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昭和42(行ウ)117 全逓救済申立却下命令取消

裁判所

昭和45年5月9日 東京地方裁判所

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15,494 文字

主文 1 公労委昭和四一年(不)第二号および第三号事件につき、被告が昭和四二年七月五日付でした救済申立てを却下する旨の各決定を取り消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。事実 第一当事者双方の求める裁判一原告主文と同旨の判決。二被告「1 原告の請求を棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。」第二当事者双方の主張一請求原因(一) 原告は、昭和四一年九月三日郵政大臣を被申立人として、「茨城県美浦郵便局長、大阪城東郵便局長、および大阪福島郵便局長が昭和四〇年八月ころから継続して原告組合の運営に介入し、あるいは原告組合の組合員を差別取扱いしており、このことは労働組合法第七条第一号、第三号に該当する不当労働行為である」とし、さらに昭和四一年一二月五日同じく郵政大臣を被申立人とし、「大阪福島郵便局長および大阪住吉郵便局長が昭和四一年九月一日付で原告組合の組合員であるAほか三名を配置転換したことは労働組合法第七条第一号、第三号に該当する不当労働行為である」とし、それぞれ不当労働行為救済命令を求める申立てをし、それぞれ公労委昭和四一年(不)第二号および同第三号事件として受理された。(二) ところが、被告は昭和四二年七月五日、右事件につき申立てを却下する旨の決定をした。(三) しかし、右却下決定は、違法であるからその取消しを求める。二請求原因に対する被告の答弁(一) 請求原因(一)は認める。(二) 請求原因(二)も認める。(三) 請求原因(三)は争う。三被告の主張(一) 被告は、大要次のような経緯のもとに原告には申立てを維持する意思がないものと認め、申立てを却下したものであつて、本件却下決定に何ら違法はない。1 昭和四一年九月三日 (1) 原告から、不当労働行為救済申立書が提出され昭和四一年( に原告には申立てを維持する意思がないものと認め、申立てを却下したものであつて、本件却下決定に何ら違法はない。 二)も認める。(三) 請求原因(三)は争う。三被告の主張(一) 被告は、大要次のような経緯のもとに原告には申立てを維持する意思がないものと認め、申立てを却下したものであつて、本件却下決定に何ら違法はない。1 昭和四一年九月三日 (1) 原告から、不当労働行為救済申立書が提出され昭和四一年( に原告には申立てを維持する意思がないものと認め、申立てを却下したものであつて、本件却下決定に何ら違法はない。1 昭和四一年九月三日 (1) 原告から、不当労働行為救済申立書が提出され昭和四一年(不)第二号として受理された。(2) 被告は申立事項中、日付けの明らかでないものについてはこれを明らかにすべきこと、また除斥期間を経過したものについては取り下げないと却下になる旨を、申立書を持参した原告の職員に伝えた。2 同年九月六日被告は、審査委員として公益委員Bを指名した。3 同年九月二〇日被告は、第二一〇回公益委員会議において、申立事項中、除斥期間を経過したものにつき却下決定をした。4 同年九月二一日被告は、右却下決定書の写しを原告に送付した。審査委員Bは、当事者双方に調査開始の通知をし、原告には申立ての理由を疎明するための証拠を九月末日までに提出するよう求めた。5 同年九月二九日被申立人(郵政大臣をいう。以下同じ。)から答弁書が提出され、被告は翌日その写しを原告に送付した。6 同年九月三〇日被告は当事者双方に一〇月五日審問準備のための打合わせを行なう旨連絡し、了承を得た。7 同年一〇月五日原告から被告に当日の打合わせについて都合で中止してほしい旨の電話連絡があつた。8 同年一〇月一四日被告は原告に審問準備のための打合わせをしたい旨電話で督促した。9 同年一〇月一九日被告は原告に審問準備のための打合わせをしたい旨再度電話で督促した。10 同年一〇月二〇日被告は原告に審問を速かに開始したい旨電話で連絡した。原告は、九月二一日の一部却下決定について問題があるので審問には入れないとの態度を明らかにした。11 同年一〇月二四日原告から右却下決定についての質問書が提出された。12 同年一一月四日審査 原告は、九月二一日の一部却下決定について問題があるので審問には入れないとの態度を明らかにした。11 同年一〇月二四日原告から右却下決定についての質問書が提出された。12 同年一一月四日審査委員は、原告の中央執行委員長Cと直接面談し、却下についての考え方を詳細に説明し、かつ、却下した部分以外の分の審査を早く行ないたい旨強調した。 告から右却下決定についての質問書が提出された。12 同年一一月四日審査 原告は、九月二一日の一部却下決定について問題があるので審問には入れないとの態度を明らかにした。11 同年一〇月二四日原告から右却下決定についての質問書が提出された。12 同年一一月四日審査委員は、原告の中央執行委員長Cと直接面談し、却下についての考え方を詳細に説明し、かつ、却下した部分以外の分の審査を早く行ないたい旨強調した。13 同年一一月一五日被告は原告と電話で審問準備を打ち合わせ、原告は、翌日具体的な話合いをすることにつき了解した。14 同年一一月一七日原告のD中央執行委員から被告に日程がとれないと電話で連絡があつた。15 同年一一月二二日審査委員名の文書で関係当事者に証拠の申出を一一月中にするように督促した。16 同年一一月三〇日被申立人から証拠の申出があつた。17 同年一二月五日原告から大阪福島郵便局につき新たな申立て(昭和四一年(不)第三号不当労働行為救済申立事件)が追加された。18 昭昭四二年一月六日被告は原告の代理人仲田弁護士に電話で証拠の申出を督促した。19 同年二月三日被告は原告のD中央執行委員に証拠の申出を電話で督促した。20 同年二月八日原告・被申立人および被告の三者で審査の進行について打合わせを行ない、原告の立証計画を三月五日ころまでに提出すること、審問は四月上、中旬に行なうことをきめた。21 同年三月二二日審査委員名の文書で原告に証拠の申出をするよう督促するとともに、審査手続の進め方について原告の意向を連絡するよう通告した。22 同年六月六日審査委員名の文書で「申立てを維持する意思があるならば」六月末日までに証拠の申出をするよう通告した。23 同年七月四日原告から証拠の申出がなく、その他何の連絡もなかつたので、被告は、第二二七回公益委員会議において、原告には本件「申 意思があるならば」六月末日までに証拠の申出をするよう通告した。23 同年七月四日原告から証拠の申出がなく、その他何の連絡もなかつたので、被告は、第二二七回公益委員会議において、原告には本件「申立てを維持する意思」がないと認め却下の決定をした。24 同年七月五日却下決定書の写しを原告に送付した。(二) ところで、被告が、最近五カ年間に審問を行なつた不当労働行為事件一四件の平均所要日数は、申立てから審問開始まで約一三二日であり、この間右各事件の申立人から具体的な内容の準備書面の提出なり証拠申出がなされたのは、申立てから約八〇日後となつている。 第二二七回公益委員会議において、原告には本件「申立てを維持する意思」がないと認め却下の決定をした。24 同年七月五日却下決定書の写しを原告に送付した。(二) ところで、被告が、最近五カ年間に審問を行なつた不当労働行為事件一四件の平均所要日数は、申立てから審問開始まで約一三二日であり、この間右各事件の申立人から具体的な内容の準備書面の提出なり証拠申出がなされたのは、申立てから約八〇日後となつている。本件の場合には、被申立人が昭和四一年一一月三〇日にすでに証拠申出をしているのに、原告は、再三、再四の督促にもかかわらず、申立後二八〇日余を経て、なお証拠の申出をしなかつたので、被告は、原告が申立てを維持する意思がないものと認め、申立てを却下したのである。四被告の右主張(三)に対する原告の認否と反論(一) 認否三の(一)に対し冒頭中本件決定が違法でないとする点は争う。1 昭和四一年九月三日に関する主張のうち、(1)は認めるが、(2)は不知。2 同年九月六日に関する主張は不知。3 同年九月二〇日に関する主張は不知。4 同年九月二一日に関する主張は認める。5 同年九月二九日に関する主張も認める。6 同年九月三〇日に関する主張は否認する。7 同年一〇月五日に関する主張は否認する。8 同年一〇月一四日に関する主張は不知。9 同年一〇月一九日に関する主張は否認する。10 同年一〇月二〇日に関する主張は認める。当時、原告は、被告の前記却下決定を違法なものとし、前記申立事件担当の中央執行委員または担当代理人弁護士小谷野三郎等を通じ被告に強く抗議しており、それが認められない限り、審問には応じられ は認める。当時、原告は、被告の前記却下決定を違法なものとし、前記申立事件担当の中央執行委員または担当代理人弁護士小谷野三郎等を通じ被告に強く抗議しており、それが認められない限り、審問には応じられないという態度をとつていたのである。11 同年一〇月二四日に関する主張は認める。12 同年一一月四日に関する主張中、原告中央執行委員長Cと被告のB審査委員が話合つた事実は認めるが、その内容については否認する。13 同年一一月一五日に関する主張は認める。14 同年二月一七日に関する主張は否認する。15 同年一一月二二日に関する主張は認める。16 同年一一月三〇日に関する主張は認める。17 同年一二月五日に関する主張は認める。 のである。11 同年一〇月二四日に関する主張は認める。12 同年一一月四日に関する主張中、原告中央執行委員長Cと被告のB審査委員が話合つた事実は認めるが、その内容については否認する。13 同年一一月一五日に関する主張は認める。14 同年二月一七日に関する主張は否認する。15 同年一一月二二日に関する主張は認める。16 同年一一月三〇日に関する主張は認める。17 同年一二月五日に関する主張は認める。18 昭和四二年一月六日に関する主張は不知。19 同年二月三日に関する主張は不知。20 同年二月八日に関する主張中、原告、被申立人および被告の三者が本件審査につき打合わせを行なつたことは認めるが、その余は否認する。右打合わせの席上、原告は、被告の本件審問期日を昭和四二年四月上、中旬ころに入れることを目標にしたいという趣旨の申出に同意したが、その立証計画については、法規対策担当のE中央執行委員をして「提出する書証は公文書を含めて大阪関係一〇通、美浦関係一〇通、これに関聯して証人は大阪一〇名、美浦五、六名である」旨発言させたうえ、さらにこれらの証拠に対する被申立人側からの悪質な工作を防ぎ、証拠としての価値を保全するため書証ならびに証人については審問廷ないしは審問の直前に明確にする旨述べさせているのである。21 同年三月二二日に関する主張は認める。原告は、被告の通告に対し、証拠の申出についてはさきにE中央執行委員が説明したと同旨のことを繰返し説明し、審問期日を指定するよう要請しているのである。22 同年六月六日に関する主 する主張は認める。原告は、被告の通告に対し、証拠の申出についてはさきにE中央執行委員が説明したと同旨のことを繰返し説明し、審問期日を指定するよう要請しているのである。22 同年六月六日に関する主張は認める。原告は、被告の右通告につき、「証拠の申出については、E中央執行委員が述べたとおりであるから、被告はまず審問期日を指定すべきであり、原告は同期日の直前または同期日に証人の氏名の明確にする」旨述べた。23 同年七月四日に関する主張は不知。24 同年七月五日に関する主張は認める。三の(二)に対し、被告が最近五ヵ年間に審問を行なつた不当労働行為事件一四件の平均所要日数は、申立てから審問開始まで約一三二日であり、この間申立人から具体的な内容の準備書面の提出なり証拠申出がなされたのは申立てから約八〇日後となつていることは不知。 きであり、原告は同期日の直前または同期日に証人の氏名の明確にする」旨述べた。23 同年七月四日に関する主張は不知。24 同年七月五日に関する主張は認める。三の(二)に対し、被告が最近五ヵ年間に審問を行なつた不当労働行為事件一四件の平均所要日数は、申立てから審問開始まで約一三二日であり、この間申立人から具体的な内容の準備書面の提出なり証拠申出がなされたのは申立てから約八〇日後となつていることは不知。(二) 反論 1 公共企業体等労働委員会規則(以下公労委規則という。)第二六条は申立てを却下すべき場合を列挙しているが、この中には「申立てを維持する意思がないと認められるとき」という条項はない。同条は、却下すべき場合を制限列挙したものと解すべきであるから、このような理由による却下は、右規則ひいては公労法に違反する。おもうに、不当労働行為は、一般企業で働く労働者ないし労働組合に対するものも、公務員、公共企業体等職員ないしいわゆる官公労組合に対するものもひとしく憲法に保障された労働基本権に対する使用者の侵害行為であるが、公共企業体等労働委員会(以下公労委という。)に救済を求められる不当労働行為は、労働委員会に救済を求められる不当労働行為と異なり、単に労働基本権に対する侵害行為という側面だけでなく、多くの場合に憲法尊重擁護義務の不履行という側面をもつものである。労働委員会規則が、「申立人が申立てを維持する意思を放棄し る不当労働行為と異なり、単に労働基本権に対する侵害行為という側面だけでなく、多くの場合に憲法尊重擁護義務の不履行という側面をもつものである。労働委員会規則が、「申立人が申立てを維持する意思を放棄したものと認められるとき」を却下することができる理由の一つとして挙げている(同規則第三四条第一項第七号)のに、公労委規則が特にこれを除外しているのは、公労委に救済を求められる不当労働行為のもつ右のような側面を考慮し、かりに申立人の側において申立てを維持する意思がないと認められるような場合においても、積極的に申立ての取下げがない以上、一方的に申立てを却下するなどという早計な態度を戒め、かえつて憲法尊重擁護義務との関係において慎重に審査をなすという態度をとつたものにほかならない。2 かりに、被告の主張するように明文の規定がなくとも、「申立てを維持する意思を放棄したものと認められるとき」に申立てを却下できるとしても、本件の場合、「申立を維持する意思を放棄したものと認められるとき」に当らない。 ても、積極的に申立ての取下げがない以上、一方的に申立てを却下するなどという早計な態度を戒め、かえつて憲法尊重擁護義務との関係において慎重に審査をなすという態度をとつたものにほかならない。2 かりに、被告の主張するように明文の規定がなくとも、「申立てを維持する意思を放棄したものと認められるとき」に申立てを却下できるとしても、本件の場合、「申立を維持する意思を放棄したものと認められるとき」に当らない。すなわち、(1) 公労委規則第二五条は、「審査が終了するまでは関係当事者はいつでも証拠を提出することができる」と規定し、証拠についてはいわゆる随時提出主義の立場をとつている関係上、調査開始の際に提出を求められる証拠は、これを量的にみれば審査の全過程において提出されるであろう証拠の一部に過ぎず、また質的にみれば「理由を疎明する」程度のもので足りるところ、原告は次に述べるとおりその提出をした。(イ) まず、原告は、昭和四二年二月八日、法規対策担当のE中央執行委員をして「提出する書証は公文書を含めて大阪(城東、福島郵便局関係の意味)一〇通、美浦一〇通、これに関聯して証人は大阪一〇人、美浦五ー六人である」と発言させたうえこれら証拠に対する被申立人側からする悪質な工作 提出する書証は公文書を含めて大阪(城東、福島郵便局関係の意味)一〇通、美浦一〇通、これに関聯して証人は大阪一〇人、美浦五ー六人である」と発言させたうえこれら証拠に対する被申立人側からする悪質な工作を防ぎ、証拠としての価値を保全するための書証である私信(大阪福島郵便局長が原告の組合員の父兄に差出した手紙とこれに対し父兄から組合員にあてた手紙)および証人については審問廷ないしは審問の直前に文書内容および証人氏名を明らかにする旨附言させたが、前記公労委規則の定めに照らし、上述のE発言なるものは、まさに公労委規則の予定する疎明方法の提出にほかならず、かつ本件については、これをもつて十分であるといわなければならない。もしこれが疎明方法提出の予告であるとしても被告が審問期日を指定しさえすれば、原告はこれを提出することは前示発言からみても明らかである。(ロ) のみならず、原告は、D、Eの各中央執行委員、F、Gの各法規対策部員、小谷野、仲田の各代理人を通じ、前記E発言と同旨発言をし、申立ての理由を疎明してきたのである。(2) かりに、原告の側において、申立理由の疎明をしなかつたとみられるとしても、原告は、申立てを維持する意思を放棄したために疎明をしなかつたのではなく、次に述べるようなやむをえざる理由により疎明がおくれたに過ぎないから、原告には「申立てを維持する意思がない」と認めることはできない。 、F、Gの各法規対策部員、小谷野、仲田の各代理人を通じ、前記E発言と同旨発言をし、申立ての理由を疎明してきたのである。(2) かりに、原告の側において、申立理由の疎明をしなかつたとみられるとしても、原告は、申立てを維持する意思を放棄したために疎明をしなかつたのではなく、次に述べるようなやむをえざる理由により疎明がおくれたに過ぎないから、原告には「申立てを維持する意思がない」と認めることはできない。これをふえんすれば、(イ) まず、被告は、一定の期間にわたつて継続して行なわれた茨城県美浦郵便局長の不当労働行為についての原告の不当労働行為申立ての一部を除斥期間を徒過したという理由で却下したが、これは継続して行なわれた不当労働行為についてはその終了の日から除斥期間を計算すべきであるのにその一部を切り離して除斥期間を算定したものである。このように、右却下 を徒過したという理由で却下したが、これは継続して行なわれた不当労働行為についてはその終了の日から除斥期間を計算すべきであるのにその一部を切り離して除斥期間を算定したものである。このように、右却下決定は、原告の申立てを曲解したもので、労働組合法第二七条第二項に違反するものであるところ、同決定を是認するならば、原告の主張は大幅に後退することになり、その救済の可能性は著しく少なくなる。そこで、原告としては、被告が反省し自ら前記決定を取り消すことを期待し、昭和四一年一〇月二二日、被告に対し、前記決定についての質問書を提出したが、被告は、これに対し何ら誠意ある回答をすることなく、かえつて昭和四一年一一月四日には原告執行委員長Cに対し、公労委の決定に対して原告のなした行政訴訟の提起には濫訴の傾向がある旨申し向け、前記決定に対する行政訴訟の提起を断念せざるをえないような態度に出ている。右のように、原告は、前記一部却下決定に対し行政訴訟を提起すべきかどうかの協議あるいは被告に対し取消しの検討を求める等のために時間を要したのであるが、右期間中の審理の停止についての責任の一切は、あげて被告にある。(ロ) さらに、昭和四二年一月二九日施行の衆議院議員の選挙には、原告から多数の組織内候補者が立候補し、組織をあげて選挙戦がなされたが、右選挙に関しては各地で選挙違反として組織に対する弾圧が加えられたために、原告の法規対策部関係者をはじめ代理人である弁護士等も繁忙をきわめ被告においてもその事情を十分了解していた筈である。 要したのであるが、右期間中の審理の停止についての責任の一切は、あげて被告にある。(ロ) さらに、昭和四二年一月二九日施行の衆議院議員の選挙には、原告から多数の組織内候補者が立候補し、組織をあげて選挙戦がなされたが、右選挙に関しては各地で選挙違反として組織に対する弾圧が加えられたために、原告の法規対策部関係者をはじめ代理人である弁護士等も繁忙をきわめ被告においてもその事情を十分了解していた筈である。(ハ) 茨城県美浦郵便局関係については、さらに次の特殊事情があつた。(ⅰ) 前記のような事情もあつて、本件審理はおくれたが、前記却下決定に対する出訴期間の経過後、原告は、本申立てについての証拠(証人)申請を準備中であつたところ、昭和四二 らに次の特殊事情があつた。(ⅰ) 前記のような事情もあつて、本件審理はおくれたが、前記却下決定に対する出訴期間の経過後、原告は、本申立てについての証拠(証人)申請を準備中であつたところ、昭和四二年一月、前記局における原告の役員であり、かつ活動家であるHに郵便法違反という問題が発生した。そうしたところ、前記局の局長Iは、右Hに対し、「俺の上申によつて、君は免職になるかも知れない。君がよい上申を期待するなら組合活動をやめた方がよい」というようなことを申し向けた。(ⅱ)右Hは、原告の重要な証人の一人に予定されていたが、右のようなことがあつたため、同局の原告組合員から原告代理人弁護士小谷野三郎に対し、右Hについての郵便法違反の問題が解決するまでは、本申立てについての証人申請等を待つてほしい旨の連絡があつた。そこで、右小谷野弁護士はこれを了承し、直ちに被告の事務局に対し、茨城県美浦郵便局関係についての証拠申請は事情があつて遅れるが、しばらく待つてほしい旨申し入れた。(ⅲ) ところが、右Hに対する郵便法違反の事実は、昭和四二年五月ころ、不起訴処分となり、かつ同人は右事件につき同年六月減給処分を受けて同問題は解決をみたので、原告は、本申立てにつき、立証準備中のところ、突如本件却下決定に接したのである。(ニ) また、審問の時期については、申立人および被申立人双方において春闘が終了して一段落した後に開始してもらう旨の暗黙の合意が成立していた。五原告の右反論(四の(二))に対する被告の反駁(一) 公労委規則第二六条には「申立ての意思を放棄したと認められるとき」に却下できる旨の規定がないから右のような場合にも却下できないという原告の主張は、誤りである。 準備中のところ、突如本件却下決定に接したのである。(ニ) また、審問の時期については、申立人および被申立人双方において春闘が終了して一段落した後に開始してもらう旨の暗黙の合意が成立していた。五原告の右反論(四の(二))に対する被告の反駁(一) 公労委規則第二六条には「申立ての意思を放棄したと認められるとき」に却下できる旨の規定がないから右のような場合にも却下できないという原告の主張は、誤りである。たしかに、労働委員会規則第三四条は、申立てを却下することができる場合の一つとして「申立人が申立てを き」に却下できる旨の規定がないから右のような場合にも却下できないという原告の主張は、誤りである。たしかに、労働委員会規則第三四条は、申立てを却下することができる場合の一つとして「申立人が申立てを維持する意思を放棄したものと認められるとき」をあげているのに対し、公労委規則第二六条は、申立てを却下すべき場合の中に同様の事由を特にあげてはいない。しかしながら、右公労委規則第二六条は、例示的規定であつて、制限的規定ではなく、申立人に申立てを維持する意思がない場合にも申立てを却下できないとした趣旨に解すべきではない。1 本来、公労委の不当労働行為救済命令手続は、申立人の申立てにより開始され、申立人の申立てが有効に存続していることを前提にその手続が進められるものである。申立書の記載が不備であつて補正がなされないときは申立てを却下すべきものとされ、また事件の終了事由として申立ての取下げが認められているのは、いずれも命令手続が申立ての有効に存続していることを前提に進められることのあらわれにすぎない。一旦申立てが有効になされても、その後申立人が当該申立てを維持する意思を放棄したときは、申立てが形式的に残つていても、実質的にこれを維持する主体がなくなつたのであるから、公労委はこれ以上手続を進めることができず、申立てを却下するほかないのである。このことは、申立てに基づいてのみ手続が進行するという制度の性質上いわば当然のことである。2 また、使用者が憲法尊重擁護義務があるということから何故却下事由を限定的なものと解さなければならないか理解に苦しむものである。公労委規則が労働委員会規則第三四条第一項第七号に該当する場合を却下事由から除外したと解すると、例えば、「申立人の所在が知れないとき」とか「申立人が死亡し若しくは消滅し、かつ、申立てを承継するものがない に基づいてのみ手続が進行するという制度の性質上いわば当然のことである。2 また、使用者が憲法尊重擁護義務があるということから何故却下事由を限定的なものと解さなければならないか理解に苦しむものである。公労委規則が労働委員会規則第三四条第一項第七号に該当する場合を却下事由から除外したと解すると、例えば、「申立人の所在が知れないとき」とか「申立人が死亡し若しくは消滅し、かつ、申立てを承継するものがない 規則が労働委員会規則第三四条第一項第七号に該当する場合を却下事由から除外したと解すると、例えば、「申立人の所在が知れないとき」とか「申立人が死亡し若しくは消滅し、かつ、申立てを承継するものがないとき」もあくまでも申立てを却下することは許されず、その事件は永久に公労委に係属してこれを打ち切る方法がないことになり、このことは、いかに被申立人たる使用者に憲法尊重擁護義務があるにしても、きわめて不合理である。その上、この主張は、一般の労働委員会に対しても、政府を相手方として駐留軍関係労働者が、また地方公共団体を相手方として地方公営企業関係労働者がそれぞれ不当労働行為救済申立てができることを無視している。3 公労委規則が、労委規則第三四条第一項第七号に該当する場合を列挙しなかつたのは、もともと法律上却下できる場合には、規則に明文の規定がなくとも却下できるし、右の却下事由に該当する場合のおこることはきわめて稀であろうから、あえてこれを列挙しなかつたに過ぎない。要するに、使用者に不当労働行為ありとして救済を被告に申し立てた申立人本人が、被告の再三、再四の督促にもかかわらず、手続進行に協力しないで申立てを維持する意思がないと認められるようなときは、被告としては、それ以上手続を進めるに由なく、法律または規則が、かかる場合にも申立てを却下してはならないと定めたと解されるのでない限り、被告は当該申立てを却下できるものと解されるところ、労組法、公労法および公労委規則が右の場合に申立てを却下すべきでないと定めたと解すべき根拠はないのである。(二)1 原告が「疎明方法の提出」をしたことになるという主張は争う。E中央執行委員の発言は、証拠の申出の予告に過ぎず「疎明方法の提出」ではない。このような見地にもとずき被告は、大阪において集中的に証人の取調を行なう 方法の提出」をしたことになるという主張は争う。E中央執行委員の発言は、証拠の申出の予告に過ぎず「疎明方法の提出」ではない。 申立てを却下すべきでないと定めたと解すべき根拠はないのである。(二)1 原告が「疎明方法の提出」をしたことになるという主張は争う。E中央執行委員の発言は、証拠の申出の予告に過ぎず「疎明方法の提出」ではない。このような見地にもとずき被告は、大阪において集中的に証人の取調を行なう 方法の提出」をしたことになるという主張は争う。E中央執行委員の発言は、証拠の申出の予告に過ぎず「疎明方法の提出」ではない。このような見地にもとずき被告は、大阪において集中的に証人の取調を行なうのでその予定を立てるためもあり、さらに具体的な立証計画の提出を求めたところ、原告は、三月五日にこれを提出することを約したにかかわらず、同日に至るも、立証計画を提出しなかつたものである。さらに原告は申立て以来却下決定まで被告あてに審問期日指定を求めてきたこともない。また、原告は、D中央執行委員、F、Gの各法規対策部員、小谷野、仲田の各代理人がE発言と同旨の発言をしたと主張するが、その点については不知。なお、随時提出主義といえども、不当労働行為救済手続が迅速に行なわるべきであるとの要請上、再三、再四の督促を受けながら、申立てから二八〇日余も何らの証拠申出をしないような事態を是認するものではない。2 申立てを維持する意思を放棄したために疎明をしなかつたのではなく、やむをえざる理由により疎明がおくれたに過ぎないという原告の主張は争う。(1) 美浦郵便局関係の除斥期間経過を理由とする却下については、事前に被告事務局から原告に連絡し、注意を喚起しているところであるし、決定に対して原告から質問書等が提出された際、その後の審査が円満に進むことを期待して、審査委員よりそれについての見解を原告に詳細に説明している。原告は、一一月一五日には、この問題を了解し、手続を進行することを約しており、その後の証拠申出をしなかつた理由とはなし難い。(2) また、衆議院議員選挙の関係で、原告は多忙であつたというが、これをもつて証拠申出を何カ月もおくらせる理由とはいえない。(3) さらに、美浦郵便局関係の証人予定者Hについて郵便法違反被疑事件があつたとしても、その他の証人あ 係で、原告は多忙であつたというが、これをもつて証拠申出を何カ月もおくらせる理由とはいえない。(3) さらに、美浦郵便局関係の証人予定者Hについて郵便法違反被疑事件があつたとしても、その他の証人あるいは、他の郵便局関係の証人の申出までおくらせる理由とはならないと考える。 おくらせる理由とはいえない。(3) さらに、美浦郵便局関係の証人予定者Hについて郵便法違反被疑事件があつたとしても、その他の証人あ 係で、原告は多忙であつたというが、これをもつて証拠申出を何カ月もおくらせる理由とはいえない。(3) さらに、美浦郵便局関係の証人予定者Hについて郵便法違反被疑事件があつたとしても、その他の証人あるいは、他の郵便局関係の証人の申出までおくらせる理由とはならないと考える。なお、原告がHについて郵便法違反の問題が発生したことを被告に連絡した点は不知。(4) 当事者間で春闘終了後審問を開始するという合意があつたとの点は争う。なお、春闘終了後、六月六日付審査委員名の文書で原告に証拠の申出を督促したにもかかわらず、何らの回答も得られなかつたのである。以上、要するに、被告の本件申立て却下決定には何ら違法な点はない。第三証拠関係(省略) 理由 一原告適格と処分の存在請求の原因(一)(二)については当事者間に争いがない。二処分の適否(一) 公共企業体等労働関係法(以下単に公労法という。)第二条第一項に掲げる公共企業体等の不当労働行為により不利益を受けたと主張する公共企業体等の職員等(同法第二条第二項に掲げる者、およびその結成し又は加入する労働組合をいう。)は、公共企業体等労働委員会(以下単に公労委という。)に不当労働行為救済申立てをすることができ、申立てを受けた公労委は、公労委が定める手続規則(公共企業体等労働委員会規則ー以下単に公労委規則という。)による調査、審問の手続を経て事実の認定をし、この認定に基づき不当労働行為が存在する以上、必要な救済命令を発しなければならない(公労法第二五条の五第一、二項、労働組合法第二七条第一、三、四項)。したがつて、不当労働行為に対する救済を申し立てた公共企業体等の職員等は救済申立てに基づき公労委の定める手続規則に従つた適正な手続によつて不当労働行為救済命令を発することの可否について 、四項)。したがつて、不当労働行為に対する救済を申し立てた公共企業体等の職員等は救済申立てに基づき公労委の定める手続規則に従つた適正な手続によつて不当労働行為救済命令を発することの可否について判断を受ける手続上の権利を有するということができる。(なお、実際に不当労働行為により不利益を蒙つた職員等が公労委に対し実体上の権利としての右救済請求権を有することはもちろんである。 を発することの可否について 、四項)。したがつて、不当労働行為に対する救済を申し立てた公共企業体等の職員等は救済申立てに基づき公労委の定める手続規則に従つた適正な手続によつて不当労働行為救済命令を発することの可否について判断を受ける手続上の権利を有するということができる。(なお、実際に不当労働行為により不利益を蒙つた職員等が公労委に対し実体上の権利としての右救済請求権を有することはもちろんである。)(二) ところで、公労委の定めた手続規則たる公労委規則は、公労委が法の授権のもとに自ら定立した強行法規たる行為規範であつて、公労委自身に対しこれに則つて審理等をなすべき義務を課した反面、国民に対しても公労委に対しこれに則つて審理等をなすべきことを求める権利を賦与したものと解することができる。そうであるとすれば、公労委が、公労委規則の定めた場合でないのに、不当労働行為救済申立てに対し、不当労働行為の存否の認定をなさず、申立てを却下するというようなことは、申立人の右手続上の権利を害することになり許されないと解すべきである。(三) ところが、労働委員会規則第三四条は、申立てを却下できる場合の一つとして「申立人が申立てを維持する意思を放棄したものと認められるとき」をあげているが、公労委規則をみると、申立てを却下する場合について規定した第二六条には右のような場合があげられていない。そして、公労法および公労委規則を通覧しても、他に「申立人が申立てを維持する意思を放棄したものと認められるとき」に申立てを却下できる旨を規定した条文は見当らない。被告は、公労委規則第二六条が掲げる却下事由は例示的なものであつて制限的なものでないと主張するけれども、不当労働行為救済申立てが却下されると、申立人は、再度の申立ては妨げられないにしても、当該申立てによつて開始された手続内で不当労 却下事由は例示的なものであつて制限的なものでないと主張するけれども、不当労働行為救済申立てが却下されると、申立人は、再度の申立ては妨げられないにしても、当該申立てによつて開始された手続内で不当労働行為の救済命令を発することの可否について公労委の判断を受ける機会を失うことになること、また、再度の申立てが可能であるといつても、それは無制約に許されるわけではなく、申立期間が制限されている(公労法第二五条の五第二項、労働組合法第二七条第二項、公労法第二五条の五第四項)関係上、再び救済を申し立てる時間的余裕がないこともあり、その場合には単に前述の手続上の権利を失うにとどまらず実体上の権利である救済請求権をも失うことになること、しかも、不当労働行為救済申立ての制度の目的は、個人あるいは組合の権利救済にとどまらず、そのことを通じて公正な労働関係の樹立を図ることにもあることを考えあわせれば、不当労働行為の存否についての判断がないまま却下する場合が拡がる結果を招くような解釈は相当でないから、前記公労委規則第二六条は却下する場合を制限的に規定したものと解するのが相当である。 らず実体上の権利である救済請求権をも失うことになること、しかも、不当労働行為救済申立ての制度の目的は、個人あるいは組合の権利救済にとどまらず、そのことを通じて公正な労働関係の樹立を図ることにもあることを考えあわせれば、不当労働行為の存否についての判断がないまま却下する場合が拡がる結果を招くような解釈は相当でないから、前記公労委規則第二六条は却下する場合を制限的に規定したものと解するのが相当である。(なお、被告は、明文の規定がなければ却下できないとすると、「申立人の所在が知れないとき、申立人が死亡し若しくは消滅し、かつ、申立てを承継するものがないとき」の処置に窮する旨主張するけれども、もしそうであるとしても、公労委規則に、却下する場合として右の場合を追加すれば足りるのみならず、現行公労委規則のもとでも同規則第二六条第一項第六号に定める「救済を求める事項が法令上又は事実上実現することが不可能であることが明らかなとき」に該当するとして処理できると考える。)(四) そうであるとすれば、本件の場合、不当労働行為救済命令手続を遷延させたのは原告の側であることは、成立に争いのない乙第一 不可能であることが明らかなとき」に該当するとして処理できると考える。)(四) そうであるとすれば、本件の場合、不当労働行為救済命令手続を遷延させたのは原告の側であることは、成立に争いのない乙第一ないし第五号証、同第八号証、証人Jの証言により成立の認められる乙第六号証、ならびに証人J、同Kの各証言により明らかであるけれども、申立人たる原告に「申立てを維持する意思がないと認め」て申立てを却下した被告の本件処分は、その余の点について判断するまでもなく、違法というほかはない。三むすびよつて、本件却下決定の取消しを求める原告の請求は正当であるから認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官沖野威小笠原昭夫石井健吾)

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