平成24(ワ)11930

裁判年月日・裁判所
平成25年10月18日 東京地方裁判所
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判決文本文28,902 文字)

平成25年10月18日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成24年(ワ)第11930号商標権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成25年9月4日判決東京都港区<以下略>原告有限会社ギルビー 同訴訟代理人弁護士雪丸真吾 同亀井弘泰 東京都目黒区<以下略>被告株式会社ハイ・スポーツ社 同訴訟代理人弁護士島田康男 同訴訟復代理人弁護士石川順道 同増田智史 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 主位的請求 (1) 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した別紙被告商品目録記載の商品を販売し,販売のために展示し,または同商品に関する広告に同標章を付してはならない。 (2) 被告は,原告に対し,4013万6800円及びこれに対する平成24年5月16日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 上記(2)について仮執行宣言 2 予備的請求 及びこれに対する平成24年5月16日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 上記(2)について仮執行宣言 2 予備的請求 - 2 -(1) 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付した別紙被告商品目録記載の商品を輸入し,販売し,販売のために展示し,または同商品に関する広告に同標章を付してはならない。 (2) 被告は,別紙被告標章目録を付した別紙被告商品目録記載の商品を廃棄せよ。 (3) 被告は,原告に対し,182万8485円及びこれに対する平成24年5月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 上記(3)について仮執行宣言第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の摘示のない事実は当事者間に争いがない。)(1) 原告は,ボウリング用品の販売等を業とする特例有限会社であり,被告は,各種スポーツ用器具,部品類の販売等を業とする株式会社である。 (2) 原告と被告は,遅くとも昭和60年代には,原告が調達して準備した缶に原告が殺菌剤である「両性界面活性剤テゴー51」(以下「テゴー51」という。)を配合した靴用の除菌消臭剤(以下「原告消臭剤」という。)を充填して被告に販売し,被告においてボウリング場に小売販売する形態での取引を継続してきた(以下「本件取引」という。)。 (3) 本件取引においては,原告が缶を調達する際に,缶のデザインについては,被告の了解のもと,原告が製缶業者に対しデザインを指示していた。その一つである北海製罐株式会社(以下「北海製罐」という。)作成の昭和62年11月27日付け「校正刷」と題する書面(甲1の1。以下「本件第1校正刷り」という。)の品名の部分には,「ハイスポーツ555 AE420Y」との記載がある。缶のデザイン部分(甲1の1〔2枚目〕)に 11月27日付け「校正刷」と題する書面(甲1の1。以下「本件第1校正刷り」という。)の品名の部分には,「ハイスポーツ555 AE420Y」との記載がある。缶のデザイン部分(甲1の1〔2枚目〕)には,欧文字「AEROSOL」と欧文字「SHOECLEAN」とを2段に構成した記載と,「No.555」,被告の会社名等が記載され,「用途」の部分には,「シュークリーンは一吹で靴及び靴下の汗臭を化学的に分解し・・・」等と記載されている。 - 3 -(4) また,本件取引にかかる缶入り除菌消臭剤の表面デザインである,北海製罐作成の1995年(平成7年)10月26日付け「校正刷」と題する書面(甲1の2。以下「本件第2校正刷り」という。)の1枚目の品名の部分には,「ハイ・スポーツ555 AE420YN」との記載がある。また,同校正刷りの2枚目には,その上段に校正刷りの項目・指示事項欄があり,その下段には缶表面のデザイン案が掲げられており,同デザイン案には,表面に相当する部分に,欧文字「Shu-Fresh」,「No.555」,被告の会社名等が記載され,裏面に相当する部分の「名称」欄には,「シューフレッシュNo.555除菌用」と記載されている。 (5) 原告と被告との本件取引については,平成10年ころまでには,被告への製品の納入価格を巡って原被告間で対立が生じるようになったため,平成10年10月10日に納入された品を最後に平成10年10月29日の代金支払をもって終了し,被告は本件取引にかかる当時の在庫商品すべてを買い取った。 (6) 本件第2校正刷り(甲1の2)の2枚目には,上段の項目・指示事項欄の右側余白部分に,下記の内容の手書きの記載(以下「本件手書き部分」という。)があり,その下に被告代表者の記名印が押されている (6) 本件第2校正刷り(甲1の2)の2枚目には,上段の項目・指示事項欄の右側余白部分に,下記の内容の手書きの記載(以下「本件手書き部分」という。)があり,その下に被告代表者の記名印が押されている。 記「注告今後他社で製造する場合当社使用(名称,用途,説明文)使用出来ません。 無断使用の場合使用料其の他を請求する10/30 A氏下見てOK〔判決注:又は「下見でOK」〕」(7) 被告は,原告との取引終了に当たり,ロイド株式会社(以下「ロイド」という。)に製造を委託して製品の納入を受け,「A-530」の品番で,品名を「シュークリーンスプレー」とする靴用の除菌消臭剤を販売することと - 4 -し,平成10年9月14日には,同社に対し5000本を発注し,販売を開始した。〔乙7の3〕(8) その後,被告は,平成15年10月ころからは,株式会社抗菌テクノ(以下「抗菌テクノ」という。)との間で,靴用の除菌消臭スプレーである別紙被告商品目録記載の商品(以下「被告商品」という。)の納入を受け,被告が販売する取引を開始した。被告商品には,別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。)が付されている。 なお,抗菌テクノは,その後抗菌マイスター有限会社(以下「抗菌マイスター」という。)に社名等を変更した。 (9) 原告代表者は,平成23年2月14日,下記の商標につき商標登録出願を行い,同年7月29日,登録第5428667号として商標登録を受けた(以下,「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)。 記登録商標: 指定商品:第5類消臭剤(工業用のもの及び身体用のも 本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)。 記登録商標: 指定商品:第5類消臭剤(工業用のもの及び身体用のものを除く。),薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,ばんそうこう,包帯,医療用腕環,はえ取り紙,防虫紙,乳糖なお,本件商標の商標公報には,「【称呼(参考情報)】」として,「シュクリーン,シュ」と記載されている。〔甲7〕(10) 原告は,平成24年4月24日,本件訴えを提起した。〔顕著な事実〕(11) 被告は,現在も被告商品を販売している。 2 本件は,原告が,被告に対し,主位的に,平成10年10月30日,本件取引の終了に当たり,原告と被告との間で,原告は,被告に対して,それまで原告消臭剤を充填した商品に付していた商品名「シュークリーン」や「シューフレッシュ」を,以後,別の商品に使用しないよう約束させ,被告もこれに合意 - 5 -した(以下「本件合意」という。)にもかかわらず,被告が「SHOECLEAN」及び「シュークリーン」の標章を付した靴用の除菌消臭剤(被告商品)を販売しているのは,本件合意に反すると主張して,本件合意の履行請求及び債務不履行に基づく損害賠償として,(1)被告標章を付した被告商品の販売等の差止め,(2)本件合意において賠償額の予定がされたとして,これに基づく平成10年11月1日から平成24年2月29日までの損害金3813万6800円及び弁護士費用200万円の合計4013万6800円並びにこれに対する平成24年5月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,予備的に,被告が被告標章を付した被告商品 円の合計4013万6800円並びにこれに対する平成24年5月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,予備的に,被告が被告標章を付した被告商品を販売等する行為は,本件商標権を侵害するとして,(1)被告標章を付した被告商品の輸入,販売等の差止め,(2)被告標章を付した被告商品の廃棄,(3)平成23年8月1日から平成24年2月29日までの使用料相当額の損害賠償として166万8485円及び弁護士費用16万円の合計182万8485円並びにこれに対する平成24年5月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 3 争点(1) 主位的請求につきア本件合意の存否イ賠償額の予定の有無及びその額ウ消滅時効の成否(仮定的抗弁)(ア) 商事消滅時効(イ) 民事消滅時効エ信義則違反に基づく権利の失効の成否(仮定的抗弁)(2) 予備的請求につきア本件商標と被告標章との類否 - 6 -イ商標法26条1項2号の適用の可否ウ本件商標は商標登録無効審判により無効にされるべきものか(ア) 商標法3条1項3号及び46条1項1号適用の可否(イ) 商標法4条1項16号及び46条1項1号適用の可否エ権利濫用の成否オ損害発生の有無及びその額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)ア(本件合意の存否)について〔原告の主張〕(1) 被告は,昭和60年代から,原告から原告消臭剤を充填した靴用の缶入り除菌消臭剤を購入し,ボウリング場等に小売するなどしてきた。原告消臭剤を充填した商品の商品名については, 〔原告の主張〕(1) 被告は,昭和60年代から,原告から原告消臭剤を充填した靴用の缶入り除菌消臭剤を購入し,ボウリング場等に小売するなどしてきた。原告消臭剤を充填した商品の商品名については,原告が各取引先と協議して決めていたところ,被告に卸す商品については「SHOECLEAN(シュークリーン)」「Shu-Fresh(シューフレッシュ)」などとしこれらの商品名の入った缶を原告において用意し,内容物として原告消臭剤を充填して被告に卸売するという取引を継続してきた。 ところが,平成10年ころまでに,被告は原告に対して,商品の卸売価格を安くするよう求めるようになった。当時の原告からの卸売単価は,少なくとも1本250円(小売単価は380円から450円程度)であったところ,被告はこれを品質を落として安く製造し,卸売単価を150円から180円程度にしてほしいと求めてきた。原告は,原告消臭剤の特長的成分であるテゴー51を入れるための原価などからして,そのような値引きは不可能であり,除菌効果や安全性の品質を落とすことはできないとして,これを断ったところ,被告は原告から商品を購入することを止めることになった。 (2) 原告と被告との間の本件取引は平成10年10月29日の代金支払をもって終了したところ,同月30日,原告と被告との間に,それまで原告消臭剤 - 7 -を充填した商品につけていた商品名「シュークリーン」や「シューフレッシュ」を,以後,別の商品に使用しないという内容の本件合意が成立した。 (3) したがって,被告において,被告標章を付した被告商品を販売する行為は,本件合意に反するものであるから,原告は,本件合意に基づく履行請求として,被告標章を付した被告商品の販売等の差止めを求める。 〔被告の主張 被告において,被告標章を付した被告商品を販売する行為は,本件合意に反するものであるから,原告は,本件合意に基づく履行請求として,被告標章を付した被告商品の販売等の差止めを求める。 〔被告の主張〕(1) 〔原告の主張〕(1)について,本件取引の開始は昭和56年ころからであるが,その余の事実は認める。 (2) 同(2)について,本件取引が平成10年10月29日の代金支払をもって終了したことは認めるが,本件合意の存在は否認し,その余の主張についても否認ないし争う。 原告が本件合意の存在の証拠であるとする本件第2校正刷り(甲1の2)記載の本件手書き部分は,「A氏下見てOK」ではなく「A氏下見でOK」と記載されているものであって,何ら本件合意の存在を推認させるものでない。本件手書き部分は,平成7年10月30日当時,本件第2校正刷り(甲1の2)の内容について被告代表者が確認した際に押印した被告代表者の記名印があるのを奇貨として,その上部に,原告代表者が書き加えた内容と解される。 (3) 同(3)は否認ないし争う。 (4) 本件取引の経緯は以下のとおりである。 被告は,原告消臭剤を充填した缶入り消臭剤を自社のオリジナル品の形式で販売することを計画し,昭和59年8月ころから,「SHOECLEAN」標章を付して販売を始めた。本件取引の形態はいわゆるOEM取引であり,原告はその製造に係る原告消臭剤をスプレー缶に充填し,被告の社名,所在地,電話番号及び「SHOECLEAN」標章を付して被告に納品した。 - 8 -当初はスプレー缶に紙ラベルを巻いていたが,昭和62年12月ころからは,スプレー缶に直接印刷するようになった。被告は自社ブランドでのOEM取引にあたって,ラベル代として従来の仕入れ 8 -当初はスプレー缶に紙ラベルを巻いていたが,昭和62年12月ころからは,スプレー缶に直接印刷するようになった。被告は自社ブランドでのOEM取引にあたって,ラベル代として従来の仕入れ価格に5円上乗せし,原告からの納品価格を単価265円とし,これを360円で販売した。自社ブランドでのOEM取引であるから,被告は自社ブランドのラベルを印刷した製品は全量引き取っていた。 上記「SHOECLEAN」標章を付した商品の販売は平成3年初めころまで行われた。「SHOECLEAN」標章を付した商品のラベルには,被告の社名,所在地及び電話番号が表示されており,さらに被告の会社名の頭の欧文字HSを図案化したものと欧文字「HIGHSPORTS」とを2段に構成した標章,欧文字「AEROSOL」と欧文字「SHOECLEAN」とを2段に構成した標章等が表示されていた(甲1の1〔2枚目〕)。 平成3年2月ころになると,被告が全量を買い取りしなければならないための在庫負担が大きく,被告の営業に影響を与えるようになったことから,被告はOEMでの取引を中止し,原告から製品を購入して,これを販売することにした。この形態の取引は平成7年12月ころまで続いた。 平成7年ころ,被告は,再度,自社オリジナル品として販売することを計画し,平成8年1月ころから「Shu-Fresh」標章を付してボウリング場等の貸し靴用として原告消臭剤を充填した除菌消臭剤の販売を始めた。 この原告と被告との取引の形態は,いわゆるOEM取引であり,原告は,原告消臭剤(スプレー缶入り)に被告社名,被告電話番号及び「Shu-Fresh」標章を表示して被告に納品した。 ボウリング場等の貸し靴用の除菌消臭剤の販売は競争が激しかったことから,平成9年ころには,販売単 レー缶入り)に被告社名,被告電話番号及び「Shu-Fresh」標章を表示して被告に納品した。 ボウリング場等の貸し靴用の除菌消臭剤の販売は競争が激しかったことから,平成9年ころには,販売単価が300円を切るようになってきた。被告は原告に対して卸売価格を引き下げるように依頼し,これに対応してきたが,原告の協力は得にくくなってきていた。そこで,やむを得ず,仕入先の変更 - 9 -を検討するようになった。 こうしたことから,本件取引は平成10年10月ころに中止され,同月29日の仕入代金の支払によって終了した。 本件取引の経緯は上記の通りであり,「SHOECLEAN」標章を付した商品の取引も「Shu-Fresh」標章を付した商品の取引もいずれもOEM取引であって,「SHOECLEAN」標章も「Shu-Fresh」標章もいずれも被告の商標である。 したがって,原告とのOEM取引が終了したからといって,被告が被告商標「SHOECLEAN」の使用について,原告から使用を禁止される理由はないから,特段の事情のない限り,被告が原告との間で「SHOECLEAN」商標の不使用を合意しなければならない理由はない。実際,被告が「SHOECLEAN」標章の不使用を原告との間で合意したとの事実は存しない。被告は,平成10年10月ころの原告との「Shu-Fresh」のOEM取引の終了に伴って,被告は新たな仕入先であるロイドとの間で「SHOECLEAN」商標によるOEM取引を始めている。 2 争点(1)イ(賠償額の予定の有無及びその額)について〔原告の主張〕(1) 「シュークリーン」や「シューフレッシュ」標章を付した商品は,ドイツ製除菌剤であるテゴ-51及び銀(Ag)を配合し,高い殺菌効果と 賠償額の予定の有無及びその額)について〔原告の主張〕(1) 「シュークリーン」や「シューフレッシュ」標章を付した商品は,ドイツ製除菌剤であるテゴ-51及び銀(Ag)を配合し,高い殺菌効果と人体への安全性を有することを特長とし,厚生労働省の承認も得た優れた製品であることが周知されており,高い顧客吸引力が期待できることから,原告はその卸売単価を少なくとも1本250円としていた。近時,内容物は同じ原告の製品であるものの,「快足スプレー」という別商品名で取引先が販売している商品については,「シュークリーン」や「シューフレッシュ」標章を付した商品ほどの顧客吸引力が期待できないことから,原告は卸売単価を1本185円としている。すなわち,上記の250円と185円の差額65円は, - 10 -高い顧客吸引力が期待できる「シュークリーン」や「シューフレッシュ」標章の使用料である。 本件合意の存在を証する本件第2校正刷り(甲1の2)の本件手書き部分には「無断使用の場合使用料,其の他を請求する」とあるが,これは使用料その他を賠償額の予定(民法420条1項)としたものである。 (2) したがって,本件における損害賠償額は,以下の式,すなわち,65円×本件合意が成立した日の翌日以降の被告商品累計販売本数と算定される。 そして,原告の被告用の売上台帳(甲5)により確認できる平成4年7月7日ないし平成10年10月10日(約75か月とみなせる)の累計販売本数は27万5043本であるから,そこから,本件合意が成立した日の翌日以降の被告商品累計販売本数を推計すると,次のとおり,58万6720本となる。 27万5043本÷75か月≒3667本(月当たりの販売本数)3667本×160か月 が成立した日の翌日以降の被告商品累計販売本数を推計すると,次のとおり,58万6720本となる。 27万5043本÷75か月≒3667本(月当たりの販売本数)3667本×160か月(平成10年11月1日ないし平成24年2月29日まで)=58万6720本以上より,本件合意の債務不履行に基づく損害額は以下の算定式のとおり,3813万6800円である。 65円×58万6720本=3813万6800円(3) 弁護士費用本件訴訟を提起し遂行するにあたり要する弁護士費用は,少なくとも金200万円を下らない。 (4) したがって,原告は,被告に対し,本件合意の債務不履行に基づく損害賠償として上記(2)及び(3)の合計金4013万6800円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成24年5月16日からから支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 - 11 -〔被告の主張〕(1) 〔原告の主張〕(1)につき,本件合意はそもそも存在しないし,本件第2校正刷り(甲1の2)の本件手書き部分には,そもそも賠償額の記載がない。 したがって,原告の主張は主張自体失当である。 (2) 原告主張の損害額についても否認ないし争う。 3 争点(1)ウ(消滅時効の成否〔仮定的抗弁〕)について〔被告の主張〕(1) 商事消滅時効被告は原告主張の本件合意の存在を争うものであるが,仮に原告主張の債務不履行に基づく債権が存在するとしても,時効により消滅している。 すなわち,原告と被告はいずれも商人であり,商行為によって生じた債務の不履行に基づく損害賠償請求についても商法522条の適用があり,債務不履行によって生じる損害賠償請求権の消滅時 消滅している。 すなわち,原告と被告はいずれも商人であり,商行為によって生じた債務の不履行に基づく損害賠償請求についても商法522条の適用があり,債務不履行によって生じる損害賠償請求権の消滅時効は,本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するから(最高裁平成7年(オ)第2472号同10年4月24日第二小法廷判決・裁判集民事188号263頁参照),本件合意の不履行による原告の損害賠償請求権は,本件合意の成立日である平成10年10月30日から5年後の平成15年10月30日の経過によって,商事消滅時効(商法522条)が完成している。 (2) 民事消滅時効また,本件合意の不履行による原告の損害賠償請求権は,本件合意の成立日である平成10年10月30日から10年後の平成20年10月30日の経過によって,民事消滅時効(民法167条1項)が完成している。 (3) 被告は,平成24年6月13日の本件第1回口頭弁論の期日において,上記商事及び民事消滅時効につき援用の意思表示をした。 〔原告の主張〕被告の引用する上記最高裁判決は,本来の履行請求権と損害賠償請求権が - 12 -法的に同一性を有することを前提とした判例であって,本件のように不作為義務に違反した結果生じた損害の回復を求める事案は射程外と理解すべきである。 また,仮に同判例の射程が本件に及ぶとしても,「本来の債務の履行を請求し得る時」とは,原告が被告の不使用合意違反を知ってこれを停止するよう請求することが可能となった時と解すべきである。原告が被告の違反を知ったのは平成22年ころで,本件訴訟提起より5年以内であり,消滅時効が成立することはない。 4 争点(1)エ(信義則に基づく権利の失効の成否〔仮定的抗弁〕)について〔被告の主 が被告の違反を知ったのは平成22年ころで,本件訴訟提起より5年以内であり,消滅時効が成立することはない。 4 争点(1)エ(信義則に基づく権利の失効の成否〔仮定的抗弁〕)について〔被告の主張〕原告からは,その主張にかかる本件合意の成立後,10年以上も被告の使用に対し差止めないし損害賠償請求がなかったものである。そうすると,仮に本件合意が存在するとしても,平成10年10月30日の合意成立の日から既に10年以上を経過しており,その間,被告は,その合意の成立にかかわらず,平成10年10月30日以降も「SHOECLEAN」標章を使用しているところ,原告は当業者であるから,被告が「SHOECLEAN」標章を使用していることを知っていたはずであるにもかかわらず,使用差止めや損害賠償の請求をしていない。したがって,被告は原告の権利はもはや行使されないと信ずるに至ったものであり,今になって,「SHOECLEAN」標章の不使用の合意に基づき,その履行請求として使用差止めを請求し,損害賠償を請求することは信義誠実の原則に反するものであり,原告の権利は失効したものというべきである。 〔原告の主張〕原告が被告商品の存在を知ったのは,平成22年のことであるから,被告の上記主張は前提を欠き,理由がない。 5 争点(2)ア(本件商標と被告標章との類否)について - 13 -〔原告の主張〕本件商標は,前記第2,1(9)のとおり,カタカナ表記で「シュ-クリーン」からなる外観を有し,これを表記に従って発音した「シュークリーン」または「シュクリーン」の称呼を有する。 これに対して,被告標章も,ローマ字表記で「SHOECLEAN」,カタカナ表記で「シュークリーン」からなる外観を有し,「シュークリー 「シュークリーン」または「シュクリーン」の称呼を有する。 これに対して,被告標章も,ローマ字表記で「SHOECLEAN」,カタカナ表記で「シュークリーン」からなる外観を有し,「シュークリーン」の称呼を有する。 したがって,被告標章は本件商標と同一あるいは少なくとも類似するものである。 また,本件商標は,前記第2,1(9)のとおり,第5類を指定商品とするところ,被告商品はボウリング場の貸し靴等を用途とする消臭剤であり,本件商標の指定商品と同一または類似するものである。 被告は,現在,被告標章を被告商品に商品名として付して製造し,ボウリング場等に販売している。 したがって,被告の上記行為は,商標法37条1項1号により,原告の本件商標権を侵害する行為である。 〔被告の主張〕本件商標は,前記第2,1(9)のとおり,横書き一段の片仮名表記で「シュ-クリーン」なる外観を有し,「シュクリーン」又は「シュ」の称呼を有するが,特段の観念は生じない。この点に関して原告は,本件商標の称呼に「シュークリーン」が含まれると主張するが,第2,1(9)の【称呼(参考情報)】の記載と明らかに矛盾し,認められない。 他方,被告標章は,横書き二段,青文字斜体のローマ字表記「SHOE」「CLEAN」からなる外観を有する標章及び横書き一段からなる片仮名表記「シュークリーン」からなるところ,いずれも「しゅーくりーん」の称呼を有し,「SHOE」からは「靴」が,「CLEAN」からは「きれいにする,きれい - 14 -になる」がそれぞれ想起されることから,これらを組み合わせて表記される被告標章は,「靴をきれいにするもの」という観念を有する。 また,本件商標と,被告標章との外観が異なることは上記から明らかであ になる」がそれぞれ想起されることから,これらを組み合わせて表記される被告標章は,「靴をきれいにするもの」という観念を有する。 また,本件商標と,被告標章との外観が異なることは上記から明らかである。 さらに,称呼については,本件商標の「シュ」と被告標章の「しゅーくりーん」なる称呼との類似性はない。すなわち,本件商標の称呼は「シュクリーン」又は「シュ」であり,「シュ」と「クリーン」との間にある「-」はハイフンと捉えられ,長音符(ー)とは表記上明らかに異なり,「シュクリーン」との称呼を生じる余地はあるが,被告標章の「しゅーくりーん」なる称呼を生じる余地はなく,明らかに称呼が異なる。 以上によれば,本件商標と被告標章とは外観,称呼,観念のいずれにおいても類似しない。 6 争点(2)イ(商標法26条1項2号適用の可否)について〔被告の主張〕被告標章は被告商品の用途・品質・効能を普通に用いられる方法で表示したものであるから,商標法26条1項2号により,本件商標権の効力は及ばない。 すなわち,被告標章は欧文字「SHOECLEAN」であり,欧文字「SHOE」と欧文字「CLEAN」を結合したものである。「SHOE」は日本語の「靴」を表す英語であることは,一般人に広く知られている。また,「CLEAN」は日本語の「清潔な,きれいな,汚れのない」等,「きれいに」等,「きれいにする,きれいになる,」等,及び「きれいにすること」等の意味を表す英語であることは一般人に広く知られている。 被告「SHOECLEAN」標章は,ボウリング場等の貸し靴用のスプレー缶入り除菌消臭剤に付されているところ,「SHOE」は被告商品の用途である靴用の除菌消臭剤を,「CLEAN」は被告商品の品質・効能である「きれいな」,「きれいにする,きれいになる 貸し靴用のスプレー缶入り除菌消臭剤に付されているところ,「SHOE」は被告商品の用途である靴用の除菌消臭剤を,「CLEAN」は被告商品の品質・効能である「きれいな」,「きれいにする,きれいになる」,「きれいにすること」等を表示するものである。 - 15 -したがって,「SHOECLEAN」標章は,「靴をきれいにする,あるいは,靴がきれいになる」等の観念を表すものであり,更に,貸し靴用のスプレー缶入り除菌消臭剤である被告商品に使用されるときは被告商品の用途・品質・効能を表すものであり,また,被告「SHOECLEAN」標章は被告商品に普通に用いられる方法で表示されているから,原告の本件商標権の効力は被告「SHOECLEAN」標章には及ばない。 〔原告の主張〕被告主張のとおり,「SHOE」が日本語の「靴」を表し,「CLEAN」が日本語の「清潔な,きれいな,汚れのない」等の意味を表したとしても,例えば後者は洗剤や磨き粉あるいは洗濯用器具,衛生用品など様々な商品に使用される可能性のある言葉であり,他方,「除菌消臭剤」に一般に「CLEAN」という商標が付されているという取引実態もないから,「SHOECLEAN」という標章が「靴用の除菌消臭剤」という被告商品の用途や品質・効能を普通に用いられる方法で表しているなどとはいえない。 そもそも,被告自身の主張においても,被告は同商標を「被告ブランド」としてOEM取引をしていたというのであるから,実際の取引において同商標が自他識別力を有していたことは明らかである。被告の主張には理由がない。 7 争点(2)ウ(ア)(本件商標は商標登録無効審判により無効にされるべきものか〔商標法3条1項3号及び46条1項1号適用の可否〕)について〔被告の主張〕 ある。被告の主張には理由がない。 7 争点(2)ウ(ア)(本件商標は商標登録無効審判により無効にされるべきものか〔商標法3条1項3号及び46条1項1号適用の可否〕)について〔被告の主張〕原告は,本件商標からは「シュークリーン」の称呼が生じるとするところ,その主張を前提とすると,本件商標は,靴の消臭剤である商品の用途・品質・効能を普通に用いられる方法で表示するものであるに該当し,商標登録を受けることができないものであったというべきである。すなわち,原告の本件商標は「シュークリーン」の称呼を有するとするところ,本件商標の指定商品は第5類消臭剤等を含んでいること,また,「シュー」の部分は英語の「SHOE」 - 16 -(称呼は「シュー」である。)を想起させ「靴」を観念させること,「クリーン」の部分は英語の「CLEAN」を想起させると共に日本語化していることから「きれいにする,きれいになる」,「きれいにすること」等を観念させること,さらに,「シュー」と「クリーン」が上記の意味を表す言葉として一般人,取引者によく知られていることに照らして,カタカナの「シュークリーン」が「シュー」と「クリーン」を一連に構成したものとして,靴の消臭剤に使用される場合,「シュークリーン」商標は,商品(靴の消臭剤)の用途・品質・効用を表示するものであり,また,「シュークリーン」は普通に用いられる方法で表示するものであるから,商標法3条1項3号に該当し,本件商標は商標登録を受けることができないものであったというべきであるから,商標法3条1項3号,46条1項1号の記述的表示に該当し,商標登録無効審判により無効にされるべきものである。 したがって,商標法39条,特許法104条の3により権利行使が制限されるというべきである。 〔原 項3号,46条1項1号の記述的表示に該当し,商標登録無効審判により無効にされるべきものである。 したがって,商標法39条,特許法104条の3により権利行使が制限されるというべきである。 〔原告の主張〕被告は,本件商標「シュ-クリーン」からは,「靴をきれいにする,あるいは靴がきれいになる」との観念が想起されるとして,商品(靴の消臭剤)の用途・品質・効能を普通に用いられる方法で表示するものであるから,商標法3条1項3号に違反し無効であると主張する。 しかし,本件商標の「シュ-」の部分が「シュ」あるいは「シュー」の称呼を有するからといって,常に英語の「SHOE」を想起させ,日本語の「靴」を想起させるとは限らない。 また,仮に被告が主張するとおり,「シュ-」が「靴」を想起させ,「クリーン」が「清潔な,きれいな,汚れのない」等の意味を想起させたとしても,例えば後者は洗剤や磨き粉あるいは洗濯用器具,衛生用品など様々な商品に使用される可能性のある言葉であり,他方,「除菌消臭剤」に一般に「クリーン」 - 17 -という商標が付されているなどという取引実態もないから,「シュ-クリーン」という本件商標が靴用の除菌消臭剤という商品の用途や品質・効能を普通に用いられる方法で表しているなどとはいえない。 また,被告は「SHOECLEAN」標章を「被告ブランド」としてOEM取引をしていたというのであるから,実際の取引においてこれと同一又は類似する本件商標が自他識別力を有することは明白である。 よって,本件商標が自他識別力を有していることは明らかであって,被告の主張には理由がない。 8 争点(2)ウ(イ)(本件商標は商標登録無効審判により無効にされるべきものか〔商標法4条1項16号,46条1項1号適用の 自他識別力を有していることは明らかであって,被告の主張には理由がない。 8 争点(2)ウ(イ)(本件商標は商標登録無効審判により無効にされるべきものか〔商標法4条1項16号,46条1項1号適用の可否〕)について〔被告の主張〕上記7の被告の主張のとおり,「シュークリーン」商標からは「靴をきれいにする,あるいは,靴がきれいになる」との観念が想起されるから,本件商標が靴の消臭剤以外の指定商品に使用される場合,取引者・需要者に靴の消臭剤であると誤認させるおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法4条1項16号に該当し,本件商標は商標登録を受けることができないものであって,商標登録無効審判により無効にされるべきものというべきであるから,商標法46条1項1号,商標法39条,特許法104条の3により権利行使が制限されるというべきである。 〔原告の主張〕上記7の原告の認否反論のとおり,本件商標から必ずしも「靴をきれいにする,あるいは靴がきれいになる」との観念が想起されるわけではないし,まして,取引者や一般需要者が本件商標から「靴の消臭剤」という特定の商品の用途・品質・効能等を認識するなどというおそれはないから,本件商標に品質誤認のおそれはなく,被告の主張には理由がない。 9 争点(2)エ(権利濫用の成否)について - 18 -〔被告の主張〕(1) 取引経過を理由とする権利濫用原告は,被告が被告標章の商標登録出願を行っていないことを奇貨として本件商標の登録出願を行い,商標登録を得た。原告と被告の間の「SHOECLEAN」標章を付したボウリング場等の貸し靴用の除菌消臭剤(スプレー缶入り)の取引はOEM取引で行われ,原告は被告に「SHOECLEAN」標章を付してボウリング場等の と被告の間の「SHOECLEAN」標章を付したボウリング場等の貸し靴用の除菌消臭剤(スプレー缶入り)の取引はOEM取引で行われ,原告は被告に「SHOECLEAN」標章を付してボウリング場等の貸し靴用の除菌消臭剤(スプレー缶入り)を単価265円で納品し,被告はこれを360円でボウリング場等に販売していた。 被告はそれ以前には原告商品を単価260円で仕入れて,これを350円で販売していたが,「SHOECLEAN」標章を付したOEM取引を始めるに当たっては,ラベル代として従来の仕入れ価格に5円上乗せした。 上記のとおり,昭和59年8月ころからの「SHOECLEAN」標章を付した取引はOEM取引であるから,「SHOECLEAN」標章は被告の商標であり,原告もこのことを了解していた。 被告は「SHOECLEAN」標章について商標登録出願をしていなかった。 被告と原告との取引は平成10年10月ころ終了したが,被告は新たな仕入先であるロイドとの間で「SHOECLEAN」標章によるOEM取引を始めており,ロイドとの間の「SHOECLEAN」標章によるOEM取引の終了後も,平成16年5月ころから抗菌テクノとの間で「SHOECLEAN」標章によるOEM取引を始めている。 原告は被告が「SHOECLEAN」標章の登録出願を行っていないことを奇貨として,平成23年2月14日に本件商標の登録出願を行い,同年7月29日に商標登録を得た。 原告と被告との本件取引の経緯に鑑みると,OEMによって自ら被告ブラ - 19 -ンド(「SHOECLEAN」)を付して被告に納品しておきながら,被告が「SHOECLEAN」標章の登録出願を行っていないことを奇貨として,本件商標の商標登録を得て, - 19 -ンド(「SHOECLEAN」)を付して被告に納品しておきながら,被告が「SHOECLEAN」標章の登録出願を行っていないことを奇貨として,本件商標の商標登録を得て,その商標権に基づいて被告に対して「SHOECLEAN」標章の使用差止めを要求し,その使用に対して損害賠償を請求することは,OEM取引の終了後であっても,契約当事者であった原告と被告の間における信義側に反し,権利の濫用に当たるというべきである。 (2) 商標法の制度目的に反することを理由とする権利濫用被告に対する差止め請求及び損害賠償請求は商標法の制度目的に照らし許されず,権利濫用である。すなわち,①原告が本件商標をその登録の前後を問わず使用していないこと,②本件商標の特殊性に照らして,これからも原告が本件商標を使用することはないこと,③原告は被告が被告標章を使用しているのを知りながら,これを妨害する目的をもって,本件商標の出願を行って登録を得たものであること,④そもそも,「SHOECLEAN」標章,「シュークリーン」標章は被告と原告とのOEM取引において,原告が靴用消臭スプレーに「SHOECLEAN」標章(カタカナ表記では「シュークリーン」と表記される)を付して被告に納品したものであり,被告はこれを被告商品(シューズ消臭スプレー)として販売したものであること,⑤被告は遅くとも平成10年から「SHOECLEAN」標章(カタカナ表記では「シュークリーン」と表記される)を付したシューズ消臭スプレーを販売してきたこと,⑥本件商標は特殊な態様からなるものであるが,そのような特殊な態様による商標登録出願をしたことに商標法の趣旨に適合する合理的な理由はなく,かえって不当な目的を有するものと認められ,特殊な態様の本件商標を出願,登録した 様からなるものであるが,そのような特殊な態様による商標登録出願をしたことに商標法の趣旨に適合する合理的な理由はなく,かえって不当な目的を有するものと認められ,特殊な態様の本件商標を出願,登録した原告がその結果を甘受すべきであること等に照らして,原告が本件商標権に基づいて,被告標章の使用を差し止めること及び商標法38条3項に基づいて使用料相当額を損害として請求すること - 20 -は,商標法の制度目的に照らして許されず,被告標章が現実の取引において果たしている商品の出所識別機能を不当に害し,商標法の趣旨に反する結果を招来するから,権利の濫用として許されないというべきである。 〔原告の主張〕(1) 取引経過を理由とする権利濫用に対し被告の主張はその前提事実に誤りがあり,理由がない。 原被告間の従前の取引はOEM取引ではなかったし,「SHOECLEAN」標章は原告代表者が考案して取引期間中に限って被告に使用を許可していたものである。それを重々承知していたからこそ被告は同標章について商標登録出願をしてこなかったのである。それにもかかわらず,原告との取引を終了させ,原告製品を購入しなくなった後も,被告は原告に無断で同標章を使用していたのであり,被告こそ取引相手であった原告への信義に欠けるというべきである。 したがって,原告の本件商標権に基づく請求はなんら信義に反するものではなく,また権利の濫用にも当たらない。 (2) 商標法の制度目的に反することを理由とする権利濫用に対し原告は商標として「シュークリーン」あるいは「SHOECLEAN」を長年にわたり使用し,あるいは被告をはじめ取引先に使用させており,被告の主張は前提に誤りがある。 そして,この長年にわたって使用してきた商品名を商標 クリーン」あるいは「SHOECLEAN」を長年にわたり使用し,あるいは被告をはじめ取引先に使用させており,被告の主張は前提に誤りがある。 そして,この長年にわたって使用してきた商品名を商標登録出願する際にどのような文字,デザイン等で出願するかは,権利取得を希望する範囲等から,技術的,政策的な判断,工夫により行うものである。もともと商標の表記方法は様々なものがありうるのであって,本件商標はことさら特殊なものではない。 原告が様々な使用態様で本件商標を今後も使用し,または取引先に使用させる可能性は十分ある。 - 21 -もともと原被告間の取引終了に当たり,商品の内容,品質の誤認を避けるために「シュークリーン」及び「シューフレッシュ」という名称を使用しないことを合意したにもかかわらず,被告がこれに反して「シュークリーン」標章を使用していたのであるから,その使用を差し止めるべく,商標登録を行って商標権を行使することはなんら不正な行為ではない。むしろ,被告の行為のほうが,原告との従前の取引とその終了経緯からして信義に悖る行為である。 原告が被告との取引中「シュークリーン」または「SHOECLEAN」の商品名の使用を許していたのは原告商品を購入してそれを充填した商品を被告が販売するからであって,その取引終了後にそれらの商品名の使用を差し止めることはなんら不当ではない。被告の使用実績は,原告の権利行使とは関係がない。 したがって,原告の本件商標権に基づく請求はなんら信義に反するものではなく,また権利の濫用にも当たらない。 10 争点(2)オ(損害発生の有無及びその額)について〔原告の主張〕(1) 使用料相当額(商標法38条3項)上記のとおり,使用料単価65円と被告商 の濫用にも当たらない。 10 争点(2)オ(損害発生の有無及びその額)について〔原告の主張〕(1) 使用料相当額(商標法38条3項)上記のとおり,使用料単価65円と被告商品の販売本数の推計から,原告の損害(使用料相当額)は次の計算式のとおり,166万8485円となる。 65円×3667本(月当たりの販売本数)×7か月(登録の翌月1日である平成23年8月1日から平成24年2月29日まで)=166万8485円(2) 弁護士費用予備的請求にかかる請求の趣旨について本件訴訟を提起し遂行するにあたり要する弁護士費用は,少なくとも上記(1)の損害額の約1割である16万円を下らない。 (3) 合計 - 22 -したがって,被告の商標権侵害に基づく原告の損害額は,上記(1)の166万8485円と,上記(2)の16万円の合計である182万8485円を下らない。 〔被告の主張〕いずれも否認し争う。 第4 当裁判所の判断 1 前記第2,1の認定事実並びに証拠(甲1~16,乙1~16,証人A〔以下「A」という。〕,原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,同認定を覆すに足りる的確な証拠はない(各段落の末尾に主要な証拠を掲記した。)。 (1) 原告と被告は,昭和56年1月ころから,原告消臭剤を原告がスプレー缶に充填し,これを被告に納入して被告がボウリング場等に販売するという形態の本件取引を開始した。本件取引を開始したころは「シューズスプレー555」との商品名で,被告は,原告から,420ミリリットル缶1本当たりの単価260円で仕入れていた。そのころの商品には,被告名の表示はされていない。 〔乙5,11,証人A〕(2) 昭和59年8月ころ,被告 の商品名で,被告は,原告から,420ミリリットル缶1本当たりの単価260円で仕入れていた。そのころの商品には,被告名の表示はされていない。 〔乙5,11,証人A〕(2) 昭和59年8月ころ,被告は,原告から原告消臭剤を充填した商品の納入を受けるに当たり,缶の表面に被告名を表示して,これを被告において販売するいわゆるOEM取引の形態をとることとした。その場合の1本当たりの原告からの納入単価については,1本当たり5円を上乗せして,265円とした。そのころの本件取引に係る缶入り靴消臭剤(420ミリリットル入り。以下「当初被告商品」という。)には,上段に欧文字「AEROSOL」と欧文字「SHOECLEAN」とを2段に構成した記載,中段に「No.555」,下段に被告の会社名と所在地が表示されている。昭和60年5月1日現在の被告の価格表には,「シューズスプレー555(シューズ用消臭剤)」と記載されており,被告からの販売単価は360円である。この「SHOECLEAN」 - 23 -との表示をすることを考えたのは原告側である。〔乙3,6,11,証人A〕(3) 昭和62年ころ,被告が大阪営業所を開設したことから,これを商品の表示に入れることとし,原告において北海製罐にデザインを依頼した。北海製罐作成の本件第1校正刷り(甲1の1)の品名部分には,「ハイスポーツ555AE420Y」との記載がある。また,同校正刷りの二枚目にある缶表面のデザイン案には,当初被告商品(乙3)と同様,欧文字「AEROSOL」と欧文字「SHOECLEAN」とを2段に構成した記載と,「No.555」,被告の会社名等が記載され,「用途」の部分には,「シュークリーンは一吹で靴及び靴下の汗臭を化学的に分解し…」等と記載されている。〔甲1の1,乙3〕 N」とを2段に構成した記載と,「No.555」,被告の会社名等が記載され,「用途」の部分には,「シュークリーンは一吹で靴及び靴下の汗臭を化学的に分解し…」等と記載されている。〔甲1の1,乙3〕(4) 昭和62年5月ころ,原告の関連会社である有限会社ギルビー企画(証拠中には「有限会社ギルビ企画」との表示も散見されるが,同一会社と認められる。 以下「ギルビー企画」という。)が製造販売していた原告消臭剤を充填した缶入り靴消臭剤(100ミリリットル入り)には,製造販売元としてギルビー企画が表示されており,「AEROSOL」,「No.555」と記載されている。〔乙1〕(5) その後,被告は,OEM取引においては,被告において全量を買い取らなければならないことから在庫負担が大きいとして,平成3年2月ころ,OEM取引を中止することとし,当初と同じく,原告名を商品に表示して,これを被告が納入を受けて販売することとし,これに伴い,納入単価も従前の260円に戻った。〔乙11〕(6) しかし,被告は,平成7年ころ,再度原告からOEM取引の形態で製品の納入を受けることとし,平成8年1月ころから,被告の会社名等を製品に表示することとした。その際には,以前使っていた「SHOECLEAN」標章は使わず,新しい商品名とすることとし,「Shu-Fresh」標章を用いることとし,同標章は,本件取引の終了まで用いられた。上記「Shu-Fre - 24 -sh」標章を付した商品は,原告からの納入単価が275円であり,被告は,これを380円でボーリング場等に販売した。〔乙11,証人A〕(7) 品名「ハイ・スポーツ555 AE420YN」についての,北海製罐作成の本件第2校正刷り(甲1の2)の1枚目の品名の部分には,「ハイ・スポーツ55 リング場等に販売した。〔乙11,証人A〕(7) 品名「ハイ・スポーツ555 AE420YN」についての,北海製罐作成の本件第2校正刷り(甲1の2)の1枚目の品名の部分には,「ハイ・スポーツ555 AE420YN」との記載がある。また,同校正刷りの2枚目に記載されている缶表面のデザイン案には,表面に相当する部分に欧文字「Shu-Fresh」,「No.555」,被告の会社名等が記載され,裏面に相当する部分の「名称」欄には,「シューフレッシュNo.555除菌用」と記載されている他,「表示者」欄にギルビー企画が記載されている。なお,同校正刷り2枚目上段の項目・指示事項欄の右側余白部分に押されている被告代表者の記名印は,被告において原告との交渉を担当していたAが押印したものであり,その印は,当時,被告会社の経理において保管していたものであった。〔甲1の2,乙11,証人A〕(8) 平成8年2月ころ,ギルビー企画が製造販売し,被告に納入していたボール用のテゴー51配合の除菌スプレー(420ミリリットル入り)には,表面上段に「FUMIGATIONBYSPRAYINGTEGO51 強力除菌」と記載されている他,表面下段には大きな文字で「No.555」と記載され,裏面下段には製造元としてギルビー企画が表示されている。〔乙2〕(9) 原告と被告との本件取引については,価格競争の点から,被告が原告に対し納入価格の引下げを求めることが度々あり,平成8年12月ころには,バーゲンとして相応の値引きをすることがあったが, 平成10年ころまでには,製品の納入価格を巡って対立が生じるようになったため,結局,原告と被告とは本件取引を中止することとして,平成10年10月10日に納入された品を最後に取引を終了し,被告は在庫品のすべてを買い取った。〔甲5,乙11 格を巡って対立が生じるようになったため,結局,原告と被告とは本件取引を中止することとして,平成10年10月10日に納入された品を最後に取引を終了し,被告は在庫品のすべてを買い取った。〔甲5,乙11〕(10) 被告は,原告に替わる新たな納入元として,ロイドに製造を委託して製品の納入を受けることとし,「A-530」の品番で,品名を「シュークリー - 25 -ンスプレー」とする消臭剤を販売することとして,平成10年9月14日には,同社に対し5000本を発注した。なお,その消臭剤にはテゴー51は配合されておらず,抗菌剤として孟宗竹エキスが配合されており,その旨表示されている。〔乙7の3,7の5~7の8〕(11) 原告の関連会社であるギルビー企画(代表者X)が,平成11年1月に,取引先に宛てた「新春のおよろこびを申し上げます。」と題する文書には,「弊社は長期にわたり取引してきました株式会社ハイスポーツ社との提携を平成10年11月末日をもって解消することとなりました。それに伴い消臭剤業務用シューフレッシュNo.555 66c/sも平成10年10月26日の最終納品をもって製造を中止いたしました。弊社と致しましては,上記製品の高い需要に応えるべく新たにレジェンド.スター株式会社と提携し,従来の製品にも増した殺菌力を持つ新商品を販売していくことになりました。」と記載され,商品紹介として,「シューフレッシュNo.555」と記載されている。また,「追伸:類似品が出回って居りますのでご注意下さい。」と記載され,その部分にはアンダーラインが引かれている。〔乙9〕(12)平成11年9月に,社団法人日本プロボウリング協会作成の「オロナミンCINTERNATIONALCHAMPIONSHIPJAPANCUP’99」と ーラインが引かれている。〔乙9〕(12)平成11年9月に,社団法人日本プロボウリング協会作成の「オロナミンCINTERNATIONALCHAMPIONSHIPJAPANCUP’99」と題する冊子に掲載されているギルビー企画の宣伝広告には,テゴー51を配合した製品であるとする「アプローチコンディショナー」と称する商品,「ハウスボールクリーナー」と称する商品(前記(8)の商品と同一若しくは関連商品と思われるもの),「シューフレッシュ」と称する商品(後記(16)と同一若しくは関連商品と思われるもの)が各3本ずつ陳列されている写真が掲げられ,それら商品のいずれにも「No.555」の記載があり,そのうち「シューフレッシュ」と称する商品には,筆記体で「Shu-Fresh」と記載され,また,上記各商品が陳列されている背景には,「AEROSOLSHOECLEANNO.555」との表示がされ - 26 -ている。原告は,「No.555」は,シャネルの香水No.5にならってつけたものであり,「No.555」といえば,原告の商品であるとしている。〔甲8,原告代表者〕(13)その後,被告は,平成15年10月ころからは,抗菌テクノとの間で,シューズ消臭用スプレーである「シュークリーン」の納入を受けて,これを被告が販売する取引を開始した。抗菌テクノは,その後抗菌マイスターに社名等を変更したが,抗菌テクノないし抗菌マイスターから納入を受けて被告が販売しているシューズ消臭スプレー「シュークリーン」についても,抗菌剤として孟宗竹エキスが配合され,テゴー51は配合されていない。〔乙8の4~8の6〕(14) 原告代表者は,遅くとも平成22年ころまでには,被告が被告商品を販売しているのを知ったものの,被告に対し,特段警告等 エキスが配合され,テゴー51は配合されていない。〔乙8の4~8の6〕(14) 原告代表者は,遅くとも平成22年ころまでには,被告が被告商品を販売しているのを知ったものの,被告に対し,特段警告等の措置を採らなかった。〔原告代表者9,10頁〕(15) 原告代表者は,商標出願について弁理士に相談し,平成23年2月14日に商標登録出願を行い,平成23年7月29日,登録第5428667号として本件商標の登録を受けた。 (16) 原告は,平成23年ころ,ギルビー企画が製造発売元である,テゴー51を使用したスプレー缶入り靴消臭剤「No.555 シューフレッシュ」を,レジェンドスター株式会社を通じて販売しているところ,製品の缶には筆記体で「Shu-Fresh」と記載されており,その宣伝文句には,「業界No.1の信頼と実績の業務用シューズスプレーNo.555シューフレッシュがグレードアップして,NEWデザイン缶で登場!!」と記載され,価格及び商品名についても,「シューズスプレーNo.555(業務用) 価格:1ケース(48本入)¥14,400(@300)」と表示されている。 〔甲11〕 2 争点(1)ア(主位的請求・本件合意の存否)について - 27 -(1) 原告は,平成10年10月10日の本件取引の終了時に口頭で「シュークリーン」及び「シューフレッシュ」の商品名を使わない旨を約したが,口頭では不安があったので,同月30日,被告本社事務所にAを訪ね,被告代表者Y(以下「Y」という。)も後ろに控えた場で,本件第2校正刷り(甲1の2)の2枚目に本件手書き部分を記載した上,被告代表者の記名印の押印を得て,本件合意が成立した旨主張し,それに沿う証拠(甲9)及び原告代表者の供述も存する。 しかし,本件合意の存在を裏 の2)の2枚目に本件手書き部分を記載した上,被告代表者の記名印の押印を得て,本件合意が成立した旨主張し,それに沿う証拠(甲9)及び原告代表者の供述も存する。 しかし,本件合意の存在を裏付けるとして原告が提出する本件手書き部分の内容は前記第2,1(6)記載のとおりであるところ,わざわざ被告事務所を訪ねて口頭の保証以上のものを得ようとし,しかも社判の押印まで求めたとするのであれば,その場にいたとするAないしYと合意文書を作成し,あるいはAらにも記載を求めるのは容易であるにもかかわらず,本件合意の成立した日とされる平成10年10月30日から3年も前に作成され,しかも「SHOECLEAN」及び「シュークリーン」標章とは全く関係のない,「Shu-Fresh」標章の校正刷りである本件第2校正刷り(甲1の2)に,自ら手書きをして社判のみの押印で済ませたとするのはいかにも不自然である。そして,本件手書き部分には,「10/30」の日付があり,他方で,本件第2校正刷りの日付が平成7年10月26日であることに照らすと,この校正刷りをAが平成7年10月30日ころに下見した際に,校正刷りの内容を確認して了承し,原告代表者においてAから押印を得たものであり,そのころには,本件手書き部分の記載はなかったとの証人Aの証言には相当の合理性があるというべきである。 また,本件手書き部分に記載された内容自体,「注告今後他社で製造する場合当社使用(名称…)使用できません。…」とするものであって,そこにいう「名称」が何であるかについての記載もなく,原告と被告との間で「シュークリーン」及び「シューフレッシュ」の商品名を使わない旨の合意を証 - 28 -する文言であると直ちに読める内容ではない。 そうすると,本件手書き部分については, 「シュークリーン」及び「シューフレッシュ」の商品名を使わない旨の合意を証 - 28 -する文言であると直ちに読める内容ではない。 そうすると,本件手書き部分については,被告代表者の記名印が押印された趣旨と関連せず,いつその記載がなされたかについても判然としないものであるから,いかなる内容を示すものか,全く明らかではないというべきである。 加えて,上記認定事実によれば,原告と被告との本件取引における靴用の除菌消臭スプレーについては,被告とのOEM取引がなされた時期において,「SHOECLEAN」ないし「Shu-Fresh」と表示して被告の会社名が表示されている商品があること,原告消臭剤を特長付けるとするテゴー51を用いた商品にはいずれも「No.555」の記載があり,原告はその後販売した靴消臭剤に「No.555」は用いていても,被告はこれを用いていないこと,被告が原告との本件取引を終了した後には,ロイドとの間で直ちに「SHOECLEAN」の商品名で靴消臭剤を販売していること,その販売の事実についての調査は容易であり,原告は類似品が販売されているとの問題意識を平成11年当初から持っていたにもかかわらず,平成22年に至るまで被告製品の販売の事実に気付かなかったなどとしていること等からすると,本件取引において,少なくとも「SHOECLEAN」標章が原告の商品を表示するものであって,被告の商品を表示するものではないとの認識が当事者にあったものと認めることはできないというべきである。 その他,原告と被告との間で本件合意がされたことについて,これを認めるに足る的確な証拠はない。 以上によれば,本件合意の存在を認めることはできないというべきである。 (2) なお,原告は,遅くとも昭和43年ころから で本件合意がされたことについて,これを認めるに足る的確な証拠はない。 以上によれば,本件合意の存在を認めることはできないというべきである。 (2) なお,原告は,遅くとも昭和43年ころから継続的に「シュークリーン」という名称の商品を製造販売しており,「シュークリーン」は原告の商品を示すものであると主張し,それに沿う証拠として昭和43年10月15日付 - 29 -け「御見積書(控)」と題する書面(甲13)を提出する。しかし,原告は,同書面に関し,その作成は同日原告によりなされたものであるとし,同年11月15日に関する記載は後日の正式発注後に加筆されたもので,この昭和43年に当初作成された文書が平成25年2月に倉庫から発見されたとしながら(証拠説明書),昭和43年当時存しないことが公知の事実である消費税額について記載する欄があり,その信用性には著しい疑義がある。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (3) また,原告は,平成3年以降,「SHOECLEAN」商標を使用していたとし,それに沿う証拠として,甲14の1,2,甲15,16を提出する。しかし,これらは原告代表者の手書きの売上台帳の一部らしきもの(甲14の1,2)や,段ボール箱の校正用図面及び日付不明の段ボールの写真(甲15,16)にすぎず,実際の商品の販売の事実を証明するに足りない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (4) 以上のとおり,その余の点につき判断するまでもなく,主位的請求は,理由がない。 3 争点(2)(予備的請求)について(1) 争点(2)ア(本件商標と被告標章との類否)につき原告は,被告標章は,本件商標と同一ないし類似し,本件商標は指定商品に消臭剤が含まれているところ,被告標章を 2)(予備的請求)について(1) 争点(2)ア(本件商標と被告標章との類否)につき原告は,被告標章は,本件商標と同一ないし類似し,本件商標は指定商品に消臭剤が含まれているところ,被告標章を靴消臭剤である被告商品に付して使用することは,本件商標権を侵害する旨主張する。 被告商品は靴消臭剤であるところ,本件商標は指定商品に消臭剤を含み,これは本件商標の指定商品に含まれることから,以下,本件商標と被告標章の同一ないし類似性について判断する。 ところで,商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に,商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品・役務 - 30 -に使用された標章がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,商標と標章の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品・役務につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,したがって,これら3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違することその他取引の実情等によって,何ら商品・役務の出所の誤認混同をきたすおそれの認め難いものについては,これを類似の標章と解することはできないというべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。 そこで,まず,本件商標の外観についてみると,本件商標の内容は,前 廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。 そこで,まず,本件商標の外観についてみると,本件商標の内容は,前記第2,1(9)記載のとおりであるところ,本件商標は一見すると標準文字商標のようにも見えるが,片仮名一連表記のうち,「シュ」の後の短横棒「-」と「クリーン」中の長横棒「-」とでは長さに著しい違いがあり,前者は通常のハイフンよりもどちらかといえば中点に近く,後者は,他の文字の横幅よりも長くなっているという特徴がある。 次に本件商標の称呼についてみると,上記本件商標の表記からすると,「クリーン」中の長横棒「-」は,長音符(以下「後長音符」という。)と認められるものの,「シュ」の後の短横棒「-」は,中点若しくはせいぜいハイフン(以下「前ハイフン」という。)と認めるのが相当である。そうすると,本件商標の商標公報(甲7)の【称呼(参考情報)】欄における記載のとおり,本件商標の全体の称呼は「シュクリーン」であると認めるのが相当である。 さらに,本件商標の観念についてみると,「シュクリーン」の称呼及びそ - 31 -の外観から,特段の観念は生じないというべきであるが,「シュ」と短く発音されるとしても,英語の「シュー」を連想させ,「SHOE」は靴の,「クリーン」は英語の「CLEAN」として,清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)として,それぞれ我が国において広く知られていることからすると,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合はあるものと解される。 一方,被告標章の内容は,別紙被告標章目録記載のとおりであり,「SHOE」と「CLEAN」を2段に表記してなり,それぞれの文字は右斜めに傾斜し るとの観念が生じる場合はあるものと解される。 一方,被告標章の内容は,別紙被告標章目録記載のとおりであり,「SHOE」と「CLEAN」を2段に表記してなり,それぞれの文字は右斜めに傾斜し,同一の大きさで表記されている。各文字は青色の地に細く白で縁取りがされている。上記のとおり,「SHOE」は靴の,「CLEAN」は清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)であり,これは我が国において広く知られているところであるから,被告標章の称呼は「シュークリーン」であり,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じるものというべきである。 なお,原告は,被告商品の背面に記載された「名称」の「シュークリーン」についても商標として使用されている旨主張するが,上記「名称」は缶の背面に,用途,成分,内容量及びそれらの各記載と同一の表の中に小さく併記されたものにすぎず,その他それ自体として自他識別機能を果たすものはないから,商標として使用されたものは存しないと解される。 以上を前提とすると,被告標章は,観念において,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合があることについて本件商標と共通する部分があるとしても,靴がきれいないし清潔であるとの観念は靴用の除菌消臭剤においては一般的なものであること,外観において,欧文字2段から成り,傾斜して縁取り等もされた被告標章と,片仮名一連表記から成り,しかも前ハイフンと後長音符の長さが著しく異なるという特徴を有する本件商標とでは明らかに異なる印象を与えること,称呼についても相当に異なること,以上 - 32 -を総合して全体的に考察すると,本件商標と被告商標とは十分識別可能であって同一ないし類似するものでないというべきである。 したがって,原告の上記主張は理由 - 32 -を総合して全体的に考察すると,本件商標と被告商標とは十分識別可能であって同一ないし類似するものでないというべきである。 したがって,原告の上記主張は理由がないというべきである。 (2) 争点(2)エ(権利濫用の成否)につきなお,事案に鑑み,原告の権利行使が権利の濫用に当たるかについても当裁判所の判断を示すこととする。 上記認定事実によれば,本件取引にかかる靴用除菌消臭スプレーを示す「SHOECLEAN」については,それまで「シューズスプレー555」との商品名であったものにつき,被告とのOEM取引を開始するに当たり表示することとされ,その缶には被告の会社名が表示されていたものであり,缶の裏面にも「シュークリーンは」と表示されて「シュークリーン」は被告の商品を示すことが明らかとなったものである。そして,本件取引終了後に,原告は,「No.555」及び「Shu-Fresh」ないし「シューフレッシュ」の商品名で除菌消臭剤を販売しているところからすると,被告標章にかかる「SHOECLEAN」については,原告と被告との間では被告商品を示すものとして扱われていたとみられるところである。 原告は,平成10年10月に本件取引を終了し,その後,「Shu-Fresh」の商品名で靴用の除菌消臭剤を販売し,平成22年には被告商品が販売されていることを知ったとしながらも,被告に対し何ら警告を行うことなく,平成23年2月に至って本件商標の出願を行い,その上で本件訴訟に及んでいるものである。 しかも,本件商標は,上記のとおり,「シュ」の後の前ハイフンと「クリーン」中の後長音符とでは長さに著しい相違があり,本件商標の商標公報の【称呼(参考情報)】欄においても,その称呼は,「シュクリーン」ないし 本件商標は,上記のとおり,「シュ」の後の前ハイフンと「クリーン」中の後長音符とでは長さに著しい相違があり,本件商標の商標公報の【称呼(参考情報)】欄においても,その称呼は,「シュクリーン」ないし「シュ」であるとされているところ,原告代表者は,本件商標の称呼はあくまで「シュークリーン」であるとし,何故本件商標のような,前ハイフンと - 33 -後長音符との間で著しい長さの差がある商標登録がされたかについては,弁理士の判断であり承知しないなどと供述するのみで(原告代表者23,24頁),何ら合理的な説明をしていない。また,原告代表者は,本件商標は,まさに原告の販売する商品についての商標登録であり,本件商標を使用しているとしながら,本件商標の外観を備える商品販売の事実を示す証拠を提出しない。 そうすると,原告は,被告との間の本件取引においては,被告商品を示すものとみられる「SHOECLEAN」につき,被告が商標登録をしていないのを奇貨として,これに対して権利行使をする目的のもと,あえて原告における販売実態のない本件商標についての登録を行い,権利行使に及んだものと推認するのが相当である。 そうだとすれば,原告が,本件商標権に基づき被告に対し権利行使をするのは,権利の濫用に該当し,許されないものと解される。 (3) 以上のとおり,その余について判断するまでもなく,原告の予備的請求も,理由がない。 4 結論よって,原告の主位的及び予備的請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林 保 り判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 実本滋 別紙省略

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