年以上所定額全額ただし,女子が結婚のため退職する場合は,以下のとおり増額していた。 勤続満1年以上満5年未満所定額の85%勤続満5年以上所定額全額しかも,訴外組合との間の昭和43年8月1日付け労働協約付属協定(甲11の4)により,前記女子優遇規定を,以下のとおり変更した。 勤続満1年以上満3年未満所定額の85%勤続満3年以上満5年未満所定額の100%勤続満5年以上所定額の110%ただし,退職後約6か月以内に結婚する時に限る。 なお,平成4年4月11日付け労働協約付属協定により「女子が」の, 文言が削除された。 イ定年制被告会社においては,定年を男子につき満55歳,女子につき満50歳とし,男女別定年制がとられていたが,昭和56年にそれが廃止された。 ウ結婚祝金訴外組合との間の昭和40年10月1日付け労働協約附属協定(甲10)に基づき,組合員が結婚するときに共済会が原則として支給する結婚祝金についても,昭和56年までは,以下のとおり,男女において支給額が異なっていた。 勤続男子女子満6か月以上4000円2000円満1年未満満1年以上3500円満2年未満6000円(昭 も,昭和56年までは,以下のとおり,男女において支給額が異なっていた。 勤続男子女子満6か月以上4000円2000円満1年未満満1年以上3500円満2年未満6000円(昭和49年8月1日から4000円。甲12の3)満2年以上9000円5000円満3年未満(昭和49年8月1日から1(昭和49年8月1日か6万円。甲12の3)000円。甲12の3)1万2000円7000円満3年以上(昭和49年8月1日から1(昭和49年8月1日から万3000円。甲12の3)8000円。甲12の3) 被告会社における高卒男性事務職又はLC転換者と高卒女性事務職との( )格差ア昇進ア高卒男性事務職()平成7年6月に被告会社に在籍する高卒男性事務職(出向者も含 む)336名の各入社年ごとの管理補佐職への昇進状況は,別表D⑫。 -1のとおりである。 なお,Eは入社21年目に,F及びGは入社22年目に,それぞれ管理補佐職に昇進している。この3名は,いずれも企画総括職3級及び同2級の各在籍年数が2年で,同1級から3年間で管理補佐職に昇進している。 また,前記高卒男性事務職336名の職分ごとの在籍年数は,以下のとおりである。 a一般執務職5年333名(99.1%,F,E,Gを含む)。 6ないし8年各1名(各0.3%)b専門執務職6年1名(0.3%)7年0名8年19名(5.7%,Eを含む)。 9年311名(92.5%,F,Gを含む)。 10年4名(1.2%)未昇進者1名(0.3%)c企画総括職5年12名(3.6%)6年111名(33.0%)7年125名(37.2%)8年51名(15.1%)9年12名(3.6%)10年9名(2.7%)11年 )c企画総括職5年12名(3.6%)6年111名(33.0%)7年125名(37.2%)8年51名(15.1%)9年12名(3.6%)10年9名(2.7%)11年4名(1.2%) 12年3名(0.9%)13年1名(0.3%)未昇進者8名(2.4%)イLC転換者()昭和35年から昭和50年に採用された高卒のLC転換者(出向者を含む。このうち,被告会社が後記31 の被告会社の主張イイgで主張( )()するところのBHを,以下「BH」といい,LC転換者の中からBHを除いた者を,以下,単に「LC」という)の入社年別職級別人員分布。 の状況は,平成6年4月末の時点が別表A①-5-1ないし3,平成7年4月末の時点が別表A②-5-1ないし3のとおりである。 ウ高卒女性事務職()平成7年6月1日の時点で被告会社に在籍している高卒女性事務職の昇進の状況は別紙6(なお,別紙6及び別紙8ないし10は,被告会社準備書面27 に添付されているものである)のとおりであり,管理補()。 佐職へ昇進した者は以下のとおりである(弁論の全趣旨。 )a高卒女性事務職では,Vが勤続37年目に,平成7年4月1日付けで2名がそれぞれ勤続31年目と勤続34年目に(なお,この2名はいずれも入社約30年目に昇進した企画総括職3級からの昇進である,それぞれ管理補佐職1級に昇進した。 。)しかも,平成7年4月に勤続34年目に前記昇進をした女性の各職級における在籍年数は,専門執務職2級までの各職級が4,5年,同1級が6年であるのに,企画総括職3級は3年にとどまる。 また,同年4月に勤続31年目に前記昇進をした女性の各職級における在籍年数は,専門執務職3級までの各職級が3ないし5年,同2級が8年であるのに 1級が6年であるのに,企画総括職3級は3年にとどまる。 また,同年4月に勤続31年目に前記昇進をした女性の各職級における在籍年数は,専門執務職3級までの各職級が3ないし5年,同2級が8年であるのに,同1級が3年,企画総括職3級は1年にすぎない。 bその後,平成15年1月までの時点において,女性事務職のうち,4年制大卒1名(勤続22年目,専門学校卒1名(勤続28年目,))高卒3名(勤続35年目2名,同33年目1名)が,旧管理補佐職1級と同等の総合グループ1級に昇進した。 イ賃金前記LC転換者,高卒男性事務職及び高卒女性事務職の賃金の状況は以下のとおりである。 ア平成6年度()a年収別表A①-1,別表A①-4-1ないし3のとおりなお,原告らの年収については,給食補助金等を算入した額である(平成7年度も同様。 )b臨給別表A①-2のとおりc基本給別表A①-3-1のとおりd月度賃金別表A①-3-2のとおりe平均賞与率別表A①-6,別表A①-7-1ないし3のとおりイ平成7年度()a年収別表A②-1,別表A②-4-1ないし3のとおりb臨給別表A②-2のとおりc基本給別表A②-3-1のとおりd月度賃金別表A②-3-2のとおりe平均賞与率別表A②-6,別表A②-7-1ないし3のとおり 本件訴訟に至る経緯( )ア原告らを含む被告会社の女性従業員7名は,平成6年3月23日付けで,旧労働省大阪婦人少年室長に対し,被告会社が同社従業員である原告らほか3名に,女子であることを理由とした差別的取扱いをしているとして,原告らに関する事項では,原告を管理職に,原告を企画総括職1級AB に,原告を同2級に,原告を同3級に昇格させるとともに,同期入CD社の男子労働 た差別的取扱いをしているとして,原告らに関する事項では,原告を管理職に,原告を企画総括職1級AB に,原告を同2級に,原告を同3級に昇格させるとともに,同期入CD社の男子労働者と同等の業務に配置するよう求めて,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律(昭和47年法律第113号の改正法昭和60年法律第45号,昭和61年4月1日施行。以下「旧均等法」という)に基づく調停を申し立て,。 同年9月13日付けで,大阪機会均等調停委員会による調停開始が決定された(甲48。 )また,原告らを含む被告会社の女性従業員7名は,平成6年3月23日付けで,訴外組合を相手方として,民事調停を申し立てたが,同調停は不成立となった。 イ被告会社は,同年6月14日と同月27日,原告らを含む被告会社の女性従業員7名と交渉した。 ウ大阪機会均等調停委員会は,平成7年2月20日付けで,以下の内容の調停案(甲60)を双方に提示し,受諾するよう勧告したが,前記申立人らは,これを拒否した。 ア一般職(事業所採用)の者について,男女にかかわらず,その意欲,()能力に基づいて,適当な段階で総合職(本社採用)へのコース転換ができる制度を導入し,円滑に実施することイ均等法上差別が禁止されている教育訓練以外の研修についても,男()女にかかわらず均等な機会を確保するようにすること。さらに必要に応じ,女子労働者を積極的に育成していく見地から,一層女子労働者の研修の充実に配慮すること。 (略)ウ女子労働者を活性化することが企業として必要であるということを,()各部門の管理職に十分徹底すること。例えば,必要に応じ,女子労働者の育成についての研修を管理職に対して実施すること。 エ原告らは,平成7年 することが企業として必要であるということを,()各部門の管理職に十分徹底すること。例えば,必要に応じ,女子労働者の育成についての研修を管理職に対して実施すること。 エ原告らは,平成7年8月8日,当庁に本件訴えを提起し,同訴状は,同年9月19日,被告会社に送達された(当裁判所に顕著な事実。 )オ原告らの本件予備的請求に関する平成15年10月6日付け訴え変更の申立書は,同日,被告会社に送達された(当裁判所に顕著な事実。 ) 争点 本件差別的取扱いの有無( ) 本件差別的取扱いの違法性の有無( ) 原告らの損害の発生の有無及びその金額( ) 争点に関する当事者の主張 本件差別的取扱いの有無(争点1 )( )( )(原告らの主張)ア被告会社における男女別雇用管理(女性差別的労務政策,いわゆる差別意思)ア本件人事資料に基づく男女別雇用管理()a被告会社は,何らの規定上の根拠も有しないままに,事務職の従業員を「イ」ないし「ホ」の5段階の査定区分に分けた上で,各区分,ごとに評価区分と給与係数を設定し,各区分ごとの賃金(年収,昇)進の概要を明らかにするなど,前記区分により,賃金と昇進を決定している。 そして,女性労働者は,学歴や従事業務に関係なく,給与係数が最初から低く設定されている査定区分の中の最低の「ホ」に位置付けられ,被告会社が補助と位置付ける業務のみに配置させられるとともに,賃金・昇進・能力評価において最低の処遇を受けてきた。 bしたがって,同じ評価(例えばB)であっても,査定区分ホは著しく低い年収,著しく低い職分職級にしかなれず,職能点もまた著しく低く決められてしまう。仮に女性が能力評価で最高ランクのOAを取 れたとしても,ごくわずかの者しか,それもせいぜいワンランク上の く低い年収,著しく低い職分職級にしかなれず,職能点もまた著しく低く決められてしまう。仮に女性が能力評価で最高ランクのOAを取 れたとしても,ごくわずかの者しか,それもせいぜいワンランク上の同ニまでにしか上がれない仕組みであり,それが給与水準も決めている。 これは,被告会社が昇進経緯を明らかにした,高卒男性事務職に採用されたF,E,Gの3名が,いずれも,査定区分ロの昇進経緯の範囲内で年功序列的に昇進していることは,昇進の取扱いが職分職級運営概要(別表D②-2)により決定されていることを裏付ける。 本件人事資料に基づく男女間の賃金格差は,実際に賃金台帳に基づいて算出したLC転換者(ハ「ニ)と「ホ」に位置付けられた「」,」原告らの年収の格差とほぼ一致しており,事務職における賃金の決定が年収水準概要(別表D②-2)により行われていることを裏付けている。 具体的には,被告会社の本社人事部門が,あらかじめ各個人を前記資料に従った昇進昇格・昇給の階段に沿えるように,査定者にその意図を分からせるような予算枠を下ろし,査定者が各人(特に男性)の在級年数を意識しながら期待される階段を上るのに必要な査定をさせるのである。そして,本社の人事部門は,各人ごとに,現場から上がってきた査定で点数が足りなければ調整点を,さらに人事部門限りの11段階の査定を駆使して弾力的に調整して,本件人事資料に従った昇進昇格・昇給の階段を上らせているのである。 被告会社は,査定区分は移動があると主張するが,わざわざ区分の内容の定義を置いていることや,当該区分に属する者がほぼ一致した昇進の階段を上っていることに照らし,そのようなことはあり得ない。 また,被告会社は前記仕組みを従業員や労働組合には隠しており,このように労働者に隠した制度によって人事労務管理を行っているこ 一致した昇進の階段を上っていることに照らし,そのようなことはあり得ない。 また,被告会社は前記仕組みを従業員や労働組合には隠しており,このように労働者に隠した制度によって人事労務管理を行っていること自体,明らかに違法である。 イ高卒事務職における男女別雇用管理()a被告会社が主張するような採用区分の別は,規定上も存在せず,一般社員に知らされてもいなかった。したがって,実際には,明確な制度として存在しなかった。 生涯にわたって労働者の重大な労働条件を左右することとなる採用区分が何の根拠規定もなく設けられることなどあり得ない(人事部門内において,秘密裡にそのような用語を使っていたとしても,それは法的有効性を持つ採用区分ではない。 。)a昭和35年職分協定による職分制度導入時()導入時に組合員に配布された組合ニュース(甲19)には「新,高卒(男子)昇進表(発足時の当嵌」と「新高卒(女子)昇進表)(発足時の当嵌」という表題で,二つの昇進表(男女別昇進表))が作成されている旨の記載がされているものの,被告会社のいう本社採用者,事業所採用者という区分は見当たらない。 前記ニュースが,被告会社から組合に提供された情報に基づいて作成されたものであることを考えると,当時,被告会社が本社採用者,事業所採用者という区分を設けていたとは,到底考えられない。 むしろ,端的に男女を差別して処遇するという内容が,この表記に示されているのである。 これは,賃金表を男女別に作成するのが違法であるのと同じく,前記昇進表は直接的男女差別の処遇表であり,違法なものである。 そして,被告会社は,この時以来,一貫して男女別に処遇するという方針を貫いているのであり,それを隠蔽するために,今になって採用区分と称しているにすぎない。 b原告ら入社時( ,違法なものである。 そして,被告会社は,この時以来,一貫して男女別に処遇するという方針を貫いているのであり,それを隠蔽するために,今になって採用区分と称しているにすぎない。 b原告ら入社時()入社案内や募集要項にも本社採用者や事業所採用者という名称は 記されておらず,原告らの各採用年度を含め,いずれの年度の就業規則にも,本社採用者や事業所採用者に関する規定は存しない。 被告会社の労働者は,本社採用者や事業所採用者という名称も採用区分の存在も知らされておらず,原告らは,本件訴訟に先立つ調停の場においてこれらの言葉を初めて耳にした。 被告会社がその時点で本社採用,事業所採用なる採用区分の存在を主張しだしたのは,これまで現実に行ってきた性差別を隠蔽するための事後的な取り繕いにすぎない。 c任用規程()被告会社が採用区分の根拠として挙げる任用規程においては,「本社において採用する社員(1条「所において採用する者」」),(6条)という用語が用いられているものの,それぞれを定義する規定はない。 被告会社の従業員にとって「所」というのが製鉄所,製造所,,製鋼所等(以下「製鉄所等」という)を指すものであることは常。 識であり,大阪本社はあくまでも本社である。被告会社は,大阪本社が組織機能上の本社と組織機能上の事業所の両面を持っており,原告らは組織機能上の事業所である大阪本社に採用された事業所採用者であると主張するが,このような不自然な二面性を裏付ける規定はどこにもない。 仮に任用規程が採用区分別の根拠であるとするならば,その採用区分は,本社での採用者と製鉄所等での採用者の区分であるとしか考えられず,原告らは,当然,本社での採用者であるということになる。 d昭和42年,昭和61年の職分制度改正()前記改正に関する協 区分は,本社での採用者と製鉄所等での採用者の区分であるとしか考えられず,原告らは,当然,本社での採用者であるということになる。 d昭和42年,昭和61年の職分制度改正()前記改正に関する協定にも,本社採用者や事業所採用者という概 念は見当たらない。 b昭和35年職分協定,昭和42年職分制度改正においては,事務技術職掌の高卒男女の職分職級は,入社時には同一であり,差が生ずるのは「見習として予備的訓練のため,長期実習を命ぜられるものの,実習終了後(すなわち入社2年目)である。どこにも本社採用者,」事業所採用者の用語は登場せず,採用区分によって差が生ずるわけではないことは,これらの協定の規定の仕方から明らかである。 旧均等法施行後の昭和61年職分制度改正により,16条で「長,期実習を命じない一般事務業務従事として採用された者「大学卒」,業者で長期実習を命ずる専門事務技術業務従事として採用された者」という表現が用いられ,あたかも採用区分による区別を規定したかのような改訂が行われた。 しかし,これは,従来の規定のままではあまりに男女差別が明らかであるため,旧均等法施行を受けて,急遽,採用区分による区別であるような形にして体裁を繕う必要に迫られたための措置にすぎず,改定前の規定が採用区分によって区別する趣旨であったとする根拠とはなり得ない。 しかも「大学卒業者で長期実習を命ずる専門事務技術業務従事と,して採用された者」という規定の仕方からも明らかなように,この規定は,高卒の男子を念頭に置くものではない。高卒男子は,この時期,採用されていなかったのである。すなわち,高卒男性事務職には,「長期実習を命ずる専門事務技術業務従事として採用された者」は存在しない。 被告会社が主張するような採用区分の別があったのであれば,旧均等 用されていなかったのである。すなわち,高卒男性事務職には,「長期実習を命ずる専門事務技術業務従事として採用された者」は存在しない。 被告会社が主張するような採用区分の別があったのであれば,旧均等法施行後の改定の際に,その旨を明記するのが当然であるにもかかわらず,この時においても,それ以後においても,採用区分の存在を 明記しなかったのは,そのような採用区分の別が存在しなかったからである。 c高卒男性事務職と高卒女性事務職の職務内容等について合理的な違いはない。 a旧労働省女性局長の通達「雇用の分野における男女の均等な機()会及び待遇の確保等に関する法律の施行について(平成10年6」月11日通達168号。以下「女性局長通達」という)は「雇。 ,用管理区分が同一か否かについては,当該区分に属する労働者の就業する職務内容,処遇等について,同一区分に属さない労働者との間に,客観的・合理的な違いが存在しているか否かにより判断されるものであること。その判断に当たっては,単に形式のみならず,企業の雇用管理の実態に即して行う必要があること」としている。 したがって,雇用管理区分は「職務内容等について……客観的,・合理的な違い」を前提としたものでなくてはならず,使用者の設定した雇用管理区分がこのような要件を満たさない場合,男子労働者と女子労働者の間に生じた労働条件の差異は,異なった雇用管理区分に属するということによっては正当化されないことになる。 b被告会社は,本社採用者を将来の経営幹部候補として位置付け,()事業所採用者とは異なる採用区分であることを主張するが,将来の経営幹部候補かどうかということは,労働者に対する被告会社側の主観的な位置付けにすぎず,職種や職務内容に関わる基準ではない。 実際,原告らと高卒男性事務職とは,同一 区分であることを主張するが,将来の経営幹部候補かどうかということは,労働者に対する被告会社側の主観的な位置付けにすぎず,職種や職務内容に関わる基準ではない。 実際,原告らと高卒男性事務職とは,同一の職掌に属し,職務内容も截然と区別できるものではなかった。 被告会社で,女性は,被告会社のいう本社採用者の男性と同質の職務にも従事してきたものの,女性が行う場合に,補助的業務という位置付けがされてきたにすぎない。 したがって,高卒女性事務職と高卒男性事務職との間に「職務内容等について……客観的・合理的な違い」があるとは到底いえず,将来の経営幹部候補であるかどうかという被告会社の主観的な思惑は,決して雇用管理区分(採用区分)のための合理的な基準であるとはいえない。 c昭和35年の職分制度導入後に行われた訴外組合と被告会社本()社の団体交渉の席で,訴外組合は,長期実習を終えた高卒男子はすぐに一般事務技術職1級(当時)となり,その後も順調に昇進していくのに,女子は入社後6,7年経って一般事務技術職1級(当時)となり,その後15ないし20年経っても昇進しないのは男女差別ではないかと質問したのに対し,被告会社は,男性には潜在能力があるとの回答を行ったが,将来の経営幹部候補であるというのと同様,潜在能力があるということは,職務内容に基づく客観的合理的な理由では全くない。一生顕在化しない可能性もある潜在能力という極めて漠然としたものに基づいて,労働条件について生涯にわたる差別的取扱い(退職後も年金の格差として死ぬまで続く差別)をすることには,全く合理性がない。 d被告会社は,本社採用者と事業所採用者では採用基準が異なるとし,本社採用者については将来の経営幹部候補として採用する者にふさわしいように,採用担当部署,求人票・募集要項の記載事項, 理性がない。 d被告会社は,本社採用者と事業所採用者では採用基準が異なるとし,本社採用者については将来の経営幹部候補として採用する者にふさわしいように,採用担当部署,求人票・募集要項の記載事項,求人募集対象校,採用試験・入社式等の取扱いにおいて,事業所採用者と異なる取扱いをしていると主張するが,これらは,被告会社が男女別に労務管理してきたことを示す事実にすぎない。 また,被告会社のいうように,これらの採用手続の違いが採用区分の現れであるならば,被告会社が同一の採用区分であると主張する事務技術職掌女性と技能職掌(作業職掌)男性の採用手続は,同じ内容 でなければならないはずであるが,現実には,両者の採用手続は,採用を担当している課,入社式,採用基準や方法,採用試験等において,大きく異なっており,この点からみても,被告会社の論理は破綻している。 e逆に,女性事務技術職掌と,被告会社が事業所採用者として同じ採用区分に属すると主張する作業職掌(後の技能職掌)との間には,以下のような取扱いの差異がある。 a被告会社の給与待遇要覧によると,以下のように,事務技術職()掌と作業職掌(後の技能職掌)では,個人職分点の点数や自動昇進の有無,その場合の条件,標準基本職分点,あるいは初任基本給,支給される手当の種類,昇給額や基準の上限下限など,退職金における乗率などの条件が明白に異なった取扱いをすべきものとされており,到底同じ採用区分にくくられることはあり得ない。 また,付属統計資料を見ても,平均賃金,実働人員の推移につき事務技術職掌と作業職掌とで別の推移表を作成しているなど,実に様々な面で,事務技術職掌と作業職掌は異なる扱いを受けているのであって,この二つの職掌が同一の採用区分の中にくくられると考えることなど到底できない。 b採用区分と の推移表を作成しているなど,実に様々な面で,事務技術職掌と作業職掌は異なる扱いを受けているのであって,この二つの職掌が同一の採用区分の中にくくられると考えることなど到底できない。 b採用区分とは採用時に決まるものであるから,採用後の異動に()よって変化することはあり得ず,作業職掌の男性が事務技術職掌に転換したからといって,採用区分までもが変わることはなく,LC転換者の処遇は,事務職の女性と同様のものとなるはずである。 しかし,後述するとおり,LC転換者の方が,年功序列的に,高卒女性事務職よりも昇格・昇進が早く,また,賃金面でもはるかに有利な取扱いがされている。 c被告会社は,事業所採用者であるはずのBHについて,本社採() 用の高卒事務職の代替層であり,事業所採用者とは性格が異なると主張し,事業所採用者の男性のデータからBHのデータを除外して,これを女性と対比しているが,このことは,被告会社自身が,格差が本社採用者と事業所採用者との区分によるものであるとする自らの論理の破綻していることを吐露したものである。 被告会社がそのような主張をせざるを得なくなったのは,そもそも,歴然とした男女差別を採用区分という作り事でこじつけようとしてきたからである。被告会社は,これまで,男女間で格差があったとしても,それは幹部候補生かどうかという採用区分に基づく格差だと弁明してきた。しかし,幹部候補生ではないはずの事業所採用者であるにもかかわらず,平成7年度で見ればBHの3名が管理職に,BHの183名が管理補佐職に昇進しており,賃金も職掌転換をしなかった技能職や女性事務技術職掌と比べはるかに高額なものとなっている。このような状況は,被告会社が従前主張してきた採用区分論では説明不能であるから,被告会社は,同じ採用区分であるのに性格が異な しなかった技能職や女性事務技術職掌と比べはるかに高額なものとなっている。このような状況は,被告会社が従前主張してきた採用区分論では説明不能であるから,被告会社は,同じ採用区分であるのに性格が異なるなどという非論理的な主張を行わざるを得ない事態に陥ったのである。 イ被告会社の前記男女別雇用管理に基づく男女間格差ア高卒男性事務職との格差()a昇進格差a高卒男性事務職に対する年功序列的処遇()前記第2の18 のとおり,高卒男性事務職は,一般執務職の在( )籍年数5年の者が99.1%,専門執務職の在籍年数9年までの者が累計で98.5%,企画総括職の在籍年数はややばらつくが9年までの者が92.5%,10年までの者が95.2%であり,男性のほとんどの者において,一般執務職,専門執務職,企画総括職の 各在籍年数が共通しており,ほぼ同一の年数ごとに昇進を重ねている。そして,その結果,21年目に34%,22年目に34%と,管理補佐職への昇進時期が集中して,22年目までに74%が,23年目までに実に89%が昇進している。そして,そのうち相当程度は更に管理職に昇格する。これらの実態は,職分職級運営概要の内容と符合している。 実際,昇進経過の判明している男性3名(F,E,G)は,いずれも管理補佐職までの昇進の階段がほぼ重なっており,特に専門執務職1級になるまでの階段は全く同じであり,企画総括職3級以降の階段もほぼ1年違いのみでほとんど重なっているそして,男性は,企画総括職の在籍年数が6年で昇進する集団(33.0%)と7年で昇進する集団(37.2%)に集中している。企画総括職の在籍年数(管理補佐職への昇進年数)が7年以下は累計で73.8%に上り,8年以下が88.9%に達している。 b男性に対する極めて高い能力評価()一般 (37.2%)に集中している。企画総括職の在籍年数(管理補佐職への昇進年数)が7年以下は累計で73.8%に上り,8年以下が88.9%に達している。 b男性に対する極めて高い能力評価()一般執務職は自動昇進しかなく,2年目で2級になって,そのⅰ時の個人職分点は5点になり,5年目で1級になっていなければ5年間で一般執務職を終われない。1級になるには10点以上なければならず,2年目で5点が5年目で10点以上になるには,3年間で5点以上増えなければならない。ところが,一般執務職は能力評価Aでも1.55点であるから,3年間オールAでも4. 65点にしかならない。そうすると,男性は99.1%が3年間オールA以上の能力評価ということになるが,これは,もはや考課ではない。 専門執務職1級から企画総括職3級には選抜昇進でなければなⅱれず,選抜昇進が行われるための選定基準は「高度な「卓抜,」, な」知識や熟練・技能,能力・識見が必要とされる建前である。 しかし,男性はすべて企画総括職になっている上,そのうち在籍年数9年で選抜昇進をされて企画総括職になる者が92.5%に達し,また,累計では98.5%の者が9年以下で専門執務職を終えるということは,通常の公平な考課ではあり得ない事態である。 一貫してオールA平均以上を取らないと,7年で管理補佐職にⅲなるのは困難であるが,それに37.2%もの者が該当するし,さらに,それより短い在籍年数6年で管理補佐職に昇進した者に至っては,6年間で40点以上必要で,Aは6点であるからオールAでも足りず,6年間全部「Aか一部OA」の能力評価ということになり,それに33.0%もの者が該当する。 合計すれば,実に73.8%の男性が,企画総括職の間中,「オールA平均かさらにプラスOA」ということになる。 しか 全部「Aか一部OA」の能力評価ということになり,それに33.0%もの者が該当する。 合計すれば,実に73.8%の男性が,企画総括職の間中,「オールA平均かさらにプラスOA」ということになる。 しかも,企画総括職は自動昇進がなく,選抜昇進を繰り返さなければならないが,男性の場合,その約9割が8年以下で管理補佐職になるまで選抜昇進を繰り返してもらったことになる。これは,もはや考課ではない。 c他方,女性群の中においては,低い階段がほぼ重なっており,()被告会社が旧均等法に基づく調停が不調となった後(本件訴え提起直前)に訴訟対策的に2名を急遽,3階級特進という異常さで管理補佐職に昇進させた者を除き,定年まで勤務しても専門執務職止まりである。9割が管理補佐職以上になる男性と比較すると,4ランク以上の資格の格差が発生しており,男女間に著しい昇進格差があることは明らかである。 しかも,前記女性2名は,男性と比べて著しく遅い昇進階段であ ったものが,突如として3階級特進したわけである。仮にこの女性2名が特別に取り扱って然るべき存在であったのであれば,それ以前の昇進の階段もまたそれ相応のものでなければ不自然であるが,前記調停が不成立となる本件訴え提起直前の時期までは,この2名の女性が低い評価しかされていなかったことは歴然としている。 b賃金格差賃金台帳に基づいて計算した高卒男性事務職と原告らとの格差は,年収にして平成7年時点で約276万円から424万円と極めて著しい。平成6年の賃金台帳データに基づく計算によれば,高卒男性と高卒女性の平均年収格差は,昭和35年入社から昭和45年入社のいずれをとっても,少なくとも約230万円,多い場合は約310万円を超え,月における賃金格差は,少なくとも約11万円,多い場合は14万円を超える。 さらに, 差は,昭和35年入社から昭和45年入社のいずれをとっても,少なくとも約230万円,多い場合は約310万円を超え,月における賃金格差は,少なくとも約11万円,多い場合は14万円を超える。 さらに,原告の場合,管理職となって退職した高卒男性との間Aでは,年収にして約500万円,退職金で約1500万円という大きな格差がある。 イLC転換者との格差()a昇進格差a技能職掌の男性は全員被告会社のいう事業所採用者であり,入()社直後の1年間の長期実習も受けていない点において,高卒女性事務職と同じである上,事務職の仕事に関しては,職掌転換した時点で途中入社と同じ状態なのであるから,LC転換者は,高卒女性事務職よりむしろ昇進・昇格が遅れるか,少なくとも女性と同程度であるはずである。 しかるに,LC転換者も,高卒男性事務職に比べてやや昇進のスピードに差はあるものの,年功序列的に昇進しており,女性とは明 らかに昇進の格差がある。 BHの男性は,平成6年時点で,323名中,322名が企画総括職以上であり,96%が企画総括職2級以上に昇進している。また,過半数を超える157名が管理補佐職以上である。 また,LCの男性は,平成6年時点で,768名のうち,9割に近い663名が企画総括職以上になっており,管理補佐職以上は34名(6%以上)である。 以上のようなLC転換者男性の職分及び年功序列的な昇進については,女性のほとんど全員が専門執務職1級以下であることと比較して,明らかに有意の格差がある。 b原告らと比較した場合,LC転換者との間には以下のような大()きな格差がある。 平成7年4月の時点で,原告は専門執務職1級であったのⅰAに,原告より1年後の入社である昭和35年入社のBH20A名のうち16名(80%)が管理補佐職 のような大()きな格差がある。 平成7年4月の時点で,原告は専門執務職1級であったのⅰAに,原告より1年後の入社である昭和35年入社のBH20A名のうち16名(80%)が管理補佐職になっており,残る4名も企画総括職1級になっている。 また,同年入社のLC25名のうち,管理職1名,管理補佐職3名(12%,企画総括職1級12名(48%。累計で企画総)括職1級以上は64%,同2級7名,同3級2名であり,管理)補佐職以上に16%がなっており,企画総括職1級以上が約3分の2に達している。最低でも企画総括職3級であり,専門執務職の者はいない。 平成7年4月の時点で,原告は専門執務職2級であったのⅱBに,原告と同期入社の昭和44年入社のBH22名のうち1B0名(45.5%)が管理補佐職,11名(50%)が企画総括職1級になっている。同2級は1名のみである。原告の専門B 執務職2級とは大きな格差がある。 また,同年入社のLC70名のうち,管理補佐職2名(2.9%,企画総括職1級2名(2.9%,同2級5名(7.1%。 ))). 累計で企画総括職2級以上は12.9%,同3級58名(829%,累計で企画総括職3級以上は95.7%,専門執務職1)級ないし3級はそれぞれわずか1名ずつである。ほぼ100%が企画総括職3級以上といってよい。 なお,専門執務職2級の1名と専門執務職3級の1名は,年収も異常に低く,病気等の特殊な事情があるとしか考えられない。 平成7年4月の時点で,原告は専門執務職2級であったのⅲCに,原告と同期入社の昭和48年入社のBH7名のうち1名Cが管理補佐職,2名が企画総括職2級,4名が同3級になっている。 また,同年入社のLC9名のうち,管理補佐職1名(11.1%,企画総括職3級1名( と同期入社の昭和48年入社のBH7名のうち1名Cが管理補佐職,2名が企画総括職2級,4名が同3級になっている。 また,同年入社のLC9名のうち,管理補佐職1名(11.1%,企画総括職3級1名(11.1%,専門執務職1級6名))(66.7%。専門執務職1級以上の累計88.9%,同2級)は1名のみである。ほぼ専門執務職1級以上といってよい。 なお,前年の昭和47年入社のLC,翌年の昭和49年入社のLC各23名と対比してみても,昭和47年入社は全員専門執務職1級以上,昭和49年入社も23名中専門執務職2級は1名のみであり,ほぼ専門執務職1級以上であることは昭和48年入社と同様である。 平成7年4月の時点で,原告は専門執務職3級であったのⅳDに,原告と同期入社の昭和50年入社のBH11名のうち2D名が管理補佐職,5名が企画総括職2級,4名が同3級になっている。 また,昭和50年入社のLC15名のうち2名が企画総括職3級,13名が専門執務職1級である。 b賃金格差LC転換者全員と女性の各平均を比較すると,昭和35年入社から昭和50年入社までの間で,年収で少なくとも70万円以上,多い場合には177万円にも上り,原告らについてみれば,LC転換者との賃金格差は,平成6年時点で約91万円から242万円に及ぶ。 また,臨給の額を左右する賞与率(賞与÷基本給)についても,公表されている数値は,平成6年度が0.96倍であり,賃金台帳に基づいて計算した結果,同年では,原告らは最低で0.88,最高でも1.08で,ほぼその前後であるにもかかわらず,LC転換者の平均は1.73であり,約1.7倍もの格差があることが判明した。 BH,LCの男性と女性の賃金(年収)分布をみても,BHの賃金水準が一番高く,それにLCが続き,女性はLCの最下層部 らず,LC転換者の平均は1.73であり,約1.7倍もの格差があることが判明した。 BH,LCの男性と女性の賃金(年収)分布をみても,BHの賃金水準が一番高く,それにLCが続き,女性はLCの最下層部分と重なっており,入社年度によっては,LCの最低年収よりも女性が低い場合もあり,ここでも賃金格差は一目瞭然である。 本件人事資料に示された「ハ(BH「ニ(LC」の賃金水準)」,)と,現実の賃金台帳により算出した上記の賃金格差は,ほぼ符合しており,このことは,被告会社がLC転換者を,女性(ホ)と区別「」して取り扱っていることを裏付けるものである。 ウ以上のように,原告らを含む女性は,本件人事資料のとおり,被告()会社のいう本社採用者,BH,LCのいずれよりも,賃金が低く,被告会社の事務職の中で,最低の処遇の者として位置付けられている。それは,平成6年の年収(賃金台帳により確認されたもの)の平均をグラフにしたもの(グラフ①ないし③。これらは,原告ら準備書面38 に添付()されているものである)から明らかである。 。 ウ前記男女格差に合理性がないことア高卒男性事務職と高卒女性事務職を差別する合理的理由はない。 ()a被告会社は高卒男性事務職と高卒女性事務職との昇進・賃金の格差を採用区分によると主張するが,前記採用区分が制度として存在しているといえないことは前記アイで述べたとおりであり,募集方法,()採用対象地域,採用試験,部署,入社式などの違いも,生涯にわたる差別を合理化する理由にはならない。 b原告らは,長年働き続ける中で,再三の要望により,実質的に男性と同じ仕事,あるいは同等の仕事をこなすようになり,担当者としてCの業務を行うようになったし,いわゆる本社採用者の業務を原告が引き継いでいるなど,業務内容 ける中で,再三の要望により,実質的に男性と同じ仕事,あるいは同等の仕事をこなすようになり,担当者としてCの業務を行うようになったし,いわゆる本社採用者の業務を原告が引き継いでいるなど,業務内容において,本社採用者と女性との間に,客観的な違いがあるとはいえない。 cいわゆる本社採用者は,長期実習を経るが,この長期実習は,もともとは,採用後,製鉄所等に1年間研修に出るという制度であったが,実際には,約3週間を製造現場で実習し,そのほかは通常の事務業務に就いていた。しかも,平成元年ころからは,この実習も実態はなくなり,いきなり採用後すぐに本社の事務部門に配置され,いわば仕事上で研修を受けるという形になった。このような実態の長期実習をもって,男女の激しい処遇の格差の理由とすることはできない。 なお,被告会社は,女性にこの長期実習を命じていないが,それは被告会社の恣意によるものであって,原告ら女性が拒否しているものでもない。採用後,機会があれば(更にそれで処遇が高くなるというのであればなおさら,製鉄所等で研修を受けたいと望む女性も多く)いると考えられる。 d被告会社は,女性には転居を伴う転勤が期待し難いから本社採用者にはしなかったと主張する。 そもそも,一方的な転勤命令を労働者は許容すべきであり,家庭生活を犠牲にすべきであるとの企業の都合と論理に与することはできないが,被告会社における実際の転勤実態をみるならば,本社採用者の3割は実際には,生涯一度も転勤することなく企業生活を終えており,いわゆる本社採用者であるからといって,その担当業務から必然的に転勤が不可欠であるということではない。現に,原告,同と同CBじ部に勤務した本社採用者であるGは,転居を伴う転勤をしていないし,Fは,和歌山製鉄所から大阪本社に転勤しているのみ から必然的に転勤が不可欠であるということではない。現に,原告,同と同CBじ部に勤務した本社採用者であるGは,転居を伴う転勤をしていないし,Fは,和歌山製鉄所から大阪本社に転勤しているのみである(被告会社は,同人が,その際,転居しているとする。 。)さらに,実際には,被告会社は,平成13年に本社機能を大阪から東京に集中させた際,大量の女性を大阪本社から東京本社に異動させている。しかも,被告会社は,実際には女性社員の意思を無視する形で,女性社員に対し「東京に転勤するか,出向するか,辞めるかど,れかを選べ」と迫って転勤をさせたのであり「女性の意思や家庭生,活を尊重する」などとはほど遠い被告会社の姿勢である。 したがって,転勤が期待できるからとの理由で,いわゆる本社採用者と女性との大きな格差を合理化することはできない。 イLCと高卒女性事務職との格差に合理性がないこと()a採用時事務業務部門に配置された者(後にLC転換者となる者)は,技能職として採用されるが,特別な適性検査などを経ないで,当初から事務業務に就いていた。つまり,そもそも技能職としての業務に就いた経験を持たないのであり,技能職掌として優秀という判断をされて配置がされるわけではない。 そして,被告会社は,もともと事務業務部門の職場に配属されていた技能職掌の従業員を,順次丸ごとLCに転換させていたものであり,特に優秀な従業員を選抜したなどという事実はない。 また,LC転換者の中には,技能職掌として採用後,直ちに,また,極めて短期間に転換させた者もあり,職分制度導入(昭和35年)時期だけではなく,その後の全期間を通じて,LC転換者を全体的にみても,採用から1年以内に職掌転換している者は,1147名のうち223名,約20%に達するのである。 b被告会社は 入(昭和35年)時期だけではなく,その後の全期間を通じて,LC転換者を全体的にみても,採用から1年以内に職掌転換している者は,1147名のうち223名,約20%に達するのである。 b被告会社は,LC転換者が配置された工程部のような事務業務部門に高卒女性事務職を配置できなかったとし,その理由として,①現場に配置されるのを女性が嫌うケースが多かったことや,②休日,深夜に働かなければならないので,労働基準法上配置は難しかったことを挙げる。 しかし,LC転換者が配置されている工程部等は事務業務部門であり,本来業務は事務業務である。事務職でも必要があれば製造現場に立ち入ることはあり,その場合には安全上の観点から決まりを守り,かつ,必要な場合に限っていたのであるし,女性社員は,いずれも,製造現場を知ることに意欲と関心を示しているのであり,女性事務職が現場を嫌っていたということはない。 また,工程部の業務にはおおむね深夜勤務はなく,時間外に対処しなければならない事態も度々発生するというようなものではなかったし,女性従業員においても,現実には,女性であるから定時の退勤ということは決してなく,必要に迫られて女性も激しい残業や休日出勤を行っていた。 c原告ら高卒女性事務職は,例えば,原告が自己の担当していたC業務をLC転換者に引き継いでいることからも分かるように,LC転換者と同様の業務を行っていたのである。 ウBHと高卒女性事務職との間でも格差に合理的な理由はない。 ()aBHは人事内部の用語であり,その認定手続や,BHを目的とする 採用は,社内では一切明らかにされておらず,BHになった者とそのBHを管理する所属長以上の者以外の者には,労働組合にも知らせることはない。 そして,BHに採用するのための学力試験は,対象受験者であるLC ,社内では一切明らかにされておらず,BHになった者とそのBHを管理する所属長以上の者以外の者には,労働組合にも知らせることはない。 そして,BHに採用するのための学力試験は,対象受験者であるLC転換者にも,その所属する職場にも,何のために行うものか目的も知らせず,誰が対象者であるかも知らせずに実施される。試験の結果も,受験者に知らせない。その後の所内教育も,2週間程度のもので,何のためのものか受講者にも明らかにされない。その後の本社研修(一般職特別執務訓練)の受講についてもその目的は知らせない。 システム(存在そのものも)を知らされないのであるから,一般の社員には,自分が対象として名乗りを挙げたくてもできない。さらに,いわば一本釣りでされる専門執務職以上の場合には,その可能性は更にないし,とりわけ,女性は,対象から排除されているのである。 b現実的には,BHのうち,現に転居を伴う転勤をしている者は出向を含めても347名中109名(31.4%,出向を除けば347)名中93名(26.8%)にすぎず,約7割の者は,結局,生涯転勤をしていない。 このことから,BHが必ずしも転勤を前提にしているとはいえず,BHであるからといって,転勤が必要な業務に就いているのではない。 しかも,BHを,LC転換者の中の優秀層で,製鉄所等において職場の中核になる者として,あくまで事業所単位での位置付けとし,その職務配置は事業所が行うとしているのであって,転勤前提ではない。 逆に,被告会社は,会社の必要があれば,女性に対しても,前述のとおり,実際には女性社員の意思を無視する形で転勤を命じている。 したがって,転勤を期待できないとの理由で,BHの選抜の対象から女性を排除していることに何の合理性もない。 c業務内容において,女性用の仕事,BHの仕事という区分け する形で転勤を命じている。 したがって,転勤を期待できないとの理由で,BHの選抜の対象から女性を排除していることに何の合理性もない。 c業務内容において,女性用の仕事,BHの仕事という区分けなど存在せず,実際にも,原告ら高卒女性事務職は,例えば以下のとおり,BHと同一又は同等の業務を遂行してきた。 a原告の場合,昭和61年から平成7年まで,BHのSと二人()AでJK活動事務局の仕事を担当したが,この時の同人の仕事は,原告の補佐であった。 Ab原告は,BHのTが行っていた業務を引き継いでいるし,原()B告は,BHであるUの業務を引き継いでいる。 Cエ高卒女性事務職と技能職掌とを比較することに合理性がないこと()以下のように,事務技術職掌と作業職掌(後の技能職掌)では条件が明白に異なっており,原告らと全く性格の異なる作業職掌を比較すべしとする被告会社の主張が不合理であることは明白である。 a職級の決定について,個人職分点の点数や自動昇進の有無,その場合の条件,標準基本職分点などあらゆる点で,事務技術職掌と作業職掌では条件が異なっている。 b賃金形態について,初任基本給が,事務技術・特務・医務職掌定期採用者と作業職掌とで区別されているほか,支給される手当の種類も,事務技術職掌と作業職掌で異なっており,昇給についても,事務技術職掌と作業職掌とで,昇給額や基準の上限下限が異なっている。 c退職金について,事務技術・特務・医務職掌と作業職掌とで,異なる乗率が適用されている。 (被告会社の主張)ア被告会社における採用区分被告会社における従業員の採用形態としては,将来の経営幹部の要員として組織機能上の本社において採用する者(本社採用者)と一般事務業務及び技能系業務の従事者の要員として組織機能上の「事業所 る採用区分被告会社における従業員の採用形態としては,将来の経営幹部の要員として組織機能上の本社において採用する者(本社採用者)と一般事務業務及び技能系業務の従事者の要員として組織機能上の「事業所(地理上の」 大阪本社・東京本社も,その付帯するオフィスも含めて一事業所である)において採用する者(事業所採用者)とがあり,両者を入社後の育。 成方法や業務配置・異動についても,採用の趣旨に沿い,別異に取り扱っている。 ア事務技術職掌の採用()まず,事務技術職掌の本社採用者については,昭和45年までは,大卒・工業高等専門学校卒(以下「高専卒」と略称する・高卒の男性。)を採用していた。 しかし,世間一般における高学歴化の進展とともに,被告会社の本社採用者として期待される能力を有する高卒者を確保することが次第に困難となってきたことから,昭和46年以降は大卒・高専卒の男性に限定して採用を行い,また,昭和62年以降は大卒・高専卒の男性・女性の双方から採用することとしている。他方,事務技術職掌の事業所採用者については,専ら大卒・短大卒・高卒の女性に限定して採用を行ってきた。 なお,昭和60年代以降,被告会社において様々な新規事業を展開したことに伴い,関連の知識を有する専門学校の卒業生を事業所採用者として相当数採用するとともに,他社からの中途入社者を本社採用・事業所採用の双方において相当数採用している。 イ技能職掌社員の採用()技能職掌については,本社採用者は一切存在せず,すべて事業所採用者である。 昭和61年までは,主として高卒男性(ただし,新制高校卒業者の採用を本格的に開始した昭和40年代前半よりも前においては,むしろ中学卒等の男性を採用することが一般的であった。また,職業能力開発促進法に基づく企業内訓練生として採用する中 ただし,新制高校卒業者の採用を本格的に開始した昭和40年代前半よりも前においては,むしろ中学卒等の男性を採用することが一般的であった。また,職業能力開発促進法に基づく企業内訓練生として採用する中学卒男性が毎年30ないし 40名存在していた)を採用していたが,昭和62年以降は高卒の女。 性からも採用することとしていた。 ウ本社採用者,事業所採用者の人員規模()本件訴え提起時における人員数は,約6600名いた事務技術職掌のうち,本社採用者は3100名程度であったが,そのうち昭和63年以降採用実績のある50名程度の女性以外はすべて男性であり,事業所採用者は,主として1200名余りの女性及び約2300名の技能職掌より転換した男性である。 一方,約2万名いた技能職掌はすべてが事業所採用であり,平成2年以降採用実績のある20名程度の女性以外はすべて男性である。 原告らが同期同学歴の男子労働者と主張している3名(F,G,E)は本社採用の高卒事務技術職掌社員であり,原告らは大阪本社で採用された事業所採用の事務技術職掌社員である。 エ根拠規程について()a任用規程このような採用区分に関する被告会社の根拠規程としては,社則任用規程があり,この中において「本社において採用する社員(=本社採用者)の任用に関する取扱を定める(1条)ものとし「所にお」,いて採用する者(=事業所採用者)」についてはこれを準用する形式をとっている(6条)ことから,被告会社において本社採用,事業所採用の採用区分が存在することは明らかである。 b職分制度協定次に,原告らのうち最も入社の早い原告の入社前である昭和3A5年8月に職分制度協定が締結されたが,この職分制度協定においても本社採用と事業所採用は明確に区分されている。 具体的には,初任の職分職級及び 原告らのうち最も入社の早い原告の入社前である昭和3A5年8月に職分制度協定が締結されたが,この職分制度協定においても本社採用と事業所採用は明確に区分されている。 具体的には,初任の職分職級及び職分点の取扱いが本社採用者と事 業所採用者とでは明確に区分されており,特に昭和61年10月には,前記第2の13 アエcのとおり,初任の職分職級及び職分点の決定( )()が入社時の採用区分に基づく従事業務の違いによるものであることを明確化する観点からの改定が行われた。 c給与に関する協定給与制度上も,本社採用者と事業所採用者とでは取扱いが明らかに区別されていた。 すなわち,本社採用者と事業所採用者とでは,職分職級の取扱いが異なるのであり,この違いに基づいた給与格差が当然に発生していた。 また,昭和45年8月以降は「学校卒業後直ちに入社し,長期実習,を命ぜられた者(=本社採用者」の給与は,入社後1年間は通常の)給与に代え実習生手当を支給することとなった。 以上のとおり,本社採用者と事業所採用者の給与は,全く別異の体系により支給されていたことは明らかである。 d原告らの主張に対する反論上記のとおり制度上取扱いが区分されたコースのあることが明らかである以上,被告会社の社内規程で同一の字句ないし用語が用いられていないからといって,そのような区分が存在しないことにならないことはいうまでもない。 また,大企業において「本社」という用語が,組織機能上の本社と組織機能上の事業所の両方の機能を有することは,企業社会にあっては極めて常識的なことである。 例えば,原告ら自身が援用している資材部設備課業務分担表(甲2の1ないし4)は,原告の所属している資材部設備課(設備室)Bの業務分担表であり,その表中の「所別担当」の欄は各人が分担すべき「所」 例えば,原告ら自身が援用している資材部設備課業務分担表(甲2の1ないし4)は,原告の所属している資材部設備課(設備室)Bの業務分担表であり,その表中の「所別担当」の欄は各人が分担すべき「所」すなわち「事業所」を示しており,そこには原告らのいうと ころの「事業所」たる製鉄所等と並んで「本社」も挙げられているが,これは,まさに組織機能上の事業所としての「本社」を示している。 ,同様に,原告が従事してきたJK活動支援等の業務に関してもA全社機能としてこれを推進する組織とは別に,事業所ごとの機能としてこれを推進する組織が存在し,この中に原告の属していた本社A(大阪)JK活動支援委員会が存在していた。また,原告の従事Cしている工事請負の契約業務に関しても,同原告は,組織機能上の事業所としての「本社」及び「研究所」を対象とした請負契約業務に従事していたのである。 オ被告会社内において採用区分の存在は周知の事実であること()このように,被告会社においては,採用区分の異なる2種類の者(本社採用者と事業所採用者)が存在するが,このことは,被告会社内では周知の事実であることは社内誌(乙47の2,54の1・2)の記載からも明らかである。 カ採用区分を分けて社員を採用する目的()被告会社が,事務職の社員を本社採用者と事業所採用者に分けて採用する目的は,次のとおりである。 まず,企業運営上の観点からは,将来の経営幹部になるべき者として若い優秀な人材を確保し,早期に彼らを管理職,さらには経営幹部に登用していくことは,企業として必要不可欠なことであった。そのため,そのような社員については,勤務地を限定することなく採用し,全社的な観点から最適な要員配置を行った上で,高度な専門知識・技術が必要な業務や,全社的な観点からの判断が必要 欠なことであった。そのため,そのような社員については,勤務地を限定することなく採用し,全社的な観点から最適な要員配置を行った上で,高度な専門知識・技術が必要な業務や,全社的な観点からの判断が必要な業務といった多様な業務を経験させ,そのような業務経験を通じて,優秀者を選抜し,早期に経営幹部に登用している。これが本社採用者である。 一方,事業所採用者は,各事業所における一般的な事務を行うことを 目的として採用する者であり,したがって,特定事業所で勤務することを前提に採用し,その特定の事業所内での業務に配置することとなる。 そして,全社的な観点からの判断が必要な業務ではなく,一定の職務領域における安定的な業務を中心に,単一業務を専門的に行うこととなるのである。 このような本社採用者と事業所採用者が両者相まって,被告会社の事務業務を円滑に行ってきたのである。 そして,原告らが採用された昭和30年代から50年代当時においては,事務業務を担当する社員の中で全社的な活用を前提として,専門的知識や広い業務範囲を受け持つことを前提に採用される社員(=本社採用者)と,特定の事業所で一般事務業務等に従事することを前提に採用される社員の区別があり,前者が男性,後者が女性であることは企業社会においては自明のことであった。 具体的には,当時においては,女性の労働に対する各種法規制や家庭責任の分担の在り方,女性労働者の職業意識等種々の社会的要素から,女性労働者には長期の雇用あるいは転勤が期待し難かったことから,特定の事業所での勤務及び限定された職種を前提とした募集・採用が広汎に行われ,いわばそれが企業社会における社会通念であったと理解しているということであり,被告会社において,全国転勤を前提とする本社採用者が主に男性,勤務地を限定して一般事務業務等に従事する 用が広汎に行われ,いわばそれが企業社会における社会通念であったと理解しているということであり,被告会社において,全国転勤を前提とする本社採用者が主に男性,勤務地を限定して一般事務業務等に従事する事業所採用者が主として女性であったことは,当時においては,一般的な在り方であったといえる。 キ採用区分の違いに基づく取扱いの差異()以上のような採用目的に沿い,本社採用者と事業所採用者との間においては,以下のとおり,採用手続や育成方法,業務配置・異動において様々な違いが存在する。 a採用計画本社採用者は,将来の幹部候補として位置付けられていることから,その採用は全社的な観点に立って実施する必要があり,したがって,採用計画についても,基本的には全社の要員事情に基づいて決定されている。また,経済事情にかかわらず,毎年最低限の採用が行われている。 一方,事業所採用者については,各事業所における一般事務業務の従事者を採用することを目的としており,その採用計画は,基本的には各事業所ごとの要員事情に基づいて決定されるが,場合によっては会社情勢により採用停止となる場合もある。 b採用手続a採用担当部署()本社採用者と事業所採用者とでは,求人の考え方,対象とする学校,試験日・試験内容等が全く異なっているので,採用担当部署も,おのずから違っている。 具体的には本社採用者については全社人事の統括部門が,事業所採用者については各事業所の人事担当部門(以下「各事業所の人事部門」という)がそれぞれ担当している。 。 b採用指定校()求人募集については,原告らを採用していた当時,被告会社はいわゆる指定校から,応募資格を満たし被告会社への就職を希望する学生を所定数の範囲内で推薦依頼する方式を採用していた。 具体的には,高卒の本社採用者に については,原告らを採用していた当時,被告会社はいわゆる指定校から,応募資格を満たし被告会社への就職を希望する学生を所定数の範囲内で推薦依頼する方式を採用していた。 具体的には,高卒の本社採用者については,出身都道府県にかかわらず広く優秀者を採用しようとする意図及び全事業所が勤務地となることから,全国から選定した学校を対象としていた。 一方,高卒の事業所採用者については,例えば,大阪本社におけ る女性の事業所採用者は,大阪本社での勤務を前提に,大阪府及びその近県の学校に限定されていたことからも明らかなように,当該事業所の近隣から採用することが通常であった。 c求人票,募集要項()本社採用者に対する求人票,募集要項と事業所採用者に対するものとでは内容が全く異なっていた。 具体的には,本社採用者に対する募集要項(乙7,入社案内)(乙6)によれば,入社後1年間の教育訓練,勤務場所が全国各地の事業所であること,職務内容も研究開発部門,販売,総務等広範な業務に配置されること等が明記されている。他方,大阪本社の事業所採用者については,求人票(乙20,)募集要領(乙60の3)からも明らかなとおり,その作業内容は,一般事務・パンチスト・プログラマー・秘書といった業務に限定されており,勤務地も住友ビルであること,採用条件としては自宅通勤可能な者であること等が明記されている。 すなわち,両者は全く異なる採用条件であり,このことからも,被告会社が双方に要求していた勤務の内容が全く異なっており,また,これに応募する従業員側の考える勤務の内容も全く異なっていることは明白である。 d選考方法()選考のための試験問題のレベルも明らかに異なっていた。 例えば数学の計算問題でも,本社採用者の試験は因数分解といった高度な内容が含まれているのに対し っていることは明白である。 d選考方法()選考のための試験問題のレベルも明らかに異なっていた。 例えば数学の計算問題でも,本社採用者の試験は因数分解といった高度な内容が含まれているのに対して,事業所採用者のものは四則演算や極めて単純な方程式などであった。また,英語の試験についてもそのレベルの差は一目瞭然である。 また,面接試験についても,本社採用者は社長以下多くの役員が 出席して行われるのに対して,大阪本社における事業所採用者は,原則として人事部長以下により行われており,また,面接内容についても両者には大きな違いがあった。 これらは,本社採用者と事業所採用者に求められる能力・資質のレベルの違いを明らかに示しているのである。 e入社式()入社式についても,本社採用者と事業所採用者とでは別々に実施されていた。 例えば,本社採用者の入社式には社長以下役員が出席し,社長が入社の発令を行っていた。 一方,事業所採用者については,各事業所ごとに入社式が行われており,また,出席者についても,大阪本社の事業所採用者の場合は,大阪本社の人事担当責任者以下の出席により行われていた。 これらは,両者の従業員の被告会社内での業務上の位置付けの違いを象徴的に示している。 f入社後の教育()入社後の教育についても,両者は大きく異なっていた。本社採用者については,学歴を問わず入社後1年間の長期実習が行われ,その実習方針としては「当社の概要を総合的に把握し,社員としての基礎的・一般的知識,技能を習得し,将来の基幹社員としての識見と矜持を涵養する」ことを掲げ,1年間にわたり,本社集合訓練,仮配属所及び仮配属部課における集合訓練・製造現場実習・テーマ実習に重点をおいた職場OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング,いわゆる職場教育)等を配し,これ とを掲げ,1年間にわたり,本社集合訓練,仮配属所及び仮配属部課における集合訓練・製造現場実習・テーマ実習に重点をおいた職場OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング,いわゆる職場教育)等を配し,これらが全社的な訓練組織の下で実施されていた。また,このような長期実習中の本社採用の新入社員は,社内では実習生と呼ばれ,その取扱いが他の事業所採用の新入 社員と大きく異なっていた。このことは,被告会社内では周知の事実であった。 他方,事業所採用者の入社時教育については,大阪本社を例にとると,入社式後仮配属されるまでの約1週間から10日間の終日研修が実施されるにすぎず,その内容も,会社概要の説明や工場見学等を含むものの,むしろ被告会社独自の教育プログラムであるBBT()を主体に,電話・接遇・文書訓練等一BasicBusinessTraining般事務業務遂行に必要な基礎的技能の習得・訓練が中心であった。 c業務配置・異動a基本的な考え方()業務配置・異動についても採用区分に基づいて行われていた。 本社採用者については,将来の幹部候補生として各事業所間の異動を前提とした活用・配置を行うことを基本としており,業務配置・異動については,入社以降,特定事業所・特定部門に限定することなく,本人の業務遂行能力・業務経験等を総合的に勘案して行っていた。 他方,事業所採用者については,当該事業所での勤務を前提として採用される者であり,原則的には当該事業所内に限定した業務配置・異動を行っていた。 例えば,本社採用の高卒男性社員の少なくとも70%以上の者が転居を伴う転勤を経験しているのに対して,高卒の事業所採用者の勤務場所は原則として採用された事業所に限定されるものであり,両者の取扱いが異なることは明らかである。 b具体的な業務配置・異動( が転居を伴う転勤を経験しているのに対して,高卒の事業所採用者の勤務場所は原則として採用された事業所に限定されるものであり,両者の取扱いが異なることは明らかである。 b具体的な業務配置・異動()具体的な業務配置・異動についても,以下のとおり大きく異なっていた。 本社採用者は,本社部門の中でも全社機能としての各事業所の統制や折衝,重要な経営方針の企画・立案等の高度な専門知識と経験を必要とする業務に従事した。したがって,早期人材育成の観点から,入社時以降,事業所配属によるキャリアの形成,専門知識の習得及び職務領域の拡大等を目的とした事業所間にまたがる計画的な異動を行っていた。したがって,本社採用者については,本社のみならず各事業所の要員配置状況を勘案した上で異動が行われるものであり,その異動については本社の人事担当部門(以下「本社人事部門」という)が統括している(なお,昭和63年ころまでは,。 入社後3年から5年程度の若手の本社採用者を対象とし,本人の育成状況の確認と異動情報の把握を目的とした指定年次面接を本社人事部門の担当者が各事業所に直接出向いて実施していたのであり,本社採用者の異動・配置については,被告会社として特別に取り扱っていた。 。)一方,事業所採用者については,直属上司の指示のもとでの定型的な分析・調査等の補助的業務に従事することとなる。そして,事業所採用者についても,本人の職務遂行能力の程度や適性に応じて,適格者については,従事業務の高度化や変更が行われることとなる。 しかし,その場合も,事業所採用者の異動・配置については,事業所内の各職制ごとの要員配置状況に基づいて決定されるものであり,したがって,基本的には各事業所の人事部門が統括していた。 c双方の従業員の適切な業務分担()従業員の適切な配 置については,事業所内の各職制ごとの要員配置状況に基づいて決定されるものであり,したがって,基本的には各事業所の人事部門が統括していた。 c双方の従業員の適切な業務分担()従業員の適切な配置方法という面からの業務の特性を考える場合,主担当者とこれを補助する者とのチームワークによって遂行することが効率的な業務と,各々が主担当として独立し業務を遂行することが効率的な業務が存在すると考えられる。 原告らが所属するのは,いずれも前者に属する部署である。そして,このような部署においては,遂行すべき業務の種類や内容と当該部署に配属されている従業員の資質・能力を斟酌しながら業務の分担を行うのが通常である。現状としてはその資質や能力に照らした結果として,主担当は本社採用者が,補助者は主として事業所採用者が担当しているのである。 例えば,原告の所属している資材部設備室における本社採用B者と事業所採用者の異動歴・従事業務をみると,両者の間の相違は一目瞭然である。原告を含む事業所採用の女性社員は,入社以B降一貫して資材部設備課(室)に在籍し,一部設備の購買担当業務のほかに,担当者の補助的業務を行っている。 一方,本社採用者の経歴は実に様々であり,製鉄所等における実務経験を踏まえ購買担当を行う場合や,機械保全・設計業務の経験を活かした技術的側面からの設備購買業務を担当する場合等,より広い観点からの業務遂行が可能となっているのである。また,平成12年3月資材部設備室に所属していた本社採用者5名全員が,転勤を経験している。 d教育・研修()将来の経営幹部候補として採用した本社採用者と,各事業所において一般事務業務に従事することを前提に採用した事業所採用者とでは,入社直後の教育・研修に明確な違いのあることは前述のとおりであるが,そ 将来の経営幹部候補として採用した本社採用者と,各事業所において一般事務業務に従事することを前提に採用した事業所採用者とでは,入社直後の教育・研修に明確な違いのあることは前述のとおりであるが,その後の教育についても採用の趣旨に沿い,その取扱いが大きく異なっている。 すなわち,本社採用者については,各人の従事する業務特性や期待される育成計画に基づく能力開発施策として,長期的,専門的な教育体系による人材育成を行うことを基本としている。 一方,事業所採用者については,当該事業所におけるOJTを通じての業務遂行能力のレベルアップを図っていくことを基本としている。 特に近年,本社採用者については,実習生3か年育成施策と称し,入社後3年間は,特に重点育成期間と位置付けた上で,その節目ごとに全員を対象とする集合教育を行っており,また,これと並行して職場におけるOJT支援も行っているのである。 イ職掌転換制度アLC転換について()LCのLは技能職掌()の,Cは事務技術職掌()のそれlaborclerkぞれ略で,LC転換とは,技能職掌の従業員について職掌を事務技術職掌へ転換する制度を指し,職分制度協定5条(甲7)に定められた職掌転換の一つである。 被告会社においては,昭和35年10月から新しい従業員制度として,従事する職務の種類と内容及び各人の保有する職務遂行能力に基づき処遇する職分制度が実施されたが,この職分制度は職務内容に着目した制度であったことから,従事する職務が変わると職掌も変える必要がでてくるので,職務内容が変更された者の職掌を変更後の従事業務に即した職掌へ変更する,すなわち職掌転換をすることができるものとした。 職分制度導入時において,各従業員をそれぞれの職掌に当てはめたが,この職掌の当てはめ方法については,大量処 掌を変更後の従事業務に即した職掌へ変更する,すなわち職掌転換をすることができるものとした。 職分制度導入時において,各従業員をそれぞれの職掌に当てはめたが,この職掌の当てはめ方法については,大量処理の便宜上,原則として旧工員は作業職掌,旧職員は事務技術職掌に当てはめることとし,旧工員のうち,事務技術職掌の職務と認定された職務に従事していた者については,いったん作業職掌に当てはめた上で,事務技術職掌へ職掌転換(LC転換)をした。この時に相当数の者がLC転換をしているが,これらの者は事務的な職務に配置されるに当たって,その職務に対する適 性や能力を認められた者であった。 また,制度導入以降数年間は,上記以外にはLC転換はそれほど実施されていなかったが,昭和40年代になって,次の要因から,大量にLC転換が実施されることとなった。 イ大量のLC転換の必要性()被告会社においては,昭和30年代後半から40年代前半にかけて,次のとおり会社組織や業務内容が大きく変化した。 aラインアンドスタッフ制昭和36年から37年にかけて各事業所でラインアンドスタッフ制が導入された。 これは,その当時,納期や品質等に関する顧客ニーズが高度化・多様化し,今後更にその程度が上がっていくことが予想されたが,製造現場に工程・生産技術等の管理部門が混在する製造部門を中心としたそれまでの組織体制のままでは納期・品質等の管理を徹底しきれず,そうしたニーズの高まりに十分に対応できないと判断されたことから,ライン(製造)部門とスタッフ(工程,生産技術等管理)部門を分離し,工程課や技術管理課のように機能と人員を集中し独立した組織とすることで,スタッフの専門性を高め管理の充実を図ることとしたものである。 bコンピュータシステムの導入このころから全社的にコンピュータ 工程課や技術管理課のように機能と人員を集中し独立した組織とすることで,スタッフの専門性を高め管理の充実を図ることとしたものである。 bコンピュータシステムの導入このころから全社的にコンピュータシステムの導入が行われ,これに対応するため,コンピュータを利用するスキルもスタッフに要求されるようになった。 このような要因により,スタッフ部門の役割,重要性が増し,スタッフに要求される職務遂行能力が高くなっていったが,同時にこのようなスタッフの人数も増やしていく必要が高まってきた。 以上のスタッフの質的向上の必要性と増員ニーズに加え,和歌山製鉄所の拡張,鹿島製鉄所の建設等,全社的な設備拡張時期を迎えたことが,優秀なスタッフの増員ニーズを更に大きなものとした。 被告会社としては,このような大量のスタッフの増員ニーズに応えるため,その給源を,既に社内に多数存在する技能職掌の優秀者に求めることとした。その理由としては,新たに設備や工場が立ち上がることにより,製品の生産や品質をコントロールする工程や技術管理部門等の事務的な業務も増えることとなるが,そうした生産活動に直接関わる職務を担当させるには,新しく採用した従業員に担当させるよりは,それまで被告会社の製造現場において技能職掌として職務に従事し,現場での作業内容の知識・経験を有する者から選抜することが最も効率的であると考えられたからである。 以上の理由から,技能職掌の知識・経験が豊富で,しかもスタッフに要求される職務遂行能力を満たしていると認められる従業員を,工程や技術管理部門等の生産活動に直接関わる職務において主として活用することとしたが,このようなスタッフ部門に求められるようになった新しい職務は職務分掌上,事務技術職掌の職務となるため,職掌転換(LC転換)を行ったのである。 cLC転 る職務において主として活用することとしたが,このようなスタッフ部門に求められるようになった新しい職務は職務分掌上,事務技術職掌の職務となるため,職掌転換(LC転換)を行ったのである。 cLC転換者の選抜基準,方法,時期,主体LC転換者は,各事業所の人事部門が候補者を選定の上,本社人事部門と協議し,本社人事部門において最終決定されたが,具体的な流れは次のとおりであった。 aまず,工程や技術管理などのスタッフ部門から各事業所の人事()部門に対して要員補充の要請があり,要請を受けた各事業所の人事部門では,過去の能力評価の結果等から技能職掌の優秀者を選出し,その者の所属長等に対して技能職掌としての優秀さの程度を再度確 認するとともに,事務技術職掌としての能力・適性についても確認する。 なお,事務技術職掌としての能力・適性については,報告資料の作成,工場内の他職場との調整,品質改善活動等の各種活動における実績等から,文書作成といった基礎的な能力や企画力,折衝力,調整力を判定していた。 bこうして各事業所において選抜された者は,各事業所の人事部()門から本社人事部門にLC転換の可否について協議がされ,本社人事部門の審査を経て最終的にLC転換が決定されたが,本社人事部門では候補者について,技能職掌としての優秀さ,事務技術職掌としての能力・適性を,過去の能力評価の結果や昇給額及び各事業所の人事部門の担当者への事情聴取等により判断していた。 なお,LC転換の実施時期であるが,必要が生じた都度,個別に実施することが基本であったが,大量にLC転換をする場合は,事務効率化の観点から,事業所において特定の時期にまとめて本社協議を行うこともあった。 cこのように選抜されたLC転換者は,基本的にその能力・適性()が優れていたが,例外的 転換をする場合は,事務効率化の観点から,事業所において特定の時期にまとめて本社協議を行うこともあった。 cこのように選抜されたLC転換者は,基本的にその能力・適性()が優れていたが,例外的に,選抜時には優秀と認められたにもかかわらず,その後事務技術職掌としての能力発揮度が劣る者もおり,このような者は再度技能職掌に職掌転換(CL転換)をしている。 また,いったんLC転換をした後で,自分は事務技術職掌として仕事を続けていく自信がないので工場へ配転してほしいといった希望により,再度技能職掌にCL転換をして工場等へ配置転換した例もあった。 以上が被告会社におけるLC転換の実態であり,大多数のLC転換者がこれに該当している。 もっとも,事業所ごとに要員状況が異なり,LC転換の必要度合いにも差があったことから「事務技術職掌の職務に従事し,技能職掌,としての知識・経験と事務技術職掌としての能力・適性を有している者をLC転換する」という原則を守った上で,それぞれ事業所の必要に応じて柔軟に運営していた。 dLC転換者の職務配置LC転換者は,生産活動に直接関わる次の職務に主に配置された。 a工程管理業務()営業部門が顧客から受注した様々なサイズや材質,製品の納期等について,最も効率的に製造していく方法の計画を立案する業務である。 このような業務では,現場における物の流れや,それぞれの材質やサイズによる製造特性,所要時間等の知識が必要とされた。 b技術管理業務()新たに開発された品種・技術を製品化するための設備仕様や作業手順について大卒技術者が計画・調整するのをサポートする業務である。 LC転換者は,大卒技術者等が企画した製造手順を工場の現場責任者等に説明し,その手順に不具合がないかどうか調整した。このような業務は大卒技術 大卒技術者が計画・調整するのをサポートする業務である。 LC転換者は,大卒技術者等が企画した製造手順を工場の現場責任者等に説明し,その手順に不具合がないかどうか調整した。このような業務は大卒技術者が企画するものではあるが,それを実際に現場作業において実施するに当たっては,これまでの製品における製造手順との比較,新たな手順による設備負荷・作業能率等が問題となるので,それらの知識・経験が必要とされた。 cIE業務()現場作業内容を調査・分析し,作業改善により要員の効率化を推進する業務である。 工場内での作業内容や,製造するための時間や労力に関する知識・経験が必要とされた。 dシステム関連業務()製造ライン等を管理するシステムを構築する業務であり,製造ラインについて熟知していることが必要かつ有益であることは明らかである。 e設備関係業務()設備の補修・点検を計画する業務であり,設備の知識を有することが必要かつ有益であることは明らかである。 これらの業務はいずれも製造に直接関わる業務であったことから,担当職員も製造現場に近い場所で勤務し,また,工場内の現場へ頻繁に出向く必要があった。ところが,当時の製造現場の環境は劣悪で,現在では相当改善されてはいるが,昭和40年代の工場の中は,非常に蒸し暑く,人との会話が聞き取れないほど騒音がひどく,また,床も圧延油が飛び散ったり,天井のクレーンからグリスが落ちてきてべたべたしており,独特の臭いも立ちこめていた。また,現場作業は危険な作業を伴うものであり,不幸にも労働災害も発生していたことで,女性社員からすると行きたくないとの思いになったのも容易に想像できるところである。 また,製造現場に入るには,ヘルメットや安全靴,作業服を着用する必要があるが,普段そうした格好をしていない ことで,女性社員からすると行きたくないとの思いになったのも容易に想像できるところである。 また,製造現場に入るには,ヘルメットや安全靴,作業服を着用する必要があるが,普段そうした格好をしていない女性社員にとっては,抵抗があったものと考えられる。 また,一般事務を行う前提で入社してきている当時の女性社員の意識として,製造現場で働くことなど,全く考えられなかったことは明らかである。 このため,工場において採用された高卒女性事務職の社員は工場の 中に行くことそのものを嫌がり,したがって,女性社員を上記の業務に従事させることなどとても考えられず,専ら,工場に出向く必要のない補助的な業務に従事することとなった。 また,これら業務に従事する者は,24時間操業を行う製造現場では夜中や休日でもトラブルが発生したので,その対応のため,深夜や休日でも呼び出されていたが,当時労働基準法上の制限のあった女性ではこのような勤務を行うことは不可能であり,高卒女性事務職の社員には,同じ事務職であってもLC転換者が有しているような能力・知識・経験を持つことは全く期待できなかったのである。 e原告らの主張に対する反論原告らは,LC転換は事務的な業務を担当する職場の職員全員を丸ごと転換させたもので,特に優秀な者のみを転換させたものではないと主張するが,これは,おそらく次のような事情を誤解したものと思われる。 すなわち,和歌山製鉄所では,昭和30年代後半から昭和40年代後半にかけて,設備拡張に伴って大量にスタッフ部門の要員が必要となったため,原則的なLC転換をしてもなお追いつかないので,入社後比較的早い段階で技能職掌の従業員を工程部門等の事務的な職場に配置し,数年後にその相当数につきLC転換をしたことがあった。 しかし,工程部門等に配属された者は,ほとんどが入社 追いつかないので,入社後比較的早い段階で技能職掌の従業員を工程部門等の事務的な職場に配置し,数年後にその相当数につきLC転換をしたことがあった。 しかし,工程部門等に配属された者は,ほとんどが入社直後には工場に駐在し,その職務遂行場所や関係部門が工場内であっただけでなく,日常業務の中で現場作業の知識を習得することが可能で,むしろ現場作業の知識がないと支障を来すこともあったため,業務を遂行する過程で経験を積み,数年経てば,現場作業や工場内の設備等に関する知識や経験を相当有する状態になっていた。 ただ,このような者についても,工程部門等に配属になったとはい え,すぐにLC転換をさせていたのではなく,おおむね3年程度の間,技能職掌として業務を行う傍ら,事務的な業務にも従事させて,事務技術職掌としての能力・適性を見極めた上で,LC転換をすることとしていたのである。 このようなケースでは,入社後の職務経験が3年程度と比較的期間の短い者がLC転換の候補となる場合も多かったことから,能力評価の確認や事務技術職掌としての能力・適性の見極めを特に厳格に行うよう本社として指示しており,現に,見極めにより不適格と判断された者については,LC転換をせず技能職掌のまま個別に工場等へ配置転換していた。 このように,各事業所における要員状況の違いにより,柔軟な運営が行われていたが,和歌山製鉄所工程部門の例でも分かるように,当時,LC転換者に期待された資質・能力や現に担当していた職務内容からすれば,原告らの主張するような機械的なLC転換はあり得ないことである。 f例外的なLC転換について以上が当時一般的に行われたLC転換の説明であるが,例外的なLC転換の形態として,コンピュータ関連の専門学校等からの卒業者,本社採用高卒社員(CH[)の代替層として活用 例外的なLC転換について以上が当時一般的に行われたLC転換の説明であるが,例外的なLC転換の形態として,コンピュータ関連の専門学校等からの卒業者,本社採用高卒社員(CH[)の代替層として活用,]ClerkHighschoolすることを前提に事業所において採用された者及び中途採用者についてのLC転換があった。その概要は,以下のとおりである。 aコンピュータ関連の専門学校生()昭和40年代において,被告会社においては,製造工程を管理するシステムや,経理,人事等のインフラ的なシステムを全社的に立ち上げていったが,こうしたシステムのプログラミング等に従事する要員が大量に必要となったことから,コンピュータ関連の専門学 校等で,システム開発・設計に関する高度かつ専門技術を取得した者を各事業所において相当数採用し,当該業務に充てていた。これらの者は,執務地の関係から入社後本社に配属されている者が多かったが,将来の幹部候補生たる本社採用者として,転勤を前提に採用したわけではなく,事業所がそれぞれのニーズに応じて採用を決定し,当該事業所で勤務することを予定していたもので,事業所採用者に該当する。 とりわけ,このような者のうち,事業所に配属された者は製造工程を管理するプロセス制御システムを構築することが主たる担当業務であったが,そうしたシステムを構築するには,LC転換者と同様,現場に出向き実際にその製造ラインの仕組みや設備の特性を把握することが必要であったのである。 なお,その職務内容からすれば,これらの者は事務技術職掌として採用することが妥当ではあったが,このような事業所採用者の男性社員で事務的な業務を担当する者は,職分制度導入時には想定しておらず,どのように取り扱うかについて決めていなかったので,事業所採用者の男性は技能 ことが妥当ではあったが,このような事業所採用者の男性社員で事務的な業務を担当する者は,職分制度導入時には想定しておらず,どのように取り扱うかについて決めていなかったので,事業所採用者の男性は技能職掌,女性は事務技術職掌という区分により採用するという当時の採用の原則に従い,いったん技能職掌として採用し,即日又は一定の期間後,事務技術職掌にLC転換をした。したがって,同じLC転換者とはいえ,技能職掌としての知識・経験がないので,前述のような一般的なLC転換とは意味合いが異なる者であるが,事務技術職掌としての能力・適性という点からみると,高度な専門知識と技術を有する集団であった。 b将来BHになる予定で事業所において採用された者()c中途採用者()中途採用については各事業所の判断で行われていたものであり, 詳細は不明であるが,設計関係の業務に従事する者として,その関係のスキルの高い者を上記と同様の理由から技能職掌として中途採用し,入社後即時又は短い期間で職掌転換した例が多かったのではないかと推測される。 以上,一般のLC転換者とは異なるが,それぞれに述べたところから分かるとおり,これらのLC転換者には,一般的なLC転換者以上の勤務実績が期待できると考えてよい。 gBHについてa発足のいきさつ()もともと,幹部候補生たる本社採用者としては,大卒以外に高卒(CH)もあったが,昭和40年代に入ると高学歴化の進展により高卒の優秀者を毎年一定数全社的に採用することが困難となってきた。 従来CHについては管理部門における企画・調整の業務や,管理部門以外の職場における比較的上位の立場での総括的な業務に配置し,LC転換者については,CHの指示を受け,実務的な業務を担当するという業務分担を行っていたところ,LC転換者の職務遂 整の業務や,管理部門以外の職場における比較的上位の立場での総括的な業務に配置し,LC転換者については,CHの指示を受け,実務的な業務を担当するという業務分担を行っていたところ,LC転換者の職務遂行能力が上がるにつれて,CHと同等の業務に従事することが可能なレベルに達する者が増え,中には現実にCH業務に従事する者もでてきた。こうした中で,高学歴化の進展により優秀者を毎年一定数採用することが困難になってきたCHについて,これを維持するかを検討することとなり,LC転換者の能力伸長が確認されたこともあり,今後益々困難になっていくと予想されるCHの採用をあえて継続していくよりも,LC転換者のうち既にCHのレベルまで達している者及び将来達することが期待される者をCHの代替として活用する方が効果的であると判断された。このような背景により,被 告会社は,昭和45年にCHの採用を中止し,LC転換者のうち優秀者を選抜し,これを代替することとしたものであり,これがBH()の制度である。 BranchHighschoolbBHの選抜方法()BHは人物,能力,適性的にCHの代替として活躍できる者でなければならなかったので,各事業所の人事部門と本社人事部門の協議により慎重かつ厳格に選抜した。 具体的な選抜方法については,以下のとおり,対象者の職分が専門執務職以上の場合と,一般執務職の場合とで異なっている。 専門執務職以上の者ⅰ各所属部門からの推薦に基づき,各事業所の人事部門において過去の能力評価の結果や,本人の仕事への意欲や積極性,さらにはBHに認定した後の活用予定等を総合的に勘案し,BH候補として本社人事部門に協議するかどうかを決めていた。各事業所の人事部門において本社協議の対象と決定された者は,各事業所の人事部門から本社人事部門 Hに認定した後の活用予定等を総合的に勘案し,BH候補として本社人事部門に協議するかどうかを決めていた。各事業所の人事部門において本社協議の対象と決定された者は,各事業所の人事部門から本社人事部門へ協議がされ,本社人事部門において再度能力評価や活用予定等を確認するとともに,全社的なバランスも勘案しながら最終決定した。 一般執務職であった者ⅱ各事業所の人事部門で本社協議の対象とする者の選抜をするに当たって,過去の能力評価や活用予定等を判断の基準としたが,専門執務職以上の者とは異なり,勤続年数が短かったことから,慎重を期すため,その前段として,学力試験と所内教育を課し,見極めることとした。 まず,学力試験は,英語,数学,国語,一般常識の4課目に関する試験を一般執務職のLC転換者全員に対して実施した。なお, 本社の基本方針としては,LC転換者全体の能力の底上げのため,LC転換者全員に対して実施させることとしていたが,具体的な運営は各事業所に任せていたので,事業所の判断で,あらかじめBHとして適当でないと判断される者等は,初めから学力試験の対象から外したこともあったと考えられる。 次に,学力試験の結果が一定以上の者について各事業所の人事部門が開催する所内教育を受講させた。カリキュラム等の具体的な内容については,各事業所に任せてあったが,本社の方針としては,実務能力向上や視野の拡大を図るための教育を最低2週間を目途に実施することとしていたので,各事業所では,その方針に基づくとともに,オプションで必要な内容を付加して実施していた。この所内教育において,各事業所の人事部門の担当者は,受講者の発言内容や,教育を受ける態度,さらには提出したレポートの内容等から,論理的思考力や分析力,またリーダーとしての資質等,CH代替としてより高度な業務 において,各事業所の人事部門の担当者は,受講者の発言内容や,教育を受ける態度,さらには提出したレポートの内容等から,論理的思考力や分析力,またリーダーとしての資質等,CH代替としてより高度な業務を担当するスタッフに必要な適性について観察しており,特に適性が認められる者を選別した。 このように,所内教育で選別された者について,個々に,過去の能力評価や,BHに認定した場合の活用予定を確認した上で,CHの代替としてふさわしいと認められた者は,事業所から本社に推薦されることとなったが,この本社推薦までたどり着くのは,割合として相当低かった。 事業所から推薦された者について,本社人事部門として,過去の能力評価や全社的なバランスを勘案し,BHにふさわしいと判断された者を選び,最終過程として本社教育を受講させた。教育の内容は一般職特別執務訓練教育計画のとおりで,2週間程度, テーマ研究等のケーススタディーや座学等を行ったが,今後スタッフとしてよりレベルの高い業務に従事することから,それに必要とされる分析力や思考力等の向上に重点をおいたカリキュラムにしていた。また,これと併せて,教育期間中には,本社教育の受講後BHに認定されることや,BH認定後の従事業務,転勤があること等について説明していた。 こうして本社教育を受講し合格した者がBHに認定された。 なお,BHは職分制度協定上の職掌ではないので,職掌転換と異なり,辞令の交付はなかった。 cBHの職務配置()BHは従来CHが担当していた,より重要性と困難度の高い業務に従事することとなった。重要性が高い業務とは,LCの時代は調整相手が現場の作業責任者に限られていたものが,他事業所や本社の担当者,さらには社外の顧客と折衝,調整することが必要となる業務や,より上位の職位として当該業務を取りま が高い業務とは,LCの時代は調整相手が現場の作業責任者に限られていたものが,他事業所や本社の担当者,さらには社外の顧客と折衝,調整することが必要となる業務や,より上位の職位として当該業務を取りまとめる業務,より全社的に影響のある予算や計画を作成する業務等であるが,これらの業務では,高度な知識や経験と,折衝力,判断力,企画力が要求されるので,業務遂行上の困難度はより高い。 d女性をBHの対象としなかったことについて()原告らは,女性をBHの対象としなかったことが差別であると主張するが,BHはCHの代替であることから転勤が前提であったところ,被告会社としては当時の社会情勢や,家庭における役割分担意識を踏まえて,当時の女性の意向を尊重し,女性の就業生活と家庭生活とを両立できるように,女性に対して転居を伴う転勤を行わないよう配慮していたのであり,このような配慮に基づき,女性については,転勤があることを前提としたBHの対象としなかったに すぎない。 この転勤に関し,BHの転居を伴う転勤実績がCHの実績よりも割合的に低いが,これは,BHがもともと事業所のニーズに対応する制度であるため,事業所が業務上の必要性からBHを手放そうとしない傾向にあったためである。 また,転勤についての一番重要なポイントは,実際にどれぐらい可能性があったかというより,必要なときには転勤させることができるか否かということであり,当時の社会情勢等からすると,女性にそもそも転勤を求めることはおよそ不可能であったということである。この点について,BHに選抜する過程で,被告会社は本人に説明し同意を取っているが,比較的融通が利くと思われる男性社員に対してすら転勤についてあらかじめ同意を得ていることからすると,事業所採用者にとって,転勤,ことに転居を伴う転勤は重大な 会社は本人に説明し同意を取っているが,比較的融通が利くと思われる男性社員に対してすら転勤についてあらかじめ同意を得ていることからすると,事業所採用者にとって,転勤,ことに転居を伴う転勤は重大な問題であったと考えられる。以上のような事情からすると,当時,全く転勤を求めることが考えられなかった女性をBHとすることができなかったことは当然のことである。 また,転勤の問題は別にしても,BHに対しては,製造現場の作業についてLC転換者を超える高度の判断が要求され,適切な判断を行うためには現場に出向き,その実情を確認することが必要であるにもかかわらず,前記dで述べたとおり,現場に行くことすら嫌がり,したがって,現場での経験や知識を得ることができない女性に対し,そのような業務に従事することを求めることは不可能であったのであるから,本社採用者やBHが担当した業務を担当させることなど到底できなかったのである。 それに加えて,業務の困難度が上がるにつれて深夜業や休日出勤での対応が必要となり,労働基準法の制限を受ける女性では対応が 困難であったことは明らかであり,こうした点からも,女性をBHの対象とすることは不可能であった。 eBH候補者としての採用について()以上のとおり,BH制度はCHの廃止に伴い,LC転換者の優秀者を充てるという制度であったが,従来のCHが担当していた職務全体をカバーするには至らなかったことから,昭和40年代後半ころから,将来BHとして認定,活用することを予定して,事業所において毎年各10名程度の高卒社員を採用することとなった。なお,これらの者は技能職掌として採用され,入社2か月間の試用期間後の任用時に事務技術職掌へLC転換しているが,そのような形態をとった理由は,前述のシステム関連要員と同じように,事業所採用者の 。なお,これらの者は技能職掌として採用され,入社2か月間の試用期間後の任用時に事務技術職掌へLC転換しているが,そのような形態をとった理由は,前述のシステム関連要員と同じように,事業所採用者の男性は技能職掌,女性は事務技術職掌という区分により採用するという当時の採用の原則に従ったためである。 このような従業員は,将来CHの代替として活躍し得るような優秀者を採用する必要があったことから,極力CHの採用と同じような手法により採用した。具体的には,本社採用についての従来の指定校の外,従前採用した卒業生が優秀であった高校を採用指定校に選定し,その指定校から優秀な生徒を推薦してもらい,国語,数学,英語,一般常識の学科試験と面接試験を実施し,全社で年間10名前後の合格者を決定した。なお,入社試験のレベルとしてはCHの試験とほぼ同等のレベルにしており,また,事業所での採用ではあったが,全社レベルを極力揃える観点から,複数の事業所が試験・面接・採用の判定を合同で行った。また,事業所採用者ではあるが,将来BHに認定し全社的な活用がされることを前提としていたので,採用指定校へ優秀者の推薦を依頼する時には,従事する業務内容が,事務技術職掌の一般の業務ではなく経理や人事等の特定の管理・間 接部門の業務を予定していること,他の事業所への転勤があり得ることについて明確に説明していた。 このような者の能力レベルとしては,各高校で上位の成績を修めている者であったので,相当高いレベルであった。もっとも,CHの採用を中止した理由が成績上位の者が大学に進学するようになり採用できなくなったことであるので,推薦された生徒のレベルは従前のCHと同等とまではいかないものの,大学に進学する成績優秀者を除いた中では,おおむね最も上位の成績を修めた者であった。 ただし,この 採用できなくなったことであるので,推薦された生徒のレベルは従前のCHと同等とまではいかないものの,大学に進学する成績優秀者を除いた中では,おおむね最も上位の成績を修めた者であった。 ただし,このような者でも,当然にBH認定をしたわけでなく,その能力や資質を見極めた上でBH認定をしていた。 これらの者は,その多くが入社3年程度で,所定のBH教育を受講しBH認定をされたが,中には当初期待していたレベルにまで達せずBH認定をされない者もいたのである。この点からも,BH認定者の能力・資質が高かったことが裏付けられる。 また,これらの採用の対象は男性だけであるが,その理由は,前述の女性をBHの対象としなかった理由と同じである。 ウ能力評価(考課)と処遇能力評価(考課)とその結果を個々人の給与や処遇に具体的に結びつけるプロセス・方法については労働協約には明記されておらず,人事部門が,労働協約に定める職分制度協定や給与制度協定の範囲内で決定し,合理的な運営を行ってきたところである。 ア平成2年度以前の考課及び処遇決定の方法()a考課の流れ本社人事部門においては,毎年12月中旬ころまでに,その時々の経営情勢や要員事情等を踏まえ,全社及び各事業所ごとの職分職級昇進人員数の予算や能力評価の評価区分別人員数についての予算(以下 「能力評価の予算」という)を作成することとなっていた。 。 このうち,職分職級昇進人員数の予算については,本社人事部門が予算を作成するに先立って,各事業所の人事部門が事業所の人員構成や在級年数,異動計画等を基に原案を作成し,それを本社人事部門で集約することとしていたが,各事業所の原案を単純に合計すると,昇進人数が多くなりがちであったので,本社人事部門は,その原案を踏まえつつ,次年度以降の人件費予算,人員計画・異動計 それを本社人事部門で集約することとしていたが,各事業所の原案を単純に合計すると,昇進人数が多くなりがちであったので,本社人事部門は,その原案を踏まえつつ,次年度以降の人件費予算,人員計画・異動計画等を総合的に勘案して,最終的に各事業所ごとの予算を決定していた。 本社人事部門が各事業所の能力評価の予算を決定する際には,各事業所ごとの採用区分別の人員数を勘案して,職分職級ごとに評価区分別の合計人員数を算定していた。これは,一般的に本社採用者については,本人の能力,従事業務とその業績等から比較的高い評価を受ける者が多い実態があり,もし各事業所に一律の予算を設定したとすると,本社採用者の多い事業所は,本社採用者の少ない事業所に比べて全体として競争が厳しくなり,同じ程度の業務実績を挙げたとしても,能力評価結果が不利になる可能性があり,事業所によって不公平が生じることとなるためである。 しかし,本社人事部門が各事業所に能力評価の予算を提示する際には,採用区分別の人員数ではなくその合計を提示していた。これは,あくまでも能力評価は,採用区分にかかわらず同一の条件で行われるべきである(つまり,本社採用者であっても必ずしも優秀でない,業務実績の上がらない者は評価を低くし,事業所採用者であっても優秀で業務実績を上げている者については,その成績にふさわしい処遇を行う観点)と人事部門が考えていたこと及び労働協約上も「同一職級の者を評価単位として評定する」と定められていたことによる。 また,当然ではあるが,男女別で能力評価の予算を提示したりする ようなことは行っていなかった。 各事業所の人事部門は,この能力評価の予算と職分職級昇進人員数の提示を受けた後,毎年1月上旬ころ,各部に査定依頼を行っていた。 査定依頼を受けた各部においては,職分制度協定に定める能力 ていなかった。 各事業所の人事部門は,この能力評価の予算と職分職級昇進人員数の提示を受けた後,毎年1月上旬ころ,各部に査定依頼を行っていた。 査定依頼を受けた各部においては,職分制度協定に定める能力評価要綱及び具体的運用マニュアルであった能力評価手引(乙30)に基づいて,所属長及び部長が所属員の能力評価を行っていた。 もちろん,能力評価を行う際には能力評価手引に記載されているとおり,同一職分職級の者を評価集団としていたのであり,男女別に査定を行うことなどあり得ない。 b本社人事部門が行う査定原案の調整各事業所の人事部門は,各所属部門の能力評価の結果を集約した上で,毎年2月中旬ころまでに,事業所全体の職分職級昇進人員数と能力評価の評価区分別人員数についての原案を作成し,本社人事部門に提出することとなるが,本社人事部門から提示された予算内に極力収まるよう各部と調整を行うのが通例であった。 本社人事部門は,原則として各事業所ごとの職分職級昇進人員数と能力評価の評価区分別人員数の原案が,本社の提示した予算の枠内に収まっているかどうかを確認するとともに,職分制度協定等の運用についても問題がないかどうかを確認した上で,問題がなければ原案どおり決定することとしていた。 ただし,本社人事部門としては,将来の経営幹部候補である本社採用者全員と事業所採用者の中で将来管理職に登用して活用することを前提とする管理補佐職の者については,将来的な配置・活用について検討する必要があること,また,事業所間異動も頻繁に行われていることから,全社的な観点からその査定の当否を判断する必要があると考えており,これらの者の能力評価結果,職分職級昇進について個別 に判断していた。 特に管理補佐職及び管理職への昇進については,本社採用者はもちろん,事業所採用者についても, 断する必要があると考えており,これらの者の能力評価結果,職分職級昇進について個別 に判断していた。 特に管理補佐職及び管理職への昇進については,本社採用者はもちろん,事業所採用者についても,昇進候補者の実績や能力に加え,将来の活用方針等を各事業所の人事部門に確認した上で,各人の昇進の可否を検討し,管理補佐職昇進者については人事担当役員まで,管理職昇進者については社長にまで説明していた。 本社人事部門としては,本社採用者全員及び事業所採用者のうちの管理補佐職の者の能力評価や職分職級昇進の結果を個別に確認した結果,見直しが必要であると判断した者については,各事業所の人事部門と調整の上,各事業所の査定原案を変更することがあった。この場合の調整は,本社人事部門が各事業所ごとに提示した職分職級昇進や能力評価の予算の枠内に収めるのが原則ではあったが,各事業所の人事部門との調整の中でやむを得ない場合については,その枠をはみだしてしまうこともあった。 c処遇決定のプロセス前述のとおり,処遇決定のプロセスが平成3年度を境に変更されたが,平成2年度以前は個々人の具体的な処遇は次のとおり決定していた。 a昭和55年度以前()昇給額については,職分職級ごとに能力評価区分が決定すれば昇給額が決まるような仕組みであった。 また,職分職級については,能力評価の結果に基づいて個人職分点が決まり,昇進資格点に基づいて選抜昇進・自動昇進が行われた結果,各々の職分職級が決定する仕組みになっていた。 業務手当については,基本給と職分職級に応じて決まることとなっていた。 b昭和56年度以降()昇給額,職分職級については,それ以前と特段変更はない。 職分給については,各人の職分職級が決まれば自動的に決まる仕組みであったが,職能給については,職分職級 た。 b昭和56年度以降()昇給額,職分職級については,それ以前と特段変更はない。 職分給については,各人の職分職級が決まれば自動的に決まる仕組みであったが,職能給については,職分職級ごとに能力評価の評価区分が決まれば職能点の増点分が決まり,今期の職能点が導き出される仕組みとなっており,この職能点と単価で決まることとなっていた。 c処遇決定のプロセスについて()各所属部門は能力評価結果の原案を作成するのが役割であり,その査定結果に基づいて,実際に処遇を決定する役割は人事部門が行っていた。 人事部門の中での本社と各事業所の役割分担としては,本社は,処遇運営に関するルールを決定し,各事業所は,各人の具体的な能力評価結果を決定していた。 イ平成3年度以降の考課及び処遇決定の方法()職分制度協定に基づく能力評価の運営方法については,既に述べたように,平成7年に資格制度が導入されるまで変更はなかった。つまり,各所属部門において,職分制度協定に定める能力評価要綱及び具体的運用マニュアルとして各所属長に配付していた能力評価手引に基づいて,所属長が所属員の能力評価を実施していた。 しかし,平成3年度の定期査定を境にして,考課結果に基づく処遇決定のプロセスが一部変更された。その変更の理由と変更内容の概要は,以下のとおりである。 a処遇決定のプロセスを変更した理由能力評価は,職分制度協定に定める能力評価要綱及び具体的運用マニュアルとして各所属長に配付していた能力評価手引に従い,評点要 素ごとに評定を行い,評点を積み上げる方式,すなわち絶対的な評価を重視したものであったが,現実には,同一職分職級の者を査定集団として,相対的な視点も加味して査定を行っていた。 ところが,昭和60年代前半ころから全社的に合理化を進めていく過程 なわち絶対的な評価を重視したものであったが,現実には,同一職分職級の者を査定集団として,相対的な視点も加味して査定を行っていた。 ところが,昭和60年代前半ころから全社的に合理化を進めていく過程で,必然的に各所属部門の従業員数が減少し,所属の人員構成によっては,各人ごとには同一の職分職級の者が少ない,あるいは全く存在しないというケースが多くなってきた。このため,査定者から,このような状況下では,客観的に各人のあるべき評価が見定めにくいという意見が出てくるようになり,実際,各事業所の人事部門からも,査定者による能力評価結果のばらつきが目立つようになってきたとの指摘があった。 加えて,これまで各人ごとの具体的処遇については,各所属部門での能力評価の結果を基に人事部門において決定していたが,これについても,査定者から,各人ごとに能力評価をした結果が,どのように具体的処遇に結びついていくかが分かるような仕組みにしてほしいといった要望が出てきた。 そこで,人事部門としても,以上のような要望に応え,査定者が各人に対する評価を見定めやすい,査定時に具体的処遇が分かりやすい仕組みに改善するために,処遇決定のプロセスを変更することとした。 b処遇運営方法の骨格前記のような問題点を改善するために,本社人事部門で検討を重ねた結果,次のような新たな運用の仕組みを導入することとした。 なお,この仕組みに関しては,専ら社内の査定者用の内部資料としてC職処遇運営制度の概要及び人事関連帳票作成の手引きを作成した。 このうちC職処遇運営制度の概要は,事務技術職掌社員に対する新たな処遇運営方法の仕組みを査定者に説明する目的で作成されていたも のであり,また,人事関連帳票作成の手引きは,主として新しい仕組みにおける人事考課の手順,作成する帳票類の解説を査定者に対し 新たな処遇運営方法の仕組みを査定者に説明する目的で作成されていたも のであり,また,人事関連帳票作成の手引きは,主として新しい仕組みにおける人事考課の手順,作成する帳票類の解説を査定者に対して行う資料である。 aマトリックスの作成方法()まず,年収水準概要で示されているようなマトリックスの作成方法については,具体的には,この新たな運用の仕組みを導入した時点での事務技術職掌社員全員について,採用区分等とは全く関係なく給与水準を年齢別に統計をとり,各年齢ごとに無数にある給与水準をまず16ランクに大きくまとめあげた。次にこの16ランクの給与水準を更に3ランクごとに細分化して,合計48ランクの給与水準を年齢別に決定した。 このように事務技術職掌社員全員の給与水準・年齢を基にマトリックスを作成し,全員がこのマトリックスの中のいずれかのランクに当てはまるようにした。 この給与水準を示す16ランクの指標(S」ないし「E)を「」評価区分,48ランクのものを給与係数,さらに,16ランクの評価区分を大括りにした5ランクのものを査定区分と名付けている。 なお,後に詳述するとおり,査定区分は,給与係数,評価区分が決まるとおのずから決まるものであり,原告らが主張するように,女性は査定区分ホというようにあらかじめ決められているという性質のものではない。 また,年功の高さ,つまり入社後の経験年数を示す指標として標準年齢(学校卒業後直ちに入社した場合の年齢に勤続年数を加算したもの。高卒の場合は18歳に勤続年数を加算したもの)や年齢。 区分(標準年齢を2,3歳ごとにまとめたもの)を導入した。 b各人の標準年齢と給与係数が決まることによって処遇内容が決() 定する仕組み前述のように,各人の標準年齢と評価・給与の高さを示す指標をキーとしたマ 3歳ごとにまとめたもの)を導入した。 b各人の標準年齢と給与係数が決まることによって処遇内容が決() 定する仕組み前述のように,各人の標準年齢と評価・給与の高さを示す指標をキーとしたマトリックス上に事務職社員全員が当てはまることとなり,査定者は,その時点での所属内の各人が全体の中でどのような処遇を受けているか,つまり処遇の相対的な高さが理解できるようになった。 また,職分職級運営概要にあるとおり,標準年齢と給与係数が決まることによって,各人の基本給,職能点や職分職級といったすべての内容が決定されるようになったので,査定者は,自分の能力評価の結果が各人の具体的な処遇にどのように結びついていくのかを理解できるようになった。 例えば,年収水準概要は,査定区分イ,評価区分Aで年齢区分6の社員の年収水準がおおむね505万円ということを示している。 この社員の年齢区分が「7」となった場合,査定区分イの社員に期待されている能力・実績にふさわしいと判断されれば,査定区分が「イ」のままで評価区分が「A+」か「A」に当てはまることとなり,その場合の年収水準は,評価区分A+の場合590万円,同Aの場合575万円となることも査定者が理解できることとなる。 c初任時の当てはめと,入社後これを柔軟に変更できる仕組み()初任時の当てはめについては,別表D②-1に記載されているとおり,労働協約における職分制度及び給与協定上,採用区分や学歴等により,その初任の職分職級,給与水準が明らかに異なっていたことから,その入社時の処遇の高さに応じて決めていた。 例えば,別表D①-1の要員区分の考え方にある「本採」に例示されている「いわゆる総合職大卒」の者については,その初任給,初任の職分職級等の水準を表す位置付けである給与係数36点,評 価区分A及び査定 ,別表D①-1の要員区分の考え方にある「本採」に例示されている「いわゆる総合職大卒」の者については,その初任給,初任の職分職級等の水準を表す位置付けである給与係数36点,評 価区分A及び査定区分イに当てはめていた。また,同じ表中の「一般,つまり事業所採用者のうち,主として補助的職務に従事する」ことを前提として採用された者(いわゆる一般職)については,同じようにその初任給,初任の職分職級の水準を表す位置付けである給与係数0点,評価区分E及び査定区分ホに当てはめていた。 ただし,これはあくまで入社時の当てはめについて説明したものであって,入社以降は,各人の能力発揮度合いに基づく能力評価の結果により,柔軟にこの給与係数,評価区分及び査定区分が変更できることとなっていた。 別表D①-3の能力評価区分と評価区分の対応関係(以下「能力評価区分と評価区分の対応表」という)は,能力評価区分と評価。 区分との対応関係を示すとともに,表中の矢印は能力評価区分に応じて査定区分を変更できることを,査定者に分かりやすく図式化したものである。例えば,査定区分ロの場合,能力評価の結果が「A」であれば,評価区分OBとなり,同じく能力評価の結果が「B+」であれば,評価区分が「B+」か「B」となることを示すとともに,能力評価の結果が「OA」で特に優秀な者については,上位の査定区分イに上がり,能力評価の結果が「B」以下の者については,下位の査定区分ハに下がることも意味している。 つまり,各査定区分の中で,能力評価の結果が「OA」という高い評価を受けた者は,翌年度に一つ上の査定区分に上がることが可能となることを示している。逆に,各査定区分に期待されている能力・実績等にふさわしくないと判断された者は,低い能力評価を受けることとなり,翌年度には一つ低い査定区分に下が の査定区分に上がることが可能となることを示している。逆に,各査定区分に期待されている能力・実績等にふさわしくないと判断された者は,低い能力評価を受けることとなり,翌年度には一つ低い査定区分に下がることを示している。 具体的には,本社採用者として採用された大卒社員は,入社時に は査定区分イに当てはまるが,その後の能力評価の結果に基づいて,査定区分ロや同ハになる場合もあるし,また,当初は事業所採用者で一般事務に従事することを前提に採用された者は,入社時には査定区分ホに当てはまるが,その後の能力評価の結果,査定区分ニや同ハになることが可能になる仕組みであり,実際の運営もこのとおりとなっていた。 なお,別表D②-1に「2 従来の処遇管理学歴毎の標準的な運( )営幅を示す指標」とあるのは,過去の実績において,標準的な者の給与係数はおおむねどの範囲に入るのかを一定の幅で示したものである。これは,新しい処遇決定の方式導入に伴い,査定者側から,標準的な者について過去の実績をまとめたら大体どういう範囲に入るのか(標準者の過去の実績を新しい給与係数で読み替えるとどういう点数になるのか)を示してほしいとの要望があり,これを受けて,例外的な者を除いた標準者について過去の実績を給与係数に当てはめた場合のおおよその幅を示したものであり,その範囲内で運営せよという趣旨のものではない。 c具体的な考課の流れ具体的な考課の流れは,次のとおりである。 aまず毎年12月中旬ころまでに,本社人事部門は,平成2年度()以前まで行っていた能力評価の予算の提示の代わりに,各事業所ごとの人員構成に基づいて年齢区分,評価区分別の人員数を算出するとともに,平成2年度以前と同様,職分職級ごとの昇進人員数の予算についても算出し,この双方を各事業所の人事部門に提示するこ に,各事業所ごとの人員構成に基づいて年齢区分,評価区分別の人員数を算出するとともに,平成2年度以前と同様,職分職級ごとの昇進人員数の予算についても算出し,この双方を各事業所の人事部門に提示することとなる。 b各事業所の人事部門は,これら人員数の提示を受けた後,翌年()1月ころに各部に査定依頼を行う。 c各所属長は,まず職分制度協定に定める能力評価要綱及び具体()的運用マニュアルとして各所属長に配付していた能力評価手引に基づいて能力評価を行い,所属員の能力評価区分を個々決定する。次に,年収水準概要等を参照して所属員各人の現在の年齢,査定区分を確認した上で,年収水準概要を参照しながら,能力評価区分と評価区分の対応表に従い,今期の能力評価結果を基に所属員の能力評価区分,評価区分を最終的に決定することとなる。 具体的には以下のとおりである。 まず,査定者は,年収水準概要に基づき,あらかじめ交付されⅰた被査定者や他の社員の年収をみて,その差が妥当なものであるかなど,それぞれの社員の評価区分等の位置付けを確認する。 次に,能力評価区分と評価区分の対応表に基づき,仮に自らがⅱ考えている能力評価区分を付けた場合の評価区分を確認する。その際,当該能力評価区分を付けた場合,評価区分さらには査定区分がどのようなものになるかを確認する。 例えば,能力評価区分Aを付けた場合は,評価区分が「B+」ⅲから「OB」に一つ上がること,また,能力評価区分OAを付けた場合は,さらにその中の優秀者に該当すれば,評価区分のみならず査定区分も「ロ」から「イ」に上がること,逆に能力評価区分B以下を付けた場合は,評価区分のみならず査定区分が「ロ」から「ハ」に下がること等を能力評価区分と評価区分の対応表で確認する。 これらを踏まえた上で,さらに,年収水準概 上がること,逆に能力評価区分B以下を付けた場合は,評価区分のみならず査定区分が「ロ」から「ハ」に下がること等を能力評価区分と評価区分の対応表で確認する。 これらを踏まえた上で,さらに,年収水準概要に基づき当該評ⅳ価区分によった場合の年収の額を確認する。 以上のとおり,査定者は,年収水準概要及び能力評価区分と評ⅴ価区分の対応表の双方を見比べ,当該能力評価区分を付した場合 の被査定者の評価区分や年収等を頭に置いた上,同じ所属に複数の社員がいるときにはその年収額等とも比較しながら,能力評価区分を検討し,最終的に決定することになるのである。 このような手順をきちんと踏まえた査定を行うことにより,査ⅵ定者は,自分の能力評価の結果が各人の具体的な処遇にどのように結びついていくのかをより的確に理解できるようになると同時に,各人の全社的な位置付けも分かり,より正確な評価を自信を持ってつけることができるようになったのである。 なお,各所属長は,今期の年齢区分,査定区分別に順位を付与することとしていた。 d前記と同様の作業を,2次評定として各部長が行い,結果を各()事業所の人事部門へ提出した。 e各事業所の人事部門は,各部長が決定した各人ごとの能力評価()の結果と評価区分,順位及び職分職級昇進の結果を集計した上で,本社人事部門から提示された年齢区分,評価区分別の人員数,昇進人員数の予算の枠内に収まるよう各部長と調整を行っていた。 各事業所の人事部門は,各部長と,能力評価の結果や評価区分及び職分職級昇進に関する調整を行う中で,各部長が査定時につけた順位や日頃人事として各所属部門から得ている各人の業務達成度合いや能力に関する情報などに基づいて,具体的に各人ごとに給与係数を決定していた。 このようにして各事業所ごとに査定原案を作成し,本 つけた順位や日頃人事として各所属部門から得ている各人の業務達成度合いや能力に関する情報などに基づいて,具体的に各人ごとに給与係数を決定していた。 このようにして各事業所ごとに査定原案を作成し,本社人事部門に提出することになるが,本社人事部門としては,各事業所の査定原案が,本社の提示した年齢区分,評価区分別の人員数,昇進人員数の予算の枠内に収まっているかどうかを確認するとともに,職分制度協定等の運用に問題がないかどうかを確認した上で,問題がなければ各事 業所の原案どおり決定することとしていた。ただし,平成2年度以前と同様に,将来の経営幹部候補である本社採用者全員及び事業所採用者の中で管理職に登用して活用することを前提とする管理補佐職の者について,将来的な配置・活用について検討する必要があること,また,事業所間の異動も頻繁に行われていることから,全社的な観点からその査定の当否を判断する必要があると考えており,個別に評価結果を確認し,個別に調整が必要であると判断した場合は,各事業所の人事部門と協議の上,原案を修正していた。 特に管理補佐職及び管理職への昇進については,本社採用者はもちろん,事業所採用者についても,昇進候補者の実績や能力に加え,将来の活用方針等についても各事業所の人事部門に確認した上で,各人の昇進の可否を検討し,管理補佐職昇進者については人事担当役員まで,管理職昇進者については社長にまで説明していた。 ウ能力評価において男女で異なる取扱いをしていないこと()被告会社は,能力評価において,男女で異なる取扱いをしているものではなく,考課についても,入社時の当てはめが採用区分によって異なることはあっても,その後の運営は個人の業務実績,能力によって査定を行っており,以下のとおり,男女別に恣意的な運営を行っているような ではなく,考課についても,入社時の当てはめが採用区分によって異なることはあっても,その後の運営は個人の業務実績,能力によって査定を行っており,以下のとおり,男女別に恣意的な運営を行っているようなことは一切ない。 a被告会社における能力評価制度は前述のとおりであるが,人事考課制度において主観的な要素が含まれることは事柄の性質上当然のことであり,むしろ,被告会社の制度は一般に比しても評価要素や評定段階を詳細に定めており,その意味において恣意性の入る余地はむしろ乏しい。 もとより,被告会社の能力評価の決定手続も前述のとおり所属において2段階行うことで,人事考課も単独ではなく複数名による多面的 な評価により決定することにより,客観性と合理性を担保するものである。 加えて,被告会社では,前記のとおり,苦情処理機関要綱に基づき苦情処理機関を設けて,能力評価についての従業員の苦情を処理しているのであるから,評価の公正さをチェックする機能も存在している。 b選抜昇進の選定基準である「徳望・識見」や「統率能力「卓抜」,な能力・識見「複雑困難な作業に従事している者」という要件に」,ついても,同一の職掌・職分の業務に従事する者であっても能力や識見に差が存在することは一般的に明らかであるから,これを比較し,その差を判定する要素について,前述する以上に具体化することは困難である。 エ男女間格差の合理性ア能力評価と昇進については,制度上及び運営上,採用区分に基づく()差異は存在しないが,その採用区分の違いに基づき,初任の職分職級や個人職分点において一定の格差を設けた上で,入社時における長期実習の有無はもとより,その後の業務配置・異動,教育・研修においても全く別異に取り扱うものである。それらは,必然的に,平均的には両者における業務遂行 おいて一定の格差を設けた上で,入社時における長期実習の有無はもとより,その後の業務配置・異動,教育・研修においても全く別異に取り扱うものである。それらは,必然的に,平均的には両者における業務遂行上の能力伸長度合いや業務実績の違いを形成することとなる。したがって,同一の能力評価制度・昇進制度に基づき運用してはいても,各人ごとの公正な考課を反映した結果として,本社採用者である男性事務職と事業所採用者である女性事務職との間に,このような要因を根拠とする格差が生じているのは当然の帰結である。 イLC転換者とは,前述のとおり,技能職掌のうち,製造現場の知識()・経験を相当持ち,かつ,事務職としての能力・適性をも有している者を選抜した者であるが,このような者が自身の知識・経験を活かせ,かつ,適性の合致した業務に従事するのであるから,総じて,もともと純 然たる事務職として応募して採用され,現に製造現場の知識・経験を全く持つことのない一般の高卒女性事務職と比較して,担当業務において高いパフォーマンスを上げ,上位に昇進したことは当然の結果である。 また,コンピュータ関連の専門学校生等の例外的なLC転換の事例についても,技能職掌としての知識・経験は有していないものの,専門的な技術の高さや,選抜過程で認められた能力の高さ等により,総じて高いパフォーマンスを上げることとなった。 このような業務に従事している中で更に能力が高いと認められた者には,BHに認定され,より全社的で重要性の高い業務を担当するようになった者もいるし,BHに認定されなくても,事業所の中で,このような業務以外の管理間接部門等の業務に従事する者もおり,活躍する範囲やレベルは益々拡大していくこととなった。 さらに,BHは,種々のハードルを越えてきた者であり,その能力の高さは折り紙つき ,このような業務以外の管理間接部門等の業務に従事する者もおり,活躍する範囲やレベルは益々拡大していくこととなった。 さらに,BHは,種々のハードルを越えてきた者であり,その能力の高さは折り紙つきであるため,その高い潜在能力に期待して,より高い能力を必要とする業務を任せ,また,そのことにより更に能力が伸長し一段とレベルの高い業務に就けることとなることから,結果としてその大半が,より上位に昇進したのである。 しかし,このような能力発揮に基づく昇進は,LCやBHの従業員に限ったことではなく,女性でも同じような能力発揮が認められた者は昇進している。すなわち,和歌山製鉄所のVのように,能力があると認められ,高いパフォーマンスを上げることができた者は,事業所採用者であってもより高度な業務に就き,そのことで更に能力が伸長し,結果,上位に昇進している。 LC転換者やBHと女性の昇進格差は,結局は,それぞれの層の中に占める能力発揮度合いの高いもの(より高度な業務を担当し得る能力があり,かつ,より高度な業務を担当してその能力を発揮したこと)の割 合の差に起因しているにすぎない。 また,V以外にも,女性で管理補佐職又は平成7年の従業員制度改定後において管理補佐職と同等の資格である総合グループ1級に昇進した事業所採用の女性は平成15年1月時点で7名おり,このような昇進例からも,原告らの主張が,業務における能力発揮度合いの差を無視した,単なる結果だけに基づく主張であり,事実に反するものであることは明らかである。 もっとも,その数が男性に比べて少ないことは事実であるが,これは,基本的には,本社採用者と事業所採用者のそもそもの資質・能力,教育・研修,あるいは業務配置の違いにあるが,これに加え,女性の在職年数が極めて短いことによるのであって,原告らの主張は, るが,これは,基本的には,本社採用者と事業所採用者のそもそもの資質・能力,教育・研修,あるいは業務配置の違いにあるが,これに加え,女性の在職年数が極めて短いことによるのであって,原告らの主張は,この点も無視したものである。 ウせいぜい,配置される業務や教育訓練の影響を受けない評価要素・()影響の少ない評価要素について,能力評価時に,原告らが女性であることを理由に低く評価されるものについてのみ問題となり得るが,そもそも,原告らは,そのようなものが何であるかを特定しているわけではないし,その立証もない。 従業員に対する能力評価が従業員の能力や職務の実績を評価するものである以上,従業員の能力を培うベースとなる職務の内容や教育訓練の差は決定的であって,その影響のない評価要素など存在しないか,あってもノミナルなものであることは当然である。 そうである以上,同じ事務職であっても,事業所採用者である原告らとは業務や教育訓練の全く違う本社採用者,あるいは技能職掌としても優秀であり,事務技術職掌として適性・能力があることから職掌転換を受けたLC,さらに,その中でも優秀層であるBHと原告らとを比較した場合,層として賃金に格差があることは,いわば当然の帰結といって よい。 エしたがって,本件において,原告らと同期同学歴の男性従業員との()比較を行うとすれば,同じ高卒の事業所採用者である技能職掌の男性従業員と比較すべきである。 前記技能職掌の男性従業員との間に,別紙6の職分職級別人員分布や別紙8ないし10の賃金分布において格差は存しない。 オ原告らの主張に対する反論()a原告らは,前記原告らの主張イのとおり,本社採用高卒男性社員の昇進時期が企画総括職昇進までほとんど同じであり,管理補佐職への昇進も入社21年目から23年目までに集中 らの主張に対する反論()a原告らは,前記原告らの主張イのとおり,本社採用高卒男性社員の昇進時期が企画総括職昇進までほとんど同じであり,管理補佐職への昇進も入社21年目から23年目までに集中していること,また,企画総括職への昇進は選抜昇進しかないことから,このような事態は公平な考課による結果ではあり得ず,要するに男性を機械的に昇進させていた旨主張している。 しかし,そもそも,本社採用者は,将来の経営幹部候補たるべき者として選ばれて採用された者であるので,もともとの能力が高い上,早期に幹部として育成する観点から,高度な専門知識と経験を必要とする企画・立案等の業務に従事させ,また,長期的,専門的な教育体系による人材育成も施していることから,その能力伸長は早いのである。したがって,このような本社採用者の基本的能力と従事業務,教育内容からすれば,相当包括的な指示又は基準に従い,専門知識と経験を持って細部に関する企画,調査,分析及び指導等業務の実施を主とする職と定義される専門執務職の職務レベル,あるいは「上長の指示に従い,高度の専門知識と経験を持って総合,分析,調整,折衝,統制,監督及び重要な計画・設計等複雑困難な業務の企画総括を主とする職」と定義される企画総括職の職務レベルは,若干の遅速はあるものの当然に十分達成される程度のものであるため,公正な考課を実 現した結果として,一般執務職から専門執務職,専門執務職から企画総括職への昇進時期がほぼ同じ時期になっているにすぎない。 他方,企画総括職から管理補佐職への昇進については,昇進時期にはばらつきがある。これは「副長又はこれに相当する職」と定義さ,れる管理補佐職の職務は,担当する業務範囲が企画総括職よりも一段と広くなり,指導・統率する部下の数も多くなるが,このため,より高度な業 ばらつきがある。これは「副長又はこれに相当する職」と定義さ,れる管理補佐職の職務は,担当する業務範囲が企画総括職よりも一段と広くなり,指導・統率する部下の数も多くなるが,このため,より高度な業務遂行能力が必要となるだけでなく,マネジメント能力をも必要とするものである。このような能力については個々人の能力差,伸長度合いの差が大きいため,企画総括職から管理補佐職への昇進時期にばらつきが生じることとなる。 なお,LC転換者は,もともと事業所採用の高卒社員であるから,本社採用の高卒社員と比較して,その基礎的な能力や従事業務,社内教育による育成内容の程度が比較的低く,専門執務職の職務レベルでも当然に十分達成できるようなものとはならないため,専門執務職においても昇進時期にばらつきが生じることとなる。以上要するに,原告らが指摘する点は,公正な考課を否定するものではなく,むしろ公正な考課を反映しているものである。 b原告らは,本社採用高卒社員の昇進の実態と職分職級運営概要での査定区分ロに関する記載内容が符合しているとして,そのことから被告会社が公正な考課などせずに,前記職分職級運営概要に基づいて処遇をしている旨主張している。 しかし,そもそも本社採用高卒社員であっても,能力評価の積み重ねの結果,給与が低いものは査定区分ロより低い査定区分に当てはまっているのであるから,本社採用高卒社員=査定区分ロとする原告らの主張は誤りである。 また,被告会社は,平成3年度に新たな処遇決定の運営の仕組みを 構築し,年収水準概要及び職分職級運営概要というマトリックスを作成し,評価区分(S~E,給与係数(47~0)及びこれらの大括)りの区分である査定区分(イ」ないし「ホ)を設けたが,このよ「」うなマトリックスや査定区分の作成目的は,所属長等の査定者に当 を作成し,評価区分(S~E,給与係数(47~0)及びこれらの大括)りの区分である査定区分(イ」ないし「ホ)を設けたが,このよ「」うなマトリックスや査定区分の作成目的は,所属長等の査定者に当該職員の年収水準等の相対的位置付けと前年度からの変動を示し,自らの行った能力評価の結果が当該職員の具体的処遇にどう結びついていくかをよりよく理解してもらうという一点にあり,初任時の当てはめを別にすれば,このマトリックス上の区分は,個々の対象者が本社採用であるか事業所採用であるか(採用区分,LCであるかBHであ)るか,あるいは男性であるか女性であるかなどに関わりなく柔軟に変更される仕組みであり,かつ,実際にもそのようなものとして運営されていたのである。 年収水準概要及び職分職級運営概要の「イ」ないし「ホ」は,前述のとおり年収実績を年齢ごとに分類したマトリックスの大括りの区分(査定区分)を示したものにすぎず,原告らの主張のように,各グル),ープごとの賃金(年収,昇進の概要を明らかにしたものではないしこの五つの区分によって賃金と昇進が決定されているものでもない。 実際,査定区分は,能力評価区分と評価区分の如何によって変わっていくものであり,平成3年度以降の運営上も,前記区分は固定的なものではなく頻繁に変更されていた。 モデル人員分布(別表D②-3)では,査定区分ホの層の人員分布が標準年齢の上昇に伴い,100%から90%,85%,75%,65%,更に55%と順次減少しているが,これは,層としてみた場合,勤続年数を重ね経験を積むうちに,次第にその能力も上昇するであろうとの見方を示したものである(ただし,個別には,もっと早く上昇するケースも当然ある。 。) 評価区分は査定区分を更に細分化したものであり,所属長等の査定者に対し,当該職員 上昇するであろうとの見方を示したものである(ただし,個別には,もっと早く上昇するケースも当然ある。 。) 評価区分は査定区分を更に細分化したものであり,所属長等の査定者に対し,当該職員の年収水準等の相対的位置付けと前年度からの変動を示し,自らの行った能力評価の結果が当該職員の具体的処遇にどう結びついていくかをよりよく理解させ,もって能力評価がより的確に行われるようにするためのものである。その意味では能力評価上,参考とすることが期待されているとはいえるが,従来の査定区分を超えるような結果となる能力評価をしてはならないというものでは全くなく,現に,査定区分が変わるような能力評価を行う場合のことについても別表D①-3で明記されている。 したがって,年収水準概要を作成した時点では,本社採用大卒社員であっても査定区分イではなく同ロや同ハに当てはまっていた者もあれば,LC転換者であっても同ホに当てはまっていたり,一般職の女性社員であっても同ハや同ニに当てはまっていた者も存在し,現に従来の職分職級制度が廃止され新従業員制度が導入された平成7年4月時点でみても,一般職として入社した事業所採用の女性で同ホ以外の者は数十名,同ホに当たる男性社員は数百名のオーダーで存在した。 さらに,同じ女性であっても,本社採用の大卒社員と一般職として入社した事業所採用社員とでは,初任時の当てはめにおいても,かたや36点かたや0点と大きな格差が設けられていた。 実態としては,被告会社における女性社員の平均勤続年数が10年前後であったことから,女性社員の大半を占める20歳代の女性社員は一般職として補助的業務に従事しており,本人の適性・能力発揮度合いに応じ,より高度な業務に配置する段階になる前に退職してしまっていたため,数十人程度の数にとどまっていたということで 歳代の女性社員は一般職として補助的業務に従事しており,本人の適性・能力発揮度合いに応じ,より高度な業務に配置する段階になる前に退職してしまっていたため,数十人程度の数にとどまっていたということである。 このことは,現に勤続年数が長くなった女性社員の中から,より高位の査定区分に当てはめられている女性社員が出ていることからも明ら かである。 また,各人別の職分職級の昇進についてみると,事業所採用女性社員でも能力発揮度合いが高かった者は,より上位の職分職級に昇進しており,女性を最低の労働条件に押し込めるとする原告らの主張は明らかに事実に反している。さらに,業務成績が優秀であり,本社採用の高卒やBHが従事することがふさわしい高度な業務に配置することが可能であった者については,現実にそのような職に就け,その結果,管理補佐職に至った例もあるし,原告らと同じころに入社した事業所採用の事務技術職掌の女性で,平成7年時点において企画総括職に昇進し,その後,総合グループ1級(管理補佐職と同等の位置付け)に昇進した者も5名存在する。 本件差別的取扱いの違法性の有無(争点2 )( )( )(原告らの主張)ア憲法13条は個人の尊厳原理を定め,同法14条は法の下の平等を定めており,これらの規定は,私人間にも民法1条の2を介して間接的に適用される。 また,憲法の前記各規定を踏まえ,労働基準法3条は,労働者の均等待遇を定め,同法4条は,男女間の賃金の差別的取扱いを禁止している。 以上によれば,性による差別待遇の禁止は公序を構成しており,男女間に差別があれば,その合理性を根拠づける特段の事情がない限り,原則として公序良俗(民法90条)に違反する。 イ本件差別的取扱いは,前述したとおり,採用区分に基づくものとは認められず,高卒事務職として採用された ば,その合理性を根拠づける特段の事情がない限り,原則として公序良俗(民法90条)に違反する。 イ本件差別的取扱いは,前述したとおり,採用区分に基づくものとは認められず,高卒事務職として採用された男女は等しく同一の採用であるにもかかわらず,男女間に格差が生じているのは被告会社が採用後男女別雇用管理を行ったためである。これは,前述したとおり,個々の女性の能力や仕事ぶりに関わらず,女性を最低処遇の査定区分ホに位置付けて,賃金・ 昇進を決定する制度,すなわち,個々の労働者の個性に注目せず,女性という性によって労働条件を決定する制度で,男女別の賃金表・昇進表と実質的に同じものであり,公序良俗(民法90条)に反することはもちろん労働基準法4条にも反し違法である。 ウ仮に,本件差別的取扱いが何らかのコースに基づくものであるとしても,それが合法といえるためには,コース設定の明確性と合理性とが必要である。そうでなければ,採用区分(雇用管理区分)を恣意的に設定することによって,旧均等法又はそれを平成9年6月に改正した雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「改正均等法」という)を脱法することが可能となってしまうからである。前述のとお。 ,,り,旧労働省も女性局長通達で「雇用管理区分が同一か否かについては当該区分に属する労働者の就業する職務内容,処遇等について,同一区分に属さない労働者との間に,客観的・合理的な違いが存在しているか否かにより判断されるものであること。その判断に当たっては,単に形式のみならず,企業の雇用管理の実態に則して行う必要があること」としている。 しかも,それぞれのコースに対応する賃金,昇級,昇格,職務配置,訓練等の処遇が,コース分けの基準となった職種・職務等の相違と合理的な対応関係になければ の実態に則して行う必要があること」としている。 しかも,それぞれのコースに対応する賃金,昇級,昇格,職務配置,訓練等の処遇が,コース分けの基準となった職種・職務等の相違と合理的な対応関係になければならない。 しかし,本件差別的取扱いにおいては,幹部候補生か否かという使用者の主観的な基準しか,男女を分けて管理したことの理由として主張されておらず,また,男性がしていた仕事が女性に引き継がれたり,その逆の例も多く存在しており,男女間で従事する職務の基本的性格に明確な区別をするのはおよそ困難である。しかも,同学歴・同一職分(事務技術職掌)として入社しながら男性と女性の格差はあまりにも甚だしいから,違法である。 エ本件差別的取扱いがコース別雇用管理によるものであるとしても,以下 のとおり,男女別コース管理に合理性はなく,公序良俗に反し違法である。 ア当時の社会意識等()そもそも,昭和30年代から昭和40年代ころにおいて,一般的に男子は経済的に家庭を支え,女子は結婚して家庭に入り,家事育児に専念するという役割分担意識が強かったとまでは認め難いし,昭和30年代から昭和40年代においても,女性労働者の意識としては,決してほとんどが結婚すれば退職するというものではなく,多様な就業意識が存在した。 仮に,原告ら以外の女性の意識が,結婚により短期間で退職するというものであったとしても,女性の勤続年数の短さや男女の役割分担意識の差異から,男女間で採用や労働条件に差異を設けるというのは,いわゆる統計的差別であり,性という集団概念に基づく一律の雇用管理を認めるもので,個人の尊厳の法理から許されない。 もし,このような男女別雇用管理を認めるとすれば,使用者側が不当・違法な制度を導入して,あるいは女性を若い間だけの安上がりの労働力として位置付ける政策 めるもので,個人の尊厳の法理から許されない。 もし,このような男女別雇用管理を認めるとすれば,使用者側が不当・違法な制度を導入して,あるいは女性を若い間だけの安上がりの労働力として位置付ける政策によって,あるいは執拗な嫌がらせ行為で,女性労働者を職場から追い出せば追い出すほど,つまり激しい差別をする会社ほど,短期間就労の実績,補助的な仕事・低賃金・低い昇級の実績,最も効率のよい労務管理の実績となって会社が免罪されるという,奇妙な論理となる。 イ労働基準法の女子保護規定()女子保護規定や女子の出産休業を理由に,労働者を男女別に雇用管理して差別することが許されないことは当然である。 ウ旧均等法が採用差別禁止を努力義務としたこと()旧均等法は本来的に行政指導のための法規であるために,採用差別について当面は努力義務規定にとどめたとみるべきであり,前記努力義務 規定は,公序の一般法理を排除するものではない。旧均等法制定以前から公序良俗に違反していた行為が,男女差別を解消することを目的とする旧均等法制定によって違法でなくなるなどということは背理である。 エ企業の経済活動の自由や財産権保障()個人(自然人)の尊厳原理・平等権は,日本国憲法の人権体系の中核をなすものであり,個人の尊厳・平等の上に企業の財産権を置くという解釈は憲法解釈として根本的に誤っている。 憲法22条の職業選択の自由,同法29条の財産権の保障は,本質的に社会・経済活動であって,純然たる精神的自由に比較して,公権力による規制の要請が強いことは一般に否定され得ない。しかも,憲法22条の保障する職業選択の自由は,人の生計の維持に関わる社会的・経済的活動として,人の人格的価値ないし精神生活と緊密な関係を有する自由であり,この規定を根拠に企業の男女差別の労務管理を かも,憲法22条の保障する職業選択の自由は,人の生計の維持に関わる社会的・経済的活動として,人の人格的価値ないし精神生活と緊密な関係を有する自由であり,この規定を根拠に企業の男女差別の労務管理を容認することは,憲法22条の保障の趣旨と全くそぐわず,そもそも許されない。 財産権の内容は憲法の規定そのものによって限定されており,財産権を理由に,憲法の基本理念であり基本原則である個人の尊厳原則,法の下の平等原則を否定することは許されない。 本件の男女別労務管理は,被告会社の主張によれば男女を別々の採用区分に基づいて労務管理するというのであるから,どの労働者を採用するかという問題ではなく,そのような採用区分に明確性・合理性があるのか,特にそのような区分をそれぞれ男性のみ・女性のみとして他の性を排除することが許されるのか,また区分ごとのその後の処遇に合理性があるのかなどという点が問題になるのであって,企業が個々の労働者をどのように選択するかという三菱樹脂事件最高裁判所判決(昭和48年12月12日大法廷判決・民集27巻11号1536頁)の射程距離には入らず,一般的な採用の自由を超えた問題である。 オ女性差別撤廃条約違反女性差別撤廃条約は,昭和60年7月1日に批准され,同月25日発効したから,憲法98条2項に従い,同日をもって日本の国内法秩序に編入され,当然国内法としての法的拘束力を有し,効力において法律よりも上位に位置付けられる。したがって,これに抵触する法令は,その限りにおいて無効であり,そのような事態を回避するために,同条約に適合するように解釈されなければならない。 女性差別撤廃条約の要請により旧均等法が制定されたが,それにより同条約自体の国内法的効力が失われるわけではなく,旧均等法の規定がこれに抵触する場合には,その規定は無効 うに解釈されなければならない。 女性差別撤廃条約の要請により旧均等法が制定されたが,それにより同条約自体の国内法的効力が失われるわけではなく,旧均等法の規定がこれに抵触する場合には,その規定は無効になるか,あるいは旧均等法の解釈を同条約に適合するように行わなければならない。 旧均等法が,労働者の募集・採用・配置・昇進を努力義務にとどめたこ」,とは,女性差別撤廃条約11条が,締約国に「男女の平等を基礎として特に「同一の雇用機会(雇用に関する同一の選考基準の適用を含む)に。 ついての権利(b号「職業を自由に選択する権利,昇進,雇用の保障」),……を受ける権利(c号)を確保することを目的として,雇用の分野に」おける女性に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとることを求めていることと抵触するから,これらの義務は,同条約に適合するように解釈されなければならず,法的拘束力を伴う義務であると解釈されなければならない。 また,民法1条の2は,女性差別撤廃条約の各規定に基づいて解釈されなければならず,同条約の各規定は民法1条の2を通じて民法90条の公序良俗の内容を構成することになる。 なお,女性差別撤廃条約は,日本において効力を生じる以前に完了した行為又は事実等については,日本は条約上の義務を負わないが(条約法に関するウィーン条約28条,採用が条約発効の前であっても,条約発効) 後も引き続く男女差別はその限りで条約の規制対象となる。 したがって,以上のとおり,女性差別撤廃条約が発効する前に採用された女性労働者についても,差別的採用により発生した配置,昇進の差別が同条約発効後も引き継がれている場合には,同条約に違反し,さらには,旧均等法に反し,公序良俗に違反し,不法行為を構成する。 カ被告会社は,旧均等法が施行されるや,昭和6 り発生した配置,昇進の差別が同条約発効後も引き継がれている場合には,同条約に違反し,さらには,旧均等法に反し,公序良俗に違反し,不法行為を構成する。 カ被告会社は,旧均等法が施行されるや,昭和61年に突如,職分協定を改定し「長期実習を命じない一般事務従事として採用された者「大学,」,卒業者で長期実習を命ずる専門事務技術業務従事として採用された者」という表現を用い,あたかも採用区分による区別を規定したかのように,急遽改定したが,このこと自体,被告会社が自身の違法性を認識していたことを明らかに示している。 キ被告会社は平成7年に新人事制度を導入したが,これは,高卒男性事務職を総合グループ,高卒女性事務職を基幹グループに割り振るもので,本件差別的取扱いを固定化するにすぎず,改正均等法により募集・採用時の差別的取扱いが禁止された後も,前記取扱いを続ける被告会社の行為の違法性は明らかである。 (被告会社の主張)ア企業にとっていかなる従業員を採用するかは企業経営の根幹をなす事情に属するものであるから,使用者の選択の自由は最大限に尊重されて然るべきところであり,このような考え方が裁判所においても是認され,三菱樹脂事件最高裁判決も判示しているとおりである。 イ使用者の行為が民法90条所定の「公ノ秩序」に反する差別とされるためには,それが単に憲法14条の平等原理に反するのみならず,さらに,それが社会的に正当化されるような合理的な理由のないものでなければならない。この場合,合理性の判断根拠となるべき社会通念すなわち社会的な秩序又は規範は時代の流れに応じて変動するものであり,使用者の行為 が前記「公ノ秩序」に反するか否かの判断の基準時は,当該行為の時であり,その判断基準も当該行為時の社会通念である。 原告らが本件で男女差別であると主張 に応じて変動するものであり,使用者の行為 が前記「公ノ秩序」に反するか否かの判断の基準時は,当該行為の時であり,その判断基準も当該行為時の社会通念である。 原告らが本件で男女差別であると主張しているのは,原告らが採用された昭和30年代ないし50年代以降のことであるが,原告らの主張する女性労働者と男性労働者との格差は,専ら,事務技術職掌における本社採用者と事業所採用者の区分に根ざすものである。そして,これらの時期において被告会社が本社採用を男性,事業所採用を女性と区別して採用していたことは,当時女子労働に対する各種法規制,家庭責任の分担の在り方,女子労働者の職業意識等種々の社会的要素から,女子労働者には長期の雇用又は転勤(ことに転居を伴う転勤)が,期待し難く,そのため男女別に異なる採用区分を前提とした募集・採用が広汎に行われ,いわば,それが企業社会における社会通念であったためである。 したがって,そのような区分は公序良俗に反する違法・無効なものではなく,裁判例の上でも争いようのないものであって,その請求が失当であることは明白である。 損害の有無及びその金額(争点3 )( )( )(原告らの主張)原告らは,本件差別的取扱いにより,以下の損害を被った。 ア主位的請求本件差別的取扱いの対象群としては,事務技術職掌という同一職掌(同期同学歴)の中で比較対象するのが当然である。 ア差額賃金相当損害金等()a昭和61年度から平成7年度まで()Ba原告比較対象者についてⅰ本件においては,男性事務職は,少なくとも管理補佐職に昇進 するまでは,年功序列の昇進の経緯をたどっている。 原告と同じ昭和44年度入社のGは,平成7年度の時点でB管理補佐職であるから,同人の昭和61年度から平成7年度までの各職分は, 職に昇進 するまでは,年功序列の昇進の経緯をたどっている。 原告と同じ昭和44年度入社のGは,平成7年度の時点でB管理補佐職であるから,同人の昭和61年度から平成7年度までの各職分は,年功序列的な昇進経緯に沿ったものといえ,比較対象者の職分職級は,Gの職分職級とするのが相当である。 比較対象者の基本給についてⅱ平成6年度の基本給は,別表B③-2の上の表の基本給(A)欄のとおり,被告会社が開示した平均値(昭和44年入社)の20万6808円とする。 昭和62年度から平成5年度分の基本給は,別表B③-2の中の表記載の昭和63年度から平成6年度の春闘妥結率に基づき,平成6年度の金額から割り戻して,前記基本給(A)欄のとおり算出した。 昭和61年度の基本給は,昭和62年度の春闘妥結率が不明であるため,昭和62年度の原告の基本給アップ率により,昭B和62年度の比較対象者基本給から割り戻して,前記基本給(A)欄のとおり算出した。 平成7年度の基本給は,同年度の春闘妥結率が不明であるため,同年度の原告の基本給アップ率を,平成6年度の比較対象者B基本給(平均値)に掛けて,前記基本給(A)欄のとおり算出した。 比較対象者の職分給Ⅱについてⅲ職分基準単価・職分係数・職分定額は,労働協約により決定されるため,開示されている数値に基づき,前記上の表のとおり算出した。ただし,平成7年度の職分定額は,データが開示されておらず,少なくとも平成6年度の数値を下回ることはないので, 同年度と同額とした。 暫定給は,昭和61・62年度は,規定で「基本給×18.07%」とされていたため,この数式により前記上の表のとおり算出した。 昭和63年度・平成元年度の暫定給は「月度賃金が前年度よ,り下回らない」ものとされていたので,前記上の表のとお 基本給×18.07%」とされていたため,この数式により前記上の表のとおり算出した。 昭和63年度・平成元年度の暫定給は「月度賃金が前年度よ,り下回らない」ものとされていたので,前記上の表のとおり月度賃金が前年度より下回らない金額とした。 比較対象者の職能給についてⅳ職能基準単価は,開示された数値を利用し,職能点は,資格ごとに定められた一定範囲の点数の中間点として前記上の表のとおり算出した。 被告会社が開示した平成6年度の平均値のデータでみると,職能点は287点であり,管理補佐職の職能点の中間値280点よりやや上であるから,職能点を,資格ごとの一定範囲の中間点とすることは合理的である。 比較対象者の一時金についてⅴ一時金は,掛け率・定額1(職分・定額2(職能点)により)算出される。前記上の表のとおり,すべて開示された数値を利用しているが,昭和62年度は,定額1・定額2が不明であるため,昭和61年度の数値を利用している。 当時は,バブル経済の渦中であり,一時金の定額が前年度より引き下げられたとは考えられないので,少なくとも昭和61年度の数値を下回ることはないとするのが合理的である。 比較対象者の賞与についてⅵ被告会社は一時金と賞与の合計額のみ開示したため,合計額から,上記で算出した一時金を引いて,前記上の表のとおり,平ⅴ 成6年度の賞与を算出した。さらに,これを同年度の基本給で割り,掛け率を算出したところ,労働組合の公表している掛け率と大幅な差があった(例えば,平成6年度は公表された掛け率は0. 96であるが,昭和44年度入社男性の平均値から算出された掛け率は3.05であった。 。)この平成6年度の3.05という掛け率は,公表された掛け率の約3倍(3.177倍)であるので,昭和61年度から平成5年度までの各 度入社男性の平均値から算出された掛け率は3.05であった。 。)この平成6年度の3.05という掛け率は,公表された掛け率の約3倍(3.177倍)であるので,昭和61年度から平成5年度までの各年度の公表された掛け率(公表率)を3.177倍して,男性の賞与の掛け率(推定率)を算出した。 以上によれば,原告の比較対象者との昭和61年度から平ⅶB成7年度まで10年間の各年度の差額賃金相当損害金は,別表B③-2の下の表の比較対象者との差額賃金欄記載のとおりである。 ()ACDb原告,原告及び原告比較対象者についてⅰ比較対象者の職分職級は,昭和44年度入社のGの勤続年数ごとの昇進経過が明らかとなっているので,それと同様に昇進したとして,昭和61年度以降の原告,原告及び原告の各勤ACD続年数に応じた職分職級に当てはめている。 被告会社においては,管理補佐職に昇進するまでは,年功序列的な昇進が行われているので,原告,原告及び原告の比ACD較対象者についても,各勤続年数ごとに,Gと同様の昇進をしたものとするのが合理的である。 なお,原告については,同時期入社の男性の相当数が管理A職に昇進しているが,比較対象者は管理補佐職としており,極めて控えめな請求である。 比較対象者の基本給についてⅱ 原告の比較対象者について算出した基本給に,以下の年齢B補正を加えて算出した。 被告会社が開示した平成6年度の平均値では,事務技術職掌の男性の基本給は,勤続年数が長いほど高くなっており,昭和36年度入社が23万8833円,昭和45年度入社が19万6741円である。その差額は4万2092円であり,9年間で4万2092円の差が生じているので,勤続年数1年当たりの基本給の差額が4677円として,基本給を 3万8833円,昭和45年度入社が19万6741円である。その差額は4万2092円であり,9年間で4万2092円の差が生じているので,勤続年数1年当たりの基本給の差額が4677円として,基本給を補正した結果,別表B③-1,3,4の各上の表の基本給(A)欄のとおりとなる。 その他の点については,上記の職分職級,基本給を基本として,ⅲ原告の場合と同様に算出したものが,別表B③-1,3,4Bの各下の表である。 b平成8年度以降平成7年7月に,被告会社の人事・賃金制度が改定されたため,同年度までと同様に賃金の要素(項目)ごとに差額賃金を推計することは困難である。 しかし,被告会社において男女差別是正のための方策は何らとられておらず,原告らはその後もほとんど昇進していないので,比較対象者との間では,少なくとも平成7年度までと同程度の賃金格差があると考えられる。 したがって,平成8年度以降は,各原告の賃金に,賃金台帳が公開された平成6年度の比較対象者の賃金との比率を掛けた金額が,比較対象者の賃金となるとするのが相当である。別表B④-1ないし4のとおり,このようにして算出した比較対象者の賃金から,各原告の実際の賃金を引いたものを差額相当損害金とするのが合理的である。 また,平成14年4月以降も,同様の賃金格差が発生し続けており, 被告会社が自発的に当該賃金格差について是正を図る見込みはないから,原告,原告及び原告について,それぞれ各月に,別紙請BCD求金一覧表の差額賃金(月額)欄相当の損害金が発生する蓋然性がある。 c原告の差額退職金相当損害金A原告は,平成11年12月末をもって,被告会社を定年退職しAたが,退職金は,退職時基本給に,所定の退職金乗率・割増支給・加算措置・割戻率をそれぞれ乗じて算出する。 割 の差額退職金相当損害金A原告は,平成11年12月末をもって,被告会社を定年退職しAたが,退職金は,退職時基本給に,所定の退職金乗率・割増支給・加算措置・割戻率をそれぞれ乗じて算出する。 割増支給とは,一定の勤続年数以上の者に一律の加算がされるもの,加算措置とは退職事由による加算(原告の場合は定年,割戻率とA)は平成7年の人事制度改定に伴い一定の掛け率が乗じられるものである。 原告と比較対象者は,退職時基本給以外のすべての掛け率が共A通であるが,男女差別により,退職時基本給に格差が生じているため,退職金についても格差が発生し,原告は,この格差と同額の損害Aを被っている。 比較対象者の退職時基本給については,別表B④-5のとおり,原告の退職時基本給に,平成6年度の同期入社の男性の基本給とのA比率を掛けて算出したものである。前述のとおり,平成11年当時も,少なくとも平成7年度までと同等の男女賃金格差があったとするのが相当であるからである。 イ慰謝料()被告会社の本件差別的取扱いは,原告らの人格権に対する継続的で重大な侵害行為であり,付加金制度と同趣旨により差額賃金相当損害金等と同額の制裁的な慰謝料を課すのが相当である。 原告らは,その一部として,別紙請求金一覧表の慰謝料欄記載の各金 員の支払を求める。 ウ弁護士費用()原告らは,前記損害を回復するために,原告ら訴訟代理人に本件訴訟の提起・追行を委任し,別紙請求金一覧表の弁護士費用欄記載の報酬の支払を約した。 エ遅延損害金()被告会社は,前記アa,bのうち,昭和61年度から平成13年度()まで(ただし,原告については,平成11年12月末日まで)の差A額賃金相当損害金については各年度の最終日(ただし,原告の平成A11年度の同年1 bのうち,昭和61年度から平成13年度()まで(ただし,原告については,平成11年12月末日まで)の差A額賃金相当損害金については各年度の最終日(ただし,原告の平成A11年度の同年11月末日までの差額賃金相当損害金については,退職日である平成11年12月末日)の翌日,原告を除く原告らの平成A14年度以降の差額賃金(月額)相当損害金については各支払日の翌日,前記アcの原告の差額退職金相当損害金については退職日である平()A成11年12月末日の翌日,前記イの慰謝料及び前記ウの弁護士費()()用相当損害金については訴状送達の日の翌日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 イ予備的請求ア慰謝料()原告らは,本来同じ事務技術職掌であった男性との間ではもちろん,後日事務技術職掌に職掌転換が行われた男性(LC転換者)が受け得た処遇さえ与えられず,日々,LC転換者との格差は継続し,拡大し続けてきたのであって,将来にわたっても,これが年金の格差となって死ぬまで続くことになり,その精神的苦痛は大きい。 この精神的損害に対する慰謝料は,前記第2の31 の原告らの主張( )イイbで述べた,平成6年,平成7年におけるLC転換者との賃金格()差を考慮すれば,少なくとも以下の金額を下らないというべきである。 a本件訴え提起時までの10年間の慰謝料本件差別的取扱いを受けた期間1年当たり,原告らにおいてそれぞれ以下の括弧内記載の金額を下ることはなく,本件訴え提起時までの少なくとも10年間を考慮すれば,同時点における原告らの慰謝料は,以下の金額を下らない。 a原告(250万円)2500万円()Ab原告(150万円)1500万円()Bc原告及び原 10年間を考慮すれば,同時点における原告らの慰謝料は,以下の金額を下らない。 a原告(250万円)2500万円()Ab原告(150万円)1500万円()Bc原告及び原告(各100万円)各1000万円()CDb本件訴え提起時以降の慰謝料()Aa原告本件訴え提起時以降,原告が定年により退職した平成11年A12月末日までの約4年間の慰謝料,退職金に年収の差が反映することから生じる退職金の差別による慰謝料は,いずれも1000万円を下らない。 ()BCDb原告,原告及び原告本件訴え提起時以降予備的請求申立てまでの約8年間の同原告らの慰謝料は,以下の金額を下らない。 原告1200万円ⅰB原告及び原告各800万円ⅱCDイ弁護士費用相当損害金()前記アの慰謝料合計の1割である以下の金額を下らない。 ()a原告450万円Ab原告270万円Bc原告及び原告各180万円CDウ遅延損害金()被告会社は,前記アaの慰謝料については訴状送達の日の翌日,そ() の余の慰謝料及び弁護士費用相当損害金については予備的請求の申立書送達の日の翌日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 (被告会社の主張)原告らの主張は争う。 仮に本件差別的取扱いがあったとしても,これによる原告らの損害の前提となるあるべき賃金(違法な差別がなければ原告らが得たであろう賃金)なるものはおよそ観念できないのであり,原告らの本件請求は,損害の点でも決定的に破綻している。 第3争点に対する判断 本件差別的取扱いの有無(争点1 )について( ) 被告会社における男性事務職と女性事務職との間の賃金等に関する格差 本件請求は,損害の点でも決定的に破綻している。 第3争点に対する判断 本件差別的取扱いの有無(争点1 )について( ) 被告会社における男性事務職と女性事務職との間の賃金等に関する格差( )の有無(主位的請求)被告会社の高卒事務職における男女間には,昇進・昇級及び賃金に関して,前記第2の18 のとおりの格差(以下「本件格差」という)が存在するの( )。 であって,この格差の程度は,後に詳述するところからも明らかなように,顕著なものであるといわなければならない。そして,被告会社も,前記第2の31 の被告会社の主張のとおり,高卒事務職の男女間において採用区分( )の違いに基づき別異に取り扱っている旨主張していることをも考慮すれば,本件格差について合理的な理由が認められない限り,被告会社が性別による差別的取扱いをしていることが推認されるというべきである。 本件格差が生じた原因及びその合理性( )ア被告会社におけるコース別雇用管理制度(被告会社が主張する本社採用及び事業所採用の区分)の有無被告会社は,前記第2の31 の被告会社の主張アのとおり,高卒事務( )職の男女間には組織機能上の本社が採用した「本社採用者」と組織機能上 の事業所が採用した「事業所採用者」の採用区分の別が存在し,本件格差は前記採用区分の違いにより生じたものであると主張するので,まずこの点について検討する。 ア規程上の前記採用区分の別()a任用規程の解釈被告会社は,前記第2の31 の被告会社の主張アエのとおり,前( )()記採用区分は被告会社の任用規程等の規程に基づくものであると主張し,証人Hの証言中にもこれに沿う部分がある。 確かに,前記第2の12 イのとおり,任用規程の定めが「本社」( ),において採用する社員と「所 は被告会社の任用規程等の規程に基づくものであると主張し,証人Hの証言中にもこれに沿う部分がある。 確かに,前記第2の12 イのとおり,任用規程の定めが「本社」( ),において採用する社員と「所」において採用する社員が存在することを前提にしていることは明らかであるし,証拠(甲2の1ないし4)によれば,被告会社の本社においても,組織機能上,後記ウbで認()定する原告及び同が担当している購買業務を行っている資材部BC等のように,各事業所と同様の機能を営んでいる部門が存在することが認められる。 しかし,そうであるからといって,任用規程にいう「本社」及び「所」が当然に組織機能上の本社及び事業所を意味するものと断定することはできない。 仮に,任用規程が被告会社主張のように組織機能上の本社又は事業所により採用する社員の任用に関する取扱いを分けて定めることを意図したものであるとすれば,被告会社の本社の中で組織機能上事業所に該当する部門が何であるかが必ずしも明確でない以上,当然,その定義規定を置いたり「所」において採用する社員に関し,別途,規,程を設けたりして然るべきである。しかし,そのような規程は存在しないし,任用規程においても「所」において採用する者について準,用することができると定めているにとどまる。 しかも,証拠(乙6,原告本人(第1回)によれば,被告会社B)では,本社を除く各事業所を「所」と呼称しており,昭和43年度の入社案内においても,被告会社の組織を本社組織と和歌山製鉄所等の製造所組織に二分して説明していることが認められる。そうすると,昭和26年に制定された任用規程における「本社」と「所」も,この考え方に沿って使い分けているものとみるのが整合的であるというべきである。ちなみに,任用規程4条4項において が認められる。そうすると,昭和26年に制定された任用規程における「本社」と「所」も,この考え方に沿って使い分けているものとみるのが整合的であるというべきである。ちなみに,任用規程4条4項においては,辞令交付の場所を示す文言として「本社」を用いているが,この「本社」は被告会社の本店としての本社を指していると考えられる。 このようにみてくると,任用規程は,就業規則2条の採用に関する規定を受けて,被告会社の本店としての本社における採用手続等の細目を定めたものであって,本社以外の各事業所においても,その任用規程を準用できるとしたものと解するのが自然な解釈というべきである。 したがって,任用規程にいう「本社」とは,被告会社が主張するような組織機能上の「本社」とは解することができず,これをもって,被告会社に「本社採用者」と「事業所採用者」という採用区分が存在したことの規程上の根拠とすることはできない。 bその他の規程a被告会社が前記第2の31 の被告会社の主張アエで指摘する()( )()他の根拠規程について検討するに,昭和35年職分協定において,新制高校卒業者のうち「見習として予備的訓練のため,長期実習を命ぜられるもの(昭和42年職分制度改正後は「見習として予備」的訓練のため長期実習を命ぜられた者)には,初任時実習終了後」の職分職級や職分点を優遇する規定が置かれ,昭和45年8月1日の労働協約付属協定において「学校卒業後直ちに入社し,長期実, 習を命ぜられた者」には,入社初年度に基本給及び業務手当に代え,実習生手当を支給するとの規定が置かれたことは,前記第2の1 3 アエa及び同4 イのとおりである。 ( )()( )しかし,前記各規定は,その文言として,いずれも「命ぜられる」又は「命ぜられた」と規定するにとど との規定が置かれたことは,前記第2の1 3 アエa及び同4 イのとおりである。 ( )()( )しかし,前記各規定は,その文言として,いずれも「命ぜられる」又は「命ぜられた」と規定するにとどまるから,採用後被告会社により「長期実習」を命じられた場合の処遇を明らかにしたにすぎない。確かに,後記イで認定する高卒事務職の男女間における()募集・採用手続の異同で述べるとおり,被告会社は,高卒事務職については男性のみに採用直後に前記長期実習を命じ,実習生として実習生手当を支給し,また,実習終了後には職分職級を優遇することとし,その根拠規定として前記規定を置いたことが認められるから,前記各規定の存在は,後記の本件コース別取扱いの存在を推認させる事実の一つであるが,前記各規定が被告会社主張の「本社採用者」と「事業所採用者」という採用区分自体を規定したものとはいい難い。 なお,前記第2の13 アエcのとおり,昭和61年職分制度改( )()正により,高卒事務職は「長期実習を命じない一般事務業務従事として採用された者」であることを前提とする規定に改定されたことが認められるものの,この規定は,昭和61年4月に旧均等法が施行され,事業主に対し,労働者の募集,採用,配置,昇進等について,女子に対して男子と均等な機会を与え又は取扱いをするように努めなければならない旨の規定(同法7,8条)が発効して間もなく設けられたものであることに照らせば,事後的に職分制度協定を改正したからといって,当初から被告会社の主張する採用区分を根拠づける規定が存在していたといえるものではない。 bもっとも,被告会社の工事請負契約規定(乙28)においては,() 本社(大阪・東京)について「所」という概念が用いられているが,同規定にいう「所」というのは,むし いえるものではない。 bもっとも,被告会社の工事請負契約規定(乙28)においては,() 本社(大阪・東京)について「所」という概念が用いられているが,同規定にいう「所」というのは,むしろ同規定が適用される工事の範囲を定める際の物理的な場所を意味しているというべきであるから,そのことをもって,被告会社の本店である本社における組織機能上の事業所について規定上「所」という概念を用いていたことの根拠にすることはできない。 cまとめ以上によれば,被告会社の規程上,被告会社が主張するような「本社採用者」と「事業所採用者」の採用区分の別が規定されていたとはいえない。 イ高卒事務職の男女間における募集・採用手続の異同()証拠(甲67,68,69の1・2,79,117,132,269,乙5ないし27,29,31,47の1ないし3,54の1・2,60の1ないし3,61,62,67の1・2,68,証人H,同I(第2回,同J,同K,原告・同・同各本人(以上の原告らにつき第)ABC1回,原告本人)によれば,昭和30年前後から昭和45年までの)D間に,被告会社における高卒事務職の募集・採用手続において,男女間に以下のような差異が認められる。 a被告会社の本店としての本社が採用する高卒女性事務職の採用手続は,本社人事部勤労課が担当して,指定校(大阪市やそれに隣接するか比較的近郊に所在する高等学校)に対し,求人票や募集要項に,性別を女性,職種を事務職,作業内容(又は採用の職種)を一般事務,パンチスト,プログラマー,テレタイプオペレーター,タイピスト,秘書,受付,電話交換手として,就労場所を本社ビル内,採用条件として自宅通勤可能と記載した上で,各1名推薦を行うよう依頼して,普通科又は商業科の女子生徒の求人を行い,統一応募 レーター,タイピスト,秘書,受付,電話交換手として,就労場所を本社ビル内,採用条件として自宅通勤可能と記載した上で,各1名推薦を行うよう依頼して,普通科又は商業科の女子生徒の求人を行い,統一応募書類に必要事項 を記載させた上で,一般常識,国語,数学の学科試験を受験させるとともに,身体検査,面接選考,適性検査を経て,選考を行っていた。 採用通知は,前記勤労課長名で送付されていた。 高卒女性事務職の入社式は,父兄同伴の上,被告会社の常務取締役や勤労課長等が参加して行われ,父兄も交えた昼食会や懇談会が行われた後,ビル見学が行われて,夕刻までには終了した。 高卒女性事務職に対しては,前記勤労課が担当して,入社後翌日から約10日間の社員スケジュールが組まれ,被告会社の製品や組織の説明,和歌山工場見学のほか,BBTとして,電話のかけ方,取り方や言葉遣いや応対の仕方,身だしなみ等の接遇,書類の書き方やファイリング,印刷,計算機,また,必要とされる者には珠算など前記作業内容となっている一般事務等の業務の遂行に必要な基礎的技能の習得・訓練のための科目が設けられていた。 bこれに対し,前記本社で採用する高卒男性事務職については,当時,大学進学率が今日ほど高くはなかったため,被告会社は,大卒の男性事務職の不足を補い,又はそれを補佐する者と位置付け,大卒者と同様,本社人事部人事課が担当して,各指定校(ほぼ全国にわたる)。 に対し,その募集要項により,普通科又は商業科の男子生徒の求人を依頼した。 募集要項には,勤務場所を,被告会社の事業所が所在する大阪市(本社及び製鋼所,東京都(東京支社,尼崎市(鋼管製造所,和)))歌山市(和歌山製鉄所,北九州市(小倉製鉄所)として,また,配)属部門や職務内容については入社案内に記載された内容を参照すること 社及び製鋼所,東京都(東京支社,尼崎市(鋼管製造所,和)))歌山市(和歌山製鉄所,北九州市(小倉製鉄所)として,また,配)属部門や職務内容については入社案内に記載された内容を参照すること,入社後1年間の本社集合訓練及び工場実習があることが記載されており,入社案内には,担当する職務内容が被告会社の全部門における専門的技術的業務にわたることが記載されていた。そして,就職申 込書,学業成績証明書,各指定校の推薦書,写真,人物調査書,戸籍謄本を提出させた上で,英語・数学・国語の筆記試験(前記aの高卒女性に対する試験よりはレベルが高い問題が出題されていた)を受。 験させるとともに,身体検査,面接選考,適性検査を経て,選考を行っていた。採用通知は,前記人事課長名で送付されていた。 高卒男性事務職については,大卒や高専卒の男性事務職と一緒に入社式が行われ,この式には,社長以下役員や人事部関係者が出席し,その日の夕刻からは,それらの者が出席する歓迎会が設けられた。 昭和43年当時,高卒男性事務職は,入社式終了後から,大卒者や高専卒者とともに本社で12日間第1次集合訓練を受け,その後,各実習所において約3か月半実習を受けた後,製鉄所等に仮配属となり,その後に第2次本社集合訓練を経た後,1年後に正式に配属することとされていた。その期間中は実習生と呼ばれていた。 第1次集合訓練は,被告会社の製品や組織の説明のほか,BBT,大学教授の講話やグループ研究が設けられるなど,将来の基幹社員として被告会社に関する総合的知識の涵養,工場実習等を通じての被告会社の各所・各部門の活動や概況に対する理解・把握,全社的視野からの判断力の醸成,さらにはコンピュータや管理技法等に関する知識の体得や国際化に対応するための英会話教育までを目的とするものであった。 被 の各所・各部門の活動や概況に対する理解・把握,全社的視野からの判断力の醸成,さらにはコンピュータや管理技法等に関する知識の体得や国際化に対応するための英会話教育までを目的とするものであった。 被告会社は,前記のような高卒男性事務職の採用を昭和45年まで行った。 以上によれば,被告会社の高卒事務職については,採用対象者が高等学校普通科又は商業科卒である点や,採用手続として,指定校からの推薦が必要であり,筆記試験,身体検査,面接選考,適性検査を経なければならない点では男女間に大きな違いはないが,高卒男性事務職につい ては,就労場所を本社だけでなく各事業所に配属することを予定して,全国の指定校から推薦された者を本社で一括採用した上で,本社や各事業所に配属し,採用後直ちに実習等を受けさせていたのに対し,高卒女性事務職については,本社や各事業所などの近郊に所在する指定校から推薦された者につき就労を予定する本社や事業所ごとに採用しており,被告会社の本社においても,男性だけでなく女性の高卒事務職も採用していたが,前者と後者では採用担当部門が異なる上,入社式も別に実施していたことが明らかである。 なお,前記統一応募書類の内容が証拠上不明であるため,応募に必要な書類について男女間に差異があるか否かは明らかではない。 ウ高卒事務職の男女間における採用後の配置や異動等処遇の異同()証拠(甲14,31,33ないし35,37ないし45,47,54ないし57,67,68,69の1・2,70の1ないし4,71の1ないし3,72,73の1ないし3,73の4の1・2,73の5・6,73の7の1・2,73の8・9,74ないし82,83の1ないし3,84ないし88,89の1ないし3,90の1ないし4,91の1,91の2の1ないし3,91の3の1ないし5,9 ・2,73の5・6,73の7の1・2,73の8・9,74ないし82,83の1ないし3,84ないし88,89の1ないし3,90の1ないし4,91の1,91の2の1ないし3,91の3の1ないし5,92の1ないし3,93・94の各1・2,95の1ないし3,96,97の1・2,98ないし103,104の1・2,105ないし107,114ないし126,127の1ないし10,130,132,133,269ないし273,280,281,301の1ないし4,302の1・2,303ないし305の各1ないし3,306,307の1・2,308,309,310の1・2,311ないし321,326,327,乙29,31,34ないし36,37・38の各1ないし4,39の1・2,40の1ないし3,41,43ないし45,47の1ないし3,48ないし53,54の1・2,55ないし57,58の1・2,59,63,95,証 人H,同I(第2回,同L,同K,原告・同・同各本人(以上)ABCの原告らにつき第1,2回,原告本人)によれば,以下の事実が認)Dめられる。 a被告会社は,高卒男性事務職には,前記採用の目的に応じて,前記実習終了後から,経理,購買,生産管理,人事労務等の分野において,購入や発注等の契約業務(各事業所からの購買依頼や取引先からの見積等の内容のチェックや査定等,見積照会先の選定,取引先との価格等の交渉,価格の決定,見積照会伺い・購入伺い等の自己名義での必要書類の作成)のように業務知識に基づき一定の判断や交渉を要するような基幹的な業務を担当させた。 また,高卒男性事務職は,被告会社のすべての事業所への配属の可能性があることを前提として採用された者であったため,事業所間の異動が行われる場合が多かったが,転居を伴う異動がなかった者 を担当させた。 また,高卒男性事務職は,被告会社のすべての事業所への配属の可能性があることを前提として採用された者であったため,事業所間の異動が行われる場合が多かったが,転居を伴う異動がなかった者もいた。 b被告会社は,高卒女性事務職については,採用後は,採用時に示された作業内容のとおり,電話交換手や通信オペレーター,キーパンチャー,あるいは一般事務においては,男性事務職が担当する業務の補助(書類の複写・ファイリングや郵送,伝票や帳簿等への記入や文書の浄書,集計等の統計や業務実績に関する資料等の作成,コンピュータ端末への入力,関係先への連絡や日程調整,また,秘書業務(ス)ケジュール管理,電話応対,社内文書の受発信,配付される書類,)図書や勤務の管理,会議の準備(通知の発送,出席確認,会場の設営,資料配付)や後片付け,出張に関する手配や精算,茶汲み等の庶務一般という定型的・補助的業務を担当させた。 もっとも,高卒女性事務職でも業務に習熟するにつれ,要員等の配置の関係から,原告及び原告については前記購買に関する少額BC の契約業務,原告についてはJK活動(昭和41年にノーエラーA(ミスをしない)運動として始まった従業員の自主管理活動であり,従業員の自己又は相互啓発や明るい職場作りを通じた品質・能率の向C上,安全等の徹底等を目的とするもの)の事務局の担当者,原告については資材部調整班の一部の業務のように,本来男性事務職が担当していた一定の判断や交渉が必要となる業務の一部を実質的に任されるようになり,高卒事務職の男女間における業務内容の相違は,相対的なものとなった。そして,高卒女性事務職も,入社後20年以上経過したころから,正式に前記契約等の業務を担当するようになった。 高卒女性事務職の勤務場所は,基本的には,採 おける業務内容の相違は,相対的なものとなった。そして,高卒女性事務職も,入社後20年以上経過したころから,正式に前記契約等の業務を担当するようになった。 高卒女性事務職の勤務場所は,基本的には,採用した本社又は事業所であり,被告会社としては,それ以外への異動は行わない方針であったが,東京本社へ本社機能を集中させた際など,必要となった場合は,広域の異動の対象とすることもあった。 被告会社は,高卒女性事務職が比較的短期間に退職するように,前記第2の17 のとおり,女性が結婚のため退職をする場合には,昭( )和43年以降,自己都合退職金を通常の場合と比較して,勤続3年未満で約5倍,勤続5年未満で3倍(20年以上勤続した場合に支払われる所定額全額,勤続5年以上では,前記所定額より1割加算した)退職金を支給する反面,結婚後に支給される結婚祝金については,男性の半額程度とするなど,結婚を機に退職することを奨励する措置をとっていた。 エ採用区分の別()前記イ,ウで説示したところからすれば,被告会社においては,()()昭和45年までは,大学進学率が今日ほど高くはなかったため,大卒の男性事務職の不足を補い,又はそれを補佐する者と位置付けて,終身雇用を前提に,男性の高卒者を,全国の指定校から推薦を受けて本社で採 用し,実習を受けさせるとともに,全国の本社,事業所において,経理,購買,生産管理,人事労務等の分野における基幹的な業務への就業を命じていたのに対し,女性の高卒者は,男性と比べると多くが結婚等を機に短期間で退職することを前提に,本社や各事業所ごとに,補助的な事務を行う者として採用し,基本的には採用した本社又は各事業所において,補助的業務に就業させていたものということができる。 このことは,本件人事資料(甲24,25)にお 本社や各事業所ごとに,補助的な事務を行う者として採用し,基本的には採用した本社又は各事業所において,補助的業務に就業させていたものということができる。 このことは,本件人事資料(甲24,25)において,本社採用の高卒の従業員を,全社活用を前提として本社において採用された者として「本採」の区分に分類するとともに,事業所採用者のうち,主として補助的職務に従事することを前提として採用された者を,いわゆる一般職として「一般」の区分に分類していることからも窺われる。 そして,証拠(甲19)によれば,訴外組合が,昭和35年10月からの職分制度導入に当たり,組合員に対し,今後の処遇について説明するために作成した文書では,高卒男性事務職の標準者のうち昇進の早い者は,当初一般事務技術職1級に位置付けられ,6年目で専門執務職に,15年目で企画総括職に,25年目で管理補佐職に,それぞれ選抜昇進が行われるのに対し,高卒女性事務職は,当初一般事務技術職2級に位置付けられ,標準者のうち昇進の早い者でも,管理補佐職に昇進することはないとされていることが認められ,これはおおむね前記第2の1 8 アの高卒男女の事務職の昇進の実態と符合しており,このことは,( )前記採用区分の別による高卒事務職の男女別の取扱いが明らかに存在していたことをも示しているといわなければならない。 なお,原告は,本人尋問(第1回)において,採用の際に本社採C用,事業所採用という言葉を聞いたことがない旨供述し,原告ら及び被告会社の高卒女性事務職である者又は高卒女性事務職であった者の陳述書(甲31,67,68,117,118,120,130,133) にもその旨の記載があるが,仮に被告会社が高卒事務職の男女間に存在する採用コースの名称を前記の高卒女性事務職者らに説明していないとしても 67,68,117,118,120,130,133) にもその旨の記載があるが,仮に被告会社が高卒事務職の男女間に存在する採用コースの名称を前記の高卒女性事務職者らに説明していないとしても,前記のような実態があったことの認定が妨げられるわけではない(以下,前記イないしエで説示した募集・採用時のコース別取扱()()い及びそれに基づく採用後の配置や異動等の処遇における事務職の男女間の取扱いの差異を「本件コース別取扱い」という。 。)イ本件格差が本件コース別取扱いに基づくものか。 ア被告会社においては,採用した高卒男性事務職に対して長期実習を()命じた上で,男女間で前記第2の13 アエ及び同4 イのとおり,初( )()( )任の職分職級の取扱いに差異を設けるとともに,昭和45年8月から,長期実習を命じた高卒男性事務職については,入社初年度において,基本給及び業務手当に代えて,実習生手当を支給していたものであり,少なくともこの点に基づき高卒事務職における男女間に生じた昇進・昇級及び賃金格差は,本件コース別取扱いに基づくものといえる。 しかし,前記取扱いの差異に基づく昇進・昇級に関する格差は,職級で1級,職分点で5点にすぎず,前記取扱いの差異だけでは,本件格差を到底合理的に根拠づけることができないことは明らかである。 イこの点について,被告会社は,前記第2の31 の被告会社の主張エ()( )アのとおり,本件格差は本件コース別取扱いに基づき,初任の職分職()級や個人職分点において一定の格差を設けたのみならず,入社時における長期実習の有無はもとより,その後の業務配置・異動,教育・研修においても全く別異に取り扱った結果,必然的に両者における業務遂行上の能力伸長度合いや業務実績の違いを形成したため生じたもので 時における長期実習の有無はもとより,その後の業務配置・異動,教育・研修においても全く別異に取り扱った結果,必然的に両者における業務遂行上の能力伸長度合いや業務実績の違いを形成したため生じたものであると主張しているので,以下において検討する。 a被告会社においては,事務職については,前記第2の13 で述べ( )たような職分制度(いわゆる職能資格制度)を採用し,昇進・昇級に ついては,前記第2の13 イのとおり,能力評価要綱に基づき従業( )員各人の能力評価を行い,能力区分・能力評価区分とこれに基づいて決まる基本職分点により個人職分点を算出し,昇進資格点に達した者につき,自動昇進又は選抜昇進により,昇進・昇級を行う建前になっている。 しかし,前記第2の15 及び証拠(乙30)によれば,能力評価( )の三つの要素として挙げられている技能度(①熟練の程度,②仕事の実績,③仕事の応用力,勤怠(勤務状況,人的特性(①積極性,))②協同性)のうち,熟練の程度は「現在の仕事」について,仕事の実績は「与えられた仕事」について,仕事の応用力も,現に担当している職務遂行の際の「状況の変化」や「新任務に対する応用能力」を評定するとされているのであるし,勤怠や人的特性もいずれも現に担当している職務における勤務状況や勤務態度を評定することとされているのであるから,被告会社が本件コース別取扱い(被告会社が主張する採用区分)に基づき高卒男性事務職をより基幹的な業務に,高卒女性事務職を補助的・定型的業務に,それぞれ配置したからといって,その職務内容の違いが直ちに前記三つの要素における評価の差異となって現れるとはいい難い。 もっとも,前記第2の15 及び証拠(乙30)によれば,被告会( )社は,評点(200点満点)のうち,仕事の応用力と積極性に いが直ちに前記三つの要素における評価の差異となって現れるとはいい難い。 もっとも,前記第2の15 及び証拠(乙30)によれば,被告会( )社は,評点(200点満点)のうち,仕事の応用力と積極性にそれぞれ50点という大きな比率を与えているところ,専門執務職以上の評価の際には,①仕事の応用力につき,責任の重い上位の職務に就かせることができる能力,潜在性を有するかどうか,②積極性について,管理職を与え得る将来性を有するかどうかの観点から評定するとしていることが認められるのであるから,専門執務職以上の者の評定においては,被告会社が,本件コース別取扱いに基づき,高卒男性事務職 をより責任の重い上位の職務に就かせることを予定して採用し,基幹的業務に就かせ,OJTや種々の研修を施すことにより,高卒男性事務職の前記各点に関する評点が高まり,それが高卒事務職の専門執務職以上の昇進について差異となって現れた可能性は否定できない。 しかし,責任の重い上位の前記職務に就かせることができる能力や潜在性,また管理職を与え得る将来性というのは,労働者であれば誰しも有しているというようなものではない秀でた能力や将来性をいうと考えられるから,被告会社が本件コース別取扱いに基づき,高卒男性をそれらの職務等に就かせることを前提に採用し,また一定の研修を施したからといって,それらの者の中でも当然差異が生じて然るべきものであるが,後記のとおり,高卒男性事務職は,専門執務職以上においても前記第2の18 アや後記dのとおりほぼ年功的に昇進し( )()ているのであり,その運用が本件コース別取扱いに基づく合理的なものであるとはいい難い。 そして,被告会社も,本件コース別取扱いが前記要素につきどのような差異となって現れ,基本職分点等に差異が生じるか,その具体的な運用 運用が本件コース別取扱いに基づく合理的なものであるとはいい難い。 そして,被告会社も,本件コース別取扱いが前記要素につきどのような差異となって現れ,基本職分点等に差異が生じるか,その具体的な運用について何らの主張もしていない。 ところが,前記第2の13 イ及び同8 アア,ウによれば,以下( )( )()()の事実が認められる。 a専門執務職における自動昇進資格点は選抜昇進資格点のほぼ倍()以上になっており,能力評価が低位にとどまっている限り,同じ職分職級に長期間にわたって格付けられることになる。 b昭和42年職分制度改正後でいうと,見習として予備的訓練の()ため長期実習を命ぜられた者の実習終了後の職分職級は,一般執務職2級,個人職分点5点であるが,2年目に個人職分点が5点であった事務職が,入社後5年間で一般執務職を終えるためには,5年 目に一般執務職1級に昇進している必要があり,そのためには個人職分点が10点以上でなければならない。そして,一般執務職における能力評価「A」の職分点は1.55点であることからすると,3年間に「A」又は「A」を超える能力評価を経なければ,前記長期実習を命ぜられた事務職であっても,5年間で一般執務職を終えて専門執務職には昇進できない。 c専門執務職から企画総括職に,また,企画総括職において昇級()するためには,選抜昇進がされなければならない。 そして,企画総括職3級に昇進後,8年目に管理補佐職に昇進するためには,8年目の個人職分点が40点以上にならなければならず,7年間の評価の平均がA評価に近いものでなければならない。 d高卒男性事務職は,全員が(そのうち99.1%は入社後6年()目で)専門執務職に,専門執務職に昇進した者の99.7%が企画総括職に,企画総括職に昇進し がA評価に近いものでなければならない。 d高卒男性事務職は,全員が(そのうち99.1%は入社後6年()目で)専門執務職に,専門執務職に昇進した者の99.7%が企画総括職に,企画総括職に昇進した者の97.6%が(そのうち同職の在籍期間7年以下で昇進した者が全体の73.8%であり,勤続年数でいうと入社23年目までに全体の89%が)管理補佐職に,それぞれ昇進している。 e他方,平成7年6月1日の時点で被告会社に在籍している高卒()女性事務職については,入社28年目以上の者は2名を除き専門執務職1級に昇進しているが,企画総括職2級に昇進している者は,管理補佐職に昇進している2名を除けば入社後33年以上経過した4名にとどまる。 以上によれば,高卒男性事務職は,そのほとんどが長期実習終了後の3年間を通じて能力評価Aを受け,企画総括職に昇進した後も,企画総括職が高度の専門的知識と経験を有することを前提とする職分であるにもかかわらず,その約4分の3が7年間平均してAに近い評価 を得ているなど,高い評価を受けており,高卒女性事務職とは昇進において顕著な差異が生じている。 b確かに,前記aのとおり,自動昇進資格点が選抜昇進資格点のほぼ倍以上に設定されており,企画総括職3級以上の昇進については,制度上,選抜昇進によらなければ昇進できない仕組みになっているため,専門執務職3級から管理補佐職1級に昇進・昇級するまでに設けられている選抜昇進の有無が従業員の昇進・昇級を大きく左右する。 そして,前記第2の13 イオのとおり,選抜昇進については,従( )()業員の統率能力や従事している業務の複雑困難性,業務遂行能力等により行うことができるとされているのであるから,いくら能力評価が男女間で公平に行われている場合であっても,本件コース別取扱い )()業員の統率能力や従事している業務の複雑困難性,業務遂行能力等により行うことができるとされているのであるから,いくら能力評価が男女間で公平に行われている場合であっても,本件コース別取扱いに基づき,被告会社は,前記アウで認定したとおり,高卒男性事務職()には基幹的業務を,高卒女性事務職には補助的・定型的業務を担当させている以上,選抜昇進においても,それに基づく差異が生じることは可能性として否定できないところである(もっとも,この点についても,被告会社は,そもそも本件コース別取扱いが具体的にどのようにして選抜昇進の有無に差異をもたらすのか,その具体的運用については何ら詳細な主張はしていない。 。)cしかし,前記男女間に差異が生じる可能性については,あくまでも能力評価が男女間で公平に行われていることが前提となるので,以下において能力評価制度の運用について検討する。 a前記争いのない事実等,証拠(甲24,25,乙31,証人I())。 (第1回)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる被告会社では,査定者による能力評価のばらつきが目立つようⅰになったとの指摘が人事部門からされたことにより,査定者に対し,自分が行った査定の結果により,各所属員の処遇がどうなる か,また,各所属員が全体の中でどのような位置付けにあるのかを分かりやすく示すために,平成3年度の定期査定のときから,従来の標準的な処遇の実態を表した人事部内部の資料として本件人事資料を作成した。 本件人事資料では,基本的に,事務職の従業員をその評価に応ⅱじて48通りに分け,0から47までの給与係数(各人ごとの評価点の持ち点で,評価及び評価の高さを示す指標)を割り振った上で,それらを16の評価区分(S」ないし「E)と,更に「」それらを五つ ⅱじて48通りに分け,0から47までの給与係数(各人ごとの評価点の持ち点で,評価及び評価の高さを示す指標)を割り振った上で,それらを16の評価区分(S」ないし「E)と,更に「」それらを五つにまとめた査定区分(イ」ないし「ホ)に分類「」している。なお,被告会社は,査定区分,評価区分,給与係数を従業員には明らかにしていない。 被告会社は,査定運営上,年齢区分ごとに年功がほぼ同一の集団として扱うこととし,また,従業員の給与係数及び標準年齢と,基本給額や職能点,職分職級との対応関係を明らかにした資料を作成し,給与係数や標準年齢が,それらを決定する重要な要素とされた。 その上で,被告会社は,査定者が,自分のつけた査定が従業員の年収や職分職級にどのように関係してくるかを理解させるため,各所属員の年齢区分と査定区分・評価区分に対応した標準的な平均年収と職分職級の範囲をそれぞれ年収水準概要や職分職級運営概要として作成し,査定者は,それを参考に査定を行った。 また,被告会社は,各査定区分内において,年齢区分ごとに評価区分の人員分布比率の目安をモデル人員分布で定めた。 被告会社は,本件人事資料作成後に採用した従業員に対して採ⅲ用時に当てはめる給与係数について,以下のとおり,学歴ごとに差異を設けていた。 学歴給与係数(対応する査定区分)①大卒者(U)36点イ②高専卒者(K)27点ロ③鉄鋼短大卒者(T)18点ハ④高卒者(H)9点ニ⑤一般職0点ホただし,既に採用した従業員に対する処遇管理学歴ごとの標準的な運営幅を対応させると,以下のとおりになるとした。 学歴給与係数(対応する査定区分)①大卒者36ないし47点イ(37歳時42点)②高卒男性,短大卒,高専卒者27ないし35点ロ(49歳時35点) 応させると,以下のとおりになるとした。 学歴給与係数(対応する査定区分)①大卒者36ないし47点イ(37歳時42点)②高卒男性,短大卒,高専卒者27ないし35点ロ(49歳時35点)③BH18ないし26点ハ(49歳時26点)④LC9ないし17点ニ(49歳時17点)⑤一般職(高卒女性)0ないし8点ホ(49歳時8点)被告会社は,査定者のために,本件人事資料に,能力評価におⅳける能力評価区分と前記評価区分との関係を図示しており,査定者は,それに基づき,被告会社は,査定区分ごとに,基本的には以下のとおり能力評価を行い,能力評価区分を決定していた。 すなわち,当該従業員の年齢区分が変動しない年度は,能力評価において現行評価区分を変動させるような能力評価区分を当てはめることはしなかった。 また,年齢区分が変動した年度においても,査定者が,まず年収水準概要で,当該従業員の現行評価区分に対応する年収額を確認した上で,現行の評価区分の高さが,各人の実績・処遇・年功等からして妥当であると判断される場合には,評価区分を維持するよう,原則として以下のとおり査定した。 ただし,査定者が当該従業員の現行評価区分の高さが,各人の実績・処遇・年功からして,妥当でないと判断した場合は,評価区分を最大限一段階変動させることも可能とされた。 ①査定区分イの者のうち,評価区分S又はOAの者には原則として能力評価区分OA評価区分A+又はAの者には原則として能力評価区分A②査定区分ロの者のうち,評価区分OBの者には原則として能力評価区分OAかA評価区分B+又はBの者には原則として能力評価区分B+③査定区分ハの者のうち,評価区分OCの者には原則として能力評価区分OAかA評価区分C+又はCの者には原則として能力評価区分B+か 分OAかA評価区分B+又はBの者には原則として能力評価区分B+③査定区分ハの者のうち,評価区分OCの者には原則として能力評価区分OAかA評価区分C+又はCの者には原則として能力評価区分B+かB④査定区分ニの者のうち,評価区分ODの者には原則として能力評価区分OAかA評価区分D+の者には原則として能力評価区分B+かB評価区分Dの者には能力評価区分BかC+⑤査定区分ホの者のうち,評価区分OEの者には原則として能力評価区分OAかA評価区分E+の者には原則として能力評価区分B+かB評価区分Eの者には原則として能力評価区分BかC+(この点は,査定区分ホに属する原告らが別紙1ないし4のと おり一貫してB以下の評価を受けてきたこととも符合する)。 そして,能力評価の運営イメージとしては,入社時に原則として各査定区分(評価区分)に当てはめられた者の37歳時及び49歳時の評価区分は,以下のとおりとされ,基本的には,査定区分の範囲内で運用していくことが想定されていた。 査定区分入社時37歳時49歳時イ評価区分AOA-ロ評価区分BB+OBハ評価区分CC+OCニ評価区分DD+ODホ評価区分EE+OEこれによれば,各査定区分内における各評価区分のレベルは,前記入社時,37歳時,49歳時において,各査定区分の標準者に想定されている前記各評価区分(AないしE,OAとB+ないしE+,OBないしOE)がそれぞれ同程度にあるものとして対応しているものと考えられる。 以上のような本件人事資料の内容に沿った査定の結果,平成6ⅴ年度及び平成7年度における高卒事務職及びLC転換者の入社年別の年収は,第2の18 イのとおりであり,これによれば,以( )下の事実が認められる。 高卒男性事務職は,入社 た査定の結果,平成6ⅴ年度及び平成7年度における高卒事務職及びLC転換者の入社年別の年収は,第2の18 イのとおりであり,これによれば,以( )下の事実が認められる。 高卒男性事務職は,入社29ないし31年目の者(平成6年a度においては昭和39年ないし昭和41年に入社した者,平成7年度においては昭和40年ないし昭和42年に入社した者,以下同じ)の平均年収(5万円刻みで概算する。以下同。 じ)が,平成6年度は約850万円ないし895万円,平成。 7年度は約820万円ないし890万円となっている。 BHの平均年収は,入社20ないし22年目の者(平成6年b度においては昭和48年ないし昭和50年に入社した者,平成7年度においては昭和49年ないし昭和51年に入社した者であるが,平成7年度については入社21年目の者(昭和50年に入社した者)までのデータしか存在しない。以下同じ)が。 平成6年度は約605万円ないし615万円,平成7年度は約625万円,入社29ないし31年目の者が,平成6年度は約795万円ないし820万円,平成7年度は約790万円ないし810万円となっている。 LCの平均年収は,入社20ないし22年目の者が,平成6c年度は約525万円ないし545万円,平成7年度は約535万円ないし約555万円,入社29ないし31年目の者が,平成6年度,平成7年度ともに約645万円ないし685万円となっている。 高卒女性事務職の平均年収は,入社20ないし22年目の者dが平成6年度は約465万円ないし485万円,平成7年度は約475万円ないし495万円,入社29ないし31年目の者が,平成6年度は約585万円ないし595万円,平成7年度は約600万円となっている。 これに対して,年収水準概要において想定されている年齢区分ご 5万円ないし495万円,入社29ないし31年目の者が,平成6年度は約585万円ないし595万円,平成7年度は約600万円となっている。 これに対して,年収水準概要において想定されている年齢区分ごとの査定区分ロないしホに該当する従業員の年収は以下のとおりであり,高卒男性事務職と査定区分ロに該当する職員,BHと査定区分ハに該当する職員,LCと査定区分ニに該当する職員,高卒女性事務職と査定区分ホに該当する職員の各年収がおおむね対応している。 標準年齢35,36歳(高卒の場合,入社18,19年目)a で,査定区分ロに該当する職員は,下位の評価区分であるBに該当する者でも年収は635万円となり,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)で,そのうち中位の評価区分であるB+に該当する者の年収は915万円,上位の評価区分であるOBに該当する者の年収は945万円となり,同49ないし51歳(前同様の入社32ないし34年目)では,前記Bに該当する者でも年収は895万円となる。 標準年齢37ないし39歳(高卒の場合,入社20ないし2b2年目)で,査定区分ハに該当する職員中,中位の評価区分であるC+に該当する者の年収は620万円,下位の評価区分であるCに該当する者の年収は600万円であり,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)では,前記C+に該当する者の年収は785万円,上位の評価区分であるOCに該当する者の年収は825万円となる。 標準年齢37ないし39歳(高卒の場合,入社20ないし2c2年目)で,査定区分ニに該当する職員中,中位の評価区分であるD+に該当する者の年収は545万円,下位の評価区分であるDに該当する者の年収は520円であり,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)では,前記D+に該当す 中,中位の評価区分であるD+に該当する者の年収は545万円,下位の評価区分であるDに該当する者の年収は520円であり,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)では,前記D+に該当する者の年収は675万円,上位の評価区分であるODに該当する者の年収は695万円となる。 標準年齢35,36歳(高卒の場合,入社18,19年目)dで,査定区分ホに該当する職員は,上位の評価区分であるOEに該当する者でも年収は480万円にとどまり,同37ないし39歳(前同様の入社20ないし22年目)で,査定区分ホに該当する職員中,中位の評価区分であるE+に該当する者の年 収は495万円,Eに該当する者の年収は480万円であり,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)では,前記E+に該当する者の年収は585万円,上位の評価区分であるOEに該当する者の年収は630万円となり,同49ないし51歳(前同様の入社32ないし34年目)では,前記OEに該当する者でも年収は665万円にとどまる。 ただし,年収水準概要に基づく前記年収額は,本件人事資料中の年齢区分と学歴・年次の対応に関する表(別表D②-3の下の表)について平成5年4月現在と記載されていることからすれば,平成5年度のものを記載したものと推認される。 また,年収水準概要には,補足事項として「基準内賃金の合,計金額(残業手当等は含まず」と記載されていることが認めら)れるものの,先で認定したとおり,①平成6年度及び平成7年度における従業員全体の臨給(一時金・賞与)をも含めた平均年収額と平成5年度の年収水準概要に記載された額がおおむね対応しており,証人I(第1回)も前記金額に一時金・賞与が含まれている旨の証言をしていること,②年収水準概要の作成目的は査定者に当該評価区分に位置付 平成5年度の年収水準概要に記載された額がおおむね対応しており,証人I(第1回)も前記金額に一時金・賞与が含まれている旨の証言をしていること,②年収水準概要の作成目的は査定者に当該評価区分に位置付けられている従業員の年収額を理解させることにあることなどからすれば,前記補足事項の記載は,必ずしも一時金や賞与を除外するという趣旨であるとはいい難く,就労状況等により従業員間で異なる残業手当等の基準外賃金が含まれていないことを注記する趣旨であると考えられる。 本件人事資料の内容に沿った査定の結果,平成7年6月に被告ⅵ会社に在籍する高卒事務職やLC転換者の昇進状況は,前記第2の18 アアないしウのとおりであり,これによれば,以下の( )()()事実が導かれる。 高卒男性事務職については,9割以上の者が一般執務職を5a年,専門執務職を9年で終え,入社15年目には企画総括職に昇進し,全体の99%の者が入社16年目には企画総括職に昇進し,入社21年目には全体の約3分の1の者が,同25年目までには全体の95%の者が,同28年目までに全体の98%の者が,それぞれ管理補佐職に昇進している。 BHについては,入社20年目以上の者は全員企画総括職3b級に昇進しており,入社27年目以上の者はおおむね企画総括職1級に昇進している。 LCについては,入社20年目以上の者はおおむね専門執務c職1級に昇進しており,入社26ないし28年目の者はおおむね企画総括職3級に昇進している。 高卒女性事務職は,入社11年目以上の者は全員が専門執務d職3級又は一般執務職1級に,入社28年目以上の者は2名を除き専門執務職1級に昇進しているが,企画総括職2級以上に昇進している者は,管理補佐職へ昇進している2名を除けば,入社34年目以上の者が4名いるにとどま 般執務職1級に,入社28年目以上の者は2名を除き専門執務職1級に昇進しているが,企画総括職2級以上に昇進している者は,管理補佐職へ昇進している2名を除けば,入社34年目以上の者が4名いるにとどまる(なお,管理補佐職に昇進した2名の高卒女性事務職については,前記第2の1 8 アウa(a)のとおり,昇進時期がいずれも平成7年4月で( )()あって,原告らを含む被告会社の女性従業員7名が旧均等法に基づき申し立てた調停における調停案の受諾勧告を拒否した直後である上,入社してから企画総括職3級に昇進するまでいずれも約30年かかっているにもかかわらず,その時期に3階級一挙に特進させていることは不自然であるというべきであるから,それをもって,高卒女性事務職を査定区分ホに位置付けていることを否定する根拠とすることは到底できない。 。) これに対して,証拠(甲25,28)によれば,職分職級運営概要において想定されている年齢区分ごとの査定区分ロないしホに該当する従業員の職分職級の状況は以下のとおりであると認められ,高卒男性事務職と査定区分ロに該当する職員,BHと査定区分ハに該当する職員,LCと査定区分ニに該当する職員,高卒女性事務職と査定区分ホに該当する職員の各昇進状況がおおむね符合している。 査定区分ロに該当する職員は,標準年齢31,32歳(高卒aの場合,入社14,15年目)で企画総括職3級に昇進し,同33,34歳(前同様の入社16,17年目)で専門執務職にとどまっている者は存在せず,同35,36歳(前同様の入社18,19年目)で企画総括職2級に昇進し,同37ないし39歳(前同様の入社20ないし22年目)で管理補佐職に昇進するようになり,同40ないし42歳(前同様の入社23ないし25年目)で大部分が管理補佐職に昇進し,同43な 括職2級に昇進し,同37ないし39歳(前同様の入社20ないし22年目)で管理補佐職に昇進するようになり,同40ないし42歳(前同様の入社23ないし25年目)で大部分が管理補佐職に昇進し,同43ないし45歳(前同様の入社26ないし28年目)で全員が管理補佐職に昇進する。 査定区分ハに該当する職員は,標準年齢35,36歳(高卒bの場合,入社18,19年目)でおおむね企画総括職3級に昇進し,同37ないし39歳(前同様の入社20ないし22年目)で専門執務職にとどまっている者は存在せず,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)でおおむね企画総括職1級に昇進する。 査定区分ニに該当する職員は,標準年齢29,30歳(高卒cの場合,入社12,13年目)で専門執務職3級に昇進し,同37ないし39歳(前同様の入社20ないし22年目)には全 員が専門執務職1級に昇進し,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)で全員が企画総括職3級以上に昇進する。 査定区分ホに該当する職員は,標準年齢31,32歳(高卒dの場合,入社14,15年目)で専門執務職3級に昇進し,同35,36歳(前同様の入社18,19年目)で専門執務職2級に昇進するようになり,同46ないし48歳(前同様の入社29ないし31年目)には全員が専門執務職1級に昇進するが,同46ないし同51歳(前同様の入社29ないし34年目)では優秀者であっても企画総括職3級に昇進するにとどまり,同2級以上に昇進する者はいない。 bこの点について,被告会社は,前記第2の31 の被告会社の主()( )張ウ及びエのとおり,男女で能力評価等で異なる取扱いをしていることはないとした上で,本件人事資料の前記記載はあくまでも,入社時の当てはめにすぎず,入社以降は,各人の能力発揮度 社の主()( )張ウ及びエのとおり,男女で能力評価等で異なる取扱いをしていることはないとした上で,本件人事資料の前記記載はあくまでも,入社時の当てはめにすぎず,入社以降は,各人の能力発揮度合いに基づく能力評価の結果に基づき,評価区分を決定していたのであって,柔軟に前記給与係数,評価区分,査定区分が変更できることになっていたと主張し,証人H,同I(第1,2回)の各証言やI作成の陳述書(乙31)にはこれに沿う部分がある。 確かに,証人Iは,査定区分ホ以外に該当する高卒女性事務職が数十名,LC転換者で査定区分ホに該当する者が数百人いると証言しているが,本件において,それを裏付ける客観的な証拠は見当たらないし,本件人事資料では,モデル人員分布にしても,年収水準概要や職分職級運営概要にしても,いずれも年齢区分と評価区分のみを要素として作成されている上,評価区分は年齢区分に変動がない以上は基本的には見直さず,変動する場合でも一段階にとどめる としているなど,その運用においては,評価区分を最も重要かつ基本的には大幅に変動することのない要素として用いていることが窺われること,仮に,被告会社の主張のとおり,本件人事資料に基づく運用が能力評価区分を中心とするものであるとすれば,能力評価区分と評価区分の対応表についても,むしろ能力評価区分OAないしOCごとにそれに該当し得る評価区分を一定の幅をもって示す方が査定者には便宜であるというべきであるが,能力評価区分と評価区分の対応表は評価区分SないしEごとにそれに対応する能力評価区分を一定の幅をもって示しているのであるから,それはむしろ前記aで認定した運用をしていると推認するのが合理的であるこ()ⅳと(証人Iも,まず,年収水準概要で従業員の年収を確認した上で,それが妥当かどうかを念頭に 示しているのであるから,それはむしろ前記aで認定した運用をしていると推認するのが合理的であるこ()ⅳと(証人Iも,まず,年収水準概要で従業員の年収を確認した上で,それが妥当かどうかを念頭に置きつつ,この能力評価区分をつければ,年収水準(評価区分)が変動するか否かを考慮しながら,評価)。),する旨証言している(第1回,被告会社は,前記aのとおり()本件人事資料において査定区分及び年齢区分ごとに標準的な年収と職分職級の状況を示し,基本的には人事考課において年功序列的な昇進・昇給の運用をしていたところ,前記a,のとおり,学()ⅴⅵ歴区分を査定区分とした場合に想定されている年収及び職分職級の状況が実際の従業員の年収及び職分職級の分布とほぼ符合していることがそれぞれ認められ,これらに照らせば,証人H及び同Iの前記証言部分や同人作成の陳述書の前記記載部分は採用することができない。 なお,被告会社は,本件人事資料中のモデル人員分布において,査定区分ホに該当する者の人員が標準年齢37ないし39歳から減少することを想定していることを査定区分間において人員の移動がされている根拠として挙げているが,別紙6によれば,被告会社の 高卒女性従業員の人員分布は,入社22年目(標準年齢39歳)から一桁台に減少し,その後減少傾向にあることが認められ,このことは,査定区分ホに該当する者が標準年齢37ないし39歳から減少することを想定していることと符合しており,これは,むしろ,被告会社が査定区分ホに高卒女性事務職を位置付けていることを裏付ける事実というべきであって,被告会社の前記主張は採用できない。 c前記aのとおり,被告会社においては,本件人事資料が平()()ⅰ成3年度から用いられるようになる以前においても,能力評価や る事実というべきであって,被告会社の前記主張は採用できない。 c前記aのとおり,被告会社においては,本件人事資料が平()()ⅰ成3年度から用いられるようになる以前においても,能力評価や昇進・昇級,昇給等の人事考課において,前記aで認定した本件人()事資料に基づく運用と基本的には異ならない運用をしていたことが認められる(以下,これらの取扱いを含めて「本件人事資料に基,づく差別的取扱い」という。 。)d以上によれば,被告会社は,本件人事資料に基づく差別的取扱()いにより,高卒女性事務職に関しては,通常はOAからC+の能力評価区分の範囲内で評価を行い,仮にA以上の能力評価区分を受けても,原則として評価区分はOE(給与係数8以下)にとどめる一方で,高卒男性事務職に関しては,通常は最低でもB+の能力評価区分を与え,仮に最下位の区分に位置付けられても,原則として評価区分はB(給与係数27ないし29)に位置付ける運用を行った。 そして,標準者の目安としては,高卒女性事務職では,入社時に評価区分E,37歳時にE+,49歳時にOEとなるように,一方,高卒男性事務職では,入社時に評価区分B,37歳時にB+,49歳時にOBとなるように運用していた。 その結果,職分職級運営概要及び年収水準概要によれば,35歳(入社18年目)の平均的な従業員において,高卒男性事務職は企 画総括職2級以上に昇進するものの,高卒女性事務職は専門執務職2級にとどまり,年収格差が150万円以上に及び,49歳(入社32年目)ころになると,高卒男性事務職は管理補佐職に昇進しているのに対し,高卒女性事務職は優秀者であっても企画総括職3級にとどまり,年収において230万円もの大きな差異が生じることになったのである。 これは,高卒事務職において,同等の能力 補佐職に昇進しているのに対し,高卒女性事務職は優秀者であっても企画総括職3級にとどまり,年収において230万円もの大きな差異が生じることになったのである。 これは,高卒事務職において,同等の能力を有する者であっても,男女間で能力評価区分に差をつけるとともに,仮に同じ能力評価区分に該当するとしても,男女間において評価区分及び査定区分において明らかに差別的取扱いをし,それに基づき,昇給・昇進等の運用をしていたというべきであり,このような運用は,本件コース別取扱いと合理的関連を有するとは到底認め難いといわなければならない。 ウなお,被告会社は,前記第2の31 の被告会社の主張エエのとお()( )()り,原告ら高卒女性事務職と高卒男性従業員である技能職掌との間に,職分職級別人員分布や賃金に関し格差が存しないことを,被告会社が男女間において差別的取扱いをしていない根拠として主張するが,前記第2の13 のとおり,技能職掌は,そもそも事務技術職掌とは職分(職( )種)が異なり,比較の前提としての同質性を欠いている上,被告会社の主張を前提にしても,技能職掌と事務技術職掌に転換した職掌転換者との間には明らかな格差が認められることも併せ考慮すれば,両者の間に格差がないからといって,被告会社において事務技術職掌において男女間で差別的取扱いをしていないということはできず,前記認定判断を左右するものではない。 本件差別的取扱いの違法性の有無(争点2 )について( ) 本件コース別取扱いの違法性( ) ア憲法14条は,法の下の平等を保障して,性別による差別的取扱いを禁止し,これを受けて,民法1条の2は,本法は個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈すべき旨を規定し,労働基準法3条は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由 保障して,性別による差別的取扱いを禁止し,これを受けて,民法1条の2は,本法は個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈すべき旨を規定し,労働基準法3条は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として労働条件について差別的取扱いを禁止するとともに,同法4条は,女性について賃金に関する差別的取扱いを禁止している。これらのことからすれば,使用者が,採用した労働者を合理的な理由なく性別に基づき,労働条件について差別的取扱いをすることは,民法90条の公序に反し,違法というべきである。 したがって,事業主が,同じ事務職として採用した従業員について,性別のみを理由として,賃金や昇進・昇格等の労働条件に関し,差別的取扱いをすることは,原則として公序に反し,違法というべきであるから,同種の業務を担当している従業員間において性別のみにより賃金や昇進・昇格等の労働条件について差別的取扱いをすることが違法であることはもちろん,従業員の個々の能力や適性等の具体的な差異に基づかず,男性従業員一般を女性従業員一般に比べて重用し,担当させる業務内容や受けさせる教育・研修等につき差別的取扱いをした結果,賃金や昇進・昇格等の労働条件に差異が生じた場合も,配転や処遇に関する差別的取扱いが公序に反し,違法というべきである。 イ他方,憲法は,22条,29条等において,財産権の行使,営業その他の経済活動の自由をも保障しているから,事業主は,契約締結の自由を有し,労働者を雇用する,すなわち労働契約を締結するに当たり,いかなる者をいかなる条件で雇い入れるかについては,法律等による特別の制限がない限り,原則として自由とされている。 そして,労働基準法3条にいう「労働条件」には募集及び採用に関する条件は含まれないというべきであるし,同法4条も,募集及び採用について男女間で異なっ の制限がない限り,原則として自由とされている。 そして,労働基準法3条にいう「労働条件」には募集及び採用に関する条件は含まれないというべきであるし,同法4条も,募集及び採用について男女間で異なった取扱いをすることまで直接禁止するものではない。原 告らが被告会社に採用された当時,ほかに募集及び採用に関し男女間で異なった取扱いをすることを直接禁止する法律等は存在せず,それらが禁止されたのは,前記取扱いをしないことを使用者の努力義務として定めた旧均等法が平成9年6月に改正され,改正均等法が平成11年4月1日に施行された時点からである(同法5条。 )しかも,証拠(乙29,31,証人H,同I(第1,2回)及び弁論)の全趣旨によれば,前記当時,一般的に女性の勤続年数は男性よりも短く,全国的な異動も期待し難かったことが認められることをも考慮すれば,被告会社が,原告ら女性の高卒事務職の募集,採用に当たり,そのような時代背景を前提に,前記12 アエで認定したとおり,男性の高卒事務職と( )()同一の取扱いをしなかったことは,前記アで述べた憲法14条が指向する男女の実質的平等の理念に沿うとはいえないものの,直ちに公序良俗に違反するとはいい難い。 なお,原告らは,前記第2の32 の原告らの主張オのとおり,女性差( )別撤廃条約が発効する前に採用された女性労働者についても,差別的採用により発生した配置,昇進の差別が条約発効後も引き継がれている場合には,前記条約に違反し,公序良俗に違反して不法行為を構成すると主張するが,前記条約の文言に照らしても,国内法の制定を待たずに当然に国内法的効力を有するとはいえないし,本件コース別取扱いが直ちに同条約に違反するとも認め難い。 ウしかしながら,被告会社の高卒事務職の募集・採用時に男女間において前記 国内法の制定を待たずに当然に国内法的効力を有するとはいえないし,本件コース別取扱いが直ちに同条約に違反するとも認め難い。 ウしかしながら,被告会社の高卒事務職の募集・採用時に男女間において前記12 アエで認定したコース別取扱いをすることが,直ちに公序良俗( )()に違反しないとしても,そうであるからといって,採用後の高卒事務職の男女間の差別的取扱いのすべてが当然に公序良俗に違反しないと評価されるわけではない。 採用後の高卒事務職の男女間の差別的取扱いが,募集・採用時における コース別取扱いの差異に基づくものとは認められないか,又は,その差異に基づくものであったとしても合理性を有しない場合には,なお公序に反して違法というべきである。 これを翻っていうと,採用後の高卒事務職の男女間の取扱いの差異が,職種限定の合意や勤務場所限定の合意など,少なくとも採用時に高卒事務職の男女別に締結した労働契約に定められた労働条件の差異に基づく場合は,公序良俗に違反するとはいえないのであって,原告らの採用当時,高卒事務職の男女間で異なった労働契約を締結すること自体は,前記イで述べたとおり公序に反して無効とはいえない以上,前記労働契約に基づいて採用後も男女間で異なった取扱いをすることは,使用者にとって労働契約上の義務でもあるから,公序良俗に違反するとはいえない。 また,採用後の高卒事務職の男女間の取扱いの差異が,必ずしも労働契約の内容とされていなくても,募集・採用時における募集対象(学歴,地域等,募集方法(公募,推薦等,採用手続(筆記試験,面接の有無))等,採用条件(職種・勤務地限定の有無等)や,採用後に予定されてい)た就業場所(全国異動を前提とするものか否か,職務内容等の差異に基)づくもので,それらに照らせば合理的と評価できるものであ )等,採用条件(職種・勤務地限定の有無等)や,採用後に予定されてい)た就業場所(全国異動を前提とするものか否か,職務内容等の差異に基)づくもので,それらに照らせば合理的と評価できるものであれば,未だ公序良俗に違反するとまではいえない。 ( )以上によれば,被告会社が,本件コース別取扱いに基づき,前記12アウのとおり,高卒男性事務職については,長期の実習を受けさせた後,()全国の本社,事業所で基本的には基幹的な業務に就くことを命じ,職分協定に基づき,職級で1級,職分点で5点,高卒女性事務職よりも有利な取扱いをしていたのに対し,高卒女性事務職に対しては,採用した本社又は各事業所において,基本的には補助的な業務に就かせていたことは,未だ公序良俗に違反するとはいえない。 この点について,原告らは,前記第2の31 の原告らの主張アイcの( )() とおり,将来の幹部候補か否かは被告会社の主観的な位置付けにすぎず,職種や職務内容に関わるものではないし,高卒事務職の男女間の職務内容は截然と区別できるものではないから,女性局長通達にいう客観的合理的な違いがあるとはいえないと主張するが,女性局長通達も,男女別の運用は当然否定しているものの,職務内容(定型的業務か否か)又は転居を伴う異動の有無によりコース別雇用管理をすること自体は容認していると解されるので,原告らの主張は採用できない。 本件格差とその合理性の有無( ),以上とは異なり,本件格差は,前記12 イで述べたとおり,被告会社が( )本件人事資料に基づく差別的取扱いにより,同等の能力を有する高卒事務職であっても,男女間で能力評価において差別的取扱いをし,同じ能力評価区分に該当した者についても評価区分及び査定区分において明らかに差別的取扱いをし,それに基づき,昇 り,同等の能力を有する高卒事務職であっても,男女間で能力評価において差別的取扱いをし,同じ能力評価区分に該当した者についても評価区分及び査定区分において明らかに差別的取扱いをし,それに基づき,昇給・昇進等の運用をしていたことによるものであって,本件コース別取扱いとは合理的関連を有するとは認め難いから,被告会社の本件差別的取扱いは,性別のみによる不合理な差別的取扱いとして民法90条の公序に反する違法なものであるといわなければならない。 そうすると,被告会社は,不法行為責任(民法709条,44条,715条)に基づき,原告らに対し,これによって原告らに生じた損害を賠償する義務を負うというべきである。 損害の有無及びその額(争点3 )について( )以上によれば,被告会社は,原告らに対し,本件差別的取扱いがなければ原告らが得られたはずの賃金等と現に支払われた賃金等との差額,本件差別的取扱いに対する慰謝料及び相当因果関係を有する弁護士費用額を支払う義務がある。 そこで,具体的な金額について,以下において検討する。 差額賃金相当損害金等( ) ア高卒男性事務職との賃金等の差額について()( )()Bア原告らは,前記第2の33 の原告らの主張アアのとおり,原告と同期入社の高卒男性事務職であるGが平均的な年功序列の昇進をたどっているとし,同人を比較対象者として,本件差別的取扱いがなければ同人と同様の昇進をしたとして,これを前提に算出した差額賃金相当額が損害であると主張している。 確かに,前記12 イで認定したとおり,被告会社は,本件人事資料( )に基づき男女間で評価や昇進・昇給に差別的取扱いをしていたのであるが,本件人事資料に基づく差別的取扱いがなかった場合に,当然に,原告らが高卒男性事務職と同様の昇進・昇給をして ,本件人事資料( )に基づき男女間で評価や昇進・昇給に差別的取扱いをしていたのであるが,本件人事資料に基づく差別的取扱いがなかった場合に,当然に,原告らが高卒男性事務職と同様の昇進・昇給をしていたかどうかは,また別問題である。 被告会社は,前記12 アエで認定したとおり,本件コース別取扱い( )()をしており,従業員の募集・採用時点で,事務職の男女別に採用後の業務配置・異動,教育・研修等について別異の取扱いを予定していたのであり,前記21 ウのとおり,当時,その取扱い自体は公序良俗に反す( )る違法なものであるとまではいい難いのであるから,原告らが主張する前記差額賃金相当額のうち,本件コース別取扱いにより生じた蓋然性があるもの,すなわち,本件コース別取扱いと相当因果関係を有する昇進・昇級格差及び賃金格差に基づくものは,被告会社の本件人事資料に基づく前記違法な差別的取扱いと相当因果関係を有する損害とはいえない。 なお,原告らは,前記第2の32 の原告らの主張キのとおり,改正( )均等法の施行後も被告会社が男女間において差別的取扱いを継続していると主張しているが,募集・採用時の男女別取扱いを禁止する同法の施行により,被告会社のいかなる行為(作為又は不作為)が違法行為となるのかについて,原告らの具体的な主張はない。 イ弁論の全趣旨によれば,Gは,本件訴え提起の9年前に当たる昭和() 61年においては,同年4月で入社18年目を迎え,その前年の4月に企画総括職2級に昇進したことが認められる。 しかし,前記12 イイbで述べたとおり,専門執務職3級から管理( )()補佐職1級への昇進・昇級については,選抜昇進の有無により大きく左右されると考えられるところ,選抜昇進をさせるか否かの選定基準の一つに職務内容(複雑困難な り,専門執務職3級から管理( )()補佐職1級への昇進・昇級については,選抜昇進の有無により大きく左右されると考えられるところ,選抜昇進をさせるか否かの選定基準の一つに職務内容(複雑困難な作業に従事しているか否か)が挙げられていることが認められる上,前記12 イイaで認定したとおり,被告会社( )()は,専門執務職以上については,評点のそれぞれ4分の1を占める仕事の応用力や積極性について,上位の職務に就かせることができる能力,潜在性,あるいは管理職に就かせることができる将来性を重視して評定していたのであるから,能力評価が男女間で公平に行われている場合であっても,本件コース別取扱いに基づき,高卒男性事務職を基幹的業務に就かせることを予定して採用し,現に男女間で担当している業務が前記12 アウで認定したとおり異なっているため,選抜昇進においても,( )()差異が生じることは可能性として否定することができない。 この点,前記12 イイcで認定したとおり,被告会社は,査定区分( )()ごとに年功を重視して従業員の賃金や昇進を決定する運用をしてきたのであるが,それはあくまでも本件コース別取扱いを前提にするものであるから,それから直ちに本件コース別取扱いにかかわらず,被告会社が高卒事務職として採用した者を男女を問わず同様の速さで年功序列的に昇進させてきたとまで推認することはできない。 そうすると,被告会社の本件人事資料に基づく前記違法な差別的取扱いがなかった場合に原告らが得られたであろう差額賃金相当額が,原告らが主張する標準的な高卒男性事務職との差額賃金相当額全額であると認めることはできない。 イLC転換者との賃金等の差額について ア被告会社は,前記12 イイcで認定したとおり,査定区分ごとに()( ) 高卒男性事務職との差額賃金相当額全額であると認めることはできない。 イLC転換者との賃金等の差額について ア被告会社は,前記12 イイcで認定したとおり,査定区分ごとに()( )()年功を重視して従業員の賃金や昇進を決定する運用をしてきたのであるから,被告会社の本件人事資料に基づく差別的取扱いがなければ,少なくとも,本件コース別取扱いにおいて,別異に取り扱われることが予定されていなかった従業員間においては,男女とも同様の昇進・昇級及び昇給がされていたものと推認するのが相当である。 イそうすると,被告会社の事務職において,本件コース別取扱い上,()原告ら高卒女性事務職と別異に取り扱われることが予定されていなかった者,いわゆる被告会社が主張する本社採用者ではない者は,LC転換者しか存在しない。 そして,証拠(甲268の1,274,279,283,乙85ないし89,証人I(第2回,同M,同J,同N)によれば,以下の事実)が認められる。 a被告会社は,従前,製鉄所等において,職分制度発足後は,男性を技能職掌として採用し,本人の意向を踏まえて,製造部門において,ラインや製造に関する業務を担当させるのみならず,技術・工程・設備等の管理事務も担当させていた。 ところが,昭和30年代後半から40年代前半にかけて,高度経済成長に伴い,和歌山製鉄所の拡張や鹿島製鉄所の建設等,全社的な設備拡張期を迎えたため,被告会社は製鉄所等でラインアンドスタッフ制を導入し,製造部門を所長・副所長直属の工場組織として,専ら生産の遂行に当たらせるとともに,生産技術部,工程部や設備部という事務部門を新たに設置して,従来技能職掌である現場係員が担当してきた前記各管理事務等を担当させることとし,技能職掌を前記業務に専従させるために事務技術職掌に転 もに,生産技術部,工程部や設備部という事務部門を新たに設置して,従来技能職掌である現場係員が担当してきた前記各管理事務等を担当させることとし,技能職掌を前記業務に専従させるために事務技術職掌に転換させることとした。 従来,前記管理事務を担当していた技能職掌は,原則として職掌を 転換され,その場合には職掌転換後も従前担当していたのと同じ業務を担当するケースが多かった。 bしかし,大量に前記転換をさせる必要が生じた場合には,それでも追いつかず,入社後間もない技能職掌を転換させたこともあり,LC転換者1147名のうち,転換するまでに要した期間を月ごとに通算すると,1か月に満たなかった者,1か月又は2か月で転換した者は,いずれも50名近くおり,その後は,ほぼ10名以下となっている。 以上によれば,被告会社の本件人事資料に基づく差別的取扱いがなかった場合に原告らが得られたであろう差額賃金相当額は,LC転換者における同等の能力を有する者との賃金等の差額を下回ることはないというべきである。 ウこの点について,被告会社は,前記第2の31 の被告会社の主張イ()( )イgのとおり,BHについては本社採用者である高卒男性事務職の代()替としてLC転換者の中から各所属部門から選抜された者であると主張する。 a確かに,証拠(乙79の1・2,85,86,90,91,証人I(第1,2回,同M,同J)によれば,以下の事実が認められる。 )a昭和40年代に入り,高学歴化の進展により,被告会社におい()ては,高卒の優秀者を毎年一定数全社的に採用することが困難になり,昭和45年には本社で基幹的業務に就かせることを予定して高卒男性事務職を一括して採用することを中止した。 そこで,本社又は各事業所において,LC転換者を高卒男性事務職の補充的な立 ことが困難になり,昭和45年には本社で基幹的業務に就かせることを予定して高卒男性事務職を一括して採用することを中止した。 そこで,本社又は各事業所において,LC転換者を高卒男性事務職の補充的な立場として登用することとし,候補者を専門執務職以上は推薦で,一般執務職については試験等により選抜した上で,各事業所や本社において,一般職特別執務訓練又は同講座として,被告会社をとりまく経済や鉄鋼業界の情勢や労使関係の現状,財務諸 表の見方,組織論等に関する講義を受講させたり,問題解決や対人関係に関する訓練や文書訓練,論文作成,スピーチや発表,グループ等による研究などの実務訓練を施した上で,それらの者をBHとして,LC一般よりも高い能力を有していることを前提として取り扱うようになった。 もっとも,BHに登用された後も,同じ事業所で就労する者が多かった。 なお,被告会社は,従前本社で採用した前記高卒男性事務職が製鉄所等で担当していた原価計算,経理,人事,労務に関する事務を担当させるために,昭和48,49年ころから,各製鉄所等において,BHとして登用することを前提として,募集要項に,勤務場所が被告会社の製鉄所等であり,採用後本社(大阪・東京)及び各事業所への転勤もあり得ることを明示した上で,男性事務職を採用するようになった。もっとも,従前,各製鉄所等においては,男性を技能職掌としてしか採用していなかったため,いったん技能職掌として採用した上で,事務技術職掌に職掌転換をさせる形をとった。 それらの者には2,3週間製造部門で実習を行った。 そして,被告会社は,前記のとおり,基本的には本件人事資料に基づき,LCを査定区分ニとして取り扱っていたのに対し,より上位の査定区分ハとして,人事考課に関する取扱いをしていた。 bしかし,被告会社は,高卒女性事 社は,前記のとおり,基本的には本件人事資料に基づき,LCを査定区分ニとして取り扱っていたのに対し,より上位の査定区分ハとして,人事考課に関する取扱いをしていた。 bしかし,被告会社は,高卒女性事務職については,当初からB()Hとして選抜して登用する対象とはせず,高卒女性事務職に対してその点の意向を確認することもしなかった。 そして,被告会社は,いかなる高卒女性事務職も一切BHとして登用しなかった理由については,前記第2の31 の被告会社の主張イ( ),()()イgdのとおり,①女性事務職は,製造現場に行くことを嫌がり 現場での知識・経験を積むことはおよそ期待できなかったため,②当時の社会情勢や家庭における役割分担意識を踏まえ,女性の意向を尊重し,就業生活と家庭生活が両立できるよう転居を伴う転勤を行わないよう配慮したためである旨主張し,証人I(第2回)や同Mの証言や同人ら作成の陳述書(乙85,86)中にもこれに沿う部分があり,また,証拠(甲274,乙93の1ないし11,証人M,同J,同N)によれば,事務処理のために被告会社の製造工場に立ち入る場合には,ヘルメットや耳栓,作業服,安全靴等一定の装備を着用した上で,暑熱や騒音を受忍しなければならなかったことが認められる。 しかし,前記①については,証拠(甲41ないし44,274,316ないし318,320,証人M,同J,同N)によれば,そもそも,高卒女性事務職の勤務場所は主として事務棟であって,高卒女性事務職が技能職掌と同様常時製造部門に滞在することが義務づけられているわけではないこと,製造工場においても,事務を遂行するための打合せ等を行う寄り場と称する部屋や安全通路が確保されており,前記工場への立入りが大きな危険を伴うものではないこと,高卒女性事務職も,被告会社 ではないこと,製造工場においても,事務を遂行するための打合せ等を行う寄り場と称する部屋や安全通路が確保されており,前記工場への立入りが大きな危険を伴うものではないこと,高卒女性事務職も,被告会社の製品に関する勉強会を開催したり,工場見学を実施するなどして,現場の知識の習得に努めていることが認められる上,前記認定のとおり,原告ら高卒女性事務職の中には一定の製造現場の知識を有することが要求される購買業務を実際に担当している者がいることに照らしても,たとえ,業務の必要から工場等に立ち入る必要が生じた場合であっても,高卒女性事務職がことごとく,工場等に出入りしたくないという単なる個人的な感情を優先させて立入りに消極的な態度をとったり,製鉄所等の製造工程に関する知識の習得に消極的であったとはにわかには認められない。そうすると,証人Iや同Mの前記各証言等は採用することができないし,ほかに前記①の事 実を認めるに足りる証拠はない。 また,前記②については,LC転換者も,被告会社が主張するところの採用区分でいう事業所採用者であり,基本的には採用された事業所以外への異動が予定されていなかったのであるから,この点において,高卒女性事務職との間に何らの合理的な差異は認められないというべきであるし,前記②が高卒女性事務職にBHへの登用を希望するか否か選択する機会さえ与えない合理的な理由にならないことは明らかである。 b前記aで述べたところによれば,本件人事資料に基づく取扱い上,通常,査定区分ハとして,同ニに属するLCや同ホに属する高卒女性事務職よりも有利に取り扱われるBHへの登用につき,本件コース別取扱い上の差異はないにもかかわらず,男性のLCだけを対象とし,高卒女性事務職を一切対象としなかったこと(以下「BH登用に関する差別的取扱い」という 利に取り扱われるBHへの登用につき,本件コース別取扱い上の差異はないにもかかわらず,男性のLCだけを対象とし,高卒女性事務職を一切対象としなかったこと(以下「BH登用に関する差別的取扱い」という)には,合理的な理由を認めることができ。 ず,単に性別のみに基づく不合理な取扱いというべきである。 cしかし,原告らが,仮にBH登用に関する差別的取扱いがなければ,当然BHとして登用されたとして,BHとの差額賃金相当損害金を請求するには,原告らにおいてBHに劣らない人事考課を受けることができたことを立証しなければならない。 この点について,原告らは,BHと同等の業務をこなしていたと主張するとともに,これに沿う供述をしており,さらに,証拠(甲47,280,281,証人I(第2回)によれば,BHが担当していた)ものと同種の業務を高卒女性事務職が担当したことがあったことが認められる。しかし,前記認定のとおり,原告らは,主として定型的,補助的な業務を担当させられていたことからすれば,BHと同等の業務を担当したことがあったからといって,直ちに,原告らを含む高卒 女性事務職が一般的にBHと同等の能力を有していたことが証明されたとはいえないし,ほかにこのことを認めるに足りる証拠も存しない。 d以上によれば,本件人事資料に基づく差別的取扱いやBH登用に関する差別的取扱いがなければ,原告らがBHと同様の昇進・昇級及び昇給を受けることができたとまでは認めるに足りないから,原告らは,BHとの差額賃金相当損害金を請求することはできず,前記比較の対象となるLC転換者からはBHを除外し,LCと比較するのが相当である。 そして,BH登用に関する差別的取扱いを受けたという事情は,後記慰謝料を算定する一事情として考慮するのが相当である。 エ被告会社は,前記第2の 者からはBHを除外し,LCと比較するのが相当である。 そして,BH登用に関する差別的取扱いを受けたという事情は,後記慰謝料を算定する一事情として考慮するのが相当である。 エ被告会社は,前記第2の31 の被告会社の主張イア及びエイの()( )()()とおり,LC転換者は,基本的には,技能職掌のうちの優秀な者で,製造現場の知識・経験を相当持っている上,事務技術職掌としての能力・適性を有していると認められた者であるから,製造現場の知識・経験を全く持つことのない高卒女性事務職と比較して,担当業務において高いパフォーマンスを上げ,上位に昇進したことは当然の帰結であると主張し,証人Iの証言(第2回)や同人作成の陳述書(乙85)にはその旨の部分がある。 a確かに,製鉄所等において技能職掌を相当長期にわたり務めた者は,多くの製造現場における知識・経験・技能を有していると推定されるし,その中には前記イaで認定したとおり,製造現場における知識()を前提として,技術・工程・設備等の管理事務に就いていた者もおり,それらの者が基本的には職掌転換の対象とされたことが認められる。 しかし,証拠(甲20,証人J,同N)によれば,職分制度の制定当時において,それまで作業職掌(技能職掌)に当たる工員が事務技術職掌に当たる職員と比較して,昇進や昇給において差別的取扱いを 受けていることを訴外組合においても問題にしており,職掌転換した後は技能職掌であったころよりも賃金等が上昇していたことが認められることからすれば,技能職掌一般が高卒女性事務職よりも潜在的に事務職に対する適性や能力が高いとはいえず,仮に,LC転換に当たり,一定の試験が実施されたとしても,それをもって,LC転換者が高卒女性事務職よりも適性・能力が高いと推認することもできないという に事務職に対する適性や能力が高いとはいえず,仮に,LC転換に当たり,一定の試験が実施されたとしても,それをもって,LC転換者が高卒女性事務職よりも適性・能力が高いと推認することもできないというべきである。 しかも,そのうち前記イbで認定したとおり,150名ほどは採()用後2か月以内に職掌転換をしているのであるから,そもそも,それらの者が高卒女性事務職と顕著な差が生じるほどの製造現場の知識を有していたとは認め難い。 また,前記認定の職掌転換の経緯によれば,職掌転換後も従前担当していたのと同様の事務を担当していたLC転換者も多かったことが窺われるところ,そのような者は,職掌転換を機会として能力や実績が大きく向上したともいい難い。 b前述のとおり,被告会社においては,本件人事資料に基づく差別的取扱いにより,LCを,転換までの技術職掌として就労した期間の長短,ましてや具体的に有する知識・経験の内容を問わず,一律に,査定区分ニに相当する者として,高卒女性事務職より給与係数で9点高い評価区分DないしODに当てはめ,年収水準概要及び職分職級運営概要に基づき,年収や職分職級について差別的取扱いを行ってきたことが認められるのであるから,仮に,被告会社が主張するように,一定期間製造現場で技能職掌として就労して,同現場での知識・経験を習得した上で,その後,事務技術職掌に転換した者の中に同職掌としての優れた適性や能力をも有する者がおり,それらの者が,高卒女性事務職の平均よりも高い能力や業績を挙げることがあったとしても, それをもって,前記のような被告会社の本件人事資料に基づく一律の差別的取扱いの合理性を基礎づけることは到底できない。 オそこで,採用当初から転換が予定されていたLCの平均的な者との()賃金等の差額をどのように算出するかが 告会社の本件人事資料に基づく一律の差別的取扱いの合理性を基礎づけることは到底できない。 オそこで,採用当初から転換が予定されていたLCの平均的な者との()賃金等の差額をどのように算出するかが問題となる。 LCの中には,前記認定のとおり,相当期間技能職掌であった後に転換した者も存在するのであるから,LC全体と原告ら高卒女性事務職との平均賃金額の実際の差額を直ちに本件人事資料に基づく差別的取扱いによる損害と評価することはできない。 被告会社は,前記のとおり,基本的には,本件人事資料,特に年収水準概要及び職分職級運営概要に基づき,従業員の昇進・昇級及び昇給について決定しており,基本的にはLCを査定区分ニに,高卒女性事務職を同ホと位置付けて,昇進・昇級及び昇給の運用をしていたのであり,それは性別のみによる不合理な差別的取扱いで違法というべきであるから,その差別的取扱いと相当因果関係を有する損害である差額賃金相当額は,現実にLCと高卒女性事務職との間に存する賃金差額全額ではなく,本件人事資料上想定されていた査定区分ニと同ホとの年収差額と認めるのが相当である。 なお,本件人事資料における年収水準概要において,想定されている年収額は,前記のとおり,平成5年度のものと推認され,別表B③-1ないし4によれば,少なくとも昭和63年度から平成6年度にかけて,基本給がおおむね毎年1%程度上昇していることが認められるのであるから,昭和61年度においては,後に述べる原告らの当時の標準年齢に対応する年収差額が7%ほど少なかった可能性がある。しかし,逆に,平成5年度以降は基本給が上昇しているため年収差額が拡大している可能性があるものの,損害の認定に当たっては確実な範囲でそれを捨象して考えることにしたこととの均衡を総合考慮し,昭和61年度から平成 2年 以降は基本給が上昇しているため年収差額が拡大している可能性があるものの,損害の認定に当たっては確実な範囲でそれを捨象して考えることにしたこととの均衡を総合考慮し,昭和61年度から平成 2年度における年収差額の計算においても,年収水準概要上の数値を用いて算出することとする。 そこで,本件人事資料(特に年収水準概要)上想定されていた査定区分ニと同ホとの年収差額をどのように求めるかが問題となる。この点について,被告会社は,前記第2の33 の被告会社の主張のとおり,本( )件差別的取扱いがなければ原告らが得ることができた具体的な賃金は観念することができない旨主張している。 しかし,前記12 イイcaで述べたように,各査定区分中,評( )()()ⅳ価区分AないしE,同B+ないしE+,同OBないしOEが,各査定区分中においてそれぞれ同じ程度にあるものとして対応していると考えられるのであるから,被告会社は,同程度の能力を有する者であっても,LCが評価区分Dであれば高卒女性事務職は同E,LCが同D+であれば高卒女性事務職は同E+,LCが同ODであれば高卒女性事務職は同OEというように,評価区分に格差をつけて処遇していたというべきであり,その格差を損害と評価することができる。 そして,原告らが査定区分ホの中で具体的にいかなる評価区分に位置付けられていたかが明らかではない以上,前記年収差額を算出するに当たっては,各査定区分における同等位の評価区分ODとOE,D+とE+,DとE同士をそれぞれ比較した上で,その値が複数ある場合にはその平均値とするのが相当である(なお,もともと概数による算定であるため,百の位を四捨五入する。以下同様。 。)標準年齢差額a27,28歳45万円b29,30歳25万円c31,32歳30万円 るのが相当である(なお,もともと概数による算定であるため,百の位を四捨五入する。以下同様。 。)標準年齢差額a27,28歳45万円b29,30歳25万円c31,32歳30万円d33,34歳52万5000円 (評価区分D+と同E+との差額55万円及び同Dと同Eとの差額50万円の平均値)e35,36歳41万7000円(同ODと同OEとの差額45万円,同D+と同E+との差額35万円及び同Dと同Eとの差額45万円の平均値)f37ないし39歳55万円(同ODと同OEとの差額75万円,同D+と同E+との差額50万円及び同Dと同Eとの差額40万円の平均値)g40ないし42歳73万3000円(同ODと同OEとの差額85万円,同D+と同E+との差額80万円及び同Dと同Eとの差額55万円の平均値)h43ないし45歳88万3000円(同ODと同OEとの差額85万円,同D+と同E+との差額95万円及び同Dと同Eとの差額85万円の平均値)i46ないし48歳85万円(同ODと同OEとの差額65万円,同D+と同E+との差額90万円及び同Dと同Eとの差額100万円の平均値)j49ないし51歳85万円(同ODと同OEとの差額70万円,同D+と同E+との差額85万円及び同Dと同Eとの差額100万円の平均値)k52歳以上85万円年収水準概要においては省略されているため,各標準年齢における年収差額を考慮して,85万円と推定するのが相当である。 ウ原告らの差額賃金相当損害金等ア昭和61年度から平成7年度まで()前記第2の11 イないしオによれば,昭和61年度(すなわち始期( ) である昭和61年4月)の時点では,標準年齢は,原告が住友軽金A属での勤続年数をも含め44歳,原告は まで()前記第2の11 イないしオによれば,昭和61年度(すなわち始期( ) である昭和61年4月)の時点では,標準年齢は,原告が住友軽金A属での勤続年数をも含め44歳,原告は35歳,原告は31歳,BC原告は29歳であったと認められる(原告らの勤続年数についてはD別紙1ないし4のとおり。 )したがって,昭和61年度から平成7年度までの差額賃金相当損害金は,前記イで認定した各標準年齢ごとの賃金差額を,原告においてAは標準年齢44歳から53歳まで,原告においては同35歳から4B4歳まで,原告においては同31歳から40歳まで,原告においCDては,同29歳から38歳まで,それぞれ合算して算出するのが相当である。 以上によれば,原告らが請求している昭和61年度から平成7年度までの前記損害金は,原告が856万6000円,原告が644万AB9000円,原告が486万7000円,原告が408万400CD0円となる。 イ平成8年度から平成13年度まで()証拠(乙31,証人I(第1,2回)によれば,被告会社において)は,平成7年7月以降新従業員制度が施行されたことが認められるが,従前の本件人事資料に基づく差別的取扱いにより生じた前記施行時における賃金格差が前記制度に基づく運用によって具体的に縮小したと認められない限りは,少なくとも前記施行時に生じた賃金格差が依然として存在していると推定するのが相当である。 そして,証拠(甲30の1・2,31,67,68,122,256,259ないし262,乙31,42の1・2,証人I(第1回)及び)弁論の全趣旨によれば,被告会社は,平成7年7月から,職掌・職分制度を廃止し,従業員を総合グループと基幹グループの従業員区分に分け,職級に当たるものと 乙31,42の1・2,証人I(第1回)及び)弁論の全趣旨によれば,被告会社は,平成7年7月から,職掌・職分制度を廃止し,従業員を総合グループと基幹グループの従業員区分に分け,職級に当たるものとして資格区分を設ける内容のコース別雇用管理制度 を導入し,被告会社が主張する本社採用者を総合グループ1級から4級に,LC転換者を含む事業所採用者のうち企画総括職以下の者を基幹グループ1級ないし6級に,それぞれ振り分けた上で,基幹グループから総合グループへの従業員区分変更の希望を有する者については,転換試験を実施し,合格した者を総合グループへの転換を認める従業員区分変更に関する特別選抜制度を実施したこと,しかし,受験資格について年齢による制限がある(当年度4月1日現在で資格区分が基幹4級以上で年齢満35歳以下の者。ただし,平成7,8年度の募集に限り,年齢については原則として年齢満50歳以下の者とする。不合格者は翌年度には受験できない)上,高卒女性事務職のうち受験者は6名,合格者は。 2名にとどまるなどの実情にあることが認められ,本件コース別取扱いを解消するに十分な措置とはいえないし,それにより,本件人事資料に基づく賃金格差が解消したとも認められない。 平成7年4月における原告らの標準年齢は,原告が53歳,原告Aは44歳,原告は40歳,原告は38歳であったと認められるBCDから,その時点において生じている年間の差額賃金相当損害金は,原告が85万円,原告が88万3000円,原告が73万3000ABC円,原告が55万円と認められる。 Dそうすると,原告らが請求している平成8年度から平成13年度まで(ただし,原告については,前記争いのない事実等及び弁論の全趣A旨によれば,平成11年12月末日をもって被告会社を退職 られる。 Dそうすると,原告らが請求している平成8年度から平成13年度まで(ただし,原告については,前記争いのない事実等及び弁論の全趣A旨によれば,平成11年12月末日をもって被告会社を退職したことが認められるから,平成11年度は,年間の収入の差額から按分により算出し,百の位を四捨五入する)の前記損害金は,原告が318万8。 A000円,原告が529万8000円,原告が439万8000BC円,原告が330万円となる。 Dウ平成14年度以降() a平成14年度及び平成15年度原告を除く原告らは,前記第2の33 の原告らの主張アアbA( )()のとおり,平成14年度以降も,同様の賃金格差が発生し続けており,被告会社が自発的に当該賃金格差について是正を図る見込みがないとして,各月ごとの差額賃金相当損害金の支払を求めている。 しかし,被告会社の差別的取扱いは,本件コース別取扱い上,異なるコースとはいえないLCと高卒女性事務職を,前記のとおり,本件人事資料,すなわち,年収水準概要等に基づき差別的に取り扱ったというものであり,その取扱いにより原告らの各月の賃金にいかなる具体的格差が生じたかを具体的に裏付ける資料もなく,その取扱いに基づく損害は,あくまでも年収水準概要に記載された年収額でしか把握することができないから,各月ごとの損害を年収差額から按分で算出してまで原告らのそれに対する各支払日の翌日からの遅延損害金の請求を認めるのは相当ではなく,その限りにおいて,前記請求はいずれも理由がない。 したがって,平成14年度及び平成15年度は,それぞれ,前記イで述べたとおり,原告に88万3000円,原告に73万3()BC000円,原告に55万円の差額賃金相当の損害が残存しているDというべき 成14年度及び平成15年度は,それぞれ,前記イで述べたとおり,原告に88万3000円,原告に73万3()BC000円,原告に55万円の差額賃金相当の損害が残存しているDというべきである。 なお,前記年収差額の中には,一時金・賞与相当部分も含まれているところ,原告らが平成14年度以降に差額賃金相当損害金として請求しているのは,第2の33 の原告ら主張アbのとおり,高卒男性( )事務職の比較対象者との各月における賃金差額にとどまるのであるが,不法行為における損害(逸失利益)としては同じであり,前記認定の金額が原告らの請求の範囲内である以上,あえて一時金・賞与相当部分を算出して控除することはしない。 b平成16年度本件訴えの口頭弁論は,平成16年12月15日に終結している。 その後においても,原告を除く原告らに被告会社の前記差別的取A扱いと相当因果関係を有する損害が発生し続けるか否かは,その後の被告会社の賃金制度や人事制度又はその運用の変化により,現時点においては,必ずしも確定できないというべきであるから,同原告らの前記終結後に発生する損害に関する賠償請求の訴えは不適法であるといわなければならない。 したがって,平成16年度においては前記口頭弁論終結日までの損害に限り請求することができるというべきである。 この点,前記aのとおり,前記時点の損害額を具体的には把握することができないが,この場合に相当な方法により損害額を推定しなければ,前記aと異なり,損害の元本自体の請求が認められないことになることに照らせば,前記aの年間の差額賃金相当の損害額の12分の8.5と認めるのが相当であり,それ以降の請求に関する訴えは却下すべきである。 以上によれば,平成16年度の前記期間の損害は,原告についBて62万5000円 年間の差額賃金相当の損害額の12分の8.5と認めるのが相当であり,それ以降の請求に関する訴えは却下すべきである。 以上によれば,平成16年度の前記期間の損害は,原告についBて62万5000円,原告について51万9000円,原告にCDついて39万円となる(なお,百の位を四捨五入する。 。)エ原告の差額退職金相当損害金()A弁論の全趣旨によれば,原告の退職時における退職金は,基本給Aを基礎として算定されることが認められるところ,被告会社の本件人事資料に基づく差別的取扱いと相当因果関係を有すると認められる同原告の退職時における基本給差額相当の損害は必ずしも明らかではないから,前記差別的取扱いと相当因果関係を有すると認められる同原告の差額退職金相当損害金を算定するに当たっては,同原告が支払を受けた退職金 に,同原告が退職した平成11年度における年間賃金に対する年間の差額賃金相当損害金の割合を乗じた額とするのが相当である。 しかし,原告は,前記のとおり,平成11年度途中の同年末で退A職しており,同年度における前記割合が明らかではないので,平成10年度における割合で推定するのが相当である。 平成10年12月末の時点における原告の年間の差額賃金相当損A害金は,前記イで述べたとおり,新従業員制度が施行された平成7年()度と同様であると推定されるから,85万円となる。 そして,弁論の全趣旨によれば,別表B④-1の平成10年度の年間賃金欄のとおり,原告の退職時の年収は562万8004円であるAと認められるから,これを1とすると,これに対する年間の差額賃金相当損害金の割合は約0.15となる。 したがって,被告会社の本件人事資料に基づく差別的取扱いと相当因果関係を有すると認められる差額退職金相当損害金は,原 これを1とすると,これに対する年間の差額賃金相当損害金の割合は約0.15となる。 したがって,被告会社の本件人事資料に基づく差別的取扱いと相当因果関係を有すると認められる差額退職金相当損害金は,原告が支払Aを受けた退職金に前記割合を乗じた額とするのが相当である。 原告が被告会社から支払を受けた退職金は,弁論の全趣旨によれAば,別表B④-5のとおり,1597万3000円であると認められるから,これに0.15を乗じると,239万6000円となる(なお,百の位を四捨五入する。 。)オまとめ()以上によれば,各原告の差額賃金相当損害金等の合計は,原告がA1415万円(差額退職金相当損害金239万6000円を含む,。)原告が1413万8000円,原告が1125万円,原告が8BCD87万4000円となる。 そして,年間の差額賃金相当の損害は遅くとも各年度末(ただし,原告の平成11年度の差額賃金相当損害金は退職した平成11年末)A に発生したと認めることができるから,原告らは,被告会社に対し,各A年度ごとの差額賃金相当損害金に対する翌年4月1日(ただし,原告の平成11年度の差額賃金相当損害金については平成12年1月1日)からの遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。 ただし,平成16年度の前記損害の遅延損害金の起算日は,平成16年12月分の遅延損害金について原告ら(原告を除く)が平成17年1A。 月1日以降の遅延損害金を請求していることからすれば,同日とするのが相当である。 また,弁論の全趣旨によれば,原告は,平成11年12月末日でA被告会社を退職したものと認められるから,差額退職金相当損害金に対する翌年1月1日からの遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。 全趣旨によれば,原告は,平成11年12月末日でA被告会社を退職したものと認められるから,差額退職金相当損害金に対する翌年1月1日からの遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。 慰謝料( )原告らは,被告会社に対し,前記差額賃金相当損害金等の支払を求めることができるから,これにより,基本的には被告会社による本件人事資料に基づく差別的取扱いにより受けた経済的損害(LCとの差額賃金相当損害金等)は填補されているが,原告らは,被告会社からBH登用に関する差別的取扱いを受け,BHに登用される機会を喪失しているのであって,本件人事資料に基づくBHとLC間の年収の格差等その他本件に顕れた諸般の事情を考慮すると,本件人事資料に基づく差別的取扱いを受けた精神的苦痛に対する慰謝料としては,原告について300万円,原告については250AB万円,原告について200万円,原告について150万円が相当であCDる。 弁護士費用( )原告らが本件訴訟の提起・追行を原告ら訴訟代理人弁護士に委任したことは本件記録上明らかであるところ,本件事案の性質,認容額等を考慮すると, 被告会社の本件差別的取扱いと相当因果関係がある弁護士費用の損害は,前記1 ,2 の各原告に生じた差額賃金相当損害金等及び慰謝料合計の約1割( )( )に当たる金額,すなわち,原告及び原告については各170万円,原AB告については130万円,原告については100万円と認める。 CDなお,原告らは,前記慰謝料及び弁護士費用について,訴状送達の日の翌日からの遅延損害金を請求しているが,前記認定の慰謝料及び弁護士費用は,本件口頭弁論終結日までの損害を考慮しているので,これらの遅延損害金の起算日はその日の平成16年12月15日とすること の日の翌日からの遅延損害金を請求しているが,前記認定の慰謝料及び弁護士費用は,本件口頭弁論終結日までの損害を考慮しているので,これらの遅延損害金の起算日はその日の平成16年12月15日とすることとする(ただし,原告については,退職日の翌日である平成12年1月1日とする。 A。) 原告らの予備的請求との関係当裁判所が原告らの主位的請求について前記1ないし3で一部認容した金額は,原告らが予備的請求において請求する金額を下回っているので,原告らの予備的請求について検討する。 原告らが,本件主位的請求及び予備的請求において主張している被告会社の原告らに対する差別的取扱いと評価される具体的な行為は,第2の31 の原( )告らの主張のとおり,高卒女性事務職を同じ高卒である男性事務職やLC転換者(男性)に比べ低く処遇し,性別により差別的に取り扱ったというものであって,それによって侵害されたとする法益も同一であって,両請求の違いは,前記取扱いの違法性を評価する際の対象者,それによる違法性の有無及び損害額にすぎない。 したがって,両請求の訴訟物は同一というべきであり,予備的請求は,違法性や損害額についての予備的な請求原因を主張したものというべきである。 前記3で認定したとおり,被告会社の差別的取扱いと相当因果関係を有する損害は前記3で認定した範囲内で認められ,それを超える損害は認めるに足りないから,原告らの前記第2の33 の原告らの主張イの予備的請求原因にお( )ける損害の主張についても,前記認容額を超える額については理由がないとい わなければならない。 第4 結論 以上の次第で,原告らの本件訴え(主位的請求)のうち,口頭弁論終結後の差額賃金相当損害金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分は不適法であるからいずれも却下し,その余 ばならない。 第4 結論 以上の次第で,原告らの本件訴え(主位的請求)のうち,口頭弁論終結後の差額賃金相当損害金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分は不適法であるからいずれも却下し,その余の請求は主文第2項の限度でいずれも理由があるからこれを認容し,その余の部分はいずれも理由がないから棄却することとする。 大阪地方裁判所第5民事部裁判長裁判官小佐田潔裁判官中垣内健治裁判官下田敦史 別表原告内金原告内金原告内金原告内金遅延損害金起算日ABCD88万3000円41万7000円30万0000円25万0000円昭和62年4月1日88万3000円41万7000円30万0000円25万0000円昭和63年4月1日85万0000円55万0000円52万5000円30万0000円平成元年4月1日85万0000円55万0000円52万5000円30万0000円平成2年4月1日85万0000円55万0000円41万7000円52万5000円平成3年4月1日85万0000円73万3000円41万7000円52万5000円平成4年4月1日85万0000円73万3000円55万0000円41万7000円平成5年4月1日85万0000円73万3000円55万0000円41万7000円平成6年4月1日85万0000円88万3000円55万0000円55万0000円平成7年4月1日85万0000円88万3000円73万3000円55万0000円平成8年4月1日85万0000円88万3000円73万3000円55万0000円平成9年4月1日85万0000円88万3000円73万3000円55万0000円平成10年4月1日 0円平成8年4月1日85万0000円88万3000円73万3000円55万0000円平成9年4月1日85万0000円88万3000円73万3000円55万0000円平成10年4月1日85万0000円88万3000円73万3000円55万0000円平成11年4月1日773万4000円平成12年1月1日88万3000円73万3000円55万0000円平成12年4月1日88万3000円73万3000円55万0000円平成13年4月1日88万3000円73万3000円55万0000円平成14年4月1日88万3000円73万3000円55万0000円平成15年4月1日88万3000円73万3000円55万0000円平成16年4月1日420万0000円330万0000円250万0000円平成16年12月15日62万5000円51万9000円39万0000円平成17年1月1日

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