昭和34(オ)1014 貸金請求

裁判年月日・裁判所
昭和35年6月2日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を大阪高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人弁護士吉川覚の上告理由について。  記録によつて明らかなとおり、上告

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判決文本文2,257 文字)

主    文      原判決を破棄する。      本件を大阪高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人弁護士吉川覚の上告理由について。  記録によつて明らかなとおり、上告人は原審において次のように主張しているの である。すなわち、  上告人は昭和三二年九月六日被上告人の夫Dから金一〇万円を借用するにあたり、 その斡旋をしたEに甲第一号証の一の委任状(但し自己の署名捺印以外は白紙であ つた)を同日附甲第一号証の二の印鑑証明書とともに交付し同日附借用金確証と題 する乙第一号証を差入れて右金員を借入れ、次いで同年一二月中旬頃右金員を完済 したが、その際乙第一号証のみ返却され、甲第一号証の一、二の取戻し方を忘却し ていたところ、本訴において、甲第一号証の白紙委任状に昭和三二年一二月二四日 なる日附の外その文面に見るが如き事項が記入され甲第一号証の二の印鑑証明書が 添付されて被上告人主張の(一)(二)連帯保証の事実を立証すべく提出されてい るのである。従つて以上事態の推移に徴すれば、甲第一号証の記載は全く上告人の 関知しないもので偽造に係るものであるというのである。これに対し、原判決は、 前示Eの第一審並びに原審における証人としての供述及び甲第一号証の記載体様に 照し、甲第一号証の二の印鑑証明書の日附と乙第一号証借用金確証の日附とが同一 だからといつて甲第一号証の一の委任状が偽造のものであるとは云えないとし、同 号証及び前示Eの供述、被上告人の第一審竝びに原審における本人としての供述を 綜合し、上告人において被上告人主張の(一)(二)の消費貸借の連帯保証を約し たる事実ありと認定しているのである。ところで原判示によれば上告人は右(一) の消費貸借につき連帯保証をすることとなり、貸借成立の日である昭和三二年一二 - 1 - 月二四日公正証書作成の為め公証人 し たる事実ありと認定しているのである。ところで原判示によれば上告人は右(一) の消費貸借につき連帯保証をすることとなり、貸借成立の日である昭和三二年一二 - 1 - 月二四日公正証書作成の為め公証人役場に赴いたというのであるが、もしそうだと すれば上告人は右役場において連帯保証を確約したわけであるから、上告人として は特に甲第一号証の一のような委任状を作成交付する必要が毫末もない筈であるが、 これを何故に作成交付するに至つたのか、しかも何故にその作成日附と一致しない 日附の印鑑証明書の添附などまでしたのか、またこの印鑑証明書の日附と乙第一号 証の日附とは何故に一致しているのか、その間の事情は明瞭を欠くに拘らず原判決 はいささかも言及していない。そして前示Eは第一審において証人として、「甲第 一号証の二の印鑑証明書は甲第一号証の一を貰う以前に建てた家を売るについて委 任するということでFさんからいただいたものです」と供述しながら、原審におい ては「甲第一号証の一、二は三〇万円貸借の際上告人が自分のところにもつてきた ものである」と全く正反対の供述をしており、これによつて考うれば甲第一号証の 一、二の作成交付の事情はいよいよ明瞭を欠くものと云わざるを得ず、まして、甲 第一号証の一が一体何を意味するものか、その文面上必ずしも明確と云い難いもの があるにおいておやである。されば、叙上の点について首肯するに足る事情の解明 のない以上は甲第一号証の一が原判示のように偽造でないものとはたやすく認定で きないものと云うべきであり、従つて延いて前示E、被上告人の第一、二審におけ る供述も他に別段な事情の説明のない限りは容易に信憑できないものというの外な く、ひつきよう原判決の挙示するような証拠だけでは判示(一)(二)連帯保証の 事実をたやすく肯定できない筋合であると云わざるを得ない。なお、 段な事情の説明のない限りは容易に信憑できないものというの外な く、ひつきよう原判決の挙示するような証拠だけでは判示(一)(二)連帯保証の 事実をたやすく肯定できない筋合であると云わざるを得ない。なお、被上告人の第 一審以来の主張によれば、上告人は本件三〇万円の借入について保証人となるべく 公証役場に出向いたのであるが、主債務者Fからその所有不動産を抵当として提供 され物的担保は十分であり、且つ上告人の持参した印鑑証明書は古かつたので公正 証書に上告人の名前を入れることを取りやめにしたのだという。しかし三〇万円と いう大金の貸借について公正証書を作成する際その保証人となるべく公証役場に出 - 2 - 向いた者の氏名を公正証書から特に外したなどと云うことは、右のような主張だけ では肯けない。  要するに原判決は本件(一)(二)の消費貸借の連帯保証を約したという事実を 認定するについて、叙上の点において審理不尽、理由不備の欠点を蔵するものであ つて、論旨は結局理由あるに帰し、原判決は到底破棄を免れないものである。  よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫             裁判官    斎   藤   悠   輔             裁判官    入   江   俊   郎             裁判官    高   木   常   七 - 3 -

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